IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デスバックの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】薬物送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20231212BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61M5/168 514D
A61M5/172
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020544997
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 IB2018001449
(87)【国際公開番号】W WO2019097298
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】62/586,478
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520169960
【氏名又は名称】デスバック
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ ボワドン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ トマ-ジャビト
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ ベラン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05782814(US,A)
【文献】特表2015-518747(JP,A)
【文献】国際公開第2016/202339(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0270188(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
A61M 5/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達装置であって、
薬剤を収容するバレルと、
ピストンコースに沿って前記バレル内で摺動可能なピストンと、
入力電流を提供するための電源回路と、
前記バレルに沿って取り付けられたアンテナであって、該アンテナは、
複数の層が互いに積層されて前記電源回路に接続された回路基板と、
前記複数の層の中のそれぞれの層上の複数のコイルのセットであって、
前記入力電流を受信し、
前記ピストンでインダクタンスを生成し、
前記インダクタンスに相応する出力電流を提供するために前記ピストンコースに沿って延在する、複数のコイルのセットと、を含む、アンテナと、
前記複数のコイルのセットに接続された処理回路であって、
前記出力電流を受信するように、および
前記出力電流に基づいて前記バレル内の前記薬剤の量を判定するように、構成されている処理回路と、を備えることを特徴とする、薬物送達装置。
【請求項2】
前記コイルのセットは、異なるコイル構成を有し、前記コイルの構成は、コイル形状、縦方向のコイル配置、横方向のコイル配置及び/又は巻線方向を含むことを特徴とする請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項3】
前記複数のコイルのセットのうちの少なくとも2つのコイルのセットが、互いに所定のオフセット距離だけオフセットされ、前記ピストンコースの第1の部分内の前記ピストンの位置に相応する第1の出力電流および前記ピストンコースの第2の部分内の前記ピストンの位置に相応する第2の出力電流を提供することを特徴とする、請求項2に記載の薬物送達装置。
【請求項4】
前記オフセット距離が、前記少なくとも2つのコイルのセットにおけるコイルの幅の半分に実質的に等しいことを特徴とする、請求項3に記載の薬物送達装置。
【請求項5】
前記オフセット距離が、前記少なくとも2つのコイルのセットにおけるコイルの長さの半分に実質的に等しいことを特徴とする、請求項3に記載の薬物送達装置。
【請求項6】
前記回路基板が、
第1の単一のコイルを有する第1の層と、
第2の単一のコイルを有する第2の層と、
前記所定のオフセット距離だけオフセットされた、第1の対のコイルを有する第3の層と、
前記所定のオフセット距離だけオフセットされた、第2の対のコイルを有する第4の層と、をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の薬物送達装置。
【請求項7】
前記コイルのセットは、前記出力電流の1つを供給するグループごとに電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の薬物送達装置。
【請求項8】
前記コイルが正方形又は矩形であることを特徴とする、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の薬物送達装置。
【請求項9】
前記コイルが楕円形又は球形であることを特徴とする、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の薬物送達装置。
【請求項10】
前記コイルのセットの少なくとも1つは、一方の層に横並びで配置され、逆回転している2つのコイルからなることを特徴とする、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の薬物送達装置。
【請求項11】
対象マーカを検出し、対象情報に相応する対象読取信号を提供するための対象識別子と、
薬剤マーカを読み取り、薬剤情報に相応する薬剤読取信号を提供するための薬剤識別子と、
処理回路であって、
前記対象読取信号、および前記薬剤読取信号を受信するように、
前記対象読取信号に基づいて前記対象情報を抽出するように、および
前記薬剤読取信号に基づいて前記薬剤情報を抽出するように、構成されている処理回路と、をさらに備えることを特徴とする、請求項1から請求項10の何れか1項に記載の薬物送達装置。
【請求項12】
前記対象マーカが、無線周波数識別チップであり、前記対象識別子が前記無線周波数識別チップを読み取るように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の薬物送達装置。
【請求項13】
前記薬剤マーカが、前記薬剤を収容する容器上に配置された無線周波数識別チップであり、前記薬剤識別子が前記無線周波数識別チップを読み取るように構成されていることを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の薬物送達装置。
【請求項14】
前記薬剤の量、前記対象情報、および前記薬剤情報を、データベースおよび電子デバイスの少なくとも一方に送信するように構成されている、ネットワークコントローラをさらに備えることを特徴とする、請求項11から請求項13の何れか1項に記載の薬物送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月15日に出願された米国仮出願第62/586,478号に対する優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物送達装置に関し、特に非経口薬物投与システムに関する。
【背景技術】
【0003】
たとえば強力な薬物などの投与薬剤を、たとえば動物や患者などの対象に送達する際に、過量投与や過少投与の発生を防ぐために、送達および/または投与される量を正確に把握することがしばしば必要である。
【0004】
この目的のために、透明なバレル上に目盛が付いたシリンジが、送達されるべきおよび/または送達される薬剤の量を測定するためにしばしば採用される。
【0005】
しかし、目盛を目視で確認して送達される薬剤の量を定量化することは精度に欠け、状況によっては、たとえば、透明な薬剤および/または透過性のある薬剤、および/または輝度の低い環境、および/または目盛を視覚的に認識することが困難な痕跡を残す薬剤などには、不可能な場合もあり得る。
【0006】
このように、薬剤の投与量を正確に定量化することができ、上記の制限を克服できる薬物送達装置が望まれる。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本開示の目的は、上記の制限を克服する薬物送達装置を提供することである。
【0008】
