(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両用部品、車両用周辺視認装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B60R1/06 D
(21)【出願番号】P 2019236709
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】523099264
【氏名又は名称】美里工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河西 丈一
(72)【発明者】
【氏名】射場 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】南澤 芳郎
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182361(JP,A)
【文献】特開2003-034184(JP,A)
【文献】特開2000-190778(JP,A)
【文献】特開2014-015129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両用部品と、剛性が前記第1車両用部品の剛性より高い部材から構成されている第2車両用部品および第3車両用部品とを、備え、
前記第1車両用部品には
、板部と、前記板部の一面に設けられている一対の弾性係合爪と、前記板部の他面の周縁部に設けられているリップ部と、が設けられていて、
一対の前記弾性係合爪は、弾性部と、前記弾性部から弾性方向に設けられている爪部と、を有し
、
前記爪部は、前記弾性部に相互に反対方向に設けられていて、
前記板部の中間部分には、開口部が設けられていて、
前記板部の両端部分は、前記開口部の周縁部の一部であって、肉薄の連結部を介して相互に連結されていて、
前記板部の両端部分の少なくともいずれか一方には、一対の前記弾性係合爪が設けられていて、
前記第2車両用部品には、前記爪部が設けられている方向に対して反対側に位置
し、一対の前記弾性係合爪の間に位置する撓み規制部が、設けられていて、
前記第3車両用部品には、
前記板部の前記一面が載置する載置部と、前記爪部が弾性係合する縁部を有
し前記載置部に設けられている係合孔
と、が設けられている、
ことを特徴とする車両用部品。
【請求項2】
前記爪部と前記縁部との弾性係合寸法は、
一対の前記弾性係合爪と前記撓み規制部との間の寸法よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用部品。
【請求項3】
車体に固定されるベースアセンブリと、
前記ベースアセンブリに回転可能に取り付けられている視認アセンブリと、
を備え、
前記ベースアセンブリは、前記の請求項1または請求項2に記載の車両用部品
を有する、
ことを特徴とする車両用周辺視認装置。
【請求項4】
前記車両用部品の前記第1車両用部品は、前記視認アセンブリが
当接しているガスケットであり、
前記車両用部品の前記第2車両用部品は、前記車体に固定され、前記視認アセンブリが回転可能に取り付けられているベース
であり、
前記車両用部品の前記第3車両用部品は、前記ベースをカバーしているベースカバーである、
ことを特徴とする請求項
3に記載の車両用周辺視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用部品のめくれや脱落などを防ぐことができる固定構造を備える車両用部品に関する。また、この発明は、前記の車両用部品を備える車両用周辺視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用部品のめくれや脱落などを防ぐことができる固定構造を備える車両用部品は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、特許文献1の車両用外装部品について説明する。
【0003】
