(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】加速度センサ
(51)【国際特許分類】
G01P 15/08 20060101AFI20231212BHJP
G01P 15/18 20130101ALI20231212BHJP
【FI】
G01P15/08 102Z
G01P15/18
(21)【出願番号】P 2019224381
(22)【出願日】2019-12-12
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 正吾
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-174910(JP,A)
【文献】特表2012-510074(JP,A)
【文献】特開2013-217838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00-21/02
G01H 1/00-17/00
G01C 9/00- 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度を検知するセンサユニットが用いられる加速度センサであって、
前記センサユニットが内部に固定された本体と、
前記本体の第1の方向に沿った一方の側において、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って、前記本体から離間する側に向けて前記本体から延伸する第1支持部と、
前記第1支持部において前記第1の方向に沿った前記一方の側と反対側である他方の側、かつ前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向に沿った端部側において前記第1支持部と連結され、前記本体から離間する側かつ前記第1の方向に沿った前記他方の側に向けて前記本体から延伸する第2支持部と、
前記本体における前記第1の方向に沿った前記他方の側における面から当該他方の側に向けて引き出され、前記センサユニットの出力を外部に取り出すケーブル線と、
を具備
し、
前記第1の方向に沿って前記第1支持部を貫通する第1固定用開口が前記第1支持部に、前記第3の方向に沿って前記第2支持部を貫通する第2固定用開口が前記第2支持部に、それぞれ設けられ、
前記第1支持部及び前記第2支持部を、前記本体の前記第2の方向における両側にそれぞれ具備し、
前記本体において、前記センサユニットは、前記第3の方向から見て両側の前記第2固定用開口を結ぶ直線上における両側の前記第2固定用開口の中間の位置にあり、かつ前記第1の方向から見て両側の前記第1固定用開口を結ぶ直線上における両側の前記第1固定用開口の中間の位置にあることを特徴とする加速度センサ。
【請求項2】
前記第1の方向に沿った前記一方の側において、両側の前記第1支持部の各々、前記本体、のうちの少なくともいずれか2つにおける前記一方の側の表面の一部同士によって共通の平面である第1の平面が構成され、
前記第3の方向に沿った前記端部側において、両側の前記第2支持部の各々、前記本体、のうちの少なくともいずれか2つの前記端部側の表面の一部同士によって共通の平面でありかつ前記第1の平面と交差する第2の平面が構成されることを特徴とする請求項
1に記載の加速度センサ。
【請求項3】
前記本体は、前記第1の方向、前記第2の方向、及び前記第3の方向に沿った辺を具備する略矩形体形状を呈し、前記第1の方向は前記本体の長手方向であることを特徴とする請求項
2に記載の加速度センサ。
【請求項4】
前記センサユニットが搭載された、前記第1の方向及び前記第2の方向に沿って広がる板状のセンサ基板が前記本体の内部において固定
されたことを特徴とする請求項
3に記載の加速度センサ。
【請求項5】
前記センサ基板には、前記センサ基板を前記第3の方向に沿って貫通するセンサ基板固定用開口が2つ形成され、前記センサ基板は、前記センサ基板固定用開口に固定具を係合させることによって前記本体に対して固定され、
前記第3の方向からみて、前記センサユニットは、2つの前記センサ基板固定用開口の中間の位置に固定されたことを特徴とする請求項
4に記載の加速度センサ。
【請求項6】
前記第3の方向からみて、2つの前記センサ基板固定用開口を結ぶ方向は、前記第1の方向及び前記第2の方向と交差することを特徴とする請求項
