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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20231212BHJP
   B65D 47/36 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65D47/08 130
B65D47/36 310
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020144987
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039793
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-111381(JP,A)
【文献】特開2012-076785(JP,A)
【文献】特開2020-055544(JP,A)
【文献】特開2019-064727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
B65D 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口頸部へ装着する装着筒部(6)の上部に連設させた頂壁部(10)を有し、この頂壁部の一部を、スリット(30)で囲まれかつ弱化部(32)を介して周囲の頂壁部分(11)に連結された中栓(16)に形成するともに、中栓の周りから注出ノズル(36)を起立したキャップ本体(4)と、
天板(42)の周端部から垂設させた蓋周壁(44)がヒンジ(7)を介して前記装着筒部(6)に連結され、かつ天板(42)から前記注出ノズル(36)内へシール筒(50)を突設させた上蓋(40)と、
を具備し、前記頂壁部(10)の外周部と前記蓋周壁(44)の下周端との間に閉蓋状態でシール状態を保持する外側シール手段(So)を形成した注出キャップにおいて、
前記注出ノズル(36)とシール筒(50)との間に間隙(G)を形成して、
この間隙(G)及びスリット(30)を介して、前記上蓋(40)及びキャップ本体(4)の間に形成される上側空間(R)と、前記頂壁部(10)より下方の下側空間(Q)とが連通するように設けられており、
かつ外部からの中栓(16)の突上げ操作により、前記中栓(16)がシール筒(50)内に圧入されることで、シール筒が拡開変形して、前記間隙(G)が塞がるように構成したことを特徴とする、注出キャップ。
【請求項2】
前記中栓(16)は、円錐台状に形成されており、
この円錐台の下端外径(DL)が注出ノズル(36)の内径(C)より大きくかつ当該円錐台の上端外径(DU)が注出ノズル(36)の内径(C)より小さくなるように設計され、
前記突上げ操作により、中栓(16)の外周面であるテーパ状面(18)がシール筒(50)の内側に圧接され、シール筒(50)の外面で形成するシール面部(52)が前記注出ノズル(36)の内面に密着するように形成したことを特徴とする、請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
前記シール筒(50)の内側に、前記天板(42)から垂設される連係片(54)を配置し、
前記中栓(16)の突上げ操作により、前記連係片(54)の下端部と前記中栓(16)の上面部とが相互にかみ合う係止手段(L)を設けたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の注出キャップ。
【請求項4】
前記頂壁部(10)のスリット(30)穿設箇所付近で、前記中栓の周りの頂壁部分(11)から、中栓(16)側へ突設するストッパ(B)を設け、
前記中栓(16)の下端面から下外方へ脱落防止用突片(19)が突設され、前記突上げ操作により中栓(16)が突き上げられたときに、前記脱落防止用突片(19)が前記ストッパ(B)の上側で前記注出ノズル(36)の内面に当接するように構成した
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の注出キャップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の注出キャップとして、容器体の口頸部への装着筒部の上部に連設させた頂壁部を有し、この頂壁部の一部を、薄肉の破断線で囲まれた中栓に形成するともに、中栓の周りから注出ノズルを起立したキャップ本体と、天板の周端部から垂設させた蓋周壁を有し、蓋周壁の下部がヒンジを介して前記装着筒部に連結された上蓋とからなり、前記中栓からプルリングを立設させ、プルリングを用いて中栓を抜栓するものが知られている(特許文献1)。
