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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20231212BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20231212BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020049975
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021145976
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 篤史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 博
(72)【発明者】
【氏名】杉山 聖
(72)【発明者】
【氏名】山羽 義郎
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/037939(WO,A1)
【文献】特開2005-052760(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009343(WO,A1)
【文献】特表2013-506126(JP,A)
【文献】国際公開第2011/039687(WO,A1)
【文献】特許第6549456(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に紫外線反射材を有し、対象物が通過する処理流路と、前記処理流路の一端又は他端の少なくとも一方に設けられ、前記処理流路を通過する前記対象物に向けて紫外光を照射する紫外線光源と、
前記処理流路の、前記紫外線光源が設けられた側の端部に配置された紫外光量を検出する第一検出器を含む光量検出部と、
前記紫外線光源の発光面と前記第一検出器の受光面とを結ぶ直線上に配置される第一の紫外線遮蔽物と、
を有する紫外線照射装置。
【請求項2】
前記光量検出部は、前記紫外線光源の発光面と受光面との間に紫外線遮蔽物がなく、前記紫外線光源の紫外光量を検出する第二検出器を、さらに含む請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記処理流路と前記第二検出器との間に配置され、前記第二検出器に到ろうとする前記処理流路からの反射光を遮蔽する第二の紫外線遮蔽物を備える請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記光量検出部に含まれる検出器は、紫外光によって励起され可視光を発光する紫外光励起蛍光体と当該紫外光励起蛍光体が発する蛍光の強度を検出する光検出器とを有する蛍光検出器であり、前記蛍光の強度を前記紫外光量相当値として検出する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
複数の電子部品を有する電子部品群を備え、
前記電子部品群は、複数の前記電子部品の少なくとも一部で構成されて前記光量検出部に含まれる検出器が検出した紫外光量に基づいて前記紫外線光源を管理する管理回路を有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記管理回路は、
前記紫外線光源を所望の発光強度で発光するための目標値を設定する設定部と、
前記紫外線光源を前記所望の発光強度に維持する自動パワー制御部と、
を有する請求項5に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記設定部は、
前記光量検出部に含まれる検出器の検出信号に基づく電圧を増幅する増幅部と、
前記増幅部が出力する出力電圧の直流バイアスを調節するバイアス調節部と、
前記増幅部が出力する出力電圧に含まれるオフセット電圧を調節するオフセット調節部と、
前記増幅部の出力電圧、前記バイアス調節部の出力電圧及び前記オフセット調節部の出力電圧を加算する加算部と
を有する請求項6に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記管理回路は、前記紫外線光源を駆動する駆動部を有し、
前記自動パワー制御部は、前記設定部から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換部と、
前記アナログ/デジタル変換部で変換されたデジタル信号に基づいて前記紫外線光源が前記所望の発光強度を維持しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部からの指示に基づいて前記駆動部を制御する制御信号を生成する生成部と
を有する請求項6又は請求項7に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記紫外線光源の温度を検出する温度検出部を備え、前記自動パワー制御部は、前記温度検出部が検出した温度に基づいて前記駆動部を制御する
請求項8に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記管理回路は、
前記光量検出部に含まれる検出器の出力が、予め設定した前記光量検出部に含まれる検出器の出力上限値を超えた場合、外光が入射したと判定し、前記紫外線光源の動作を停止する
請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記対象物としての流体に紫外線照射を行う、流体殺菌装置用の紫外線照射装置である請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光には、殺菌能力があることから、水等の流体に紫外光を照射することで、流体を連続的に殺菌する紫外線照射装置が提案されている。このような紫外線照射装置においては、紫外線の光量を検出し、検出した光量に基づいて紫外線LEDの紫外線照射量が所望値となるように紫外線LEDの駆動量を調整するようにした装置が提案されている。例えば、照射された紫外線のうち、反射部を透過した一部の光量を測定することで、紫外線全体の光量を検出する方法(例えば、特許文献1参照。)、また、紫外線の照度、殺菌対象液の透過率及び流量を測定し、これらの測定結果に応じて紫外線の照度と殺菌対象液の流量の制御を行う方法(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6549456号公報
【文献】特許第3920504号公報
【文献】特開2019-201861号公報
【文献】国際公開第2019/009343号
【文献】特開2019-188128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の様に反射部を透過した光量を測定する方法にあっては、反射部の透過率が低く、光量を測定する方法としては検出感度が低く、S/N比が低下する。検出感度を上げる方法として反射材の透過光量を増加させることが考えられるが、そのためには、反射材の厚みを薄くする必要がある。反射材の厚みを薄くすると、反射材の反射率が低下し、流水への照射効率が低下し、殺菌性能が低下してしまう。
また、流体を殺菌する紫外線照射装置において、装置の殺菌性能に影響のある紫外線の照度、殺菌対象液の透過率や流量に基づいて光源の制御等を行う方法にあっては、特許文献2の様にこれら照度や透過率、流量を測定するための検出器をそれぞれ設ける必要があり、装置が煩雑となる。
【0005】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、簡易な装置構成により、装置内の殺菌性能を検出する事が可能な紫外線照射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る紫外線照射装置は、少なくとも一部に紫外線反射材を有し、対象物が一端側から他端側に通過する処理流路と、前記処理流路の前記一端又は前記他端の少なくとも一方に設けられ、前記処理流路を通過する前記対象物に向けて紫外光を照射する紫外線光源と、前記処理流路の、前記紫外線光源が設けられた側の端部に配置され、前記処理流路の前記紫外線反射材で反射された前記紫外光の光量を検出する第一検出器と、前記紫外線光源の発光面と前記第一検出器の受光面とを結ぶ直線上に配置される第一の紫外線遮蔽物と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、簡易な構成で装置内の殺菌性能を検出する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。
