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特許7401509患者へガスを送給するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】患者へガスを送給するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20231212BHJP
   A61B 1/015 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B1/015 514
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021193379
(22)【出願日】2021-11-29
(62)【分割の表示】P 2019212410の分割
【原出願日】2015-04-16
(65)【公開番号】P2022028888
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】61/980,442
(32)【優先日】2014-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/066,254
(32)【優先日】2014-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】アリ、ガーリブ、アブドゥル、ラーマン、ガーリブ
(72)【発明者】
【氏名】リナ、テシー
(72)【発明者】
【氏名】ウィスヌ、アーリア、スレンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ、クリステン、チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、パトリック、ウォルター、ストレバンス
(72)【発明者】
【氏名】モニカ、バウマン
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-044372(JP,A)
【文献】特開平11-057009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0245539(US,A1)
【文献】特開2003-010334(JP,A)
【文献】カナダ国特許出願公開第02789613(CA,A1)
【文献】特表2003-507138(JP,A)
【文献】特開2009-168480(JP,A)
【文献】特表2013-524991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61B 1/015
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者へガスを送給するように配置された装置を制御する方法であって、
コントローラを操作して、
前記ガスおよび加湿液の少なくとも一方を加熱するように構成された加熱器の電気的特性を監視するステップ;および
前記監視される電気的特性に応答して、ガスが前記装置を通って流れているかどうかを決定するステップを含み、
前記電気的特性が、予め決められた期間の間、前記コントローラによって監視され、および前記予め決められた期間における前記監視された電気的特性の平均値が前記コントローラによって計算され、前記監視された電気的特性の前記平均値を前記コントローラによって使用して、ガスが前記装置を通って流れているかどうかを決定する、方法。
【請求項2】
前記電気的特性が、前記加熱器によって引き込まれる電流である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気的特性が、前記加熱器の電力デューティサイクルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電気的特性が、前記加熱器によって引き込まれる電力である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電気的特性が、前記加熱器の抵抗である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電気的特性の短期平均値が、第1の予め決められた期間にわたって計算され、および前記電気的特性の長期平均値が、より長い予め決められた期間にわたって計算され、前記電気的特性の前記長期平均値と短期平均値の差を使用して、ガスが流れているかどうかを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電気的特性の前記長期平均値と短期平均値の前記差が、警告閾値と比較され、前記差が前記警告閾値以上である場合、ガスは流れていないと決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記警告閾値は正の値である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ガスが流れていないと決定される場合、前記コントローラを操作してインジケータを起動するステップをさらに含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電気的特性の前記長期平均値と短期平均値の前記差が、通常の閾値と比較され、前記差が、前記通常の閾値以下である場合、ガスが流れていると決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記通常の閾値がゼロである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、予め決められた期間にわたって、前記コントローラを操作して前記電気的特性の較正平均値を計算するステップを含み、前記電気的特性の前記較正平均値は、前記加熱器の電気抵抗を変化させることができる基準値として使用される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ウォームアップ期間の最中、前記加熱器の前記電気的特性を監視する前に、前記コントローラを操作して前記加熱器に電力を提供するステップをさらに含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コントローラを操作して、前記装置がガス供給を含むかどうかを検出するステップ、およびガス供給が検出されない場合、インジケータを起動させるステップをさらに含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
患者へガスを送給する装置であって、
前記ガスおよび加湿液の少なくとも一方を加熱するように構成された加熱器;および
前記加熱器の電気的特性を監視し、かつそれに続いて、前記監視される電気的特性に応答して、ガスが前記装置を通って流れているかどうかを決定するように構成された、コントローラを含み、
前記電気的特性が、予め決められた期間の間、前記コントローラによって監視され、および前記コントローラが、前記予め決められた期間における前記監視された電気的特性の平均値を計算し、前記監視された電気的特性の前記平均値を前記コントローラによって使用して、ガスが前記装置を通って流れているかどうかを決定する、装置。
【請求項16】
