(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20231212BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231212BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H05K5/03 A
H05K5/02 K
H04R1/02 103B
(21)【出願番号】P 2021109357
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100130269
【氏名又は名称】石原 盛規
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】藤田 訓平
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0041693(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
H05K 5/02
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカを有する電子機器であって、
前壁を含む前壁部材と後壁を含む後壁部材とを有するハウジングと、
前記前壁部材に取り外し可能に取り付けられたカバー部材と、
前記カバー部材の後方に配置されると共に前記ハウジングに固定された固定部材と、
前記カバー部材と前記固定部材との間に設けられた第1弾性部材と、を有し、
前記カバー部材、前記固定部材及び前記第1弾性部材は前記ハウジング内に配置され、
前記前壁部材と前記カバー部材との間に前記スピーカが配置され、
前記スピーカの振動板の後面と、前記前壁部材と、前記カバー部材と、前記スピーカと前記前壁部材との間
に設けられたクッション部材と、前記前壁部材と前記カバー部材との間に設けられた
第2弾性部材と、によって閉鎖された空間が画定されるように
、前記前壁部材及び前記カバー部材は形成され、
前記前壁部材には、前記ハウジングの外部から前記スピーカの振動板の前面に通じる開口が設けられ、
前記第1弾性部材は、前記カバー部材及び前記固定部材に接するように構成される、電子機器。
【請求項2】
前記前壁部材は前記前壁の内面から後方に向かって延びる環状リブを有し、前記スピーカは該環状リブ内に配置され、前記カバー部材は前記環状リブの後端に取り付けられる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記カバー部材は、該カバー部材の外周部の異なる2箇所にて前記前壁部材に固定され、前記第1弾性部材は、前記カバー部材の、前記前壁部材に固定された箇所とは異なる箇所に接するように配置される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記カバー部材は、実質的に、長方形の1つの角部が欠けることによって得られる形状を有する天井部を備え、欠けた前記角部に隣接する角部において前記前壁部材に固定され、
前記第1弾性部材は、前記前壁部材に固定された前記カバー部材の角部よりも前記前壁部材に固定されていない前記カバー部材の角部に近い領域において、前記カバー部材に接するように配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記カバー部材は、欠けた前記角部に隣接する2つの角部それぞれにおいて前記前壁部材に固定される、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記カバー部材の前記前壁部材に固定される一つの角部にはツメが設けられ、前記カバー部材の前記前壁部材に固定される他の角部にはネジを通すためのネジ用開口が設けられ、
前記カバー部材は、前記ツメが前記前壁部材に形成されたツメ用開口又はツメ用凹部内に挿入されること及び前記ネジ用開口を通るネジが前記前壁部材に螺入されることによって固定される、請求項4又は5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記カバー部材は、欠けた前記角部と対角に位置する角部が、前記ハウジングの角部に位置するように前記前壁部材に取り付けられる、請求項4~6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記カバー部材は、第1方向に延びる第1部分と該第1方向に対して垂直な第2方向に延びる第2部分とを有するL字状の天井部を備え、
前記第1弾性部材は、前記第1部分と前記第2部分とが交わる部分を含む領域において前記カバー部材に接するように配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記カバー部材は、前記第1部分の前記交わる部分側とは反対側の端部と、前記第2部分の前記交わる部分側とは反対側の端部とにおいて、前記前壁部材に固定される、請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1部分の前記交わる部分側とは反対側の端部にはツメが設けられ、前記第2部分の前記交わる部分側とは反対側の端部にはネジを通すためのネジ用開口が設けられ、
前記カバー部材は、前記ツメが前記前壁部材に形成されたツメ用開口又はツメ用凹部内に挿入されること及び前記ネジ用開口を通るネジが前記前壁部材に螺入されることによって固定される、請求項8又は9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記カバー部材は、前記交わる部分が、前記ハウジングの角部に位置するように前記前壁部材に取り付けられる、請求項8~10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1弾性部材は、前記固定部材に接着されると共に、前記カバー部材には接着されない、請求項1~11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記カバー部材と前記前壁部材とは前記第2弾性部材によって互いに対して取り外し可能に接着される、請求項1~12のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項14】
前記第2弾性部材は、前記カバー部材が前記前壁部材に固定されたときの前記カバー部材と前記前壁部材との間のクリアランスよりも大きい厚みを有するように形成される、請求項13に記載の電子機器。
【請求項15】
前記第2弾性部材は、前記カバー部材の前記前壁部材側の端面と前記前壁部材の前記カバー部材側の端面との間に配置されると共に、これら端面の間から内方へ又は外方へはみ出すように形成される、請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
前記固定部材は、前記前壁部材に固定される、請求項1~15のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項17】
前記後壁部材は前記後壁の内面から前記固定部材に向かって延びる後壁リブを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項18】
前記後壁リブは、前記固定部材が前記ハウジングに固定される箇所よりも前記第1弾性部材側において前記固定部材と対面するように配置される、請求項17に記載の電子機器。
【請求項19】
前記固定部材は基板であり、該基板には前記ハウジング外から前記後壁部材に設けられた開口を介して周辺機器が装着されるスロットが設けられ、前記後壁リブは前記スロットの周りに配置される、請求項17又は18に記載の電子機器。
【請求項20】
前記前壁部材は金属製であり、前記後壁部材は樹脂製である、請求項17~19のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項21】