図2】照射対象物の紫外線の透過率が異なる場合の、第一検出器の出力と、殺菌性能との対応の一例を示す特性図である。
図3】第1実施形態に係る紫外線照射装置における処理流路内の照度分布を内部の透過率が異なる条件で解析した光学シミュレーション結果である。
図4】照射対象物の紫外線の透過率が異なる場合の、第一検出器の出力と、殺菌性能との対応の一例を示す特性図である。
図5】紫外線照射装置の比較例を示す縦断面図である。
図6】第2実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。
図7】第3実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。
図8】第4実施形態に係る紫外線照射装置の構成の一例を示す縦断面図である。
図9】第4実施形態に係る紫外線照射装置の照射部の構成の一例を示す縦断面図である。
図10】第4実施形態に係る紫外線照射装置の管理回路の一例を示す概略構成図である。
図11】第4実施形態に係る紫外線照射装置の目標値設定状態の動作波形の一例を示す図である。
図12】第4実施形態に係る紫外線照射装置の目標値設定状態の動作波形の一例を示す図である。
図13】第4実施形態に係る紫外線照射装置の目標値設定状態から動作状態に移行する際の動作波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。
紫外線照射装置1-1は、照射対象物として流体の殺菌を行う流体殺菌装置である。
紫外線照射装置1-1は、図1に示すように、流入部2と、流出部3と、筐体4と、照射部5と、第一検出器6と、制御装置7と、遮蔽部材(第一の紫外線遮蔽物)8と、を備える。
【0011】
筐体4は、側面に流入部2及び流出部3が間隔を空けて設けられている。筐体4は紫外線反射性材料で形成される。ここでいう紫外線反射性材料とは、紫外線領域における全反射率が60〔%〕/1〔mm〕以上99〔%〕/1〔mm〕以下となる材料である。紫外線反射性材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene PTFE)、シリコン樹脂、内部に0.05〔μm〕以上10〔μm〕以下の気泡を含む石英ガラス、内部に0.05〔μm〕以上10〔μm〕以下の結晶粒を含む部分結晶化石英ガラス、0.05〔μm〕以上10〔μm〕以下の結晶粒状のアルミナ焼結体、及び0.05〔μm〕以上10〔μm〕以下の結晶粒状のムライト焼結体等のうちの、少なくともいずれか一つを含む材料を挙げることができる。なお、筐体4は処理流路Lの壁面となる内周面の少なくとも一部に紫外線反射材が設けられていればよく、必ずしも紫外線反射性材料で形成されていなくともよい。筐体4の内部が処理流路Lとなり、照射対象物は、流入部2から筐体4の内部に導入され、処理流路Lを通って流出部3から排出される。照射対象物としては、流体に限るものではなく気体等であってもよいが、放熱性の観点から、流体が好ましく、特に、水、水溶液、水分散体等、水を含む流体が好ましい。
【0012】
照射部5は、筐体4の開口端側に設けられる。照射部5は発光素子等の紫外線光源51と、紫外線光源51が実装された基板52とを備える。例えば、筐体4の開口端に、石英ガラス等の紫外線透過性部材で形成される図示しない窓を挟んで、紫外線光源51の照射面を筐体4の内部に向けて配置することにより、処理流路Lを通過する照射対象物に紫外光を照射する。
【0013】
第一検出器6は、紫外光量を検出し、紫外光量に応じた電圧信号又は電流信号からなる検出信号を制御装置7に出力する。第一検出器6は、例えば基板52上に設けられる。
制御装置7は、紫外線光源51を駆動制御すると共に、第一検出器6の検出信号を受信する。また、制御装置7は、照射対象物に予め設定した光量の紫外光が照射されるように紫外線光源51を駆動制御する。また、紫外線光源51を一定電流で駆動し、予め設定した「検出信号の閾値」を下回った場合にアラームを発報したりすることもできる。
【0014】
遮蔽部材8は、紫外線光源51の発光面と第一検出器6の受光面とを結ぶ直線上に配置され、紫外線光源51から第一検出器6へ直接入射される紫外光を遮蔽する。遮蔽部材8は、拡散透過率が0.5%以下の部材であればよく、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属、FR4等のLED基板材を適用することができる。遮蔽部材8は、例えば板形状を有し、基板52に設けられ、遮蔽部材8の先端が紫外線光源51の先端と同等程度となるように配置される。これにより、紫外線光源51が出射した紫外光が第一検出器6に直接入射されることを防止している。
【0015】
なお、紫外線照射装置1-1は、筐体4の両端それぞれに紫外線光源51を設け、処理流路Lを通過する照射対象物に対して処理流路Lの両端それぞれから紫外光を照射するようにしてもよい。また、紫外線照射装置1-1は、図1に示すように、照射対象物としての殺菌対象の流体を、処理流路Lの長手方向に沿って流し、処理流路Lの長手方向の一端から照射対象物に対して紫外光を照射するようにした装置であればよい。具体的には、例えば特許文献3に示すように、照射対象物を、筒体の軸方向に沿って流すようにした紫外線処理装置であってもよく、また、後述の図8に示すように、外筒と内筒とを有し、照射対象物を、外筒と内筒との間の隙間に導入し、内筒の一端側から内筒内の処理流路に導入するようにした紫外線処理装置であってもよい。
【0016】
図2は、図1に示す紫外線照射装置1-1において、照射対象物の紫外光の透過率が異なる場合の、第一検出器6の出力〔mV〕と、バクテリオファージMS2を指標菌として用いた菌液を3L/minの流量で装置内に流した場合の殺菌性能LRVとの対応を示したものである。横軸は第一検出器6の出力(検出器出力)、縦軸は、殺菌性能LRVである。また、図2中の記号「●」は透過率が100%、記号「○」は透過率が95.8%、記号「×」は透過率が84.7%、であるときの対応を示す。図2に示すように、透過率に関係なく、第一検出器6の出力と殺菌性能LRVとの間に相関を見出すことができ、その相関関数は、y=0.0044xで表すことができる。また、決定係数R(Rは相関係数)は、R=0.9576であり、正の相関を見いだすことができる。
【0017】
図3は、処理流路Lに拡散反射率85%のPTFEを用い、処理流路L内部に透過率が99%、95%、85%の流体が満たされた場合の処理流路L内の紫外線照度分布を示したものである。処理流路L内の流速分布が一定である場合、紫外線照射装置1-1の殺菌性能は処理流路L内の平均照度と相関があるが、図3に示すように処理流路L内部の流体の透過率が低いと、平均照度も低下し、その結果紫外線照射装置1-1の殺菌性能も低下する。第一検出器6は、処理流路L内の照度を検知しているため、第一検出器6の受光量は処理流路L内の平均照度と相関しており、図2の様に第一検出器6の出力と殺菌性能とが相関する。
【0018】
図4は、図5に示すように、紫外線照射装置1-1において遮蔽部材8を設けない場合の、第一検出器6の出力〔mV〕と、バクテリオファージMS2を指標菌として用いた菌液を3L/minの流量で装置内に流した場合の殺菌性能LRVとの対応を示したものである。横軸は第一検出器6の出力(検出器出力)、縦軸は、殺菌性能LRVである。また、図4中の記号「●」は透過率が100%、記号「○」は透過率が95.8%、記号「×」は透過率が84.7%、であるときの対応を示す。図4から、照射対象物の透過率が同一である場合には第一検出器6の出力と殺菌性能LRVとの間に正の相関を見出すことができるが、透過率が異なる場合には、図2のような相関がとれないことがわかる。
【0019】
このように、本発明の第1実施形態に係る紫外線照射装置1-1によれば、第一検出器6で検出される検出信号を利用して紫外線光源51の発光量を調整するため、処理流路L内での紫外光の吸収率及び反射率の変化を加味した透過光量に基づき紫外線光源51の発光量を調整することができる。その結果、紫外線照射装置1-1を稼働中に処理流路L内における紫外光の吸収特性、反射特性が変化しても所望とする殺菌性能を得ることができる。
【0020】
ここで、流水に対して紫外光を照射する流体殺菌装置に適用した場合、流水の紫外光透過率や、処理流路Lをなす筐体材質の紫外光反射率等が装置の劣化や汚れ、流れる水の品質等によって変化する。第一実施形態に係る紫外線照射装置1-1によれば、このような時々刻々と変化する吸収率や反射率の変化に対しても追随して殺菌性能を維持することができる。また、検出量に合わせて光量を制御せず、一定電流で光源を駆動する場合においても、前記流水の紫外線透過率や反射材の反射率の変動だけでなく、光源の劣化による光量低下も検知可能であり、検出量がある閾値を下回った場合に、光源交換を促すアラームを発報することができる。
