(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】振動型モータおよび光学機器
(51)【国際特許分類】
H02N 2/04 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
H02N2/04
(21)【出願番号】P 2019214302
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】大澤 一治
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-022957(JP,A)
【文献】特開平05-153789(JP,A)
【文献】特開2006-033995(JP,A)
【文献】特開2003-244976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動する振動子を含む振動子ユニットと、前記振動子が接触する摩擦部材を含む摩擦部材ユニットとが第1の方向に相対移動する振動型モータであって、
前記振動子ユニットは、前記第1の方向に直交する第2の方向において前記摩擦部材ユニットに対して変位が可能であり、前記第2の方向において前記振動子を前記摩擦部材に加圧する構成を有し、
前記摩擦部材ユニットは、前記第2の方向において前記振動子ユニットに所定量を超える変位を制限するように当接するストッパ部を
有し、
前記ストッパ部
は、前記摩擦部材のうち前記振動子が接触する前記第1の方向の領域よりも長く延
び、かつ前記第1の方向から見たときに、前記第2の方向において前記摩擦部材より前記振動子側に突出して
おり、
前記摩擦部材ユニットは、前記摩擦部材が固定されるベース部材と、該ベース部材とは別の部材である案内部材とを有し、
前記案内部材は、前記第1の方向に延びる案内溝部を有し、該案内溝部に係合した転動部材の転動により前記摩擦部材ユニットと前記
振動子ユニットとの相対移動を案内し、
前記ストッパ部は、前記案内部材に設けられていることを特徴とする振動型モータ。
【請求項2】
前記案内部材は、前記第2の方向における前記摩擦部材を挟んで前記振動子とは反対側に前記案内溝部を有し、
前記ストッパ部は、前記案内部材における前記案内溝部が形成された部分から前記振動子側に突出する位置まで延びていることを特徴とする請求項1に記載の振動型モータ。
【請求項3】
前記ストッパ部は、前記第1および第2の方向に直交する第3の方向における前記摩擦部材の両側に設けられていることを特徴とする請求項1
または2に記載の振動型モータ。
【請求項4】
前記ストッパ部は、前記振動子と前記摩擦部材との接触により発生した摩耗粉が前記振動型モータの外部に向かって流れる経路を遮断するように設けられていることを特徴とする請求項1
から3のいずれか一項に記載の振動型モータ。
【請求項5】
前記摩擦部材は、前記第1の方向において前記ストッパ部より長く、
前記摩擦部材のうち前記第1の方向において前記ストッパ部より長く延びた部分が、前記第1および第2の方向に直交する第3の方向において、前記ストッパ部の摩擦部材側の端面より外側に位置することを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載の振動型モータ。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の振動型モータと、
該振動型モータにより駆動される光学素子とを有することを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズの駆動等に利用される振動型モータに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置等の光学機器においてレンズの駆動に用いられる振動型モータには、圧電素子により振動子に振動を励起して該振動子の突起の先端に楕円運動を発生させ、該振動子とその突起に圧接した摩擦部材とを相対駆動するものがある。ただし、このような振動型モータでは、振動子と摩擦部材とが摩耗して摩耗粉が発生し、摩耗粉がレンズや撮像素子に付着するおそれがある。
【0003】
