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特許7401379フォーカルプレーンシャッタおよび撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】フォーカルプレーンシャッタおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/36 20210101AFI20231212BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231212BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20231212BHJP
【FI】
G03B9/36 E
G03B17/02
H04N23/55
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020060006
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021157149
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-194605(JP,A)
【文献】特開2013-076746(JP,A)
【文献】特開2009-053433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/36
G03B 17/02
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地板と、
前記地板に設けられた開口部を開閉可能な羽根と、
前記羽根を駆動する駆動装置と、を備え、
前記駆動装置は、
前記羽根に駆動力を伝達する伝達部材と、
前記伝達部材に連結され、第1軸周りに回転する筒状の第1回転子と、
前記伝達部材に連結され、第2軸周りに回転する筒状の第2回転子と、
前記第1回転子および前記第2回転子を径方向において覆うように配置される第1ヨークおよび第2ヨークと、
前記第1ヨークに装着される第1ボビンと、
前記第1ボビンに巻き回される第1コイルと、
前記第2ヨークに装着される第2ボビンと、
前記第2ボビンに巻き回される第2コイルと、
前記第1ボビンおよび前記第2ボビンに設けられ、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンを連結する連結部と、を有し、
前記第1ボビンおよび前記第2ボビンは、第1側板部および第2側板部を含む同一形状を有し、
前記連結部は、互いに嵌め合わされ、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンにそれぞれ設けられる凸状部および凹状部を有し、
前記凸状部は、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンの前記第1側板部の端面にそれぞれ設けられた第1凸部と、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンの前記第2側板部の端面に設けられた第2凸部と、を含み、
前記凹状部は、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンの前記第1側板部の端面にそれぞれ設けられた切欠き部と、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンの前記第2側板部の端面にそれぞれ設けられた凹部と、を含み、
前記第1ボビンおよび前記第2ボビンは、各々の前記第1側板部および前記第2側板部の端面同士が対向するように配置され、各々の前記第1凸部および前記凹部が嵌め合わされ、各々の前記第2凸部および前記切欠き部が嵌め合わされることで、互いに連結される
フォーカルプレーンシャッタ。
【請求項2】
前記凹部は、前記第1側板部を貫通しない状態に設けられ、
前記切欠き部は、前記第2側板部を貫通した状態に設けられている
請求項1に記載のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項3】
地板と、
前記地板に設けられた開口部を開閉可能な羽根と、
前記羽根を駆動する駆動装置と、を備え、
前記駆動装置は、
前記羽根に駆動力を伝達する伝達部材と、
