IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建設機械 図1
  • 特許-建設機械 図2
  • 特許-建設機械 図3
  • 特許-建設機械 図4
  • 特許-建設機械 図5
  • 特許-建設機械 図6
  • 特許-建設機械 図7
  • 特許-建設機械 図8
  • 特許-建設機械 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/38 20060101AFI20231212BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20231212BHJP
   B66C 23/683 20060101ALI20231212BHJP
   E04G 23/08 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
E02F3/38 A
E02F3/36 D
B66C23/683 A
E04G23/08 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020162124
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054874
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 香織
(72)【発明者】
【氏名】多田 茂也
(72)【発明者】
【氏名】守田 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】朝日 駿佑
(72)【発明者】
【氏名】星野 淳志
(72)【発明者】
【氏名】加庭 啓充
(72)【発明者】
【氏名】新開 光
(72)【発明者】
【氏名】大竹 弘美
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-105520(JP,A)
【文献】特開2011-174365(JP,A)
【文献】特開2014-101665(JP,A)
【文献】特開2020-056157(JP,A)
【文献】特開2015-229876(JP,A)
【文献】特開2015-094129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
E02F 3/36
B66C 23/683
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走が可能な車体と、前記車体に設けられたフロント装置と、からなり、
前記フロント装置は、
下ブームおよび前記下ブームの上側に設けられた上ブームからなり、前記下ブームの基端部が前記車体に幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に連結されたロングブームと、
基端部が前記上ブームの先端部に幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に連結されたブーム側部材および前記ブーム側部材と連結、分離可能に設けられたアーム側部材からなる分割式ミドルアームと、
基端部が前記アーム側部材の先端部に幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に連結されたアームと、
前記アームの先端部に連結された作業具と、
第1端部が前記上ブームに連結され、第2端部が前記ブーム側部材に連結された下アームシリンダと、
第1端部が前記アーム側部材に連結され、第2端部が前記アームに連結された上アームシリンダと、
を備えてなる建設機械において、
前記ブーム側部材は、幅方向に延びる軸線を中心として前記下アームシリンダの前記第2端部を回動可能に連結するためのブーム側シリンダボスを幅方向に間隔をもって2個有し、
前記アーム側部材は、幅方向に延びる軸線を中心として前記上アームシリンダの前記第1端部を回動可能に連結するためのアーム側シリンダボスを2個の前記ブーム側シリンダボスの間に位置して個有し、
前記ブーム側シリンダボスと前記アーム側シリンダボスとは、前記上ブーム側と前記アーム側とに離間して配置され、
前記下アームシリンダは、前記第1端部が前記上ブームの幅方向の左側に位置する左側面部に連結され、前記第2端部が2個の前記ブーム側シリンダボスのうち左側に位置する左ブーム側シリンダボスに連結された左側下アームシリンダと、前記第1端部が前記上ブームの幅方向の右側に位置する右側面部に連結され、前記第2端部が2個の前記ブーム側シリンダボスのうち右側に位置する右ブーム側シリンダボスに連結された右側下アームシリンダと、の2本からなり、
前記上アームシリンダは、前記左側下アームシリンダと前記右側下アームシリンダとの間に位置し、前記第1端部が前記アーム側シリンダボスに連結され、前記第2端部が前記アームに連結された1本からなることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記ブーム側部材は、幅方向に間隔をもって対面した2枚の板体からなる左側組板および右側組板を有し、
前記左ブーム側シリンダボスは、前記左側組板の前記2枚の板体に亘って設けられ、
前記右ブーム側シリンダボスは、前記右側組板の前記2枚の板体に亘って設けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械において、
前記アームを前記上ブーム側に折り畳んだ輸送姿勢で、
前記分割式ミドルアームは、前記上ブームの前記先端部よりも前記上ブームの基端部側に配置されていることを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
