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特許7401306可変タービン幾何学的形状を有するタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】可変タービン幾何学的形状を有するタービン
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20231212BHJP
   F01D 17/16 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
F02B39/00 D
F02B39/00 T
F01D17/16 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019528477
(86)(22)【出願日】2017-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 US2017063222
(87)【国際公開番号】W WO2018102244
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】102016123072.3
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ラム
(72)【発明者】
【氏名】レイフ・ハイディングスフェルダー
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ハイブト
(72)【発明者】
【氏名】フランク・シェラー
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-139931(JP,A)
【文献】特表2006-514191(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0014033(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0316490(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 33/00- 41/10,
F01D 17/00- 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用の可変タービン幾何学的形状を備えたタービンであって、
軸受ハウジング(100)と、
タービンハウジング(200)と、
複数の調整可能なブレード(330)を取り付けるためのブレード軸受リング(310)を有するカートリッジ(300)と、を含み、
前記カートリッジ(300)は、少なくとも3つのボルト(400)を介して前記軸受ハウジング(100)上に固定され、
前記軸受ハウジング(100)は、各々の場合において、前記ボルト(400)の数に対応する第1の穴(110)を有し、前記ブレード軸受リング(310)は前記ボルト(400)の数に対応する第2の穴(312)を有し、各々の場合において、前記ボルト(400)の第1の端部は前記対応する第1の穴(110)のうちの1つ内に配列され、前記ボルト(400)の第2の端部は前記対応する第2の穴(312)のうちの1つ内に配列され、
前記ボルト(400)の前記第1の端部と前記第1の穴(110)との間、及び前記ボルト(400)の前記第2の端部と前記第2の穴(312)との間に圧入が提供されることを特徴とし、そして、
前記ボルト(400)は、軸方向変位に対して抵抗するように前記第1及び第2の穴(110、312)内に配列されることを特徴とする、
タービン。
【請求項2】
第1のフランジが、前記タービンハウジング(200)の方向に円周方向の第1の突出部(120)の形態で前記軸受ハウジング(100)上に提供され、前記第1の穴(110)は、前記第1の突出部(120)内に配列されることを特徴とする、請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
第2のフランジが、前記軸受ハウジング(100)の方向に円周方向の第2の突出部(314)の形態で前記ブレード軸受リング(310)上に提供され、前記第2の穴(110)は、前記第2の突出部(314)内に配列されることを特徴とする、請求項2に記載のタービン。
【請求項4】
前記ボルト(400)の数に対応する前記タービンハウジング(200)の方向への軸方向の第1の突出部(120)が前記軸受ハウジング(100)上に提供され、前記第1の穴(110)は、前記第1の突出部(120)内に配列されることを特徴とする、請求項1又は、3に記載のタービン。
【請求項5】