特許文献1には、振動子の周囲をカバーで覆うとともに、振動子と摩擦部材との間に封止体を配置することで摩耗粉のカバー外への流出を防ぐようにした振動型モータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にて開示されているように振動子の周囲をカバーで覆うと、振動型モータが大型化する。また、カバーや封止体等の摩耗粉の流出を防ぐための専用の部品が必要となる。
【0006】
本発明は、小型でありながらも摩耗粉の流出を抑制できるようにした振動型モータおよびこれを備えた光学機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての振動型モータは、振動する振動子を含む振動子ユニットと、振動子が接触する摩擦部材を含む摩擦部材ユニットとが第1の方向に相対移動する振動型モータである。振動子ユニットは、第1の方向に直交する第2の方向において摩擦部材ユニットに対して変位が可能であり、第2の方向において振動子を摩擦部材に加圧する構成を有する。摩擦部材ユニットは、第2の方向において振動子ユニットに所定量を超える変位を制限するように当接するストッパ部を有する。ストッパ部は、摩擦部材のうち振動子が接触する第1の方向の領域よりも長く延び、かつ第1の方向から見たときに、第2の方向において摩擦部材より振動子側に突出している。摩擦部材ユニットは、摩擦部材が固定されるベース部材と、該ベース部材とは別の部材である案内部材とを有する。案内部材は、第1の方向に延びる案内溝部を有し、該案内溝部に係合した転動部材の転動により摩擦部材ユニットと振動子ユニットとの相対移動を案内する。ストッパ部は、案内部材に設けられていることを特徴とする。なお、上記振動型モータにより光学素子を駆動する光学機器も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、振動子と摩擦部材との間で発生した摩耗粉の外部への流出を抑制することができる小型の振動型モータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1である振動型モータの分解斜視図。
【
図2】実施例1の振動型モータの組立状態を示す図。
【
図3】本発明の実施例2である振動型モータの特徴を示す図。
【
図4】実施例2の振動型モータの特徴を示す別の図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1および
図2(a)~(c)は、本発明の実施例1である振動型モータ1の構成を示している。
図1は振動型モータ1を分解して示しており、左側の図は斜め上側から見た振動型モータ1の構成を、右側の図は斜め下側から見た振動型モータ1の構成をそれぞれ示している。
図2(a)は上方、側方および下方から見た組立状態の振動型モータ1を示し、
図2(b)および
図2(c)は
図2(a)におけるA-A線での断面を示している。なお、以下の説明では、各構成要素の材料、形状および具体的な部材名を例として示すが、他の材料、形状および部材を用いることも可能である。
【0012】
振動型モータ1は、振動子11と、該振動子11を保持する振動子保持部12と、摩擦部材13と、該摩擦部材13を保持する摩擦部材保持部14と、振動子11を摩擦部材13に加圧接触させる加圧力F1を発生する加圧部15とを有する。この振動型モータ1においては、振動子11、振動子保持部12および加圧部15を含む振動子ユニットが、摩擦部材13および摩擦部材保持部14を含む摩擦部材ユニットに対して
図1中においてD1で示す第1の方向に移動する。振動子11は、上記加圧力F1によって、第1の方向D1に直交する第2の方向D2において摩擦部材13に加圧接触する。なお、摩擦部材ユニットが振動子ユニットに対して移動してもよい。すなわち、振動子ユニットと摩擦部材ユニットが相対移動すればよい。
【0013】
振動子11は、板状の圧電素子(電気-機械エネルギ変換素子)111と、2つの突起112aを有する弾性部材112とを貼り合わせて構成されている。圧電素子111は、PZT(ピエゾ素子)であり、弾性部材112は金属板である。圧電素子111に2相の交流電圧を印加して振動子11(弾性部材112)に振動を励起すると、突起112aの先端に楕円運動を発生させることができる。
【0014】