前記伝達部材に連結され、第1軸周りに回転する筒状の第1回転子と、
前記伝達部材に連結され、第2軸周りに回転する筒状の第2回転子と、
前記第1回転子および前記第2回転子を径方向において覆うように配置される第1ヨークおよび第2ヨークと、
前記第1ヨークに装着される第1ボビンと、
前記第1ボビンに巻き回される第1コイルと、
前記第2ヨークに装着される第2ボビンと、
前記第2ボビンに巻き回される第2コイルと、
前記第1ボビンおよび前記第2ボビンに設けられ、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンを連結する連結部と、
前記第1ボビンに設けられ、前記第1ヨークを前記第1ボビンに対して押圧する第1押圧部材と、
前記第2ボビンに設けられ、前記第2ヨークを前記第2ボビンに対して押圧する第2押圧部材と、を有する
フォーカルプレーンシャッタ。
【請求項4】
前記第1押圧部材は、前記第1ヨークが延びる方向と交差する方向に当該第1ヨークを押圧し、
前記第2押圧部材は、前記第2ヨークが延びる方向と交差する方向に当該第2ヨークを押圧する
請求項3に記載のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項5】
前記第1押圧部材および前記第2押圧部材は板状である
請求項3または請求項4に記載のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項6】
前記伝達部材は、前記第1回転子に連結されて回転する第1歯車部材と、前記第2回転子に連結されて回転する第2歯車部材と、前記第1歯車部材および前記第2歯車部材に噛み合うことで第3軸周りに回転する出力用歯車部材と、を有し、
前記第1軸および前記第2軸の中心同士を結ぶ仮想線に沿う方向において、前記第3軸は、前記第1軸と前記第2軸との間に配置されている
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項7】
前記第3軸の中心は前記仮想線上に位置しない
請求項6に記載のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のフォーカルプレーンシャッタを備える
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカルプレーンシャッタおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ等に用いられるフォーカルプレーンシャッタでは、羽根を駆動するための羽根駆動装置を備えている。例えば、下記特許文献1に開示のフォーカルプレーンシャッタでは、コイルへの通電により発生した磁力によって2つの回転子を回転させることで羽根を駆動する羽根駆動装置を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-45539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記羽根駆動装置は、2つの回転子を覆うようにコイルを巻回した一対のヨークを配置する構造を採用するため、装置を組み立てる際、各部材の位置合わせに手間が掛かるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、地板と、前記地板に設けられた開口部を開閉可能な羽根と、前記羽根を駆動する駆動装置と、を備え、前記駆動装置は、前記羽根に駆動力を伝達する伝達部材と、前記伝達部材に連結され、第1軸周りに回転する筒状の第1回転子と、前記伝達部材に連結され、第2軸周りに回転する筒状の第2回転子と、前記第1回転子および前記第2回転子を径方向において覆うように配置される第1ヨークおよび第2ヨークと、前記第1ヨークに装着される第1ボビンと、前記第1ボビンに巻き回される第1コイルと、前記第2ヨークに装着される第2ボビンと、前記第2ボビンに巻き回される第2コイルと、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンに設けられ、前記第1ボビンおよび前記第2ボビンを連結する連結部と、を有するフォーカルプレーンシャッタが提供される。