前記カバー部材は、前記後壁部材よりも硬い樹脂製である、請求項17~20のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スピーカを有する電子機器が知られている(例えば、特許文献1)。特に、特許文献1に記載の電子機器では、ハウジング内に5つの凹所が設けられると共に、一部の凹所同士は互いに連通され、さらに、このうち二つの凹所にはスピーカが収容され且つ音放出孔が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子機器では、スピーカが収容された空間の密閉性について改善の余地があった。
【0005】
上記課題に鑑みて、本開示の目的は、スピーカが収容された空間の密閉性が改善された電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1) スピーカを有する電子機器であって、
前壁を含む前壁部材と後壁を含む後壁部材とを有するハウジングと、
前記前壁部材に取り外し可能に取り付けられたカバー部材と、
前記カバー部材の後方に配置されると共に前記ハウジングに固定された固定部材と、
前記カバー部材と前記固定部材との間に設けられた第1弾性部材と、を有し、
前記カバー部材、前記固定部材及び前記第1弾性部材は前記ハウジング内に配置され、
前記前壁部材と前記カバー部材との間に前記スピーカが配置され、
前記前壁部材及び前記カバー部材は、前記スピーカの振動板の後面と前記前壁部材と前記カバー部材とによって閉鎖された空間が画定されるように形成され、
前記前壁部材には、前記ハウジングの外部から前記スピーカの振動板の前面に通じる開口が設けられ、
前記第1弾性部材は、前記カバー部材及び前記固定部材に接するように構成される、電子機器。
(2) 前記前壁部材は前記前壁の内面から後方に向かって延びる環状リブを有し、前記スピーカは該環状リブ内に配置され、前記カバー部材は前記環状リブの後端に取り付けられる、上記(1)に記載の電子機器。
(3) 前記カバー部材は、該カバー部材の外周部の異なる2箇所にて前記前壁部材に固定され、前記第1弾性部材は、前記カバー部材の、前記前壁部材に固定された箇所とは異なる箇所に接するように配置される、上記(1)又は(2)に記載の電子機器。
(4) 前記カバー部材は、実質的に、長方形の1つの角部が欠けることによって得られる形状を有する天井部を備え、欠けた前記角部に隣接する角部において前記前壁部材に固定され、
前記第1弾性部材は、前記前壁部材に固定された前記カバー部材の角部よりも前記前壁部材に固定されていない前記カバー部材の角部に近い領域において、前記カバー部材に接するように配置される、上記(1)~(3)のいずれか一つに記載の電子機器。
(5) 前記カバー部材は、欠けた前記角部に隣接する2つの角部それぞれにおいて前記前壁部材に固定される、上記(4)に記載の電子機器。
(6) 前記カバー部材の前記前壁部材に固定される一つの角部にはツメが設けられ、前記カバー部材の前記前壁部材に固定される他の角部にはネジを通すためのネジ用開口が設けられ、
前記カバー部材は、前記ツメが前記前壁部材に形成されたツメ用開口又はツメ用凹部内に挿入されること及び前記ネジ用開口を通るネジが前記前壁部材に螺入されることによって固定される、上記(4)又は(5)に記載の電子機器。
(7) 前記カバー部材は、欠けた前記角部と対角に位置する角部が、前記ハウジングの角部に位置するように前記前壁部材に取り付けられる、上記(4)~(6)のいずれか一つに記載の電子機器。
(8) 前記カバー部材は、第1方向に延びる第1部分と該第1方向に対して垂直な第2方向に延びる第2部分とを有するL字状の天井部を備え、
前記第1弾性部材は、前記第1部分と前記第2部分とが交わる部分を含む領域において前記カバー部材に接するように配置される、上記(1)~(3)のいずれか一つに記載の電子機器。
(9) 前記カバー部材は、前記第1部分の前記交わる部分側とは反対側の端部と、前記第2部分の前記交わる部分側とは反対側の端部とにおいて、前記前壁部材に固定される、上記(8)に記載の電子機器。
(10) 前記第1部分の前記交わる部分側とは反対側の端部にはツメが設けられ、前記第2部分の前記交わる部分側とは反対側の端部にはネジを通すためのネジ用開口が設けられ、
前記カバー部材は、前記ツメが前記前壁部材に形成されたツメ用開口又はツメ用凹部内に挿入されること及び前記ネジ用開口を通るネジが前記前壁部材に螺入されることによって固定される、上記(8)又は(9)に記載の電子機器。
(11) 前記カバー部材は、前記交わる部分が、前記ハウジングの角部に位置するように前記前壁部材に取り付けられる、上記(8)~(10)のいずれか一つに記載の電子機器。
(12) 前記第1弾性部材は、前記固定部材に接着されると共に、前記カバー部材には接着されない、上記(1)~(11)のいずれか一つに記載の電子機器。
(13) 前記カバー部材と前記前壁部材との間には第2弾性部材が配置され、前記カバー部材と前記前壁部材とは前記第2弾性部材によって互いに対して取り外し可能に接着される、上記(1)~(12)のいずれか一つに記載の電子機器。
(14) 前記第2弾性部材は、前記カバー部材が前記前壁部材に固定されたときの前記カバー部材と前記前壁部材との間のクリアランスよりも大きい厚みを有するように形成される、上記(13)に記載の電子機器。
(15) 前記第2弾性部材は、前記カバー部材の前記前壁部材側の端面と前記前壁部材の前記カバー部材側の端面との間に配置されると共に、これら端面の間から内方へ又は外方へはみ出すように形成される、上記(14)に記載の電子機器。
(16) 前記固定部材は、前記前壁部材に固定される、上記(1)~(15)のいずれか一つに記載の電子機器。
(17) 前記後壁部材は前記後壁の内面から前記固定部材に向かって延びる後壁リブを有する、上記(1)~(16)のいずれか一つに記載の電子機器。
(18) 前記後壁リブは、前記固定部材が前記ハウジングに固定される箇所よりも前記第1弾性部材側において前記固定部材と対面するように配置される、上記(17)に記載の電子機器。
(19) 前記固定部材は基板であり、該基板には前記ハウジング外から前記後壁部材に設けられた開口を介して周辺機器が装着されるスロットが設けられ、前記後壁リブは前記スロットの周りに配置される、上記(17)又は(18)に記載の電子機器。
(20) 前記前壁部材は金属製であり、前記後壁部材は樹脂製である、上記(17)~(19)のいずれか一つに記載の電子機器。
(21) 前記カバー部材は、前記後壁部材よりも硬い樹脂製である、上記(17)~(20)のいずれか一つに記載の電子機器。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、スピーカが収容された空間の密閉性が改善された電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】
図4は、電子機器を左側から見た側面図である。
【
図5】
図5は、電子機器を左側から見た側面図である。
【
図6】
図6は、
図1~
図3の線VI-VIに沿って見た、ハウジングの左下領域の断面図である。
【
図7】
図7は、前壁部材を右下後方から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、前壁部材左下領域を後方から見た拡大斜視図である。
【
図9】
図9は、スピーカが設けられた前壁部材の左下領域を後方から見た、
図8と同様な拡大斜視図である。
【
図10】
図10は、カバー部材が取り付けられた前壁部材の左下領域を後方から見た、
図8と同様な拡大斜視図である。
【
図11】
図11は、カバー部材が取り付けられた前壁部材の左下領域の背面図である。
【
図12】
図12は、左壁及びカバー部材のツメ用開口の近傍の拡大斜視図である。
【
図14】
図14は、カバー部材の後方に基板が取り付けられた状態における前壁部材6の左下領域を後方から見た、