これに対して、利用者による抜栓操作を省略するため、特許文献1の構造のうちのプルリング付きの中栓を、周囲の頂壁部分から肉薄の破断線を介して有底の栓筒部に変更したものが知られている(特許文献2)。
この栓筒部は、突上げ棒などの治具で機械的に突き上げることで、前記注出ノズル内へ打栓されるように形成している。
なお、両特許文献では、前記蓋周壁及び頂壁部の間には、前者に設けた環状の凹条と後者に設けた環状の凸条とを嵌合させてなるシール手段が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-121783
【文献】特開2020-111381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の注出キャップでは、シール手段にリーク箇所が発生していないかどうかを確認するリーク検査を行うことが困難であり、品質管理上の問題があった。
突上げ操作により注出ノズルの内部に圧入された中栓が、外部からの衝撃(特に容器体に装着した状態での落下時の衝撃)により脱落してしまう可能性があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、リーク検査が容易な注出キャップを提供することである。
本発明の第2の目的は、上蓋からの中栓の脱落を回避できる注出キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器体の口頸部へ装着する装着筒部6の上部に連設させた頂壁部10を有し、この頂壁部の一部を、スリット30で囲まれかつ弱化部32を介して周囲の頂壁部分11に連結された中栓16に形成するともに、中栓の周りから注出ノズル36を起立したキャップ本体4と、
天板42の周端部から垂設させた蓋周壁44がヒンジ7を介して前記装着筒部6に連結され、かつ天板42から前記注出ノズル36内へシール筒50を突設させた上蓋40と、
を具備し、前記頂壁部10の外周部と前記蓋周壁44の下周端との間に閉蓋状態でシール状態を保持する外側シール手段Soを形成した注出キャップにおいて、
前記注出ノズル36とシール筒50との間に間隙Gを形成して、
この間隙G及びスリット30を介して、前記上蓋40及びキャップ本体4の間に形成される上側空間Rと、前記頂壁部10より下方の下側空間Qとが連通するように設けられており、
かつ外部からの中栓16の突上げ操作により、前記中栓16がシール筒50内に圧入されることで、シール筒が拡開変形して、前記間隙Gが塞がるように構成した。
【0007】
本手段は、図1に示す如く、キャップ本体4の頂壁部10に形成された中栓16の周囲から注出ノズル36を立設した注出キャップに関する。前記中栓16は、スリット30で囲まれかつ弱化部32を介して周囲の頂壁部分11に連結されている。またキャップ本体4の装着筒部6と上蓋40の蓋周壁との間には、外側シール手段Soが形成されており、かつ上蓋40の天板42から注出ノズル36内へ突設させたシール筒50が設けられている。
また、このシール筒50と前記注出ノズル36との間に間隙Gが形成されている。
この間隙G及びスリット30を介して、前記上蓋40及びキャップ本体4の間に形成される上側空間Rと、前記頂壁部10より下方の下側空間Qとが連通するように設けられている。
そして、注出キャップ2は、図4(A)に示す如く、中栓16の突上げ操作により、前記中栓16がシール筒50内に圧入されることで、当該シール筒50が拡開変形して、前記間隙Gが塞がるように構成している。
この構造によれば、中栓16を突き上げる操作の前に、前記間隙Gを利用して、キャップ本体4の装着筒部6と上蓋40の蓋周壁44との間の外側シール手段Soの不具合の有無を検査することができる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記中栓16は、円錐台状に形成されており、
この円錐台の下端外径DLが注出ノズル36の内径Cより大きくかつ当該円錐台の上端外径DUが注出ノズル36の内径Cより小さくなるように設計され、
前記突上げ操作により、中栓16の外周面であるテーパ状面18がシール筒50の内側に圧接され、シール筒50の外面で形成するシール面部52が前記注出ノズル36の内面に密着するように形成した。
【0009】
本手段では、図2(B)に示す如く、前記中栓16は、円錐台状に形成されている。
