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特許7401321医療器具の梱包方法および医療器具の梱包装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】医療器具の梱包方法および医療器具の梱包装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20231212BHJP
   A61B 50/30 20160101ALI20231212BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20231212BHJP
   B65D 51/28 20060101ALI20231212BHJP
   B65D 55/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61M1/36 100
A61B50/30
A61M1/36 117
A61M1/14
B65D51/28
B65D55/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020010074
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021115221
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雅晃
(72)【発明者】
【氏名】菊地 麻里子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美穂
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 麻美
(72)【発明者】
【氏名】井上 実佳
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-216035(JP,A)
【文献】特開2013-039159(JP,A)
【文献】特開2009-106445(JP,A)
【文献】特表2002-536131(JP,A)
【文献】特開2010-202233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
A61B 50/30
A61M 1/14
B65D 51/28
B65D 55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
術野で用いる術野チューブと、非術野で用いる非術野チューブとに予め接続されている医療器具を梱包する医療器具の梱包方法であって、
前記術野チューブを収納可能な梱包用台座を準備して、前記梱包用台座に前記術野チューブを収納して
前記医療器具を前記梱包用台座の天面の第1載置面に載置し、前記非術野チューブを前記梱包用台座の前記天面の第2載置面に載置した状態で、前記梱包用台座を底板に載せて、前記底板と、前記梱包用台座と、前記医療器具と、前記非術野チューブと、を第1結束バンドで結束することと、
前記梱包用台座の前記天面に載置された前記医療器具と前記非術野チューブと、前記梱包用台座と、を第2結束バンドで結束することと、
前記医療器具と、前記非術野チューブと、を第3結束バンドで結束することとを行い、
前記第1結束バンドと前記第2結束バンドと前記第3結束バンドにより結束された前記底板と、前記梱包用台座と、前記医療器具と、前記非術野チューブと、を梱包箱に非固定状態で収納することを特徴とする医療器具の梱包方法
【請求項2】
術野で用いる術野チューブと、非術野で用いる非術野チューブとに予め接続されている医療器具を梱包する医療器具の梱包装置であって、
前記術野チューブを収納する術野チューブ収納空間を有し、前記医療器具を載置する第1載置面と、前記非術野チューブを載置する第2載置面とを有する天面を有する梱包用台座と、
前記梱包用台座の底面を載せる底板と、
前記底板と、前記術野チューブを収納している前記梱包用台座と、前記第1載置面に載置されている前記医療器具と、前記第2載置面に載置されている前記非術野チューブと、を結束する第1結束バンドと、
前記術野チューブを収納している前記梱包用台座と、前記第1載置面に載置されている前記医療器具と、前記第2載置面に載置されている前記非術野チューブと、を結束する第2結束バンドと、
前記第1載置面の片側の位置の前記第2載置面において前記非術野チューブを使用する順番に束ねて載置した状態で、前記梱包用台座に対しては非結束状態で、前記医療器具と前記非術野チューブとを結束する第3結束バンドと、
結束された前記底板と、前記梱包用台座と、前記医療器具と、前記非術野チューブと、を収納する梱包箱と、
を備えることを特徴とする医療器具の梱包装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用機器である、例えば心臓手術等に用いられて血液を体外循環させて処理を行う体外循環回路システムを梱包するのに最適な医療器具の梱包用台座、医療器具の梱包方法および医療器具の梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体外循環回路システムは、心臓手術等において用いられる。一般に、心臓手術は、心臓を一時的に停止させて血流を遮断した状態で行われる。体外循環回路システムは、この心臓手術の際に、血液を体外に循環させて血液に必要な処理を行う。体外循環回路システムは、血液中の炭酸ガスを除去し、血液に酸素を供給する人工肺と、血液を貯めるリザーバータンクと、各種チューブを有する。
