(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】引出しガイド及び引出しガイドを有する電子レンジ調理器具又は工業用オーブン
(51)【国際特許分類】
A47B 88/487 20170101AFI20231212BHJP
A47B 88/493 20170101ALI20231212BHJP
A47B 88/467 20170101ALI20231212BHJP
A47B 88/437 20170101ALI20231212BHJP
F24C 7/02 20060101ALI20231212BHJP
F24C 15/16 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A47B88/487
A47B88/493
A47B88/467
A47B88/437
F24C7/02 521M
F24C15/16 G
(21)【出願番号】P 2020550799
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2019056733
(87)【国際公開番号】W WO2019179956
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】102018106787.9
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504467554
【氏名又は名称】ポール ヘティッヒ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レー, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】レスマン, ヨハン-ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ティウィシナ, ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー, セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ヨハン
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-293846(JP,A)
【文献】特開平09-036557(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013225405(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012100454(DE,A1)
【文献】独国実用新案第202008006302(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0122572(US,A1)
【文献】特開2009-082592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
F24C 7/02
F24C 15/16
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体レール(1)と、キャリアを置くために本体レールと相対的に移動可能な走行レール(2)とを備える、電子レンジ調理器具又は工業用オーブン用の引出しガイドにおいて、
前記走行レール(2)を本体レール(1)に電気的に接触させる手段が配備され、
該電気的に接触させる手段は、少なくとも1つの接触ローラ(15)を含み、
該少なくとも1つの接触ローラ(15)は、本体レール(1)及び/又は走行レール(2)に回転可能に取り付けられ、夫々の他方のレールと接触して、引出しガイドが引き込まれたときに、夫々の他のレール内に移動するように配置され、
少なくとも1つの傾斜路(16、17)が、少なくとも1つの接触ローラ(15)が入る他のレールの領域に配置され、少なくとも1つの接触ローラ(15)は、弾性的に取り付けられ、、それによって、ガードロック及び/又は自己閉鎖機構を実装するように機能する、引出しガイド。
【請求項2】
前記本体レール(1)と走行レール(2)に対して移動可能な中間レール(3)を有して、完全伸展型引出しガイドとして構成された、請求項1に記載の引出しガイド。
【請求項3】
前記電気的に接触させる手段は、前記走行レール(2)及び/又は本体レール(1)を中間レール(3)に電気的に接続する、請求項2に記載の引出しガイド。
【請求項4】
前記本体レール(1)、走行レール(2)及び付随的に中間レール(3)を電気的に接触させる手段は、引出しガイドが引き出された少なくとも1つの位置で電気的な接触を確立する、請求項1乃至3の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項5】
