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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】排水配管システム
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20231212BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20231212BHJP
   E03C 1/122 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
E03C1/12 E
E03D11/00 A
E03C1/122 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020067661
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021161840
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】岡本 晃
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-148140(JP,A)
【文献】特開2018-204245(JP,A)
【文献】特開2015-078514(JP,A)
【文献】特開2020-012353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12- 1/33
A47K 11/00-11/12
E03F 1/00-11/00
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を排出する排水設備に接続された流入管路と、
前記流入管路の下流端に接続された切替配管部材と、
前記流入管路よりも下流側に配置され、上流端が前記切替配管部材に接続された第1流出管路と、
水が貯留された貯水手段と、
上流端が前記貯水手段に接続され、下流端が前記切替配管部材に接続された洗浄水流出管路と、
を備え、
前記切替配管部材は、
前記流入管路の下流端に接続された第1流入口、前記洗浄水流出管路の下流端に接続された第2流入口、および、前記第1流出管路の上流端に接続された流出口を有する中空の本体と、
前記本体内に配置され、前記第1流入口および前記第2流入口を選択的に閉鎖可能な閉鎖部材と、
を有し、
前記切替配管部材、前記第1流出管路、および、前記洗浄水流出管路のうちの少なくとも何れか1つには、仮設トイレが取り付け可能であり、
前記貯水手段には、前記第1流出管路から排出された排水が流れる管路が接続されていない、排水配管システム。
【請求項2】
排水を排出する排水設備に接続された流入管路と、
前記流入管路の下流端に接続された切替配管部材と、
前記流入管路よりも下流側に配置され、上流端が前記切替配管部材に接続された第1流出管路と、
水が貯留された貯水手段と、
上流端が前記貯水手段に接続され、下流端が前記切替配管部材に接続された洗浄水流出管路と、
を備え、
前記切替配管部材は、
前記流入管路の下流端に接続された第1流入口、前記洗浄水流出管路の下流端に接続された第2流入口、および、前記第1流出管路の上流端に接続された流出口を有する中空の本体と、
前記本体内に配置され、前記第1流入口および前記第2流入口を選択的に閉鎖可能な閉鎖部材と、
を有し、
前記切替配管部材、前記第1流出管路、および、前記洗浄水流出管路のうちの少なくとも何れか1つには、仮設トイレが取り付け可能であり、
前記切替配管部材は、上方に開口し、蓋および仮設トイレを選択的に取り付け可能な取付口を有する、排水配管システム。
【請求項3】
排水を排出する排水設備に接続された流入管路と、
前記流入管路の下流端に接続された切替配管部材と、
前記流入管路よりも下流側に配置され、上流端が前記切替配管部材に接続された第1流出管路と、
水が貯留された貯水手段と、
上流端が前記貯水手段に接続され、下流端が前記切替配管部材に接続された洗浄水流出管路と、
前記洗浄水流出管路の途中部分に設けられた上流配管部材と、
を備え、
前記切替配管部材は、
前記流入管路の下流端に接続された第1流入口、前記洗浄水流出管路の下流端に接続された第2流入口、および、前記第1流出管路の上流端に接続された流出口を有する中空の本体と、
前記本体内に配置され、前記第1流入口および前記第2流入口を選択的に閉鎖可能な閉鎖部材と、
を有し、
前記切替配管部材、前記第1流出管路、および、前記洗浄水流出管路のうちの少なくとも何れか1つには、仮設トイレが取り付け可能であり、
前記上流配管部材は、上方に開口し、蓋および仮設トイレを選択的に取り付け可能な上流取付口を有する、排水配管システム。
【請求項4】
前記第1流出管路の途中部分に設けられた下流配管部材を備え、
前記下流配管部材は、上方に開口し、蓋および仮設トイレを選択的に取り付け可能な下流取付口を有する、請求項1から3までの何れか1つに記載された排水配管システム。
【請求項5】
前記第1流出管路の下流端に接続された下流切替配管部材と、
上流端が前記下流切替配管部材に接続された第2流出管路と、
前記下流切替配管部材に接続され、排水が貯留される貯留槽と、
を備え、
前記下流切替配管部材は、前記第1流出管路から前記第2流出管路に排水を流す第1の状態と、前記第1流出管路から前記貯留槽に排水を流す第2の状態とに切り替え可能に構成されている、請求項1から4までの何れか1つに記載された排水配管システム。
【請求項6】
前記第2流出管路よりも下流側に配置された第3流出管路と、
前記第2流出管路の下流端、および、前記第3流出管路の上流端に接続され、前記第3流出管路から前記第2流出管路へ排水が逆流することを防止する逆流防止配管部材と、
を備えた、請求項5に記載された排水配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震などの災害が発生すると、多数の人々が避難場所に避難し、避難場所で生活する場合がある。避難者は、避難場所でトイレを使用したいときがあるが、避難場所に予め設置されたトイレを使用することができないことがあった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、仮設トイレを避難場所に設置できるようにするための仮設トイレ用配管システムが提案されている。この仮設トイレ用配管システムでは、一端が水源に接続され、他端が下水本管に接続された流出管路が地中に埋設されている。流出管路には、立管が接続されており、立管には仮設トイレが取り付け可能である。この仮設トイレ用配管システムでは、通常時には、立管に仮設トイレが取り付けられておらず、流出管路は使用されない。災害時には、立管に仮設トイレが取り付けられ、流出管路は、仮設トイレから排出された汚水を流す管路として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5643888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、上記の仮設トイレ用配管システムは、通常時には使用されず、災害時にのみ使用されるシステムであった。