(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ブラックマトリックス用顔料分散組成物、およびブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20231212BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G02B5/20 101
C09D17/00
(21)【出願番号】P 2020077960
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 康人
(72)【発明者】
【氏名】戸田 光信
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 奈月
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-115043(JP,A)
【文献】特開2011-063768(JP,A)
【文献】特開2012-073598(JP,A)
【文献】特開2018-189877(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235664(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C09D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック、塩基性基含有顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、ならびに溶剤を含むブラックマトリックス用顔料分散組成物であって、
さらに、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の無機化合物を含み、
前記無機化合物は、平均一次粒子径が20nm以上2,000nm以下である無機粒子であり、
前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック100質量部に対して、前記無機化合物が30質量部以下であることを特徴とするブラックマトリックス用顔料分散組成物。
【請求項2】
請求項1記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物、光重合性化合物、および光重合開始剤を含むことを特徴とするブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物。
【請求項3】
前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物の固形分中、前記無機化合物の割合が1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項2記載のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラックマトリックス用顔料分散組成物、およびブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック、塩基性基含有顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、ならびに溶剤を含むブラックマトリックス用顔料分散組成物と、当該ブラックマトリックス用顔料分散組成物、光重合性化合物、および光重合開始剤を含むブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物が知られている(特許文献1-6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-102346号公報
【文献】国際公開第2015/056688号
【文献】特開2016-79245号公報
【文献】特開2019-81831号公報
【文献】特開2019-81857号公報
【文献】特開2019-82533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を用いて、ブラックマトリックスのパターンを形成するには、通常、ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を基板に塗工してレジスト膜を形成後、所望のパターンを有するマスクを通じて紫外線で露光し、露光部のレジスト膜を硬化させた後、未露光部のレジスト膜を現像液で除去する。
【0005】
一方、市場では、生産性の向上の観点から、上記の現像液のリサイクル性が要求され、上記の特許文献で開示されたブラックマトリックス用顔料分散組成物には、当該性能の改善の余地があった。
【0006】
また、一般的に、ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物は、塗工直前に、ブラックマトリックス用顔料分散組成物と、光重合性化合物および光重合開始剤等と混合して調製されるため、ブラックマトリックス用顔料分散組成物は、保管時の分散安定性が求められる。
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、現像液のリサイクル性が良好なブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物が得られる、分散安定性に優れたブラックマトリックス用顔料分散組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック、塩基性基含有顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、ならびに溶剤を含むブラックマトリックス用顔料分散組成物であって、さらに、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の無機化合物を含み、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック100質量部に対して、前記無機化合物が30質量部以下であるブラックマトリックス用顔料分散組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物、光重合性化合物、および光重合開始剤を含むブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。ただし、本発明は、この作用メカニズムに限定されない。
【0011】
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物は、カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック、塩基性基含有顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、ならびに溶剤を含み、さらに、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の無機化合物を含み、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック100質量部に対して、前記無機化合物が30質量部以下である。本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物は、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラックに対する前記無機化合物が一定以下であるため、分散安定性に優れ、また、前記無機化合物を含むことにより、リサイクルされた現像液に対しても影響を受けにくくなるため、現像液のリサイクル性が良好なブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物が得られる。なお、現像液のリサイクル性は、使用済の現像液を用い、上記の特許文献1等に記載のレジストパターンの現像性および密着性によって評価した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物は、カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック、塩基性基含有顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、ならびに溶剤を含み、さらに、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の無機化合物を含む。