【0021】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。第2実施形態に係る紫外線照射装置1-2は、第1実施形態における紫外線照射装置1-1において、第一検出器6の配置位置が異なる。第1実施形態における紫外線照射装置1-1と同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
第2実施形態に係る紫外線照射装置1-2では、紫外線照射装置1-1において遮蔽部材8を設ける代りに、第一検出器6を、紫外線光源51が実装された基板53の、紫外線光源51とは逆側の面に設けている。
【0022】
具体的には、図6に示すように、基板53には貫通孔53aが設けられている。貫通孔53aは、処理流路Lの反射材で反射した紫外光を受光可能な位置に形成される。
紫外線光源51は照射面が貫通孔53aと対向するように設けられる。つまり、貫通孔53aには、処理流路Lからの反射光が入射され、貫通孔53aを通過した紫外光が第一検出器6に入射されるため、第一検出器6は、処理流路Lで反射された紫外光についてのみその光量を測定する。
【0023】
このような構成とすることによって、上記第1実施形態における紫外線照射装置1-1と同等の作用効果を得ることができると共に、遮蔽部材8を設ける必要がないため、より簡単な構造で実現することができる。紫外線照射装置1-2の場合、紫外線光源51の発光面と第一検出器6の受光面とを結ぶ直線上には、基板53の一部が存在するため、基板53が、紫外線光源51から第一検出器6へ直接入射される紫外光を遮蔽する遮蔽部材としての役目を果たしている。
【0024】
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。第3実施形態に係る紫外線照射装置1-3は、第2実施形態に係る紫外線照射装置1-2において、さらに、光源から直接入射される紫外光の光量(直射光量)を計測する第二検出器9を設けたものである。第2実施形態における紫外線照射装置1-2と同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
【0025】
第3実施形態に係る紫外線照射装置1-3では、基板53には、第一検出器6を設けるための貫通孔53aが設けられると共に、さらに、第二検出器9を設けるための貫通孔53bが設けられている。
第二検出器9は、紫外線光源51から直接入射される紫外光の光量を検出するための光量検出器である。処理流路L内に入射されない紫外光をできるだけ多く入力するため、第二検出器9は、紫外線光源51の発光面と第二検出器9の受光面とができるだけ近接した位置に配置される。
【0026】
さらに、筐体4の開口端と第二検出器9との間に、遮蔽部材(第二の紫外線遮蔽物)10が設けられている。遮蔽部材10は、例えば板形状を有し、基板53側からみて第二検出器9の受光面と処理流路Lの端部とが重なる領域を含む部分に設けられている。遮蔽部材10は、拡散透過率が0.5%以下の部材であればよく、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属、FR4等のLED基板材を適用することができる。第二検出器9は、紫外線光量に応じた電圧信号又は電流信号を出力する。第二検出器9の検出信号は制御装置7に入力される。
【0027】
第二検出器9は、第一検出器6と同等の性能を有する検出器であってもよく異なっていてもよい。また、第二検出器9は第一検出器6と共に紫外線光源51の近傍に設けることができるため、図11に示すように、第二検出器9を第一検出器6と共に紫外線光源51が搭載された基板53に搭載してもよく、異なる基板に搭載するようにしてもよい。
遮蔽部材10は、第二検出器9を基板53に取り付けたときに、処理流路Lで反射された紫外光が筐体4の端部から第二検出器9に入射されることを防止するために設けられるものである。遮蔽部材10は、筐体4の開口部から出射される紫外光が第二検出器9に入射されることを防止できる形状であり配置位置であればよく、さらに、第一検出器6に入射される、処理流路Lから反射される紫外光の光量が、殺菌に十分な紫外線照射が行われているか否かを判断するために必要な光量となり得る形状及び配置位置であればよい。
【0028】
制御装置7は、紫外線光源51を駆動制御すると共に、第一検出器6の検出信号を受信する。照射対象物に予め設定した光量の紫外光が照射されるように光源を駆動制御する。また、紫外線光源51を一定電流で駆動し、予め設定した検出信号の閾値を下回った場合にアラームを発報したりすることもできる。制御装置7は、第一検出器6の検出信号に基づき、殺菌性能が低下したと予測されるときには、第二検出器9の検出信号を利用して、殺菌性能の低下が生じた原因が、紫外線光源51の発光量が低下したことによるものであるか否かを判定する。例えば、制御装置7は、紫外線光源51が駆動信号に応じた光量を照射しているときに、第二検出器9で検出される光量により、紫外線光源51の発光量が低下しているか否かを判定する。これにより、第一検出器6で検出される発光量の低下の原因が、紫外線光源51の発光量が低下したことにより生じたものであるか否かを切り分ける。
【0029】
このように、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-3では、紫外線光源51から直接入射される紫外線光量を第二検出器9で検出するため、第一検出器6で検出される光量の低下が、紫外線光源51そのものの発光量の低下に起因するものであるのか否かを容易に切り分けることができ、上記第3実施形態における作用効果と同等の作用効果を得ることができると共に、さらに、殺菌性能の低下の要因を速やかに特定することができる。
また、紫外線光源51と第一検出器6と第二検出器9とを一つの基板53に実装することができるため、紫外線照射装置1-3全体の大幅な大型化を伴うことなく、実現することができる。
【0030】
なお、図7では、紫外線光源51と第一検出器6と第二検出器9とを一つの基板53に実装しているが、これらを異なる基板に実装してもよい。また、図7では、第2実施形態における紫外線照射装置1-2において、第二検出器9を設け殺菌性能の低下の要因の切り分けを行う場合について説明したが、第1実施形態の紫外線照射装置1-1に適用することも可能である。
【0031】
<第4実施形態>
図8は、本発明の第4実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。第4実施形態に係る紫外線照射装置1-4は、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-3における第一検出器6及び第二検出器9として、例えば特許文献4に開示されている紫外線発光装置のように、蛍光ガラス素子等からなる紫外光励起蛍光体と、紫外光励起蛍光体の発光強度を検出する光検出素子からなる光検出器とを有する蛍光検出器である光検出部71a、71bを用いる。光検出部71a、71bは、紫外光量相当値として蛍光の強度を検出し、検出された蛍光の強度と、後述の温度センサ115で検出した温度とに基づいて紫外線光源51の発光状態を管理回路111で監視し、管理回路111により、紫外線光源51の発光強度を維持しつつ、光検出部71a、71bに用いられる部品の劣化や他の電子部品などの後述の電子部品群1100の劣化を抑制し長寿命化を図るように紫外線光源51を駆動制御するようにしたものである。
【0032】
図8に示すように、第4実施形態に係る紫外線照射装置1-4は、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-3において、第一検出器6、第二検出器9に代えて、光検出部71a、71bを備える。また、紫外線照射装置1-4は、例えば特許文献5に開示されている紫外線照射装置のように、中空部が処理流路Lを形成する内筒201と内筒201を収容する外筒202と、内筒201の一端を塞ぐ蓋部203と、内筒201の他端に設けられた紫外線光源51を含む照射部204と、内筒201の蓋部203側の開口端を塞ぐように設けられ、内筒201内に流入される流体を整流するための円盤状の整流板205と、を備えている。この紫外線照射装置1-4では、内筒201と外筒202との間に環状リング206が設けられ、内筒201と外筒202との隙間を二つの区画に区分している。そして、流入口207から流入された照射対象物が一方の区画202aを通り、蓋部203と内筒201との間に形成される連通孔201aを通って整流板205を介して内筒201内に導入される。蓋部203には図示しない凸部が形成され、凸部と内筒201の端部とが接することで、外筒202内における内筒201の位置決めを行っている。