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、地板と、前記地板に設けられた開口部を開閉可能な羽根と、前記羽根を駆動する駆動装置と、を備え、前記駆動装置は、前記羽根に駆動力を伝達する伝達部材と、前記伝達部材に連結され、第1軸周りに回転する筒状の第1回転子と、前記伝達部材に連結され、第2軸周りに回転する筒状の第2回転子と、前記第1回転子および前記第2回転子を径方向において覆うように配置される第1ヨークおよび第2ヨークと、前記第1ヨークに装着される第1ボビンと、前前記第1ボビンに設けられ、前記第1ヨークを前記第1ボビンに対して押圧する第1押圧部材と、前記第1ボビンに巻き回される第1コイルと、前記第2ヨークに装着される第2ボビンと、前記第2ボビンに設けられ、前記第2ヨークを前記第2ボビンに対して押圧する第2押圧部材と、前記第2ボビンに巻き回される第2コイルと、を有するフォーカルプレーンシャッタが提供される。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様のフォーカルプレーンシャッタを備える撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、組み立て性を向上できる、フォーカルプレーンシャッタおよび撮像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は羽根を閉じた状態におけるフォーカルプレーンシャッタの平面図である。
図2図2は羽根を開いた状態におけるフォーカルプレーンシャッタの平面図である。
図3図3は駆動装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図4図4は第1ボビンおよび第2ボビンの要部構成を示す図である。
図5図5は第1ボビンの側面図である。
図6図6は伝達部材を構成する各部材の配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るフォーカルプレーンシャッタについて説明する。本実施形態のフォーカルプレーンシャッタは、コイルへの通電により駆動するカメラなどの撮像装置に用いられるシャッタである。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0011】
図1および図2は本実施形態のフォーカルプレーンシャッタ100の平面図であり、図1は羽根2を閉じた状態(羽根走行完了状態)を示す図であり、図2は羽根2を開いた状態(羽根走行待機状態)を示す図である。
【0012】
図1および図2に示すように、本実施形態のフォーカルプレーンシャッタ100は、地板1と、羽根2と、第1アーム3aと、第2アーム3bと、駆動装置4と、を備える。地板1は、シャッタ地板1Aと補助地板1Bとを含む。シャッタ地板1Aと補助地板1Bとは、互いの板面を対向させて配置される。シャッタ地板1Aの補助地板1Bとは反対側を向く面に駆動装置4が配置される。
【0013】
地板1は、矩形状または略矩形状の開口部5を有する。開口部5は、シャッタ地板1Aに設けられた開口と、補助地板1Bに設けられた開口と、で構成される。シャッタ地板1Aと補助地板1Bとは、各々の開口が平面視で重なった状態となるとともに、互いが対向する方向に一定の間隔を空けて配置される。シャッタ地板1Aと補助地板1Bとの隙間は羽根室を構成する。羽根室には、羽根2、第1アーム3aおよび第2アーム3bなどが配置される。
【0014】
羽根2は、地板1に設けられた開口部5を開閉可能である。羽根2は、複数枚(例えば4枚)の細長状の羽根部材を含んで構成される。羽根2を構成するそれぞれの羽根部材の一端部には、軸を介して第1アーム3aおよび第2アーム3bが連結される。
【0015】
第1アーム3aおよび第2アーム3bは、羽根2と、駆動装置4とを連結するように配置され、駆動装置4による駆動力を羽根2に伝達するよう機能する。
具体的に第1アーム3aは、一端が羽根2に連結され、他端が駆動装置4に連結される。第2アーム3bは、一端が地板1に対して回転可能に支持されるとともに、羽根2を介して第1アーム3aに連結される。羽根2は、駆動装置4に連結された第1アーム3aに連動して第2アーム3bが回転することで羽根2が動作する。
【0016】
本実施形態のフォーカルプレーンシャッタ100では、地板1の開口部5により露光開口が画定されている。羽根2は、この露光開口を覆い(図1に示す状態)、または開放(図2に示す状態)するよう、駆動装置4により駆動される。撮像装置において、撮像のためのレリーズが行われると羽根2が移動(走行)する。羽根2の移動(走行)により開閉される露光開口の先(被写体とは逆側)には、撮像素子(図示略)が搭載された基板が配置されており、露光開口から入射される光を受光して、電気信号に変換する。撮像素子は、例えば、CCDまたはC-MOSなどの光電変換素子であり、受光した光を電気信号に変換し、情報処理回路を介して記憶装置に転送される。
