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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
D06F58/02 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020099702
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021192760
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 千洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 重光
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-095718(JP,A)
【文献】特開2007-029359(JP,A)
【文献】特開2009-165720(JP,A)
【文献】特開2017-077270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容する乾燥室と、
両端部が前記乾燥室に接続された循環風路と、
前記乾燥室と前記循環風路の間で空気を循環させる送風機と、
前記循環風路内の空気を加熱する凝縮器と、前記循環風路内の空気を冷却し除湿する蒸発器と、可燃性冷媒を圧縮して前記凝縮器に供給する圧縮機と、前記凝縮器を通った可燃性冷媒を減圧する減圧手段とを冷媒輸送パイプで接続したヒートポンプと、
前記乾燥室、前記循環風路、前記送風機及び前記ヒートポンプを収納する筐体とを備えた衣類乾燥機において、
前記筐体は、前記凝縮器、前記蒸発器及び前記圧縮機が載置された台板と、前記台板の上方を覆う外箱と、前記循環風路の外側に設けられ前記台板に設けられた第1開口部を介して外部と連通する換気経路を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器は、内部に冷媒が流れる冷媒パイプと、前記冷媒パイプに取り付けられたフィンとを備え、
前記冷媒パイプは、複数の直線部と、前記複数の直線部の一端を連結するように設けられた第1折返し部と、前記複数の直線部の一端と前記第1折返し部とをロウ付けにより接合した接合部と、前記複数の直線部の他端に一体に設けられた第2折返し部とを備えた蛇行状に形成され、
前記接合部が前記換気経路に位置し、前記複数の直線部と前記フィンと前記第2折返し部が前記循環風路内に位置する衣類乾燥機。
【請求項2】
前記接合部の下方を覆い、上方に前記換気経路と連通する開口部が設けられた受水部を備える請求項1に記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記循環風路は、前記複数の直線部と前記フィンと前記第2折返し部が収納された熱交換部と、前記熱交換部と前記受水部を仕切る隔壁と、前記隔壁に設けられ前記熱交換部と前記受水部とを封止する封止部材とを備える請求項2に記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記台板に載置された電気部品の充電部と蒸発器及び凝縮器の接合部との間を仕切るように前記台板に設けられた衝立とを備える請求項1~3のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
前記接合部が多孔質体で覆われている請求項1~4のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
前記循環風路は、前記複数の直線部と前記フィンと前記第2折返し部が収納された熱交換部を備え、
前記筐体は、前記外箱の前記第1開口部より高い位置に設けられた第2開口部を備え、
前記熱交換部の一方側に前記換気経路が設けられ、前記換気経路に前記接合部と前記圧縮機と前記第1開口部が設けられている請求項1~5のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプを備えた衣類乾燥機では、環境問題に対する関心の高まっていることから、オゾン層破壊係数が小さく、かつ、地球温暖化係数も小さい可燃性冷媒の使用が検討されている。
