(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 15/00 20060101AFI20231212BHJP
G01L 9/00 20060101ALI20231212BHJP
G01L 13/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01L15/00
G01L9/00 303Q
G01L13/00 Z
(21)【出願番号】P 2019185767
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】東條 博史
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-218121(JP,A)
【文献】特開2002-277337(JP,A)
【文献】特開昭55-62331(JP,A)
【文献】特開2018-159592(JP,A)
【文献】特表平3-500940(JP,A)
【文献】米国特許第5526692(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のセンサチップを備え、
前記センサチップの内部に、
複数のダイアフラムと、
前記複数のダイアフラムの上面とそれぞれ接するように配置された複数の第1の圧力導入室と、
前記複数のダイアフラムの下面とそれぞれ接するように配置された複数の第2の圧力導入室と、
一端が前記センサチップの下面に開口し、他端が前記複数の第1の圧力導入
室のうち少なくとも1つと連通する第1の圧力導入路と、
一端が前記センサチップの下面または側面に開口し、他端が前記複数の第2の圧力導入
室のうち少なくとも1つと連通する第2の圧力導入路と、
前記複数のダイアフラムのそれぞれの縁部に1ダイアフラムあたり複数配置された歪みゲージとが形成され、
さらに、前記ダイアフラムの上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、前記ダイアフラムに設けられた複数の歪みゲージによって構成されるホイートストンブリッジ回路の出力電圧がゼロとなるように1ダイアフラムあたり少なくとも1つの空洞が前記複数のダイアフラムの周辺に形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
請求項1記載の圧力センサにおいて、
前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが2つずつ形成され、
前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、2つの前記第1の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が2つの前記第1の圧力導入室とそれぞれ連通し、
前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、他端が2つの前記第2の圧力導入
室の1つと連通することを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
請求項1記載の圧力センサにおいて、
前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが2つずつ形成され、
前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、2つの前記第1の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が2つの前記第1の圧力導入室とそれぞれ連通し、
前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、2つの前記第2の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が2つの前記第2の圧力導入室とそれぞれ連通することを特徴とする圧力センサ。
【請求項4】
請求項1記載の圧力センサにおいて、
前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが2つずつ形成され、
前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、他端が2つの前記第1の圧力導入室の1つと連通し、別の他端が2つの前記第2の圧力導入室の1つと連通し、
前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、他端が2つの前記第1の圧力導入室のうち前記第1の圧力導入路と連通していない方の1つと連通し、別の他端が2つの前記第2の圧力導入室のうち前記第1の圧力導入路と連通していない方の1つと連通することを特徴とする圧力センサ。
【請求項5】
請求項1記載の圧力センサにおいて、
前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが2つずつ形成され、
前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、2つの前記第1の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が2つの前記第1の圧力導入室とそれぞれ連通し、
前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの側面に開口し、他端が2つの前記第2の圧力導入室の1つと連通することを特徴とする圧力センサ。
【請求項6】
請求項1記載の圧力センサにおいて、
前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが4つずつ形成され、
前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、4つの前記第1の圧力導入室の間の位置から分岐した4つの他端が4つの前記第1の圧力導入室とそれぞれ連通し、
前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、4つの前記第2の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が4つの前記第2の圧力導入室のうち2つとそれぞれ連通し、
前記センサチップの内部に、一端が前記センサチップの側面に開口し、他端が4つの前記第2の圧力導入室のうち前記第2の圧力導入路と連通していない1つと連通する第3の圧力導入路がさらに形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項7】
請求項2または3のいずれか1項に記載の圧力センサにおいて、
前記センサチップは、
平板状の第1の部材と、
前記第1の部材と接合された平板状の第2の部材と、
前記第2の部材と接合された平板状の第3の部材とから構成され、
前記第1の圧力導入室は、前記第2の部材の上面に形成された前記ダイアフラムに覆いをする位置に、前記第3の部材の上面側が残るように下面側を除去して形成された第1の凹陥部として形成され、
前記第2の圧力導入室は、前記第2の部材の上面側の前記ダイアフラムが残るように下面側を除去して形成された第2の凹陥部として形成され、
前記第1の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第2の貫通孔と、両端が2つの前記第1の凹陥部とそれぞれ連通して中途部分が前記第2の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第1の溝とから構成され、
前記第2の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第3の貫通孔と、一端が2つの前記第2の凹陥部の1つと連通して他端が前記第3の貫通孔と連通するか、または両端が2つの前記第2の凹陥部と連通して中途部分が前記第3の貫通孔と連通するように前記第2の部材の下面に形成された第2の溝とから構成され、
前記空洞は、前記第1の部材の上面に形成された第3の溝によって形成されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項8】