【0003】
これらの人工肺やリザーバータンク等の医療器具、そして各種チューブは、梱包箱に梱包されており、梱包された医療器具、そして各種チューブが、医療現場に送られる。医療現場では、各種チューブを各箇所に接続することは大変な作業であり時間がかかることから、各種チューブは、医療器具に予め接続された状態、すなわちプレコネクトされた状態で、梱包箱に収納される。そして、医療現場では、心臓手術を行うための準備段階で、術者である医者や医者の補助をするオペレータが、プレコネクトされた医療器具と各種チューブを梱包箱から取り出す。
【0004】
特許文献1には、この種のプレコネクトされた体外循環回路システムが開示されている。この体外循環回路システムでは、人工肺やリザーバータンク等の医療器具が、予め各種チューブに接続されている。一般に、体外循環回路システムを梱包箱に収納する際に、梱包箱の内底面には底板を敷き、医療器具は、この底板の上に置いて柔らかいテープにより底板に固定され、各種チューブは医療器具の上部または側部に置いている。この柔らからテープは、面ファスナテープである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4695635公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、医者またはオペレータが、医療現場において、梱包箱内から底板とともに医療器具と各種チューブを取り出し、そして面ファスナテープを外して底板から医療器具を取り外す。しかし、このような取り外し作業では、順番を間違えて先に外してはいけない面ファスナテープを誤って外してしまうと、面ファスナテープにより固定されていた医療器具と各種チューブとが、不用意にバラバラになってしまう。このため、チューブが垂れて床面に接触したり床面に落下するおそれがある。チューブが垂れて床面に接触したり落下すると、チューブの清潔さが保てなくなり、術野で用いるチューブが汚れてしまう可能性があり、手術が行えない。このため、チューブの取り扱いが容易ではない。
【0007】
また、面ファスナテープの取り外す順番を間違えてしまうと、医療器具と各種チューブが、バラバラになることから、各種チューブが絡まってしまい易く、これらの絡まったチューブを解くには時間がかかってしまう。このため、各種チューブの取り扱いが容易ではなく、手技を開始するまでの準備作業に時間がかかってしまう。
【0008】
柔らかい素材の面ファスナテープを使用しているので、面ファスナテープのオス部とメス部との係合を外しても、オス部とメス部が再び貼り付いてしまうことから、医療器具と各種チューブを底板から取り外すのには余計に手間がかかる。取り外した医療器具と各種チューブは、両手を用いて保持しなければならず、1人ではこれらの医療器具と各種チューブの設定ができず、複数人がかりで対応しなければならない。このように、従来、梱包箱の開梱作業を行う際の医療器具と各種チューブの取出しには、取り扱いに特別な注意を要する。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、医療器具と各種チューブの取り扱い易さを向上して、手技を開始するまでの準備時間を短縮できる医療器具の梱包方法および医療器具の梱包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、術野で用いる術野チューブと、非術野で用いる非術野チューブとに予め接続されている医療器具を梱包する医療器具の梱包方法であって、前記術野チューブを収納可能な梱包用台座を準備して、前記梱包用台座に前記術野チューブを収納して、前記医療器具を前記梱包用台座の天面の第1載置面に載置し、前記非術野チューブを前記梱包用台座の前記天面の第2載置面に載置した状態で、前記梱包用台座を底板に載せて、前記底板と、前記梱包用台座と、前記医療器具と、前記非術野チューブと、を第1結束バンドで結束することと、前記梱包用台座の前記天面に載置された前記医療器具と前記非術野チューブと、前記梱包用台座と、を第2結束バンドで結束することと、前記医療器具と、前記非術野チューブと、を第3結束バンドで結束することとを行い、前記第1結束バンドと前記第2結束バンドと前記第3結束バンドにより結束された前記底板と、前記梱包用台座と、前記医療器具と、前記非術野チューブと、を梱包箱に非固定状態で収納することを特徴とする本発明に係る医療器具の梱包方法により解決される。
【0014】
前記構成によれば、医療器具は梱包用台座の天面の第1載置面に載置され、非術野チューブは天面の第2載置面に載置されており、術野チューブは梱包用台座の術野チューブ収納空間に収納されている。このため、結束を解くと、術野チューブは術野チューブ収納空間から取り出せばよく、術野チューブは非術野チューブとは区別して取り扱うことができる。また、医療器具は、術野チューブと非術野チューブとは区別して取り扱うことができる。第1結束バンド、第2結束バンド、そして第3結束バンドの順番に結束を解いていけば良く、医療器具と各種チューブの取り扱い易さを向上して、手技を開始するまでの準備時間を短縮できる。
【0015】
