(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/19 20180101AFI20231212BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20231212BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20231212BHJP
F21W 103/15 20180101ALN20231212BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20231212BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231212BHJP
F21W 105/00 20180101ALN20231212BHJP
【FI】
F21S43/19
F21S43/14
F21S43/27
F21W103:15
F21W103:10
F21Y115:10
F21W105:00
(21)【出願番号】P 2019229311
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】村木 和史
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 一慶
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】九里 佳祐
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-183287(JP,A)
【文献】特開2008-192354(JP,A)
【文献】特開2018-045895(JP,A)
【文献】特開2017-079177(JP,A)
【文献】特開2000-275445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/19
F21S 43/14
F21S 43/27
F21W 103/15
F21W 103/10
F21Y 115/10
F21W 105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源及び第2の光源と、
前記第1の光源から出射された第1の光を導光させる第1の導光部と、前記第2の光源から出射された第2の光を導光させる第2の導光部と、前記第1の導光部の前記第1の光源と対向する側の端部と前記第2の導光部の前記第2の光源と対向する側の端部との間を連結する連結部とを含む導光体とを備え、
前記連結部は、
前記第1の光源からの前記第1の光の出射方向及び前記第2の光源からの前記第2の光の出射方向とは直交する方向に延在する平板形状を有し、
且つ、前記第1の導光部と前記第2の導光部との間に間隙を設けた状態で、少なくとも前記間隙を挟んで向かい合う間を除いて、前記第1の導光部の前記第1の光源と対向する側の端部と前記第2の導光部の前記第2の光源と対向する側の端部との間を連結していることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
複数の光源と、
前記複数の光源の各々に対応して設けられた複数の導光部を含む導光体とを備え、
前記複数の光源のうち、互いに隣り合う何れか一方の光源が前記第1の光源を構成し、何れか他方の光源が前記第2の光源を構成し、
前記複数の導光部のうち、前記一方の光源に対応して設けられた一方の導光部が前記第1の導光部を構成し、前記他方の光源に対応して設けられた他方の導光部が前記第2の導光部を構成し、
前記連結部は、前記複数の導光部の互いに隣り合う前記一方の導
光部と前記他方の導
光部との各間に前記間隙を設けた状態で、少なくとも前記間隙を挟んで向かい合う間を除いて、前記複数の導光部の前記各光源と対向する側の端部の間を連結していることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記間隙は、少なくとも前記連結部の前記第1の導光部と前記第2の導光部との前記間隙を挟んで向かい合う間を切り欠く又はその間で開口するように形成された切欠部又は開口部により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記切欠部又は開口部は、前記第1の導光部と前記第2の導光部との前記間隙を挟んで向かい合う間の幅よりも、この間からはみ出した部分の間の幅が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記連結部の前記第1の導光部と前記第2の導光部との間には、前記間隙に沿った端縁部から前記第1の光源及び前記第2の光源と対向する側とは反対側に向かって立ち上がり形成されたリブ壁が設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記リブ壁は、前記第1の導光部と前記第2の導光部との少なくとも一方とは離間した状態で設けられていることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記連結部には、固定用の孔部が設けられていることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記連結部には、位置決め用の孔部が設けられていることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記第1の光源及び前記第2の光源は、同じ基板の同一面上に設けられていることを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記基板には、第1の光源及び前記第2の光源を駆動する駆動回路が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記第1の光と前記第2の光との色光が異なることを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、インナーレンズなどの導光体とを組み合わせたものが知られている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