【0003】
衣類乾燥機が備えるヒートポンプに封入される冷媒の量は少ないため、万一、ヒートポンプから冷媒が漏れ出ても衣類乾燥機の筐体内が発火限界濃度に到達しにくく火災に発展する可能性はほとんど無いが、冷媒が漏れ出た場合の安全対策として、従来より、種々のものが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
下記特許文献1では、ヒートポンプの圧縮機と絞り器、並びにそれらと蒸発器及び凝縮器とを接続した接続パイプをカバーで覆い、カバーの内部に配設した冷媒検知器が可燃性冷媒の漏れを検知した場合に、圧縮機を停止させ、漏れ冷媒を外部に排出する排気用送風機を作動させる。
【0005】
しかしながら、下記特許文献1では、ヒートポンプから可燃性冷媒が漏れ出るとカバーの内部に溜まるため、冷媒検知器の故障や誤差によってカバー内部の可燃性冷媒の濃度を正しく検知できない場合に発火限界濃度に達するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-207673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、上記事情を考慮してなされたものであり、可燃性冷媒を使用したヒートポンプを備えた衣類乾燥機において、万一、可燃性冷媒が漏れ出た場合であっても、発火を抑えることができる安全性の高い衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の衣類乾燥機は、衣類を収容する乾燥室と、両端部が前記乾燥室に接続された循環風路と、前記乾燥室と前記循環風路の間で空気を循環させる送風機と、前記循環風路内の空気を加熱する凝縮器と、前記循環風路内の空気を冷却し除湿する蒸発器と、可燃性冷媒を圧縮して前記凝縮器に供給する圧縮機と、前記凝縮器を通った可燃性冷媒を減圧する減圧手段とを冷媒輸送パイプで接続したヒートポンプと、前記乾燥室、前記循環風路、前記送風機及び前記ヒートポンプを収納する筐体とを備えた衣類乾燥機において、前記筐体は、前記凝縮器、前記蒸発器及び前記圧縮機が載置された台板と、前記台板の上方を覆う外箱と、前記循環風路の外側に設けられ前記台板に設けられた第1開口部を介して外部と連通する換気経路を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器は、内部に冷媒が流れる冷媒パイプと、前記冷媒パイプに取り付けられたフィンとを備え、前記冷媒パイプは、複数の直線部と、前記複数の直線部の一端を連結するように設けられた第1折返し部と、前記複数の直線部の一端と前記第1折返し部とをロウ付けにより接合した接合部と、前記複数の直線部の他端に一体に設けられた第2折返し部とを備えた蛇行状に形成され、前記接合部が前記換気経路に位置し、前記複数の直線部と前記フィンと前記第2折返し部が前記循環風路内に位置するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】扉を取り外した一実施形態に係る衣類乾燥機の示す正面図
図2図1の衣類乾燥機の概略構成を示す縦断側面図
図3図1のA-A断面図
図4図1の衣類乾燥機の外観を示す背面図
図5図3のB-B断面図
図6】変更例の衣類乾燥機に設けられた熱交換部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0011】
なお、以下の説明において、左右方向、前後方向、上下方向とは、洗濯乾燥機を正面から見たときの方向を示し、左右方向は洗濯乾燥機の幅方向に相当する。また、右、左、上、下、前、後とは、特に規定がない場合には洗濯乾燥機を正面から見たときの位置や側などを示す。
【0012】
本実施形態は、洗濯機と衣類乾燥機とを兼ねたドラム式の洗濯乾燥機に関するものであり、図1及び図2に示すように、ほぼ矩形箱状の外箱1aと、その下部に設けられた台板1bとから筐体1が構成されている。
【0013】