5に記載の加速度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの動作の制御等に用いられる加速度センサの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な動作をするロボットを制御するために、ロボットにおいて駆動される各構成要素に加速度センサが設置されることによって、各動作が適正に認識され、認識された動作がフィードバックされて適正な制御が行われる。一般的に、加速度センサが検出する加速度の方向は予め定められているため、加速度センサが検出する加速度の方向と、制御のために検出すべき加速度の方向とが一致するように、加速度センサはロボットの各部に設置される。
【0003】
特許文献1に記載の技術においては、その中心軸方向の加速度が検出可能とされた円筒形状の加速度センサがハウジングの振動を検知するために用いられる。この加速度センサは、平面状のハウジングに対して、加速度センサの中心軸がこの平面の法線方向となるように、このハウジングに対して固定される。加速度センサのハウジングに対する固定は、中心軸(法線)方向に沿ったネジ等によって行われる。また、加速度センサからの出力を取り出すためのケーブル線等は中心軸と平行、あるいは垂直な方向において、ハウジングと干渉しないように引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば多くの関節が用いられ複雑な動きをするロボットに対して加速度センサを装着する場合には、単純な平板状のハウジングの法線方向の動き(振動)を検知する特許文献1に記載された構成とは異なり、加速度センサあるいはその設置の態様に対して多くの制限が加わる。
【0006】
例えば、固定された加速度センサ自身やこれから取り出されるケーブル線は、ロボットの動きに対して悪影響を及ぼさないことが要求される。このためには、加速度センサが設置される箇所毎に、ケーブルの引き出し方向や加速度センサを固定するネジの方向は制限される。このため、多くの箇所にそれぞれ加速度センサを設置する場合、設置される箇所毎に異なる仕様の加速度センサを用いることが必要になった。これにより、加速度センサ(部品)の共通化を図ることが困難となり、このロボットが用いられる装置を安価とすることが困難となった。
【0007】
このため、状況に応じて様々な態様で設置が可能な加速度センサが望まれた。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、状況に応じて様々な態様で設置が可能な加速度センサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る加速度センサは、加速度を検知するセンサユニットが用いられる加速度センサであって、前記センサユニットが内部に固定された本体と、前記本体の第1の方向に沿った一方の側において、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って、前記本体から離間する側に向けて前記本体から延伸する第1支持部と、前記第1支持部において前記第1の方向に沿った前記一方の側と反対側である他方の側、かつ前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向に沿った端部側において前記第1支持部と連結され、前記本体から離間する側かつ前記第1の方向に沿った前記他方の側に向けて前記本体から延伸する第2支持部と、前記本体における前記第1の方向に沿った前記他方の側における面から当該他方の側に向けて引き出され、前記センサユニットの出力を外部に取り出すケーブル線と、を具備し、前記第1の方向に沿って前記第1支持部を貫通する第1固定用開口が前記第1支持部に、前記第3の方向に沿って前記第2支持部を貫通する第2固定用開口が前記第2支持部に、それぞれ設けられ、前記第1支持部及び前記第2支持部を、前記本体の前記第2の方向における両側にそれぞれ具備し、前記本体において、前記センサユニットは、前記第3の方向から見て両側の前記第2固定用開口を結ぶ直線上における両側の前記第2固定用開口の中間の位置にあり、かつ前記第1の方向から見て両側の前記第1固定用開口を結ぶ直線上における両側の前記第1固定用開口の中間の位置にある。
【0010】
この構成においては、加速度を検出すべき対象となる部材に対して、第1支持部、第2支持部のうちのいずれかを選択して固定することによって、固定時の加速度センサの態様を選択することができる。これによって、同一の加速度センサを、様々な態様で様々な箇所に固定することができる。
また、この構成によれば、第1固定用開口に固定具(ビス)を挿通させる、あるいは第2固定用開口に固定具を挿通させることによって、第1支持部あるいは第2支持部を部材に対して容易に固定することができる。
また、この構成によれば、どちらの態様においても、加速度センサを部材に対して安定して強固に固定することができる。また、本体の内部に固定されたセンサユニットの振動を抑制することができるため、加速度の検出精度を高くすることもできる。
