(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】鉄道車両、及び鉄道車両の製造方法
(51)【国際特許分類】
B61D 17/18 20060101AFI20231212BHJP
B61D 37/00 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
B61D17/18
B61D37/00 F
(21)【出願番号】P 2020100396
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 征広
(72)【発明者】
【氏名】竹田 純一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 忠
(72)【発明者】
【氏名】伊東 隼
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0090151(US,A1)
【文献】特開2019-006231(JP,A)
【文献】特開2019-006232(JP,A)
【文献】特開2001-063565(JP,A)
【文献】米国特許第04319528(US,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0314173(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/18
B61D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内装側パネルを並べて車体の内壁面が形成される鉄道車両において、
前記内装側パネルのうち、第1の前記内装側パネルと第2の前記内装側パネルは隣り合って配置され、
前記第1内装側パネルと前記第2内装側パネルとの間には、目地部材が配置され、
該目地部材は、板状に形成されて、前記車体の上部に固定するための固定部を有し、
前記固定部にて前記車体に固定された前記目地部材に、重ねて前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルが取り付けられることで、前記目地部材が前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルにより引っ張られ、前記目地部材と前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルとが密着すること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記目地部材の前記固定部は、側構体側に配置された荷棚に掛止する構造となっており、
前記目地部材の下部には、前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルの下部を掛止する受け部と、弾性支持部を備え、
前記受け部によって、前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルが前記目地部材よりも車内側に配置して保持されること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
複数の内装側パネルを並べて車体の内壁面を形成する鉄道車両の製造方法において、
前記内装側パネル同士の間に配置される、板状に形成された目地部材の上部を固定し、
前記目地部材の車体内側から、第1の前記内装側パネルを配置し、該第1内装側パネルに隣接して第2の前記内装側パネルを配置し、
前記第1内装側パネルと前記第2内装側パネルを配置することで、前記目地部材の下部に設けられている受け部に前記第1内装側パネルと前記第2内装側パネルが受けられ、前記目地部材が引っ張られて、前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルに対して前記目地部材が密着すること、
を特徴とする鉄道車両の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の内装側パネルを取り付ける技術に関し、詳しくは複数の内装側パネルを配置するにあたって美観向上が可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の車体を作る手法は様々であるが、内装側パネルを側窓1つあるいは複数に対して1つのユニットとして、側構体の内側に組み付ける手法で車体を作る場合がある。例えば、特許文献1には、鉄道車両の空調装置に関する技術が開示されていて、窓きせと呼ばれる内装側パネルを複数車内に配置している様子が示されている。それによれば、車両の側窓の1つまたは複数を1つの単位として、単位ごとに側窓まわりを内装する窓きせを設け、これら各窓きせの上辺部に荷棚を一体に設けている。このように側窓まわりを分けて製造することで、取り付けの微調整など複雑な作業なしに好適な内装状態が得られるとしている。