前記ボルト(400)の数に対応する前記タービンハウジング(100)の方向への軸方向の第2の突出部(314)が前記ブレード軸受リング(310)上に提供され、前記第2の穴(312)は、前記第2の突出部(314)内に配列されることを特徴とする、請求項1、2、又は、4に記載のタービン。
【請求項6】
前記第1の突出部並びに前記第2の突出部(120、314)、前記第1並びに第2の穴(110、312)、及び前記ボルト(400)は、前記軸受ハウジング(100)及び前記ブレード軸受リング(310)が互いに接触しない方式で構成されるか、または、前記第1の突出部(複数)並びに前記第2の突出部(複数)(120、314)、前記第1並びに第2の穴(110、312)、及び前記ボルト(400)は、前記第1及び第2の突出部(120、314)の対向する半径方向表面が互いに接触する方式で構成されることを特徴とする、請求項3に記載のタービン。
【請求項7】
前記ボルト(400)の中央領域は、前記第1及び第2の端部よりも大きい直径を有し、それによってカラー(410)が形成されるか、または、
スリーブが前記ボルトの中央領域の周りに配列され、それによってカラー(410)が形成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項8】
前記軸受ハウジング(100)の方向に向かう前記カラー(410)の半径方向接触面は、前記軸受ハウジング(100)の対向する半径方向表面上に平坦に載せられることを特徴とする、請求項7に記載のタービン。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のタービンを備えたターボチャージャー。
【請求項10】
可変タービン幾何学的形状を有するタービンを組み立てるための方法であって、
軸受ハウジング(100)を提供するステップと、
可変タービン幾何学的形状を有するカートリッジ(300)を提供するステップと、
少なくとも3つのボルト(400)を介して前記軸受ハウジング(100)上に前記カートリッジ(300)を固定するステップと、を含み、
少なくとも3つの第1の穴(110)が前記軸受ハウジング(100)の半径方向外面にわたって分布するように提供され、少なくとも3つの第2の穴(312)が前記カートリッジ(300)のブレード軸受リング(310)の半径方向外面にわたって分布するように提供され、各々の場合において、前記ボルト(400)の第1の端部は前記対応する第1の穴(110)のうちの1つ内に配列され、前記ボルト(400)の第2の端部は前記対応する第2の穴(312)のうちの1つ内に配列され、
かつ前記ボルト(400)の前記第1の端部と前記第1の穴(110)との間、及び前記ボルト(400)の前記第2の端部と前記第2の穴(312)との間に圧入が提供されることを特徴とし、そして、
前記ボルト(400)は、軸方向変位に対して抵抗するように前記第1及び第2の穴(110、312)内に配列されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記少なくとも3つのボルト(400)の前記第1の端部が、最初に各々の場合において、前記軸受ハウジング(100)の前記第1の穴(110)のうちの1つ内に配列され、その後、前記ボルト(400)の前記第2の端部が各々の場合において、前記カートリッジ(300)の前記第2の穴(312)のうちの1つ内に配列されるように前記カートリッジ(300)が前記軸受ハウジング(100)に接続されるか、または、前記少なくとも3つのボルト(400)の前記第2の端部が、最初に各々の場合において前記カートリッジ(300)の前記第2の穴(312)のうちの1つ内に配列され、その後、前記ボルト(400)の前記第1の端部が各々の場合において、前記第1の穴(312)のうちの1つ内に配列されるように前記ボルト(400)を有する前記カートリッジ(300)が前記軸受ハウジング(100)に接続されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変タービン幾何学的形状を有するターボチャージャーに関する。
【背景技術】
【0002】
さらに最近世代の車両はますます多くの充電装置が取り付けられる。目標需要及び法的要件を達成するためには、完全なドライブトレインの開発を促進し、個々の構成要素のみならず、それらの信頼性及び効率性に対してシステム全体を最適化することが必須的である。
【0003】
排気ガスターボチャージャーは、例えば、タービンホイールを有するタービンが内燃機関の排気ガス流れによって駆動されると公知されている。相互のシャフト(mutual shaft)上にタービンホイールとともに配列される圧縮機ホイールはエンジンに取り込まれた新鮮な空気を圧縮する。この手段によって、燃焼のためにエンジンに利用可能な空気量または酸素量が増加され、終局には内燃機関の出力向上を誘導する。
【0004】
タービンはまた、排気ガスターボチャージャーから切り離されるか、または、例えば、燃料電池エンジン用の空気供給部と組み合わせて使用され得る。
