(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/133 20060101AFI20231212BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G02F1/133 535
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2020017265
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】上土橋 尚弘
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-267481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0100234(US,A1)
【文献】特開2014-007078(JP,A)
【文献】国際公開第2007/125804(WO,A1)
【文献】特開2013-142869(JP,A)
【文献】特開2001-236040(JP,A)
【文献】特開2012-083585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、
複数の発光ダイオード素子を有し、ローカルディミング機能を有するバックライトと、
前記複数の発光ダイオード素子に、所定の駆動電圧を供給する電源部と、
前記駆動電圧が供給された際に
、前記複数の発光ダイオード素子のうち、同一の電圧が前記複数の発光ダイオード素子に供給された場合に前記発光ダイオード素子のアノード-カソード間に印加される印加電圧が最も大きい第1発光ダイオード素子に流れる電流の値を、前記第1発光ダイオード素子に対応するデューティー比の設定値に基づくPWM処理によって制御する電流制御部と、
前記液晶表示パネルの表示輝度の変更の指示である前記駆動電圧を制御すべき事象の発生を検出する検出部と、
前記事象が検出された場合、前記設定値が最小デューティー比未満であるか否かを判定する判定部と、
前記設定値が前記最小デューティー比未満であると判定された場合、前記設定値を、前記最小デューティー比以上のデューティー比に更新する更新部と、
前記設定値が更新されたデューティー比で駆動される、前記第1発光ダイオード素子から、前記駆動電圧が前記第1発光ダイオード素子に印加された際の前記第1発光ダイオード素子の検出抵抗の電圧を測定する測定部と、
測定された前記第1発光ダイオード素子の前記検出抵抗の電圧を、前記第1発光ダイオード以外の他の発光ダイオード素子から測定される前記検出抵抗の電圧と比較することなく、前記第1発光ダイオード素子の前記検出抵抗の電圧のみに基づいて、前記電源部から供給される前記駆動電圧を調整する調整部とを備えていることを特徴とす
る液晶表示装置。
【請求項2】
前記更新部は、前記他の発光ダイオード素子のデューティー比の設定値を、前記事象が検出される前に設定されていたデューティー比の設定値から更新しないことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1発光ダイオード素子は、前記バックライトにおける、前記液晶表示パネルの表示領域に対応する領域の内部に配置されており、
前記表示領域における、前記第1発光ダイオード素子に対向する位置を含む範囲に、
前記表示輝度の変更の指示に関連するOSD画像の情報を表示する表示制御部をさらに備えていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記更新部は、前記設定値を前記最小デューティー比に更新することを特徴とする請求項
1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1発光ダイオード素子は、前記バックライトにおける、前記液晶表示パネルの表示領域に対応する領域内の端部に配置されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1発光ダイオード素子は、前記バックライトにおける、前記液晶表示パネルの表示領域に対応する領域の外部に配置されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、入力電力に基づいて、第1のLEDストリングに供給される出力電圧を生成する電力コンバータと、第1のデューティーサイクル信号に基づいて、第1のLEDストリングをオンまたはオフする第1のチャンネルスイッチと、第1のプログラムされた電流レベル信号を受信し、当該信号に基づいて、第1のLEDストリングに流れる電流を調整する第1のチャンネル調整部と、プログラム可能な電流レベルの限られたセットのうちの1つに対応する、前記第1のLEDストリング用の前記第1のプログラムされた電流レベル信号を生成し、前記第1のプログラムされた電流レベル信号に応じて、前記第1のチャンネルスイッチを駆動するための第1のデューティーサイクル信号を生成する輝度コントローラとを備えたLEDドライバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国公開特許公報US2013/0127344