【0003】
ただし、複数の窓きせを並べて配置する場合、その間には隙間が生じてしまう。このため、これを効率的に処理する方法が求められることになり、例えば特許文献2には、鉄道車両に関する技術が開示されている。これによれば、鉄道車両の側構体には、複数の窓が車体長さ方向に所定の間隔を空けて配置され、側構体には厚さ方向に貫通する開口部を有する外パネルが複数、車体幅方向視において開口部の内側に窓が位置するように設けられている。そして、この外パネルの開口部を覆うように内パネルが取り付けられている。この特許文献1の窓きせに相当する外パネルには目地部が取り付けられ、隣の外パネルと目地部が重なるように取り付けることで、外パネル同士の隙間が目立たぬように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-63565号公報
【文献】特開2019-6232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示される技術では、外パネルの一端に形成された目地部と、隣接する外パネルが重ねられる部分での隙間が生じて、美観的に問題となるケースがあることが分かった。これは、外パネルと目地部が一体的に作られるため、その製作精度によっては、重ねられる側の目地部との間に隙間を生じることがあるためである。特許文献2では目地部との間はゴムなどの弾性体によって塞がれている旨の記載があるが、外観上は外パネルと目地部が一体的に設けられる側と弾性体で塞がれる側とで隙間が出ることもある。
【0006】
こうした隙間に対応するために目地部分と外パネルの隙間を調整することが考えられるが、鉄道車両を製造する工数やコストに影響がでてしまう。また、目地部分の施工は、鉄道車両の車体内部の意匠に関わる問題でもあるため丁寧な仕事が求められ、工数がかかる可能性が高い。こうしたことから、車体内部の施工は、単純に重ねるだけで隙間が生じないような構成となることが望ましい。
【0007】
そこで、本発明はこの様な課題を解決し、車体内部の美観向上が可能な内装側パネルの施工手法を適用する鉄道車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による鉄道車両は、以下のような特徴を有する。
【0009】
(1)複数の内装側パネルを並べて車体の内壁面が形成される鉄道車両において、前記内装側パネルのうち、第1の前記内装側パネルと第2の前記内装側パネルは隣り合って配置され、前記第1内装側パネルと前記第2内装側パネルとの間には、目地部材が配置され、該目地部材は、板状に形成されて、前記車体の上部に固定するための固定部を有し、前記固定部にて前記車体に固定された前記目地部材に、重ねて前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルが取り付けられることで、前記目地部材が前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルにより引っ張られ、前記目地部材と前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルとが密着すること、を特徴とする。
【0010】
上記(1)に記載の態様により、第1内装側パネル及び第2内装側パネルに対して目地部材との隙間ができないように支持された状態で、内装側パネルを固定することができる。この結果、美観の向上を図ることが可能となる。これは、内装側パネル(第1内装側パネル及び第2内装側パネル)を取り付ける際に、目地部材が引っ張られて密着する構造とすることで実現している。この結果、車内から見える第1内装側パネルと目地部材、目地部材と第2内装側パネルとの隙間が無くなり、美観が向上する。
【0011】
また、内装側パネルを取り付けることで目地部材が引っ張られて、結果的に内装側パネルと目地部材とが密着するように作用するため、追加で作業する必要が無く、結果的に施工コストを削減することに繋がる。
【0012】
(2)(1)に記載の鉄道車両において、前記目地部材の前記固定部は、側構体側に配置された荷棚に掛止する構造となっており、前記目地部材の下部には、前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルの下部を掛止する受け部と、弾性支持部を備え、前記受け部によって、前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルが前記目地部材よりも車内側に配置して保持されること、が好ましい。
【0013】