【0005】
タービンは排気ガス流れによって駆動されるので、タービンホイール及びタービンハウジングの領域で非常に高い温度が発生する。可変タービン幾何学的形状(variable turbine geometry:VTG)を有するタービンにおいて、VTGのカートリッジはタービンの内部に配列され、複数の調整可能に取り付けられたブレードを有するブレード軸受リングを含み、また非常に高温に達する。カートリッジは、タービンホイールが固定されるシャフトを取り付けるために機能する軸受ハウジングに結合され、そのため、カートリッジの熱も軸受ハウジングに伝達される。軸受ハウジング内の温度が高すぎると、効率や摩耗しやすさに悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、熱放散及び熱伝達は、タービンハウジング内でタービンを駆動するために利用可能なエネルギーを減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、それに対応して、特に可変タービン幾何学的形状のカートリッジとタービンハウジングとの間の接触領域に関して、改善された温度管理を有するタービンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の可変タービン幾何学的形状を有するタービン、請求項12に記載のターボチャージャー、及び請求項13に記載の可変タービン幾何学的形状を有するタービンを取り付けるための方法に関する。
【0008】
本発明によるタービンは、軸受ハウジングと、タービンハウジングと、複数の調整可能なブレードを取り付けるためのブレード軸受リングを有するカートリッジとを含む。カートリッジは、少なくとも3つのボルトを介して軸受ハウジング上に固定される。軸受ハウジングは3つのボルトを介してカートリッジにのみ接続されているので、高温の排気ガスが流れるカートリッジから軸受ハウジングにより少ない熱が伝達される。これは、排気ガスからのエネルギーがタービンハウジング内に留まり、したがって、タービンを駆動するために使用され得るので、タービンのより高い効率を誘導することを意味する。また、軸受ハウジングへのより低い熱伝達により、一般に軸受ハウジング及び軸受を冷却させるように機能する軸受ハウジング内のウォーターコア(water core)が、例えば、省略され得る。軸受ハウジング内のより低い熱発達は、軸受ハウジング内の軸受を潤滑させるために循環する沸騰油(boiling oil)の発生の危険の減少を誘導する。したがって、軸受ハウジング内に配列され得るピストンリングシールの早期摩耗及び故障の危険をまた防止することができ、そうでなければオイル漏れを誘発し得、最悪の場合にはタービンまたはターボチャージャーの全損失を誘発し得る。
【0009】
さらに、ボルトを介するカートリッジの固定は圧縮機までの熱伝達も減少させるので、圧縮機の効率も増加し得る。これらの効果により、タービンの生産コスト及び設置サイズを減少させるための可能性も生じる。別の利点は、軸受ハウジング及びカートリッジがボルトを介して互いに軸方向及び/または半径方向に容易に整列され得ることである。これにより、タービンの組立工程を単純化する。
【0010】
実施形態において、軸受ハウジングは、各々の場合において、ボルトの数に対応する第1の穴を有することができ、ブレード軸受リングは、ボルトの数に対応する第2の穴を有することができ、各々の場合において、ボルトの第1の端部は対応する第1の穴のうちの1つ内に配列され、ボルトの第2の端部は対応する第2の穴のうちの1つ内に配列される。ボルトは、回転可能に固定され/固定されるか、軸方向変位に対して抵抗するように穴内に配列され得る。ボルトの第1の端部と第1の穴との間及び/またはボルトの第2の端部と第2の穴との間に圧入(press fit)が提供され得る。
【0011】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、第1の穴は軸受ハウジングの半径方向の側面(radial lateral surface)にわたって分布するように配列され得、第2の穴はカートリッジのブレード軸受リングの半径方向の側面にわたって分布するように配列され得る。
【0012】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、第1の穴及び/または第2の穴は、ブラインド穴(blind hole)として構成され得る。
