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特許7401337画像読取装置、制御方法及び制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像読取装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20231212BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20231212BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20231212BHJP
【FI】
H04N1/00 350
G06F3/04817
G06F3/0484
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020026449
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021132291
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】前川 惇彦
(72)【発明者】
【氏名】北野 将隆
(72)【発明者】
【氏名】庭野 正志
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 廣和
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174436(JP,A)
【文献】特開2008-040962(JP,A)
【文献】特開2017-011524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 3/04817
G06F 3/0484
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
表示部と、
撮像部と、
複数の設定情報と、前記複数の設定情報のそれぞれに対応する複数のアイコン画像とを記憶する記憶部と、
前記複数のアイコン画像を利用者によって選択可能に前記表示部に表示する表示制御部と、
利用者によって選択されたアイコン画像に対応する設定情報に従って、前記画像読取装置を制御する制御部と、
利用者による指示に従って新たな設定情報を受け付ける受付部と、
前記新たな設定情報に従って前記撮像部により媒体が撮像された入力画像を取得する取得部と、
前記入力画像に基づいて、新たなアイコン画像を生成する生成部と、
前記新たなアイコン画像と、前記記憶部に記憶された前記複数のアイコン画像のそれぞれとの類似度を算出する算出部と、
前記類似度が閾値以上である場合に、利用者に前記新たなアイコン画像の識別力が低いことを認識させるための警告を通知する通知部と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記算出された各類似度が前記閾値未満である場合に、前記新たな設定情報と、前記新たなアイコン画像とを対応付けて前記記憶部に登録する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記新たなアイコン画像におけるRGB各色に対応する画素の数の比率と、前記記憶部に記憶されたアイコン画像におけるRGB各色に対応する画素の数の比率とが一致する度合いに基づいて、前記類似度を算出する、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記受付部は、前記新たな設定情報が、前記記憶部に記憶された設定情報と同一である場合、前記新たな設定情報が登録済みである旨を利用者に通知する、請求項1~3の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
表示部と、撮像部と、記憶部と、を有する画像読取装置の制御方法であって、
複数の設定情報と、前記複数の設定情報のそれぞれに対応する複数のアイコン画像とを前記記憶部に記憶し、
前記複数のアイコン画像を利用者によって選択可能に前記表示部に表示し、
利用者によって選択されたアイコン画像に対応する設定情報に従って、前記画像読取装置を制御し、
利用者による指示に従って新たな設定情報を受け付け、
前記新たな設定情報に従って前記撮像部により媒体が撮像された入力画像を取得し、
前記入力画像に基づいて、新たなアイコン画像を生成し、
前記新たなアイコン画像と、前記記憶部に記憶された前記複数のアイコン画像のそれぞれとの類似度を算出し、
前記類似度が閾値以上である場合に、利用者に前記新たなアイコン画像の識別力が低いことを認識させるための警告を通知する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
表示部と、撮像部と、記憶部と、を有する画像読取装置の制御プログラムであって、
複数の設定情報と、前記複数の設定情報のそれぞれに対応する複数のアイコン画像とを前記記憶部に記憶し、
前記複数のアイコン画像を利用者によって選択可能に前記表示部に表示し、
利用者によって選択されたアイコン画像に対応する設定情報に従って、前記画像読取装置を制御し、
利用者による指示に従って新たな設定情報を受け付け、
前記新たな設定情報に従って前記撮像部により媒体が撮像された入力画像を取得し、
前記入力画像に基づいて、新たなアイコン画像を生成し、
前記新たなアイコン画像と、前記記憶部に記憶された前記複数のアイコン画像のそれぞれとの類似度を算出し、
前記類似度が閾値以上である場合に、利用者に前記新たなアイコン画像の識別力が低いことを認識させるための警告を通知する、
ことを前記画像読取装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、複数の設定情報を記憶する画像読取装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の画像読取装置は、名刺、レシート、一般書類又は写真等、様々な種類の媒体を読み取るために使用される。一般に、画像読取装置は、各種類の媒体を読み取るのに適した複数の設定情報を記憶しており、利用者は、画像読取装置に媒体を読み取らせる際に、その媒体に適した設定情報を選択する。しかしながら、通常、画像読取装置では、装置コスト及び装置サイズを低減させるためにシンプルな操作部及び表示部が設けられており、利用者が設定情報をより適切に選択できることが求められている。
【0003】
