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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】埋め込み層の測定
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20231212BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01N21/956 A
H01L21/66 J
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019233698
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2020106530
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】62/784,838
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504164631
【氏名又は名称】カムテック エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】CAMTEK LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ザハバ ベン エゼル
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-503242(JP,A)
【文献】特開2011-069689(JP,A)
【文献】特開2016-130663(JP,A)
【文献】特開2013-245985(JP,A)
【文献】国際公開第2017/209178(WO,A1)
【文献】特開2003-090710(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0249111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/956
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の最上位再配線層(RDL)を検査するための方法であって、前記方法は、
前記物体を放射線で照射することであって、前記最上位RDLが少なくとも1つの下位RDLの上および少なくとも1つの下位誘電体層の上に位置しており、かつ前記少なくとも1つの下位誘電体層が放射線を著しく吸収することと、
前記物体から反射された放射線を表す検出信号を検出器によって生成することと、
前記最上位RDLに関する情報を提供するための前記検出信号を処理装置によって処理することとであって、前記処理することは、前記最上位RDLに関連する検出信号を前記少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号と区別することを含むことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記区別することは前記検出信号の強度に基づいており、かつ前記最上位RDLに関連する前記検出信号は前記少なくとも1つの下位RDLに関連する前記検出信号よりも強い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体の少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて前記放射線のスペクトル領域を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの吸収特性は前記物体の前記誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの吸収特性は前記物体の前記誘電体層の少なくとも1つの厚さである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの吸収特性は(a)前記物体の前記誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトル、および(b)前記物体の前記誘電体層の少なくとも1つの厚さである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記決定することは、前記物体を異なるスペクトル領域の紫外線で試験すること、および前記異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を選択することに基づいている、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記決定することは、異なるスペクトル領域の紫外線で照射した場合に前記物体から反射される反射紫外線を推定すること、および前記異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を選択することに基づいている、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記決定することは紫外線源と前記物体との間に位置するフィルタのフィルタリング特性を選択することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記決定することは複数の紫外線源から紫外線源を選択することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記最上位RDLは最上位誘電体層の下に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
物体を放射線で照射することであって、その最上位再配線層が少なくとも1つの下位RDLの上および少なくとも1つの下位誘電体層の上に位置しているRDLを含み、かつ前記少なくとも1つの下位誘電体層が放射線を著しく吸収すること、
