(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】スイッチモード電源装置における入力フィルタコンデンサ制御回路および制御方法ならびにそれを用いた電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
H02M3/28 C
(21)【出願番号】P 2020070380
(22)【出願日】2020-04-09
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518364964
【氏名又は名称】ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENESAS ELECTRONICS AMERICA INC.
【住所又は居所原語表記】1001 Murphy Ranch Road, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チーホン ユ
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163537(JP,A)
【文献】特開2018-163537(JP,A)
【文献】特開2009-268324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0129367(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置であって、
入力端子を介して入力電圧を受信するように接続され、入力リターンを基準とする一次側の一次巻線と、
前記一次巻線に接続された補助巻線と、
出力電圧、出力電流、および出力電力を負荷に供給するように接続され、出力リターンを基準とする二次側の二次巻線と、
前記一次側の電源スイッチと、
主制御回路およびフィルタ制御回路を含むスイッチ制御部と、
前記出力電圧を検知するように接続されたフィードバック回路と、
前記入力端子に接続され、過電圧保護(OVP)しきい電圧信号を生成するための第1および第2の抵抗器を含む、OVP回路と、
第1の端子を有し、前記第1の端子で前記入力電圧を受信するように接続された入力フィルタコンデンサと、
を備え、
前記主制御回路は、通常モードの間、スイッチ制御信号を介して前記電源スイッチのスイッチング動作を制御し、
前記フィルタ制御回路は、前記入力端子での安全電圧の検出に応答して前記入力フィルタコンデンサを前記入力リターンに接続し、
前記フィルタ制御回路は、さらに、前記入力端子での過電圧の検出に応答して前記入力フィルタコンデンサを前記入力リターンから切断し、
前記フィルタ制御回路は、さらに、前記入力端子での過電圧の検出に応答してスイッチ駆動信号を介して前記電源スイッチのスイッチング動作をオフにする、
電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、前記フィルタ制御回路は、さらに、
前記入力フィルタコンデンサの第2の端子と前記入力リターンとの間に接続されたフィルタトランジスタと、
基準電圧を生成するように接続された電圧レギュレータと、
前記基準電圧と前記OVPしきい電圧信号とを比較し、過電圧(OV)検出信号を生成するように構成された過電圧比較器と、
第1の電流源と、
前記OV検出信号を比較するように接続され、さらに、コンデンサ駆動信号およびスイッチ駆動信号を生成するように接続された論理部と、
前記コンデンサ駆動信号を受信するように接続されたバッファと、
前記バッファを介して前記コンデンサ駆動信号を受信し、オンオフ信号を生成するように接続されたゲート制御素子と、
を備え、
前記論理部は、
前記OV検出信号が非アクティブのとき、前記フィルタトランジスタを前記オンオフ信号によりオンにして前記入力フィルタコンデンサを前記入力リターンに接続し、
前記OV検出信号がアクティブのとき、前記フィルタトランジスタを前記オンオフ信号によりオフにして前記入力フィルタコンデンサを前記入力リターンから切断する、電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、前記ゲート制御素子は、前記オンオフ信号を介して前記フィルタトランジスタのゲート駆動を調整するように接続された第2の電流源または可変抵抗器である、電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置であって、
前記フィルタ制御回路は、さらに、前記OVPしきい電圧を介して前記入力端子における過電圧を検出するように接続され、
前記OVPしきい電圧が前記基準電圧以上である場合に前記OV検出信号がアクティブとなり、前記OVPしきい電圧が前記基準電圧より低い場合に前記OV検出信号が非アクティブとなる、電源装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電源装置であって、前記スイッチ制御部は、前記補助巻線を介して供給電圧を受け取るように接続され、前記供給電圧は低しきい電圧および高しきい電圧を有する、電源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電源装置であって、さらに、前記入力端子に接続された高電圧(HV)起動回路を備える、電源装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電源装置であって、
前記フィルタ制御回路は、起動時に、前記補助巻線からの供給電圧が高しきい電圧以下である場合に、前記HV起動回路から電流を供給する前記第1の電流源をオンにすることによって、前記HV起動回路を介して前記スイッチ制御部に電源を供給し、
前記論理部は、さらに、前記補助巻線からの供給電圧が前記高しきい電圧よりも高い場合に、前記HV起動回路から電流を供給する前記第1の電流源をオフにする、電源装置。
【請求項8】
請求項5に記載の電源装置であって、前記フィルタ制御回路は、起動時に、前記一次巻線を介して前記スイッチ制御部に電源を供給する、電源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電源装置であって、
前記論理部は、起動時に、前記補助巻線からの供給電圧が前記高しきい電圧以下である場合に、前記一次巻線から電流を供給する前記第1の電流源をオンにすることによって、前記スイッチ制御部に電源を供給し、
前記論理部は、さらに、前記補助巻線からの供給電圧が前記高しきい電圧よりも高い場合に、前記一次巻線から電流を供給する前記第1の電流源をオフにする、電源装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電源装置であって、前記安全電圧は0ボルトから400ボルトの範囲内にあり、過電圧の値は400ボルトより高い、電源装置。
【請求項11】
入力端子を介して入力電圧を受信するように接続され、入力リターンを基準とする一次側の一次巻線、ならびに前記一次巻線に接続された補助巻線、ならびに出力電圧、出力電流、および出力電力を負荷に供給するように接続され、出力リターンを基準とする二次側の二次巻線、ならびに前記一次側の電源スイッチ、ならびに主制御回路およびフィルタ制御回路を含むスイッチ制御部、ならびに前記出力電圧を検知するように接続されたフィードバック回路、ならびに第1および第2の抵抗器を有する過電圧保護(OVP)回路、ならびに第1の端子を有し、前記第1の端子で前記入力電圧を受信するように接続された入力フィルタコンデンサを備える電源装置のための方法であって、前記方法は、
前記主制御回路により、通常モードの間、スイッチ制御信号を介して前記電源スイッチのスイッチング動作を制御し、
前記OVP回路により、OVPしきい電圧を生成し、
前記フィルタ制御回路により、前記入力端子での安全電圧の検出に応答して前記入力フィルタコンデンサを前記入力リターンに接続し、
前記フィルタ制御回路により、さらに、前記入力端子での過電圧の検出に応答して前記入力フィルタコンデンサを前記入力リターンから切断し、
前記フィルタ制御回路により、さらに、前記入力端子での過電圧の検出に応答してスイッチ駆動信号を介して前記電源スイッチのスイッチング動作をオフにする、
ステップを含む、
方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記フィルタ制御回路は、さらに、前記入力フィルタコンデンサの第2の端子と前記入力リターンとの間に接続されたフィルタトランジスタ、ならびに基準電圧を生成するように接続された電圧レギュレータ、ならびに前記基準電圧と前記OVPしきい電圧信号とを比較し、過電圧(OV)検出信号を生成するように構成された過電圧比較器、ならびに第1の電流源、ならびに前記OV検出信号を受信し、さらに、コンデンサ駆動信号およびスイッチ駆動信号を生成するように接続された論理部、ならびに前記コンデンサ駆動信号を受信するように接続されたバッファ、ならびに前記バッファを介して前記コンデンサ駆動信号を受信し、オンオフ信号を生成するように接続されたゲート制御素子を備え、