ショートカットボタンが操作されると、そのショートカットボタンに対応付けられているショートカットが実行される画像処理装置が開示されている(特許文献1を参照)。このショートカットボタンには、対応する特定の機能を示すデフォルト画像を含むショートカットアイコンが含まれる。ショートカットが実行されると、ショートカットアイコンが、ショートカット実行時に読み取られた原稿の画像の少なくとも一部を含む内容に更新される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-174436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置では、利用者が設定情報をより適切に選択できるように、利用者の利便性を向上させることが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、利用者の利便性を向上させることができる画像読取装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一側面に係る画像読取装置は、画像読取装置であって、表示部と、撮像部と、複数の設定情報と、複数の設定情報のそれぞれに対応する複数のアイコン画像とを記憶する記憶部と、複数のアイコン画像を利用者によって選択可能に表示部に表示する表示制御部と、利用者によって選択されたアイコン画像に対応する設定情報に従って、画像読取装置を制御する制御部と、利用者による指示に従って新たな設定情報を受け付ける受付部と、新たな設定情報に従って撮像部により媒体が撮像された入力画像を取得する取得部と、入力画像に基づいて、新たなアイコン画像を生成する生成部と、新たなアイコン画像と、記憶部に記憶された複数のアイコン画像のそれぞれとの類似度を算出する算出部と、類似度が閾値以上である場合に、利用者に警告を通知する通知部と、を有する。
【0008】
また、本実施形態の一側面に係る制御方法は、表示部と、撮像部と、記憶部と、を有する画像読取装置の制御方法であって、複数の設定情報と、複数の設定情報のそれぞれに対応する複数のアイコン画像とを記憶部に記憶し、複数のアイコン画像を利用者によって選択可能に表示部に表示し、利用者によって選択されたアイコン画像に対応する設定情報に従って、画像読取装置を制御し、利用者による指示に従って新たな設定情報を受け付け、新たな設定情報に従って撮像部により媒体が撮像された入力画像を取得し、入力画像に基づいて、新たなアイコン画像を生成し、新たなアイコン画像と、記憶部に記憶された複数のアイコン画像のそれぞれとの類似度を算出し、類似度が閾値以上である場合に、利用者に警告を通知する。
【0009】
また、本実施形態の一側面に係る制御プログラムは、表示部と、撮像部と、記憶部と、を有する画像読取装置の制御プログラムであって、複数の設定情報と、複数の設定情報のそれぞれに対応する複数のアイコン画像とを記憶部に記憶し、複数のアイコン画像を利用者によって選択可能に表示部に表示し、利用者によって選択されたアイコン画像に対応する設定情報に従って、画像読取装置を制御し、利用者による指示に従って新たな設定情報を受け付け、新たな設定情報に従って撮像部により媒体が撮像された入力画像を取得し、入力画像に基づいて、新たなアイコン画像を生成し、新たなアイコン画像と、記憶部に記憶された複数のアイコン画像のそれぞれとの類似度を算出し、類似度が閾値以上である場合に、利用者に警告を通知することを画像読取装置に実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像読取装置、制御方法及び制御プログラムは、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に従った画像読取装置100を示す斜視図である。
図2】画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
図4】設定情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図5】記憶装置130及び処理回路140の概略構成を示す図である。
図6】制御処理に係る動作シーケンスの一例を示す。
図7】制御処理に係る動作シーケンスの一例を示す。
図8A】選択画面の一例を示す模式図である。
図8B】選択画面の一例を示す模式図である。
図9A】登録問合せ画面の一例を示す模式図である。
図9B】作成問合せ画面の一例を示す模式図である。
図10A】読取問合せ画面の一例を示す模式図である。
図10B】作成画面の一例を示す模式図である。
図11A】再読取問合せ画面の一例を示す模式図である。
図11B】選択画面の一例を示す模式図である。
図12】他の処理回路240の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る画像読取装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、イメージスキャナとして構成された画像読取装置100を示す斜視図である。画像読取装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。画像読取装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。
【0014】
画像読取装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104及び表示操作装置105等を備える。
【0015】
上側筐体102は、画像読取装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、画像読取装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0016】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0017】
表示操作装置105は、表示部及び操作部の一例である。表示操作装置105は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。また、表示操作装置105は、タッチパネル式の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路をさらに有し、利用者による操作を受け付け、利用者の入力に応じた信号を出力する。なお、表示部と操作部は、別個に設けられてもよい。
【0018】
図2は、画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
画像読取装置100内部の搬送経路は、給送ローラ111、リタードローラ112、第1搬送ローラ113、第1従動ローラ114、第1撮像装置115a、第2撮像装置115b、第2搬送ローラ116及び第2従動ローラ117等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。
