(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】疎サンプリングによる超音波撮像ならびに関連する装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2020562572
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2019061611
(87)【国際公開番号】W WO2019215115
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フアン シェン‐ウェン
(72)【発明者】
【氏名】フー チャンホン
(72)【発明者】
【氏名】マクスウェル ドウグラス ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ホープ シンプソン デービッド
(72)【発明者】
【氏名】ヤゴ ジェームズ ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニョン フランソワ ガイ ジェラルド マリエ
(72)【発明者】
【氏名】シン ジュン ソブ
(72)【発明者】
【氏名】フー シャオウェン
(72)【発明者】
【氏名】ベイ ウンミン
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-221215(JP,A)
【文献】特開2003-235839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0058672(US,A1)
【文献】実開平06-063013(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
或る次元に沿って延在する超音波トランスデューサ素子のアレイと、
前記超音波トランスデューサ素子のアレイと通信すると共に、該アレイにおける複数の連続する超音波トランスデューサ素子及び少なくとも1つの非連続な超音波トランスデューサ素子を有する第1の受信開口を選択する電子回路であって、前記第1の受信開口の各超音波トランスデューサ素子が解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信すると共に撮像データを表す電気信号を発生する電子回路と、
前記電子回路と通信するビーム形成器であって、
前記第1の受信開口の超音波トランスデューサ素子によって発生された電気信号を受信し、及び
前記複数の連続する超音波トランスデューサ素子によって発生された電気信号及び前記少なくとも1つの非連続な超音波トランスデューサ素子によって発生された電気信号に異なる重みを付与する、
ビーム形成器と
を有し、
前記ビーム形成器が前記第1の受信開口の前記少なくとも1つの非連続な超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号に前記第1の受信開口の前記複数の連続する超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号よりも大きな重みを付与する、超音波撮像システム
において、
前記撮像データのためのスキャンシーケンスにわたって、異なる開口を作動させる、超音波撮像システム。
【請求項2】
前記ビーム形成器が前記第1の受信開口の前記少なくとも1つの非連続な超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号を前記第1の受信開口の前記複数の連続する超音波トランスデューサ素子によって発生される前記電気信号に対して2倍に重み付けする、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項3】
前記第1の受信開口が前記複数の連続する超音波トランスデューサ素子の1以上の側部に配置された複数の非連続な超音波トランスデューサ素子を有する、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項4】
前記第1の受信開口が前記複数の連続する超音波トランスデューサ素子の各側部に同数の非連続な超音波トランスデューサ素子を有するように、該第1の受信開口が対称である、請求項3に記載の超音波撮像システム。
【請求項5】
前記電子回路が、前記解剖学的構造内に超音波エネルギを送信するために連続する超音波トランスデューサ素子のみを有する送信開口を選択する、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項6】
前記ビーム形成器は前記送信開口の前記連続する超音波トランスデューサ素子の各々のための送信信号を供給し、前記ビーム形成器が少なくとも1つの送信信号に異なる重みを付与する、請求項5に記載の超音波撮像システム。
【請求項7】
前記電子回路は前記解剖学的構造内の第1の焦点ゾーンから反射された超音波エコーを受信するために前記第1の受信開口を選択し、前記電子回路は前記解剖学的構造内の第2の焦点ゾーンから反射された超音波エコーを受信するために前記第1の受信開口とは異なる第2の受信開口を選択し、前記第2の受信開口は複数の非連続な超音波トランスデューサ素子を有し、前記第2の受信開口が前記或る次元において前記第1の受信開口よりも広い、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項8】
前記第2の受信開口が前記第1の受信開口よりも多くの非連続な超音波トランスデューサ素子を有する、請求項7に記載の超音波撮像システム。
【請求項9】
前記電子回路はマルチプレクサを有し、当該超音波撮像システムが前記第2の受信開口を選択するためにマルチプレクサ構成を切り替える、請求項7に記載の超音波撮像システム。
【請求項10】
前記ビーム形成器が、
前記第2の受信開口によって送信された電気信号を受信し、
前記第2の受信開口の少なくとも1つの超音波トランスデューサ素子によって発生された電気信号に異なる重みを付与する、
請求項7に記載の超音波撮像システム。
【請求項11】
或る次元に沿って延在する超音波トランスデューサ素子のアレイと通信する電子回路が、解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信すると共に撮像データを表す電気信号を発生するための前記超音波トランスデューサ素子のアレイの第1の受信開口を選択するステップであって、該第1の受信開口が複数の連続する超音波トランスデューサ素子及び少なくとも1つの非連続な超音波トランスデューサ素子を有するステップと、
前記電子回路と通信するビーム形成器が、前記第1の受信開口の超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号を受信するステップと、
前記ビーム形成器が、前記複数の連続する超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号及び前記少なくとも1つの非連続な超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号に異なる重みを付与するステップと
を有し、
前記異なる重みを付与するステップが、前記少なくとも1つの非連続な超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号に、前記複数の連続する超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号よりも大きな重みを付与するステップを有する、超音波撮像のための方法
において、
前記電子回路が、前記撮像データのためのスキャンシーケンスにわたって、異なる開口を作動させるステップを更に有する、方法。
【請求項12】
前記異なる重みを付与するステップが、前記少なくとも1つの非連続な超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号に、前記複数の連続する超音波トランスデューサ素子によって発生される電気信号に対して2倍に重みを付けるステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の受信開口を選択するステップは前記解剖学的構造内の第1の焦点ゾーンから反射された超音波エコーを受信するステップを有し、当該方法は、
前記電子回路が、前記解剖学的構造内の第2の焦点ゾーンから反射された超音波エコーを受信すると共に前記撮像データを表す電気信号を発生するための前記第1の受信開口とは異なる第2の受信開口を選択するステップであって、該第2の受信開口が複数の非連続な超音波トランスデューサ素子を有するステップ、