請求項4記載の圧力センサにおいて、
前記センサチップは、
平板状の第1の部材と、
前記第1の部材と接合された平板状の第2の部材と、
前記第2の部材と接合された平板状の第3の部材とから構成され、
前記第1の圧力導入室は、前記第2の部材の上面に形成された前記ダイアフラムに覆いをする位置に、前記第3の部材の上面側が残るように下面側を除去して形成された第1の凹陥部として形成され、
前記第2の圧力導入室は、前記第2の部材の上面側の前記ダイアフラムが残るように下面側を除去して形成された第2の凹陥部として形成され、
前記第1の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第2の貫通孔と、一端が2つの前記第1の凹陥部の1つと連通し他端が前記第2の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第1の溝と、一端が2つの前記第2の凹陥部の1つと連通し他端が前記第2の貫通孔と連通するように前記第2の部材の下面に形成された第2の溝とから構成され、
前記第2の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第3の貫通孔と、前記第3の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第4の貫通孔と、一端が2つの前記第1の凹陥部のうち前記第1の圧力導入路と連通していない方の1つと連通し他端が前記第4の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第3の溝と、一端が2つの前記第2の凹陥部のうち前記第1の圧力導入路と連通していない方の1つと連通し他端が前記第4の貫通孔と連通するように前記第2の部材の下面に形成された第4の溝とから構成され、
前記空洞は、前記第1の部材の上面に形成された第5の溝によって形成されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項9】
請求項5記載の圧力センサにおいて、
前記センサチップは、
平板状の第1の部材と、
前記第1の部材と接合された平板状の第2の部材と、
前記第2の部材と接合された平板状の第3の部材とから構成され、
前記第1の圧力導入室は、前記第2の部材の上面に形成された前記ダイアフラムに覆いをする位置に、前記第3の部材の上面側が残るように下面側を除去して形成された第1の凹陥部として形成され、
前記第2の圧力導入室は、前記第2の部材の上面側の前記ダイアフラムが残るように下面側を除去して形成された第2の凹陥部として形成され、
前記第1の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第2の貫通孔と、両端が2つの前記第1の凹陥部とそれぞれ連通して中途部分が前記第2の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第1の溝とから構成され、
前記第2の圧力導入路は、一端が前記第2の部材の側面に開口し、他端が2つの前記第2の凹陥部の1つと連通するように前記第2の部材の下面に形成された第2の溝から構成され、
前記空洞は、前記第1の部材の上面に形成された第3の溝によって形成されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項10】
請求項6記載の圧力センサにおいて、
前記センサチップは、
平板状の第1の部材と、
前記第1の部材と接合された平板状の第2の部材と、
前記第2の部材と接合された平板状の第3の部材とから構成され、
前記第1の圧力導入室は、前記第2の部材の上面に形成された前記ダイアフラムに覆いをする位置に、前記第3の部材の上面側が残るように下面側を除去して形成された第1の凹陥部として形成され、
前記第2の圧力導入室は、前記第2の部材の上面側の前記ダイアフラムが残るように下面側を除去して形成された第2の凹陥部として形成され、
前記第1の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第2の貫通孔と、4つの前記第1の凹陥部の間の位置から分岐した4つの先端が4つの前記第1の凹陥部とそれぞれ連通し、分岐点の部分が前記第2の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第1の溝とから構成され、
前記第2の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第3の貫通孔と、両端が2つの前記第2の凹陥部とそれぞれ連通して中途部分が前記第3の貫通孔と連通するように前記第2の部材の下面に形成された第2の溝とから構成され、
前記第3の圧力導入路は、一端が前記第2の部材の側面に開口し、他端が4つの前記第2の凹陥部のうち前記第2の圧力導入路と連通していない1つと連通するように前記第2の部材の下面に形成された第3の溝から構成され、
前記空洞は、前記第1の部材の上面に形成された第4の溝によって形成されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項11】
請求項1~10記載の圧力センサにおいて、
1ダイアフラムあたり4つの前記歪みゲージが形成され、
前記ホイートストンブリッジ回路は、
4つの前記歪みゲージのうち第1、第2の歪みゲージを直列に接続した第1の直列回路と、
4つの前記歪みゲージのうち第3、第4の歪みゲージを直列に接続した第2の直列回路と、
前記第1の直列回路の両端および前記第2の直列回路の両端に駆動電圧を印加する電源とから構成され、
前記空洞は、前記ダイアフラムの上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、前記第1、第2の歪みゲージの接続点と前記第3、第4の歪みゲージの接続点との間から出力される前記出力電圧がゼロとなるように形成されることを特徴とする圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、差圧あるいは圧力を検出する圧力センサとして、感圧部である半導体ダイアフラムにピエゾ抵抗を形成した半導体ピエゾ抵抗式圧力センサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載の半導体圧力変換器(圧力センサに該当する。)は、1つのダイアフラムを有し、対象構造をとることによって、温度や静圧によるゼロシフトとゼロシフトのばらつきを最小にすることができる。
【0005】
一方、複数のダイアフラムを備える圧力センサ、すなわち、同種または異種の複数の圧力の検出を可能とする、複数の機能が集積化された圧力センサを想定した場合、当該圧力センサは対象構造をとることができない。そのため、複数のダイアフラムを備える圧力センサに、特許文献1に記載の技術を適用することはできない。よって、特許文献1に記載の技術を用いたとしても、複数の機能の集積化とセンサの精度の低下を抑えることとの両立を図ることは、困難である。
【0006】
本発明の目的とするところは、複数の機能の集積化とセンサの精度の低下を抑えることが可能な、新規かつ改良された圧力センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の圧力センサは、平板状のセンサチップを備え、前記センサチップの内部に、複数のダイアフラムと、前記複数のダイアフラムの上面とそれぞれ接するように配置された複数の第1の圧力導入室と、前記複数のダイアフラムの下面とそれぞれ接するように配置された複数の第2の圧力導入室と、一端が前記センサチップの下面に開口し、他端が前記複数の第1の圧力導入室のうち少なくとも1つと連通する第1の圧力導入路と、一端が前記センサチップの下面または側面に開口し、他端が前記複数の第2の圧力導入室のうち少なくとも1つと連通する第2の圧力導入路と、前記複数のダイアフラムのそれぞれの縁部に1ダイアフラムあたり複数配置された歪みゲージとが形成され、さらに、前記ダイアフラムの上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、前記ダイアフラムに設けられた複数の歪みゲージによって構成されるホイートストンブリッジ回路の出力電圧がゼロとなるように1ダイアフラムあたり少なくとも1つの空洞が前記複数のダイアフラムの周辺に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の圧力センサの1構成例(第1の実施例)は、前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが2つずつ形成され、前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、2つの前記第1の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が2つの前記第1の圧力導入室とそれぞれ連通し、前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、他端が2つの前記第2の圧力導入室の1つと連通することを特徴とするものである。