また、この構成においては、加速度センサの部材への固定に際して固定具が係止される2つの第2固定用開口、2つの第1固定用開口の中間の位置にセンサユニットが固定されるため、前記のどちらの態様においても、部材に対するセンサユニットの振動が抑制される。このため、加速度の検出精度を特に高くすることができる。
【0013】
また、前記第1の方向に沿った前記一方の側において、両側の前記第1支持部の各々、前記本体、のうちの少なくともいずれか2つにおける前記一方の側の表面の一部同士によって共通の平面である第1の平面が構成され、前記第3の方向に沿った前記端部側において、両側の前記第2支持部の各々、前記本体、のうちの少なくともいずれか2つの前記端部側の表面の一部同士によって共通の平面でありかつ前記第1の平面と交差する第2の平面が構成されていてもよい。
この構成によれば、どちらの態様においても、加速度センサ側の表面(第1の平面、第2の平面)と部材の表面とを密着させることができるため、加速度センサを特に安定して部材に設置することができる。
【0014】
また、前記本体は、前記第1の方向、前記第2の方向、及び前記第3の方向に沿った辺を具備する略矩形体形状を呈し、前記第1の方向は前記本体の長手方向であってもよい。
この構成においては、本体が単純な略矩形体形状とされるため、前記のように第1の平面、第2の平面を構成することが特に容易である。また、この場合には本体の長手方向を第1の方向とすることによって、前記の2つの態様における加速度センサの状態の差異が顕著となるため、特にこの2つの態様の使い分けをしやすくなる。
【0015】
また、前記センサユニットが搭載された、前記第1の方向及び前記第2の方向に沿って広がる板状のセンサ基板が前記本体の内部において固定されていてもよい。
【0016】
また、前記センサ基板には、前記センサ基板を前記第3の方向に沿って貫通するセンサ基板固定用開口が2つ形成され、前記センサ基板は、前記センサ基板固定用開口に固定具を係合させることによって前記本体に対して固定され、前記第3の方向からみて、前記センサユニットは、2つの前記センサ基板固定用開口の中間の位置に固定されていてもよい。
この構成においては、センサ基板の本体への固定に際して固定具が係止される2つのセンサ基板固定用開口の中間の位置にセンサユニットが固定されるため、本体に対するセンサユニットの振動が抑制される。このため、加速度の検出精度を特に高くすることができる。
【0017】
また、前記第3の方向からみて、2つの前記センサ基板固定用開口を結ぶ方向は、前記第1の方向及び前記第2の方向と交差してもよい。
センサ基板固定用開口をこうした構成とすることによって、特に略矩形体形状の本体の内部で、固定のための無駄なスペースを要することなく小型のセンサ基板を安定して固定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、状況に応じて様々な態様で設置が可能な加速度センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る加速度センサの構成を示す上面図(a)、左側面図(b)、正面図(c)である。
【
図2】実施形態に係る加速度センサが部材に対して固定される際の第1の態様を示す図である。
【
図3】実施形態に係る加速度センサが部材に対して固定される際の第2の態様を示す図である。
【
図4】実施形態に係る加速度センサが固定されて使用されるロボットの構成の例である。
【
図5】実施形態に係る加速度センサの内部構造を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る加速度センサ1の構成を示す上面図(a)、左側面図(b)、正面図(c)である。ここで、後述するように、この加速度センサ1は、実際には様々な態様で設置が可能であるため、「上面」、「左側面」、「正面」はここで便宜上定められた方向からみたことを意味する。ここでは、各図に示されるようにx、y、z軸が設定され、x軸の正方向からみた図を上面図、y方向正側からみた図を左側面図、z方向正側からみた図を正面図としている。
【0021】
この加速度センサ1は、後述するような、加速度を実際に検知するセンサユニットが形成されたセンサ基板を内部に有する略矩形体形状の本体10を具備する。本体10を構成する略矩形体の各辺はx、y、z軸のいずれかに平行とされる。この矩形体の各辺の長さは、x方向に沿った全長、y方向に沿った全長、z方向に沿った全長をそれぞれLx、Ly、Lzとすると、Lx>Ly>Lzとされる。
【0022】