外箱1aの前面には、そのほぼ中央部に開口部からなる洗濯物出入口3が形成されている。洗濯物出入口3は、ヒンジを介して横方向に回動可能に設けられた扉4により開閉される(図2参照)。
【0014】
筐体1の内部には、図2に示すように、水槽8と、水槽8に接続された循環風路20と、水槽8と循環風路20との間で空気を循環させる送風機27と、循環風路20内の空気を除湿及び加熱するためのヒートポンプ35と、図3に示すように、循環風路20の外側に換気経路50が設けられている。
【0015】
水槽8は、前面が開口し後面が閉塞されたほぼ円筒状をなしており、前面の開口部が洗濯物出入口3に連通している。水槽8は、その軸方向を前後方向に向けた横軸状態で台板1b上に弾性支持機構を介して弾性的に支持されている。水槽8は、給水弁を介して水槽8の上部に設けられた給水口より水道水等の水が機外から供給され、水槽8の底部に設けられた図示しない排水口より排水弁を介して水槽8内の水を機外へ排水できるように構成されている。
【0016】
水槽8内には、前面が開口し後面が閉塞された円筒状の回転ドラム14が回転可能に配設されている。回転ドラム14は、その軸方向が前後方向の横軸状態で水槽8内に配設されている。回転ドラム14の周壁には通水及び通風が可能な孔15が多数形成されており、この孔15によって回転ドラム14の内部が水槽8と連通している。
【0017】
回転ドラム14の前面開口部も洗濯物出入口3に連通しており、回転ドラム14は洗濯物出入口3から投入される洗濯物を収容する。回転ドラム14は、水槽8の背面に設けられたドラムモータ17により回転駆動される。このような構成の回転ドラム14は、洗い行程時には洗濯槽として、脱水行程時には脱水槽として、さらに乾燥運転時には乾燥槽(乾燥室)として機能する。
【0018】
水槽8は、図2に示すように、水槽8の前端下部に設けられた排気口10と、水槽8の後面の中心よりやや上寄りの位置に設けられた給気口11を有し、排気口10及び給気口11に循環風路20が接続されている。
【0019】
図2図4に示すように、循環風路20は、空気循環方向に対して上流側から順に、排気ダクト22、熱交換部30、及び給気ダクト26とを備え、排気口10に接続された排気ダクト22より水槽8内の空気を排気し、給気口11に接続された給気ダクト26より循環風路20を流れた空気を水槽8内へ供給する。
【0020】
排気ダクト22は、排気口10から水槽8の前端下部から下方へ延び、熱交換部30の上面に設けられた開口部42aに排気ダクト22の先端(下端)が接続されている。
【0021】
熱交換部30は、水槽8の下方において台板1bに載置されたハウジング40と、その内部に設けられた蒸発器31と、蒸発器31から空気循環方向下流側へ離間してハウジング40内に配置された凝縮器32を備える。
【0022】
熱交換部30に設けられた蒸発器31及び凝縮器32は、図3及び図5に示すように、いずれも冷媒パイプと、冷媒パイプに取り付けられたフィン31b,32bとを備えるフィンチューブ形の熱交換器である。
【0023】
冷媒パイプは、銅などの熱伝導率の高い材質からなり、複数の直線部31a1,32a1と、直線部31a1,32a1の一端を連結するようにU字状に折り返された第1折返し部31a2,32a2と、直線部31a1,32a1の一端と第1折返し部31a2,32a2とをロウ付けにより接合した接合部31a3,32a3と、直線部31a1,32a1の他端でU字状に折り返され直線部31a1,32a1に一体に設けられた第2折返し部31a4,32a4とを備えた蛇行状に形成されている。
【0024】
フィン31b,32bは、冷媒パイプの直線部31a1,32a1に所定ピッチで多数並べて取り付けられている。
【0025】
凝縮器32の冷媒パイプの入口32a5は、圧縮機33の吐出側に接続された冷媒輸送パイプ36の出口と、各端部の径を大小関係にすることで挿入嵌合させた後、外部に露出した側の端部をロウ付けすることにより接合され、凝縮器32の冷媒パイプの出口32a6は、冷媒輸送パイプ37の一端と前記同様にロウ付けにより接合されている。
【0026】
冷媒輸送パイプ37は、凝縮器32と蒸発器31とを接続する冷媒輸送パイプ37であり、途中にキャピラリーチューブや開度調整可能な電磁弁などからなり、凝縮器32を通過した冷媒を減圧する減圧部34が設けられている。
