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  • 特許-画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231212BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20231212BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H04N1/00 519
B41J29/00 C
B41J29/00 D
B41J29/00 E
B41J29/00 S
H05K9/00 L
H05K7/00 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019172859
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021052267
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 昌宏
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-201176(JP,A)
【文献】特開2009-182477(JP,A)
【文献】特開2019-121826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00
H05K 9/00
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を制御する回路基板と、
前記回路基板を覆っているシールド部材と、
部装置と無線通信が可能な通信手段と、
前記シールド部材に覆われた空間に収容され、前記回路基板と前記通信手段とを接続するフレキシブルフラットケーブルと、を有し、
前記通信手段は、前記シールド部材から露出した第1部分と、前記シールド部材に覆われた第2部分と、を含むプリント回路基板を有し、
前記通信手段は、前記シールド部材から露出するように、前記プリント回路基板の前記第1部分に設けられたアンテナ部を有し、
前記通信手段は、前記シールド部材に覆われるように、前記プリント回路基板の前記第2部分に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが接続された接続部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シールド部材は開口部を有し、
前記プリント回路基板の前記第2部分が前記シールド部材に覆われた空間に挿入されるように、前記通信手段は、前記開口部を通して、前記シールド部材に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記アンテナ部から前記開口部までの距離が15mm以上であり、
前記第2部分のうち、前記開口部から前記シールド部材に覆われた空間に挿入された部分の長さが10mm以上である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信が可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置など情報処理装置においては、無線通信モジュールを介してプリントを行うための画像データなどを、ネットワークに接続された外部装置と無線で送信することが一般的に行われている。しかし、無線通信モジュールはアンテナを内蔵しているため、設置場所や向きによっては良好な無線通信状態を確保できないことがある。とりわけ、画像処理装置は内部に多くの板金部品を備えており、これが無線通信の妨げになりやすい。
【0003】
これに対処するために、特許文献1は、無線通信モジュールをインターフェース回路に接続するためのコネクタを画像形成装置本体上に複数個所設けて、いずれかのコネクタに無線通信モジュールを接続することによって無線通信状態を確保している。これによって、アンテナを内蔵する無線通信モジュールの設置場所の自由度を高め、電波の妨げを受けることなく無線通信を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-62861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような画像形成装置においては、無線通信モジュールを画像形成装置の外側から接続することで、画像形成装置内部にある板金部品による電波の妨げを受けずに配置することができる。
しかし、特許文献1のような構成の場合、画像形成装置の外側で無線通信モジュールを保持するスロットモジュールに加え、無線通信モジュールとスロットモジュールとを電気的に接続するための接続部品が必要となる。また、スロットモジュールと画像形成装置とを電気的に接続するための接続部品も必要となる。
このため、画像形成装置を構成する部品が増加してしまい、コストが上昇してしまう。また、無線通信モジュールと接続する基板までの距離が長い場合、一般的には放射ノイズの影響を避けるためにUSBケーブルを使用する必要があるため、このこともコストの上昇の要因となる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、コストの上昇を抑制しつつ、放射ノイズによる影響を低減することができる、無線通信が可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段を制御する回路基板と、前記回路基板を覆っているシールド部材と、部装置と無線通信が可能な通信手段と、前記シールド部材に覆われた空間に収容され、前記回路基板と前記通信手段とを接続するフレキシブルフラットケーブルと、を有し、前記通信手段は、前記シールド部材から露出した第1部分と、前記シールド部材に覆われた第2部分と、を含むプリント回路基板を有し、前記通信手段は、前記シールド部材から露出するように、前記プリント回路基板の前記第1部分に設けられたアンテナ部を有し、前記通信手段は、前記シールド部材に覆われるように、前記プリント回路基板の前記第2部分に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが接続された接続部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コストの上昇を抑制しつつ、放射ノイズによる影響を低減した、無線通信可能な情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の内部構成を示す概略図である。