前記分割式ミドルアームは、前記ブーム側部材と前記アーム側部材とが連結位置に配置された状態で前記ブーム側部材と前記アーム側部材とに亘って幅方向に挿着される複数本の連結ピンを有し、
前記アームを前記上ブーム側に折り畳んだ輸送姿勢では、
2個の前記ブーム側シリンダボスは、前記アーム側シリンダボスよりも前記上ブーム側に位置し、
前記複数本の連結ピンは、当該複数本の連結ピンの軸線を結ぶ直線が前記ブーム側シリンダボスの軸線と前記アーム側シリンダボスの軸線との間を通り、かつ前記ブーム側シリンダボスから離れる方向に向け前記アーム側に傾斜するように配置されていることを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項1に記載の建設機械において、
前記アーム側部材は、幅方向に間隔をもって対面した左側板および右側板と、幅方向に延びて前記左側板と前記右側板とを連結した連結部材と、を有し、
前記左側板と前記右側板とには、前記アームの基端部が連結されるアームボスと、前記アーム側シリンダボスと、前記ブーム側部材と連結する連結ピンが挿着される連結ボスと、をそれぞれ有し、
前記連結部材は、
前記アームボスおよび前記アーム側シリンダボスと前記連結ボスとの間を延びて幅方向の端縁が前記左側板と前記右側板に取付けられた平板体と、
前記平板体の前記アームボス側に配置され、屈曲して延びた両端縁が前記平板体に取付けられると共に、幅方向の端縁が前記左側板と前記右側板に取付けられることで閉断面構造を形成する屈曲板と、
前記アーム側シリンダボスと前記連結ボスとの間に位置して前記平板体の前記連結ボス側に立設された補強板と、
により構成されていることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、高所の解体作業等を行うために上下方向に長尺なフロント装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な車体を構成する下部走行体および上部旋回体を有している。上部旋回体には、各種作業を行うためのフロント装置が設けられている。
【0003】
ここで、油圧ショベルには、高層建築物の解体作業を行うためのフロント装置を備えたものがある。この場合、フロント装置は、立ち上げた状態(起立状態)で上下方向に長尺となるように形成されている。一方で、フロント装置は、トラックに載せて搬送できるように複数の部位に分割できる構造となっている。
【0004】
フロント装置は、下ブーム、上ブームおよび下ブームと上ブームとの間に連結された中間ブームからなり、下ブームの基端部が上部旋回体に幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に連結されたロングブームと、基端部が上ブームの先端部に軸線を中心として回動可能に連結されたブーム側部材およびブーム側部材と連結、分離可能に設けられたアーム側部材からなる分割式ミドルアームと、基端部がアーム側部材の先端部に軸線を中心として回動可能に連結されたアームと、アームの先端部に連結された作業具と、第1端部が上ブームに連結され、第2端部がブーム側部材に連結された下アームシリンダと、第1端部がアーム側部材に連結され、第2端部がアームに連結された上アームシリンダと、を備えている。作業具としては、例えば鉄筋等を切断したり、掴んだりするカッターが取付けられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-105520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、分割式ミドルアームは、ブーム側部材にブーム側シリンダボスを有し、アーム側部材にアーム側シリンダボスを有している。このブーム側シリンダボスとアーム側シリンダボスとを接近させることで、分割式ミドルアームを小型化することが考えられる。
【0007】
しかし、例えば、フロント装置を真直ぐに立ち上げると、分割式ミドルアームの場合、シリンダにより作用する力を受ける剛体が存在しない。このためにシリンダにより作用する力を受ける剛体をシリンダにより作用する力の方向に新たに設けたり、ボス部の補強をしたり、分割式ミドルアーム全体の板厚をアップしたりする必要がある。一体式ミドルアームの場合、シリンダにより作用する力は、もう一方のボス部が受けたり、もう一方のボス部を挟んだ対面の板(剛体)が受けたりする。このように、分割式ミドルアームの場合、一体式ミドルアームに比較して大型化してしまう。
【0008】
また、ブーム側シリンダボス、アーム側シリンダボスに連結されるシリンダには、周囲に金属管、ホース、センサ、リード線等が配置されている。このため、ブーム側シリンダボスとアーム側シリンダボスとを接近させた場合、作業時に金属管、ホース、センサ、リード線等が干渉する虞がある。従って、ブーム側シリンダボスとアーム側シリンダボスとの間には、互いに干渉しないための距離が必要になる。
【0009】
これにより、分割式ミドルアームを用いたフロント装置は、アームを上ブーム側に折り畳むことによって輸送姿勢に変形させたときに、輸送時の高さ寸法が道路の走行が許される制限を越える虞がある。この場合には、輸送時に上ブームとアームとを分離しなくてはならず、輸送作業に手間と時間を要してしまうという問題がある。
【0010】
