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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】配線印刷物
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/09 20060101AFI20231212BHJP
   H05K 1/02 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
H05K1/09 A
H05K1/02 B
H05K1/02 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020059892
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021158305
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】鶴貝 嘉則
(72)【発明者】
【氏名】笠野 健太
(72)【発明者】
【氏名】中澤 かさね
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭佑
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-090041(JP,A)
【文献】特開2010-267607(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025680(WO,A1)
【文献】特開2018-198133(JP,A)
【文献】特開2014-194943(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0305136(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/09
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、導電層からなる配線とを含む配線印刷物において、
前記基材上に形成された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された前記導電層と、
前記第1絶縁層とともに前記導電層を被覆する第2絶縁層と、
を備え、
前記導電層は、導電性フレークと、前記導電性フレーク同士を接合するバインダとを含む導電性ペーストを出発素材として形成され、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の前記導電層に対する接合強度が、前記基材の降伏応力に比して大である配線印刷物。
【請求項2】
請求項1記載の配線印刷物において、前記基材がポリエチレンテレフタレート、前記導電性ペーストが銀ペースト、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層がポリカーボネートである配線印刷物。
【請求項3】
基材と、導電層からなる配線とを含み、且つ曲部が形成された配線印刷物において、
前記基材上に形成された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された前記導電層と、
前記第1絶縁層とともに前記導電層を被覆する第2絶縁層と、
を備え、
前記導電層は、導電性フレークと、前記導電性フレーク同士を接合するバインダとを含む導電性ペーストを出発素材として形成され、
前記導電性ペーストの軟化温度が前記基材の軟化温度に比して低温であり、且つ前記基材の軟化温度が前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の軟化温度に比して低温である配線印刷物。
【請求項4】
請求項3記載の配線印刷物において、前記基材がポリエチレンテレフタレート、前記導電性ペーストが銀ペースト、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層がポリウレタンである配線印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材と導電層を含む配線印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、変形が容易なフィルムやシートからなる基材上に導電層からなる配線を印刷によって設けた配線印刷物が広汎に用いられるに至っている。この種の配線印刷物には、安価であり、しかも、配線印刷物を設ける物体の形状に合わせて基材を変形させることが可能であるという利点があるからである。特に、基材の、配線が設けられた面の裏面を、粘着剤等の接着剤を介して物体に貼付可能とすることにより、利便性が優れたものとなる。
【0003】