前記課題は、術野で用いる術野チューブと、非術野で用いる非術野チューブとに予め接続されている医療器具を梱包する医療器具の梱包装置であって、前記術野チューブを収納する術野チューブ収納空間を有し、前記医療器具を載置する第1載置面と、前記非術野チューブを載置する第2載置面とを有する天面を有する梱包用台座と、前記梱包用台座の底面を載せる底板と、前記底板と、前記術野チューブを収納している前記梱包用台座と、前記第1載置面に載置されている前記医療器具と、前記第2載置面に載置されている前記非術野チューブと、を結束する第1結束バンドと、前記術野チューブを収納している前記梱包用台座と、前記第1載置面に載置されている前記医療器具と、前記第2載置面に載置されている前記非術野チューブと、を結束する第2結束バンドと、前記第1載置面の片側の位置の前記第2載置面において前記非術野チューブを使用する順番に束ねて載置した状態で、前記梱包用台座に対しては非結束状態で、前記医療器具と前記非術野チューブとを結束する第3結束バンドと、結束された前記底板と、前記梱包用台座と、前記医療器具と、前記非術野チューブと、を収納する梱包箱と、を備えることを特徴とする本発明に係る医療器具の梱包装置により解決される。
【0016】
前記構成によれば、医療器具は梱包用台座の天面の第1載置面に載置され、非術野チューブは天面の第2載置面に載置されており、術野チューブは梱包用台座の術野チューブ収納空間に収納されている。このため、結束を解くと、術野チューブは術野チューブ収納空間から取り出せばよく、術野チューブは非術野チューブとは区別して取り扱うことができる。また、医療器具は、術野チューブと非術野チューブとは区別して取り扱うことができる。第1結束バンド、第2結束バンド、そして第3結束バンドの順番に結束を解いていけば良く、医療器具と各種チューブの取り扱い易さを向上して、手技を開始するまでの準備時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、医療器具と各種チューブの取り扱い易さを向上して、手技を開始するまでの準備時間を短縮できる医療器具の梱包方法および医療器具の梱包装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の医療器具の梱包用台座の実施形態を含む医療器具の梱包装置の好ましい実施形態を示す分解斜視図である。
図2図1に示す包装用袋と、この包装用袋内に包装された包装対象物を示す図である。
図3図2に示す各構成要素を示す分解斜視図である。
図4】梱包ケースの内部を示す図である。
図5図4に示すM方向から見た梱包ケースの側面を示す図である。
図6図5に示す梱包ケースの部分Nを拡大して示す図である。
図7】梱包用台座の好ましい構造例を示す分解斜視図である。
図8】梱包用台座の使用例を示す図である。
図9】第1結束バンド、第2結束バンド、そして第3結束バンドを順番に外す一例の様子を示す図である。
図10】リザーバータンクと人工肺のアッセンブリと包装用袋のユニットを片手で保持している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
(医療器具の梱包装置1)
図1は、本発明の医療器具の梱包用台座の実施形態を含む医療器具の梱包装置の好ましい実施形態を示す分解斜視図である。図1に示す梱包装置1は、医用機器としての、例えば心臓手術等において用いられる体外循環回路システムの一部の医療器具等を収納して梱包している。まず、医療器具の梱包装置1の構成例を説明する。
【0021】
図1に示す医療器具の梱包装置1は、梱包箱2と、梱包ケース3とを有する。梱包箱2は、例えば直方体形状の段ボール箱であり、底部2Aと、側部2B、2C、2D、2Eと、上蓋部2F、2G、2H、2Iを有し、上蓋部2F、2G、2H、2Iは開閉可能である。梱包箱2の収納空間2Jは、梱包ケース3を収納できる大きさを有する。梱包ケース3は、梱包箱2内に、非結束で収納される。
【0022】
梱包ケース3は、例えば収納した物が外から見えるようにするために、透明のプラスチック製の直方体状の箱である。梱包ケース3は、本体部4と、内蓋5を有する。本体部4は、底部4Aと、側部4B、4C、4D、4Eを有し、上部は開口部4Fになっている。本体部4は、直方体状の収納空間4Jを有し、本体トレーとも呼ばれる。内蓋5は、本体部4の開口部4F付近にはめ込まれて保持され、補助トレーとも呼ばれる。内蓋5は、底部5Aと、側部5B、5C、5D、5Eを有し、上部は開口部5Fになっている。内蓋5は、直方体状の収納空間5Jを有する。
【0023】
図1に示す梱包ケース3が、プラスチック製の密封可能な箱であると、この梱包ケース3をさらに収納する梱包箱2が段ボール紙製であっても、段ボール紙製の梱包箱2から紙粉が梱包ケース3内の医療器具や各種チューブに付着するのを防ぐことができる。また、病院等の医療施設では、梱包ケース3は、梱包箱2から出した状態で保管することで、段ボール箱の梱包箱2を医療施設内で使用しないで済むので、衛生上好ましい。図1に示す本体部4の収納空間4Jには、包装用袋6が収納され、内蓋5の収納空間5Jには、別の比較的小さな包装用袋7,8が収納される。包装用袋6は、破線で示すように体外循環回路システムの一部の医療器具を含む包装対象物10を包装している。包装用袋7,8は、付属するチューブや器具等を衛生的な状態を保つために包装している。
【0024】
(包装対象物10の梱包用台座20)
図2は、図1に示す包装用袋6と、この包装用袋6内に包装された包装対象物10を示している。図3は、図2に示す各構成要素を示す分解斜視図である。
図2を参照すると、包装用袋6は、一点鎖線で示しており、この包装用袋6は、良好な衛生状態を保つために、包装対象物10を覆っていて、包装用袋6は、左右の封止部6Dにより密封されている。包装用袋6に包装される包装対象物10の構成例を説明する。包装対象物10は、梱包用台座20と、底板21を有する。まず、梱包用台座20の構造例を説明する。