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のLEDドライバは、表示可能な最大輝度の設定が変更された場合、各LEDに印可される電圧を測定し、測定された電圧に基づいて駆動電圧を調整する機能を有する。さらに、LEDに流れる電流の値を制御するためのPWM(Pulse Width Modulation)処理のデューティーサイクルを調整する機能も有している。このドライバを用いてLEDを駆動する際、LEDのデューティーサイクルをゼロにすることによって、LEDをオフすることも可能である。しかしこの場合、LEDの印可電圧を測定できなくなるので、駆動電圧を調整できなくなる。逆に、各LEDのディーティーサイクルの設定値を常に最小ディーティーサイクル以上に維持すれば、必要に応じて電圧調整をいつでも実行できる。しかし、この場合、表示画面に黒浮きが発生して表示品位が低下してしまう。
【0005】
以上のように、従来の技術には、黒浮きの防止と電圧調整とを両立することができない問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、黒浮きの防止と電圧調整とを両立する液晶表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、液晶表示パネルと、複数の発光ダイオード素子を有するバックライトと、前記複数の発光ダイオード素子に、所定の駆動電圧を供給する電源部と、前記複数の発光ダイオード素子のうち、同一の電圧が前記複数の発光ダイオード素子に供給された際に前記発光ダイオード素子のアノード-カソード間に印加される印加電圧が最も大きい第1発光ダイオード素子から、前記駆動電圧が前記第1発光ダイオード素子に印加された際の前記第1発光ダイオード素子の検出抵抗の電圧を測定する測定部と、測定された前記第1発光ダイオード素子の前記検出抵抗の電圧を、前記駆動電圧が供給された際に他の前記発光ダイオード素子から測定される前記検出抵抗の電圧と比較することなく、測定された前記第1発光ダイオード素子の前記検出抵抗の電圧のみに基づいて、前記電源部から供給される前記駆動電圧を調整する調整部とを備えている構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、黒浮きの防止と電圧調整とを両立する液晶表示装置を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る液晶表示パネルの前面を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係るバックライトの内部構造を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る液晶表示装置が実行する駆動電圧の調整処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態1に係る液晶表示パネルの表示領域を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係るバックライトの構成を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係る液晶表示パネルの表示領域を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態3に係る液晶表示パネルの表示領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
(液晶表示装置1の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。液晶表示装置1は、静止画および動画像を含む各種の映像を表示可能な表示装置であり、例えばテレビジョン装置として実現される。