下記特許文献1には、線状の導光体を環状に形成し、その両端部が板状のベース部と一体に構成され、導光体の両端部にある光入射面に対向して光源が配置されたクリアランスランプが開示されている。下記特許文献1に記載の発明では、導光体の両端部が板状のベース部と一体に構成されることによって、導光体の両端部にある光入射面と光源との位置決めを容易としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載の発明では、導光体の両端部が板状のベース部と一体に構成されることによって、光源から出射された光が光入射面から導光体の内部へと入射すると共に、その光の一部がベース部側へと漏れ出すことになる。
【0006】
この場合、導光体だけでなく、ベース部にも光が入射してしまうため、導光体への光の入射効率が悪くなる。また、ベース部を挟んで向かい合う導光体の両端部の間で、一方の光入射面から入射した光の一部がベース部を介して他方の光入射面へと入射することによって、クリアランスランプの見栄えも悪くなる。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、第1の導光部の第1の光源と対向する側の端部と第2の導光部の第2の光源と対向する側の端部との間を連結部を介して連結した導光体において、それぞれの光源から出射された光をそれぞれの導光部により適切に導光させることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 第1の光源及び第2の光源と、
前記第1の光源から出射された第1の光を導光させる第1の導光部と、前記第2の光源から出射された第2の光を導光させる第2の導光部と、前記第1の導光部の前記第1の光源と対向する側の端部と前記第2の導光部の前記第2の光源と対向する側の端部との間を連結する連結部とを含む導光体とを備え、
前記連結部は、前記第1の光源からの前記第1の光の出射方向及び前記第2の光源からの前記第2の光の出射方向とは直交する方向に延在する平板形状を有し、
且つ、前記第1の導光部と前記第2の導光部との間に間隙を設けた状態で、少なくとも前記間隙を挟んで向かい合う間を除いて、前記第1の導光部の前記第1の光源と対向する側の端部と前記第2の導光部の前記第2の光源と対向する側の端部との間を連結していることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 複数の光源と、
前記複数の光源の各々に対応して設けられた複数の導光部を含む導光体とを備え、
前記複数の光源のうち、互いに隣り合う何れか一方の光源が前記第1の光源を構成し、何れか他方の光源が前記第2の光源を構成し、
前記複数の導光部のうち、前記一方の光源に対応して設けられた一方の導光部が前記第1の導光部を構成し、前記他方の光源に対応して設けられた他方の導光部が前記第2の導光部を構成し、
前記連結部は、前記複数の導光部の互いに隣り合う前記一方の導光部と前記他方の導光部との各間に前記間隙を設けた状態で、少なくとも前記間隙を挟んで向かい合う間を除いて、前記複数の導光部の前記各光源と対向する側の端部の間を連結していることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記間隙は、少なくとも前記連結部の前記第1の導光部と前記第2の導光部との前記間隙を挟んで向かい合う間を切り欠く又はその間で開口するように形成された切欠部又は開口部により構成されていることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記切欠部又は開口部は、前記第1の導光部と前記第2の導光部との前記間隙を挟んで向かい合う間の幅よりも、この間からはみ出した部分の間の幅が大きくなるように形成されていることを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記連結部の前記第1の導光部と前記第2の導光部との間には、前記間隙に沿った端縁部から前記第1の光源及び前記第2の光源と対向する側とは反対側に向かって立ち上がり形成されたリブ壁が設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記リブ壁は、前記第1の導光部と前記第2の導光部との少なくとも一方とは離間した状態で設けられていることを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記連結部には、固定用の孔部が設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記連結部には、位置決め用の孔部が設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記第1の光源及び前記第2の光源は、同じ基板の同一面上に設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔8〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔10〕 前記基板には、第1の光源及び前記第2の光源を駆動する駆動回路が設けられていることを特徴とする前記〔9〕に記載の車両用灯具。