図1(a)~(c)に示されるように、この加速度センサ1には、x方向(第1の方向)の正側(一方の側)端部において、x方向を厚さ方向とする板状の第1支持部11が、本体10からy方向(第2の方向)の両端側に向けてそれぞれ突出するように設けられている。各第1支持部11には、これをx方向で貫通する円形状の第1固定用開口11Aがそれぞれ形成されている。また、
図1(b)(c)に示されるように、第1支持部11のx方向の負側(他方の側)、かつz方向(第3の方向)の負側(端部側)において第1支持部11と連結されて、z方向を厚さ方向とする板状の第2支持部12が、本体10からy方向の両端側に向けてそれぞれ突出するように設けられている。各第2支持部12には、これをz方向で貫通する円形状の第2固定用開口12Aがそれぞれ形成されている。実際には、y方向における両端側のそれぞれにおいて、第1支持部11、これに隣接する第2支持部12、及び本体10は一体化されて構成されている。Lx、Ly、Lzの大小関係は前記の通りであるため、第1支持部11、第2支持部12は、本体10における長手方向における一端側に形成される。
【0023】
また、加速度センサ1から出力が取り出されるケーブル線20は、
図1(b)(c)に示されるように、本体10におけるx方向負側の表面からx方向負側に向けて取り出される。
【0024】
この加速度センサ1は、平面状の表面を具備する部材に対して異なる2つの態様で固定することができる。
図2は、このうちの第1の態様を示す。
図2は、第1支持部11をビス(固定具)100を用いて部材Oに対して固定することによって加速度センサ1を固定する場合のビス100のある箇所におけるx方向に沿った断面図(a)、y方向に沿った断面図(b)である。
【0025】
図2においては、ビス100が2つの第1固定用開口11Aをそれぞれx方向の負側から正側に向けて挿通した状態で、ビス100のx方向正側の端部が部材Oに設けられた孔部に螺合することによって、加速度センサ1が固定される。この加速度センサ1においては、第1支持部11のx方向正側の表面と本体10のx方向正側の表面は、共通の平面(第1の平面P1)を構成する。このため、部材Oの表面をこの第1の平面P1とした状態で、
図2に示されるように、加速度センサ1を安定して部材Oに固定することができる。
【0026】
一方、
図3は、もう一つの態様を示す。
図3は、第2支持部12をビス100を用いて部材Oに対して固定することによって加速度センサ1を固定する場合のビス100がある箇所におけるx方向に沿った断面図(a)、y方向に沿った断面図(b)である。この場合には、
図2の場合とは加速度センサ1の部材Oの表面に対する角度(姿勢)が90°異なる。
【0027】
図3においては、ビス100が2つの第2固定用開口12Aをそれぞれz方向の正側から負側に向けて挿通した状態で、ビス100のz方向負側の端部が部材Oに設けられた孔部に螺合することによって、加速度センサ1が固定される。この加速度センサ1においては、第2支持部12のz方向負側の表面と本体10の一部のz方向負側の表面は、共通の平面(第2の平面P2)を構成する。このため、部材Oの表面をこの第2の平面P2とした状態で、
図3に示されるように、加速度センサ1を安定して部材Oに固定することができる。第2の平面P2は第1の平面P1とは直交関係にある。
【0028】
図2の態様においては、加速度センサ1における部材Oからみた全高は高くなるが、部材Oと接する部分の幅を小さくすることができる。一方、
図3の態様においては、加速度センサ1における部材Oと接する部分の幅は大きくなるが、部材Oからみた全高を低くすることができる。
図2、3のどちらの態様においても、ケーブル線20は部材Oとは干渉しない。このため、どちらの態様によっても、加速度センサ1によって部材Oの加速度を検知することができる。この際、前記のようにセンサユニットがx、y、z軸の全ての方向に沿った加速度を検知することができるため、部材Oの表面の法線方向、あるいは表面の面内方向における加速度を検知することができる。
【0029】
図4は、この加速度センサ1が使用される例であるロボット200の構成を簡略化して示す図である。ここで、このロボット200は、基台部201側からみて、回転軸A1~A4と、これらの各回転軸周りで駆動されるアーム202~205を具備する。例えば回転軸A2周りの回転動作は、回転軸A2を中心軸としたプーリ206に対して掛け渡されたベルト207を駆動することによって行われる。プーリ206、ベルト207等は、長手方向(図中左右方向)に沿った断面積が小さく設定され回転軸A1によって駆動されるアーム202の内部に設けられる。また、回転軸A1、A2はそれぞれベアリング208、209によって回転自在に支持される。図示は省略されているが、他のアームの内部も同様の構造を具備する。