振動子保持部12は、振動子保持枠121、連結板122、可動枠123および可動案内部材124により構成される。振動子保持部枠121は、樹脂製の枠体であり、振動子11に直接接着されることで振動子11を保持する。連結板122および可動枠123はそれぞれ薄い金属板および樹脂製の枠体である。振動子保持枠121と可動枠123を連結板122で連結することで、可動枠123に対して振動子11と振動子保持枠121を第2の方向D2には移動可能に保持し、第1の方向D1にはガタなく保持する。可動案内部材124は、金属板金であり、案内溝部124aを有する。可動枠123と可動案内部材124は、ビス125により締結される。
【0015】
摩擦部材13は、金属板であり、摺動面13aにおいて振動子11の突起112aと摩擦接触する。摩擦部材保持部14は、ベース部材141および固定案内部材142により構成される。ベース部材141は、樹脂製の筐体である。ベース部材141には、ビス143により摩擦部材13と固定案内部材142が固定される。固定案内部材142は、金属板金であり、案内溝部142aを有する。上述した可動案内部材124の案内溝部124aと固定案内部部材142の案内溝部142aとの間には2つの転動ボール(転動部材)144が挟み込まれる。この構成により、振動子保持部12は摩擦部材保持部14に対して第1の方向D1に移動可能に保持される。
【0016】
加圧部15は、複数(本実施例では4つ)の加圧力発生部材151、加圧板152および加圧力伝達部材153により構成される。加圧力発生部材151および加圧板152はそれぞれ、引張ばねおよび金属板金である。加圧力発生部材151である引張ばねは、引き伸ばされた状態でその一端が可動案内部材124に、他端が加圧板152に接続されることにより、縮む方向に加圧力F1を発生する。加圧力伝達部材153は、樹脂製のブロックのうちを振動子11側の面にフェルト等の緩衝体を貼り付けて構成されている。加圧力発生部材151が発生した加圧力F1は、加圧板152および加圧力伝達部材153を介して振動子11に伝達される。振動子11は、第2の方向D2に移動可能に保持されているため、加圧力F1によって振動子11の突起112aが摩擦部材13の摺動面13aに加圧接触する。
【0017】
このように構成される振動型モータ1において、前述したように振動子11の突起112aに楕円運動を発生させると、突起112aと摩擦部材13との間で駆動力が発生する。これにより振動子ユニットを摩擦部材ユニットに対して第1の方向D1に駆動することができる。
【0018】
図2(b)は通常状態での振動型モータ1の断面を、
図2(c)は外部からの衝撃が加わった状態での振動型モータ1の断面を示す。
図2(c)に示すように衝撃が加わると、可動案内部材124が固定案内部材142に対して第2の方向D2にて離間する方向M1に変位する。これにより可動案内部材124と固定案内部材142との間の第2の方向D2の間隔が広がると、可動案内部材124と固定案内部材142とにより挟み込まれた転動ボール144が横方向M2にずれて案内溝部124a,142aから脱落するおそれがある。
【0019】
このような転動ボール144の脱落を防ぐため、本実施例の振動型モータ1では、
図2(b)に示すように振動子保持部12の可動枠123に第1ストッパ部123aを設け、摩擦部材保持部14の固定案内部材142に第2ストッパ部142bを設けている。衝撃が加わった際に第1ストッパ部123aと第2ストッパ部142bが第2の方向D2において互いに当接することで、振動子保持部12(つまりは振動子ユニット)の第2の方向D2での所定量を超える変位を制限して転動ボール144の脱落を防ぐことができる。
【0020】
以上のように構成される振動型モータ1の内部では、摩擦部材13のうち振動子11(突起部112a)が摺動する摺動面における振動子摺動領域で摩耗粉が発生する。この振動子摺動領域から振動型モータ1の外部まで繋がる直線的な経路があると、摩耗粉が外部へと流出するおそれがある。このような摩耗粉の外部への流出を抑制するため、本実施例の振動型モータ1は以下のような構成を有する。
【0021】
図3(a)は、第2の方向D2から見た振動子11、摩擦部材13および摩擦部材保持部14を示している。
図3(b)は、第1の方向D1から見た振動子11、摩擦部材13および摩擦部材保持部14の断面(
図3(a)中のB-B線での断面)を示している。これらの図に示すように、第1の方向D1(および第2の方向D2)に直交する第3の方向D3における摩擦部材13(摺動面13a)を挟んだ両側において、前述した固定案内部材142の第2ストッパ部142bが摩擦部材13に隣接するように配置されている。
