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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】最適化システム及び最適化方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231212BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231212BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231212BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20231212BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20231212BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20231212BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20231212BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20231212BHJP
   B60L 53/68 20190101ALI20231212BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20231212BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20231212BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20231212BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J7/00 P
H01M10/44 P
H01M10/48 P
B60L3/00 S
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/62
B60L53/68
B60L58/13
G16Y10/40
G16Y20/30
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020555822
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2018082965
(87)【国際公開番号】W WO2019196094
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】サブリナ カトリン レヒケマー
(72)【発明者】
【氏名】シャオユン ヅァン
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ティー. エイチ. サヴォトニー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ボロンカ
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011951(JP,A)
【文献】特開2011-138767(JP,A)
【文献】国際公開第2013/051151(WO,A1)
【文献】特開平10-150701(JP,A)
【文献】特開2014-061881(JP,A)
【文献】特開2014-107984(JP,A)
【文献】特表2016-537877(JP,A)
【文献】特表2021-521764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
B60L 3/00
B60L 15/20
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/62
B60L 53/68
B60L 58/13
G16Y 10/40
G16Y 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最適化システムであって、
電気車両を含むアプリケーションデバイスにおける電力貯蔵デバイスの使用を最適化するための1つ以上の基準を受信し、
ユーザ入力、クラウドからのデータ、及び、前記アプリケーションデバイスに関するデータのうちの少なくとも1つを含むデータを受信し、
受信した前記1つ以上の基準に基づいて、受信した前記データから前記電力貯蔵デバイスを充電又は放電するための充電/放電プロファイルを決定する
ように構成されたプロセッサと、
前記充電/放電プロファイルを出力するための出力端と、
を含み、
前記プロセッサは、前記充電/放電プロファイルに関するユーザフィードバック、機械学習データ、ビッグデータ、並びに、前記最適化システム及び/又は前記アプリケーションデバイスに関する変更のうちの少なくとも1つを受信し、前記充電/放電プロファイルに関する前記ユーザフィードバック、機械学習データ、ビッグデータ、並びに、前記最適化システム及び/又は前記アプリケーションデバイスに関する前記変更のうちの受信した少なくとも1つに基づいて、前記充電/放電プロファイルを更新するようにさらに構成されており、
前記プロセッサは、ユーザの運転行動及び充電行動に従って、前記電気車両の予期されるルート及び電力消費量を決定し、前記電気車両の前記予期されるルート及び電力消費量に基づいて、前記電力貯蔵デバイスを充電又は放電するための前記充電/放電プロファイルを決定するようにさらに構成されており、
前記プロセッサは、前記電気車両の前記予期されるルートを含む所与の運転ルートに対する効率マップを使用し、前記効率マップは、前記所与の運転ルートに対する前記電力貯蔵デバイスの充電状態に依存する効率を示し、前記効率を、前記充電/放電プロファイルにおける充電/放電に対する個別の基準として又は他の基準と組み合わせて使用して、前記効率が所定値以上となるように前記電力貯蔵デバイスの充電状態を所定範囲内に維持し得る前記充電/放電プロファイルを決定するようにさらに構成されている、
最適化システム。
【請求項2】
前記アプリケーションデバイスに関するデータには、前記アプリケーションデバイスの1つ以上のパラメータと、前記アプリケーションデバイスにおいて記録又は導出されたデータとが含まれ、前記アプリケーションデバイスの1つ以上のパラメータには、前記電力貯蔵デバイス及びパワートレイン部品の1つ以上のパラメータが含まれる、
請求項1に記載の最適化システム。
【請求項3】
前記データには、リアルタイムデータ及び履歴データが含まれる、
請求項2に記載の最適化システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記アプリケーションデバイスにおける前記電力貯蔵デバイスの使用を最適化するための複数の基準を受信し、
前記複数の基準の各基準に対する重み係数を受信し、
受信した前記データに基づいて、前記複数の基準の各基準に対する1つ以上の最適化パラメータを決定し、
前記複数の基準の各基準に対する前記1つ以上の最適化パラメータ及び前記重み係数に基づいて、前記充電/放電プロファイルを決定する
ように構成されている、
請求項1に記載の最適化システム。
【請求項5】
前記1つ以上の基準には、バッテリ寿命、範囲延長、パフォーマンス、電力コスト、効率、及び/又は、充電時間が含まれる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の最適化システム。
【請求項6】
充電される前記電力貯蔵デバイスを含むアプリケーションデバイスと、
電源に結合され、前記電源から前記電力貯蔵デバイスへの充電電流を発生させるように構成された充電デバイスと、
前記アプリケーションデバイス及び/又は前記充電デバイスに結合されるように構成された少なくとも1つの外部デバイスと、