【0020】
上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド106aを形成し、下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド106bを形成する。図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0021】
第1撮像装置115aは、撮像部の一例であり、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)による撮像センサを有する。また、第1撮像装置115aは、搬送される媒体に向けて光を照射する光源と、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。各撮像素子は、媒体の裏面を読み取って、RGB各色に対応するアナログ値を出力する。A/D変換器は、撮像センサが出力した各アナログ値をデジタル値に変換して画素データを生成し、生成した各画素データから構成される入力画像を生成する。入力画像は、各画素データが、例えばRGB各色毎に8bitで表される計24bitのRGB値からなるカラー形式の画像となる。
【0022】
同様に、第2撮像装置115bは、撮像部の一例であり、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによる撮像センサを有する。また、第2撮像装置115bは、搬送される媒体に向けて光を照射する光源と、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。各撮像素子は、媒体の表面を読み取って、RGB各色に対応するアナログ値を出力する。A/D変換器は、撮像センサが出力した各アナログ値をデジタル値に変換して画素データを生成し、生成した各画素データから構成される入力画像を生成する。
【0023】
なお、画像読取装置100は、第1撮像装置115a及び第2撮像装置115bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによる撮像センサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによる撮像センサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサが利用されてもよい。以下では、第1撮像装置115a及び第2撮像装置115bを総じて撮像装置115と称する場合がある。
【0024】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ111が図2の矢印A2の方向に回転することによって、上側ガイド106aと下側ガイド106bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。リタードローラ112は、媒体搬送時、矢印A3の方向に回転する。給送ローラ111及びリタードローラ112の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ111と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0025】
媒体は、上側ガイド106aと下側ガイド106bによりガイドされながら、第1搬送ローラ113と第1従動ローラ114の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ113が矢印A4の方向に回転することによって、第1撮像装置115aと第2撮像装置115bの間に送り込まれる。撮像装置115により読み取られた媒体は、第2搬送ローラ116が矢印A5の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0026】
図3は、画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0027】
画像読取装置100は、前述した構成に加えて、モータ121、インタフェース装置122、記憶装置130及び処理回路140等をさらに有する。
【0028】
モータ121は、1つ又は複数のモータを含み、処理回路140からの制御信号によって、給送ローラ111、リタードローラ112、第1搬送ローラ113及び第2搬送ローラ116を回転させて媒体を搬送させる。
【0029】
インタフェース装置122は、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。インタフェース装置122は、不図示の情報処理装置又は他の画像読取装置と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。また、インタフェース装置122の代わりに、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有する通信部が用いられてもよい。
【0030】
記憶装置130は、記憶部の一例であり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置130には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置130にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disk read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disk read only memory)等である。
【0031】
さらに、記憶装置130には、データとして、設定情報テーブル及び入力画像等が格納される。設定情報テーブルには、画像読取処理に関する複数の設定情報、及び、複数の設定情報のそれぞれに対応する複数のアイコン画像等が記憶される。設定情報テーブル及び設定情報の詳細については後述する。
【0032】
処理回路140は、予め記憶装置130に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路140は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路140として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0033】