上記(2)に記載の態様により、目地部材の取り付けに掛止構造を採用することによって容易に行うことができ、一方で、目地部材が下部に受け部を備えることで、第1内装側パネルと第2内装側パネルが取り付けられた際に下方に引っ張られ、内装側パネル(第1内装側パネル及び第2内装側パネル)に対して目地部材が密着するような構造となる。この結果、単純に目地部材に対して内装側パネルを重ねることで、目地部材が内装側パネルに対して密着するという単純な施工方法にて施工が可能となる。また、美観上も、それぞれ内装側パネルに目地部材が密着するため、良好な美観を示すことになる。
【0014】
また、前記目的を達成するために、本発明の別の態様による鉄道車両の製造方法は、以下のような特徴を有する。
【0015】
(3)複数の内装側パネルを並べて車体の内壁面を形成する鉄道車両の製造方法において、前記内装側パネル同士の間に配置される、板状に形成された目地部材の上部を固定し、前記目地部材の車体内側から、第1の前記内装側パネルを配置し、該第1内装側パネルに隣接して第2の前記内装側パネルを配置し、前記第1内装側パネルと前記第2内装側パネルを配置することで、前記目地部材の下部に設けられている受け部に前記第1内装側パネルと前記第2内装側パネルが受けられ、前記目地部材が引っ張られて、前記第1内装側パネル及び前記第2内装側パネルに対して前記目地部材が密着すること、を特徴とする。
【0016】
上記(3)に記載の態様により、目地部材を配設した後に固定し、第1内装側パネルと第2内装側パネルを取り付ける際に、目地部材が内装側パネルにより下方に引っ張られることで第1内装側パネルと第2内装側パネルに目地部材が密着するので、簡単な手順で施工ができ、良好な美観を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本実施形態の、車内側から見た内装側パネルの正面図である。
【
図3】本実施形態の、内装側パネルを1枚だけ取り付けた状態の斜視図である。
【
図4】本実施形態の、車体に取り付けられた状態の目地部材の斜視図である。
【
図5】本実施形態の、目地部材の背面側からの斜視図である。
【
図6】本実施形態の、目地部材の上部の取り付け部分の拡大図である。
【
図7】本実施形態の、目地部材の下部の取り付け部分の拡大図である。
【
図8】本実施形態の、車体に取り付けられた状態の内装側パネルの斜視図である。
【
図9】本実施形態の、目地部材及び内装側パネルが取り付けられた状態の上部の拡大斜視図である。
【
図10】本実施形態の、目地部材及び内装側パネルが取り付けられた状態の下部の拡大斜視図である。
【
図11】本実施形態の、車内側から見た内装側パネルの下部の拡大正面図である。
【
図12】本実施形態の、内装側パネルの下部の拡大断面図である。
【
図13】本実施形態の、内装側パネルの下部の組み立て時を説明する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図面を用いて説明を行う。
図1には、本実施形態の鉄道車両の断面図を示す。進行方向に直交する面で切断した断面である。鉄道車両の車体100は、屋根構体110と側構体120と図示しない妻構体と台枠130を備えており、その内部に複数のシート150が並べて備えられている。図示しないが、レール方向にも複数配置されている。
【0019】
側構体120は、車体100の外側に配置される外板121と、室内に面して配置される内装側パネル122よりなり、複数の窓部123が設けられている。側構体120の上部には荷棚140が設けられている。
【0020】
図2に、車内側から見た内装側パネルの正面図を示す。
図3に、内装側パネルを1枚だけ取り付けた状態の斜視図を示す。外板121より車体100の内側に配置される、つまり室内に面する側に配置される内装側パネル122は、複数のパネルが配置されてなる。内装側パネル122は、アルミニウム合金製の板材を用いているが、必要に応じて材質を変更することを妨げない。また、説明の都合上、第1内装側パネル122A及び第2内装側パネル122Bと呼び分ける。特に説明を加えず内装側パネル122とした場合には、その何れか、或いはその両方を示すものとする。
【0021】
また、図示はしていないが、内装側パネル122の車体内側から窓の周囲を構成する窓枠部材をはめ込まれる。内装側パネル122は、荷棚140の下部から一体的に壁面を構成する構造となっている。そして、第1内装側パネル122Aと第2内装側パネル122Bの間には、目地部材170が配置されている。
【0022】
図4に、車体に取り付けられた状態の目地部材の斜視図を示す。
図5に、目地部材の背面側からの斜視図を示す。
図6に、目地部材の上部の取り付け部分の拡大図を示す。