【0013】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、第1のフランジは、タービンハウジングの方向に円周方向の第1の突出部の形態で提供され得、第1の穴は第1の突出部内に配列される。第2のフランジは、軸受ハウジングの方向に円周方向の第2の突出部の形態でブレード軸受リング上に提供され得、第2の穴は第2の突出部内に配列される。代替的に、ボルトの数に対応するタービンハウジングの方向への軸方向の第1の突出部は、軸受ハウジング上に提供され得、第1の穴は第1の突出部内に配列される。同様に、ボルトの数に対応するタービンハウジングの方向への軸方向の第2の突出部は、ブレード軸受リング上に提供され得、第2の穴は第2の突出部内に配列される。第1の突出部(複数)並びに第2の突出部(複数)、及び第1並びに第2の穴、そしてボルトは、軸受ハウジング及びブレード軸受リングが互いに接触しない方式で構成され得る。代替的に、第1の突出部(複数)並びに第2の突出部(複数)、及び第1並びに第2の穴、そしてボルトは、第1及び第2の突出部の対向する半径方向表面が互いに接触する方式で構成され得る。
【0014】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、少なくとも3つのボルトは、円周方向に均等に分布するように配列され得る。
【0015】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、少なくとも3つのボルトは、カートリッジの調整リング内に半径方向に配列され得る。
【0016】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、少なくとも3つのボルトは、タービンのシャフトの回転軸に平行に配列され得る。
【0017】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、熱シート(heat sheet)がボルト内で半径方向に軸受ハウジングとブレード軸受リングとの間に配列され得る。
【0018】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、貫通路(through passage)は、ブレード軸受リングと軸受ハウジング及び/またはタービンハウジングとの間に半径方向外側に提供され得る。貫通路は、全周にわたって延びることができる。
【0019】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、ボルトは、ボルトを通って延びる中央に配列された軸方向の穴を有することができる。
【0020】
上述したすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態において、ボルトの中央領域は、第1及び第2の端部よりも大きい直径を有することができ、それによってカラー(collar)が形成される。代替的に、スリーブがボルトの中央領域の周りに配列され得、それによってカラーが形成される。軸受ハウジングの方向に向かうカラーの半径方向接触面は、軸受ハウジングの対向する半径方向表面上に平坦に載せられ得る。このタイプのカラーには、タービンハウジング上のブレード軸受リングの平坦な軸方向支持部がボルトまたはボルトの周りのスリーブを介して利用可能になることが有利である。したがって、軸受ハウジングの半径方向表面は、これのために非常に平坦に研削され得、これによって、低い公差範囲がボルトと軸受ハウジングとの間の接続領域内に設定され得る。
【0021】
本発明は、上述した実施形態のいずれかによるタービンを含むターボチャージャーをさらに含む。
【0022】
本発明は、可変タービン幾何学的形状を有するタービンを組み立てるための方法をさらに含み、上記方法は、軸受ハウジングを提供するステップと、可変タービン幾何学的形状のカートリッジを提供するステップと、少なくとも3つのボルトを介してカートリッジを軸受ハウジングに固定するステップとを含む。
【0023】
実施形態において、少なくとも3つの第1の穴は軸受ハウジングの半径方向外面にわたって分布するように提供され得、少なくとも3つの第2の穴はカートリッジのブレード軸受リングの半径方向外面にわたって分布するように提供され得、各々の場合において、ボルトの第1の端部は対応する第1の穴のうちの1つ内に配列され得、ボルトの第2の端部は対応する第2の穴のうちの1つ内に配列され得る。少なくとも3つのボルトの第1の端部が最初に各々の場合において、軸受ハウジングの第1の穴のうちの1つ内に配列され得、その後、ボルトの第2の端部が各々の場合において、カートリッジの第2の穴のうちの1つ内に配列されるようにカートリッジが軸受ハウジングに接続される。代替的に、少なくとも3つのボルトの第2の端部が最初に各々の場合において、カートリッジの第2の穴のうちの1つ内に配列され得、その後、ボルトの第1の端部が各々の場合において、第1の穴のうちの1つ内に配列されるようにボルトを有するカートリッジが軸受ハウジングに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のさらなる詳細および特徴は、引き続き図によって説明される。