特許文献1の車両用外装部品は、硬質の合成樹脂からなるカバーと、軟質の合成樹脂からなるガスケットと、合成樹脂からなるクリップと、を備える。特許文献1の車両用外装部品は、まず、カバーとガスケットとを仮組み付けし、つぎに、カバーにクリップを固定して、ガスケットの一部にクリップの一部を位置させて、カバーとガスケットとをクリップを介して組み付ける。かかる特許文献1の車両用外装部品は、ガスケットの一部がクリップの一部に当接して、ガスケットがカバー外れるのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用部品においては、車両用部品のめくれや脱落などを防ぐことが重要である。すなわち、車両用部品がめくれたり脱落したりすると、見栄え上、好ましくない。このため、車両用部品のめくれや脱落などを防ぐことが重要である。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、車両用部品のめくれや脱落などを防ぐことができる車両用部品、車両用周辺視認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の車両用部品は、第1車両用部品と、剛性が第1車両用部品の剛性より高い部材から構成されている第2車両用部品および第3車両用部品とを、備え、第1車両用部品には、弾性係合爪が設けられていて、弾性係合爪が、弾性部と、弾性部から弾性方向に設けられている爪部と、を有し、第2車両用部品には、爪部が設けられている方向に対して反対側に位置する撓み規制部が、設けられていて、第3車両用部品には、爪部が弾性係合する縁部を有する係合孔が、設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明の車両用部品において、爪部と縁部との弾性係合寸法が、弾性係合爪と撓み規制部との間の寸法よりも大きい、ことが好ましい。
【0009】
この発明の車両用部品において、第1車両用部品が、板部と、板部の一面に設けられている一対の弾性係合爪と、板部の他面の周縁部に設けられているリップ部と、を有し、一対の弾性係合爪の爪部が、一対の弾性係合爪の弾性部に相互に反対方向に設けられていて、板部の中間部分には、開口部が設けられていて、板部の両端部分が、開口部の周縁部の一部であって、肉薄の連結部を介して相互に連結されていて、板部の両端部分の少なくともいずれか一方には、一対の弾性係合爪が設けられていて、第2車両用部品が、一対の弾性係合爪の間に位置する撓み規制部を有し、第3車両用部品が、板部の一面が載置する載置部と、載置部に設けられている係合孔と、を有する、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用周辺視認装置は、車体に固定されるベースアセンブリと、ベースアセンブリに回転可能に取り付けられている視認アセンブリと、を備え、ベースアセンブリが、この発明の車両用部品を有する、ことを特徴とする。
【0011】
この発明の車両用周辺視認装置において、車両用部品の第1車両用部品が、視認アセンブリが当接しているガスケットであり、車両用部品の第2車両用部品が、車体に固定され、視認アセンブリが回転可能に取り付けられているベースであり、車両用部品の第3車両用部品が、ベースをカバーしているベースカバーである、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明の車両用部品、車両用周辺視認装置は、車両用部品のめくれや脱落などを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、この発明にかかる車両用部品、車両用周辺視認装置の実施形態を示す車両用アウトサイドミラー装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、ベースアセンブリを示す平面図(
図1におけるII-II線矢視図)である。
【
図3】
図3は、視認アセンブリがベースアセンブリに対して回転する状態を示す平面図(
図2に対応する平面図)である。
【
図4】
図4は、ベースアセンブリを示す断面図(
図2におけるIV-IV線断面図)である。
【
図5】
図5は、ベースアッパーガスケットを第1ベースカバーに仮固定する前の状態を示す一部拡大断面図(
図4におけるVIII部拡大断面図に対応する断面図)である。
【
図6】
図6は、ベースアッパーガスケットおよび第1ベースカバーをベースに固定する前の状態を示す一部拡大断面図(
図4におけるVIII部拡大断面図に対応する断面図)である。
【
図7】
図7は、ベースアッパーガスケット、第1ベースカバーおよびベースに第2ベースカバーを固定する前の状態を示す一部拡大断面図(
図4におけるVIII部拡大断面図に対応する断面図)である。
【
図8】
図8は、ベースアセンブリを示す一部拡大断面図(
図4におけるVIII部拡大断面図)である。
【
図9】
図9は、ベースアセンブリの固定構造を示す説明図である。
図9(A)は、固定構造の固定状態を示す一部拡大断面図(
図8に対応する一部拡大断面図)である。
図9(B)は、
図9(A)におけるB-B線断面図である。