図1に示すように、液晶表示装置1は、液晶表示パネル11、表示制御部12、バックライト21、電源部31、電圧調整部32(検出部、調整部)、複数のLED(Light Emission Diode)ドライバ33、複数のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)34、およびデューティー比設定部35(判定部、更新部)を備えている。バックライト21は、複数のLED22(発光ダイオード素子)を有する。LEDドライバ33は、電流制御部41および電圧測定部42(測定部)を備えている。
【0011】
図2は、本発明の実施形態1に係る液晶表示パネル11の前面を示す図である。この図に示すように、液晶表示パネル11は、その前面に配置される表示領域13を有している。表示領域13は、いわゆる表示画面に相当し、液晶表示パネル11において映像が表示される領域である。表示制御部12は、液晶表示装置1の表示領域13における映像表示を制御する。すなわち、表示制御部12は、液晶表示パネル11の表示領域13に所定の映像を表示する。
【0012】
図3は、本発明の実施形態1に係るバックライト21の内部構造を示す図である。バックライト21は、液晶表示パネル11の背面に配置されており、映像表示に必要な光を液晶表示装置1の背面に向けて照射する。
図3に示すように、複数のLED22は、バックライト21内の領域23に配置されている。領域23は、バックライト21が液晶表示パネル11の背後に配置されている場合に、表示領域13に対向する。複数のLED22は、領域23内においてアレイ状に配置されている。
図3の例では、領域23内に配置されるLED22の数は、4行8列で合計32個である。LED22は、表示領域13における映像表示に必要な光を発光する発光素子である。
図1では、便宜上、4つのLED22のみを図示している。
【0013】
LED22は、アノードおよびカソードを有する。LED22に電圧が供給されると、LED22のアノード-カソード間に電圧が印加される。LED22A(第1発光ダイオード素子)は、複数のLED22のうち、同一の電圧が複数のLED22に供給された際に、LED22のアノード-カソード間に印加される印加電圧が最も大きいLED22である。すなわち、LED22Aは、複数のLED22のうち、同一の電圧が複数のLED22に供給された際に最も小さい電流が流れるLED22でもある。LED22は、LED22に流れる電流に応じた強さの光を発光する素子である。その意味では、LED22Aは、複数のLED22のうち最も発光効率の悪いLED22である。
図3では、LED22Aは、領域23における右下隅に配置されている。
【0014】
電源部31は、複数のLED22の駆動するための所定の駆動電圧を、各LED22に一律に供給する。
図1に示すように、各LED22のアノードが、電源部31から出力された駆動電圧が流れる配線に接続されている。電圧調整部32は、電源部31から複数のLED22に供給される駆動電圧を調整する。この調整の詳細は後述する。
【0015】
複数のLEDドライバ33は、対応するLED22を駆動する。本実施形態では、1つのLED22が、2つのLED22を個別に駆動するように構成されている。したがって、詳しくは図示しないが、液晶表示装置1は14個のLEDドライバ33を備えている。
図1では、便宜上、4つのLED22に対応する2つのLED22のみを図示している。LEDドライバ33Aは、複数のLEDドライバ33のうち、LED22Aを駆動するためのLEDドライバ33である。
【0016】
MOSFET34は、対応するLED22に駆動電圧が供給された際にLED22に流れる電流をオンまたはオフするためのスイッチング素子である。MOSFET34は、ゲート、ソース、およびドレインを有している。MOSFET34のゲートは電流制御部41に接続されており、MOSFET34のソースは、LED22のカソードに接続されており、MOSFET34のドレインは、電圧測定部42に接続されると共に接地されている。以下では、電流制御部41Aに接続されるMOSFET34を、MOSFET34Aと称する。
【0017】
電流制御部41は、対応するLED22に駆動電圧が供給された際にLED22に流れる電流を、PWM処理によって制御する。電流制御部41は、LED22に対応するMOSFET34にPWM信号を出力することによって、PWM処理を実行する。PWM信号は、PWM信号の一周期内における、MOSFET34をオンまたはオフする期間をそれぞれ規定する信号である。PWM信号が低値になるオフ期間では、MOSFET34はオフされ、これによりLED22に電流が流れなくなる。PWM信号が高値になるオン期間では、MOSFET34はオンされ、これによりLED22に電流が流れるようになる。
【0018】