前記物体から反射された放射線を表す検出信号を検出器によって生成すること、および
前記最上位RDLに関する情報を提供するための前記検出信号を処理装置によって処理することであって、前記処理することは、前記最上位RDLに関連する検出信号を前記少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号と区別することを含むこと
のための命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記区別することは前記検出信号の強度に基づいており、かつ前記最上位RDLに関連する前記検出信号は前記少なくとも1つの下位RDLに関連する前記検出信号よりも強い、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記物体の少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて前記放射線のスペクトル領域を決定するための命令を格納する、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記少なくとも1つの吸収特性は前記物体の前記誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトルである、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記少なくとも1つの吸収特性は前記物体の前記誘電体層の少なくとも1つの厚さである、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記少なくとも1つの吸収特性は、(a)前記物体の前記誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトル、および(b)前記物体の前記誘電体層の少なくとも1つの厚さである、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記決定することは、前記物体を異なるスペクトル領域の紫外線で試験すること、および前記異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を選択することに基づいている、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
物体を検査するためのシステムであって、前記システムは、
物体を放射線で照射するように構成された照射モジュールであって、前記物体の最上位再配線層(RDL)が少なくとも1つの下位RDLの上および少なくとも1つの他の誘電体層の上に位置している、照射モジュールと、
前記物体から反射された放射線を表す検出信号を生成するように構成された検出器であって、前記最上位RDLに関連する検出信号が前記少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号よりも強く、かつ前記少なくとも1つの下位誘電体層は放射線を著しく吸収する、検出器と、
前記検出信号を処理して前記最上位RDLに関する情報を提供するように構成された処理装置であって、前記処理装置は、前記最上位RDLに関連する検出信号を前記少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号と区別するように構成されている、処理装置と、
を備える、システム。
【請求項20】
前記物体の少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて前記放射線のスペクトル領域を決定するように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
再配線層(RDL)は異なる位置の異なる導体を電気的に結合するために使用される配線を含む。RDLはウェハレベルチップスケールパッケージング、ウェハレベル・ファンアウト(WLFO)およびウェハレベル・ファンインなどの様々なパッケージング技術においてチップを互いに結合するために使用される。
【背景技術】
【0002】
異なるRDLは誘電性ポリマー層(ポリイミド、PBOなど)によってその間が分離されている。
【0003】
欠陥検出は、切断、短絡および他の歪みなどの層の欠陥の検出のために必要である。
【0004】
各RDLは別々に検査されるべきである。当該ポリマーは可視スペクトル領域において大部分が透過性であるため、現在のRDLを検査している間に他の深さに位置する他のRDLも画像中に見られる。
【0005】
異なるRDLを区別することや欠陥の偽コールを回避することは難しい。
【発明の概要】
【0006】
物体の最上位再配線層導体を検査するための方法を提供することができ、本方法は、(i)物体を放射線で照射することであって、最上位RDLが少なくとも1つの下位RDLの上および少なくとも1つの下位誘電体層の上に位置しており、かつその少なくとも1つの下位誘電体層が放射線を著しく吸収することと、(ii)当該物体から反射された放射線を表す検出信号を検出器によって生成することと、(iii)最上位RDLに関する情報を提供するための検出信号を処理装置によって処理することであって、当該処理することは、最上位RDLに関連する検出信号を少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号と区別することを含むこととを含んでもよい。
【0007】
区別することは、検出信号の強度に基づいていてもよく、最上位RDLに関連する検出信号は、少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号よりも強い。
【0008】
本方法は、当該物体の少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて放射線のスペクトル領域を選択することを含んでもよい。