【0030】
上記の加速度センサ1をこのロボット200において使用する際に、例えば
図4におけるBの箇所(アーム202とアーム203が上下方向で近接する箇所)においてアーム202に固定する際には、加速度センサ1は、図中の下方側でアーム202に対して固定される。この際には、加速度センサ1の全高が上側でアーム203と干渉しないように低く設定されることが好ましい。この場合には、アーム202を
図3における部材Oとして
図3の態様とすることによって、アーム202からみた加速度センサ1の全高を低くすることができる。
【0031】
一方、例えば
図4におけるCの箇所(ベアリング208)においてベアリング208の外周部分に加速度センサ1を固定する場合には、加速度センサ1は、ベアリング208の側方に対して固定される。この場合においても、加速度センサ1がアーム202と干渉することを抑制するためには、
図4において加速度センサ1の上下方向の幅を小さくすることが好ましい。この場合には、ベアリング208側を
図2における部材Oとして
図2の態様とすることによって、加速度センサ1の幅を小さくすることができる。
【0032】
上記のどちらの場合においても、共通の加速度センサ1を用いることができる。この際、ケーブル線20を、第1支持部11、第2支持部12が設けられた側(z方向正側)と反対側(z方向負側)から取り出される構成とすることによって、上記のどちらの場合においても、アーム204とケーブル線20とが干渉することも抑制される。
【0033】
次に、加速度センサ1(本体10)の内部の構造について説明する。ここで使用されるセンサユニットはセンサ基板に搭載され、このセンサ基板が本体10の内部に固定されることによって、センサユニットが本体10に対して固定される。
図5は、この状態を示したz方向正側からみた加速度センサ1の透視図(a)、x方向負側からみた透視図である。ここでは、特にセンサ基板30と、これに搭載されたセンサユニット31の本体10内における位置が記載されている。なお、
図5(b)においては、ケーブル線20の記載は省略されている。
【0034】
センサ基板30は、xy方向に広がる表面を具備する板状であり、その中心付近にセンサユニット31が形成されている。センサユニット31は、例えば特開2007-107934号公報等に記載されたMEMS加速度センサとして知られるものであり、x、y、zそれぞれの方向の加速度を検知して電気的出力をする。この出力はケーブル線20を介して加速度センサ1の外部に取り出される。
図5(a)において、このセンサ基板30には、センサユニット31の左下と右上にそれぞれz方向でセンサ基板30を貫通するセンサ基板固定用開口30Aが形成されている。このため、
図2において第1支持部11、第2支持部12を部材Oに対して固定した場合と同様に、小型のビス(固定具)101を用いてセンサ基板30を本体10に対して固定することができる。
【0035】
ここで、加速度センサ1はこれが固定された部材Oの加速度を検知するために用いられるため、
図5において、センサユニット31が部材O、あるいは本体10に対して振動することは好ましくない。このためには、上記の構造において、センサユニット31の振動を発生しにくくする必要がある。
【0036】
このため、x方向からみた
図5(b)において、センサユニット31は、2つの第1固定用開口11Aの中間の位置にあり、かつz方向からみた
図5(a)において、センサユニット31は、2つの第1固定用開口12Aの中間の位置にあるように設定される。加速度センサ1は、
図2の場合には第1固定用開口11Aのある2箇所で部材Oに対して固定され、
図3の場合には第2固定用開口12Aのある2箇所で部材Oに対して固定されるため、こうした構成とすることによって、どちらの場合にもセンサユニット31が部材Oに対して振動することが抑制される。
【0037】
また、z方向からみた
図5(a)において、センサユニット31は、2つのセンサ基板固定用開口30Aの中間の位置にあるように設定される。これによって、センサユニット31が本体10に対して振動することも抑制される。この際、2つのセンサ基板固定用開口30Aを結ぶ直線は、x方向、y方向(すなわち、略矩形体形状の本体10を構成する辺の方向)のどちらとも交差する方向となる。センサ基板30、センサユニット31は小型であるのに対して、センサ基板30を本体10内に安定して固定するに際しては2つのセンサ基板固定用開口30Aの間隔を広くとることが好ましいが、こうした構成によって、小型のセンサ基板30を略矩形体形状の本体10内で安定して固定することができる。この際、固定のために余計なスペースを設けることも不要となる。
【0038】