本発明の一実施形態の目的は、分割式ミドルアームを小型化することにより、輸送作業の作業性を向上できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、自走が可能な車体と、前記車体に設けられたフロント装置と、からなり、前記フロント装置は、下ブームおよび前記下ブームの上側に設けられた上ブームからなり、前記下ブームの基端部が前記車体に幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に連結されたロングブームと、基端部が前記上ブームの先端部に幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に連結されたブーム側部材および前記ブーム側部材と連結、分離可能に設けられたアーム側部材からなる分割式ミドルアームと、基端部が前記アーム側部材の先端部に幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に連結されたアームと、前記アームの先端部に連結された作業具と、第1端部が前記上ブームに連結され、第2端部が前記ブーム側部材に連結された下アームシリンダと、第1端部が前記アーム側部材に連結され、第2端部が前記アームに連結された上アームシリンダと、を備えてなる建設機械において、前記ブーム側部材は、幅方向に延びる軸線を中心として前記下アームシリンダの前記第2端部を回動可能に連結するためのブーム側シリンダボスを幅方向に間隔をもって2個有し、前記アーム側部材は、幅方向に延びる軸線を中心として前記上アームシリンダの前記第1端部を回動可能に連結するためのアーム側シリンダボスを2個の前記ブーム側シリンダボスの間に位置して個有し、前記ブーム側シリンダボスと前記アーム側シリンダボスとは、前記上ブーム側と前記アーム側とに離間して配置され、前記下アームシリンダは、前記第1端部が前記上ブームの幅方向の左側に位置する左側面部に連結され、前記第2端部が2個の前記ブーム側シリンダボスのうち左側に位置する左ブーム側シリンダボスに連結された左側下アームシリンダと、前記第1端部が前記上ブームの幅方向の右側に位置する右側面部に連結され、前記第2端部が2個の前記ブーム側シリンダボスのうち右側に位置する右ブーム側シリンダボスに連結された右側下アームシリンダと、の2本からなり、前記上アームシリンダは、前記左側下アームシリンダと前記右側下アームシリンダとの間に位置し、前記第1端部が前記アーム側シリンダボスに連結され、前記第2端部が前記アームに連結された1本からなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、分割式ミドルアームを小型化することができ、輸送作業の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る高所解体用のフロント装置を備えた油圧ショベルを示す左側面図である。
図2】アームを上ブーム側に折り畳んだ状態を、中間ブーム、ミドルアーム、下アームシリンダ、上アームシリンダ等と一緒に示す左側面図である。
図3図2中の上ブームの先端側、ミドルアーム、アームの基端側、下アームシリンダ、上アームシリンダを拡大して示す左側面図である。
図4】上ブームの先端側、ミドルアーム、アームの基端側、下アームシリンダ、上アームシリンダを図3と反対側から示す右側面図である。
図5図3中のミドルアームの周囲を拡大して示す左側面図である。
図6】ミドルアームのブーム側部材を単体で示す左側面図である。
図7図6中の矢示VII-VII方向から見たブーム側部材の底面図である。
図8】ミドルアームのアーム側部材を単体で示す左側面図である。
図9図8中の矢示IX-IX方向から見たアーム側部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る建設機械の代表例として、自走可能な油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図9に従って詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の油圧ショベルは、例えば、フロント装置に高層建築物の解体作業に用いられるブームないしアームを備えたマルチブーム仕様の油圧ショベルとして構成されている。このマルチブーム仕様の油圧ショベルでは、ブームやアームを上方に向けて延ばして高所に作業具、例えばカッターを配置し、このカッターによってコンクリートを破砕したり、鉄筋を切断したりする。
【0016】
図1において、油圧ショベル1は、前後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載され、下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に俯仰の動作が可能に設けられた後述のフロント装置11とにより構成されている。
【0017】
上部旋回体3は、支持構造体からなる旋回フレーム4と、旋回フレーム4の左前部に設けられオペレータが搭乗するキャブ5と、旋回フレーム4の後側に設けられフロント装置11との重量バランスをとるカウンタウエイト6とを含んで構成されている。旋回フレーム4の前部には、キャブ5の右側方に位置してフロント装置11が設けられている。
【0018】
次に、本実施形態の特徴部分を備えたフロント装置11の構成について説明する。このフロント装置11は、高層建築物の解体作業に用いられるもので、高い位置まで届くように上下方向に長尺に形成されている。また、フロント装置11は、上部旋回体3に対し前後方向の前側に倒れた転倒位置と上側に立ち上がった起立位置(図1に示す位置)との間で回動が可能に設けられている。フロント装置11は、転倒位置で組立作業、分解作業および作業高さに応じた部品の交換作業、着脱作業が行われ、起立位置で高層建築物の解体作業が行われる。
【0019】
なお、フロント装置11の構成の説明では、フロント装置11を起立位置(図1に示す位置)とした状態で、この状態における上下方向と前後方向とを用いて各部の説明をする。一方で、交換作業や輸送作業のために分離されたフロント装置11の一部については、そのときの配置状態、例えば横倒し状態であれば、その状態での上下方向等を使用して説明する。
