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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電気端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20231212BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H01R13/42 H
H01R13/11 A
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021166553
(22)【出願日】2021-10-11
(65)【公開番号】P2022064312
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】10 2020 126 888.2
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2021 117 168.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ライミンガー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ラーブ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン シュタウフィンガー
(72)【発明者】
【氏名】マリーナ ヘルトライン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス エトレ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ レヒラー
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヒェン ブラント
(72)【発明者】
【氏名】イジー コンラート
(72)【発明者】
【氏名】ユリア ステッグマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス メルクレ
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-537391(JP,A)
【文献】登録実用新案第3225112(JP,U)
【文献】独国特許発明第102007040937(DE,B3)
【文献】特開平11-067321(JP,A)
【文献】国際公開第2014/127817(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/110661(WO,A1)
【文献】特開2020-87844(JP,A)
【文献】特表2017-516262(JP,A)
【文献】特開2015-111569(JP,A)
【文献】特開2017-191776(JP,A)
【文献】特開2016-207253(JP,A)
【文献】特開2012-178306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/10-13/11
H01R13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気端子(1)、特にNanoMQS端子(1)、好ましくは自動車分野向けのコンタクト手段(1)もしくはコンタクトデバイス(1)であり、
接触部(10)と、遷移部(40)と、コネクタ部(50)と、を備え、前記接触部(10)は、前記電気端子(1)を電気コネクタ(0)のコネクタハウジング内でロックするための細長いロック爪(110)を備え、前記遷移部(40)は、前記電気端子(1)を前記コネクタハウジング内で係止するための二次係止デバイス(302)を有する二次係止(300)を備えた、電気端子(1)において、
前記電気端子(1)の側壁(11、13)が、前記二次係止デバイス(302)内で周方向接続(312、332)によって閉鎖されており、
前記二次係止デバイス(302)は、前記遷移部(40)内に係止箱(302)として設けられており、
前記係止箱(302)が、補強デバイス(334)、特に補強ビード(334)もしくは補強スタンプ部分、を有し
前記二次係止デバイス(302)は、前記電気端子(1)の周方向(Ur)で互いに向かって屈曲した2つの周方向部(310、330)を有し、
前記2つの周方向部(310、330)は、差し込み接続によってそれぞれの自由な周方向端部で互いの中に差し込まれており、
第1の周方向部(310)が、特に凹部(312)もしくはロック部として構成される第1の閉鎖手段(312)を有し、
第2の周方向部(330)が、特に突起(332)もしくは挿入部として構成された第2の閉鎖手段(332)を有し、
差し込み接続において、前記第1の閉鎖手段(312)が、実質的にポジティブロック方式で前記第2の閉鎖手段(332)に受け入れられる、
ことを特徴とする、電気端子(1)。
【請求項2】
前記ロック爪(110)は、前記接触部(10)に取り付けられるのとは別に、前記接触部(10)内で軸方向に追加的に固定されるように設けられており、
- 前記ロック爪(110)は、機械的な接続および/または物質的に単一部材である接続によって軸方向で追加的に固定されること、
- 前記追加的な軸方向の固定は、前記電気端子(1)の軸方向(Ar)で有効であること、および/または、
- 前記追加的な軸方向の固定は、前記固定が前記接触部(10)への前記ロック爪(110)の取り付けと反対側に位置するように、前記接触部(10)内で設定されること
を特徴とする、請求項1に記載の電気端子(1)。
【請求項3】
- 前記ロック爪(110)は、機械的な軸方向ロッキング(120、121)によって軸方向で追加的に固定されるように、前記接触部(10)内に設けることができること、
- 前記機械的な軸方向ロッキング(120、121)は、前記ロック爪(110)を前記接触部(10)に係止すること、ロックすること、もしくは捕捉することとして構成されること、および/または、
- 前記機械的な軸方向ロッキング(120、121)は、前記接触部(10)の壁(13、14)を介しておよび/またはそれを用いて設けられること
を特徴とする、請求項2に記載の電気端子(1)。
【請求項4】
- 前記ロック爪(110)は、機械的な軸方向ロッキング(120、121)によって軸方向で追加的に固定されるように、前記接触部(10)内に設けることができること、
- 前記機械的な軸方向ロッキング(120、121)は、互いの中に係合し合う2つのロック手段(120、121)を有すること、
- 前記ロック手段(120、121)は、ロック凹部(120)およびロック突起(121)として構成されること、および/または、
- 前記ロック凹部(120)および前記ロック突起(121)は、部分的に相補的な構成であること
を特徴とする、請求項2または3のいずれか一項に記載の電気端子(1)。