〔11〕 前記第1の光と前記第2の光との色光が異なることを特徴とする前記〔1〕~〔10〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、第1の導光部の第1の光源と対向する側の端部と第2の導光部の第2の光源と対向する側の端部との間を連結部を介して連結した導光体において、それぞれの光源から出射された光をそれぞれの導光部により適切に導光させることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具を備えた車両の背面図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具を備えた車両の側面図である。
【
図3】
図1に示す車両用灯具の構成を示す正面図である。
【
図4】
図1に示す車両用灯具の構成を示す下面図である。
【
図5】
図1に示す車両用灯具の要部を拡大した正面図である。
【
図6】
図5中に示す線分A-Aによる車両用灯具の断面図である。
【
図7】
図1に示す車両用灯具が備える導光体の要部を拡大した正面図である。
【
図8】
図7に示す導光体の間隙が設けられた部分を拡大した正面図である。
【
図9】
図7に示す導光体の間隙が設けられた部分を拡大した斜視図である。
【
図10】
図1に示す車両用灯具が備える導光体の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図9に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1を備えた車両Bの背面図である。
図2は、車両用灯具1を備えた車両Bの側面図である。
図3は、車両用灯具1の構成を示す正面図である。
図4は、車両用灯具1の構成を示す下面図である。
図5は、車両用灯具1Aの要部を拡大した正面図である。
図6は、
図5中に示す線分A-Aによる車両用灯具1の断面図である。
図7は、車両用灯具1が備える導光体4の要部を拡大した正面図である。
図8は、導光体4の間隙cが設けられた部分を拡大した正面図である。
図9は、導光体4の間隙Cが設けられた部分を拡大した斜視図である。
【0013】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0014】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば
図1及び
図2に示すように、車両Bの後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプRCLのうち、後方に向けて赤色発光する尾灯(テールランプ)TLLと、側方に向けて赤色発光する側方灯(サイドマーカーランプ)SMLとを組み合わせたテールランプ兼サイドマーカーランプに本発明を適用したものである。なお、側方灯(サイドマーカーランプ)とは、車両の前端側及び後端側の両コーナー部付近に搭載されて、夜間等に車両の大きさを認識できるように設けられた標識灯のことである。
【0015】
なお、本実施形態の車両用灯具1では、車両の後端側の両コーナー部において左右対称に配置されるリアコンビネーションランプRCLのうち、右後端側のコーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプRCLを例示している。
【0016】
また、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両Bの後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両Bを正面(車両Bの前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0017】
具体的に、この車両用灯具1は、
図3~
図6に示すように、灯体2の内側に配置された第1の光源3A及び第2の光源3Bと、導光体4とを備えている。
【0018】
灯体2は、前面が開口したハウジングと、このハウジングの開口を覆う透明なレンズカバーとにより構成される。なお、実施形態では、灯体2を構成する正面側のレンズカバーを省略し、背面側のハウジングのみを図示している。また、灯体2の形状については、車両Bのデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0019】
第1の光源3Aは、テールランプ用光源として、赤色光(以下、「第1の光」という。)を発する2つのLEDからなる。第2の光源3Bは、サイドマーカーランプ用光源として、橙色光(以下、「第2の光」という。)を発する1つのLEDからなる。なお、LEDの数については、特に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0020】
第1の光源3A及び第2の光源3Bは、それぞれのLEDを駆動する駆動回路(図示せず。)が設けられた回路基板5の正面側(+X軸側)に実装されている。回路基板5は、灯体2のハウジングの正面側にネジ止めにより固定されている。これにより、第1の光源3A及び第2の光源3Bは、第1の光及び第2の光を灯体2の正面側(+X軸側)に向けて放射状に出射する。
【0021】
すなわち、これら第1の光源3Aと第2の光源3Bとは、同じ回路基板5の同一面上に設けられて、互いの色光が異なる第1の光Lと第2の光とを同一方向に向けて出射する構成となっている。
【0022】
なお、本実施形態では、上述した第1の光源3A及び第2の光源3Bを構成する複数のLEDと、これら複数のLEDを駆動する駆動回路とが回路基板5上に実装された構成となっているが、複数のLEDが実装された実装基板と、これら複数のLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、実装基板と回路基板との間をハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、複数のLEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0023】
導光体4は、
図3~