【0020】
フロント装置11は、上部旋回体3を構成する旋回フレーム4の前側位置に設けられている。フロント装置11は、後述のロングブーム12、分割式ミドルアーム16、アーム27、カッター28、左側下アームシリンダ30、右側下アームシリンダ31および上アームシリンダ32を含んで構成されている。
【0021】
ロングブーム12は、基端側が旋回フレーム4に俯仰の動作が可能に取付けられている。ロングブーム12は、後述の下ブーム13、上ブーム14および下ブーム13と上ブーム14との間に連結された中間ブーム15によって形成されている。なお、ロングブーム12は、作業内容に応じて形態を変化させることができる。即ち、解体位置が高い場合には、ロングブーム12は、中間ブーム15を2個以上連ねることができる。また、解体位置が低い場合には、ロングブーム12は、中間ブーム15取外して、下ブーム13と上ブーム14と直接連結することができる。
【0022】
下ブーム13は、長さ方向と直交する横断面が矩形状をなしたボックス状の閉断面構造体として形成されている。下ブーム13の基端部は、車体を構成する上部旋回体3に回動可能に連結されている。具体的には、下ブーム13は、基端部が旋回フレーム4の前側位置に幅方向に延びる軸線を中心にして前後方向に回動可能に取付けられている。一方、下ブーム13の先端部には、中間ブーム15の基端部が連結されている。
【0023】
下ブーム13の上側に設けられた上ブーム14は、下ブーム13と同様に、横断面が矩形状をしたボックス状の閉断面構造体として形成されている。上ブーム14は、長さ方向の基端部が中間ブーム15の先端部に連結されている。一方、上ブーム14の先端部には、分割式ミドルアーム16を構成するブーム側部材17の基端部が幅方向に延びる軸線を中心にして回動可能に取付けられている。
【0024】
図2ないし図4に示すように、上ブーム14は、幅方向に間隔をもって対面した左側面部14A、右側面部14Bと、立ち上がった状態で左側面部14Aと右側面部14Bの前側に位置する前面部14Cと、左側面部14Aと右側面部14Bの後側に位置する後面部14Dとを備えている。上ブーム14の先端部は、ミドルアーム取付部14Eとなり、このミドルアーム取付部14Eには、ブーム連結ピン21を介してブーム側部材17の基端部が回動可能に取付けられている。
【0025】
左側面部14Aには、長さ方向の中間部に位置して左シリンダボス14Fが幅方向を軸線として設けられている。この左シリンダボス14Fには、左側下アームシリンダ30の第1端部30Aが回動可能に取付けられている。同様に、図4に示すように、右側面部14Bには、長さ方向の中間部に位置して右シリンダボス14Gが幅方向を軸線として設けられている。この右シリンダボス14Gには、右側下アームシリンダ31の第1端部31Aが回動可能に取付けられている。
【0026】
図1に示すように、中間ブーム15は、下ブーム13と上ブーム14との間に連結されている。中間ブーム15は、下ブーム13と同様に、横断面が矩形状をしたボックス状の閉断面構造体として形成されている。中間ブーム15は、基端部が下ブーム13の先端部に連結され、先端部が上ブーム14の基端部に連結されている。なお、中間ブーム15は、下ブーム13と上ブーム14との間に直列状態で複数個設けることができる。これにより、中間ブーム15の個数を増やすことで、フロント装置11の全長を伸ばして作業位置を高くすることができる。一方、中間ブーム15は、下ブーム13と上ブーム14との間から取外すことにより、フロント装置11の全長を短くして作業位置を低くすることができる。
【0027】
次に、本実施形態の特徴部分となる分割式ミドルアーム16の構成について説明する。分割式ミドルアーム16は、上ブーム14とアーム27との間に設けられている。分割式ミドルアーム16は、ブーム側部材17とアーム側部材22と連結ピン26とを含んで構成されている。ブーム側部材17は、上ブーム14の先端部となるミドルアーム取付部14Eに上部旋回体3の幅方向に延びる軸線を中心としたブーム連結ピン21によって回動可能に連結されている。また、ブーム側部材17は、アーム側部材22と連結、分離可能に連結することができる。
【0028】
図5図6に示すように、ブーム側部材17は、上ブーム14に連結されると共に、アーム側部材22と連結、分離が可能に連結される。ブーム側部材17は、後述の左側組板18、右側組板19および連結部材20を含んで構成されている。
【0029】
左側組板18は、幅方向に間隔をもって対面した略三角形状の2枚の板体としての外板体18A、内板体18B(図7参照)を備えている。また、左側組板18(外板体18A、内板体18B)は、三角形の角部に位置して上ブーム14の先端部が連結されるブームボス18Cと、他の角部に位置して左側下アームシリンダ30の第2端部30Bが連結される左ブーム側シリンダボス18Dと、ブームボス18Cから離れた辺部に設けられ、ブーム側部材17と連結する後述の連結ピン26が挿着される2個の連結ボス18Eとを有している。また、ブームボス18C、左ブーム側シリンダボス18Dおよび連結ボス18Eには、例えば板材等からなる補強部材(図示せず)が重ねて取付けられている。
【0030】
図4図7に示すように、右側組板19は、左側組板18と同様に、幅方向に間隔をもって対面した略三角形状の2枚の板体としての外板体19A、内板体19Bを備えている。また、右側組板19(外板体19A、内板体19B)は、左側組板18と対応するように、三角形の角部に位置して上ブーム14の先端部が連結されるブームボス19Cと、他の角部に位置して右側下アームシリンダ31の第2端部31Bが連結される右ブーム側シリンダボス19Dと、ブームボス19Cから離れた辺部に設けられ、ブーム側部材17と連結する連結ピン26が挿着される2個の連結ボス19Eとを有している。また、ブームボス19C、右ブーム側シリンダボス19Dおよび連結ボス19Eには、例えば板材等からなる補強部材(図示せず)が重ねて取付けられている。