【請求項5】
- 補強デバイス(124)が、前記ロック凹部(120)に隣接して設けられること、
- 前記補強デバイス(124)は、前記ロック凹部(120)の縁部を形成すること、
および/または、
- 前記補強デバイス(124)は、前記電気端子(1)の引き抜き方向において前記ロック凹部(120)の前方に設けられること
を特徴とする、請求項4に記載の電気端子(1)。
【請求項6】
- 前記係止箱(302)の空隙が、可能性としては前記係止箱(302)の狭くなった部分を除き、前記遷移部(40)のシート材料厚さ以上であること
を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気端子(1)。
【請求項7】
前記電気端子(1)は有極性部(100)を有し、前記ロック爪(110)が、一方の側のみで前記有極性部(100)を介して前記電気端子(1)に機械的に組み込まれていること、および/または、
前記ロック爪(110)は、固着された端部と自由端とを有し、前記端部と前記自由端との間に2つの実質的部分を備え、第1の部分が、前記電気端子(1)の実質的に上方向(Hr)に延び、第2の部分が、前記電気端子(1)の実質的に軸方向(Ar)に延びていること
を特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の電気端子(1)。
【請求項8】
- 前記ロック爪(110)の前記第1の部分は、一方の側でのみ前記有極性部(100)の側壁(11、101)に機械的に取り付けられていること、
- 前記第1の部分は、中央領域内で前記電気端子(1)の周方向(Ur)に延び、次いで前記第2の部分に併合されること、
- 前記ロック爪(110)の前記第2の部分は、前記電気端子(1)の本体から離れる方へ、上方向(Hr)に上昇していくように延びていること、および/または、
- 前記ロック爪(110)の実質的な軸方向部分が、前記電気端子(1)において、偏心して設けられていること
を特徴とする、請求項に記載の電気端子(1)。
【請求項9】
前記電気端子(1)は有極性部(100)を有し、
前記ロック爪(110)は、前記有極性部(100)の側壁(11、101)にあるその基部から始まって、
- まず、最初は上向き部分(111)が、実質的に上方向(Hr)に延び、
- その後、上向き部分(112)が実質的に前記上方向(Hr)および横断方向(Qr)に延び、
- 前記上向き部分(112)は、前記有極性部(100)の、したがって前記電気端子(1)の実際の有極性部デバイス(112)を形成し、
- その後、軸方向部分(113)が実質的に軸方向(Ar)に延び、および/または、
- その後、軸方向部分(114)が実質的に前記軸方向(Ar)および前記上方向(Hr)に延びていること
を特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の電気端子(1)。
【請求項10】
- 前記機械的な軸方向ロッキング(120、121)は、前記電気端子(1)の壁(104;13、103)と前記ロック爪(110)との間に設けられること、
- 前記壁(104;13、103)は、前記電気端子(1)の中間カバー壁(104)もしくは側壁(13、103)であること、
- 前記ロック突起(121)が、前記壁(104;13、103)から切り抜かれ屈曲している、もしくは前記ロック爪(110)から突出していること、および/または、
- 前記ロック凹部(120)が、前記ロック爪(110)もしくは前記壁(104;13、103)に設けられていること
を特徴とする、請求項4に記載の電気端子(1)。
【請求項11】
電気端子(1)を有する電気エンティティにおいて、前記電気端子(1)が請求項1から10のいずれか一項に従って構成されることを特徴とする、電気エンティティ。
【請求項12】
電気端子(1)、特にNanoMQS端子(1)、好ましくは自動車分野向けのコンタクト手段(1)もしくはコンタクトデバイス(1)であり、
接触部(10)と、遷移部(40)と、コネクタ部(50)と、を備え、前記接触部(10)は、前記電気端子(1)を電気コネクタ(0)のコネクタハウジング内でロックするための細長いロック爪(110)を備え、前記遷移部(40)は、前記電気端子(1)を前記コネクタハウジング内で係止するための二次係止デバイス(302)を有する二次係止(300)を備えた、電気端子(1)において、
前記電気端子(1)の側壁(11、13)が、前記二次係止デバイス(302)内で周方向接続(312、332)によって閉鎖されており、
前記二次係止デバイス(302)は、前記電気端子(1)の周方向(Ur)で互いに向かって屈曲した2つの周方向部(310、330)を有し、
前記2つの周方向部(310、330)は、差し込み接続によってそれぞれの自由な周方向端部で互いの中に差し込まれており、
第1の周方向部(310)が、特に凹部(312)もしくはロック部として構成される第1の閉鎖手段(312)を有し、
第2の周方向部(330)が、特に突起(332)もしくは挿入部として構成された第2の閉鎖手段(332)を有し、
差し込み接続において、前記第1の閉鎖手段(312)が、実質的にポジティブロック方式で前記第2の閉鎖手段(332)に受け入れられることを特徴とする、電気端子(1)。
【請求項13】
電気端子(1)、特にNanoMQS端子(1)、好ましくは自動車分野向けのコンタクト手段(1)もしくはコンタクトデバイス(1)であり、
接触部(10)と、遷移部(40)と、コネクタ部(50)と、を備え、前記接触部(10)は、前記電気端子(1)を電気コネクタ(0)のコネクタハウジング内でロックするための細長いロック爪(110)を備え、前記遷移部(40)は、前記電気端子(1)を前記コネクタハウジング内で係止するための二次係止デバイス(302)を有する二次係止(300)を備えた、電気端子(1)において、
前記電気端子(1)の側壁(11、13)が、前記二次係止デバイス(302)内で周方向接続(312、332)によって閉鎖されており、
前記二次係止デバイス(302)は、前記遷移部(40)内に係止箱(302)として設けられており、
前記係止箱(302)が、補強デバイス(334)、特に補強ビード(334)もしくは補強スタンプ部分、を有し、
前記ロック爪(110)は、機械的な軸方向ロッキング(120、121)によって前記電気端子(1)の軸方向(Ar)で追加的に固定されるように、前記接触部(10)内に設けることができ、
前記追加的な軸方向の固定は、前記電気端子(1)の前記軸方向(Ar)で有効であり、
前記機械的な軸方向ロッキング(120、121)は、互いの中に係合し合う2つのロック手段(120、121)を有し、
前記ロック手段(120、121)は、ロック凹部(120)およびロック突起(121)として構成され、
前記ロック凹部(120)および前記ロック突起(121)は、部分的に相補的な構成であり、
前記ロック凹部(120)は、前記ロック爪(110)の縁部に開口しており、