をさらに含み、
前記プロセッサは、前記アプリケーションデバイス、前記充電デバイス、及び、前記少なくとも1つの外部デバイスのうちの少なくとも1つに配置されている、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の最適化システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記充電デバイスに関するデータ、前記電源に関するデータ、及び、前記外部デバイスからのデータのうちの少なくとも1つを受信し、受信した前記データ、並びに、前記充電デバイスに関するデータ、前記電源に関するデータ、及び、前記外部デバイスからのデータのうちの受信した少なくとも1つに基づいて、前記充電プロファイルを決定するようにさらに構成されており、前記充電デバイスに関するデータ及び前記電源に関するデータには、それぞれ、前記充電デバイス及び前記電源の1つ以上のパラメータ、並びに、前記充電デバイス及び前記電源において記録又は導出されたデータが含まれる、
請求項6に記載の最適化システム。
【請求項8】
充電のための前記1つ以上の基準が、少なくともバッテリ寿命を含み、前記プロセッサは、第1の充電フェーズ、第2の充電フェーズ及び第3の充電フェーズを有するものとして前記充電プロファイルを決定するように構成されており、前記電力貯蔵デバイスは、前記第1の充電フェーズにおいて最適な充電状態に充電され、前記第2の充電フェーズにおいて待機し、予期される充電終了前に前記第3の充電フェーズにおいて所望の充電状態に充電される、
請求項1に記載の最適化システム。
【請求項9】
電気車両を含むアプリケーションデバイスにおける電力貯蔵デバイスの使用を最適化するための1つ以上の基準を受信することと、
ユーザ入力、クラウドからのデータ、及び、前記アプリケーションデバイスに関するデータのうちの少なくとも1つを含むデータを受信することと、
受信された前記1つ以上の最適化基準に基づいて、受信された前記データから前記電力貯蔵デバイスを充電又は放電するための充電/放電プロファイルを決定することと、
前記充電/放電プロファイルに関するユーザフィードバック、機械学習データ、ビッグデータ、並びに、前記最適化システム及び/又は前記アプリケーションデバイスに関する変更のうちの少なくとも1つを受信することと、
前記充電/放電プロファイルに関する前記ユーザフィードバック、機械学習データ、ビッグデータ、並びに、前記最適化システム及び/又は前記アプリケーションデバイスに関する変更のうちの受信された少なくとも1つに基づいて、前記充電/放電プロファイルを更新することと、
を含み、
前記充電/放電プロファイルを決定することは、
ユーザの運転行動及び充電行動に従って、前記電気車両の予期されるルート及び電力消費量を決定することと、
前記電気車両の前記予期されるルート及び電力消費量に基づいて、前記電力貯蔵デバイスを充電又は放電するための前記充電/放電プロファイルを決定することと、
を含み、
前記充電/放電プロファイルを決定することは、
前記電気車両の前記予期されるルートを含む所与の運転ルートに対する効率マップを使用し、前記効率マップは、前記所与の運転ルートに対する前記電力貯蔵デバイスの充電状態に依存する効率を示し、前記効率を、前記充電/放電プロファイルにおける充電/放電に対する個別の基準として又は他の基準と組み合わせて使用して、前記効率が所定値以上となるように前記電力貯蔵デバイスの充電状態を所定範囲内に維持し得る前記充電/放電プロファイルを決定すること
をさらに含む、
最適化方法。
【請求項10】
前記アプリケーションデバイスに関するデータには、前記アプリケーションデバイスの1つ以上のパラメータ、及び、前記アプリケーションデバイスにおいて記録又は導出されたデータが含まれ、前記アプリケーションデバイスの1つ以上のパラメータには、前記電力貯蔵デバイス及びパワートレイン部品の1つ以上のパラメータが含まれる、
請求項9に記載の最適化方法。
【請求項11】
前記データには、リアルタイムデータ及び履歴データが含まれる、
請求項10に記載の最適化方法。
【請求項12】
前記電力貯蔵デバイスの使用を最適化するための複数の基準が受信され、前記方法は、
前記複数の基準の各基準に対する重み係数を受信することと、
受信された前記データに基づいて、前記複数の基準の各基準に対する1つ以上の最適化パラメータを決定することと、
前記複数の基準の各基準に対する前記1つ以上の最適化パラメータ及び前記重み係数に基づいて、前記充電/放電プロファイルを決定することと、
を含む、
請求項9乃至11のいずれか一項に記載の最適化方法。
【請求項13】
前記1つ以上の基準には、バッテリ寿命、範囲延長、パフォーマンス、電力コスト、効率、及び/又は、充電時間が含まれる、
請求項9乃至12のいずれか一項に記載の最適方法。
【請求項14】
充電のための前記1つ以上の基準が、少なくともバッテリ寿命を含み、前記方法は、第1の充電フェーズ、第2の充電フェーズ及び第3の充電フェーズを有するものとして前記充電プロファイルを決定することを含み、前記電力貯蔵デバイスは、前記第1の充電フェーズにおいて最適な充電状態に充電され、前記第2の充電フェーズにおいて待機し、予期される充電終了前に前記第3の充電フェーズにおいて所望の充電状態に充電される、
請求項9に記載の最適化方法。
【請求項15】
電源に結合され、前記電源から前記電力貯蔵デバイスへの充電電流を発生させるように構成された充電デバイスに関するデータ、前記電源に関するデータ、並びに、前記アプリケーションデバイス及び/又は前記充電デバイスに結合されるように構成された外部デバイスからのデータのうちの少なくとも1つを受信することと、
受信された前記データ、並びに、前記充電デバイスに関するデータ、前記電源に関するデータ、及び、前記外部デバイスからのデータのうちの受信された少なくとも1つに基づいて、前記充電プロファイルを決定することと、
をさらに含み、
前記充電デバイスに関するデータ及び前記電源に関するデータには、それぞれ、前記充電デバイス及び前記電源の1つ以上のパラメータ、並びに、前記充電デバイス及び前記電源において記録又は導出されたデータが含まれる、
請求項9に記載の最適化方法。
【請求項16】
1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、請求項9乃至15のいずれか一項に記載の最適化方法を実施するための命令を含むコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電力貯蔵デバイスの充電/放電に関し、特に、電力貯蔵デバイスの使用のための最適化システム及び最適化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリのような電力貯蔵デバイスは、電気車両を構成するアプリケーションデバイスの重要な部分であり続けている。バッテリには限られた電力しか保存されず、直ちに再充電することもできず、また、バッテリの寿命は、その公称寿命がより長いにも関わらず電気車両においては比較的低くなり得るため、通常、バッテリは、1年後又は2年後に交換する必要があり、例えば、電動スクータにおいては、ユーザの電気車両に対する受容が依然として低いままであり得る。
【0003】
バッテリの充電/放電のために、いくつかの最適化方式が存在する。一例においては、最適化システムは、限られたユーザ入力のみを受信し、バッテリの寿命延長などの特定の充電最適化基準に基づいて、又は、バッテリの寿命延長などの最適化基準に重点を置くことなくユーザの要件を満たすために、バッテリの充電を最適化する。他の例においては、ユーザ入力とともにバッテリ及び電源の情報が処理されて、最適な充電/放電サイクルが計算される。特に、バッテリを充電/放電するための充電/放電サイクルは、ユーザの好みを示すユーザ入力に基づいて決定可能であり、この好みには、バッテリの寿命を延長したい、又は、バッテリの運用コストを低減したい、という願望が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の概要