基材を変形させるときには、必然的に配線も変形する。配線は比較的硬質であるので、この変形の際に配線にクラックが生じる場合がある。この場合、クラックでは電気伝導が起こり難くなるので、配線の抵抗が大きくなってしまう。これを回避するべく、特許文献1において、配線の曲部を肉厚にしてクラックを生じ難くすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-5032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導電層は、一般的に、導電性ペーストを用いるインクジェット印刷やスクリーン印刷等の公知の印刷手法によって基材に塗布される。従って、配線の厚みを局所的に大きくするためには印刷を繰り返す必要がある。このため、長時間を要してしまう。また、印刷によって達成し得る厚みに限界があるので、導電層の一部の厚みを十分に確保することが容易ではないという不具合もある。
【0006】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、導電層にクラックが生じることを可及的に回避し得る配線印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態によれば、基材と、導電層からなる配線とを含む配線印刷物において、
前記基材上に形成された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された前記導電層と、
前記第1絶縁層とともに前記導電層を被覆する第2絶縁層と、
を備え、
前記導電層は、導電性フレークと、前記導電性フレーク同士を接合するバインダとを含む導電性ペーストを出発素材として形成され、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の前記導電層に対する接合強度が、前記基材の降伏応力に比して大である配線印刷物が提供される。
【0008】
また、本発明の別の一実施形態によれば、基材と、導電層からなる配線とを含み、且つ曲部が形成された配線印刷物において、
前記基材上に形成された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された前記導電層と、
前記第1絶縁層とともに前記導電層を被覆する第2絶縁層と、
を備え、
前記導電層は、導電性フレークと、前記導電性フレーク同士を接合するバインダとを含む導電性ペーストを出発素材として形成され、
前記導電性ペーストの軟化温度が前記基材の軟化温度に比して低温であり、且つ前記基材の軟化温度が前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の軟化温度に比して低温である配線印刷物が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線印刷物を構成する第1絶縁層及び第2絶縁層の素材として、導電層に対する接合強度が基材の降伏応力に比して大であるものが選定される。従って、基材が塑性変形を起こしたときであっても、第1絶縁層及び第2絶縁層の間に挟まれた導電層が両絶縁層に接合した状態が保たれる。すなわち、導電層が、該導電層を被覆する両絶縁層によって保護される。このために導電層中の導電性フレークがバインダを介して接合した状態が維持されるので、導電層にクラックが発生することが抑制される。
【0010】
又は、配線印刷物を構成する導電層の出発素材として、導電性フレークと、該導電性フレーク同士を接合するバインダとを含む導電性ペーストが選定される。また、導電性ペースト、基材、第1絶縁層及び第2絶縁層の軟化温度が、この順序で高温となる。この場合、配線印刷物を得る際に導電性ペーストが第1絶縁層及び第2絶縁層によって保護されながら、貼付対象物の形状に倣って基材とともに変形する。すなわち、配線印刷物は、形状追従性が良好である。このために導電性フレークがバインダを介して接合した状態が維持されるので、導電層16にクラックが発生することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る第1配線印刷物が第1貼付対象物に貼付された状態の全体概略斜視図である。
図2図1の要部概略側面図である。
図3図1中のIII-III線矢視断面図である。
図4図4A及び図4Bは、第1配線印刷物を柱状凸部に貼付する際の概略フローである。
図5】本発明の第2実施形態に係る第2配線印刷物が第2貼付対象物に貼付された状態の全体概略斜視図である。
図6】第2配線印刷物を第2貼付対象物の半球状凸部に接合する際の要部概略側面断面図である。
図7】第1絶縁層及び第2絶縁層の合計厚みと、第2配線印刷物の抵抗との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る配線印刷物につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、第1実施形態に係る第1配線印刷物10の全体概略斜視図である。この第1配線印刷物10は、第1貼付対象物12に貼付される。ここで、該第1貼付対象物12は、平板形状部13の上端面から鉛直上方に向かって立ち上がるように突出した柱状凸部14を有する。図1及び図2に示すように、第1配線印刷物10は、柱状凸部14を乗り越えるように貼付されている。
【0014】
図3は、図1中のIII-III線矢視断面図である。なお、図3では第1貼付対象物12を省略し、第1配線印刷物10のみを示している。また、導電層16を構成する導電性フレーク18及びバインダ20につき理解を容易にするべく、簡素且つ模式的に示すとともに実際の縮尺を無視している。
【0015】