【0009】
少なくとも1つの吸収特性は、当該物体の誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトルであってもよい。
【0010】
少なくとも1つの吸収特性は、当該物体の誘電体層の少なくとも1つの厚さであってもよい。
【0011】
少なくとも1つの吸収特性は、(a)当該物体の誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトル、および(b)当該物体の誘電体層の少なくとも1つの厚さであってもよい。
【0012】
決定することは、当該物体を異なるスペクトル領域の放射線で試験すること、および異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を選択することに基づいていてもよい。
【0013】
決定することは、異なるスペクトル領域の放射線で照射した場合に当該物体から反射される反射放射線を推定すること、および異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を選択することに基づいていてもよい。
【0014】
決定することは、放射線源と当該物体との間に位置するフィルタのフィルタリング特性を選択することを含んでもよい。
【0015】
決定することは、複数の放射線源から放射線源を選択することを含んでもよい。
【0016】
(i)物体を放射線で照射することであって、最上位RDLが少なくとも1つの下位RDLの上および少なくとも1つの下位誘電体層の上に位置しており、かつその少なくとも1つの下位誘電体層が放射線を著しく吸収すること、(ii)当該物体から反射された放射線を表す検出信号を検出器によって生成すること、(iii)最上位RDLに関する情報を提供するための検出信号を処理装置によって処理することであって、当該処理することは、最上位RDLに関連する検出信号を少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号と区別することを含むことのための命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体を提供することができる。
【0017】
区別することは、検出信号の強度に基づいていてもよく、最上位RDLに関連する検出信号は、少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号よりも強い。
【0018】
非一時的コンピュータ可読媒体は、当該物体の少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて放射線のスペクトル領域を決定するための命令を格納する。
【0019】
少なくとも1つの吸収特性は、当該物体の誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトルであってもよい。
【0020】
少なくとも1つの吸収特性は、当該物体の誘電体層の少なくとも1つの厚さであってもよい。
【0021】
少なくとも1つの吸収特性は、(a)当該物体の誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトル、および(b)当該物体の誘電体層の少なくとも1つの厚さであってもよい。
【0022】
決定することは、当該物体を異なるスペクトル領域の放射線で試験すること、および異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を選択することに基づいていてもよい。
【0023】
決定することは、異なるスペクトル領域の放射線で照射した場合に当該物体から反射される反射放射線を推定すること、および異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を選択することに基づいていてもよい。
【0024】
決定することは、放射線源と当該物体との間に位置するフィルタのフィルタリング特性を選択することを含んでもよい。
【0025】
決定することは、複数の放射線源から放射線源を選択することを含んでもよい。
【0026】
物体を検査するためのシステムを提供することができ、本システムは、(i)物体を放射線で照射するように構成されていてもよい照射モジュールであって、物体の最上位再配線層(RDL)が少なくとも1つの下位RDLの上および少なくとも1つの他の誘電体層の上に位置していてもよい、照射モジュールと、(ii)当該物体から反射された放射線を表す検出信号を生成するように構成された検出器であって、最上位RDLに関連する検出信号が少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号よりも強い、検出器と、検出信号を処理して最上位RDLに関する情報を提供するように構成された処理装置とを備えていてもよい。処理することは、最上位RDLに関連する検出信号を少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号と区別することを含んでもよい。
【0027】
本システムは、当該物体の少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて放射線のスペクトル領域を決定するように構成されていてもよい。
【0028】
区別することは、検出信号の強度に基づいていてもよく、最上位RDLに関連する検出信号は、少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号よりも強い。
【0029】
本システムは、当該物体の少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて放射線のスペクトル領域を決定するように構成されていてもよい。
【0030】