また、本発明の圧力センサの1構成例(第2の実施例)は、前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが2つずつ形成され、前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、2つの前記第1の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が2つの前記第1の圧力導入室とそれぞれ連通し、前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、2つの前記第2の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が2つの前記第2の圧力導入室とそれぞれ連通することを特徴とするものである。
また、本発明の圧力センサの1構成例(第3の実施例)は、前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが2つずつ形成され、前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、他端が2つの前記第1の圧力導入室の1つと連通し、別の他端が2つの前記第2の圧力導入室の1つと連通し、前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、他端が2つの前記第1の圧力導入室のうち前記第1の圧力導入路と連通していない方の1つと連通し、別の他端が2つの前記第2の圧力導入室のうち前記第1の圧力導入路と連通していない方の1つと連通することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の圧力センサの1構成例(第4の実施例)は、前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが2つずつ形成され、前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、2つの前記第1の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が2つの前記第1の圧力導入室とそれぞれ連通し、前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの側面に開口し、他端が2つの前記第2の圧力導入室の1つと連通することを特徴とするものである。
また、本発明の圧力センサの1構成例(第5の実施例)は、前記ダイアフラムと前記第1の圧力導入室と前記第2の圧力導入室とが4つずつ形成され、前記第1の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、4つの前記第1の圧力導入室の間の位置から分岐した4つの他端が4つの前記第1の圧力導入室とそれぞれ連通し、前記第2の圧力導入路は、一端が前記センサチップの下面に開口し、4つの前記第2の圧力導入室の間の位置から分岐した2つの他端が4つの前記第2の圧力導入室のうち2つとそれぞれ連通し、前記センサチップの内部に、一端が前記センサチップの側面に開口し、他端が4つの前記第2の圧力導入室のうち前記第2の圧力導入路と連通していない1つと連通する第3の圧力導入路がさらに形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の圧力センサの1構成例(第1、第2の実施例)において、前記センサチップは、平板状の第1の部材と、前記第1の部材と接合された平板状の第2の部材と、前記第2の部材と接合された平板状の第3の部材とから構成され、前記第1の圧力導入室は、前記第2の部材の上面に形成された前記ダイアフラムに覆いをする位置に、前記第3の部材の上面側が残るように下面側を除去して形成された第1の凹陥部として形成され、前記第2の圧力導入室は、前記第2の部材の上面側の前記ダイアフラムが残るように下面側を除去して形成された第2の凹陥部として形成され、前記第1の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第2の貫通孔と、両端が2つの前記第1の凹陥部とそれぞれ連通して中途部分が前記第2の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第1の溝とから構成され、前記第2の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第3の貫通孔と、一端が2つの前記第2の凹陥部の1つと連通して他端が前記第3の貫通孔と連通するか、または両端が2つの前記第2の凹陥部と連通して中途部分が前記第3の貫通孔と連通するように前記第2の部材の下面に形成された第2の溝とから構成され、前記空洞は、前記第1の部材の上面に形成された第3の溝によって形成されることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の圧力センサの1構成例(第3の実施例)において、前記センサチップは、平板状の第1の部材と、前記第1の部材と接合された平板状の第2の部材と、前記第2の部材と接合された平板状の第3の部材とから構成され、前記第1の圧力導入室は、前記第2の部材の上面に形成された前記ダイアフラムに覆いをする位置に、前記第3の部材の上面側が残るように下面側を除去して形成された第1の凹陥部として形成され、前記第2の圧力導入室は、前記第2の部材の上面側の前記ダイアフラムが残るように下面側を除去して形成された第2の凹陥部として形成され、前記第1の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第2の貫通孔と、一端が2つの前記第1の凹陥部の1つと連通し他端が前記第2の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第1の溝と、一端が2つの前記第2の凹陥部の1つと連通し他端が前記第2の貫通孔と連通するように前記第2の部材の下面に形成された第2の溝とから構成され、前記第2の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第3の貫通孔と、前記第3の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第4の貫通孔と、一端が2つの前記第1の凹陥部のうち前記第1の圧力導入路と連通していない方の1つと連通し他端が前記第4の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第3の溝と、一端が2つの前記第2の凹陥部のうち前記第1の圧力導入路と連通していない方の1つと連通し他端が前記第4の貫通孔と連通するように前記第2の部材の下面に形成された第4の溝とから構成され、前記空洞は、前記第1の部材の上面に形成された第5の溝によって形成されることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の圧力センサの1構成例(第4の実施例)において、前記センサチップは、平板状の第1の部材と、前記第1の部材と接合された平板状の第2の部材と、前記第2の部材と接合された平板状