処理回路140は、表示操作装置105、撮像装置115、モータ121、インタフェース装置122及び記憶装置130等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路140は、複数のアイコン画像を利用者によって選択可能に表示操作装置105に表示し、利用者によって選択されたアイコン画像に対応する設定情報に従って、モータ121の駆動制御、撮像装置115の媒体読取制御等を実行する。また、処理回路140は、利用者による指示に従って新たな設定情報と、その新たな設定情報に従って撮像された入力画像に基づく新たなアイコン画像とを対応付けて記憶装置130に登録する。
【0034】
図4は、設定情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0035】
設定情報テーブルは、装置出荷時に初期設定され、後述する制御処理において更新される。なお、設定情報テーブルは、装置出荷時には設定されず、制御処理において設定されてもよい。図4に示すように、設定情報テーブルには、複数の設定情報毎に、識別情報(設定情報ID)、設定情報及びアイコン画像等が相互に関連付けて記憶されている。
【0036】
設定情報は、画像読取装置100の画像読取処理に関する情報である。設定情報には、生成される入力画像の色設定(カラー/グレースケール/白黒等)、解像度(200dpi/300dpi/600dpi等)、読取面(両面/片面)及び給送モード等の設定が含まれる。給送モードは、媒体を分離して給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを含む。分離モードは、さらに通常モードと、継続モードとを含む。通常モードは、載置台103に載置された全ての媒体の撮像が完了した時に、各媒体が撮像された入力画像を1つのファイルとしてまとめて、外部の情報処理装置へ送信するモードである。継続モードは、載置台103に載置された全ての媒体の撮像が完了した時に、各媒体が撮像された入力画像を1つのファイルとしてまとめずに、利用者からさらなる読取指示を受け付けるまで待機するモードである。なお、設定情報には、入力画像自体に関連する設定だけでなく、入力画像の送信先等の設定も含まれてもよい。
【0037】
アイコン画像は、各設定情報に対応して設定される。各アイコン画像は、利用者が、複数の設定情報の中から、画像読取処理で使用する設定情報を選択するために、選択可能に表示操作装置105に表示される画像である。アイコン画像には、設定情報が示されてもよい。なお、設定情報テーブルには、アイコン画像自体でなく、アイコン画像が格納されたアドレスが記憶されてもよい。このように、設定情報テーブルには、複数の設定情報と、複数の設定情報のそれぞれに対応する複数のアイコン画像とが記憶される。
【0038】
図5は、画像読取装置100の記憶装置130及び処理回路140の概略構成を示す図である。
【0039】
図5に示すように、記憶装置130には、表示制御プログラム131、受付プログラム132、制御プログラム133、取得プログラム134、生成プログラム135、算出プログラム136及び通知プログラム137等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路140は、記憶装置130に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路140は、表示制御部141、受付部142、制御部143、取得部144、生成部145、算出部146及び通知部147として機能する。
【0040】
図6及び図7は、画像読取装置100の制御処理の動作の例を示すフローチャートである。以下、図6及び図7に示したフローチャートを参照しつつ、画像読取装置100の制御処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置130に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路140により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。
【0041】
最初に、表示制御部141は、複数のアイコン画像を利用者によって選択可能に表示操作装置105に表示する(ステップS101)。
【0042】
図8A及び図8Bは、表示操作装置105に表示される選択画面の一例を示す模式図である。
【0043】
図8Aに示す選択画面800及び図8Bに示す選択画面810には、複数のアイコン画像801~803、変更ボタン804~807及びスキャンボタン808等が表示される。各アイコン画像801~803は、設定情報テーブルに登録されたアイコン画像であり、それぞれ異なる設定情報に対応しており、対応する設定情報を選択するためのボタンとして機能する。変更ボタン804~807は、利用者により選択された設定情報を表示しつつ、表示された設定情報を変更するためのボタンである。スキャンボタン808は、画像読取装置100に画像読取処理を実行させるためのボタンである。
【0044】
利用者は、何れかのアイコン画像を押下することにより設定情報を選択し、スキャンボタン808を押下することにより、画像読取装置100に、選択したアイコン画像に対応する設定情報に従って画像読取処理を実行させることができる。利用者は、何れかのアイコン画像を押下した後に、各変更ボタン804~807を押下してからスキャンボタン808を押下することにより、アイコン画像に対応する設定情報の一部又は全部を変更して画像読取装置100に画像読取処理を実行させることができる。
【0045】
図8Aは、利用者によりアイコン画像801が押下された状態の選択画面800を示す。選択画面800の変更ボタン804~807には、アイコン画像801に対応する設定情報が表示されている。一方、図8Bは、選択画面800において利用者により変更ボタン804~806が押下された状態の選択画面810を示す。選択画面810の変更ボタン804~806に表示される設定情報は、選択画面800の変更ボタン804~806に表示される設定情報から変更されている。
【0046】
次に、表示制御部141は、表示操作装置105を用いて利用者による読取指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。利用者により何れかのアイコン画像が選択され且つスキャンボタンが押下された場合、表示制御部141は、読取指示を受け付ける。表示制御部141は、読取指示を受け付けるまで待機する。
【0047】
読取指示を受け付けた場合、表示制御部141は、表示操作装置105を用いて利用者による変更指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS103)。表示制御部141は、利用者により変更ボタンを用いて設定情報が変更された場合、変更指示を受け付けたと判定し、設定情報が変更されていない場合、変更指示を受け付けなかったと判定する。