図9(C)は、一対の弾性係合爪が撓んでいてかつ撓み規制部が一対の弾性係合爪の撓みを規制している状態を示す一部拡大断面図(
図9(A)に対応する一部拡大断面図)である。
【
図10】
図10は、ベースアッパーガスケットを示す平面図である。
【
図11】
図11は、一対の弾性係合爪が係合孔中において撓んでいる状態を示す一部拡大断面図(
図9(A)、(C)に対応する一部拡大断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明にかかる車両用部品、車両用周辺視認装置の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略し、また、ハッチングの一部を省略し、あるいは、断面の一部を省略する。
【0015】
この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用周辺視認装置を車両(図示せず)に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
図1から
図3において、符号「F」は「前」、「B」は「後」、「U」は上、「D」は「下」、「L」は「左」、「R」は「右」である。
【0016】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用部品、車両用周辺視認装置の構成について説明する。
図1から
図3において、符号1は、この実施形態にかかる車両用周辺視認装置である。
【0017】
(車両用周辺視認装置1の説明)
車両用周辺視認装置1は、この例では、車両用アウトサイドミラー装置であって、車両用のドアミラー(以下、「ドアミラー1」と称する)である。ドアミラー1は、車両の左右のドア(図示せず)にそれぞれ装備される。
【0018】
以下、右のドアに装備されるドアミラー1について説明する。ここで、右のドアに装備されるドアミラー1において、右側は、車両の外側となり、一方、左側は、車両の内側となる。なお、左のドアに装備されるドアミラーは、右のドアに装備されるドアミラー1の構成とほぼ左右対称である。このために、左のドアに装備されるドアミラーの説明を省略する。
【0019】
ドアミラー1は、
図1から
図3に示すように、視認アセンブリ2と、ベースアセンブリ3と、を備える。ベースアセンブリ3は、ドアに固定される。視認アセンブリ2は、ベースアセンブリ3に回転中心線O周りに回転可能に取り付けられている。
【0020】
(視認アセンブリ2の説明)
視認アセンブリ2は、
図1に示すように、ハウジング20と、車両用灯具としてのサイドターンシグナルランプ21と、視認ユニット(図示せず)と、電動格納ユニット(図示せず)と、を有する。
【0021】
ハウジング20は、中空状の箱形形状をなしていて、正面側(車両の後側)が開口されている。ハウジング20の下面の左側には、ベースアセンブリ3に対向する対向面22が形成されている(
図3中の二点鎖線および一点鎖線、
図8中の二点鎖線を参照)。対向面22は、ほぼ扇形状をなしていて、3つの角部が曲線で面取りされている。
【0022】
サイドターンシグナルランプ21は、ハウジング20の上下のほぼ中間部分において、ハウジング20の右側(ハウジング20の開口部(図示せず)の縁側)から左側の途中までの間に、取り付けられている。
【0023】
視認ユニットは、この例では、ミラーであって、ハウジング20の開口部に配置されている。視認ユニットは、ハウジング20に駆動機構(パワーユニット)を介して取り付けられている。視認ユニットの鏡面(ミラー面)は、駆動機構により、垂直軸周りに左右方向に、かつ、水平軸周りに上下方向に回転可能であり、鏡面調整可能である。
【0024】
なお、視認ユニットは、この例のミラーの代わりに、カメラであっても良い。視認ユニットがカメラの場合、ハウジング20の上下方向の寸法が大幅に小さくなる。なお、カメラにより撮像された車両の周囲の情報は、画像処理装置など(図示せず)を介して、車両の室内の表示装置(図示せず)に表示される。
【0025】
電動格納ユニットは、
図3に示すように、視認アセンブリ2を使用位置(
図3中の二点鎖線を参照)と後方格納位置(
図3中の一点鎖線を参照)との間を電動により回転させるものである。
【0026】
電動格納ユニットは、シャフト23、モータ、減速機構、クラッチ機構などから構成されている。電動格納ユニットの大部分は、ハウジング20内に収容されてハウジング20に取り付けられている。なお、シャフト23の軸部の中心線は、視認アセンブリ2の回転中心線Oである。
【0027】
(ベースアセンブリ3の説明)