非限定的な例示的な一例において、薬物送達装置が提示される。薬物送達装置は、薬剤を収容するバレルと、ピストンコースに沿ってバレル内で摺動可能なピストンと、入力電流を提供するための電源回路と、複数の層が互いに積層されて電源回路に接続された印刷回路基板を含むバレルに沿って取り付けられたアンテナと、入力電流を受信し、ピストンでインダクタンスを生成し、インダクタンスに相応する出力電流を提供するために複数の層上に印刷された複数のコイルと、対象マーカを検出し、対象情報に相応する対象読取信号を提供するための対象識別子と、薬剤マーカを読み取り、薬剤情報に相応する薬剤読取信号を提供するための薬剤識別子と、出力電流、対象読取信号、および薬剤読取信号を受信するように、出力電流に基づいてバレル内の薬剤の量を判定するようにするように、対象読取信号に基づいて薬剤情報を抽出するように、および薬剤読取信号に基づいて薬剤情報を抽出するように、構成されている処理回路とを含む。
【0009】
非限定的な例示的な一例において、薬物送達装置が提示される。薬物送達装置は、薬剤を収容するバレルと、ピストンコースに沿ってバレル内に摺動可能なピストンと、入力電流を提供するための電源回路と、複数の層が互いに積層されて電源回路に接続された印刷回路基板を含むバレルに沿って取り付けられたアンテナと、入力電流を受信し、ピストンでインダクタンスを生成し、インダクタンスに相応する出力電流を提供するための複数の層に印刷された複数のコイルと、複数のコイルに接続され、および出力電流を受信するように、出力電流に基づいてバレル内の薬剤の量を判定するように構成されている処理回路とを含む。
【0010】
非限定的な例示的な一例において、薬物送達装置が提示される。薬物送達装置は、薬剤を収容するバレルと、ピストンコースに沿ってバレル内に摺動可能なピストンと、入力電流を提供するための電源回路と、入力電流を受信し、ピストンでインダクタンスを生成し、インダクタンスに相応する出力電流を提供するためにバレルに沿って取り付けられたアンテナと、出力電流を受信するように、および出力電流に基づいてバレル内の薬剤の量を判定するように構成されている処理回路とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
特定の要素または行為の説明を容易に識別するために、参照番号の最上位の数字は、その要素が最初に導入された図の番号を参照している。
【0012】
図1A】本開示の特定の態様による、薬物送達装置の斜視図である。
図1B】本開示の特定の態様による、薬物送達装置の断面図である。
図2】本開示の特定の態様による、薬物送達装置の測定システムの概略図である。
図3】本開示の特定の態様による、測定システムのアンテナの分解図である。
図4A】本開示の特定の態様による、アンテナの第1の例示的なコイル構成の概略図である。
図4B】本開示の特定の態様による、アンテナの第2の例示的なコイル構成の概略図である。
図4C】本開示の特定の態様による、アンテナの第3の例示的なコイル構成の概略図である。
図4D】本開示の特定の態様による、アンテナの第4の例示的なコイル構成の概略図である。
図4E】本開示の特定の態様による、アンテナの第5の例示的なコイル構成の概略図である。
図4F】本開示の特定の態様による、アンテナの第6の例示的なコイル構成の概略図である。
図4G】本開示の特定の態様による、アンテナの第7の例示的なコイル構成の概略図である。
図5】本開示の特定の態様による、薬物送達装置の追跡システムの概略図である。
図6】本開示の特定の態様による、薬物送達装置を動作するための方法のフローチャートである。
図7】本開示の特定の態様による、薬物送達装置の電気制御ユニットのハードウェア図の概略図である。
図8】本開示の特定の態様による、磁界変動に依存する測定システムを有する薬物送達装置の断面図である。
図9】本開示の特定の態様による、静電容量の変動に依存する測定システムを有する薬物送達装置の断面図である。
図10】本開示の特定の態様による、渦電流変動に依存する測定システムを有する薬物送達装置の断面図である。
図11】本開示の特定の態様による、共振器を有する測定システムの概略図である。
図12A】本開示の特定の態様による、第1の幾何学的構成内における測定システムを有する薬物送達装置の断面図である。
図12B】本開示の特定の態様による、第2の幾何学的構成内における測定システムを有する薬物送達装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で言及されるすべての出版物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。さらに、本明細書で論じられる材料、方法、および例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0014】
図面において、同様の参照番号は、いくつかの図を通して同一または対応する部分を示す。さらに、本明細書で使用される場合、「a」、「an」などの語は、別段の記載がない限り、「1つ以上」の意味を含む。図面は、別段の記載がない限り、または概略構造またはフローチャートを示していない限り、一般的に縮尺どおりに描かれていない。
【0015】
投与される薬剤の測定精度を高めるために、シリンジポンプなどの機械的および/または電気機械的システムに依存する薬物送達装置が使用されてきた。これらの薬物送達装置は使用され得るが、それらには多くの欠点がある。特に、そのような薬物送達装置では、定量化は、送達される薬剤の量の測定につながり得る小さな既知の増分によってシリンジを作動させる電気機械的測定システム、たとえば電気ステップモータ、タコメータ、速度センサなどを介して実行される。しかし、これらのシステムは、煩雑で、重く、電力網への接続を必要とし、家畜の予防接種や他の薬物治療のような現場での使用には実用的ではない。加えて、これらのシステムが依存する電気機械測定システムの製造コストが高くなる可能性があるため、法外なコストになる可能性がある。さらにまた、これらのシステムは、特定のシリンジおよび/または既に入手可能なシリンジの改造を必要とする場合がある。
【0016】
本開示の薬物送達装置は、薬剤を押し出すピストンを局在化するためにインダクタンス相互作用に依存することにより、送達される薬剤の定量化を提供する。
【0017】
本開示の薬物送達装置は、他のシステムに勝る多くの利点を提供する。たとえば、薬物送達装置は、外部であり、非侵襲性であり、および送達する薬剤と接触することなく送達される薬剤の定量化を提供し、その結果、たとえば、装置は、送達する薬剤を加熱、変色、および/または汚染しないなど、薬剤に影響を与えない。別の例では、開示された薬物送達装置は、送達された薬剤の定量化を提供し、それは、薬剤の物理的特性、たとえば、色、表面への付着性および汚染とは無関係で、従来の投薬機構、たとえば、シリンジに改造または限定的な改造を加えることなく統合することができる。
【0018】
図1A図1Bは、本開示の特定の態様による、薬物送達装置1000の斜視図および断面図である。
【0019】
薬物送達装置1000は、ストックA-1000、ストックA-1000に搭載された投薬機構B-1000、および投薬機構B-1000に沿って取り付けられた測定システムC-1000を含み得る。
【0020】
投薬機構B-1000は、図5を参照して、とりわけ、豚を含む家畜動物などの対象20に投与すべき薬剤10を抽出し、保留し、および/または吐出し得る。薬剤10は、飼料、治療、治癒、予防、疾患の診断、検査の実施および/または安楽死、もしくは一般的に対象20の健康に影響を与えるために対象20に投与され得、医薬品、抗生薬剤、ワクチン、栄養素の混合物、または任意の医薬品である。薬剤10は、液体、気体、および/または液体中に懸濁された固体粒子の形態であり得る。
【0021】
測定システムC-1000は、薬物送達装置1000によって抽出および/または吐出される薬剤量Qsを定量化し得る。
【0022】
ストックA-1000は、投薬機構B-1000および/または測定システムC-1000に加え、ユーザによる薬物送達装置1000の操作、運搬、および/または動作のため、たとえば、ハンドル、トリガー、プルバックレバーなどの人間工学的機能のサポートを提供し得る。
【0023】
薬物送達装置1000は、投薬機構B-1000によって抽出および吐出される薬剤10を定量化するために割り当てられる資源、たとえばスペース、エネルギー消費量、および/または重量を最小限に抑えながら、投薬機構B-1000によって抽出および吐出される薬剤10の定量化を提供し得る。
【0024】
このような投薬機構B-1000で抽出および吐出される薬剤10の定量化は、投薬機構B-1000と測定システムC-1000との間の非接触相互作用の定量化および/または検出に依存して行われる。
【0025】
非接触相互作用は、投薬機構B-1000によって吐出された薬剤10の定量に依存し、特に投薬機構B-1000のピストンB-1200の変位に基づく定量可能な値を生成するために、投薬機構B-1000と測定システムC-1000との間の物理的な接触を必要としない任意の相互作用に対応し得る。
【0026】
一例では、非接触相互作用は、測定システムC-1000のコイル上および/または測定システムC-1000の誘導型センサ上、たとえば、Micro-Epsilon社製の誘導型リニア可変差動トランスセンサで、投薬機構B-1000の可動部によって生成されたインダクタンス変動に対応し得る。
【0027】
