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特許7401268現像剤収容容器、現像装置、カートリッジ及び画像形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】現像剤収容容器、現像装置、カートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G03G15/08 360
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019207250
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021081516
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢田 剛之
(72)【発明者】
【氏名】小熊 徹
(72)【発明者】
【氏名】平山 明延
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-107908(JP,A)
【文献】特開2017-151420(JP,A)
【文献】特開2008-129210(JP,A)
【文献】特開2017-072735(JP,A)
【文献】特開2010-054789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/00
21/04
21/10-21/12
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に連通する開口と、現像剤を収容する収容室とを備える枠体と、
前記収容室に配置されると共に、回転可能な軸部と、前記軸部の外周面から前記軸部の径方向の外側へ突出する突出部と、を備える回転部材と、
を有し、現像剤を収容する現像剤収容容器であって、
前記枠体は、
使用時の姿勢において、前記開口に近づくに従って下る傾斜面と、
前記傾斜面上に配置されると共に、前記開口から遠い側の一端が前記傾斜面に固定され前記開口に近い側の一端が自由端となり、且つ、前記回転部材が回転する際に前記自由端が前記突出部と接触し該突出部によって加振される、加振シートと、
を有し、
前記加振シートの自由端には、前記回転部材が回転する際に前記突出部が通過可能なスリットが前記軸部の軸方向において複数に設けられており、
前記突出部は、前記軸部の軸方向における幅は、隣接する二つの前記スリットの間の距離より小さい、ことを特徴とする現像剤収容容器。
【請求項2】
前記軸部の軸方向において、前記突出部の幅は、前記スリットの幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の現像剤収容容器。
【請求項3】
外部に連通する開口と、現像剤を収容する収容室とを備える枠体と、
前記収容室に配置されると共に、回転可能な軸部と、前記軸部の外周面から前記軸部の径方向の外側へ突出する突出部と、一端が前記軸部に固定され、他端が自由端となり前記径方向の外側へ延びるシート状の搬送部と、を備える回転部材と、
を有し、現像剤を収容する現像剤収容容器であって、
前記枠体は、
使用時の姿勢において、前記開口に近づくに従って下る傾斜面と、
前記傾斜面上に配置されると共に、前記開口から遠い側の一端が前記傾斜面に固定され前記開口に近い側の一端が自由端となり、且つ、前記回転部材が回転する際に前記自由端が前記搬送部と接触し該搬送部によって加振される、加振シートと、
を有し、
前記加振シートの自由端には、前記回転部材が回転する際に前記突出部が通過可能なスリットが設けられている、ことを特徴とする現像剤収容容器。
【請求項4】
前記軸部の軸方向において、前記スリットの幅は、前記突出部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の現像剤収容容器。
【請求項5】
前記軸部の軸芯から、前記突出部の先端までの距離は、前記軸芯から前記スリットの開口側とは逆側である奥側の端部までの距離より小さいことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の現像剤収容容器。
【請求項6】
前記軸部の軸方向において、前記突出部と前記スリットは重なる位置に配置されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の現像剤収容容器。
【請求項7】
前記傾斜面には、前記加振シートの前記自由端を前記傾斜面から浮かばせるための突起を備え、
前記突起は、前記スリットの前記奥側の端部よりも、前記加振シートの自由端側に位置することを特徴とする請求項に記載の現像剤収容容器。
【請求項8】
前記加振シートは、前記突出部が前記スリットを通過する際に、前記スリットの形状が変形可能なように構成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の現像剤収容容器。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器に収容された現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の層を規制するための規制部材と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
画像形成装置の装置本体に着脱可能なカートリッジであって、
請求項に記載の現像装置と、
静電潜像が形成される像担持体と、
を備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項11】
