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特許7401280作業工程判別装置及び作業工程判別システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】作業工程判別装置及び作業工程判別システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231212BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20231212BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019221684
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021092868
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】今田 隆資
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101516(JP,A)
【文献】特開2011-184121(JP,A)
【文献】特開2020-052465(JP,A)
【文献】特開2018-163556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別装置であって、
前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれかを含むデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、
を備え
前記機械学習装置は、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師なし学習した学習モデルを生成する学習部を備え、
前記学習部は、
前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、
前記作業に係るデータをクラスタ分析して、前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、
前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、
を備える作業工程判別装置。
【請求項2】
産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別装置であって、
前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれか、及び前記作業工程の区切りに係る情報を含むデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、
を備え
前記機械学習装置は、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師あり学習した学習モデルを生成する学習部を備え、
前記学習部は、
前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、
前記作業に係るデータから前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、
前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、
を備える作業工程判別装置。
【請求項3】
産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別装置であって、
前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれかを含むデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、
を備え
前記機械学習装置は、
操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を学習した学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
データ取得部が取得したデータに基づいて、前記学習モデル記憶部に記憶されている学習モデルを用いた前記作業工程の区切りの判別処理を実行する作業工程判別部と、
を備える作業工程判別装置。
【請求項4】
産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別システムであって、
前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれかを含むデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、
を備え
前記機械学習装置は、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師なし学習した学習モデルを生成する学習部を備え、
前記学習部は、
前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、
前記作業に係るデータをクラスタ分析して、前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、
前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、
を備える作業工程判別システム。
【請求項5】
産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別システムであって、
前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれか、及び前記作業工程の区切りに係る情報を含むデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、
