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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】情報収集装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/1097 20220101AFI20231212BHJP
   H04L 67/06 20220101ALI20231212BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H04L67/1097
H04L67/06
H04Q9/00 311J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019236367
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105812
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】足立 秀昭
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-128912(JP,A)
【文献】特開平05-257610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/1097
H04L 67/06
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信を介して、外部の記憶装置から情報を収集する情報収集装置であって、
前記記憶装置に記憶される前記情報に含まれるデータ項目のうち、データ収集の対象となるデータ項目を設定する情報取得対象設定部と、
前記情報取得対象設定部により設定されたデータ項目に係るデータを収集する際の、前記データを含む取得対象範囲の候補を列挙する候補列挙部と、
前記候補列挙部により列挙された取得対象範囲の候補から、前記データを収集するために要する時間が最短となる、取得対象範囲を選択する取得対象範囲選択部と、
前記取得対象範囲選択部により選択された取得対象範囲に基づいて、前記データを収集する情報取得部と、
を備え
前記取得対象範囲選択部は、更に、
前記記憶装置から、前記データ項目に係るデータを取得して、通信を介して前記データ項目に係るデータを受信するために要するデータ転送時間である第1時間と、前記記憶装置から前記データ項目に係るデータを転送するための少なくとも通信の確立に要する時間である第2時間と、に基づいて、前記候補列挙部により列挙された取得対象範囲の候補毎に、前記データを収集するために要する時間を算出する収集時間算出部を備え、
前記収集時間算出部により、前記取得対象範囲の候補毎に算出されたそれぞれの収集時間を比較して、収集時間が最短となる取得対象範囲を選択する、
情報収集装置。
【請求項2】
前記候補列挙部は、少なくとも、前記情報取得対象設定部により設定されたデータ項目に係るデータのうち、前記記憶装置に記憶されるアドレスが連続するデータの集合となるデータ列を含む取得対象範囲の候補を列挙する、請求項1に記載の情報収集装置。
【請求項3】
前記第1時間及び前記第2時間が予め設定されている、請求項1又は請求項2に記載の情報収集装置。
【請求項4】
前記記憶装置から任意のデータ項目に係るデータの収集を試行すると共に、試行結果に基づいて前記第1時間及び前記第2時間を算出する、情報収集試行部を備え、
前記情報収集試行部により算出した前記第1時間及び前記第2時間を前記収集時間算出部において適用する、請求項1又は請求項2に記載の情報収集装置。
【請求項5】
前記情報取得対象設定部は、更に、
前記データ収集の対象となるデータ項目を設定する際に、前記データ項目毎に前記データ項目に係るデータの取得周期を設定し、
前記候補列挙部は、
前記情報取得対象設定部により設定されたデータ項目に係るデータを同時に収集することができる最小の取得周期に基づいて、前記データ項目に係るデータを含む取得対象範囲の候補を列挙し、
前記取得対象範囲選択部は、
前記候補列挙部により列挙された取得対象範囲の候補から、前記データを収集するために要する時間が最短となる、取得対象範囲を選択し、
前記情報取得部は、
