(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】オートディスペンサー
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B65D83/00 K
(21)【出願番号】P 2020182902
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3222758(JP,U)
【文献】特開2015-100454(JP,A)
【文献】特開2010-254312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0185399(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0127290(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(102)に対して昇降可能な吐出ヘッド(106)を有する吐出容器(100)を作動させ、吐出ヘッド(106)から自動的に内容物を吐出させるためのオートディスペンサー(2)であって、
底部材(6)を有する本体(4)と、
前記底部材(6)に対して上下動可能に配置された、前記容器体を支えるための支持部材(50)と、
前記支持部材(50)を上下動させることが可能な駆動手段(60)と、
前記駆動手段(60)を稼働させるための操作部(48)と、
前記底部材(6)に対して一定の高さに配置され、前記吐出ヘッド(106)の上下方向の動きを規制する制止手段(42)と
を備え、前記支持部材(50)とともに容器体(102)が上昇している状態で、その上昇力に抗して、制止手段(42)が吐出ヘッド(106)の動きを制止することにより、当該吐出ヘッドから内容物が吐出されるように構成したことを特徴とする、オートディスペンサー。
【請求項2】
前記支持部材(50)は、前記容器体を載置するための容器体受部(56)を有する支持台として形成され、
前記本体(4)は、前記底部材(6)の一部から柱状部(22)を起立するとともに、この柱状部(22)の上部から、少なくとも下面部(u)を固定面とする頂部(40)を横方向へ延出してなり、
前記頂部(40)は前記支持部材(50)の上方に配置されており、
前記制止手段(42)は、容器体(102)が上昇したときに前記吐出ヘッド(106)の上面が突き当たるように設けられた衝止部であり、前記下面部(u)のうちの一部で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のオートディスペンサー。
【請求項3】
前記操作部(48)は、利用者の手指の近接又は当接を検知して、前記駆動手段(60)を稼働させるセンサーであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載したオートディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートディスペンサー、特に容器体に対して昇降可能な吐出ヘッドを有する吐出容器を装着可能な簡易なオートディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
オートディスペンサーは、液体などの内容物を自動的に吐出し続ける機能を有する。
吐出のためのポンプ機構を実装する代わりに、容器体に対して昇降可能な吐出ヘッドを有する既存の吐出容器(ポンプ容器)を装着して作動させるタイプの簡易なオートディスペンサーが提案されている(特許文献1)。
このオートディスペンサーは、底板の後部から支持棒を立設するとともに、支持棒の上端から前方へ上板を突出した本体を具備する。底板の前部にはポンプ容器を配置する。
前記上板の下側には吐出ヘッドを押し下げるための押圧板を配置するとともに、押圧板と上板との間に挿入されたカムを有する駆動機構を本体に組み込む。この駆動機構を稼働させることで、押圧板により押し下げられた吐出ヘッドから内容物が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のオートディスペンサーは、吐出ヘッドを押し下げることにより内容物を吐出させるために、吐出ヘッドの吐出口(例えばノズルの先端部)も下降してしまい、吐出口から吐出された内容物が、吐出させようとした場所から逸れてしまう可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、吐出物を狙った箇所へ確実に吐出させることができるオートディスペンサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器体102に対して昇降可能な吐出ヘッド106を有する吐出容器100を作動させ、吐出ヘッド106から自動的に内容物を吐出させるためのオートディスペンサー2であって、