電力貯蔵デバイス、例えば電気車両内のバッテリの使用を最適化するために、充電/放電プロファイルを動的に調整し得る、改善された最適化システム及び方法が提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態においては、最適化システムが提供される。最適化システムは、アプリケーションデバイスにおける電力貯蔵デバイスの使用を最適化するための1つ以上の基準を受信し、(1つ又は複数の)ユーザ入力、クラウドからのデータ、及び、アプリケーションデバイスに関するデータのうちの少なくとも1つを含むデータを受信し、受信した1つ以上の基準に基づいて、受信したデータから電力貯蔵デバイスを充電又は放電するための充電/放電プロファイルを決定するように構成されたプロセッサと、充電/放電プロファイルを出力するための出力端と、を含み、プロセッサは、充電/放電プロファイルに関するユーザフィードバック、機械学習データ、ビッグデータ、並びに、最適化システム及び/又はアプリケーションデバイスに関する変更のうちの少なくとも1つを受信し、充電/放電プロファイルに関するユーザフィードバック、機械学習データ、ビッグデータ、並びに、最適化システム及び/又はアプリケーションデバイスに関する変更のうちの受信した少なくとも1つに基づいて、充電/放電プロファイルを更新するようにさらに構成されている。
【0006】
他の実施形態においては、最適化方法が提供され、当該方法は、アプリケーションデバイスにおける電力貯蔵デバイスの使用を最適化するための1つ以上の基準を受信することと、(1つ又は複数の)ユーザ入力、クラウドからのデータ、及び、アプリケーションデバイスに関するデータのうちの少なくとも1つを含むデータを受信することと、受信された1つ以上の最適化基準に基づいて、受信されたデータから電力貯蔵デバイスを充電又は放電するための充電/放電プロファイルを決定することと、充電/放電プロファイルに関するユーザフィードバック、機械学習データ、ビッグデータ、並びに、最適化システム及び/又はアプリケーションデバイスに関する変更のうちの少なくとも1つを受信することと、充電/放電プロファイルに関するユーザフィードバック、機械学習データ、ビッグデータ、並びに、最適化システム及び/又はアプリケーションデバイスに関する変更のうちの受信された少なくとも1つに基づいて、充電/放電プロファイルを更新することと、を含む。
【0007】
さらに他の実施形態においては、コンピュータ記憶媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、最適化方法のステップを実施するための命令を含む。
【0008】
1つの利点は、電力貯蔵デバイスの使用を最適化するための充電/放電プロファイルが動的に更新され得ることである。
【0009】
他の利点は、電力貯蔵デバイスの使用を最適化するための複数の基準が同時に考慮され得ることである。
【0010】
さらに他の利点は、最適化の間に、電力貯蔵デバイス以外のアプリケーションデバイスの部品に関する情報を含む、より多くの情報が考慮されることである。
【0011】
本開示の様々な態様及び特徴を、以下においてさらに詳細に記載する。また、本発明の他の目的及び利点は、付随する図面と組み合わせて作成された記載を参照することによって、より明白になり、より容易に理解されるであろう。
【0012】
本発明は、実施形態と組み合わせてかつ図面を参照して、以下においてより詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による最適化システム10の概略ブロック図である。
図2】本発明の他の実施形態による最適化システム100の概略ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による最適化方法300のフローチャートである。
図4A】本発明の一実施形態によって決定/更新された充電プロファイルの概略図である。
図4B】本発明の一実施形態によって決定/更新された充電プロファイルの概略図である。
図5A】効率マップの概略図である。
図5B】効率マップの概略図である。
図6】本発明の一実施形態による放電プロファイルの例を示す図である。
【0014】
図面中の同一の参照符号は、類似又は対応する特徴及び/又は機能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明を、特定の実施形態に関して、かつ、特定の図面を参照して説明するが、本発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載した図面は、概略的なものにすぎず、限定的なものではない。図面においては、要素の一部のサイズが誇張されている場合があり、説明目的のために縮尺通りに描かれていない場合がある。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による最適化システム10を示している。最適化システム10は、充電デバイス14による電源13からの電力貯蔵デバイス15の充電、及び、電力貯蔵デバイス15の放電を含む、バッテリのような電力貯蔵デバイス15の使用を最適化するために使用することができる。充電デバイス14は、電力貯蔵デバイス15を充電するための充電電流を発生させることができる。電力貯蔵デバイス15は、アプリケーションデバイス内にあり、アプリケーションデバイスに電力を供給するために使用される。アプリケーションデバイスは、電気車両、及び、充電可能又は放電可能な電力貯蔵デバイスが使用される任意のアプリケーションを含み得る。電気車両には、以下に限定されるものではないが、電気自動車、電気二輪車及びスクータが含まれる。各実施形態を、以下においては電気車両を参照して説明するが、これは、同様の効果を達成する他のアプリケーションデバイスに使用することができないことを意味するものではない。
【0017】
最適化システム10は、プロセッサ11と出力端12とを含む。プロセッサ11は、電気車両の電力貯蔵デバイスの充電/放電を最適化するために使用されるデータを受信する。データには、(1つ又は複数の)ユーザ入力、クラウドからのデータ、及び、電気車両に関するデータ、並びに、任意選択的に、充電プロファイルが決定されている場合には、電源13に関するデータ、及び/又は、充電デバイス14に関するデータのうちの少なくとも1つが含まれる。電気車両に関するデータには、電気車両内の電力貯蔵デバイスに関する情報だけでなく、電気車両の他の部品、例えば電気車両のパワートレイン部品のパラメータも含まれる。このようにして、最適化の間に、より多くの情報が考慮され得る。受信されるデータは、リアルタイムデータ、又は、メモリに記憶された履歴データであるものとしてもよい。履歴データは、既存の最適化方式又はヒューリスティックデータであるものとしてもよい。最適化のために受信されるデータについては、後に詳述されることがある。
【0018】
プロセッサ11はまた、電気車両の電力貯蔵デバイス15の使用を最適化するための1つ以上の基準を受信する。基準は、所定のものとするとよい。あるいは、一例においては、基準は、ユーザ、例えば、運転者から入力されるものとしてよく、又は、運転者の先行の充電/放電行動などの受信されたデータから決定されるものとしてもよい。最適化基準には、バッテリの寿命延長、範囲延長、パフォーマンス、電力コスト、効率、及び/又は、充電時間などが含まれ得る。一実施形態においては、選択可能な最適化基準のテーブルを運転者に表示することができ、次いで、運転者が、電力貯蔵デバイスの充電又は放電のどちらが最適化されるかに従って、テーブル内の最適化基準のうちの1つを選択することができる。それらの基準のうちのいくつかは互いに依存し、例えば、範囲延長は、寿命に影響を与えるバッテリの充電状態にも依存し得るため、運転者はまた、組み合わせて考慮されるべき複数の最適化基準を選択するものとしてもよい。