前記OV検出信号が非アクティブのとき、前記入力フィルタコンデンサを前記入力リターンに接続するために前記フィルタトランジスタを前記オンオフ信号によりオンにし、
前記OV検出信号がアクティブのとき、前記入力フィルタコンデンサを前記入力リターンから切断するために前記フィルタトランジスタを前記オンオフ信号によりオフにする、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記ゲート制御素子は、前記オンオフ信号を介して前記フィルタトランジスタのゲート駆動を調整するように接続された第2の電流源または可変抵抗器であり、前記方法は、さらに、前記オンオフ信号で前記フィルタトランジスタのゲート駆動を調整することにより、前記入力フィルタ
コンデンサのオンおよびオフを切り替える、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、前記フィルタ制御回路により、前記OVPしきい電圧の検出に応答して、前記入力端子における過電圧を検出する、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記OVPしきい電圧が前記基準電圧以上であればOV検出信号をアクティブにし、前記OVPしきい電圧が前記基準電圧より低ければOV検出信号を非アクティブにする、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、入力端子に接続された高電圧(HV)起動回路を備える、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
起動時に、前記補助巻線からの供給電圧が高しきい電圧以下である場合に、前記HV起動回路から電流を供給する前記第1の電流源をオンにすることによって、前記HV起動回路を介して前記スイッチ制御部に電源を供給し、
さらに、前記補助巻線からの供給電圧が前記高しきい電圧よりも高い場合に、前記HV起動回路から電流を供給する前記第1の電流源をオフにする、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、前記フィルタ制御回路は、起動時に、前記一次巻線を介して前記スイッチ制御部に電源を供給する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
起動時に、前記補助巻線からの供給電圧が高しきい電圧以下である場合、前記一次巻線から電流を供給する前記第1の電流源をオンにすることによって、前記スイッチ制御部に電源を供給し、
さらに、前記補助巻線からの供給電圧が前記高しきい電圧よりも高い場合に、前記一次巻線から電流を供給する前記第1の電流源をオフにする、方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法であって、前記安全電圧は0ボルトから400ボルトの範囲内にあり、過電圧値は400ボルトより高い、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は一般に、パワーマネジメント、パワーエレクトロニクス、および産業用電力製品に関する。
【背景技術】
【0002】
交流直流および直流直流電源装置を含む種々のタイプのスイッチモード電源装置は、低電圧および高電圧用途における多くのエレクトロニクスシステムにおいて広く使用されている。スイッチモード電源装置(以下、SMPSとも称する)、特に交流直流タイプのSMPSで一般的に使用される構成要素は、整流された交流入力電圧から交流成分を除去するために使用される入力フィルタコンデンサである。しかしながら、交流直流SMPSは、雷サージ、配線不良、又は電源ライン変動の場合、非常に高い電圧に頻繁にさらされるので、時には入力フィルタコンデンサ及びSMPS全体としても容易に損傷することがある。このような高電圧損傷からSMPSを保護する1つの方法は、より高い降伏電圧に耐えることができるより高い電圧定格を有するフィルタコンデンサを使用することである。フィルタコンデンサの降伏電圧定格が高くなるほど、電源装置が耐えることができる電圧サージの電圧値が高くなる。さらに、使用されるフィルタコンデンサの数または容量が大きいほど、電源装置が耐えることができる高電圧サージのエネルギーが大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、より高い電圧定格を有するフィルタコンデンサはしばしば、より高いコストおよびより大きな基板サイズとなる。
【0004】
そこで、入力フィルタコンデンサおよび電源装置に、それらのサイズまたはコストを大幅に増加させることなく、高電圧保護を提供できる解決策が望まれている。その他の課題および新規な特徴は、本明細書および図面の記載から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る制御回路は、SMPSの入力フィルタコンデンサおよびSMPS全体を過電圧サージから保護するために使用することができる、制御回路に関係する。種々の実施形態において、当該制御回路は、過電圧事象の際に上記入力フィルタコンデンサを切断することができるトランジスタを含み得る。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、当該制御回路はSMPSに過電圧保護を提供することができ、同時に、顧客の材料費および回路基板サイズを低減することができる。本実施形態のこれらおよび他の態様および特徴は、添付の図面と併せて以下の具体的な実施形態の記載を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、従来のフィルタとスイッチ制御部とを含む、従来の交流直流SMPS(100)のブロック図の一例を示す。
【
図2】
図2は、
図1のSMPSと共に典型的に使用される別の従来のフィルタ回路を含むSMPSを示す部分図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態1によるフィルタ制御回路を含むSMPSの一例を示す部分図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態2によるフィルタ制御回路を含むSMPSの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態1によるフィルタ制御回路の実装例を示すSMPSの部分図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態2によるフィルタ制御回路の実装例を示すSMPSの部分図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態による、
図1のスイッチ制御部を制御する制御回路の一動作方法を示す流れ図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本実施形態を、当業者が本実施形態および当業者に明らかな代替の形態を実施できるように、本実施形態の一例として提供される図面を参照して詳細に説明する。特に、以下の図面および実施形態の例は、本実施形態の範囲を単一の実施形態に限定することを意図するものではなく、説明または図示された素子の一部または全部を交換することによる他の実施形態も可能である。さらに、本実施形態のいくつかの要素が既知の構成要素を使用して部分的にまたは完全に実装され得る場合、既知の構成要素については、本実施形態を理解するために必須の部分のみを説明し、他の部分の詳細な説明は、本実施形態を明確にするため省略する。ソフトウェアで実装されるものとして説明される実施形態はそれに限定されるべきではなく、本明細書で特に指定されない限り、当業者には明らかなように、ハードウェアで実装される実施形態、またはソフトウェアとハードウェアの組合せた実装形態が含まれ、その逆も同様である。本明細書では単一の構成要素を示す実施形態はそれに限定されると見なされるべきではなく、むしろ、本明細書で特に明記しない限り、本開示には複数の同じ構成要素を含む他の実施形態も包含されることが意図され、その逆もまた同様である。さらに、出願人は明細書又はクレームのいかなる用語についても、明示的にそのように記載されていない限り、珍しい又は特別な意味が与えられることを意図していない。さらに、本実施形態は、例示として本明細書で言及される既知の構成要素に対する現在および将来の既知の均等物を包含する。