補強デバイス(124)が、前記ロック凹部(120)に前記軸方向に隣接して設けられ、
前記補強デバイス(124)は、前記電気端子(1)の引き抜き方向において前記ロック凹部(120)の前方に設けられること
を特徴とする、電気端子(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気端子、詳細にはNanoMQS端子、好ましくは自動車分野向けのコンタクト手段またはコンタクトデバイスに関する。さらに、本発明は、好ましくは自動車分野向けの電気エンティティ(electrical entity)に関する。
【背景技術】
【0002】
電気分野(電子工学、電気工学、電気設備、電気エネルギー技術等)では、幅広い範囲の電流、電圧、周波数、および/またはデータレートをもつ、電流、電圧、信号および/またはデータを伝送する役割を果たす多数の電気コネクタ手段またはコネクタデバイス、ソケット、ピンおよび/またはハイブリッドコネクタ等が知られている。これらは以下で(電気)コネクタ(相手コネクタとも)と称する。低い、中程度の、または高い電圧および/または電流の範囲で、特に自動車分野において、そのようなコネクタは、機械的に負荷がかかる環境、暖かい、可能性としては高温の環境、汚染された環境、湿気のある環境、および/または化学浸食性環境において、電力、信号、および/またはデータの伝送を、恒久的に、繰り返し、および/または比較的長い不活動の時間の後に短時間にわたり、保証しなければならない。幅広い用途に起因して、多数の特別設計されたコネクタが知られている。
【0003】
そのようなコネクタ、および該当する場合はそれに関連する(例えばコネクタ手段もしくはコネクタデバイスの場合)または上位のハウジング(例えばコネクタデバイスの場合)は、(電力)電気、電気光学、または電子部品または対応する集合体等(電気エンティティ)の、下記で事前に組み立てられた(電気)ケーブル(電気エンティティとも)と称される、電線、ケーブル、ケーブルハーネス等に、または、電気デバイスもしくは手段に、例えばハウジング、リードフレーム、回路基板等に取り付けられ得る。
【0004】
コネクタ(ハウジングを有する/有しない)が、電線、ケーブルまたはケーブルハーネスに位置する場合、それは、フライング(プラグ)コネクタまたはプラグ、ソケットまたは継ぎ手とも呼ばれ、電気、電気光学、または電子部品、集合体等に位置する場合、それは、コネクタデバイス、例えば(内蔵/実装)コネクタ、(内蔵/実装)プラグ、または(内蔵/実装)ソケットとも呼ばれる。さらに、そのようなデバイスにあるコネクタは、多くの場合、(プラグ)差込口、ピンヘッダ、ピンストリップまたはヘッダと称される。電力工学(好ましくは三相高電圧伝送を伴う、電気グリッド内での高電圧電流の生成、変換、蓄積、および移送)の文脈では、その比較的複雑な構造のために、ここでケーブル継手が挙げられる。
【0005】
そのようなコネクタは、電力の適正な伝送を保証しなければならず、互いに対応し合い、部分的に相補的なコネクタ(コネクタおよび相手コネクタ)が、通常、コネクタを相手コネクタに、またはその逆に、恒久的に、しかし通常は解放可能にロックおよび/または締結するためのロックデバイスおよび/または締結デバイスを有する。さらに、例えば実際のコンタクト手段(端子;通常は物質的に1つの部材として、または一体的に作られる、例えば(圧着)コンタクト素子等)、またはコンタクトデバイス(端子;通常はいくつかまたは2つの部分を有する1つの部材であるか、または物質的に1つの部材、例えば(圧着)コンタクトデバイス)を備えるかまたは少なくとも有する、コネクタのための電気接続デバイスは、その中に固定的に保持されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気コネクタを改良して、より小型にする、および/またはより低費用で設計するための努力が常になされている。また、進行する小型化は、ケーブルおよび/または関与する端子の断面積によってここで阻止されることはない。よって、設置空間の量を減らすため、最大の電流搬送能力が与えられる場合に可能な限り良好に線断面積を利用することを可能にするため、および資源、特に銅、を節減するために、ケーブルおよびその端子の寸法を低減する努力がなされている。さらに、小型化は結果として、求められる重量の節減をもたらす。本発明の目的は、小さいが堅牢でもある端子を規定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、電気端子、特にNanoMQS端子(MQS:Micro Quadlokシステム)、好ましくは自動車分野向けのコンタクト手段またはコンタクトデバイス(上記参照)と、好ましくは自動車分野向けの電気エンティティとによって達成される。本発明の有利な発展、追加的な特徴、および/または利点は、従属請求項および以下の説明から生じる。
【0008】
本発明に係る端子は、電気機械接触部および/または機械-電気遷移部および/または電気機械コネクタ部を備え、接触部は、端子を電気コネクタのコネクタハウジング内でロックするための細長いロック爪を備え、および/または、遷移部は、端子をコネクタハウジング内で係止するための二次係止デバイスを有する二次係止を備え、ロック爪は、接触部に取り付けられていることとは別に、接触部内で軸方向に追加的に固定されるように設けられている、および/または、端子の側壁が、二次係止デバイス内で周方向接続によって閉鎖されている。
【0009】
ロック爪は、機械的な接続および/または物質的に単一部材である接続によって軸方向で追加的に固定することができる。ここで、機械的な接続は、もっぱら機械的な接続として構成することができる。物質的に単一部材である接続は、例えば、溶着(溶着点)、はんだ付けされた接続、または接着結合である。追加的な軸方向の固定は、端子の1つの軸方向のみで、少なくとも1つの軸方向で、または2つの軸方向で有効であり得る。追加的な軸方向の固定は、固定が接触部へのロック爪の取り付けと反対側に位置するように、接触部内で設定される。ここで、追加的な軸方向の固定は、好ましくは、ロック爪の取り付け部に対して端子の横断方向において反対側に位置するように確立される。言うまでもなく、ロック爪の2つの軸方向ロッキング(接触部へのロック爪の取り付けおよび追加的な軸方向の固定)の軸方向のオフセットが使用され得る。
【0010】
その結果、小型化された端子上の関連する装填方向に関して、ロック爪の保持力(第1の接触固定)との関係で端子の高い安定性があり、また二次係止の領域で端子の高い安定性がある(第2の接触固定の差し込み方向:右、上部、または左から)。接触部におけるロック爪の本発明による追加的な軸方向の固定と、二次係止デバイスの側壁の本発明による周方向接続とにより、端子の抵抗力が大幅に増す。端子および端子の本発明による前記2つの領域は、製造要件に関して迅速、確実に製造することができる。言うまでもなく、本発明によれば、2つの領域の一方のみが端子上/内に設定されることが可能である。