別の例では、非接触相互作用は、可動部に取り付けられた磁石によって、および/または測定システムC-1000の磁気センサ上の、たとえばホール効果センサやMicro-Epsilon社製の渦センサで、投薬機構B-1000の可動部自体によって生成された磁界変動に対応し得る。
【0028】
別の例では、非接触相互作用は、測定システムC-1000の磁気誘導センサ上の、たとえばMicro-Epsilon社製の磁気誘導変位センサに、投薬機構B-1000の可動部に取り付けられた磁石によって生成される磁気誘導相互作用に対応し得る。
【0029】
別の例では、非接触相互作用は、測定システムC-1000と投薬機構B-1000の可動部から放射されるマイクロ波放射が、可動部の位置に応じた位相シフトでマイクロ波放射を測定システムC-1000に反射することによって生成された音波相互作用に対応し得る。
【0030】
別の例では、非接触相互作用は、測定システムC-1000から放射された光と、可動部の位置に応じた反射角度で測定システムC-1000に光を反射する投薬機構B-1000の可動部に配置された光マーカ、たとえば光反射板との間の光学的相互作用に対応し得る。
【0031】
別の例では、非接触相互作用は、測定システムC-1000から外部に放出された光と、対象に向けられた光との間の光学的相互作用に対応し得る。たとえば、測定システムC-1000から放出された光は、とりわけ、放出角度を含む既知の特性で対象に向かって放出され得る。上述した放出角度は、上述した放出された光が測定システムC-1000で反射され、受光されるときに判定される受光角度との関係で評価され得る。一例では、放出された光は赤外光であり、その反射光は対象、たとえば動物で反射される。受光角度から放出角度の変化を判定することにより、針B-1800と投薬機構B-1000が対象に接触する角度がはっきりと計算され得る。上述した計算された接触角度を、たとえばサーバのレベルで理解されている既知の許容誤差レベルと比較して、高品質の注射を提供することにより、アプローチが不適切な接触角度であり、薬剤の効果的でない投与につながる可能性があるという警告が、投薬機構B-1000のユーザに提供され得る。別の例では、接触角度が適切ではないという判定に応答して、投薬機構B-1000が非アクティブ化にされ得る。この場合、投薬機構B-1000の作動構成要素は、接触角度が許容範囲内にあるときにのみ薬剤を放出するように制御し得る。上記の判定および計算は、図2の測定システムC-1000、または一般的には図5の文脈で説明されたハードウェアによって実行され得る。
【0032】
投薬機構B-1000は、バレルB-1100と、バレルB-1100内に摺動可能に挿入されたピストンB-1200と、ピストンB-1200に連結され、バレルB-1100から部分的に突出したプランジャB-1300と、ピストンB-1200に対向する開口部B-1400と、開口部B-1400から突出したプレーンチップB-1500とを含み得る。
【0033】
プランジャB-1300は、ピストンコースLに沿ってバレルB-1100内のピストンB-1200を第1の方向、たとえば開口部B-1400に向かってスライドさせて、薬剤10を開口部B-1400および開口部B-1400を通して押し出して薬物送達装置1000から薬剤10を吐出するか、または第2の方向、たとえば開口部B-1400から離れて、薬剤10を開口部B-1400を通して引っ張り出して外部環境から薬剤10を抽出するように作動させ得る。
【0034】
プランジャB-1300の作動は、ユーザが手動で、または電気アクチュエータ、たとえばプランジャB-1300を押し出すおよび/または引っ張るリードスクリューを回転させる電気モータ、および/または油圧および/またはたとえば、プランジャB-1300を押し出すおよび/または引っ張る圧縮ガスなどの空圧アクチュエータを介して機械的に行われ得る。一実施形態によれば、電気的アクチュエータの作動は、薬物送達装置1000に局所的に設けられた処理回路によって制御され、所定の条件が満たされることに応答して電気アクチュエータの作動を制御するようにプログラムされ得る。専用の処理回路は、電気制御ユニットまたは補助電気制御ユニット内に互換的に収容され得る。さらに、専用の処理回路は、リモートサーバ(たとえば、サーバ(およびデータベース))内に互換的に収容され得、それにより、送信された情報に応答して、薬物送達装置1000の投薬機構B-1000のリモート制御を提供することができる。
【0035】
バレルB-1100は、バレルB-1100と測定システムC-1000との間のインダクタンスの相互作用のハプニングを防止するため、ガラス、セラミック、および/またはプラスチック合金、たとえばポリエチレン合金などの耐薬品性および電気絶縁性材料で作製され得る。
【0036】
ピストンB-1200は、ピストンB-1200と測定システムC-1000との間にインダクタンス相互作用を提供するために、ステンレス鋼合金や他の金属合金などの、耐薬品性および導電性材料で作製され得る。
【0037】
あるいは、ピストンB-1200は、たとえば、プラスチック合金などの絶縁材料で作成され得るが、導電性材料で作成されたインダクタンスマーカB-1210をピストンB-1200に取り付け、および/または封入して、インダクタンスマーカB-1210と測定システムC-1000との間にインダクタンス相互作用を提供し得る。
【0038】
開口部B-1400は、針B-1800を受容して、対象20内へのおよび/または対象20からの薬剤10の注入および/または抽出を容易にするように構成され得る。
【0039】
加えて、開口部B-1400は、補助薬剤と薬剤10と組み合わせるための導管B-1700に接続可能な入口B-1600を含み得る。
【0040】
図2は、本開示の特定の態様による、薬物送達装置1000の測定システムC-1000の概略図である。
【0041】
測定システムC-1000は、電源回路C-1300と、バレルB-1100に沿って取り付けられ、電源回路C-1300に電気的に接続されたアンテナC-1100と、アンテナC-1100に電気的に接続されたデータ取得回路C-1400と、データ取得回路C-1400に電気的に接続された電気制御ユニットC-1200とを含み得る。
【0042】
電源回路C-1300は、アンテナC-1100に入力信号Isを提供することができ、アンテナC-1100は、入力信号Isを受信し、入力信号Isに相応する電磁界Mを生成することができ、電磁界Mは、投薬機構B-1000のピストンB-1200と相互作用し、ピストンの位置Xおよび/またはピストンコースLに沿った位置の変化に相応する1つ以上のフィードバック信号Osが発生するようにアンテナC-1100を誘導し得、データ取得回路C-1400は、1つ以上のフィードバック信号Osを読み取り、1つ以上のフィードバック信号Osの物理的な値を提供することができ、電気制御ユニットC-1200は、物理的な値を受信し、ソフトウェア命令を介してピストン位置Xの値を提供し得る。
【0043】
たとえば、入力信号Isは、電源回路のLC回路によって発生される発振電流であり得、1つ以上のフィードバック信号Osは、ピストンコースLに沿ったピストン位置Xに依存する共振周波数Frによって特性評価された誘導電流であり得る。
【0044】
あるいは、ピストンB-1200および/またはインダクタンスマーカB-1210を含む投薬機構B-1000は、アンテナC-1100および/または電源回路C-1300が、ピストンB-1200および/またはインダクタンスマーカB-1210との相互作用と比較して、薬剤10と大部分が相互作用するのに十分な大きさの電磁界Mの振幅を生成させるように、薬剤10の電磁透磁率よりも実質的に低い電磁透磁率を有し得る。
【0045】
一実施形態によれば、ピストンB-1200の位置を判定するための上記のアプローチは、たとえば、投薬された薬剤10を定量化し、投薬された量が処方量と等しい、少ない、または大きい場合に警告を提供するために、さらに活用され得る。たとえば、測定システムC-1000によって判定されたピストンB-1200の位置が規定のピストン位置よりも低く、その結果、対象または動物への投与量が不足した場合、追加の薬剤10または、たとえば抗生薬剤が提供されるような警告が提供され得る。付加的に、この場合、(ローカルまたはリモート処理回路からの)制御信号を投薬機構B-1000に送信して、量が処方量と一致するまで抗生薬剤の投薬を続行し得る。別の例では、ピストンB-1200の位置が、測定システムC-1000によって判定された薬剤10の処方量に対応する位置に等しい場合、適切な薬剤10の量が投薬されたことを確認するための警告が提供され得る。上記と同様に、投薬が完了する前に処方量を満たしたと判定された場合には、制御信号を投薬機構B-1000に送信して、電気アクチュエータを停止し得る。処方量は、対象識別データと薬剤識別データから判定され得る。このようなデータについては、図5を参照して詳細に説明する。
【0046】