【0017】
図3は駆動装置4の概略構成を示す分解斜視図である。図3に示すように、駆動装置4は、ケース6と、カバー部材7と、駆動機構部9と、伝達部材10と、を備える。
【0018】
ケース6は駆動機構部9および伝達部材10を収容し、駆動装置4を地板1に固定する。カバー部材7は、ケース6における駆動機構部9の収容領域側に配置される。ケース6およびカバー部材7は、例えば、金属製の部材で構成される。
【0019】
駆動機構部9は、第1回転子11と、第2回転子12と、第1ヨーク13と、第2ヨーク14と、第1ボビン15と、第2ボビン16と、第1コイル18と、第2コイル19と、を有する。
【0020】
以下の説明においては、特に断りのない限り、軸に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。なお、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0021】
第1回転子11および第2回転子12は、それぞれ円筒状の永久磁石である。第1回転子11はケース6の支持板部8に設けられた第1軸31に支持される。第1回転子11は第1軸31周りに回転する。第2回転子12はケース6の支持板部8に設けられた第2軸32に支持される。第2回転子12は第2軸32周りに回転する。第1回転子11および第2回転子12は周方向において異なる磁極を有するように構成される。
【0022】
第1回転子11の周面の一部は、第1ヨーク13および第2ヨーク14により覆われる。同様に、第2回転子12の周面の一部は、第1ヨーク13および第2ヨーク14により覆われる。なお、図3では、図を見やすくするため、第1回転子11および第2回転子12を第1ヨーク13および第2ヨーク14の上方に離間させた状態で示している。
【0023】
本実施形態において、第1ヨーク13および第2ヨーク14は、第1回転子11および第2回転子12を径方向において覆うように配置される。なお、第1回転子11および第2回転子12の周面と、第1ヨーク13および第2ヨーク14とは所定の隙間を開けて配置されている。
【0024】
第1ヨーク13および第2ヨーク14は、それぞれ羽根2の走行方向に沿って延びる棒状の形状を有する。第1ヨーク13および第2ヨーク14は、それぞれ第1回転子11および第2回転子12と対向する部位が、第1回転子11および第2回転子12の外周面に沿って円弧状に湾曲している。第1ヨーク13および第2ヨーク14は、互いに対称的な形状であって、同様の大きさである。第1ヨーク13および第2ヨーク14は、それぞれ鉄などの磁性材料からなる複数(例えば、2枚)の鋼板を積層して構成される。
【0025】
第1ボビン15は、第1ヨーク13に装着される。第1コイル18は、第1ヨーク13に巻き回される。第2ボビン16は、第2ヨーク14に装着される。第2コイル19は、第2ヨーク14に巻き回される。
【0026】
図4は第1ボビン15および第2ボビン16の要部構成を示す図である。図5は第1ボビン15の側面構造を示す図である。
図4に示すように、第1ボビン15および第2ボビン16は、それぞれ第1ヨーク13および第2ヨーク14を挿入可能な略筒状である。
【0027】
第1ボビン15は、第1ヨーク13を挿入する筒部41と、筒部41の軸方向における中央に設けられ、筒部41の外周面を2つに分割する板状の仕切部42と、筒部41の両端に設けられる一対の側板部43,44と、側板部43,44に設けられる押圧部材(第1押圧部材)45と、を有する。第1ヨーク13は、側板部43に設けられた貫通孔47および側板部44に設けられた貫通孔48を介して筒部41内に挿入される。
【0028】
第1ボビン15は、巻回部15aと巻回部15bとを有する。巻回部15aは側板部43および仕切部42間に挟まれた筒部41の外周面により構成される。巻回部15bは側板部44および仕切部42間に挟まれた筒部41の外周面により構成される。
【0029】
第1コイル18は、巻回部15aおよび巻回部15bにそれぞれ巻き付けられる。なお、巻回部15a,15bにおける第1コイル18の巻き数は同一でもよいし、異なってもよい。