【0009】
本開示の実施形態は、過電圧時において、例えば、SMPSの入力フィルタコンデンサおよびSMPS全体を保護するための制御回路およびその方法に関し、さらに、SMPSに含まれるスイッチ制御部にスタートアップ電圧を提供するための装置および方法を開示する。
【0010】
フライバック変換器はオフライン交流直流用途に広く使用されているので、開示する実施形態はオフライン交流直流フライバック型SMPSに関して説明するが、これらはフォワード、ハーフブリッジ、フルブリッジ、プッシュプル、等の他の種類のSMPSにも使用することができる。
【0011】
先に述べたように、SMPSは、今日の電子システムにおいて広く使用されている。それらは、主に、それらの優れた効率、軽量、および低容積のために人気がある。電源装置の信頼性は、電子システムの寿命を大きく決定する。パーソナルコンピュータの場合、故障の90%は、SMPS関連の問題に起因し得る。このように、電力供給システムは、高い信頼性を提供することが期待されている。
【0012】
典型的なスイッチモード電源システムは、入力整流器と、入力フィルタと、電力スイッチと、電力変圧器と、出力整流器と、出力フィルタと、制御回路といった重要部品を有する。
【0013】
スイッチング電源装置における入力フィルタは、典型的には3つの主要な目的を有する。第1の目的は、スイッチング源によって発生する電磁干渉(EMI)が電力線に到達し、他の機器に影響を及ぼすことを防止することである。入力フィルタの第2の目的は、交流入力が正弦波においてその最低値に近いとき、または瞬間的に遮断されるとき、および入力応答が主トランジスタスイッチングの変動に追従できないとき、短期間の間、電源を供給することである。第3の目的は、整流された交流電圧を電力変圧器の最適な入力電圧レンジのために平滑化するとともに、MOV(金属酸化物バリスタ)のような他の装置の助けを借りて、電力線から一定レベルの過電圧が高感度回路に到達することを制限することである。しかし、従来の入力フィルタ回路は、その電圧定格を超える高電圧サージによって容易に損傷を受ける可能性があるコンデンサを含む。以下に説明するように、実施形態のある態様によれば、フィルタ制御回路は、SMPSの入力フィルタに使用されるコンデンサを保護する。
【0014】
図1は、交流直流SMPS(100)のブロック図の一例を示す。SMPS(100)は、フライバック型SMPSである。SMPS(100)は入力端子AC1(104)、AC2(106)を介して交流入力電圧Vac(102)を受け取り、出力電圧Vout(139)および負荷LOAD(146)への出力電流Iout(111)を生成するように接続される。SMPS(100)の一次側は入力リターン(101)を基準とし、SMPS(100)の二次側はグランド(103)を基準とする。一次側を入力側と呼び、二次側を出力側と呼ぶこともある。SMPS(100)は、図示するように、一次巻線または入力巻線とも呼ばれる第1の一次側インダクタL1(126)と、補助巻線またはバイアス巻線とも呼ばれる第2の一次側インダクタL3(130)と、二次巻線または出力巻線とも呼ばれる二次側インダクタL2(128)とを有する、変圧器T1(113)とも呼ばれるエネルギー伝達素子を含む。
【0015】
また、
図1には、入力整流回路(108)、入力フィルタ回路(110)、第1の電圧クランプ回路CLAMP1(116)、第2の電圧クランプ回路CLAMP2(118)、ドレイン端子D(131)およびソース端子S(133)およびゲート端子G(135)を有する電源スイッチS1(120)、スイッチ制御部U1(122)、電流検知抵抗器Rsense(124)、任意選択であるスイッチング周波数プログラミング抵抗器Rfset(115)、出力整流ダイオードD1(142)、出力フィルタコンデンサC3(144)、フィードバック回路(148)も示されている。電流検知抵抗器Rsense(124)は、電源スイッチS1(120)内に集積化されてもよい。第2の電圧クランプ回路CLAMP2(118)は入力整流回路(108)の前または後に置くことができ、典型的には、金属酸化物バリスタMOV(138)を含む。
【0016】
図1はまた、整流された直流電圧Vdc(109)、一次巻線L1(126)における一次電圧Vp(119)、二次巻線L2(128)における二次電圧Vs(121)、バイアス巻線L3(130)におけるバイアス電圧VB(123)、一次電流Ip(105)、二次電流Is(109)、バイアス電流Ib(107)、およびスイッチ電流ID(137)、フィードバック電圧信号Vfb(129)、スイッチ制御信号(125)、および電流検知信号(127)を含む電圧、電流、および信号を示す。
【0017】
電源スイッチS1(120)は、一次巻線または結合インダクタL1(126)に接続されるので、一次スイッチとも呼ばれる。より具体的には電源スイッチS1(120)のドレイン端子D(131)が一次巻線L1(126)に接続され、ソース端子S(133)は電流検知抵抗器Rsense(124)を介して入力リターン(101)に接続される。
【0018】
SMPS(100)では、最初に、交流入力電圧Vac(102)が入力整流回路(108)によって整流される。交流入力電圧Vac(102)は、単相構成では約85~265V、または三相構成では約240V/380V/480Vであり得ることが当業者には理解されよう。入力整流回路(108)は、交流直流整流のために当技術分野で一般に使用される標準ブリッジ整流回路であってもよい。直流電圧Vdc(109)は入力リターン(101)に対して正であり、出力電圧Vout(139)は、出力リターンとなるグランド(103)に対して正であることに留意されたい。入力フィルタ回路(110)は、直流電圧Vdc(109)と入力リターン(101)との間に接続され、図示されるように、コンデンサC1(112)およびC2(114)を含む、従来の容量性フィルタ回路である。
【0019】
当業者であれば、SMPS(100)の通常動作中に、スイッチ制御部U1(122)は、スイッチ制御信号(125)を生成して、電源スイッチS1(120)をオンまたはオフにすることが理解されよう。当技術分野で周知のように、通常動作は、連続モード、不連続モード、または準共振動作モードなどを含むことができる。電源スイッチS1(120)は、スイッチ制御部U1(122)からゲート端子G(135)でスイッチ制御信号(125)を受信することに応答して開閉する。電源スイッチS1(120)は、オン時には閉じ、オフ時には開く。電源スイッチS1(120)がオンである時間の間、一次側インダクタL1(126)はエネルギーを蓄積するために充電され、一次電圧Vp(119)が一次側インダクタL1(126)の両端に生成される。電源スイッチS1(120)がオフにされると、一次側インダクタL1(126)に蓄積されたエネルギーは、一次側インダクタL1(126)に結合された二次側インダクタL2(128)を介して二次側に転送される。このエネルギー転送の結果、二次側インダクタL2(128)に二次電圧Vs(121)が発生し、これが出力整流ダイオードD1(142)によって更に調整され、出力フィルタコンデンサ(144)によって平滑化され、負荷LOAD(146)で出力電圧Vout(139)、出力電流Iout(111)として現れる。
【0020】
一例では、スイッチ制御部U1(122)が電流検知信号(127)およびフィードバック電圧信号Vfb(129)に応答して、スイッチ制御信号(125)を介して電源スイッチS1(120)のスイッチングを制御する。
【0021】
より具体的には、電流検知抵抗器Rsense(124)を使用して、電源スイッチS1(120)内の電流を検知し、スイッチ制御部U1(122)によって受信される電流検知信号(127)を生成することができる。前述のように、スイッチ制御部U1(122)は、電流検知信号(127)に応答して、電源スイッチS1(120)のスイッチング周波数を制御する。スイッチング周波数プログラミング抵抗器Rfset(115)の値も、電源スイッチS1(120)のスイッチング周波数を設定するのを補助し得る。
【0022】
電圧クランプ回路CLAMP1(116)は、一次巻線L1(126)の両端間に接続される。一次巻線L1(126)を流れる一次電流Ip(105)によって蓄積されたエネルギーは、相互の磁気結合が不完全なため、全てが他の巻線に伝達されるわけではない。一次巻線L1(126)の場合、他の巻線に伝達できないエネルギーは、一次巻線L1(126)の両端間に接続された電圧クランプ回路CLAMP1(116)によって受け取られる。電圧クランプ回路CLAMP1(116)は、一次巻線L1(126)の両端間の電圧を制限して、電源スイッチS1(120)を過剰な電圧による破損から保護する。電圧クランプ回路CLAMP1(116)は、既存の技術で利用可能な任意の電圧クランプ回路とすることができる。