ベースアセンブリ3は、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7を有する。この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7は、
図4に示すように、第1車両用部品4、第2車両用部品5、第3車両用部品6および第4車両用部品7を、備える。
【0028】
第1車両用部品4は、
図1に示すように、視認アセンブリ2が当接しているベースアッパーガスケット4(以下、単に「ガスケット4」と称する)である。第2車両用部品5は、車体に固定され、視認アセンブリ2が回転可能に取り付けられているベース5である。第3車両用部品6は、ベース5をカバーしている第1ベースカバー6である。第4車両用部品7は、第1ベースカバー6と共に、ベース5をカバーしている第2ベースカバー7である。
【0029】
(ガスケット4の説明)
ガスケット4は、この例では、PE(ポリエチレン)、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)、POM(ポリアセタール、アセタール樹脂)、TEO(熱可塑性エラストマー)などから構成されている。すなわち、ガスケット4は、樹脂系またはゴム系の柔らかい弾性部材から構成されている。
【0030】
ガスケット4は、
図2から
図10に示すように、板部40と、一対の弾性係合爪41と、リップ部42と、を有する。ここで、一対の弾性係合爪41において、相対向する側あるいは相互に対向する側を「内側」と称し、「内側」の反対側を「外側」と称する。
【0031】
板部40の平面視形状(上側見た形状)は、
図2、
図3および
図10に示すように、ハウジング20の対向面22と類似形状をなす。板部40の中間部分であって一端部分(扇形状の要部分)寄りの箇所には、開口部400が設けられている。
【0032】
開口部400の平面視形状は、一端部分側の小円弧形状と、他端部分側の大円弧形状とからなる。板部40の一端部分と他端部分とは、開口部400の小円弧形状の周縁部の一部であって、2本の肉薄の連結部401を介して相互に連結されている。板部40の他端部分には、複数個この例では2個の小円形の透孔402が設けられている。
【0033】
図4から
図10に示すように、板部40の一端部分であって開口部400の周縁部の一面(下面)には、一対の弾性係合爪41が一体に設けられている。一対の弾性係合爪41は、爪部410と、弾性部411と、バックリブ412と、を有する。
【0034】
一対の弾性部411は、板部40の下面から下方に一体に突出して設けられている。一対の弾性部411は、内側および外側の方向(
図9(C)中の実線矢印を参照)に弾性を有する。一対の弾性部411の断面形状は、
図9(B)に示すように、長方形形状をなす。一対の弾性部411の断面長方形形状の短辺は、弾性方向に一致する。
【0035】
一対の爪部410は、一対の弾性部411の下端から外側(すなわち、一対の弾性部411の弾性方向に)に、それぞれ、相互に反対方向に、一体に突出して設けられている。この結果、一対の爪部410は、相互に反対側(外側)に向いている。一対の爪部410の平面視形状は、
図9(B)に示すように、長方形形状をなす。一対の爪部410の平面長方形形状の長辺の長さと一対の弾性部411の断面長方形形状の長辺の長さとは、一致する。
【0036】
一対の爪部410の正面視形状は、
図9(A)に示すように、三角形形状をなす。一対の爪部410の上面は、ほぼ水平面をなしていて、係合面を形成する。一対の爪部410の側面は、上側から下側にかけて、外側から内側に傾斜していて、スライド面を形成する。一対の爪部410は、ランス形状をなす。
【0037】
バックリブ412は、一対の弾性部411の内側に一体に設けられている。バックリブ412の断面形状は、
図9(B)に示すように、小長方形形状をなす。バックリブ412は、一対の弾性部411の断面長方形形状の長辺の中央に、凸形状に一体に突出して設けられている。
【0038】
バックリブ412の正面形状は、
図9(A)に示すように、三角形形状をなす。バックリブ412の側面は、上側から下側にかけて、内側から外側に傾斜している。バックリブ412は、剛性が低い部材からなるガスケット4の一対の弾性係合爪41の強度を向上させる機能を有する。
【0039】
リップ部42は、
図4から
図8、
図10に示すように、板部40の他面(上面)の外側周縁部に全周に亘って一体に設けられている。リップ部42は、板部40側の下部から上部にかけて、肉厚が薄くなるような断面形状をなしている。リップ部42の上部(頂部)には、視認アセンブリ2の対向面22が当接していて、リップ部42の上部(頂部)は、弾性変形している。