上記の例においては、本体10は矩形体形状とされたが、本体10の形状は任意である。ただし、少なくとも
図2、
図3のどちらの場合においても、部材Oと当接する側の表面は略平面形状とされることが加速度センサを安定して設置するためには好ましい。また、前記の例ではLx(x方向に沿った長さ)>Ly(y方向に沿った長さ)>Lz(z方向に沿った長さ)とされたが、このような形態も適宜設定される。ただし、
図2、
図3に示される態様を使い分けることの効果を顕著とするためには、設置時における加速度センサの部材Oの表面からの突出量が
図2、
図3において大きく異なることが好ましい。このためには、前記のx方向(第1支持部、第2支持部がその一端側に形成され、かつケーブル線がその他端側に設けられた方向)が本体の長手方向であることが特に好ましい。
【0039】
また、上記の例では、第1支持部11における第1固定用開口11A、第2支持部12における第2固定用開口12Aにビス100を係合させることによって加速度センサ1が部材Oに対して固定される構成とされたが、第1支持部、第2支持部を部材に対して固定する手法として、他の周知の手法を用いることもできる。また、加速度センサが部材に対して安定して固定される限りにおいて、y方向における一方の側のみに第1支持部、第2支持部が設けられていてもよい。この場合、第1支持部と第2支持部を異なる側に設けることもできるが、これらを同一の側に設けることによってこれらを連結させて一体化することによって、第1支持部及び第2支持部の機械的強度を高めることができる。ただし、前記のようにセンサユニットの振動を抑制する観点からは、第1支持部、第2支持部を両側に設けた上記の構成が特に好ましい。
【0040】
また、前記の加速度センサ1においては、
図2に示されたように、x方向正側において、第1支持部11の表面と本体10の表面が、共通の平面である第1の平面P1を構成し、かつ
図3に示されたように、z方向負側において、第2支持部12のz表面と本体10の一部の表面は、共通の平面である第2の平面P2を構成した。この際、第1の平面P1と第2の平面P2とは直交するものとされたが、これらが厳密に直交する必要はなく、交差すれば同様の効果を奏することは明らかである。
【0041】
また、上記のようにx方向正側における両側の第1支持部の表面と本体の表面、z方向負側における両側の第2支持部の表面と本体の表面のそれぞれの全体が第1の平面、第2の平面を構成する必要はなく、各々の一部によって第1の平面、第2の平面が形成されることによって
図2、3に示された形態で加速度センサを設置することができればよい。このためには、例えば第1の平面について、両側の第1支持部の各々の表面の一部同士でのみ第1の平面が形成され本体の表面はこの第1の平面上になくともよい。あるいは、一方の第1支持部のみの表面の一部と本体の表面の一部とで第1の平面が形成されていてもよい。第2の平面についても同様である。すなわち、x方向正側においては、両側の第1支持部の各々、本体、のうちの少なくともいずれか2つにおけるx方向正側の表面の一部同士によって第1の平面が構成されればよい。同様に、z方向負側においては、両側の第2支持部の各々、本体、のうちの少なくともいずれか2つにおけるz方向負側の表面の一部同士によって第2の表面が構成されればよい。これによって、
図2、3と同様に加速度センサを安定して設置することができる。
【0042】
また、上記の例ではセンサユニット31はx、y、zの3方向の加速度を検知するものとしたが、少なくとも目的に応じた一方向の加速度が検出されればよい。ただし、
図2、3のどちらの態様でも部材Oにおける同じ方向の加速度を検知するためには、2方向以上の加速度が検知されることが特に好ましい。
【0043】
(本形態の主な特徴)
本実施形態の特徴を簡単に纏めると次の通りである。
(1)この加速度センサ1は、
加速度を検知するセンサユニット31が用いられ、センサユニット31が内部に固定された本体10と、本体10のx方向(第1の方向)に沿った正側(一方の側)において、y方向(第2の方向)に沿って、本体10から離間する側に向けて本体10から延伸する第1支持部11と、第1支持部11においてx方向に沿った負側(他方の側)、かつz方向(第3の方向)に沿った負側(端部側)において第1支持部11と連結され、本体10から離間する側かつx方向に沿った負側に向けて本体10から延伸する第2支持部12と、本体10におけるx方向に沿った負側における面からこの負側に向けて引き出され、センサユニット31の出力を外部に取り出すケーブル線20と、を具備する。
【0044】
