IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルモテクノス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-非接触スイッチ装置 図1
  • 特許-非接触スイッチ装置 図2
  • 特許-非接触スイッチ装置 図3
  • 特許-非接触スイッチ装置 図4
  • 特許-非接触スイッチ装置 図5
  • 特許-非接触スイッチ装置 図6
  • 特許-非接触スイッチ装置 図7
  • 特許-非接触スイッチ装置 図8
  • 特許-非接触スイッチ装置 図9
  • 特許-非接触スイッチ装置 図10
  • 特許-非接触スイッチ装置 図11
  • 特許-非接触スイッチ装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】非接触スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/00 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
H01H35/00 X
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020197764
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022085983
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】398052346
【氏名又は名称】アルモテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】山内 和彦
(72)【発明者】
【氏名】坂口 富彦
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-161987(JP,A)
【文献】特開2005-222902(JP,A)
【文献】特開2013-214274(JP,A)
【文献】特開2013-223236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作側表面に挿入凹部が設けられたハウジング本体と、前記ハウジング本体の前記挿入凹部を規定する対向側部に配設された第1及び第2検知センサ手段と、前記第1及び第2検知センサ手段からの信号に基づいて操作検知信号を生成する操作検知信号生成手段とを具備しており、
前記第1検知センサ手段は、光を発光する第1発光素子及び光を受光する第1受光素子を有する第1センサユニットを備え、第2検知センサ手段は、光を発光する第2発光素子及び光を受光する第2受光素子を有する第2センサユニットを備え、前記第1センサユニットと前記第2センサユニットとが対向して配置され、前記第1センサユニットの前記第1発光素子からの第1検知光が前記第2センサユニットの前記第2受光素子に受光され、前記第2センサユニットの前記第2発光素子からの第2検知光が前記第1センサユニットの前記第1受光素子に受光されるように構成されており、
前記挿入凹部内に被検知物が挿入されていない状態では、前記第1センサユニットの前記第1発光素子からの前記第1検知光が前記第2センサユニットの前記第2受光素子に受光されるとともに、前記第2センサユニットの前記第2発光素子からの前記第2検知光が前記第1センサユニットの前記第1受光素子に受光され、また前記挿入凹部内に前記被検知物が挿入されると、前記第1センサユニットの前記第1発光素子からの前記第1検知光及び/又は前記第2センサユニットの前記第2発光素子からの前記第2検知光は、前記被検知物によって反射され、これによって、前記第1及び第2受光素子の受光状態が変化し、前記操作検知信号生成手段は、前記第1及び第2受光素子の受光信号の変化に基づいて前記操作検知信号を生成することを特徴とする非接触スイッチ装置。
【請求項2】
前記操作検知信号生成手段に関連して、前記被検知物の挿入状態の感度を調整する挿入感度調整手段が設けられ、前記挿入感度調整手段は、前記第1及び第2検知センサ手段の前記第1及び第2受光素子の受光信号に基づいて、前記被検知物の挿入状態の感度を調整することを特徴とする請求項に記載の非接触スイッチ装置。
【請求項3】
前記ハウジング本体の前記挿入凹部は矩形状の開口を規定し、前記開口は、縦長さ(L)が20~50mmで且つ横長さ(W)が20~50mmであり、また前記挿入凹部の深さ(D)は7~20mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触スイッチ装置。
【請求項4】