請求項に記載の現像装置、または請求項1に記載のカートリッジの、いずれか1つと、
前記現像装置、または前記カートリッジのいずれか1つを着脱可能な装置本体と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤収容容器、現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」ともいう。)とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。例として、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザビームプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。これらのいわゆる画像形成装置では、像担持体としての一般にドラム型とされる電子写真感光体、即ち、感光ドラムを一様に帯電させる。次いで、帯電した感光ドラムを選択的に露光することによって、感光ドラム上に静電潜像(静電像)を形成する。さらに、感光ドラム上に形成された静電潜像を、現像剤としてのトナーでトナー像として現像する。そして、感光ドラム上に形成されたトナー像を、記録用紙、プラスチックシートなどの記録材に転写し、更に記録材上に転写されたトナー像に熱や圧力を加えることでトナー像を記録材に定着させることで画像記録を行う。
【0003】
このような画像形成装置は、一般に、トナー補給や各種のプロセス手段のメンテナンスを必要とする。このトナー補給やメンテナンスを容易にするために、感光ドラム、帯電手段、現像手段、クリーニング手段など各種のプロセス手段を枠体内にまとめてカートリッジ化し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとしたものが実用化されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができ、ユーザビリティーに優れた画像形成装置を提供することができる。そのため、このプロセスカートリッジ方式は画像形成装置において広く用いられている。
【0004】
このようなプロセスカートリッジにおいて、現像剤容器の底面角度を安息角以下としながらも、トルク増大や騒音発生という問題を招くことなく、良好なトナー搬送性を達成する技術として特許文献1が提案されている。特許文献1では、現像剤容器内の現像剤搬送部材は、回転軸方向及び周方向に複数の接触面を有し、現像剤容器内の斜面上に振動可能に設けられる振動部材は、現像剤搬送部材との接触により振動する突出部に複数の切欠部を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-107908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、物流など輸送時に振動が加わってからしばらく放置した後に、トナーが、現像剤容器内の特定の場所で密になり、塊に近い状態、すなわち、ブロッキング状態になることがある。トナーがブロッキング状態になった場合、回転軸を回転させると、現像剤搬送部材の接触面と振動部材の突出部との接触により現像剤搬送部材の回転駆動負荷が増大する可能性があった。さらには、現像剤搬送部材の破損、もしくは、攪拌効率の低下を招く可能性もある。
【0007】
本出願に係る発明は前記課題を解決するものである。その目的は、トナーがブロッキングした状態でも、現像剤搬送部材(回転部材)の回転によってトナーをほぐし、かつ現像
剤搬送部材(回転部材)の回転駆動負荷の増大を抑制することができる現像剤収容容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明における現像剤収容容器は、
外部に連通する開口と、現像剤を収容する収容室とを備える枠体と、
前記収容室に配置されると共に、回転可能な軸部と、前記軸部の外周面から前記軸部の径方向の外側へ突出する突出部と、を備える回転部材と、
を有し、現像剤を収容する現像剤収容容器であって、
前記枠体は、
使用時の姿勢において、前記開口に近づくに従って下る傾斜面と、
前記傾斜面上に配置されると共に、前記開口から遠い側の一端が前記傾斜面に固定され前記開口に近い側の一端が自由端となり、且つ、前記回転部材が回転する際に前記自由端が前記突出部と接触し該突出部によって加振される、加振シートと、
を有し、
前記加振シートの自由端には、前記回転部材が回転する際に前記突出部が通過可能なスリットが前記軸部の軸方向において複数に設けられており、
前記突出部は、前記軸部の軸方向における幅は、隣接する二つの前記スリットの間の距離より小さい、ことを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明における現像剤収容容器は、
外部に連通する開口と、現像剤を収容する収容室とを備える枠体と、
前記収容室に配置されると共に、回転可能な軸部と、前記軸部の外周面から前記軸部の径方向の外側へ突出する突出部と、一端が前記軸部に固定され、他端が自由端となり前記径方向の外側へ延びるシート状の搬送部材と、を備える回転部材と、
を有し、現像剤を収容する現像剤収容容器であって、
前記枠体は、
使用時の姿勢において、前記開口に近づくに従って下る傾斜面と、
前記傾斜面上に配置されると共に、前記開口から遠い側の一端が前記傾斜面に固定され前記開口に近い側の一端が自由端となり、且つ、前記回転部材が回転する際に前記自由端が前記搬送部材と接触し該搬送部材によって加振される、加振シートと、
を有し、