バックライト21は、いわゆるローカルディミング機能を有するバックライトである。電流制御部41は、PWM信号のデューティー比(一周期においてオン期間が占める比率)を変更することによって、LED22に流れる電流値を、駆動電圧およびデューティー比に応じて制御することができる。すなわち、駆動電圧およびPWM信号のオン期間の長さに応じた電流をLED22に流すことができる。これにより、個々のLED22の発光強度を個別に変更できるため、バックライト21における任意の箇所の明るさを個別に変更することができる。
【0019】
デューティー比設定部35は、LED22に出力されるPWM信号のデューティー比を、LED22ごとに個別に設定する。詳細には、デューティー比設定部35は、LEDドライバ33ごとに、LEDドライバ33によって駆動される2つのLED22に対応する各デューティー比を、LEDドライバ33に設定する。電流制御部41は、設定されたデューティー比に応じた長さのオン期間を有するPWM信号を、対応するMOSFET34に出力する。これにより、設定されたデューティー比に応じた大きさの電流がLED22に流れるので、LED22は、設定されたデューティー比に応じた強さの光を発光する。
【0020】
電圧測定部42は、対応するLED22に流れる電流を、検出抵抗の電圧によって測定する。検出抵抗とは、LED22のカソード側に直列接続される電圧検出用の抵抗のことである。電圧測定部42は、LED22に駆動電圧が供給された際に電圧検出用の抵抗において生じる電圧(降下電圧)を測定する。このようにして測定される電圧が、検出抵抗の電圧に相当する。検出抵抗の電圧は、LED22Aでは駆動電圧を調整するために用いられ、LED22A以外のLED22では電流制御部41から出力されるPWM信号のデューティー比を調整するために用いられる。液晶表示装置1は、液晶表示パネル11において表示される映像の品位を高めるために、バックライト21の照射光の面内均一性を可能な限り高める必要がある。一方、LED22はその製造時に特性にばらつきが生じるため、同一の駆動電圧を各LED22に供給した場合、アノード-カソード間を印加される電圧にばらつきが生じる。これにより、各LED22に同一の駆動電圧を供給するのみでは、各LED22に流れる電流にばらつきが生じることによって、各LED22の発光強度にばらつきが生じてしまう。このばらつきを低減するために、LEDドライバ33は、測定された検出抵抗の電圧に応じて、LED22に対応するデューティー比の設定値を調整する。
【0021】
以下では、LED22Aの検出抵抗の電圧を測定する電圧測定部42を、電圧測定部42Aと称する。電圧測定部42Aは、LED22Aから測定した検出抵抗の電圧に応じて駆動電圧を調整している。LED22Aよりも発光効率が高いLED22A以外のLED22に対応するLEDドライバ33では、LED22Aの検出抵抗の電圧に基づいて、余分な電流を減らすためにPWM信号のデューティー比を調整することによって、電流の均一性を担保する。例えば、対応するLED22から測定した検出抵抗の電圧が、LED22Aから測定した検出抵抗の電圧よりも高いほど、LED22のデューティー比の設定値をより小さくすることによって、時間平均した際により小さい電流がLED22に流れるようにする。これにより、各LED22に流れる電流の大きさを均一化することができる。
【0022】
液晶表示装置1は、LED22Aから測定した検出抵抗の電圧を、各LED22に供給される駆動電圧を制御するために用いる。液晶表示装置1は、液晶表示パネル11に表示される映像の輝度を変更する際に、LED22Aの検出抵抗の電圧のみに基づいて、駆動電圧を調整する。例えば、ユーザによって変更輝度の指示が入力された場合、あるいは外光の強度変化に応じて自動的に映像の輝度を変更する場合に、駆動電圧が調整される。液晶表示装置1は、駆動電圧を、変更後の輝度およびLED22Aの検出抵抗の電圧に応じた電圧に調整する。これにより、各LED22に流れる電流が、変更後の輝度に応じた強さに一律に調整されるので、バックライト21から照射される光の強度を一律に変更することができる。
【0023】
上述したように、LED22Aの印加電圧(すなわちアノード-カソード間の電圧)は、バックライト21が備える全LED22のそれぞれの印加電圧のうち、最大の電圧である。したがって、LED22Aの検出抵抗の電圧に応じて駆動電圧を調整すれば、LED22Aに十分な強さの電流を流すために必要な強さの駆動電圧を供給することが保証される。LED22A以外のLED22は、LED22Aよりも発光効率が高いため、LED22Aの検出抵抗の電圧に応じて調整された駆動電圧が供給されれば、LED22と同様に十分な強さの電流を流すことができる。したがって、電圧調整後に各LED22を流れる電流の均一性を担保することができる。