【0040】
(ベース5の説明)
ベース5は、剛性がガスケット4の剛性より高い部材(ダイカスト、高剛性の樹脂など)から構成されている。ベース5は、
図2および
図3に示すように、円筒形状の挿通筒部50を有する。挿通筒部50は、ガスケット4の開口部400の小円弧形状の部分に配置されている。挿通筒部50中には、シャフト23が挿通されている。
【0041】
ベース5は、
図4、
図6から
図9に示すように、一対の弾性係合爪41の間に位置する撓み規制部51を有する。撓み規制部51は、挿通筒部50の外周面に一体に設けられている。撓み規制部51は、一対の弾性係合爪41の爪部410の向き(すなわち、一対の爪部410が設けられている方向)に対して反対側に位置する。撓み規制部51の正面視形状は、長方形形状をなす。
【0042】
(第1ベースカバー6および第2ベースカバー7の説明)
第1ベースカバー6および第2ベースカバー7は、ベース5と同様に、剛性がガスケット4の剛性より高い部材(ダイカスト、高剛性の樹脂など)から構成されている。なお、第1ベースカバー6および第2ベースカバー7の剛性と、ベース5の剛性とは、同じであっても良いし、あるいは、一方の剛性が他方の剛性よりも高い場合であっても良い。
【0043】
第1ベースカバー6および第2ベースカバー7は、
図4、
図6から
図8に示すように、ベース5を挟み込んでカバーするように、2分割に構成されている。第1ベースカバー6および第2ベースカバー7の外面は、ドアミラー1のベースアセンブリ3の意匠を形成する。
【0044】
第1ベースカバー6は、載置部60と、係合孔61と、を有する。載置部60の上面には、ガスケット4の板部40の下面が載置する。載置部60には、ガスケット4の開口部400と同様の開口部が設けられている。載置部60には、係合孔61が設けられている。また、載置部60には、複数本この例では2本のピン62が、ガスケット4の小円形の透孔402に対応して設けられている。
【0045】
係合孔61は、
図6から
図8に示すように、筒部63の中空部分に設けられている。筒部63は、載置部60から下側に一体に設けられている。係合孔61は、爪部410が弾性係合する縁部64を有する。縁部64は、筒部63の下端縁部である。縁部64の下面は、ほぼ水平面をなしていて、係合面を形成する。
【0046】
(ベースアセンブリ3の組み付けの説明)
以下、ベースアセンブリ3の組み付けについて、
図2から
図9、
図11を参照して、説明する。
【0047】
まず、ガスケット4の一対の弾性係合爪41を、第1ベースカバー6の係合孔61中に、挿入する(
図5中の実線矢印を参照)。すると、
図11に示すように、一対の弾性係合爪41は、係合孔61中において、内側に弾性変形する。この時、すなわち、ガスケット4を第1ベースカバー6に組み付ける時には、
図9中の撓み規制部51は、存在しないので、一対の弾性係合爪41は、係合孔61中において、内側に弾性変形することができる。
【0048】
一対の弾性係合爪41が係合孔61の縁部64に達した時点で、内側に弾性変形していた一対の弾性係合爪41は、外側に元の形状に弾性復帰する。すると、一対の弾性係合爪41の爪部410は、係合孔61の縁部64に弾性係合する(
図6および
図9(A)を参照)。
【0049】
同時に、ガスケット4の小円形の透孔402を、第1ベースカバー6のピン62に、外側から嵌合して、ガスケット4の板部40の下面を、第1ベースカバー6の載置部60の上面に、載置する。
【0050】
これにより、ガスケット4は、第1ベースカバー6に、位置決めされた状態で、組み付けられて、ガスケット4と第1ベースカバー6との組み付けが完了する。
【0051】
つぎに、ガスケット4および第1ベースカバー6の組み付け体を、ベース5に組み付ける(
図6を参照)。すなわち、第1ベースカバー6とベース5とを、組み付け手段(図示せず)を介して相互に組み付ける。これにより、ガスケット4および第1ベースカバー6の組み付け体とベース5との組み付けが完了する。
【0052】
この時、一対の弾性係合爪41は、撓み規制部51の両側に位置する(
図7および
図9(A)を参照)。この時、一対の弾性係合爪41と撓み規制部51とは、相互に当接していない。なお、前記の一対の弾性係合爪41の爪部410と係合孔61の縁部64との弾性係合により、ガスケット4は、ベース5および第1ベースカバー6に位置決めされている。また、ベース5の挿通筒部50は、ガスケット4の開口部400および第1ベースカバー6の開口部の中に位置する(
図2および
図3を参照)。