【0025】
(梱包用台座20)
図2に示すように、梱包用台座20は、術野トレーあるいは梱包用トレーともいい、医療器具と術野チューブおよび非術野チューブを梱包するのに用いられる。図2図3に示す梱包用台座20は、例えば薄肉厚のプラスチックにより作られており、クッション性を有することから、梱包用台座20は、外部からの衝撃力を緩和するための緩衝材としての役割を果たす。このため、外からの衝撃があっても衝撃を緩和して、医療器具と術野チューブおよび非術野チューブを守ることができる。梱包用台座20は、基板部22と、蓋23を有する。基板部22は、術野チューブ100を載置ための術野チューブ載置部24を有する。蓋23は、この術野チューブ載置部24を閉鎖するために、基板部22に上からはめ込む。
【0026】
図3図2に示すように、基板部22は、板部22Aと、側面部22B、22C、22D、22Eを有する。これにより、基板部22の直方体状の術野チューブ載置部24は、板部22Aと側面部22B、22C、22D、22Eにより囲まれた部分である。術野チューブ載置部24には、術野チューブ100を載置する。一方、蓋23は、天面30と、4つの側面部23B、23C、23D、23Eを有する。これにより、蓋23は、天面30と、4つの側面部23B、23C、23D、23Eにより囲まれた図2に示す直方体状の空間部23Fを有する。この空間部23Fと術野チューブ載置部24は、術野チューブ収納空間40を構成している。
【0027】
図2図3に示す梱包用台座20は、術野で用いる術野チューブ100と、非術野で用いる複数の非術野チューブ200と、に予め接続されている医療器具を梱包する。術野チューブ100と非術野チューブ200は、可撓性を有し透明性を有する材質、例えば塩化ビニル樹脂やシリコーンゴム等で作られている。この医療器具(デバイスともいう)としては、例えばリザーバータンク300と、人工肺400である。このリザーバータンク300と人工肺400は、体外循環回路システムを構成するデバイスであり、リザーバータンク300と人工肺400は連結部分350により連結されている。この連結部分350は、医者もしくはオペレータが把持することで、一体化されているリザーバータンク300と人工肺400と包装用袋210を持って、梱包用台座20から移動することができるようになっている。
【0028】
術野チューブ100は、手術の術野において使用される。非術野チューブ200は、手術の術野以外の非術野において使用される。この術野とは、手術の術者である医者側の領域であって、例えば患者の胸が開かれて、心臓が露出した状態の領域である。非術野とは、術野の外の領域であって、医者の1m位後ろにおいて体外循環回路システムの一部の医療器具であるリザーバータンク300と人工肺400等をセットし、リザーバータンク300と人工肺400等の医療器具をオペレートするオペレータが居る領域である。術野と非術野は、通常カーテンで仕切られている。
【0029】
図2に示すように、術野チューブ100は、例えば透明の包装用袋110内に密封されている。また、図3に示すように、複数の非術野チューブ200は、例えば複数の非術野チューブ200A、200B、200Cである。各非術野チューブ200A、200B、200Cは、好ましくは手術準備の際に取り出す順番に従って、例えば透明の包装用袋210内に密封されている。また、リザーバータンク300と人工肺400の医療器具のアッセンブリ390は、図面の簡単化のために図示を省略しているが、さらに包装用袋に密封されている。
【0030】
図3において2点鎖線で示すように、蓋23の天面30は、例えば長方形状の領域である。天面30は、第1載置面31と、第2載置面32を有する。第1載置面31と第2載置面32は、並んで形成されており、ともに長方形状の領域である。第1載置面31は、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390を載置する領域であり、第2載置面32は、非術野チューブ200とその包装用袋210を載置する領域である。すなわち、非術野チューブ200とその包装用袋210は、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390の側部に配置され、非術野チューブ200とその包装用袋210は、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリの横に並んだ状態で、天面30の上に置かれている。
【0031】
(底板21)
図2図3に示す底板21は、梱包用台座20の底面22Rを載せて梱包用台座20を支持するための板状の部材であり、例えば硬質のプラスチック板である。底板21の大きさは、梱包用台座20の底面22Rの大きさと同じか、より大きい。
【0032】
(第1結束バンド51、第2結束バンド52、第3結束バンド53)
次に、図2を参照して、第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53について、説明する。