そのため、災害が発生しない場合には、長期間使用されない状態となることがあった。使用されない期間は短い方が好ましく、仮設トイレ用配管システムは、通常時であっても有効活用されることが好ましい。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、災害時において仮設トイレからの汚水を排出するシステムを、通常時でも有効活用することが可能な排水配管システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る排水配管システムは、排水を排出する排水設備に接続された流入管路と、前記流入管路の下流端に接続された切替配管部材と、前記流入管路よりも下流側に配置され、上流端が前記切替配管部材に接続された第1流出管路と、水が貯留された貯水手段と、上流端が前記貯水手段に接続され、下流端が前記切替配管部材に接続された洗浄水流出管路と、を備えている。前記切替配管部材は、前記流入管路の下流端に接続された第1流入口、前記洗浄水流出管路の下流端に接続された第2流入口、および、前記第1流出管路の上流端に接続された流出口を有する中空の本体と、前記本体内に配置され、前記第1流入口および前記第2流入口を選択的に閉鎖可能な閉鎖部材と、を有している。前記切替配管部材、前記第1流出管路、および、前記洗浄水流出管路のうちの少なくとも何れか1つには、仮設トイレが取り付け可能である。
【0008】
前記排水配管システムによれば、災害時には、切替配管部材の閉鎖部材で、切替配管部材の第1流入口を閉鎖し、切替配管部材、第1流出管路、および、洗浄水流出管路のうちの少なくとも何れかに仮設トイレを取り付ける。そのため、災害時には、貯水手段に貯留された水を洗浄水流出管路から第1流出管路に流すことで、仮設トイレから排出された汚水を第1流出管路の下流側に向かって流すシステムとして使用することができる。一方、通常時には、切替配管部材の閉鎖部材で、切替配管部材の第2流入口を閉鎖する。そのため、通常時には、排水設備から排出された排水を、流入管路から第1流出管路に向かって流すシステムとして使用することができる。よって、災害時に仮設トイレからの汚水を排出する排水配管システムを、通常時でも有効活用することができる。
【0009】
本発明の好ましい一態様によれば、前記切替配管部材は、上方に開口し、蓋および仮設トイレを選択的に取り付け可能な取付口を有する。
【0010】
上記態様によれば、切替配管部材の取付口に仮設トイレを取り付けることで、仮設トイレから排出された汚水を、切替配管部材を通じて第1流出管路へ排出することができる。排水の流路を切り替える切替配管部材を、仮設トイレを取り付けるための部材として使用することができる。
【0011】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記排水配管システムは、前記第1流出管路の途中部分に設けられた下流配管部材を備えている。前記下流配管部材は、上方に開口し、蓋および仮設トイレを選択的に取り付け可能な下流取付口を有している。
【0012】
上記態様によれば、仮設トイレを、下流配管部材を介して第1流出管路に容易に取り付けることができる。下流配管部材の下流取付口に仮設トイレを取り付けることで、仮設トイレから排出された汚水を、下流配管部材を通じて第1流出管路へ排出することができる。
【0013】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記排水配管システムは、前記洗浄水流出管路の途中部分に設けられた上流配管部材を備えている。前記上流配管部材は、上方に開口し、蓋および仮設トイレを選択的に取り付け可能な上流取付口を有している。
【0014】
上記態様によれば、仮設トイレを、上流配管部材を介して洗浄水流出管路に容易に取り付けることができる。上流配管部材の上流取付口に仮設トイレを取り付けることで、仮設トイレから排出された汚水を、上流配管部材を通じて洗浄水流出管路へ排出することができる。
【0015】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記排水配管システムは、前記第1流出管路の下流端に接続された下流切替配管部材と、上流端が前記下流切替配管部材に接続された第2流出管路と、前記下流切替配管部材に接続され、排水が貯留される貯留槽と、を備えている。前記下流切替配管部材は、前記第1流出管路から前記第2流出管路に排水を流す第1の状態と、前記第1流出管路から前記貯留槽に排水を流す第2の状態とに切り替え可能に構成されている。
【0016】
上記態様によれば、下流切替配管部材の状態を第1の状態にすることで、排水設備から排出された排水、および、仮設トイレから排出された汚水を、第2流出管路に排出することができる。例えば第2流出管路が破損した場合であっても、下流切替配管部材の状態を第2の状態にすることで、排水設備から排出された排水、および、仮設トイレから排出された汚水を、貯留槽に排出することができる。よって、下流切替配管部材の状態を変更することで、排水の排出先を第2流出管路か貯留槽かに変更することができる。
【0017】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記排水配管システムは、前記第2流出管路よりも下流側に配置された第3流出管路と、前記第2流出管路の下流端、および、前記第3流出管路の上流端に接続され、前記第3流出管路から前記第2流出管路へ排水が逆流することを防止する逆流防止配管部材と、を備えている。
【0018】
上記態様によれば、逆流防止配管部材によって前記第3流出管路から前記第2流出管路へ排水が逆流することを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、災害時において仮設トイレからの汚水を排出するシステムを、通常時でも有効活用することが可能な排水配管システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した平面図である。
図2】実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した正面図である。
図3】実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した正面図である。
図4】配管部材を示す正面断面図である。
図5】給水開閉ゲートを示す正面断面図である。
図6】給水開閉ゲートを示す正面断面図である。
図7】切替配管部材の切替ますを示す平面図である。
図8】切替配管部材の切替ますを示す平面図である。
図9図7のIX-IX断面における切替配管部材の断面図である。
図10図8のX-X断面における切替配管部材の断面図である。
図11】下流配管部材を示す正面断面図である。
図12】下流切替配管部材の下流切替ますを示す平面図である。
