(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20231212BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
F25D23/00 305K
F25D19/00 520A
(21)【出願番号】P 2020119262
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-01-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月12日-14日幕張メッセにおいて開催されたスーパーマーケットトレードショー2020および令和2年2月18日-21日幕張メッセにおいて開催された国際ホテル・レストラン・ショーHCJ2020に展示。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月4日-7月10日の間、販売先(納入先)一覧表に記載される販売先へ販売。
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 真吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓真
(72)【発明者】
【氏名】大林 奨
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-247158(JP,A)
【文献】特開2009-092261(JP,A)
【文献】特開2000-180035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却物が収納される冷却室(1)と、冷却室(1)に隣接して設けられた機器室(3)とを備え、
機器室(3)には、凝縮機器(2A)と、蒸発機器(2B)と、各機器(2A・2B)の制御を担う制御部(25)とが配置されており、
蒸発機器(2B)は、蒸発器(20)と、蒸発器(20)に付着の霜を除く除霜用ヒーター(21)と、蒸発器(20)の温度状態を検知する温度センサー(24)と、これら各機器を収納する断熱ケース(16)と、断熱ケース(16)に対して着脱可能に構成されて、該断熱ケース(16)の内部を蒸発器(20)、除霜用ヒーター(21)、および温度センサー(24)が収容される下方側の入口室(17)と、上方側の出口室(18)とに区分する区分パネル(19)とを備え、
区分パネル(19)は、蒸発器(20)の上面を覆うように配置された上区分壁(41)を備えており、装着状態において、該上区分壁(41)の外周の一辺である掛止縁(43)が断熱ケース(16)のパネル受壁(16d)に接するように構成されており、
区分パネル(19)と断熱ケース(16)との間には、除霜用ヒーター(21)から制御部(25)に至るコード(52(52a・52b))と、温度センサー(24)から制御部(25)に至るコード(52(52c))とを、入口室(17)から出口室(18)に引き出すための通線構造が設けられており、
通線構造が、パネル受壁(16d)に設けられて、出口室(18)と入口室(17)とを連通するとともに、区分パネル(19)の装着時において掛止縁(43)により封鎖されない溝開口(47a)を有する通線溝(47)で構成されていることを特徴とする冷却庫。
【請求項2】
上区分壁(41)の掛止縁(43)には、切欠き部(42)が形成されており、
断熱ケース(16)の掛止縁(43)に対向するパネル受壁(16d)には、切欠き部(42)の周縁壁を支持する掛止壁(45)が設けられており、
掛止壁(45)に通線溝(47)が形成されている、請求項1に記載の冷却庫。
【請求項3】
通線溝(47)が掛止壁(45)から入口室(17)へ向かって下り傾斜する傾斜溝で形成されており、
区分パネル(19)を断熱ケース(16)に装着した状態において、上方視において切欠き部(42)の切欠縁(42a)が通線溝(47)の溝開口(47a)と交差している、請求項2に記載の冷却庫。
【請求項4】
断熱ケース(16)は、左右方向のいずれか一方に開口を有するとともに、左右方向の他方にパネル受壁(16d)が形成されており、
区分パネル(19)を断熱ケース(16)に対して左右方向に引き出し操作することで、該断熱ケース(16)に対して区分パネル(19)を取り外すことができるように構成されており、
上区分壁(41)の掛止縁(43)の前後方向の両隅部のそれぞれに、切欠き部(42・42)が切欠き形成されており、
切欠き部(42・42)に対応して、断熱ケース(16)のパネル受壁(16d)の前後両端のそれぞれに掛止壁(45・45)が形成され、各掛止壁(45)に通線溝(47)が形成されている、請求項2又は3に記載の冷却庫。