前記ハウジング本体の前記挿入凹部の底部には、光を拡散する拡散プレートを介してLEDユニットが配設されており、前記操作検知信号生成手段が前記操作検知信号を生成すると、前記操作検知信号に基づいて前記LEDユニットが点灯し又はその点灯色が変化することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の非接触スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ装置、照明装置、インターフォンなどに適用することができる非接触スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エレベータ装置の操作パネルなどにおいては、ドアの開閉操作、停止フロアの選択などを行うために複数の操作スイッチ装置が設けられている。この操作スイッチ装置は、一般的な押圧スイッチから構成され、その操作部を押圧操作することにより、操作信号が生成される。
【0003】
また、例えば照明装置などにおいては、照明の点灯操作を離れた場所から行うことができるように点灯スイッチ装置が設けられている。このような点灯スイッチ装置も押圧スイッチから構成され、その操作部を押圧すると点灯信号が生成され、この点灯信号に基づいて照明装置が点灯され、この操作部を再度押圧すると消灯信号が生成され、この消灯信号に基づいて照明装置が消灯される。
【0004】
このように、従来のスイッチ装置は、操作者が直接的に押圧操作するものであるために、スイッチ装置の操作部表面が汚れやすいという問題がある。また、ウイルスに感染した感染者が押圧操作すると、感染者のウイルスがその操作部表面に付着し、付着したウイルスによって、その後の操作者がウイルス感染するおすれがあるという問題がある。
【0005】
そこで、操作者がスイッチ装置の操作部を直接的に押圧操作しない形態(所謂、非接触式)のもの、例えば磁気を利用したもの(例えば、特許文献1参照)、静電容量を利用したもの(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【0006】
磁気を利用した非接触スイッチ装置では、検知センサとして磁石及びホールICを組合せたものが用いられ、磁性体を検知センサに近づけたときの磁石からの磁界の変化がホールICにより検知され、このホールICの出力変化に基づいて検知信号(例えば、オフからオンへの切替信号)が生成され、このようにして生成された検知信号が各種の制御に用いられる。
【0007】
また、静電容量を利用した非接触スイッチ装置では、検知センサとして静電容量センサが用いられ、操作者の例えば手を検知センサに近づけたときの静電容量の変化がこの静電容量センサにより検知され、この静電容量センサの出力変化に基づいて検知信号(例えば、オフからオンへの切替信号)が生成され、このようにして生成された検知信号が各種の制御に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第6373790号公報
【文献】特許第3912281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のこの種の非接触スイッチ装置では、次のような課題がある。例えば、磁石及びホールICを用いたものでは、スイッチ装置を切り替えるためには、磁性体を検知センサに近づける必要があり、この磁性体を持っていないときにはスイッチ装置を切り替えることができず、切替操作が煩わしいという問題がある。また、静電容量センサを用いたものでは、静電容量型の検知センサが高価であり、そのためにスイッチ装置自体が高価なものとなる問題がある。
【0010】
本発明の目的は、比較的簡単に切替操作できるとともに、安価に提供することができる非接触スイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の非接触スイッチ装置は、操作側表面に挿入凹部が設けられたハウジング本体と、前記ハウジング本体の前記挿入凹部を規定する対向側部に配設された第1及び第2検知センサ手段と、前記第1及び第2検知センサ手段からの信号に基づいて操作検知信号を生成する操作検知信号生成手段とを具備しており、
前記第1検知センサ手段は、光を発光する第1発光素子及び光を受光する第1受光素子を有する第1センサユニットを備え、第2検知センサ手段は、光を発光する第2発光素子及び光を受光する第2受光素子を有する第2センサユニットを備え、前記第1センサユニットと前記第2センサユニットとが対向して配置され、前記第1センサユニットの前記第1発光素子からの第1検知光が前記第2センサユニットの前記第2受光素子に受光され、前記第2センサユニットの前記第2発光素子からの第2検知光が前記第1センサユニットの前記第1受光素子に受光されるように構成されており、