【0019】
プロセッサ11は、受信した1つ以上の基準に基づいて、受信したデータから電力貯蔵デバイス15を充電/放電するための充電/放電プロファイルを決定する。充電プロファイルは、電力貯蔵デバイスに対する充電電流を発生させるために使用することができる。放電プロファイルは、例えば、運転者に表示して、運転者に運転プロファイルに従って運転することを促す運転プロファイルのように表され得る。充電プロファイル及び放電プロファイルの例が示されることがあり、図4A図4B及び図6を参照して以下において説明されることがある。充電/放電プロファイルは、以下に限定されるものではないが、充電/放電の開始時及び/又は終了時に関する情報、充電/放電電流の値、充電/放電状態、充電/放電電圧、並びに、電力貯蔵デバイスの放電を最適化するための運転速度などを含む、電力貯蔵デバイスを充電/放電するための様々な情報が含まれるものとするとよい。複数の最適化基準の場合、プロセッサ11は、複数の最適化基準、及び、複数の最適化基準の各基準に対する重み係数を受信し、受信したデータに基づいて、複数の基準の各基準に対する1つ以上の最適化パラメータを決定し、1つ以上の最適化パラメータ及び重み係数に基づいて、充電/放電プロファイルを決定する。最適化パラメータには、充電/放電プロファイルに関する任意の情報、例えば、充電/放電電流、充電/放電状態、又は、充電/放電電圧が含まれるものとしてもよい。重み係数は、ユーザ入力又はクラウドから受信されるものとしてもよく、さらに、前もって最適化システムに記憶されるものとしてもよい。
【0020】
一例においては、インバータ/モータのバッテリ寿命及び効率が、組み合わせて考慮される基準として選択される。インバータ/モータの最も効率的な入力電圧は、バッテリ寿命に最適な充電電圧と同等でないものとしてもよい。例えば、バッテリ寿命に最適な充電最大電圧は55Vであり得るが、インバータは、58Vで最も効率的に動作する。この場合には、バッテリ寿命に最適な充電最大電圧と、インバータ/モータの効率に最適な入力電圧との両方がプロセッサ11において決定され、例えば、それらの両方がパレート最適曲面/曲線(Pareto Front)を形成し得る。バッテリ寿命の重み係数が20パーセントであり、効率の重み係数が80パーセントである場合、最適な電圧は、57.4Vであり得る。
【0021】
一実施形態においては、重み係数の設定とは異なり、プロセッサ11はまた、ユーザの好み/優先度及び/又はデフォルトの選択に応じて、充電最適化パラメータのうちの1つを選択することができる。
【0022】
一実施形態においては、プロセッサ11は、運転者若しくは類似の運転者の又は類似の車両に対する運転行動及び/又は充電行動に従って、電気車両の予期されるルート及び/又は電力消費量を決定し、電気車両の予期されるルート及び/又は電力消費量に基づいて、電力貯蔵デバイスを充電又は放電するための充電/放電プロファイルを決定する。出力端12をプロセッサ11に結合して、決定された充電/放電プロファイルを出力するものとしてもよい。出力信号は、照明、様々なディスプレイ、音響信号又は触覚信号であるものとしてもよい。出力端12は、ディスプレイ、照明、タブレット、タッチスクリーン又は音響発生器であるものとしてもよい。一実施形態においては、決定された充電プロファイルは、出力端12を介して充電デバイスに直接的に伝送されて、電力貯蔵デバイスに対する充電電流を発生させることができる。他の実施形態においては、決定された充電プロファイルは、ユーザに出力されるものとしてもよい。決定された放電プロファイルは、運転者のようなユーザに出力されて、放電プロファイルに従った運転を促したり、又は、電気車両に出力されて、電気車両の1つ以上のパラメータに対する制限を設定したりすることができる。パラメータには、車両の運転速度及び/又は加速度が含まれる。現在の運転速度及び/又は加速度が制限を超える場合には、アラームが、運転者に送信されるものとしてもよい。
【0023】
ユーザは、充電/放電プロファイルを確認し、フィードバック情報を入力することにより、充電/放電プロファイルの更新を要求することができる。この場合、最適化システムには、ユーザが自身のフィードバックを入力するために使用する入力端が含まれている必要がある。フィードバックは、音響及び/又は触覚フィードバック、又は、ユーザによる入力データとして提供されるものとしてもよい。フィードバックは、任意選択的に最適化システム10に含まれるユーザ入力端を介して、最適化システム10に提供されるものとしてもよい。ユーザ入力端は、キーボード、マウス、タッチスクリーンなど、ユーザが情報を入力し得る任意の種類の入力デバイスであるものとしてもよい。ユーザは、例えば、設定間を切り替え、特定の機能をオン/オフするボタンを介して、出発時刻若しくは充電の所望の充電状態を入力するスライダを介して、又は、ジェスチャ及び音声認識を介して、情報を入力することができる。
【0024】
ユーザのフィードバックを受信すると、プロセッサ11は、ユーザのフィードバックに基づいて充電/放電プロファイルを更新することができる。例えば、運転者が普段は午前7時に運転するために車両を使用しており、従って、運転者の先行の運転行動に従って決定された充電プロファイルは、運転者が午前7時に車両を使用し得ることを保証するために、電力貯蔵デバイスの充電が6:45に終了する(15分間は、運転者が午前7時よりも前に早く車両を使用し得ることを見込むためのマージンとして確保される)ことを示すが、運転者が翌日のスケジュールを変更して、午前6時30分に車両を運転するのであれば、決定された充電プロファイルが運転者に表示された際に、運転者は翌日の午前6:30の車両の運転を望むことを示すフィードバックを与えることができ、次いで、プロセッサ11は、変更されたスケジュールを示す運転者からのフィードバックに従って、充電プロファイルを更新することができる。更新された充電プロファイルにより、充電は、例えば午前6:15に終了可能となる。ユーザはまた、フィードバックを介して、決定された充電プロファイルを直接的に変更するものとしてもよい。
【0025】
プロセッサ11は、ユーザのフィードバックのみに従って充電/放電プロファイルを更新することについて上述したが、更新中に、受信されたデータは、ユーザのフィードバックに従ってプロセッサが充電/放電プロファイルを更新するために再び使用されるものとしてもよい。
【0026】
ユーザのフィードバックに応じて充電/放電プロファイルを更新する場合を除き、プロセッサ11はまた、機械学習データ、ビッグデータ、又は、最適化システム及び/又は電力貯蔵デバイス15を含む電気車両のいずれかに関する変更に応じて、充電/放電プロファイルを更新することができる。より詳細には、充電プロファイルはまた、充電デバイス14及び/又は電源13の変更に応じて更新されるものとしてもよい。変更には、任意の記録又は導出されたデータ及び設定の変更、並びに、ソフトウェアの更新が含まれる。例えば、決定された充電/放電プロファイルは、クラウドからの機械学習データ及び/又はビッグデータと比較されて、決定された充電/放電プロファイルが、例えば、運転者の運転行動に適合し得るかどうかを確認し、適合していない場合、充電/放電プロファイルが更新され得る。機械学習データ及びビッグデータは、類似の運転者(例えば、類似の充電/運転行動をしている運転者)のデータ、及び/又は、類似の車両のデータから導出されたものであってもよい。あるいは、センサからの入力が車両の温度変化を示している場合、温度が電力貯蔵デバイスの充電/放電に影響を与えることになるため、充電/放電プロファイルは、それに応じて変更するように更新されるものとしてもよい。その上、充電プロファイルは、例えば、電気車両、電源13若しくは充電デバイス14の設定変更、及び/又は、最適化システム内の任意のソフトウェア更新、例えば、プロセッサ11用又は充電デバイス14用のソフトウェア更新に応じて更新されるものとしてもよい。