【0027】
冷媒輸送パイプ37の他端には蒸発器31の冷媒パイプの入口31a5が前記同様にロウ付けにより接合されている。また、蒸発器31の冷媒パイプの出口31a6には、圧縮機33の吸込側に接続された冷媒輸送パイプ38がやはり前記同様にロウ付けにより接合されている。
【0028】
以上のように蒸発器31及び凝縮器32は、冷媒輸送パイプ36、37,38によって圧縮機33及び減圧部34と環状に配管接続されヒートポンプ35を構成する。
【0029】
ハウジング40は、上方に開口する下部材41と、下部材41の上面開口部を閉塞する蓋体42と、下部材41と蓋体42との間を封止する封止部材43とを備える。
【0030】
下部材41は、上下方向に扁平な容器状の部材であって、内部に蒸発器31及び凝縮器32を設ける空間が形成されている。下部材41は、蓋体42との間で循環風路20内の空気が流通する風路を区画するとともに、蒸発器31で発生した除湿水を受ける。下部材41の底面41aは、後方に向かって低くなるように緩やかに傾斜しており、蒸発器31において発生した除湿水を、外箱1aの背面1cに設けられた排水手段44へ誘導し排水するようになっている。
【0031】
このようなハウジング40は、水槽8と台板1bとの間に形成された空間の左右方向の一方側(例えば、左側)に寄せて台板1bに載置されている。蓋体42の前端部には排気ダクト22の下端を接続する開口部42aが設けられ、下部材41の後端部に給気ダクト26が接続されており、空気がハウジング40内部を後方へ向かって流れるようになっている。
【0032】
圧縮機33は、詳細には図示しないが、圧縮機構部とモータ部とを備え、モータ部にはインバータ電源により設定周波数の駆動電源を供給するようにしている。これにより、モータ部は供給された周波数に応じた回転数で回転し、圧縮機33を所望の設定出力で駆動するようになっている。
【0033】
圧縮機33及び減圧部34は、熱交換部30において空気が流れる方向に対して垂直な方向へ熱交換部30から離れた位置に配置されている。つまり、圧縮機33及び減圧部34は、水槽8と台板1bとの間に形成された空間であって、熱交換部30の側方(右側)に配置されている。
【0034】
ヒートポンプ35にはイソブタン等の炭化水素系の可燃性冷媒(以下、冷媒ということもある)が封入されており、圧縮機33の作動により冷媒が循環することで、蒸発器31はハウジング40の内部を流れる空気を冷却し除湿し、凝縮器32は蒸発器31で除湿された空気を加熱する。
【0035】
熱交換部30の空気循環方向の下流側には、給気ダクト26を介して水槽8の給気口11に接続され、熱交換部30と給気ダクト26との接続部分にシロッコファン27aが設けられている。
【0036】
シロッコファン27aは、水槽8と台板1bとの間に形成された空間に設けられたファンモータ27bとともに送風機27を構成する。ファンモータ27bは、回転軸27cが後方へ延びるように熱交換部30の後部側方(後部右方)に配置されている。ファンモータ27bの回転軸27cは、外箱1aの背面1cを貫通し、その先端部にシロッコファン27aが取り付けられている。シロッコファン27aは、ファンモータ27bから動力を受けて回転すると、熱交換部30において除湿及び加熱された空気を吸い込み給気ダクト26へ吐出する。
【0037】
給気ダクト26は、図3及び図4に示すように、外箱1aの背面1cの取り付けられたダクトカバー28と外箱1aの背面1cとの間に形成された上下方向に延びる流路からなる。シロッコファン27aから吐出された空気は、給気ダクト26内を上方へ向かって流れ、外箱1aの背面1cに設けられた導入口29を通って水槽8、さらには回転ドラム14内へ供給される。
【0038】
換気経路50は、筐体1内部における水槽8及び循環風路20の外側に形成された空間であって、循環風路20との間で空気の流通が実質的に遮断された循環風路20から独立した空間である。
【0039】