を備え
前記機械学習装置は、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師あり学習した学習モデルを生成する学習部を備え、
前記学習部は、
前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、
前記作業に係るデータから前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、
前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、
を備える作業工程判別システム。
【請求項6】
産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別システムであって、
前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれかを含むデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、
を備え
前記機械学習装置は、
前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師なし学習した学習モデルを生成する学習部を備え、
前記学習部は、
前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、
前記作業に係るデータをクラスタ分析して、前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、
前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、
を備える作業工程判別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業工程判別装置及び作業工程判別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の製造現場では、製造ラインに設置されるロボットや工作機械等の産業機械の稼働状態を監視し、産業機械の稼働状態を管理する装置が導入されている(例えば、特許文献1等)。産業機械の稼動を監視する際には、該産業機械の加工運転が行われていない「停止中」の状態において、作業者が何をしているのか詳細を知りたいという要望がある。産業機械が「停止中」だが人がその産業機械前で作業している場合に、どのような作業に時間がかかっているかを知りたいという要望がある。
【0003】
図10は、稼働管理システムにより管理される産業機械の稼働状態を表示した例である。図10において、11月28日10時35分52秒~12時58分07秒までの間、設備0001の産業機械は電源は入っているが動作が停止している。通常、産業機械の運転中は、該産業機械から取得されるデータに基づいてどのような作業を行っているのかを判別することができる。しかしながら、産業機械の停止中は、その作業内容を判別するためのデータを十分に取得できない。そのため、何らかの形で作業内容を判別したいという要望がある。以後、人の作業における各々の段階を作業工程と呼ぶ。
【0004】
作業工程の判別の手段として以下のような方法がある。産業機械の操作盤等に作業工程の内容を示すボタン(例えば、「ワーク運搬中」、「工具交換中」、「寸法出し中」等のボタン)を用意し、作業者が作業工程毎に当該ボタンを押す。そして稼動監視システムは、ボタンのON/OFF信号を検出することで、作業者による作業工程を判別することができ、それぞれの作業工程に掛かった時間を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-174969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作業工程を判別するために作業者に操作させるような構成とした場合、作業工程毎に何かしらの操作しなければならないため手間がかかるという課題がある。また、作業工程を細やかに管理しようとした場合、作業工程が変わるたびに毎回の作業者は作業工程を知らせる操作をしなければならなくなるため、作業者の負担が増加する。
そのため、作業者に負担をかけずに作業工程を判別することを可能とする技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業工程判別装置及び作業工程判別システムでは、産業機械を制御する制御装置から取得した操作履歴情報や、該産業機械の周辺に設置された各センサによる機械周辺の情報を取得し、取得した情報を用いた機械学習を行うことで、操作履歴情報及び機械周辺情報と、作業工程との間の相関性を学習する。そして、その学習結果を用いて、産業機械の停止中であっても作業者がどのような作業工程にあるのかを判別できるようにする。
【0008】
本発明の作業工程判別装置及び作業工程判別システムには、少なくとも学習手法として教師なし学習を用いる実施形態と、教師あり学習を用いる実施形態とがある。
教師なし学習を用いる実施形態では、人が作業を行う。作業中の機械周辺情報を入力データとして、機械学習を行い、機械学習装置が毎回行われる共通の処理の抽出と、その処理中の機械周辺情報の特徴を抽出して、作業工程の区切りを判別する。
一方、教師あり学習を用いる実施形態では、学習フェーズにおいて、作業中に作業工程の区切れになったら、作業者がボタン等で作業工程の内容とタイミングを教える。これを教師データとして学習をすることで、操作履歴情報及び機械周辺情報と、作業工程との間の相関性を学習する。
【0009】