【0024】
(駆動電圧の調整)
図4は、本発明の実施形態1に係る液晶表示装置1が実行する駆動電圧の調整処理の流れを示すフローチャートである。
図4のステップS1が実行される前では、液晶表示パネル11における映像表示がミュートされている。すなわち、LED22Aを含む各LED22が消灯されており、液晶表示パネル11の表示領域13には黒画像が表示されている。この状況下において、デューティー比設定部35は、駆動電圧を調整すべき事象の発生を検出した否かを判定する(ステップS1)。デューティー比設定部35は、例えば、ユーザによって液晶表示装置1に入力された、表示輝度の変更の指示を、駆動電圧を調整すべき事象の発生として検出する。ステップS1においてNOの場合、液晶表示装置1は駆動電圧を調整することなく、
図4の処理を終了させる。
【0025】
一方、ステップS1においてYESの場合、デューティー比設定部35は、LED22Aのデューティー比の設定値が最小デューティー比未満であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2においてYESの場合、デューティー比設定部35は、LED22Aのデューティー比の設定値を、最小デューティー比に更新する(ステップS3)。これにより、電圧測定部42Aは、更新後の最小デューティー比に応じたオン期間を有するPWM信号を、MOSFET34Aに出力する。結果、最小デューティー比に応じた電流がLED22Aに流れるため、LED22Aが最小デューティー比に応じた強さの光を発光する。
【0026】
なお、ステップS3において、デューティー比設定部35は、LED22A以外の他のLED22については、デューティー比の設定値を更新しない。また、ステップS2においてNOの場合、デューティー比設定部35は、LED22Aのデューティー比の設定値を変更しない。したがって、LED22Aは、設定済みのデューティー比に応じた強度で発光し続ける。
【0027】
電圧測定部42Aは、LED22Aの発光後、LED22Aの検出抵抗の電圧を測定する(ステップS4)。電圧測定部42Aは、測定したLED22Aの検出抵抗の電圧を電圧調整部32に出力する。電圧調整部32は、入力された検出抵抗の電圧を、LED22A以外の他のLED22から測定された検出抵抗の電圧と比較することなく、LED22Aの検出抵抗の電圧のみに基づいて、駆動電圧を調整する(ステップS5)。これにより、電源部31は、調整後の駆動電圧を各LED22に出力する。結果、各LED22に流れる各電流が、調整後の駆動電圧と、各LED22に対応するデューティー比とに応じた各電流に変更される。これにより、バックライト21から照射される光の強度を照射面内において一律に調整することができるため、映像の輝度を、新たな輝度に正確に変更することができる。
【0028】
図5は、本発明の実施形態1に係る液晶表示パネル11の表示領域13を示す図である。本実施形態において、デューティー比設定部35が、領域23内に配置される全LED22の消灯中に、駆動電圧を調整すべき事象の発生を検出したとする。この場合、デューティー比設定部35は、LED22Aに対応するデューティー比の設定値のみを、最小デューティー比に更新する。これによりLED22Aが点灯するため、LED22Aの検出抵抗の電圧の測定が可能となる。そこで、電圧測定部42AがLED22Aの検出抵抗の電圧を測定し、電圧調整部32に通知する。電圧調整部32は、通知された検出抵抗の電圧のみに基づいて、駆動電圧を調整する。一方、デューティー比設定部35は、領域23内に配置される全LED22のデューティー比については、最小デューティー比未満の値を維持する。これにより、領域23内に配置される各LED22は消灯され続ける。したがって、
図8に示すように、駆動電圧の調整時に、表示領域13におけるLED22Aに対応する右下隅の位置14のみが点灯し、位置14以外の残りの全範囲においては黒表示が維持される。
【0029】
(主要な作用効果)
以上のように、液晶表示装置1は、LED22Aから測定した検出抵抗の電圧のみに基づいて、電源部31から各LED22に供給される駆動電圧を調整する。これにより、LED22AのLED22は消灯状態にしたまま、電圧調整できるので、LED22A以外のLED22の発光による領域23の黒浮きを抑えることができる。したがって、領域23における黒浮きの防止と電圧調整とを両立できる。
【0030】