少なくとも、前記最小の取得周期においては、前記取得対象範囲選択部により選択された取得対象範囲に基づいて、前記データを収集する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業界においてIoT(Internet of Things)が推進されており、工作機械やロボット等の産業機械からのデータ収集に対するニーズが高まっている。このため、データ収集の分野においては、高頻度かつ多数の機械を対象としてデータを送受信することが増えているため、データ収集のための通信の効率化が求められている。
【0003】
この点、特許文献1には、「監視対象に関する測定データをセンサから取得するデータ取得部(22)と、閾値を記憶する閾値記憶部(24)と、前記測定データと閾値とに基づいて、前記測定データをサーバにアップロードする間隔を送信間隔として設定する送信間隔設定部(25)と、時間を計測するタイマ(21)と、前記データ取得部で取得された前記測定データをサーバにアップロードするデータ送信部(23)と、前記タイマで計測された時間が前記送信間隔に達した場合、前記データ取得部で取得された前記測定データを前記データ送信部からサーバにアップロードさせる送信制御部(25)と、を備えるデータ収集装置(20)において、送信間隔設定部(25)は、前記測定データが閾値範囲外の場合、前記送信間隔を第1送信間隔に設定し、前記測定データが閾値範囲内の場合、前記送信間隔を前記第1送信間隔よりも長い第2送信間隔に設定することを特徴とするデータ収集装置」が開示されている。
【0004】
これによれば、例えば、測定データが温度の場合、測定値が、所定の範囲内(すなわち閾値範囲内)であれば、送信間隔を長くし、測定値が、所定の範囲外(すなわち閾値範囲外)であれば、監視対象に異常が発生している可能性が高いと想定されることから、送信間隔を短くすることで、有効度の高い測定データ(すなわち、測定データが閾値範囲外にある場合)の通信を確保し、有効度の低い測定データ(すなわち、測定データが閾値範囲内にある場合)の通信量を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-011509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の「データ収集装置」では、例えば測定データの値に関わらず、多数の機械を対象として測定される測定データを高頻度に送信するような場合に、データ収集のための通信の効率化を図ることはできない。
このため、例えば、高頻度かつ多数の機械を対象としてデータを収集する場合に、自動的に、データ収集のための通信の効率化を図ることができるデータ収集装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、通信を介して、外部の記憶装置から情報を収集する情報収集装置であって、前記記憶装置に記憶される前記情報に含まれるデータ項目のうち、データ収集の対象となるデータ項目を設定する情報取得対象設定部と、前記情報取得対象設定部により設定されたデータ項目に係るデータを収集する際の、前記データを含む取得対象範囲の候補を列挙する候補列挙部と、前記候補列挙部により列挙された取得対象範囲の候補から、前記データを収集するために要する時間が最短となる、取得対象範囲を選択する取得対象範囲選択部と、前記取得対象範囲選択部により選択された取得対象範囲に基づいて、前記データを収集する情報取得部と、を備える情報収集装置である。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、データ収集のための通信の効率化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る情報収集システムの全体構成図である。
図2】一実施形態に係る情報収集装置の設定内容と工作機械の記憶装置(メモリ)の記憶内容の例を示す図である。
図3】一実施形態におけるデータの取得方法の概略図である。
図4】一実施形態に係る情報収集装置の機能ブロック図である。
図5】一実施形態に係る情報収集方法によって取得されるデータを示す図である。
図6】一実施形態に係る情報収集システムでのデータ転送において実行される通信内容を示すフロー図である。
図7】一実施形態に係る情報収集装置の機能ブロック図である。
図8】一実施形態に係る情報収集装置の機能ブロック図である。
図9A】一実施形態に係る各データの取得周期の例を示す表である。