【請求項5】
装着姿勢における区分パネル(19)の掛止縁(43)よりも上方側に位置する断熱ケース(16)のパネル受壁(16d)に、コード(52)の中途部を掛止保持するためのコード支持爪(54)が形成されている、請求項1乃至4のいずれかひとつに記載の冷却庫。
【請求項6】
区分パネル(19)は、蒸発器(20)の左右方向の側面を覆う区分側壁(40)を備え、
断熱ケース(16)のパネル受壁(16d)に、上区分壁(41)の掛止縁(43)を係合保持する掛止部(44)が設けられており、
前後の各掛止壁(45)には、切欠き部(42)の切欠縁(42a)を位置決めした状態で、該切欠縁(42a)をスライド案内するガイドリブ(46)が形成されており、
掛止縁(43)が断熱ケース(16)の掛止部(44)で上下に位置決めされ、かつ切欠縁(42a)がガイドリブ(46)で前後に位置決めされた状態で掛止壁(45)に支持されて、区分側壁(40)の前後が断熱ケース(16)にねじ体(66)で締結固定されている、請求項1乃至5のいずれかひとつに記載の冷却庫。
【請求項7】
断熱ケース(16)のパネル受壁(16d)に形成される掛止部(44)が、前後方向に走る凹溝で形成されており、
区分側壁(40)が断熱ケース(16)に締結固定された状態において、上区分壁(41)の掛止縁(43)が掛止部(44)の凹溝を構成する上下の溝壁で上下動不能に位置決め保持されている、請求項6に記載の冷却庫。
【請求項8】
断熱ケース(16)の前後壁(16e・16f)のそれぞれには、蒸発器(20)を支持する支持リブ(60)が設けられており、
蒸発器(20)の冷媒配管の前後の屈曲部(63・64)の下面が支持リブ(60)で支持されることで、蒸発器(20)が断熱ケース(16)に位置決め装着されており、
区分パネル(19)の区分側壁(40)が、前後の支持リブ(60)の突端に設けられたねじボス(62)にねじ体(66)で締結固定されている請求項7に記載の冷却庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器室に収容した凝縮機器や蒸発機器を機器室の外へ引き出して、凝縮機器や蒸発機器のメンテナンスを行える冷蔵庫や冷凍庫などの冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の冷却庫は、本出願人の提案に係る特許文献1の冷蔵庫に開示されている。特許文献1の冷蔵庫は、冷蔵庫本体の一側の機器室に、前後スライド自在なユニットベースが設けられ、ユニットベース上に設けた凝縮ユニット(凝縮機器)および蒸発ユニット(蒸発機器)を機器室に対して出し入れできるようになっている。蒸発ユニットの断熱ケースの内部は、区画板(区分パネル)で入口室と出口室に区分されており、入口室に蒸発器が収容され、区画板に循環ファンが装着されている。区画板は、蒸発器の側面を覆う遮蔽板と、蒸発器の上方を覆う傾斜板を一体に備えている。なお、実際の冷蔵庫では、入口室に除霜用のヒーターや蒸発器の温度状態を検知する温度センサーが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
断熱ケースの内部に配置した蒸発器、循環ファン、除霜用のヒーター、或いは温度センサーの点検や交換を行う場合には、区画板を断熱ケースから取外して、蒸発器等を目視できるようにする必要がある。しかし、ヒーターコードやセンサーコードが除霜用のヒーターや温度センサーに接続されているため、区画板を取外す場合には、各コードを傷つけないように注意を払う必要があり、さらに区画板を断熱ケースに再装着する際にも各コードに注意を払う必要があるため、一連の作業に多くの手間と時間が掛かる。
【0005】
本発明の目的は、断熱ケースの内部における配線構造を適正化して、各コードに邪魔されることもなく区分パネルを断熱ケースに対して容易に着脱でき、従って、断熱ケースの内部に配置した機器類のメンテナンスを簡便に行えるようにした冷却庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る冷却庫は、被冷却物が収納される冷却室1と、冷却室1に隣接して設けられた機器室3とを備える。機器室3には、凝縮機器2Aと、蒸発機器2Bと、各機器2A・2Bの制御を担う制御部25とが配置されている。蒸発機器2Bは、蒸発器20と、蒸発器20に付着の霜を除く除霜用ヒーター21と、蒸発器20の温度状態を検知する温度センサー24と、これら各機器を収納する断熱ケース16と、断熱ケース16に対して着脱可能に構成されて、該断熱ケース16の内部を蒸発器20、除霜用ヒーター21、および温度センサー24が収容される下方側の入口室17と、上方側の出口室18とに区分する区分パネル19とを備える。