第1配線印刷物10は、基材22、第1絶縁層24、導電層16(ないし配線)、第2絶縁層26を貼付対象物に近接する側からこの順序で備える。この中の基材22は、優れた可撓性を発現して容易に変形するように、その出発素材が選定されるとともに厚みが設定される。基材22の出発素材の好適な例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。シール状基材を用いる場合には離型PETであってもよい。また、基材22の、第1貼付対象物12側に臨む側の端面には、粘着剤等の接着剤が塗布されるとともに、該接着剤を保護する保護シート(いずれも図示せず)が貼付される。
【0016】
第1絶縁層24及び第2絶縁層26は、導電層16が存在する部位では該導電層16を両者の間に介挿し、導電層16が存在しない部位では一体化している。換言すれば、第1絶縁層24及び第2絶縁層26は、導電層16を被覆する。なお、図3では、別工程で個別に印刷される第1絶縁層24と第2絶縁層26を区別するべく境界線を付しているが、第1絶縁層24と第2絶縁層26の間に明確な境界線(界面)が存在する必要は特にない。また、第1絶縁層24及び第2絶縁層26は、例えば、透明体である。
【0017】
第1絶縁層24及び第2絶縁層26は、軟質な絶縁性素材からなる。このような第1絶縁層24及び第2絶縁層26の好適な出発素材としては、ポリカーボネート等の絶縁性高分子が挙げられる。
【0018】
導電層16(配線)は、第1絶縁層24の厚み分、基材22から離間する。また、配線は、主には該導電層16の直上に設けられた第2絶縁層26によって保護される。この場合、導電層16は、導電性フレーク18とバインダ20を含む導電性ペーストを出発素材として形成されている。この種の導電性ペーストの好適な例としては、入手が容易であり比較的安価である銀(Ag)ペーストが挙げられる。
【0019】
以上の構成において、第1絶縁層24及び第2絶縁層26の導電層16に対する接合強度は、基材22の降伏応力、すなわち、弾性変形域を超えて塑性変形域となる応力に比して大に設定されている。このことは、基材22が塑性変形を起こしたときに、第1絶縁層24及び第2絶縁層26が導電層16に対して離脱することなく接合していることを意味する。
【0020】
第1実施形態に係る第1配線印刷物10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0021】
第1配線印刷物10を第1貼付対象物12に貼付するには、先ず、保護シートを基材22の裏面から剥離する。これにより接着剤が露呈するので、基材22の裏面を第1貼付対象物12に向け、図4Aに示すように、第1貼付対象物12の上面に基材22の裏面の一部を押し当てる。これにより、裏面の該一部が第1貼付対象物12の上面に貼付される。その後、基材22の裏面を、柱状凸部14に離間する側から近接する側に向かうように順次押し当てる。
【0022】
柱状凸部14が設けられた箇所では、図4B及び図2に示すように第1配線印刷物10が柱状凸部14に乗り上げる。すなわち、柱状凸部14の一側面、頂面、他側面の順に第1配線印刷物10が貼付される。この過程で、第1配線印刷物10には、平板形状部13と柱状凸部14の一側面との境界、柱状凸部14の一側面と頂面との境界、頂面と柱状凸部14の他側面との境界、柱状凸部14の他側面と平板形状部13との境界に、塑性変形部としての屈曲部28(曲部)が形成される。
【0023】
ここで、第1絶縁層24及び第2絶縁層26を形成しない従来技術に係る配線印刷物における抵抗値を測定すると、第1配線印刷物10における抵抗値の約2.5倍となる。この理由は、従来技術に係る配線印刷物では上記したような屈曲部28で導電層16にクラックが生じ、配線の抵抗が大きくなったと考えられる。
【0024】
これに対し、第1実施形態では、基材22の降伏応力よりも、第1絶縁層24及び第2絶縁層26の導電層16に対する接合強度が大とされている。従って、屈曲部28において、導電層16が第1絶縁層24及び第2絶縁層26に接合した状態が保たれている。すなわち、導電層16が第1絶縁層24及び第2絶縁層26によって保護され、これにより、導電性フレーク18がバインダ20を介して接合した状態が維持される。このため、導電層16(配線)にクラックが発生することが抑制される。
【0025】
その結果として、配線の抵抗が大きくなることが回避される。すなわち、第1実施形態によれば、配線が十分な導電性を示す第1配線印刷物10を構成することができる。しかも、この場合、導電層16の、屈曲部28に対応する部位の厚みを大きくする必要も特にない。このため、第1配線印刷物10を比較的短時間で効率よく得ることができる。
【0026】
第1配線印刷物10を得るには、基材22上に、第1絶縁層24、導電層16、第2絶縁層26をこの順序で個別に形成すればよい。上記したように、基材22、第1絶縁層24及び第2絶縁層26、導電層16の出発素材の好適な例としては、PET(ないし離型PET)、ポリカーボネート、銀ペースト(銀フレークとバインダ20、溶媒の混合物)がそれぞれ挙げられる。また、これら第1絶縁層24、導電層16、第2絶縁層26は、好適にはインクジェット印刷によって形成される。
【0027】
次に、図5に示す第2実施形態に係る第2配線印刷物30につき説明する。この第2配線印刷物30は、溶着によって第2貼付対象物32に接合される。ここで、第2貼付対象物32には、平板形状部13の上端面から半球形状に膨出した半球状凸部34を有する。第2配線印刷物30は、半球状凸部34を覆うようにして、第2貼付対象物32の一端面の全体にわたって接合されている。