図7に示すように、インナーレンズとして、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い光透過性部材からなる。導光体4は、ブラケット6に保持された状態で、このブラケット6を介して灯体2のハウジングにネジ止めにより固定されている。
【0024】
導光体4は、第1の光源3Aから出射された第1の光を導光させる第1の導光部7と、第2の光源3Bから出射された第2の光を導光させる第2の導光部8と、第1の導光部7の第1の光源3Aと対向する側の端部と第2の導光部8の第2の光源3Bと対向する側の端部との間を連結する連結部9とを有している。
【0025】
第1の導光部7は、テールランプTLLの発光部として、第1の光源3Aと対向する位置から突出された後、湾曲しながら車両幅方向の内側(-Y軸側)に延長されたバー形状を有している。
【0026】
導光体4では、第1の光源3Aから出射された第1の光を第1の導光部7の基端側の端面から第1の導光部7の内部へと入射し、第1の導光部7の内部で反射を繰り返しながら、第1の導光部7の先端側に向けて第1の光を導光させる。また、第1の導光部7の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を第1の導光部7の正面側から外部へと出射する。これにより、テールランプTLLの発光部として、第1の光を灯体2の正面側(+X軸側)から出射し、第1の導光部7をライン状に赤色発光させることが可能である。
【0027】
第2の導光部8は、サイドマーカーランプSMLの発光部として、第2の光源3Bと対向する位置から突出されたブロック形状を有している。
【0028】
導光体4では、第2の光源3Bから出射された第2の光を第2の導光部8の基端側の端面から第2の導光部8の内部へと入射し、第2の導光部8の内部で導光される第2の光を第2の導光部8の先端側及び側面側から外部へと出射する。これにより、サイドマーカーランプSMLの発光部として、第2の光を灯体2の正面側(+X軸側)及び側面側(+Y軸側)から出射し、第2の導光部8を点滅させながら橙色発光させることが可能である。
【0029】
連結部9は、平板形状を有して、第1の導光部7及び第2の導光部8と一体に形成されている。連結部9は、第1の導光部7と第2の導光部8との間に間隙Cを設けた状態で、少なくとも間隙Cを挟んで向かい合う間を除いて、第1の導光部7の第1の光源3Aと対向する側の端部と第2の導光部8の第2の光源3Bと対向する側の端部との間を連結している。
【0030】
連結部9は、第1の導光部7と第2の導光部8との連結部分から下側(-Z軸側)に延在して設けられている。また、この連結部9の下側に延在した部分には、固定用の孔部10と、位置決め用の孔部11とが幅方向(Y軸方向)に並んで設けられている。固定用の孔部10は、固定用のネジSの軸部を貫通させるための丸孔である。位置決め用の孔部11は、位置決め用のピンPを貫通させるための長孔である。
【0031】
間隙Cは、少なくとも連結部9の第1の導光部7と第2の導光部8とが向かい合う間を切り欠くように形成されたスリット部12により構成されている。具体的に、このスリット部12は、第1の導光部7と第2の導光部8との互いに向かい合う端縁部7a,8aのうち長くなる方(本実施形態では第1の導光部7)の端縁部7aに合わせて、第1の導光部7と第2の導光部8とが向かい合う間よりも外側(+Y軸側)にはみ出すように切り欠き形成されている。
【0032】
本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1の導光部7の第1の光源3Aと対向する側の端部と第2の導光部8の第2の光源3Bと対向する側の端部との間を連結部9を介して連結した導光体4において、第1の導光部7と第2の導光部8とが向かい合う間に間隙C(スリット部12)が設けられている。
【0033】
これにより、間隙C(スリット部12)を挟んで向かい合う第1の導光部7と第2の導光部8との間で、第1の導光部7から入射した第1の光の一部が連結部9を介して第2の導光部8に入射したり、第2の導光部8から入射した第2の光の一部が連結部9を介して第1の導光部7に入射したりすることを防ぐことが可能である。
【0034】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、第1の光源3Aから出射された第1の光を第1の導光部7により適切に導光させると共に、第2の光源3Bから出射された第2の光を第2の導光部8により適切に導光させることが可能である。
【0035】
ところで、上述した連結部9の間隙C(スリット部12)が設けられた部分は、導光体4を灯体2に固定する際に応力集中が発生し、機械的強度が低下し易い部分となっている。
【0036】
これに対して、本実施形態の車両用灯具1では、
図8に示すように、第1の導光部7と第2の導光部8との間隙Cを挟んで向かい合う間の幅W1よりも、この間から外側(+Y軸側)にはみ出した部分の間の幅W2が大きくなるように間隙C(スリット部12)が設けられている。これにより、連結部9の間隙C(スリット部12)が設けられた部分における機械的強度を維持することが可能である。
【0037】
さらに、連結部9の第1の導光部8と第2の導光部9との間には、
図9に示すように、間隙C(スリット部12)に沿った端縁部から第1の光源3A及び第2の光源3Bと対向する側(-X軸側)とは反対側(+X軸側)に向かって立ち上がり形成されたリブ壁13が設けられている。換言すると、このリブ壁13は、間隙C(スリット部12)に沿った端縁部から連結部9の正面側(+X軸側)に向かって立ち上がり形成されている。これにより、連結部9の間隙C(スリット部12)が設けられた部分における機械的強度を更に高めることが可能である。
【0038】