【0027】
上述の例は、限定的及び網羅的なものではなく、他のパラメータも、充電/放電プロファイルの更新、例えば、外部温度、電源の温度、電力貯蔵デバイスの温度の変化、予期される又は既知の運転行動などの更新をトリガするために想定されるものとしてもよい。パラメータは、センサによって検出されるものとしてもよい。
【0028】
一実施形態においては、プロセッサ11は、受信した機械学習データ、ビッグデータ又は上記パラメータに関する変更を検出し、新たに受信した機械学習データ、ビッグデータ又は上記パラメータに関する変更を検出すると、更新が必要であると決定することができる。さらなる実施形態においては、プロセッサ11は、出力端12を介して更新をユーザに通知することができ、ユーザが更新を実行することを望んでいるかどうかを決定することができる。
【0029】
機械学習データ、ビッグデータ、又は、最適化システム及び/又は電力貯蔵デバイス15を含む電気車両に関する変更、並びに、任意選択的に充電デバイス14及び/又は電源13に関する変更に応じて、充電/放電プロファイルを更新する場合、出力端12は、最初に決定された充電/放電プロファイルをユーザに出力しないものとしてもよく、さらに、出力端12は、ユーザに、最初に決定された充電/放電プロファイル及び更新された充電/放電プロファイルを含む、いずれの充電/放電プロファイルも出力しないものとしてもよく、代わりに、電力貯蔵デバイスへの適当な充電電流を発生させるために、又は、例えば、車両の速度制限を設定するために、充電/放電プロファイルを充電デバイス14/アプリケーションデバイスに出力する。
【0030】
図1に示される最適化システム10によれば、最適化システム10は、プロセッサ11及び出力端12のみを含み、電気車両の電力貯蔵デバイス15を充電するために、充電デバイス14及び電源13と組み合わせて使用され得る個別のデバイスとして構成されている。このようにして、最適化デバイス10は、電気車両、充電デバイス又はクラウドコンピューティングデバイスなどのリモートデバイスに配置されるものとしてもよい。しかしながら、以下に限定されるものではないが、最適化システム10はまた、充電デバイス14などの他の構成要素を含むものとしてもよい。最適化システム10は、図1において破線によって示されている。最適化システムは、コンピュータソフトウェア、ハードウェア、回路、プロセッサ及びコントローラなどによって具体化されるものとしてもよい。あるいは、最適化システムは、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、対応する機能を達成するための命令を含むコンピュータ記憶媒体に組み込まれるものとしてもよい。
【0031】
図2は、本発明の他の実施形態による最適化システム100を示している。図1に示される最適化システム10とは異なり、最適化システム100には、バッテリのような電力貯蔵デバイスに対する充電電流を発生させるための充電デバイス1000、例えば電気車両又はスクータを含むアプリケーションデバイス2000、及び、少なくとも1つの外部デバイス3000が含まれ得る。外部デバイス3000は、スマートフォン、コンピュータ、タブレット、スマートウォッチ、クラウドコンピューティングデバイス、及び、計算、記憶、表示又は入出力を達成可能であり、充電デバイス及びアプリケーションデバイスのいずれか1つに結合可能である任意の他のデバイスであり得る。
【0032】
充電デバイス1000及びアプリケーションデバイス2000の処理能力は制限されることがあるため、外部デバイス3000は、優先されて複雑なタスクを計算することができる。ビッグデータ又は機械学習データとの比較など、計算が集中的に行われるプロセスは、クラウドコンピューティングデバイスなどの外部デバイス3000において実行され、一方、あまり集中的でないプロセスは、電気車両又は充電デバイス1000などのアプリケーションデバイス2000において実行されることが想定可能である。
【0033】
一態様においては、最適化システム100は、オンラインサービス、例えば、リアルタイムデータの受信及び処理、充電/放電プロファイルのオンライン決定、又は、充電/放電プロファイルのオンライン更新を提供可能であり、さらに最適化システム100は、十分なコンピューティング容量でオンライン全体の最適化及び更新を実行可能である。
【0034】
しかしながら、例えば、充電デバイス若しくはアプリケーションデバイスなどのローカルプロセッサの計算能力が不十分である、及び/又は、外部デバイス3000が接続されていない若しくは接続が中断されているなど、1つ以上のオンラインサービスが利用不可能である場合がある。この場合には、利用不可能なオンラインサービスのうちの1つ以上を、前もってオフラインにより実行することができる。オフラインサービス及び/又は先行の利用可能な最適化に基づいて決定されたヒューリスティックデータ又は特性データは、最適化プロファイルを決定/更新するためのより簡単なオンライン最適化のために提供することが可能である。ヒューリスティックデータ又は特性データは、ヒューリスティック若しくは特性テーブル、又は、ヒューリスティック若しくは特性マップであるものとしてよい。
【0035】
特定の実施形態においては、ヒューリスティックデータは、先行の利用可能な最適化結果に従ったデータであるものとしてもよい。例えば、何らかの理由で現在のバッテリ寿命が受信されない場合、先行の利用可能な最適化後のバッテリ寿命を示すヒューリスティックデータを、現在の最適化のために使用可能である。
【0036】
最適化システムには、アプリケーションデバイスとしての電気車両、外部デバイスとしてのスマートフォン、及び、充電デバイスが含まれるものとしてもよく、スマートフォンと充電デバイスとの両方が電気車両に結合される。一実施形態においては、スマートフォンは、ユーザからの詳細設定及びパラメータ入力を要求するために使用可能なアプリなどのグラフィカルユーザインタフェースを含み得る。他の実施形態も想定することが可能である。
【0037】
図2に示した実施形態においては、充電デバイス1000、アプリケーションデバイス2000及び外部デバイス3000のそれぞれに、それぞれのストレージ、ディスプレイ、ユーザ入力端及びプロセッサが含まれ得る。特に、充電デバイス1000には、プロセッサ1100、ディスプレイ1200、ストレージ1300及びユーザ入力端1400が含まれ、また、充電デバイス1000には、電源及び電力貯蔵デバイスへの接続部1010及び1020が含まれるものとしてよく、充電デバイス1000のプロセッサ1100には、外部デバイス3000及び/又はアプリケーションデバイス2000との間において、それぞれ、データを受信及び伝送するための入力端1110及び出力端1120が含まれるものとしてよい。アプリケーションデバイス2000には、プロセッサ2100、ディスプレイ2200、ストレージ2300及びユーザ入力端2400が含まれる。また、アプリケーションデバイス2000には、バッテリのような電力貯蔵デバイス2900が含まれるものとしてもよい。電気車両の場合、電気車両のプロセッサ2100は、電気車両のモータコントローラ及び/又はバッテリ管理システム内に配置することが可能であり、ディスプレイ2200は、電気車両の速度計に配置することが可能である。外部デバイス3000には、プロセッサ3100、ディスプレイ3200、ストレージ3300及びユーザ入力端3400が含まれ、アプリケーションデバイス2000と外部デバイス3000との両方が、充電デバイス1000、特に充電デバイス1000の入力端1110及び出力端1120に結合された、入出力インタフェースを有し得る。外部デバイス3000は、受信したデータを記憶可能な又は処理可能なクラウド内のデバイスであるものとしてよい。
【0038】