を更に有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の受信開口が非連続な超音波トランスデューサ素子のみを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電子回路はマルチプレクサを有し、前記第2の受信開口を選択するステップがマルチプレクサ構成を切り替えるステップを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、概して、解剖学的構造の超音波画像を取得するための超音波システムおよび方法に関する。例えば、超音波システムは、マルチプレクサ回路と通信する超音波トランスデューサ素子のアレイを有する超音波撮像装置を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 超音波撮像は、患者の内部解剖学的構造の画像を得るために頻繁に使用される。超音波システムは、典型的には1つ以上の超音波トランスデューサ素子を含む超音波トランスデューサプローブを含む。超音波トランスデューサ素子は、患者の解剖学的構造に超音波エネルギを送信するために超音波周波数で振動するように作動され、次いで、患者の解剖学的構造によって反射された超音波エコーを受信して画像を生成する。各送信/受信サイクルは、撮像データの単一のスキャン、すなわちラインを生成できる。走査方向を増分的に変化させることによって、2次元画像は、Aライン走査と呼ばれることもある一連の走査から集成(コンパイル)できる。一連のAライン走査から集成された2次元画像は、Bモード画像と呼ぶことができる。一連のAラインスキャンからBモード画像を集成するこのプロセスは1秒間に数回(例えば、30/s)繰り返されて、撮像された解剖学的構造の生のビューを生成できる。
【0003】
[0003] 各超音波スキャンの指向性を制御する1つの方法は、超音波トランスデューサのアレイを使用することを含む。例えば、超音波トランスデューサプローブは、個々の超音波トランスデューサ素子の正確なタイミングを制御して超音波エネルギの集束ビームをもたらす超音波干渉パターンを生成するビーム形成器とつながる超音波トランスデューサ素子のアレイを含むことができる。同様に、ビーム形成器は、解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信することに応答して、アレイ内の個々の超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号に遅延を適用して、受信されたエコーを反射された超音波エネルギのビームに集束させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] 超音波プローブは、超音波トランスデューサ素子の一次元または二次元アレイを含むことができる。個々の超音波トランスデューサ素子の数は、数十、数百、または数千であってもよい。例えば、一次元アレイであっても、100を超える個々の超音波トランスデューサ素子を含んでもよく、各トランスデューサは、超音波画像を集成するために使用される信号を生成するように構成される。場合によっては、超音波トランスデューサ素子の大きなアレイによって生成されるデータの量がビーム形成器(ビームフォーマ)および信号プロセッサなどの超音波撮像システムの他の部分と通信することが難しい場合がある。ハードウェアおよび規制上の制約も、超音波装置を有効に使用して、膨大な量の超音波撮像データを取得し、処理するための障害となる可能性がある。これらの障害のいくつかを克服するために、多重化などのいくつかの方法を使用できるが、そのようなツールの使用は画像アーチファクトおよび劣化した画像品質をもたらす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 疎サンプリング(スパースサンプリング)による超音波撮像のためのシステム、装置、および方法が提供される。疎サンプリングとは、超音波トランスデューサアレイの超音波トランスデューサ素子のグループまたは開口(アパーチャ)を活性化して超音波エネルギを送信および/または受信し、その場合において、活性化される超音波トランスデューサ素子のうちの1つまたは複数が他の活性化される超音波トランスデューサ素子と非連続となるようにするサンプリングを指す。言い換えれば、超音波トランスデューサアレイの疎に(まばらに)サンプリングされた開口において、1つ以上の活性化される素子は、1つ以上の非活性化素子によって分離され、比較的広い開口をもたらす。例えば、超音波撮像システムは、マルチプレクサ回路などの電子回路と通信する超音波トランスデューサ素子のアレイを含む超音波撮像プローブを含むことができる。該電子回路は、超音波エネルギを解剖学的構造に送信するために、アレイの第1の開口またはグループの超音波トランスデューサ素子を活性化するように、および解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信するために、1つまたは複数の疎にサンプリングされる超音波トランスデューサ素子を含む拡張された第2の開口を活性化するように構成され得る。また、当該システムは第2の開口内の超音波トランスデューサ素子によって生成される電気信号に、変化する重みを適用できる。送信開口よりも横方向の寸法が広い、拡張された、疎サンプリングされた、重み付き開口を用いて超音波エコーを受信することにより、各開口によって生成された電気信号を処理システムに送信するために必要な通信チャネルの数を増加させることなく、画像の横方向の解像度を改善できる。
【0006】
[0006] 一実施形態において、超音波撮像システムは、1つの(或る)次元に沿って延在する超音波トランスデューサ素子のアレイと;該超音波トランスデューサ素子のアレイと通信し、複数の連続する超音波トランスデューサ素子および少なくとも1つの非連続超音波トランスデューサ素子を含むアレイの第1の受信開口を選択するように構成される電子回路であって、第1の受信開口の各超音波トランスデューサ素子が解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信し、撮像データを表す電気信号を生成するように構成される電子回路と;該電子回路と通信するビーム形成器と;を備える。上記ビーム形成器は第1の受信開口の超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号を受信し、複数の連続する超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号及び少なくとも1つの非連続超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号に異なる重みを付与するように構成される。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、前記ビーム形成器が第1の受信開口の少なくとも1つの非連続トランスデューサ素子によって生成された電気信号に、第1の受信開口の複数の連続したトランスデューサ素子によって生成された電気信号よりも大きな重みを加えるように構成される。該ビーム形成器は第1の受信開口の複数の連続する超音波トランスデューサ素子によって生成される電気信号に対して、第1の受信開口の少なくとも1つの非連続超音波トランスデューサ素子によって生成される電気信号に、2倍の重みを付けるように構成できる。いくつかの実施形態では、第1の受信開口が複数の連続する超音波トランスデューサ素子の1つまたは複数の側部に配置された複数の非連続超音波トランスデューサ素子を含む。第1の受信開口が複数の連続する超音波トランスデューサ素子の各側部に同数の非連続超音波トランスデューサ素子を備えるように、該第1の受信開口は対称であってもよい。
【0008】