【0030】
押圧部材45は第1ヨーク13を第1ボビン15に対して押圧する部材である。図4および図5に示されるように、押圧部材45は、側板部43,44に設けられた貫通孔47および貫通孔48の開口端の一方側(図5中の上側)にそれぞれ設けられる。押圧部材45は側板部43、44の仕切部42と反対側を向く面にそれぞれ設けられ、第1ヨーク13に沿って延びる板状である。
【0031】
なお、押圧部材45を設ける位置および数は上記に限定されない。例えば、押圧部材45は、貫通孔47,48の開口端の両側(図5中の上側および下側)に設けられてもよい。また、押圧部材45は、貫通孔47,48の開口端のうちの第1ボビン15および第2ボビン16の配列方向(図4中の左右方向)に位置する開口端に設けられてもよい。
【0032】
押圧部材45は、第1ヨーク13の側面13aに接触することで、第1ヨーク13を貫通孔47,48の開口端の他方側(図5中の下側)に押圧する。すなわち、押圧部材45は、第1ヨーク13が延びる方向と交差する方向に第1ヨーク13を押圧する。これにより、第1ヨーク13は筒部41の内面に押し付けられる。よって、第1ヨーク13は第1ボビン15に安定的に保持された状態となる。この構成によれば、第1ヨーク13および第1ボビン15は略一体化されることで一つの組立部品として取り扱うことが可能となる。よって、駆動装置4を組み立てる際の組み立て性が向上する。結果的に、駆動装置4を備えるフォーカルプレーンシャッタ100の組み立て性を向上できる。
【0033】
本実施形態の第1ヨーク13は、押圧部材45による押圧力によって第1ボビン15との間で生じるガタツキを低減できる。そのため、第1ボビン15に巻回した第1コイル18に通電した際に発生するローレンツ力による反発によって第1ボビン15および第1ヨーク13が動くことによる衝突音の発生を抑制できる。
【0034】
押圧部材45は所定のばね性を有している。そのため、例えば、第1ボビン15に対して第1ヨーク13を組み付ける際、押圧部材45を押し上げて第1ヨーク13を第1ボビン15に容易に取り付けることができる。また、押圧部材45が所定のばね性を有するため、押圧部材45と第1ヨーク13とが強く擦れることによる削りカスの発生を抑え、ゴミの発生を抑制できる。
【0035】
本実施形態において、第1ボビン15および第2ボビン16は同一形状を有する。すなわち、第2ボビン16は、図4に示すように、筒部41と仕切部42と一対の側板部43,44と、側板部43,44に設けられる押圧部材(第2押圧部材)46と、を有する。
【0036】
第2ボビン16は、巻回部16aと巻回部16bとを有する。巻回部16aは側板部43および仕切部42間に挟まれた筒部41の外周面により構成される。巻回部16bは側板部44および仕切部42間に挟まれた筒部41の外周面により構成される。
【0037】
第2コイル19は、巻回部16aおよび巻回部16bにそれぞれ巻き付けられる。なお、巻回部16a、16bにおける第2コイル19の巻き数は同一でもよいし、異なってもよい。また、4つの巻回部15a,15b,16a,16bに巻き回された各コイルに対して同時に通電する構成を採用してもよいし、独立に通電可能な構成としてもよい。これにより、第1ヨーク13および第2ヨーク14に発生する磁力を変化させることができる。
【0038】
第1ヨーク13と同様、押圧部材46は、第2ヨーク14が延びる方向と交差する方向に第2ヨーク14を押圧する。これにより、第2ヨーク14は第2ボビン16に安定した状態で装着される。よって、第2ヨーク14および第2ボビン16は一つの組立部品として取り扱うことができるので、駆動装置4の組立性を向上することができる。
【0039】
本実施形態の駆動機構部9では、第1ボビン15および第2ボビン16が連結部17により連結されている。
本実施形態の連結部17は、第1ボビン15および第2ボビン16の一方に少なくとも設けられる凸状部(凸部43aおよび凸部44a)と、第1ボビン15および第2ボビン16の他方に少なくとも設けられ、凸状部材に嵌め合わされる凹状部(切欠き部43bおよび凹部44b)と、を有する。連結部17は、側板部43における凸部43aおよび切欠き部43bと、側板部44における凸部44aおよび凹部44bとで構成される。以下、連結部17の構成について説明する。
【0040】