液晶表示装置1は、電圧調整すべき事象の発生を検出した場合、LED22Aを点灯させるので、LED22Aから検出抵抗の電圧を測定できるようになる。これにより、電圧調整を確実に実行することができる。また、LED22A以外の他のLED22は点灯させる必要がないため、領域23における黒浮きを防止できる。さらに、電圧調整するためにLED22を最小限の輝度で点灯させるため、領域23におけるLED22Aの点灯の目立ち方を最小限に抑えることができる。さらに、電圧調整する際に、表示領域13に対応する領域23内の端部に配置されるLED22Aを点灯させるため、LED22Aの点灯の目立ち方を抑えることができる。
【0031】
(変形例)
LED22Aは、領域23における右下隅以外の任意の場所に配置されていてもよい。例えば、LED22Aは、領域23における端部における任意の位置に配置されていてもよい。あるいは、LED22Aは、領域23における端部以外の位置に配置されていてもよい。バックライト21の製造者は、バックライト21の製造前に、バックライト21に組み込む全LED22のうち電圧VFが最も高いLED22Aを事前に特定しておく。そして、バックライト21の製造時に、LED22Aを領域23における所望の位置に配置させる。液晶表示装置1の製造者は、液晶表示装置1内の任意の記憶領域に、領域23におけるLED22の配置位置を示す情報を記憶させる。デューティー比設定部35は、電圧調整時に、この情報に基づいてLED22Aを特定する共に、LED22Aに対応するデューティー比の設定値を、最小デューティー比に更新する。これにより、LED22Aがいずれの位置に配置される場合であっても、液晶表示装置1は、電圧調整を実行する際、LED22Aから測定した検出抵抗の電圧のみに基づいて駆動電圧を制御する。したがって、LED22A以外の各LED22は消灯させたまま駆動電圧を制御できるので、黒浮きの防止および電圧調整を両立できることに変わりない。
【0032】
デューティー比設定部35は、電圧調整の際に、LED22Aに対応するデューティー比の設定値を、最小デューティー比以上の任意のデューティー比に設定してもよい。最小デューティー比よりも大きいデューティー比がLED22に設定される場合も、当然にLED22Aが点灯するため、LED22から測定した検出抵抗の電圧に基づいて確実に駆動電圧を調整することができる。
【0033】
〔実施形態2〕
図6は、本発明の実施形態2に係るバックライト21の構成を示す図である。本実施形態に係る液晶表示装置1の構成は、基本的に
図1に示す液晶表示装置1の構成と同一である。しかし、本実施形態では、液晶表示装置1は、
図6に示す構成のバックライト21を備えている。本実施形態に係るバックライト21は、実施形態1と異なり、LED22Aが領域23の内部に配置されていない。すなわち、
図6に示すように、LED22Aは、領域23の外部に配置されている。
【0034】
バックライト21の製造者は、バックライト21の製造前に、バックライト21に組み込む全LED22のうち電圧VFが最も高いLED22Aを事前に特定しておく。そして、バックライト21の製造時に、LED22Aを領域23の外部に配置させると共に、LED22A以外の全てのLED22を領域23内に配置させる。LED22が点灯しても、LED22Aの光は液晶表示パネル11の表示領域13に照射されないため、LED22Aの光を液晶表示装置1のユーザが視認することはない。
【0035】
図7は、本発明の実施形態2に係る液晶表示パネル11の表示領域13を示す図である。本実施形態では、デューティー比設定部35は、LED22Aに最小デューティー比を常に設定する。これにより、液晶表示パネル11が画像を表示中であるか否かに関わらず、LED22Aは最小の明るさで点灯し続ける。本態様において、デューティー比設定部35が、領域23内に配置される全LED22の消灯中に、駆動電圧を調整すべき事象の発生を検出したとする。このとき、LED22Aは点灯しているため、LED22Aの検出抵抗の電圧の測定が可能となる。そこで、電圧測定部42AがLED22Aの検出抵抗の電圧を測定し、電圧調整部32に通知する。電圧調整部32は、通知された検出抵抗の電圧のみに基づいて、駆動電圧を調整する。一方、デューティー比設定部35は、領域23内に配置される全LED22のデューティー比については、最小デューティー比未満の値を維持する。これにより、領域23内に配置される各LED22は消灯され続けるため、
図8に示すように、表示領域13の全範囲において黒表示が維持される。
【0036】
(主要な作用効果)