前記加振シートの自由端には、前記回転部材が回転する際に前記突出部が通過可能なスリットが設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
さらに、上記目的を達成するため、本発明における現像装置は、
上記の現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器に収容された現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の層を規制するための規制部材と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明におけるカートリッジは、
上記の現像装置と、
静電潜像が形成される像担持体と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明における画像形成装置は、
上記の現像装置、または上記のカートリッジの、いずれか1つと、
前記現像装置、または前記カートリッジのいずれか1つを着脱可能な装置本体と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本出願に係る発明によればトナーがブロッキングした時に、トナーをほぐしつつ、回転部材の回転負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1に係る画像形成装置の構成を示す断面図
図2】実施例1に係るプロセスカートリッジの構成を示す断面図
図3】実施例1に係る画像形成装置の開閉扉を開いた状態を示す斜視図
図4】実施例1に係る画像形成装置の、トレイを引き出した状態を示す斜視図
図5】画像形成装置にプロセスカートリッジを着脱する様子を示す斜視図
図6】実施例1に係るプロセスカートリッジの駆動部の構成を示す斜視図
図7】実施例1に係るプロセスカートリッジの分解斜視図
図8】実施例1に係る現像剤容器内の現像剤の挙動を示す斜視説明図
図9】実施例1に係る現像剤容器内の現像剤の挙動を示す断面説明図と部分拡大図
図10】実施例1に係るプロセスカートリッジの搬送部材及び振動部材の斜視図
図11】羽根部及びスリットの部分拡大図
図12】実施例1の羽根部及びスリットの軸方向での中心位置を示した部分拡大図
図13】振動部材が突出部と非接触時における羽根部とスリットの位置関係の図
図14】振動部材が突出部と接触時の状態を示した断面図
図15】実施例1の羽根部がスリットを通過可能となる状態を示した部分拡大図
図16】実施例2の羽根部及びスリットの軸方向での中心位置を示した部分拡大図
図17】実施例2に係る羽根部及びスリットを拡大した斜視図
図18】実施例3に係る羽根部及びスリットの軸方向の幅を示した部分拡大図
図19】スリットが無い場合の羽根部と振動部材との接触時に変形する部分の面積
図20】実施例3の羽根部と振動部材との接触時に変形する振動部材の面積の図
図21】実施例1の搬送部材と振動部材の接触面積を示す部分拡大図
図22】比較例に係る搬送部材と振動部材の接触面積を示す部分拡大図
図23】比較例に係る羽根部とスリットの位置関係を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての機能、材質、形状などは、特に改めて記載しない限りは初めの説明と同様のものである。
【0016】
(実施例1)
図により本発明に係る現像剤収容容器、現像装置、プロセスカートリッジを着脱可能に備えた画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。尚、以下の実施形態では、現像剤収容容器12を備えた現像装置20を有するプロセスカートリッジBの一例について説明する。しかし、これに限定されず、現像装置20であれば、現像剤担持体となる現像ローラ32と、現像剤を収容する枠体を備えた構成でも良い。また、プロセスカートリッジBでは、像担持体となる感光ドラム62を少なくとも備えていれば良い。
また、像担持体となる感光ドラムの回転軸線方向を長手方向とする。長手方向において、画像形成装置本体から感光ドラムが駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。
【0017】
<画像形成装置>
まず、図1及び図2を用いて本実施例における現像剤収容容器、現像装置、プロセスカートリッジを着脱可能に備えた画像形成装置の構成について説明する。図1は、本実施例の電子写真画像形成装置(以下、「画像形成装置」という)A及び該画像形成装置A本体
(画像形成装置の本体)に対して着脱可能に設けられるプロセスカートリッジBの構成を示す断面説明図である。図2は、プロセスカートリッジBの構成を示す断面説明図である。以下の説明において、画像形成装置A本体とは、画像形成装置AからプロセスカートリッジBを除いた部分をいう。
図1に示す画像形成装置Aは、プロセスカートリッジBを画像形成装置A本体に着脱自在とした電子写真方式を利用したレーザビームプリンタの一例である。画像形成装置A本体には、プロセスカートリッジBが装着される。そのとき、該プロセスカートリッジBに設けられた、静電潜像が形成される像担持体となる感光ドラム62の表面に静電潜像を形成するための露光手段となるレーザスキャナユニット3が、画像形成装置A本体に設けられている。また、プロセスカートリッジBの下側には、記録材Pを収容した給送トレイ4が設けられている。
画像形成装置A本体には、記録材Pの搬送方向Dに沿って、給送トレイ4内に収容された記録材Pを図示しない分離手段により一枚ずつ分離給送するピックアップローラ5aが設けられている。更に、搬送ローラ5b、レジストローラ5c、転写ガイド6、転写手段となる転写ローラ7、搬送ガイド8、定着手段となる定着装置9、排出ローラ10、排出トレイ11等が順次配置されている。尚、定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