【0011】
ロック爪は、機械的な軸方向ロッキングによって軸方向で追加的に固定されるように、接触部内に設けることができる。機械的な軸方向ロッキングは、ロック爪を接触部に係止すること、ロックすること、または捕捉することとして構成され得る。機械的な軸方向ロッキングは、接触部の壁を介しておよび/またはそれを用いて設けられ得る。ここで、軸方向ロッキングは、接触部内で遊びによって実質的に影響される場合(すきま嵌め)も、または遊びによって実質的に影響されない場合(中間嵌め、オーバーサイズ嵌め)もある。
【0012】
機械的な軸方向ロッキングは、互いの中に係合し合う2つのロック手段を有し得る。ロック手段は、ロック凹部およびロック突起として構成され得る。ロック凹部およびロック突起は、部分的に相補的な構成であり得る。ここで、ロック凹部は、ロック爪、接触部、または接触部の壁に設けることができ、ロック突起は、接触部または接触部の壁もしくはロック爪の壁に設けることができる。ここで、壁は、端子の側壁であってよく、または、壁は、ロック爪と端子の実際のコンタクトチャンバとの間に端子の中間壁として設定することができる。
【0013】
補強デバイスが、ロック凹部に隣接して設けられ得る。ここで、補強デバイスは、特に補強ビードまたは補強スタンプ部分として構成することができる。補強デバイスは、ロック凹部の縁部を形成することができる。補強デバイスは、端子の引き抜き方向においてロック凹部の前方に設けることができる。ここで、引き抜き方向(引き出し方向)は、端子を(非意図的に)コネクタハウジングから引き抜くために、端子に接続された電線に引き抜き作用が及ぼされる方向である。
【0014】
二次係止デバイスは、遷移部内に係止箱として設けられ得る。係止箱は、例えば、端子の内部に空隙を有することによって区別される。ここで、空隙は、遷移部の材料または端子の材料を含まないように定義される。この種の係止箱は、端子内に単純に設けることができる。係止箱内の空隙は、可能性としては係止箱の狭くなった部分を除き、遷移部のシート材料厚さ以上であることが可能である。係止箱内のこの種の狭くなった部分は、例えば補強デバイスとして構成することができる。係止箱は、補強デバイス、特に補強ビードまたは補強スタンプ部分、を有し得る。正しいと誤判定されるような形でコネクタハウジングに差し込まれた端子は、係止箱が伸びているため、作業者または機械によって十分に検出することができる。
【0015】
二次係止デバイスは、端子の周方向で互いに向かって屈曲した2つの周方向部を有し得る。それぞれの周方向部は、端子の側壁から構成することができる。2つの周方向部は、それぞれの自由な周方向部で、機械的な周方向接続および/または物質的に単一部材である周方向接続によって接続され得る。ここで、機械的な接続は、もっぱら機械的な接続として構成することができる。物質的に単一部材である接続は、例えば、溶着(溶着点)、はんだ付けされた接続、または接着結合である。周方向接続は、端子の1つの周方向のみで、少なくとも1つの周方向で、または2つの周方向で有効であり得る。周方向接続は、端子の横断方向において遷移部内の側部領域に確立され得る。
【0016】
2つの周方向部は、差し込み接続によってそれぞれの自由な周方向端部で互いの中に差し込まれ得る。ここで、周方向の差し込み接続は、機械力を、少なくとも1つの、1つだけの、または2つの周方向、軸方向、および/または径方向に伝達することができる。第1の周方向部が、特に凹部またはロック部として構成される閉鎖手段を有することができる。ここで、凹部は、特に貫通凹部として構成される。第2の周方向部が、特に突起もしくは挿入部(key)として構成される閉鎖手段を有することができる。第1の閉鎖手段は、周方向差し込み接続内で実質的にポジティブロック方式で(in a positively locking manner)第2の閉鎖手段に受け入れられ得る。
【0017】
端子は、有極性部(polarization)を有することができ、ロック爪が、一方の側のみで有極性部を介して端子に機械的に組み込まれている。端子の有極性部は、例えば、一次的な係止(下記参照)や剛性等の他の役割に加えて、分極またはエンコード、すなわちコネクタハウジングへの正しい向きでの端子の差し込みの役割を果たす、端子の軸方向部分全体を意味すると理解される。例えばソケット端子として構成された端子の場合、有極性部は、端子の差し込み面側の自由な長手方向端部であり得、例えばピン端子として構成された端子の場合は、前記端子の長手方向の中央部分であり得る。
【0018】
ここで、ロック爪は、好ましくは、端子のための一次係止の一次係止デバイスとして働き、一次係止は、端子内で有極性部と組み合わせられる。特に、ロック爪は、弾性のロック爪として設計され、および/または二次係止デバイスは、剛性の二次係止デバイスとして設計される。NanoMQS端子は、0.35mm未満、特に0.30mm未満または0.25mmの線断面積をもつケーブルに適する。
【0019】
接触部との有極性部の第1の側壁は、実質的に閉じられた構成とすることができ、接触部との有極性部の第2の側壁は、そこに設けられる場合もある機械的な軸方向のロック手段を除いて、軸方向全体にわたって実質的に開いた構成とすることができる。ロック爪は、それが端子のカバー壁だけでなく、さらに少なくとも部分的に有極性部の側壁も構成するように構成することができる。ロック爪は、その固着された端部と自由端との間に2つの実質的部分を備えることができ、第1の部分が、端子の実質的に上方向に延び、第2の部分が、端子の実質的に軸方向に延びている。
【0020】
端子は、例えば上部から圧縮力がロック爪に加わったときに、端子の第1の部分が、軸方向への屈曲を実質的に受け(屈曲軸としての軸方向)、端子の第2の部分が、端子の横断方向への屈曲を実質的に受ける(屈曲軸としての横断方向)ように構成することができる。さらに、端子は、ここでは例えば実際にまたは理想的にはコネクタハウジング内に設けられる端子に軸方向の引張力が加わったときに、端子の第1の部分が、上方向へのねじりを実質的に受け(ねじり軸としての上方向)、端子の第2の部分が、横断方向への屈曲を実質的に受ける(屈曲軸としての横断方向)ように構成することができる。
【0021】
軸方向における第1の部分の幅(上方向にわたって平均された)は、横断方向における第2の部分の幅(軸方向にわたって平均された)よりも大きくてよい。端子の軸方向((嵌合)プラグ方向)、横断方向および上方向はすべて、実質的に互いに対して垂直に位置する。ここで、軸方向は、端子がその主要な広がりの方向として延びる方向である。端子の断面は、横断方向および上方向にあり、端子の圧着側面は、圧着端子としての前記端子が圧着されていない状態では、実質的に上方向に延びる。
【0022】