区分パネル19は、蒸発器20の上面を覆うように配置された上区分壁41を備えており、装着状態において、該上区分壁41の外周の一辺である掛止縁43が断熱ケース16のパネル受壁16dに接するように構成されている。区分パネル19と断熱ケース16との間には、除霜用ヒーター21から制御部25に至るコード52(52a・52b)と、温度センサー24から制御部25に至るコード52(52c)とを、入口室17から出口室18に引き出すための通線構造が設けられている。そして通線構造が、パネル受壁16dに設けられて、出口室18と入口室17とを連通するとともに、区分パネル19の装着時において掛止縁43により封鎖されない溝開口47aを有する通線溝47で構成されていることを特徴とする。
【0007】
上区分壁41の掛止縁43には、切欠き部42が形成されており、断熱ケース16の掛止縁43に対向するパネル受壁16dには、切欠き部42の周縁壁を支持する掛止壁45が設けられており、掛止壁45に通線溝47が形成されている。
【0008】
通線溝47が掛止壁45から入口室17へ向かって下り傾斜する傾斜溝で形成されており、区分パネル19を断熱ケース16に装着した状態において、上方視において切欠き部42の切欠縁42aが通線溝47の溝開口47aと交差している。
【0009】
断熱ケース16は、左右方向のいずれか一方に開口を有するとともに、左右方向の他方にパネル受壁16dが形成されており、区分パネル19を断熱ケース16に対して左右方向に引き出し操作することで、該断熱ケース16に対して区分パネル19を取り外すことができるように構成されており、上区分壁41の掛止縁43の前後方向の両隅部のそれぞれに、切欠き部42・42が切欠き形成されており、切欠き部42・42に対応して、断熱ケース16のパネル受壁16d前後両端のそれぞれに掛止壁45・45が形成され、各掛止壁45に通線溝47が形成されている。
【0010】
装着姿勢における区分パネル19の掛止縁43よりも上方側に位置する断熱ケース16のパネル受壁16dに、コード52の中途部を掛止保持するためのコード支持爪54が形成されている。
【0011】
区分パネル19は、蒸発器20の左右方向の側面を覆う区分側壁40を備え、断熱ケース16のパネル受壁16dに、上区分壁41の掛止縁43を係合保持する掛止部44が設けられており、前後の各掛止壁45には、切欠き部42の切欠縁42aを位置決めした状態で、該切欠縁42aをスライド案内するガイドリブ46が形成されており、掛止縁43が断熱ケース16の掛止部44で上下に位置決めされ、かつ切欠縁42aがガイドリブ46で前後に位置決めされた状態で掛止壁45に支持されて、区分側壁40の前後が断熱ケース16にねじ体66で締結固定されている。
【0012】
断熱ケース16のパネル受壁16dに形成される掛止部44が、前後方向に走る凹溝で形成されており、区分側壁40が断熱ケース16に締結固定された状態において、上区分壁41の掛止縁43が掛止部44の凹溝を構成する上下の溝壁で上下動不能に位置決め保持されている。
【0013】
断熱ケース16の前後壁16e・16fのそれぞれには、蒸発器20を支持する支持リブ60が設けられており、蒸発器20の冷媒配管の前後の屈曲部63・64の下面が支持リブ60で支持されることで、蒸発器20が断熱ケース16に位置決め装着されており、区分パネル19の区分側壁40が、前後の支持リブ60の突端に設けられたねじボス62にねじ体66で締結固定されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の冷却庫では、入口室17から出口室18にコード52(52a・52b・52c)を引き出すための通線構造を、パネル受壁16dに設けられて、出口室18と入口室17とを連通するとともに、区分パネル19の装着時において掛止縁43により封鎖されない溝開口47aを有する通線溝47で構成する。これによれば、当該通線溝47の掛止縁43により封鎖されない溝開口47aを介してコード52を入口室17から出口室18に引き出すことで、コード52と接触することなく、また各コード52に邪魔されることもなく、区分パネル19を断熱ケース16に対して着脱することが可能となる。以上より、本発明の冷却庫によれば、断熱ケース16に対して区分パネル19をより容易に着脱することができるので、断熱ケース16の内部に配置した機器類のメンテナンスをより簡便に行うことができる。
【0015】
上区分壁41の掛止縁43に切欠き部42を形成し、断熱ケース16の掛止縁43に対向するパネル受壁16dに切欠き部42の周縁壁を支持する掛止壁45を設け、この掛止壁45に通線溝47を形成する。このように区分パネル19の切欠き部42の周縁壁を支持する断熱ケース16の掛止壁45に通線溝47が形成されていると、区分パネル19の支持構造と通線構造とを集約化することができるので、両構造を別部材で構成する場合に比べて、部品構成の簡素化を図って、製造コストの低減化に貢献できる。