【0018】
<画像形成動作>
次に、画像形成装置Aの画像形成動作について説明する。外部のパーソナルコンピュータ等から送られた印刷スタート信号に基づいて、感光ドラム62は、図1及び図2の矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。図示しない帯電バイアス電源から帯電バイアス電圧が印加された帯電手段となる帯電ローラ66は、感光ドラム62の表面に接触し、該感光ドラム62の表面を一様に帯電する。
レーザスキャナユニット3は、画像情報に応じたレーザ光Lを出力する。レーザスキャナユニット3から出射されたレーザ光Lは、プロセスカートリッジBを構成するクリーニング枠体71に設けられた開口71hを通り、感光ドラム62の表面を走査露光する。これにより帯電ローラ66により一様に帯電された感光ドラム62の表面は、画像情報に対応したレーザ光Lにより露光されて静電潜像が形成される。
【0019】
一方、図2に示すように、現像手段となる現像装置20において、現像剤となるトナーTを攪拌室29(収容室)に収容する現像剤収容容器12は以下の通りである。底部材22と上容器23とからなる現像剤収容容器12の一部に設けられ、攪拌室29(収容室)の外部に連通した開口15に向かってトナーTを搬送する搬送部材43(回転部材)が設けられている。回転部材としての搬送部材43は、現像剤収容容器12(容器)の内部に設けられる。搬送部材43の回転動作及び変形可能なシート状部材からなる振動部材44(加振シート)の振動動作によって撹拌室29内に収容されたトナーTは撹拌、搬送される。振動部材44は、使用時の姿勢において、開口15に近づくに従って下るように傾斜した、現像剤収容容器12(容器)の内部の傾斜面24eに沿って設けられる。なお、搬送部材43の構成については後述する。
これにより、現像剤であるトナーTは、現像剤収容容器内に感光ドラム62の表面に対向して設けられる現像剤担持体となる現像ローラ32が設けられた現像室28に送り出される。現像ローラ32の一部は、開口15から露出して感光ドラム62の表面に対向して設けられる。回転部材としての搬送部材43は、現像剤容器12内に回転中心43bで回転可能に設けられてトナーT(現像剤)を搬送する。搬送部材43の軸線方向は、感光ドラム62の軸線方向に平行に配置されている。
尚、本実施形態の現像装置20は、トナーTを収容する底部材22と上容器23とからなる現像剤収容容器12と、該現像剤収容容器12の現像室28内に感光ドラム62の表面に対向して回転可能に設けられた現像ローラ32を少なくとも有する。また、プロセスカートリッジBは、本実施形態の現像装置20の他に更に感光ドラム62を少なくとも有
する。また、プロセスカートリッジBは、画像形成装置A本体に対して個々に着脱可能に設けられる。もちろん、現像装置20が単独で画像形成装置A本体に着脱される構成でも良い。
【0020】
現像室28内に搬送されたトナーTは、現像ローラ32に内蔵された固定磁石からなるマグネットローラ34の磁力により該現像ローラ32の表面に担持される。現像ローラ32の表面に担持されたトナーTは、規制部材である現像ブレード42によって摩擦帯電されつつ該現像ローラ32の表面上での層厚が規制される。図示しない現像バイアス電源により現像ローラ32に現像バイアス電圧が印加されることにより該現像ローラ32の表面に担持されたトナーTは、感光ドラム62の表面上に形成された静電潜像に供給されてトナー像として現像され、可視像化される。
また、図1に示すように、レーザスキャナユニット3から出射されるレーザ光Lの出力タイミングに合わせて、画像形成装置A本体の下部に設けられた給送トレイ4内に収容された記録材Pがピックアップローラ5aにより繰り出される。その後、図示しない分離手段との協働により一枚ずつ給送される。更に、記録材Pは、搬送ローラ5bにより搬送されて一旦停止したレジストローラ5cのニップ部に先端部が突き当たる。これにより該記録材Pの腰の強さにより扱かれて斜行が補正される。
【0021】
その後、所定のタイミングでレジストローラ5cが回転し、記録材Pは、レジストローラ5cにより挟持搬送される。その後、転写ガイド6によりガイドされて感光ドラム62と転写ローラ7とのニップ部からなる転写位置に搬送される。この転写位置において、図示しない転写バイアス電源から転写ローラ7に転写バイアス電圧が印加されることにより感光ドラム62の表面上に形成されたトナー像は、記録材Pに転写される。
トナー像が転写された記録材Pは、感光ドラム62の表面から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そして、記録材Pは、定着装置9を構成する加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとにより挟持搬送される過程で加熱及び加圧されてトナーTが熱溶融して記録材Pに熱定着される。これにより記録材Pに画像が形成される。トナー像が定着された記録材Pは、排出ローラ10により搬送されて排出トレイ11上に排出される。
一方、図2に示すように、トナー像が記録材Pに転写された後の感光ドラム62の表面上に残留した残トナーは、クリーニング手段となるクリーニングブレード77により掻き取られて除去され、再び、画像形成プロセスに使用される。感光ドラム62の表面から除去された残トナーは、クリーニングユニット60に設けられた廃トナー室71bに貯蔵される。本実施形態では、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニングブレード77が感光ドラム62に作用する画像形成プロセス手段を構成する。