【0048】
変更指示を受け付けなかった場合、表示制御部141は、動作モードを非登録モードに設定し(ステップS104)、処理をステップS112へ移行する。
【0049】
一方、変更指示を受け付けた場合、受付部142は、利用者によりアイコン画像を用いて選択され且つ変更ボタンを用いて変更された設定情報を、新たな設定情報として受け付ける(ステップS105)。このように、受付部142は、利用者による指示に従って新たな設定情報を受け付ける。
【0050】
次に、受付部142は、受け付けた新たな設定情報が、記憶装置130に記憶された登録済みの設定情報と同一であるか否かを判定する(ステップS106)。受付部142は、二つの設定情報に含まれる全ての要素が一致する場合、二つの設定情報が同一であると判定し、二つの設定情報に含まれる要素の内の何れかの要素が一致しない場合、二つの設定情報は異なると判定する。受付部142は、新たな設定情報が、設定情報テーブルに記憶された何れかの設定情報と同一である場合、新たな設定情報が登録済みの設定情報と同一であると判定する。一方、受付部142は、新たな設定情報が、設定情報テーブルに記憶された何れの設定情報とも異なる場合、新たな設定情報が登録済みの設定情報と同一でないと判定する。
【0051】
新たな設定情報が登録済みの設定情報と同一でない場合、受付部142は、登録問合せ画面を表示操作装置105に表示する(ステップS107)。登録問合せ画面は、利用者に、新たな設定情報が未登録である旨を通知するとともに、新たな設定情報を登録するか否かを問合せるための画面である。
【0052】
図9Aは、表示操作装置105に表示される登録問合せ画面900の一例を示す模式図である。
【0053】
図9Aに示すように、登録問合せ画面900は、テキスト901、非登録ボタン902及び登録ボタン903を含む。テキスト901には、新たな設定情報が未登録である旨と、新たな設定情報を登録するか否かの問合せとが示される。非登録ボタン902は、新たな設定情報を登録しないことを指示するためのボタンである。登録ボタン903は、新たな設定情報を登録することを指示するためのボタンである。
【0054】
次に、受付部142は、表示操作装置105を用いて利用者による登録指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。受付部142は、利用者により非登録ボタンが押下された場合、登録指示を受け付けなかったと判定し、利用者により登録ボタンが押下された場合、登録指示を受け付けたと判定する。
【0055】
登録指示を受け付けなかった場合、受付部142は、動作モードを非登録モードに設定し(ステップS104)、処理をステップS112へ移行する。一方、登録指示を受け付けた場合、受付部142は、動作モードを登録モードに設定し(ステップS109)、処理をステップS112へ移行する。
【0056】
一方、新たな設定情報が登録済みの設定情報と同一である場合、受付部142は、作成問合せ画面を表示操作装置105に表示し、新たな設定情報が登録済みである旨を利用者に通知する(ステップS110)。作成問合せ画面は、利用者に、新たな設定情報が登録済みである旨を通知するとともに、新たなアイコン画像を作成するか否かを問合せるための画面である。
【0057】
図9Bは、表示操作装置105に表示される作成問合せ画面910の一例を示す模式図である。
【0058】
図9Bに示すように、作成問合せ画面910は、テキスト911、非作成ボタン912及び作成ボタン913を含む。テキスト911には、新たな設定情報が登録済みである旨と、新たなアイコン画像を作成するか否かの問合せとが示される。非作成ボタン912は、新たなアイコン画像を作成しないことを指示するためのボタンである。作成ボタン913は、新たなアイコン画像を作成することを指示するためのボタンである。利用者は、テキスト911によって新たな設定情報と同一の設定情報が登録済みであることを認識することにより、登録済みの設定情報と重複する新たな設定情報の登録を自重することができる。これにより、画像読取装置100は、重複する設定情報が登録されてしまい、記憶装置130の記憶容量が無駄に消費されることを抑制できる。
【0059】
次に、受付部142は、表示操作装置105を用いて利用者による作成指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS111)。受付部142は、利用者により非作成ボタンが押下された場合、作成指示を受け付けなかったと判定し、利用者により作成ボタンが押下された場合、作成指示を受け付けたと判定する。
【0060】
作成指示を受け付けなかった場合、受付部142は、動作モードを非登録モードに設定し(ステップS104)、処理をステップS112へ移行する。一方、作成指示を受け付けた場合、受付部142は、動作モードを登録モードに設定し(ステップS109)、処理をステップS112へ移行する。
【0061】
次に、制御部143は、利用者によって指示された設定情報に従って、画像読取装置100を制御し、画像読取処理を実行する(ステップS112)。制御部143は、表示制御部141が変更指示を受け付けなかった場合は、利用者によって選択されたアイコン画像に対応する設定情報に従って、画像読取装置100を制御する。一方、制御部143は、表示制御部141が変更指示を受け付けた場合は、受付部142が受け付けた新たな設定情報に従って画像読取装置100を制御する。
【0062】
制御部143は、設定情報で指定された解像度に応じた搬送速度で媒体を搬送させるようにモータ121を駆動して、給送ローラ111、リタードローラ112、第1搬送ローラ113及び第2搬送ローラ116を回転させる。設定情報で指定された動作モードが通常モード又は継続モードである場合、制御部143は、リタードローラ112を媒体給送方向の反対方向に回転させるようにモータ121を制御し、媒体を分離させながら搬送させる。一方、設定情報で指定された動作モードが非分離モードである場合、制御部143は、リタードローラ112を媒体給送方向に回転させるように又は給送ローラ111に従動させるようにモータ121を制御し、媒体を分離させずに搬送させる。制御部143は、載置台103に載置された全ての媒体を搬送させる。
【0063】
また、制御部143は、搬送される媒体毎に、設定情報で指定された読取面(両面/片面)を、設定情報で指定された解像度で読み取るように、撮像装置115に各媒体を撮像させて、撮像装置115から入力画像を取得する。
【0064】