【0033】
照射対象物は処理流路Lを通り、内筒201の照射部204側の端部寄りに形成された連通孔201bを通って、内筒201と外筒202との間の他方の区画202bに導入され、出力口208から排出されるようになっている。なお、整流板205は必ずしも備えていなくてもよい。
【0034】
図9は、照射部204の詳細を示した構成図であって、照射部204は、処理流路Lと紫外線光源51とを区画する窓210を保持する窓部204aと、紫外線光源51及び光検出部71a、71bを保持する光源部204bとを備える。光検出部71a、71bの紫外光励起蛍光体71aa、71baは、例えば球体形状を有し、入射される紫外光に励起されて蛍光を発する。光検出部71a、71bの光検出器71ab、71bbは、光検出素子として例えばフォトダイオード等で構成され、紫外光励起蛍光体71aa、71baから発せられる蛍光を電流に変換して管理回路111に出力する。
光源部204bは、紫外線光源51が実装された基板61と、基板61を収納する第一保持部62と、第二保持部63と、光検出部71a、71bの光検出器71ab、71bbが搭載される基板64と、を備える。窓部204aと第一保持部62の外径は同一である。
【0035】
基板61には、中央に紫外線光源51が配置されると共に、光検出部71a用の処理流路L内で反射された紫外光を入射する貫通孔61aと、光検出部71bの紫外光励起蛍光体71baが嵌め込まれる貫通孔61bとが形成されている。貫通孔61aは、基板61上の、処理流路L内で反射した紫外光は入射するが、紫外線光源51で照射された紫外光は直接入射されない位置に形成される。
第一保持部62は円環状であって、紫外線光源51が実装された基板61を格納することの可能な内径を有する。第一保持部62の内周には、遮蔽部材65が設けられている。
この遮蔽部材65は、処理流路L内で反射した紫外光が貫通孔61bに嵌め込まれた紫外光励起蛍光体71baに入射されることを防止可能な位置に設けられている。
【0036】
第二保持部63の第一保持部62と対向する面には、紫外線光源51側からみて、貫通孔61aと対向する位置に、光検出部71aの紫外光励起蛍光体71aaが嵌め込まれる凹部63aが形成され、第二保持部63の、第一保持部62とは逆側の面に、光検出部71aの光検出器71abを格納するための凹部63bが形成されている。また、第二保持部63の凹部63aと凹部63bとの間に、紫外光励起蛍光体71aaと光検出器71abとの間の光路となる連通孔63cが設けられている。
第二保持部63の、紫外線光源51側からみて、貫通孔61bと対向する位置には、基板61とは逆側の面に、光検出部71bの光検出器71bbを格納すると共に光路となる凹部63dが形成され、基板61側の面には、紫外光励起蛍光体71baと光検出器71bbとの間の光路となる連通孔63eが形成されている。
【0037】
そして、窓部204aと第一保持部62と第二保持部63とを、第二保持部63側からボルトナットで固定することにより、これらを一体に固定している。この一体に固定された第二保持部63の凹部63b及び63dと、光検出器71ab及び71bbとが向かい合う状態で、基板64を図示しないボルトナット等で第二保持部63に固定することにより、窓部204aと、第一保持部62と、第二保持部63と、基板64とが、一体に固定される。さらに、外筒202の照射部204側の端部に形成されたフランジ部202cと窓部204aと第一保持部62とを、第一保持部62側からボルトナットで固定することによって、照射部204を外筒202に固定している。
【0038】
これによって、基板61に形成された貫通孔61aに処理流路Lから反射された紫外光のみが入射されて紫外光励起蛍光体71aaに入射され、紫外光励起蛍光体71aaで発した蛍光が連通孔63cを通って凹部63bに入射され、蛍光の光強度が光検出器71abで検出される。また、基板61に設けられた紫外光励起蛍光体71baには、紫外線光源51で照射した紫外光のうち照射対象物を透過しない紫外光が入射され、処理流路Lからの反射光は遮蔽部材65により遮蔽されるため紫外光励起蛍光体71baには入射されない。そして、紫外光励起蛍光体71baに入射された紫外光により、紫外光励起蛍光体71baが蛍光を発し、この発せられた蛍光が連通孔63eを通って凹部63dに入射され、蛍光の光強度が光検出器71bbで検出される。
紫外線照射装置1-4は、電子部品として、光検出器71ab、71bb、管理回路111、温度センサ115を備えており、これら光検出器71ab、71bb、管理回路111、温度センサ115が電子部品群1100を構成している。
【0039】
図10に、管理回路111の回路構成の一例を示す。なお、管理回路111は、例えば、基板64の、光検出器71ab、71bbが設けられた面とは逆側の面に設けられていてもよく、別体として設けられていてもよい。
図10に示すように、管理回路111は、紫外線光源51を所望の発光強度で発光するための目標値を設定する設定回路(設定部)111aa及び111abと、紫外線光源51を所望の発光強度に維持する自動パワー制御(Auto Power Control:APC)回路(自動パワー制御部)111bとを有している。設定回路111aa及び111abが設定する目標値は、紫外線光源51の駆動電流の電流値である。さらに、管理回路111は、紫外線光源51を駆動する発光素子駆動回路(駆動部)111cを有している。
【0040】
設定回路111aaは、光検出部71aの検出信号に基づき目標値を設定する回路であり、設定回路111abは、光検出部71bの検出信号に基づき目標値を設定する回路である。設定回路111aa及び111abの機能構成は同一であるので、ここでは設定回路111aaについて説明する。なお、設定回路111aaには、光検出器71abの検出信号がIV変換回路1114aを介して入力され、設定回路111abには、光検出器71bbの検出信号がIV変換回路1114bを介して入力される。
【0041】
設定回路111aaは、光検出器71abの検出信号に基づく電圧を増幅する増幅部1110と、増幅部1110が出力する出力電圧の直流バイアスを調節するバイアス調節部1111と、増幅部1110が出力する出力電圧に含まれるオフセット電圧を調整するオフセット調節部1112とを有している。さらに、設定回路111aaは、増幅部1110の出力電圧、バイアス調節部1111の出力電圧及びオフセット調節部1112の出力電圧を加算する加算部1113を有している。
【0042】
増幅部1110の入力端子には、自動パワー制御回路111bに設けられた電流/電圧変換回路1114aの出力端子が接続されている。増幅部1110の出力端子は加算部1113の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。加算部1113の残余の端子の一方にはバイアス調節部1111の出力端子が接続され、加算部1113の残余の端子の他方にはオフセット調節部1112の出力端子が接続されている。加算部1113の出力端子は、自動パワー制御回路11bに設けられたアナログ/デジタル変換部1115(詳細は後述)の入力端子に接続されている。バイアス調節部1111の入力ビット信号が入力される入力端子には、自動パワー制御回路111bに設けられたマイクロプロセッサ1116(詳細は後述する)の所定の出力端子が接続されている。オフセット調節部1112の入力ビット信号が入力される入力端子には、マイクロプロセッサ1116の所定の出力端子が接続されている。
【0043】
増幅部1110は、例えばプログラマブルゲインアンプ(Programmable Gain Amplifier:PGA)で構成されている。増幅部1110は、電流/電圧変換回路1114aから入力される入力電圧を増幅して加算部1113に出力するようになっている。詳細は後述するが、増幅部1110の増幅率(ゲイン)は、紫外線光源51を所望の発光強度で発光させるための目標駆動電流(以下、「紫外線光源51の目標駆動電流」と略記する場合がある)の設定時及び紫外線光源51の動作開始時に必要に応じて調整される。
【0044】