換気経路50は、その内部にヒートポンプ35を構成する圧縮機33及び減圧部34や、送風機27のファンモータ27bが設けられている。また、換気経路50は、圧縮機33やファンモータ27bが設けられた熱交換部30の側方(右方)に台板1bを上下に貫通するように設けられた第1開口部51と、外箱1aの背面1cの第1開口部51より上方位置に設けられた第2開口部52(図4参照)とを備え、第1開口部51及び第2開口部52を介して筐体1の外部空間と連通している。
【0040】
このような換気経路50では、ヒートポンプ35及び送風機27の動作時に圧縮機33やファンモータ27bから発生する熱によって上昇気流が発生し、第1開口部51から筐体1の外部の空気を取り込み、第2開口部52から筐体1の外部へ排出するように、筐体1の外部から取り込んだ空気が換気経路50内を流通する。
【0041】
なお、図3において符号53は、換気経路50に設けられたモータ駆動用のコンデンサであり、回転ドラム14を回転させるドラムモータ17に駆動電源を供給する。コンデンサ53は、前記ドラムモータ17と接続するリード線をはんだ付けした接続端子、即ち充電部を下に向けた形で防爆用のケース内に収納され、熱交換部30の側方において台板1bに固定されている。この台板1b上に設けられた電気部品であるコンデンサ53の充電部としての接続端子と蒸発器31及び凝縮器32の接合部31a3,32a3との間には、台板1bから上方へ立ち上がる衝立に54が設けられている。衝立54は、コンデンサ53より上方へ突出し、コンデンサ53と接合部31a3,32a3との間を仕切っている。
【0042】
以上のような構成の洗濯乾燥機において、蒸発器31及び凝縮器32は、第1折返し部31a2,31a2と接合部31a3,31a3が換気経路50に位置し、直線部31a1,32a1と第2折返し部31a4,32a4とフィン31b,32bが循環風路20を構成する熱交換部30内に位置するように設けられている。
【0043】
具体的には、下部材41及び蓋体42によって区画されたハウジング40の内部には、蒸発器31及び凝縮器32のうち、直線部31a1,32a1と第2折返し部31a4,32a4とフィン31b,32bが収納され、第1折返し部31a2,32a2及び接合部31a3,32a3は、ハウジング40の外側に隣接して設けられた受水部45に収納されている。
【0044】
受水部45は、図5に示すように、第1折返し部31a2,32a2及び接合部31a3,32a3の下方に設けられた底面45aとその周縁から上方に立ち上がる周壁45bを備え、上方に開口部45cが形成された容器状をなしている。
【0045】
受水部45は、圧縮機33及び減圧部34と熱交換部30の間に位置するように、圧縮機33や減圧部34が設けられた熱交換部30の一方側に隣接して設けられており、ハウジング40における空気循環方向に平行に延びる隔壁46によってハウジング40内部と区画されている。
【0046】
受水部45とハウジング40とを区画する隔壁46には、直線部31a1,32a1の一端部が気密の状態で貫通し、第1折返し部31a2,32a2及び接合部31a3,32a3が隔壁46から受水部45の内部へ突出している。また、隔壁46の上端は、封止部材43を挟んで蓋体42が設けられている。これにより、受水部45の内部は、上面に設けられた開口部45cを介して換気経路50と連通するが、ハウジング40の内部とは空気の流通が実質的に遮断された空間が形成されている。
【0047】
なお、本実施形態では、第1折返し部31a2,32a2及び接合部31a3,32a3に加え、蒸発器31の冷媒パイプの入口31a5及び出口31a6や、凝縮器32の冷媒パイプの入口32a5及び出口32a6と、冷媒輸送パイプ36,37,38との接合部分も受水部45の内部に設けられている。
【0048】
以上のような本実施形態の洗濯乾燥機では、第1折返し部31a2,31a2と接合部31a3,31a3が換気経路50に位置し、直線部31a1,32a1と第2折返し部31a4,32a4とフィン31b,32bが循環風路20を構成する熱交換部30内に位置するように蒸発器31及び凝縮器32が設けられている。ロウ付けにより接合された接合部31a3,32a3は、冷媒パイプや冷媒輸送パイプ36,37,38の他の部分に比べて冷媒漏れ発生の可能性は高いが、本実施形態の洗濯乾燥機では、万一、接合部31a3,32a3から可燃性冷媒が漏れ出しても、静電気などの発火源が発生しやすい循環風路20内へ可燃性冷媒が進入しにくく発火を抑えることができる。