そして、本発明の一態様は、産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別装置であって、前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれかを含むデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、を備え、前記機械学習装置は、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師なし学習した学習モデルを生成する学習部を備え、前記学習部は、前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、前記作業に係るデータをクラスタ分析して、前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、を備える作業工程判別装置である。
本発明の他の態様は、産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別装置であって、前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれか、及び前記作業工程の区切りに係る情報を含むデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、を備え、前記機械学習装置は、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師あり学習した学習モデルを生成する学習部を備え、前記学習部は、前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、前記作業に係るデータから前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、を備える作業工程判別装置である。
本発明の他の態様は、産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別装置であって、前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれかを含むデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、を備え、前記機械学習装置は、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を学習した学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、データ取得部が取得したデータに基づいて、前記学習モデル記憶部に記憶されている学習モデルを用いた前記作業工程の区切りの判別処理を実行する作業工程判別部と、を備える作業工程判別装置である。
【0010】
本発明の他の態様は、産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別システムであって、前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれかを含むデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、を備え、前記機械学習装置は、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師なし学習した学習モデルを生成する学習部を備え、前記学習部は、前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、前記作業に係るデータをクラスタ分析して、前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、を備える作業工程判別システムである。
本発明の他の態様は、産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別システムであって、前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれか、及び前記作業工程の区切りに係る情報を含むデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、を備え、前記機械学習装置は、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師あり学習した学習モデルを生成する学習部を備え、前記学習部は、前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、前記作業に係るデータから前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、を備える作業工程判別システムである。
本発明の他の態様は、産業機械を制御する制御装置を用いた作業における作業工程を判別する作業工程判別システムであって、前記制御装置の操作履歴情報及び前記産業機械の周辺状態をセンサで検出した機械周辺情報の少なくともいずれかを含むデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとに係る機械学習の処理を実行する機械学習装置と、を備え、前記機械学習装置は、前記データ取得部が取得したデータを分析して、操作履歴情報及び機械周辺情報の少なくともいずれかと、前記作業工程の区切りとの間の相関性を教師なし学習した学習モデルを生成する学習部を備え、前記学習部は、前記データ取得部が取得したデータから前記作業に係るデータを抽出する作業抽出部と、前記作業に係るデータをクラスタ分析して、前記作業工程の区切りの特徴を抽出する特徴抽出部と、前記作業工程の区切りの特徴に基づいて評価式を作成する評価式作成部と、を備える作業工程判別システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様により、作業者の手を煩わせなくとも、機械が”停止中”の状態における、作業者の作業内容が判別できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による作業工程判別装置の概略的なハードウェア構成図である。
図2】第1実施形態による作業工程判別装置の概略的な機能ブロック図である。