データ取得回路C-1400は、電気信号を受信し、強度、電圧、および/または周波数などの電気信号を特徴付ける物理値を提供するように構成された任意のタイプの回路であり得る。たとえば、データ取得回路C-1400は、Texas Instruments社製のボードLDC1612EVMまたは類似の回路であり得る。
【0047】
加えて、測定システムC-1000は、たとえば、プランジャB-1300の電気アクチュエータなどの外因性および/または内因性電気的摂動を低減し、薬剤10の定量化の精度を高めるために、ノイズフィルタC-1500を含み得る。ノイズフィルタC-1500は、任意のタイプのアクティブまたはパッシブノイズフィルタであり得る。たとえば、ノイズフィルタは、測定システムC-1000の要素、たとえばアンテナC-1100、電源回路C-1300、データ取得回路C-1400、および/または電気制御ユニットC-1200との間の電気的接続部、およびデータ取得回路C-1400と投薬機構B-1000との間の接地接続部に配置されたフェライトビーズであり得る。
【0048】
さらにまた、測定システムC-1000および/または薬物送達装置1000の他の要素、たとえばストックA-1000、および/または投薬機構B-1000は、薬剤10の定量化に影響を与え得る摂動、たとえば室内および/または環境の温度変化、周囲の物体、動物、および/または身体部分によって生成される外場、および/または機械的および/または電気的相互作用によって生成される任意の他のタイプの摂動を低減および/または排除するための他の特徴および/または構造を含み得る。たとえば、測定システムC-1000には、図2に示すように、環境の温度に相応する温度信号Tsを提供する温度センサT-1000、たとえばサーミスタを含み得、電電気制御ユニットC-1200は、温度信号およびフィードバック信号Osを受信し、温度信号およびフィードバック信号Osに基づいてピストンB-1200のピストン位置Xを計算するようにさらに構成され得る。
【0049】
別の例では、温度センサT-1000は、薬剤またはたとえば抗生物質の効力を最大化するために活用され得る。たとえば、測定システムC-1000は、投薬機構B-1000内の環境温度または抗生薬剤の温度に相応する温度信号Tsを提供する温度センサT-1000(たとえばサーミスタ)を含み得る。電気制御ユニットC-1200は、温度信号およびフィードバック信号Osを受信し、たとえば、そこから抗生薬剤の効力を判定するようにさらに構成され得る。
【0050】
たとえば、動物施設内部で外気温が上昇していることが把握されており、その結果、そこにいる動物や対象の体温が上昇している場合がある。動物の体温の上昇は、ストレスレベルを上昇させ、抗生薬剤の効力に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、これが判定されると、ユーザに警告が提供され、室温が自動的に変更され得る。さらに、処理回路は、制御信号を投薬機構B-1000に送信して、電気アクチュエータを停止し、効果的に、薬物送達装置1000が薬剤、またはたとえば抗生薬剤を投与しないようにロックアウトするように構成され得る。
【0051】
別の例では、温度センサT-1000は、投薬機構B-1000内の薬剤、たとえば抗生物質の温度を判定するために使用され得、測定システムC-1000は、抗生物質の保管および輸送の仕様に照らして、抗生物質の温度を判定する。たとえば、投薬機構B-1000内の抗生物質の温度が許容温度を超えて上昇し、抗生物質の効き目が低下した場合には、抗生物質を交換するように警告され得る。また、処理回路は、投薬機構B-1000に制御信号を送り、電気的アクチュエータを停止させるように構成され得る。
【0052】
別の例では、測定システムC-1000は、外場からアンテナC-1100を遮蔽するために、アンテナC-1100の背面部分に配置されたシールドを含み得る。別の例では、電気制御ユニットC-1200は、較正を実行し、および/または機械的および/または電気的相互作用、たとえばピストンB-1200とバレルB-1100との間の遊び、インダクタンス読み取りの不正確さなどにリンクした不正確さを考慮に入れるようにさらに構成され得る。
【0053】
あるいは、非接触相互作用は、磁界変動に対応することができ、薬剤10の定量化は、図8に示されるように、磁気変動の測定を通じて実行され得る。
【0054】
たとえば、投薬機構B-1000は、ピストンB-1200上に取り付けられ、ピストンコースLに実質的に位置合わせされ、たとえば図8に示されるような南北方向の分極軸に沿って配向される磁気マーカM-1210と、ピストンコースLに沿っておよび/または磁気マーカM-1210の分極軸に実質的に垂直な軸上に配置された複数の磁気センサM-1100、たとえばホール効果センサ、Micro-Epsilon社製の磁気誘導センサなどを含み得る、測定システムC-1000とを含み得る。
【0055】
磁気マーカM1210は、磁気マーカM1210がピストンコースLに沿って変位するのに伴って変位する磁界線M1000を生成し得、一方、複数の磁気センサM1100は、磁界線M1000を受信し、磁界強度に相応する複数の磁界信号Msを提供し得る。複数の磁界信号Msは、データ取得回路C-1400で受信され得、図2に示すように、電気制御ユニットC-1200で実行されるソフトウェア命令を通じて、ピストンB-1200の位置Xが判定され得る。
【0056】
たとえば、電気制御ユニットC-1200によって実行されるソフトウェア命令は、複数の磁界信号Msのうち各磁界信号Msの線形応答部分に着目した差分測定法を介して、複数の磁界信号Msに基づいてピストンB-1200の位置Xを判定するように記述され得る。これらの差分測定法を用いることで、温度および/または湿度の変動による測定の不正確さを低減し得る。
【0057】
あるいは、非接触相互作用は、静電容量変動に対応することができ、薬剤10の定量化は、図9に示されるように、静電容量の測定を通じて実行し得る。
【0058】
たとえば、投薬機構B-1000は、ピストンB-1200上に取り付けられた可動電極N-1210と、ピストンコースLに沿って配置された複数の固定電極N-1110とを含み得る。
【0059】
複数の固定電極N-1110は、可動電極N-1210と複数の固定電極N-1110との間の静電容量値に相応する複数の静電容量信号Mcを提供し得る。
【0060】
複数の固定電極N-1110は、図9に示されるように、複数の固定電極N-1110が複数の静電容量信号Mcの各静電容量信号に正弦波形状を提供し、かつ互いの間に「所定の位相差」があるように、互いに電気的に接続され得る。たとえば、複数の固定電極N-1110は、図9に示すように、2組の電極で電気的に接続され、ピストンB1200の位置Xの測定の精度をさらに高めるために、実質的に180°に等しい「所定の位相差」を有し得る。
【0061】
静電容量信号Mcは、データ取得回路C-1400で受信され得、電気制御ユニットC-1200で実行されるソフトウェア命令により、ピストンB-1200の位置Xを判定し得る。
【0062】
あるいは、非接触相互作用は、渦電流変動に対応し得、薬剤10の定量化は、図10に示されるように、渦電流変動の測定を通じて実行され得る。
【0063】
たとえば、投薬機構B-1000は、ピストンB-1200上に取り付けられた金属部分である導電性対象E-1210と、ピストンコースLに沿って配置された複数のセンシングコイルE-1110とを含み得る。複数のセンシングコイルE-1110は、電源回路C-1300から交流電流ACを受信することができ、複数のセンシングコイルE-1110は、対向磁界を発生させる渦電流を導電性対象E-1210内に生成する交流磁界を生成し得る。複数のセンシングコイルE-1110は、複数のセンシングコイルE-1110によって生成された磁界と対向磁界との間の相互作用に相応するフィードバック信号Mfdを提供し得る。
【0064】
フィードバック信号は、データ取得回路C-1400で受信され得、電気制御ユニットC-1200で実行されるソフトウェア命令により、ピストンB-1200の位置Xを判定し得る。
【0065】
あるいは、導電性対象E-1210は、図11に示すように、複数のセンシングコイルE-1110によって生成された磁界によって通電されるようになり、複数の感知コイルE-1110に共振をもたらして、共振器E-1220と複数のセンシングコイルE-1110との間に結合因子を生成する共振器E-1220によって置き換えられ得る。
【0066】
加えて、測定システムC-1000は、共振器E-1220と複数のセンシングコイルE-1110との間の結合因子を検知するセンシング回路E-1320、たとえば図11に示すようなCOSセンシングコイル(KCOS)および/またはSINセンシングコイル(KSIN)を含み得る。
【0067】
電気制御ユニットC-1200の異なる要素、およびそれらの相互作用と機能については、以下の段落でさらに詳細に説明する。
【0068】
図3は、本開示の特定の態様による、薬物送達装置1000のアンテナC-1100の分解図である。
【0069】