少なくとも1つの吸収特性は、当該物体の誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトルであってもよい。
【0031】
少なくとも1つの吸収特性は、当該物体の誘電体層の少なくとも1つの厚さであってもよい。
【0032】
少なくとも1つの吸収特性は、(a)当該物体の誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトル、および(b)当該物体の誘電体層の少なくとも1つの厚さであってもよい。
【0033】
本システムは、当該物体を異なるスペクトル領域の放射線で試験すること、および異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を選択することに基づいて決定するように構成されていてもよい。
【0034】
本システムは、異なるスペクトル領域の放射線で照射した場合に当該物体から反射される推定される反射放射線、および異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を選択することに基づいて決定するように構成されていてもよい。
【0035】
決定することは、放射線源と当該物体との間に位置するフィルタのフィルタリング特性を選択することを含んでもよい。
【0036】
決定することは、複数の放射線源から放射線源を選択することを含んでもよい。
【0037】
本発明は、図面と共に解釈される以下の詳細な説明からより完全に理解および認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】可視光を用いて照射される物体の一例を例解している。
図2】紫外線を用いて照射される物体の一例を例解している。
図3】紫外線を用いて照射される物体の一例を例解している。
図4】システムの一例を例解している。
図5】方法の一例を例解している。
図6】方法の一例を例解している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を実装する装置は大部分が当業者に公知の光学部品および回路からなるため、回路の詳細は、本発明の教示を曖昧にしたりそれから逸脱したりしないようにするために、本発明の基本的概念を理解および認識するために上に例解されているように必要であるとみなされる程度よりも多くは説明しない。
【0040】
以下の詳述では、本発明の実施形態の具体例を参照しながら本発明を説明する。但し、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱することなくその中で様々な修正および変形を行うことができることは明白である。
【0041】
「~を含む」という用語は、請求項に列挙されているもの以外の他の要素または工程の存在を排除しない。当然ながら、そのように使用される用語は、本明細書に記載されている本発明の実施形態が、例えば本明細書に例解されているかそうでなければ記載されている向き以外の他の向きで動作することができるような適当な環境下で互換可能である。
【0042】
「選択する」および「決定する」という用語は互換可能に使用される。
【0043】
「~するように構成された」という用語は「~するように構築または配置された」であってもよい。「~するように構成された」は「~するようにプログラムされた」、「~するように設定された」および「~するように調整された」などを含んでもよい。
【0044】
「紫外照射」および「紫外線」という用語は互換可能に使用される。
【0045】
物体の最上位再配線層導体を検査するための方法を提供することができ、本方法は、(i)物体を放射線で照射することであって、最上位RDLが少なくとも1つの下位RDLの上および少なくとも1つの下位誘電体層の上に位置しており、かつその少なくとも1つの下位誘電体層が放射線を著しく吸収すると、(ii)当該物体から反射された放射線を表す検出信号を検出器によって生成することと、(iii)最上位RDLに関する情報を提供するための検出信号を処理装置によって処理することであって、当該処理することは、最上位RDLに関連する検出信号を少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号と区別することを含むこととを含んでもよい。
【0046】
「著しい」という用語は、少なくとも最上位RDLに関連する信号を少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号と区別するのを可能にする量であることを意味してもよい。
【0047】
「著しい量の吸収」という用語は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%およびさらにそれ以上で吸収することを意味してもよい。
【0048】
以下の例では、当該物体を照射するために使用される放射線を紫外線と呼ぶ。この紫外線は1つ以上の誘電物体によって著しく減衰されるスペクトル領域を有する。なお、紫外線は放射線の単に非限定的な例であり、当該物体は紫外線ではない放射線(例えば紫色、すなわち青色の若干の変形色)で照射してもよく、これは誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて選択される。
【0049】
また、試験のうちのいくつかはRDLおよび誘電体層について言及しているが、当該物体がさらなる層を含み得る(例えば、その最下層はケイ素基板または、RDLではなく、かつ誘電体層ではない他の層であってもよい)ことにも留意されたい。
【0050】
システム、非一時的コンピュータ可読媒体、および誘電体層によって分離されたRDLの欠陥検査のための方法が提供される。本システムは結像光学系および照射装置を備えていてもよく、ここでは照射スペクトルは誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて(例えば、それに一致するか実質的に一致するように)選択される。