【0022】
<プロセスカートリッジの着脱操作>
次に、図3図6を用いて画像形成装置A本体に対するプロセスカートリッジBの着脱操作について説明する。図3は、プロセスカートリッジBを着脱するために画像形成装置A本体に開閉可能に設けられた開閉扉13を開いた様子を示す斜視説明図である。図4は、プロセスカートリッジBを着脱するために画像形成装置A本体に開閉可能に設けられた開閉扉13を開いた状態でトレイ18を引き出した様子を示す斜視説明図である。図5は、開閉扉13を開き、トレイ18を引き出した状態で、該トレイ18内にプロセスカートリッジBを着脱する様子を示す斜視説明図である。図6は、プロセスカートリッジBの駆動部の構成を示す図である。図5に示すように、プロセスカートリッジBは、トレイ18に対して、着脱方向Eに沿って着脱可能である。
【0023】
図3図5に示すように、画像形成装置A本体には、ヒンジ部13aを中心に回動可能に設けられた開閉扉13が取り付けられている。開閉扉13を開くと、カートリッジ挿入口17が露出する。カートリッジ挿入口17内には、プロセスカートリッジBを画像形成
装置A本体に装着するためのトレイ18が図示しないガイドレールを介して画像形成装置A本体に対して引き出し可能に設けられている。トレイ18は、図5に示す所定の位置まで引き出すと、プロセスカートリッジBの着脱が可能である。プロセスカートリッジBは、図4に示すように、トレイ18内に載せられた状態で図4の矢印C方向に図示しないガイドレールに沿って画像形成装置A本体内に装着される。
プロセスカートリッジBには、図6に示すように、感光ドラム62に回転駆動力を伝達する第1カップリング70と、現像ローラ32に回転駆動力を伝達する第2カップリング21が設けられている。そして、第1カップリング70と、第2カップリング21にそれぞれ回転駆動力を伝達する第1駆動軸14及び第2駆動軸19が設けられている。第1駆動軸14及び第2駆動軸19は、画像形成装置A本体に設けられる駆動源となる図示しないモータにより回転駆動される。
【0024】
<プロセスカートリッジ>
次に、図2及び図7を用いてプロセスカートリッジBの構成について説明する。図2は、プロセスカートリッジBの構成を示す断面説明図である。図7は、プロセスカートリッジBの構成を示す分解斜視図である。尚、以下の説明においては、各部品を結合するビス等は、説明を省略する。図2及び図7に示すように、本実施例のプロセスカートリッジBは、クリーニングユニット60と、現像装置20とで構成される。
一般に、プロセスカートリッジBは、感光ドラム62と、これに作用する画像形成プロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも一つとを一体的にカートリッジ化する。そして、画像形成装置A本体に対して着脱可能としたものである。本実施例のプロセスカートリッジBは、少なくとも感光ドラム62を備えるクリーニングユニット60を有する。
図2に示すように、クリーニングユニット60は、感光ドラム62と、帯電ローラ66と、クリーニングブレード77と、これらを支持するクリーニング枠体71と、該クリーニング枠体71に溶着等により固定された蓋部材72とを有する。クリーニングユニット60において、帯電ローラ66及びクリーニングブレード77は、それぞれ感光ドラム62の表面に接触して配置される。感光ドラム62は、画像形成装置A本体側に設けられた駆動源となる図示しないモータからの回転駆動力が図6に示す第1カップリング70を介して伝達されて画像形成動作に応じて図2の矢印R方向に回転駆動される。
【0025】
図2に示すように、現像装置20は、現像ローラ32と、該現像ローラ32を回転可能に支持する現像剤収容容器12と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ32内にはマグネットローラ34が設けられている。また、現像ブレード42は、現像ローラ32の表面上に担持されたトナーTの層厚を規制するための規制部材として機能する。図7に示すように、プロセスカートリッジBは、クリーニングユニット60と現像装置20とを結合ピン69で互いに回動可能に結合することにより構成される。
結合ピン69は、現像装置20側に設けられた結合部20a,20bを貫通する貫通孔20c,20dを貫通させてクリーニングユニット60側に設けられた図示しない結合部に設けられた係止孔に係止する。これにより該結合ピン69を回動中心としてクリーニングユニット60と現像装置20とを互いに回動可能に結合する。
【0026】
<現像剤収容容器12内の撹拌室29周辺の構成>
次に、図8及び図9を用いて現像剤収容容器12内の撹拌室29周辺の構成について説明する。図8は、画像形成装置A本体にプロセスカートリッジBが装着された使用時における姿勢での、現像剤収容容器12内の撹拌室29周辺の構成を示す斜視説明図である。図9(a)は、画像形成装置A本体にプロセスカートリッジBが装着された使用時における姿勢での、現像剤収容容器12内の撹拌室29周辺の構成を示す断面説明図である。図9(b)は、図9(a)の部分拡大図である。図8及び図9に示すように、現像剤収容容器12内の撹拌室29(収容室)は、上容器23と底部材22とにより形成される。すな
わち、上容器23と底部材22は、現像剤収容容器12の枠体に相当する。
【0027】