接触ローラ(15)は更に、停止機能を実装するように機能する、請求項1乃至4の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項6】
少なくとも1つの接触ローラ(
15)は、遊びをもって取り付けられる、請求項1乃至5の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項7】
少なくとも1つの接触ローラ(
15)は、導電性材料である金属及び/又はグラファイト及び/又は導電性プラスチックからなる、請求項1乃至6の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項8】
少なくとも1つの接触ローラは、導電性材料によって完全に又は部分的に囲まれたコアを有する、請求項7に記載の引出しガイド。
【請求項9】
導電性材料は、導電性糸の編まれた又はかぎ針編みの布であり、柔軟性を有する、請求項
8に記載の引出しガイド。
【請求項10】
導電性材料は、導電性ブラシ又は剛毛であり、柔軟性を有する、請求項8に記載の引出しガイド。
【請求項11】
導電性材料は、導電性プラスチックであり、柔軟性を有する、請求項
8に記載の引出しガイド。
【請求項12】
少なくとも1つの接触ローラ
(15)は、確実なロックによって引出しガイドを閉じた位置に保持するように構成される、請求項1乃至11の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項13】
少なくとも1つの前カバー(12)が本体レール(1)及び/又は走行レール(2)の端部領域に形成又は固定され、前カバー(12)は非導電性材料であるセラミック材料でコーティング又は被覆されている、請求項1乃至12の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかに記載の引出しガイドの少なくとも1つを有する、電子レンジ調理器具又は工業用オーブン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体レールと、キャリア、特に食品キャリアを置くために本体レールと相対的に移動可能な走行レールとを備える、電子レンジ調理器具又は工業用オーブン用の引出しガイドに関する。本発明は更に、そのような引出しガイドを備えた電子レンジ調理器具又は工業用オーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
オーブンなどの調理器具では、引出しガイドが確立され、該引出しガイドを用いて、例えばベーキングトレイである食品キャリアが器具の調理室から便利に引き出されて、より簡単に取り出され、又は食品キャリアを傾けるリスクなく調理サンプルを取り出すことができる。
【0003】
マイクロ波放射を介して他の調理方法と排他的又は代替的に、又はそれらと組み合わせて食品を加熱又は調理する調理器具において、調理室にある全ての要素は、マイクロ波放射による特定の制限を受ける。引出しガイドを含む調理室内の組込み要素がマイクロ波放射からエネルギーを吸収し、それにより吸収されたエネルギーを望ましくない方法で加熱又は放散することを防止する必要がある。一方で、エネルギーの観点からは、加熱は望ましくなく、他方では調理室内の引出しガイドやその他の要素が損傷したり、火災の原因となることがある。プラズマ放電が形成されるリスクもあり、これもエネルギーの観点から、また破壊的影響に関しても望ましくない。加熱目的でマイクロ波放射を使用する工業用オーブンにも同様の問題が存在する。
【0004】
ドイツ公開公報4142346号から、電子レンジ調理器具用の引出しガイドが公知であり、引出しガイドの走行レールは、閉じた中空断面プロファイルのシールドレールで囲まれている、又は走行レール自体がシールドレールとして構成されている。シールドレールは、引出しガイドの内部要素がマイクロ波放射にアクセスできないように、実際の引出しガイドをシールドする。
【0005】
この構成の不利な点は、閉じた中空断面プロファイルの構成では、走行レールが移動する領域で引き出しレールを直接支持することはできないことである。従って、引出しレールは、後端領域でのみ固定可能であり、例えば、調理室の側壁に回転可能に取り付けられたガイドローラーによって、前領域で案内されなければならない。そのようなガイドローラーは、引出しガイドのための更なる空間要件をもたらし、全伸長/過剰伸長ユニットとしての構成は可能にならない。更に、このような露出したガイドローラのクリーニングには問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的はマイクロ波放射を伴う調理室又は加熱室に使用され、閉じた中空断面プロファイルを使用せず、且つ更なる外部のガイド要素が無い引出しガイドを提供することである。更なる目的は、そのような引出しガイドを備えた電子レンジ調理器具及び工業用オーブンを記載することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、夫々の独立請求項の特徴を備えた引出しガイド又は電子レンジ調理器具又は工業用オーブンによって解決される。有利な構成及び更なる展開例は、従属請求項の主題事項である。