図9B】一実施形態に係る各データの取得タイミングを示す図である。
図10】一実施形態に係る情報収集装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、産業機械として工作機械を例示するが、これに限定されない。産業機械として産業用ロボット等にも適用することができる。
【0011】
〔1.第1実施形態〕
〔1.1 情報収集システムの構成〕
図1は、本実施形態に係る情報収集システム1の全体構成を示す図である。本実施形態に係る情報収集システム1は、情報収集装置10と、工作機械20と、ネットワーク30と、を備える。情報収集装置10と、工作機械20と、はネットワーク30を介して通信可能に接続される。
【0012】
また、図2は、本実施形態の取得方法を実現する上で前提となる、情報収集装置10の設定内容と工作機械20の記憶装置(メモリ)25の記憶内容の例を示す図である。
【0013】
情報収集装置10は、工作機械20が備える記憶装置(メモリ)25から複数の情報を取得する。また、図2に示すように、情報収集装置10では、信号毎に取得する/しないを個別に設定可能である。
【0014】
工作機械20は、複数の駆動軸を有し、これらの駆動軸を駆動することによって被駆動体を移動させる。このような工作機械20としては、特に限定されないが、典型例としてマシニングセンタを挙げることができる。
【0015】
工作機械20は、記憶装置(メモリ)25を備える。より詳細には、工作機械20は、記憶装置(メモリ)25として、各種の制御用プログラムを格納したHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)といった主記憶装置を備える。
【0016】
とりわけ本実施形態において、工作機械20は、情報収集装置10からの要求に応じて、記憶装置(メモリ)25に格納されたデータを転送する。
【0017】
図3は、取得するデータの一例を示す図である。この場合、情報収集装置10の記憶装置25には、図2に示すように設定される。この例のように、データC(アドレス0x0002)~データE(アドレス0x0004)を取得する場合、1つの方法として、データC(アドレス0x0002)~データE(アドレス0x0004)を、1つずつ取得する方法がある。しかし、この方法では、情報の取得回数が多く、通信に無駄が発生する。
【0018】
また、別の方法として、取り得る値全てであるデータA(アドレス0x0000)~データF(0x0005)を一括で取得してから、データC(アドレス0x0002)~データE(アドレス0x0004)を抽出する方法がある。しかし、この取得方法では、データの取得については一度で読むことができるが、不要なデータを取得しているので、通信に無駄が発生する。
【0019】
本実施形態の取得方法の一例として、データC(アドレス0x0002)~データE(アドレス0x0004)を一括で取得し、データC(アドレス0x0002)~データE(アドレス0x0004)を抽出する方法を例示する。この取得方法においては、情報の取得回数が少なく、必要な情報だけを取得するので、通信に無駄が発生しないことからデータ収集のための通信の効率化を図ることができる。
【0020】
〔1.2 情報収集装置の構成〕
図4に、本実施形態に係る情報収集装置10の機能ブロック図を示す。図4に示すように、情報収集装置10は、制御部11と記憶部12とを備える。
【0021】
制御部11は、CPU、ROM、RAM、CMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
【0022】
CPUは、情報収集装置10を全体的に制御するプロセッサである。該CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、該システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従って情報収集装置10全体を制御することで、図4に示すように制御部11が、情報取得対象設定部111、候補列挙部112、取得対象範囲選択部113、及び情報取得部114の機能を実現するように構成する。
【0023】
情報取得対象設定部111は、工作機械20に備わる記憶装置25に記憶される情報に含まれるデータ項目のうち、データ収集の対象となるデータ項目を設定する。
【0024】