図5のC部分に相当する。目地部材170は、第1内装側パネル122Aと第2内装側パネル122Bとの間の隙間を埋める役割を果たす。
【0023】
この目地部材170は、アルミニウム合金など金属系の材料を用いた略板状の部材であり、上部には上側掛止部171が設けられ、車体100に目地部材170が取り付けられた際に、車体100の車外側に折り曲げられるような形状に形成されている。そして、後述するように荷棚140に引っ掛けることができる構造になっている。なお、上側掛止部171には
図6に示すように取付孔が2カ所設けられていて、荷棚140に対してボルト等で固定できる。
【0024】
図7に、目地部材の下部の取り付け部分の拡大図を示す。
図5のD部分に相当する。目地部材170は板状の部材を用いており、その下部には車体100に目地部材170が取り付けられた際に、車外側に張り出すように略コの字状に下側掛止部174が折り曲げ形成されて設けられている。
【0025】
また、この下側掛止部174には、車体100に目地部材170が取り付けられた際に、車外側に張り出すように折り曲げ形成されるバネ部173が繋げられ、
図7に示すように目地部材170に対して車外側から固定されている。つまり、下側掛止部174はバネ部173を介して目地部材170に固定されていることになる。このバネ部173を設けることで、下側掛止部174に対して目地部材170が車体100に対して上下方向に移動する機能を備えることになる。なお、バネ部173にはバネ鋼など弾性の高い材料が用いられている。
【0026】
また、目地部材170の下部には内装側パネル122の下部を受けることが可能なように、車体100に目地部材170が取り付けられた際に、車内側にL字状に折り曲げられた受け部172が下側掛止部174から縁設されている。つまり、下側掛止部174に対して受け部172は逆方向に折り曲げられている。
【0027】
受け部172は、第1内装側パネル122A及び第2内装側パネル122Bを取り付けた場合に、内装側パネル122の下端部を受ける構造になっている。なお、下側掛止部174にはアルミニウム合金などの金属製の材料が用いられることを想定している。また、前述したバネ部173や下側掛止部174に、上記以外の材料を用いることを妨げない。
【0028】
そして、
図4及び
図5に示す様に目地部材170は、車体100に取り付けられた際に枕木方向外側に湾曲して取り付けられる。目地部材170は板状の部材であるため取り付けられた際に、目地部材170が車外側に向けて撓むことで湾曲部175が形成される。したがって、湾曲部175が車体100の外側に向けて凸になるように配置されることになる。
【0029】
図8に、車体に取り付けられた状態の内装側パネルの斜視図を示す。
図9に、目地部材及び内装側パネルが取り付けられた状態の上部の拡大斜視図を示す。
図9は、
図8のE部分の拡大図である。
図10に、目地部材及び内装側パネルが取り付けられた状態の下部の拡大斜視図を示す。
図10は、
図3のB部分の拡大図である。目地部材170は、先述した通り車内側から上部掛止部171が荷棚140に引っ掛けて固定される。その様子が
図9に示されており、図示しないネジにて上部掛止部171は荷棚140に固定されている。
【0030】
一方、目地部材170の下部は、台枠130の床部材に接続された幅木131によって受けられている。
図11に、車内側から見た内装側パネルの下部の拡大正面図を示す。
図2のA部拡大図である。
図12に、内装側パネルの下部の拡大断面図を示す。幅木131の上端と係合するのは目地部材170の下部に接続された下側掛止部174である。
【0031】
幅木131の上端は車体100の車内側に折り曲げられており、その上端部分に下側掛止部174が幅木131の上端に引っ掛けられるような形で係合する。そして、
図10及び
図11に示す様に目地部材170の内側、すなわち車内側で、受け部172によって内装側パネル122を支え、保持する。こうして複数の内装側パネル122が、車体100の車内側に整列して配置されることになる。
【0032】
本実施形態の鉄道車両は上記構成であるので、以下に説明するような作用及び効果を奏する。
【0033】
まず、内装側パネル122と目地部材170との間に隙間ができないように施工が可能となる点が効果として挙げられる。これは、複数の内装側パネル122を並べて車体100の内壁面が形成される鉄道車両において、内装側パネル122のうち、第1内装側パネル122Aと第2内装側パネル122Bは隣接して配置され、第1内装側パネル122Aと隣接して配置する第2内装側パネル122Bとの間には、目地部材170が配置されている。
【0034】