図8と同様な拡大斜視図である。
【
図15】
図15は、カバー部材の後方に基板が取り付けられた状態における前壁部材6の左下領域を後方から見た、
図14と同様な拡大斜視図である。
【
図16】
図16は、
図1~
図3の線XVI-XVIに沿って見た、ハウジングの右下領域の断面斜視図である。
【
図17】
図17は、カバー部材が取り付けられた前壁部材の右下領域の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0011】
<電子機器の全体構成>
図1~
図5を参照して、一つの実施形態に係る電子機器1の全体構成について説明する。電子機器1は、ディスプレイを備えた略直方体状の機器であり、例えばポータブルゲーム機、タブレット、モバイルモニタなどである。特に、本実施形態では、電子機器1は、床面や卓上面などの載置面上に載置された状態で、又はユーザが手に持った状態で用いられる持ち運び可能な機器である。
【0012】
図1は電子機器1の正面図であり、
図2は電子機器1の底面図であり、
図3は電子機器1の背面図である。
図4及び
図5は、電子機器1を左側から見た側面図である。
図2及び
図4は、後述するスタンドが閉じられた閉状態にある場合、
図3及び
図5は、スタンドが最も開かれた状態にある場合をそれぞれ示している。
【0013】
主に
図1~
図3に示したように、電子機器1は、略直方体状のハウジング2と、ハウジング2の一つの側面側に設けられたディスプレイ3と、ディスプレイ3が設けられた側面とは反対側のハウジング2の側面側に設けられたスタンド4とを有する。なお、ハウジング2は、一つの側面にディスプレイ3が設けられていれば、略直方体以外の形状を有してもよく、よって電子機器1も略直方体以外の形状を有してもよい。
【0014】
本明細書では、ハウジング2に対してディスプレイ3が設けられた方向を前方、ハウジング2に対してスタンド4が設けられた方向を後方と称する。したがって、ディスプレイ3はハウジング2の前面に設けられ、スタンド4はハウジング2の後面に設けられる。また、通常の向きで載置面に対して垂直に電子機器1を立てて置いたときに電子機器1を後方から見て、上方向、下方向、左方向、右方向をそれぞれ電子機器1及びその構成部品の上方、下方、左方、右方と称し、また、電子機器1の左右方向を横幅方向とも称する。
【0015】
<ハウジングの外側構成>
主に
図1~
図5に示したように、ハウジング2は、ハウジング2の前方側に設けられた前壁11、ハウジング2の後方側に設けられた後壁12、並びにこれら前壁11と後壁12との間に設けられた上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16を有する。特に、上壁13はハウジング2の上側に、下壁14はハウジング2の下側に、左壁15はハウジング2の左側に、右壁16はハウジング2の右側にそれぞれ設けられる。本実施形態では、これら上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16は、前壁11及び後壁12に対して垂直に延びる。なお、垂直に延びることは、壁同士が厳密に垂直に延びることのみならず、実質的に垂直に延びることを含む。また、本実施形態では、前壁11の前面及び後壁12の後面は平坦に形成される。加えて、本実施形態では、上壁13の上面、下壁14の下面、左壁15の左面及び右壁16の右面も平坦に形成される。なお、平坦であるとは全体が厳密に平坦であることに限らず、実質的に平坦であることを含む。
【0016】
また、主に
図4及び
図5に示したように、ハウジング2は、前壁11と上壁13との間に一定の曲率で湾曲した前上遷移壁17を有し、前壁11と下壁14との間に一定の曲率で湾曲した前下遷移壁18を有する。加えて、ハウジング2は、後壁12と上壁13の間に一定の曲率で湾曲した後上遷移壁19を有し、後壁12と下壁14との間に一定の曲率で湾曲した後下遷移壁20を有する。なお、これら遷移壁は、必ずしも一定の曲率で湾曲していなくてもよい。したがって、例えば、前下遷移壁18は、その外面が下壁14に対して一定角度(例えば、45°)で傾斜していてもよい。
【0017】
本実施形態では、前上遷移壁17、前壁11、前下遷移壁18、左壁15及び右壁16は、前壁部材6として一体的に形成される。したがって、前壁部材6は、前上遷移壁17、前壁11、前下遷移壁18、左壁15及び右壁16を含む。本実施形態では、前壁部材6は、例えば、マグネシウム合金等の金属で形成される。なお、前壁部材6は、樹脂等、金属以外の材料で形成されてもよい。また、前壁部材6は、前壁11の少なくとも一部を含んでいれば、必ずしも前上遷移壁17、前下遷移壁18、左壁15又は右壁16を含んでいなくてもよい。
【0018】
また、本実施形態では、上壁13、後上遷移壁19、後壁12、後下遷移壁20及び下壁14は、後壁部材7として一体的に形成される。本実施形態では、後壁部材7は、例えばABSなどの樹脂で形成される。なお、後壁部材7は、金属等、樹脂以外の材料で形成されてもよい。また、後壁部材7は、後壁12の少なくとも一部を含んでいれば、必ずしも上壁13、後上遷移壁19、後下遷移壁20又は下壁14を含んでいなくてもよい。
【0019】
図1に示したように、前壁11上には、ディスプレイ3が配置される。本実施形態では、ディスプレイ3は、前壁11のほぼ全面に亘って設けられ、平坦な表面を有する。ディスプレイ3は、電子機器1内に設けられた映像制御装置(図示せず)から出力される信号に従って、静止画や動画を表示する機器である。ディスプレイ3は、例えば、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイである。ディスプレイ3は、その表面上に、入力装置として機能するタッチパネルを備えてもよい。
【0020】
また、
図1及び
図2に示したように、前下遷移壁18には、前下遷移壁18を貫通するスピーカ孔21が設けられる。したがって、スピーカ孔21は、ディスプレイ3の下方において、前壁部材6に設けられる。また、本実施形態では、スピーカ孔21は、前下遷移壁18を、すなわち前壁部材6を貫通するように形成される。
【0021】
本実施形態では、前下遷移壁18には、左右に1つずつ合計2つのスピーカ孔21が設けられる。左側のスピーカ孔21は左壁15に近接して左右方向に延びるように形成され、右側のスピーカ孔21は右壁16に近接して左右方向に延びるように形成される。
【0022】
なお、本実施形態では、スピーカ孔21は、前下遷移壁18に設けられているが、前下遷移壁18よりも上方の前壁11に設けられてもよい。この場合、スピーカ孔21は、例えば、ディスプレイ3の下方又は側方に配置される。また、この場合も、スピーカ孔21は、左右に1つずつ左壁15又は右壁16に近接して配置されてもよい。
【0023】
上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16を含む側壁には、例えば、操作ボタンなどの入力部材(図示せず)が設けられ得る。加えて、本実施形態では、電子機器1は、コントローラなどの別体の操作入力機器と通信することができるように構成されてもよい。この場合、別体の操作入力機器は、ハウジング2の左壁15及び右壁16に取り付けることができるように形成されてもよく、ハウジング2の左壁15及び右壁16上には操作入力装置を取り付けるための取付具(例えば、レール)が設けられてもよい。
【0024】
加えて、上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16を含む側壁には、メモリカードなどの記憶媒体を挿入するスロット、他の機器(例えば、ヘッドホン、マイク、他のディスプレイなど)と接続するための雄型コネクタが挿入される雌型コネクタ(ポート、レセプタクル)などが設けられ得る。コネクタは、USB等の一般的な規格に準拠した形態のコネクタであってもよいし、独自の規格に基づいた形態のコネクタであってもよい。