【0013】
<無機化合物>
前記無機化合物は、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムからなる群より選ばれる1種以上である。前記無機化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
前記無機化合物は、平均一次粒子径が、現像液のリサイクル性が良好なブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を得る観点から、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、そして、顔料分散組成物やレジスト組成物における無機化合物沈降防止の観点から、2,000nm以下であることが好ましく、1,700nm以下であることがより好ましい。通常、平均一次粒子径は、電子顕微鏡観察による算術平均径の値であるが、市販品の場合、カタログ値を参考とする。
【0015】
前記無機化合物は、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック100質量部に対して、30質量部以下である。前記無機化合物は、現像液のリサイクル性が良好なブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を得る観点から、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、そして、現像液のリサイクル性が良好なブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を得る観点および分散安定性を向上させる観点から、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。
【0016】
<カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック>
前記カーボンブラックは、ブラックマトリックス用顔料分散組成物に使用される公知のカーボンブラックを使用でき、例えば、中性カーボンブラック、酸性カーボンブラック等が挙げられる。また、前記カーボンブラックは、平均一次粒子径が20~60nm程度であることが好ましい。また、前記ラクタムブラックとしては、例えば、下記構造を有する化合物が挙げられる。前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラックは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【化1】
【0017】
前記中性カーボンブラックは、pHが8~10の範囲であることが好ましい。前記中性カーボンブラックの市販品としては、例えば、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製のプリンテックス25(平均一次粒子径56nm、pH9.5)、プリンテックス35(平均一次粒子径31nm、pH9.5)、プリンテックス65(平均一次粒子径21nm、pH9.5)、三菱化学社製のMA#20(平均一次粒子径40nm、pH8.0)、MA#40(平均一次粒子径40nm、pH8.0)、MA#30(平均一次粒子径30nm、pH8.0)等が挙げられる。
【0018】
前記酸性カーボンブラックは、pHが2~4の範囲であることが好ましい。前記酸性カーボンブラックの市販品としては、コロンビアケミカルズ社製のRaven1080(平均一次粒子径28nm、pH2.4)、Raven1100(平均一次粒子径32nm、pH2.9)、三菱化学社製のMA-8(平均一次粒子径24nm、pH3.0)、MA-100(平均一次粒子径22nm、pH3.5)、MA#70(平均一次粒径24nm、pH3.0)、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製のスペシャルブラック250(平均一次粒子径56nm、pH3.0)、スペシャルブラック350(平均一次粒子径31nm、pH3.0)、スペシャルブラック550(平均一次粒子径25nm、pH4)、NEROX2500(平均一次粒子径56nm、pH3.0)、NEROX3500(平均一次粒子径31nm、pH3.0)等が挙げられる。
【0019】
なお、通常、pHは、炭酸を除いた蒸留水(pH7.0)20mLに、カーボンブラック1gを添加してマグネチックスターラーで混合して水性懸濁液を調製し、ガラス電極を使用して25℃で測定する(ドイツ工業品標準規格 DIN ISO 787/9)。また、通常、平均一次粒子径は、電子顕微鏡観察による算術平均径の値である。ただし、上記の市販品のカーボンブラックのpHと平均一次粒子径はカタログ値である。
【0020】
前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラックは、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物中、ブラックマトリックスを形成した場合の遮光性が高める観点から、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、そして、顔料分散の観点から、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
【0021】
<塩基性基含有顔料分散剤>
前記塩基性基含有顔料分散剤は、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラックを分散できればよく、ブラックマトリックス用顔料分散組成物に使用される公知の塩基性基含有顔料分散剤を使用でき、例えば、アニオン性界面活性剤、塩基性基含有ポリエステル系顔料分散剤、塩基性基含有アクリル系顔料分散剤、塩基性基含有ウレタン系顔料分散剤、塩基性基含有カルボジイミド系顔料分散剤等が挙げられる。前記塩基性基としては、1級、2級または3級アミノ基が、特に分散性に優れる観点から好ましい。前記塩基性基含有顔料分散剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
前記塩基性基含有顔料分散剤は、良好な顔料分散性が得られる点から、高分子型の塩基性基含有顔料分散剤が好ましい。前記高分子型の塩基性基含有顔料分散剤としては、例えば、塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤、塩基性基含有ポリエステル系高分子顔料分散剤、塩基性基含有アクリル系高分子顔料分散剤等が挙げられる。これらの中でも、塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤、塩基性基含有アクリル系高分子顔料分散剤が好ましい。前記塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤は、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、およびポリカーボネート鎖よりなる群から選択される少なくとも1種を有する塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤がより好ましい。
【0023】
前記塩基性基含有顔料分散剤は、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、2~50質量部であることがより好ましい。
【0024】
<アルカリ可溶性樹脂>
前記アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像液に溶解できるものであれば特に制限はないが、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基(-P(=O)(OH2))等のアニオン性基の1種または2種以上を含有する樹脂が好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像性の観点から、10mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0026】
前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、レジスト膜の形成性の観点から、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、アルカリ現像液への溶解性を高める観点から、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましい。
【0027】
前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel、5μ、MIXED-D(Polymer Laboratories社製)を使用して、展開溶媒としてテトラヒドロフラン、カラム温度25℃、流速1ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度10ミリグラム/ミリリットル、注入量100マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
【0028】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル系共重合樹脂、マレイン酸系共重合樹脂、縮重合反応によって得られるポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、現像性、分子設計の幅、及びコストの観点から、アクリル系共重合樹脂が好ましい。
【0029】
前記アルカリ可溶性樹脂は、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック100質量部に対して、20~90質量部であることが好ましく、40~80質量部であることがより好ましい。
【0030】
<溶剤>
前記溶剤は、ブラックマトリックス用顔料分散組成物に使用される公知の溶剤を使用できる。前記溶剤は、顔料を安定的に分散させ、前記塩基性基含有顔料分散剤や前記アルカリ可溶性樹脂を十分に溶解させることができる観点から、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、含窒素系溶剤等が好ましい。前記溶剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
前記エステル系溶剤としては、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エステル、蟻酸n-アミル等が挙げられる。前記エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等が挙げられる。前記エーテルエステル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。前記ケトン系溶剤としては、例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、δ-ブチロラクトン等が挙げられる。前記芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アルキルナフタレン等が挙げられる。前記含窒素系溶剤としては、例えば、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0032】
前記溶剤の割合は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物中、工程性の観点から、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、そして、分散安定性の観点から、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0033】
<酸性基を有する顔料分散助剤>
前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物は、顔料の分散性をより改善する目的で酸性基を有する顔料分散助剤を含有してもよい。前記酸性基を有する顔料分散助剤は、例えば、ラクタムブラック、ペリレン系化合物、ジケトピロロピロール系化合物、アゾナフトール系化合物、ジオキサジン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン系化合物及びその金属錯体、アントラキノン、ナフタレン、アクリドン、またはトリアジン等の色素に、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基が導入された化合物(酸性基を有する色素誘導体)や、それらを有機アミン等で中和した化合物が挙げられる。前記酸性基を有する色素誘導体としては、カーボンブラックの分散性が良好である観点から、スルホン酸基を有するフタロシアニン系色素誘導体が好ましい。前記色素誘導体は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
前記酸性基を有する顔料分散助剤は、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラック100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましい。
【0035】
前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物中、前記カーボンブラック、前記塩基性基含有顔料分散剤、前記アルカリ可溶性樹脂、前記溶剤、および前記無機化合物の合計の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。また、酸性基を有する顔料分散助剤を使用する場合、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物中、前記カーボンブラック、前記塩基性基含有顔料分散剤、前記アルカリ可溶性樹脂、前記溶剤、前記無機化合物、および前記酸性基を有する顔料分散助剤の合計の割合は、75質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
【0036】
前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物は、上記の各成分をロールミル、ニーダー、高速攪拌機、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散装置等を用いて、分散処理して調製すればよい。
【0037】
<ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物>