リブ壁13は、第1の導光部7と第2の導光部8との少なくとも一方(本実施形態では第2の導光部8)とは離間した状態で設けられている。これにより、第1の導光部7から入射した第1の光と第2の導光部8から入射した第2の光とがリブ壁13を介して連結部9側に漏れ出すことを防ぐことが可能である。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記間隙Cは、上述したスリット部12により構成されるものに限らず、
図10に示すように、少なくとも連結部9の第1の導光部7と第2の導光部8との間隙Cを挟んで向かい合う間で開口するように形成された開口部14により構成されていてもよい。
【0040】
また、本発明は、第1の導光部の第1の光源と対向する側の端部と第2の導光部の第2の光源と対向する側の端部との間を連結部を介して連結した導光体に対して幅広く適用することが可能であり、例えば
図11に示すような導光体40に対して本発明を適用することも可能である。
【0041】
具体的に、この導光体40は、複数(本例では3つ)の導光部41A,41B,41Cと、これら複数の導光部41A,41B,41Cの各光源30A,30B,30Cと対向する側の端部の間を連結する連結部42とを有している。
【0042】
複数の導光部41A,41B,41Cは、各光源30と対向する位置から突出された後、互いに並行しながら延長されたバー形状を有している。
【0043】
連結部42は、互いに隣り合う導光部41A,41B,41Cの各間に間隙C(スリット部12)を設けた状態で、少なくとも間隙C(スリット部12)を挟んで向かい合う間を除いて、複数の導光部41A,41B,41Cの各光源30A,30B,30Cと対向する側の端部の間を連結している。
【0044】
すなわち、本実施形態では、複数の光源30A,30B,30Cのうち、互いに隣り合う何れか一方の光源が第1の光源3Aを構成し、何れか他方の光源が第2の光源3Bを構成している。また、複数の導光部41A,41B,41Cのうち、一方の光源に対応して設けられた一方の導光部が第1の導光部7を構成し、他方の光源に対応して設けられた他方の導光部が第2の導光部8を構成している。
【0045】
導光体40では、互いに隣り合う導光部41A,41B,41Cの各間に間隙C(スリット部12)を設けることで、間隙C(スリット部12)を挟んで向かい合う導光部41A,41B,41Cの各間で、互いに隣り合う一方又は他方の導光部から入射した光の一部が連結部42を介して他方又は一方の導光部に入射することを防ぐことが可能である。
【0046】
したがって、この構成の場合も、各光源30A,30B,30Cから出射された光を各光源30A,30B,30Cに対応して設けられた導光部41A,41B,41Cにより適切に導光させることが可能である。
【0047】
なお、上記スリット部12又は開口部14については、間隙Cを構成するだけでなく、固定用の孔部10や位置決め用の孔部11と同様に、上述した位置決め用又は固定用の部位として用いることが可能である。
【0048】
なお、上記実施形態では、車両Bの後端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具1として、赤色発光するテールランプTLLと、赤色発光するサイドマーカーランプSMLとを組み合わせたテールランプ兼サイドマーカーランプからなるものを例示しているが、赤色発光するテールランプと、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたテールランプ兼ターンランプからなるものに本発明を適用することも可能である。
【0049】
また、上述した車両の後端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具に限らず、車両の前端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具として、白色発光する車幅灯(ポジションランプ)と、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたポジションランプ兼ターンランプからなるものに本発明を適用することも可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、色光の異なる第1の光源3A及び第2の光源3Bを用いた場合を例示しているが、色光の同じ第1の光源及び第2の光源を用いた車両用灯具に対しても本発明を適用することが可能である。
【0051】
色光の同じ第1の光源及び第2の光源を用いた場合、例えば、車両用前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯ランプ(DRL)、リッドランプ、尾灯(テールランプ)、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)などの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0052】
また、第1の光源及び第2の光源については、光を放射状に出射するものであればよく、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、発光素子が発する光の色についても、白色光や赤色光、橙色光など、その用途に応じて適宜変更することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…車両用灯具 2…灯体 3A…第1の光源 3B…第2の光源 4…導光体 5…回路基板 6…ブラケット 7…第1の導光部 8…第2の導光部 9…連結部 10…固定用の孔部 11…位置決め用の孔部 12…スリット部 13…リブ壁 14…開口部 30A,30B,30C…光源 40…導光体 41A,41B,41C…導光部 42…連結部 C…間隙 S…ネジ P…位置決めピン RCL…リアコンビネーションランプ TLL…テールランプ SML…側方灯(サイドマーカーランプ)