バイアス調節部1111は、例えばデジタル/アナログ変換回路(Digital to Analog Converter:DAC)で構成されている。本実施形態では、バイアス調節部1111は、上位8ビット用のDACと下位8ビット用のDACで構成されている。このため、バイアス調節部1111は、増幅部1110から出力される出力電圧を16ビット相当でバイアス調節が可能になる。これにより、バイアス調節部1111は、処理流路Lからの反射光のみの光量を検出する光検出部71aの光検出器71abで検出される検出光の光量が小さくても十分な分解能でバイアス調節ができる。なお、バイアス調節部1111の入力のビット数は、16ビットに限られず、光検出器71abで検出される検出光の光量に応じて適宜設定してもよい。詳細は後述するが、バイアス調節部1111の出力電圧(すなわち、入力ビット値)は、紫外線光源51の動作開始時に必要に応じて調整される。
【0045】
オフセット調節部1112は、例えばデジタル/アナログ変換回路(Digital to Analog Converter:DAC)で構成されている。本実施形態では、オフセット調節部1112は、上位8ビット用のDACと下位8ビット用のDACで構成されている。このため、オフセット調節部1112は、増幅部1110から出力される出力電圧を16ビット相当でオフセット調節が可能になる。これにより、オフセット調節部1112は、光検出器71abで検出される検出光の光量が小さくても十分な分解能でオフセット調節ができる。なお、オフセット調節部1112の入力のビット数は、16ビットに限られず、光検出器71abで検出される検出光の光量に応じて適宜設定してもよい。オフセット調節部1112は、紫外線照射装置1-4を構成する回路全体で生じるオフセット電圧を調節するために用いられる。詳細は後述するが、オフセット調節部1112の出力電圧(すなわち、入力ビット値)は、紫外線光源51の目標駆動電流の設定時に必要に応じて調節される。
【0046】
加算部1113は、増幅部1110の出力電圧、バイアス調節部1111の出力電圧及びオフセット調節部1112の出力電圧を加算した加算電圧を自動パワー制御回路111bに出力するように構成されている。つまり、加算部1113は、3入力1出力の構成を有している。加算部1113は、種々の回路構成を有することができる。例えば加算部1113は、2入力1出力のオペアンプを2個有し、一方のオペアンプでバイアス調節部1111の出力電圧及びオフセット調節部1112の出力電圧を加算し、他方のオペアンプで一方のオペアンプの出力電圧と増幅部1110の出力電圧を加算するように構成されていてもよい。加算部1113は、紫外線光源51の目標駆動電流の設定時には、目標駆動電流で駆動された紫外線光源51の発光強度に基づく電圧をフィードバック電圧Vfbとして最終的に出力する。また、加算部1113は、紫外線光源51による殺菌対象物の殺菌動作時には、紫外線光源51の発光強度に基づく電圧をフィードバック電圧Vfbとして出力する。
【0047】
図10に示すように、自動パワー制御回路111bは、光検出器71abの陽極に入力端子が接続された電流/電圧(以下、「IV」と称する場合がある)変換回路1114a、1114bを有している。詳細な回路構成の説明は省略するが、IV変換回路1114a、1114bは、例えば電流入力型のオペアンプを用いて構成されている。IV変換回路1114aの出力端子は設定回路111aaに設けられた増幅部1110の非反転入力端子に接続されている。IV変換回路1114aは、光検出器71abから入力された電流を電圧に変換して設定回路111aaの増幅部1110に出力するようになっている。IV変換回路1114bは、光検出器71bbから入力された電流を電圧に変換して設定回路111abの増幅部1110に出力するようになっている。
【0048】
自動パワー制御回路111bは、設定回路111aaから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換部(以下、「アナログ/デジタル」を「A/D」と略記する場合がある)1115aと、設定回路111abから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換部(以下、「アナログ/デジタル」を「A/D」と略記する場合がある)1115bと、を有している。また、自動パワー制御回路111bは、A/D変換部1115aで変換されたデジタル信号に基づいて紫外線光源51が所望の発光強度を維持しているか否かを判定するマイクロプロセッサ(判定部)1116を有している。さらに、自動パワー制御回路111bは、マイクロプロセッサ1116からの指示に基づいて発光素子駆動回路(駆動部)111cを制御するパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)信号(制御信号の一例)を生成するパルス幅変調信号生成部(生成部)1117を有している。なお、図10では、マイクロプロセッサを「μP」と表している。また、以下、パルス幅変調を「PWM」と略記する場合がある。詳細は後述するが、自動パワー制御回路111bは、殺菌動作時のフィードバック電圧Vfbに基づいて、紫外線光源51が所望の発光強度で動作しているか否かを判定する。
【0049】
A/D変換部1115a及び1115bの出力端子はマイクロプロセッサ1116のビット信号が入力される所定の入力端子に接続されている。マイクロプロセッサ1116の所定の出力端子はPWM信号生成部1117の入力端子に接続されている。PWM信号生成部1117の出力端子は発光素子駆動回路111cに設けられた制御部1118(詳細は後述)の入力端子に接続されている。
【0050】
A/D変換部(Analog to Digital Converter:ADC)1115aは、設定回路111aaに設けられた加算部1113から入力されるアナログ信号のフィードバック電圧Vfbをデジタル信号に変換してマイクロプロセッサ1116に出力する。A/D変換部1115bは、設定回路111abに設けられた加算部1113から入力されるアナログ信号のフィードバック電圧Vfbをデジタル信号に変換してマイクロプロセッサ1116に出力する。
【0051】
マイクロプロセッサ1116は、紫外線光源51の目標駆動電流の設定が完了した際にA/D変換部1115aから入力されたデジタル信号を目標コードとして所定の記憶領域に記憶する。この目標コードは、紫外線光源51を所望の発光強度で駆動するための駆動電流の条件となる。マイクロプロセッサ1116は、目標コードを記憶した後に紫外線光源51の許容動作範囲を閾値コードとして所定の記憶領域に記憶する。マイクロプロセッサ1116は、紫外線光源51の許容動作範囲の上限を規定する上限閾値コード及び下限を規定する下限閾値コードを設定する。
【0052】
マイクロプロセッサ1116は、紫外線光源51による殺菌対象物の殺菌動作時にA/D変換部1115aから入力されるデジタル信号と目標コード及び閾値コードとを比較する。マイクロプロセッサ1116は、入力されたデジタル信号の値が目標コード及び閾値コードとの間に含まれる値である場合には、紫外線光源51が所望の発光強度を維持していると判定する。一方、マイクロプロセッサ1116は、入力されたデジタル信号の値が目標コード及び閾値コードとの間に含まれない値である場合には、紫外線光源51が所望の発光強度を維持していないと判定する。マイクロプロセッサ1116は、紫外線光源51が所望の発光強度を維持していると判定した場合には、PWM信号生成部1117に特別な指示信号を出力しない。一方、マイクロプロセッサ1116は、紫外線光源51が所望の発光強度を維持していないと判定した場合には、PWM信号生成部1117に駆動電流を変更することを指示する指示信号を出力する。マイクロプロセッサ1116は、入力されたデジタル信号の値が上限閾値コードよりも大きい場合には、駆動電流の電流量を小さくすることを指示する指示信号をPWM信号生成部1117に出力する。一方、マイクロプロセッサ1116は、入力されたデジタル信号の値が下限閾値コードよりも小さい場合には、駆動電流の電流量を大きくすることを指示する指示信号をPWM信号生成部1117に出力する。このように、紫外線照射装置1-4は、紫外線光源51による殺菌対象物の殺菌動作時に紫外線光源51の発光強度をフィードバックして紫外線光源51が所望の発光強度を維持するように制御する。
【0053】
図10に示すように、マイクロプロセッサ1116には、状態識別信号Smodeが入力される。状態識別信号Smodeは、紫外線照射装置1-4の動作状態が、紫外線光源51を前記フィードバック制御駆動するのか、紫外線光源51を設置された一定電流で駆動するのかを識別するための信号である。マイクロプロセッサ1116は、状態識別信号Smodeが「0」の場合は例えば紫外線光源51を前記フィードバック制御により駆動すると判定する。一方、マイクロプロセッサ1116は、状態識別信号Smodeが「1」の場合は例えば紫外線光源51を設定電流で定電流駆動すると判定する。