本実施形態では、LED22Aが常に最小の明るさで点灯されているため、LED22Aから測定した検出抵抗の電圧に基づいて駆動電圧の調整を確実に実行することができる。その際、LED22Aは領域23の外部に配置されるため、LED22Aの発光が目立つことがない。さらには、領域23内に配置される各LED22は消灯させるため、電圧調整時の黒浮き発生を防止することもできる。したがって、本実施形態においても、黒浮き発生の防止と駆動電圧の調整とを両立させた液晶表示装置1を実現することができる。
【0037】
(変形例)
本実施形態では、デューティー比設定部35は、電圧調整のタイミングを除き、LED22Aに最小デューティー比未満のデューティー比を常に設定してもよい。本例では、デューティー比設定部35は、駆動電圧を調整すべき事象の発生を検出した場合、LED22Aに対するデューティー比の設定値を、最小デューティー比以上に更新する。これにより、LED22Aが点灯するため、LED22Aの検出抵抗の電圧の測定が可能となる。そこで、電圧測定部42AがLED22Aの検出抵抗の電圧を測定し、電圧調整部32に通知する。電圧調整部32は、通知された検出抵抗の電圧のみに基づいて、駆動電圧を調整する。一方、デューティー比設定部35は、領域23内に配置される全LED22のデューティー比については、最小デューティー比未満の値を維持する。これにより、領域23内に配置される各LED22は消灯され続けるため、
図8に示すように、表示領域13の全範囲において黒表示が維持される。さらに、デューティー比設定部35は、駆動電圧の調整後に、LED22Aに対するデューティー比の設定値を、最小デューティー比に更新する。これにより、LED22Aは、次の電圧調整のタイミングまで、消灯し続ける。
【0038】
本例においても、実施形態2と同様に、黒浮き発生の防止と駆動電圧の調整とを両立させた液晶表示装置1を実現することができる。本例では、さらに、電圧調整のタイミングを除き、LED22Aは常に消灯されるため、実施形態2に比べて消費電力を低減することができる。
【0039】
〔実施形態3〕
図8は、本発明の実施形態3に係る液晶表示パネル11の表示領域13を示す図である。本実施形態に係る液晶表示装置1の構成は、実施形態2に係る液晶表示装置1の構成と同一である。すなわち、印加電圧が最も大きいLED22Aは、バックライト21の領域23の内部(右下隅)に配置されている。
【0040】
本実施形態において、全LED22の消灯中に、駆動電圧を調整すべき事象の発生を検出したとする。この検出を受けて、
図8に示すように、表示制御部12は、駆動電圧の調整時、液晶表示パネル11の表示領域13における、領域23に対向する位置を含む範囲に、所定のOSD(On Screen Display)画像15を表示する。OSD画像15は、例えば液晶表示装置1の設定に関するメニューを表示するための画像である。LED22Aが領域23の右下隅に配置されているので、OSD画像15は、表示領域13の右下隅を含む範囲に表示される。OSD画像15を表示するためには、OSD画像15の表示範囲に対応する各LED22を発光させる必要がある。そこで、デューティー比設定部35は、OSD画像15を表示する際、OSD画像15の表示範囲に対応する各LED22のデューティー比の設定値を、表示されるOSD画像15の輝度に応じた値に更新する。これにより、LED22Aを含む複数のLED22に、設定されたデューティー比に応じた電流が流れるので、これらのLED22が点灯される。
【0041】
OSD画像15の表示時にLED22Aが点灯されるので、LED22Aの検出抵抗の電圧の測定が可能となる。そこで、電圧測定部42AがLED22Aの検出抵抗の電圧を測定し、電圧調整部32に通知する。電圧調整部32は、通知された検出抵抗の電圧のみに基づいて、駆動電圧を調整する。一方、デューティー比設定部35は、OSD画像15の表示範囲に対応しない各LED22のデューティー比については、最小デューティー比未満の値を維持する。これにより、残りの各LED22は消灯されるため、
図8に示すように、表示領域13におけるOSD画像15の表示範囲以外の箇所は、黒表示が維持される。
【0042】
以上のように、本実施形態では、OSD画像15の表示によって、OSD画像15に対応するLED22Aを点灯させるため、LED22Aから測定した検出抵抗の電圧に基づいて駆動電圧の調整を確実に実行することができる。その際、LED22Aに重なる位置にOSD画像15を表示するので、LED22Aの発光がOSD画像15に隠れて目立つことがない。さらには、領域23におけるOSD画像15の表示範囲以外に対応する各LED22は消灯させるため、電圧調整時の黒浮き発生を防止することもできる。
【0043】