の第3の部材とから構成され、前記第1の圧力導入室は、前記第2の部材の上面に形成された前記ダイアフラムに覆いをする位置に、前記第3の部材の上面側が残るように下面側を除去して形成された第1の凹陥部として形成され、前記第2の圧力導入室は、前記第2の部材の上面側の前記ダイアフラムが残るように下面側を除去して形成された第2の凹陥部として形成され、前記第1の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第2の貫通孔と、両端が2つの前記第1の凹陥部とそれぞれ連通して中途部分が前記第2の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第1の溝とから構成され、前記第2の圧力導入路は、一端が前記第2の部材の側面に開口し、他端が2つの前記第2の凹陥部の1つと連通するように前記第2の部材の下面に形成された第2の溝から構成され、前記空洞は、前記第1の部材の上面に形成された第3の溝によって形成されることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の圧力センサの1構成例(第5の実施例)において、前記センサチップは、平板状の第1の部材と、前記第1の部材と接合された平板状の第2の部材と、前記第2の部材と接合された平板状の第3の部材とから構成され、前記第1の圧力導入室は、前記第2の部材の上面に形成された前記ダイアフラムに覆いをする位置に、前記第3の部材の上面側が残るように下面側を除去して形成された第1の凹陥部として形成され、前記第2の圧力導入室は、前記第2の部材の上面側の前記ダイアフラムが残るように下面側を除去して形成された第2の凹陥部として形成され、前記第1の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と連通するように下面から上面まで前記第2の部材を貫く第2の貫通孔と、4つの前記第1の凹陥部の間の位置から分岐した4つの先端が4つの前記第1の凹陥部とそれぞれ連通し、分岐点の部分が前記第2の貫通孔と連通するように前記第3の部材の下面に形成された第1の溝とから構成され、前記第2の圧力導入路は、下面から上面まで前記第1の部材を貫く第3の貫通孔と、両端が2つの前記第2の凹陥部とそれぞれ連通して中途部分が前記第3の貫通孔と連通するように前記第2の部材の下面に形成された第2の溝とから構成され、前記第3の圧力導入路は、一端が前記第2の部材の側面に開口し、他端が4つの前記第2の凹陥部のうち前記第2の圧力導入路と連通していない1つと連通するように前記第2の部材の下面に形成された第3の溝から構成され、前記空洞は、前記第1の部材の上面に形成された第4の溝によって形成されることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の圧力センサの1構成例(第1~第5の実施例)は、1ダイアフラムあたり4つの前記歪みゲージが形成され、前記ホイートストンブリッジ回路は、4つの前記歪みゲージのうち第1、第2の歪みゲージを直列に接続した第1の直列回路と、4つの前記歪みゲージのうち第3、第4の歪みゲージを直列に接続した第2の直列回路と、前記第1の直列回路の両端および前記第2の直列回路の両端に駆動電圧を印加する電源とから構成され、前記空洞は、前記ダイアフラムの上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、前記第1、第2の歪みゲージの接続点と前記第3、第4の歪みゲージの接続点との間から出力される前記出力電圧がゼロとなるように形成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の機能の集積化とセンサの精度の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施例に係る圧力センサの平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施例に係る圧力センサのホイートストンブリッジ回路の回路図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施例に係る圧力センサの平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3の実施例に係る圧力センサの平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4の実施例に係る圧力センサの平面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第4の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第4の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第5の実施例に係る圧力センサの平面図および断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第5の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の第5の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第5の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の第5の実施例に係る圧力センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係る圧力センサの平面図、
図2は
図1のA-A線断面図、
図3は
図1のB-B線断面図である。圧力センサ1は、平板状のセンサチップ10から構成される。センサチップ10は、パイレックスガラスからなる平板状の基台2(第1の部材)と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3(第2の部材)と、感圧部材3と接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4(第3の部材)とから構成される。
【0018】
基台2には、裏面(下面)から表面(上面)まで基台2を貫く圧力導入路となる2つの貫通孔20,21(第3、第1の貫通孔)が形成されている。さらに、基台2には、後述する空洞を設けるための溝22,23が形成されている。
【0019】
感圧部材3の基台2と向かい合う裏面には、感圧部材3の表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の2つの凹陥部30,31(第2の圧力導入室)が形成されている。感圧部材3の凹陥部30,31が形成された領域の表面側に残った部分が、ダイアフラム32,33となる。また、感圧部材3の裏面には、一端が凹陥部30と連通し、基台2と感圧部材3とが接合されたときに他端が貫通孔20と連通する圧力導入路となる溝36(第2の溝)が形成されている。
【0020】
また、感圧部材3の蓋部材4と向かい合う表面のうち、凹陥部30,31の領域の表面側に形成されたダイアフラム32,33の周縁部には、例えば不純物拡散またはイオン打ち込みの技術によりピエゾ抵抗素子として機能する歪みゲージ34-1~34-4,35-1~35-4が形成されている。歪みゲージ34-1~34-4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム32の4辺の中点付近に形成されている。同様に、歪みゲージ35-1~35-4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム33の4辺の中点付近に形成されている。また、感圧部材3は、結晶面方位が(100)面のp型単結晶シリコンからなる。各歪みゲージ34-1~34-4,35-1~35-4は、感圧部材3の結晶面方位(100)においてピエゾ抵抗係数が最大となる<110>の結晶軸方向と平行に形成されている。
【0021】
さらに、感圧部材3には、基台2と感圧部材3とが接合されたときに貫通孔21と連通する位置に、裏面から表面まで感圧部材3を貫く圧力導入路となる貫通孔37(第2の貫通孔)が形成されている。