アンテナC-1100は、互いに積み重ねられた複数の層C-1110を含み、コイルC-1120の複数のセットを支持する多層構造を有するプリント回路基板であり得る。
【0070】
たとえば、アンテナC-1100は、第1のコイルC-1122のセットを有する第1の層C-1112と、第2のコイルC-1124のセットを有する第2の層C-1114と、第3のコイルC-1126のセットを有する第3の層C-1116と、第4のコイルC-1128のセットを有する第4の層C-1118とを含み得る。
【0071】
コイルC-1122、C-1124、C-1126、C-1128の第1、第2、第3、および第4のセットは、ピストンコースLに沿って延在し、互いに電気的に接続され、ピストンコースLの各々の部分内のピストンB-1200の位置Xに相応する1つ以上のフィードバック信号Osを有するように、互いに所定のオフセット距離Doだけオフセットされ得る。
【0072】
たとえば、コイルC-1122、C-1124、C-1126、C-1128の第1、第2、第3、および第4のセットは、電源回路C-1300を介して2つずつ電気的に接続され、第1のフィードバック信号Os1および第2のフィードバック信号Os2を提供するために半分の長さでオフセットされ得、ここで、第1のフィードバック信号Os1は、ピストンコースLの前半の範囲内のピストン位置Xに相応し、第2のフィードバック信号Os2は、ピストンコースLの後半の範囲内のピストン位置Xに相応する。
【0073】
アンテナC-1100は、薬物送達装置1000によって抽出および/または吐出される薬剤量Qsの測定精度を高めるために、幾何学的な構成、たとえば形状、および/または位置を有し得る。
【0074】
図12Aに示されるように、第1の幾何学的構成において、アンテナC-1100は、実質的に剛性のある矩形の形状を有することができ、アンテナC-1100とピストンB-1200との間の距離を最小にするために、たとえば、バレルB-1100の外部バレル表面B-1110に接線方向に配置される。
【0075】
図12Bに示すように、第2の幾何学的構成において、アンテナC-1100は、たとえば、アンテナC-1100とピストンB1200との間の距離を最小化し、フィードバック信号Osの振幅を最大化するために、外部バレル表面B-1110の曲線に沿った可撓性および/または半可撓性の構造を有する矩形の形状を有し得る。
【0076】
アンテナC-1100の上記提示された幾何学的構成に関する多数の修正および変形が、上記の教示に照らして可能である。したがって、アンテナC-1100は、本明細書で具体的に説明されている以外の異なる構成を有し得ることを理解されたい。
【0077】
加えて、アンテナC-1100は、図1Aに示すように、バレルB-1100から所定の距離dbに配置され得、これは、フィードバック信号Osの振幅を最大化するには短いが、バレルB-1100および/またはハウジング内部に配置された測定システムC-1000のために十分な壁厚を確保するには十分な大きさである。たとえば、所定の距離は、1mm~10mmの間、好ましくは2mm~5mmの間であり得る。
【0078】
図4A図4Gは、本開示の特定の態様による、アンテナC-1100の第1、第2、第3、第4、第5、第6、および第7の例示的なコイル構成の概略図である。
【0079】
コイルC-1120の複数のセットは、ソフトウェア命令を介する1つ以上のフィードバック信号Osから、電気制御ユニットC-1200によって抽出されたピストン位置Xの値の精度を高める所定の信号分析特性を有する1つ以上のフィードバック信号Osを提供するコイル構成を有し得る。
【0080】
コイル構成には、コイル形状、縦方向コイル配置、横方向コイル配置、および/または巻線方向を含めることができ、所定の信号分析特性には、ピストン位置Xの関数として多数の信号、全単射条件、および/または信号振幅変動を含み得る。
【0081】
図4B図4Cに示すように、コイルC-1126とC-1128の第3と第4のセットについては正方形であり、図4A図4Cに示すように、コイルC-1122とC-1124の第1と第2のセットについては矩形であり、図4E図4Fに示すように、コイルC-1122、C-1124、C-1126、およびC-1128の第1、第2、第3、および第4のセットについては円形、および/または図4Dに示すように、コイルC-1122、C-1124、C-1126、およびC-1128の第1、第2、第3、および第4のセットについては楕円形であり得る。
【0082】
縦方向のコイル配置は、図4A図4Eに示すように、コイルC-1122とC-1124の第1と第2のセットの場合は1つずつであってもよく、または図4A図4CのコイルC-1126とC-1128の第3および第4のセットの場合には、2つずつの横並びであってもよい。
【0083】
横方向コイル配置は、図4A図4Cに示すように、コイルC-1122とC-1124の第1と第2のセットに対しては2つの連続して積層されたコイルが互いに実質的に上に位置するように位置合わせされ得、また、図4D図4Eに示すように、コイルC-1122とC-1124の第1と第2のセットに対しては、2つの連続して積層されたコイルが互いに、たとえば半分の長さだけオフセットされるよう千鳥格子状に位置合わせされ得る。
【0084】
巻線方向は、図4A図4Fに示すように、コイルC-1122の第1のセットについては時計回り、または図4A図4Fに示すように、コイルC-1124の第2のセットについては反時計回り、図4Fに示すように、コイルC-1122とC-1126の第1と第3のセットのように、1対1で配置されたコイルについては共回転、図4A図4Cに示すように、コイルC-1126とC-1128の第3と第4のセットのように2つずつ配置されたコイルについては、逆回転であり得る。
【0085】
コイルC-1120の複数のセットである第7構成では、コイルC-1122、C-1124、C-1126、およびC-1128の第1、第2、第3、および第4のセットは、コイルC-1120の複数のセット間の干渉を制限するために、二重反転して横並びに配置され、互いに重ねて配置され得る。
【0086】
アンテナC-1100の上記提示されたコイル構成に関する多数の修正および変形が、上記の教示に照らして可能である。したがって、アンテナC-1100のコイルは、本明細書で具体的に説明されている以外の異なる構成を有し得ることを理解されたい。
【0087】
図5は、本開示の特定の態様による、薬物送達装置1000の追跡システムD-1000の概略図である。
【0088】
薬物送達装置1000は、薬物送達装置1000の使用に関するキー情報Kを抽出し、記憶し、伝達するための追跡システムD-1000を含み得る。
【0089】
追跡システムD-1000は、対象識別子D-1100、薬剤識別子D-1200、ネットワークコントローラD-1300、および測定システムC-1000の対象識別子D-1100、薬剤識別子D-1200、ネットワークコントローラD-1300、ならびにデータ取得回路C-1400の各々と通信可能に連結(有線または無線通信)された補助電気制御ユニットD-2000を含み得る。
【0090】
対象識別子D-1100は、対象マーカD-1110を検出し、補助電気制御ユニットD-2000に、対象20の対象識別データに相応する対象識別信号TIを提供するように構成された任意のデバイスであり得る。たとえば、対象マーカD-1110は近距離無線通信(NFC)および/または超高周波(UHF)システムに依存する無線周波数識別(RFID)チップであり得、対象識別子D-1100はRFIDリーダであり得る。
【0091】
対象マーカD-1110は、対象20に取り付けられた耳タグ、首輪タグ、足首タグ、および/またはルーメンボーラスに配置され得る。
【0092】
対象識別データは、対象20の識別および追跡に関連する任意のデータ付属物を含み得る。たとえば、対象20が動物である場合、対象識別データは、動物識別番号(AIN)、動物コード、群コード、群れコード、特性識別コード(PIC)などを含み得る。
【0093】
一実施形態によれば、たとえばRFIDチップを介して動物に局所的に記憶された上記の対象識別データは、対象識別信号TIsとして受信され、補助電気制御ユニットD-2000(または類似の処理回路)によって処理され、たとえば、取得された対象識別データが予測された識別データと一致するか否かを判定し得る。この一致または一致しないことに基づいて、補助電気制御ユニットD-2000(または類似のもの)は、それに応じて農家に対して警告を生成し得る。あるいは、処理回路は、電気的アクチュエータを停止させるための制御信号を投薬機構B-1000に提供し得る。動物の予測された識別データは、とりわけ、AINを含み得る。一実施例では、農家が現在の処置対象の動物に薬剤を注入する準備をしている。抗生物質を投与される現在の処置対象の動物のAINは91であるが、農家の記録によれば、サーバ(およびデータベース)D-1500から、またはネットワークD-1400を介して取得された現在の動物の予測されるAINが36であるべきである場合、予測される識別データと現在の対象の識別データとが一致しないという警告が提供され得、電気的アクチュエータを停止するための制御信号が送信され得る。別の例では、ネットワークD-1400を介してサーバ(およびデータベース)D-1500と連携して、補助電気制御ユニットD-2000または同様のものが、最近処置された動物の識別データを記録し、そのエントリが後に照会され得るようにする。したがって、最近のデータエントリを相互参照することにより、1匹の動物に対する処置の重複が回避され得る。たとえば、補助電気制御ユニットD-2000が、データ記憶部内の処置対象動物の識別データと最近のエントリの識別データとが一致すると判定する場合には、警告が生成され、電気アクチュエータが停止され得ることで、当該動物が2回処置されないようにする。