図3】作業抽出部の動作について説明する図である。
図4】特徴抽出部の動作について説明する図である。
図5】第2実施形態による作業工程判別装置の概略的な機能ブロック図である。
図6】作業工程の判別結果について説明する図である。
図7】第2実施形態による作業工程判別装置の変形例の概略的な機能ブロック図である。
図8】第3実施形態による作業工程判別装置の概略的な機能ブロック図である。
図9】他の実施形態による作業工程判別システムの概略的な機能ブロック図である。
図10】従来技術による稼働管理システムにより管理される産業機械の稼働状態の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の一実施形態による作業工程判別装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。本発明の作業工程判別装置1は、例えば産業機械を制御する制御装置として実装することができる。また、本発明の作業工程判別装置1は、産業機械を制御する制御装置に併設されたパソコンや、有線/無線のネットワークを介して制御装置と接続されたパソコン、セルコンピュータ、フォグコンピュータ、クラウドサーバの上に実装することができる。本実施形態では、作業工程判別装置1を、産業機械を制御する制御装置とネットワーク介して接続されたパソコンの上に実装した例を示す。
【0014】
本実施形態による作業工程判別装置1が備えるCPU11は、作業工程判別装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、バス22を介してROM12に格納されたシステム・プログラムを読み出し、該システム・プログラムに従って作業工程判別装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ、及び外部から入力された各種データ等が一時的に格納される。
【0015】
不揮発性メモリ14は、例えば図示しないバッテリでバックアップされたメモリやSSD(Solid State Drive)等で構成され、作業工程判別装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される。不揮発性メモリ14には、インタフェース15を介して外部機器72から読み込まれたデータ、入力装置71を介して入力されたデータ、インタフェース20を介して制御装置3やセンサ6等から取得されたデータ等が記憶される。不揮発性メモリ14に記憶されたデータは、実行時/利用時にはRAM13に展開されても良い。また、ROM12には、公知の解析プログラムなどの各種システム・プログラムがあらかじめ書き込まれている。
【0016】
インタフェース15は、作業工程判別装置1のCPU11とUSB装置等の外部機器72と接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは、例えば他の産業機械等で取得されたデータ等を読み込むことができる。また、作業工程判別装置1内で処理されたデータ等は、外部機器72を介して外部記憶手段に記憶させることができる。
【0017】
インタフェース20は、作業工程判別装置1のCPU11と有線乃至無線のネットワーク5とを接続するためのインタフェースである。ネットワーク5には、制御装置3やフォグコンピュータ、クラウドサーバ等が接続され、作業工程判別装置1との間で相互にデータのやり取りを行っている。制御装置3が制御する産業機械4の周辺にはカメラや音センサ、振動センサ、近接センサ等のセンサ6が設置されており、産業機械4の周辺の情報を観測できるようになっている。インタフェース20は、ネットワーク5を介して制御装置3に対する操作情報や産業機械4の周辺の情報を取得し、CPU11に渡す。
【0018】
表示装置70には、メモリ上に読み込まれた各データ、プログラム等が実行された結果として得られたデータ等がインタフェース17を介して出力されて表示される。また、キーボードやポインティングデバイス等から構成される入力装置71は、インタフェース18を介して作業工程判別装置1に対する操作に基づく指令、データ等を受付、CPU11に渡す。
【0019】
インタフェース21は、作業工程判別装置1と機械学習装置100とを接続するためのインタフェースである。機械学習装置100は、機械学習装置100全体を統御するプロセッサ101と、システム・プログラム等を記憶したROM102、機械学習に係る各処理における一時的な記憶を行うためのRAM103、及び学習モデル等の記憶に用いられる不揮発性メモリ104を備える。機械学習装置100は、インタフェース21を介して作業工程判別装置1で取得可能な各情報(制御装置3の操作履歴情報や産業機械4の周辺情報等)を観測することができる。また、作業工程判別装置1は、インタフェース17を介して機械学習装置100から出力される情報を取得し、不揮発性メモリ14に記憶したり、表示装置50に表示したりする。
【0020】
図2は、本発明の第1実施形態による作業工程判別装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による作業工程判別装置1が備える各機能は、図1に示した作業工程判別装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、作業工程判別装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0021】
本実施形態の作業工程判別装置1は、データ取得部110、学習部106、表示部120を備える。また、作業工程判別装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、入力装置71、外部機器72、制御装置3等から取得したデータを記憶するための領域としての取得データ記憶部200が予め設けられている。更に、作業工程判別装置1が備える機械学習装置のRAM103乃至不揮発性メモリ104には、学習部106が作成した学習モデルを記憶するための領域としての学習モデル記憶部220が予め用意されている。