【0023】
また、一次巻線L1(126)との磁気結合のために、バイアス巻線L3(130)の両端にバイアス電圧VB(123)が生成されることも理解されよう。さらに、SMPS(100)は出力整流器としての出力整流ダイオードD1(142)と、出力フィルタとしての出力フィルタコンデンサC3(144)とを備え、これらの両方は出力電圧Vout(139)内の交流成分を除去するのに役立ち得る。
【0024】
フィードバック回路(148)は、一実施形態では、抵抗器R6(126)、フォトカプラ(128)、抵抗器R7(132)、およびツェナーダイオードD4(130)を介して出力電圧Vout(139)を検知しフィードバック電圧Vfb(129)を生成するように、接続される。スイッチ制御部U1(122)は、FB端子においてフィードバック電圧信号Vfb(129)を受信するように接続される。一例では、スイッチ制御部U1(122)がフィードバック電圧信号Vfb(129)にも応答して電源スイッチS1(120)のスイッチング周波数を制御するように構成される。スイッチ制御部U1(122)は、フィードバック電圧信号Vfb(129)に対する基準電圧Vref、フィードバック高しきい電圧Vfb_highおよびフィードバック低しきい電圧Vfb_lowを予め定義し、SMPS(100)が動作しているときに、これらの値に対してフィードバック電圧信号Vfb(129)を比較するように構成されてもよいことが理解されよう。典型的な実装では、フィードバック電圧信号Vfb(129)の値がフィードバック低しきい電圧Vfb_lowとフィードバック高しきい電圧Vfb_highとの間にある場合、SMPS(100)は段落0019に記載されるように通常モードで動作していると見なされ得る。フィードバック電圧信号Vfb(129)がフィードバック低しきい電圧Vfb_lowよりいつでも低い場合、電源スイッチS1(120)は、オフであるか、バーストモードまたは低周波数モードで動作することができる。電源スイッチS1(120)がオフになった後、フィードバック電圧信号Vfb(129)は基準電圧Vrefとも比較されて、通常動作を再び開始することができる。さらに、フィードバック電圧信号Vfb(129)がフィードバック高しきい電圧Vfb_highよりいつでも高い場合、SMPS(100)は過負荷保護モードに入ることができる。先行技術には、これについていくつかの他の実装例がある。
【0025】
種々の例では、電源スイッチS1(120)が金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFETとも称する)、バイポーラ接合トランジスタ(BJTとも称する)、または絶縁型ゲートバイポーラトランジスタ(IGBTとも称する)、または任意の他の適切なスイッチとすることができる。一例では、スイッチ制御部U1(122)が単一の集積回路(ICと称する)として実装される。電源スイッチS1(120)はスイッチ制御部U1(122)とは別に示されているが、いくつかの例ではこれらの両方を単一のICとして集積化することができる。
【0026】
入力フィルタ回路(110)を再び参照すると、従来のフィルタ回路のいくつかの例では、コンデンサC1(112)およびC2(114)が通常、それぞれ400Vまたは450Vの電圧定格を有する電解コンデンサであり得る。したがって、総定格降伏電圧は、2つの電圧の合計である800Vまたは900Vに実質的に等しい。従来のフィルタ回路では、異なる電圧定格のコンデンサをより多く直列に接続して、一連のコンデンサを形成し、SMPS(100)が高い降伏電圧に耐えるようにすることができる。異なる例として、合計600Vの降伏電圧を得るために、3つの200V定格コンデンサを直列に接続することができる。電力計、屋外電力、三相電力のような用途、または配電網が不安定なユーザの場所、または電気自動車またはサーバのような高電圧バッテリまたは直流バス入力である場合、高い降伏電圧に耐えるために、コンデンサC1(112)およびC2(114)のような少なくとも2つのコンデンサを直列に接続することが非常に典型的である。一方、充電器またはアダプタのような屋内用途では通常、製造業者は入力フィルタとしてそのようなコンデンサを1つ配置するだけである。
【0027】
図2は、
図1の従来のSMPS(100)と共に典型的に使用される、従来の入力フィルタ回路の別の例の入力フィルタ回路(210)を含むSMPS(100)を示す部分図である。入力フィルタ回路(210)は、
図1に示されるのと同様に、コンデンサC1(112)およびC2(114)を含む。さらに、コンデンサを製造する際の製造業者の公差定格に起因するコンデンサの両端間電圧の不均衡をなくすために、抵抗器R1(202)およびR2(204)が、コンデンサC1(112)およびC2(114)とそれぞれ並列に接続される。
【0028】
理解されるように、より多くのコンデンサが入力フィルタ回路(210)に直列に追加される場合、抵抗器もより多く追加される必要がある。時には、製造公差に起因するコンデンサインピーダンスの不整合に起因して不均衡が生じ、この不均衡は、熱を引き起こす可能性がある。抵抗器R1(202)およびR2(204)は通常、このような不均衡によって引き起こされる熱を放散するため、嵩張る表面実装またはスルーホールタイプであり、これもまた、総BOMコストを増大させる。
【0029】
このような従来の入力フィルタ回路では、これらのコンデンサの総降伏電圧定格が、取り得る直流電圧Vdc(109)の最大値よりも高くなければならないことが理解されよう。直流電圧Vdc(109)は入力する交流入力電圧Vac(102)から直接整流されるので、交流入力における雷電圧または他のタイプのサージ、または電力線上の外乱/変動は、整流された直流電圧Vdc(109)の突然の増加を引き起こす可能性がある。整流された直流電圧Vdc(109)のこの突然の増加が、入力フィルタ回路のコンデンサの総降伏電圧定格よりも高い場合、入力フィルタ回路のコンデンサおよびSMPSシステムの潜在的な故障の原因となる可能性がある。
【0030】
図1および
図2に関して説明したように、交流直流電源装置と共に使用される従来の容量性入力フィルタ回路は、そのサイズおよび定格に依存して、高電圧損傷を受けやすい。さらに、それらを高電圧サージに耐えるようにするためには、それらの降伏電圧定格をより大きくする必要があり、これもまたそれらのサイズの増大につながる。要約すると、高い降伏電圧にも耐えることができる従来の容量性入力フィルタ回路は、コスト効率もサイズ効率も良くない。
【0031】
従って、電源装置に使用される入力フィルタコンデンサを高電圧サージから保護し、コンデンサのいかなる損傷も回避する解決策が有用である。そのようなコンデンサが故障した場合、それらは通常、過熱し、発火および他の望ましくない結果を引き起こす可能性があり、したがって、コンデンサを保護することは電源装置全体を保護することになる。
【0032】
以下の段落で説明するように、本実施形態は、交流直流電源装置を例として、入力フィルタ回路で使用されるコンデンサを保護するために使用され得る制御回路を開示する。上記制御回路は、従来のフィルタ回路における1つ以上のコンデンサを置き換えるために使用され得る。さらに、本実施形態は、上記制御回路と一緒に動作するように構成される過電圧防止回路の一例と、上記スイッチ制御部U1(122)の初期電源投入方法を開示する。
【0033】
図3は、本開示の実施形態1によるフィルタ制御回路(326)を含むSMPS(300)の部分図である。SMPS(300)はSMPS(100)と多くの共通の特徴、回路素子、および信号を共有し、これらは、
図1に関して説明したような方法で機能するように構成され、接続される。より具体的には、SMPS(300)が入力フィルタ回路(310)を含み、入力フィルタ回路(110)と同様の方法で接続されることに留意されたい。しかし、SMPS(300)および特に入力フィルタ回路(310)は、以下に説明するように、いくつかの点で
図1の対応するものとは異なる。
【0034】
図3に示すように、SMPS(300)は、入力フィルタ回路(310)に加えて、OVP回路(320)、高電圧(HVとも称する)起動回路(330)を含む。スイッチ制御部U1(322)は、主制御回路(324)と、フィルタ制御回路(326)と、フィルタトランジスタQ1(314)とを備えている。図からわかるように、入力フィルタ回路(310)は、直流電圧Vdc(109)に接続された第1の端子と、フィルタトランジスタQ1(314)のドレイン端子(315)に接続された第2の端子とを有するコンデンサC1(312)を含む。フィルタ制御回路(326)は、フィルタトランジスタQ1(314)の制御端子またはゲート端子G(317)に接続される。フィルタトランジスタQ1(314)のソース端子S(319)は、入力リターン(101)に接続される。