図2には、充電デバイス1000のプロセッサ1100における入力端1110及び出力端1120が示されているが、接続部が別個の構成要素として配置されることも想定される。充電デバイス1000は、接続部1010を介して電源4000に結合され、接続部1020を介して電力貯蔵デバイス2900に結合されるものとしてもよい。
【0039】
当該実施形態においては、プロセッサ1100、2100及び3100の任意の1つ又は任意の組合せは、図1に示したプロセッサ11の機能を達成する、即ち、充電プロファイルを決定及び更新することができる。ユーザは、ユーザ入力端、並びに、充電デバイス1000、アプリケーションデバイス2000及び外部デバイス3000のディスプレイのいずれかを介して、最適化システムと対話することができる。一例においては、ユーザは、最適化システムとの対話を介して、システム設定を設定及びリセットし、又は、システムパラメータを変更することができる。他の例においては、ユーザは、最適化システムとの対話を介して、充電/放電のプロファイル/パラメータを拒絶、受諾又は変更することができる。さらなる実施形態においては、ユーザは、ユーザ入力端のいずれか1つを介して最適化システムにパラメータを入力し、ディスプレイのいずれか1つからフィードバックを取得することができる。
【0040】
図2に示した最適化システム100においては、充電デバイス、アプリケーションデバイス及び外部デバイスの1つ以上のプロセッサ、ディスプレイ、ユーザ入力端及びストレージを省略することもできる。例えば、充電/放電プロファイルは、外部デバイス3000内及び/又はアプリケーションデバイス2000内において決定可能及び/又は更新可能であり、次いで、充電プロファイルに基づいて、充電電流を発生させるために充電デバイスに伝送され、又は、放電プロファイルに基づく運転制限の設定のために若しくは運転者へのヒントの供与のために、アプリケーションデバイスに伝送される。この場合、プロセッサ1100、ディスプレイ1200及びユーザ入力端1400は、省略することが可能である。あるいは、充電デバイス1000内において充電/放電プロファイルを決定及び/又は更新し、ユーザに表示することができる。アプリケーションデバイス2000及び外部デバイス3000は、充電/放電プロファイルの決定中及び/又は更新中に使用されるデータ及びパラメータの少なくとも一部の提供のみを行い、これにより、例えば、ディスプレイ2200、3200及びプロセッサ2100、3100は、最適化システムから省略することが可能となる。外部デバイス3000は、さらに温度センサを参照することもできる。実際には、全体として外部デバイス3000も、省略することが可能である。さらに、アプリケーションデバイスも、最適化システムから省略することが可能であり、このようにして、充電デバイスは、充電/放電プロファイル自体の決定及び更新を達成することができる。あるいは、外部デバイスが、充電/放電プロファイル自体の決定及び更新を達成することができる。
【0041】
最適化システムによって受信又は導出されたデータは、充電デバイス1000、アプリケーションデバイス2000若しくは外部デバイス3000のうちのいずれかに記憶することができ、又は、データは、クラウドデバイスなどのリモートの場所に記憶することもできる。電力貯蔵デバイスを充電する点から見て、受信されたデータは、(1つ又は複数の)ユーザ入力、クラウドからのデータ、並びに、アプリケーションデバイス、充電デバイス、外部デバイス及び/又は電源に関するデータのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0042】
最適化システムを、図1及び図2に示される実施形態を参照してそれぞれ説明しているが、電力貯蔵デバイスに対する充電/放電プロファイルを決定及び更新する機能が達成され得る限り、他の方法により最適化システムを構成することも想定可能である。図1及び図2に示される構成要素は、電力貯蔵デバイスに対して充電/放電プロファイルが決定及び更新され得る限り、それぞれ組合せ、分割又は削除も可能である。必要に応じて、いくつかの構成要素を最適化システムに追加して、その機能を達成することができる。
【0043】
この開示における「接続する」、「接続」、「結合」及び「結合する」という用語には、例えば、無線(誘導型、Bluetooth若しくはWiFiなど)又は有線(ケーブルを介してなど)である様々な方法が含まれる。データは、特定のアプリケーションに従って、無線又は有線により受信又は伝送されるものとしてもよい。「プロセッサ」という用語は、以下に限定されるものではないが、ロジック、マイクロコントローラ、コンピュータ、カーネル、クラウドデバイス又はCPUなどの、データを処理するための能力を有するあらゆる種類のデバイスを指し得るものである。
【0044】
最適化システムによって受信されたデータ
上述のように、最適化システム10、100の(1つ又は複数の)プロセッサによって受信されたデータには、(1つ又は複数の)ユーザ入力、クラウドからのデータ、アプリケーションデバイスに関するデータ、並びに、任意選択的に電源に関するデータ及び充電デバイスに関するデータのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0045】
ユーザ入力には、朝の通勤運転の際などの所望の出発時刻、ルート/距離/目的地情報、又は、翌日の運転、気温に対するユーザの好み若しくは選択などが含まれ得る。例えば、ユーザは、翌日の運転を開始する際に、クイックチャージを選択し、又は、時間枠を与えることができる。あるいは、ユーザに対し、例えば、機械学習によってプロセッサが運転スタイルを取得可能な、経験に関連するデータを入力するように、要求を行うことができる。
【0046】
クラウドからのデータには、例えば、機械学習データ、ビッグデータ、又は、クラウドで記録、記憶若しくは導出されたリアルタイムデータ若しくは履歴データ、例えば、天気予報から得られた気温、ルート、速度、加速度を含む様々な移動データ、GPSデータなどが含まれる。機械学習データ及びビッグデータは、類似の電力貯蔵デバイス、類似の車両、類似の運転者などに関して記憶することが可能である。ビッグデータは、クラウド内のフリートデータによって取得することもできる。また、機械学習データ、ビッグデータ及び移動データは、アプリケーションデバイスに記憶され、アプリケーションデータに関するデータの一部となり得る。
【0047】
アプリケーションデバイスに関するデータには、アプリケーションデバイスの1つ以上のパラメータ、及び、アプリケーションデバイスにおいて記録又は導出されたデータが含まれる。特に、電気車両のようなアプリケーションデバイスに関するデータは、車両タイプ、モータ、コントローラ、ギアボックス及びタイヤのタイプなどの車両の構成要素のタイプ、並びに、任意の車両パラメータであるものとしてもよい。車両パラメータには、最大/平均速度、タイヤ圧、スロットルデータ、ホイールサイズ、摩擦係数、風抵抗、質量、運転者質量、パワー、電圧、電流要件、トルク特性、使用されている制御方式、インダクタンス、磁気推進力、効率マップなどが含まれる。効率マップの例は、図5A及び図5Bに示されており、以下に説明する。車両パラメータには、電力貯蔵デバイスに関するパラメータが含まれ、電力貯蔵デバイスに関するパラメータには、以下に限定されるものではないが、バッテリタイプ、バッテリサイズ、セル量及び接続タイプ、セルの化学的性質、容量及び内部抵抗、トランスポートキネマティクス、エージング挙動、バッテリ管理システムのタイプ、並びに、バッテリ温度が含まれる。車両パラメータは、ユーザが入力するものとしてもよい。電源に関するデータには、電源の種類、電気に対するコストなどが含まれ得る。充電デバイスに関するデータには、充電デバイスに記憶されている場合、先行の充電/放電プロファイルが含まれ得る。充電デバイス、アプリケーションデバイス及び外部デバイスのいずれにも、センサが含まれるものとしてよい。
【0048】