第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53は、包装対象物10を結束するための結束手段の例である。第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53は、例えば比較的硬めのプラスチック材質からなる帯状部材60と、帯状部材60の一端部と他端部を着脱可能に接続するバックル61とを有する。これにより、医者やオペレータはバックル61を押すことで、帯状部材60による結束をワンタッチで簡単に外すことができる。もし、通常用いられている柔らかい素材の面ファスナテープを結束バンドとして使用すると、医者やオペレータが面ファスナテープのオス部とメス部をいったん剥がしても、オス部とメス部が再度貼り付いてしまう現象を起こすことが多い。このため、手術現場において結束状態を解消するのには、二度手間、三度手間になってしまい、手技を開始するまでの準備時間がかかってしまうことになる。
【0033】
図2図3に示すように、第1結束バンド51は、包装対象物10の全要素を全体的に結束する全体結束バンドであり、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、包装用袋210に包装された非術野チューブ200と、梱包用台座20と、そして底板21を含めた、全要素を結束する。
第2結束バンド52は、包装対象物10の全要素の内の一部の要素を結束する部分結束バンド(第1部分結束バンドともいう)であり、底板21を除いた、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、包装用袋210に包装された非術野チューブ200と、梱包用台座20を結束する。
第3結束バンド53は、全要素の内の一部の要素を結束する別の部分結束バンド(第2部分結束バンドともいう)であり、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、包装用袋210に包装された非術野チューブ200だけを結束している。
【0034】
このように、第2結束バンド52は、底板21に対しては非結束状態であって、梱包用台座20の底面22Rと、第1載置面31に載置されているリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、第2載置面32に載置されている非術野チューブ200の包装用袋210と、を確実に結束できる。しかも、第3結束バンド53は、梱包用台座20に対しては非結束状態であって、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、第2載置面32に載置されている非術野チューブ200の包装用袋210と、を確実に結束できる。
【0035】
手術現場において結束を外す場合には、結束の取り外しは、例えば第1結束バンド51、第2結束バンド52、第3結束バンド53の順番で行う。なお、第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53の取り外しの順番が、医者やオペレータに明確になるように、第1結束バンド51、第2結束バンド52、第3結束バンド53には異なる着色をしている。あるいは、第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53には、取り外す順番を示す番号を「1,2,3」等と付けてある。これにより、医者やオペレータは、結束バンドの取り外しの順番を間違えることがなくなり、開梱作業をスムーズにおこなうことができる。
【0036】
(梱包ケース3)
次に、図4から図6を参照して、図1に示す梱包ケース3の構造例をさらに説明する。図4は、梱包ケース3の内部を示しており、図5は、図4に示すM方向から見た梱包ケース3の側面を示し、図6は、図5に示す梱包ケース3の部分Nを拡大して示す図である。図4に示すように、梱包ケース3は、本体部4と内蓋5を有している。内蓋5は、本体部4の開口部4Fにはめ込まれていて、この開口部4Fの上部の位置に保持される。内蓋5は、包装用袋7,8を収納するだけではなく、搬送時に本体部4に収納されている包装用袋6が浮き上がらないように抑える役割も有する。これにより、包装用袋6内のリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、包装用袋210と、梱包用台座20が、搬送時に不用意に上下動するのを防ぐことができる。
【0037】
(包装用袋6の延長部材6P)
また、図4から図6に示すように、包装用袋6には、紐のような複数の延長部材6Pが設けられている。延長部材6Pは、帯状部材であり、包装用袋6と同じ材質で作ることができる。2つの延長部材6Pが、一方の封止部6Dの付近から本体部4の外側まで導出されており、残りの2つの延長部材6Pが、他方の封止部6Dの付近から本体部4の外側まで導出されている。しかも、4つの延長部材6Pは、本体部4の内面4Sと内蓋5の外面5Sとの間に挟まれていて、動かないようになっている。
【0038】
図4に示すように、梱包ケース3は、包装用袋6が本体部4内に収納されて内蓋5が閉じた状態で、滅菌工程で減圧して滅菌する。滅菌工程では、滅菌タンク内の圧力を変動させるが、陽圧をかけた後で陰圧をかける。このため、プレコネクトされた術野チューブと非術野チューブや医療器具が収納されている包装用袋6内が膨らんだ後に、包装用袋6が一気に潰れる。そうすると、術野チューブ100と非術野チューブ200等に圧力が加わってキンクが生ずることがある。このようなチューブのキンクを防ぐために、上述した延長部材6Pが設けられている。すなわち、延長部材6Pは、包装用袋6を引っ張り続けることで、滅菌工程において包装用袋6が収縮してつぶれるのを防いで、包装用袋6内に収容されているチューブが折れ曲がってしまう、術野チューブ100や非術野チューブ200等のチューブのキンクを抑止している。
