(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】高温溶融物の温度を光学式に測定するための、光導波路の使用および装置
(51)【国際特許分類】
G01J 5/0821 20220101AFI20231212BHJP
G01J 5/00 20220101ALI20231212BHJP
C21C 5/46 20060101ALI20231212BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20231212BHJP
G02B 6/44 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01J5/0821
G01J5/00 101D
C21C5/46 A
F27D21/00 G
G02B6/44 331
(21)【出願番号】P 2020539085
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2019051892
(87)【国際公開番号】W WO2019145499
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】102018000615.9
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517072893
【氏名又は名称】ミンコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MINKON GmbH
【住所又は居所原語表記】Heinrich-Hertz-Strasse 30-32, D-40699 Erkrath, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トアステン ランプ
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-151918(JP,A)
【文献】特開2014-219395(JP,A)
【文献】特開2011-022165(JP,A)
【文献】特開2000-121446(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102004045775(DE,A1)
【文献】特開昭60-061633(JP,A)
【文献】特開平09-159534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0327971(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 5/46
F27D 21/00
G01J 5/00 - G01J 5/90
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路(7)が、電磁波を測定箇所から光学式の検出器(5)まで案内すると共に、流体により、流体通流導管(8)を通り前記測定箇所まで移動させられる、高温溶融物(9)の温度を光学式に測定する方法における光導波路(7)の使用であって、使用される前記光導波路(7)は、コア(14)、クラッド(11)および被覆部を有しており、該被覆部は、保護層(12)および外側の保護カバー(13)を有している、光導波路(7)の使用において、
前記外側の保護カバー(13)は、
前記外側の保護カバー(13)と前記保護層(12)との間の相対運動を阻止するために、前記保護層(12)と固く結合されて
おり、
前記保護層(12)および前記保護カバー(13)は、プラスチック製である、
ことを特徴とする、光導波路(7)の使用。
【請求項2】
前記保護層(12)を前記クラッド(11)に被着する際に、前記コア(14)および前記クラッド(11)は、内部に加熱された、後に前記保護層(12)になる材料である押出し材料が位置する押出し成形機を通って案内される、請求項
1記載の使用。
【請求項3】
前記外側の保護カバー(13)の材料に、静電防止作用を有する媒体が添加されていることにより、前記被覆部は、静電防止性である、請求項1
または2記載の使用。
【請求項4】
前記光導波路(7)は、1キロメートルの導体長さにつき最大0.3kgの重量を有している、請求項1から
3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
前記光導波路(7)は、1キロメートルの導体長さにつき最大0.22kgの重量を有している、請求項
4記載の使用。
【請求項6】
前記光導波路(7)は、マルチモードファイバを有している、請求項1から
5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
前記光導波路(7)は、62.5μmのコア直径および125μmのクラッド直径を有している、請求項
4または5記載の使用。
【請求項8】