【0025】
図1A】本発明によるタービンの第1の実施形態の部分断面を示す。
図1B】本発明によるタービンの第2の実施形態の拡大断面を示す。
図1C】本発明によるタービンの第3の実施形態の拡大断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
可変タービン幾何学的形状を有する本発明によるタービンの実施形態が図に基づいて後述される。以後に説明されるすべての詳細事項及び利点は、タービン及びまた対応するタービンを有するターボチャージャーの両方に適用される。さらに、可変タービン幾何学的形状を有するタービンを組み立てるための方法が説明される。
【0027】
図1Aは、本発明によるタービンの一実施形態の上半部の側面図を示す。タービンは、軸受ハウジング100と、タービンハウジング200と、複数の調整可能なブレード330を取り付けるためのブレード軸受リング310を有するカートリッジ300とを含む。カートリッジ300は、少なくとも3つのボルト400を介して軸受ハウジング100上に固定される。ボルト400は、例えば温度安全性材料から製造され得る。軸受ハウジング100は、3つのボルト400を介してカートリッジにのみ接続されているので、カートリッジ300を過ぎて流れる排気ガスからのより少ない熱が軸受ハウジング100に伝達される。これは、排気ガスからのエネルギーがタービンハウジング200内に留まり、したがって、タービンのタービンホイールを駆動するために使用され得るので、タービンのより高い効率を誘導することを意味する。また、軸受ハウジング100へのより低い熱伝達により、一般に軸受ハウジング100及びその中に配列された軸受を冷却させるように機能する軸受ハウジング100内のウォーターコアが、例えば、省略され得る。軸受ハウジング100内のより低い熱発達は、軸受ハウジング100内の軸受を潤滑させるために循環する沸騰油の発生の危険の減少をさらに誘導する。したがって、軸受ハウジング100内に配列され得るピストンリングシールの早期摩耗及び故障の危険をまた防止することができ、そうでなければオイル漏れを誘発し得、最悪の場合にはタービンまたはターボチャージャーの全損失を誘発し得る。
【0028】
さらに、ボルト400を介するカートリッジ300の固定は圧縮機までの熱伝達も減少させるので、圧縮機の効率もまた増加し得る。これらの効果により、タービンの生産コスト及び設置サイズを減少させるための可能性も生じる。別の利点は、軸受ハウジング100及びカートリッジ300がボルト400を介して互いに軸方向及び/または半径方向に容易に整列され得ることである。これにより、タービンの組立工程を単純化する。
【0029】
図1Aから明らかなように、軸受ハウジング100は、第1の穴110を有する。ブレード軸受リング310は、第2の穴312を含む。第1の穴110及び第2の穴312の数は、各々の場合において、ボルト400の数に対応する。各々の場合において、ボルト400の第1の端部は対応する第1の穴110のうちの1つ内に配列され、ボルト400の第2の端部は対応する第2の穴312のうちの1つ内に配列され、ボルト400がカートリッジ300と軸受ハウジング100との間の接続を形成し、これにより、カートリッジ300が軸受ハウジング100上に固定され、タービンハウジング200内に位置決めされる。ボルト400は、回転可能に固定され/固定されるか、軸方向変位に対して抵抗するように第1及び/または第2の穴110、312内に配列され得る。ボルト400の第1の端部と第1の穴110との間、及び/またはボルト400の第2の端部と第2の穴312との間に圧入提供され得る。
【0030】
少なくとも3つのボルト400が、タービンのシャフトの回転軸に平行に整列され、円周方向に均等に分布するように配列され得る。その後、それに対応して、第1の穴110は、軸受ハウジング100の半径方向側面にわたって円周方向に均等に分布するように配列され、第2の穴312は、カートリッジ300のブレード軸受リング310の半径方向側面にわたって円周方向に均等に分布するように配列される。図1A図1Cで明らかなように、第1の穴110及び第2の穴312は、ブラインド穴として構成され得る。さらに、少なくとも3つのボルト400は、カートリッジ300の調整リング320内に半径方向に配列される(図1A参照)。
【0031】
ボルト400は、中央に配列され、軸方向に延びる穴をさらに有することができ、前記穴はボルト400を介して延びる(図示せず)。
【0032】