【0039】
ところで、従来用いられている梱包用の箱は、包装用袋に収納されたプレコネクト回路を段ボール箱に直接入れている。しかし、段ボール箱からは紙粉が出る。この紙粉の発生は、病院等の医療施設では嫌がるので、包装用袋に収納されたプレコネクト回路は、段ボール箱から出した状態で保管したい。しかし、プレコネクト回路のセットには、他の回路等の付属品がある。そのため、包装用袋に収納されたプレコネクト回路を、段ボール箱から出した状態で保管すると、付属品の保管や管理が大変である。
【0040】
そこで、図4に示すように、梱包ケース3の構造としては、本体部4と内蓋5を有する二重収納構造を採用している。上述したように、包装用袋6の延長部材6Pは、本体部4と内蓋5の間に引掛けて挟んでいるので、プレコネクト回路を包装している包装用袋6は縮まないようにしていて、チューブのキンクを抑える。図4に示す二重構造の梱包ケース3は図1に示す段ボール箱である梱包箱2に入れたままで滅菌処理を行い、病院では梱包ケース3は梱包箱2から出した状態で、容易に保管できる。付属品は、内蓋5に収容できるので、付属品を誤って捨ててしまうことを回避できる。
【0041】
また、図5図6に示すように、内蓋5は、ほぼL字型の縁部5Wを有する。この縁部5Wは、本体部4の上端4Tに掛けて保持され、しかも圧接突起5Vを本体部4の外面4Hに突き当てている。これにより、内蓋5は、本体部4内に収まった状態で固定される。このため、内蓋5は、包装用袋6内のリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、包装用袋210と、梱包用台座20が、搬送時に上下に移動するのを確実に防ぐことができる。
【0042】
(梱包用台座20の構造例)
図7は、梱包用台座20の好ましい構造例を示す分解斜視図である。図8は、梱包用台座20の使用例を示している。梱包用台座20の基板部22の側面部22C、22Eには、それぞれV字型の切り欠き部65が設けられている。切り欠き部65,65は、対応した位置にあり、しかも側面部22Dにより近い位置に設けられている。基板部22の板部22Aには、引張用の線状部材22Kが取り付けられている。医者またはオペレータが、線状部材22Kを、矢印Z方向に引くことにより、板部22Aは、折り曲げ基線22X(図8の紙面垂直方向)を中心として、側面部22Cの部分22Lと側面部22Eの部分22Pは、図8に示すように、Y方向に折り曲げることができる。これにより、医者は、手袋をした状態で、基板部22内から術野チューブ100の入った包装用袋110を、スライドさせながら容易に取り出すことができる。すなわち、基板部22の一部分22Tを残部22Sに対して折り曲げることで、医者が手袋をしていても、術野において、梱包用台座20の術野チューブ収納空間40から、術野チューブ100を容易に取り出すことができる。
【0043】
(梱包を行う作業例)
次に、図1に示すように、医療器具を梱包する際の梱包方法の例を、簡単に説明する。まず、図2に示す梱包用台座20を準備して、梱包用台座20の術野チューブ収納空間40には、包装用袋110に入った術野チューブ100を収納する。図2に示すように、医療器具であるリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390は、図示しない包装用袋に入った状態で、梱包用台座20の天面30の第1載置面31に載置し、包装用袋210に入った非術野チューブ200は、梱包用台座20の天面30の第2載置面32に載置する。そして、梱包用台座20の底面22Rは底板21に載せて、底板21と、梱包用台座20と、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、非術野チューブ200とは、第1結束バンド51で結束する。
【0044】
また、梱包用台座20の天面30に載置された医療器具であるリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と非術野チューブ200と、梱包用台座20とは、第2結束バンド52で結束することができる。リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、非術野チューブ200とは、第3結束バンド53で結束することができる。
その後、第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53により結束された底板21と、梱包用台座20と、医療器具であるリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、非術野チューブ200とは、図1に示す包装用袋6により密封して、図1に示す梱包箱2に好ましくは非固定状態で収納する。なお、第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53による結束作業の順番は、これに限らず任意に選択でき、例えば第3結束バンド53、第2結束バンド52、第1結束バンド51の順番に結束作業を行っても良い。また、第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53が配置されている位置は、あくまでも一例であり、図示例に限定されず、任意に選択できる。
【0045】
(医療現場での梱包を解く場合の作業例)
次に、上述した医療器具の梱包装置1と、梱包用台座20を、医療現場において、梱包を解く場合の作業例を説明する。