前記挿入凹部内に被検知物が挿入されていない状態では、前記第1センサユニットの前記第1発光素子からの前記第1検知光が前記第2センサユニットの前記第2受光素子に受光されるとともに、前記第2センサユニットの前記第2発光素子からの前記第2検知光が前記第1センサユニットの前記第1受光素子に受光され、また前記挿入凹部内に前記被検知物が挿入されると、前記第1センサユニットの前記第1発光素子からの前記第1検知光及び/又は前記第2センサユニットの前記第2発光素子からの前記第2検知光は、前記被検知物によって反射され、これによって、前記第1及び第2受光素子の受光状態が変化し、前記操作検知信号生成手段は、前記第1及び第2受光素子の受光信号の変化に基づいて前記操作検知信号を生成することを特徴とする。
【0013】
このような非接触スイッチ装置では、被検知物の挿入状態の感度を調整する挿入感度調整手段を設け、第1及び第2検知センサ手段の第1及び第2受光素子の受光信号に基づいて、被検知物の挿入状態の感度を調整するのが好ましく、このようにすることによって、被検知物の挿入状態による感度調整をして誤検知を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の非接触スイッチ装置によれば、操作側表面に挿入凹部が設けられたハウジング本体と、このハウジング本体の対向側部に配設された第1及び第2検知センサ手段とを具備し、第1及び第2検知センサ手段は、第1及び第2発光素子並びに第1及び第2受光素子を有する第1及び第2センサユニットを備え、第1センサユニットと第2センサユニットとが対向して配置され、第1センサユニットの第1発光素子からの第1検知光が第2センサユニットの第2受光素子に受光され、第2センサユニットの第2発光素子からの第2検知光が第1センサユニットの第1受光素子に受光されるように構成されているので、ハウジング本体の挿入凹部内に被検知物が挿入されていない状態では、第1センサユニットの第1発光素子からの第1検知光が第2センサユニットの第2受光素子に、また第2センサユニットの第2発光素子からの第2検知光が第1センサユニットの第1受光素子に受光される。
【0017】
そして、この挿入凹部内に被検知物が挿入されると、第1センサユニットの第1発光素子からの第1検知光及び/又は第2センサユニットの第2発光素子からの第2検知光が、この被検知物によって反射され、これによって、第1及び第2センサユニットの第1及び第2受光素子の受光状態が変化し、第1及び第2センサユニットの第1及び第2受光素子の受光信号の変化に基づいて、被検知物を挿入凹部に挿入して入力操作したことを非接触で検知して操作検知信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に従う非接触スイッチ装置を備えた操作パネルの一部を簡略的に示す正面図。
図2図1の非接触スイッチ装置を分解して、図1におけるII-IIにより切断した断面図。
図3図2におけるIII-III線による断面図。
図4図2の非接触スイッチ装置における発光回路及び受光回路を示す回路図。
図5図2の非接触スイッチ装置における入力操作状態を示す説明図。
図6図2の非接触スイッチ装置を用いた検知動作の流れを示すフローチャート。
図7】他の実施形態の非接触スイッチ装置の要部を示す断面図。
図8図6の非接触スイッチ装置における入力操作状態を示す説明図。
図9図7の非接触スイッチ装置における第1及び第2受光素子の受光パターンを説明するための説明図。
図10図7の非接触スイッチ装置を用いた検知動作の流れを示すフローチャート。
図11】第1発光素子の発光による検知動作の流れを示すフローチャート。
図12】第2発光素子の発光による検知動作の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う非接触スイッチ装置の各種実施形態について説明する。まず、図1図5を参照して、非接触式スイッチの一実施形態について説明する。尚、この実施形態では、非接触スイッチ装置を一例としてのエレベータ装置に適用して説明している。
【0020】
図1において、図示の非接触スイッチ装置2(2A,2B)はエレベータ装置の操作パネル4に設けられており、例えば左側のスイッチ装置2Aは、ドアを開くための開信号を生成するためのものとして、また例えば右側のスイッチ装置2Bは、ドアを閉じるための閉信号を生成するためのものとして適用される。尚、これらスイッチ装置2A,2Bは、建造物の複数階のフロアのうちエレベータが停止する停止フロア(停止階)を選択するためのものなどとしても適用することもでき、このようなエレベータ装置以外の照明装置、インターフォンなどにも同様に適用することができる。スイッチ装置2A,2Bは実質上同一の構成であり、図2図4をも参照して、一方のスイッチ装置2A(2B)について説明する。
【0021】