そして、この目地部材170は、上部に側構体120に固定される固定部に相当する上側掛止部171を有し、固定された目地部材170に重ねて第1内装側パネル122A及び第2内装側パネル122Bが車体100に取り付けられる。この様な構成により、目地部材170が下側に引っ張られて、目地部材170と第1内装側パネル122A及び第2内装側パネル122Bとが密着する効果を得られる。
【0035】
ここで、内装側パネル122と目地部材170とは別部材であり、それぞれプレス成形によって作られている。このため寸法精度を出すことが難しい。従って、目地部材170と内装側パネル122との間に隙間ができることがあり、このような隙間が存在すると車内の美観を損ねる点は課題にも示した。しかしながら、目地部材170の上側掛止部171を固定し、車内側から第1内装側パネル122Aと第2内装側パネル122Bを重ねて取り付けることで、目地部材170が下側に引っ張られて密着する構造となっている。
【0036】
上述したように、目地部材170の上側掛止部171は、側構体120に配置された荷棚140に引っ掛けられる掛止構造となっている(
図9を参照)。そして、
図6に示されるように掛止部171は折り曲げられて、両端に取付穴が設けられているため、
図9に示すような荷棚140の先端部分に引っ掛けられる。そして、図示しないボルトを用いることで荷棚140に対して固定される。その結果、先に目地部材170の上側が車体100の側構体120に固定されている荷棚140に固定される。
【0037】
一方、目地部材170の下部には
図7に示すように、下側掛止部174が折り曲げ形成され、
図12に示されるように、幅木131の上部に下側掛止部174が引っ掛けられる構造となっている。こうして、目地部材170は、車体100に取り付けられる。ただし、下側掛止部174は、バネ部173を介して目地部材170に固定される構造であるため、目地部材170の下側は上下方向に動くことが可能な構造となっている。
【0038】
そして、目地部材170の下部には、第1内装側パネル122A及び第2内装側パネル122Bの下部を引っ掛ける受け部172を備えているので、受け部172によって第1内装側パネル122A及び第2内装側パネル122Bが受けられる。具体的には、
図11および
図12に示すように、内装側パネル122の下端が受け部172によって受けられる構造となっている。この結果、目地部材170よりも車内側に内装側パネル122が保持される。内装側パネル122は図示しないが上部側も固定される。
【0039】
目地部材170は、内装側パネル122が取り付けられることによって下側に引っ張られる。
図13に、内装側パネルの下部の組み立て時を説明する拡大断面図を示す。目地部材170は車体100の外側に膨らむように車体100に取り付けられ湾曲部175が形成されているので、内装パネル122を取り付けることで、
図12の状態となり、内装パネル122を受ける下側掛止部174によって目地部材170が引っ張られる。
【0040】
すると、下側掛止部174が幅木131の上端引っ掛けられて保持され、バネ部173と接続されている目地部材170が下方から引っ張られる形になり、結果的に目地部材170の湾曲部175の曲率が大きくなるように作用して、目地部材170の車室側の面が、内装側パネル122の車外側の面に密着することになる。なお、目地部材170の下部に設けられたバネ部173は、目地部材170の形状のバラツキによる影響を抑える効果がある。こうして、目地部材170が内装側パネル122と密着していることで、内装面の美観が向上する。
【0041】
このように、目地部材170は上側掛止部171で固定される構造となっているので、施工が容易である。その目地部材170は板状の部材から形成されていることで、湾曲部175が伸びる、つまり湾曲状態が緩和されて曲率が大きくなることが容易である。
【0042】
また、上述するように、目地部材170と内装側パネル122を順番に取り付けていく手法で内装を構成することができ、比較的容易に取り付け施工が実施できる。また、目地部材170に内装側パネル122を取り付けるだけで、目地部材170が内装側パネル122に密着する構造となっているため、隙間調整などを行う必要がなく、短時間で作業を終了することができる。また、少人数での作業が可能であるために、製作コストの削減に貢献することもできる。
【0043】
以上、本発明に係る鉄道車両に関する説明をしたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、内装側パネル122は、それぞれ窓部123を1つずつ備えた構造となっているが、1枚の内装側パネル122に2つ以上の窓部123を備える構造とすることを妨げない。
【符号の説明】
【0044】
100 車体
110 屋根構体
120 側構体
121 外板
122 内装側パネル
122A、122B 第1、第2内装側パネル
123 窓部
130 床構体
140 荷棚
150 シート
170 目地部材