図3を参照して説明すると、情報取得対象設定部111は、データ収集の対象となるデータ項目として、データC、データD、データEを取得するデータとして設定する。
【0025】
候補列挙部112は、情報取得対象設定部111により設定されたデータ項目に係るデータを収集する際の、設定されたデータを含む取得対象範囲の候補を列挙する。
候補列挙部112は、少なくとも、情報取得対象設定部111により設定されたデータ項目に係るデータのうち、記憶装置25に記憶されるアドレスが連続するデータの集合となるデータ列を含む取得対象範囲の候補を列挙する。
【0026】
例えば、図3に例示されたデータ(データC、データD、データE)を取得する場合、候補列挙部112は、データA、データB、データC、データD、データE、データF・・・のうち、アドレスが連続するデータの集合となるデータ列として、例えば、データA~データB、データA~データC、データA~データD、データB~データC、データB~データD、データC~データD,データC~データE等のデータ列を含む取得対象範囲の候補を列挙することができる。
【0027】
取得対象範囲選択部113は、候補列挙部112により列挙された取得対象範囲の候補から、データを収集するために要する時間が最短となる、取得対象範囲を選択する。
【0028】
例えば、図3に例示されたデータ(データC、データD、データE)を取得する場合、取得対象範囲選択部113は、データを収集するために要する時間が最短となる取得対象範囲として、取得対象範囲の候補から、データC~データEからなるデータ列を選択する。
【0029】
情報取得部114は、取得対象範囲選択部113により選択された取得対象範囲に基づいて、データを収集する。
【0030】
例えば、図3に例示されたデータ(データC、データD、データE)を取得する場合、情報取得部114は、工作機械20に対して、取得対象範囲選択部113により選択された取得対象範囲の1つの候補である、データC~データEからなるデータ列を取得して、送信させる。そうすることで、情報収集装置10は、データ収集のための通信の効率化を図ることができる。
【0031】
なお、記憶部12は、情報取得部114によって、工作機械20から収集したデータを記憶する。記憶部12は、例えばEEPROM等の書き換え可能なメモリである。
【0032】
〔1.3 第1実施形態が奏する効果〕
本実施形態に係る情報収集システム1においては、情報の取得回数が少なく、必要な情報だけを取得するので、通信に無駄が発生しない。
【0033】
また、データ収集が効率化されることで、工作機械20の通信の負担が減ることにより、他の計算処理にリソースを割けるようになる。また、工作機械20からより多くのデータを収集できるようになる。更に、通信回線への負荷を減らせると共に、データ収集のリアルタイム性が向上する。
【0034】
〔2.第2実施形態〕
〔2.1 情報収集装置の構成〕
次に、取得したいデータが飛び飛びになっている場合に、情報収集装置10が、最適なデータの取集方法を選択する実施例について、図5を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態において、情報取得対象設定部111により、データ収集の対象となるデータ項目として、データBとデータC、データEとデータF、及びデータIを取得するデータとして設定されたことを示す図である。
本実施形態においては、1つのデータ項目に対応するデータをネットワーク30を介して転送する時間を第1時間(後述のt1)とした場合、複数のデータ項目に対応する複数のデータをネットワーク30を介して転送する時間は、データの個数(n)に比例する(n×t1)ものと仮定する。
他方、1回の通信に必要となる時間から前記転送に係る時間を差し引いた時間(以下、「通信の確立等に係る時間」ともいう)を第2時間(後述のt2)とした場合、複数のデータを1回の転送で送信する場合、通信の確立等に係る時間は、データ数に関わらず、第2時間(t2)であると仮定する。
【0035】
図6は、上記の第1時間(t1)及び第2時間(t2)について説明するための、情報収集システム1Aにおける、情報収集装置10Aと工作機械20との間でのデータ転送において実行される通信内容を示すフロー図である。
ここで、アドレスX-Yデータは、1つのデータ項目に対応するデータ又は、複数のデータ項目に対応するデータの連続したデータ列とする。また、アドレスX-Yデータを送受信する毎に、当該フローに基づく通信が行われると仮定する。