図13図12のXIII-XIII断面における下流切替配管部材の断面図である。
図14】逆流防止配管部材を示す正面断面図である。
図15】他の実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した正面図である。
図16】上流配管部材を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る排水配管システムの実施の形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る排水配管システム1を模式的に示した平面図である。図2および図3は、排水配管システム1を模式的に示した正面図である。図2および図3では、洗浄水流出管路10、および、流入管路11の一部の図示は省略されている。また、図3では、排水配管システム1に仮設トイレ4が設置された状態が示されている。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る排水配管システム1は、通常時には、建物5内の排水設備6から下水本管8に向かって排水を排出する。地震などの災害時には、排水配管システム1は、図3に示すように、仮設トイレ4が設置されたシステムとして使用され、仮設トイレ4から排出された汚水を下水本管8などに排出する。
【0024】
ここで、排水には、トイレ、台所の流し台、風呂などの、生活において排出される汚水や、雨水が含まれる。上記の排水設備6は、排水を排出する設備であり、例えばトイレ、風呂、台所の流し台などである。なお、本実施形態では、図1に示すように、排水設備6は、建物5内に配置されているが、建物5に配置されておらず、屋外(例えば公園)などに配置されていてもよい。
【0025】
排水配管システム1は、洗浄水流出管路10と、流入管路11と、流出管路12と、枝管路20と、配管部材30と、給水タンク40と、給水開閉ゲート50と、切替配管部材70と、下流配管部材110と、下流切替配管部材120と、貯留槽150と、逆流防止配管部材160とを備えている。
【0026】
以下の説明において、水および排水は上流から下流に向かって流れる。上流側とは、排水設備6側または給水タンク40側のことをいう。下流側とは、下水本管8側のことをいう。
【0027】
洗浄水流出管路10、流入管路11および流出管路12は、地中に埋設されている。洗浄水流出管路10は、給水タンク40内の水を、流出管路12へ流す管路である。給水タンク40内の水は、流出管路12内を洗浄するための水であり、洗浄水流出管路10は、流出管路12を洗浄するための水が流れる管路である。洗浄水流出管路10の上流端は、給水タンク40に接続されている。ここでは、洗浄水流出管路10の上流端は、給水開閉ゲート50に接続されており、給水開閉ゲート50を介して給水タンク40に接続されている。洗浄水流出管路10の下流端は、切替配管部材70に接続されている。
【0028】
流入管路11は、排水設備6から排出された排水を流出管路12へ流す管路である。流入管路11の途中部分には、複数の排水設備6が接続されている。流入管路11の下流端は、切替配管部材70に接続されている。
【0029】
流出管路12は、洗浄水流出管路10から流れた水、および、流入管路11から流れた排水を下水本管8に流す管路である。ここでは、流出管路12の上流端は、切替配管部材70に接続されている。流出管路12の下流端は、下水本管8に接続されている。本実施形態では、流出管路12は、第1流出管路12a~第4流出管路12dを有している。ここでは、切替配管部材70から下水本管8に向かって、第1流出管路12a、第2流出管路12b、第3流出管路12c、第4流出管路12dの順に並んで配置されている。
【0030】
枝管路20は、排水設備6と流入管路11とを繋ぐものである。なお、枝管路20の数は特に限定されず、例えば排水設備6の数、および、配管部材30の数に応じて決定されるものである。本実施形態では、排水設備6の数、および、配管部材30の数は、共に5つである。そのため、枝管路20の数も5つである。枝管路20の上流端は排水設備6に接続されている。枝管路20の下流端は流入管路11に接続されている。詳しくは、枝管路20の下流端は、配管部材30に接続されており、配管部材30を介して流入管路11に間接的に接続されている。
【0031】
なお、本実施形態では、「管路」は、1つの管で構成されていてもよいし、複数の管と、管同士を繋ぐ継手とによって構成されていてもよい。また、洗浄水流出管路10、流入管路11、流出管路12および枝管路20は、直線状のものであってもよいし、一部が曲がっているものであってもよい。
【0032】
配管部材30は、流入管路11の途中部分に設けられている。ただし、図示は省略するが、配管部材30は、流入管路11の上流端に設けられてもよい。ここでは、複数の配管部材30が流入管路11に設けられているが、それらの間隔は同じであってもよいし、異なってもよい。図4は、配管部材30の正面断面図である。図4に示すように、配管部材30は、排水ます31と、立管38とを備えている。
【0033】
排水ます31は、有底であり、中空の部材によって形成されている。排水ます31は、点検口32と、第1流入口33と、第2流入口34と、流出口35とを有している。点検口32は、上方に開口している。第1流入口33、第2流入口34および流出口35は、それぞれ側方に開口している。第1流入口33および流出口35には、流入管路11が接続されている。詳しい図示は省略するが、第2流入口34には、枝管路20の下流端が接続されている。なお、上述のように、図示は省略するが、流入管路11の上流端には、配管部材30が接続されているが、流入管路11の上流端に接続されている配管部材30において、第1流入口33は、排水ます31に形成されていない。
【0034】
立管38は、上下に延びており、排水ます31の点検口32に接続されている。立管38は、点検口32から上方に向かって延びている。立管38には、上方に向かって開口した取付口39が形成されている。取付口39には、蓋3が取り付けられている。なお、本実施形態では、災害時に、取付口39に仮設トイレ4が取り付けられないが、取付口39に仮設トイレ4が取り付けられてもよい。すなわち、流入管路11に仮設トイレ4が取り付けられてもよい。
【0035】
図1に示すように、給水タンク40は、洗浄水流出管路10および流出管路12に流す水が貯留されているタンクである。給水タンク40は、洗浄水流出管路10の上流端と繋がり、洗浄水流出管路10の上流端から洗浄水流出管路10内に給水するものである。給水タンク40は、貯水手段の一例である。給水タンク40には、例えば雨水が溜められている。しかしながら、給水タンク40には、水が溜められていればよく、例えば異物が混在されていない比較的にきれいな水であってもよい。給水タンク40は、排水設備6とは異なるものであり、汚水を溜めるものではない。給水タンク40には、内部の水が排出される給水口41が形成されている。給水タンク40は、地中に埋設されていてもよいし、地上に配置されていてもよい。
【0036】