【0031】
一方、連結部材20は、左側組板18と右側組板19とを所定の間隔をもって連結している。連結部材20は、連結ボス18Eおよび連結ボス19Eが設けられた辺部を除いて周縁を覆う複数枚の板体を含んで構成されている。
【0032】
なお、左側組板18のブームボス18Cと右側組板19のブームボス19Cとを、別々に設けた場合を例示したが、左側組板のブームボスと右側組板のブームボスとを、1本の円筒体として形成する構成としてもよい。
【0033】
ブーム側部材17は、左側組板18のブームボス18Cと右側組板19のブームボス19Cとを、上ブーム14のミドルアーム取付部14Eに配置する。この状態で、ミドルアーム取付部14E、各ブームボス18C,19Cにブーム連結ピン21を挿着する。これにより、ブーム側部材17は、上ブーム14のミドルアーム取付部14Eに幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に連結されている。
【0034】
ここで、ブーム側部材17は、幅方向に間隔をもって対面した外板体18A、内板体18Bからなる左側組板18および外板体19A、内板体19Bからなる右側組板19を有している。また、左側組板18には、左ブーム側シリンダボス18Dが設けられている。左ブーム側シリンダボス18Dには、幅方向に延びる軸線を中心として左側下アームシリンダ30の第2端部30Bが回動可能に連結されている。一方、右側組板19には、左ブーム側シリンダボス18Dと幅方向に間隔をもった位置に左ブーム側シリンダボス18Dと同軸に、右ブーム側シリンダボス19Dが設けられている。右ブーム側シリンダボス19Dには、右側下アームシリンダ31の第2端部31Bが回動可能に連結されている。
【0035】
この上で、左ブーム側シリンダボス18Dは、左側組板18の2枚の板体18A,18Bに亘って設けられている。また、右ブーム側シリンダボス19Dは、右側組板19の2枚の板体19A,19Bに亘って設けられている。これにより、ブーム側部材17は、簡単な構成でブーム側シリンダボス18D,19Dの支持強度を高めることができ、小型化を図ることもできる。
【0036】
図5図8に示すように、アーム側部材22は、ブーム側部材17と連結、分離可能に設けられている。アーム側部材22は、幅方向に間隔をもって対面した三角形状の左側板23および右側板24と、幅方向に延びて左側板23と右側板24とを連結した連結部材25と、を有している。左側板23には、先端部の角部に位置して後述のアーム27の基端部が連結されるアームボス23Aと、他の角部に設けられ、幅方向に延びる軸線を中心として上アームシリンダ32の第1端部32Aが回動可能に連結されるアーム側シリンダボス23Bと、アームボス23Aから離れた辺部に設けられ、ブーム側部材17と連結する連結ピン26が挿着される連結ボス23Cとを有している。連結ボス23Cは、ブーム側部材17の左側組板18の連結ボス18Eに対応して2個設けられている。また、アームボス23A、アーム側シリンダボス23Bおよび連結ボス23Cには、後述する連結部材25の補強板25Cによって強度(剛性)が高められている。
【0037】
一方、右側板24には、左側板23と同様に、アーム27の基端部が連結されるアームボス24Aと、幅方向に延びる軸線を中心として上アームシリンダ32の第1端部32Aが回動可能に連結されるアーム側シリンダボス24Bと、ブーム側部材17と連結する連結ピン26が挿着される2個の連結ボス24Cとを有している。また、アームボス24A、アーム側シリンダボス24Bおよび連結ボス24Cには、連結部材25の補強板25Cによって強度(剛性)が高められている。
【0038】
連結部材25は、平板体25A、屈曲板25Bおよび補強板25Cにより構成されている。図8中に点線で示すように、平板体25Aは、アームボス23A,24Aおよびアーム側シリンダボス23B,24Bと各連結ボス23C,24Cとの間を延びた矩形状の平板からなり、幅方向の端縁が左側板23と右側板24に溶接手段等を用いて取付けられている。
【0039】
また、屈曲板25Bは、平板体25Aのアームボス23A,24A側に配置されている。この上で、屈曲板25Bは、矩形状の板体を長さ方向の2箇所で折り曲げることによりU字状に屈曲している。そして、U字状に延びた屈曲板25Bの両端縁は、平板体25Aに溶接手段等を用いて取付けられている。さらに、屈曲板25Bの幅方向の端縁は、左側板23と右側板24に溶接手段等を用いて取付けられている。これにより、連結部材25は、平板体25A、屈曲板25B、左側板23、右側板24によって直方体状の閉断面構造を形成している。
【0040】
補強板25Cは、アーム側シリンダボス23B,24Bと各連結ボス23C,24Cとの間に位置して平板体25Aの各連結ボス23C,24C側に立設されている。また、補強板25Cは、略三角形状の板体からなり、幅方向において左側板23と右側板24から離れた位置で、互いに間隔をもって2枚設けられている。これにより、補強板25Cは、閉断面構造から外れた平板体25Aの端部側にアーム側シリンダボス23B,24Bから負荷が作用したときに、この負荷を受承しつつ、受承した負荷を平板体25Aの閉断面構造側に伝えることで連結部材25の強度(剛性)を高めることができる。
【0041】