【0051】
様々な種類の誘電体層が存在し、各種類がその組成などに従う特定の光学的性質を含む。その観点では、誘電体のスペクトルの吸収および透過率はこれらの特性に関連している。共通する特性は、それらがUV領域において感光性であり、故にUVスペクトル領域において吸収を示す点である。但し、当該吸収スペクトル分布はUV領域内およびさらにはUV領域外で種類によって異なってもよい。
【0052】
RDLの特定のウェハまたはパネルを考慮し、上で述べた特性が公知であるか否かに関わらず、放射線の最適なスペクトル領域の選択および制御の段階が必要である。
【0053】
なお、放射線のスペクトル領域の選択は準最適であってもよい。
【0054】
最適化段階は異なる照射源からの選択を含んでもよく、それぞれがその特定の分光放射率を有する(例えば、様々なピーク波長を有するLED)。
【0055】
また最適化段階は光スペクトルの濾過によって行ってもよい(例えば、キセノンアーク灯などの広帯域照射源および様々なスペクトルフィルタ)。
【0056】
放射線照射路は、同軸(明視野)および/または他の仰角/方位角(暗視野)であってもよい。
【0057】
本システムは、画像中の現在のRDLコントラストおよび外観を高めるという関連性ごとに選択および/または組み合わせられる可視および誘電体層吸収照射光学系(当該物体の少なくとも1つの下位誘電体層によって著しく吸収される放射線を出力するように構成された光学系)の両方を備えていてもよい。
【0058】
当該物体の少なくとも1つの下位誘電体層によって著しく吸収される放射線を誘電体層吸収放射線とも呼ぶ。
【0059】
図1は、(下から上に)第1のRDL31、第1の誘電体層21、第2のRDL32、第2の誘電体層22および第3のRDL33(これが最上位RDLである)を含むものとして物体20を例解している。
【0060】
図1は、可視光40による物体20の照射ならびに第3のRDL33、第2のRDL32および第1のRDLのそれぞれからの可視光の反射43、42および42も例解している。
【0061】
第1および第2の誘電体層21および22は可視光に対して透過性であり、異なる反射は、最上位RDL33からの反射43を下位RDL(第1および第2のRDL31および32)からの反射41および42と区別することができない像を形成する。
【0062】
図2は、誘電体層吸収50によって照射される物体20、第3のRDL33からの反射53ならびに下位RDL(第1および第2のRDL31および32)からの減衰された反射51および52(第1および第2の誘電体層21および21の減衰による)を例解している。
【0063】
誘電体層吸収放射線のスペクトル領域が適切に選択された場合、第1および第2の誘電体層は高い割合の誘電体層吸収放射線を吸収し、減衰された反射が物体20から生じた場合であっても、それらは著しい抑制により反射53よりも非常に弱く、かつ結像されないか、ぼやけた状態でのみ結像されるであろう。
【0064】
(誘電体層吸収放射線の)最適化段階を行って最上位RDLの反射と下位RDLからの反射との適切なコントラストを可能にする。
【0065】
図3は、(下から上に)第1のRDL31、第1の誘電体層21、第2のRDL32、第2の誘電体層22、第3のRDL33(これが最上位RDLである)および第3の誘電体層を含むものとして物体29を例解している。
【0066】
図3は、誘電体層吸収放射線60、第3のRDL33からの反射63(強度Iを有する)、第3の誘電体層23の上面からの反射64(強度Iを有する)、下位RDL(第1および第2のRDL31および32)からの減衰された反射61(強度Iを有する)および62(強度Iを有する)によって照射される物体29を例解している。この減衰は第1、第2および第3の誘電体層21、22および23によって与えられる。
【0067】
誘電体層吸収放射線を設定するための基準の例としては、
a.Iは光学センサ感度閾値を超える
b.I1>>
c.I1>>3>
が挙げられる。
【0068】
図4は、物体29の例および当該物体を評価するためのシステム100である。
【0069】
本システムは、光学系170、照射モジュール180、センサ188および処理装置/制御装置160を備えていてもよい。
【0070】
システム100は明視野および/または暗視野構成において誘電体層吸収放射線を用いて物体29を照射することができ、例えば矢印191は明視野照射を表し、かつ矢印192は暗視野照射を例解した。反射ビームは195で示されている。この照射および/または収集は、光学系170および/または物体29に対してあらゆる角度であってもよい。
【0071】
光学系170はビームスプリッタ172またはあらゆる他の光学系要素を備えていてもよい。
【0072】
照射モジュール180は1つ以上の放射線源(少なくとも1つの誘電体層吸収放射線源を含む)を備えていてもよく、かつ/または1つ以上のフィルタを備えていてもよい。図5には、誘電体層吸収放射線源181および調整可能なフィルタ182が存在する。
【0073】
処理装置/制御装置160は、処理装置、制御装置またはその両方であってもよい。処理装置は制御装置から分離されていてもよい。処理装置/制御装置160はセンサ188からの検出信号に基づいて当該物体の評価を行ってもよい。処理装置/制御装置160はシステムの動作を制御してもよく、かつ/または所望の誘電体層吸収放射線スペクトル領域を選択してもよい。処理装置/制御装置は、1つ以上の集積回路および/または1つ以上の処理回路、例えば1つ以上の図形処理装置、1つ以上の汎用装置、1つ以上のデジタル処理装置、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイなどを含んでもよい。
【0074】
システム100は、本明細書に例解されている方法(例えば、方法200および300)のいずれかを実行するように構成されていてもよい。
【0075】