【0094】
薬剤識別子D-1200は、薬剤マーカD-1210を検出するように、および薬剤の同一性に相応する薬剤識別信号Sisを補助電気制御ユニットD-2000に提供するように構成された任意のデバイスであり得る。たとえば、薬剤マーカD-1210は近距離無線通信(NFC)および/または超高周波(UHF)システムに依存する無線周波数識別(RFID)チップであり得、薬剤識別子D-1200はRFIDリーダであり得る。
【0095】
別の例では、図5に示すように、薬剤マーカD-1210はバーコードであり得、薬剤識別子D-1200はバーコードスキャナであり得る。薬剤マーカD-1210は、薬剤10を収容する受容器、たとえば、ボトルやポケットなどに、配置され得る。
【0096】
薬剤識別データは、薬剤10の識別および追跡に関連する任意のデータ付属物を含み得る。たとえば、対象20が薬物である場合、薬剤識別データは、薬物識別番号(DIN)、製造バッチコードなどを含み得る。
【0097】
一実施形態によれば、とりわけ製造バッチコードを含む薬剤識別データは、補助電気制御ユニットD-2000によって処理され得、薬剤10、または、たとえば抗生物質が製造された日付と薬剤10の有効期限がいつであるかを判定し得る。たとえば、現在治療を試みている日付が、製造バッチコードから判定された抗生物質の有効期限日を超えているか、またはそれに近い日付であると判定された場合、薬剤10の活性、つまり、実用性が低下する可能性があり、抗生物質を使用すべきではないという警告が生成され得る。同時に、処理回路は、制御信号を送信して、投薬機構B-1000の電気アクチュエータを停止させ得る。
【0098】
薬剤識別情報の上記の局所的な焦点とは対照的に、別の実施形態によれば、とりわけ製造バッチコードを含む薬剤識別データは、ネットワークD-1400を介してサーバ(およびデータベース)D-1500で収集されたグローバルデータに照らして考慮され得る。このグローバルデータには、たとえば、薬剤10の有効性の有無を指し示す他の農場からの情報、またはそれに関連する動物の問題点を含み得る。薬剤10が抗生物質である例では、抗生物質を入手してから、地方の農家が動物に投与するまでに時間が経過し、その間に細菌が進化して抗生物質に対して耐性を持つようになることが想像され得る。耐性は、サーバ(およびデータベース)D-1500で収集された、他の農家の動物が病気になったことを示すデータを評価することによって判定され得る。したがって、地方の農家が自分たちの動物に抗生物質を投与する準備をする際に、特定の病気に対して抗生物質が有効でなくなったことを知らせる警告が生成され得る。そのうえ、投薬機構B-1000の電気的アクチュエータを停止させる制御信号を送信し得る。たとえば、DINや製造バッチコードを含む薬剤識別データが、補助電気制御ユニットD-2000などによって処理され、サーバ(およびデータベース)D-1500で収集されたデータと比較され得る。抗生物質が、特定の地理的地域内または特定の品種の動物に対してフラグが立てられている場合には、自分たちの動物を抗生物質によって効果的に保護するために、新しい抗生物質が必要になることを地域の農家に知らせる警告が生成され得る。上記と同様に、投薬機構B-1000の電気アクチュエータは同時に停止され得る。
【0099】
一実施形態によれば、対象識別データと薬剤識別データとが、タンデムで評価され得る。たとえば、異なる抗生物質が、異なる動物に適している場合、各動物に固有のデータがRFIDチップなどに記憶され、治療プロセスの開始時に、対象識別データから判定された特定の動物に必要な抗生物質が、薬剤識別データと比較されて、正しい抗生薬剤が動物に供給されていることを確認し得る。
【0100】
ネットワークコントローラD-1300は、ネットワークD-1400を介して、追跡システムD-1000、サーバ(およびデータベース)D-1500、電子デバイスD-1600との間で、キー情報K、たとえば、対象識別データ、薬剤識別データ、および/または対象20に投与された薬剤量Qsを、交換するように構成された任意の回路であり得る。
【0101】
たとえば、ネットワークコントローラD-1300は、ネットワークD-1400とのインターフェースのために、Intel Corporation of America社製のIntel Ethernet PROネットワークインターフェイスカードとし得る。理解され得るように、ネットワークD-1400は、インターネットなどのパブリックネットワーク、またはLANもしくはWANネットワークなどのプライベートネットワーク、またはそれらの任意の組み合わせであり得、PSTNまたはISDNサブネットワークをも含み得る。ネットワークD-1400は、イーサネットネットワークなどの有線にすることも、EDGE、3Gおよび4G無線セルラーシステムを含むセルラーネットワークなどの無線ネットワークにし得る。ワイヤレスネットワークは、WiFi、Bluetooth、または既知の他の無線通信形式であってもよい。
【0102】
あるいは、図6に示すように、ネットワークコントローラD-1300は、補助電気制御ユニットD-2000に統合され得る。
【0103】
サーバ(およびデータベース)D-1500は、電子データベース、コンピュータおよび/またはコンピュータ化されたサーバ、データベースサーバ、またはデータを記憶するように構成された任意のネットワークホストなど、薬物送達装置1000の使用に関する主要情報Kへのアクセスを記憶および/または提供するように構成され得る。
【0104】
電子デバイスD-1600は、キー情報Kを記憶および表示できるコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、タブレットなどであり得る。同様に、電子デバイスD-1600は、ネットワークD-1400を介してサーバ(およびデータベース)D-1500から送信された信号、またはキー情報Kおよびその処理に基づいて、警告を生成するように構成され得、警告は、可聴警告、視覚警告、触覚警告などのうちの1つ以上である。
【0105】
一実施形態によれば、上記の警告は、電気制御ユニットC-1200、補助電気制御ユニットD-2000、サーバ(およびデータベース)D-1500、および同様のものによる電子デバイスD-1600の制御を介して、農家、すなわちユーザに提供され得る。
【0106】
一実施形態によれば、上記の制御信号(たとえば、ロックアウト信号)は、電気制御ユニットC-1200、補助電気制御ユニットD-2000、サーバ(およびデータベース)D-1500、および同様のものによる、薬物送達装置1000および/または電子デバイスD-1600の制御を介して、農家、すなわちユーザに提供され得る。
【0107】
補助電気制御ユニットD-2000は、電気制御ユニットC-1200と同様の機能と要素を有し得、または電気制御ユニットC-1200に置き換えられるので、上記のタスクを実行するために互換的に使用され得る。電気制御ユニットC-1200と補助制御ユニットD-2000の両方については、以下の段落でさらに詳細に説明する。
【0108】
別の実施形態によれば、薬剤の投与中に薬物送達装置1000によって取得された情報は、動物(すなわち対象)の健康状態を縦断的に評価するために、ローカルで(薬物送達装置1000において)、またはリモートで(サーバ(およびデータベース)D-1500において)、または追跡システムD-1000において記憶および/または処理され得る。たとえば、動物に局在するRFIDチップから取得した対象識別データ(例:AIN)、薬剤保管ユニットに局在するRFIDチップから取得した薬剤識別データ(例:DIN)、薬物送達装置1000の測定システムC-1000で測定された投与された薬剤の量Qs、および薬剤のバッチ、投与の日付、投与の角度、および追加の環境要因に関連する他の情報は、動物の健康の遡及的評価のためにローカルまたはリモートで送信および/または記憶され得る。たとえば、薬剤が抗生物質である場合、動物の健康状態は、抗生物質投与の瞬間から、投与時に記録された環境要因に照らして、一時的に追跡され得る。この一時的な追跡は、動物の福祉と抗生物質投与の特定の指標との相関を可能にし、他の例では動物の福祉の予測を提供し得る。
【0109】