底部材6を有する本体4と、
前記底部材6に対して上下動可能に配置された、前記容器体を支えるための支持部材50と、
前記支持部材50を上下動させることが可能な駆動手段60と、
前記駆動手段60を稼働させるための操作部48と、
前記底部材6に対して一定の高さに配置され、前記吐出ヘッド106の上下方向の動きを規制する制止手段42と
を備え、前記支持部材50とともに容器体102が上昇している状態で、その上昇力に抗して、制止手段42が吐出ヘッド106の動きを制止することにより、当該吐出ヘッドから内容物が吐出されるように構成した。
【0007】
本手段では、本体4の底部材6に対して上下動可能に配置された、前記容器体を支えるための支持部材50と、支持部材50を上下動させる駆動手段60と、駆動手段60を稼働させるための操作部48と、前記底部材6に対して一定の高さに配置され、前記吐出ヘッド106の上下方向の動きを規制する制止手段42とを備える。
また、支持部材50とともに容器体102が上昇している状態で、その上昇力に抗して、制止手段42が吐出ヘッド106の動きを制止することにより、当該吐出ヘッドから内容物が吐出されるように構成した。
この構造によれば、その吐出行程において吐出ヘッドの吐出口の位置がブレることを防止でき、狙った位置に内容物を吐出できる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記支持部材50は、前記容器体を載置するための容器体受部56を有する支持台として形成され、
前記本体4は、前記底部材6の一部から柱状部22を起立するとともに、この柱状部22の上部から、少なくとも下面部uを固定面とする頂部40を横方向へ延出してなり、
前記頂部40は前記支持部材50の上方に配置されており、
前記制止手段42は、容器体102が上昇したときに前記吐出ヘッド106の上面が突き当たるように設けられた衝止部であり、前記下面部uのうちの一部で形成されている。
【0009】
本手段では、前記支持部材50は、前記容器体を載置するための容器体受部56を有する支持台として形成されている。
また前記本体4は、前記底部材6の一部から柱状部22を起立するとともに、この柱状部22の上部から、少なくとも下面部uを固定面とする頂部40を横方向へ延出してなり、前記頂部40は前記支持部材50の上方に配置されている。
前記制止手段42は、容器体102が上昇したときに前記吐出ヘッド106の上面が突き当たるように設けられた衝止部であり、固定面である下面部uのうちの一部で形成されている。
この構造によれば、吐出操作時における吐出ヘッド106の上下方向のブレの防止を確実とすることができ、液体などの内容物をより的確に狙った場所に供給することができる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記操作部48は、利用者の手指の近接又は当接を検知して、前記駆動手段60を稼働させるセンサーである。
【0011】
本手段では、前記駆動手段60を稼働させるための操作部48は、利用者の手指の近接又は当接を検知するセンサーである。
この構造によれば、簡単に駆動手段60を稼働させることができる。
【発明の効果】
【0012】
第1の手段に係る発明によれば、本体4の底部材6に対して上下動可能に配置され、容器体を支えるための支持部材50と、支持部材50を上下動させる駆動手段60と、吐出ヘッド106の上下方向の動きを規制する制止手段42とを備え、支持部材50とともに容器体102が上昇している状態で、その上昇力に抗して、制止手段42が吐出ヘッド106の動きを制止することで当該吐出ヘッドから内容物が吐出されるから、狙った位置に的確に内容物を吐出できる。
第2の手段に係る発明によれば、支持部材50は、前記容器体を載置するための容器体受部56を有する支持台であり、また本体4が有する頂部40の下面部uを固定面に形成し、この固定面の一部である衝止部に容器体の上昇時に吐出ヘッド106が突き当たるように設け、当該衝止部を制止手段42としたから、吐出操作時における吐出ヘッド106の上下方向のブレを確実に防止することができ、内容物を狙った場所により的確に供給することができる。
第3の手段に係る発明によれば、前記駆動手段60を稼働させるための操作部48は、利用者の手指の近接又は当接を検知するセンサーであるから、簡単に駆動手段60を稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るオートディスペンサーの側面図である。