図5に示すように、連結ピン26は、ブーム側部材17とアーム側部材22とが連結位置に配置された状態で、ブーム側部材17とアーム側部材22とに亘って幅方向に挿着される。具体的には、連結ピン26は、ブーム側部材17の左側組板18に設けられた2個の連結ボス18Eとアーム側部材22の左側板23に設けられた2個の連結ボス23Cとに亘ってそれぞれ幅方向に挿着される。また、連結ピン26は、ブーム側部材17の右側組板19に設けられた2個の連結ボス19Eとアーム側部材22の右側板24に設けられた2個の連結ボス24Cとに亘ってそれぞれ幅方向に挿着される。これにより、合計4本の連結ピン26は、ブーム側部材17とアーム側部材22とを連結、分離可能に連結することができる。なお、連結ピン26は、長尺に形成してブーム側部材17とアーム側部材22との左右方向(幅方向)に貫通させることにより、合計2本とすることもできる。また、連結ピン26は、片側に3本以上設ける構成としてもよい。
【0042】
ここで、本実施形態による分割式ミドルアーム16の構成の特徴部分について、アーム27を上ブーム14側に折り畳んだ輸送姿勢の状態で説明する。この輸送姿勢は、水平方向に延びて配置された上ブーム14の先端部から分割式ミドルアーム16を下側に屈曲して配置し、分割式ミドルアーム16の先端部からアーム27を水平方向に屈曲して上ブーム14の下側に配置した状態となっている。
【0043】
まず、左ブーム側シリンダボス18D、右ブーム側シリンダボス19Dとアーム側シリンダボス23B,24Bとは、上ブーム14側とアーム27側とに離間して配置されている。この上で、左ブーム側シリンダボス18Dと右ブーム側シリンダボス19Dとは、アーム側シリンダボス23B,24Bに対して幅方向に離間している。これにより、左ブーム側シリンダボス18D、右ブーム側シリンダボス19Dとアーム側シリンダボス23B,24Bとは、図5等に示す側面視で重ならない範囲で接近した位置に配置することができる。
【0044】
この場合、左ブーム側シリンダボス18D、右ブーム側シリンダボス19Dとアーム側シリンダボス23B,24Bとは、幅方向に離間している。このため、左ブーム側シリンダボス18D、右ブーム側シリンダボス19Dおよびアーム側シリンダボス23B,24Bに補強部材を設けるスペースを確保できる上に、左ブーム側シリンダボス18Dに連結された左側下アームシリンダ30、右ブーム側シリンダボス19Dに連結された右側下アームシリンダ31、アーム側シリンダボス23B,24Bに連結された上アームシリンダ32の周囲に設けられた金属管、ホース、センサ、リード線等が互いに干渉しない距離を確保することができる。
【0045】
また、アーム27を上ブーム14側に折り畳んだ輸送姿勢では、分割式ミドルアーム16は、上ブーム14の先端部となるミドルアーム取付部14E先端よりも上ブーム14の基端部側に配置されている。この構成では、上ブーム14、分割式ミドルアーム16、アーム27等を1つの組立体として輸送するときに、全長寸法を小さくすることができる。
【0046】
さらに、アーム27を上ブーム14側に折り畳んだ輸送姿勢では、2個の左ブーム側シリンダボス18Dと右ブーム側シリンダボス19Dは、アーム側シリンダボス23B,24Bよりも上ブーム14側に配置されている。この上で、2本の連結ピン26(連結ボス18E,19E,23C,24C)は、当該2本の連結ピン26の軸線、即ち、図5の側面視で2つの点Aを結ぶ直線B-Bが各ブーム側シリンダボス18D,19Dの軸線(点C)とアーム側シリンダボス23B,24Bの軸線(点D)との間を通り、かつ各ブーム側シリンダボス18D,19Dから離れる方向に向けアーム27側に傾斜するように配置されている。
【0047】
この配置関係では、分割式ミドルアーム16の限られたスペースで、2本の連結ピン26を大きく離して配置することができる。この構成では、ブーム側部材17とアーム側部材22との間に生じる負荷を2本の連結ピン26で効率よく受承することができる。これにより、分割式ミドルアーム16を小型化することができる。
【0048】
2本の連結ピン26によるブーム側部材17とアーム側部材22との連結部位(直線B-B)を各ブーム側シリンダボス18D,19Dとアーム側シリンダボス23B,24Bとの間に配置した構造では、各連結ピン26を介して各ブーム側シリンダボス18D,19Dが受承した負荷をアーム側部材22に伝えることができる。また、各連結ピン26を介してアーム側シリンダボス23B,24Bが受承した負荷をブーム側部材17に伝えることができる。分割式ミドルアーム16に作用する負荷を全体に分散させることにより、強度を高めることができる。
【0049】
図1に示すように、アーム27は、基端部が分割式ミドルアーム16のアーム側部材22の先端部に位置するアームボス23Aに幅方向に延びる軸線を中心とするアーム連結ピン27Aを介して回動可能に連結されている。アーム27の前面部27Bには、長さ方向の中間部に位置してシリンダブラケット27Cが設けられている。このシリンダブラケット27Cには、上アームシリンダ32の第2端部32Bがピン32Cを介して連結されている。アーム27は、解体作業を行う高さ位置、先端部に取付けられるカッター28の大きさ(重量)によって異なるアームに交換することができる。
【0050】
カッター28は、作業具の一例である。このカッター28は、アーム27の先端部に回動可能に連結されている。ここで、カッター28には、フロント装置11が高い状態で使用される通常のカッター28と、フロント装置11が低い状態で使用される大型なカッター(図示せず)とが用意されている。これにより、解体作業が進んで解体箇所の高さ位置が低くなったときに、大型なカッターを使用することで作業効率を向上することができる。
【0051】
ブームシリンダ29は、旋回フレーム4と下ブーム13との間に設けられている。左側下アームシリンダ30と右側下アームシリンダ31は、上ブーム14と分割式ミドルアーム16との間に設けられている。上アームシリンダ32は、分割式ミドルアーム16とアーム27との間に設けられている。さらに、作業具シリンダ33は、アーム27とカッター28との間に設けられている。