給水開閉ゲート50は、洗浄水流出管路10の上流端を開閉可能なものである。給水開閉ゲート50によって洗浄水流出管路10の上流端が閉鎖されることで、給水タンク40内の水が洗浄水流出管路10に流れることを塞き止める。一方、給水開閉ゲート50によって洗浄水流出管路10の上流端が開放されることで、給水タンク40内の水を洗浄水流出管路10に流すことができる。
【0037】
図5および図6は、給水開閉ゲート50の正面断面図である。図5に示すように、給水開閉ゲート50は、貯留容器51と、貯留容器51の内部に配置される開閉機構60とを有している。貯留容器51は、給水タンク40からの水が一時的に貯留される容器である。貯留容器51には、上方に開口した点検口52が形成されている。点検口52には、上下に延びた立管59が接続されている。
【0038】
貯留容器51には、側方に開口したゲート給水口53が形成されている。ゲート給水口53には、洗浄水流出管路10の上流端が接続されている。給水タンク40から貯留容器51に貯留された水は、ゲート給水口53から洗浄水流出管路10に流れ込む。ここでは、ゲート給水口53には、貯留容器51の内部に向かって突出した筒状の突出筒部55が嵌め込まれている。
【0039】
開閉機構60は、貯留容器51のゲート給水口53を開閉するものである。ここでは、開閉機構60は、貯留容器51内において上下に移動することで、ゲート給水口53を開閉することができる。なお、開閉機構60の構成は特に限定されない。
【0040】
本実施形態では、開閉機構60は、縦筒部62と、横筒部61とを有している。縦筒部62は、貯留容器51内に配置されており、上下に延びた筒状のものである。縦筒部62は、上方に開口した上部開口65と、下方に開口した下部開口66とを有している。上部開口65には、給水タンク40内の水を給水開放ゲート50の貯留容器51に供給する供給手段45を介して、給水タンク40の給水口41(図1参照)が接続されている。供給手段45は、例えば管路であるが、貯留容器51に水を供給できれば管路に限定されない。
【0041】
図5に示すように、下部開口66は、貯留容器51内に向かって開口しており、給水タンク40内の水が縦筒部62を通じて貯留容器51内に一度排出される。
【0042】
本実施形態では、縦筒部62の側部に横筒部61が設けられている。横筒部61は、縦筒部62の側部からゲート給水口53側に向かって延びている。横筒部61は、縦筒部62と一体となって上下に移動可能である。ここでは、横筒部61には、作業者が操作するための取っ手64が設けられている。
【0043】
また、横筒部61におけるゲート給水口53側の端(図5では右側の端)の上部には、ゲート給水口53側に向かって突出した突起63が形成されている。この突起63は、ゲート給水口53に嵌め込まれた突出筒部55と当接可能である。ここでは、開閉機構60における下方への移動は、突起63が突出筒部55に当接することで規制される。
【0044】
本実施形態では、開閉機構60は、開放位置P1(図6参照)と、閉鎖位置P2(図5参照)との間で移動可能である。開放位置P1とは、図6に示すように、横筒部61がゲート給水口53よりも上方に位置するような開閉機構60の位置である。開放位置P1のとき、ゲート給水口53は、開放された状態となる。開放位置P1のとき、給水タンク40内の水は、縦筒部62の下部開口66を通じて貯留容器51内に一度排出される。そして、貯留容器51内の水位がゲート給水口53の高さまで達したとき、ゲート給水口53から洗浄水流出管路10に向かって水が流れる。
【0045】
閉鎖位置P2とは、図5に示すように、横筒部61の突起63と、ゲート給水口53に嵌め込まれた突出筒部55とが当接したときの開閉機構60の位置である。閉鎖位置P2のとき、ゲート給水口53は、開閉機構60によって閉鎖されている。そのため、給水タンク40内の水を、洗浄水流出管路10に流すことができない。閉鎖位置P2のとき、貯留容器51には、給水タンク40からの水が一時的に貯められる。
【0046】
図1に示す切替配管部材70は、水または排水の流路を切り替える部材である。本実施形態では、切替配管部材70は、排水設備6から排出される排水の流路と、給水タンク40からの水の流路とを切り替える。図7および図8は、切替配管部材70の切替ます71の平面図である。図7では、第2流入口93が閉鎖された状態が示されており、図8では、第1流入口92が閉鎖された状態が示されている。図9は、図7のIX-IX断面における切替配管部材70の断面図である。図10は、図8のX-X断面における切替配管部材70の断面図である。図9に示すように、切替配管部材70は、切替ます71と、立管72とを備えている。
【0047】
図7に示すように、切替ます71は、ます本体81と、閉鎖部材101とを備えている。ます本体81は、中空の部材であり、有底円筒状のものである。図9に示すように、ます本体81の上部には、上方に開口する点検口91が形成されている。
【0048】
本実施形態では、点検口91に、立管72が接続される。立管72は、点検口91から上方に延びている。立管72には、上方に向かって開口した取付口75が形成されている。取付口75には、蓋3aおよび仮設トイレ4の便器4a(図3参照)を選択的に取り付け可能である。災害時以外の通常時には、取付口75には蓋3aが取り付けられている。災害時には、蓋3aが取付口75から取り外され、取付口75には、仮設トイレ4の便器4aが取り付けられる。
【0049】
図7に示すように、ます本体81には、第1流入筒状部82と、第2流入筒状部83と、流出筒状部84と、第1インバート85と、第2インバート86とが設けられている。第1流入筒状部82、第2流入筒状部83および流出筒状部84は、それぞれます本体81の側部から側方に延びた円筒状のものである。第1流入筒状部82には、側方に開口した第1流入口92が形成されている。この第1流入口92には、流入管路11の下流端が接続されている。本実施形態では、第1流入筒状部82は、2つの部材が嵌合されて構成されているが、1つの部材で構成されていてもよい。
【0050】
第2流入筒状部83は、平面視において第1流入筒状部82と直交している。第2流入筒状部83には、側方に開口した第2流入口93が形成されている。第2流入口93には、洗浄水流出管路10の下流端が接続されている。
【0051】
流出筒状部84は、第1流入筒状部82と対向しており、かつ、平面視において第2流入筒状部83と直交している。流出筒状部84には、側方に開口した流出口94が形成されている。流出口94には、流出管路12(詳しくは、第1流出管路12a)の上流端に接続されている。
【0052】
図7に示すように、第1インバート85は、第1流入筒状部82の第1流入口92と、流出筒状部84の流出口94とを繋ぐものであり、ます本体81の底面に形成されている。本実施形態では、第1インバート85の形状は、半管形状であり、一直線状に延びている。図8に示すように、第2インバート86は、第2流入筒状部83の第2流入口93と第1インバート85とを繋ぐものであり、ます本体81の底面に形成されている。第2インバート86は、第1インバート85の中央部分に接続されている。第2インバート86の形状は、半管形状であり、一直線状に延びている。