図6は、本開示の特定の態様による、薬物送達装置1000を動作するための方法のフローチャートである。
【0110】
ステップS100において、薬剤識別子D-1200を介して、および電気制御ユニットC-1200および/または補助電気制御ユニットD-2000によって実行されるソフトウェア命令を介して、薬剤識別データが抽出される。
【0111】
たとえば、薬剤識別子D-1200は、薬剤マーカD-1210を読み取り、薬剤識別データに相応する薬剤読取信号を電気制御ユニットC-1200および/または補助電気制御ユニットD-2000に提供し得る。
【0112】
加えて、薬剤識別データは、電気制御ユニットC-1200および/または補助電気制御ユニットD-2000のメモリC-1204に記録され得る。
【0113】
ステップS200では、対象20が検出され、対象識別子D-1100を介して、電気制御ユニットC-1200および/または補助電気制御ユニットD-2000によって実行されるソフトウェア命令を介して、対象識別データが抽出される。
【0114】
たとえば、対象識別子D-1100は、薬剤マーカD-1210を検出および読み取り、対象識別データに相応する対象読取信号を電気制御ユニットC-1200および/または補助電気制御ユニットD-2000に提供し得る。
【0115】
加えて、対象識別データは、電気制御ユニットC-1200および/または補助電気制御ユニットD-2000のメモリC-1204に記録され得る。
【0116】
ステップS200の直後に、抽出された薬剤データと抽出された対象データは、電気制御ユニットC-1200および/または補助電気制御ユニットD-2000によって評価され、正しい薬剤の投与であるかを検証し、必要に応じて、図5に関して上記で概説したように、警告を生成して、投薬機構B-1000の電気アクチュエータを停止して、介入し得る。
【0117】
ステップS300において、薬剤量Qsは、測定システムC-1000を介して、および電気制御ユニットC-1200によって実行されるソフトウェア命令を介して判定される。
【0118】
たとえば、アンテナC-1100は、ピストンB-1200とアンテナC-1100の間の電磁相互作用に基づいて出力電流Osを提供し得る。データ取得回路C-1400は、出力電流Osを受信し、出力電流Osに基づいて、出力電流Osの共振周波数Frに相応する周波数読取信号を電気制御ユニットC-1200に提供し得る。電気制御ユニットC-1200は、周波数読取値を受信し、周波数読取値に基づいてピストン位置Xを判定し、その結果、薬物送達装置1000によって送達される薬剤量Qsを判定し得る。
【0119】
ステップS400において、ネットワークコントローラD-1300を介して、および電気制御ユニットC-1200によって実行されるソフトウェア命令を介して、対象識別データ、薬剤識別データ、および薬剤量Qsが、電子デバイスD-1600および/またはサーバ(およびデータベース)D-1500に送信される。
【0120】
あるいは、対象識別データ、薬剤識別データ、および/または薬剤量Qsは、最初に電気制御ユニットC-1200のメモリC-1204に記録され、後に、ネットワークコントローラD-1300を介して、電気制御ユニットC-1200によって実行されるソフトウェア命令を介して、電子デバイスD-1600および/またはサーバ(およびデータベース)D-1500に送信され得る。
【0121】
加えて、測定システムC-1000および/または追跡システムD-1000は、たとえば、軽量、可搬性、機械システムへ依存しない、低エネルギー消費、および/または電力網システムに接続する必要が無いなどの実用性により、測定システムC-1000および/または追跡システムD-1000は、既成の薬物送達装置、たとえば、すでに使用中および/または稼働中の薬物送達装置に後付けされ得る。たとえば、測定システムC-1000および/または追跡システムD-1000は、ボルト、リベット、接着剤、グルーまたはそれらの組み合わせなどの取り付けデバイスを使用して投薬機構B-1000および/またはストックA-1000に固定することにより、既成の薬物送達装置に後から組み込まれ得る。
【0122】
図7は、薬物送達装置1000の電気制御ユニットC-1200のハードウェア図の概略図である。なお、一実施形態では、図7はまた、補助電気制御ユニットD-2000のハードウェア図を示すことに留意されたい。一実施形態では、図7はまた、サーバ(およびデータベース)D-1500(および、特に、少なくとも、モニタC-1214、ディスプレイコントローラC-1212、ディスクC-1208、CD-ROM C-1210、ディスクコントローラC-1206、メモリC-1204、バスC-1228、プロセッサC-1202、ネットワークインターフェースC-1226、ネットワークC-1224、I/OインターフェースC-1216、およびキーボード/マウスC-1220)のハードウェア図を示すことに留意されたい。
【0123】
図7に示すように、本開示によるシステム、動作、およびプロセスは、プロセッサC-1202または少なくとも1つの特定用途向けプロセッサ(ASP)などの処理回路を使用して実装され得る。プロセッサC-1202は、本開示のシステム、動作、およびプロセスを実行および/または制御するためのプロセッサC-1202を制御するように構成されたメモリC-1204(たとえば、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、スタティックメモリ、DRAM、SDRAM、およびそれらの等価物)などのコンピュータ可読記憶媒体を利用し得る。他の記憶媒体は、ハードディスクコントローラC-1208または光ディスクドライブC-1210を制御することができるディスクコントローラC-1206を介して制御され得る。
【0124】
代替の実施形態では、プロセッサC-1202またはその態様は、本開示を強化または完全に実施するための論理デバイスを含むか、または排他的に含み得る。このような論理デバイスには、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、汎用ロジックアレイ(GAL)、およびそれらの等価物が含まれるが、これらに限定されない。プロセッサC-1202は、別個のデバイスまたは単一の処理メカニズムであり得る。さらに、この開示は、マルチコアプロセッサの並列処理機能から利益を得ることができる。
【0125】
別の態様では、本開示による処理の結果は、ディスプレイコントローラC-1212を介して、電気制御ユニットC-1200の周辺機または一部であり得るモニタC-1214に表示され得る。そのうえ、モニタC-1214は、コマンド/命令インターフェースへのタッチセンシティブインターフェースが提供され得る。ディスプレイコントローラC-1212はまた、計算効率を改善するために少なくとも1つのグラフィック処理ユニットを含み得る。付加的に、電気制御ユニットC-1200は、センサC-1218からセンサデータを入力するため、およびアクチュエータC-1222に命令を出力するために提供されるI/O(入力/出力)インターフェースC-1216を含み得る。センサC-1218およびアクチュエータC-1222は、本開示に記載されているセンサおよびアクチュエータのいずれかの例示である。たとえば、センサは、電気制御ユニットC-1200と補助電気制御ユニットD-2000のデータ取得回路C-1400だけでなく、補助電気制御ユニットD-2000の対象識別子D-1100および薬剤識別子D-1200であり得る。
【0126】
さらに、他の入力デバイスが、周辺機器として、または電気制御ユニットC-1200の一部として、I/OインターフェースC-1216に接続され得る。たとえば、キーボードまたはマウスC-1220などのポインティングデバイスは、本開示の様々なプロセスおよびアルゴリズムのパラメータを制御し得、追加の機能および構成オプションを提供し、または表示特性を制御するために、I/OインターフェースC-1216に接続され得る。この開示で説明される装置の要素のいずれかで具現化され得るアクチュエータC-1222もまた、I/OインターフェースC-1216に接続され得る。
【0127】
上記のハードウェアコンポーネントは、制御可能なパラメータを含むデータをモバイルデバイスに送信または受信するためのネットワークインターフェースC-1226を介して、インターネットまたはローカルイントラネットなどのネットワークC-1224に連結され得る。中央バスC-1228は、上記のハードウェア構成要素を一緒に接続し、それらの間のデジタル通信のための少なくとも1つの経路を提供するために提供され得る。
【0128】
本開示の実施形態はまた、以下の括弧内に示されるとおりであり得る。
【0129】