[0008] 他の実施形態において、前記電子回路は、超音波エネルギを解剖学的構造内に送信するために、連続する超音波トランスデューサ素子のみを含む送信開口を選択するように構成される。前記ビーム形成器は送信開口の連続する超音波トランスデューサ素子のそれぞれに対して送信信号を提供し、少なくとも1つの送信信号に異なる重みを加えるように構成できる。他の実施形態では、前記電子回路が第1の受信開口を選択して、前記解剖学的構造内の第1の焦点ゾーンから反射された超音波エコーを受信し、前記第1の受信開口とは異なる第2の受信開口を選択して、前記解剖学的構造内の第2の焦点ゾーンから反射された超音波エコーを受信するように構成され、前記第2の受信開口は複数の非連続超音波トランスデューサ素子を含み、前記第2の受信開口は前記第1の受信開口よりも寸法が広くなっている。第2の受信開口は、いくつかの態様において、第1の受信開口よりも多くの非連続超音波トランスデューサ素子を含むことができる。該電子回路はマルチプレクサを含むことができ、当該システムは、第2の受信開口を選択するためにマルチプレクサ構成を切り替えるように構成できる。さらに、前記ビーム形成器は第2の受信開口によって送信された電気信号を受信するように構成することができ、第2の受信開口の少なくとも1つの超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号に異なる重みを加えることができる。
【0009】
[0009] いくつかの態様では当該超音波撮像システムが電子回路と処理システムとの間に通信可能に配置される複数の通信チャネルを備え、該複数の通信チャネルは第1の開口の超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号を処理システムに送信するように構成され、アレイの超音波トランスデューサ素子の数は複数の通信チャネルの数よりも大きい。
【0010】
[0010] 別の実施形態において、超音波撮像方法は、ある次元に沿って延在する超音波トランスデューサ素子のアレイと通信する電子回路により、前記超音波トランスデューサ素子のアレイの第1の受信開口を選択して解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信すると共に撮像データを表す電気信号を生成するステップであって、前記第1の受信開口が複数の連続する超音波トランスデューサ素子および少なくとも1つの非連続的超音波トランスデューサ素子を含むステップと;前記電子回路と通信するビーム形成器によって、前記第1の受信開口の前記超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号を受信するステップと;前記ビーム形成器によって、前記複数の連続する素子によって生成された電気信号と、前記少なくとも1つの非連続的超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号とに異なる重みを印加するステップと;を含む。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、前記異なる重みを印加するステップは、複数の連続する素子によって生成される電気信号よりも、少なくとも1つの連続しない超音波トランスデューサ素子によって生成される電気信号に、より大きな重みを印加するステップを含む。該異なる重みを印加するステップは、複数の連続する素子によって生成される電気信号に対して、少なくとも1つの連続しない素子によって生成される電気信号を2倍に重み付けするステップを含むことができる。さらに、第1の受信開口を選択するステップは、解剖学的構造内の第1の焦点ゾーンから反射された超音波エコーを受信するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法がさらに、電子回路によって、第1の受信開口とは異なる第2の受信開口を選択して、解剖学的構造内の第2の焦点ゾーンから反射された超音波エコーを受信し、撮像データを表す電気信号を生成するステップであって、第2の受信開口が複数の非連続超音波トランスデューサ素子を有するステップを含む。第2の受信開口は、いくつかの態様において、非連続超音波トランスデューサ素子のみを含むことができる。他の実施形態では電子回路がマルチプレクサを含み、第2の受信開口を選択するステップはマルチプレクサ構成を切り替えるステップを含む。
【0012】
[0012] さらに他の実施形態では、本方法が第2の受信開口の超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号をビーム形成器によって受信するステップと、第2の受信開口の少なくとも1つの超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号に異なる重みを加えるステップと、をさらに含む。
【0013】
[0013] 本開示のさらなる態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0014】
[0014] 本開示の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0015]
図1Aは、本開示の態様による超音波撮像システムの概略図である。
【
図1B】[0016]
図1Bは、本開示の態様による超音波撮像システムの概略図である。
【
図2】[0017]
図2は、本開示の態様による、超音波トランスデューサ素子のアレイと通信するマルチプレクサ回路のアレイの概略図である。
【
図3】[0018]
図3は、本開示の態様による、超音波エネルギを送信するために活性化される送信開口を有する、
図2のアレイの概略図である。
【
図4】[0019]
図4は、本開示の態様による、解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信するように活性化された受信開口を有する、
図2のアレイの概略図である。
【
図5】[0020]
図5は、本開示の態様による、解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信するように活性化された、まばらにサンプリングされた受信開口を有する、
図2のアレイの概略図である。
【
図6】[0021]
図6は、本開示の態様による、解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信するように活性化された、重み付けされ、まばらにサンプリングされた受信開口を有する、
図2のアレイの概略図である。
【
図7】[0022]
図7は、本開示の態様による、解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信するように活性化された、重み付けされ、まばらにサンプリングされた受信開口を有する、
図2のアレイの概略図である。
【
図8】[0023]
図8は、本開示の態様による、解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信するように活性化された、重み付けされ、まばらにサンプリングされた受信開口を有する、
図2のアレイの概略図である。
【
図9】[0024]
図9は、本開示のいくつかの態様による、超音波スキャンシーケンスのグラフである。
【
図10】[0025]
図10は、本開示のいくつかの態様による、重み付けされ、まばらにサンプリングされた超音波スキャンシーケンスのグラフである。
【
図11】[0026]
図11は、本開示のいくつかの態様による、重み付けされ、まばらにサンプリングされた超音波スキャンシーケンスを使用して超音波画像を取得するための方法を示すフローチャートである。
【
図12】[0027]
図12は、本開示のいくつかの態様による、超音波スキャンシーケンスのグラフである。
【
図13】[0028]
図13は、本開示のいくつかの態様による、重み付けされ、まばらにサンプリングされた超音波スキャンシーケンスのグラフである。
【
図14】[0029]
図14は、本開示のいくつかの態様による、
図13に示されるグラフの第1の部分の拡大図である。
【
図15】[0030]
図15は、本開示のいくつかの態様による、
図13に示されるグラフの第2の部分の拡大図である。
【
図16】[0031]
図16は、本開示のいくつかの態様による、重み付けされ、まばらにサンプリングされた多焦点ゾーン超音波スキャンシーケンスを使用して超音波画像を取得するための方法を示すフローチャートである。
【
図17】[0032]
図17は、本開示のいくつかの態様による、デフォルト受信開口を使用する超音波画像システムによって得られるBモード画像である。
【
図18】[0033]
図18は、本開示のいくつかの態様による、拡張受信開口を使用する超音波画像システムによって得られるBモード画像である。
【
図19】[0034]
図19は、