【0008】
上記のタイプの引出しガイドは、走行レールと本体レールの間に電気的に接触させる手段が配備されたことを特徴とする。
このようにして、引出しガイドにマイクロ波を照射すると、引出しガイドのレールの1つに、別のレールと比較して電荷が蓄積され、付随的にレール間の(プラズマ)放電に帰することが防止される。
【0009】
引出しガイドも導電性の方法で取り付けられていると想定される場合、本体レールは調理室の側壁に電気的に接続されて、レール全体、従って外部からアクセス可能な引出しガイドの殆ど全ての金属要素は、調理室の側壁と同じ電位にある。これにより、引出しガイドから側壁への放電も防止される。更に、側壁はしばしば接地される。等電位ボンディングとは、引出しガイドもそれに応じて接地されることを意味する。マイクロ波は、接地された要素上に波のノード(節点)を形成することが好ましく、これは、マイクロ波によって接地された要素にエネルギーが伝達されない大凡の理由である。
【0010】
有利な構成において、引出しガイドは完全伸展型引出しガイドとして構成され、本体レールに対して移動可能な中間レールと前記走行レールを特徴とする。取り付けられた(食品)キャリアは、キャリアが特に簡単にアクセスできる程度まで、完全伸展型引出しによって電子レンジの内部から取り出される。好ましくは、電気的接触のための手段はまた、走行レール及び/又は本体レールを中間レールと電気的に接続し、中間レールもマイクロ波照射による放電から保護されている。
【0011】
引出しガイドの更に有利な構成において、本体レール、走行レール及び必要ならば中間レールを電気的に接触させる手段は、引出しガイドが引き出された少なくとも1つの位置で電気的接触を確立する。或いは、引出し領域全体にわたってレール間に電気的接続が存在するように電気的に接触させる手段を設計することが考えられる。しかし、マイクロ波は通常、内部がドアで閉じられている場合にのみ発生するため、引出しガイドが引き込まれた位置での接触は特に重要である。
【0012】
引出しガイドの更に有利な構成において、電気的に接触させる手段は、本体レール及び/又は走行レールの端部領域に挿入され、少なくとも1つの接触要素を有する少なくとも1つの端部プラグを含み、該接触要素は本体レール及び/又は走行レール内に突出し、走行レールに接触する。端面にてレールを閉じる端部プラグが一般的に引出しガイドに配備される。端部プラグはストッパを形成し、レールが過度に後退するのを防ぐ。多くの場合、端部プラグの前側にカバーが付いている。上記の構成では、接触要素が端部プラグに配置され、レール、即ち本体レールと走行レール、及び存在する場合は中間レールも互いに確実に電気的に接続する。従って、大きな設計変更なしに、電気的に接触させる手段は一般に知られている引出しガイドの構成に統合される。
【0013】
少なくとも1つの接触要素は、例えば接触ロッドとして構成される。或いは、接触要素はまた、接触ばねとして構成され得る。少なくとも1つの接触要素は、摩擦及び/又は確実なロックによって引出しガイドを引込み位置に保持するように構成されるのが好ましい。従って、接触要素は、電子レンジで頻繁に必要とされるガードロックとしても知られるロック機能を実行するために有利に使用される。これは例えば、電子レンジのドアと前カバーの間の距離を維持するために使用され、従って、これらの要素間の故障(火花)を更に防止する。しかし、代替の構成においては、別個の要素を用いてガードロックを実行することも可能である。
【0014】
引出しガイドの他の有利な構成において、電気的に接触させるための手段は、少なくとも1つの接触ローラを含む。1つの構成において、少なくとも1つの接触ローラは、中間レール上に回転可能に配置され、本体レール及び/又は走行レールと接触することができる。少なくとも2つの接触ローラが、中間レールの長手方向に中間レール上に前後に配置されて、確実に接触するのが好ましい。高さの許容誤差を補正し、さらに優れた電気的接触を実現するために、少なくとも1つの接触ローラにバネ及び/又は遊びを設けることができる。
引出しガイドが完全伸展型引出しのように構成されている場合、接触ローラは、既存の引出しガイドの設計概念に簡単に統合できる接触要素にも相当する。
【0015】
更なる構成において、少なくとも1つの接触ローラは、本体レール及び/又は走行レール上に回転可能に取り付けられ、レールの他方に接触することができる。例えば、少なくとも1つの接触ローラは、引出しガイドが引き込まれたときに夫々の他のレールに入り、従って、少なくとも引出しガイドが引き込まれた状態で2つのレールの間で接触するように配置され得る。
【0016】