【0049】
本実施形態では、熱交換部30や圧縮機33が載置された台板1bに第1開口部51が設けられているため、可燃性冷媒が空気より比重が大きい場合であれば、漏れ出た冷媒は台板1bを伝って第1開口部51より筐体1の外部へ排出される。
【0050】
また、ヒートポンプ35や送風機27の動作時には、圧縮機33やファンモータ27bの熱によって換気経路50内に発生する上昇気流によって、可燃性冷媒を筐体1の外部へ排出することができる。
【0051】
また、本実施形態では、接合部31a3,32a3や第1折返し部31a2,32a2の下方を覆うように受水部45が設けられているため、ヒートポンプ35の動作時に蒸発器31の第1折返し部31a2や接合部31a3に付着した結露水が垂れ落ちても、台板1bに載置されたファンモータ27bや圧縮機33やコンデンサ53などに結露水が達するのを防ぐことができる。しかも、受水部45は上側に開口部45cが設けられているため、万一、接合部31a3,32a3から可燃性冷媒が漏れ出ても開口部45cから換気経路50を通って筐体1の外部へ排出することができる。
【0052】
また、本実施形態では、受水部45と熱交換部30のハウジング40とを区画する隔壁46にハウジング40と受水部45とを封止する封止部材43が設けられているため、ハウジング40と受水部45との間で空気の流通を遮断することができる。そのため、送風機27の動作時に熱交換部30が負圧になることがあるが、そのような場合であっても接合部31a3、32a3から漏れ出た可燃性冷媒が受水部45から熱交換部30へ進入するのを防ぐことができる。
【0053】
また、本実施形態では、台板1bに載置されたコンデンサ53と蒸発器31及び凝縮器32の接合部31a3,32a3との間に衝立が設けられているため、接合部31a3,32a3から漏れ出た冷媒が台板1bを伝って流れても、火花などの発火源となりうるコンデンサ53近傍、特には充電部であるコンデンサ53の接続端子に可燃性冷媒が到達するのを防ぐことができる。
【0054】
(変更例1)
上記した実施形態では、蒸発器31及び凝縮器32において熱交換部30の外側に設けた接合部31a3,32a3や第1折返し部31a2,32a2を換気経路50に露出する場合について説明したが、例えば、図6に示すように受水部45に発泡ウレタンなど多孔質体を充填し、接合部31a3,32a3や第1折返し部31a2,32a2を多孔質体55で被覆しても良い。このような場合、接合部31a3,32a3や第1折返し部31a2,32a2からの熱漏洩を抑えて熱交換部30における熱効率を向上させることができるとともに、接合部31a3,32a3から冷媒が漏れ出たとしても、冷媒が換気経路50にゆっくりと放出されることとなり、筐体1の内部が発火限界濃度に達するのを防ぐことができる。
【0055】
(変更例2)
上記した実施形態では、冷媒検知センサを設けていない洗濯乾燥機について説明したが、例えば、換気経路50内や循環風路20内にヒートポンプ35から漏れ出た冷媒を検知するガスセンサを設けても良い。
【符号の説明】
【0056】
1…筐体、1a…外箱、1b…台板、8…水槽、10…排気口、11…給気口、17…ドラムモータ、20…循環風路、22…排気ダクト、26…給気ダクト、27…送風機、27a…シロッコファン、27b…ファンモータ、30…熱交換部、31…蒸発器、31a1…直線部、31a2…第1折返し部、31a3…接合部、31a4…第2折返し部、31b…フィン、32…凝縮器、32a1…直線部、32a2…第1折返し部、32a3…接合部、32a4…第2折返し部、32b…フィン、33…圧縮機、35…ヒートポンプ、36…冷媒輸送パイプ、37…冷媒輸送パイプ、38…冷媒輸送パイプ、40…ハウジング、41…下部材、42…蓋体、43…封止部材、45…受水室、45c…開口部、46…隔壁、50…換気経路、51…第1開口部、52…第2開口部、53…コンデンサ、54…衝立、55…多孔質体
図1
図2
図3
図4
図5
図6