【0022】
図3(a)に示すように、第2ストッパ部142bの第1の方向D1での長さL2は、摩擦部材13の摺動面13aのうち振動子摺動領域A1の長さL1よりも長く設定されている。また
図3(b)に示すように、振動型モータ1の内部の領域を第2の方向D2において摺動面13aを境界として振動子側S1と摩擦部材側S2とに分けたときに、第2ストッパ部142bは摩擦部材側S2から振動子側S1まで延びている。言い換えれば、第2ストッパ部142bが、摺動面13a(振動子摺動領域A1)よりも振動子側S1に突出している。
【0023】
摩擦部材13上を振動子11が第1の方向D1に移動する場合、摩耗粉は摺動面13aの振動子摺動領域A1にて発生し、発生した摩耗粉の大部分は摺動面13a上において第1および第2の方向D1,D3に直交する第3の方向(幅方向)D3に広がる経路R1で振動型モータ1の外部に流出する。しかし、本実施例では、経路R1を第2ストッパ部142bのうち振動子側S1に突出した部分が遮断しており、摩耗粉の経路R1からの流出を防ぐことができる。一般に摩耗粉の大きさは数ミクロン~数十ミクロンであるため、他の部材と接触した摩耗粉は静電気力により該他の部材に吸着する。本実施例では、発生した摩耗粉の大部分が摩擦部材13と第2ストッパ部142bに付着する。このため、摩耗粉の外部への流出を抑制することができる。
【0024】
本実施例では、転動ボール144の脱落を防止するために設けられた第2ストッパ部142bを利用して摩耗粉の外部への流出を抑制する。このため、摩耗粉の流出を抑制するために専用の部材を設けたり、該部材を配置するためのスペースが不要としたりすることができ、振動型モータ1の大型化を防ぐこともできる。
【0025】
以上説明したように、本実施例によれば、振動子11と摩擦部材13との間で発生した摩耗粉の外部への流出を抑制することができる小型の振動型モータ1を実現することができる。
【0026】
なお、第2ストッパ部142aは、必ずしも前述したように摩擦部材13に対して第3の方向D3における両側に隣接するように配置されていなくてもよく、経路R1からの摩耗粉の流れを遮断できるように配置されていればよい。
【0027】
また、第2ストッパ部142aは、第1の方向D1に延びる固定案内部材142を曲げ加工するだけで設けることができる。このため、第2ストッパ部142aを配置するためのスペースを小さくすることができる。
【実施例2】
【0028】
次に、本発明の実施例2である振動型モータ2について説明する。本実施例の振動型モータ2は、実施例1の振動型モータ1と同様に、振動子21と、振動子保持部22と、摩擦部材23と、摩擦部材保持部24と、加圧部25とを有する。また実施例1と同様に、振動子21は、圧電素子211と弾性部材212とにより構成されている。振動子保持部22は、振動子保持枠221、連結板222、可動枠223および可動案内部材224により構成されている。摩擦部材保持部24は、ベース部材241と固定案内部材242により構成されている。加圧部25は、加圧力発生部材251、加圧板252および加圧力伝達部材253により構成されている。
【0029】
図4(a)は、第2の方向D2から見た振動子21、摩擦部材23および摩擦部材保持部24を示している。
図4(b)は、第1の方向D1から見た振動子21、摩擦部材23および摩擦部材保持部24の断面(
図4(a)中のC-C線での断面)を示している。実施例1と同様に、第1の方向D1(および第2の方向D2)に直交する第3の方向D3における摩擦部材23(摺動面23a)を挟んだ両側において、固定案内部材242の第2ストッパ部242bが摩擦部材13に隣接するように配置されている。また
図4(a)に示すように、第2ストッパ部242bの第1の方向D1での長さL2は、摩擦部材23の摺動面23aのうち振動子摺動領域A1の長さL1よりも長く設定されている。
【0030】
さらに実施例1と同様に、
図4(b)に示すように、振動型モータ2の内部の領域を第2の方向D2において摺動面23aを境界として振動子側S1と摩擦部材側S2とに分けたときに、第2ストッパ部242bは摩擦部材側S2から振動子側S1まで延びている。すなわち、第2ストッパ部242bは、摺動面23a(振動子摺動領域A1)よりも振動子側S1に突出している。この構成により、実施例1と同様に、振動子21と摩擦部材23との間で発生した摩耗粉の外部への流出を抑制することができる。