この場合において、少なくとも1つの傾斜路がさらに提供されて、少なくとも1つの接触ローラが入る他のレールの領域に配置されてもよい。特に、ばね荷重が掛けられた接触ローラと組み合わせて、ガードロック及び/又は自己引込み機能及び/又は停止機能を実現することができる。
【0017】
これにより、少なくとも1つの接触要素及び/又は少なくとも1つの接触ローラは、導電性材料、特に金属及び/又はグラファイト及び/又は導電性プラスチックを有することができる。好ましい金属は、良好な導電性のために、銅、真鍮又は青銅である。導電性材料は、例えば、ポリケトン(POK)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)及び/又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり得て、これらは適切な添加剤、通常はカーボンブラックなどの炭素粒子によって導電性にされる。
【0018】
接触要素及び/又は少なくとも1つの接触ローラは、全体的に又は部分的に上記の材料で作られる。導電性又は非導電性材料からなるコアが、導電性で柔軟な材料によって囲まれることも可能である。導電性で柔軟な材料は、例えば、導電性糸の編まれた、又はかぎ針編みの布であるか、又は導電性ブラシ又は剛毛を含む。
【0019】
本発明による電子レンジ調理器具又は工業用オーブンは、少なくとも1つのそのような引出しガイドを有する。これにより、引出しガイドに関連して述べた利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、図面に示された実施形態の助けを借りて、以下により詳細に説明される。
【
図1a】様々な等角図での引出しガイドの第1の実施形態例の全体図を示す。
【
図1b】様々な等角図での引出しガイドの第1の実施形態例の全体図を示す。
【
図1c】様々な等角図での引出しガイドの第1の実施形態例の全体図を示す。
【
図1d】様々な等角図での引出しガイドの第1の実施形態例の全体図を示す。
【
図2a】様々な等角図での引出しガイドの更なる実施形態例を示す。
【
図2b】様々な等角図での引出しガイドの更なる実施形態例を示す。
【
図2c】様々な等角図での引出しガイドの更なる実施形態例を示す。
【
図3a】様々な等角図での引出しガイドの更なる実施形態例を示す。
【
図3b】様々な等角図での引出しガイドの更なる実施形態例を示す。
【
図3c】様々な等角図での引出しガイドの更なる実施形態例を示す。
【
図4】等角図での引出しガイドの更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1a乃至
図1dは、電子レンジ用の引出しガイドの第1の例を示す。
電子レンジ調理装置は、電子レンジ機能、又は電子レンジ調理機能の代替として、又はそれに加えて熱調理機能を提供する、いわゆる組合せ装置であると理解される。原則として、少なくとも2つのそのような引出しガイドは、同じ高さで調理室内の左右に使用され、例えばベーキングトレイ又はグリッドである食品キャリアを引出しガイドの上に置き、調理室から水平に出すことができる。必要に応じて、そのような引出しガイドは、上下にいくつかのレベルで配置することができる。しかしながら、本発明による引出しガイドを例えば加熱又は架橋用プラスチック用である工業用オーブンで使用することも考えられる。
【0022】
引出しガイドは引き出された状態で、
図1aにて全体的な斜視図で示される。
図1b乃至
図1dは、視野角に関して基本的に類似している。しかしながら、引出しガイドのより多くの要素が連続的に取り除かれて、引出しガイドの内部構造を洞察する(insight)。
【0023】
図1aに示すように、引出しガイドは本体レール1と、本体レール1の上に配置され本体レール1に対してスライド可能にガイドされる走行レール2を備える。電子レンジに取り付けられるとき、本体レール1は例えば 取付けブラケットである、ここでは見えない取付け用ハードウェアによって調理室の片側に取り付けられる。食品キャリアは走行レール2に接続された
図1aに見える例えばボルト21によって、走行レール2に置かれて固定される。このようにして、食品キャリアは電子レンジのドアが開いているときに引出しガイドの助けを借りて調理室から引き出すことができ、付随的に引出しガイドから取り外すこともできる。各ユニットの前には、前カバー12があり、該前カバーの1つは図の右側に示され、然るに図の左側に示された前カバーの1つは走行レール2に固定されて、走行レール2とともに移動する。
【0024】
図1bにて、走行レール2及び本体レール1が除去される。この図にて、引出しガイドは、本体レール1と走行レール2の両方に対して移動できる中間レール3を備えた完全伸展型引出しとして構成されていることが判る。本体レール1と走行レール2は夫々、部分的に開いた側面を持つ閉じられていない正方形の輪郭として構成されている。本体レール1及び走行レール2の輪郭のこれらの部分的に開いた側は互いに向かい合っているので、中間レール3は本体レール1及び走行レール2の夫々の内側まで延びることができる。中間レール3は、幾つかの転動要素5が保持されている少なくとも1つの転動要素ケージ4によって、本体レール1及び走行レール2内で変位可能に案内される。