【0016】
通線溝47が掛止壁45から入口室17へ向かって下り傾斜する傾斜溝で形成されており、区分パネル19を断熱ケース16に装着した状態において、上方視において切欠き部42の切欠縁42aが通線溝47の溝開口47aと交差していると、通線溝47に装着した各コード52が切欠縁42aに接触するのを避けながら、区分パネル19を断熱ケース16に着脱させることができる。また、区分パネル19の装着時において、溝開口47aの一部を切欠き部42の切欠縁42aで封止することができるので、これら通線溝47と切欠き部42とを介して入口室17の空気が出口室18に漏れ出るショートサーキットの発生をより小さくして、蒸発機器2Bをより適正な状態で作動させることができる。
【0017】
区分パネル19を断熱ケース16に対して左右方向に引き出し操作することで、区分パネル19を取り外すことができるように構成し、上区分壁41の掛止縁43の前後方向の両隅部のそれぞれに、切欠き部42・42を切欠き形成し、切欠き部42・42に対応して、断熱ケース16のパネル受壁16dの前後両端のそれぞれに掛止壁45・45を形成し、各掛止壁45に通線溝47を形成する。これによれば、前後方向の両端部に通線構造を形成するので、前後の両通線構造を介して、入口室17から出口室18にコード52を引き出すことが可能となり、通線構造を一個所とする場合に比べて、蒸発器20を避けながら、入口室17内におけるコード52の引き回し長さを最短化することができる。したがって、入口室17内におけるコード52の配線構造を適正化することができる。
【0018】
装着姿勢における区分パネル19の掛止縁43よりも上方側に位置する断熱ケース16のパネル受壁16dに、コード52の中途部を掛止保持するためのコード支持爪54が形成されていると、コード52をコード支持爪54で位置保持することができるので、外部振動を受けてコード52の配線構造が乱れるのを防止できる。
【0019】
断熱ケース16のパネル受壁16dに、上区分壁41の掛止縁43を係合保持する掛止部44を設け、前後の各掛止壁45には、切欠き部42の切欠縁42aを位置決めした状態で、該切欠縁42aをスライド案内するガイドリブ46を形成し、掛止縁43を断熱ケース16の掛止部44で上下に位置決めし、かつ切欠縁42aをガイドリブ46で前後に位置決めされた状態で掛止壁45に支持して、区分側壁40の前後を断熱ケース16にねじ体66で締結固定すると、区分パネル19を断熱ケース16に対して上下左右前後に正しく位置決めした状態で確りと組付けることができる。また、区分パネル19を正しく位置決めした状態で組付けることにより、区分パネル19の前後縁と断熱ケース16の前後壁16e・16fの間や、上区分壁41の掛止縁43と断熱ケース16のパネル受壁16dの間に隙間が生じるのを解消できるので、断熱ケース16の内部におけるショートサーキットの発生を一掃して、蒸発機器2Bを常に適正な状態で作動させることができる。
【0020】
断熱ケース16のパネル受壁16dに形成される掛止部44が、前後方向に走る凹溝で形成されており、区分側壁40が断熱ケース16に締結固定された状態において、上区分壁41の掛止縁43が掛止部44の凹溝を構成する上下の溝壁で上下動不能に位置決め保持されていると、上区分壁41の掛止縁43が掛止部44の溝壁に嵌り込んだ状態で、上区分壁41を位置決めできるので、パネル受壁16dと掛止縁43の間に隙間を生じる余地がなく、したがって、断熱ケース16の内部におけるショートサーキットの発生をさらに確実に解消できる。また、上区分壁41の仕上がり寸法に僅かなばらつきがあったとしても、寸法のばらつきを前後溝からなる掛止部44で吸収できるので、パネル受壁16dと掛止縁43の間に隙間が生じるのをさらに確実に解消できる。
【0021】
断熱ケース16の前後壁16e・16fのそれぞれには、蒸発器20を支持する支持リブ60が設けられており、蒸発器20の冷媒配管の前後の屈曲部63・64の下面が支持リブ60で支持されることで、蒸発器20が断熱ケース16に位置決め装着されており、区分パネル19の区分側壁40が、前後の支持リブ60の突端に設けられたねじボス62にねじ体66で締結固定されていると、蒸発器20を断熱ケース16に対して正しく位置決めした状態で組付けることができるのはもちろん、蒸発器20を支持する支持リブ60を利用して、その突端に設けたねじボス62に区分側壁40の前後をねじ体66で締結固定できる。したがって、別途区分側壁40を締結するための専用のねじボスを設ける場合に比べて、断熱ケース16の内部構造を簡素化して、その分だけ断熱ケース16の製造コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例に係る蒸発機器を示す側面図である。