またこの円錐台の下端外径DLが注出ノズル36の内径Cより大きくかつ当該円錐台の上端外径DUが注出ノズル36の内径Cより小さくなるように設計されている。
これにより、中栓16の外周面であるテーパ状面18が、前記突上げ操作によって、必ず注出ノズル36の内側に圧接される。
従って、前記シール筒50が確実に拡開変形させることができる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記シール筒50の内側に、前記天板42から垂設される連係片54を配置し、
前記中栓16の突上げ操作により、前記連係片54の下端部と前記中栓16の上面部とが相互にかみ合う係止手段Lを設けた。
【0011】
本手段では、図6(A)に示す如く、前記シール筒50の内側に、前記天板42から垂設される連係片54を配置している。
そして、図6(B)に示す如く、前記中栓16の突上げ操作により、前記連係片54の下端部と前記中栓16の上面部とが相互にかみ合う係止手段Lを設けている。
この構造によれば、突上げ操作によりシール筒50内に圧入された中栓16が当該シール筒50から脱落することを防止できる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記頂壁部10のスリット30穿設箇所付近で、前記中栓の周りの頂壁部分11から、中栓16側へ突設するストッパBを設け、
前記中栓16の下端面から下外方へ脱落防止用突片19が突設され、前記突上げ操作により中栓16が突き上げられたときに、前記脱落防止用突片19が前記ストッパBの上側で前記注出ノズル36の内面に当接するように構成した。
【0013】
本手段では、図7(A)に示す如く、前記中栓16の下端面から下外方へ脱落防止用突片19が突設されている。
また図7(B)に示す如く、前記頂壁部10のスリット30穿設箇所付近で、前記中栓の周りの頂壁部分11から、中栓16側へ突設するストッパBを設けている。
そして、前記突上げ操作により中栓16が突き上げられたときに、前記脱落防止用突片19が前記ストッパBの上側で前記注出ノズル36の内面に当接するように構成している。
この構造によれば、突上げ操作によりシール筒50内に圧入された中栓16が注出ノズル36から脱落することを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段に係る発明によれば、キャップ本体4の頂壁部10では中栓16の周囲から注出ノズル36を起立し、かつ上蓋40の天板42から注出ノズル内へシール筒50を突設させ、前記注出ノズル36とシール筒50との間隙Gを設け、中栓16の突上げにより、前記中栓16がシール筒50内に圧入されることで、シール筒が拡開変形して間隙Gが塞がるから、突上げ操作の前に、間隙Gを利用して外側シール手段Soの不具合を検査することができる。
第2の手段に係る発明によれば、前記中栓16は、円錐台状に形成されており、中栓16のテーパ状面18が前記突上げ操作により注出ノズル36の内側に圧接されるから、前記シール筒50が確実に拡開変形させることができる。
第3の手段に係る発明によれば、前記シール筒50の内側に、前記天板42から垂設される連係片54を配置し、前記中栓16の突上げ操作により、前記連係片54の下端部と前記中栓16の上面部16bとが相互にかみ合う係止手段Lを設けたから、突上げ操作によりシール筒50内に圧入された中栓16がそのシール筒50から脱落することを防止できる。
第4の手段に係る発明によれば、中栓の周囲の頂壁部分11にストッパBを設けるとともに、前記中栓16の下端面から下外方へ脱落防止用突片19が突設され、前記突上げ操作により中栓16が突き上げられたときに、前記脱落防止用突片19が前記ストッパBの上側で前記注出ノズル36の内面に当接するように構成したから、突上げ操作によりシール筒50内に圧入された中栓16がその注出ノズル36から脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る注出キャップの閉蓋状態の構造を示しており、同図(A)は、側方から見たキャップ全体の断面図、同図(B)は、全体断面図のうちの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
図2図1の注出キャップの開蓋状態の構造を示しており、同図(A)はキャップ全体の断面図、同図(B)は同図(A)に示すII(B)- II(B)方向から見た断面図、同図(C)は当該要部の平面図である。
図3図1の注出キャップのリーク検査時の作用説明図である。