【0036】
図6を参照すると、ステップS1において、情報収集装置10Aは工作機械20に対して、通信開始要求を送信する。
【0037】
ステップS2において、工作機械20は情報収集装置10Aに対して、通信開始許可と通信開始要求を送信する。
【0038】
ステップS3において、情報収集装置10Aは工作機械20に対して、通信開始許可を送信する。
【0039】
ステップS4において、情報収集装置10Aは工作機械20に対して、任意のアドレス範囲をX-Yで示した場合、アドレスX-Yデータ転送要求を送信する。
【0040】
ステップS5において、工作機械20は情報収集装置10Aに対して、アドレスX-Yデータを転送する。
【0041】
ステップS6において、情報収集装置10Aは工作機械20に対して、アドレスX-Yデータ受信確認を送信する。
【0042】
ステップS7において、情報収集装置10Aは工作機械20に対して、通信切断要求を送信する。
【0043】
ステップS8において、工作機械20は情報収集装置10Aに対して、通信切断許可を送信する。
【0044】
ステップS9において、工作機械20は情報収集装置10Aに対して、通信切断要求を送信する。
【0045】
ステップS10において、情報収集装置10Aは工作機械20に対して、通信切断許可を送信する。
【0046】
そうすると、ステップS5のアドレスX-Yデータ転送における処理時間は、データ1単位当たりの転送時間であり、転送するデータの範囲に依存する。具体的には、当該転送時間は、t1×取得するデータの数(n×t1)により算出される。
【0047】
また、ステップS5以外のステップ(S1~S4及びS6~S10)における処理時間は、通信確立等に必要となる時間であり、転送するデータの容量には依存しない。この処理時間をt2とする。
なお、情報収集装置10と工作機械20との間の通信において、最初に、ステップS1からステップS3を行うことで、情報収集装置10と工作機械20との間で通信可能に接続した後、その後、転送周期毎にステップS4からステップS6を繰り返すことでアドレスX-Yデータを転送周期毎に転送し、最後にステップS7からステップS10を行うことで、情報収集装置10と工作機械20との間の通信接続を切断するような場合、t2はステップS4及びステップS6における処理時間を指すようにしてもよい。
【0048】
本実施形態においては、取得対象範囲選択部113は、候補列挙部112により列挙された取得対象範囲の候補(「パターン」ともいう)に対して、それぞれ上記の「t1」及び「t2」を用いて、データの収集時間を算出し、当該収集時間の最も短い取得パターンとなる取得対象範囲の候補を、自動で選択する。
【0049】
例えば、図5において、データB、データC、データE、データF、データIのデータを1個ずつ収集するデータ取得パターンをパターンAとする。また、これらのデータを、「データB及びデータC」、「データE及びデータF」、データIの3回で収集するデータ収集パターンをパターンBとする。また、これらのデータを、「データB~データF」、「データI」の2回で収集するデータ収集パターンをパターンCとする。更に、t1=3(ms)、t2=4(ms)とする。
【0050】
このとき、パターンAによるデータ収集時間は、t1×5+t2×5=15+20=35(ms)となる。パターンBによるデータ収集時間は、t1×5+t2×3=15+12=27(ms)となる。パターンCによるデータ収集時間は、t1×6+t2×2=18+8=26(ms)となる。これにより、情報収集装置10Aは、データ収集パターンとして、最もデータ収集時間の短いパターンCを自動的に選択する。
【0051】
図7は、第2実施形態に係る情報収集装置10Aの機能ブロック図である。なお、情報収集装置10Aと情報収集装置10とで、共通する構成要素については、同一の符号を用いて示し、その機能の説明は、簡略化のため省略する。
【0052】
情報収集装置10Aは、制御部11の代わりに制御部11Aを備える。また、制御部11Aは、取得対象範囲選択部113の代わりに、取得対象範囲選択部113Aを備える。更に、取得対象範囲選択部113Aは、収集時間算出部115を備える。
【0053】