図示のスイッチ装置2A(2B)は、矩形状のハウジング本体6と、このハウジング本体6の底面側に取り付けられる連結ベース8とを備えている。このハウジング本体6は、一対の横側部10,12及び一対の縦側部14,16を有し、これら横側部10,12の内側面18,20及びこれら縦側部14,16の内側面22,24は、ハウジング本体6の中央大部分に断面矩形状の挿入凹部26を規定し、この挿入凹部16は、操作者が入力操作する操作側の表面に開放され、この操作側から指などの被検知物Fが挿入凹部26に挿入される。
【0022】
この実施形態では、挿入凹部26の底面側は正方形状に形成され、その開口側は縦方向に長い矩形状に形成され、図1図3から理解されるように、挿入凹部26の横側面、即ち横側部10,12の内側面18,20は、底面側から開口側に向けて大きな傾斜角度で外側に少し拡がり、また挿入凹部26の縦側面、即ち縦側部14,16の内側面22,24は、底面側から開口側に向けて上記内側面18,20よりも小さな傾斜角度でもって外側に大きく拡がっている。尚、挿入凹部26の底面側及び開口側を正方形状に形成し、横側部10,12の内側面18,20及び縦側部14,16の内側面22,24を同じ傾斜角度となるようにしてもよい。
【0023】
このハウジング本体6の底面側は底部材28により閉塞されている。この底部材28の中央部には取付孔30が設けられ、この取付孔30にLEDユニット32が取り付けられている。LEDユニット32には照明用LED(図示せず)が内蔵され、照明用LEDとして例えばフルカラーLEDが用いられ、この実施形態では、後述するように、検知の動作状態に応じてフルカラーLEDが白色及び緑色に点灯される。
【0024】
このLEDユニット32の内側(即ち、挿入凹部26の開口側)には拡散プレート34が配設され、この拡散プレート34は、フルカラーLEDからの照射光を拡散させ、挿入凹部26の底部全体が明るくなるように照明光を拡散する。
【0025】
このハウジング本体6には、被検知物F(例えば、操作者の指)を検知するための検知センサ手段34が設けられている。図示の検知センサ手段34はセンサユニット36を備え、このセンサユニット36は、光を発光する発光素子38(例えば、LEDから構成される)及び光を受光する受光素子40(例えば、PD(フォトダイオード)から構成される)を有し、発光素子38及び受光素子40の表面側が透明カバー42により覆われており、この透明カバー42を通して発光素子38からの検知光が投射され、またこの透明カバー42を通して検知光が受光素子40に受光される。
【0026】
この実施形態では、センサユニット36の発光素子38からの光、即ち検知光は、図2に示すように、挿入凹部26の開口側に向けて所定角度傾斜して投射されるようにするのが好ましく、この傾斜角度α(図2参照)は、例えば5~20度であるのが好ましい。このように構成することにより、図2に示すように、被検知物Fがハウジング本体6の挿入凹部26に挿入されていない状態においては、発光素子38からの検知光の大部分は、この挿入凹部26の開口を通して外部に漏れ、又は横側部10の内測面にて反射した後この挿入凹部26の開口を通して外部に漏れ、従って、この検知光が受光素子40に受光されることがほとんどなく、被検知物Fの誤検知を少なくすることができる。
【0027】
発光素子38を含む発光回路82(LED)と受光素子40(PD)を含む受光回路84は、例えば図4に示すように構成される。この形態では、発光回路82は、点灯信号を生成する点灯信号生成回路86と、例えば、30~40kHzの周波数、例えば38kHzの周波数の信号を生成する周波数信号生成回路88と、点灯信号及び周波数信号の双方の信号が入力したときに発光信号を生成するアンド回路90とを含み、アンド回路90からの発光信号に基づいて発光素子38(LED)が発光される。また、受光回路84は、受光素子40(PD)からの受光信号を増幅する増幅回路92と、増幅回路92からの受光信号のうち38kHzを中心とした周波数成分を通過させるバンドパスフィルタ回路94とを含んでいる。
【0028】
このような発光回路82及び受光回路84を用いることにより、発光素子38(LED)は例えば38kHzのキャリア周波数で発光点滅し、受光素子40(PD)からの受光信号は、例えば38kHzを中心としたバンドパスフィルタ回路94で受光信号のキャリア成分のみを抽出し、これによって、外光による誤検知判断を防止することができる。
【0029】
再び、図1~3に戻って、連結ベース8は、収容凹部44が設けられたベース本体46と、ベース本体46の収容凹部44を覆うカバー部材48とを備え、カバー部材48には連結開口50が設けられている。この実施形態では、ベース本体46の収容凹部44内に照明LED用基板52が取り付けられ、この照明LED用基板52に設けられた基板側連結部54がカバー部材48の連結開口50に位置し、かかる基板側連結部54にLEDユニット32側の連結部56が電気的に接続される。