図4図1の注出キャップの使用状態の説明図であり、同図(A)は中栓を突き上げた状態でのキャップ全体の断面図、同図(B)は、その全体断面図のうちの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
図5図1の注出キャップの開蓋状態の説明図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る注出キャップの閉蓋状態の構造を示しており、同図(A)は、閉蓋状態で中栓を突き上げる前の段階の構造を、同図(B)は、閉蓋状態で中栓を突き上げた後の段階の構造をそれぞれ示している。
図7】本発明の第3実施形態に係る注出キャップの閉蓋状態の構造を示しており、同図(A)は、閉蓋状態で中栓を突き上げる前の段階のキャップの全体構造を、同図(B)は、同図(A)のVII-VII方向から見た要部の構造を、同図(C)は閉蓋状態で中栓を突き上げた後の段階の構造の要部をそれぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から図5は、本発明の第1実施形態に係る注出キャップ2を示している。注出キャップ2は、キャップ本体4と、上蓋40とで形成されている。
これらキャップ本体4及び上蓋40は合成樹脂材で形成することができ、また後述のヒンジ7を介して連結された一体成形品に成形することができる。
この注出キャップ2は、図2(A)に示す開蓋状態で成形することができる。
なお、説明の便宜上、注出キャップ2の構成は、特に断らない限り、図1(A)に示す注出キャップ2成形後の閉蓋状態で説明する。
【0017】
キャップ本体4は、容器体100の口頸部102への装着用の装着筒部6を有し、この装着筒部6の上端部に頂壁部10を連設させている。
【0018】
前記装着筒部6の下部内面には、前記口頸部102の外面に周設された外リブ104の下面に係止させるための内リブ9が付設されている。
前記装着筒部6の後端部には、ヒンジ7を介して上蓋40が連結されている。なお、本明細書では、説明の便宜上、図1(A)の右側を“後”と、左側を“前”と、紙面に直交する方向を“左右”と称するものとする。
また本実施形態では、図1に示すように、前記装着筒部6の上端面より下方へ穿設する切溝8が形成している。この切溝8は、装着筒部6の上部を内周部分と外周部分とに分割するように、装着筒部6のほぼ全周に亘って形成されている。
この切溝8の底面内端と装着筒部6の内面との間には薄肉破断部8aが形成されている。また装着筒部6の上部外面には、図示しない切り込み(縦破断部)が穿設されており、開蓋状態で上蓋40を側外方へ引っ張ると、図示しない破断不能な厚肉部(ヒンジの近傍付近)まで薄肉破断部8aが破断し、引き上げると容器本体と注出キャップとの分別廃棄が容易となるように設けられている。
【0019】
前記頂壁部10は、装着筒部6の上端部に連結されている。
この頂壁部10の周端部からは、環状の係合突起12が隆起されている。
また頂壁部10の下面からは、装着筒部6との間に一定の間隔を存してインナーリング14が垂設されており、これら装着筒部とインナーリングとの間に前記口頸部102を挟持させるように形成している。
【0020】
前記頂壁部10の一部(図示例ではインナーリングの内側部分)は、周囲にスリット30が穿設された中栓16が形成されている。
前記中栓16は、図2(B)に示すように、複数の支承片31により、周囲の頂壁部分11に支えられている。これら支承片31は、前記スリット30の周方向の複数箇所(図示例では2か所)で周囲の頂壁部分11と中栓16との間に架設されている。
具体的には、図2(B)に示すように、前記支承片31の一部(図示例では支承片31の外端部)に弱化部32を形成すれば良い。
そして図4(A)に示すように、外部(中栓の下方位置)から治具(図示せず)で中栓16を突き上げることにより、弱化部32が破断し、中栓16が残りの頂壁部分11から分離した跡に、注出孔Aが開口されるように設けている。
図示の中栓16は、頂壁部10の中心より前寄りに配置されているが、その位置は適宜変更することができる。
前記中栓16の形状は、本実施形態では、図2(B)に示すように、一定の高さHを有する円錐台形状であり、この外周面は上端小径のテーパ状面18である。
このテーパ状面18は、前記突上げ操作により、後述のシール筒50の内側へ圧入させるための部位である。この作用を実現するために、前述の円錐台の下端外径DL、円錐台の上端外径DU、及び、注出ノズル36の内径Cとの間に次の関係が成り立つように設計する。