【0054】
つまり、マイクロプロセッサ1116は、状態識別信号Smodeの信号レベルに基づいて、紫外線光源51の駆動方法を選択できる。ここで、外光が入射されたとき、光検出器71abには外光と紫外光励起蛍光体71aaが発する蛍光とが入射される。紫外光励起蛍光体71aaが発する蛍光は、外光に比較して数桁異なることから、例えば光検出器71abの出力が、光検出器71abの出力上限値を超えた場合に外光が入射したと判定することができる。このため、管理回路111は、殺菌対象物を殺菌可能な状態で紫外線光源51を動作させている際に、何らかの要因により、光検出器71abに外光が入射されたと判定した場合には、紫外線光源51の動作を停止する。管理回路111は、紫外線照射装置1-4が異常な使用を成された場合に、紫外線光源51を即時停止する。これにより、紫外線照射装置1-4は、殺菌対象物を殺菌している場合に紫外線が外部に漏洩することを防止できる。
【0055】
また、マイクロプロセッサ1116は、光検出器71abの出力が目標照射量に相当する発光量でない場合は、A/D変換部1115bから入力される光検出器71bbの出力が、目標照射量に相当する発光量であるか否かを判定する。光検出器71bbの出力、すなわち、紫外線光源51の実際の発光量が目標照射量に相当する発光量でないときには、光検出器71abの出力が目標照射量に相当する発光量とならない要因が、紫外線光源51の発光量の低下により生じたものであると判定する。また、光検出器71bbの出力が目標照射量に相当する発光量であるときには、光検出器71abの出力が目標照射量に相当する発光量とならない要因が、処理流路L内の反射率の低下や、内部流体の透過率の変化によるものと判定し、例えば、判定結果を、図示しない表示装置等に表示する。この判定処理は、殺菌動作状態にあるときに定期的に実行するようにしてもよく、また、光検出器71abの出力と、目標照射量に相当する発光量との差が予め設定したしきい値より大きいときにのみ実行するようにしてもよい。
【0056】
PWM信号生成部1117は、マイクロプロセッサ1116から入力される指示信号に基づいてデューティ信号Sdutyを発光素子駆動回路111cに出力する。PWM信号生成部1117は、駆動電流を小さくすることを指示する指示信号がマイクロプロセッサ1116から入力された場合には、直前に出力していたデューティ信号Sdutyよりもデューティ比の小さいデューティ信号Sdutyを発光素子駆動回路111cに出力する。一方、PWM信号生成部1117は、駆動電流を大きくすることを指示する指示信号がマイクロプロセッサ1116から入力された場合には、直前に出力していたデューティ信号Sdutyよりもデューティ比の大きいデューティ信号Sdutyを発光素子駆動回路111cに出力する。
【0057】
紫外線照射装置1-4は、紫外線光源51の温度を検出する温度センサ(温度検出部)115を備えている。温度センサ115は、例えば紫外線光源51が実装された基板61に搭載されている。 自動パワー制御回路111bは、温度センサ115が検出した温度に基づいて発光素子駆動回路111cを制御する。温度センサ115の出力端子は、マイクロプロセッサ1116の所定の入力端子に接続されている。
【0058】
温度センサ115は、例えばアナログ電源及びアナログ基準電位(アナロググランド)との間で直列に接続されたサーミスタ及び抵抗を有している。また、温度センサ115は、サーミスタ及び抵抗の接続点の電圧と所定電圧とを比較する比較器(コンパレータ)を有している。この比較器の出力端子が温度センサ115の出力端子となる。また、この所定電圧は、紫外線光源51の所定温度(例えば80℃)に相当する電圧に設定される。サーミスタによって検出された紫外線光源51の温度が所定温度よりも低い場合には、温度センサ115は、比較器から例えば低レベル(0V)の電圧をマイクロプロセッサ1116に出力する。一方、サーミスタによって検出された紫外線光源51の温度が所定温度よりも高い場合には、温度センサ115は、比較器から例えば高レベルの電圧(マイクロプロセッサ1116で許容されている入力電圧の高レベルの電圧)をマイクロプロセッサ1116に出力する。
【0059】
マイクロプロセッサ1116は、温度センサ115から入力される電圧の電圧レベルに応じて、デューティ信号Sdutyのデューティ比を変更することをPWM信号生成部1117に指示する。マイクロプロセッサ1116は、温度センサ115から低レベルの電圧を入力した場合には、デューティ信号Sdutyのデューティ比を変更することをPWM信号生成部1117に指示しない。一方、マイクロプロセッサ1116は、温度センサ115から高レベルの電圧が入力された場合には、デューティ信号Sdutyのデューティ比を大きくすることをPWM信号生成部1117に指示する。これにより、紫外線光源51に流れる駆動電流の電流量が増加するため、紫外線光源51が高温になって低下した発光強度が補償される。このように、紫外線照射装置1-4は、紫外線光源51の経時劣化による発光強度の低下(詳細は後述)とは別個に、紫外線光源51の温度特性による発光強度の低下を補償できる。
【0060】
また、マイクロプロセッサ1116は、バイアス調節部1111及びオフセット調節部1112の入力ビット値を必要に応じて変更するようになっている。また、マイクロプロセッサ1116は、紫外線光源51の目標駆動電流の設定状態のときに、増幅部1110の増幅率を必要に応じて変更するようになっている。
【0061】
図10に示すように、発光素子駆動回路111cは、制御部1118と定電流源1119とを有している。制御部1118は、PWM信号生成部1117から入力されるデューティ信号Sdutyに基づいて定電流源1119が出力する電流の電流量を制御するようになっている。制御部1118は、PWM信号生成部1117から入力されるデューティ信号Sdutyのデューティ比が小さくなった場合には、出力する電流の電流量が小さくなるように定電流源1119を駆動する。一方、制御部1118は、PWM信号生成部1117から入力されるデューティ信号Sdutyのデューティ比が大きくなった場合には、出力する電流の電流量が大きくなるように定電流源1119を駆動する。
【0062】
定電流源1119には、紫外線光源51が直列に接続されている。定電流源1119の正極は紫外線光源51の陰極に接続され、定電流源1119の負極はアナログ基準電位(アナロググランド)に接続されている。定電流源1119は、制御部1118に制御されて所定の電流量の定電流をアナログ電源からアナロググランドに向かって出力するようになっている。紫外線光源51は定電流源1119と直列に接続されているため、紫外線光源51には定電流源1119が出力する電流量の定電流が流れる。紫外線光源51の陽極に印加されるアナログ電源の電圧値は一定である。このため、紫外線光源51が発光する紫外線の強度は、定電流源1119が出力する定電流の電流量で決定される。
【0063】
次に、紫外線照射装置1-4の動作について図8から図10を参照しつつ図11から図13を用いて説明する。図11及び図13、又は図12及び図13は、紫外線照射装置1-4の動作がこの順に時系列で表されている。なお、図11から図13に示す時間スケールは、実際のスケールとは異ならせて図示されている。また、図11及び図12では、フィードバック電圧Vfbの変動数は実際のビット数とは一致しておらず、またフィードバック電圧Vfbの一部が直線矢印で略記されている。
【0064】
紫外線照射装置1-4は、紫外線光源51の目標駆動電流を設定する目標値設定状態と、光検出器71abの出力が目標照射量に相当する発光量となる様に制御するフィードバック制御状態との2つの状態で動作するようになっている。目標値設定状態において、紫外線照射装置1-4は、4つのステップを実行して紫外線光源51の目標値(本実施形態では、紫外線光源51の駆動電流の電流量の目標値)を設定する。
まず、目標値設定状態では、増幅部1110の増幅率の初期値を最大値に設定する。また、バイアス調節部1111の出力電圧の初期値が最大電圧VDDの1/2となるように入力ビット値を設定する。また、オフセット調節部1112の出力電圧の初期値が最大電圧VDDの1/2となるように入力ビット値を設定する。さらに、状態識別信号Smodeを「1」に設定する。
【0065】