【0053】
ここで、爪部410と縁部64との弾性係合寸法T1は、弾性係合爪41と撓み規制部51との間の寸法T2よりも大きい。この結果、爪部410を縁部64から外す力(
図9(C)中の実線矢印を参照)が、弾性係合爪41に作用した時、爪部410が縁部64から外れる前に、内側に弾性変形した弾性係合爪41が撓み規制部51に当接して、弾性係合爪41の撓み(内側への弾性変形)が規制されて、爪部410は、縁部64から外れない。撓み規制部51は、爪部410と縁部64との弾性係合状態をロックするロック機構である。
【0054】
前記の爪部410と縁部64との弾性係合寸法T1は、爪部410の上面の係合面の外側から縁部64の下面の係合面の内側までの間の寸法(長さ)である。なお、係合孔61の寸法、すなわち、縁部64の内側の間の寸法は、
図11に示すように、係合孔61中において弾性変形している状態の一対の弾性係合爪41の爪部410の外側の間の寸法よりも大きい。
【0055】
この結果、ガスケット4および第1ベースカバー6の組み付け体をベース5に組み付ける前に、ガスケット4を第1ベースカバー6に組み付けることにより、一対の弾性係合爪41が、撓み規制部51の撓み規制を受けることなく、係合孔61中において内側に弾性変形することができる。すなわち、ガスケット4を第1ベースカバー6に組み付けることができる。
【0056】
それから、ガスケット4、第1ベースカバー6およびベース5の組み付け体に、第2ベースカバー7を組み付ける(
図7を参照)。すなわち、第1ベースカバー6もしくはベース5のうち少なくともいずれか一方に第2ベースカバー7を、組み付け手段(図示せず)を介して相互に組み付ける。これにより、ガスケット4、第1ベースカバー6およびベース5の組み付け体と第2ベースカバー7との組み付けが完了する(
図2、
図3、
図4および
図8を参照)。なお、組み付け手段は、嵌合手段や弾性嵌合手段などの適宜な手段を使用する。
【0057】
以上のようにして組み付けたベースアセンブリ3に、視認アセンブリ2を、回転可能に取り付ける。この時、
図8に示すように、視認アセンブリ2の対向面22は、ベースアセンブリ3のガスケット4に当接している。ガスケット4のリップ部42は、弾性変形していて、視認アセンブリ2の対向面22とベースアセンブリ3の第1ベースカバー6の載置部60の上面との間の隙間を閉ざしている。この結果、車両の走行中において、風が前記の隙間を通って異音が発生するのを抑制することができる。
【0058】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0059】
視認アセンブリ2は、電動または手動により、ベースアセンブリ3に対して、回転中心線O周りに回転する。例えば、
図3に示すように、視認アセンブリ2は、使用位置から後方格納位置に回転する。この時、視認アセンブリ2の対向面22は、ベースアセンブリ3のガスケット4の弾性変形しているリップ部42の上部(頂部)上をスライドする。
【0060】
ここで、
図9(A)に示すように、ガスケット4の一対の弾性係合爪41が、第1ベースカバー6の係合孔61の縁部64に弾性係合していて、かつ、一対の弾性係合爪41の間には、ベース5の撓み規制部51が位置している。
【0061】
この結果、視認アセンブリ2の回転に伴って、回転方向(
図3中の実線矢印方向)の外力が、ガスケット4に、一対の弾性係合爪41を第1ベースカバー6の縁部64から外す力として作用したとしても、弾性係合爪41が撓み規制部51に当接して、弾性係合爪41の撓み(内側への弾性変形)が規制される。すなわち、ガスケット4の一対の弾性係合爪41は、第1ベースカバー6の縁部64から外れない。
【0062】
これにより、視認アセンブリ2の回転に伴って、ガスケット4が第1ベースカバー6の載置部60からめくれ、または、ガスケット4が第1ベースカバー6の載置部60から外れて脱落することが防止される。
【0063】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、以上のごとき構成、作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0064】
この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、下記の構成からなる。すなわち、ガスケット4と、剛性がガスケット4の剛性より高い部材から構成されているベース5と、第1ベースカバー6および第2ベースカバー7とを、備える。ガスケット4には、爪部410と弾性部411とを有する弾性係合爪41が、設けられている。ベース5には、爪部410に対して反対側に位置する撓み規制部51が、設けられている。第1ベースカバー6には、爪部410が弾性係合する縁部64を有する係合孔61が、設けられている。