【0028】
第2配線印刷物30は、第1配線印刷物10と同様に、第2貼付対象物32に近接する側から基材22、第1絶縁層24、導電層16、第2絶縁層26をこの順序で備える(図3参照)。従って、各層の詳細な説明は省略する。
【0029】
第2配線印刷物30では、基材22、第1絶縁層24及び第2絶縁層26、導電層16の出発素材として、軟化温度が所定の関係を満たすものが選定される。具体的には、軟化温度は、導電性ペーストが最低温であり、第1絶縁層24及び第2絶縁層26が最高温、基材22がその間である。すなわち、軟化温度の高低に関し、下記の関係式が成立する。
導電性ペースト<基材22<第1絶縁層24及び第2絶縁層26
【0030】
なお、導電性ペースト及び基材22の軟化温度は、ガラス転移点である。また、第1絶縁層24及び第2絶縁層26の軟化温度は荷重撓み温度を指すが、第1絶縁層24及び第2絶縁層26の製造メーカーが「耐熱温度」の公称値として示す値を用いるようにしてもよい。上記の関係式を満たす基材22、第1絶縁層24及び第2絶縁層26、導電層16の出発素材としては、PET(ないし離型PET)、ポリウレタン、銀ペーストがそれぞれ挙げられる。
【0031】
第2実施形態に係る第2配線印刷物30は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0032】
第2配線印刷物30を第2貼付対象物32に接合するには、先ず、第2配線印刷物30を加熱する。この加熱は、基材22側から行うことが好ましい。また、この際には、導電性ペースト及び基材22が軟化温度を超える程度の熱を付与する。これにより、導電性ペースト及び基材22が十分に軟化する。
【0033】
次に、加熱されて導電性ペースト及び基材22が軟化した第2配線印刷物30を、第2貼付対象物32の一端面に載置する。この際、図6に示すように、第2配線印刷物30は、第2貼付対象物32の平板形状部13から半球状凸部34の頂部にわたって傾斜するように張る。従って、この時点では、第2貼付対象物32の平板形状部13と半球状凸部34との境界近傍と、第2配線印刷物30との間に閉空間40が形成される。
【0034】
次に、閉空間40内のガスが図示しないポンプ等の吸引機構によって吸引され、閉空間40外に排出される。これにより閉空間40内が負圧となるので、第2配線印刷物30の、閉空間40を画成する部位が、平板形状部13と半球状凸部34との境界近傍に接近して当接する。この状態で第2配線印刷物30の温度が下降すると、基材22が第2貼付対象物32に固着するに至る。
【0035】
第2配線印刷物30の、平板形状部13と半球状凸部34との境界近傍に対応する部位では、塑性変形部としての湾曲部42(曲部)が形成される。上記したように、第2実施形態では、第1絶縁層24及び第2絶縁層26の軟化温度(耐熱温度)が基材22及び導電性ペーストに比して大である。このため、導電性ペーストは、第1絶縁層24及び第2絶縁層26によって保護されながら、半球状凸部34の形状に倣って、基材22とともに変形する。すなわち、第2配線印刷物30は、形状追従性が良好となる。
【0036】
以上のような理由から、第2配線印刷物30においても、導電性フレーク18がバインダ20を介して接合した状態が維持される。このため、導電層16(配線)にクラックが発生することが抑制される。
【0037】
図7は、第1絶縁層24及び第2絶縁層26の合計厚みと、第2配線印刷物30の抵抗との関係を示したグラフである。このグラフから、合計厚みが大きくなると抵抗が低減していることがわかる。すなわち、導電性フレーク18がバインダ20を介して接合した状態が適切に維持される。
【0038】
第2配線印刷物30を得るには、基材22上に、第1絶縁層24、導電層16、第2絶縁層26をこの順序で個別に形成すればよい。上記したように、基材22、第1絶縁層24及び第2絶縁層26、導電層16の出発素材の好適な例としては、PET(ないし離型PET)、ポリカーボネート、銀ペースト(銀フレークとバインダ20、溶媒の混合物)がそれぞれ挙げられる。また、これら第1絶縁層24、導電層16、第2絶縁層26は、好適にはインクジェット印刷によって形成される。
【0039】
このようにして得られた第1配線印刷物10、第2配線印刷物30を、第1貼付対象物12、第2貼付対象物32に貼付するという簡便な作業を行うことにより、ユーザの希望する場所に適宜の配線を設けることができる。
【0040】
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、第1貼付対象物12に半球状凸部34等の湾曲した凸部を設けるようにしてもよいし、第2貼付対象物32に柱状凸部14等の屈曲した凸部を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10、30…配線印刷物 12、32…貼付対象物
14…柱状凸部 16…導電層
18…導電性フレーク 20…バインダ
22…基材 24、26…絶縁層
28…屈曲部 34…半球状凸部
40…閉空間 42…湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7