図2のアレイの概略図であり、重み付けされた送信開口が、超音波エネルギを解剖学的構造に送信するように作動されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0035] 本開示の原理の理解を促進する目的のために、ここで、図面に示された実施形態を参照し、それを説明するために特定の言語を使用する。それにもかかわらず、本開示の範囲への限定は意図されないことが理解される。説明された装置、システム、および方法に対する任意の変更およびさらなる修正、ならびに本開示の原理の任意のさらなる適用は本開示が関係する当業者に通常想起されるように、本開示内に完全に企図され、含まれる。特に、一実施形態に関して説明された特徴、構成要素、および/またはステップは、本開示の他の実施形態に関して説明された特徴、構成要素、および/またはステップと組み合わせることができることが十分に企図される。しかしながら、簡潔さのために、これらの組み合わせの多数の反復は、別途説明されない。
【0017】
[0036]
図1Aでは、本開示の実施形態による超音波システム100がブロック図形式で示されている。プローブ10は、複数の超音波トランスデューサ素子を含むトランスデューサアレイ12を有する。該アレイはこの例に示すように、平面であっても湾曲していてもよい。超音波トランスデューサ素子は、圧電/圧電抵抗素子、圧電微細加工超音波トランスデューサ(PMUT)素子、容量性微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)素子、および/または任意の他の適切なタイプの超音波トランスデューサ素子を含むことができる。アレイ12の超音波トランスデューサ素子は電子回路14と通信している(例えば、電気的に結合されている)。
図1Aの実施形態のようないくつかの実施形態では、電子回路14が信号セレクタ及び/又はマルチプレクサ(MUX)を含むことができる。電子回路14、すなわちMUXは、プローブ10内に配置され、トランスデューサアレイ12に通信可能に結合されている。いくつかの実施形態では、電子回路14の1つまたは複数の構成要素をプローブ10内に配置できる。いくつかの実施形態では、電子回路14すなわちMUXの1つまたは複数の構成要素を処理システム28内に配置できる。いくつかの態様において、電子回路14のいくつかの構成要素はプローブ10内に配置され、電子回路14の他の構成要素は処理システム28内に配置される。MUX 14は、複数の入力を組み合わせおよび/または連続的に切り替えて、1つまたは複数の共通通信チャネルにわたって該複数の入力のそれぞれから信号を送信するように構成された1つまたは複数の電気スイッチ、トランジスタ、プログラマブル論理デバイス、または他の電子構成要素を備えることができる。MUX 14は、複数の通信チャネルによってアレイ12の素子に結合できる。単一のMUX 14が参照されるが、MUX 14は複数のMUXまたはMUX回路を備えることができる。MUX 14は、多重化された信号を処理システム28に伝送するケーブル16に結合されている。
【0018】
[0037] 処理システム28では、多重化された信号はデジタル化され、各信号を適切に遅延させるシステムビーム形成器22のチャネルに結合される。次いで、遅延された信号を組み合わせて、コヒーレントなステアリング及び収束された受信ビームを形成する。システムビーム形成器は、電子ハードウェア要素、ソフトウェアによって制御されるハードウェア、またはビーム形成アルゴリズムを実行するマイクロプロセッサを備えることができる。その点に関し、ビーム形成器22は、電子回路として参照できる。いくつかの実施形態では、ビーム形成器22が
図1Aのシステムビーム形成器22のようなシステムビーム形成器であってもよいし、超音波プローブ10内の回路によって実現されるビーム形成器であってもよい。いくつかの実施形態では、システムビーム形成器22がプローブ10内に配置されたマイクロビーム形成器と連動して機能する。ビーム形成器22は、一部の実施形態ではアナログビーム形成器であっても、一部の実施形態ではデジタルビーム形成器であってもよい。デジタルビーム形成器の場合、このシステムは、アレイ12からのアナログ信号をサンプリングされたディジタルエコーデータに変換するA/D変換器を含む。ビーム形成器22は一般に、エコーデータをコヒーレントエコー信号データに処理するために、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、シフトレジスタ、および/またはデジタルもしくはアナログメモリを含む。遅延は例えば、受信信号のサンプリング時刻、メモリーに一時的に記憶されるデータの書込み/読出し間隔、または、その全体が引用により本明細書に組み込まれる、McKeighen他の米国特許第4,173,007号に記載されているようなシフトレジスタの長さまたはクロックレートのような種々の手段によって行われる。加えて、いくつかの実施形態では、当該ビーム形成器がアレイ12によって生成された信号のそれぞれに適切な重みを加えることができる。画像フィールドからのビーム形成された信号は、信号および画像プロセッサ24によって処理されて、画像ディスプレイ30上に表示するための2Dまたは3D画像を生成する。信号および画像プロセッサ24は、電子ハードウェア構成要素、ソフトウェアによって制御されるハードウェア、または画像処理アルゴリズムを実行するマイクロプロセッサを備えることができる。また、該プロセッサは一般に、受信したエコーデータを、スキャンコンバータのように所望の表示フォーマットの画像のための画像データに処理する専用のハードウェアまたはソフトウェアを含む。いくつかの実施形態では、ビーム形成機能が異なるビーム形成構成要素間で分割できる。例えば、いくつかの実施形態では、システム100がプローブ10内に配置され、システムビーム形成器22と通信するマイクロビーム形成器を含むことができる。該マイクロビーム形成器は、受信信号を処理システム28に送信するために必要な通信チャネルの数を減らすことができる予備的なビーム形成及び/又は信号処理を実行できる。
【0019】
[0038] プローブ選択、ビームステアリング及びフォーカシング、及び信号及び画像処理のような超音波システムパラメータの制御は、システム100の種々のモジュールに結合されたシステムコントローラ26の制御の下で行われる。システムコントローラ26は、特定用途向け集積回路(ASIC)またはマイクロプロセッサ回路、およびRAM、ROM、またはディスク・ドライブなどのソフトウェア・データ記憶装置によって形成できる。プローブ10の場合、この制御情報の一部は、ケーブル16を介して処理システム28からMUX 14に供給され、特定の走査手順に必要とされるアレイの動作のためにMUX 14を調整する。ユーザは、制御盤20の手段によってこれらの動作パラメータを制御する。
【0020】
[0039]
図1Bは、
図1Aに示される超音波画像システム100の代替図を示す。
図1Bに示すように、アレイ12は、第1の複数の通信チャネル42、第2の複数の通信チャネル44、及び1つ以上のMUXを備える電子回路14を備える通信サブシステム40を介して、処理システム28に通信可能に結合される。第1の複数の通信チャネル42はアレイ12の素子をMUX14に通信可能に結合し、導体、光ファイバケーブル、ワイヤなどの物理的要素を含んでもよい。第2の複数の通信チャネル44はMUX14を処理システム28に通信可能に結合し、これらも、導体、光ファイバケーブル、ワイヤなどの物理的構成要素を備えることができる。例えば、第2の複数の通信チャネルは、プローブ10と処理システム28との間に延在するケーブル16を含むことができる。いくつかの実施形態では、MUX14が複数の超音波トランスデューサ素子によって生成された信号を結合して、結合された信号を共通の導体を介して送信できる。いくつかの実施形態では、該システムがさらに、結合された信号をその構成部分に分離して戻すように構成されたデマルチプレクサを含む。例えば、第2の複数の通信チャネル44は時間(例えば、時分割多重化)、周波数(周波数分割多重化)、又は他のパラメータによって部分的に規定されるか又は特徴付けることができる。デマルチプレクサは、共通導体に沿って送られる個々の信号を、該信号を結合するために使用された時間、周波数または他のパラメータを使用して分離する。
【0021】
[0040]
図1Bに示す実施形態では、第1の複数の通信チャネル42が第2の複数の通信チャネル44よりも多くのチャネルを含む。この点に関して、第1の複数のチャネル42はM個のチャネルを含み、第2の複数のチャネル44はL個のチャネルを含む。例えば、いくつかの実施形態ではアレイ12が320個の超音波トランスデューサ素子を備えることができ、各素子は別個の通信チャネルによってMUX14に通信可能に結合される。したがって、第1の複数の通信チャネル42は、320個の通信チャネルを含み得る。対照的に、第2の複数の通信チャネル44は、128チャネルなどの、320未満のチャネルを含むことができる。第2の複数のチャネル44内の利用可能なチャネルの数は、ケーブル16のサイズならびに処理システム28のハードウェアおよび/または処理能力などのハードウェア制限によって制約され得る。第2の複数の通信チャネル44の数を超音波トランスデューサ素子の数と同等またはそれを超える数に増やすことは、状況によっては実用的でない場合がある。したがって、MUX14は、所与の時間にアレイ12の様々な素子が処理システム28と通信することに対処する。