(1)薬剤を収容するバレルと、ピストンコースに沿ってバレル内で摺動可能なピストンと、入力電流を提供するための電源回路と、複数の層が互いに積層されて電源回路に接続された回路基板を含むバレルに沿って取り付けられたアンテナと、入力電流を受信し、ピストンでインダクタンスを生成し、インダクタンスに相応する出力電流を提供するための複数の層上の複数のコイルと、対象マーカを検出し、対象情報に相応する対象読取信号を提供するための対象識別子と、薬剤マーカを読み取り、薬剤情報に相応する薬剤読取信号を提供するための薬剤識別子と、出力電流、対象読取信号、および薬剤読取信号を受信するように、出力電流に基づいてバレル内の薬剤の量を判定するように、対象読取信号に基づいて対象情報を抽出するように、および薬剤読取信号に基づいて薬剤情報を抽出するように、構成されている処理回路とを備える、薬物送達装置。
【0130】
(2)複数のコイルがピストンコースに沿って延在する、(1)の薬物送達装置。
【0131】
(3)複数のコイルのうちの少なくとも2つのコイルが、互いに所定のオフセット距離だけオフセットされ、ピストンコースの第1の部分内のピストン位置に相応する第1の出力電流およびピストンコースの第2の部分内のピストン位置に相応する第2の出力電流を提供する、(1)または(2)のいずれかの薬物送達装置。
【0132】
(4)オフセット距離が、少なくとも2つのコイルの幅の半分に実質的に等しい、(1)~(3)のいずれかの薬物送達装置。
【0133】
(5)回路基板が、第1の単一矩形コイルを有する第1の層と、第2の単一矩形コイルを有する第2の層と、第1の矩形コイルに電気的に接続され、所定のオフセット距離だけオフセットされて第1の出力電流を提供する、第1の対の矩形コイルを有する第3の層と、第2の矩形コイルに電気的に接続され、所定のオフセット距離だけオフセットされて第2の出力電流を提供する、第2の対の矩形コイルを有する第4の層とをさらに含む、(1)~(4)のいずれかの薬物送達装置。
【0134】
(6)対象マーカが、無線周波数識別チップであり、対象識別子が無線周波数識別チップを読み取るように構成されている、(1)~(5)のいずれかの薬物送達装置。
【0135】
(7)薬剤マーカが、薬剤を収容する容器上に配置された無線周波数識別チップであり、薬剤識別子が無線周波数識別チップを読み取るように構成されている、(1)~(6)のいずれかの薬物送達装置。
【0136】
(8)薬剤の量、対象情報、および薬剤情報を、データベースおよび電子デバイスの少なくとも一方に送信するように構成されている、ネットワークコントローラをさらに備える、(1)~(7)のいずれかの薬物送達装置。
【0137】
(9)薬剤を収容するバレルと、ピストンコースに沿ってバレル内に摺動可能なピストンと、入力電流を提供するための電源回路と、複数の層が互いに積層されて電源回路に接続された回路基板を含むバレルに沿って取り付けられたアンテナと、入力電流を受信し、ピストンでインダクタンスを生成し、インダクタンスに相応する出力電流を提供するための複数の層上の複数のコイルと、複数のコイルに接続され、および出力電流を受信するように、出力電流に基づいてバレル内の薬剤の量を判定するように構成されている処理回路とを備える、薬物送達装置。
【0138】
(10)複数のコイルがピストンコースに沿って延在する、(9)の薬物送達装置。
【0139】
(11)複数のコイルのうちの少なくとも2つのコイルが、互いに所定のオフセット距離だけオフセットされ、ピストンコースの第1の部分内のピストン位置に相応する第1の出力電流およびピストンコースの第2の部分内のピストン位置に相応する第2の出力電流を提供する、(9)または(10)のいずれかの薬物送達装置。
【0140】
(12)オフセット距離が、少なくとも2つのコイルの幅の半分に実質的に等しい、(9)~(11)のいずれかの薬物送達装置。
【0141】
(13)回路基板が、第1の単一矩形コイルを有する第1の層と、第2の単一矩形コイルを有する第2の層と、第1の矩形コイルに電気的に接続され、所定のオフセット距離だけオフセットされて第1の出力電流を提供する、第1の対の矩形コイルを有する第3の層と、第2の矩形コイルに電気的に接続され、所定のオフセット距離だけオフセットされて第2の出力電流を提供する、第2の対の矩形コイルを有する第4の層とをさらに含む、(9)~(12)のいずれかの薬物送達装置。
【0142】
(14)薬剤を収容するバレルと、ピストンコースに沿ってバレル内に摺動可能なピストンと、ピストンと非接触相互作用を生成し、非接触相互作用の定量化に相応する出力電流を提供するためにバレルに沿って取り付けられた測定システムと、出力電流を受信し、出力電流に基づいてバレル内のピストンの位置に依存する変数を判定するように構成されている処理回路とを備える、薬物送達装置。
【0143】
(15)非接触相互作用がインダクタンス相互作用であり、測定システムがインダクタンス相互作用を生成するための複数のコイルを含む、(14)の薬物送達装置。
【0144】
(16)ピストンがインダクタンスマーカを含む、(14)または(15)のいずれかの薬物送達装置。
【0145】
(17)非接触相互作用が磁界であり、測定システムが磁界を感知する磁界センサを含む、(14)~(16)のいずれかの薬物送達装置。
【0146】
(18)ピストンが、磁界を生成するための磁気マーカを含む、(14)から(17)のいずれかの薬物送達装置。
【0147】
(19)非接触相互作用が、磁気誘導相互作用であり、測定システムが磁気誘導センサ、たとえば変位センサを含む、(14)~(18)のいずれかの薬物送達装置。
【0148】
(20)非接触相互作用が、音波相互作用であり、測定システムがマイクロ波発生器を含む、(14)から(19)のいずれかの薬物送達装置。
【0149】
(21)非接触相互作用が、光学的相互作用であり、測定システムが光学センサを含む、(14)~(20)のいずれかの薬物送達装置。
【0150】
(22)薬剤を対象に送達する薬物送達装置を動作する方法であって、薬物送達装置の薬剤識別子と薬剤の薬剤マーカを介して薬剤識別データを抽出することと、薬物送達装置の対象識別子と対象の対象マーカから対象データを抽出することと、薬物送達装置の投薬機構を介して薬剤を送達することと、薬物送達装置の測定システムを介して送達された薬剤の量を判定することと、薬物送達装置の回路を介して薬剤識別データ、対象データおよび送達された薬剤の量を記録することとを含む、薬物送達装置の動作方法。
【0151】
(23)測定システムの電源回路を介して入力電流を提供することと、測定システムの複数のコイルを介して入力電流を受信することと、複数のコイルと、投薬システムのピストンとの間にインダクタンス相互作用を生成することと、インダクタンスの相互作用に相応する出力電流の提供することと、をさらに含む、(22)の方法。
【0152】
(24)薬物送達装置が、薬剤を収容するためのバレルと、ピストンコースに沿ってバレル内に摺動可能なピストンと、バレルに沿って取り付けられた測定システムとを備える、(22)または(23)のいずれかの方法。
【0153】
(25)測定システムを用いてピストンとの非接触相互作用を生成することをさらに含む、(22)~(24)のいずれかの方法。
【0154】
(26)非接触相互作用の定量化に相応する出力電流を測定システムで生成することをさらに含む、(22)~(25)のいずれかの方法。
【0155】
(27)非接触相互作用が、インダクタンス相互作用であり、測定システムがインダクタンス相互作用を生成するための複数のコイルを含む、(22)~(26)のいずれかの方法。
【0156】
(28)ピストンがインダクタンスマーカを含む、(22)~(27)のいずれかの方法。
【0157】
(29)非接触相互作用が磁界であり、測定システムが磁界を感知する磁界センサを含む、(22)~(28)のいずれかの方法。
【0158】
(30)ピストンが、磁界を生成するための磁気マーカを含む、(22)~(29)のいずれかの方法。
【0159】
(31)非接触相互作用が、磁気誘導相互作用であり、測定システムが磁気誘導センサ、たとえば変位センサを含む、(22)~(29)のいずれかの方法。
【0160】
(32)非接触相互作用が、音波相互作用であり、測定システムがマイクロ波発生器を含む、(22)~(31)のいずれかの方法。
【0161】
(33)非接触相互作用が、光学的相互作用であり、測定システムが光学センサを含む、(22)~(32)のいずれかの方法。
【0162】
前述の議論は、本開示の目的の単なる例示的な実施形態を開示および説明する。当業者によって理解されるように、本開示の目的は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。したがって、本開示は、例示を意図したものであり、本開示の目的の範囲ならびに特許請求の範囲を限定するものではない。
【0163】
上記の教示に照らして、本開示に対する多数の修正および変更が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本開示は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されてもよいことが理解される。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B