【
図3】実施例に係る冷蔵庫の機器室の内部を示す縦断側面図である。
【
図4】実施例に係る冷蔵庫の蒸発機器を示す縦断正面図である。
【
図5】実施例に係る冷却ユニットを機器室から取外した状態の側面図である。
【
図6】実施例に係る蒸発機器を示す分解側面図である。
【
図7】実施例に係る蒸発機器を分解した状態で示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施例)
図1ないし
図7は本発明の冷却庫をコールドテーブル型の冷蔵庫に適用した実施例を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2に示すように、冷蔵庫は四角箱状に構成されて、その内部の右半側に被冷却物が収納される冷蔵室(冷却室)1が区画され、冷蔵室1の左に冷却ユニット2を収容する機器室3が設けられている。冷蔵室1は断熱壁で囲まれており、前面の開口が揺動開閉するドア4で塞がれている。同様に、機器室3の前開口は着脱可能な機器室パネル5で塞がれている。機器室パネル5の上部には、冷却ユニット2の運転状態を制御する制御パネル6が配置されており、同パネル5の下部には、機器室3の内部に冷却風を取り入れるためのルーバー構造7が開口されている。冷蔵室1の底面には排水トラップ8と排水ホース9が設けられており、冷蔵室1内のドレン水と機器室3内のドレン水は、排水トラップ8で受止められたのち、排水ホース9を介して排水路に放出される。
【0024】
図3において、冷却ユニット2は凝縮機器2Aと蒸発機器2Bとで構成されており、両機器2A・2Bは一体化されてユニットベース10上に設けられている。ユニットベース10は、機器室3の底壁の左右に固定したガイド枠で出し入れ可能に案内支持されているので、冷却ユニット2は、機器室3内に収容される後方側の運転位置と、
図5に示すように機器室3から前方側へ引き出されたメンテナンス位置との間で、前後方向に出し入れできる。
【0025】
凝縮機器2Aは、ユニットベース10に固定される圧縮機13・凝縮器14および送風ファン15などで構成されている。また、蒸発機器2Bは、四角箱状の断熱ケース16と、断熱ケース16の内部を入口室17と出口室18に区分する区分パネル19と、入口室17に収容される蒸発器20および除霜用ヒーター21と、区分パネル19の通風口22に装着される循環ファン23と、蒸発器20の温度状態を検知する温度センサー24を備えている。断熱ケース16は凝縮機器2Aに設けた支持構造で支持されている。
【0026】
断熱ケース16は、それぞれプラスチック成型品からなる外ケース16aおよび内ケース16bの間に発泡断熱材16cを充填して構成されており、外ケース16aの前面に、凝縮機器2Aを構成する各機器と、蒸発機器2Bを構成する各機器の制御を担う制御箱(制御部)25が固定されている。冷却ユニット2およびユニットベース10が、機器室3内の運転位置に収容された状態(
図3の状態)では、
図4に示すように、断熱ケース16の吹出口26を含む接続部27が、冷蔵室1側の断熱壁にへこみ形成した接続凹部28に嵌まり込んで、吹出口26が断熱壁に設けたルーバー口29と正対している。循環ファン23に吸込まれた冷蔵室1内の冷気は、断熱壁に沿って形成された冷気通路30を介して入口室17へ流入し、蒸発器20を通過する間に冷却されたのち、吹出口26からルーバー口29を介して冷蔵室1内へ放出される。符号31は断熱ケース16を移動不能に保持して、接続部27が接続凹部28から抜け出るのを防ぐ保持枠である。
【0027】
蒸発器20の下方には、内ケース16bと一体のドレンパン33が配置されている。このドレンパン33と先に説明した排水トラップ8の間に、蒸発器20からドレンパン33に流下したドレン水を排出する排水構造が設けられている。排水構造は、ドレンパン33から導出される内ドレンホース34と、機器室3の底壁から庫外へ導出されて排水トラップ8に接続される外ドレンホース35と、内ドレンホース34の導出端に接続される排水ソケット36と、外ドレンホース35が接続される排水受37とを備えている。排水ソケット36はユニットベース10に固定されており、冷却ユニット2が機器室3の前部に引き出されるとき、排水ソケット36はユニットベース10に同行して移動する。
【0028】