高温溶融物(9)の温度を光学式に測定する方法であって、光導波路(7)が、電磁波を測定箇所から光学式の検出器(5)まで案内すると共に、流体により、流体通流導管(8)を通り前記測定箇所まで移動させられる方法であって、
使用される前記光導波路(7)は、コア(14)、クラッド(11)および被覆部を有しており、該被覆部は、保護層(12)および外側の保護カバー(13)を有しており、該外側の保護カバー(13)は、
前記外側の保護カバー(13)と前記保護層(12)との間の相対運動を阻止するために、前記保護層(12)と固く結合されて
おり、
前記保護層(12)および前記保護カバー(13)は、プラスチック製である、
方法。
【請求項9】
前記保護層(12)を前記クラッド(11)に被着する際に、前記コア(14)および前記クラッド(11)を、内部に加熱された、後に前記保護層(12)になる材料である押出し材料が位置する押出し成形機を通して案内する、請求項
8記載の方法。
【請求項10】
溶融金属を収容するための容器(1)および前記溶融金属の温度を光学式に測定するための測定装置を備えた転炉であって、
・光導波路(7)を備えており、これにより前記溶融金属または前記光導波路(7)の先端から放出された電磁放射線を光学式の検出器(5)へ送ることができるようになっており、
・前記電磁放射線の分析に基づき前記溶融金属の温度を測定するための光学式の検出器(5)を備えており、
・前記光学式の検出器(5)と前記容器(1)との間に配置された流体通流導管を備えており、該流体通流導管内には前記光導波路(7)が少なくとも部分的に通されており、該光導波路(7)は流体により前記流体通流導管内を運ばれるようになっており、
前記光導波路(7)は、コア(14)、クラッド(11)および被覆部を有しており、該被覆部は、保護層(12)および外側の保護カバー(13)を有している、転炉において、
前記外側の保護カバー(13)は、
前記外側の保護カバー(13)と前記保護層(12)との間の相対運動を阻止するために、前記保護層(12)と固く結合されて
おり、
前記保護層(12)および前記保護カバー(13)は、プラスチック製である、
ことを特徴とする、転炉。
【請求項11】
前記固い結合は、中間層を介してゲルにより形成されている、請求項
10記載の転炉。
【請求項12】
前記保護層(12)を前記クラッド(11)に被着する際に、前記コア(14)および前記クラッド(11)は、内部に加熱された、後に前記保護層(12)になる材料である押出し材料が位置する押出し成形機を通って案内される、請求項
10または11記載の転炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温溶融物の温度を光学式に測定する方法における光導波路の使用、ならびに高温溶融物の温度を光学式に測定する方法および転炉に関する。光導波路は電磁波を、測定箇所から光学式の検出器へ案内する。光学式の検出器は、光導波路により光学式の検出器へ案内された電磁放射線が分析されることにより、高温溶融物の温度の測定に用いられる。光導波路は、導管を通って測定箇所に運ばれる。光導波路は、導管を通流する流体によって動かされる。光導波路は、コア、クラッドおよび被覆部を有しており、被覆部には保護層と外側の保護カバーとが含まれる。
【背景技術】
【0002】
高温溶融物の温度を光学式に測定するための、このような光導波路の使用は既に公知である。国際特許出願である国際公開第2007079894号には、溶融金属を収容するための容器を備えた転炉が開示されている。この転炉はさらに、溶融金属の温度を光学式に測定するための測定装置を有している。測定装置は、溶融金属から放出された電磁放射線を光学式の検出器へ案内するために、光導波路を有している。測定装置はさらに、電磁放射線の分析に基づき溶融金属の温度を測定する、光学式の検出器を有している。光学式の検出器と容器との間には流体通流導管が配置されている。光導波路は、導管内で測定箇所に向かって移動させられ、この場合、光導波路は、流動する流体によって移動させられる。
【0003】
転炉内の溶融金属の温度を連続して測定することができるようにするために、国際特許出願である国際公開第2007079894号には、光導波路を連続して測定箇所、つまり金属溶融物に送ることが教示されている。このことは、金属溶融物の高い温度に基づき、溶融金属内に侵入する光導波路の端部または溶融金属のすぐ近くにもたらされる端部が徐々に溶融するため、必要である。
【0004】
転炉内で使用可能な光導波路として、国際特許出願である国際公開第2007079894号には、G62,5/125の形式が開示されている。この形式は、コア、クラッドおよび被覆部を有している。被覆部は、一次被覆と呼ばれる保護層から成る。しかしながらこの一次被覆は、光導波路を機械的および熱的な負荷から十分に保護するには不十分である。
【0005】