ロック爪が端子またはその有極性部の側壁内まで延びている結果、特にコネクタハウジング内に端子が最初にロックされる場合に、ロック爪のばね長さが増大し、ロック爪の緩みが減少する。さらに、その結果、例えば保持力または引き抜き力が存在する場合に、ロック爪の内部的な相互変位の動きが、向上した形で定められる。例えば、端子にかかる大きい引き抜き力またはさらには引きはぎ力が存在する場合は、その結果、ロック爪の、したがって端子の破損挙動に対して、従来技術におけるよりも大きい影響が及ぼされ得る。さらに、ロック爪の保持力がより大きいことにより、従来技術の同等の端子と比べて遜色がないものとなる。
【0023】
ロック爪の第1の部分は、一方の側でのみ有極性部の側壁に機械的に取り付けられ得る。前記側壁は好ましくは、端子の側壁でもある。第1の部分は、中央領域内で端子の周方向に延び、次いで第2の部分に併合することができる。ロック爪の第2の部分は、端子の本体から離れる方へ、上方向に上昇していくように延びることができる。ロック爪の実質的な軸方向部分は、端子内に偏心して設けられ得る。ここで、ロック爪の完全な長手方向側は、好ましくは、端子の長手方向側で終端する。
【0024】
ロック爪は、有極性部の側壁にあるその基部(root)から始まって、まずは(第1の)上向き部分が、好ましくは上方向のみに、実質的に延びることができる。好ましくは、その後、ロック爪は、(第2の)上向き部分が実質的に上方向および横断方向に延びることができる。前記(第2の)上向き部分は、有極性部の、したがって端子の実際の有極性部デバイスを形成することができる。好ましくは、その後、ロック爪は、(第1の)軸方向部分が実質的に軸方向に延びることができる。そして、好ましくは、その後、ロック爪は、(第2の)軸方向部分が実質的に軸方向および上方向に延びることができる。ここで、第2の上向き部分と第1の軸方向部分との間に補強領域を設けることができる。
【0025】
機械的な軸方向ロッキングは、端子の壁とロック爪との間に確立され得る。この壁は、端子の中間カバー壁または側壁であり得る。ロック突起は、壁から切り抜かれるか、または場合によっては壁から屈曲することができ、またはロック爪から突出することができる。ロック凹部は、ロック爪または壁に設けられ得る。
【0026】
端子の接触部は、そのコンタクトチャンバ内に延びるコンタクトばねを有することができる。コンタクトばねは、端子の中間カバー壁から始まって、コンタクトチャンバ内に延びることができる。すなわち、中間カバー壁は、端子内の、底壁と、ロック爪として構成され得るカバー壁との間に設定される。コンタクトばねは、一方の側で取り付けられた板ばねとして、または2つの側で取り付けられたばね薄板として構成することができる。すなわち、くぼみを除いて、コンタクトばねの実質的にまたは主としてすべての断面が、好ましくは単純な断面、特に実質的にまたは主として矩形の断面として構成される。すなわち、さらに言えば、コンタクトばねは、例えばL字型の輪郭は有さない。
【0027】
コンタクトばねは、それが端子内で支持突起によって支持されることが可能であるように、その自由な長手方向端部に設けることができる。端子は、特に側壁上/内に、閉鎖突起がないように構成することができる。少なくとも1つのまたは1つだけの固定されたアンビルを、相手端子のために端子の底壁に設けることができる。ここで、固定されたアンビルは、好ましくは、底壁のへこみとして設けられ、このへこみは底壁にスタンプされる。相手端子のために、少なくとも1つのまたは1つだけの固定されたアンビルをコンタクトばねに設けることができる。1つだけのスタンプ台座凹部または台座ビードを支持突起に設けることができる。スタンプ台座凹部または台座ビードは、支持突起に対して端子の内側に、コンタクトばねの自由な長手方向端部の滑り軸受点または小さい滑り軸受領域を画定する。
【0028】
この結果、相手端子に対して有効な法線力に対する最大の差し込み力の比が改善された、改良された電気接触領域が得られる。さらに、下向きの接触力(重力の方向)および上向きの法線力を求める一般的な顧客要求に応えることができる。さらに、コンタクトチャンバの可能な単純な構造が、顧客および/またはその製品の技術的要件(改変)に従った柔軟な設計をもたらす。板ばねの自由な長手方向端部のための支持突起と併せて一方の側にコンタクトばねとして取り付けられる板ばねが、差し込み力に関して改良された経路をもたらす。
【0029】
端子は、ソケット端子またはピン端子(プロング端子)として構成することができる。言うまでもなく、場合によっては端子をタブ端子として構成することも可能である。さらに、有極性部は、箱型の有極性部として構成することができる。ここで、有極性部の「箱」は、例えば、一方の側の一点で開口しており、そうでなければ場合によっては閉じられ得る。
【0030】
実施形態において、端子は、1つの部分として構成することができる(1つの部材および2つ/いくつかの部分として)。すなわち、端子は、手で、または道具を用いて、2つ以上の個々の部分に損傷を与えることなく、分離することができる。端子の結合性は、好ましくは、非ポジティブ接続(non-positive locking connection)および/またはポジティブロック接続(positively locking connection)によって生じる。さらに、端子は1つの部材として構成することができる。すなわち、端子は、単に手で、または道具によって、また可能性としては損傷を与えることなく、個々の部分に分離することはできない。結合性は、好ましくは、非ポジティブ接続および/またはポジティブロック接続、ならびに可能性としては一体的に接合された接続によって生じる。
【0031】
さらに、端子は、物質または接着に関して1つの部材として構成することができる。すなわち、その個々の部分は、一体的に接合された方式(溶着、はんだ付け、接着結合)で互いに固定され、好ましくは、損傷を受けることなく端子が個々の部分に分離することが可能でない。さらに、非ポジティブ接続および/またはポジティブロック接続による結合性もあり得る。さらに、端子は、単一のまたは一体的な構成とすることができる。すなわち、破壊を伴ってのみ分離することができる1つのみの単一部品(端子)がある。端子は、それ自体は必ずしも一体等でなくともよい単一の部材から製造される。内部の結合性は、接着および/または密着によって生じ、端子の材料は、ここでは、均質の、非結晶質の、および/または等方性の構造である。
【0032】
本発明によるエンティティは、本発明による端子を有する。ここで、例えばエンティティハウジングに加えて、エンティティは、少なくとも1つの機械、電気、電子、光学、および/または流体装置またはデバイスをさらに有することができる。この種のエンティティは、例えば、手段(電気コネクタ)、デバイス(電気コネクタデバイス)、(事前に)組み立てられたケーブル、組立体、プリント回路板、部品、モジュール、ユニット、機器、器具、システム等として(も)構成することができる。
【0033】