区分パネル19は、蒸発器20の側面を覆う区分側壁40と、区分側壁40に連続して蒸発器20の上面を覆う上区分壁41とを備えており、上区分壁41の前後隅部に通線部(切欠き部)42が四角形状に切欠き形成されている。内ケース16bの右方に位置するパネル受壁16dの上部に、上区分壁41の側端(右端)の掛止縁43を係合保持する掛止部44が設けられている。掛止部44は、内ケース16bのパネル受壁16dに沿って凹み形成された前後溝で形成されている。内ケース16bのパネル受壁16dの前後には、通線部42の周縁壁を支持する掛止壁45が設けられており、各掛止壁45は、内ケース16bの前後壁16e・16fにそれぞれ連続している。前後の掛止壁45には、通線部42の切欠縁42aを前後に位置決めした状態でスライド案内するガイドリブ46が形成されている。さらに前後の掛止壁45には、通線部42と入口室17を連通する通線溝47が、掛止壁45から入口室17へ向かって下り傾斜する状態で形成されている。通線溝47には、上方視で左右横長の溝開口47aが形成されている。区分パネル19は断熱ケース16に対して、上区分壁41の掛止縁43が内ケース16bの掛止部44で上下に位置決めされ、通線部42の切欠縁42aが掛止壁45に支持されて、切欠縁42aがガイドリブ46で前後に位置決めされた状態で装着される。この装着状態で、区分側壁40の前後が内ケース16bに着脱可能に締結固定される。また、この装着状態で、上方視において通線部42の切欠縁42aは通線溝47の溝開口47aと交差しており、当該溝開口47aの全部は切欠縁42aで封鎖されないようになっている。
【0029】
循環ファン23、除霜用ヒーター21および温度センサー24と、断熱ケース16の前方に配置した制御箱25とは、
図1に示すように制御箱25から出口室18に導入されたファンコード51と一対のヒーターコード52a・52b(コード52)とセンサーコード52c(コード52)を介して接続されている。これらのコード類の配線構造を簡素化するために、先のように区分パネル19に通線部42を設け、前後の掛止壁45に通線溝47を形成し、さらに掛止部44の上側の内ケース16bの上部に沿って、4個のコード支持爪54を突設している。ファンコード51は上区分壁41の上面に沿って配線されて、循環ファン23に接続されている。また、前側のヒーターコード52aとセンサーコード52cは、前側の通線溝47から入口室17に導入されて、除霜用ヒーター21および温度センサー24に接続されており、後側のヒーターコード52bは、コード支持爪54に掛止されて出口室18の後部へ案内され、後側の通線溝47から入口室17内へ導入されて除霜用ヒーター21に接続されている。
【0030】
図4に示すようにコード支持爪54は、内ケース16bのパネル受壁16dの上部から斜め上向きに膨出される部分円弧状のコード受壁55と、コード受壁55の上端から内ケース16bの側壁に向かって張り出される抜止め壁56とを備えている。抜止め壁56と、内ケース16bの上壁の間にはコード隙間57が設けられており、このコード隙間57から後側のヒーターコード52bをコード支持爪54に掛止し、あるいは取外すことができる。コード支持爪54と、先に説明した掛止部44、掛止壁45、ガイドリブ46、および通線溝47は、いずれも内ケース16bの成型時に一体的に形成されている。先に説明した掛止部44は、コード支持爪54より下側のパネル受壁16dに形成されている。
【0031】
入口室17に収容した蒸発器20と除霜用ヒーター21を位置決めした状態で支持するために、
図6に示すように内ケース16bの前後壁16e・16fに沿って蒸発器20を支持する3個の支持リブ60が突設されており、さらに、支持リブ60より下側に除霜用ヒーター21を支持する2個のねじボス61が突設されている。また、内ケース16bの前壁の支持リブ60の突端と、内ケース16bの後壁上側の支持リブ60の突端には、区分パネル19の区分側壁40を締結するためのねじボス62が突設されている。蒸発器20は、最下段の冷媒配管の前屈曲部63の下面が前壁の支持リブ60で支持され、上段および中段の後屈曲部64の下面が後壁の上下の支持リブ60で支持されて位置決めされている。除霜用ヒーター21は蒸発器20の下空間に配置されて、その前後端を支持するヒーターホルダー65が入口室17の下部に設けたねじボス61に締結固定されている。
【0032】
蒸発器20と除霜用ヒーター21を支持リブ60およびねじボス61で支持したのち、区分パネル19の掛止縁43を内ケース16bの掛止部44に係合し、区分側壁40をねじボス62にあてがった状態で、ビス(ねじ体)66をねじボス62にねじ込むことにより、区分パネル19を内ケース16bに位置決め固定できる。また、区分パネル19を内ケース16bから取外した状態では、前後の通線溝47の溝開口47aが開放されるので、通線溝47を通る一対のヒーターコード52a・52bとセンサーコード52cの配線作業と、除霜用ヒーター21および温度センサー24に対する各コード52a・52b・52cの結線作業を簡便に行える。