DL>C>DU
また前記中栓16の下面部16aと前記頂壁部10の下面とは面一に形成されている。
そして、前記中栓16の高さHは、図2(B)に示す如く、頂壁部10の肉厚Tよりも大である。こうすることで、前記中栓16の上面部16bを周囲の頂壁部分11に比べて隆起させている。
また前記支承片31は、上下方向の厚みtが頂壁部10の肉厚Tよりも小さく、スリット30の下部内に配置されている。
【0021】
前記頂壁部10には、中栓16の周囲から起立された注出ノズル36が設けられている。
図示例では、図1に示すように、この注出ノズル36の上部前端側には、注ぎ口36aが形成されている。
【0022】
上蓋40は、天板42の周端部から垂設させた蓋周壁44を有し、この蓋周壁の下端部が、ヒンジ7を介して前記装着筒部6の後壁部分に連結されている。
前記蓋周壁44の内面下端部には、前記係合突起12とかみ合う被係合凹部48が周設されている。これら係合突起12及び被係合凹部48で外側シール手段Soを形成している。
また前記蓋周壁44の前壁部下端からは、摘み46が前方へ突設されている。
【0023】
前記天板42からは、図1(A)に示す閉蓋状態で、シール筒50が垂設されている。
このシール筒50は、前記注出ノズル36内に挿入されており、この状態において、図1(B)に示すように、注出ノズル36の内面とシール筒50の外面との間には間隙Gが存在している。
そして、この間隙G及び頂壁部10のスリット30を介して、上蓋40の天板42と蓋周壁44とキャップ本体4の頂壁部10とで囲まれた空間(上側空間Rという)が、頂壁部10と装着筒部6とで区分される空間(下側空間Q)に連通している。
前記シール筒50は、図4(A)に示すように、円錐台形状の中栓16を突き上げることにより拡径変形することが可能に形成されている。
そして、この変形により、図4(B)に示すように、前記間隙Gが閉じて、下側空間Qと上側空間Rとの連通が遮断されるように設けられている。
前記間隙Gの幅は、シール筒50の拡開変形により、当該間隙Gが閉じることができるように設計する。具体的には、当該間隙Gの幅をΔg、前記拡開変形によるシール筒50の外径の増加分をΔdとすると、図4(B)に示す如く、(Δd/2)>Δgとなるようにすればよい。
図示例では、前記シール筒50の下部外面を、下端小径のテーパ状であるシール面部52としており、図4(B)に示す如く、中栓16の突上げ操作により、主としてこのシール面部52が、注出ノズル36の内面の対応部分(被シール面部37という)に圧接され、前記間隙Gが閉じるように構成している。
そして図4(A)に示す如く、これらシール面部52と被シール面部37とで内側シール手段Siを形成している。
なお、前記シール面部52の形状は適宜変更することができる。
前述の間隙Gを設けた理由は、間隙Gが塞がった状態では、外側シール手段Soのシール(密閉)状態を検査することができないため、間隙Gを上側空間Rと下側空間Qに連通させることにより確実にリーク検査を実行できるようにするためである。すなわち、図3に示すように、頂壁部10の下側から、間隙Gと、装着筒部6及び蓋周壁44の間とを通って注出キャップ2の側方へ至る径路を空気が流れるように空気圧をかけ、実際に空気の流れが確認できれば外側シール手段Soにリーク箇所があることが判明する。これに関しては後述する。
【0024】
前記構成において、図1(A)に示す状態では、注出ノズル36の内面とシール筒50の外面との間に間隙Gが開通している。
この状態から、円錐台形の中栓16を治具などで突き上げると、図4(A)に示す如く、前記弱化部32が破断し、前記中栓16がシール筒50内に嵌入される。
これにより、前記中栓16は、キャップ本体4側から上蓋40側へ移行するとともに、頂壁部10に注出孔Aが形成される。
また、その際に、当該中栓16のテーパ状面18がシール筒50の内面に圧接されるので、図4(B)に示す如く、シール筒50が拡開変形する。これにより、シール筒50のシール面部52が注出ノズル36の被シール面部37を圧接して、これら両面で形成する内側シール手段Siの機能が担保されるとともに、前記間隙Gが塞がる。
この状態から、上蓋40を開方向へ回転させると、中栓16は上蓋40とともにキャップ本体4の上面から離脱し、前記注出孔Aが外部と開通する。
また前記外側シール手段Soのリーク検査を行うときには、図3に示すように、注出キャップ2が閉蓋しておりかつ中栓16の突上げ操作をしていない状態で、注出キャップ2のリーク検査を行う。