【0035】
図1に戻って参照すると、一実施形態では、フィルタ制御回路(326)は、フィルタトランジスタQ1(314)と一緒に使用され、入力フィルタ回路(110)内のコンデンサC2(114)を置き換えることができる。フィルタトランジスタQ1(314)のコストは、ほとんどの場合、入力フィルタコンデンサC2(114)に平衡用抵抗器R1およびR2を加えたものよりもはるかに低い。さらに、直列に接続された2つのコンデンサの実効容量値は半分に過ぎない。回路BOMの一例として、スイッチ制御部U1(322)を使用する場合、1つの10uFの入力フィルタコンデンサC1(112)およびフィルタトランジスタQ1(314)のみを必要とする。これは、異なる制御部を使用する場合における、2つの20uFの入力フィルタコンデンサC1(112)およびC2(114)、抵抗器R1(202)およびR2(204)を使用するのと電気的に等価であり、したがって、かなりのコストおよびBOMを節約する。いくつかの例ではフィルタ制御回路(326)およびフィルタトランジスタQ1(314)がスイッチ制御部U1(122)と集積化されているため、BOMの費用はさらに低くなるが、他の実施形態ではディスクリート部品で実装され得る。フィルタ制御回路(326)は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せで実装することもできる。他の例では、フィルタ制御回路(326)およびフィルタトランジスタQ1(314)は、入力フィルタ回路または任意の他のタイプの適切な電源装置に含まれる複数のコンデンサを置き換えるために使用されてもよい。また、並列に接続された複数のトランジスタを使用して、1つの単一のフィルタトランジスタQ1(314)を置き換えてもよい。
【0036】
さらに説明するように、一例では、フィルタ制御回路(326)が直流電圧Vdc(109)を検知することに応答して、フィルタトランジスタQ1(314)を介して入力フィルタコンデンサC1(312)を接続または切断するように構成される。より具体的には、フィルタ制御回路(326)が通常(過電圧状態でない)動作中に入力フィルタコンデンサC1(312)を入力リターン(101)に接続し、過電圧事象において入力フィルタコンデンサC1(312)を入力リターン(101)から切断するように構成される。フィルタ制御回路(326)は、フィルタトランジスタQ1(314)をそれぞれオンおよびオフにすることによって、入力フィルタコンデンサC1(312)を接続および切断するように接続される。
【0037】
理解されるように、入力フィルタコンデンサC1(312)を入力リターン(101)から切断すると、SMPS回路から電気的に切断できるので、直流電圧Vdc(109)が入力フィルタコンデンサC1(312)およびフィルタトランジスタQ1(314)の降伏電圧の和よりも高くならない限り、過電圧から保護することができる。フィルタトランジスタQ1(314)の降伏電圧は典型的な製造仕様から500V、600V、700Vを適宜選択することができ、これは、それが置き換える入力フィルタコンデンサC2(114)の降伏電圧よりも高い。このように、フィルタ制御回路(326)は、高電圧サージを遮断し、高電圧サージが入力フィルタコンデンサC1(312)、スイッチ制御部U1(322)、およびSMPS(300)を損傷させないように構成される。
【0038】
さらに、フィルタ制御回路(326)は、直流電圧Vdc(109)を検知し、OVP回路(320)を介して過電圧事象を検出するように構成される。フィルタ制御回路(326)のより詳細な動作については、
図5および
図6を参照して説明する。
【0039】
スイッチ制御部U1(322)に含まれる主制御回路(324)は、
図1に関して説明したように、高電圧サージがない通常動作モードの間、電源スイッチS1(120)のスイッチングを制御するように構成される。フィルタ制御回路(326)は、主制御回路(324)と並行に働き、高電圧サージを遮断する。さらに、通常動作モードからOVPモード、またはその逆のモード変更をするために、フィルタ制御回路(326)は、主制御回路(324)と通信信号(333)を交換するように接続されてもよい。
【0040】
種々の実施形態において、フィルタトランジスタQ1(314)は、MOSFET、BJT、IGBT、または任意の他の好適なスイッチであってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ制御回路(326)は、複数のトランジスタが入力フィルタ回路(310)と一緒に、または、その一部として動作するように制御するために使用されてもよい。
スイッチ制御部U1(322)は、また、PRO端子(301)、HV端子(303)、Vcc端子(305)、Vg端子(311)、CS端子(307)、FSET端子(313)、およびFB端子(309)を有する。また、図示されるように、スイッチ制御部U1(322)の外部にあるコンデンサC2(331)がVcc端子(305)に接続される。コンデンサC2(331)は、Vcc端子(305)から電源供給動作を維持するためのハウスキーピング電源として機能する。
【0041】
HV起動回路(330)は、直流電圧Vdc(109)とスイッチ制御部U1(322)のHV端子(303)との間に接続される。OVP回路(320)は、直流電圧Vdc(109)と、スイッチ制御部U1(322)のPRO端子(301)とに接続される。一例では、OVP回路(320)は、抵抗器R3(321)およびR4(323)を含むことができ、その値を使用して、直流電圧Vdc(109)の過電圧を検知するためのしきい電圧を設定することができる。これについてのさらなる詳細は、本明細書において後述する。
【0042】
HV起動回路(330)は、直流電圧Vdc(109)の供給からスイッチ制御部U1(322)を起動するために使用され、抵抗器R5(332)を含むことができる。先に述べたように、スイッチ制御部U1(322)は、一定の供給電圧を必要とする集積回路であり得る。一例では、HV起動回路(330)は、スイッチ制御部U1(322)に初期電源電圧を供給することによる高速起動のために使用され得る。これについてのさらなる詳細は、本明細書において後述する。
【0043】
図4は、本開示の実施形態2に係る、フィルタ制御回路(326)およびフィルタトランジスタQ1(314)を含むSMPS(300)を示す部分図である。これと
図3の実施形態との差は、実施形態2では、フィルタトランジスタQ1(314)がスイッチ制御部U1(322)およびフィルタ制御回路(326)の外部にあることである。
【0044】
図5は、本開示の実施形態1に係るフィルタ制御回路(326)の詳細を説明するSMPS(300)の部分図である。
【0045】
図5に示すように、フィルタ制御回路(326)は、論理部(502)と、電圧レギュレータVsupply(504)と、電流源Istart(506)と、過電圧比較器(508)と、バッファまたはドライバ(510)と、フィルタトランジスタQ1(314)のゲート駆動を調整してそれをオンまたはオフにするように接続されたゲート制御素子Igate(512)とを含む。一例では、ゲート制御素子Igate(512)は、調整可能なゲート駆動電流源または調整可能な抵抗器の両方であり得るように示されている。また、スイッチ制御部U1(322)に電力を供給するための内部バイアス(501)、基準電圧VREF1(503)、過電圧検出信号Ovp_det(505)、過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)、コンデンサ駆動信号cap_drive(509)、およびオンオフ信号(511)を含む信号が示されている。上記の信号の全てと、フィルタ制御回路(326)の様々な部分との接続は、以下に詳細に説明する。
【0046】
図示するように、OVP回路(320)は、過電圧検出信号Ovp_det(505)を過電圧(OVとも称する)比較器(508)に供給するように接続される。さらに、OV比較器508が、過電圧検出信号Ovp_det(505)と基準電圧VREF1(503)との比較に基づいて過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)を論理部(502)に出力するように接続される。
【0047】