1つ以上の環境パラメータを感知するためのセンサを含み得る最適化システムにより受信されたデータには、充電デバイス、電源及び/又は電力貯蔵デバイスの温度が含まれるものとしてよい。センサは、充電デバイス、アプリケーションデバイス及び電源に配置することが可能であり、又は、外部デバイスとして配置することが可能である。
【0049】
受信されたデータには、リアルタイムデータ及び履歴データが含まれる。温度、電流値、タイヤ圧などを含むリアルタイムデータは、センサによって直接的に収集可能である。履歴データには、先行の速度、加速度及び距離/ルート、充電/放電プロファイル、特定の運転者の充電行動及び移動行動、並びに、類似の運転者、類似のルート、又は、類似のアプリケーションデバイスのデータなどの、様々な移動データが含まれる。
【0050】
受信されたデータの特定の例について上述したが、これらは限定的でも網羅的でもなく、バッテリの使用を最適化するために役立ち得る任意のデータが使用されることが想定可能である。
【0051】
最適化システムによるデータ出力
最適化システムは、ユーザにデータを出力し、又は、ユーザとデータを交換することができる。データは、照明、様々なタイプのディスプレイ、及び、音響又は触覚信号を使用して、ユーザに表示される。システム設定に応じて、アプリケーションデバイス上、充電デバイス上、及び/又は、スマートフォンのような外部デバイス上に、データを表示することができる。
【0052】
出力データには、例えば、充電デバイス及びアプリケーションデバイスに対するシステムパラメータが含まれるものとしてよい。システムパラメータは、センサによって検出可能であり、又は、システムから取得可能であり、これには、速度、加速度、GPSから導出された位置、勾配、バッテリ及びモータの温度、電流及び電圧、並びに、電気車両内のスロットルが含まれる。外部デバイスは、予測に関するいくつかの情報、例えば、天気予報を追加することができる。システムパラメータにはまた、運転、充電及び記憶回数、並びに、平均、最大、最小の充電電流が含まれ得る。また、これら総てのセンサ及びパラメータデータの過去の値を記録して示すことができる。一般に、最適化システムに既知の総てのシステムパラメータを表示することができる。これは、ホイール、モータ、バッテリサイズ及び公称電力のような構成要素情報、並びに、モータ抵抗、インダクタンス及び磁束、バッテリ容量及び抵抗などの構成要素キーパラメータ、並びに、リチウムイオン輸送層及び固体電解質インタフェース層の増大係数、又は、適合平均パラメータのような経時劣化に関連する総てのパラメータであるものとしてよい。
【0053】
出力データにはさらに、導出されたデータ、例えば、最適化によって取得されたデータが含まれるものとしてよい。当該データには、現在の充電量及び運転スタイル、バッテリの残存推定寿命及びフル充電又は指定された充電状態までの予期される充電時間、並びに、充電までの最適時間、予期されるエネルギコスト、構成要素状態及び経時劣化、充電状態、並びに、システムに既知の他の影響による、可能な範囲が含まれる。また、導出されたデータには、いくつかの所定の閾値又は計算された閾値が超過された場合に、通知又はアラートがなされる、現在の充電状態が含まれ得る。さらに、導出されたデータには、予期されるパフォーマンス、例えば、可能な所望の加速度及び最高速度に関する情報も含まれる。
【0054】
出力データにはさらに、ユーザが達成した改善及び利点をユーザに示す最適化結果が含まれ得る。当該最適化結果は、例えば、バッテリの寿命延長に関する情報を、定性的又は定量的に示すことができる。ヒントによって、所望の目標に対してどの行動が有益であるかを定性的に示すことができ、所望の目標に対してどのような行動が有益であるかを定量的に示すことができる。例えば、現在の充電及び運転を、ユーザの以前の充電及び運転行動と比較したり、又は、例えばクラウドフリートデータを使用して、他のユーザと比較したりすることができ、「以前と比較して、あなたの現在の充電及び運転行動はバッテリにとってより有益です」、「今日、あなたは以前の充電スタイルと比較してバッテリ寿命を1日延長させました」のような情報を、運転者に出力することができる。充電/放電プロファイルが範囲及び充電時間に対して最適化されている場合、通常の範囲及び最適化された充電/放電によって達成された範囲に関する情報、充電/放電時間及び運転のヒント、並びに、効率の改善を表示することができる。
【0055】
出力データには、記述された充電戦略を使用するようにユーザに動機付けるための、及び、ユーザがどのようにして寿命、範囲を改善し得るかをユーザに理解させるための、運転者に対するヒントがさらに含まれるものとしてよく、ヒントには、例えば、「ユーザはバッテリを常にフル充電すべきではなく、車両が熱くなりすぎていない場合にのみ充電し、高温ではよりゆっくり運転すべきです」が含まれるものとしてよい。ユーザは、例えば、開始前に毎回、ユーザが選択した最適化基準に直接的に関連し得るヒントを受信することができる。それらのヒントは総て、ユーザが入力した情報と、システムで利用可能なデータとに依存し得る。
【0056】
出力データにはさらに、保守情報が含まれ得る。例えば、計算されたバッテリ寿命に応じて、バッテリを交換する必要があることをユーザに通知することができる。履歴データを使用して、バッテリの将来の障害又は可能性のある障害を検出することができる。ここでの障害は、例えば、充電中/運転中のバッテリ抵抗の急激な増加及び対応するバッテリの温度上昇であり得る。
【0057】
出力データにはさらに、ユーザにより可能なソフトウェアの更新、及び、ボーナス情報が含まれ得る。最適化システムは、ユーザの1日の外出、範囲、及び、バッテリの寿命延長と、クラウド内の他のユーザに対する充電/放電プロファイルとを比較することができる。ボーナスの基準は、例えば、経済的又は環境にやさしい運転、ルート及び運転距離、高速又は安定運転であり得る。ボーナス情報は、「運転賞」又は車両修理用のボーナスポイントであるものとしてもよい。
【0058】
出力データの特定の例について上述したが、これらは限定的でも網羅的でもなく、バッテリの使用を最適化するために役立ち得る任意のデータを使用することが想定され得る。
【0059】
図3は、本発明の一実施形態による最適化方法300を示している。最初に、(1つ又は複数の)ユーザ入力、クラウドからのデータ、充電/放電される電力貯蔵デバイスを含むアプリケーションデバイスに関するデータなどのうちの少なくとも1つを含むデータが、ステップ301において受信され、電力貯蔵デバイスを充電又は放電するための基準が、ステップ302において受信され、例えば、当該基準は、ユーザによって選択可能であり、又は、自動的に決定可能である。充電/放電プロファイルは、ステップ303において決定された基準に基づいて、受信されたデータから決定される。ステップ304において更新が必要であるかどうかを決定するために、充電/放電プロファイル、機械学習データ、ビッグデータに関するユーザフィードバック、並びに、最適化システム及び/又はアプリケーションデバイスに関する変更のうちの少なくとも1つが受信され、例えば、ユーザは、フィードバックを付与することにより、更新が必要であることを決定することが可能である。決定された充電/放電プロファイルをユーザが拒絶したことによって更新が明示された場合、充電/放電プロファイルは、ステップ305において、充電/放電プロファイル、機械学習データ、ビッグデータに関するユーザフィードバック、並びに、最適化システム及び/又はアプリケーションデバイスに関する変更のうちの受信された少なくとも1つに基づいて、更新することが可能である。更新が必要でないことが決定された場合には、決定された充電/放電プロファイルを、ステップ306において出力することができる。
【0060】
一実施形態においては、方法300は、ステップ301において、ユーザの運転行動及び/又は充電行動に従って、電気車両の予期されるルート及び/又は電力消費量を決定することと、ステップ303において、電気車両の予期されるルート及び/又は電力消費量に基づいて、電力貯蔵デバイスを充電又は放電するための充電/放電プロファイルを決定することと、を含む。