そして、リーク検査を実行する際、頂壁部10下方の下側空間Qから空気圧をかける。この状態では、前記間隙Gは開通している状態であるので、注出キャップ2の外側(装着筒部6と蓋周壁44)で空気の流れが検出されたときには、外側シール手段Soにリーク箇所が存在することが分かる。
【0025】
以下、本発明の他の実施形態に係る注出キャップを説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成に関しては解説を省略する。
【0026】
図6は、本発明の第2実施形態に係る注出キャップを示している。
本実施形態では、前記突上げ操作によりシール筒50内に嵌入された中栓16の脱落を防止するための係止手段Lを提案している。
この係止手段Lは、シール筒50の内側において天板42から垂設された連係片54の下端部と、中栓16の上面部16bとの間に設けられている。
具体的には、本実施形態では、前記連係片54の下面から上方へ穿設された被係止穴58と、前記頂壁部10の上面部16b側に設けられた縦長の係止突子24からなる。これら被係止穴58及び係止突子24は、図6(A)に示すように、前記中栓16を突き上げる前の状態では、相互に分離しており、前記中栓16の突上げ操作により、前記係止突子24が前記被係止穴58内に固嵌めされるように設けている。
もっとも連係片54側に係止突子を、また中栓16の上面部16b側に被係止穴58を設けても構わない。
図示例では、前記中栓16の上面部16bに係合凹部20を凹設するとともに、この係合凹部20の内部に、当該係合凹部の底面から起立する係止突子24を設けている。
前記係合凹部20の内周面の上端部には抜止め用リブ22を、また前記連係片54の下部外面には環状リブ56がそれぞれ周設されている。そして前記中栓16の突上げ操作により、前記抜止め用リブ22が前記環状リブ56を乗り越えて係止されるように設けている。
【0027】
図7は、本発明の第3実施形態に係る注出キャップを示している。本実施形態では、注出ノズル内からのシール筒50からの中栓16の脱落を防止するために、中栓16の下面部16a側に脱落防止用突片19を付設している。
もっとも脱落防止用突片19の構造は適宜変更することができる。
この脱落防止用突片19は、図示例では、図7(A)に示す如く、下面部16aの周縁から、下端大径のテーパ状に突出されている。
また頂壁部10には、前記スリット30の穿設箇所付近で、中栓の周りの頂壁部分11から、中栓16側へ突出するストッパBを設けている。
本実施形態では、前記支承片31がストッパBを兼用している。具体的には、図7(B)に示すように、支承片31の内端側に弱化部32を形成している。
この構成によれば、前記中栓16を突き上げた操作の後に、支承片31は、図7(C)に示すように、周囲の頂壁部分11にストッパBとして残る。そして、中栓16の脱落防止用突片19は、前記支承片31を乗り越えて、注出ノズル36の内面に当接する。
この状態では、仮に中栓16がシール筒50内から脱落しても、脱落防止用突片19の下端がストッパBである支承片31の上面に係止する。故に、注出ノズル内からの中栓16の脱落を防止できる。
なお、ストッパBの構造及び配置は適宜変更することができる。例えば、ストッパBは支承片31とは別個に形成しても良い。この場合において、図7(C)に示すように、中栓16がシール筒50内に嵌入された状態で脱落防止用突片19の下端にストッパBの上面が当接するようにしても良い。
【符号の説明】
【0028】
2…注出キャップ 4…キャップ本体 6…装着筒部 7…ヒンジ
8…切溝 8a…薄肉破断部
9…内リブ 10…頂壁部 11…(中栓の)周囲の頂壁部分
12…係合突起 14…インナーリング
16…中栓 16a…下面部 16b…上面部 18…テーパ状面
19…脱落防止用突片
20…係合凹部 22…抜止め用リブ 24…係止突子
30…スリット 31…支承片 32…弱化部
36…注出ノズル 36a…注ぎ口 37…被シール面部
40…上蓋 42…天板 44…蓋周壁 46…摘み 48…被係合凹部
50…シール筒 52…シール面部 54…連係片 56…環状リブ
58…被係止穴
100…容器体 102…口頸部 104…外リブ
A…注出孔 B…ストッパ C…シール筒の内径
DU…中栓の上端外径 DL…中栓の下端外径
G…間隙 H…中栓の高さ L…係止手段 M…拡開代 Q…下側空間
R…上側空間 Si…内側シール手段 Sо…外側シール手段
T…頂壁部の肉厚 t…支承片の厚み

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7