【0025】
主に
図3及び
図5に示したように、後壁12上にはスタンド4が設けられる。スタンド4は、ハウジング2を載置面に対して角度のついた状態で支持するために用いられる。スタンド4は、主に
図5に示したように、ほぼ平坦な1つの板状に形成される。
図3に示したように、スタンド4は、ヒンジ部材8によってハウジング2に取り付けられる。本実施形態では、ヒンジ部材8は、後壁12の中央付近を横幅方向に延びる揺動軸線X(
図3)を中心に、スタンド4が揺動することができるようにスタンド4を後壁部材7に取り付ける。特に、本実施形態では、スタンド4は、
図4に示した閉状態から、
図5に示した全開状態との間で揺動することができるように、後壁部材7に取り付けられる。
【0026】
<スピーカ周りの構成>
次に、
図6~
図17を参照して、スピーカ30周りの電子機器1の構成について説明する。
図6は、
図1~
図3の線VI-VIに沿って見た、ハウジング2の左下領域の断面図である。
【0027】
図6に示したように、電子機器1は、ハウジング2の左下領域において、前方から後方に向かって、前壁部材6、スピーカ30、カバー部材40、基板60及び後壁部材7を有する。以下では、電子機器1を構成するこれら構成要素について説明する。
【0028】
≪前壁部材≫
上述したように、前壁部材6は、前壁11を含むと共に、ハウジング2の一部を構成する。
図6に示したように、前壁部材6の前面にはディスプレイ3が配置されると共に、前壁部材6は、スピーカ孔21及び環状リブ22を有する。
【0029】
スピーカ孔21は、前壁部材6の下部に設けられる。
図6からわかるように、スピーカ孔21は、その一方の端部が前下遷移壁18の外面に位置し、その他方の端部が前壁部材6の内面に位置するように、前壁部材6を貫通する。特に、本実施形態では、スピーカ孔21は前方に向かって斜め下向きに延びるように、前壁部材6を貫通する。
【0030】
スピーカ孔21は、後述するスピーカ30にて発せされた音を、ハウジング2外へ出すために用いられる。したがって、スタンド4を用いてハウジング2が載置面上に支持されているときには、スピーカ孔21から外部に出た音は載置面に当たって載置面にて反射し、反射した音が電子機器1の前方に位置するユーザに届きやすくなる。
【0031】
図7は、前壁部材6を右下後方から見た斜視図である。
図7には、前壁部材6に取り付けられるスピーカ30及びカバー部材40が示されている。また、
図8は、前壁部材6の左下領域を後方から見た拡大斜視図である。
【0032】
環状リブ22は、
図6~
図8に示したように、前壁部材6の左下領域及び右下領域に、設けられ、前壁11の内面から後方に向かって延びる。
図8に示したように、環状リブ22は、後方から見たときに、長方形の一つの角部が欠けることによって得られる形状の空間をほぼ一周に亘って囲むように形成される。本実施形態では、環状リブ22は、後方から見たときに、L字状の空間を囲むように形成される。なお、L字状であるとは厳密にL字状であることに限らず、実質的にL字状であることを含む。
【0033】
また、環状リブ22の一部は、
図6に示したように、下壁14に沿って延びる。加えて、環状リブ22の他の一部は、左壁15(又は右壁16)に沿って延びる。特に、本実施形態では、環状リブ22は、下壁14と左壁15と(又は、下壁14と右壁16と)によって形成される角に沿って、環状リブ22によって囲まれるL字状の空間が延びるように形成される。換言すると、本実施形態では、環状リブ22内に形成された長方形の一つの角部が欠けることによって得られる形状の空間において、欠けた角部に隣接しない二つの辺に相当する環状リブ22の部分が、下壁14及び左壁15(又は右壁16)に沿って延びるように形成される。したがって、本実施形態では、環状リブ22は、環状リブ22内に形成された長方形の一つの角部が欠けることによって得られる形状の空間において、欠けた角部と対角に位置する角部がハウジング2の角部に位置するように形成される。
【0034】
なお、本実施形態では、環状リブ22は、後方から見たときに、ほぼL字状の空間を囲むように形成されている。しかしながら、環状リブ22は、後方から見たときに他の形状の空間を囲むように形成されてもよい。したがって、環状リブ22は、例えば、後方から見たときにほぼ正方形又はほぼ直角三角形等の空間を囲むように形成されてもよい。或いは、環状リブ22は、後方から見たときに長方形の一つの角部が欠けることによって得られる形状であってL字状とは異なる形状の空間を囲むように形成されてもよい。具体的には、例えば、環状リブ22は、後方から見たときにほぼ台形状又は台形と長方形を組み合わせた形状等の空間を囲むように形成されてもよい。
【0035】
本実施形態では、環状リブ22は、前壁11の内面から後方に向かう高さが、基本的に全周に亘って均一になるように形成される。しかしながら、実質的に空間を囲っているのであれば、部分的に切り欠かれていてもよい。例えば、本実施形態では、
図8に示したように、環状リブ22は、一部のみ、その高さが低くなっている切欠部23を有する。
【0036】
また、前壁部材6は、
図8に示したように、左下領域に設けられた環状リブ22の右側に、第1ネジ穴25及び円筒状の突起24を有する。この第1ネジ穴25は、左下領域に設けられた環状リブ22の右側下方に配置される。したがって、第1ネジ穴25は、下壁14に隣接して配置される。また、突起24は、第1ネジ穴25よりも上方に配置され、後方に向かって延びる。同様に、前壁部材6は、右下領域に設けられた環状リブ22の左側に、ネジ穴を有する(図示せず)。このネジ穴は、左下領域に設けられた第1ネジ穴25と同様に、右下領域に設けられた環状リブ22の左側下方に配置される。したがって、このネジ穴も、下壁14に隣接して配置される。
【0037】
さらに、前壁部材6は、
図8に示したように、左下領域に設けられた環状リブ22の左側に左壁15を有する。左壁15は、左下領域に設けられた環状リブ22に近接して配置され、前壁11から後方に向かって延びると共に、上下方向に延びる。左壁15には、環状リブ22の上端付近にツメ用開口26が形成される。本実施形態では、ツメ用開口26は、左壁15を貫通するように形成されるが、ツメ用開口26は左壁15の内面に形成された左壁15を貫通しない凹部であってもよい。同様に、前壁部材6は、右下領域に設けられた環状リブ22の右側に右壁16を有する(後述する
図17参照)。右壁16は、右下領域に設けられた環状リブ22に近接して配置され、前壁11から後方に向かって延びると共に、上下方向に延びる。右壁16にも、環状リブ22の上端付近にツメ用開口26が形成される。右壁16のツメ用開口26も、右壁16を貫通しない凹部であってもよい。
【0038】
≪スピーカ≫
図9は、スピーカ30が設けられた前壁部材6の左下領域を後方から見た、
図8と同様な拡大斜視図である。
【0039】
図6、
図7及び
図9に示したように、スピーカ30は、前壁部材6の後方に且つ環状リブ22内に配置される。スピーカ30は、周りの空気を振動させる振動板31と、振動板31を振動させるための機構(例えば、コイルなど)を有する本体部32とを有する。振動板31は、スピーカ30の前部に配置されると共にその外周が本体部32によって保持される。スピーカ30の本体部32には配線33が接続され、この配線33は例えばハウジング2内に収容されている基板に接続される。本体部32は、配線33を介して電気信号が供給されると、振動板31を振動させて音を発生させる。
【0040】
図9に示したように、本実施形態では、スピーカ30は、環状リブ22内に形成される空間の下部に配置される。特に、本実施形態では、スピーカ30の本体部32はほぼ直方体状に形成され、環状リブ22によって囲まれるL字状の空間のうち、横方向に延びる部分のほぼ全体に亘って延びる。
【0041】