【0030】
このハウジング本体6は、次のようなサイズに構成される。ハウジング本体6における挿入凹部26の開口の縦長さ(L)(図1参照)は、例えば20~50mmに、この実施形態では例えば約40mmであり、その開口の横長さ(W)(図1参照)は、例えば20~50mmに、この実施形態では例えば約30mmであり、またこの挿入凹部26の深さ(D)(図3参照)は、例えば7~20mmに、この実施形態では例えば約12mmである。
【0031】
次に、例えばエレベータ装置に適用した場合におけるこの非接触スイッチ装置2(2A,2B)の検知動作について説明する。主として図2図5及び図6を参照して、エレベータ装置に搭乗する人がこのスイッチ装置2(2A,2B)に近づくと、人検知センサ(図示せず)がこの人を検知し、ステップS1からステップS2に進む。かくすると、LEDユニット32(照明用LED)が例えば白色に点灯して非接触スイッチ2が動作可能になったことを知らせるとともに、検知センサ手段34が作動して検知可能状態となる(ステップS3)。
【0032】
検知センサ手段34がこのようにして作動すると、センサユニット36の発光素子38が発光し(ステップS4)、この発光素子38からの検知光がハウジング本体6の挿入凹部26内に向けて投射される。このとき、この挿入凹部26内に被検知物F(例えば、操作者の指)が挿入されていない状態では、図2に示すように、発光素子38からの検知光が受光素子40に受光されず、その受光信号(Lレベルの受光信号)に基づき、センサユニット36は被検知物Fが挿入されていないとする「非検知」の信号を生成する。
【0033】
そして、このような「非検知」の状態において、被検知物Fがハウジング本体6の挿入凹部26内に挿入されると、ステップS6に進み、図4に示すように、センサユニット36の発光素子38からの検知光は、この被検知物Fによって反射された後に受光素子40に受光され、その受光信号が変化し、この受光信号(Hレベルの受光信号)に基づき、センサユニット36は、被検知物Fが挿入されたとする「検知」の信号(即ち、検知信号)を生成する。
【0034】
このセンサユニット36に関連して、スイッチ装置2(2A,2B)を入力操作したことを検知して操作検知信号を生成する操作検知信号生成手段(図示せず)が設けられており、この操作検知信号生成手段は、この「検知」の信号(検知信号)に基づいて、スイッチ装置2が入力操作されたとして操作検知信号を生成する。
【0035】
この操作検知信号が生成されると、LEDユニット32の照明LEDが白色から緑色に切り替わり(ステップS7)、操作者が被検知物F(例えば、指)を挿入してスイッチ装置2を入力操作したことを確認することができ、このようにハウジング本体6の挿入凹部26に被検知物Fを挿入するという単純な動作で、非接触でもってスイッチ装置2(2A,2B)を入力操作することが可能となり、スイッチ装置2をきれいな状態に保つことができる。
【0036】
尚、生成された操作検知信号は、例えばエレベータ装置の制御に用いられ(ステップS8)、例えば「ドア開」用のスイッチであれば、この操作検知信号に基づいてドアが開放されるように制御され、例えば「ドア閉」用のスイッチであれば、この操作検知信号に基づいてドアが閉じるように制御される。
【0037】
エレベータ装置に近づいた人がスイッチ装置2(2A,2B)を操作することなく離れたときには、人検知センサ(図示せず)が人を検知しなくなり、この場合、ステップS5からステップS9を経てステップS10に移り、センサユニット36が作動停止して発光素子38の発光が停止し、またLEDユニット32が消灯し(ステップS11)、スイッチ装置2は待機状態となってステップS1に戻る。尚、この実施形態では、人検知センサ(図示せず)を設置し、人(操作者)が近づいてきたときにスイッチ装置2を作動状態にしているが、この人検知センサを省略し、スイッチ装置2を常時作動状態に保持するようにしてもよい。
【0038】
次に、図7図12を参照して、非接触スイッチ装置の他の実施形態について説明する。この他の実施形態においては、非検知物を検知するために2つの検知センサ手段、即ち第1及び第2検知センサ手段が用いられている。尚、この他の実施形態において、図1図5に示す実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0039】
図7及び図8において、図示の非接触スイッチ装置2Cは、ハウジング本体6Cを備え、このハウジング本体6C及びこれに取り付けられる連結ベース(図示せず)の構成は、上述した実施形態と同様のものでよい。
【0040】