【0025】
本発明に従って、図示の引出しガイドは、レール間の電気的接触のための手段が設けられているため、電子レンジ調理器具での使用に適している。引出しガイドも導電的に取り付けられていると想定される場合、本体レール1は、通常は接地されている調理室の側壁に電気的に接続され、全てのレール、従って外部からアクセス可能な引出しガイドの基本的に全ての金属要素は、等電位的にバランスが取れている。
【0026】
このようにして、引出しガイドにマイクロ波を照射すると、引出しガイドの1つの要素に電荷が蓄積されることが防止され、この要素から別の要素への(プラズマ)放電が発生する可能性が防止される。また、放電は電子レンジのドアを開けた後で引出しガイドに触れるユーザを危険にさらし得る。接地はまた、マイクロ波が接地された要素上に波ノードを形成することを引き起こし、本質的に、マイクロ波によって接地された要素にエネルギーが伝達されない。
【0027】
図1a乃至
図1dに示された実施形態例にて、本体レール1と走行レール2と中間レール3との間に電気的接触を生成する手段として引出しガイドの片側に端部プラグ10が嵌められる。これらの端部プラグ10は、既に述べた前カバー12無しで、
図1c及び
図1dに別々に示される。
【0028】
端部プラグ10は夫々前カバー12を支持し、接触ロッド13が挿入される凹部が設けられたベース本体11を有する。ベース本体は前カバーと一体で構成することもできる。
【0029】
ベース本体11は、それらの外側輪郭が、本体レール1又は走行レール2の端部領域にできるだけ正確に押し込まれるように形作られる。レールの1つは、何れの場合にも、特に(スポット)溶接又はスタンピングによって、ベース本体11の1つに接続される。これにより、一方の端部プラグ10が本体レール1にしっかりと接続され、もう一方の端部プラグ10が走行レール2にしっかりと接続される。
【0030】
ベース本体11から開始して、接触ロッド13は、本体レール1又は走行レール2内に突出し、本体レール1、走行レール2の夫々の外側輪郭の内側、及びそれらの外側の中間レール3に接触する。示された例において、各ベース本体上に6つの接触ロッド13があり、それは3つの接触ロッド13の2つのグループ、夫々上部グループ及び下部グループに分けられる。上部グループの接触ロッド13は、走行レール2と中間レール3の間の接続を付与し、下部グループの接触ロッド13は、中間レール3を本体レール1に接続する。
【0031】
接触ロッド13は有利には、例えば、金属、好ましくは銅、青銅、真鍮又は鋼からでも、良好な導電性を有する材料から作られる。良好な導電性を有する他の材料、例えばグラファイトも使用できる。接触ロッド13に例えば、導電性POK、PP、TPU及び/又はPEEKである導電性プラスチックを使用することも可能である。
【0032】
接触ロッド13は、上記の材料のみで作ることができるので、接触ロッドの材料はレールと接触ロッドの材料の表面とを接触させる。しかし、接触ロッド13に導電性潤滑剤又は導電性コーティングを設けることも考えられ、これは、言及された材料と比較してより広範囲の接触をもたらし得る。また、編地又は組み込まれた剛毛又はブラシによって、接触ロッド13の表面を機械的に柔軟にすることも考えられ、これにより、レールの横方向又は縦方向の配置に互いに許容差があったとしても、良好な接触が得られる。接触ロッドをベース本体と一体の要素として製造することも考えられ、これは、材料ミックス(多成分射出成形)又はその後にコーティングされた接触ロッドの何れかで構成される。
【0033】
電子レンジの引出しガイドには、いわゆるガードロック機能もしばしば望まれ、その場合、引出しガイドは押し込み位置及び/又は完全に伸展した位置に容易に固定される。このタイプのガイドロックは端部プラグ10及び接触ロッド13を備えた本体レール1、中間レール3、走行レール2によって、例えば摩擦接続によって有利に達成され、又は例えば引出しガイドの内側又は外側のロックばねである更なる要素によって接触ロッドの材料を保護するように達成される。
【0034】
構成により、レールは、引出しガイドが引っ込められたとき、又は殆ど引っ込められたときにのみ、接触ロッド13によって接触される。しかしながら、この状態でのみ、引出しガイドはマイクロ波にさらされ、引出しガイドを伸ばすための前提条件である電子レンジのドアを開くと、通常は電子レンジがオフになる。
【0035】
図2a乃至
図2cは、本発明に従った引出しガイドの第2の実施形態例を示す。
図2aは、
図1aと同じ方法で引出しガイドを、引っ込んだ状態の等角図で示している。
図2bは、引出しガイドの拡大断面図を示している。最後に、