図6に示したように、スピーカ30の振動板31の外周に位置する本体部32の前面と、前壁部材6の前壁11及び前下遷移壁18の後面との間には、弾性を有する環状の第1クッション部材35が設けられる。特に、本実施形態では、第1クッション部材35は、振動板31を囲むように本体部32の前面の外周に沿って配置される。また、本実施形態では、第1クッション部材35は、スピーカ30の本体部32の前面及び前壁部材6の前壁11及び前下遷移壁18の後面に接着される。このように設けられた第1クッション部材35はスピーカ30が前方に向かって押されると、本体部32の前面と前壁11及び前下遷移壁18の後面との間を密封する。また、環状の第1クッション部材35は、その内側にスピーカ孔21の内側の端部が位置するように配置される。このため、振動板31の前面と前壁11及び前下遷移壁18の後面との間には、スピーカ孔21を除いて密閉される。換言すると、スピーカ孔21は、ハウジング2の外部からスピーカ30の振動板31の前面に通じる。
【0042】
第1クッション部材35は、例えば、弾性を有する樹脂によって形成される。また、第1クッション部材35は、その両面に、接着剤が塗布されるか又は両面に接着力を有する両面テープが貼り付けられる。或いは、第1クッション部材35自体が、両面に接着力を有する両面テープとして形成されてもよい。第1クッション部材35の少なくとも一方の表面は前壁部材6又はスピーカ30に取り外し可能に弱く接着されてもよい。
【0043】
また、
図6及び
図9に示したように、スピーカ30の後方には、第2クッション部材36が設けられる。特に、本実施形態では、第2クッション部材36は、スピーカ30の中央後方に配置され、また、矩形の平板状に形成される。加えて、本実施形態では、第2クッション部材36は、第2クッション部材36がスピーカ30の後方に配置されたときに、第2クッション部材36の後面が環状リブ22の後面よりも後方に突出するように形成される。さらに、本実施形態では、第2クッション部材36は、スピーカ30の後面に接着される。
【0044】
第2クッション部材36は、例えば、弾性を有する樹脂によって形成される。また、第2クッション部材36は、スピーカ30側の表面に、接着剤が塗布されるか又は両面に接着力を有する両面テープが貼り付けられる。或いは、第2クッション部材36自体が片面に接着力を有するテープとして形成されてもよい。
【0045】
また、
図9に示したように、環状リブ22の切欠部23には、切欠部23を閉じるように閉鎖部材27が設けられる。特に、閉鎖部材27は、環状リブ22と閉鎖部材27との間が密封されるように環状リブ22に取り付けられる。閉鎖部材27は、その後端が環状リブ22の後端と面一になるように形成される。また、閉鎖部材27は、ゴム等の弾性を有する材料によって形成される。加えて、閉鎖部材27は配線33が通るように配線33の断面よりも僅かに小さい開口を有すると共に、この開口を通って配線33が環状リブ22の中から外へと延びる。閉鎖部材27の開口は配線33の断面よりも小さいため、閉鎖部材27と配線33との間は密封される。
【0046】
≪カバー部材≫
図10は、カバー部材40が取り付けられた前壁部材6の左下領域を後方から見た、
図8と同様な拡大斜視図である。
図11は、カバー部材40が取り付けられた前壁部材6の左下領域の背面図である。
図12は、左壁15及びカバー部材40のツメ用開口26の近傍の拡大斜視図である。また、
図13は、
図6の四角XIIIで囲まれた領域の拡大図である。
【0047】
図6及び
図10に示したように、カバー部材40は、前壁部材6に取り外し可能に取り付けられる。本実施形態では、カバー部材40は、環状リブ22によって囲まれた空間を覆うように、環状リブ22の後端に取り外し可能に取り付けられる。したがって、スピーカ30は、前壁部材6とカバー部材40との間に配置される。
【0048】
また、カバー部材40は比較的硬い樹脂で形成される。本実施形態では、カバー部材40は、後壁部材7よりも硬い樹脂(例えば、ポリカーボネート)で形成される。なお、カバー部材40は、比較的硬い材料で形成されれば、金属材料など、樹脂以外の材料で形成されてもよい。
【0049】
カバー部材40は、環状リブ22の後端と同様な外形を有する天井部41を有する。具体的には、天井部41は、環状リブ22の後端と同様に、実質的に、長方形の一つの角部が欠けることによって得られる形状を有する。特に、本実施形態では、カバー部材40は、ほぼL字状の天井部41を有する。
【0050】
なお、カバー部材40の天井部41は、他の形状を有するように形成されてもよい。特に、カバー部材40は、環状リブ22の後端と同一形状の外形を有する。したがって、環状リブ22が、ほぼ正方形の空間を囲むように形成されているときには、カバー部材40はほぼ正方形の外形を有するように形成される。
【0051】
また、本実施形態では、カバー部材40は、天井部41を長方形と仮定したときに欠けた角部(以下、単に「欠けた角部」という)と対角に位置する第3角部41cがハウジング2の角部に位置するように、前壁部材6に取り付けられる。したがって、前壁部材6の左下領域に取り付けられるカバー部材40は、第3角部41cが、左壁15と下壁14とによって画定されるハウジング2の角部に位置するように前壁部材6に取り付けられる。また、前壁部材6の右下領域に取り付けられるカバー部材40は、第3角部41cが、右壁16と下壁14とによって形成されるハウジング2の角部に位置するように前壁部材6に取り付けられる(
図17を参照)。
【0052】
図10及び
図11に示したように、欠けた角部に隣接する二つの角部41a、41bのうち、第1角部41a付近にはカバー部材40を前壁部材6に位置決め及び固定するための固定部44が設けられる。固定部44は、天井部41と平行に天井部41から前方にオフセットするように天井部41に結合される。固定部44にはカバー部材40を固定するために用いられるネジを通すネジ用開口45(
図7参照)と、位置決め用の突起24が通る位置決め用開口46とを有する。カバー部材40を前壁部材6に取り付ける際には、前壁部材6の突起24が位置決め用開口46内に配置された状態で、第1ネジ91がネジ用開口45を通って前壁部材6の第1ネジ穴25に螺入される。これにより、固定部44が前壁部材6に固定され、よってカバー部材40の第1角部41aが前壁部材6に固定される。
【0053】
また、
図10~
図12に示したように、欠けた角部に隣接する二つの角部41a、41bのうち、第2角部41b付近には、天井部41から天井部41の外側へ向かって延びるツメ47が設けられる。本実施形態では、前壁部材6の左下領域に取り付けられるカバー部材40では、ツメ47は、天井部41から左方へ延びる。一方、前壁部材6の右下領域に取り付けられるカバー部材40では、ツメ47は、天井部41から右方へ延びる(
図17参照)。加えて、ツメ47はその断面が、ツメ用開口26の断面よりも小さくなるように形成される。特に、ツメ47は、ツメ用開口26の断面形状と相補的な断面形状を有するように形成される。カバー部材40を前壁部材6に取り付ける際には、ツメ47はツメ用開口26内に挿入される。そして、カバー部材40の固定部44が第1ネジ91によって前壁部材6に固定されると、ツメ47はツメ用開口26から抜けなくなり、よってカバー部材40の第2角部41bが前壁部材6に固定される。
【0054】
したがって、本実施形態では、カバー部材40は、欠けた角部に隣接する二つの角部41a、41bそれぞれにおいて前壁部材6に固定される。特に、本実施形態では、二つの角部41a、41bのうち一方はツメ47によって前壁部材6に固定されるため、カバー部材40の一つの角部のみが第1ネジ91によって固定される。したがって、必要なスペースが大きいネジによる固定箇所を最小限に抑えつつ、カバー部材40を複数箇所において前壁部材6に固定することができる。
【0055】