【0022】
[0041] 場合によっては、アレイ12が任意の数の音響素子を含むことができる。例えば、アレイ12は、2個の音響素子、4個の音響素子、36個の音響素子、64個の音響素子、128個の音響素子、500個の音響素子、812個の音響素子、および/またはより大きいおよびより小さい他の値の両方を含む、1個の音響素子と1000個の音響素子との間を含むことができる。いくつかの例では、アレイ12の音響素子が線形アレイ、平面アレイ、曲面アレイ、曲線アレイ、円周アレイ、環状アレイ、フェーズドアレイ、マトリクスアレイ、一次元(1D)アレイ、1.x次元アレイ(例えば1.5Dアレイ)、または二次元(2D)アレイなど、任意の適切な構成で配置されてもよい。音響素子のアレイ(例えば、1つ以上の行、1つ以上の列、および/または1つ以上の向き)は、一様にまたは独立して制御され、活性化され得る。アレイ12は、患者の解剖学的構造の一次元、二次元、および/または三次元画像を得るように構成できる。
【0023】
[0042]
図2~
図8は、超音波トランスデューサ素子110のアレイ12の様々な構成および状態を示す。
図2~
図8に示されたアレイ12は、24個の超音波トランスデューサ素子110を含む一次元アレイである。好ましい実施形態では、アレイ12が64個、120個、160個、または320個のトランスデューサ素子などの、24個を超える超音波トランスデューサ素子を備えることができる。他の実施形態では、アレイ12が1.25次元アレイ、1.5次元アレイ、または数百、さらには数千の個々の超音波トランスデューサ素子を含む2次元アレイであってもよい。しかしながら、簡略化および説明目的のために、
図2~
図8のアレイ12は、横方向に延在する、一次元構成の24個の超音波トランスデューサ素子を備える。
【0024】
[0043]
図2を参照すると、アレイ12は、複数のマルチプレクサ、すなわちMUXを備える電子回路14と通信する24個の超音波トランスデューサ素子110を備える。本開示の目的のために、MUXという用語は、複数の個別のMUXを備えるマルチプレクサ回路を指すために使用されてもよく、または2つ以上の多重化された素子の間で選択するように構成された各個別のMUXを指すために使用されてもよい。
図2の実施形態では、各MUXが2つの超音波トランスデューサ素子に通信可能に結合されている。例えば、MUX 1は左から右へ、1および17の番号が付された素子に通信可能に結合され、MUX 2は2および18の番号が付された素子に通信可能に結合され、MUX 3は3および19の番号が付された素子に通信可能に結合され、以下同様に、MUX 8は8および24の番号が付された素子に通信可能に結合される。各MUXは2つの結合された素子の一方を選択し、他方の素子を選択解除するように動作する。たとえば、MUX 1 は素子1 または素子17 のいずれかを選択するが、両方は選択しないように構成できる。明らかになるように、1つ以上の素子がMUXによって選択されるが、選択された素子の全てが、超音波エネルギを送信および/または受信するために必ずしも励起または活性化されるわけではない。例えば、ある素子がMUXによって選択され、またはオンにされてもよいが、処理システムはビーム形成器および/またはコントローラを介して、該選択されたMUXを作動させなくてもよい。いくつかの実施形態では各個々のMUXが3つ、4つ、またはそれ以上の素子に通信可能に結合でき、同様に、結合された素子のうちのどれが、電気信号を送信および/または受信するために活性化されるかを決定できる。
図2~
図8に関して説明するアレイ12の24個の素子は例えば、16個の通信チャネルに関連付けることができる。8つのチャネルをそれぞれMUX1~8に通信可能に結合することができ、8つのチャネルをそれぞれアレイ12の素子9~16に通信可能に結合できる。
【0025】
[0044] いくつかの態様では、MUX構成が超音波トランスデューサ素子110のグループまたは一部を備える開口を少なくとも部分的に定めることができる。開口は超音波エネルギを送信し、および/または超音波エコーを受信するために活性化されるか、または励起される、アレイ12の超音波トランスデューサ素子110のグループまたは部分を指すことができる。各開口は、アレイ12を横切って左から右にまたがる横方向寸法のような或る次元における幅を有していてもよい。該幅は各開口内の最外側の活性化された超音波トランスデューサ素子間の距離として説明でき、素子の数で測定または記述できる。幅、長さ、および他の空間的寸法に加えて、開口は、MUXによって活性化される連続および/または非連続素子の数によって定義または特徴付けられてもよい。したがって、2つの開口は、たとえその幅、即ち最外側の超音波トランスデューサ素子間の距離が同じであっても、異なる場合がある。例えば、開口は24素子アレイ12と同じ幅であってもよいが、16個の活性化素子、例えば8個の非連続素子、および8個の連続素子のみを含んでもよい。前述のように、MUXによって選択されたすべての素子がシステムによって活性化されるわけではないので、2つの開口は共通のMUX構成によって定義されても、異なることがある。
【0026】
[0045]
図3は、8つの活性化さる連続した超音波トランスデューサ素子を備える活性化される送信開口122を示す。送信開口122は、2次元Bモード画像を集成または掃引するためにスキャン(走査)シーケンスで使用される多数の開口のうちの1つであってもよい。開口122は、MUX、処理システム、ビーム形成器、及び/又は制御装置によって活性化できる。送信開口122は、連続する素子132のみを含む。開口122の位置は、アレイ12の中心に向かっている。開口122は、超音波エネルギを異なる方向におよび解剖学的構造の異なる領域に向けるために、走査線シーケンス間で右から左にシフトできる。どの素子132が開口122として活性化されるかをMUXが制御することに加えて、処理システム28のビーム形成器22のようなビーム形成器は、送信開口122の1つまたは複数の素子132を選択的に遅延させて、開口122から伝搬する超音波エネルギの集束ビームを生成できる。従って、超音波エネルギの集束ビームの方向性は、同じ開口122が活性化される場合でさえも変化し得る。さらに、8つの素子が開口122内で活性化されるように示されているが、いくつかの実施形態では、送信開口122が16個の素子などの、MUXによって選択された8つを超える素子を含むことができる。しかしながら、処理システム28はビーム形成器22および/またはコントローラ26を介して、開口122の素子の一部のみ(例えば、8つ)が作動して超音波エネルギを伝達するように、選択された素子のうちの1つ以上を作動させない場合もある。
【0027】
[0046]
図4は、本開示のいくつかの態様による、16個の活性化された超音波トランスデューサ素子を備える受信開口124を示す。開口124は、
図3に示される送信開口122と同じMUX構成によって選択され得る、連続した素子134のみを含む。例えば、
図3に示される送信開口122はMUXによって選択された
図4に示されるのと同じ16個の素子134を含んでもよいが、8つの素子のみが活性化される一方、
図4に示される受信開口124は同じ16個の選択された素子を含み、16個の素子がすべて、超音波エコーを受信するように活性化される。したがって、いくつかの実施形態では、受信開口124が送信開口122の受信対応物であってもよい。MUXによって選択された素子の各々は反射超音波エコーを受信し、超音波撮像データを表す電気信号を生成するように構成される。撮像データは(例えば、画像生成のために処理される前の)エコーデータおよび/または(例えば、エコーデータの画像処理後の)画像データであってもよい。
【0028】
[0047] いくつかの態様では、横方向の解像度を改善し、画像のアーチファクトを低減するために、対応する送信開口よりも相対的に広い受信開口を活性化することが有利である。例えば、いくつかの実施形態では送信開口122が十分な被写界深度を達成するために、MUXに通信可能に結合された素子のグループの一部のみを活性化するように構成される一方、受信開口124はMUXに結合されたより多くの素子またはすべての素子を活性化するように構成されることができる。