したがって、従来技術では、高温溶融物の温度を光学式に測定するために用いられる光導波路が有する被覆部は、保護層に対して追加的に外側の保護カバーを有している。外側の保護カバーは、一般に二次被覆とも呼ばれる。上述した目的のために使用される光導波路では、保護層は保護カバーに緩く結合されている、すなわち、保護層は外側の保護カバーにより包囲され、保護層の外径は、外側の保護カバーの内径よりも小さくなっている。これにより特に、機械的および熱的な負荷が、外側の保護カバーから保護層に、ひいてはクラッドとコアとに直接に伝達されることが回避されることが望ましい。これにより信号伝送が悪化することが懸念される。これに代えて、緩い結合に基づき、機械的な負荷がほとんど専ら外側の保護カバーのみにより吸収されることが望ましい。
【0006】
光導波路の被覆部のこの形式は、流動特性に不都合な影響を及ぼすことが判明した。光導波路を導管内の流体により測定箇所へ移動させようとすると、光導波路は導管内でねじれてしまう。これにより、光導波路を制御して測定箇所に移動させることはできず、それどころか光導波路が導管内で詰まる恐れがある。この結果やはり、例えば温度調整のために重要な、特に連続的な温度測定を保証することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明の課題は、高温溶融物の温度を光学式に測定する方法における光導波路の使用、ならびに、流体を用いて光導波路を、流体通流導管を通して測定箇所に移動させ、測定箇所までの光導波路の制御された送りを改善する方法および転炉を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1、7および8の対象によって解決される。本発明の有利な実施形態は、各従属特許請求項および以下の説明に記載されている。
【0009】
本発明の核心思想は、保護層と外側の保護カバーとを有し、外側の保護カバーは保護層に固く結合されている被覆部を有する光導波路を使用する点にある。このような光導波路は、保護層と外側の保護カバーとの間の結合が緩い光導波路よりも大幅に良好な流動特性を有していることが判った。つまり、光導波路がねじれたり導管内で詰まったりすること無しに、光導波路をより一層制御して、流体通流導管を通して測定箇所まで移動させることができるようになっている。特にこれにより、溶湯温度の調整にとって特に重要な、高温溶融物の連続的な測定を保証することができる。連続的な測定が欠けると、高温溶融物を引き続く加工に使用することができなくなる恐れがある。これはまさに、金属溶融物における多大な損失を生じさせる。特に、多量の金属を溶融するためには高いエネルギ消費量が必要とされる。さらに、使用することができない金属溶融物を廃棄処理するまでの停止時間が長引く恐れもある。
【0010】
「光導波路」という用語には、本発明の意味ではコア、クラッドおよび被覆部(光導波路の要素)が含まれる。光導波路のこれらの要素は、一般に筒状に互いに同軸的に配置されている。この場合、クラッドがコアを包囲していると共に、被覆部がクラッドを包囲している。光導波路の長さは、一般にその直径を大幅に上回っている。
【0011】
この場合、コアおよびクラッド(ファイバ)は、電磁波を案内する役割をする。コアの材料は、クラッドの材料よりも高い屈折率を有している。これにより、コアとクラッドとの間の境界面において、電磁波がほぼ全反射することになる。光導波路の一方の端部から光導波路内に入射する電磁波は、境界面において、電磁波が光導波路の他方の端部のところで出射するまで反射される。この場合、電磁波は、ほぼ損失無く送られる。
【0012】
一般に、コアおよびクラッドは石英ガラスから成っており、コアにより高い屈折率を与えるために、コアには一般に不純物がドープされる。従来技術から周知の、コアおよびクラッド用の他の材料も、基本的には本発明に適している。
【0013】
被覆部は、本発明では保護層と、外側の保護カバーとを有している。保護層および外側の保護カバーは、一般にやはりコアおよびクラッドに対して同軸でありかつ一般に筒形を有している。保護層は、特に光導波路の輸送および敷設時にコアおよびクラッドを機械的な負荷から保護する役割をする。保護層は、一般にクラッドを直接に包囲している。クラッドと保護層との間には、一般に固い結合が形成されている。なぜなら、保護層をクラッドに被着する際に、内部に加熱された押出し材料が位置する押出し成形機を通ってファイバが案内されるからである。押出し成形時にファイバに被着されるこの押出し材料は、一般に加熱されたプラスチック、例えばポリイミド、アクリルまたはシリコーンであり、後に保護層になる材料である。押出し材料をファイバに被着した後により迅速に硬化させるためには、一般にUV光が照射される。
【0014】
一般に一次層または一次被覆とも呼ばれる保護層は、複数の層を有していてもよい。
【0015】
ただし、特に光導波路の敷設および輸送時の機械的および熱的な負荷からファイバを十分に保護するためには、保護層は不十分である。よって、被覆部は追加的に外側の保護カバーを有しており、外側の保護カバーは一般に、二次層または二次被覆とも呼ばれる。一般に、外側の保護カバーはプラスチック製であり、光導波路の被覆部の最外層を形成している、つまり外部に対して光導波路を画定している。