【0052】
図3に示すように、左側下アームシリンダ30は、上ブーム14、分割式ミドルアーム16の左側に配置されている。左側下アームシリンダ30の第1端部30Aは、上ブーム14の左側面部14Aに設けられた左シリンダボス14Fにピン30Cを介して回動可能に連結されている。左側下アームシリンダ30の第2端部30Bは、分割式ミドルアーム16のブーム側部材17を構成する左側組板18の左ブーム側シリンダボス18Dにピン30Cを介して回動可能に連結されている。
【0053】
図4に示すように、右側下アームシリンダ31は、上ブーム14、分割式ミドルアーム16の右側に配置されている。右側下アームシリンダ31の第1端部31Aは、上ブーム14の右側面部14Bに設けられた右シリンダボス14Gにピン31Cを介して回動可能に連結されている。右側下アームシリンダ31の第2端部31Bは、分割式ミドルアーム16のブーム側部材17を構成する右側組板19の右ブーム側シリンダボス19Dにピン31Cを介して回動可能に連結されている。
【0054】
上アームシリンダ32の第1端部32Aは、アーム側部材22のアーム側シリンダボス23Bにピン32Cを介して回動可能に連結されている。上アームシリンダ32の第2端部32Bは、アーム27のシリンダブラケット27Cにピン32Cを介して回動可能に連結されている。
【0055】
これにより、左側下アームシリンダ30と右側下アームシリンダ31とは、図3等に示す側面視で上アームシリンダ32と重ならない範囲で接近して配置できる。一方で、左側下アームシリンダ30と右側下アームシリンダ31とは、幅方向で上アームシリンダ32から離間して配置できる。即ち、左側下アームシリンダ30、右側下アームシリンダ31および上アームシリンダ32の周囲に金属管、ホース、センサ、リード線等が設けられている場合でも、これらが干渉しない距離を確保しつつ、左側下アームシリンダ30、右側下アームシリンダ31と上アームシリンダ32とを接近した位置に配置することができる。
【0056】
本実施形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1のフロント装置11を用い、例えば高層建築物の解体作業を行う場合の動作について説明する。
【0057】
まず、図1に示すように、高い場所の解体作業を行うために、フロント装置11を大きく伸ばした場合について述べる。この場合には、長いアーム27と小型のカッター28が装備されている。
【0058】
キャブ5に搭乗したオペレータは、キャブ5内の各種レバー(図示せず)を操作することにより、分割式ミドルアーム16およびアーム27を上下方向に回動させつつカッター28によって、コンクリートや鉄筋等を切断したり、挟んで引っ張ったりすることにより、高所の解体作業を行うことができる。
【0059】
高所の解体作業が進むと、解体箇所の高さ位置が徐々に低くなる。このため、解体箇所が所定の高さ位置まで低くなったら、長いアーム27と小型のカッター28を、短いアームと大型のカッターに交換する。これにより、大型のカッターを用いることで、効率よく解体作業を行うことができる。
【0060】
長いアーム27と小型のカッター28を、短いアームと大型のカッターに交換する作業の一例を述べる。この交換作業では、アーム27を上ブーム14側に折り畳んだ状態で、フロント装置11を前側に倒した転倒位置とする。この状態で、上アームシリンダ32、作業具シリンダ33に接続されたホースやリード線を切り離す。次に、分割式ミドルアーム16の2本の連結ピン26を引き抜いてブーム側部材17とアーム側部材22とを切り離す。
【0061】
ブーム側部材17とアーム側部材22とを切り離したら、ブーム側部材17を短いアームと大型のカッターが取付けられたアーム側部材22の位置まで移動し、2本の連結ピン26を挿着して連結する。また、上アームシリンダ32、作業具シリンダ33に接続されたホースやリード線を接続する。これにより、上アームシリンダ32を着脱する作業を行うことなく、長いアーム27と小型のカッター28を短いアームと大型のカッターに簡単に交換することができる。
【0062】
かくして、本実施形態によれば、ブーム側部材17は、幅方向に延びる軸線を中心として下アームシリンダ30,31の第2端部30B,31Bを回動可能に連結するためのブーム側シリンダボス18D,19Dを幅方向に間隔をもって2個有している。また、アーム側部材22は、幅方向に延びる軸線を中心として上アームシリンダ32の第1端部32Aを回動可能に連結するためのアーム側シリンダボス23B,24Bを2個のブーム側シリンダボス18D,19Dの間に位置して個有している。この上で、ブーム側シリンダボス18D,19Dとアーム側シリンダボス23B,24Bとは、上ブーム14側とアーム27側とに離間して配置されている。
【0063】
一方、下アームシリンダは、第1端部30Aが上ブーム14の幅方向の左側に位置する左側面部14Aに連結され、第2端部30Bが左側に位置する左ブーム側シリンダボス18Dに連結された左側下アームシリンダ30と、第1端部31Aが上ブーム14の幅方向の右側に位置する右側面部14Bに連結され、第2端部31Bが右側に位置する右ブーム側シリンダボス19Dに連結された右側下アームシリンダ31と、の2本からなる。さらに、上アームシリンダ32は、左側下アームシリンダ30と右側下アームシリンダ31との間に位置し、第1端部32Aがアーム側シリンダボス23B,24Bに連結され、第2端部32Bがアーム27に連結された1本からなる。
【0064】