見方を変えると、本実施形態では、天井部41は、第1方向(例えば上下方向)に延びる第1部分41dと、第1方向に対して垂直な第2方向(例えば、左右方向)に延びる第2部分41eとを有するL字状であり、第1部分41dと第2部分41eとが交わる部分41fがハウジング2の角部に位置するように、前壁部材6に取り付けられる。したがって、前壁部材6の左下領域に取り付けられるカバー部材40は、交わる部分41fが、左壁15と下壁14とによって画定されるハウジング2の角部に位置するように前壁部材6に取り付けられる。また、前壁部材6の右下領域に取り付けられるカバー部材40は、交わる部分41f、右壁16と下壁14とによって形成されるハウジング2の角部に位置するように前壁部材6に取り付けられる(
図17を参照)
【0056】
また、第2部分41eの交わる部分41fとは反対側の端部に、ネジ用開口45及び位置決め用開口46を有する固定部44が設けられる。加えて、第1部分41dの交わる部分41fとは反対側の端部にツメ47が設けられる。したがって、本実施形態では、カバー部材40は、第1部分41dの交わる部分41f側とは反対側の端部と、第2部分41eの交わる部分41f側とは反対側の端部とにおいて、前壁部材6に固定される。なお、第1部分41dの交わる部分41fとは反対側の端部に固定部44が設けられ、第2部分41eの交わる部分41fとは反対側の端部にツメ47が設けられてもよい。
【0057】
なお、カバー部材40は、必ずしも第1角部41a及び第2角部41b付近で固定されなくてもよい。したがって、カバー部材40は、カバー部材40の外周部の異なる2箇所にて、例えば、第1角部41a付近と、欠けた角部の対角に位置する角部41c付近とにおいて前壁部材6に固定されてもよい。また、カバー部材40は、必ずしも2つの角部がそれぞれツメ47と第1ネジ91とによって固定されなくてもよく、両方共がネジによって固定されてもよいし、両方共がツメによって固定されてもよい。或いは、カバー部材40は、1箇所又は3箇所以上の複数箇所で前壁部材6に固定されてもよい。
【0058】
図6に示したように、カバー部材40の天井部41の前面には、前方に向かって延びるカバーリブ50が設けられる。本実施形態では、カバーリブ50は、前方から見たときに、十字形状を有するように形成されると共に、天井部41の中央に位置するように配置される。したがって、カバーリブ50は、カバー部材40が前壁部材6に取り付けられたときに、後方から見ると、スピーカ30の後面上に配置された第2クッション部材36と重なるように配置される。
【0059】
カバーリブ50は、カバー部材40が前壁部材6に取り付けられたときに、その前端とスピーカ30の後面との間のクリアランスが、第2クッション部材36の厚みよりも小さくなるように形成される。したがって、カバーリブ50は、カバー部材40が前壁部材6に取り付けられたときに、第2クッション部材36内に前方へ押し込まれる。
【0060】
このようにカバーリブ50が第2クッション部材36内に押し込まれると、第2クッション部材36によってスピーカ30が前方に押し付けられ、スピーカ30が第1クッション部材35に押し付けられる。この結果、スピーカ30は、第1クッション部材35と第2クッション部材36とによって支持される。このように、スピーカ30がクッション部材35、36によって支持されることにより、スピーカ30が硬い部材に直接接触して雑音を発生させることが防止される。
【0061】
なお、本実施形態では、第2クッション部材36は、スピーカ30に接着されている。しかしながら、第2クッション部材36は、カバー部材40に接着されてもよい。この場合には、スピーカ30側に、カバーリブ50と同様なリブが設けられてもよい。
【0062】
また、
図6及び
図13に示したように、環状リブ22の後端面(前壁部材6のカバー部材40側の端面)と、カバー部材40の前端面(カバー部材40の前壁部材6側の端面)との間には、弾性を有する第3クッション部材37が配置される。第3クッション部材37は、カバー部材40と前壁部材6との間に配置される第2弾性部材の一例である。第3クッション部材37は、環状リブ22の後端面及びカバー部材40の外周と同様な環状の形状を有する。第3クッション部材37は、例えば、弾性を有する樹脂によって形成される。
【0063】
特に、本実施形態では、第3クッション部材37は、前壁部材6及びカバー部材40に弱く接着され、具体的には環状リブ22の後端面及びカバー部材40の前端面に弱く接着される。本実施形態では、第3クッション部材37は、前壁部材6及びカバー部材40に弱く接着されるように、その両面に接着力を有する両面テープが貼り付けられるか、又は接着剤が塗布される。或いは、第3クッション部材37自体が、両面に接着力を有する両面テープとして形成されてもよい。
【0064】
このように第3クッション部材37は前壁部材6及びカバー部材40に弱く接着されているため、前壁部材6及びカバー部材40は容易に互いから取り外すことができる。このように、前壁部材6とカバー部材40とが取り外し可能に接着されることにより、スピーカ30の交換等の作業がし易くなる。なお、第3クッション部材37は、前壁部材6及びカバー部材40のうち一方のみに取り外しできるように弱く接着され、他方には取り外しできないように強力に接着されてもよい。いずれにせよ、前壁部材6とカバー部材40とは、第3クッション部材37によって互いに対して取り外し可能に接着される。
【0065】
また、第3クッション部材37は、カバー部材40が前壁部材6に固定されたときのカバー部材40と前壁部材6とのクリアランス(すなわち、カバー部材40の前端面と環状リブ22の後端面との間のクリアランス。例えば、0.1mm)よりも大きい厚み(例えば、0.2mm)を有するように形成される。また、
図13に示したように、第3クッション部材37の環状リブ22に接する表面は、環状の第3クッション部材37の全周に亘って、環状リブ22の第3クッション部材37への当接面(すなわち、環状リブ22の後端面)よりも広い。
【0066】
したがって、本実施形態では、カバー部材40が前壁部材6に固定されたときに第3クッション部材37はカバー部材40の前端面と環状リブ22の後端面とによって圧縮される。このように第3クッション部材37は圧縮されると共に環状リブ22の後端面及びカバー部材40の前端面に接着されることから、環状リブ22とカバー部材40との間、すなわち前壁部材6とカバー部材40との間は密封される。また、本実施形態では、第3クッション部材37の環状リブ22に接する表面が環状リブ22の後端面よりも外側及び内側に向かって広く、また、第3クッション部材37のカバー部材40に接する表面がカバー部材40の前端面よりも外側向かって広い。この結果、
図13に示したように、第3クッション部材37は、カバー部材40の前端面と環状リブ22の後端面との間から外方へはみ出すように形成される。これにより、第3クッション部材37は、環状リブ22とカバー部材40との間をより確実に密封させることができる。
【0067】
なお、第3クッション部材37は、第3クッション部材37の環状リブ22に接する表面が、環状の第3クッション部材37の全周に亘って又は周方向の一部のみにおいて、環状リブ22の後端面よりも外側及び/又は内側に向かって広くなるように形成されてもよい。或いは、第3クッション部材37は、第3クッション部材37のカバー部材40に接する表面が、環状の第3クッション部材37の全周に亘って又は周方向の一部のみにおいて、カバー部材40の前端面よりも広くなるように形成されてもよい。この結果、第3クッション部材37は、カバー部材40の前壁部材6側の端面と前壁部材6のカバー部材40側の端面との間から内方へ及び/又は外方へはみ出すように形成されることになる。
【0068】