収集時間算出部115は、記憶装置25から、データ項目に係るデータを取得して、通信を介して、データ項目に係るデータを受信するために要するデータ転送時間である第1時間と、記憶装置25からデータ項目に係るデータを転送するための少なくとも通信の確立に要する時間である第2時間と、に基づいて、候補列挙部112により列挙された取得対象範囲の候補毎に、データを収集するために要する時間を算出する。
【0054】
すなわち、上記の例を参照すれば、収集時間算出部115は、上記のt1及びt2に基づいて、候補列挙部112により列挙された、パターンA、パターンB、及びパターンC毎に、データを収集するために要する時間を算出する。
【0055】
なお、上記のt1及びt2は、情報収集装置10Aに予め与えられた設定値でもよく、この場合、情報収集装置10Aによる設定値を用いた計算に基づき、最適なデータ長を設定してもよい。
【0056】
〔2.2 第2実施形態が奏する効果〕
本実施形態に係る情報収集システム1Aにおいては、工作機械20の記憶装置25から取得したいデータが、記憶装置25のアドレスにおいて飛び飛びになっている場合に、最適なデータの取り方を自動で選択することが可能となる。
【0057】
〔3.第3実施形態〕
〔3.1 情報収集装置の構成〕
第2実施形態では、第1時間(t1)及び第2時間(t2)を所与のものとしたが、ここでは、情報収集装置10が予めデータ収集を試行することで、第1時間(t1)及び第2時間(t2)を算出する第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態において、第1時間(t1)及び第2時間(t2)を算出した後は、第2実施形態と同様に実行される。
図8は、第3実施形態に係る情報収集装置10Bの機能ブロック図である。なお、情報収集装置10Bと情報収集装置10Aとで、共通する構成要素については、同一の符号を用いて示し、その機能の説明は、簡略化のため省略する。
【0058】
情報収集装置10Bは、制御部11Aの代わりに制御部11Bを備える。また、制御部11Bは、制御部11Aが備える構成要素に加えて、情報収集試行部116を備える。
【0059】
情報収集試行部116は、記憶装置25から任意のデータ項目に係るデータの収集を試行すると共に、試行結果に基づいて第1時間(t1)及び第2時間(t2)を算出する。
【0060】
その上で、情報収集装置10Bは、情報収集試行部116により算出した第1時間(t1)及び第2時間(t2)を、収集時間算出部115において適用する。
【0061】
〔3.2 第3実施形態が奏する効果〕
本実施形態に係る情報収集システム1Bにおいては、データの試行により、第1時間(t1)及び第2時間(t2)を算出することで、実際のデータ転送時間、通信確立時間等に基づいて、最適なデータの収集方法を自動で選択することが可能となる。
【0062】
〔4.第4実施形態〕
〔4.1 情報収集装置の構成〕
次に、情報収集装置10により収集するデータについて、その取得周期が異なる場合について、第4実施形態として説明する。
図9Aは、情報収集装置10により収集するデータについて、その取得周期が異なる場合を例示した、各データの取得周期の例を示す表である。また、図9Bは、この場合における各データの取得タイミングの一例を示す図である。
【0063】
図9Aを参照すると、データB及びデータCは、アドレスが隣り合っているが、取得周期が異なる。より具体的には、データCの取得周期1(s)は、データBの取得周期0.5(s)のちょうど2倍となっている。
【0064】
このような場合、情報収集装置10は、図9Bに示すように、データCが必要なタイミングではデータBを同時取得して、データCが不要なタイミングでは、データCの取得を省略するようにしてもよい。
【0065】
図10は、第4実施形態に係る情報収集装置10Cの機能ブロック図である。なお、情報収集装置10Cと情報収集装置10とで、共通する構成要素については、同一の符号を用いて示し、その機能の説明は、簡略化のため省略する。
【0066】
情報収集装置10Cは、制御部11の代わりに制御部11Cを備える。制御部11Cは、情報取得対象設定部111の代わりに情報取得対象設定部111Cを、候補列挙部112の代わりに候補列挙部112Cを、取得対象範囲選択部113の代わりに取得対象範囲選択部113Cを、情報取得部114の代わりに情報取得部114Cを備える。
【0067】