側板部43は凸部43aと切欠き部43bとを有する。凸部43aおよび切欠き部43bは側板部43の一つの端面143に設けられる。切欠き部43bは側板部43を板厚方向に貫通した状態に設けられる。
【0041】
側板部44は凸部44aと凹部44bとを有する。凸部44aは側板部44の一つの端面144に設けられる。凹部44bは、側板部44における仕切部42と対向する側の面に設けられ、端面144側に開口している。側板部44は、凹部44bが設けられる部分の厚さが他の部分より厚く、凹部44bは側板部44を貫通しない状態に設けられている。
【0042】
側板部44の凸部44aと側板部43の切欠き部43bとは互いに対応した形状を有する。すなわち、凸部44aおよび切欠き部43bは、例えば圧入することで互いに嵌め込み可能な寸法および形状を有している。なお、筒部41の延びる方向において、側板部44の凸部44aと側板部43の切欠き部43bとは対応する位置(同様の位置)に設けられている。
【0043】
側板部44の凹部44bと側板部43の凸部43aとは互いに対応した形状を有する。凹部44bおよび凸部43aは、例えば、圧入することで互いに嵌め込み可能な寸法および形状を有している。なお、筒部41の延びる方向において、側板部44の凹部44bと側板部43の凸部43aとは対応する位置(同様の位置)に設けられている。
【0044】
第1ボビン15および第2ボビン16は、各々の側板部43の端面143および側板部44の端面144同士を対向させるように配置した際、各々の凸部43aおよび凹部44b同士が対向し、各々の凸部44aおよび切欠き部43b同士が対向した状態となる。
【0045】
第1ボビン15および第2ボビン16は、各々の側板部43および側板部44同士の間で、凸部43aおよび凹部44bを嵌め合わせるとともに凸部44aおよび切欠き部43bを嵌め合わせることで、各々の側板部43の端面143および側板部44の端面144同士が接触した状態で連結可能となる。
【0046】
連結部17は、凸部43aおよび凹部44bが嵌め合わされることで、第1ボビン15および第2ボビン16が並ぶ第1方向D1と、第1方向D1(図4、5参照)に交差(直交)するとともに第1軸31および第2軸32に沿う第2方向D2(図4、5参照)と、の二方向における移動を規制した状態で第1ボビン15および第2ボビン16同士を連結する。
【0047】
また、連結部17は、切欠き部43bおよび凸部44aが嵌め合わせることで、筒部41の軸方向に沿う第3方向D3(図5参照)における移動を規制した状態で第1ボビン15および第2ボビン16同士を連結する。
【0048】
駆動機構部9を組み立てる際、はじめに、第1コイル18を巻回した第1ボビン15と第2コイル19を巻回した第2ボビン16とを連結部17で連結する。その後、第1ボビン15および第2ボビン16に第1ヨーク13および第2ヨーク14を装着する。
【0049】
このとき、第1ボビン15および第2ボビン16は連結部17によって互いが位置決めされた状態で一体化(ユニット化)されるため、一つの組立部品として取り扱うことができる。よって、第1ヨーク13および第2ヨーク14の装着する組み立て作業が容易となる。
【0050】
また、第1ヨーク13および第2ヨーク14は第1ボビン15および第2ボビン16に押圧された状態で装着されるため、第1コイル18を巻回した第1ボビン15と第2コイル19を巻回した第2ボビン16と第1ヨーク13および第2ヨーク14とは一つの組立部品として取り扱うことができる。よって、当該組み立て部品を、第1回転子11および第2回転子12と伝達部材10とともにケース6に取り付けて駆動装置4を組み立てる作業が容易となる。
【0051】
図3に示される伝達部材10は駆動機構部9の駆動力を羽根2に伝達する。伝達部材10は、出力用歯車部材20と、第1歯車部材21と、第2歯車部材22と、を有する。
【0052】
第1歯車部材21は、駆動機構部9の第1回転子11に連結される。第1歯車部材21は、第1回転子11における第1ヨーク13および第2ヨーク14と対向する位置の軸方向一方側(地板1側)に取り付けられている。第1歯車部材21は、第1回転子11とともに第1軸31周りに回転可能とされる。
【0053】
第1歯車部材21は、歯輪部21aと、取付部21bと、を含む。歯輪部21aは、第1歯車部材21における外周面の周方向に並ぶ複数のギア歯を含む。取付部21bは、第1歯車部材21を第1回転子11に取り付ける部位である。
【0054】