図1に示す医療器具の梱包装置1が医療現場に届くと、梱包箱2を開けて梱包ケース3を取り出す。梱包ケース3は図4に示す状態で取り出され、本体部4から内蓋5が取り出される。本体部4内からは、包装用袋6が取り出され、内蓋5から包装用袋7,8が取り出される。
【0046】
取り出された包装用袋6を破ると、図2に示すように、図示しない包装用袋により包装されたリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、包装用袋210に包装された非術野チューブ200とを載置している梱包用台座20と、そして底板21が、第1結束バンド51により結束されている。体外循環回路システムのいわゆるプレコネクト品は、病院毎に仕様が異なるために、結束バンドを外す順番は、病院毎に異なる。本発明の実施形態では、図9に例示するように、第1結束バンド51、第2結束バンド52、そして第3結束バンド53を順番に外していくことになる。図9は、結束バンドを取り外す順番の一例として、第1結束バンド51、第2結束バンド52、そして第3結束バンド53を順番に外す一例の様子を示している。
【0047】
まず、図9(A)に示すように、第1結束バンド51を外すことで、底板21だけが、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と、包装用袋210に包装された非術野チューブ200と、梱包用台座20から、分離される。
次に、図9(B)に示すように、第2結束バンド52を外すことで、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と包装用袋210に包装された非術野チューブ200から、梱包用台座20だけが、分離される。
【0048】
このようにして、術野チューブ100を収納している梱包用台座20だけが、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と包装用袋210に包装された非術野チューブ200から分離されると、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と包装用袋210のユニットは、まだ第3結束バンド53により結束されたままである。この第3結束バンド53により結束されているリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と包装用袋210のユニットは、例えば図9(B)に示すように、吊り下げ用のスタンド500のホルダ501を用いて吊り下げることができる。すなわち、図9(B)と図10に示すように、医者またはオペレータは、連結部分350を片手HDで持ち上げる。そして、図9(B)に示すように、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と包装用袋210を、スタンド500のホルダ501に掛けて吊り下げる。
【0049】
このように、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390は、スタンド500のホルダ501に対して、片手HDにより簡単に掛けて吊り下げて保持できるので、医者またはオペレータは、両手が空く。このため、医者またはオペレータは、両手を使って、図9(C)に示すように、第3結束バンド53を外して、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390から、包装用袋210を分離し、包装用袋210を破って、複数の非術野チューブ200の図3に示す複数の非術野チューブ200A、200B、200Cを、使用する順番に従って取り出すことができる。取り出した非術野チューブ200の複数の非術野チューブ200A、200B、200Cは、順次接続する。
【0050】
一方、手術時には、分離された梱包用台座20は、術野トレーとして、オペレータが医者に渡す。すなわち、オペレータは、術野チューブ100を収納したままで梱包用台座20を医者に渡す。これにより、術野チューブ100は、梱包用台座20からは出さないので、オペレータの居る非術野の領域から医者の居る術野の領域へ、術野チューブ100の清潔性を保ちながら渡すことができる。
【0051】
オペレータが、図7に示すように、梱包用台座20の基板部22から蓋23を開けると、医者は手袋をした状態で、図8に示すように、梱包用台座20の基板部22から、術野チューブ100の包装用袋110を取り出す。図7に示す包装用袋110を破って、術野チューブ100を取り出す。術野チューブ100は、脱血チューブ(脱血回路)と、送血チューブ(送血回路)を有する。静脈側カテーテル(脱血側カテーテル)は、大腿静脈より挿入されており、静脈側カテーテルの先端が右心房に留置される。動脈側カテーテル(送血側カテーテル)は、大腿動脈より挿入される。静脈側カテーテルは術野チューブ100の脱血チューブを用いて遠心ポンプ側に接続されている。遠心ポンプが動作すると、脱血チューブから脱血して人工肺に通して酸素の付加と二酸化炭素の除去を行い、術野チューブ100の送血チューブを介して患者に血液を戻す。
【0052】
図2に示す第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53は、上述したように、互いに異なる色を付けておくと、各バンドを外す順番を視覚的にあるいは感覚的に認識できるので、バンドを外す順番を間違えない。また、第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53は、上述したように、外す順番を示す番号を付けておくと、バンドを外す順番を間違えない。このため、体外循環回路システムのセットアップまでの時間が必要以上にかかってしまうことがなく、手技までの準備時間を短縮できる。