本発明について、以下で添付図面を参照して例示的実施形態に基づいて説明するが、図面は模式的なものであり、実際の縮尺ではない。同一の、固有の、または類似する構成および/または機能を有する部分、要素、構成部分、ユニット、構成要素および/またはパターンは、図の説明(下記参照)、符号の説明、特許請求の範囲、および図面の図において同じ参照符号が付される。さらに、本発明の説明(上記参照)で説明されない可能な代替形態は、図に示されず、および/または決定的なものではなく、さらに、本発明の例示的実施形態または構成要素、パターン、ユニット、構成部分、要素、またはその一部に関する静的および/または動的な反転、組み合わせ等を、符号の説明および/または図の説明から想到することができる。
【0034】
本発明の場合、特徴(部分、要素、構成部分、ユニット、構成要素、機能、変数等)は、明示された形態(positive configuration)(すなわち存在する)であっても、明示されていない形態(negative configuration)(すなわち存在しない)であってもよい。この明細書(説明(本発明の説明(上記参照)、図の説明(下記参照))、符号の説明、特許請求の範囲、図面)では、明示されていない特徴(negative feature)は、それが存在しないことに本発明に従って価値が置かれない場合には、特徴として明示的には説明されない。すなわち、実際になされ、従来技術によって構成されない本発明は、前記特徴を除外することから成り立つ。
【0035】
この明細書の特徴は、規定された方法および/または方式で使用するだけでなく、別の方法および/または方式でも使用することができる(切り離し、組み合わせ、置き換え、追加、単独で、除外等)。特に、説明、符号の説明、特許請求の範囲および/または図面において、特許請求の範囲および/または説明中にある特徴を、参照符号およびそれに割り当てられた特徴に基づいて、またその逆に、置き換える、追加する、または除外することが可能である。さらに、その結果、特許請求の範囲にある特徴をより詳細に解釈および/または規定することができる。
【0036】
説明にある特徴は、((当初はほとんど知られていない)従来技術に照らして)任意選択の特徴と解釈することもでき、すなわち、各特徴は、任意選択の、任意の、または好ましい特徴、すなわち必須ではない特徴と考えることができる。したがって、例示的実施形態からの、可能性としてはその周辺を含む特徴の切り離しが可能であり、その場合、前記特徴を一般化された発明概念に移すことが可能である。例示的実施形態における特徴の不在(明示されていない特徴)は、その特徴が本発明に関して任意選択であることを示す。さらに、ある特徴に関する類型用語の場合、その特徴に関する汎用的な用語(可能性としては下位区分等へのさらなる階層的な細分化)も暗黙的に理解することができ、その結果、例えば相当する効果および/または相当物を考慮して、その特徴の一般化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による電気端子の一実施形態を前部から斜めに見た斜視図である。
図2】端子の遷移部の後方の破断部分(cut-away section)で示されるレイアウトとして、図1の端子を示す図である。
図3】端子の本発明による二次係止を後部から斜めに見た詳細な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明について、次世代の、特に自動車分野向けのNanoMQS端子1の、コンタクト手段1として構成された電気端子1の1つの変形例の1つの実施形態の例示的実施形態に基づいて以下の文で詳細に説明する。本発明は、好ましい例示的実施形態としてさらに詳細に説明および図示されるが、本発明は、開示される例示的実施形態によって制約されることはなく、より基本的な性質である。よって、例えば端子1はコンタクトデバイスとして構成することも可能である。
【0039】
本発明の保護の範囲から逸脱することなく、ここからおよび/または上記(本発明の説明)から他の変形例を導出することができる。本発明は、一般に、電気エンティティの場合に電気分野で使用され得る(上記参照)。ここで、地上電力工学によって1つの例外が形成される。図面は、本発明の理解に必要な本発明の主題の空間的部分のみを示す。コネクタおよび相手コネクタ、端子および相手端子等の呼称は、同義に解釈されるべきであり、すなわち各事例において任意で互いと交換され得る。
【0040】
以下では、図面を参照して端子1の構造が詳細に説明され、端子1はコネクタハウジング(電気コネクタ0)内に設けることができる。ここで、端子1は、コネクタ0のコネクタハウジング内で一次的および二次的な方式で係止またはロックすることができ、これは図1で点線を使用して示される。本事例では、端子1は、ソケット端子1として構成され、ここでは特に圧着端子1として構成されているが、ピン、プロング、またはタブ端子1として構成することも可能である。
【0041】
ここで、前部(図1における左)から端子1の軸方向Ar((嵌合)差し込み方向)に、端子1は、電気相手端子のための電気機械接触部10と、機械-電気遷移部40と、電気ケーブルのための電気機械コネクタ部50(圧着部分)と、を備えている。本事例では、接触部10はソケット接触部10として構成され、端子1の(第1の)(側)壁11、(底)壁12、(第2の)(側)壁13、および(中間カバー)壁14を有する。
【0042】
非ソケット端子、すなわち、例えばピン、プロングまたはタブ端子の場合、ソケットとしてのソケット接触部10の機能は不要となり、代わりに、例えばピン、プロングまたはタブなどの代替のコンタクト手段が設けられる。この種の端子の構造は、ソケット端子と似ており、端子1の有極性部100(以下で説明される)は、端子1の前部の自由端ではなく、軸方向Axにおいて端子1の実際のコンタクト手段(ここでは実際のソケット)の後方に確立される。
【0043】
端子1(図1および図2参照)は、好ましくは箱型である有極性部100を、接触部10の前部領域に(ソケット端子1)、または遷移部40として、または遷移部40の一部として(ピン/プロング/タブ端子)、有する。以下では、図面に示されるソケット端子1のみが参照される。有極性部100は、(第1の)(側)壁101、(底)壁102、(第2の)(側)壁103、および(中間カバー)壁104を有する。ここで、有極性部100の壁101、102、103、104は、同様に端子1の壁11、12、13、14でもある。
【0044】
端子1は、有極性部100に取り付けられた、または部分的に有極性部100に組み込まれた、弾性のロック爪110を備える。ここで、その長手方向の広がりHr、Arに、ロック爪110は、固着された第1の(長手方向)部分と、自由な第2の(長手方向)部分とを備え、ロック爪110は、その第1の部分で一方の側において有極性部100の(側)壁11、101に取り付けられている。ここで、この2つの部分は、端子1内ではロック爪110と異なって角度および向きが付けられるように設定されている。
【0045】