第2歯車部材22は、駆動機構部9の第2回転子12に連結される。第2歯車部材22は、第2回転子12における第1ヨーク13および第2ヨーク14と対向する位置の軸方向一方側(地板1側)に取り付けられている。第2歯車部材22は、第2回転子12とともに第2軸32周りに回転可能とされる。
【0055】
第2歯車部材22は、歯輪部22aと、取付部22bと、を含む。歯輪部22aは、第2歯車部材22における外周面の周方向に並ぶ複数のギア歯を含む。取付部22bは、第2歯車部材22を第2回転子12に取り付ける部位である。
【0056】
第1回転子11に取り付けられた出力用歯車部材20は、ケース6の支持板部8に設けられた第3軸33に支持され、第3軸33周りに回転する。第3軸33は、支持板部8における第1軸31および第2軸32と反対側の面に設けられている。
【0057】
第1歯車部材21の歯輪部21aは、支持板部8に設けられた切欠き8aを介して出力用歯車部材20側に配置される。同様に、第2歯車部材22の歯輪部22aは、支持板部8に設けられた切欠き8bを介して出力用歯車部材20側に配置される。なお、歯輪部21aおよび歯輪部22aは軸方向における一部の肉厚を薄くすることで、後述する出力用歯車部材20のアーム接続部20bとの干渉を回避している。
【0058】
出力用歯車部材20は、歯輪部20aと、アーム接続部20bと、を有する。歯輪部20aは、出力用歯車部材20における外周面の周方向に並ぶ複数のギア歯を含む。アーム接続部20bは、外周面の一部に径方向外側に延びるように設けられる。出力用歯車部材20において、歯輪部20aはアーム接続部20bが設けられた部分以外の領域に設けられている。
【0059】
アーム接続部20bは、第1アーム3aに接続される接続用凸部23を有する。接続用凸部23は、シャッタ地板1Aの長穴25を介して第1アーム3a側に設けられた穴24に挿入されるとともに補助地板1Bの長穴26に挿入される。なお、第1アーム3aは、第3軸33に対して回転可能に支持されている。
【0060】
出力用歯車部材20の歯輪部20aは、第1歯車部材21の歯輪部21aおよび第2歯車部材22の歯輪部22aと噛み合う。すなわち、出力用歯車部材20は、第1歯車部材21および第2歯車部材22と噛み合っている。
【0061】
上記構成を有する駆動機構部9において、第1回転子11および第2回転子が回転すると、第1歯車部材21および第2歯車部材22を介して、出力用歯車部材20に駆動力が伝達される。
【0062】
出力用歯車部材20は、アーム接続部20bを介して第1アーム3aに接続されるため、出力用歯車部材20の回転に伴って、第1アーム3aおよび第2アーム3bが動作する。
【0063】
続いて、伝達部材10を構成する各部材(出力用歯車部材20、第1歯車部材21および第2歯車部材22)の配置について説明する。
図6は出力用歯車部材20、第1歯車部材21および第2歯車部材22の配置を示す平面図である。図6において、第1軸31および第2軸32の中心31C,32C同士を結ぶ仮想線を符号Lで示す。
【0064】
本実施形態の駆動装置4では、仮想線Lに沿う方向(図6中の上下方向)において、第3軸33は、第1軸31と第2軸32との間に配置されている。すなわち、仮想線Lに沿う方向において、出力用歯車部材20は第1歯車部材21および第2歯車部材22の間に位置している。この構成によれば、出力用歯車部材20、第1歯車部材21および第2歯車部材22の外径の大型化を抑えつつ、各部材同士をかみ合わせ可能に配置するとともに駆動装置4を小型化することができる。その結果、駆動装置4を備えるフォーカルプレーンシャッタ100も小型化できる。
【0065】
また、本実施形態の駆動装置4において、第3軸33の中心33Cは仮想線L上に位置しない。すなわち、出力用歯車部材20は、第1歯車部材21および第2歯車部材22の間から仮想線Lに交差する方向にずれて配置される。
この構成によれば、出力用歯車部材20、第1歯車部材21および第2歯車部材22の間で所定の減速比を維持しつつ、駆動装置4を小型化することができる。その結果、駆動装置4を備えるフォーカルプレーンシャッタ100も小型化できる。
【0066】
続いて、本実施形態のフォーカルプレーンシャッタ100における羽根2の走行動作について説明する。ここでは、図2に示した羽根2を開いた状態(羽根走行待機状態)から図1に示した羽根2を閉じた状態(羽根走行完了状態)へと変化する動作について説明する。
【0067】