この構成においては、加速度を検出すべき対象となる部材Oに対して、第1支持部11、第2支持部12のうちのいずれかを選択して固定することによって、固定時の加速度センサ1の態様を選択することができる。これによって、同一の加速度センサ1を、様々な態様で様々な箇所に固定することができる。
【0045】
(2)x方向に沿って第1支持部11を貫通する第1固定用開口11Aが第1支持部11に、z方向に沿って第2支持部12を貫通する第2固定用開口12Aが第2支持部12に、それぞれ設けられている。
この構成によれば、第1固定用開口11Aに固定具(ビス)100を挿通させる、あるいは第2固定用開口12Aに固定具100を挿通させることによって、第1支持部11あるいは第2支持部12を部材Oに対して容易に固定することができる。
【0046】
(3)第1支持部11及び第2支持部12を、本体10のy方向における両側にそれぞれ具備する。
この構成によれば、どちらの態様においても、加速度センサ1を部材Oに対して安定して強固に固定することができる。また、本体10の内部に固定されたセンサユニット31の振動を抑制することができるため、加速度の検出精度を高くすることもできる。
【0047】
(4)x方向に沿った正側において、両側の第1支持部11の各々、本体10、のうちの少なくともいずれか2つにおけるx方向に沿った正側の表面の一部同士によって共通の平面である第1の平面P1が構成され、z方向に沿った負側において、両側の第2支持部12の各々、本体10、のうちの少なくともいずれか2つのz方向に沿った負側の表面の一部同士によって共通の平面でありかつ第1の平面P1と交差する第2の平面P2が構成される。
この構成によれば、どちらの態様においても、加速度センサ1側の表面(第1の平面P1、第2の平面P2)と部材Oの表面とを密着させることができるため、加速度センサ1を特に安定して部材に設置することができる。
【0048】
(5)本体10は、x方向、y方向、及びz方向に沿った辺を具備する略矩形体形状を呈し、x方向は本体10の長手方向とされる。
この構成においては、本体10が単純な略矩形体形状とされるため、前記のように第1の平面P1、第2の平面P2を構成することが特に容易である。また、この場合には本体10の長手方向をx方向とすることによって前記の2つの態様における加速度センサ1の状態の差異が顕著となるため、特にこの2つの態様の使い分けをしやすくなる。
【0049】
(6)センサユニット31が搭載された、x方向及びy方向に沿って広がる板状のセンサ基板30が本体10の内部において固定され、本体10において、センサユニット31は、z方向から見て両側の第2固定用開口12Aの中間の位置であり、かつx方向から見て両側の第1固定用開口11Aの中間の位置に、固定されている。
この構成においては、加速度センサ1の部材Oへの固定に際して固定具100が係止される2つの第2固定用開口12A、2つの第1固定用開口11Aの中間の位置にセンサユニット31が固定されるため、前記のどちらの態様においても、部材Oに対するセンサユニット31の振動が抑制される。このため、加速度の検出精度を特に高くすることができる。
【0050】
(7)センサ基板30には、センサ基板30をz方向に沿って貫通するセンサ基板固定用開口30Aが2つ形成され、センサ基板30は、センサ基板固定用開口30Aに固定具101を係合させることによって本体10に対して固定され、z方向からみて、センサユニット31は、2つのセンサ基板固定用開口30Aの中間の位置に固定されている。
この構成においては、センサ基板30の本体10への固定に際して固定具101が係止される2つのセンサ基板固定用開口30Aの中間の位置にセンサユニット31が固定されるため、本体10に対するセンサユニット31の振動が抑制される。このため、加速度の検出精度を特に高くすることができる。
【0051】
(8)z方向からみて、2つのセンサ基板固定用開口30Aを結ぶ方向は、x方向及びy方向と交差する。
センサ基板固定用開口30Aをこうした構成とすることによって、特に略矩形体形状の本体10の内部で、固定のための無駄なスペースを要することなく小型のセンサ基板30を安定して固定することができる。
【0052】
本発明を、実施形態及びその変形例をもとに説明したが、この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0053】
1 加速度センサ
10 本体
11 第1支持部
11A 第1固定用開口
12 第2支持部
12A 第2固定用開口
20 ケーブル線
30 センサ基板
30A センサ基板固定用開口
31 センサユニット
100、101 ビス(固定具)
200 ロボット
201 基台部
202~205 アーム
206 プーリ
207 ベルト
208、209 ベアリング
O 部材
A1~A4 回転軸
P1 第1の平面
P2 第2の平面