図1A及び図1Bでは、タービンハウジング200の方向に向かう円周方向の第1の突出部120の形態で軸受ハウジング100上に第1のフランジを有するタービンの一実施形態が示されており、第1の穴110は、第1の突出部120内に配列される。第2のフランジは、軸受ハウジング100の方向に円周方向の第2の突出部314の形態でブレード軸受リング310上に提供され、第2の穴110は、第2の突出部314内に配列される。1つの代替実施形態において、ボルト400の数に対応するタービンハウジング200の方向への軸方向の第1の突出部120は、軸受ハウジング100上に提供され得(したがって、突出部が全周にわたって延長せず)、第1の穴110は、第1の突出部120内に配列される。同様に、ボルト400の数に対応するタービンハウジング100の方向への軸方向の第2の突出部314は、ブレード軸受リング310上に提供され得、第2の穴312は、第2の突出部314内に配列される。しかしながら、全周にわたって延びる突出部もまた、軸受ハウジング100またはカートリッジ300上に提供され得、これはボルト400の数に対応する(軸受ハウジング100及びカートリッジ300からの対応する他の構成要素上の)個々の対向する突出部と組み合わせることができる。図1B及び図1Cの実施形態から明らかなように、第1の突出部(複数)並びに第2の突出部(複数)120、314、及び第1並びに第2の穴110、312、そしてボルト400は、軸受ハウジング100及びブレード軸受リング310が互いに接触しない方式で構成され得る。代替的に、(図1Aの実施形態を参照)、第1の突出部(複数)並びに第2の突出部(複数)120、314、及び第1並びに第2の穴110、312、そしてボルト400は、第1及び第2の突出部120、314の対向する半径方向表面が互いに接触する方式で構成され得る。
【0033】
熱シート500がボルト400内で半径方向に軸受ハウジング100とブレード軸受リング310との間に配列され得る。熱シート500を有するタービンの一実施形態が、例えば、図1Aに示されている。
【0034】
同様に、図1Aに示したタービンの実施形態において、半径方向の外側に延びる貫通路600が、ブレード軸受リング310と軸受ハウジング100及び/またはタービンハウジング200との間に提供される。貫通路は、全周にわたって延びることができる。特に、カートリッジ300またはカートリッジ300のブレード軸受リング310と軸受ハウジング100及び/またはタービンハウジング200との間の半径方向の外側への接触はない。
【0035】
図1B及び図1Cの実施形態に示したように、ボルト400の中央領域は、ボルト400の第1及び第2の端部よりも大きい直径を有することができ、それによってカラー410が形成される。カラー410を有するボルト400は、一体型のワンピース構成要素として構成され得る。代替的に、スリーブがボルト400の中央領域の周りに配列され得、それによってカラー410が形成される。これは、ボルト400が、例えば、段付きピン、スリーブ付きピン、またはその周囲にスリーブ付きコレット(collet)として構成され得ることを意味する。カラー410を有するボルト400が使用される場合には、軸受ハウジング100の方向に向かうカラー410の半径方向接触面は、軸受ハウジング100の対向する半径方向表面上に平坦に載せられ得る。ここで、本出願の文脈内において、半径方向表面は、タービンのシャフトの回転軸に対して垂直に配列される平面内に置かれる表面に関連することを明確にする必要がある。図1Bに示したように、軸受ハウジングの半径方向表面は、突出部110上に形成され得る。代替的に、図1Cに示したように、カラー410の接触面は、軸受ハウジング100の平面的な半径方向表面(突出部なし)上に置かれることができる。このタイプのカラー410には、タービンハウジング100上のブレード軸受リング310の平坦な軸方向支持部がボルト400またはボルト400の周りのスリーブを介して利用可能になることが有利である。したがって、軸受ハウジング100の半径方向表面は、特に突出部(複数)110が提供されない場合、これのために非常に平坦に研削され得、それによって、低い公差範囲がボルト400と軸受ハウジング100との間の接続領域内に設定され得る。
【0036】
本発明は、上述した実施形態のいずれかによるタービンを含むターボチャージャーをさらに含む。軸受ハウジング100、タービンハウジング200、及びカートリッジ300を有するタービンに加えて、このタイプのターボチャージャーは、タービンのタービンホイールによって共通のシャフトを介して駆動される圧縮機ホイールが内部に配列された圧縮機を含む。
【0037】
本発明は、可変タービン幾何学的形状を有するタービンを組み立てるための方法をさらに含む。上記方法は、以下のステップを含む:最初に、軸受ハウジング100及び可変タービン幾何学的形状のカートリッジ300が提供される。その後、カートリッジ300が少なくとも3つのボルト400を介して軸受ハウジング100上に固定される。最後に、カートリッジ300を取り囲むタービンハウジング200及びカートリッジ内に配列されたタービンホイールが軸受ハウジング100に結合され得る。
【0038】