図2に示す羽根走行待機状態では、外部からの衝撃などによって第1回転子11および第2回転子12が回転しないよう、第1ヨーク13および第2ヨーク14と第1回転子11および第2回転子12との間で発生する吸着力及び反発力により、第1回転子11および第2回転子12の位置が保持されている。
【0068】
この状態において、例えば、第1ヨーク13および第2ヨーク14に一定以上の磁力が発生すると、第1回転子11および第2回転子12が回転する。レリーズが行われると、第1コイル18および第2コイル19に対する通電が行われる。第1コイル18および第2コイル19に対する通電が行われると、第1ヨーク13および第2ヨーク14に発生した磁力によって、第1回転子11および第2回転子12が回転する。
【0069】
第1回転子11および第2回転子12の回転に伴って、第1歯車部材21および第2歯車部材22が回転し、第1歯車部材21および第2歯車部材22に噛み合った出力用歯車部材20が回転する。出力用歯車部材20が回転すると、その回転力は第1アーム3aおよび第2アーム3bを介して羽根2に伝達され、羽根2が動作(走行)する。羽根2が動作(走行)すると、フォーカルプレーンシャッタ100は図1に示す羽根走行完了状態となる。
【0070】
なお、図1に示す羽根走行完了状態から、図2に示す羽根走行待機状態への動作は、上記とは逆の動作により行われる。
【0071】
以上に説明した本実施形態のフォーカルプレーンシャッタ100によれば、第1ボビン15および第2ボビン16を連結する連結部17を有する構成としたことで、第1ボビン15および第2ボビン16を一つの組立部品として取り扱うことが可能となる。
これにより、第1ボビン15および第2ボビン16に対する第1ヨーク13および第2ヨーク14の装着作業が容易となり、駆動装置4の組み立て性が向上する。その結果、駆動装置4を含むフォーカルプレーンシャッタ100の組み立て性を向上できる。
【0072】
また、本実施形態のフォーカルプレーンシャッタ100によれば、第1ヨーク13および第2ヨーク14を第1ボビン15および第2ボビン16に押圧する押圧部材45,46を有する構成としたことで、第1ヨーク13を装着した第1ボビン15あるいは第2ヨーク14を装着した第2ボビン16を一つの組立部品として取り扱うことが可能となる。
これにより、駆動装置4の組み立て性が向上する。その結果、駆動装置4を含むフォーカルプレーンシャッタ100の組み立て性を向上できる。
【0073】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0074】
例えば、上記実施形態のフォーカルプレーンシャッタ100は、1組の羽根2を有する場合を例に挙げたが、先羽根及び後羽根の2組の羽根を有する構成を採用してもよい。この場合において、先羽根及び後羽根について、それぞれ駆動装置4を備える構成となる。
【0075】
また、上記実施形態のフォーカルプレーンシャッタ100では、第1ボビン15および第2ボビン16のそれぞれについてコイルを巻き付ける部位(巻き付け部)を2つずつ設ける場合を例に挙げたが、巻き付け部の数は1つでもよいし、3つ以上の数で構成してもよい。
また、第1ボビン15および第2ボビン16において、各コイル18,19はそれぞれ独立した巻き付け部に巻回する必要はなく、1つの巻き付け部に対して複数のコイルを巻回する構成を採用してもよい。
【0076】
また、上記実施形態のフォーカルプレーンシャッタ100の開口部5は、矩形状または略矩形状に形成されていたが、必ずしも矩形状または略矩形状に限定されるものではなく、方形状または略方形状に形成されてもよい。また、方形状以外に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…地板、2…羽根、4…駆動装置、5…開口部、10…伝達部材、11…第1回転子、12…第2回転子、13…第1ヨーク、14…第2ヨーク、15…第1ボビン、16…第2ボビン、17…連結部、18…コイル、18…第1コイル、19…第2コイル、20…出力用歯車部材、21…第1歯車部材、22…第2歯車部材、31…第1軸、32…第2軸、33…第3軸、45,46…押圧部材、45…押圧部材(第1押圧部材)、46…押圧部材(第2押圧部材)、100…フォーカルプレーンシャッタ、L…仮想線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6