【0065】
この結果、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、他の車両用部品5、6、7よりも剛性が低い(弾性変形し易い)ガスケット4に、爪部410を縁部64から外す力が作用して、ガスケット4が弾性変形したとしても、弾性係合爪41が撓み規制部51に当接して、弾性係合爪41の撓み(弾性変形)が規制される。これにより、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、爪部410が縁部64に弾性係合している状態を維持することができ、爪部410が縁部64から外れるのを防ぐことができる。すなわち、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、ガスケット4の弾性係合爪41が第1ベースカバー6の縁部64から外れるのを防ぐことができるので、ガスケット4が、第1ベースカバー6の載置部60から、めくれ、または、脱落することを防ぐことができる。
【0066】
以下、撓み規制部51が設けられていない構造について説明する。ここで、ガスケット4は、他の車両用部品5、6、7よりも剛性が低い(弾性変形し易い)部材からなるので、爪部410の反力が弱く、爪部410が縁部64から外れ易い。このため、撓み規制部51が設けられていない構造の場合においては、ガスケット4に力が作用して、ガスケット4が弾性変形すると、弾性係合爪41が弾性変形して、爪部410が縁部64から容易に外れる。これにより、撓み規制部51が設けられていない構造の場合は、ガスケット4が第1ベースカバー6の載置部60から容易にめくれ、または、ガスケット4が第1ベースカバー6の載置部60から容易に外れて脱落する。
【0067】
これに対して、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、撓み規制部51を設けたものであるから、ガスケット4が弾性変形し易い部材からなるものであっても、撓み規制部51の作用により、ガスケット4が、第1ベースカバー6の載置部60から、めくれ、または、脱落することを防ぐことができる。
【0068】
この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、ガスケット4を他の車両用部品5、6、7に固定する手段として、ガスケット4に設けた弾性係合爪41と、ベース5に設けた撓み規制部51と、第1ベースカバー6に設けた係合孔61の縁部64と、からなるものである。すなわち、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、ガスケット4を他の車両用部品5、6、7に固定する手段として、ねじ、または、前記の特許文献1のクリップなどの他の部品を必要としない。この結果、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、部品点数や組み付け工程数を軽減することができ、製造コストを安価にすることができる。
【0069】
この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、爪部410と縁部64との弾性係合寸法T1が、弾性係合爪41と撓み規制部51との間の寸法T2よりも大きい。この結果、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、ガスケット4が弾性変形して弾性係合爪41が撓み規制部51に当接した時点において、爪部410が縁部64に弾性係合している状態にある。これにより、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、ガスケット4の一対の弾性係合爪41が第1ベースカバー6の縁部64から外れるのを確実に防ぐことができる。すなわち、ガスケット4が、第1ベースカバー6の載置部60から、めくれ、または、脱落することを確実に防ぐことができる。
【0070】
この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、ガスケット4が一対の弾性係合爪41を有するものであるから、1個の弾性係合爪41と比較して、ガスケット4が、第1ベースカバー6の載置部60から、めくれ、または、脱落することを確実に防ぐことができる。
【0071】