本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物、光重合性化合物、および光重合開始剤を含む。なお、前記カーボンブラックおよび/またはラクタムブラックの割合は、前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物の固形分中、30質量%以上80質量%以下であることが好ましい。また、前記無機化合物の割合は、前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物の固形分中、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
【0038】
<光重合性化合物>
前記光重合性化合物は、ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物に使用される公知の光重合性化合物を使用でき、例えば、光重合性不飽和結合を有するモノマー、オリゴマー等が挙げられる。前記光重合性化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
光重合性不飽和結合を1個有するモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレートまたはアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレートまたはアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレートまたはアクリレート;N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレートまたはアクリレート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアリールエーテルのメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル;イソボニルメタクリレートまたはアクリレート;グリセロールメタクリレートまたはアクリレート;2-ヒドロキシエチルメタクリレートまたはアクリレート等が挙げられる。
【0040】
光重合性不飽和結合を2個以上有するモノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
【0041】
光重合性不飽和結合を有するオリゴマーとしては、例えば、前記モノマーを適宜重合させて得られたものが挙げられる。
【0042】
前記光重合性化合物は、前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物の固形分中、2~20質量%であることが好ましく、4~15質量%であることがより好ましい。
【0043】
前記光重合開始剤は、ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物に使用される公知の光重合開始剤を使用でき、例えば、ベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2,3-ジクロロアントラキノン、3-クロル-2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、1,2-ベンゾアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、トリアジン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤等が挙げられる。前記光重合開始剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
前記光重合開始剤は、前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物の固形分中、0.1~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。
【0045】
前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物は、アルカリ現像液による現像性の観点から、上記のアルカリ可溶性樹脂をさらに添加してもよい。また、前記アルカリ可溶性樹脂の合計は、前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物の固形分中、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。また、前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物は、塗装性を向上させる観点から、上記の溶剤をさらに添加してもよい。前記溶剤の合計の割合は、前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物中、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0046】
前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物には、さらに、必要に応じて、レベリング剤、酸化防止剤、消泡剤等の添加剤を添加してもよい。
【0047】
前記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物は、前記ブラックマトリックス用顔料分散組成物、光重合性化合物、および光重合開始剤等の各成分を、攪拌装置等を用いて、攪拌混合して調製すればよい。
【実施例】
【0048】
以下に本発明を実施例等によって説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
【0049】
<調製例1~8、比較調製例1~3>
<ブラックマトリックス用顔料分散組成物の調製>
表1に示す各種原料を、表1に示す配合組成(質量%)となるように混合した後、ビーズミルで練肉し、各調製例および比較調製例のブラックマトリックス用顔料分散組成物を調製した。
【0050】
<分散安定性の評価>
上記の各ブラックマトリックス用顔料分散組成物をそれぞれガラス瓶に採り、密栓して室温で7日間保存した後の状態を下記評価基準に従って評価した。Aを合格基準とした。結果を表1に示す。
A:増粘、沈降物が共に認められない。
B:軽く振ると元に戻る程度の増粘や沈降物が認められる。
C:強く振っても元に戻らない程度の増粘や沈降物が認められる。
【0051】
<実施例1~8、比較例1~3>
<ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物の調製>
表2に示す各種原料を、表2に示す配合組成(質量%)となるように、高速撹拌機を用いて混合した後、孔径0.5μmのフィルターで濾過し、各実施例および比較例のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を調製した。
【0052】
<リサイクル性の評価(1):処理済の現像液を用いたレジストパターンの密着性の評価>