情報取得対象設定部111Cは、情報取得対象設定部111と同様、工作機械20に備わる記憶装置25に記憶される情報に含まれるデータ項目のうち、データ収集の対象となるデータ項目を設定するのに加え、データ収集の対象となるデータ項目を設定する際に、データ項目毎にデータ項目に係るデータの取得周期を設定する。
【0068】
図9Aの例を用いて説明すると、情報取得対象設定部111Cは、データBに対して取得周期0.5(s)を、データCに対して取得周期1(s)を設定する。
【0069】
候補列挙部112Cは、情報取得対象設定部111Cにより設定されたデータ項目に係るデータを同時に収集することができる最小の取得周期に基づいて、データ項目に係るデータを含む取得対象範囲の候補を列挙する。
【0070】
図9Aの例を用いて説明すると、データBとデータCとを同時に収集することができる最小の取得周期を1(s)とすることが可能であり、この取得周期に基づいて、データ項目に係るデータを含む取得対象範囲の候補として、例えば、「データB、データC」、「データB、データC、データD」・・・を、取得対象範囲の候補として列挙する。
【0071】
取得対象範囲選択部113Cは、候補列挙部112Cにより列挙された取得対象範囲の候補から、情報取得対象設定部111Cにより設定されたデータ項目に係るデータを同時に収集することができる最小の取得周期で、データを収集するために要する時間が最短となる、取得対象範囲を選択する。
【0072】
図9Aの例を用いて説明すると、取得対象範囲選択部113Cは、取得対象範囲として、例えば「データB、データC」を選択する。
【0073】
こうすることで、情報取得部114Cは、少なくとも、情報取得対象設定部111Cにより設定されたデータ項目に係るデータを同時に収集することができる最小の取得周期においては、取得対象範囲選択部113Cにより選択された取得対象範囲に基づいて、データを収集する。
【0074】
図9Aの例を用いて説明すると、図9Bに示すように、情報取得部114Cは、取得周期1s毎に取得対象範囲選択部113Cにより選択された取得対象範囲である、「データB、データC」のデータを取得する。
なお、当該取得周期よりも短い取得周期で取得されるデータについても、前述したのと同様にして、前記取得周期毎に、候補列挙部112Cにより取得対象範囲の候補を列挙し、情報取得部114Cは、当該取得周期においては、取得対象範囲選択部113Cにより選択された取得対象範囲に基づいて、データを収集するようにしてもよい。
例えば、図9Bに示すように、取得周期1sの間には、情報取得部114Cは、データBを取得するようにしてもよい。
【0075】
〔4.2 第4実施形態が奏する効果〕
本実施形態に係る情報収集システム1Cにおいては、各データ間で取得周期が異なる場合、データ間の取得周期の最小公倍数となる取得周期において、複数種のデータを取得することにより、データ取得に係るリソースを節約し、通信回線への負荷を減らすことが可能となる。
【0076】
〔5 変形例〕
上記の実施形態において、情報収集装置10~10Cは、工作機械20の記憶装置25からデータを収集するとしたが、これには限定されない。例えば、情報収集装置10~10Cは、工作機械20の代わりにロボットが備える記憶装置から、データを収集してもよい。また、産業機械の状態情報を取得するセンサが備える記憶装置から、データを収集するようにしてもよい。
【0077】
(1) 本発明に係る情報収集装置(例えば、上記の「情報収集装置10」)は、通信を介して、記憶装置(例えば、上記の「記憶装置25」)から情報を収集する情報収集装置であって、前記記憶装置に記憶される前記情報に含まれるデータ項目のうち、データ収集の対象となるデータ項目を設定する情報取得対象設定部(例えば、上記の「情報取得対象設定部111」)と、前記情報取得対象設定部により設定されたデータ項目に係るデータを収集する際の、前記データを含む取得対象範囲の候補を列挙する候補列挙部(例えば、上記の「候補列挙部112」)と、前記候補列挙部により列挙された取得対象範囲の候補から、前記データを収集するために要する時間が最短となる、取得対象範囲を選択する取得対象範囲選択部(例えば、上記の「取得対象範囲選択部113」)と、前記取得対象範囲選択部により選択された取得対象範囲に基づいて、前記データを収集する情報取得部(例えば、上記の「情報取得部114」)と、を備える。
【0078】
これにより、情報の取得回数が少なく、必要な情報だけを取得するので、通信に無駄が発生しない。
【0079】