【0022】
蓋部材4は、例えば結晶面方位が(100)面のp型単結晶シリコンからなる。蓋部材4の感圧部材3と向かい合う裏面には、感圧部材3と蓋部材4とが接合されたときにダイアフラム32,33に覆いをする位置に、蓋部材4の表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の2つの凹陥部40,41(第1の圧力導入室)が形成されている。また、蓋部材4の裏面には、一端が凹陥部40と連通し、他端が凹陥部41と連通し、感圧部材3と蓋部材4とが接合されたときに中途部分が貫通孔37と連通する圧力導入路となる溝42(第1の溝)が形成されている。
【0023】
貫通孔20,21,37と凹陥部30,31,40,41と溝22,23,36,42とは、エッチング技術によって容易に形成できることは言うまでもない。以降の実施例の貫通孔と凹陥部と溝についても同様にエッチング技術によって容易に形成することができる。
【0024】
基台2と感圧部材3とは、基台2の貫通孔20と感圧部材3の溝36とが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3と蓋部材4とは、蓋部材4の凹陥部40,41が感圧部材3のダイアフラム32,33を覆い、感圧部材3の貫通孔37と蓋部材4の溝42とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0025】
ダイアフラム32,33の上面には、貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41を介して第1のオイルが到達可能となっている。第1のオイルは、印加された第1の圧力をダイアフラム32,33の上面に伝達する。また、ダイアフラム32の下面には、貫通孔20、溝36および凹陥部30を介して第2のオイルが到達可能となっている。第2のオイルは、印加された第2の圧力をダイアフラム32の下面に伝達する。また、ダイアフラム33の下面の凹陥部31は、真空状態で密封されている。
【0026】
蓋部材4の平面形状は感圧部材3の平面形状よりも小さくなっており、感圧部材3の表面が露出するようになっている。
図1では図示していないが、感圧部材3の露出した表面に、各歪みゲージ34-1~34-4,35-1~35-4とそれぞれ電気的に接続された8つの電極パッドを形成することで、歪みゲージ34-1~34-4,35-1~35-4を外部の回路と結線できるようになっている。歪みゲージと外部の回路との結線方法は、以降の実施例についても同様である。
【0027】
歪みゲージ34-1~34-4は、外部の回路と共に、
図4のような差圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成している。
図4のホイートストンブリッジ回路は、第1の歪みゲージ34-1と、第1の歪みゲージ34-1の隣の位置にある第2の歪みゲージ34-2とを直列に接続して第1の直列回路340を構成すると共に、第1の歪みゲージ34-1の隣の位置にある第3の歪みゲージ34-3と、第1の歪みゲージ34-1と向かい合う位置にある第4の歪みゲージ34-4とを直列に接続して第2の直列回路341を構成し、第1の直列回路340の両端および第2の直列回路341の両端に電源342によってホイートストンブリッジ駆動電圧Eを印加するようにしたものである。第1の圧力と第2の圧力の差圧に対応する出力電圧Voutは、歪みゲージ34-1,34-2の接続点と歪みゲージ34-3,34-42の接続点との間から出力される。
【0028】
Rは歪みゲージ34-1~34-4の抵抗値である。また、ΔR1,ΔR2,ΔR3,ΔR4は、差圧に応じてダイアフラム32に応力が生じたときの歪みゲージ34-1~34-4の抵抗変化である。
図4のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム32の上面に印加される第1の圧力とダイアフラム32の下面に印加される第2の圧力との差圧を計測することができる。
【0029】
歪みゲージ35-1~35-4は、外部の回路と共に絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成する。絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム33の上面に印加される第1の圧力の絶対圧を計測することができる。絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路は、
図4における歪みゲージ34-1~34-4を歪みゲージ35-1~35-4に置き換えたものに相当する。
【0030】
本実施例では、差圧計測用のダイアフラム32と絶対圧計測用のダイアフラム33の2つを設けており、ダイアフラム32と33の間に圧力導入路を形成する必要があるため、ダイアフラム32について対称構造を採用することは困難であり、同様にダイアフラム33についても対称構造を採用することは困難である。
【0031】
このようにダイアフラム32について対称構造を採用することが難しいため、歪みゲージ34-1~34-4で発生する抵抗値シフトΔR1,ΔR2,ΔR3,ΔR4が異なる値となるため、差圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutは次式のようになる。
Vout={(1+ΔR4/R)(2+ΔR1/R-ΔR2/R)
-(1-ΔR2/R)(2+ΔR4/R-ΔR3/R)}E
/{(2+ΔR4/R-ΔR3/R)(2+ΔR1/R-ΔR2/R)}
={(1+σ4)(2+σ1-σ2)-(1-σ2)(2+σ4-σ3)}E
/{(2+σ4-σ3)(2+σ1-σ2)} ・・・(1)
【0032】
式(1)では、歪みゲージ34-1~34-4にかかる、ダイアフラム32の径方向の応力をそれぞれσr1,σr2,σr3,σr4としている。また、歪みゲージ34-1~34-4にかかる、ダイアフラム32の接線方向の応力をそれぞれσθ1,σθ2,σθ3,σθ4としている。式(1)のσ1,σ2,σ3,σ4は以下のようになる。
σ1=ΔR1/R=π×(σr1-σθ1)/2 ・・・(2)
σ2=ΔR2/R=π×(σr2-σθ2)/2 ・・・(3)
σ3=ΔR3/R=π×(σr3-σθ3)/2 ・・・(4)
σ4=ΔR4/R=π×(σr4-σθ4)/2 ・・・(5)
【0033】
絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路についても、歪みゲージ35-1~35-4で発生する抵抗値シフトをΔR1,ΔR2,ΔR3,ΔR4とすれば、絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutは式(1)のようになる。
【0034】
本実施例では、ダイアフラム32について対称構造を採用することは困難であるが、基台2に溝22を形成して基台2と感圧部材3とが接合していない空洞220(非接合部)を設けることにより、歪みゲージ34-1~34-4にかかる応力を調整することが可能である。具体的には、ダイアフラム32の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、差圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞220を設けるようにすればよい。
【0035】
同様に、基台2に溝23を形成して基台2と感圧部材3とが接合していない空洞230を設けることにより、歪みゲージ35-1~35-4にかかる応力を調整することが可能である。具体的には、ダイアフラム33の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞230を設けるようにすればよい。
【0036】
こうして、本実施例では、2つのダイアフラム32,33を設けることにより、差圧と絶対圧とを同時に高感度に計測することができ、かつ空洞220,230を設けることにより、差圧と絶対圧のそれぞれについて温度や静圧による出力電圧Voutのゼロシフトを抑えることができる。
【0037】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図5は本発明の第2の実施例に係る圧力センサの平面図、