このように環状リブ22とカバー部材40との間、すなわち前壁部材6とカバー部材40との間は、第3クッション部材37によって密封される。加えて、前壁11及び前下遷移壁18の後面とスピーカ30との間、すなわち前壁部材6とスピーカ30との間は、第1クッション部材35によって密封される。この結果、スピーカ30の振動板31の後面と、前壁部材6と、カバー部材40とによって、閉鎖された空間が画定される。一方、上述したように、スピーカ30の振動板31の前面は、スピーカ孔21に通じる開いた空間を画定する。したがって、スピーカ30の振動板31の前面から出た音が、スピーカ30の振動板31の後面から出た音と干渉することが抑制されて、高い音質を実現することができる。
【0069】
また、前壁部材6の左下領域に取り付けられるカバー部材40は、
図10及び
図11に示したように、その後面に凹部48を有する。凹部48は、カバー部材40の天井部41の後面において、その他の領域よりも前側に凹んでおり、また、左側上方から左側下方に延びる。凹部48上、すなわち凹部48の後方側には、電子機器1内の電子部品同士を接続するFPC(Flexible Printed Circuits。図示せず)が配置される。本実施形態では、凹部48は、FPCの厚さ以上に凹むように形成される。
【0070】
加えて、カバー部材40は、リークホールメッシュ49を有する。リークホールメッシュ49は、カバー部材40の天井部41の一部に設けられる。リークホールメッシュ49は、リークホールメッシュ49の両側において圧力差があるときに空気を通すが、基本的に音は通さないように形成される。リークホールメッシュ49により、スピーカ30の振動板31の後面と、前壁部材6と、カバー部材40とによって画定された閉鎖された空間内の圧力が上昇すると、閉鎖された空間内の空気が外に放出される。これによって、閉鎖された空間内の圧力が高くなって音質が低下することが抑制される。
【0071】
なお、本実施形態では、環状リブ22が前壁部材6に形成され、この環状リブ22とカバー部材40との間が第3クッション部材37によって密封されている。しかしながら、環状リブはカバー部材40に形成されてもよい。この場合、カバー部材40に形成された環状リブと環状リブの設けられていない前壁部材6とがクッション部材によって密封される。或いは、環状リブは、前壁部材6及びカバー部材40の両方に形成されてもよい。この場合、前壁部材6に形成された環状リブとカバー部材40に形成された環状リブとがクッション部材によって密封される。
【0072】
≪基板≫
図14は、カバー部材40の後方に基板60が取り付けられた状態における前壁部材6の左下領域を後方から見た、
図8と同様な拡大斜視図である。
【0073】
図6及び
図14に示したように、カバー部材40の後方には、カバー部材40の天井部41と平行に延びる基板60が設けられる。加えて、基板60の後方には、第1金属板65が設けられる。基板60には複数の電子部品が実装されると共に、基板60は基板に実装されていない電子機器1の複数の電子部品に接続される。基板60は、電子機器1の複数の電子部品の間で電力や電気信号を伝送するのに用いられる。また、第1金属板65は、基板60やその他の電子部品を覆うように配置され、例えばノイズの侵入を防ぐシールドとして機能する。
【0074】
基板60は、カバー部材40の後方において上方に向かって延びる。したがって、基板60は、環状リブ22よりも上方において前壁部材6に設けられた2つの第2ネジ穴29(
図8等を参照)上を通って延びる。基板60は、前壁部材6に取り付けられたときに第2ネジ穴29の後方に位置する領域に第2ネジ穴29に対応する2つの開口(図示せず)を有し、この開口を通って第2ネジ92が第2ネジ穴29に螺入されることによって前壁部材6に固定される(なお、
図11には、基板60を固定していない状態で第2ネジ92が第2ネジ穴29に螺入されている状態が示されている)。また、基板60は、第2ネジ穴29が配置された箇所以外の複数の箇所において、前壁部材6に固定される。基板60は、カバー部材40の後方に配置されると共にハウジング2に固定された固定部材の一例である。
【0075】
なお、本実施形態では、基板60は前壁部材6に固定されているが、ハウジング2を構成する前壁部材6以外の部材に固定されてもよい。したがって、基板60は、後壁部材7に固定されてもよい。
【0076】
本実施形態では、基板60には、カード状の記憶媒体等の周辺機器が装着されるスロット61が実装される。スロット61の記憶媒体用の開口は、
図3に示したように、後壁部材7に形成された開口72に位置する。したがって、スロット61の開口は、後壁部材7の外部に、したがってハウジング2の外部に露出する。スロット61には、後壁部材7に設けられた開口72を介して、ハウジング2外から周辺機器が装着される。
【0077】
また、
図6に示したように、基板60の前面には、第4クッション部材55が取り付けられる。本実施形態では、第4クッション部材55は、カバー部材40と基板60との間に配置される。したがって、第4クッション部材55は、カバー部材40と基板60(固定部材)との間に設けられた第1弾性部材の一例である。第4クッション部材55は、例えば、弾性を有する樹脂によって形成される。
【0078】
また、第4クッション部材55は、基板60の前面に接着される。加えて、本実施形態では、第4クッション部材55は、カバー部材40の後面には接着されない。具体的には、第4クッション部材55の基板60側の表面には両面に接着力を有する両面テープが貼り付けられるか又は接着剤が塗布され、第4クッション部材55のカバー部材40側の表面には両面テープや接着剤が設けられない。或いは、第4クッション部材55自体が片面に接着力を有するテープとして形成されてもよい。
【0079】
本実施形態では、第4クッション部材55は、平板状に形成される。第4クッション部材55は、カバー部材40及び基板60がハウジング2に取り付けられたときに、カバー部材40の後面と基板60の前面との間に生じるクリアランスとほぼ同一の厚みを有する。したがって、第4クッション部材55は、カバー部材40及び基板60に接するように構成される。
【0080】
また、第4クッション部材55は、
図11に破線で示したように、カバー部材40及び基板60が前壁部材6に取り付けられているときに、カバー部材40の第3角部41cの近傍に位置するように配置される。したがって、第4クッション部材55は、前壁部材6に固定された第1角部41a及び第2角部41bよりも、前壁部材6に固定されていない第3角部41cに近い領域において、カバー部材40に接するように配置される。
【0081】
ところで、カバー部材40は、第1角部41aの近傍及び第2角部41bの近傍において前壁部材6に固定されている。前壁部材6は金属材料で形成され且つカバー部材40は比較的硬い樹脂で形成されているためこれらに変形は生じにくいものの、それでも、カバー部材40や前壁部材6が変形して、カバー部材40が、前壁部材6に固定されていない第3角部41cに近い領域において、カバー部材40が前壁部材6から離間されて浮いた状態になる可能性がある。このようにカバー部材40が浮いた状態になると、カバー部材40と前壁部材6との間、特にカバー部材40と環状リブ22との間の密封性が低下するおそれがある。カバー部材40と環状リブ22との間が密封されなくなると、カバー部材40と環状リブ22との間に開いた隙間から音が漏れ出し、よって電子機器1の音響性能の低下を招くおそれがある。
【0082】
本実施形態では、第3角部41c付近においてカバー部材40と基板60との間に第4クッション部材55がこれらに接するように設けられると共に、基板60がハウジング2に固定される。したがって、カバー部材40が第3角部41cに近い領域において浮いた状態になるようにカバー部材40又は前壁部材6が変形しようとした場合であっても、第4クッション部材55によってカバー部材40が浮いた状態になることが阻止される。したがって、カバー部材40の変形による電子機器1の音響性能の低下が抑制される。
【0083】