上記の各ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を、スピンコーターにて膜厚が1μmとなるようにガラス基板(コーニング1737)上に塗布し、100℃で3分間プレベークした。その後、5μm、8μm、10μm、15μm、20μm、30μmのラインパターンを有するフォトマスクを用いて、高圧水銀灯にて、UV積算光量400mJ/cm2で露光し、露光部(硬化部)を含むレジスト膜を作製した。次いで、0.05%水酸化カリウム水溶液(現像液)を用い、23℃、0.5kgf/cm2のシャワー圧の条件にて、現像パターンが現れ始める時間(ブレイクポイント)からさらに20秒間現像を行い、3.0kgf/cm2圧のスプレー水洗を行った。続いて、上記と同様の操作にて、露光部(硬化部)を含むレジスト膜を新たに作製した。新たに作製した露光部(硬化部)を含むレジスト膜と上記で回収した現像液を用い、23℃、0.5kgf/cm2のシャワー圧の条件にて、現像パターンが現れ始める時間(ブレイクポイント)からさらに20秒間現像を行い、3.0kgf/cm2圧のスプレー水洗を行った。基板上に残存する最小パターンのサイズを測定して、下記評価基準に従ってリサイクル密着性を評価した。Aを合格基準とした。結果を表2に示す。
A:残存する最小パターンサイズが2μm、5μm、8μmである。
B:残存する最小パターンサイズが10μm、15μmである。
C:残存する最小パターンサイズが20μm、30μmである。
【0053】
<リサイクル性の評価(2):処理済の現像液を用いたレジストパターンの現像性の評価>
上記の<処理済の現像液を用いたレジストパターンの密着性の評価>において、回収した現像液を用いて現像する過程で現像パターンが現れ始める時間(ブレイクポイント)を下記評価基準に従い評価した。AまたはBを合格基準とした。結果を表2に示す。
A:30秒以内に完全に除去できる。
B:30秒を超えて60秒以内に完全に除去できる。
C:60秒を超えても完全に除去できない。
【0054】
また、上記で得られたブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を用い、以下の評価方法にしたがって、各項目を評価した。結果を表2に示す。
【0055】
<レジストパターンの光学濃度(OD値)の評価>
上記の各ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を、スピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板(コーニング1737)上に塗布し、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークを行い、ベタ部のみで形成されたレジスト膜を得た。得られた各ベタ部のレジスト膜の光学濃度(OD値)をマクベス濃度計(D-200II、商品名、マクベス社製)で測定した。
【0056】
<レジストパターンの現像性の評価>
上記の各ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を、スピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板(コーニング1737)上に塗布し、100℃で3分間プレベークした。その後、5μm、8μm、10μm、15μm、20μm、30μmのラインパターンを有するフォトマスクを用いて、高圧水銀灯にて、UV積算光量400mJ/cm2で露光し、レジスト膜を作製した。高圧水銀灯を用い、UV積算光量400mJ/cm2で露光した。次いで、0.05%水酸化カリウム水溶液(現像液)を用い、23℃、0.5kgf/cm2のシャワー圧の条件にて、現像パターンが現れ始める時間(ブレイクポイント)を下記評価基準に従い評価した。
A:30秒以内に完全に除去できる。
B:30秒を超えて60秒以内に完全に除去できる。
C:60秒を超えても完全に除去できない。
【0057】
<レジストパターンの密着性の評価>
上記の各ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を、スピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板(コーニング1737)上に塗布し、100℃で3分間プレベークした。その後、5μm、8μm、10μm、15μm、20μm、30μmのラインパターンを有するフォトマスクを用いて、高圧水銀灯にて、UV積算光量400mJ/cm2で露光し、レジスト膜を作製した。次いで、0.05%水酸化カリウム水溶液(現像液)を用い、23℃、0.5kgf/cm2のシャワー圧の条件にて、現像パターンが現れ始める時間(ブレイクポイント)からさらに20秒間現像を行い、3.0kgf/cm2圧のスプレー水洗を行った。基板上に残存する最小パターンのサイズを下記評価基準に従って評価した。
A:残存する最小パターンサイズが2μm、5μm、8μmである。
B:残存する最小パターンサイズが10μm、15μmである。
C:残存する最小パターンサイズが20μm、30μmである。
【0058】
<シール強度の評価>
上記の各ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を、スピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板(コーニング1737)上に塗布し、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークを行い、ベタ部のみで形成されたレジスト膜を得た。得られた基板およびレジスト組成物を塗布していないガラス基板(コーニング1737)に一定の量のシール剤を介して、直径5mmのアルミピンを貼り合わせた。その後、アルミピンを貼り合わせたガラス基板を150℃で1時間のポストベークを実施し、試験片を作成した。そして、上記で得られた試験片について引っ張り試験を実施し、剥離時の強度を読み取り、シール剤の塗布面積で割り、単位面積当たりの強度をシール強度とした。レジスト組成物を塗布していないガラスのシール強度を100とした時の、各組成のシール強度から相対値を算出し、下記評価基準に従って評価した。
A:相対値が80以上である。
B:相対値が60以上、80未満である。
C:相対値が60未満である。
【0059】
【0060】
【0061】
表1および表2中、Raven1080は、カーボンブラック(平均一次粒子径28nm、pH2.4、コロンビアケミカルズ社製);
Iragaphor Black S 0100 CFは、ラクタムブラック(BASF社製)
水酸化アルミニウムは、「C301N」(平均一次粒子径1,500nm、住友化学社製);
酸化アルミニウム(a)は、「AKP-53」(平均一次粒子径180nm、住友化学社製);
酸化アルミニウム(b)は、「AA-03」(平均一次粒子径440nm、住友化学社製);
チタン酸バリウム(a)は、「BTC-4FA」(平均一次粒子径200nm、日本化学工業社製);
チタン酸バリウム(b)は、「BTC-4FB」(平均一次粒子径300nm、日本化学工業社製);
チタン酸バリウム(c)は、「KZM-50」(平均一次粒子径50nm、日本化学工業社製);
硫酸バリウムは、「BF-40」(平均一次粒子径10nm、堺化学工業社製);
ソルスパーズ5000は、スルホン酸基を有するフタロシアニン系色素誘導体(ルブリゾール社製);
BYK-167は、ポリエステル鎖を有するアミノ基含有ポリウレタン系高分子分散剤(ビックケミー社製、固形分52質量%);
BYK-LPN-22329は、アミノ基含有アクリル系高分子顔料分散剤(ビックケミー社製、固形分58%);
BzMA/MAAは、BzMA(ベンジルメタクリレート)/MAA(メタクリル酸)共重合体(酸価100mgKOH/g、重量平均分子量30,000);
PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;を示す。
【0062】
表2中、DPHAは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;
イルガキュア OXE02は、オキシムエステル系光重合開始剤(BASFジャパン社製);
メガファックF555は、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー(DIC社製、固形分30質量%);を示す。