【0029】
[0048]
図4のアレイは、各素子が1として等しく重み付けされた状態で活性化される。1の重みは、各素子134によって生成される電気信号に適用される重みまたは利得の正規化された尺度として説明できる。受信および/または送信時の電気信号の重み付けは、ビーム形成器および/またはコントローラなどの処理システムの1つまたは複数の構成要素によって適用され得る。
図4では、等しい重み付けが、アレイ12の各活性化素子134に適用されるグレーの濃淡によっても示されている。他の実施形態(例えば、
図6を参照)において、アレイ12の各素子に適用される相対的な重み付けは開口を横切って変化し得る。
【0030】
[0049] 既存のシステムの中には、アレイ内の超音波トランスデューサ素子よりも通信チャネルが少ないため、横方向解像度の低い画像を提供するものがある。このように、いくつかの既存のシステムは、アレイ内のトランスデューサ素子を、通信チャネルと同数だけ作動させることがあり得る。例えば、いくつかのシステムは、開口をアレイの一領域に制限するか、または狭めることによって、超音波エコーを受信する活性化素子の数を減らすことがあり得る。このような狭い開口は、不十分な横方向解像度および/または画像アーチファクトをもたらし得る。以下に説明するように、本開示は、有利にも、アレイ内の素子よりも少ない通信チャネルしか存在しない場合であっても、改善された画質、特に改善された横方向解像度を提供する。
【0031】
[0050]
図5は、本開示のいくつかの態様による、別の活性化される受信開口126を示す。
図5に示す開口126は、6つの不連続または疎な(スパース)素子136と、10個の連続したトランスデューサ素子138とを含む。開口126は16個の活性化素子しか含まないが、該開口126は22個の素子の幅を有する。疎素子136は、連続エレメント138の両側で作動される。いくつかの態様では、連続する素子138の側部における疎な素子136の各グループは副開口として参照され得る。疎素子136は、各疎素子136の間の1つまたは複数の非活性化素子137によって分離される。いくつかの実施形態では、各疎素子136が1つより多い非活性化素子137によって分離される。いくつかの実施形態では、様々な数の不活性化素子137が開口126に沿って各疎素子136を分離できる。
図4の実施形態と同様に、開口126の各活性化素子は、1の正規化された重みに等しく重み付けされる。
【0032】
[0051]
図5の開口126は
図4の開口124と同じ数の活性素子を含むが、
図5の開口126は22個の素子の幅を有する一方、
図4の開口124は16個の素子の幅を有する。したがって、
図5の開口126は、活性素子の数、したがって、各素子と処理システムとの間で電気信号を伝送するために使用される通信チャネルの数が同じままであるとしても、
図4の開口124よりも相対的に広くなる。前述のように、対応する送信開口よりも相対的に広い受信開口を活性化することにより、横方向の解像度および画像アーチファクトの低減を含み、いくつかの態様において画質を改善できる。
【0033】
[0052] 次に、
図6を参照すると、6つの疎素子232及び10個の連続素子234を含む16個の活性素子を含む開口222が示されている。開口222は、22の素子の幅である。このように、開口222を構成する素子の配置は、
図5に示す開口126と同様または同一であり得る。しかしながら、
図6では、疎素子232が各疎素子232の下の対応する2によって、および連続する素子234に対する該疎素子232の各々の濃いシェーディングにより示されるように、連続する素子234の量の2倍で重み付けされる。連続する素子234に対して疎な素子232の重みを増加させることは、主ローブ、すなわちビームの幅を減少させるのに役立ち、これにより、受信された超音波画像の横方向分解能を改善できる。いくつかの態様では、スパース素子232の相対重みを増加させることによって、スパース素子232を分離する非活性素子の開口アポダイゼーションプロファイルを補償できる。超音波トランスデューサ開口のアポディゼーションは、開口の中心から開口のエッジまでの送信振幅および/または受信利得の緩やかな変化として説明できる。この点に関して、活性素子の相対重みは、当該開口の意図されたアポダイゼーションプロファイルと一致する単位面積当たりの重みを維持するように有利に調整できる。
図6に示される例は、平らな(長方形の)受信アポディゼーションプロファイルと一致し得る。他のアポダイゼーション関数(Hamming、Riesz、Taylorなど)は、いくつかの状況において有益であり得る。
【0034】
[0053]
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、活性化される超音波トランスデューサ素子236の重み付けされ、まばらにサンプリングされたグループを備える別の受信開口224を示す。
図7の開口224は、いくつかの態様において、
図6に示された開口222に類似し得る。例えば、
図7の開口224は複数の疎素子236、複数の連続する素子238を含み、疎素子236は、連続素子238の側部に配置され、連続素子238に対して2倍に重み付けされる。しかしながら、
図7の開口224は8つの疎な素子236と8つの連続した素子とを含み、完全な24のトランスデューサアレイ12にまたがる幅を有する。このように、
図7の開口224は、同じ数の活性素子を含み、同じ数の通信チャネルを使用するが、
図6の開口222よりも広い。
【0035】
[0054]
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、アレイ12の受信開口226を示す。
図8の開口226は、
図7の開口224と同じ活性化素子を含む。しかしながら、
図8に示される開口226では、連続する素子238の外側素子231が他の連続する素子238に対して1.5倍の重み付けをされる。素子238の連続するグループの横方向端部またはその近くの1つまたは複数のトランスデューサを修正することは、超音波画像の品質を改善するのに役立つことができる。
【0036】
[0055]
図9および
図10は、本開示のいくつかの実施形態による、デフォルト受信開口および拡張受信開口をそれぞれ使用する超音波撮像スキャンシーケンスのグラフである。例えば、
図9に示されるシーケンスは
図4に示されるものと類似の受信開口/MUX構成を用いて実施されたものであり得る一方、
図10に示されるシーケンスは
図6に示されるものと類似の受信開口/MUX構成を用いて実施されてもよい。例えば、
図9に示されるシーケンスは、各々が連続する超音波トランスデューサ素子のグループを含む一連の受信開口を作動させることによって実行されてもよい。
図9および
図10において、受信開口の幅は、着色部分の幅322、324として示されている。
図9および
図10の両方において、超音波エコーを受信するために使用される超音波トランスデューサアレイは各グラフの横軸によって示されるように、160個の素子を備える。各グラフの縦軸は、当該シーケンスの対応する走査線(スキャンライン)を示す。例えば、超音波撮像システム100は、スキャンシーケンスにわたって異なる開口を作動させることができる。いくつかの実施形態ではスキャンシーケンスの一部分(例えば、
図10の走査線0と20との間)において、当該システムは超音波エコーを受信するために同じ開口を活性化してもよい。複数の走査線シーケンスに対して同じ開口が活性化されるが、本システムは送信信号及び受信エコー信号をビーム形成することによって、1つの走査線から次の走査線へと超音波エコーの集束ビームの方向性を操作できる。
【0037】
[0056]
図9において、着色部分332の幅は、40と60の番号が付された走査線の間で最大である。この領域では、開口の素子の数を表す幅322が120~130素子、例えば128素子であり得る。いくつかの実施形態では、受信開口で活性化される素子の数が電気信号を処理システムに送信するために利用可能な通信チャネルの数に対応し得る。例えば、当該システムはアレイから処理システムに電気信号を送信するために、128個の利用可能な通信チャネルを備えることができる。アレイによって生成される電気信号を送信することは、活性化される超音波トランスデューサ素子の数が通信チャネルの数を超える場合、困難または非実用的となり得る。このように、受信開口は、利用可能な通信チャネルと同数の、またはより少ない活性素子を含むことができる。
【0038】
[0057]
図10では、スキャンシーケンスが、拡張された、疎にサンプリングされた開口を使用して実行される。したがって、開口の幅324は、各走査線において、