【
図2】
図1に示すオートディスペンサーの正面図である。
【
図3】
図2に示すオートディスペンサーの要部(底部材及び支持部材)の構成を示す図であり、同図(A)は、III(A)-III(A)から見た側面図、同図(B)は、III(B)-III(B)から見た断面図である。
【
図4】
図1に示すオートディスペンサーの平面図である。
【
図5】
図1に示すオートディスペンサーの一部を切り欠いて示す斜視図である。
【
図6】
図5の状態から支持台が押し上げられた状態を示す作用説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1から
図6は、本発明の実施形態に係るオートディスペンサー2を示している。
このオートディスペンサーは、前述の通り、既存の吐出容器を装着して自動的に作動させるためのものであり、少なくとも本体4と、制止手段42と、支持部材50と、駆動手段60とを具備する。
なお、吐出容器100は、
図1に想像線で示すように、容器体102と、容器体の上側に、上方付勢状態で押し下げ可能に付設された吐出ヘッド106とを有する。
そして容器体に対する吐出ヘッドの昇降により容器体内の液体を吐出するポンプ機構(図示せず)を内蔵している。
なお、本明細書では、特に断らない限り、“昇降”という用語は、容器体に対する吐出ヘッドの動きを表すものとし、それに対して、“上下動”という用語は、本体(特に底部材6)に対する各部位(支持部材・容器体・吐出ヘッドなど)の動きを表すものとする。
図示例の吐出ヘッド106は、容器体102から起立するステム104の上端に付設されており、かつ横方向に延びるノズル108の先部は二股状に分岐しており、一対の吐出口110が開口している(
図2参照)。もっとも、これらの形状は適宜変更することができる。
【0015】
本体4は、
図1に示す如く、底部材6の一部(図示例では後部6a)から、柱状部22及び頂部40を有する起立部材20を立設してなる。
なお、本明細書では、
図1の右側を“後”と、同図の左側を“前”と、紙面に直交する方向を、“左右”と称する。
本実施形態では、本体4は、後述の如く、容器体102を支える支持部材50を本体に対して上下動させる行程において吐出ヘッド106の上下動を規制する制止手段42を有する。この制止手段42については、後述する。
ここで“規制”とは、容器体に対する吐出ヘッドの相対的な昇降により吐出ヘッドからの内容物が吐出される程度に吐出ヘッドの動きを制限することをいう。
【0016】
前記底部材6は、起立部材20を支える基盤としての役割を有する。
本実施形態では、起立部材20の下端部を底部材6の後部6aに連結しており、かつ、底部材6の前部6bには後述の支持部材50が組み付けられている。
前記底部材6の後部6aには、
図1に示す如く、側方から見て、後側が低位となる段差7が形成されている。
また底部材6内には、後述の駆動手段60が装備されている。
図示例の底部材6は、駆動手段60を内蔵するために上下方向に一定の幅を有し、かつ前後方向に長い箱状である。底部材6の上面側には、その長手方向に延びる上面開口の収納凹部8が形成されている。
この収納凹部8は、
図3(B)に示す如く、左右一対の側壁部10、前壁部12、後壁部14、及びこれら各壁部と連設された凹底部16によって画成されている。
また前記底部材6に後述の起立部材20の下部と係合させるために、前記前壁部12の後面上端部に、凸状の第1係合受部13を、また前記後壁部14の上端に、切欠き形状の第2係合受部15をそれぞれ形成している。もっとも、これら係合受部の形状は適宜変更することができる。
【0017】
起立部材20は、本実施形態では、
図1に示す如く、側方から見て逆L字形に形成されており、底部材6の後部6aから起立する柱状部22と、柱状部22の上部から前方に突設する頂部40とからなる。もっとも、その形態は適宜変更することができる。
前記頂部40は、前記底部材6の前部6bの上方に位置している。底部材6の前部6bに組み付けられた支持部材50と頂部40との間に、吐出容器100を配置するためである。
図示の頂部40は、前後方向に長い帯状に形成されている。もっとも頂部40と支持部材50との間に吐出容器を配置することができる限り、頂部の形状は適宜変更することができる。
前記頂部40の下面部uは、底部材6に対して一定の高さにある固定面に形成されている。後述のように、吐出容器100の吐出ヘッド106が突き当てられても下面部uが動かないようにするためである。