この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、ガスケット4の板部40の両端部分が肉薄の連結部401を介して相互に連結されていて、板部40の一端部分に一対の弾性係合爪41を設けたものである。この結果、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1において、板部40の一端部分が、肉薄の連結部401により、外力で容易に変形する構造の場合であっても、一対の弾性係合爪41と撓み規制部51との作用により、板部40の一端部分の弾性変形(撓み)を規制することができる。これにより、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、ガスケット4に外力で容易に変形する部分を有するものであっても、ガスケット4が、第1ベースカバー6の載置部60から、めくれ、または、脱落することを防ぐことができる。
【0072】
この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、車両の外側に装備されて、日射などにより、温度環境が約50°Cから約80°Cになる場合がある。この場合において、剛性が低い部材からなるガスケット4が、さらに剛性を低下させたとして、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7、車両用周辺視認装置1は、ガスケット4が、第1ベースカバー6の載置部60から、めくれ、または、脱落することを防ぐことができる。これにより、この実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7は、車両の外側に装備される車両用周辺視認装置1に最適である。
【0073】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態にかかる車両用部品4、5、6、7は、ベースアセンブリ3を構成するものである。すなわち、前記の実施形態において、第1車両用部品4は、ガスケット4からなり、第2車両用部品5は、ベース5からなり、第3車両用部品6は、第1ベースカバー6からなり、第4車両用部品7は、第2ベースカバー7からなるものである。しかしながら、この発明においては、車両用部品としては、ベースアセンブリ3以外の車両用構成物を構成するものであっても良い。すなわち、車両用部品4、5、6、7は、ガスケット4、ベース5、第1ベースカバー6および第2ベースカバー7からなるもの、以外のものであっても良い。
【0074】
この発明においては、第1車両用部品と、剛性が第1車両用部品の剛性より高い部材から構成されている第2車両用部品および第3車両用部品とを、備え、第1車両用部品には、爪部と弾性部とを有する弾性係合爪が、設けられていて、第2車両用部品には、爪部に対して反対側に位置する撓み規制部が、設けられていて、第3車両用部品には、爪部が弾性係合する縁部を有する係合孔が、設けられている、車両用部品であれば良い。
【0075】
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。特に、ガスケット4、ベース5、第1ベースカバー6および第2ベースカバー7の各部の形状や数などは、前記の実施形態により限定されるものではない。たとえば、前記の実施形態において、弾性係合爪41が、一対設けられているものである。しかしながら、この発明においては、弾性係合爪41を一対ではなく1個設けるものであっても良い。弾性係合爪41が1個の場合、弾性係合爪41に対応する部品の数を1個で済ませることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 ドアミラー(車両用周辺視認装置)
2 視認アセンブリ
20 ハウジング
21 サイドターンシグナルランプ
22 対向面
23 シャフト
3 ベースアセンブリ
4 ガスケット(ベースアッパーガスケット、第1車両用部品、車両用部品)
40 板部
400 開口部
401 連結部
402 透孔
41 弾性係合爪
410 爪部
411 弾性部
412 バックリブ
42 リップ部
5 ベース(第2車両用部品、車両用部品)
50 挿通筒部
51 撓み規制部
6 第1ベースカバー(第3車両用部品、車両用部品)
60 載置部
61 係合孔
62 ピン
63 筒部
64 縁部
7 第2ベースカバー(第4車両用部品、車両用部品)
B 後
D 下
F 前
L 左
O 回転中心線
R 右
U 上
T1 爪部410と縁部64との弾性係合寸法
T2 弾性係合爪41と撓み規制部51との間の寸法