以上の初期設定が終了した後に、図11に示すように、時刻t0において、紫外線光源51を動作させずに設定回路111aa及び自動パワー制御回路111bの動作を開始する。紫外線光源51は非動作状態であるため紫外光励起蛍光体71aaには蛍光が生じないものの、光検出器71abには例えば暗電流が流れるため、光検出器71abからIV変換回路1114に電流が入力される。増幅部1110の増幅率が最大値に設定されているため、加算部1113からフィードバック電圧Vfbが出力される。時刻t1において、フィードバック電圧Vfbは、最大電圧VDDよりも大きい値となる。
【0066】
最大電圧VDDよりも大きい値のフィードバック電圧Vfbが加算部1113から出力されると、第1ステップにおいて、マイクロプロセッサ1116は、増幅部1110の増幅率を1段階ずつ低減する。マイクロプロセッサ1116は、増幅部1110の増幅率を低減するたびにフィードバック電圧Vfbがマイクロプロセッサ1116の動作が補償されている高レベル側の入力電圧VIN1まで低下したか否かを判定する。マイクロプロセッサ1116は、フィードバック電圧Vfbが入力電圧VIN1まで低下したと判定するまで増幅部1110の増幅率を低減する。
【0067】
例えば時刻t2においてフィードバック電圧Vfbが入力電圧VIN1よりも低くなると、次に、第2ステップにおいて、マイクロプロセッサ1116は、オフセット調節部1112に設けられた上位ビット用DACの出力電圧を低下させるために入力ビット値を1ビットずつ変更する。マイクロプロセッサ1116は、当該上位ビット用DACの入力ビット値を1ビット変更するたびにフィードバック電圧Vfbの電圧値が最大電圧VDDの1/2から誤差電圧(VDD/2+ΔV)までの範囲の値となったか否かを判定する。その後、マイクロプロセッサ1116は、例えば時刻t3において、フィードバック電圧Vfbの電圧値が最大電圧VDDの1/2から誤差電圧(VDD/2+ΔV)までの範囲の値となったと判定すると、オフセット調節部1112の上位ビット用DACの入力ビット値の変更を終了する。
【0068】
次に、紫外線照射装置1-4は、オフセット調節部1112に設けられた下位ビット用DACによるオフセット電圧の調節を実行するために、再び第1ステップ及び第2ステップを実行する。時刻t3において、管理回路111は、増幅部1110の増幅率を再び最大値に設定する。これにより、時刻t4において、フィードバック電圧Vfbは、最大電圧VDDよりも大きい値となる。
最大電圧VDDよりも大きい値のフィードバック電圧Vfbが加算部1113から出力されると、第1ステップにおいて、管理回路111は、増幅部1110の増幅率を徐々に低減させ、フィードバック電圧Vfbをマイクロプロセッサ1116の動作が補償されている高レベル側の入力電圧VIN1まで低下させる。
【0069】
例えば時刻t5においてフィードバック電圧Vfbが入力電圧VIN1よりも低くなると、次に、第2ステップにおいて、管理回路111は、オフセット調節部1112に設けられた下位ビット用DACの出力電圧が低下するように入力ビット値を変更する。その後、時刻t6において、フィードバック電圧Vfbの電圧値が最大電圧VDDの1/2から誤差電圧(VDD/2+ΔV)までの範囲の値となったら、管理回路111は、オフセット調節部1112の下位ビット用DACの入力ビット値の変更を終了する。
【0070】
図11は、目標値設定状態において設定回路111a及び自動パワー制御回路111bの動作を開始した場合に、フィードバック電圧Vfbが最大電圧VDDより大きい電圧値になった例を示しているが、フィードバック電圧Vfbは最小電圧(0V)よりも小さい電圧値になる場合もある。
図12に示すように、時刻t0において、紫外線光源51を動作させずに設定回路111a及び自動パワー制御回路111bの動作を開始する。紫外線光源51は非動作状態であるため紫外光励起蛍光体71aaには蛍光が生じないものの、光検出器71abには例えば暗電流が流れるため、光検出器71abからIV変換回路1114に電流が入力される。増幅部1110の増幅率が最大値に設定されているため、加算部1113からフィードバック電圧Vfbが出力される。時刻t1において、フィードバック電圧Vfbは、最小電圧(0V)よりも小さい値となる。
【0071】
最小電圧(0V)よりも小さい値のフィードバック電圧Vfbが加算部1113から出力されると、第1ステップにおいて、管理回路111は、増幅部1110の増幅率を徐々に低減させ、フィードバック電圧Vfbをマイクロプロセッサ1116の動作が補償されている低レベル側の入力電圧VIN2まで上昇させる。
例えば時刻t2においてフィードバック電圧Vfbが入力電圧VIN2よりも高くなると、次に、第2ステップにおいて、マイクロプロセッサ1116は、オフセット調節部1112に設けられた上位ビット用DACの出力電圧を増加させるために入力ビット値を1ビットずつ変更する。その後、時刻t3において、マイクロプロセッサ1116は、フィードバック電圧Vfbの電圧値が最大電圧VDDの1/2から誤差電圧(VDD/2-ΔV)までの範囲の値となったと判定すると、オフセット調節部1112の上位ビット用DACの入力ビット値の変更を終了する。
【0072】
次に、紫外線照射装置1-4は、オフセット調節部1112に設けられた下位ビット用DACによるオフセット電圧の調節を実行するために、再び第1ステップ及び第2ステップを実行する。時刻t3において、管理回路111は、増幅部1110の増幅率を再び最大値に設定する。これにより、時刻t4において、フィードバック電圧Vfbは、最小電圧(0V)よりも小さい値となる。
最小電圧(0V)よりも小さい値のフィードバック電圧Vfbが加算部113から出力されると、第1ステップにおいて、マイクロプロセッサ1116は、増幅部1110の増幅率を1段階ずつ低減させ、フィードバック電圧Vfbをマイクロプロセッサ1116の動作が補償されている低レベル側の入力電圧VIN2まで上昇させる。
【0073】
例えば時刻t5においてフィードバック電圧Vfbが入力電圧VIN2よりも高くなると、次に、第2ステップにおいて、マイクロプロセッサ1116は、は、オフセット調節部1112に設けられた下位ビット用DACの出力電圧を上昇させるために入力ビット値を1ビットずつ変更する。その後、時刻t6において、フィードバック電圧Vfbの電圧値が最大電圧VDDの1/2から誤差電圧(VDD/2-ΔV)までの範囲の値となったら、オフセット調節部1112の下位ビット用DACの入力ビット値の変更を終了する。
図11及び図12中に示す期間P1及び期間P3は、増幅部1110の増幅率を調節する第1ステップに相当する。図11及び図12中に示す期間P2及び期間P4は、オフセット調節部1112を用いて紫外線照射装置1-4を構成する回路全体に含まれるオフセット電圧を調節する第2ステップに相当する。
【0074】
次に、目標値設定状態での増幅部1110の増幅率、バイアス調節部1111及びオフセット調節部1112のそれぞれの入力ビット値を2回目の第2ステップが終了した状態に維持したまま、時刻t7において、紫外線光源51に初期値としての電流を流す。これにより、紫外線光源51が動作を開始して紫外光を照射する。紫外光励起蛍光体71aaは、紫外線光源51から入射される紫外光で励起されて蛍光を生じるため、光検出器71abからIV変換回路1114に電流が入力される。この場合に光検出器71abからIV変換回路1114に流れる電流は、暗電流より数桁大きい電流量となる。このため、時刻t8において、加算部1113から出力されるフィードバック電圧Vfbは、最大電圧VDDよりも大きい値となる。
【0075】
最大電圧VDDよりも大きい値のフィードバック電圧Vfbが加算部1113から出力されると、第3ステップにおいて、マイクロプロセッサ1116は、増幅部1110の増幅率を1段階ずつ低減させ、フィードバック電圧Vfbをマイクロプロセッサ1116の動作が補償されている高レベル側の入力電圧VIN1まで低下させる。
【0076】
例えば時刻t9においてフィードバック電圧Vfbが入力電圧VIN1よりも低くなると、次に、第4ステップにおいて、マイクロプロセッサ1116は、バイアス調節部1111に設けられたDACの出力電圧を低下させるために、入力ビット値を1ビットずつ変更する。その後、時刻t10において、フィードバック電圧Vfbの電圧値が最大電圧VDDの1/2から誤差電圧(VDD/2+ΔV)までの範囲の値となったら、バイアス調節部1111のDACの入力ビット値の変更を終了する。マイクロプロセッサ1116は、時刻t10におけるフィードバック電圧VfbをA/D変換部1115でA/D変換して得られたデジタル信号を目標コードとして所定の記憶領域に記憶する。さらに、マイクロプロセッサ1116は、記憶した目標コードに基づいて上限閾値コード及び下限閾値コードを所定の記憶領域に設定する。これにより、紫外線照射装置1-4は、設定回路111aaによる初期設定動作を完了する。マイクロプロセッサ1116は、同様の手順で、設定回路111abによる初期設定動作を行う。