【0033】
冷却ユニット2のメンテナンスを行う場合には、図示していない蒸発機器2B用の締結構造を開放し保持枠31を取外して、蒸発機器2Bを
図4において左側へ移動させた状態で、断熱ケース16の接続部27を接続凹部28の外へ抜き出す。この状態で、ユニットベース10を
図5に示すように機器室3の外へ引き出して作業台に定置し、冷却ユニット2の全体を露出させる。また、蒸発器20、除霜用ヒーター21、循環ファン23の点検や交換を行う場合には、まず、ファンコード51を循環ファン23から分離するが、ファンコード51は上区分壁41の表面に露出しているので、ファンコード51の取外しや再結線を支障なく行える。次にビス66を取外すことにより、区分パネル19と循環ファン23を内ケース16bから取外して、蒸発器20および除霜用ヒーター21を露出させる。ヒーターコード52a・52bおよびセンサーコード52cを交換する場合には、ヒーターコード52a・52bを除霜用ヒーター21から取外し、さらにセンサーコード52cを温度センサー24から取外したのち前後の通線溝47から分離し、後側のヒーターコード52bをコード隙間57から取外すだけでよい。
【0034】
以上のように構成した冷蔵庫によれば、一対のヒーターコード52a・52bと、センサーコード52cを、内ケース16bの前後とパネル受壁16dの上部に沿って、区分パネル19と接触しない状態で整然と配線できる。つまり、入口室17から出口室18にコード52(52a・52b・52c)を引き出すための通線構造を、パネル受壁16dに設けられて、出口室18と入口室17とを連通するとともに、区分パネル19の装着時において掛止縁43により封鎖されない溝開口47aを有する通線溝47で構成したので、当該通線溝47の掛止縁43により封鎖されない溝開口47aを介してコード52を入口室17から出口室18に引き出すことで、コード52と接触することなく、また各コード52に邪魔されることもなく、区分パネル19を断熱ケース16に対して着脱することができる。また、区分パネル19は各コード52a・52b・52cと接触していないので、各コード52a・52b・52cに邪魔されることもなく区分パネル19を断熱ケース16に対して容易に着脱でき、したがって、断熱ケース16の内部に配置した機器類のメンテナンスを簡便に行うことができる。また、ヒーターコード52a・52bおよびセンサーコード52cの中途部を、前後の通線溝47とコード支持爪54で位置保持できるので、外部振動を受けて各コード52a・52b・52cの配線構造が乱れるのを確実に防止できる。
【0035】
内ケース16bの側壁上部から斜め上向きに膨出されるコード受壁55と、コード受壁55の上端から内ケース16bの側壁に向かって張り出される抜止め壁56でコード支持爪54を構成し、抜止め壁56と、内ケース16bの上壁の間にヒーターコード52bを出し入れするコード隙間57を設けたので、一方のヒーターコード52bの中途部をコード隙間57からコード受壁55に掛止し、あるいは、ヒーターコード52bの中途部をコード隙間57から抜外すだけの簡単な作業で、ヒーターコード52bをコード支持爪54に着脱できる。また、コード受壁55および抜止め壁56を内ケース16bの成型時に同時に形成することにより、コード支持爪54を内ケース16bに固定する必要がないので、その分だけ内ケース16bの内部構造を簡素化できる。
【0036】
通線溝47を掛止壁45から入口室17へ向かって下り傾斜する傾斜溝で形成し、区分パネル19を内ケース16bに装着した状態において、通線部42の切欠縁42aが通線溝47の溝開口47aと交差するようにしたので、区分パネル19を内ケース16bから取外すことにより、通線溝47の溝開口47aを開放できるので、出口室18に導入されたヒーターコード52a・52bとセンサーコード52cの中途部を、前後の通線溝47の溝開口47aにはめ込むだけで、各コード52a・52b・52cを正しく整然と配線することができる。また、通線溝47が入口室17へ向かって下り傾斜する傾斜溝で形成し、さらに、区分パネル19を内ケース16bに装着した状態では、通線部42の切欠縁42aが通線溝47の溝開口47aと交差するので、各コード52a・52b・52cが切欠縁42aに接触するのを避けながら、区分パネル19を内ケース16bに着脱することができる。さらに、区分パネル19の装着時において、溝開口47aの一部を通線部42の切欠縁42aで封止することができるので、これら通線溝47と通線部42とを介して入口室17の空気が出口室18に漏れ出るショートサーキットの発生をより小さくして、蒸発機器2Bをより適正な状態で作動させることができる。