図2】画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】無線通信モジュールと箱型シールドの配置関係を説明するための図である。
図4図3を矢印Aの方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための実施例について図面を用いて説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は、あくまで例示であり、本発明の範囲をこれらに限定するものではない。
【0011】
図1を用いて、本発明の実施例に係る画像形成装置100の本体内部の構成の概略について説明する。
図1は、アンテナ204を内蔵した無線通信モジュール203を備える画像形成装置100を背面から見た斜視図の例である。図1(a)は、金属製の箱型シールド202の蓋202aが取り付けられた状態を示している。また、図1(b)は、箱型シールド202の蓋202aが取り外された状態を示している。
【0012】
図1に示すように、本実施例における情報処理装置は、画像の入力を行うリーダ部101と、用紙などのシートに対して画像を形成するプリンタ部102と、を含む本体を備えた画像形成装置100である。画像形成装置100の背面には、メイン制御基板201を収容している金属製の箱型シールド202が取り付けられている。
メイン制御基板201は、画像形成装置100の本体を統括的に制御する機能を有する制御モジュールであり、無線通信回路とIF(Intermediate Frequency)回路を備えた回路基板により構成される。メイン制御基板201は、高速信号を取り扱っているため、全面が箱型シールド202で覆われている。
【0013】
箱型シールド202は、メイン制御基板201の全面をシールド板金で囲う箱型のシールド部材であり、メイン制御基板201から放射されるノイズを遮蔽する。
箱型シールド202は、メイン制御基板201を覆う蓋202aを備えている。画像形成装置100が使用される際には、図1(a)に示されるように、蓋202aは箱型シールド202に取り外し可能なように取り付けられる。メインテナンスなどのためにメイン制御基板201へアクセスする際には、図1(b)に示されるように、蓋202aは箱型シールド202から取り外される。
【0014】
箱型シールド202には、図3で後述するように開口部が設けられ、開口部を通して、アンテナ204を内蔵した無線通信モジュール203が取り付けられている。無線通信モジュール203は、その一端を含む一部分が箱型シールド202の内部に収容され、他端を含むその他の部分は箱型シールド202の外部に露出するように配置されている。無線通信モジュール203の箱型シールド202から露出する部分には、他端の近傍にアンテナ204が配置されている。
【0015】
画像形成装置100の背面には、メイン制御基板201の他に、エンジン制御基板217、高圧制御基板218、低圧電源基板220、冷却FAN219の基板や、その他の電気部品が配置されている。
エンジン制御基板217は、例えば、冷却FAN219のような画像形成装置100内の各負荷の駆動や、図示しないセンサ類の情報収集解析や、プリンタ部102内の負荷の制御などを行う。
高圧制御基板218は、作像、現像、帯電などの用紙に対して画像を形成する上で必要な高電圧を生成する。
低圧電源基板220は、商用電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換し、直流電圧を各負荷や各基板へ供給する。
【0016】
無線通信モジュール203は、フレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable。以下、「FFC」という)214によってメイン制御基板201と電気的に接続されている。FFC214は、第1コネクタ215を介して無線通信モジュール203と接続されている。また、FFC214は、第2のコネクタ216を介してメイン制御基板201と接続されている。第1コネクタ215と第2コネクタ216は、ともに、箱型シールド202で覆われた領域に配置されている。
メイン制御基板201と無線通信モジュール203とを接続する接続部材としてFFC214を用いることにより、メイン制御基板201と無線通信モジュール203との間の高速信号の送受信を可能としている。
【0017】
無線通信モジュール203は、プリント基板上に導体パターンで構成されたアンテナ204を備えている。画像形成装置100は、アンテナ204を介して画像データなどのデータを送受信することで、外部装置との無線通信が可能となっている。
ただし、アンテナ204は、設置場所や向きによっては、良好な無線通信状態を確保できないことがある。とりわけ、画像形成装置100は本体の内部に箱型シールド202のように板金部品を多く備えているため、これが無線通信の妨げになりやすい。このため、アンテナ204は板金部品から一定の距離を離して配置する必要がある。
【0018】
メイン制御基板201と無線通信モジュール203との接続のためにFFC214を用いるメリットは、コネクタハウジングなどを備える必要なく、接続に要する部品点数が少ないため、コストを抑えることができることである。また、ケーブルを使用せずに板間コネクタで基板同士を直接接続する構成に比べて、任意の長さで配線することができるため、画像形成装置100内において無線通信モジュール203を配置する自由度を高めることができる。これにより、コストの上昇を抑制しつつ、板金部品による電波の妨害を受けない配置をすることが可能となる。
【0019】
図2は、画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
CPU(Central Processing Unit)210は、ROM(Read Only Memory)211に記憶されたプログラムをRAM(Random Access Memory)212に展開する。そして、展開したプログラムに基づき処理を実行することによって、メイン制御基板201の機能を実行する。