ボルト400を適用し、かつ位置決めするために、少なくとも3つの第1の穴110は軸受ハウジング100の半径方向外面にわたって分布するように提供され、少なくとも3つの第2の穴312はカートリッジ300のブレード軸受リング310の半径方向外面にわたって分布するように提供される。組み立て中に、各々の場合において、ボルト400の第1の端部は対応する第1の穴110のうちの1つ内に配列され、ボルト400の第2の端部は対応する第2の穴312のうちの1つ内に配列される。
【0039】
少なくとも3つのボルト400の第1の端部が、最初に各々の場合において、軸受ハウジング100の第1の穴110のうちの1つ内に配列され得、その後、ボルト400の第2の端部が各々の場合において、カートリッジ300の第2の穴312のうちの1つ内に配列されるようにカートリッジ300が軸受ハウジング100に接続され得る。代替的に、少なくとも3つのボルト400の第2の端部が、最初に各々の場合において、カートリッジ300の第2の穴312のうちの1つ内に配列され得、その後、ボルト400の第1の端部が各々の場合において、第1の穴312のうちの1つ内に配列されるようにボルト400を有するカートリッジ300が軸受ハウジング100に接続され得る。
【0040】
本発明が以上説明され、添付された特許請求の範囲に定義されているが、本発明はまた、以下の実施形態によって代案的に定義されてもよいことが理解されるべきである:
【0041】
実施形態1
内燃機関用の可変タービン幾何学的形状を備えたタービンであって、
軸受ハウジング(100)と、
タービンハウジング(200)と、
複数の調整可能なブレード(330)を取り付けるためのブレード軸受リング(310)を有するカートリッジ(300)と、を含み、
カートリッジ(300)は、少なくとも3つのボルト(400)を介して軸受ハウジング(100)上に固定されることを特徴とする、タービン。
【0042】
実施形態2
軸受ハウジング(100)は、各々の場合において、ボルト(400)の数に対応する第1の穴(110)を有し、ブレード軸受リング(310)はボルト(400)の数に対応する第2の穴(312)を有し、各々の場合において、ボルト(400)の第1の端部は対応する第1の穴(110)のうちの1つ内に配列され、ボルト(400)の第2の端部は対応する第2の穴(312)のうちの1つ内に配列されることを特徴とする、実施形態1に記載のタービン。
【0043】
実施形態3
ボルト(400)は、回転可能に固定され/固定されるか、軸方向変位に対して抵抗するように第1及び/または第2の穴(110、312)内に配列されることを特徴とする、実施形態2に記載のタービン。
【0044】
実施形態4
ボルト(400)の第1の端部と第1の穴(110)との間、及び/またはボルト(400)の第2の端部と第2の穴(312)との間に圧入が提供されることを特徴とする、実施形態2または3に記載のタービン。
【0045】
実施形態5
第1の穴(110)は軸受ハウジング(100)の半径方向側面にわたって分布するように配列され、第2の穴(312)はカートリッジ(300)のブレード軸受リング(310)の半径方向側面にわたって分布するように配列されることを特徴とする、実施形態2~4のいずれか1つに記載のタービン。
【0046】
実施形態6
第1の穴(110)及び/または第2の穴(312)は、ブラインド穴として構成されることを特徴とする、実施形態2~5のいずれか1つに記載のタービン。
【0047】
実施形態7
第1のフランジが、タービンハウジング(200)の方向に円周方向の第1の突出部(120)の形態で軸受ハウジング(100)上に提供され、第1の穴(110)は、第1の突出部(120)内に配列されることを特徴とする、実施形態2~6のいずれか1つに記載のターボチャージャー。
【0048】
実施形態8
第2のフランジが、軸受ハウジング(100)の方向に円周方向の第2の突出部(314)の形態でブレード軸受リング(310)上に提供され、第2の穴(110)は、第2の突出部(314)内に配列されることを特徴とする、実施形態2~7のいずれか1つに記載のターボチャージャー。
【0049】
実施形態9
ボルト(400)の数に対応するタービンハウジング(200)の方向への軸方向の第1の突出部(120)が軸受ハウジング(100)上に提供され、第1の穴(110)は、第1の突出部(120)内に配列されることを特徴とする、実施形態2~6及び8のいずれか1つに記載のタービン。
【0050】
実施形態10
ボルト(400)の数に対応するタービンハウジング(100)の方向への軸方向の第2の突出部(314)がブレード軸受リング(310)上に提供され、第2の穴(312)は、第2の突出部(314)内に配列されることを特徴とする、実施形態2~5及び7のいずれか1つに記載のタービン。
【0051】
実施形態11