また、制御部143は、設定情報で指定された色設定に従って、取得した入力画像を変換する。取得した入力画像はカラー形式の画像であるため、設定情報で指定された色設定がカラーである場合、制御部143は、入力画像を変換しない。設定情報で指定された色設定がグレースケールである場合、制御部143は、入力画像内の各画素のRGB値をYUV値に変換し、各画素の階調値を輝度値(Y値)のみに設定することにより、入力画像をグレースケール形式の画像に変換する。設定情報で指定された色設定が白黒である場合、制御部143は、入力画像内の各画素のRGB値をYUV値に変換する。制御部143は、輝度値(Y値)が閾値以上である画素の階調値を第1の値、輝度値が閾値未満である画素の階調値を第2の値に設定することにより、入力画像を二値形式の画像に変換する。制御部143は、取得又は変換した入力画像を記憶装置130に記憶する。
【0065】
設定情報で指定された動作モードが継続モードである場合、制御部143は、取得又は変換した各入力画像を記憶装置130に記憶しておき、まだ外部の情報処理装置へ送信しない。一方、設定情報で指定された動作モードが通常モード又は非分離モードである場合、制御部143は、各入力画像を含む画像ファイルを生成し、生成した画像ファイルを、インタフェース装置122を介して情報処理装置へ送信する。なお、直前の制御処理での動作モードが継続モードであった場合、制御部143は、今回の制御処理で取得又は変換した各入力画像と、直前の制御処理までに連続して継続モードで取得又は変換していた各入力画像とを含む画像ファイルを生成する。また、設定情報に入力画像の送信先が含まれている場合、制御部143は、生成した画像ファイルを、設定情報で指定された送信先へ送信する。
【0066】
次に、取得部144は、動作モードが登録モードであるか非登録モードであるかを判定する(ステップS113)。動作モードが非登録モードである場合、取得部144は、一連のステップを終了する。
【0067】
一方、動作モードが登録モードである場合、取得部144は、読取問合せ画面を表示操作装置105に表示する(ステップS201)。読取問合せ画面は、利用者に、アイコン画像を生成するために画像読取処理を再実行するか否かを問合せるための画面である。
【0068】
図10Aは、表示操作装置105に表示される読取問合せ画面1000の一例を示す模式図である。
【0069】
図10Aに示すように、読取問合せ画面1000は、テキスト1001、非読取ボタン1002及び読取ボタン1003を含む。テキスト1001には、画像読取処理を再実行するか否かの問合せが示される。非読取ボタン1002は、画像読取処理を再実行しないことを指示するためのボタンである。読取ボタン1003は、画像読取処理を再実行することを指示するためのボタンである。
【0070】
次に、受付部142は、表示操作装置105を用いて利用者による読取指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS202)。受付部142は、利用者により非読取ボタンが押下された場合、読取指示を受け付けなかったと判定し、利用者により読取ボタンが押下された場合、読取指示を受け付けたと判定する。
【0071】
読取指示を受け付けた場合、取得部144は、第2画像読取処理を実行し、入力画像を取得する(ステップS203)。第2画像読取処理は、ステップS112の画像読取処理と同様の処理である。取得部144は、画像読取処理と同様にして、利用者によって指示された設定情報に従って、画像読取装置100を制御する。但し、第2画像読取処理では、入力画像を含む画像ファイルを情報処理装置へ送信する処理は省略される。
【0072】
一方、読取指示を受け付けなかった場合、取得部144は、ステップS112の画像読取処理で記憶装置130に記憶された読取済みの入力画像の中から何れかの入力画像を読み出して取得する(ステップS204)。取得部144は、例えば読取済みの入力画像の内、最初に搬送された媒体を撮像した入力画像を取得する。なお、取得部144は、読取済みの入力画像の内、最後に搬送された媒体を撮像した入力画像を取得してもよい。また、取得部144は、読取済みの入力画像の中から、各画素の彩度の平均値が最も高い入力画像、又は、各画素の明度の平均値が最も高い入力画像を特定し、特定した入力画像を取得してもよい。
【0073】
動作モードが登録モードである場合、画像読取装置100は、ステップS105において利用者による指示に従って新たな設定情報を受け付けている。即ち、取得部144がステップS203又はS204で取得する入力画像は、利用者による指示に従って受け付けた新たな設定情報に従って撮像装置115により媒体が撮像された入力画像である。
【0074】
次に、生成部145は、取得部144が取得した入力画像に基づいて、新たなアイコン画像を生成する(ステップS205)。生成部145は、利用者がアイコン画像を作成するための作成画面を表示操作装置105に表示する。
【0075】
図10Bは、表示操作装置105に表示される作成画面1010の一例を示す模式図である。
【0076】
図10Bに示す作成画面1010には、入力画像1011、複数のフレーム1012~1014及び決定ボタン1015等が表示される。入力画像1011は、取得部144がステップS203又はS204で取得した入力画像である。複数のフレーム1012~1014は、それぞれ異なる形状を有し、生成するアイコン画像の形状を選択するためのボタンとして機能する。決定ボタン1015は、入力画像1011内でアイコン画像として使用する領域を決定するためのボタンである。
【0077】
利用者により何れかのフレームが押下されると、入力画像1011上に、押下されたフレームの形状1016が位置及びサイズを変更可能に表示される。利用者により形状1016の位置及びサイズが変更され、決定ボタン1015が押下されると、形状1016で囲まれた領域がアイコン画像の領域として指定される。
【0078】
生成部145は、利用者により決定ボタンが押下された場合、取得部144が取得した入力画像から、作成画面において利用者により指定された領域を切り出し、新たなアイコン画像として生成する。
【0079】
次に、算出部146は、生成部145により生成された新たなアイコン画像と、記憶装置130に記憶された登録済みの複数のアイコン画像のそれぞれとの類似度を算出する(ステップS206)。
【0080】
例えば、算出部146は、新たなアイコン画像と、登録済みのアイコン画像のそれぞれについて、各アイコン画像に含まれる各画素のR値、G値及びB値の大きさに基づいて、各画素をR画素、G画素及びB画素の何れかに分類する。R画素はR色に対応する画素の一例であり、G画素はG色に対応する画素の一例であり、B画素はB色に対応する画素の一例である。算出部146は、R値、G値及びB値の中でR値が最も大きい画素をR画素に分類し、R値、G値及びB値の中でG値が最も大きい画素をG画素に分類し、R値、G値及びB値の中でB値が最も大きい画素をB画素に分類する。次に、算出部146は、各アイコン画像について、各アイコン画像の全画素数に対するR画素の数の比率(R比率)、各アイコン画像の全画素数に対するG画素の数の比率(G比率)及び各アイコン画像の全画素数に対するB画素の数の比率(B比率)を算出する。