ROM211は、プログラムや、CPU210が処理を実行する際に用いるデータなどを記憶する。
RAM212は、CPU210がプログラムに基づき処理を実行する際のワークエリアなどとして使用される。
【0020】
ネットワークインターフェース213は、メイン制御基板201(又は画像形成装置100)をネットワークに接続するためのインターフェースである。
インターフェース207は、メイン制御基板201をリーダ部101と接続するためのインターフェースである。
インターフェース208は、メイン制御基板201をプリンタ部102と接続するためのインターフェースである。
インターフェース209は、メイン制御基板201を無線通信モジュール203と接続するためのUSBインターフェースである。
これらのハードウェアは、内部バス206を介して互いに通信可能に接続されている。
【0021】
無線通信モジュール203は、IEEE802.11b,g,n対応であり、FFC214によってインターフェース209と接続される。
アクセスポイント221は、無線通信モジュール203を子機として通信する。
これらのハードウェアを有する画像形成装置100の無線通信機能は、CPU210がROM211に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって実現される。
【0022】
次に、図3及び図4を用いて、本実施例における無線通信モジュール203と箱型シールド202との配置関係について説明する。
図3は、無線通信モジュール203と箱型シールド202とを画像形成装置100の背面からみた図である。図4は、図3を矢印Aの方向から見た断面図である。
【0023】
図に示されるように、無線通信モジュール203は、プリント配線基板203aを備え、プリント配線基板203aモールド部材である保持部材303に保持されている。そして、無線通信モジュール203は、メイン制御基板201を覆う箱型シールド202の一部に設けられた開口部301を通して、箱型シールド202に取り付けられ、ビス302によって固定されている。
【0024】
無線通信モジュール203内のプリント配線基板203a上に導体パターンにより形成されたアンテナ204は、電波特性を満たすために、箱型シールド202に対して所定の距離L1を離して配置されている。なお、距離L1は、アンテナ204から箱型シールド202の板金部分までの最短距離を示している。すなわち、距離L1は、図4に示すように、箱型シールド202の開口部301の端部301aからアンテナ204までの最短距離である。
【0025】
無線通信モジュール203は、その一部分が箱型シールド202の内部に侵入するように、所定の距離L2の分だけ箱型シールド202に収容されるように取り付けられている。なお、距離L2は、図4に示すように、無線通信モジュール203の端部から箱型シールド202の側面に向かって直角に引いた直線が箱型シールド202の側面と交わる点までの距離を示している。
距離L2は、無線通信モジュール203に接続される第1コネクタ215が箱型シールド202内に収容されるように設定される。このように、距離L2の分だけ無線通信モジュール203が箱型シールド202の内部に収容されるように取り付けられることによって、FFC214を箱型シールド202の内部に収容することができる。
【0026】
このような状態に無線通信モジュール203を箱型シールド202に取り付けることによって、高速信号を伝送しているFFC214からノイズが放射されるような場合であっても、ノイズを箱型シールド202により遮蔽することができる。
【0027】
また、メイン制御基板201の第2コネクタ216は、箱型シールド202に設けられた開口部301の近傍に設けられている。このため、FFC214をより短い配線で接続可能な構成となっている。
FFC214を短くすることにより、コストの上昇を抑制することができる。また、高速信号を伝送するFFC214がメイン制御基板201上できるだけ重ならないように配置することで、FFC214において伝送する高速信号による放射ノイズがメイン制御基板201に影響するリスクを低減している。
【0028】
本実施例においては、箱型シールド202からアンテナ204までの距離L1を15mm以上に設定する。これにより、アンテナ204は所望の電波特性を満たすことができる。ただし、距離L1は、アンテナ204の電波特性によって定められるものである。特に、アンテナ部材がプリント配線基板上に導体パターンで構成される、電波特性は、基板の厚さ、材料、導体パターンの太さや厚みなどのパラメータに依存するものである。
また、本実施例においては、無線通信モジュール20を箱型シールド202の内部に収容する距離L2を10mm以上に設定する。これにより、FFC214を箱型シールド202の内部に収容することができる。
【0029】
第1のコネクタ215のコネクタ幅X1は、一般的に、5mmである。また、第1コネクタ215は、実装工程における自動挿入機の寸法制限を考慮して、無線通信モジュール203の端部から内側に所定の距離X2(例えば、5mm)の余裕をもって実装される。したがって、距離L2を、X1とX2の和(例えば、10mm)以上に設定することにより、第1コネクタ215を箱型シールド202内に収容することができる。
【0030】
以上のように、本実施例によれば、無線通信モジュール203とメイン制御基板201との基板間の接続にFFC214を用いることにより、接続に要する部品のコストの上昇を抑制することができる。また、無線通信モジュール203の一部分を箱型シールド202の内部に配置することにより、FFC214を箱型シールド202の内部に収容し、FFC214を伝送している高速信号による放射ノイズを箱型シールド202で遮蔽することができる。
【0031】
本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。すなわち、上述した実施例及びその変形例を組み合わせた構成もすべて本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0032】
100 画像形成装置
201 メイン制御基板
202 箱型シールド
203 無線通信モジュール
204 アンテナ
214 フレキシブルフラットケーブル(FFC)
301 開口部
図1
図2
図3
図4