【0016】
外側の保護カバーは、保護層と固く結合されている。本発明の意味での「固く結合されている」という表現には、保護層の外面と保護カバーの内面とが接触状態にあるような、外側の保護カバーと保護層との間の結合が含まれる。この場合の「内面」は、光導波路の長手方向軸線の方向に延在しかつ長手方向軸線に面した、外側の保護カバーの面を意味する。「外面」は、光導波路の長手方向に延在しかつ長手方向軸線から離反する方を向いた、保護層の面を意味する。一般に、保護層および外側の保護カバーは中空円筒状である。この場合、保護層の外面は保護層の外周壁であり、外側の保護カバーの内面は外側の保護カバーの内周壁である。
【0017】
保護層の外面は、外側の保護カバーの内面と接触状態にあり、これにより、保護層と外側の保護カバーとの間の相対運動が阻止されている。
【0018】
これは、例えば保護層と外側の保護カバーとを接着することによって実現することができる。よって、「接触状態にある」という表現には、保護層の外面と外側の保護カバーの内面との間に中間層、特に接着剤層が存在し得ることも含まれる。また、中間層がゲルによって形成されることも考えられる。
【0019】
保護層と外側の保護カバーとの間には、保護層と外側の保護カバーとの間の相対運動を可能にする自由空間が一切存在しないため、本発明による被覆部を備えた光導波路は、保護層と外側の保護カバーとの間に緩い結合を有する同じ光導波路よりも小さな体積を有することになり、よりコンパクトになっている。特に有利には、これにより、光導波路が流体通流導管を通り測定箇所に移動させられる、高温溶融物の温度を光学式に測定するための光導波路の使用時に、光導波路の流体機械的な特性が顕著になる。これにより、光導波路がねじれたり、詰まったり、球状になったりすること無しに、光導波路を連続的に導管を通して運ぶことができるようになっている。
【0020】
「電磁波」は、高温溶融物から放射され得る、あらゆる電磁波を意味する。
【0021】
「高温溶融物」という用語には、本発明の意味では特に金属溶融物が含まれる。金属溶融物は、特に溶融された金属を意味する。金属溶融物は、1つまたは複数の金属を有していてよい。本発明による使用は、特に鋼溶融物およびアルミニウム溶融物の温度測定に適している。「高温溶融物」という用語にはさらに、例えば溶融塩および金属溶融物と非金属溶融物との混合物等の、非金属溶融物も含まれる。
【0022】
「測定箇所」という用語には、本発明の意味では、高温溶融物が存在する箇所が含まれる。しかしまた、「測定箇所」という用語には、高温溶融物は一切存在しないが、理想的には温度測定に使用可能な質および量の電磁波が光導波路に入射可能な程度に高温溶融物に近い箇所も含まれる。
【0023】
導管内で光導波路を移動させるための流体としては、好適にはいずれにせよ高温溶融物の各処理に必要な流体、例えば転炉工程における溶鋼では酸素が使用される。代替的には、他のガス、例えば不活性ガス等も使用することができる。
【0024】
好適な実施形態では、被覆部は静電防止性である。「静電防止性」とは、被覆部が静電気を帯びることを防止または解消することを意味する。特に好適なのは、外側の保護カバーが静電防止性であることである。これは例えば、外側の保護カバーの材料に、静電防止作用を有する媒体を添加することによって達成することができる。
【0025】
静電気を帯びると、高温溶融物の測定のために光導波路が流体通流導管を通って移動する際に問題があるということが判った。なぜなら、静電引力によって光導波路が導体壁に付着し続ける傾向があるからである。保護層と外側の保護カバーとの間の固い結合に対して追加的に、光導波路の案内特性は、流体通流導管によってもさらに改良することができる。
【0026】
好適な実施形態では、外側の保護カバーは、摩擦を減少させる添加剤を含んでいる。これは特に、外側の保護カバーの材料に、摩擦を減少させる添加剤を添加することによって達成することができる。摩擦を減少させる添加剤に基づき、光導波路を、より簡単に導管を通して案内することができる。さらに、導管を通る光導波路の摩擦の少ない案内に基づき、静電気を帯びることも減る。添加剤としては例えば、フランクフルトアムマイン在のClariant社により製品名Hostastatで販売されている製品、またはBayer社により製品名Irgastatで販売されている製品、またはDuPont社により製品名Entiraで販売されている製品を使用することができる。
【0027】
好適な実施形態では、光導波路は、1キロメートルの導体長さにつき最大0.3kgの重量を有している。光導波路がこのように軽量であることから、光導波路を、より良好に導管に吹き入れることができる。光導波路の流動特性にとって、1キロメートルの導体長さにつき0.22kgの重量が最適であるということが判った。
【0028】