【0081】
次に、算出部146は、新たなアイコン画像のR比率と登録済みのアイコン画像のR比率の内、大きい方のR比率に対する小さい方のR比率の割合をR類似度として算出する。算出部146は、新たなアイコン画像のG比率と登録済みのアイコン画像のG比率の内、大きい方のG比率に対する小さい方のG比率の割合をG類似度として算出する。算出部146は、新たなアイコン画像のB比率と登録済みのアイコン画像のB比率の内、大きい方のB比率に対する小さい方のB比率の割合をB類似度として算出する。即ち、R類似度、G類似度及びB類似度は、それぞれ各アイコン画像のR比率、G比率及びB比率が近いほど大きくなる。次に、算出部146は、R類似度とG類似度とB類似度の平均値を類似度として算出する。即ち、類似度は、新たなアイコン画像におけるRGB各色に対応する画素の数の比率と、登録済みのアイコン画像におけるRGB各色に対応する画素の数の比率とが近いほど大きくなる。
【0082】
このように、算出部146は、新たなアイコン画像におけるRGB各色に対応する画素の数の比率と、登録済みのアイコン画像におけるRGB各色に対応する画素の数の比率とが一致する度合いに基づいて、類似度を算出する。即ち、算出部146は、各アイコン画像内の画素同士の位置関係については着目せずに、画像全体における色の比率に基づいて、類似度を算出する。これにより、算出部146は、より短時間で、低負荷に且つ精度良く類似度を算出することができる。
【0083】
なお、算出部146は、新たなアイコン画像と、登録済みのアイコン画像のサイズが同一になるように一方の画像を拡大又は縮小した上で、各画像の正規化相互相関値を類似度として算出してもよい。その場合、算出部146は、正規化相互相関値として、NCC(Normalized Cross-Correlation)又はZNCC(Zero-mean Normalized Cross-Correlation)を算出する。なお、算出部146は、二つの画像から、位置及びサイズを変更しながら複数の領域をそれぞれ切り出し、二つの画像から切り出した各領域の正規化相互相関値の統計値(最大値、平均値又は中央値等)を類似度として算出してもよい。これにより、算出部146は、より高精度に類似度を算出することができる。
【0084】
次に、通知部147は、算出部146が算出した類似度が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS207)。閾値は、事前の実験により、二つのアイコン画像を人の目で区別できない類似度の値より小さい値に設定される。例えば、類似度がR類似度とG類似度とB類似度の平均値である場合、閾値は0.7に設定される。なお、閾値が大きいほど、類似したアイコン画像が登録される可能性が高くなり、閾値が小さいほど、アイコン画像の登録が許可されない可能性が高くなる。そのため、閾値は、利用者により用途に応じて変更可能に設けられてもよい。
【0085】
登録済みの複数のアイコン画像のそれぞれに対して算出された類似度の内の何れかの類似度が閾値以上である場合、通知部147は、再読取問合せ画面を表示操作装置105に表示し、利用者に警告を通知する(ステップS208)。再読取問合せ画面は、利用者に、新たに生成されたアイコン画像が登録済みのアイコン画像と類似している旨を通知するとともに、アイコン画像を生成するために画像読取処理を再実行するか否かを問合せるための画面である。
【0086】
図11Aは、表示操作装置105に表示される再読取問合せ画面1100の一例を示す模式図である。
【0087】
図11Aに示すように、再読取問合せ画面1100は、テキスト1101、登録済みのアイコン画像1102、新たなアイコン画像1103、非再読取ボタン1104及び再読取ボタン1105を含む。テキスト1101には、新たに生成されたアイコン画像が登録済みのアイコン画像と類似している旨と、画像読取処理を再実行するか否かの問合せとが示される。登録済みのアイコン画像1102は、新たなアイコン画像1103との類似度が閾値以上であるアイコン画像である。非再読取ボタン1104は、画像読取処理を再実行しないことを指示するためのボタンである。再読取ボタン1105は、画像読取処理を再実行することを指示するためのボタンである。
【0088】
利用者は、テキスト1101により、新たに生成されたアイコン画像が登録済みのアイコン画像と類似していることを認識し、識別力の高いアイコン画像を生成するために画像読取処理を再実行すべきことを認識する。画像読取装置100は、識別力の低いアイコン画像が登録されることを抑制することが可能となり、結果として、利用者の利便性を向上させることができる。また、新たなアイコン画像1103と、アイコン画像1103との類似するアイコン画像1102とが表示されることにより、利用者は、どのようなアイコン画像が、識別力がないとみなされるかを認識することができる。これにより、利用者は、新たなアイコン画像を生成するのに適した媒体を適切に選択することができ、画像読取処理が何度も再実行されることを抑制できる。
【0089】
次に、通知部147は、表示操作装置105を用いて利用者による再読取指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS209)。受付部142は、利用者により非再読取ボタンが押下された場合、再読取指示を受け付けなかったと判定し、利用者により再読取ボタンが押下された場合、再読取指示を受け付けたと判定する。
【0090】
再読取指示を受け付けなかった場合、通知部147は、新たな設定情報及び新たなアイコン画像を登録することなく、一連のステップを終了する。なお、通知部147は、再読取指示を受け付けなかった場合、処理をステップS205へ戻してもよい。その場合、生成部145は、入力画像内でアイコン画像を切り出す領域を利用者に再選択させる。また、通知部147は、再読取指示を受け付けなかった場合、処理をステップS204へ移行してもよい。その場合、取得部144は、読取済みの入力画像の中から選択されていない入力画像を選択しなおして取得し、生成部145は、取得した入力画像からアイコン画像を再生成する。
【0091】
一方、再読取指示を受け付けた場合、通知部147は、処理をステップS203へ移行する。その場合、取得部144は、第2画像読取処理を再実行し、入力画像を再取得する。