特に、本実施形態では、スピーカ30の交換等の作業をし易くすべく、前壁部材6とカバー部材40とは、例えば溶着等によって互いから取り外しができないようには取り付けられておらず、互いに対して取り外し可能に接着されている。しかしながら、本実施形態では、前壁部材6とカバー部材40との間に第3クッション部材37が設けられることによって前壁部材6とカバー部材40との間が密封される。よって、前壁部材6とカバー部材40との間から音が漏れ出すことが抑制される。加えて、上述したように、前壁部材6及びカバー部材40の変形に伴ってカバー部材40が浮いた状態になることが、第4クッション部材55によって抑制される。したがって、本実施形態によれば、スピーカ30の交換等の作業性を確保しつつ、前壁部材6とカバー部材40との密封性を維持することができ、よって電子機器1の音響性能を維持することができる。
【0084】
なお、第4クッション部材55は、カバー部材40及び基板60に接することができれば、如何なる厚みを有していてもよい。したがって、第4クッション部材55は、カバー部材40及び基板60がハウジング2に取り付けられたときに、カバー部材40の後面と基板60の前面との間に生じるクリアランスよりも大きい厚みを有してもよい。この場合には、第4クッション部材55は、常にカバー部材40を前方に向かって付勢していることになる。
【0085】
また、第4クッション部材55は、必ずしも第3角部41c付近に配置されなくてもよい。ただし、第4クッション部材55は、第1角部41a及び第2角部41bには設けられないようにしてもよい。これは、前壁部材6に固定された第1角部41a及び第2角部41bにおいてはカバー部材40が浮く可能性は低いためである。すなわち、第4クッション部材55は、カバー部材40の、前壁部材6に固定された箇所には配置されないようにしてもよい。
【0086】
さらに、第4クッション部材55は、カバー部材40と基板60との間に複数個設けられてもよい。この場合には、第4クッション部材55の少なくとも何れか一つが、第3角部41c付近に設けられてもよい。
【0087】
≪後壁部材≫
上述したように、後壁部材7は、後壁12を含むと共に、ハウジング2の一部を構成する。後壁部材7は、前壁部材6に取り付けられたときに、前壁部材6の左下に設けられた第3ネジ穴28に対応する位置に開口を有し、この開口に通って第3ネジ93が第3ネジ穴28に螺入されることによって後壁部材7が前壁部材6に固定される。
【0088】
図6に示したように、後壁部材7は、後壁12の前面(内面)から前方に向かって、したがって基板60に向かって延びる後壁リブ71を有する。後壁リブ71は、その前後方向の高さが後壁部材7の後壁12の前面と基板60の後面との間の間隔よりもわずかに小さくなるように形成される。したがって、後壁リブ71の前端は、基板60の後面には接触しないものの、基板60の後面の直ぐ上方に位置する。
【0089】
図15は、カバー部材40の後方に基板60が取り付けられた状態における前壁部材6の左下領域を後方から見た、
図14と同様な拡大斜視図である。
図15には、後壁部材7の後壁12は描かれていないものの、後壁部材7の後壁リブ71が描かれている。
【0090】
図15からわかるように、後壁リブ71は、基板60に実装されたスロット61の周りに配置される。特に、本実施形態では、後壁リブ71は、スロット61の入口が設けられた側面以外の側面を部分的に囲うように配置される。上述したように後壁部材7にはスロット61にアクセスできるように開口72が設けられるが、後壁リブ71を設けることにより、開口72を介してスロット61周りに流入した空気がそれ以上ハウジング2内に流れ込みにくくなり、よってハウジング2内に埃等が入り込むことが抑制される。
【0091】
また、後壁リブ71は、基板60が前壁部材6に固定された箇所(すなわち、第2ネジ穴29に対応する箇所)よりも下側において基板60と対面するように後壁部材7に配置される。したがって、後壁リブ71は、基板60が前壁部材6に固定された箇所よりも第4クッション部材55側において基板60と対面するように配置される。この結果、仮にカバー部材40の変形等によって第4クッション部材55を介して基板60が変形されても、基板60は後壁リブ71に当接してそれ以上変形しにくくなる。したがって、後壁リブ71により基板60の変形が抑制されると共に、それに伴ってカバー部材40の変形が抑制され、ひいては電子機器1の音響性能の低下が抑制される。
【0092】
≪右下領域における構成≫
次に、
図16及び
図17を参照して、ハウジング2の左下領域における、電子機器1の構成について説明する。
図16は、
図1~
図3の線XVI-XVIに沿って見た、ハウジング2の右下領域の断面斜視図である。
図17は、カバー部材が取り付けられた前壁部材6の右下領域の背面図である。
【0093】
図16に示したように、電子機器1は、ハウジング2の右下領域においても、前方から後方に向かって、前壁部材6、スピーカ30、カバー部材40’、基板60及び後壁部材7を有する。以下では、ハウジング2の左下領域と異なる部分を中心に説明する。
【0094】
図17に示したように、前壁部材6の右下領域に取り付けられるカバー部材40’の後面上には、第5クッション部材56と第6クッション部材57とが接着される。第5クッション部材56は、カバー部材40’の第3角部41c近傍に配置される。一方、第6クッション部材57は、第2角部41b近傍に配置される。
【0095】
また、
図16に示したように、カバー部材40’の後方には、ハウジング2の一部を構成する通気部材59が配置される。通気部材59は、後下遷移壁20に設けられて、ハウジング2内への通気ができるように通気孔を有する。通気部材59は、ネジ(図示せず)により、前壁部材6に固定される。なお、通気部材59は、ハウジング2を構成する前壁部材6以外の部材に固定されてもよい。したがって、通気部材59は、カバー部材40’の後方に配置されると共にハウジング2に固定された固定部材の一例である。
【0096】
加えて、
図16に示したように、カバー部材40’の後方には、第2金属板66が設けられる。第2金属板66は、第1金属板65と同様に、基板60やその他の電子部品を覆うように配置され、例えばノイズの侵入を防ぐシールドとして機能する。第2金属板66も、ネジ(図示せず)により、前壁部材6に固定される。なお、第2金属板66は、ハウジング2を構成する前壁部材6以外の部材に固定されてもよい。したがって、第2金属板66は、カバー部材40’の後方に配置されると共にハウジング2に固定された固定部材の一例である。
【0097】
図16に示したように、第5クッション部材56は、カバー部材40’と通気部材59との間に配置される。したがって、第5クッション部材56は、カバー部材40と通気部材59(固定部材)との間に設けられた第1弾性部材の一例である。第5クッション部材56は、カバー部材40’及び通気部材59がハウジング2に取り付けられたときに、カバー部材40’の後面と通気部材59の前面との間に生じるクリアランスよりも大きい厚みを有する。
【0098】
また、第6クッション部材57は、カバー部材40’と第2金属板66との間に配置される。したがって、第6クッション部材57は、カバー部材40’と第2金属板66(固定部材)との間に設けられた第1弾性部材の一例である。第6クッション部材57は、カバー部材40’及び第2金属板66がハウジング2に取り付けられたときに、カバー部材40’の後面と第2金属板66の前面との間に生じるクリアランスよりも大きい厚みを有する。
【0099】
この結果、第5クッション部材56及び第6クッション部材57によってカバー部材40’が前方に押し付けられる。したがって、カバー部材40’が前壁部材6から離間されて浮いた状態になることが抑制され、よって電子機器1の音響性能の低下が抑制される。
【0100】
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0101】
1 電子機器
2 ハウジング
3 ディスプレイ
4 スタンド
6 前壁部材
7 後壁部材
30 スピーカ
37 第3クッション部材
40 カバー部材
55 第4クッション部材
60 基板