論理部(502)はコンデンサ駆動信号cap_drive(509)をバッファ(510)に出力するように接続され、バッファ(510)はフィルタトランジスタQ1(314)をオンまたはオフにするように接続される。バッファまたはドライバ(510)はゲート制御素子Igate(512)を介してコンデンサ駆動信号cap_drive(509)をバッファリングし、オンオフ信号on_off(511)を制御する。
【0048】
入力フィルタコンデンサC1(312)が過電圧事象からターンオフする必要があるとき、フィルタトランジスタQ1(314)のゲート端子G(317)が大電流ドライバ/バッファ(510)から非常に強く駆動される場合、入力フィルタコンデンサC1(312)は非常に高速にターンオフし、そのピーク振幅が電源装置の寄生インダクタンス、入力フィルタコンデンサC1(312)の容量およびESR、フィルタトランジスタQ1(314)のオン時のソースドレイン間抵抗Rdsonによって決定されるリンギングを引き起こす可能性があり、このリンギングは直流電源Vdc(109)の最大値に追加され、HV端子(303)により残りのスイッチ制御部U1(322)を停止させるには高すぎる可能性がある。したがって、ゲート制御素子Igate(512)は、それぞれの設計に適応するように調整可能とする必要がある。さらに、ゲート制御素子Igate(512)は、上記リンギングが最小限に抑えられるように、入力フィルタコンデンサC1(312)を十分に遅くターンオフすることができる必要があり、また、過電圧保護速度に影響を与えないように、入力フィルタコンデンサC1(312)を十分に速くターンオフすることができる必要がある。この調整可能な特徴は、IC設計における固定値としてハードウェアで、またはソフトウェアで、またはそれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。
【0049】
論理部(502)が過電圧事象に応答して電源スイッチS1(120)をオフにするために、スイッチ駆動信号515を生成してもよい。再びOVP回路(320)を参照すると、抵抗器R3(321)およびR4(323)の値は、入力のPRO端子(301)からスイッチ制御部U1(322)により受信される過電圧検出信号Ovp_det(505)を介して、過電圧トリガ電圧または過電圧しきい電圧を設定若しくは定義またはプログラムし得る設計上の考慮事項に従って選択されてもよい。ここで、基準電圧VREF1(503)はフィルタ制御回路(326)内の過電圧しきい電圧の基準であり、フィルタ制御回路(326)内の固定値としてハードウェアで、またはソフトウェア若しくはそれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。
【0050】
先に説明したように、本開示の第1の態様では、フィルタ制御回路(326)が過電圧事象に応答してフィルタトランジスタQ1(314)をオフにするように構成される。一例では、フィルタ制御回路(326)が、さらに、スイッチ制御信号(325)を無効にすることによって、電源スイッチS1(120)をオフにしてもよい。以下の段落は、フィルタ制御回路(326)の実際の動作をさらに詳細に説明する。
【0051】
HV端子(303)がSMPS(300)のソフトスタートを開始した後、過電圧比較器(508)は過電圧検出信号Ovp_det(505)を基準電圧VREF1(503)と比較し、過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)をアクティブ(High)または非アクティブ(Low)にするように構成される。過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)が非アクティブであり、過電圧がなく、SMPS(300)が通常モードで動作することができる場合、論理部(502)は、コンデンサ駆動信号cap_drive(509)を有効にし、これはさらに、フィルタトランジスタQ1(314)をオンにすることができる。一方、過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)がアクティブである場合、論理部(502)はコンデンサ駆動信号cap_drive(509)を無効にすることができ、これはさらに、フィルタトランジスタQ1(314)をオフにすることができる。フィルタトランジスタQ1(314)をオンにすると、入力フィルタコンデンサC1(112)が入力リターン(101)に接続または結合され、フィルタトランジスタQ1(314)をオフにすると、フィルタコンデンサC1(112)が入力リターン(101)から切断または分離される。一例では、アクティブな過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)が論理値Highによって示され、非アクティブな過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)は論理値Lowによって示され、またはその逆であってよい。さらに、フィルタトランジスタQ1(314)がオンになると、論理部(502)は、入力のPRO端子(301)を介して過電圧検出信号Ovp_det(505)を常時監視するように構成される。過電圧事象が検出されたときはいつでも、論理部(502)、または広義には、フィルタ制御回路(326)がオンオフ信号on_off(511)を介してフィルタトランジスタQ1(314)をオフにするように、また、任意選択により、スイッチ駆動信号(515)を介して電源スイッチS1(120)をオフにするように構成される。このとき、SMPS(300)は、通常動作モードまたは通常モードからOVPモードに変更したとみなしてもよい。フィルタ制御回路(326)は通信信号(333)を介して主制御回路(324)とモード変更について通信してもよく、主制御回路(324)は過電圧が検出されなくなるまで、電源スイッチS1(120)の通常のスイッチング動作を一時的に停止してもよい。または主制御回路(324)がOVPモードで電源スイッチS1(120)をオンにすることを依然として決定する場合、電源スイッチS1(120)は通常モードと同様のスイッチングを続けてもよいものの、電源装置は入力フィルタコンデンサの欠如により、通常よりも少ない負荷しか取ることができないだろう。
【0052】
PRO端子における電圧が、SMPS(300)の安全動作範囲内の値まで徐々に低下すると、論理部(502)は主制御回路(324)に、電源スイッチS1(120)の通常のスイッチング動作を再開させることができる。このとき、SMPS(300)は、OVPモードから通常モードに戻ったとみなしてよい。主制御回路(324)およびフィルタ制御回路(326)は、このモード変化について通信信号(333)を介して互いに通信してもよい。
【0053】
例として、最初に、SMPS(300)がまだ動作を開始しておらず、したがって、スイッチ制御部U1(322)も休止していると仮定し得る。直流電圧Vdc(109)が400Vであり、基準電圧VREF1(503)が1Vであり、抵抗器R3(321)およびR4(323)の設計値の2つの比率が1/400であると仮定すると、過電圧しきい電圧ovp_thrは400Vに設定される。SMPS(300)の上記プログラム値の一例では、直流電圧Vdc(109)が400Vより低い場合、それは通常動作モードとみなされ、直流電圧Vdc(109)が400Vを超える場合、それはOVPモードとみなされる。さらに、通常モードでは、過電圧比較器(508)が過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)を非アクティブにし、フィルタトランジスタQ1(314)をオンにする。対照的に、直流電圧Vdc(109)の電圧が400V以上である場合、過電圧比較器(508)は過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)をアクティブにし、フィルタトランジスタQ1(314)をオフにし、それによって入力フィルタコンデンサC1(312)を切断する。電圧レギュレータVsupply(504)は、フィルタ制御回路(326)と集積化される必要はないことが理解されよう。これは、主制御回路(324)内に実装することもできる。電圧レギュレータVsupply(504)は、フィルタ制御回路(326)および主制御回路(324)の両方、ならびにスイッチ制御部U1(322)全体に電源を供給する。
【0054】