基部から始まって、有極性部100上/内で横方向(図1の左における端子1の奥側)へ、固着された第1の部分は、最初に実質的に端子1の上方向Hrに、垂直上方に(図1の上部に向かって)延びる。好ましくはその直後に、第1の部分は、端子1の周方向Urに実際の端子1または接触部10にわたって湾曲し、そこで第2の部分に併合される。ここで、第1の部分は、端子1の上方向Hrに延びてから、上方向Hrおよび横断方向Qr(周方向Ur)に延びる。
【0046】
ロック爪110の自由な第2の部分は、外側において、端子1の上/中の上部に(カバー)壁として偏心して存在し、第2の部分は、第1の部分に一体的に接合している。ここで、第1の部分から始まって、第2の部分は、最初に、好ましくは実質的に軸方向Arに延び、その後端子1の軸方向Arおよび上方向Hrに延びる。少なくとも1つの保持手段116、特に保持タブ116が、好ましくは第2の部分の自由端に設けられ、この保持手段116により、ロック爪110を、コネクタハウジング内の一次係止にロックすることができる。
【0047】
ここで、さらに、ロック爪110は以下のように構成することができる。ここでも基部から始まって有極性部100上/内を横方向に、ロック爪110は、第1の上向き部分111が実質的に上方向Hrにのみ延びる。上向き部分111は、端子1のおよび有極性部100の(第1の)(側)壁11、101;111を部分的に形成する。
【0048】
好ましくはその直後に、ロック爪110は、第2の上向き部分112を備え、それは、端子1のおよび有極性部100の(第1の)(側)壁11、101;112を部分的に形成する。ここで、第2の上向き部分112は、外側で、端子1上を斜めに上方向Hrおよび横断方向Qr(周方向Ur)に延び、ここで有極性部100の実際の有極性部デバイス112を形成する(実質的に対称の、例えば矩形の、嵌合面からの逸脱)。
【0049】
ここでも好ましくはその直後に、ロック爪110は、好ましくは少なくとも部分的にU字型の断面をもつ、第1のまたは固着された軸方向部分113を有する。第1の軸方向部分113は、端子1のおよび有極性部100の(カバー)壁113を形成する。ここでも好ましくはその直後に、ロック爪110は、好ましくは少なくとも部分的にU字型の断面をもつ、第2のまたは自由な軸方向部分114を有する。前記第2の軸方向部分114も、同様に端子1のおよび有極性部100の(カバー)壁114を形成する。
【0050】
補強領域115が、ロック爪110内の、第2の上向き部分112と、固着された軸方向部分113との間に一体的に設けられ得る。ロック爪110自体は、少なくとも1つまたは2つの(側)壁117、118(軸方向Arおよび上方向Hrへの広がり)(U字型の断面)を有することができる。ここで、少なくとも1つの、または1つだけの(側)壁117、118が、少なくとも部分的に切り抜かれ得る(参照符号120ではない)。
【0051】
本発明によれば、(特に図1を参照)、ロック爪110は、その固着された第1の部分(図1の左後方)による接触部10への取り付けとは別に、それが接触部10内で追加的に軸方向に固定されるように設けられる(図1の左前)。ここで、この追加的な軸方向の固定は、主としてまたは実質的に、横断方向Qrにおける固着された第1の部分の反対側に存在する。ここで、この追加的な軸方向の固定は、機械的な(図1)および/または物質的な意味で単一部材である、接続部として構成され得る(図示せず)。
【0052】
図示されるこの例示的実施形態では、ロック爪110の追加的な軸方向の固定は、機械的な軸方向ロッキング120、121を用いて確立される。軸方向ロッキング120、121は、本事例では互いの中に係合し合う2つの手段120、121の係止として構成される。ロック手段120、121は好ましくは、ロック凹部120、(121)およびロック突起121、(120)として構成される。括弧内の参照符号は、ロック手段120、121がロック凹部120、(121)として構成されるか、それともロック突起121、(120)として構成されるかが本質的に重要でないことを意味することが意図される。ただし、ロック手段120はロック凹部120として示され、ロック手段121はロック突起121として示されている。
【0053】
端子1について示されるこの例示的実施形態では、接触部10または(中間カバー)壁104と、それよりも小さい割合だけ(およそ材料厚さの寸法)、(第2の)(側)壁103とが、第1にロック手段121を有し、ロック手段121は好ましくはロック突起121として構成される。第2に、ロック爪110、またはそこの特に第1の固着された軸方向部分113および/またはそこの好ましくは第2の(側)壁118が、ロック手段120を有し、ロック手段120は好ましくはロック凹部120として構成される。端子1の自由な上面視(軸方向Arおよび横断方向Qrの面)で、ロック手段120、121は、実質的に面一になるように設けられ、および/または、ロック突起121が、少なくとも部分的に、相補的にロック凹部120に嵌まる(位置決めフィット。上記参照)。
【0054】
端子1内に設けられる機械的な軸方向ロッキング120、121の場合、ロック手段120、121は、互いの中に係合し合い、この目的のために、ロック突起121は、その面からロック凹部120に入るように屈曲している。ロック凹部120に隣接して補強デバイス124を設けることができ、この補強デバイス124は、ロック凹部120の縁部を形成することができ、すなわち、補強デバイス124は「延び」てロック凹部120内に入る。補強デバイス124は、好ましくは、ロック爪110、または第1の固着された軸方向部分113、または第2の(側)壁118に、ロック凹部120とロック爪110の自由端との間に設けられる。
【0055】
少なくとも1つの追加的な軸方向の固定は、可能性としては、上記のロック爪110にかかる軸方向Arの一定の機械力からのみ有効であり、すなわち、例えばロック突起121はロック凹部120内に遊びをもって設けられる。すなわち、端子1は、この場合、ロック爪110にかかる定められた引き抜き力が超えられた場合にのみ、追加的な軸方向の固定が有効になるように、例えば、それが、端子1に電気機械的に接続されたケーブルから出るような形で、設計される。引き抜き力よりも小さい、端子1にかかる後ろ向きの引張力の場合、追加的な軸方向の固定は、好ましくはまだ有効にならない。
【0056】
この追加的な軸方向の固定によってロック爪110全体の軸方向への移動を止めることができ、その結果、端子1の耐久性が向上する。このとき、ロック爪110は、言うまでもなく、依然として弾性的に、また可能性としては可塑的に、変形していることが可能である。本発明によれば、追加的な軸方向の固定がない、または追加的な機械的な軸方向ロッキング120、121がない同一の端子1と比べて、端子1の耐久性の大幅な向上が示される。
【0057】