この実施形態では、このハウジング本体6の対向する一対の横側部10C,12Cに第1及び第2検知センサ手段62及64が取り付けられている。この実施形態では、図7及び図8において左側の横側部10Cに第1検知センサ手段62の第1センサユニット66が取り付けられ、図7及び8において右側の横側部12Cに第2検知センサ手段64の第2センサユニット68が取り付けられている。第1及び第2検知センサ手段62,64の第1及び第2センサユニット66,68は、発光素子38及び受光素子40を有する上述と同様の構成のものでよい。
【0041】
この実施形態では、図7及び図8に示すように、第1及び第2検知センサ手段62,64は、相互に対向するように配設されるが、第1検知センサ手段62の発光素子38(第1発光素子として機能する)に対向して第2検知センサ手段64の受光素子40(第2受光素子として機能する)が配置され、また第2検知センサ手段64の発光素子38(第2発光素子として機能する)に対向して第1検知センサ手段62の受光素子40(第1受光素子として機能する)が配置され、第1及び第2検知センサ手段62,64の発光素子38からの検知光は、ハウジング本体6Cの開口面に対して平行に投射される。
【0042】
このように配置されるので、図7に示すように、ハウジング本体6Cの挿入凹部26内に非検知物Fを挿入していない状態では、第1検知センサ手段62の発光素子38(第1発光素子)からの検知光(第1検知光)は第2検知センサ手段64の受光素子40(第2受光素子)に受光され、また第2検知センサ手段64の発光素子38(第2発光素子)からの検知光(第2検知光)は第1検知センサ手段38の受光素子40(第1受光素子)に受光される。この他の実施形態におけるその他の構成は、上述した実施形態と実質上同一である。
【0043】
被検知物Fが挿入されていない検知状態は、図9(a)に示す検知パターンAとなる。このときには、第1及び第2検知センサ手段62,64は、図9(a)の右表に示す受光信号を生成し、操作信号生成手段(図示せず)は、第1及び第2検知センサ手段62,64の受光信号に基づいて非操作信号を生成する。
【0044】
この他の実施形態では、第1及び第2検知センサ手段62,64を上述したように配置しているので、例えば、この検知パターンAを含む図9に示すような代表的な検知パターンA~Fとなり、例えば、これらの検知パターンA~Fに基づいて、操作信号生成手段(図示せず)は、ハウジング本体6Cの挿入凹部26に被検知物Fを挿入していない状態であるとする非操作信号を生成したり、この挿入凹部26に非検知物Fを挿入して入力操作したとする操作検知信号を生成したりする。
【0045】
図9(b)に示す検知パターンBでは、被検知物Fがハウジング本体6Cの挿入凹部26内に所要の通りに挿入された状態であり、このような状態のときには、第1検知センサ手段62の第1発光素子38からの第1検知光は、被検知物Fにより反射された後に第1検知センサ手段62の第1受光素子40に受光され、また第2検知センサ手段64の第2発光素子38からの第2検知光は、被検知物Fにより反射された後に第2検知センサ手段64の第2受光素子40に受光される。
【0046】
図9(c)に示す検知パターンCでは、被検知物Fがハウジング本体6Cの挿入凹部26内に浅くに挿入された状態であり、この状態のときには、第1検知センサ手段62の第1発光素子38からの第1検知光は、被検知物Fにより遮断されて第2検知センサ手段64の第2受光素子40に到達しないが、第2検知センサ手段64の第2発光素子38からの第2検知光は、被検知物Fの下側を通過して第1検知センサ手段62の第1受光素子40に受光される。
【0047】
図9(d)に示す検知パターンDでは、被検知物Fがハウジング本体6Cの挿入凹部26内に図9(c)に示す状態よりももう少し深く挿入された状態であり、この状態のときには、第1検知センサ手段62の第1発光素子38からの第1検知光は、被検知物Fにより反射された後に第1検知センサ手段62の第1受光素子40に受光され、また第2検知センサ手段64の第2発光素子38からの第2検知光は、被検知物Fの下側を通過して第1検知センサ手段62の第2受光素子40に受光される。
【0048】
また、図9(e)に示す検知パターンEでは、被検知物Fがハウジング本体6Cの挿入凹部26内に比較的大きく傾いて挿入された状態であり、この状態のときには、第1検知センサ手段62の第1発光素子38からの第1検知光は、被検知物Fにより挿入凹部26の底面側に大きく反射されて第1検知センサ手段62の第1受光素子40に受光されず、また第2検知センサ手段64の第2発光素子38からの第2検知光は、被検知物Fにより挿入凹部28の開口側に大きく反射されて第2検知センサ手段64の第2受光素子40に受光されない。
【0049】