撹拌室29内には、枠体からなる現像剤収容容器12に対して回転中心43bを中心に図8及び図9(a)の矢印J方向に回転可能に設けられた回転部材としての搬送部材43が設けられている。更に、該搬送部材43の回転に伴う振動で、トナーTを搬送部材43の方向へ搬送する振動部材44(加振シート)が設けられている。搬送部材43は、撹拌室29内において現像ローラ32側に設けられる。搬送部材43には、該搬送部材43と一体的に回転中心43bを中心に図8及び図9(a)の矢印J方向に回転する可撓性を有するシート状の撹拌部(搬送部)としての搬送シート43aが取り付けられている。図9(a)に示すように、搬送部である搬送シート43aは、他端が自由端となり枠体としての底部材22の内壁面(撹拌室29の内壁面)と接触して変形し、トナーTを搬送する。
【0028】
また、底部材22には、図9(a),(b)の上下方向で示す鉛直方向に対して所定の傾斜角度の傾斜面24eを有する傾斜部24が設けられている。傾斜面24eの水平面2にする傾斜角度θは、トナーTの安息角よりも小さくなるように設定されている。安息角とは、トナーTが自発的に崩れることなく安定を保つ斜面の角度である。該傾斜面24eには、固定ボス24dが突設されている。固定ボス24dは、振動部材44に設けられた固定部と係合して固定する。
傾斜部24の傾斜面24eには、該傾斜面24eから搬送部材43に向かって突出する突起25が設けられている。突起25は、振動部材44の自由端側と接触可能であり、振動部材44の開口15に近い側の一端を、傾斜面24eから浮かばせる役目を果たしている。
【0029】
次に振動部材44について説明する。振動部材44(加振シート)は、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド等の材質を用いて厚さが10μm~200μmの可撓性を有する変形可能なシート状部材により構成されている。
図8及び図9(a)に示すように、振動部材44は、開口15から遠い側の一端に設けられた固定部となる固定穴(図示しない)が、底部材22に設けられた傾斜部24の傾斜面24eに突設された固定ボス24dと係合し、傾斜面上に配置される。これにより振動部材44が現像剤収容容器12内で搬送部材43に対向する底部材22の傾斜部24の傾斜面24eに沿って振動可能に設けられる。また、画像形成装置A本体にプロセスカートリッジBが装着された姿勢において、固定ボス24dから見て搬送部材43側、すなわち開口15に近い側に位置する振動部材44の自由端44aは、固定ボス24dよりも下方に位置する。また、上述の振動部材44の自由端44aは、底部材22の内壁(撹拌室29の内壁)および傾斜面24eから離れている。
【0030】
次に搬送部材43の羽根部(突出部)と振動部材(加振シート)のスリット部について説明する。図10は搬送部材43、及び振動部材44の詳細形状を示した斜視図である。図11は羽根部43c(突出部)の部分拡大図である。図10、11に示す通り、搬送部材43は、回転軸部43fと、回転軸部43fの周囲(外周面)には本実施例では7か所に複数の羽根部43cが設けられ、羽根部43cは、回転軸部43fの径方向の外側へ突出している。各々の羽根部43cは、感光ドラム62の長手方向と平行な方向である搬送部材43の軸方向Fに所定の間隔で設けられる。本実施例では7か所に羽根部43cを設けた構成で説明するが、7か所に限定するものではない。ここで羽根部43cの搬送部材43の軸方向Fの幅をL1とする。羽根部43cは搬送部材43の回転によって、ブロッキングしたトナーをほぐす効果が有る。
また図10、11に示す通り、振動部材44の自由端44a側には所定の長さの複数のスリット44cが7か所設けられ、8つの振動面44fに分けられる形状になっている。各々のスリット44cは所定のピッチL2で設けられる。またスリットの幅L3は軸方向
における羽根部43cの幅L1より小さくなるように構成され、羽根部の幅L1とスリットのピッチL2の大小関係は、L1<L2となるように構成される。すなわち、突出部としての羽根部43cの軸方向における幅は、隣接する二つのスリット間の距離よりも小さくなるように構成されている。
【0031】
次に図12、13を用いて、搬送部材43の羽根部43cと振動部材44のスリット44cの位置関係を説明する。
図12は、搬送部材43の各々の羽根部43cの軸方向Fの中心位置43g及び各々のスリット44cの軸方向Fと平行な方向の中心位置44gを示した拡大図である。図13は断面で見たときの羽根部43cとスリット44cの位置関係を示した断面図である。
図12に示すように、搬送部材43の各々の羽根部43c(突出部)の軸方向Fの中心位置43g及び各々のスリット44cの軸方向Fと平行な方向の中心位置44gは、重なり同じ位置になるように設けられる。このため、羽根部43cはスリット44cと接触した時に、振動部材44は可撓性を有し変形可能なので、軸方向Fと平行な方向へ振動面44fを移動させることで通過可能となる(図15)。したがって羽根部43cが振動面44fと接触した時の負荷を確実に低減することができ、回転部材である搬送部材43の駆動時の負荷を低減させることができる。
【0032】
次に図13を用い、軸方向における断面で見たときの羽根部43cとスリット44cの位置関係を説明する。図13に示す通り、搬送部材43の軸部である回転軸部43fの回転中心43b(軸芯)から羽根部43c先端までの距離をR1(羽根部43cの回転軌跡)とする。そして、回転中心43bから振動部材44のスリット根元部44d、すなわち開口側とは逆側である奥側の端部までの距離をR2とする。このとき、本実施例ではR1<R2となるように構成される。すなわち、軸方向における断面で見たときに、スリット44cは、羽根部43cの回転軌跡R1(回転領域)の外側まで形成されている。