【0092】
一方、登録済みの複数のアイコン画像のそれぞれに対して算出された全ての類似度が閾値未満である場合、通知部147は、新たな設定情報と、新たなアイコン画像とを対応付けて記憶装置130に登録し(ステップS210)、一連のステップを終了する。通知部147は、ステップS105において利用者による指示に従って受け付けた新たな設定情報に新たな設定情報IDを割り当てて、その設定情報と、生成部145により生成された新たなアイコン画像とを対応付けて設定情報テーブルに登録する。通知部147は、登録済みのアイコン画像と類似しないアイコン画像に限り新たに登録するため、識別力の高いアイコン画像のみを登録することができる。これにより、利用者は、識別力の高いアイコン画像を利用して設定情報を選択できる。したがって、画像読取装置100は、利用者による設定情報の選択誤りの発生を防止でき、利用者の利便性を向上させることができるとともに、制御処理の処理時間が増大することを抑制できる。
【0093】
図11Bは、図8Aに示す選択画面に対して、新たな設定情報及び新たなアイコン画像が登録された場合に、表示操作装置105に表示される選択画面1110の一例を示す模式図である。選択画面1110には、図8Aに示す選択画面800に示された複数のアイコン画像801~803に加えて、新たなアイコン画像1111が表示されている。利用者は、以後、新たに追加されたアイコン画像1111を用いて、新たな設定情報を選択することができる。
【0094】
なお、通知部147は、登録した新たな設定情報と新たなアイコン画像の組合せを、インタフェース装置122を介して他の画像読取装置に送信し、他の画像読取装置にさらに登録してもよい。これにより、利用者は、他の画像読取装置を使用する場合にも、新たに登録した設定情報を使用でき、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0095】
以上詳述したように、画像読取装置100は、入力画像に基づいてアイコン画像を生成し、生成したアイコン画像と登録済みのアイコン画像の類似度が閾値以上である場合に警告を通知する。これにより、利用者は、生成されたアイコン画像が登録済みのアイコン画像と類似していることを認識でき、アイコン画像を作成しなおす必要があることを認識できる。その結果、画像読取装置100は、識別力の高いアイコン画像を用いて利用者に設定情報を選択させることが可能となり、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0096】
また、利用者は、用途に応じた設定情報に対応するアイコン画像をカスタマイズして登録することが可能となり、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0097】
また、画像読取装置100は、登録対象の設定情報に従って撮像された入力画像から、その設定情報に対応するアイコン画像を生成することにより、対応する設定情報を認識しやすいアイコン画像を生成することが可能となった。したがって、画像読取装置100は、利用者による設定情報の選択誤りの発生を防止することが可能となった。また、利用者は、外部の情報処理装置を用いてアイコン画像を生成して画像読取装置100に送信することなく、アイコン画像を簡易に且つ短時間に登録することが可能となり、画像読取装置100は利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0098】
図12は、他の実施形態に従った処理回路240の概略構成を示すブロック図である。
【0099】
処理回路240は、処理回路140の代わりに、登録処理及び制御処理等を実行する。処理回路240は、表示制御回路241、受付回路242、制御回路243、取得回路244、生成回路245、算出回路246及び通知回路247等を有する。
【0100】
表示制御回路241は、表示制御部の一例であり、表示制御部141と同様の機能を有する。表示制御回路241は、記憶装置130から複数のアイコン画像を読み出し、各アイコン画像を利用者によって選択可能に表示操作装置105に表示する。表示制御回路241は、表示操作装置105から利用者によって選択されたアイコン画像を示す情報を受信し、そのアイコン画像に対応する設定情報を記憶装置130に記憶する。
【0101】
受付回路242は、受付部の一例であり、受付部142と同様の機能を有する。受付回路242は、表示操作装置105から利用者によって指定された新たな設定情報を受信し、記憶装置130に記憶する。
【0102】
制御回路243は、制御部の一例であり、制御部143と同様の機能を有する。制御回路243は、記憶装置130から設定情報を読み出し、設定情報に従ってモータ121及び撮像装置115を制御して入力画像を取得し、記憶装置130に記憶するとともにインタフェース装置122を介して情報処理装置へ送信する。
【0103】
取得回路244は、取得部の一例であり、取得部144と同様の機能を有する。取得回路244は、撮像装置115から新たな設定情報に従って撮像された入力画像を受信し、記憶装置130に記憶する。
【0104】
生成回路245は、生成部の一例であり、生成部145と同様の機能を有する。生成回路245は、記憶装置130から新たな設定情報に従って撮像された入力画像を読み出し、表示操作装置105からの利用者による指示に従って、読み出した入力画像から新たなアイコン画像を生成し、記憶装置130に記憶する。
【0105】
算出回路246は、算出部の一例であり、算出部146と同様の機能を有する。算出回路246は、記憶装置130から新たなアイコン画像と登録済みのアイコン画像を読み出し、各アイコン画像の類似度を算出し、記憶装置130に記憶する。
【0106】
通知回路247は、通知部の一例であり、通知部147と同様の機能を有する。通知回路247は、記憶装置130から類似度を読み出す。通知回路247は、類似度が閾値以上である場合、再読取問合せ画面を表示操作装置105に表示して利用者に警告を通知し、類似度が閾値未満である場合、新たな設定情報と新たなアイコン画像とを対応付けて記憶装置130に登録する。
【0107】
以上詳述したように、画像読取装置は、処理回路240を用いる場合も、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【符号の説明】
【0108】
100 画像読取装置
105 表示操作装置
115 撮像装置
130 記憶装置
141 表示制御部
142 受付部
143 制御部
144 取得部
145 生成部
146 算出部
147 通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12