【0053】
図7および図8に示すように、閉鎖部材101は、ます本体81内に配置され、第1流入口92および第2流入口93を選択的に閉鎖可能なものである。本実施形態では、閉鎖部材101は、第1流入口92が形成された第1流入筒状部82、および、第2流入口93が形成された第2流入筒状部83に選択的に嵌合される。図9に示すように、閉鎖部材101は、挿入部102と、閉鎖板部103と、当接部104と、操作部105とを有している。
【0054】
図9および図10に示すように、挿入部102は、第1流入筒状部82および第2流入筒状部83の何れかに挿入される筒状部の部位である。挿入部102の外周面には、ゴム製のシール部材106が設けられている。シール部材106は、挿入部102と、第1流入筒状部82および第2流入筒状部83の何れか一方との間に配置される。シール部材106によって、挿入部102と第1流入筒状部82との密着力、および、挿入部102と第2流入筒状部83との密着力を高めることができる。
【0055】
閉鎖板部103は、挿入部102を閉鎖するものであり、挿入部102における挿入側とは反対側の端部に設けられている。閉鎖板部103の上下方向の中心から上の部位は、上下方向に平らな面である。閉鎖板部103の上下方向の中心から下の部位は、下方に向かうに従って、挿入部102から離れ、かつ、下方に凹むように湾曲している。本実施形態では、図8に示すように、挿入部102が第1流入筒状部82に挿入されているとき、閉鎖板部103は、第2インバート86と共に排水が流れるインバートとして機能する。また、図7に示すように、挿入部102が第2流入筒状部83に挿入されているとき、閉鎖板部103は、第1インバート85と共に排水が流れるインバートとして機能する。
【0056】
図9および図10に示すように、当接部104は、挿入部102が第1流入筒状部82および第2流入筒状部83の何れか一方に挿入されたとき、ます本体81の内周面に当接する部位である。当接部104は、挿入部102の上方において、挿入部102の挿入方向に沿って延びている。図7に示すように、当接部104の一端は、平面視において、ます本体81の内周面に沿って湾曲している。
【0057】
図9に示すように、操作部105は、作業者が把持可能な棒状の操作部材(図示せず)が取り付けられる部位である。操作部105は、挿入部102の上方であり、かつ、当接部104の上部に設けられている。操作部105は、例えば上下方向に延びた円筒状であり、棒状の操作部材は、操作部105に挿入された状態で使用される。
【0058】
例えば図7に示すように、第1流入口92と流出口94とを連通させたい場合、作業者は、図9に示すように、閉鎖部材101の挿入部102を第2流入筒状部83に挿入し、第2流入口93を閉鎖する。このことによって、第1流入口92からます本体81内に流入した排水は、第1インバート85を流れて、流出口94から流出する。このとき、第2流入口93は、閉鎖部材101によって閉鎖されているため、第1インバート85内の排水は、第2流入口93に流れない。
【0059】
一方、図8に示すように、例えば第2流入口93と流出口94とを連通させたい場合、作業者は、図10に示すように、閉鎖部材101の挿入部102を第1流入筒状部82に挿入し、第1流入口92を閉鎖する。このことによって、第2流入口93からます本体81内に流入した水は、第2インバート86および第1インバート85を流れ、流出口94から流出する。このとき、第1流入口92は、閉鎖部材101によって閉鎖されているため、第2インバート86内の水は、第1流入口92には流れない。
【0060】
以上、切替配管部材70について説明した。次に、図1に示す下流配管部材110について説明する。図3に示すように、下流配管部材110は、第1流出管路12aに仮設トイレ4を取り付けるためのものである。下流配管部材110は、切替配管部材70よりも下流側において、第1流出管路12aの途中部分に設けられている。本実施形態では、第1流出管路12aの途中部分に、3つの下流配管部材110が設けられているが、下流配管部材110の数は特に限定されない。下流配管部材110の数は、第1流出管路12aに取り付けたい仮設トイレ4の数に応じて決定される。ここでは、複数の下流配管部材110は、等間隔で配置されているが、異なる間隔で配置されてもよい。3つの下流配管部材110は、同じ構成を有している。
【0061】
図11は、下流配管部材110を示す正面断面図である。図11に示すように、下流配管部材110は、排水ます111と、立管112とを備えている。排水ます111は、上方に開口した有底の部材である。排水ます111は、下流点検口115と、下流流入口116と、下流流出口117とを有している。下流点検口115は、上方に開口している。下流流入口116および下流流出口117は、それぞれ側方に開口している。下流流入口116および下流流出口117には、第1流出管路12aが接続されている。本実施形態では、下流流入口116と下流流出口117とは、上下方向で同じ位置である。しかしながら、下流流入口116は、下流流出口117よりも上方に配置されていてもよい。
【0062】
立管112は、上下に延びており、排水ます111の下流点検口115に接続されている。立管112には、上方に向かって開口した下流取付口119が形成されている。下流取付口119には、蓋3bおよび仮設トイレ4の便器4a(図3参照)を選択的に取り付けることが可能である。
【0063】
図1に示す下流切替配管部材120は、切替配管部材70よりも下流側において、排水の流路を切り替えることが可能な部材である。下流切替配管部材120は、下流配管部材110よりも下流側の流出管路12の部分に設けられ、流出管路12の排水の流路を切り替える。下流切替配管部材120は、第1流出管路12aと第2流出管路12bとの間に配置され、第1流出管路12a、第2流出管路12bおよび貯留槽150に接続されている。
【0064】
図12は、下流切替配管部材120の下流切替ます121の平面図である。図13は、図12のXIII-XIII断面における下流切替配管部材120の断面図である。図13に示すように、下流切替配管部材120は、下流切替ます121と、点検管122とを備えている。下流切替ます121は、第1流出管路12aから第2流出管路12bに排水を流す第1の状態と、第1流出管路12aから貯留槽150に排水を流す第2の状態とに切り替え可能なものである。
【0065】
下流切替ます121は、ます本体131と、閉鎖体132とを備えている。ます本体131は、内部に空間を有している。ます本体131には、上方に開口した点検口141と、側方に開口した流入口142と、側方に開口した第1流出口143と、下方に開口した第2流出口144とが形成されている。
【0066】
点検口141には、点検管122が接続されている。点検管122は、点検口141から上方に延びている。点検管122には、蓋3cが装着されている。
【0067】