図2cは引き出された状態の引出しガイドを等角図の全体図で示している。
図2a乃至
図2cにおいて、同じ参照番号は、
図1a乃至
図1dと同じ又は同等に有効な要素を示す。
【0036】
基本的な構造に関して、第2の実施形態の引出しガイドは、第1の実施形態の引出しガイドと同等である。この場合も、引出しガイドは完全に引き出される引出しとして構成されており、本体レール1は、中間レール3に対して直線的に移動し、走行レール2に対して中間レール3が直線的に移動できるように取り付けられている。ここでは示されない転動要素を備えた転動要素ケージによって、ベアリングが再び実行される。
【0037】
本体レール1は、電子レンジの調理室内の側壁に取り付けられている。食品キャリアは、走行レール2上に配置されて、第1の実施形態と同様にボルト21によって固定され、取り外し可能である。前カバー12は前面の引出しガイドを覆い、前カバー12の1つ(図では右側)は本体レールに取り付けられており、前カバー12のもう1つ(図では左側)は走行レール2に取り付けられている。示される実施形態例にて、前カバー12は走行レールに直接固定され、又は走行レールの1つに夫々挿入されるプラグによって固定される。
【0038】
第2の実施形態例において、接触ローラ31は、本体レール1、中間レール3及び走行レール2を互いに接触させる手段として、中間レール3に回転可能に取り付けられている。接触ローラ31は、導電性材料で作られているか、又は導電性材料を有しており、接触ロッド13に関連して第1の実施形態例で与えられた材料のリストが参照される。特に、固体から直接の構成であるが、弾性のある材料も考えられ、又は圧縮可能な材料、たとえば編み物又はかぎ針編みの生地、毛又はブラシの縁、又は導電性プラスチックで囲まれた中実(ハード)コアを有する構成も考えられる。この周囲は、特に接触ローラ31の周方向走行面を指す。
【0039】
接触ローラ31は、ここでは示されずに中間レール3から突出する軸に取り付けられるのが好ましく、ここで取り付けは、接触ローラ31の高さ補償を可能にするために、傾斜可能な軸受又はばね軸受を介して行うこともできる。接触ローラ31のばね軸受の場合、接触ローラ31の第1の部分が、ばね荷重式で本体レール1に押し付けられることが提供され、然るに接触ローラ31の他の部分は、ばね荷重式で走行レール2を押圧する。
接触ローラ31の大部分は、本体レール1と走行レール2との間の電気的接続を、直接又は中間レール3を介して間接的に提供する。
【0040】
原則として、引出しガイドが閉じているときに、レールを互いに接触させるには、1つの接触ローラ31で十分であろう。しかしながら、良好で信頼できる接触を達成するために、少なくとも2つ、特に複数の接触ローラ31が設けられるのが好ましい。特に、接点は数センチ(cm)間隔で設けられている。使用されるマイクロ波は一般に約12cmの波長を有する。互いに接触していないレールの部分がマイクロ波の波長の約4分の1、つまり約3cm以下であれば、アンテナ効果によって引き起こされる電荷は効果的に防止される。
【0041】
接触ローラ31が本質的に中間レール3の長手方向全体に沿って配置されている場合、
図2cに示すように、引出しガイドが完全に伸展している場合でも、レール間の接触は保証される。
【0042】
図2a乃至
図2cにおける第2の実施形態例にて、ガードロック機構が実施される。この場合、接触ローラ31を介してガードロック機構を実施することが可能であり、その結果、これらは電気的接触とガードロックの両方に有利である。ガードロックは、例えば、接触ローラ31が本体レール1又は走行レール2上を転がる走行面に沿って膨らみを形成することにより、例えば窪みの形で実施することもできる。くぼみは、接触ローラ31の少なくとも1つが、引出しガイドの閉じた(及び付随的に更に伸展した)状態で、このようなエンボスに配置されるように配置され、それによって引出しガイドはこの位置で簡単に固定される。特に、対応する接触ローラは、膨らみの方向にばねで負荷がかけられているため、この位置ではわずかなロック機能が生じる。
【0043】
示された両方の実施形態例にて、前カバー12は、さらなる展開例において、例えばセラミック材料などの非導電性材料でコーティング又は被覆することができる。この非導電性材料は、走行レール2と調理室の後壁及び/又は電子レンジのドアとの間のスペーサとして機能する。引出しガイド及び/又はドアに高電位が発生しても、この方法で火花放電が回避される。上記のガードロックはまた、例えば、電子レンジのドアと前カバー12との間の距離を維持するために使用され得、それにより、放電(火花)を防止する。
【0044】
図3a乃至
図3cは、本発明に従った引出しガイドの第3の実施形態例を示す。
図3aは、
図1aと同様の方法で引出しガイドを、引っ込めた状態の等角図で示している。
図3bは、引出しガイドの拡大された前部を示す。
図3cは、部分的に透明な要素を有する