前記起立部材20は、下面部uを固定面とすることが可能な程度の剛性を有する。
なお、“一定の高さ”とは、吐出操作の途中で不意に下面部uの高さが変わらないことを意味する。従って、後述のように柱状部22の長さを調整することにより下面部uの高さが変更できる構造も、本発明の範囲から除外されない。
【0018】
本実施形態では、前記下面部uに前記吐出ヘッド106が突き当てられる箇所(衝止部)を設けることで、本体4に対する吐出ヘッド106の上下動を規制する前述の制止手段42を構成している。
後述の支持台(支持部材50)に凹面状の容器体受部56を形成するときには、この容器体受部56と対向する位置(真上)に衝止部42を設定すると良い。
また本実施形態では、前記下面部uに、
図4に点線で示す如く、前記衝止部42の後方側から側方側へ亘って延びる平面視半円状の位置決め用突部44を付設している。
これにより、衝止部42の位置が利用者に一見して分かるようにすることができる。
また前記下面部uには、前記衝止部42の前方側に位置させて、前後方向へ平行に配向された左右一対の方向規制板46が付設されている。
これら方向規制板46は、容器体102を容器体受部56に載置した状態で吐出ヘッド106のノズル108の両側に位置するように配置されている。こうすることにより、吐出容器を容器体受部56と衝止部42との間に挿入する際に、一対の方向規制板46がノズル108を案内する案内手段としての機能を果たす。
図示例では、
図4に点線で示すように、方向規制板46同士の間隔をノズル108の外径より若干大きくすることにより、ノズル108と方向規制板46との間に遊びが生ずるように設けている。
【0019】
図1に示す通り、前記頂部40の側面部sには、前記駆動手段60のオン・オフを切り替えるための押釦49が配置されている。
また前記頂部40の前面部fと下面部uとの間には傾斜面部iが形成されており、この傾斜面部には駆動手段60の稼働用の操作部48が配置されている。
これら押釦49及び操作部48の配置は、適宜変更することができる。
操作部48は、本実施形態において、前記駆動手段60のオン状態で利用者の手指の近接又は当接を検知するセンサーであり、手指を近接又は当接させる操作に対応して駆動手段60を稼働させることが可能に形成されている。
前記センサーは、利用者の手指をノズル108の吐出口110の下側に近づけたときに、手指の近接を検知する性能を有するものとすることができる。
もっとも操作部48の構造は適宜変更することができる。
具体的には、センサー以外の稼働方法として、例えば駆動手段60に接続した足踏部(図示せず)を足で踏むことにより、駆動手段60を稼働させるように構成することができる。
【0020】
本実施形態では、前記押釦49及び操作部48を前記駆動手段60に電気的に接続させるための電線eを配線するために、前記起立部材20の内部を中空に形成している。
図示例では、前記底部材6から逆L字状に延出された起立部材20を、
図2に示すように、その延長する方向(長手方向という)から見た断面形状がU字形のチャネル形部(溝形部)20aと、この溝形部の開口部を覆う蓋板cを含む蓋部20bとで形成されている。
このようにすることで、前述の中空構造を実現することができるとともに、所要の剛性を確保することができる。
そして、
図1に示すように、前記蓋部20bの水平部分の前端部には、係合爪である第3係合部36が、またチャネル形部20aの前壁部の上端部には、爪受部である第3係合受部29が、相互に係合させることが可能に形成されている。これらの係合により、チャネル形部20aに蓋部20bを係止させことができる。
なお、第3係合部36及び第3係合受部29の形状は適宜変更することができる。
前記柱状部22は、前記チャネル形部20a及び蓋部20bの各垂直方向部分で、また前記頂部40は、前記チャネル形部20a及び蓋部20bの各水平方向部分でそれぞれ形成されている。
また図示例では、
図1に示すように、前記起立部材20の蓋部20bの下端部は、チャネル形部20aの下端部より低くなっている。
そして、当該蓋部20bの下端部は前記底部材6の段差7の隅部に係合されている。
また前記チャネル形部20aの下端部から前方へ第1脚板24が延出されており、また蓋部20bの下端部から後方へ第2脚板30が延出されている。
前記第1脚板24の前端部からは、
図3(B)に示すように、第1係合部28である係合爪が下前方へ突設されており、前記第1係合受部13とかみ合っている。
また前記第2脚板30の後端部からは、第2係合部34である係合突片が下後方へ突設されており、前記第2係合受部15とかみ合っている。