流入口142には、第1流出管路12aの下流端が接続されている。第1流出口143には、第2流出管路12bの上流端が接続されている。第2流出口144には、貯留槽150(図2参照)が接続されている。ここでは、第2流出口144には、接続管路149の上流端が接続されており、接続管路149を介して貯留槽150が間接的に接続されている。
【0068】
閉鎖体132は、第2流出口144を閉鎖可能なものである。閉鎖体132は、排水が流れるインバート145と、第2流出口144と嵌合可能な嵌合部146とを有している。本実施形態では、閉鎖体132の嵌合部146を第2流出口144に嵌め込んだ状態が、第1の状態である。第1の状態では、第1流出管路12aからの排水は、流入口142を通じてます本体131内に流入する。そして、ます本体131内に流入した排水は、インバート145を通り、第1流出口143から第2流出管路12bへ流出する。
【0069】
本実施形態では、閉鎖体132を取り外した状態が第2の状態である。第2の状態では、ます本体131内に流入した排水は、第1流出口143へ到達する前に第2流出口144を通じて貯留槽150に排出される。
【0070】
図3に示す貯留槽150は、例えば仮設トイレ4から排出された汚水などの排水を貯留する槽である。上述のように、貯留槽150は、接続管路149を介して下流切替ます121の第2流出口144(図13参照)に接続されている。貯留槽150は、内部に密封された空間を有している。貯留槽150が密封式であることにより、貯留槽150内の汚水などの排水から発生する悪臭が外部に漏れないようにすることができる。本実施形態では、貯留槽150は地中に埋設されている。
【0071】
図1に示す逆流防止配管部材160は、排水が逆流することを防止するためのものである。逆流防止配管部材160は、下流切替配管部材120よりも下流側に設けられている。逆流防止配管部材160は、第2流出管路12bと第3流出管路12cとの間に配置されている。そのため、逆流防止配管部材160は、第3流出管路12c内の排水が第2流出管路12bに流れることを防止する。
【0072】
図14は、逆流防止配管部材160の正面断面図である。図14に示すように、逆流防止配管部材160は、逆流防止ます161と、立管162とを備えている。逆流防止ます161は、有底筒状の部材であり、上部には、上方に開口した点検口171が形成されている。点検口171には、立管162が接続されている。立管162は、点検口171から上方に向かって延びている。
【0073】
逆流防止ます161は、流入口172と、流出口173とを有している。流入口172と流出口173は、側方に向かって開口している。流入口172と流出口173は対向している。流入口172および流出口173には、流出管路12が接続されている。詳しくは、流入口172には、第2流出管路12bの下流端が接続されている。流出口173には、第3流出管路12cの上流端が接続されている。
【0074】
本実施形態では、流入口172は、流出口173よりも高い位置に配置されている。言い換えると、流入口172の下端172aは、流出口173の下端173aよりも上方に位置している。そのため、仮に第3流出管路12c内の排水が逆流して逆流防止ます161内に流れ込んだ場合であっても、逆流防止ます161内に排水が溜まり、流入口172から第2流出管路12bへ排水が逆流し難くなる。
【0075】
本実施形態では、図1に示すように、流出管路12の途中部分には、公共ます180が設けられている。詳しくは、公共ます180は、第3流出管路12cの下流端と第4流出管路12dの上流端に接続されている。第4流出管路12dの下流端は下水本管8に接続されている。なお、公共ます180は、従来公知のものを採用することができるため、ここでの説明は省略する。
【0076】
以上、本実施形態に係る排水配管システム1の構成について説明した。次に、排水配管システム1の使用方法について説明する。排水配管システム1は、通常時と、災害時とで使用方法が異なる。通常時、排水配管システム1は、図1に示すように、排水設備6から排出された排水を、下水本管8に流すように構成されている。図3に示すように、災害時、排水配管システム1は、仮設トイレ4から排出された汚水を、下水本管8または貯留槽150に選択的に流すように構成されている。
【0077】
まず通常時における排水配管システム1の使用方法について説明する。通常時、排水設備6が使用され、かつ、給水タンク40は使用されない。そのため、切替配管部材70の切替ます71において、図7に示すように、閉鎖部材101を第2流入筒状部83に挿入し、第2流入口93を閉鎖する。このとき、第1流入口92は開放された状態となる。また、通常時において、給水開閉ゲート50の開閉機構60は、閉鎖位置P2(図5参照)に配置され、給水開閉ゲート50によって洗浄水流出管路10が閉鎖された状態となる。
【0078】
通常時、下流切替配管部材120の下流切替ます121は第1の状態であり、図13に示すように、閉鎖体132の嵌合部146は、第2流出口144に嵌め込まれている。通常時では、図2に示すように、切替配管部材70の取付口75、および、下流配管部材110の下流取付口119には、仮設トイレ4が取り付けられておらず、それぞれ蓋3a、3bが取り付けられている。
【0079】
通常時、排水設備6から排出された排水は、枝管路20を通じて流入管路11に排出される。流入管路11に排出された排水は、切替配管部材70の第1流入口92から切替ます71内へ流れる。切替配管部材70では、図7に示すように、閉鎖部材101によって第2流入口93が閉鎖されているため、切替ます71内の排水は、流出口94から流出管路12へ流れる。その後、排水は、下流切替配管部材120の下流切替ます121内に排出される。通常時では、図13に示すように、下流切替ます121の閉鎖体132が第2流出口144に嵌め込まれているため、下流切替ます121のます本体131内に排出された排水は、第1流出口143から排出され、公共ます180を通じて下水本管8に排出される。
【0080】
次に、災害時における排水配管システム1の使用方法について説明する。災害時には、仮設トイレ4(図3参照)が使用される。そのため、切替配管部材70の取付口75、および、下流配管部材110の下流取付口119から蓋3a、3bが取り外され、取付口75および下流取付口119には、それぞれ仮設トイレ4の便器4aが取り付けられる。災害時において、給水タンク40内の水は適宜使用され、給水タンク40内の水を洗浄水流出管路10に流す際には、給水開閉ゲート50は洗浄水流出管路10の上流端を開放する。
【0081】
災害時において、排水設備6が接続された流入管路11は使用されない。そのため、図8に示すように、切替配管部材70の切替ます71において、閉鎖部材101を第1流入筒状部82に挿入し、第1流入口92を閉鎖する。このとき、第2流入口93は開放された状態となる。
【0082】
災害時において、仮設トイレ4が設置されたとき、給水開閉ゲート50によって洗浄水流出管路10の上流端は閉鎖された状態である。そのため、仮設トイレ4から排出された汚水は、第1流出管路12aに排出され、排出された汚水の一部、例えば汚水に含まれる便などの汚物は、第1流出管路12a内に留まった状態となる。