図3bと同じ断面を示し、引出しガイドの内部構造への洞察を可能にする。
【0045】
図3a乃至
図3cにおいて、同じ符号は、前の図と同じ又は同様に機能する要素を示す。基本的な構成に関して、この第3の実施形態例の引出しガイドは、上に示したものと同等である。引出しガイドは、完全伸展型引出しとしても構成されており、本体レール1は、中間レール3に対して移動し、中間レール3は走行レール2に対して移動できるように取り付けられている。ベアリングは、ここには示されていない転動要素を備えた転動要素ケージによって実行される。
【0046】
本体レール1が調理器具の側壁に取り付けられると、上記で示した実施形態例のように、食品キャリアは再び走行レール2上に置かれ、走行レール2のボルト21によって固定される。
【0047】
この実施形態例にて、本発明による接触手段として少なくとも1つの接触ローラ15が設けられ、これは弾性部分14を介して前カバー12に取り付けられ、回転可能に取り付けられる。本実施例の接触ローラ15も、第2実施形態例の接触ローラ31と同様に、導電性材料で形成されているか、導電性材料を有している。接触ローラ15は、そのベアリング及び前カバー12の弾性部分14を介して走行レール2に電気的に接続されている。弾性部分14を含む前カバー12は、例えば、パンチ工程及び曲げ工程にて金属シートから作製され得、スポット溶接継手によって走行レール2に接続され得る。
【0048】
図3a乃至
図3dに示すように、引出しガイドが閉じると、接触ローラ15は、本体レール1の前部領域内に突出し、ばね力の下で、その下部の水平断面で本体レール1と接触する。中間レール3は、通常、本体レール1又は走行レール2の全長にわたって延びていないため、図示されている本体レール1の前部には、接触ローラ15が後退できる空きスペースがある。走行レールの後部領域に同等の空きスペースが存在し、その中に接触ローラ15を代替的又は追加的に同じように配置することができる。後部領域内の接触ローラ15を伴う実施形態例は、
図4に示される。
【0049】
走行レール2と本体レール1を電気的に接触させる機能に加え、少なくとも引出しガイドが引っ込められたとき、示される実施形態の例における接触ローラ15はまた、ガードロック及び/又は自己閉鎖機構ならびに停止機能を実施するように機能する。
【0050】
この目的から、接触ローラ15が走行する走行面は、本体レール1の前部領域において傾斜路16として構成されている。弾性部分14が接触ローラ15を本体レール1の方向に押し下げるばね力により、傾斜路16は、走行レール2を完全に後退した位置に自動的に移動させる。図示の例では、傾斜路16は、パンチ工程及び曲げ工程において、本体レール1の材料から一体的に形成される。傾斜路は本体レール1の他のコースと比較して、1cmから数cmの範囲の長さと数度の範囲の傾斜を持っている。
【0051】
走行レール2が引出しガイドの伸展位置から引き込まれると、弾性部分14により接触ローラ15が飛び出す。接触ローラ15が本体レール1に近づくと、本体レールを引き込むとき、力が従って最初に加えられ、接触面を備えた接触ローラ15を本体レール1の下部水平断面の高さにする。この工程を容易にすべく、本体レール1の前部には、傾斜路16と反対の勾配を有する別の傾斜路17が設けられている。本体レール1が引き込まれたときに、別の傾斜路17の助けを借りて接触ローラ15が持ち上げられた後、自己引込機構は、傾斜路16上で接触ローラ15を転動させることにより開始する。引込み動作は、接触ローラが、この場合は傾斜路16の打ち抜き部分の突起として構成された端部ストッパ18で停止することによって終了し、又は前カバーが反対側のガイドレールに当たるか、又は例えば転動要素を介して引出しガイドの内部ストッパによって終了する。
【0052】
図4は、ガイドの実施形態例を全体斜視図で示し、引出しガイドの本体レール又は走行レールと電気的に接続するために接触ローラ15を使用する。
【0053】
上記で示した実施形態例と対照的に、この引出しガイドは走行レールの上を滑るU字形断面のカバー22を有する。カバー22の両側はまた、本体レール、特に、走行レールと本体レールとの間に通常存在するギャップを覆い、それにより、引出しガイドのレールをマイクロ波放射から保護する。
【0054】
図3a乃至
図3cの実施形態例とは対照的に、この場合、接触ローラ15は引出しガイドの後部領域に位置する。接触ローラは、本体レール上にばねで取り付けられた方法で配置され、傾斜路16、17は、走行レール上に相応して構成される。カバー22は、傾斜路16、17の領域にて凹んでいる。
【符号の説明】
【0055】
1 本体レール
2 走行レール
21 ボルト
22 カバー
3 中間レール
31 接触ローラ
4 転動要素ケージ
5 転動要素
10 端部プラグ
11 ベース本体
12 前カバー
13 接触ロッド
14 弾性部分
15 接触ローラ
16 傾斜路
17 傾斜路
18 端部ストッパ