スイッチ制御部U1(322)は、一定の初期電圧および電流供給を必要とする集積回路であり得る。ここでは、HV起動回路(330)およびVcc端子(305)を介してスイッチ制御部U1(322)に電力を供給する方法について説明する。最初は、SMPS(300)がまだ動作を開始していないと仮定してもよく、したがって、スイッチ制御部U1(322)も休止している。一例では、起動時、整流された直流電圧Vdc(109)がHV端子(303)に現れると、フィルタ制御回路(326)および主制御回路(324)は抵抗器R5(332)を介して電源を起動する。高電圧が直流電圧Vdc(109)に現れると、電流源Istart(506)は、HV端子(303)からの電流供給を開始でき、スイッチ制御部U1(322)の内部JFET(図示されない)を介してVcc端子のコンデンサC2(331)を充電し、スイッチ制御部U1(322)の電源を起動する。バイアス巻線L3(130)上の反射電圧からVcc端子(305)の電圧が生成された後は、バイアス巻線L3(130)の電圧値が上記JFET出力値よりも高いため、バイアス巻線L3(130)がスイッチ制御部U1(322)の電源供給を引き継ぎ、HV起動回路(330)は自然にオフになる。しかし、スイッチ制御部U1(322)が何らかの他の保護のためにスイッチしない場合、すなわちVcc端子(305)の電源供給が引き継がれない場合、コンデンサC2(331)はスイッチ制御部U1(322)の動作によって放電され、電流源Istart(506)が再始動する。
【0055】
したがって、HV起動回路(330)は高速起動を提供し、スタンバイ電力を節約できることが理解されよう。バイアス巻線L3(130)から供給されるVcc端子(305)の電源は、スイッチ制御部U1(322)が動作を開始した後は、高効率のハウスキーピング電源とみなすことができる。
【0056】
図6は、本開示の実施形態2に係るフィルタ制御回路(326)の一実装例を示すSMPS(300)の部分図である。図からわかるように、実施形態2は、
図5に関して説明したような方法で機能するように構成され、接続された実施形態1と、多くの一般的な特徴、回路素子、および信号を共有する。しかしながら、実施形態2は以下に述べるように、いくつかの点で実施形態1とは異なる。
【0057】
第1に、電源スイッチS1(120)は、スイッチ制御部U1(322)と集積化される。電源スイッチS1(120)が集積化されているので、スイッチ制御部U1(322)は、電源スイッチS1(120)のドレイン端子D(131)が接続されるD端子(602)と、電源スイッチS1(120)のソース端子S(133)が接続されるS端子(604)と、を含む追加の端子を有し得ることが理解されよう。実施形態2では電源スイッチS1(120)が集積化されているけれども、直流電源Vdc(109)の過電圧検知、フィルタトランジスタQ1(314)および電源スイッチS1(120)のオンまたはオフは
図5に関して説明したように行われる。
【0058】
実施形態2が実施形態1と異なる第2の点は、
図5に示されるようなHV起動回路(330)もHV端子(303)もないことである。したがって、スイッチ制御部U1(322)に電力を供給するための初期電源電圧は、直流電源Vdc(109)の直接検知によっては生じ得ない。代わりに、電源起動時の初期電源電圧は、電源スイッチS1(120)のドレイン端子D(131)から一次巻線L1(126)を介して受け取られる。一例では、整流された直流電圧Vdc(109)が上昇し始めると、実質的に同じ正の電圧が一次巻線L1(126)に一次電圧Vp(119)として現れ、ドレイン端子D(131)を介して検知され得、電流源Istart(506)はその電圧から電流供給を始める。
図5に関して説明したように、補助巻線L3(130)を介して受け取られたVcc端子(305)の電圧が少なくともVcc_lowに等しくなると、それを使用してスイッチ制御部U1(322)に電力を供給することができる。一例では、フィルタ制御回路(326)は、起動時にD端子(602)からスイッチ制御部U1(322)に供給電圧を提供し、さらに、Vcc端子(305)の電圧が少なくともVcc_lowに等しいことを検知した後に、Vcc端子(305)からスイッチ制御部U1(322)に電力を提供することを可能にする供給電圧選択機構を含むことができる。
【0059】
高電圧入力JFETまたは他のタイプの高電圧レギュレータによりスイッチ制御部U1(322)を起動するための電流源Istartが生成される。いくつかの例では、電流源Istart(506)がHV端子(303)からのJFET(図示されない)によって生成され得る。上記JFETはスイッチ制御部U1(322)の内部にある。基本的に、上記JFETはノーマリーオン型電流制限スイッチである。直流電源Vdc(109)に電圧が現れると、上記JFETは、スイッチ制御部U1(322)に電力を供給するためにオンになる。上記JFETは非常に高いオン抵抗を有するので、スイッチ制御部U1(322)に供給する電流を自己制限する。したがって、スイッチ制御部U1(322)への待機電力も制限される。
【0060】
電流源Istart(506)は、初期起動中にスイッチ制御部U1(322)全体に電源を供給する内部バイアス(501)である。しかし、Vcc端子(305)が補助巻線L3からの電源を引き継ぐと、Vcc端子(305)がIstart(506)の代わりに内部バイアス(501)を供給する。直流電圧Vdc(109)の電圧が十分に高くない場合、またはスイッチ制御部U1(322)の動作中にVcc端子(305)の電圧が十分に高くない場合、スイッチ制御部U1(322)はUVLOモードに入り、UVLO信号(513)を主制御回路(324)に送り、スイッチ制御部U1(322)を再起動することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、スイッチ制御部U1(122)はまた、温度監視部を含んでもよい。SMPS(100)の最大動作温度に比例する所定の電圧Vtmaxがあってもよい。スイッチ制御部U1(122)は、任意の所与の時間において、SMPS(100)の温度に比例する電圧Vtを監視するように構成されてもよい。VtがVtmaxを超える時間があれば、電源スイッチS1(120)をオフにすることができる。
【0062】
なお、主制御回路(324)において、温度監視が最良に実装されることに留意されたい。それは、フィルタトランジスタQ1(314)または電源スイッチS1(120)の温度を別々に監視することができる。
【0063】
図7は、開示されるフィルタ制御回路が、本開示の一実施形態に係る
図3または
図4または
図5または
図6に示されるSMPS(300)の電源スイッチS1(120)およびフィルタトランジスタQ1(314)を制御する方法(700)の一例を示す流れ図である。流れ図は、700から744までのプロセスブロックを含む。ブロック700、702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、744はSMPS(300)の通常モード動作に関連し、ブロック710、730、732、734、736、738、740、742は、本開示例に係るSMPS(300)の保護モードに関連する。
【0064】
図からわかるように、ブロック702で開始した後、方法(700)はブロック704に進む。
【0065】
ブロック704において、スイッチ制御部U1(322)に初期電源電圧を供給するために、内部電流源をオンにすることができる。
図5に戻って参照すると、電流源Istart(506)は、HV端子(303)からの電流供給を開始することができる。
図6に戻って参照すると、電流源Istart(506)は、D端子(602)からの電流供給を開始することができる。電流源Istart(506)は、Vccが電圧を上昇させるまで、内部高電圧JFET(図示されない)を介してコンデンサC2(331)を充電する。次に、方法(700)はブロック706に進む。ブロック706では、Vcc端子(305)の値がVcc_highよりも高いかどうかをチェックすることができる。真の場合、方法(700)はブロック708に進む。偽の場合、方法(700)はブロック704に戻り、内部電流源Istartがスイッチ制御部U1(322)に電力を供給し続ける。ブロック706の状態が真である場合、補助巻線L3(130)がスイッチ制御部U1(322)に電力を供給していることを意味し、そうでない場合、補助巻線L3(130)は十分な電圧を供給しておらず、HV起動回路(330)がHV端子(303)を介してスイッチ制御部U1(322)に電力を供給し続けることが理解されよう。
【0066】
ブロック708において、補助巻線L3(130)は
図5に関して説明したように、スイッチ制御部U1(322)への電力供給を開始することができる。次いで、ステップ710に進み、交流ライン上の過電圧をチェックする。
【0067】
ブロック710において、PRO端子(301)および過電圧比較器(508)による過電圧チェックを実行する。次に、方法(700)は、SMPS(300)の通常動作モードのためのブロック712に進む。
【0068】