図6は
図5のA-A線断面図、
図7は
図5のB-B線断面図である。本実施例は、2つの差圧を同時に計測するものである。
【0038】
本実施例の圧力センサ1aは、平板状のセンサチップ10aから構成される。センサチップ10aは、パイレックスガラスからなる平板状の基台2(第1の部材)と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3a(第2の部材)と、感圧部材3aと接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4(第3の部材)とから構成される。基台2と蓋部材4については第1の実施例で説明したとおりである。
【0039】
感圧部材3aには、第1の実施例と同様に、2つの凹陥部30,31と2つのダイアフラム32,33と8つの歪みゲージ34-1~34-4,35-1~35-4と貫通孔37とが形成されている。
さらに、感圧部材3aの裏面には、一端が凹陥部30と連通し、他端が凹陥部31と連通し、基台2と感圧部材3aとが接合されたときに中途部分が貫通孔20と連通する圧力導入路となる溝36a(第2の溝)が形成されている。
【0040】
基台2と感圧部材3aとは、基台2の貫通孔20と感圧部材3aの溝36aとが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3aと蓋部材4とは、蓋部材4の凹陥部40,41が感圧部材3aのダイアフラム32,33を覆い、感圧部材3aの貫通孔37と蓋部材4の溝42とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0041】
第1の実施例と同様に、ダイアフラム32,33の上面には、貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41を介して第1のオイルが到達可能となっている。第1のオイルは、印加された第1の圧力をダイアフラム32,33の上面に伝達する。また、ダイアフラム32,33の下面には、貫通孔20、溝36aおよび凹陥部30,31を介して第2のオイルが到達可能となっている。第2のオイルは、印加された第2の圧力をダイアフラム32,33の下面に伝達する。
【0042】
歪みゲージ34-1~34-4は、外部の回路と共に、
図4のような差圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成している。歪みゲージ35-1~35-4は、外部の回路と共に、差圧計測用の別のホイートストンブリッジ回路を構成している。歪みゲージ35-1~35-4によって構成されるホイートストンブリッジ回路は、
図4における歪みゲージ34-1~34-4を歪みゲージ35-1~35-4に置き換えたものに相当する。
【0043】
本実施例では、第1の実施例と同様に、ダイアフラム32の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、歪みゲージ34-1~34-4によって構成される差圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞220が設けられている。また、ダイアフラム33の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、歪みゲージ35-1~35-4によって構成される差圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞230が設けられている。
【0044】
こうして、本実施例では、同一の差圧を2つのダイアフラム32,33によって別々に計測することができ、かつ空洞220,230を設けることにより、温度や静圧による出力電圧Voutのゼロシフトを抑えることができる。
【0045】
なお、第1の実施例および本実施例では、ダイアフラム32,33のサイズを同一としているが、本実施例では、2つのダイアフラム32,33で同一の差圧を計測するので、ダイアフラム32,33のサイズを変えて、ダイアフラム32,33による差圧の計測の感度を変えるようにしてもよい。
【0046】
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
図8は本発明の第3の実施例に係る圧力センサの平面図、
図9は
図8のA-A線断面図、
図9は
図8のB-B線断面図である。本実施例は、2つの差圧を同時に計測する別の例である。
【0047】
本実施例の圧力センサ1bは、平板状のセンサチップ10bから構成される。センサチップ10bは、パイレックスガラスからなる平板状の基台2(第1の部材)と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3b(第2の部材)と、感圧部材3bと接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4b(第3の部材)とから構成される。基台2については第1の実施例で説明したとおりである。
【0048】
感圧部材3bには、第1の実施例と同様に、2つの凹陥部30,31と2つのダイアフラム32,33と8つの歪みゲージ34-1~34-4,35-1~35-4と貫通孔37とが形成されている。
また、感圧部材3bには、基台2と感圧部材3bとが接合されたときに貫通孔20と連通する位置に、裏面から表面まで感圧部材3bを貫く圧力導入路となる貫通孔38(第4の貫通孔)が形成されている。
【0049】
さらに、感圧部材3bの裏面には、一端が凹陥部30と連通し、他端が貫通孔37と連通する圧力導入路となる溝50(第2の溝)と、一端が凹陥部31と連通し、他端が貫通孔38と連通する圧力導入路となる溝51(第4の溝)とが形成されている。このように、2つの溝50,51は、一端が異なる凹陥部30,31とそれぞれ連通して、他端が異なる貫通孔37,38とそれぞれ連通する。
【0050】
蓋部材4bには、第1の実施例と同様に、2つの凹陥部40,41が形成されている。また、蓋部材4bの裏面には、一端が凹陥部40と連通し、感圧部材3bと蓋部材4bとが接合されたときに他端が貫通孔38と連通する圧力導入路となる溝43(第3の溝)と、一端が凹陥部41と連通し、感圧部材3bと蓋部材4bとが接合されたときに他端が貫通孔37と連通する圧力導入路となる溝44(第1の溝)とが形成されている。このように、2つの溝43,44は、一端が異なる凹陥部40,41とそれぞれ連通して、他端が異なる貫通孔37,38とそれぞれ連通する。
【0051】
基台2と感圧部材3bとは、基台2の貫通孔20,21と感圧部材3bの貫通孔38,37とが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3bと蓋部材4bとは、蓋部材4bの凹陥部40,41が感圧部材3bのダイアフラム32,33を覆い、感圧部材3bの貫通孔37と蓋部材4bの溝44とが連通し、感圧部材3bの貫通孔38と蓋部材4bの溝43とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0052】
ダイアフラム32の上面には、貫通孔20,38、溝43および凹陥部40を介して第1のオイルが到達する。ダイアフラム33の下面には、貫通孔20、溝51および凹陥部31を介して第1のオイルが到達する。第1のオイルは、印加された第1の圧力をダイアフラム32の上面およびダイアフラム33の下面に伝達する。
【0053】
また、ダイアフラム32の下面には、貫通孔21、溝50および凹陥部30を介して第2のオイルが到達する。ダイアフラム33の上面には、貫通孔21,37、溝44および凹陥部41を介して第2のオイルが到達する。第2のオイルは、印加された第2の圧力をダイアフラム32の下面およびダイアフラム33の上面に伝達する。
【0054】
歪みゲージ34-1~34-4は、外部の回路と共に、
図4のような差圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成している。歪みゲージ35-1~35-4は、外部の回路と共に、差圧計測用の別のホイートストンブリッジ回路を構成している。歪みゲージ35-1~35-4によって構成されるホイートストンブリッジ回路は、