図示例では、前記第2脚板30の前部(根元部分)は、
図1に示すように、第2脚板30の後部に比べて高位となる肉厚段部32に形成されている。この肉厚段部32の前端部と蓋部20bの下端部との間には肉盛部33が付設されている。
また前記蓋板cの垂直部分と第2脚板30との間には、
図1に示すように、側方から見て三角形状の補強壁部31が形成されている。この補強壁部31は、
図4に示すように、上方から見て、前記肉厚段部32及び肉盛部33を前後方向に横切るように形成されている。
また前記第1脚板24には、
図5に示すように、後述の被押上げ部54を挿通させるための挿通孔26が開口されている。
なお、第1脚部24は、金型での成形を容易とするために、適所(例えば挿通孔26より根元側の箇所)で柱状部22と分離して、当該柱状部と別体のパーツとしてもよい。
【0021】
支持部材50は、前記吐出容器100の容器体102を支える役割を有し、かつ前記本体4に対して上下動可能に形成されている。
本実施形態では、前記支持部材50は前記容器体102を載置する支持台として形成されているが、前記容器体102を上下動可能な状態で支えることができれば、どのような構造でも構わない。
本実施形態の支持台50は、
図3(B)に示す如く、前記底部材6の前部6bに取り付けられており、この前部6bの上に載置された矩形の上壁部52を有する(
図4参照)。
そして、この上壁部から前記前部6bの外面(前面及び一対の側面)を覆うカバー壁部58が垂設されている。
【0022】
図示例のカバー壁部58は、
図2に示す如く、前記上壁部52の前辺から、前記前部6bの前面を摺動可能な前方摺壁部58aを垂設し、かつ、前記上壁部52の側辺から、前記前方摺壁部58aと連設させて、前記前部6bの側面を摺動可能な側方摺壁部58bを垂設してなる。
もっとも、これら構造は適宜変更することができる。
例えば前方摺壁部58aと側方摺壁部58bとは連設されていなくともよく、また前方摺壁部58aは省略しても構わない。
またカバー壁部58は、前記前部6bの外面に沿って上下動可能であれば、前部6bの外面に沿って摺動しなくても構わない。
なお、カバー壁部58を前記前部6bの外面に沿って確実に上下動させるために、カバー壁部58と前記前部6bの外面との間に案内手段(例えば案内溝と案内溝内に挿入した係合突部)を設けても良い。
【0023】
前記上壁部52は、容器体102を載置するための容器体受部56を有する。
図示例では、前記容器体受部56は、
図3(B)に示す如く、浅い凹面状の窪みに形成されている。こうすることにより、容器体102を載置する場所の位置決めが容易となる。
もっとも、容器体受部56の構造は適宜変更することができる。
また前記上壁部52の後辺及び一対の側辺からは、縁リブ53が上方へ突設されている。
前記上壁部52の中央部からは、下面を水平面とする被押上げ部54を垂設している。この被押上げ部54は、少なくとも前記挿通孔26内へ挿入されている。
図示例の被押上げ部54は、前記挿通孔26を介して、前記支持台50内に突入している。
【0024】
駆動手段60は、
図1及び
図3(B)に示す如く、駆動部62と電源64と伝動部66と押圧部68とを含み、本実施形態では、前記底部材6に内蔵されている。もっとも、駆動手段60の構造及び配置は適宜変更することができる。
図示例では、前記駆動部62はモーターであり、
図1に示す如く、前記収納凹部8の内部の後側に位置されている。
また図示例の伝動部66はギアボックスであり、また押圧部68はギアボックスに支持軸70を介して連結されたカムである(
図2参照)。ギアボックス及びカムは、収納凹部8の内部の前側に配置され、かつモーターの動力がギアボックスを介してカムに伝達されるように構成している。
前記収納凹部8の凹底部16には、前記カムである押圧部68の下方に位置させて陥没部18が凹設されている。この陥没部18は、支持軸70を中心とするカムの回転を妨げないようにするために形成されている。
図2及び
図3(B)に示すように、前記押圧部68は、被押上げ部54の真下に配置されている。
図示例の電源64は、
図3(A)に点線で示すような電池ボックスであり、前記駆動部62に電気回路(図示せず)を介して接続されている。
この電気回路は前記操作部48及び押釦49からの電線に接続されており、押釦49がオンの状態で操作部48に対して手指を近接又は当接する操作を行うと、駆動部62が稼働するように構成されている。
前記電気回路には、前記操作を行った後の所定の時間中、前記駆動部62が稼働し続けるように設けた制御部を設けるとよい。この構成は、吐出容器の内容物として手指などの洗浄液を収納する場合に有利である。操作部から手を放した後でも、一定の時間の間、吐出容器から内容物を吐出させることができるからである。