【0022】
データ取得部110は、図1に示した作業工程判別装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース15、18又は20を用いた入力制御処理とが行われることで実現される。データ取得部110は、作業者による制御装置3の操作履歴情報、センサ6により検出された産業機械4の機械周辺情報等のデータを取得する。データ取得部110が取得するデータが操作履歴情報である場合には、該操作履歴に含まれる各操作が行われた時刻が関連付けられて取得データ記憶部200に記憶される。また、データ取得部110が取得するデータがセンサ6が検出した機械周辺情報である場合には、該機械周辺情報が検出された時刻が関連付けられて取得データ記憶部200に記憶される。操作履歴情報は、単独のボタン操作やポインティングデバイスの操作を1つの単位操作として記憶しても良いが、「工具オフセットの変更」、「プログラム運転」等のように、作業の中で意味を持つ所定の操作群をまとめて1つの単位操作として記憶するようにすることが望ましい。また、機械周辺情報は、作業者の立ち位置(産業機械4、制御装置3の操作盤、作業台等、いずれの設備のそばにいるのか)、工具ホルダや機械扉等、産業機械4の周辺装置の動作状態、産業機械4の周辺の音等を、それぞれの状態が変化したことを情報の単位として記憶することが望ましい。データ取得部110は、ネットワーク5を介して制御装置3から直接データを取得しても良い。データ取得部110は、外部機器72や、図示しないフォグコンピュータ、クラウドサーバ等が既に取得して記憶しているデータを取得しても良い。
【0023】
学習部106は、図1に示した作業工程判別装置1が備える機械学習装置100のプロセッサ101がROM102から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてプロセッサ101によるRAM103、不揮発性メモリ104を用いた演算処理が行われることで実現される。本実施形態による学習部106は、データ取得部110が取得し、取得データ記憶部200に記憶された操作履歴情報、機械周辺情報等のデータに基づく教師なし学習を行う。学習部106は、教師なし学習を行うことで、操作履歴情報及び機械周辺情報と、作業工程の区切りとの間の相関性を学習した学習モデルを生成し、学習モデル記憶部220に記憶する。本実施形態による学習部106は、作業抽出部107、特徴抽出部108、評価式作成部109を備える。
【0024】
作業抽出部107は、取得データ記憶部200に記憶されたデータを分析し、操作履歴情報や機械周辺情報等のデータで示される作業を抽出する。作業抽出部107は、同時刻における操作履歴情報や機械周辺情報等のデータ値を要素とするベクトルデータを作成する。作業抽出部107は、操作履歴情報や機械周辺情報等のデータ値について、いずれかのデータ値に変化が生じた時の各データ値の組から1つのベクトルデータを作成しても良い。また、作業抽出部107は、所定の動作を検出したタイミングにおけるデータ値の組から1つのベクトルデータを作成しても良い。図3は、作業抽出部107が作成するベクトルデータの例を示している。図3の例では、例えばベクトルデータv2は、ワークが検出されたタイミングにおける、操作履歴、作業者の位置、ワークの位置、工具ホルダの動作、機械周辺の音のデータ値の組から作成されたものである。また、ベクトルデータv3は、工具ホルダの動作が検出されたタイミングにおける、操作履歴、作業者の位置、ワークの位置、工具ホルダの動作、機械周辺の音のデータ値の組から作成されたものである。各ベクトルデータは、所定のタイミングにおける作業者による作業を示すデータである。
【0025】
特徴抽出部108は、作業抽出部107が作成したベクトルデータに対して公知のクラスタ分析の技術を適用し、ベクトルデータのクラスタを作成する。そして、作成したクラスタから、それぞれの作業の特徴を抽出する。図4は、特徴抽出部108が作成するクラスタの例を示す図である。なお、図4では、操作履歴、作業者の位置、機械周辺の音を各要素としたベクトル空間において作成されるクラスタを例としているが、実際には操作履歴情報や機械周辺情報等のデータの種類の数の次元のベクトル空間となる。このようなクラスタを作成することで、クラスタに属するベクトルデータは定常的に行われる作業を、クラスタに属しないベクトルデータは非定常的な作業を示すことが分析できる。また、クラスタに属するベクトルデータの間に所定の数以上の時間的推移がある場合、その間の推移を作業工程として分析することができる。そして、特徴抽出部108は、作業工程の前にあるクラスタと、作業工程の後ろにあるクラスタとの間で変化があったベクトルデータの要素値を、作業工程を区切る特徴として抽出することができる。
【0026】
評価式作成部109は、特徴抽出部108が抽出した作業工程を区切る特徴に基づいて、作業工程を区切る作業に関する評価式を作成する。評価式作成部109は、特徴抽出部108が分析した作業工程の終了時におけるデータ値の変化乃至所定の動作を高く評価する式として定義できる。例えば、評価式作成部109は、以下に示す数1式を評価式として作成する。数1式において、α1~αnは重み係数であり、重み係数の後ろに記載された(IF~THEN~ELSE)文は、ベクトルデータの所定の要素に所定の値が現れた場合に1となる関数を意味している。
【0027】
【数1】
【0028】
数1式の例では、評価式作成部109は、作業抽出部107が作業工程を区切る特徴として抽出したベクトルデータの要素値に係る重み係数を高い重みとし、それ以外の重み係数を低い重みとした評価式を作成する。評価式作成部109は、作成した評価式を学習モデル記憶部220に記憶する。
【0029】