図4における歪みゲージ34-1~34-4を歪みゲージ35-1~35-4に置き換えたものに相当する。
【0055】
本実施例では、第1の実施例と同様に、ダイアフラム32の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、歪みゲージ34-1~34-4によって構成される差圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞220が設けられている。また、ダイアフラム33の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、歪みゲージ35-1~35-4によって構成される差圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞230が設けられている。
【0056】
こうして、本実施例では、同一の差圧を2つのダイアフラム32,33によって別々に計測することができ、かつ空洞220,230を設けることにより、温度や静圧による出力電圧Voutのゼロシフトを抑えることができる。
【0057】
本実施例では、ダイアフラム32,33のサイズを同一としているが、第2の実施例と同様に、ダイアフラム32,33のサイズを変えて、ダイアフラム32,33による差圧の計測の感度を変えるようにしてもよい。
【0058】
[第4の実施例]
次に、本発明の第4の実施例について説明する。
図11は本発明の第4の実施例に係る圧力センサの平面図、
図12は
図11のA-A線断面図、
図13は
図11のB-B線断面図である。本実施例は、絶対圧とゲージ圧を同時に計測するものである。
【0059】
本実施例の圧力センサ1cは、平板状のセンサチップ10cから構成される。センサチップ10cは、パイレックスガラスからなる平板状の基台2c(第1の部材)と、基台2cと接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3c(第2の部材)と、感圧部材3cと接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4(第3の部材)とから構成される。蓋部材4については第1の実施例で説明したとおりである。
【0060】
基台2cには、第1の実施例と同様に溝22,23が形成されている。さらに、基台2cには、裏面から表面まで基台2cを貫く圧力導入路となる貫通孔21(第1の貫通孔)が形成されている。
【0061】
感圧部材3cには、第1の実施例と同様に、2つの凹陥部30,31と2つのダイアフラム32,33と8つの歪みゲージ34-1~34-4,35-1~35-4と貫通孔37とが形成されている。
また、感圧部材3cの裏面には、一端が凹陥部31と連通し、他端が感圧部材3cの側面に開口する圧力導入路となる溝52(第2の溝)が形成されている。
【0062】
基台2cと感圧部材3cとは、基台2cの貫通孔21と感圧部材3cの貫通孔37とが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3cと蓋部材4とは、蓋部材4の凹陥部40,41が感圧部材3cのダイアフラム32,33を覆い、感圧部材3cの貫通孔37と蓋部材4の溝42とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0063】
ダイアフラム32,33の上面には、貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41を介して第1のオイルが到達可能となっている。ダイアフラム32の下面の凹陥部30は、真空状態で密封されている。ダイアフラム33の下面には、溝52および凹陥部31を介して大気圧が伝達される。
【0064】
歪みゲージ34-1~34-4は、外部の回路と共に、
図4のような絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成している。絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム32の上面に印加される第1の圧力の絶対圧を計測することができる。
【0065】
歪みゲージ35-1~35-4は、外部の回路と共にゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成している。ゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路は、
図4における歪みゲージ34-1~34-4を歪みゲージ35-1~35-4に置き換えたものに相当する。ゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム33の上面に印加される第1の圧力のゲージ圧を計測することができる。
【0066】
本実施例では、第1の実施例と同様に、ダイアフラム32の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞220が設けられている。また、ダイアフラム33の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、ゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞230が設けられている。
【0067】
こうして、本実施例では、2つのダイアフラム32,33を設けることにより、絶対圧とゲージ圧を同時に高精度に計測することができ、かつ空洞220,230を設けることにより、絶対圧とゲージ圧のそれぞれについて温度や静圧による出力電圧Voutのゼロシフトを抑えることができる。
【0068】
[第5の実施例]
次に、本発明の第5の実施例について説明する。
図14は本発明の第5の実施例に係る圧力センサの平面図、
図15は
図14のA-A線断面図、
図16は
図14のB-B線断面図、
図17は
図14のC-C線断面図、
図18は
図14のD-D線断面図である。本実施例は、4つのダイアフラムを有するものである。
【0069】
本実施例の圧力センサ1dは、平板状のセンサチップ10dから構成される。センサチップ10dは、パイレックスガラスからなる平板状の基台2d(第1の部材)と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3d(第2の部材)と、感圧部材3と接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4d(第3の部材)とから構成される。
【0070】
基台2dには、裏面から表面まで基台2を貫く圧力導入路となる2つの貫通孔20d,21d(第1の貫通孔)が形成されている。さらに、基台2には、後述する空洞を設けるための溝22~25が形成されている。
【0071】
感圧部材3dの基台2dと向かい合う裏面には、感圧部材3dの表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の4つの凹陥部30,31,60,61(第2の圧力導入室)が形成されている。感圧部材3dの凹陥部30,31,60,61が形成された領域の表面側に残った部分が、ダイアフラム32,33,62,63となる。
【0072】
また、感圧部材3dの裏面には、一端が凹陥部30と連通し、他端が凹陥部31と連通し、基台2dと感圧部材3dとが接合されたときに中途部分が貫通孔20dと連通する圧力導入路となる溝36d(第2の溝)が形成されている。
また、感圧部材3dには、基台2dと感圧部材3dとが接合されたときに貫通孔21dと連通する位置に、裏面から表面まで感圧部材3dを貫く圧力導入路となる貫通孔37d(第2の貫通孔)が形成されている。
【0073】
さらに、感圧部材3dの蓋部材4dと向かい合う表面のうち、凹陥部30,31,60,61の領域の表面側に形成されたダイアフラム32,33,62,63の周縁部には、例えば不純物拡散またはイオン打ち込みの技術によりピエゾ抵抗素子として機能する歪みゲージ34-1~34-4,35-1~35-4,64-1~64-4,65-1~65-4が形成されている。
【0074】