【0037】
コード支持爪54より下側の内ケース16bのパネル受壁16dに、上区分壁41の掛止縁43を係合保持する掛止部44を設け、掛止壁45に通線部42の切欠縁42aを位置決めした状態でスライド案内するガイドリブ46を形成し、また、区分パネル19を断熱ケース16に組付けた状態では、掛止縁43が内ケース16bの掛止部44で上下に位置決めされ、切欠縁42aがガイドリブ46で前後に位置決めされた状態で掛止壁45に支持されて、区分側壁40の前後が内ケース16bにビス66で締結固定されるようにした。これによれば、区分パネル19を断熱ケース16に対して上下左右前後に正しく位置決めした状態で確りと組付けることができる。また、区分パネル19を正しく位置決めした状態で組付けることにより、区分パネル19の前後縁と内ケース16bの前後壁16e・16fの間や、上区分壁41の掛止縁43と内ケース16bのパネル受壁16dの間に隙間が生じるのを解消できる。従って、断熱ケース16の内部におけるショートサーキットの発生を一掃して、蒸発機器2Bを常に適正な状態で作動させることができる。
【0038】
内ケース16bの掛止部44を、パネル受壁16dに沿って凹み形成した前後溝で形成し、区分側壁40を内ケース16bに締結固定した状態においては、上区分壁41の掛止縁43が掛止部44の上下の溝壁で上下動不能に位置決め保持されるようにしたので、上区分壁41の掛止縁43が掛止部44の溝壁に嵌り込んだ状態で、上区分壁41を位置決めできる。したがって、パネル受壁16dと掛止縁43の間に隙間を生じる余地がなく、断熱ケース16の内部におけるショートサーキットの発生をさらに確実に解消できる。また、上区分壁41の仕上がり寸法に僅かなばらつきがあったとしても、寸法のばらつきを前後溝からなる掛止部44で吸収できるので、パネル受壁16dと掛止縁43の間に隙間が生じるのをさらに確実に解消できる。
【0039】
蒸発器20の冷媒配管の前後の屈曲部63・64の下面を、内ケース16bの前後壁16e・16fに設けた支持リブ60で支持し、また、区分パネル19の区分側壁40を、前後の支持リブ60の突端に設けたねじボス62にビス66で締結固定したので、蒸発器20を断熱ケース16に対して正しく位置決めした状態で組付けることができるのはもちろん、蒸発器20を支持する支持リブ60を利用して、その突端に設けたねじボス62に区分側壁40の前後をビス66で締結固定できる。したがって、別途区分側壁40を締結するための専用のねじボスを設ける場合に比べて、内ケース16bの内部構造を簡素化して、その分だけ内ケース16bの製造コストを削減できる。
【0040】
凝縮機器2Aおよび蒸発機器2Bと、両機器2A・2Bを支持するユニットベース10を含む冷却ユニット2を、機器室3内に収容される後方側の運転位置と、機器室3から前方へ引き出されたメンテナンス位置との間で、前後方向に出し入れ操作可能に案内支持するようにしたので、冷却ユニット2をメンテナンス位置へ引出した状態で、凝縮機器2Aおよび蒸発機器2Bの保守点検や構成パーツの交換などを容易に行うことが可能となり、メンテナンスに要する手間と時間を短縮できる。
【0041】
上記の実施例以外に、通線部42の切欠形状は四角形である必要はなく、三角形状や4分円状などであってもよい。また、実施例では入口室17に除霜用ヒーター21と温度センサー24が配置されている場合について説明したが、入口室17に除霜用ヒーター21や温度センサー24以外の電装品が配置される場合には、電装品に接続されるコードも通線溝47から入口室17に導入するとよい。通線溝47は入口室17に向かって下り傾斜させる必要はなく、さらに直線溝状である必要もない。ヒーターコード52a・52bおよびセンサーコード52cの遊動を防ぐために、通線溝47を蛇行状に形成してもよい。本発明の冷却庫は、冷蔵庫以外に冷凍庫や冷凍冷蔵庫にも適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 冷却室(冷蔵室)
2A 凝縮機器
2B 蒸発機器
3 機器室
10 ユニットベース
16 断熱ケース
16d パネル受壁
16e 前壁
16f 後壁
17 入口室
18 出口室
19 区分パネル
20 蒸発器
21 除霜用ヒーター
23 循環ファン
24 温度センサー
40 区分側壁
41 上区分壁
42 切欠き部(通線部)
42a 切欠縁
43 掛止縁
44 掛止部
45 掛止壁
46 ガイドリブ
47 通線溝
47a 溝開口
51 ファンコード
52 コード
52a・52b ヒーターコード
52c センサーコード
54 コード支持爪
55 コード受壁
56 抜止め壁
57 コード隙間
60 支持リブ
62 ねじボス
66 ねじ体(ビス)