図9に示される幅322よりも相対的に大きくなり得る。20および80と番号付けされた走査線間の各走査線の開口は、それぞれ、疎にサンプリングされた領域336によって示される、1つまたは複数の重み付けされた、および/または疎にサンプリングされた素子を含む。
図10において、疎サンプリング領域内の各素子は疎サンプリング領域336の相対的により暗い陰影によって示されるように、連続領域334に対して2倍の重み付けをされる。まばらにサンプリングされた領域336の各素子は、白い陰影で示される1つ以上の非活性素子によって分離される。いくつかの実施形態では、20と80の番号が付された走査線の間で活性化される開口が実質的に対称であり得、その結果、各開口は連続する素子のグループのいずれの側にも同じ数の疎な素子を備える。さらに、スパース素子の配置(例えば、間隔)は、各走査ラインにおける開口の連続部分の両側で対称的であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、まばらにサンプリングされた領域336が連続領域334に対して対称でなくてもよい。例えば、1つ以上の走査線の開口は一方の側に他方の側よりも疎にサンプリングされた素子を含んでもよく、疎な素子は連続する素子の一方の側において他方の側よりもさらに離間されてもよく、疎にサンプリングされた素子の相対重みは一方の側と他方の側とで異なってもよい。いくつかの実施形態では、開口が横方向寸法に沿って空間的に変化する疎密性および重みを有することができる。
【0039】
[0058] 40と60の番号が付された走査線の間において、当該超音波システムによって作動される開口は、当該アレイ内の素子の全部またはほぼ全部にわたる幅を有する。従って、128個の素子しか開口に対して活性化されないが、該開口は、受信開口の少なくとも一部を疎にサンプリングする広がり効果のために、約160個の素子の幅を有する。
【0040】
[0059] 本開示の実施形態による、拡張され、まばらにサンプリングされる超音波トランスデューサアレイを用いた走査プロトコルの例示的な方法400が、
図11に示されている。方法400の1つまたは複数のステップは、システム100などの超音波撮像システムによって実行できる。ステップ410において、複数の超音波トランスデューサ素子を含む送信開口が選択され、活性化されて、超音波エネルギを解剖学的構造に送信する。送信開口は、MUX、処理システム、ビーム形成器、コントローラ、および/またはそれらの任意の組み合わせによって選択され、作動され得る。例えば、ビーム形成器はMUXによって選択される送信開口の素子について複数の送信信号を生成及び/又は送信でき、ここで、各送信信号は、所与の方向を有する集束ビームを生成するために選択的に遅延される。いくつかの実施形態では、送信開口が32、64、128、または任意の適切な数のトランスデューサ素子を備えることができる。いくつかの実施形態では、送信開口は大部分が連続する素子を含むことができ、連続する素子のみを含むことができる。いくつかの実施形態では、送信開口が1つまたは複数の不連続または疎な素子を含むこともできる。前述のように、いくつかの実施形態では、MUXによって選択されたすべての素子が送信開口に対し活性化されるわけではない。
【0041】
[0060] ステップ420では、1つ以上の非連続または疎な素子を含む拡張受信開口が選択され、活性化されて、解剖学的構造から反射された超音波エコーを受信し、超音波画像データを表す電気信号を生成する。該拡張された受信開口は、例えば、
図5-8に示された形態をとることができる。該拡張された開口は、いくつかの例では送信開口を備えることができる。例えば、ステップ410において活性化された送信開口および該拡張受信開口は、共通のMUX構成によって規定されてもよい。しかしながら、拡張開口では、MUXによって通信可能に選択またはオンにされたより多くの素子が活性化され得る。例えば、拡張された開口は、連続する複数の素子の側部に複数の非連続的な、すなわち疎な素子を含み得る。送信開口および受信開口が共通のMUX構成によって定義されるこのような構成は、固定MUX構成と呼ばれることがある。前述のように、いくつかの実施形態では、受信開口の素子によって生成される電気信号には様々な重みを与えることができる。例えば、スパース素子は、連続する素子に対して2倍に重み付けされてもよい。重み付けは、例えば、ビーム形成器および/またはコントローラによって適用されてもよい。
【0042】
[0061] ステップ430では、受信開口によって生成された電気信号が通信サブシステムを介してビーム形成器に送信され、該ビーム形成器によって受信される。上記通信サブシステムは、データバスおよび1つ以上のMUXを含むことができる。該通信サブシステムは、複数の通信チャネルによって電気信号を搬送するように構成されてもよい。例えば、該通信サブシステムは、128の通信チャネルにわたって電気信号を送信するように構成され得る。その点に関し、各通信チャネルは、単一の対応する超音波トランスデューサ素子によって生成された電気信号を送信してもよい。該通信チャネルは、ワイヤ、導体、光ファイバ線、アンテナ、FPGAなどのハードウェア要素を含むことができる。通信チャネルはまた、時間、周波数、符号などの他のパラメータによって定義されてもよい。
【0043】
[0062] ステップ440において、ビーム形成器、コントローラ、および信号プロセッサを含む処理システムが、素子のそれぞれによって生成された電気信号に変化する遅延を選択的に適用することによって、電気信号に含まれる撮像データをビーム形成する。ビーム形成器はまた、前述のように、信号のそれぞれに異なる重みまたは変化する重みを適用できる。次いで、遅延および/または重み付けされた信号は撮像データを含む単一の信号に結合され、ステップ450において、該電気信号は信号プロセッサおよび/または画像プロセッサなどの他の構成要素に送信され、ステップ460においてディスプレイに出力される画像を集成する。
【0044】
[0063] 方法400は例えば、Aラインスキャンのような単一ラインの超音波撮像データを得るためのスキャンシーケンスを記述できる。この点に関して、方法400はBモード画像などの2次元画像に集成できるいくつかのAライン走査を生成するために、複数の送信開口および受信開口を使用して何度も繰り返すことができる。当該システムはこのプロセスを繰り返して、解剖学的構造の生の超音波ビューを生成するために、各秒にいくつかのBモード画像を生成するように構成されてもよい。
【0045】
[0064]
図12~
図15は、320個の超音波トランスデューサ素子を含む超音波トランスデューサアレイを使用する超音波撮像スキャンシーケンスのグラフである。
図12において、
図9と同様に、超音波撮像システムは、連続領域532によって示されるように、連続素子のみを含む開口を活性化する。この開口構成は、デフォルト受信開口と呼ぶことができる。また、
図9と同様に、連続領域532の最大幅522はシステムによって作動される最も広い開口の幅を表すこともできるもので、128であり、作動される各素子は他の素子に対して等しく重み付けされる。連続する素子のみを使用する
図12の開口の幅522は通信チャネルの数によって制限されるため、
図12の開口は最適な画像を生成しない場合がある。
図13において、対照的に、各開口は、スパース領域534によって表される複数のスパース素子を含む。例えば、いくつかの実施形態では、各走査線の開口が疎な素子のみを含むことができる。したがって、
図13に示されるアレイは
図9および
図10に示されるアレイの2倍の数の素子を含み、同じ数の通信チャネル(たとえば、128)を有するバスを用いて処理システムに結合されるが、
図13のシーケンスで活性化される1つまたは複数の開口は約250~260素子、たとえば、255素子の幅を有する。
図13に示される開口のような十分に疎な開口は、通信チャネルよりも多くの素子を含むアレイに対して開口幅を増加させることに有益であり得る。
【0046】
[0065]
図13では、各開口の各活性素子に2倍の重みが付けられている。しかしながら、いくつかの実施形態では、各素子が1倍に等しく重み付けされてもよい。
図14および
図15は、素子0~160を示すシーケンスの第1の部分、および素子161~320を示すシーケンスの第2の部分の拡大図を示す。
【0047】
[0066] まばらにサンプリングされたグループの素子を使用して超音波エネルギを伝送することは、グレーティングローブによって画質が劣化する可能性があるという点で、理想的ではないかもしれない。したがって、スキャン手順の送信部分の間において連続する、またはほとんど連続する素子のみを選択し、活性化することが望ましい場合がある。しかしながら、