【0077】
図13中に示す期間P5は、紫外線光源51に初期値としての電流を流した状態での増幅部1110の増幅率を調節する第3ステップに相当する。図13中に示す期間P6は、紫外線光源51に初期値としての電流を流した状態でフィードバック電圧Vfbに含まれる直流バイアスを調節する第4ステップに相当する。
紫外線照射装置1-4は、設定回路111aa及び111abによる初期設定動作が完了すると、状態識別信号Smodeを「0」に設定する。その後の時刻t11において紫外線照射装置1-4が殺菌対象物の殺菌を開始し、紫外線光源51が発光を継続すると、紫外線光源51が経時劣化して電圧-電流特性が変化する。これにより、時刻t12において、フィードバック電圧Vfbが下限閾値コードに対応する下限閾値電圧VthLよりも低下する。
【0078】
マイクロプロセッサ1116は、A/D変換部1115から入力されるデジタル信号の値が下限閾値コードよりも小さくなり、紫外線光源51が所望の発光強度を維持していないと判定する。このため、マイクロプロセッサ1116は、紫外線光源51の駆動電流を大きくするための指示信号をPWM信号生成部1117に出力する。当該指示信号が入力されるとPWM信号生成部1117は、目標コードに対応するデューティ信号Sdutyよりもデューティ比が大きくデューティ信号Sdutyを生成して発光素子駆動回路111cに出力する。その結果、定電流源1119が出力する電流の電流量が大きくなるため、紫外線光源51に流れる電流も大きくなる。
【0079】
自動パワー制御回路111bにおけるデューティ信号Sdutyのデューティ比を変更するための動作が繰り返されることにより、紫外線光源51に流れる駆動電流の電流量が大きくなり、例えば時刻t13において、発光強度が所望の強さに戻る。これにより、フィードバック電圧Vfbが最大電圧VDDの1/2の電圧を越えるので、マイクロプロセッサ1116は、A/D変換部1115から入力されるデジタル信号の値が上限閾値コート及び下限閾値コードの範囲であって紫外線光源51が所望の発光強度を維持していると判定する。そうすると、マイクロプロセッサ1116は、紫外線光源51の駆動電流を大きくするための指示信号をPWM信号生成部1117に出力しなくなる。これにより、PWM信号生成部1117は、直前に出力していたデューティ比のデューティ信号Sdutyを継続して発光素子駆動回路111cに出力する。その結果、定電流源1119が出力する電流の電流量が維持され、紫外線光源51に流れる電流の電流量も維持される。このため、紫外線光源51は、所望の発光強度を維持する。このように、紫外線照射装置1-4は、マイクロプロセッサ1116が紫外線光源51の経時劣化を検出して補償することができる。
【0080】
時刻t13の後、紫外線照射装置1-4の動作が継続されることにより、例えば時刻t14においてフィードバック電圧Vfbが下限閾値電圧VthLよりも低下したとする。そうすると、紫外線照射装置1-4は、時刻t12から時刻t13までの動作と同様の動作を実行する。その結果、時刻t15において、フィードバック電圧Vfbが最大電圧VDDの1/2の電圧を越えて、紫外線光源51が再び所望の発光強度で発光する。
紫外線照射装置1-4は、紫外線光源51の最大の発光強度ではなく殺菌対象物の殺菌に必要最低限の発光強度となるように紫外線光源51の動作点を初期設定する。このため、紫外線照射装置1-4は、紫外線光源51に経時劣化が生じても、補償後の動作点が最大の発光強度の動作点となるまで、紫外線光源51の動作補償を繰返し実行できる。
【0081】
また、紫外線照射装置1-4は、目標値設定状態において紫外線照射装置1-4を構成する回路全体のオフセット電圧を調節してフィードバック電圧Vfbを最大電圧VDDの1/2の電圧に設定する。これにより、殺菌動作状態において電圧変動が生じても、フィードバック電圧Vfbが最大電圧VDDより大きくなったり最小電圧(0V)よりも小さくなったりする可能性が極めて低くなる。その結果、紫外線照射装置1-4は、殺菌動作の安定化を図ることができる。
【0082】
図示は省略するが、紫外線光源51の動作が開始された後(図13では時刻t11の後)に、何らかの要因によって紫外線照射装置1-4の筐体内に外光が入射され、光検出器71abに紫外光励起蛍光体71aaが発する蛍光と共に外光が入射されると、外光の光量は、紫外光励起蛍光体71aaが発する蛍光の光量よりも数桁大きい。このため、フィードバック電圧Vfbは、最大電圧VDDよりも高くなる。紫外線光源51の動作開始前に、マイクロプロセッサ1116には、値が「0」の状態識別信号Smodeが入力されている。このため、管理回路111は、例えばA/D変換部1115に入力されるフィードバック電圧Vfbの電圧値を強制的に0Vにしたり、あるいはデューティ比が0のデューティ信号Sdutyを発光素子駆動回路111cの制御部1118に入力したりして、紫外線光源51の動作を停止する。これにより、紫外線照射装置1-4は、紫外線が外部に漏洩することを防止できる。
【0083】
このように、設定回路111aaからのフィードバック電圧Vfbに基づき、紫外線光源51を駆動制御している状態で、マイクロプロセッサ1116は、A/D変換部1115aから入力される光検出器71abの出力に基づき、紫外線光源51が所望の発光強度を維持していないと判定したときには、A/D変換部1115bから入力される光検出器71bbの出力が、所望の発光強度に相当する発光量であるか否かを判定し、所望の発光強度に相当する発光量でないとき、例えば、所望の発光強度に相当する発光量と光検出器71bbの検出信号に応じた発光量との差が予め設定した閾値以上であるときには、光検出器71abの出力が所望の発光強度に相当する発光量とならない要因が、紫外線光源51の発光量の低下により生じたものであると判定する。一方、A/D変換部1115bから入力される光検出器71bbの出力が、所望の発光強度に相当する発光量であるときには、光検出器71abの出力が所望の発光強度に相当する発光量とならない要因が、処理流路L内の反射率や、照射対象物の透過率の変化によるものと判定する。そして、判定結果を、例えば図示しない表示装置等に表示する。紫外線照射装置1-4の利用者は、表示装置等に表示された判定結果を参照することによって、紫外線光源51の発光量の低下が、紫外線光源51の発光量の低下に起因するものであるのか、それとも処理流路L内の反射率や照射対象物の透過率の変化によるものであるのかを容易に切り分けることができる。
【0084】
以上説明したように、第4実施形態に係る紫外線照射装置1-4は、上記第3実施形態における紫外線照射装置1-3と同様に、処理流路から反射された紫外光を検出する光検出部71aと、照射対象物を透過しない光源から直接入射される紫外光の光量を検出する光検出部71bとを備えている。したがって、この場合も上記第3実施形態と同等の作用効果を得ることができる。さらに、第4実施形態に係る紫外線照射装置1-4は、紫外光の励起によって可視光域に蛍光を発する紫外光励起蛍光体71aa、71baと、紫外光励起蛍光体71aa、baが発する蛍光の強度を検出する光検出器71ab、71bbと、により各種光量を検出するため、照射部204の限られた空間内に、各種光量を検出するための検出器を設置することができる。
【0085】
また、管理回路111により、紫外線光源51の駆動電流の初期値を自動的に学習し、紫外線光源51の経時劣化が想定範囲内であれば紫外線光源51の発光強度(出力パワー)が一定になるように紫外線光源51を駆動するため、紫外光の照射性能をより安定化させることができる。
【0086】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0087】
1-1、1-2、1-3、1-4 紫外線照射装置
2 流入部
3 流出部
4 筐体
5 照射部
6 第一検出器
7、7a 制御装置
8 遮蔽部材
9 第二検出器
10 遮蔽部材
51 紫外線光源
65 遮蔽部材
71a、71b 光検出部
71aa、71ba 紫外光励起蛍光体
71ab、71bb 光検出器
111 管理回路
115 温度センサ
201 内筒
202 外筒
202a、202b 区画
204 照射部
205 整流板
207 流入口
208 出力口
210 窓
1100 電子部品群
L 処理流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13