なお、電源としては、乾電池や充電可能な電池以外の電源を用いてもよい。
本実施形態では、電源64は前記収納凹部8内の適所(図示例では押圧部68と隣り合う位置)に配置されている(
図2参照)。しかし、この配置は適宜変更することができる。
【0025】
前記構成において、オートディスペンサー2を使用するときには、吐出容器100を支持台50と頂部40の下面部uとの間に挿入して、容器体102を支持台50の容器体受部56の上に載せればよい。
容器体受部56が浅い凹面状の窪みに形成されているときには、容器体102を正しい位置に載置することが簡単である。
また前記下面部uに位置決め用突部44が設けられているときには、吐出容器をセットするべき位置が予め目視により認識できるので、吐出容器100の位置決めがさらに円滑となる。
なお、吐出容器を挿入する際に、予め、吐出ヘッド106のノズル108を前方に向けるようにするとよく、これにより、ノズル108が前記一対の方向規制板46の間に円滑に挿入され、前述の案内手段の作用を発揮することができる。
【0026】
吐出容器100をオートディスペンサー2に装着した状態で、前記押釦49を押してオン状態とし、次に手指を操作部48に近づけると、駆動部62が稼働し、
図6に示す如く、押圧部68であるカムが支持部材50の被押上げ部54を押し上げる。この押し上げ動作が繰り返されることにより、支持部材50に支えられた容器体102が本体4に対して上下動する。
これに対して、本体4に対する吐出ヘッド106の上下動は制止手段42により規制されているため、吐出ヘッド106に対して容器体102が上下動することにより、吐出容器に内蔵されたポンプ機構が作動し、吐出ヘッド106から内容物が吐出される。
従って、内容物を吐出させるために、吐出ヘッド106を押し下げる操作をしなくてよいので、便利であり、かつ、その押下げ操作により吐出ヘッド106の位置が変わることで、吐出された内容物が狙った場所からずれて供給されるという不都合を回避できる。
押釦49をオフ状態にすると、操作部48に手指を近づけても駆動手段60は稼働しない。
【0027】
[実施例]
図示はしないが、前記本体4には、前記本体4の柱状部22の縦方向への長さを調整できる伸縮機構を設けることができる。
こうすることにより、本体4の頂部40の高さを調整することができ、背高の異なるさまざま吐出容器を、一つのオートディスペンサーに装着して使用することができる。
この伸縮機構の構成の一例として、柱状部22を下半部と上半部とに分割し、その一方半部の端部を、他方半部内にスライド可能に嵌挿するスライド部とすることができる。
この構成では嵌挿端部を挿入する程度を調節することにより、柱状部22の長さを調整することができる。
なお、図示はしないが、前記下半部と上半部との嵌合箇所には、柱状部の長さを調整した後に、上半部及び頂部の自重で上半部が下半部に対してずり落ちないように係止する係止手段を設けるとよい。
また伸縮機構の構成の他の例として、前記柱状部22の下部を、前記底部材6に設けた嵌合穴内にスライド可能に挿入し、その挿入長さを調節することにより、底部材6から上方へ延びる柱状部22の実質的な長さを調整できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
2…オートディスペンサー 4…本体 6…底部材 6a…後部 6b…前部
7…段差 8…収納凹部 10…側壁部 12…前壁部
13…第1係合受部(爪受部) 14…後壁部 15…第2係合受部(切欠き)
16…凹底部 18…陥没部
20…起立部材 20a…チャネル形部 20b…蓋部
22…柱状部 24…第1脚板 26…挿通孔 28…第1係合部(係合爪)
29…第3係合受部(爪受部) 30…第2脚板 31…補強壁部 32…肉厚段部
33…肉盛部 34…第2係合部(係合突片) 36…第3係合部(係合爪)
40…頂部 42…制止手段(衝止部) 44…位置決め用突部 46…方向規制板
48…操作部(センサー) 49…押釦
50…支持部材(支持台) 52…上壁部 53…縁リブ 54…被押上げ部
56…容器体受部 58…カバー壁部 58a…前方摺壁部 58b…側方摺壁部
60…駆動手段 62…駆動部(モーター) 64…電源
66…伝動部(ギアボックス) 68…押圧部(カム) 70…支持軸
c…蓋板 e…電線 f…前面部 i…傾斜面部 s…側面部 u…下面部
100…吐出容器 102…容器体 104…ステム 106…吐出ヘッド
108…ノズル 110…吐出口