図12及び
図13に示されるような一連の送信及び受信開口を活性化することは、システムがスキャン手順の送信及び受信部分の間でMUX又はMUX構成を変更することを必要とすることがある。このプロセスは固定MUX構成(例えば、
図9および
図10)とは対照的に、MUXスイッチングと呼ばれ、超音波トランスデューサアレイ近傍の画像の浅い領域内のBモード画像に現れる画像アーチファクトをもたらす可能性がある。例えば、MUXスイッチングによって引き起こされるアーチファクトは、0~10mmの深さの間のBモード画像に現れることがある。したがって、超音波画像において相対的に浅い構造を観察する必要がある場合、MUXスイッチングは望ましくない場合がある。しかしながら、
図16に示される多焦点ゾーン手順を採用することによって、MUXスイッチングは、両方の手順の利点を達成するために、固定MUX手順(例えば、
図11に関して記載された手順)と組み合わせて使用できる。
【0048】
[0067] 本開示のいくつかの実施形態による、多焦点ゾーン超音波撮像のための方法600が、
図16に示される。方法600の1つまたは複数のステップは、システム100などの超音波撮像システムによって実行できる。ステップ610において、システムは超音波エネルギを第1焦点ゾーンに伝送するために、送信開口を選択し、活性化する。第1の焦点ゾーンは、アレイに最も近い画像の浅い領域を含むことができる。その点に関し、システムは第1焦点ゾーンに合焦される超音波エネルギのビームを生成するために、素子に対してビーム形成された送信信号を生成できる。
図11に示す方法400に関して前述したように、送信開口は、複数の連続および/または非連続素子を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、送信開口が連続する素子のみを含む。他の実施形態では、送信開口が複数の連続する素子に加えて、1つまたは複数の疎な素子を備えることができる。ステップ620において、システムは拡張された疎にサンプリングされた開口を活性化して、第1焦点ゾーンから超音波エコーを受信し、第1焦点ゾーンに関する電気信号を生成する。先に説明したように、いくつかの実施形態では、送信開口および疎にサンプリングされた受信開口は、同じグループの超音波トランスデューサ素子およびマルチプレクサ回路を含んでもよい。この点に関して、拡張された開口を活性化することは、送信部分の間に非活性であった追加の非連続素子をアクティブにすることを含むことができる。該拡張された受信開口は電気信号を生成し、次いで、ビーム成形、重み付け、および画像処理のために処理システムに送ることができる。
【0049】
[0068] ステップ630において、システムは超音波エネルギを解剖学的構造の第2の焦点ゾーンに送信するために送信開口を選択し、活性化する。第2の焦点ゾーンは、第1の焦点ゾーンよりも深い解剖学的構造内の領域を含むことができる。該送信開口は、ステップ610で使用されたものと同じ開口を備えてもよく、または異なる送信開口を備えてもよい。超音波エネルギは第2の焦点ゾーンに向けられるため、該送信開口の素子に送られる送信信号はステップ610で送られる信号とは異なり得る。例えば、ビーム形成器は第2焦点ゾーンに合焦された超音波ビームを生成するために、ステップ630で使用される送信信号に異なる遅延を適用してもよい。
【0050】
[0069] ステップ640において、システムはステップ630において超音波エネルギを送信するために使用されたMUX構成から、拡張された完全に疎な受信開口を提供する、異なる完全に疎なMUX構成に切り替える。該完全に疎な受信開口は、第2の焦点ゾーンから反射された超音波エコーを受信するように選択され、活性化される。いくつかの実施形態では、該完全に疎な受信開口は非連続素子のみ、またはほとんど非連続な素子を含むことができる。該完全に疎な受信開口は、例えば
図13-
図15に示された開口を含み得る。
【0051】
[0070] 上記完全に疎な受信開口によって生成された電気信号は、ビーム形成され、さらに処理されるために処理システムに送られる。ステップ630および640は、第3の焦点ゾーン、第4の焦点ゾーン、第5の焦点ゾーンなどの追加の焦点ゾーンについて繰り返され得る。しかしながら、上述したように、ステップ640で生じるMUXスイッチングは、第1焦点ゾーンのような超音波画像の浅い領域において画像アーチファクトおよび劣化した画質を生成し得る。固定MUX構成(すなわち、MUXスイッチングなし)を行って第1焦点ゾーンの撮像データを取得し、残りの、より深い焦点ゾーンに対してMUXスイッチングを行う多焦点ゾーン手順を使用することにより、第1焦点ゾーンにおいて、画像アーチファクトおよび劣化した画質を回避できる一方、より深い焦点ゾーンに対し、より広く完全に疎な受信開口を使用して、それらのゾーンにおいて横方向解像度を改善できる。
【0052】
[0071]
図17および
図18は、それぞれ、デフォルトの受信開口、および拡張受信開口を使用して得られた2次元超音波画像を示す。
図17に示される画像700は、基準円、および基準十字線を示す。これらの構造は画像700が三次元構造の二次元スライスを示すように、画像内へと延在する棒体および/またはワイヤを含んでもよい。前述のような拡張受信開口を使用して得られた画像702は、デフォルトの受信開口を使用して得られた画像700と比較して、横方向解像度が改善されている。画像702の改善された横方向解像度は、基準円712のよりシャープな境界、および十字線710の中心点の幅で見ることができる。さらに、画像700、702の背景として示されるスペックルパターンは、
図18の画像702において、
図17の画像700よりも細かい。
【0053】
[0072]
図19は、本開示のいくつかの態様による、重み付け送信開口を示す。
図3に示される送信開口122と同様に、開口822は、連続したグループの超音波トランスデューサ素子832を含む。また、開口822は開口822の両端に重み付け素子834を含み、2方向または往復ビームパターンを改善する。重み付け素子834は、送信信号および/または受信信号が1つまたは複数の非重み付け素子によって生成された送信信号および/または受信信号に対して重み付けされた素子として説明できる。重み付けは、例えば、ビーム形成器によって実行できる。その点に関し、ビーム形成器は、送信開口の連続する超音波トランスデューサ素子832のそれぞれに対して送信信号を供給するように構成される。また、ビーム形成器は、開口822によって生成される少なくとも1つの送信信号に異なる重みを加えるように構成される。重み付けされた素子834は、他の重み付けされていない連続する素子832に対して0.5倍に重み付けされる。他の実施形態では、素子832が素子834に対して重み付けできる。例えば、連続する素子832は、疎な素子834に対して2倍に重み付けされ得る。いくつかの実施形態では、開口822が様々な重み、例えば、4、6、8、10等の3つ以上の素子を含むことができる。さらに、前述のように、
図19のアレイは説明の目的で示されており、本開示は、超音波トランスデューサ素子の規模および配置の様々な修正を企図する。例えば、いくつかの実施形態では、アレイ12が数十、数百、または数千の超音波トランスデューサ素子を備える。その点に関し、開口822は、
図19に示される実施形態よりも多くの超音波トランスデューサ素子を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、開口822が62、64、94、96、128、256、またはそれ以上の活性化素子を含むことができる。いくつかの実施形態では、アレイが1.25次元アレイ、1.5次元アレイ、または2次元アレイを含むことができる。
【0054】
[0073] 当業者であれば、上述の装置、システム、および方法は、様々な方法で修正できることを理解するのであろう。したがって、当業者は、本開示によって包含される実施形態が上述の特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解するのであろう。その点に関して、例示的な実施形態が示され、説明されてきたが、前述の開示において、広範囲の修正、変更、および置換が企図される。このような変形は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記に対してなされ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示と一致するように広く解釈されることが適切である。