更に、図9(f)に示す検知パターンFでは、被検知物Fがハウジング本体6Cの挿入凹部26内に比較的小さく傾いて挿入された状態であり、この状態のときには、第1検知センサ手段62の第1発光素子38からの第1検知光は、被検知物Fにより挿入凹部26の底面側に小さく反射されるが、第1検知センサ手段62の第1受光素子40に受光され、また第2検知センサ手段64の第2発光素子38からの第2検知光は、被検知物Fにより挿入凹部28の開口側に小さく反射されるが、第2検知センサ手段64の第2受光素子40に受光される。
【0050】
操作検知信号生成手段(図示せず)は、第1及び第2検知センサ手段62,64(第1及び第2センサユニット66,68)の第1及び第2受光素子40の受光状態、即ちそれらの第1及び第2受光素子38,40の受光信号に基づいて操作検知信号を生成し、例えば図9(a)~(f)の検知パターンA~Fを用い、又はこれらの検知パターンA~Fの組み合わせを用い、被検知物Fがハウジング本体6Cの挿入凹部26に挿入されて操作入力されたことを非接触で検知する。
【0051】
例えば、第1及び第2検知センサ手段62,64の受光素子40の受光状態(受光信号)が検知パターンAのときには、入力操作されていないと判定するが、これらの受光素子40の受光状態(受光信号)が変化して検知パターンB~Fとなったときには、入力操作されたと判定し(検知パターンEについては、その前段階の検知パターンC及び/又はDでもって、或いはこれらの検知パターンの組合せでもって判定するようになる)、このような判定のときに、操作検知信号生成手段(図示せず)は操作検知信号を生成する。
【0052】
この他の実施形態において、図示していないが、操作信号生成手段に関連して挿入感度調整手段を設けるようにしてもよく、この場合、挿入感度調整手段により被検知物Fの挿入感度を調整して操作入力の誤検知を少なくすることができる。例えば、ハウジング本体6Cの挿入凹部26に被検知物Fを挿入して入力操作すると、被検知物Fの挿入状態は刻々と変化し、その挿入状態に応じて第1及び第2検知センサ手段62,64の第1及び第2受光素子40の受光状態(受光信号)が変化する。それ故に、これらの第1及び第2受光素子40の時間とともに変化する受光状態(受光信号)の検知パターン(即ち、例えば検知パターンA~F)を挿入動作と関連して組み合わせ、これらの組合せでもって被検知物Fの挿入を検知することにより、被検知物Fによる入力操作を正確に検知することが可能となり、これら第1及び第2受光素子40の受光状態(受光信号)の組合せを変えることにより、被検知物Fの挿入状態の検知感度を調整することができる。
【0053】
例えば、第1及び第2検知センサ手段62,64の第1及び第2受光素子40の受光状態(受光信号)についての複数の組合せを設定し、挿入感度調整手段(図示せず)によりこれら複数の組合せから所望の組合せを選択することによって、被検知物Fの挿入感度を調整することが可能となる。
【0054】
次に、主として図8及び図10図12を参照して、この他の実施形態の非接触スイッチ装置2Cの検知動作について説明する。上述した実施形態と同様に、人検知センサ(図示せず)が人を検知してステップS21からステップS22に進むと、LEDユニット32(照明LED)が例えば白色に点灯して非接触スイッチ2が動作可能になったことを知らせるとともに、第1及び第2検知センサ手段62,64が作動して検知可能状態となる(ステップS23)。
【0055】
かくすると、第1検知センサ手段62(第1センサユニット64)の第1発光素子38が発光し(ステップS24)、この第1発光素子38の発光による検知動作が行われ、次いで、第2検知センサ手段64(第2センサユニット68)の第2発光素子38が発光し(ステップS25)、この第2発光素子28の発光による検知動作が行われ、第1発光素子38による検知動作と第2発光素子38による検知動作が所定検知時間(例えば、0.1秒間)行われる(ステップS26)。
【0056】
この第1検知センサ手段62の第1発光素子38の発光による検知動作は、例えば図11に示すフローで行われる。即ち、第1センサユニット66の第1発光素子38が発光し、この第1発光素子38からの検知光が第1センサユニット66の第1受光素子40で受光したか判断され(ステップS24-2)、第1受光素子40の受光レベルが所定レベル以上であると「受光」の判定が行われ(ステップS24-3)、この受光判定の結果が記憶され、一方その受光レベルが所定レベル未満であると「非受光」の判定が行われ(ステップS24-4)、この非受光判定の結果が記憶される。
【0057】
次に、この第1発光素子38からの検知光が第2センサユニット68の第2受光素子40で受光されたか判断され(ステップS24-5)、第2センサユニットの第2受光素子40の受光レベルが所定レベル以上であると「受光」の判定が行われ(ステップS24-6)、この受光判定の結果が記憶され、一方その受光レベルが所定レベル未満であると「非受光」の判定が行われ(ステップS24-7)、この非受光判定の結果が記憶される。このように、第1センサユニット66の第1発光素子38からの検知光について、第1センサユニット66の第1受光素子40及び第2センサユニット68の第2受光素子40の受光状態が順に検知される。