【0083】
第1流出管路12a内に留まった汚水の汚物などを流出管路12の下流側に排出させるとき、洗浄水流出管路10から水を流す。洗浄水流出管路10から水を流すために、給水開閉ゲート50の開閉機構60の位置を開放位置P1(図6参照)にする。このことで、給水開閉ゲート50によって洗浄水流出管路10の上流端が開放される。
【0084】
このとき、給水開閉ゲート50の貯留容器51に溜められていた水がゲート給水口53を通じて洗浄水流出管路10に流れる。このことで、第1流出管路12a内に留まった汚水に含まれる汚物などは、貯留容器51からの水の流れによって、流出管路12の下流側に向かって排出される。仮設トイレ4から排出された汚水に含まれる汚物などを流出管路12の下流側へ流した後、給水開閉ゲート50の開閉機構60の位置を閉鎖位置P2(図5参照)に戻すことで、洗浄水流出管路10の上流端を閉鎖する。なお、貯留容器51に溜められた水が少なくなった場合には、給水タンク40内の水を貯留容器51内に供給するとよい。
【0085】
なお、災害時において、仮設トイレ4から排出された汚水は、下水本管8に排出されてもよいし、貯留槽150に排出されてもよい。例えば、災害時に下水本管8が破損していない場合には、仮設トイレ4から排出された汚水は、下水本管8に排出される。このとき、下流切替配管部材120の下流切替ます121において、図13に示すように、閉鎖体132の嵌合部146は、第2流出口144に嵌め込まれた状態である。そのため、第2流出口144が閉鎖され、仮設トイレ4から排出された汚水は、下流切替ます121の第1流出口143を通じて下水本管8に排出される。
【0086】
一方、災害時に下水本管8が破損した場合には、仮設トイレ4から排出された汚水を、貯留槽150に排出させる。このとき、下流切替配管部材120の下流切替ます121において、閉鎖体132の嵌合部146を第2流出口144から取り外す。このことで、第2流出口144は開放され、仮設トイレ4から排出された汚水は、下流切替ます121の第2流出口144を通じて貯留槽150に排出される。
【0087】
以上、本実施形態では、災害時には、図8に示すように、切替配管部材70の閉鎖部材101で、切替配管部材70の第1流入口92を閉鎖し、図3に示すように、切替配管部材70および第1流出管路12aに仮設トイレ4を取り付ける。そのため、排水配管システム1は、災害時には、給水タンク40に貯留された水を洗浄水流出管路10から第1流出管路12aに流すことで、仮設トイレ4から排出された汚水を流出管路12の下流側に向かって流すシステムとして使用されることができる。一方、通常時には、図7に示すように、切替配管部材70の閉鎖部材101で、切替配管部材70の第2流入口93を閉鎖する。そのため、通常時には、排水配管システム1は、図1に示すように、排水設備6から排出された排水を、流入管路11から流出管路12に向かって流すシステムとして使用されることができる。よって、災害時に仮設トイレ4を使用する排水配管システム1を、通常時には排水設備6を使用するシステムとして使用することができるため、通常時でも有効活用することができる。
【0088】
また、本実施形態では、通常時では、図7に示すように、切替配管部材70の第2流入口93が閉鎖されるため、排水設備6から排出された排水が、第2流入口93を通じて洗浄水流出管路10に逆流することを防止することができる。よって、通常時において、洗浄水流出管路10内が排水によって汚れることを防止することができる。本実施形態では、災害時では、図8に示すように、切替配管部材70の第1流入口92が閉鎖される。そのため、仮設トイレ4から排出された汚水が、仮に逆流して切替配管部材70内に流れ込んだ場合であっても、第1流入口92を通じて流入管路11に流れ込むことを防止することができる。よって、災害時において、流入管路11内が、仮設トイレ4から排出された汚水で汚れることを防止することができる。また、災害時には、第1流入口92が閉鎖されているため、給水タンク40から洗浄水流出管路10に供給された水は、第1流入口92には流れ込まずに、流出管路12に流される。よって、洗浄水流出管路10内の水が、流入管路11と流出管路12とに分流しないため、流速が低下し難い。
【0089】
本実施形態では、図3に示すように、切替配管部材70は、上方に開口し、蓋3a(図9参照)および仮設トイレ4を選択的に取り付け可能な取付口75を有している。このように、切替配管部材70の取付口75に仮設トイレ4を取り付けることで、仮設トイレ4から排出された汚水を、切替配管部材70を通じて第1流出管路12aへ排出することができる。よって、排水の流路を切り替える切替配管部材70を、仮設トイレ4を取り付けるための部材として使用することができる。
【0090】
本実施形態では、図3に示すように、第1流出管路12aの途中部分には、下流配管部材110が設けられている。下流配管部材110は、上方に開口し、蓋3b(図11参照)および仮設トイレ4を選択的に取り付け可能な下流取付口119を有する。このように、下流配管部材110の下流取付口119に仮設トイレ4を取り付けることで、仮設トイレ4から排出された汚水を、下流配管部材110を通じて第1流出管路12aへ排出することができる。仮設トイレ4を、下流配管部材110を介して第1流出管路12aに容易に取り付けることができる。
【0091】
本実施形態では、図1に示すように、下流切替配管部材120は、第1流出管路12aの下流端と、第2流出管路12bの上流端と、貯留槽150に接続されている。下流切替配管部材120は、第1流出管路12aから第2流出管路12bに排水を流す第1の状態と、第1流出管路12から貯留槽150に排水を流す第2の状態とに切り替え可能に構成されている。このことによって、下流切替配管部材120の状態を第1の状態にすることで、排水設備6から排出された排水、および、仮設トイレ4から排出された汚水を、第2流出管路12bから下水本管8に排出することができる。例えば第2流出管路12bや下水本管8が破損した場合であっても、下流切替配管部材120の状態を第2の状態にすることで、排水設備6から排出された排水、および、仮設トイレ4から排出された汚水を、貯留槽150に排出することができる。よって、下流切替配管部材120の状態を変更することで、排水の排出先を下水本管8か貯留槽150かに変更することができる。
【0092】
本実施形態では、逆流防止配管部材160は、第2流出管路12bの下流端、および、第3流出管路12cの上流端に接続されている。このことによって、第3流出管路12cから第2流出管路12bへ排水が逆流することを防止することができる。
【0093】
<他の実施形態>
なお、上記実施形態では、仮設トイレ4は、切替配管部材70、および、第1流出管路12a(詳しくは、第1流出管路12aの途中部分に設けられた下流配管部材110)に取り付けることが可能であった。しかしながら、仮設トイレ4は、洗浄水流出管路10に取り付け可能であってもよい。
【0094】