【0033】
次に図13、14を用い、振動部材44の浮き状態とトナーブロッキングした時の動作について説明する。トナーブロッキングとは、特定の姿勢で物流などの振動が連続して加わり、しばらく放置した場合に、撹拌室29内のトナーTが密な塊に近い状態となることを示す。トナーがブロッキング状態になると、トナーの流動性は著しく低下し、搬送部材43や振動部材44の動作によってトナーがほぐれにくくなるため、搬送部材43の回転負荷が増大する。図14は振動部材44の自由端44a側が突起25と接触している第1の状態を示した図で、図13は振動部材44の自由端44a側が突起25から離れている第2の状態を示した図である。振動部材44は、開口15から離れた側の一端が固定ボス24dと係合されているが、開口15に近い側の一端である自由端44a側は位置規制されていないため、第1の状態と第2の状態とを移動可能である。
【0034】
図14で示す通り、搬送部材43の回転時に、搬送シート43aの先端部43a1は回転軌跡G、突出部である羽根部43cの先端は回転軌跡R1を辿る。また、振動部材44が第1の状態のときは、振動部材44の自由端44aは搬送部である搬送シート43aの先端部43a1の回転軌跡Gの領域内に存在するため、振動部材44と搬送部材43の搬送シート43aは接触する。この接触により振動部材44は振動して、振動部材44上のトナーは搬送部材43方向へ搬送される。このとき振動部材44は搬送部材43の羽根部43cの回転軌跡R1の領域外にあるため、羽根部43cが振動部材44と接触することは無い。
【0035】
次に図13を用いて、第2の状態を説明する。振動部材44はトナー充填時の姿勢や、物流での振動が加わるときの姿勢によっては、振動部材44と突起25を含む傾斜面24eとの間にトナーが入り込み、第2の状態になる場合が有る。図13は振動部材44と突起25を含む傾斜面24eとの間にトナーが入った第2の状態を示す断面図である。
図13に示す通り、振動部材44が第2の状態で維持されたとき、搬送部材43の羽根部43cの回転軌跡R1の領域内に振動部材44の自由端44aが存在する。さらに、プロセスカートリッジに物流振動が加わると、第2の状態が維持されたまま、振動部材44周辺のトナーがブロッキング状態となる。トナーがブロッキング状態のまま、プロセスカートリッジの初期駆動が開始されると、搬送部材43が回転し、突出部である羽根部43cは振動部材44のスリット44cと接触する。このとき図11で示す通り、スリットの幅L3は軸方向Fにおける羽根部43cの幅L1より小さくなるように構成される。また前述の通り、羽根部43cとスリット44cの軸方向Fにおける位置は同じなので、搬送部材43の回転により、羽根部43cがスリット44cを軸方向Fへ変形させることで通過可能となる(図15)。このため、トナーがブロッキングされたまま搬送部材43が回転駆動しても羽根部43cと振動部材44が干渉してトナーがほぐせなくなることを防ぎ、回転負荷の増大を抑制できる。
【0036】
また前述通り、軸方向Fにおける羽根部43cの幅L1と、隣接するスリット間の距離であるピッチL2の大小関係は、L1<L2となるように構成される(図11)。このとき、図21に示す通り羽根部43cと振動部材44の接触する面積はK1で示される。仮に軸方向Fにおける羽根部43cの幅L1と、隣接スリット間の距離であるピッチL2の大小関係がL2<L1となる場合は、図22に示す通り羽根部43cと振動部材44の接触する面積はK2で示される。このとき、羽根部43cと振動部材44の接触面積はK1<K2となる。本実施例では、羽根部の幅L1とスリットのピッチL2の大小関係は、L1<L2となるように構成することで、羽根部43cが振動面44fに接触した面積を低減でき、負荷を分散することができる。
【0037】
また前述の通り、断面で見たときの羽根部43cとスリット44cの位置関係は、回転中心43bから羽根部43cの先端までの距離R1に対して、回転中心43bから振動部材44のスリット根本部までの距離R2が、R1<R2となるように構成されている。そのため、軸方向Fにおける断面で見たときに、スリット44cは羽根部43cの回転軌跡R1(回転領域)の外側まで形成されている。
仮に前述のR1とR2の関係がR2<R1となる場合、図23に示す通り羽根部43cと振動部材44は、搬送部材43の回転中心43bからの半径方向の距離が、スリット44cの根元部44dよりも遠い位置の接触点44hで接触する。すると、羽根部43cの先端が振動部材44の変形しにくい部分と接触することになるため、ブロッキングしたトナーをほぐすための負荷が増大する。しかし、R1<R2となるように構成されることで、羽根部43cの先端が振動部材44の変形しやすい部分であるスリット44c内で接触し通過可能となるので搬送部材43の回転負荷増大を抑制することができる。
【0038】
本実施例では、搬送部材43の回転によって、突出部である羽根部43cが、回転軌跡R1まわり(図13)のブロッキングしたトナーをほぐすことができる。さらに図11で示す通り、軸方向Fにおける羽根部43cの幅L1<スリットのピッチL2となるように構成されるため、1つの羽根部43cが3つ以上の振動面44fに当接しない構成となっている。したがって羽根部43cが振動面44fに接触した時の回転負荷を分散することができる。
【0039】
また図11に示すように、搬送部材43(回転部材)の各々の羽根部43c(突出部)の軸方向Fの中心位置43g及び各々のスリット44cの軸方向Fと平行な方向の中心位置44gは、重なり同じ位置になるように設けられる。そのため、羽根部43cがスリット44cを通過可能となる。さらに、トナーがブロッキングされたまま搬送部材43が回転駆動しても羽根部43cが振動部材44に阻害されてトナーをほぐせなくなることを防ぎ、回転負荷の増大を抑制し、搬送部材43の破損を防ぎ、攪拌効率の低下を抑制できる。