歪みゲージ34-1~34-4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム32の4辺の中点付近に形成されている。歪みゲージ35-1~35-4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム33の4辺の中点付近に形成されている。歪みゲージ64-1~64-4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム62の4辺の中点付近に形成されている。歪みゲージ65-1~65-4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム63の4辺の中点付近に形成されている。
【0075】
感圧部材3dは、結晶面方位が(100)面のp型単結晶シリコンからなる。各歪みゲージ34-1~34-4,35-1~35-4,64-1~64-4,65-1~65-4は、感圧部材3dの結晶面方位(100)においてピエゾ抵抗係数が最大となる<110>の結晶軸方向と平行に形成されている。
また、感圧部材3dの裏面には、一端が凹陥部61と連通し、他端が感圧部材3dの側面に開口する圧力導入路となる溝52d(第3の溝)が形成されている。
【0076】
蓋部材4dは、例えば結晶面方位が(100)面のp型単結晶シリコンからなる。蓋部材4dの感圧部材3dと向かい合う裏面には、感圧部材3dと蓋部材4dとが接合されたときにダイアフラム32,33,62,63に覆いをする位置に、蓋部材4dの表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の4つの凹陥部40,41,70,71(第1の圧力導入室)が形成されている。
【0077】
また、蓋部材4dの裏面には、中央の分岐点から4つに分岐した形状で、4つの先端がそれぞれ凹陥部40,41,70,71と連通し、感圧部材3dと蓋部材4dとが接合されたときに中央の分岐点の部分が貫通孔37dと連通する圧力導入路となる溝42d(第1の溝)が形成されている。
【0078】
基台2dと感圧部材3dとは、基台2dの貫通孔20dと感圧部材3dの溝36dとが連通し、基台2dの貫通孔21dと感圧部材3dの貫通孔37dとが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3dと蓋部材4dとは、蓋部材4dの凹陥部40,41,70,71が感圧部材3dのダイアフラム32,33,62,63を覆い、感圧部材3dの貫通孔37dと蓋部材4dの溝42dとが連通するように、直接接合によって接合される。
【0079】
ダイアフラム32,33,62,63の上面には、貫通孔21d,37d、溝42dおよび凹陥部40,41,70,71を介して第1のオイルが到達可能となっている。第1のオイルは、印加された第1の圧力をダイアフラム32,33,62,63の上面に伝達する。また、ダイアフラム32,33の下面には、貫通孔20d、溝36dおよび凹陥部30,31を介して第2のオイルが到達可能となっている。第2のオイルは、印加された第2の圧力をダイアフラム32,33の下面に伝達する。ダイアフラム62の下面の凹陥部60は、真空状態で密封されている。ダイアフラム63の下面には、溝52dおよび凹陥部61を介して大気圧が伝達される。
【0080】
歪みゲージ34-1~34-4は、外部の回路と共に、
図4のような差圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成している。歪みゲージ35-1~35-4は、外部の回路と共に、差圧計測用の別のホイートストンブリッジ回路を構成している。歪みゲージ35-1~35-4によって構成されるホイートストンブリッジ回路は、
図4における歪みゲージ34-1~34-4を歪みゲージ35-1~35-4に置き換えたものに相当する。
【0081】
歪みゲージ64-1~64-4は、外部の回路と共に絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成している。絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路は、
図4における歪みゲージ34-1~34-4を歪みゲージ64-1~64-4に置き換えたものに相当する。歪みゲージ65-1~65-4は、外部の回路と共にゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成している。ゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路は、
図4における歪みゲージ34-1~34-4を歪みゲージ65-1~65-4に置き換えたものに相当する。
【0082】
本実施例では、第1の実施例と同様に、ダイアフラム32の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、歪みゲージ34-1~34-4によって構成される差圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞220(溝22)が設けられている。また、ダイアフラム33の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、歪みゲージ35-1~35-4によって構成される差圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞230(溝23)が設けられている。
【0083】
さらに、ダイアフラム62の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、歪みゲージ64-1~64-4によって構成される絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞240(溝24)が設けられている。また、ダイアフラム63の上面と下面とにかかる圧力の差がゼロのときに、歪みゲージ65-1~65-4によって構成されるゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路の出力電圧Voutがゼロとなるように空洞250(溝25)が設けられている。
【0084】
こうして、本実施例では、4つのダイアフラム32,33,62,63を設けることにより、第1の圧力と第2の圧力の差圧と、第1の圧力の絶対圧と、第1の圧力のゲージ圧とを同時に高精度に計測することができ、かつ空洞220,230,240,250を設けることにより、差圧と絶対圧とゲージ圧のそれぞれについて温度や静圧による出力電圧Voutのゼロシフトを抑えることができる。
【0085】
なお、本実施例では、2つのダイアフラム32,33で同一の差圧を計測するので、どちらか一方のダイアフラムのみを使用してもよいし、ダイアフラム32,33のサイズを変えて、ダイアフラム32,33による差圧の計測の感度を変えるようにしてもよい。
【0086】
また、第1~第5の実施例では、1ダイアフラムあたり空洞を1つ設けるようにしているが、1ダイアフラムあたり少なくとも1つの空洞を設けるようにすればよく、1ダイアフラムあたり複数個の空洞を設けるようにしてよい。また、第1~第5の実施例では、空洞の形状を長方形としているが、長方形以外の形状としてもよい。
【0087】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、様々な変形例に想到しうることは明らかであり、これらの変形例についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0088】
1,1a~1d…圧力センサ、2,2c,2d…基台、3,3a~3d…感圧部材、4,4b,4d…蓋部材、10,10a~10d…センサチップ、20,20d,21,21d,37,37d,38…貫通孔、22~25,36,36a,36d,42,42d,43,44,50~52,52d…溝、30,31,40,41,60,61,70,71…凹陥部、32,33,62,63…ダイアフラム、34-1~34-4,35-1~35-4,64-1~64-4,65-1~65-4…歪みゲージ、220,230,240,250…空洞、340,341…直列回路、342…電源。