【0031】
ただし、本実施例では、第1の方向D1において摩擦部材23の全長L3は第2ストッパ部242bの長さL2よりも長い。このため、摩擦部材23には、第2ストッパ部242bが第3の方向D3にて隣接していない領域A2が存在する。この領域A2において、摩擦部材23は、第3の方向D3における第2ストッパ部242bの両側の内端面(摩擦部材側の端面)E1よりも外側の位置S3まで広がっている。すなわち、領域A2における摩擦部材23の幅が振動子摺動領域A1における摩擦部材23の幅が大きい。
【0032】
実施例1の振動型モータ1では、前述したように摩耗粉の大部分は第2ストッパ部142bに静電気力で付着するが、振動型モータ1に衝撃が加わった際に第2ストッパ部142bに付着していた摩耗粉が第2ストッパ部142bから離脱し、
図3(a)中の経路R2で示すように第2ストッパ部142bの第1の方向D1の開口端から振動型モータ1の外部に流出するおそれがある。
【0033】
これに対して、本実施例の振動型モータ2では、前述したように領域A2における摩擦部材23の幅が振動子摺動領域A1における摩擦部材23の幅が大きくなっており、
図4(b)に示すように経路R2がベース部材241と摩擦部材23によって遮断される。この結果、第2ストッパ部242bから離脱した摩耗粉が経路R2を通って振動型モータ2の外部に流出することを抑制できる。このように、本実施例の振動型モータ2は、実施例1の振動型モータ1に比べて、摩耗粉の外部への流出を抑制する効果が高い構成を有する。
【実施例3】
【0034】
次に、本発明の実施例3である光学機器としてのカメラ(撮像装置)について説明する。
図5(a)は本実施例のカメラ4の断面を示している。
図5(b)は本実施例のカメラ4のレンズ鏡筒31に搭載された、実施例1の振動型モータ1を含むレンズ駆動装置3の構成を示している。
【0035】
カメラ本体32のマウント321には、レンズ鏡筒31のうち固定筒311が不図示のビスにより固定されている。カメラ本体32内には、被写体像を撮像する撮像素子32aが設けられている。
【0036】
固定筒311には、第1レンズG1を保持する前鏡筒312と、第3レンズG3を保持する後鏡筒313とが固定されている。また固定筒311内における第1レンズG1と第3レンズG3との間には、レンズ保持枠314により保持された第2レンズ(光学素子)G2が配置されている。
【0037】
レンズ保持枠314は、前鏡筒312と後鏡筒313によって両端が保持された2本のガイドバー315によって光軸Dが延びる方向(光軸方向)に移動可能に保持されている。振動型モータ1は、後鏡筒313に不図示のビスにより固定されている。
【0038】
振動型モータ1の可動枠123には、振動型モータ1が発生する駆動力をレンズ保持枠314に伝達する駆動力伝達部123bが設けられている。レンズ保持枠314には駆、動力伝達部123bが係合する係合溝部314aと、係合溝部314aに向けて駆動力伝達部123bを付勢する付勢ばね316が配置されている。駆動力伝達部123bが付勢ばね316の付勢力によって係合溝部314aに係合することで、可動枠123とレンズ保持枠314とが連結される。
【0039】
このため、振動型モータ1が駆動されると、その駆動力は可動枠123および駆動力伝達部123bを介してレンズ保持枠314に伝達される。これにより、レンズ保持枠314(第2レンズG2)は、ガイドバー315によって案内されながら光軸方向に移動する。
【0040】
実施例1の振動型モータ1をレンズ駆動装置3に用いることで、小型でありながらもレンズG1~G3や撮像素子32aへの摩耗粉の付着を抑制したカメラ4を実現することができる。
【0041】
なお、レンズ駆動装置3において、振動型モータ1に代えて実施例2の振動型モータ2を用いてもよい。
【0042】
また本実施例ではレンズ駆動装置を搭載したレンズ一体型カメラについて説明したが、レンズ駆動装置を光学機器としての交換レンズに搭載してもよい。
【0043】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1,2 振動型モータ
11,21 振動子
13,23 摩擦部材
142b,242b 第2ストッパ部