図15は、他の実施形態に係る排水配管システム1Aを模式的に示した正面図である。なお、図15において図示は省略しているが、排水配管システム1Aには、上記実施形態と同様に、流入管路11と、流出管路12と、枝管路20と、配管部材30と、下流配管部材110と、下流切替配管部材120と、貯留槽150と、逆流防止配管部材160とが備えられている。
【0095】
図15に示すように、他の実施形態に係る排水配管システム1Aでは、洗浄水流出管路10の途中部分には、上流配管部材190が設けられている。上流配管部材190は、仮設トイレ4を設置するためのものである。上流配管部材190は、切替配管部材70よりも給水タンク40側に設けられている。本実施形態では、洗浄水流出管路10の途中部分に、3つの上流配管部材190が設けられているが、上流配管部材190の数は特に限定されない。上流配管部材190の数は、洗浄水流出管路10に取り付けたい仮設トイレ4の数に応じて決定される。複数の上流配管部材190の間隔は、等間隔であってもよいし、異なる間隔であってもよい。
【0096】
図16は、上流配管部材190を示す正面断面図である。図16に示すように、上流配管部材190は、上流排水ます191と、立管192とを備えている。上流排水ます191は、有底筒状のものである。上流排水ます191には、上方に開口した上流点検口195、側方に開口した上流流入口196、および、側方に開口した上流流出口197が形成されている。上流流入口196および上流流出口197には、洗浄水流出管路10が接続されている。本実施形態では、上流流入口196と上流流出口197とは、上下方向で同じ位置である。しかしながら、上流流入口196は、上流流出口197よりも上方に配置されていてもよい。
【0097】
立管192は、上下に延びており、上流排水ます191の上流点検口195に接続されている。立管192は、上流点検口195から上方に向かって延びている。立管192には、上方に向かって開口した上流取付口199が形成されている。上流取付口199には、蓋3dおよび仮設トイレ4の便器4a(図15参照)を選択的に取り付けることが可能である。
【0098】
本実施形態では、通常時には、上流配管部材190の上流取付口199には、蓋3dが取り付けられる。災害時には、図15に示すように、上流配管部材190の上流取付口199には、仮設トイレ4の便器4aが取り付けられる。
【0099】
上記実施形態と同様に、災害時において、給水タンク40内の水は適宜使用され、給水タンク40内の水を洗浄水流出管路10に流す際には、給水開閉ゲート50は洗浄水流出管路10の上流端を開放する。切替配管部材70の切替ます71において、図8に示すように、閉鎖部材101を第1流入筒状部82に挿入し、第1流入口92を閉鎖する。このとき、第2流入口93は開放された状態となる。
【0100】
災害時において、仮設トイレ4が設置されたとき、給水開閉ゲート50によって洗浄水流出管路10の上流端は閉鎖された状態である。そのため、仮設トイレ4から排出された汚水の一部、例えば汚水に含まれる汚物などは、洗浄水流出管路10内に留まった状態となる。そして、洗浄水流出管路10内に留まった汚水に含まれる汚物などを流出管路12へ流す際には、給水開閉ゲート50によって洗浄水流出管路10の上流端を開放し、給水開閉ゲート50の貯留容器51に溜められていた水がゲート給水口53を通じて洗浄水流出管路10に流れる。このことで、洗浄水流出管路10内に留まった汚物などは、貯留容器51からの水の流れによって、流出管路12に向かって排出される。本実施形態であっても、下流切替配管部材120の下流切替ます121によって排水の流路を切り替えることで、仮設トイレ4から排出された汚水の排出先を、下水本管8から貯留槽150、または、貯留槽150から下水本管8に切り替えることができる。
【0101】
本実施形態であっても、排水配管システム1Aは、通常時には、排水設備6から排出された排水を、流入管路11から流出管路12に向かって流すシステムとして使用されることができる。排水配管システム1Aは、災害時には、給水タンク40に貯留された水を洗浄水流出管路10から第1流出管路12aに流すことで、仮設トイレ4から排出された汚水を流出管路12の下流側に向かって流すシステムとして使用されることができる。したがって、本実施形態であっても、災害時に仮設トイレ4からの汚水を排出する排水配管システム1Aを、通常時でも有効活用することができる。
【0102】
本実施形態では、図15に示すように、洗浄水流出管路10の途中部分には、上流配管部材190が設けられている。上流配管部材190は、上方に開口し、蓋3d(図16参照)および仮設トイレ4を選択的に取り付け可能な上流取付口199を有する。このように、上流配管部材190の上流取付口199に仮設トイレ4を取り付けることで、仮設トイレ4から排出された汚水を、上流配管部材190を通じて洗浄水流出管路10へ排出することができる。仮設トイレ4を、上流配管部材190を介して洗浄水流出管路10に容易に取り付けることができる。
【0103】
なお、本実施形態では、災害時において、洗浄水流出管路10に仮設トイレ4が取り付け可能であるが、上記実施形態と同様に、切替配管部材70および第1流出管路12aに仮設トイレ4を取り付けることが可能である。しかしながら、災害時において、切替配管部材70または第1流出管路12aには、仮設トイレ4が取り付けられなくてもよい。ここでは、災害時において、洗浄水流出管路10、切替配管部材70、および、第1流出管路12aのうちの少なくとも何れか1つに、仮設トイレ4が取り付けられるとよい。
【0104】
各実施形態では、給水タンク40が貯水手段の一例であった。しかしながら、貯水手段は、給水タンク40に限定されず、水が貯留され、かつ、洗浄水流出管路10に水が供給できるものであればよい。例えば貯水手段は、地下に配置された地下水設備であってもよい。この場合、地下水設備内の地下水などの水が、例えばホースなどを介して洗浄水流出管路10に供給されるとよい。また、貯水手段から供給される水には、雨水が含まれる。そのため、貯水手段は、雨水が貯留された雨水槽であってもよい。また、貯水手段は、川、海、湖、池などであってもよく、この場合、川、海、湖、池などの水がホースなどを介して洗浄水流出管路10に供給されるとよい。また、貯水手段は、固定式のものに限定されず、移動式のものであってもよい。貯水手段は、水が貯留された給水車であってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 排水配管システム
4 仮設トイレ
6 排水設備
10 洗浄水流出管路
11 流入管路
12a 第1流出管路
12b 第2流出管路
12c 第3流出管路
40 給水タンク(貯水手段)
70 切替配管部材
75 取付口
92 第1流入口
93 第2流入口
94 流出口
101 閉鎖部材
110 下流配管部材
119 下流取付口
120 下流切替配管部材
150 貯留槽
160 逆流防止配管部材
190 上流配管部材
199 上流取付口
図1
図2
図3
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図15
図16