ブロック712において、フィルタトランジスタQ1(314)は完全にオンになり、一方、電源スイッチS1(120)は、ターンオンデューティサイクルが徐々に増加するソフトスタートパターンに続いて、オンになる。方法(700)は、ブロック744でフィードバック電圧Vfb(329)を監視することに進み、同時にブロック714、716、および718に進む。ブロック744から、方法(700)はまた、OVPモードのためのブロック734、738、および過熱保護のためのブロック732に同時に進む。
【0069】
ブロック714において、フィードバック電圧Vfb(329)がVfb_lowより低いかどうかをチェックする。真の場合、SMPS(300)の動作はバーストモードまたは低周波数モードに入り、方法(700)は、ブロック720に進む。偽の場合、方法(700)はブロック744に戻り、フィードバック電圧Vfb(329)を連続的に監視する。
【0070】
ブロック716において、フィードバック電圧Vfb(329)がVfb_lowとVfb_highの間にあるかどうかをチェックし得る。真の場合、方法(700)はブロック722に進み、通常動作(固定周波数または準共振スイッチングなど)を維持する。偽の場合、方法(700)はブロック744に戻り、フィードバック電圧Vfb(329)を監視する。
【0071】
ブロック718において、フィードバック電圧Vfb(129)がVfb_highよりも大きいかどうかをチェックし得る。真の場合、電源装置は過負荷状態にあり、保護する必要がある。ここで、ブロック724に進み、電源スイッチS1(120)を一時的にオフにし得る。偽の場合、方法(700)はブロック744に戻り、フィードバック電圧Vfb(329)を監視する。
【0072】
ブロック720では、バーストモードまたは低周波数動作モードをオンにする。ステップ744において、フィードバック電圧Vfbの監視を継続する。
【0073】
ブロック722では、規則的な固定周波数または準共振または他のモードでスイッチ動作をする。そして、フィードバック電圧Vfbを監視し続ける。
【0074】
ブロック724において、過負荷保護を起動し、電源スイッチS1を一時的にオフにする。次に、方法(700)はブロック726に進む。
【0075】
ブロック726では、タイマーが開始し得る。所定の時間が経過した後、方法(700)はブロック728に進む。
【0076】
ブロック728で、フィードバック電圧Vfb(329)が安全マージンであるVfb_highよりも低いかどうかを再びチェックし得る。フィードバック電圧Vfb(329)が安全マージンであるVfb_highより低い場合、過負荷状態が除去されたことを意味し、方法(700)はブロック744に戻り、フィードバック電圧Vfb(329)を監視する。フィードバック電圧Vfb(329)が安全マージンであるVfb_highより低くない場合、方法(700)は過負荷が依然として続いていると判断し、ブロック740に進み、そこで、電源スイッチS1(120)のスイッチング動作をオフに維持する。
【0077】
ブロック734では、OVPモードが検出されたかどうかをチェックし得る。例えば、
図5及び
図6に戻って参照すると、過電圧トリガ信号Ovp_trig(507)がアクティブであるか否かをチェックする。真の場合、方法(700)はブロック736に進む。
【0078】
ブロック736では、フィルタトランジスタQ1(314)をオフにし得る。方法(700)はブロック740に進み、電源スイッチS1(120)をオフにし、電源装置の再起動を完了させることができる。点線の経路は、任意選択であることを意味する。他の選択肢として、過電圧事象中に電源スイッチS1(120)の連続動作が所望される場合、ブロック744に進み、電源スイッチS1について何も行わない、こともあり得る。いずれの経路の選択も、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせとして実装することができる。
【0079】
ブロック740では、過電圧を検出したので、フィルタトランジスタQ1(314)をオフにすることができる。次に、方法(700)はブロック742に進み、ブロック704で電源装置を再起動する。
【0080】
ブロック738において、VccがOVPしきい電圧OVP_thrよりも高いかどうかをチェックする。真ならば、それは、出力負荷が何らかの問題を有することを意味し、ブロック740に進み、次に、電源装置の再起動を実行する。偽の場合、方法(700)はブロック738の始めに戻り、VccがOVPしきい電圧を超えるかどうかをチェックし続ける。
【0081】
ブロック740において、電源スイッチS1(120)をオフにする。次に、方法(700)はブロック742に戻る。
【0082】
ブロック742において、Vccは徐々にVcc_highに減少し、その後、プロセスはブロック704に戻り、内部電流源を再びオンにする。
【0083】
さらに、ブロック732において、温度監視をオンにし得る。次に、方法(700)はブロック730に進み、ブロック732において、温度監視の電圧(Vt)が、SMPS(400)の最大動作温度Vtmax、または電源スイッチS1もしくはフィルタトランジスタQ1の最大温度、またはその両方に関連する電圧を超えるかどうかをチェックすることができる。偽の場合、方法(700)はブロック732の始めに戻り、温度監視の電圧Vtが最大動作温度Vtmaxを超えるかどうかをチェックし続ける。真の場合、方法(700)はブロック740に進み、電源スイッチS1(120)のスイッチング動作をオフにする。
【0084】
フィルタ制御回路の開示された実施形態は、スイッチモード電源装置に関して説明されてきたが、当業者であれば、他のタイプの電源装置に適用されてもよいことが理解されよう。
【0085】
本実施形態は特にその好適なものに関連して記載してきたが、形態および細部における変更および修正が本開示の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ることは当業者には容易に明らかであるはずである。追加の特許請求の範囲において、そのような変更および修正が包含されることを意図する。
【0086】
上記の明細書では「電力変換器」および「電源装置」という用語が同じものを意味するために交換可能に使用されてもよい。「結合される」、「構成される」、「動作可能にする」という用語は同じものを意味するために交換可能に使用されてもよい。「変圧器」および「エネルギー伝達素子」という用語が同じものを意味するために交換可能に使用されてもよい。「巻線」および「インダクタ」という用語が同じものを意味するために交換可能に使用されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
100、300 スイッチング電源装置(SMPS)
101 入力リターン
102 交流入力電圧Vac
103 グランド
104 入力端子AC1
105 一次電流Ip
106 入力端子AC2
107 バイアス電流Ib
108 入力整流回路
109 直流電圧Vdc
110、210、310 入力フィルタ回路
111 出力電流Iout
112、312 入力フィルタコンデンサC1
113 変圧器T1
114 入力フィルタコンデンサC2
115 スイッチング周波数プログラミング抵抗器Rfset
116 電圧クランプ回路CLAMP1
117 バイアス電流Ib
118 電圧クランプ回路CLAMP2
119 一次電圧Vp
120 電源スイッチS1
121 二次電圧VS
123 バイアス電圧VB
124 電流検知抵抗器Rsense
125、325 スイッチ制御信号
126 一次(入力)巻線L1
127、327 電流検知信号
128 二次(出力)巻線L2
129、329 フィードバック電圧信号Vfb
130 補助(バイアス)巻線L3
131 電源スイッチS1のドレイン端子D
132 抵抗器R7
133 電源スイッチS1のソース端子S
135 電源スイッチS1のゲート端子G
137 スイッチ電流ID
138 金属酸化物バリスタ
139 出力電圧Vout
142 出力整流ダイオードD1
144 出力フィルタコンデンサC3
146 負荷LOAD
148 フィードバック回路
202 抵抗器R1
204 抵抗器R2
301 PRO端子
303 HV端子
305 VCC端子
307 CS端子
309 FB端子
311 Vg端子
313 FSET端子
314 フィルタトランジスタQ1
315 フィルタトランジスタQ1のドレイン端子D
317 フィルタトランジスタQ1のゲート端子G
319 フィルタトランジスタQ1のソース端子S
320 OVP回路
321 抵抗器R3
322 スイッチ制御部U1
323 抵抗器R4
330 HV起動回路
331 コンデンサC2