さらに、端子1は、接触部10の後部領域に、および/また遷移部40の前部領域に(ソケット端子1)、または遷移部40内に(ピン/プロング/タブ端子)、二次係止300(図1図3参照)を備えることができる(接触部10と遷移部40とは重なり合うことができる)。以下では、ここでも図面に示されるソケット端子1のみが参照される。端子1または有極性部100と同じようにして、二次係止300は、(第1の)(側)壁11、(底)壁12、(第2の)(側)壁13、および好ましくは(中間カバー)壁14を備える。ここで、(中間カバー)壁14またはその残りの部分は、存在しないことも可能である(図示される第1の周方向部310と同様にして第2の周方向部330。下記参照)。
【0058】
ここで、特に係止箱302として構成される、剛性の二次係止デバイス302が、接触部10に、および/または(中間カバー)壁14と第2の(側)壁13との間の遷移部40に設けられる。特に、係止箱302は、端子1の第1の周方向部310、好ましくは閉鎖デバイス310と、端子1の第2の周方向部330、好ましくは閉鎖デバイス330と、により構成される。係止箱302は好ましくは、内部が中空であり、そのキャビティは、横断方向Qrにおいて、狭くなった部分(補強デバイス334)を除き、端子1のシート材料厚さ以上である。
【0059】
端子1のレイアウト(図2)において、2つの周方向部310、330は突起形状の構成であり、第1に(第1の)(側)壁11または(中間カバー)壁14が延在する部分を形成し(第1の周方向部310)、第2に(第2の)(側)壁13が延在する部分を形成する(第2の周方向部330)。ここで、第1の周方向部310は、第1の閉鎖手段312、好ましくは鍵/錠の原理に従った(貫通)凹部312またはロック部、を備え、第2の周方向部330は、第2の閉鎖手段322、好ましくは鍵/錠の原理に従った突起332または挿入部、を備える。
【0060】
端子1の使用可能状態(図1および図3参照)では、2つの周方向部310、330が、互いに向かって屈曲し、長手方向の端部で互いの中に差し込まれ(差し込み接続)、その結果、内部が少なくとも部分的に中空になった係止箱302が構成される。ここで、突起332または挿入部は、(貫通)凹部312またはロック部内にポジティブロックする空間に行き当たることができる。機械的な周方向接続に代えて、追加としてまたは代替として、物質的に単一部材である周方向接続部を、周方向部310、330の間に確立することも可能である。
【0061】
係止箱302または周方向部310、330の周方向接続は、接触部10内または遷移部40内の側部領域に端子1の横断方向Qrに確立され得る。言うまでもなく、関連する中央部分(可能性としては中央で分割された(中間カバー)壁14)も使用することができる。さらに、係止箱302は、補強デバイス334、特に補強ビード334または補強スタンプ凹部を有することができる。
【0062】
係止箱302は、第2の周方向部330が(第2の)(側)壁13から上方向Hrへ実質的に直線状に大きくなっていき、好ましくはその長手方向端部でおよそ直角に屈曲するようにして、端子1内に設けられ得る。横断方向Qrの反対側に位置するようにして、第1の周方向部310は、(中間カバー)壁14から上方向Hrへ実質的に直線状に大きくなっていき、同様に、好ましくはその長手方向端部でおよそ直角に屈曲する。言うまでもなく、これは逆の構成であってもよい。さらに、第1の周方向部310が第2の周方向部330と同様の構成であること、または第2の周方向部330が第1の周方向部310と同様の構成であることが可能である。
【0063】
互いの反対側に位置する周方向部330の長手方向端部は、上方向Hrにおいて互いの上に載るように配置され、突起332または挿入部は、(貫通)凹部312またはロック部内に係合する。(第2の)(側)壁13は好ましくは、特に上方向Hrに延びる少なくとも1つの補強スタンプ凹部または補強ビード334を有する。
【0064】
本事例では、接触部10は、コンタクトチャンバ202を有するソケット200として構成された接触領域200を有する。有極性部100の(中間カバー)壁14から始まって、板ばね210として設計された単純な構成の弾性コンタクトばね210が、内側に向かって延びてコンタクトチャンバ202に入る。ここで、板ばね210は、長手方向端部((中間カバー)壁14)のみにおいて端子1に一体的に取り付けられる。言うまでもなく、2つの側で一体的に取り付けられるばね薄板がコンタクトばね210として使用されてもよい。
【0065】
コンタクトばね210は、端子1内で支持突起240によってその自由な長手方向端部に支持されることができるように設けられる。ここで、支持突起240は、好ましくは(中間カバー)壁14の一部であり、この部分はさらに後方に位置する。好ましくは、相手端子のための少なくとも1つの固定されたアンビル212および/または好ましくは少なくとも1つの台座ビード214が、コンタクトばね210内に設けられる。さらに、相手端子のための少なくとも1つの固定されたアンビル212が、好ましくは、端子1の(底)壁12に設けられる。
【符号の説明】
【0066】
0 (電気)コネクタ
1 (電気)(NanoMQS)(ソケット/ピン/プロング/タブ)(圧着)端子
10 (電気機械)接触部
11 (第1の)(側)壁
12 (底)壁
13 (第2の)(側)壁
14 (中間カバー)壁
40 (機械-電気)遷移部
50 (電気機械)コネクタ部、特に圧着部分
100 (箱型の)有極性部
101 (第1の)(側)壁、端子1、有極性部100
102 (底)壁、端子1、有極性部100
103 (第2の)(側)壁、端子1、有極性部100
104 (中間カバー)壁、端子1、有極性部100
110 (弾性)ロック爪
111 ロック爪110の(第1の)(上向き)部分;(第1の)(側)壁、端子1、有極性部100
112 ロック爪110の(第2の)(上向き)部分;(第1の)(側)壁、端子1、有極性部100
113 ロック爪110の(第1の/固着された)(軸方向)部分;(カバー)壁、端子1、有極性部100
114 ロック爪110の(第2の/自由)(軸方向)部分;(カバー)壁、端子1
115 部分112と部分113の間の補強領域
116 保持手段、特に保持突起
117 (第1の)側壁、ロック爪110
118 (第2の)側壁、ロック爪110
120 ロック手段、特にロック凹部
121 ロック手段、特にロック突起
124 補強デバイス、特に補強ビード/スタンプ部分
200 接触領域(ソケット/ピン/プロング/タブ接触による)
210 コンタクトばね、好ましくは板ばねまたはばね薄板
212 (固定された)アンビル
222 (固定された)アンビル
240 支持突起
241 スタンプされた台座凹部/台座ビード
300 二次係止
302 (剛性の)二次係止デバイス、特に係止箱
310 (第1の)周方向部、好ましくは閉鎖デバイス
312 (第1の)閉鎖手段、好ましくは(貫通)凹部またはロック部
330 (第2の)周方向部、好ましくは閉鎖デバイス
332 (第2の)閉鎖手段、好ましくは突起または挿入部
334 補強デバイス、特に補強ビード/スタンプ部分
Ar 軸方向、端子1、(嵌合)差し込み方向
Hr 上方向、端子1
Qr 横断方向、端子1
Ur 周方向、端子1
図1
図2
図3