従って、左側下アームシリンダ30と右側下アームシリンダ31と上アームシリンダ32は、幅方向に離間して配置することができる。この構成では、左ブーム側シリンダボス18D、右ブーム側シリンダボス19Dおよびアーム側シリンダボス23B,24Bに補強部材を設けるスペースを確保することができる。また、左側下アームシリンダ30、右側下アームシリンダ31および上アームシリンダ32の周囲に設けられた金属管、ホース、センサ、リード線等が互いに干渉しない距離を確保することができる。
【0065】
これにより、左側下アームシリンダ30と右側下アームシリンダ31と上アームシリンダ32とは、強度を高めつつ、干渉しない距離を確保した状態で、互いに接近して配置できるから、分割式ミドルアーム16を小型化できる。この結果、アーム27を上ブーム14側に折り畳んで横倒しにした輸送姿勢での高さ寸法を低く抑えることができ、輸送時の分離、組立作業を省略して輸送作業の作業性を向上することができる。
【0066】
ブーム側部材17は、幅方向に間隔をもって対面した2枚の板体18A,18Bからなる左側組板18および2枚の板体19A,19Bからなる右側組板19を有している。そして、左ブーム側シリンダボス18Dは、左側組板18の2枚の板体18A,18Bに亘って設けられている。また、右ブーム側シリンダボス19Dは、右側組板19の2枚の板体19A,19Bに亘って設けられている。これにより、ブーム側部材17は、簡単な構成でブーム側シリンダボス18D,19Dの支持強度を高めることができ、小型化を図ることもできる。
【0067】
アーム27を上ブーム14側に折り畳んだ輸送姿勢で、分割式ミドルアーム16は、上ブーム14の先端部となるミドルアーム取付部14E先端よりも上ブーム14の基端部側に配置されている。これにより、上ブーム14、分割式ミドルアーム16、アーム27等を1つの組立体として輸送するときに、全長寸法を小さくすることができる。
【0068】
分割式ミドルアーム16は、ブーム側部材17とアーム側部材22とが連結位置に配置された状態でブーム側部材17とアーム側部材22とに亘って幅方向に挿着される合計4本の連結ピン26を有している。アーム27を上ブーム14側に折り畳んだ輸送姿勢では、2個のブーム側シリンダボス18D,19Dは、アーム側シリンダボス23B,24Bよりも上ブーム14側に位置している。さらに、並んだ2本の連結ピン26は、当該2本の連結ピン26の軸線を結ぶ直線B-Bがブーム側シリンダボス18D,19Dの軸線(点C)とアーム側シリンダボス23B,24Bの軸線(点D)との間を通り、かつ各ブーム側シリンダボス18D,19Dから離れる方向に向けアーム27側に傾斜するように配置されている。
【0069】
従って、分割式ミドルアーム16の限られたスペースで、2本の連結ピン26を大きく離して配置することができる。これにより、ブーム側部材17とアーム側部材22との間に生じる負荷を2本の連結ピン26で効率よく受承することができ、分割式ミドルアーム16を小型化することができる。
【0070】
アーム側部材22は、幅方向に間隔をもって対面した左側板23および右側板24と、幅方向に延びて左側板23と右側板24とを連結した連結部材25と、を有している。左側板23と右側板24とには、アーム27の基端部が連結されるアームボス23A,24Aと、アーム側シリンダボス23B,24Bと、ブーム側部材17と連結する連結ピン26が挿着される連結ボス23C,24Cと、をそれぞれ有している。この上で、連結部材25は、アームボス23A,24Aおよびアーム側シリンダボス23B,24Bと連結ボス23C,24Cとの間を延びて幅方向の端縁が左側板23と右側板24に取付けられた平板体25Aと、平板体25Aのアームボス23A,24A側に配置され、屈曲して延びた両端縁が平板体25Aに取付けられると共に、幅方向の端縁が左側板23と右側板24に取付けられることで閉断面構造を形成する屈曲板25Bと、アーム側シリンダボス23B,24Bと連結ボス23C,24Cとの間に位置して平板体25Aの連結ボス23C,24C側に立設された補強板25Cと、により構成されている。
【0071】
従って、連結部材25は、平板体25A、屈曲板25B、左側板23、右側板24によって直方体状の閉断面構造を形成できるから、アーム側部材22の強度(剛性)を向上することができる。また、補強板25Cは、閉断面構造から外れた平板体25Aの端部側にアーム側シリンダボス23B,24Bから負荷が作用したときに、この負荷を受承しつつ、受承した負荷を平板体25Aの閉断面構造側に伝えることで連結部材25の強度(剛性)を高めることができる。
【0072】
なお、実施の形態では、アーム27の先端部に作業具としてカッター28を取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばアームの先端部にグラップル、ブレーカ等の他の作業具を取付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
11 フロント装置
12 ロングブーム
13 下ブーム
14 上ブーム
14A 左側面部
14B 右側面部
14E ミドルアーム取付部(先端部)
16 分割式ミドルアーム
17 ブーム側部材
18 左側組板
18A,19A 外板体(板体)
18B,19B 内板体(板体)
18D 左ブーム側シリンダボス
18E,19E,23C,24C 連結ボス
19 右側組板
19D 右ブーム側シリンダボス
20 連結部材
22 アーム側部材
23 左側板
23A,24A アームボス
23B,24B アーム側シリンダボス
24 右側板
25 連結部材
25A 平板体
25B 屈曲板
25C 補強板
26 連結ピン
27 アーム
28 カッター(作業具)
30 左側下アームシリンダ
30A,31A,32A 第1端部
30B,31B,32B 第2端部
31 右側下アームシリンダ
32 上アームシリンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9