システム100は、放射線のスペクトル領域を最適化するかそうでなければ選択してもよく、あるいはさらに別のシステムからスペクトル領域値を受信してもよい。
【0076】
図5は方法200の例である。
【0077】
方法200は工程205、210および220を含んでもよい。工程205は、光スペクトルを最適化して、検査される最上位RDLとバックグラウンドとの適切なコントラストを可能にすることを含んでもよい。光スペクトル(スペクトル領域)は、少なくとも1つの下位誘電体層(最上位RDLの下)が放射線を著しく吸収するように選択すべきである。
【0078】
工程210は、複数のRDLおよび複数のRDLの間に位置している複数の誘電体層を含む基板の1つ以上の領域を放射線で照射することを含んでもよい。工程210は1つ以上の領域の1つ以上の画像を取得することも含んでもよい。
【0079】
工程220は、1つ以上の画像を処理してRDLの少なくとも1つの欠陥を見つけることを含んでもよい。
【0080】
処理することは、黄金基準との比較、設計情報との比較および別のウェハまたはPCBのRDL導体間の比較などのあらゆる欠陥検出および/または測定プロセスを適用することを含んでもよい。
【0081】
図6は方法300の例である。
【0082】
方法300は、当該物体の少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて放射線のスペクトル領域を決定する工程310によって開始してもよい。
【0083】
光スペクトル(スペクトル領域)は、少なくとも1つの下位誘電体層(最上位RDLの下)が放射線を著しく吸収するように選択すべきである。
【0084】
工程310は、当該物体の少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの吸収特性に基づいて放射線のスペクトル領域を決定することを含んでもよい。
【0085】
少なくとも1つの吸収特性は当該物体の誘電体層の少なくとも1つを形成する誘電体の吸収スペクトルであってもよい。従って、放射線スペクトルは誘電体が放射線を減衰した場合の周波数に該当するはずである。
【0086】
少なくとも1つの吸収特性は当該物体の誘電体層の少なくとも1つの厚さであってもよい。同じ材料のより厚い誘電体層はより大きい減衰を与える。
【0087】
決定することは、誘電体層の公知または推定される少なくとも1つの吸収特性のうちの少なくとも1つ、または異なるスペクトル領域の放射線で当該物体(または同様の物体)を試験すること、および異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を決定した結果に基づいていてもよい。
【0088】
決定することは、異なるスペクトル領域の放射線で照射した場合に当該物体から反射される反射放射線を推定すること、および異なるスペクトル領域の選択されたスペクトル領域を決定することに基づいていてもよい。
【0089】
決定することは、放射線源と当該物体との間に位置するフィルタのフィルタリング特性を選択することを含んでもよい。
【0090】
決定することは、複数の放射線源から放射線源を選択することを含んでもよい。
【0091】
工程310の後に当該物体を放射線で照射する工程320を行ってもよい。最上位再配線層(RDL)は少なくとも1つの下位RDLの上および少なくとも1つの他の誘電体層の上に位置している。
【0092】
放射線の光スペクトル(スペクトル領域)は、少なくとも1つの下位誘電体層(最上位RDLの下)が放射線を著しく吸収するように選択すべきである
【0093】
工程320の後に検出器によって当該物体から放出された放射線の検出信号を生成する工程330を行ってもよい。検出信号は1つ以上の画像を形成するか非画像情報を形成してもよい。
【0094】
工程330の後に、最上位RDLに関する情報を提供するための検出信号を処理装置によって処理する工程340を行ってもよい。
【0095】
処理することは、黄金基準との比較、設計情報との比較および別のウェハまたはPCBのRDL導体間の比較などのあらゆる欠陥検出および/または測定プロセスを適用することを含んでもよい。
【0096】
処理することは、最上位RDLに関連する検出信号を少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号と区別することを含んでもよい。
【0097】
区別することは検出信号の強度に基づいていてもよい。最上位RDLに関連する検出信号は少なくとも1つの下位RDLに関連する検出信号よりも強い。「関連する」とは、最上位RDL導体から反射された検出信号を意味する。
【0098】
本明細書で使用される「一」または「一つ」という用語は、1つまたは2つ以上として定められる。また、特許請求の範囲における「少なくとも1つの」および「1つ以上の」などの前置きの語句の使用は、同じ請求項が前置きの語句「1つ以上の」または「少なくとも1つの」および「一」または「一つ」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「一」または「一つ」による別の請求項要素の導入がそのような導入された請求項要素を含むあらゆる特定の請求項を1つのそのような要素のみを含む発明に限定することを意味するように解釈されるべきではない。同じことが定冠詞の使用にも当てはまる。特に定めがない限り、「第1の」および「第2の」などの用語はそのような用語が記述する要素を任意に区別するために使用される。
【0099】
従って、これらの用語は必ずしもそのような要素の時間的もしくは他の優先順位付けを示すことを意図していない。特定の尺度が相互に異なる請求項において列挙されているという単なる事実は、これらの尺度の組み合わせを有利に使用することができないことを示していない。
図1
図2
図3
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図6