第1の突出部(複数)並びに第2の突出部(複数)(120、314)、第1並びに第2の穴(110、312)、及びボルト(400)は、軸受ハウジング(100)及びブレード軸受リング(310)が互いに接触しない方式で構成されることを特徴とする、実施形態8~10のいずれか1つに記載のタービン。
【0052】
実施形態12
第1の突出部(複数)並びに第2の突出部(複数)(120、314)、第1並びに第2の穴(110、312)、及びボルト(400)は、第1及び第2の突出部(120、314)の対向する半径方向表面が互いに接触する方式で構成されることを特徴とする、実施形態8~10のいずれか1つに記載のタービン。
【0053】
実施形態13
少なくとも3つのボルト(400)は、円周方向に均等に分布するように配列されることを特徴とする、実施形態1~12のいずれか1つに記載のタービン。
【0054】
実施形態14
少なくとも3つのボルト(400)は、カートリッジ(300)の調整リング(320)内に半径方向に配列されることを特徴とする、実施形態1~13のいずれか1つに記載のタービン。
【0055】
実施形態15
少なくとも3つのボルト(400)は、タービンのシャフトの回転軸に平行に配列されることを特徴とする、実施形態1~14のいずれか1つに記載のタービン。
【0056】
実施形態16
熱シート(500)が、ボルト(400)内で半径方向に軸受ハウジング(100)とブレード軸受リング(310)との間に配列されることを特徴とする、実施形態1~15のいずれか1つに記載のタービン。
【0057】
実施形態17
貫通路(600)が、ブレード軸受リング(310)と軸受ハウジング(100)及び/またはタービンハウジング(200)との間に半径方向外側に提供されることを特徴とする、実施形態1~16のいずれか1つに記載のタービン。
【0058】
実施形態18
貫通路は、全周にわたって延びることを特徴とする、実施形態17に記載のタービン。
【0059】
実施形態19
ボルト(400)は、ボルト(400)を介して延びる中央に配列された軸方向穴を有することを特徴とする、実施形態1~18のいずれか1つに記載のタービン。
【0060】
実施形態20
ボルト(400)の中央領域は、第1及び第2の端部よりも大きい直径を有し、それによってカラー(410)が形成されるか、または、
スリーブがボルトの中央領域の周りに配列され、それによってカラー(410)が形成されることを特徴とする、実施形態1~19のいずれか1つに記載のタービン。
【0061】
実施形態21
軸受ハウジング(100)の方向に向かうカラー(410)の半径方向接触面は、軸受ハウジング(100)の対向する半径方向表面上に平坦に載せられることを特徴とする、実施形態20に記載のタービン。
【0062】
実施形態22
実施形態1~21のいずれか1つに記載のタービンを備えたターボチャージャー。
【0063】
実施形態23
可変タービン幾何学的形状を有するタービンを組み立てるための方法であって、
軸受ハウジング(100)を提供するステップと、
可変タービン幾何学的形状を有するカートリッジ(300)を提供するステップと、少なくとも3つのボルト(400)を介して軸受ハウジング(100)上にカートリッジ(300)を固定するステップと、を含む、方法。
【0064】
実施形態24
少なくとも3つの第1の穴(110)が軸受ハウジング(100)の半径方向外面にわたって分布するように提供され、少なくとも3つの第2の穴(312)がカートリッジ(300)のブレード軸受リング(310)の半径方向外面にわたって分布するように提供され、各々の場合において、ボルト(400)の第1の端部は対応する第1の穴(110)のうちの1つ内に配列され、ボルト(400)の第2の端部は対応する第2の穴(312)のうちの1つ内に配列されることを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
【0065】
実施形態25
少なくとも3つのボルト(400)の第1の端部が、最初に各々の場合において、軸受ハウジング(100)の第1の穴(110)のうちの1つ内に配列され、その後、ボルト(400)の第2の端部が各々の場合において、カートリッジ(300)の第2の穴(312)のうちの1つ内に配列されるようにカートリッジ(300)が軸受ハウジング(100)に接続されることを特徴とする、実施形態24に記載の方法。
【0066】
実施形態26
少なくとも3つのボルト(400)の第2の端部が、最初に各々の場合において、カートリッジ(300)の第2の穴(312)のうちの1つ内に配列され、その後、ボルト(400)の第1の端部が各々の場合において、第1の穴(312)のうちの1つ内に配列されるようにボルト(400)を有するカートリッジ(300)が軸受ハウジング(100)に接続されることを特徴とする、実施形態24に記載の方法。
図1A
図1B
図1C