【0040】
さらに図13に示す通り、搬送部材43(回転部材)の回転中心43bから羽根部43c(突出部)の先端までの距離をR1、搬送部材43の回転中心43bから振動部材44のスリット根元部44dまでの距離をR2とすると、R1<R2となるように構成される。軸方向Fにおける断面で見ると、スリット44cは羽根部43cの回転軌跡R1の外側まで形成されており、羽根部43cの先端が振動部材44(加振シート)の変形しやすい部分に接触することになる。そのため、羽根部43cが振動面44f接触した時の負荷を確実に低減することができる。本実施例で示した通り、前述の構成を同時に実施することで、トナーがブロッキングした時の搬送部材43の回転負荷を低減させることができる。
【0041】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について図面に基づいて説明する。なお、本実施例においては、前述した実施例と異なる部分について詳細に説明する。特に改めて記載しない限りは、材質、形状などは前述の実施例と同様である。そのような部分については、同一の番号を付与し、詳細な説明は省略する。本実施例では、軸方向Fでの羽根部43cの中心位置43gとスリット44cの中心位置44gが軸方向で異なる位置に設けられる。図13、16、17を用いて、搬送部材43(回転部材)の羽根部43c(突出部)と振動部材44(加振シート)のスリット44cの位置関係を説明する。図16は、本発明の実施例2の形態の羽根部43c及びスリット44cの軸方向Fでの中心位置の関係を示した部分拡大図である。図17は、羽根部43cによってスリット44cの軸方向Fでの移動可能な状態を示した部分拡大図である。
【0042】
図16に示すように、搬送部材43の各々の羽根部43cの長手方向Fの中心位置43g及び各々のスリット44cの長手方向Fの中心位置44gは異なるように設けられる。このとき図13の示す、振動部材44が第2の状態でトナーがブロッキングされたときに搬送部材43が回転すると、軸方向Fで羽根部43cと振動部材44のシート部分が接触する。しかしながら、振動部材44は可撓性を有し変形可能なため、羽根部43cがスリット44cを軸方向Fに移動させることでスリット44cを通過可能となる(図17)。
【0043】
ここで図19、20を用いて振動部材44にスリット44cが無い場合と有る場合を比較する。図19に示す通り、搬送部材43の1つの羽根部43cが振動部材44と接触したときに移動させる振動部材44の振動面積はH1で示される。また図20で示す通り、振動部材44がスリット44cを有する状態で1つの羽根部43cが振動部材44と接触したときに移動させる振動部材44の振動面積はH2で示される。このように、羽根部43cによって移動させる振動部材44の振動面積がH2<H1となるため、振動部材44にスリット44cが形成されている方が、搬送部材43の回転負荷が増大することを低減させることができる。
【0044】
以上に示した通り、実施例2の形態にすることで、トナーブロッキングした状態での搬送部材43(回転部材)の回転によって羽根部43c(突出部)がトナーをほぐしつつ、羽根部43cと振動部材44の接触による回転負荷の増大を抑制できる。さらに、羽根部43c(突出部)が振動部材44(加振シート)に阻害されないので、搬送部材43の破損や攪拌効率の低下を抑制することができる。
【0045】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について図面に基づいて説明する。なお、本実施例においては、前述した実施例と異なる部分について詳細に説明する。特に改めて記載しない限りは、材質、形状などは前述の実施例と同様である。そのような部分については、同一の番号を付与し、詳細な説明は省略する。
本実施例では、実施例1から搬送部材43の軸方向Fの幅とスリット44cの軸方向F
の幅の大小関係を変更した構成である。図18、13を用いて、搬送部材43の羽根部43cと振動部材44のスリット44cの軸方向Fの幅の大小関係を説明する。図18は、本発明の実施例3の形態の羽根部43c及びスリット44cの軸方向Fの幅の大小関係を示した部分拡大図である。
【0046】
図18に示すように、各々の羽根部43c(突出部)の軸方向Fの幅L1は、スリット44cの軸方向Fの幅L3より小さくなるように設けられる。すなわち、軸方向Fにおけるスリット44cの幅L3の方が、羽根部43cの幅L1よりも大きい。そのため、図13の示す、振動部材44が第2の状態でトナーがブロッキングされたときに搬送部材43が回転しても、長手方向Fで羽根部43cと振動部材44が接触することが無い。したがって、羽根部43cと振動部材44とが接触することによる搬送部材43の回転負荷の増大を防ぐことができる。なお、本実施例においては、加振シートである振動部材44は、前述の搬送シート43aとは接触し振動するので、トナーを搬送部材43の方向へ搬送する機能は担保される。
【0047】
以上に示した通り、実施例3の形態にすることで、トナーブロッキングした状態での搬送部材43の回転によって羽根部43cがトナーをほぐしつつ、羽根部43cと振動部材44の接触による回転負荷の増大を抑制できる。
【符号の説明】
【0048】
43…搬送部材、43c…羽根部、12…現像剤収容容器、24…傾斜面、44…振動部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23