(2) (1)に記載の情報収集装置において、前記候補列挙部は、少なくとも、前記情報取得対象設定部により設定されたデータ項目に係るデータのうち、前記記憶装置に記憶されるアドレスが連続するデータの集合となるデータ列を含む取得対象範囲の候補を列挙してもよい。
【0080】
これにより、データ収集が効率化されることで、工作機械20の通信の負担が減ることにより、他の計算処理にリソースを割けるようになる。また、工作機械20からより多くのデータを収集できるようになる。更に、通信回線への負荷を減らせると共に、データ収集のリアルタイム性が向上する。
【0081】
(3) (1)又は(2)に記載の情報収集装置(例えば、上記の「情報収集装置10A」)において、取得対象範囲選択部(例えば、上記の「取得対象範囲選択部113A」)は、更に、前記記憶装置から、前記データ項目に係るデータを取得して、通信を介して前記データ項目に係るデータを受信するために要するデータ転送時間である第1時間と、前記記憶装置から前記データ項目に係るデータを転送するための少なくとも通信の確立に要する時間である第2時間と、に基づいて、前記候補列挙部により列挙された取得対象範囲の候補毎に、前記データを収集するために要する時間を算出する収集時間算出部(例えば、上記の「収集時間算出部115」)を備え、前記収集時間算出部により、前記取得対象範囲の候補毎に算出されたそれぞれの収集時間を比較して、収集時間が最短となる取得対象範囲を選択してもよい。
【0082】
これにより、工作機械の記憶装置から取得したいデータが、記憶装置のアドレスにおいて飛び飛びになっている場合に、最適なデータの取り方を自動で選択することが可能となる。
【0083】
(4) (3)に記載の情報収集装置において、前記第1時間及び前記第2時間が予め設定されていてもよい。
【0084】
これにより、情報収集装置による設定値を用いた計算に基づき、最適なデータ長を設定することが可能となる。
【0085】
(5) (3)に記載の情報収集装置(例えば、上記の「情報収集装置10B」)は、前記記憶装置から任意のデータ項目に係るデータの収集を試行すると共に、試行結果に基づいて前記第1時間及び前記第2時間を算出する、情報収集試行部(例えば、上記の「情報収集試行部116」)を備え、前記情報収集試行部により算出した前記第1時間及び前記第2時間を前記収集時間算出部において適用してもよい。
【0086】
これにより、データの試行により、実際のデータ転送時間、通信確立時間等を算出することで、最適なデータの収集方法を自動で選択することが可能となる。
【0087】
(6) (1)~(5)に記載の情報収集装置(例えば、上記の「情報収集装置10C」)において、前記情報取得対象設定部(例えば、上記の「情報取得対象設定部111C」)は、更に、前記データ収集の対象となるデータ項目を設定する際に、前記データ項目毎に前記データ項目に係るデータの取得周期を設定し、前記候補列挙部(例えば、上記の「候補列挙部112C」)は、前記情報取得対象設定部により設定されたデータ項目に係るデータを同時に収集することができる最小の取得周期に基づいて、前記データ項目に係るデータを含む取得対象範囲の候補を列挙し、前記取得対象範囲選択部(例えば、上記の「取得対象範囲選択部113C」)は、前記候補列挙部により列挙された取得対象範囲の候補から、前記データを収集するために要する時間が最短となる、取得対象範囲を選択し、前記情報取得部(例えば、上記の「情報取得部114C」)は、少なくとも、前記最小の取得周期においては、前記取得対象範囲選択部により選択された取得対象範囲に基づいて、前記データを収集してもよい。
【0088】
これにより、各データ間で取得周期が異なる場合、データ間の取得周期の最小公倍数となる取得周期において、複数種のデータを取得することにより、データ取得に係るリソースを節約し、通信回線への負荷を減らすことが可能となる。
【符号の説明】
【0089】
1,1A,1B,1C 情報収集システム
10,10A,10B,10C 情報収集装置
11,11A,11B,11C 制御部
12 記憶部
20 工作機械
25 記憶装置(メモリ)
111,111C 情報取得対象設定部
112,112C 候補列挙部
113,113A,113C 取得対象範囲選択部
114,114C 情報取得部
115 収集時間算出部
116 情報収集試行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10