本実施形態では、LED22Aは、領域23の内部における右下隅以外の任意の位置に配置されていてもよい。例えば、LED22Aは、領域23の中央、上部、下部などに配置されていてもよい。バックライト21の製造者は、バックライト21の製造前に、バックライト21に組み込む全LED22のうち電圧VFが最も高いLED22Aを事前に特定しておく。そして、バックライト21の製造時に、LED22Aを領域23における所望の位置に配置させる。液晶表示装置1の製造者は、液晶表示装置1内の任意の記憶領域に、領域23におけるLED22の配置位置を示す情報を記憶させる。表示制御部12は、電圧調整時に、この情報に基づいて、表示領域13におけるOSD画像15の表示範囲を決定し、当該決定した表示範囲にOSD画像15を表示する。これにより、LED22Aが領域23内のいずれの位置に配置されていても、LED22Aに対応する表示範囲にOSD画像15が表示されるので、LED22Aを目立たせることなく駆動電圧の調整を実行することができる。
【0044】
(変形例)
表示制御部12は、電圧の調整時、液晶表示パネル11の表示領域13における、領域23に対向する位置を含む範囲に、OSD画像15以外の任意の情報(テキスト、画像等)を表示してもよい。OSD画像15以外の情報を表示する場合であっても、当該情報の表示範囲に対応するLED22Aを点灯させることに変わりはない。したがって、領域23におけるOSD画像15の表示範囲以外を黒表示(LED22の消灯)しつつ、電圧調整することができる。
【0045】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る液晶表示装置は、液晶表示パネルと、複数の発光ダイオード素子を有するバックライトと、前記複数の発光ダイオード素子に、所定の駆動電圧を供給する電源部と、前記複数の発光ダイオード素子のうち、同一の電圧が前記複数の発光ダイオード素子に供給された際に前記発光ダイオード素子のアノード-カソード間に印加される印加電圧が最も大きい第1発光ダイオード素子から、前記駆動電圧が前記第1発光ダイオード素子に印加された際の前記第1発光ダイオード素子の検出抵抗の電圧を測定する測定部と、測定された前記第1発光ダイオード素子の前記検出抵抗の電圧を、前記駆動電圧が供給された際に他の前記発光ダイオード素子から測定される前記検出抵抗の電圧と比較することなく、測定された前記第1発光ダイオード素子の前記検出抵抗の電圧のみに基づいて、前記電源部から供給される前記駆動電圧を調整する調整部とを備えている構成である。
【0046】
本発明の態様2に係る液晶表示装置は、前記の態様1において、前記駆動電圧が供給された際に前記第1発光ダイオード素子に流れる電流の値を、前記第1発光ダイオード素子に対応するデューティー比の設定値に基づくPWM処理によって制御する電流制御部と、前記駆動電圧を制御すべき事象の発生を検出する検出部と、前記事象が検出された場合、前記設定値が最小デューティー比未満であるか否かを判定する判定部と、前記設定値が前記最小デューティー比未満であると判定された場合、前記設定値を、前記最小デューティー比以上のデューティー比に更新する更新部とをさらに備えている構成であってもよい。
【0047】
本発明の態様3に係る液晶表示装置は、前記態様2において、前記更新部は、前記設定値を前記最小デューティー比に更新する構成であってもよい。
【0048】
本発明の態様4に係る液晶表示装置は、前記態様1~3のいずれかにおいて、前記第1発光ダイオード素子は、前記バックライトにおける、前記液晶表示パネルの表示領域に対応する領域内の端部に配置されている構成であってもよい。
【0049】
本発明の態様5に係る液晶表示装置は、前記態様1~3のいずれかにおいて、前記第1発光ダイオード素子は、前記バックライトにおける、前記液晶表示パネルの表示領域に対応する領域の外部に配置されている構成であってもよい。
【0050】
本発明の態様6に係る液晶表示装置は、前記態様1~3のいずれかにおいて、前記第1発光ダイオード素子は、前記バックライトにおける、前記液晶表示パネルの表示領域に対応する領域の内部に配置されており、前記表示領域における、前記第1発光ダイオード素子に対向する位置を含む範囲に、所定の情報を表示する表示制御部をさらに備えている構成であってもよい。
【0051】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 液晶表示装置
11 液晶表示パネル
12 表示制御部
13 表示領域
14 位置
15 OSD画像
21 バックライト
22、22A LED
23 領域
31 電源部
32 合計
32 電圧調整部
33、33A LEDドライバ
34、34A MOSFET
35 デューティー比設定部
41、41A 電流制御部
42、42A 電圧測定部