表示部120は、図1に示した作業工程判別装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース17を用いた入力制御処理とが行われることで実現される。表示部120は、特徴抽出部108が作成したクラスタや、評価式作成部109が作成した評価式を表示装置70に表示する。表示部120が表示した評価式等については、例えば入力装置71の操作に基づいて修正等を加えることができるようにしても良い。
【0030】
上記構成を備えた本実施形態による作業工程判別装置1は、産業機械4を制御する制御装置3から収集された操作履歴情報及び機械周辺情報等のデータを分析し、作業工程の区切りを判定するための評価式を学習モデルとして作成する。学習モデルとしての評価式を作成する際には、工場等の現場で日常的に行われている作業から取得された大量のデータを用いることが望ましい。この評価式を用いることで、産業機械が加工運転されていない場合であっても、作業者の手をわずらわせること無く作業者の作業工程の区切りを自動的に判別することが可能となる。
【0031】
図5は、本発明の第2実施形態による作業工程判別装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による作業工程判別装置1が備える各機能は、図1に示した作業工程判別装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、作業工程判別装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0032】
本実施形態の作業工程判別装置1は、データ取得部110、作業工程判別部112、表示部120を備える。また、作業工程判別装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、制御装置3等から取得したデータを記憶するための領域としての取得データ記憶部200が予め設けられている。更に、作業工程判別装置1が備える機械学習装置のRAM103乃至不揮発性メモリ104には、第1実施形態による学習部106が作成した学習モデルを記憶した領域としての学習モデル記憶部220が予め用意されている。
【0033】
本実施形態によるデータ取得部110は、第1実施形態によるデータ取得部110と同様の機能を備える。
【0034】
作業工程判別部112は、学習モデル記憶部220に記憶される学習モデルを用いて、データ取得部110が取得した操作履歴情報及び機械周辺情報等のデータを分析し、作業工程の区切りを判別する。作業工程判別部112は、データ取得部が取得した操作履歴情報及び機械周辺情報等のデータについて、同時刻における操作履歴情報や機械周辺情報等のデータ値を要素とするベクトルデータを作成する。次に、作業工程判別部112は、作成したベクトルデータを学習モデル記憶部220に記憶される評価式に代入して評価値を算出する。そして、算出した評価値が、予め定めた所定の閾値以上である場合に、そのベクトルデータが検出された時点を作業工程の区切りとして判別する。
【0035】
そして、表示部120は、例えば図6に例示されるように、作業工程判別部112が判別した作業工程の区切りが把握できるように、作業者による各作業工程を表示装置70に表示する。表示部120は、入力装置71を操作してそれぞれの作業工程を選択された場合に、該作業工程に入った際の区切りに係る情報(ベクトルデータのいずれの要素値の変化に基づいて区切りと判断されたのか等)を画面上に表示するようにしても良い。
【0036】
上記構成を備えた本実施形態による作業工程判別装置1は、第1実施形態による作業工程判別装置1が生成した学習モデルを用いることで、産業機械が加工運転されていない場合であっても、作業者の作業工程の区切りを判別することができる。図6に例示される表示を見た現場の管理者は、それぞれの作業工程の区切りを確認し、その内容に応じてそれぞれの作業工程においてどのような作業がなされているのか(例えば、工具交換なのか、寸法出しなのか、など)を判断することができ、必要に応じてその作業工程の情報を設定(意味づけ)することも容易に行うことができる。
【0037】
本実施形態による作業工程判別装置1の一変形例として、典型的な作業工程の区切りと作業工程の内容との関係を定めるルールを予め定義しておき、ある程度自動的に作業工程の情報を設定するように構成しても良い。例えば、図7に例示されるように、作業工程判別装置1が備えるRAM13乃至不揮発性メモリ14に、作業工程に入った際の区切りに係る情報(ベクトルデータのいずれの要素値の変化に基づいて区切りと判断されたのか、等)と作業工程との関係を定義するルールを記憶する作業工程ルール記憶部210を設け、そこに典型的なルール(例えば、作業工程の区切りにおいて工具ホルダが回転した場合には工具交換の作業工程である等)を1乃至複数定義しておく。そして、作業工程判別部112が作業工程の区切りを判別した際に、作業工程ルール記憶部210を参照し、いずれかのルールに適合した場合には当該作業工程を当該ルールにしたがって意味づけするようにしても良い。このような構成を設けることで、すべての作業工程を判別することは難しくても、典型的な作業工程に関しては自動的に意味づけすることが可能となる。
【0038】
図8は、本発明の第3実施形態による作業工程判別装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による作業工程判別装置1が備える各機能は、図1に示した作業工程判別装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、作業工程判別装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0039】
本実施形態の作業工程判別装置1は、第1実施形態による作業工程判別装置1と同様に、データ取得部110、学習部106、表示部120を備える。また、作業工程判別装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、入力装置71、外部機器72、制御装置3等から取得したデータを記憶するための領域としての取得データ記憶部200が予め設けられている。更に、作業工程判別装置1が備える機械学習装置のRAM103乃至不揮発性メモリ104には、学習部106が作成した学習モデルを記憶するための領域としての学習モデル記憶部220が予め用意されている。