好適な実施形態では、光導波路は、600μm未満、特に好適には500μm未満、特に好適には400μm未満の全体直径を有している。
【0029】
好適には、光導波路はマルチモードファイバを有している。モノモードファイバに対し、マルチモードファイバにおけるコア直径は大幅に大きくなっている。このことから、より多くの光量を、光導波路内に送り込みかつ光導波路を介して光学式の検出器に送ることができるという利点が生じる。確かに、マルチモードファイバはモード分散に悩まされる。これにより、特に通信技術に用いられる極めて長大な光導波路の場合には、伝送ミスが生じることになる。しかし、この問題は、本発明による使用に関してはほとんど重要ではない。なぜなら、確かに数キロメートルの伝送区間が考えられはするが、滅多に生じることがないからである。さらに、マルチモードファイバは、モノモードファイバに比べて製造時に有利であり、かつ敷設または輸送に際してあまり影響を受けないという利点を有している。ただし、モノモードファイバを用いた実施形態も考えられる。ファイバカテゴリとしては、特にOS2、OM1、OM2、OM3、OM4が考慮される。
【0030】
好適なのは、62.5μmのコア直径および125μmのクラッド直径を有する、特に好適にはファイバカテゴリOM1に基づくマルチモードファイバである。また、50μmのファイバ直径および125μmのクラッド直径も考えられる。
【0031】
高温溶融物の温度を光学式に測定する本発明よる方法は、光導波路が、電磁波を測定箇所から光学式の検出器まで案内すると共に、流体により、流体通流導管を通り測定箇所まで移動させられることを想定しており、この場合、使用される光導波路は、コア、クラッドおよび被覆部を有しており、被覆部は、保護層および外側の保護カバーを有しており、外側の保護カバーは、保護層と固く結合されている。
【0032】
本発明による転炉は、溶融金属を収容するための容器および溶融金属の温度を光学式に測定するための測定装置を有しており、かつ
・光導波路を備えており、これにより金属または光導波路の先端から放出された電磁放射線を光学式の検出器へ送ることができるようになっており、
・電磁放射線の分析に基づき金属の温度を測定するための光学式の検出器を備えており、
・光学式の検出器と容器との間に配置された流体通流導管を備えており、流体通流導管内には光導波路が少なくとも部分的に通されており、光導波路は流体により流体通流導管内を運ばれるようになっており、
光導波路は、コア、クラッドおよび被覆部を有しており、被覆部は、保護層および外側の保護カバーを有しており、外側の保護カバーは、保護層と固く結合されている。
【0033】
以下に、本発明の1つの有利な実施形態を示すに過ぎない以下の図面に基づき、本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】高温溶融物の温度を光学式に測定するための光導波路の例示的な使用を示す図である。
【
図2】本発明に基づき使用されるべき光導波路を伸長状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図示の容器1は、高温溶融物、本発明では溶融金属を収容するためのものである。この容器1は、回りピン2を介してフレーム(図示せず)に支承されている。ガス供給部3が、ガス源(詳細には図示せず)からガス導管8を介して、容器1の底部領域に設けられたガス開口に通じている。ガス供給部3を介して、金属湯9にガスを供給することができるようになっている。
【0036】
さらに、光導波路7が巻き付けられた繰出し装置4が示されている。光導波路7の一方の端部は、光学検出器5に接続されており、光学検出器5は、信号評価手段6に接続されている。繰出し装置4および光学検出器5は、熱防護ハウジング10内に収納されていてよい。光導波路7は、ガス供給部3を介してガスを供給されるガス導管8を通り、金属湯9内に導入される。
【0037】
金属湯9内に到達した光導波路7の端部は、溶融金属の放射線を吸収すると共に、光導波路7を介して光学検出器5に案内する。そこでは金属湯9内の金属の温度を検出するために、光学信号が電気信号に変換され、電気信号を信号評価手段6によって引き続き処理することができる。溶融金属の熱は、光導波路の侵入端部の溶融を招くため、光導波路7を更新処理する必要がある。これは、ガス供給部3およびガス導管8を通流するガスにより行われる。
【0038】
この場合、光導波路7は、コア14、クラッド11および被覆部を有している。コア14は62.5μmの直径を有しており、クラッド11は125μmの直径を有している。光導波路7のファイバは、この例ではファイバカテゴリOM1のマルチモードファイバである。被覆部は、保護層12と外側の保護カバー13とを有しており、保護層12と保護カバー13とは互いに固く結合されている。外側の保護カバー13は静電防止性であり、摩擦を減少させる添加剤を含んでいる。光導波路7は、1キロメートルの導体長さにつき0.22kgの重量を有している。