【0058】
また、第2検知センサ手段64の第1発光素子38の発光による検知動作は、例えば図12に示すフローで行われる。即ち、第2センサユニット66の第2発光素子38が発光し、この第2発光素子38からの検知光が第1センサユニット66の第1受光素子40で受光したか判断され(ステップS25-2)、第1受光素子40の受光レベルが所定レベル以上であると「受光」の判定が行われ(ステップS25-3)、一方その受光レベルが所定レベル未満であると「非受光」の判定が行われる(ステップS25-4)。
【0059】
次に、この第2発光素子38からの検知光が第2センサユニット68の第2受光素子40で受光されたか判断され(ステップS25-5)、第2センサユニットの第2受光素子40の受光レベルが所定レベル以上であると「受光」の判定が行われ(ステップS25-6)、一方その受光レベルが所定レベル未満であると「非受光」の判定が行われる(ステップS25-7)。尚、第1及び第2受光素子40の受光判定及び非受光判定の結果は、上述したと同様に記憶される。
【0060】
このように、第2センサユニット66の第2発光素子38からの検知光についても、第1センサユニット66の第1受光素子40及び第2センサユニット68の第2受光素子40の受光状態が順に検知される。そして、第1発光素子38の発光による検知動作及び第2発光素子38の発光による検知動作が所定検知時間にわたって繰り返し行われる。
【0061】
これらの検知動作が所定検知時間にわたって行われると、ステップS26からステップS27に進み、第1及び第2検知センサ手段62,64の第1及び第2受光素子40の所定検知時間における受光判定及び非受光判定の結果(換言すると、第1及び第2受光素子40の受光信号)に基づいて、被検知物Fがハウジング本体6Cの挿入凹部26に挿入された(換言すると、スイッチ装置2Cの入力操作が行われた)かの判断が行われる(ステップS27)。
【0062】
そして、被検知物Fが挿入されて入力操作したことが検知されると、被検知物Fを検知したとする検知判定が行われ(ステップS28)、この被検知物Fの検知判定に基づいて、操作検知信号生成手段(図示せず)は操作検知信号を生成する(ステップS29)。かくすると、上述したと同様に、この操作検知信号に基づいて、LEDユニット32の照明LEDが白色から緑色に切り替わり(ステップS30)、このようにしてハウジング本体6の挿入凹部26に被検知物Fを挿入するという動作で、非接触でもってスイッチ装置2Cを入力操作することが可能となる。尚、この場合においても、生成された操作検知信号は、例えばエレベータ装置の制御に用いられる(ステップS31)。
【0063】
エレベータ装置に近づいた人がスイッチ装置2Cを操作することなく離れていったときには、人検知センサ(図示せず)が人を検知しなくなり、この場合、ステップS27からステップS32を経てステップS33に移り、第1及び第2検知センサ手段62,64が作動停止して第1及び第2発光素子38の発光が停止し、またLEDユニット32が消灯し(ステップS34)、スイッチ装置2Cは待機状態となってステップS21に戻る。
【0064】
以上、本発明に従う非接触スイッチ装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0065】
例えば、上述した実施形態では、ハウジング本体6(6C)の底部にLEDユニット32を設けて入力操作を検知したときにはこのLEDユニット32を点灯させているが、このLEDユニット32を省略するようにしてもよい。
【0066】
また、この実施形態では、LEDユニット32を白色及び緑色に点灯させているが、この点灯色については適宜設定することができ、白色、緑色に代えて、例えば赤色、青色などに点灯させるようにしてもよい。或いは、このような構成に代えて、入力操作を検知したときにのみLEDユニット32を点灯させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
2,2A,2B,2C 非接触スイッチ装置
6,6C ハウジング本体
26 挿入凹部
32 LEDユニット
34 検知センサ手段
36 センサユニット
38 発光素子
40 受光素子
62 第1検知センサ手段
64 第2検知センサ手段
66 第1センサユニット
68 第2センサユニット
82 発光回路
84 受光回路
F 被検知物




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12