【0053】
また、バックルを備える第1結束バンド51と第2結束バンド52と第3結束バンド53を順番に外していくことで、ワンタッチで結束状態を解除できる。このため、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390は、底板21の取り外し、梱包用台座20の取り外しをすることで、結束を外す順番を間違えることなく取り外せる。
【0054】
分離したリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と包装用袋210は、医者またはオペレータが1人でも、スタンド500のホルダ501に吊り下げることができる。このため、その後は、医者またはオペレータは、両手を使って、体外循環回路システムのセットアップが行えるので、セットアップまでの時間を短縮でき、手技の開始が遅れない。また、術野チューブや非術野チューブは、不用意に床面に垂れて接触することがないので、各チューブの清潔さを保てる。
【0055】
術野トレーとしての梱包用台座20は、リザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と包装用袋210を載せており、緩衝材としての機能を兼ねる。人工肺を収納する人工肺トレーの使用は廃止しており、人工肺トレーにおける人工肺の固定を外す作業を削減できる。梱包用台座20を使用することで、横幅寸法を3割程度削減でき、梱包サイズをコンパクト化できる。梱包用台座20とリザーバータンク300と人工肺400のアッセンブリ390と包装用袋210のユニットは、第2結束バンド52と第3結束バンド53により結束されているので、片手で持って底板21から外せる。
【0056】
(従来の梱包方法の比較説明)
以上、本発明の実施形態を説明した。ここで、従来の体外循環回路システムの梱包の問題点を簡単に説明する。従来、梱包をする際には、術野チューブは、デバイスであるリザーバータンクと人工肺の横側の領域に配置されている。この術野チューブは、人工肺とリザーバ―タンクに接続されているが、術野チューブと、人工肺とリザーバ―タンクとは、面ファスナテープ等で一体的に固定されているわけではない。このため、術野チューブと人工肺とリザーバータンクは、片手で持ち上げることができず両手で持ち上げる必要があるので、片手では体外循環回路システムをセットアップすることができなかった。
【0057】
従来の用いられている面ファスナテープは、柔らかいために、面ファスナテープを取り外そうとすると、面ファスナテープのオス部とメス部が再び貼り付いてしまって邪魔になり、時間がかかってしまう。しかも、複数の面ファスナテープを取り外す順番を間違えると、術野チューブや非術野チューブ等のチューブが絡まってしまい、絡まったチューブを解くのに手間がかかる。
【0058】
従って、体外循環回路システムをセットアップするのには、時間がかかってしまい、手技を開始するのが遅れてしまう。取り外してはいけない面ファスナテープをほどいて、不用意にチューブが床面に垂れて落下すると、チューブが不潔になって使用できなくなる。人工肺とリザーバ―タンクと、術野チューブとを、医者またはオペレータが別々の手で持つ必要があるので、両手がふさがり、体外循環回路システムのセットアップが1人ではできず、複数人で対応しなければならない。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。使用している結束バンドの使用数や、結束位置は、図示例に限定されず、任意に選択できる。
【符号の説明】
【0060】
1:梱包装置、 2:梱包箱、 2A:底部、 2B、2C、2D、2E:側部、 2F、2G、2H、2I:上蓋部、 2J:収納空間、 3:梱包ケース、 4:本体部、 4A:底部、 4B、4C、4D、4E:側部、 4F:開口部、 4H:外面、 4J:収納空間、 4S:内面、 4T:上端、 5:内蓋、 5A:底部、 5B、5C、5D、5E:側部、 5F:開口部、 5J:収納空間、 5S:外面、 5V:圧接突起、 5W:縁部、 6:包装用袋、 6D:封止部、 6P:延長部材、 7、8:包装用袋、 10:包装対象物、 20:梱包用台座、 21:底板、 22:基板部、 22A:板部、 22B、22C、22D、22E:側面部、 22K:線状部材、 22L、22P:部分、 22R:底面、 22S:残部、 22T:一部分、 22X:折り曲げ基線、 23:蓋、 23B、23C、23D、23E:側面部、 23F:空間部、 24:術野チューブ載置部、 30:天面、 31:第1載置面、 32:第2載置面、 40:術野チューブ収納空間、 51:第1結束バンド、 52:第2結束バンド、 53:第3結束バンド、 60:帯状部材、 61:バックル、 65:切り欠き部、 100:術野チューブ、 110:包装用袋、 200、200A、200B、200C:非術野チューブ、 210:包装用袋、 300:リザーバータンク、 350:連結部分、 390:アッセンブリ、 400:人工肺、 500:スタンド、 501:ホルダ、 HD:片手、 N:部分
図1
図2
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図10