【0040】
本実施形態によるデータ取得部110は、作業者による制御装置3の操作履歴情報、センサ6により検出された産業機械4の機械周辺情報等のデータを取得する。また、本実施形態によるデータ取得部110は、入力装置71から、制御装置3の操作履歴情報、センサ6により検出された産業機械4の機械周辺情報等のデータに対する作業工程の区切りに係る情報を取得する。データ取得部110が取得する作業工程の区切りに係る情報には、作業工程の区切りとする時刻情報を含んでいても良い。また、データ取得部110が取得する作業工程の区切りに係る情報には、作業工程における作業内容を示す情報を含んでいても良い。データ取得部110が取得した作業工程の区切りにかかる情報は、操作履歴情報や機械周辺情報等のデータに関連付けて、取得データ記憶部200に記憶される。
【0041】
本実施形態による学習部106は、データ取得部110が取得し、取得データ記憶部200に記憶された操作履歴情報、機械周辺情報等のデータ、及び作業工程の区切りに係る情報に基づく教師あり学習を行う。学習部106は、教師あり学習を行うことで、操作履歴情報及び機械周辺情報と、作業工程の区切りとの間の相関性を学習した学習モデルを生成し、学習モデル記憶部220に記憶する。本実施形態による学習部106は、作業抽出部107、特徴抽出部108、評価式作成部109を備える。
【0042】
本実施形態による作業抽出部107は、取得データ記憶部200に記憶されたデータを分析し、操作履歴情報や機械周辺情報等のデータで示される作業を抽出する。本実施形態による作業抽出部107は、作業工程の区切りに係る情報と関連付けられている操作履歴情報や機械周辺情報等のデータについて、第1実施形態による作業抽出部107と同様の処理によりベクトルデータの作成をすることで、作業の抽出を行う。
【0043】
本実施形態による特徴抽出部108は、作業抽出部107が作成したベクトルデータから、それぞれの作業の特徴を抽出する。本実施形態による特徴抽出部108が作業の特徴を抽出するベクトルデータには、作業工程の区切りに係る情報が関連付けられている。本実施形態による特徴抽出部108は、同じ作業内容の作業工程について、その作業工程の区切りの前後で変化があったベクトルデータの要素値を、作業工程を区切る特徴として抽出する。
【0044】
評価式作成部109は、特徴抽出部108が抽出した作業工程を区切る特徴に基づいて、作業工程を区切る作業に関する評価式を作成する。本実施形態による評価式作成部109は、第1実施形態による評価式作成部109と同様の機能を備える。
【0045】
表示部120は、特徴抽出部108が作成したクラスタや、評価式作成部109が作成した評価式を表示装置70に表示する。表示部120が表示した評価式等については、例えば入力装置71の操作に基づいて修正等を加えることができるようにしても良い。
【0046】
上記構成を備えた本実施形態による作業工程判別装置1は、収集された操作履歴情報や機械周辺情報等のデータに対して、例えば作業工程の管理者が作業工程に係る情報を入力する。そして、入力された作業工程にかかる情報を用いて、操作履歴情報及び機械周辺情報等のデータを分析し、作業工程の区切りを判定するための評価式を学習モデルとして作成する。また、管理者により入力された作業工程にかかる情報を用いるため、手間はかかるものの第1実施形態による作業工程判別装置1が作成する学習モデルと比較して、より制度の高い学習モデルを作成できることが期待される。この評価式を用いることで、産業機械が加工運転されていない場合であっても、作業者の手をわずらわせること無く作業者の作業工程の区切りを自動的に判別することが可能となる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
例えば、上記した実施形態では作業工程の判別に必要な構成を1つの作業工程判別装置1上に実装した例を示したが、本発明は、図9に例示されるように、ネットワークを介して相互に接続された複数の装置上に作業工程の判別に必要とされる構成を分散して配置した作業工程判別システム500として構成しても良い。図9の例では、クラウドサーバ8の上に学習部106と学習モデル記憶部220を配置し、フォグコンピュータ7上に作業工程判別部112を配置している。なお、図示はしていないがクラウドサーバ8,フォグコンピュータ7はそれぞれデータ取得部110を備えている。学習部106は、ネットワークを介して多くの現場に設置されている制御装置3から操作履歴情報及び機械周辺情報等のデータを収集し、収集した大量のデータに基づいて学習モデルを生成することができる。また、作業工程判別部112は、ネットワークを介してクラウドサーバ8により共有される学習モデルを取得し、各制御装置3での作業工程を判別することが可能となる。なお、各機能をどのように分散配置するのかについては、図9の例に限定されない。
【符号の説明】
【0048】
1 作業工程判別装置
3 制御装置
4 産業機械
5 ネットワーク
6 センサ
7 フォグコンピュータ
8 クラウドサーバ
9 セル
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15,17,18,20 インタフェース
22 バス
70 表示装置
71 入力装置
72 外部機器
100 機械学習装置
101 プロセッサ
102 ROM
103 RAM
104 不揮発性メモリ
106 学習部
107 作業抽出部
108 特徴抽出部
109 評価式作成部
112 作業工程判別部
110 データ取得部
200 取得データ記憶部
210 作業工程ルール記憶部
220 学習モデル記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10