【0061】
他の実施形態においては、方法300は、ステップ301において、充電デバイスに関するデータ、電源に関するデータ、並びに、アプリケーションデバイス及び/又は充電デバイスに結合されるように構成された外部デバイスからのデータのうちの少なくとも1つを受信することと、ステップ303において、受信されたデータ、及び、充電デバイスに関するデータ、電源に関するデータ、外部デバイスからのデータのうちの受信された少なくとも1つに基づいて、充電プロファイルを決定することと、を含み、充電デバイスに関するデータ及び電源に関するデータには、それぞれ、充電デバイス及び電源の1つ以上のパラメータ、並びに、充電デバイス及び電源において記録又は導出されたデータが含まれる。
【0062】
図3に示した方法300は、説明のためのものにすぎず、これに限定されるものではない。同様の機能を達成するために、方法の様々なステップの組合せ、分割、削除も可能である。
【0063】
図4A及び図4Bは、本発明に係るシステム又は方法の一実施形態による、電力貯蔵デバイスの少なくとも寿命延長を含む基準に対する決定/更新された充電プロファイルの概略図を示している。図4Aは、充電プロファイル(Y軸)対時間(X軸)の充電状態(SOC)を示しており、図4Bは、充電プロファイル(Y軸)対時間(X軸)の充電電流を示している。20:00に電気車両の先行の運転が終了し、電気車両の電力貯蔵デバイスが充電用の充電デバイスに接続されると、次いで、電力貯蔵デバイスは、上記最適化システム/方法によって決定された充電プロファイルに従って充電可能となる。
【0064】
図4A及び図4Bに示されているように、充電プロファイルは、第1の充電フェーズI、第2の充電フェーズII、第3の充電フェーズIIIを有するものとして決定されている。図4Aにおいては、電力貯蔵デバイスは、最初に第1の充電フェーズIにおいて充電の最適な貯蔵状態Aに充電され、第2の充電フェーズIIにおいて待機し、予期される充電終了前に、第3の充電フェーズIIIにおけるフル充電Cよりも低い、電力貯蔵デバイスの所望の充電状態又は決定された最適な充電状態Bに充電される。第1の充電フェーズIは、電気車両の充電デバイスへの接続から開始するものとしてもよく、運転者が所定の運転開始時刻よりも早く運転を開始することを見込むためのマージン(例えば、午前6:45から午前7:00までの15分)を提供するために、第3の充電フェーズIIIは、所定の運転開始時刻、即ち、午前7:00の直前の午前6:45に終了することができる。図4Bは、充電プロファイルの充電フェーズの対応する充電電流を示している。
【0065】
本発明の実施形態に関する上述の記載と組み合わせて、充電プロファイルは、例えば、受信された運転開始時間、運転終了時間、運転目的地/ルート、運転者の行動、及び、受信された基準に基づいて、決定可能である。上記パラメータは、ユーザ入力、クラウド若しくはアプリケーションデバイス、又は、スマートフォンなどの外部デバイスから受信されるものとしてもよい。決定された充電プロファイルを使用することによって20:00から6:45まで充電した後、運転者は、受信された運転開始時間、運転終了時間、運転目的地/ルート、及び、受信された基準を達成するための運転者の行動、例えば、高速運転、省電力又は電力貯蔵デバイスの寿命延長に従って、電気車両を7:00から7:45まで運転することができる。続く充電プロファイルを決定するために、現在の運転データは、収集されかつ使用されるものとするとよい。
【0066】
図4A及び図4Bは、充電プロファイルの一例を示しているのみであり、充電プロファイルは、他の方法によって示すこともでき、例えば、充電プロファイルは、図4A及び図4Bに示されている時間、充電電流及び充電状態を除いて、充電プロファイルに影響を与え得る異なる要因に関連して示されるものとしてもよい。当該要因には、温度(例えば、外気温、モータ温度、電源温度及び電力貯蔵温度など)、放電の深さ、翌日の運転行動などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
図5A及び図5Bは、所与の運転ルートに対する効率マップの概略図をそれぞれ示している。電力貯蔵デバイスの使用を最適化するための基準として範囲拡張が選択されている場合、所与の運転ルートに対する効率マップが使用されて、効率を考慮することにより電気車両の運転範囲を最適化することができる。あるいは、効率を、充電/放電に対する個別の基準として使用することができ、代替的に、バッテリ寿命などの他の基準と組み合わせることもできる。
【0068】
図5Aは、所与のルートに対する電力貯蔵の充電状態(X軸)に依存する効率(Y軸)を示している。図5Aから、所与のルートに対して、最良効率が充電状態に比例しないことが決定され得るが、実際には、最良効率は、電圧及び電流が車両のモータ及びパワーエレクトロニクスの両方に最良な領域にある場合に取得され得る。より良い効率を達成するために、要求される充電状態は、図5に示されているように、電力貯蔵デバイスを充電するための範囲D内にあると決定され得る。
【0069】
図5Bは、異なる、例えば低い又は高い充電状態(SOC)に対して、運転者の運転速度(X軸)に依存する効率(Y軸)を示している。運転速度は、運転速度に直接的に比例していないことが理解され得る。例えば、上記最適化システム及び方法に関して説明した、受信された基準に従って、電力貯蔵デバイスが最初に次の外出のために十分な充電状態に充電され、次いで、運転者の車両の運転に好まれる速度を取得するために、図5Bに示されている効率マップに従って、運転速度が決定され得る。
【0070】
時間(X軸)に応じて最良効率の運転速度(Y軸)を示す運転プロファイルの一例が、図6に示されている。運転プロファイルは、放電プロファイルを決定/更新する一実施形態であり得る。図6に示されるように、12:00に先行の運転が終了して電力貯蔵デバイスが充電システムに接続され、12:00から12:25までの間に充電手順が実行され、例えば、上述の最適化システム及び/又は方法によって、充電手順中に使用された充電プロファイルが取得され得る。所定の運転開始時間即ち12:30より前に、運転者が運転をより早く開始することを見込むためのマージンとして5分が取られている。12:30から13:30までの間に、運転者は、表示された運転プロファイルを参照することによって車を運転し、最良効率を達成することができる。続く充電プロファイルを決定するために、現在の運転データは、収集されかつ使用されるものとするとよい。図6に示される運転プロファイルは、決定/更新された放電プロファイルの一例にすぎず、放電プロファイルの他の形式も想定可能である。
【0071】
上述の実施形態は、本発明を限定するものでなく例示するものであり、当業者であれば、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態を設計することができるであろうことに留意されたい。特許請求の範囲においては、括弧の間に配置された参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む」という単語は、特許請求の範囲又は明細書に記載されていない要素又はステップの存在を排除するものではない。要素の前にある「1つの」又は「ある」という単語は、当該要素が複数存在することを排除するものではない。複数のユニットを列挙したプロダクトクレームにおいては、当該ユニットのいくつかを、ソフトウェア及び/又はハードウェアの1つかつ同一のアイテムによって具体化することができる。第1、第2及び第3などの語の用法は、いかなる順序も示すものではない。これらの語は、名称として解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6