前記電気的特性が、前記加熱器によって引き込まれる電流である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記電気的特性が、前記加熱器の電力デューティサイクルである、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記電気的特性が、前記加熱器によって引き込まれる電力である、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記電気的特性が、前記加熱器の抵抗である、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記コントローラが、前記電気的特性の短期平均値を、第1の予め決められた期間にわたって計算し、および前記電気的特性の長期平均値を、より長い予め決められた期間にわたって計算し、前記電気的特性の前記長期平均値と短期平均値の差を前記コントローラによって使用して、ガスが流れているかどうかを決定する、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記コントローラが、前記電気的特性の前記長期平均値と短期平均値の前記差を、警告閾値と比較し、前記差が前記警告閾値以上である場合、ガスは流れていないと決定する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記警告閾値は正の値である、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記装置はインジケータを含み、前記インジケータは、ガスが流れていないと決定される場合、起動される、請求項15乃至22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記コントローラは、前記電気的特性の前記長期平均値と短期平均値の前記差を、通常の閾値と比較し、前記差が、前記通常の閾値以下である場合、前記コントローラは、ガスが流れていると決定する、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記通常の閾値がゼロである、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記コントローラは、予め決められた期間にわたって、前記電気的特性の較正平均値を計算し、前記電気的特性の前記較正平均値は、前記加熱器の電気抵抗を変化させることができる基準値として前記コントローラによって使用される、請求項15乃至25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記コントローラは、ウォームアップ期間の最中、前記加熱器の前記電気的特性を監視する前に、前記加熱器に電力を提供するように構成されている、請求項15乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記コントローラは、前記装置がガス供給を含むかどうかを検出するように構成されており、および前記コントローラは、ガス供給が検出されない場合、インジケータを起動させる、請求項15乃至27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
患者へ加湿ガスを送給するように配置されたシステムであって、前記システムは:
加湿器を含み、この加湿器は:
加湿液チャンバ;
前記加湿チャンバ内の加湿液を加熱して蒸気を生成し、前記患者に送給される前記ガスを加湿する、加熱器;
前記加熱器の電気的特性を監視し、続いて、前記加熱器の前記監視された電気的特性に応答して、ガスが前記システムを通って流れているか否かを決定するように構成された、ハードウェアコントローラ
を含み、
前記電気的特性が、予め決められた期間の間、前記ハードウェアコントローラによって監視され、および前記ハードウェアコントローラが、前記予め決められた期間における前記監視された電気的特性の平均値を計算し、前記監視された電気的特性の前記平均値が前記ハードウェアコントローラによって使用されて、ガスが前記加湿器を通って流れているかどうかを決定される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加湿ガスを患者に送給する方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療処置が、医療処置の最中に、ガス、一般に二酸化炭素を患者へ提供することを必要とする。例えば、ガスを患者に提供することを必要とすることが多い医療処置の2つの大まかなカテゴリーは、閉鎖型医療処置および開放型医療処置を含む。
【0003】
閉鎖型医療処置では、注入器が配置されて、医療処置の最中に、ガスを患者の体腔に送給して、体腔を膨らませるかまたは体腔の虚脱に耐えるようにする。そのような医療処置の例は、腹腔鏡検査および内視鏡検査を含むが、注入器は、必要に応じて任意の他のタイプの医療処置と共に使用され得る。内視鏡的処置は、自然な開口部または小さな穿刺を通して内視鏡などを挿入して体腔の画像を生成することによって、医師が体腔を可視化できるようにする。腹腔鏡検査の処置では、医師は、一般に、自然な開口部または小さな穿刺を通して外科用器械を挿入し、体腔内で外科的処置を実施する。場合によっては、初期の内視鏡的処置は、体腔を評価するために実施され、その後、それに続いて、体腔で動作するように腹腔鏡検査が実施され得る。そのような処置は、例えば、腹膜腔で、または胸腔鏡検査、結腸鏡検査、胃鏡検査、または気管支鏡検査の最中に、広範に使用される。
【0004】
観血的手術(open surgeries)などの開放型医療処置では、ガスは、外科手術用腔部(surgical cavity)を充填するために使用され、過剰なガスは、開口部から外部へ漏れる。ガスはまた、識別可能な腔がない、露出した体内部位の上側に、ガスの層をもたらすために使用され得る。これらの処置では、ガスは、腔を膨張させる働きをするのではなく、加熱され加湿された無菌ガスの層で露出した体内部位を被覆することによって、乾燥および感染を防止または軽減するために使用され得る。
【0005】
これらの医療処置の最中にガスを送給するシステムは、調整可能なスロットル圧力調整器(throttling pressure regulator)およびガスフローコントローラを含み得る。システムは、一般に、遠隔加圧ガス源、ガスボンベなどとし得るガス源を含むか、またはそれに接続され、およびガス源からのガスの圧力および/または流れを、通常体腔に挿入されたカニューレまたは針を介して、または創腔または外科手術用腔部の上側および内部へとガスを拡散させるために配置された拡散器を介して、体腔に送給するのに好適なレベルへと制御するように、動作する。
【0006】
体内温度は、一般に約37℃であり、およびシステムから送給されたガスの温度が正常な体温と厳密に一致することが望ましいとし得る。同様に、ガス源によって提供されたガスは、比較的乾燥していることがあり、細胞死および/または接着を含め、体腔への損傷の原因となり得るため、ガスの湿度レベルを上昇させることが望ましいとし得る。それゆえ、加湿器がガスの流路に配置されて、ガスが体腔に入る前に、ガスを加熱および加湿し得る。
【0007】
Fisher & Paykel Healthcare Limitedの米国特許第8,206,337号明細書(その全体を参照により本願明細書に援用する)には、例えば病院のガス供給システムを介して設けられ得るような、遠隔加圧ガス源に接続されるように配置された注入器を含むシステムが開示されている。注入器は、ガスを、チューブを経由して、液体容器を含む加湿器、および加熱器まで送給し、液体を加熱して蒸気を生成する。加湿ガスは、同様に加熱され得る別のチューブを経由して、患者まで送給される。一例では、注入器および加湿器は、好適なチューブおよび/または電気的接続によって一緒に接続されている別個のハウジングに配置される。別の例では、注入器および加湿器は、好適なチューブを介して遠隔ガス供給部に接続されるように配置された共通のハウジングに配置される。
【0008】
さらに、同じシステムを使用して、通常患者インターフェースに接続されたガス送給導管を経由して、加熱および/または加湿された呼吸ガスを患者に送給することによって、呼吸補助をもたらし得る。患者インターフェースは、例えば、フェイスマスクまたは鼻カニューレなどを含み得る。そのようなシステムは、一般に、患者に送給される前にガスを加湿する加湿器を含むか、またはそれに接続されるように配置されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
例えば注入器および加湿器を含む同じ設備が、閉鎖型医療処置に使用され得るが、開放型医療処置、および呼吸補助、各タイプの使用法でのこの設備の動作は、非常に異なり得る。本開示は、システムがどのタイプの使用法に使用されているかを自動的に決定し、かつその動作を調整して、各タイプの使用法の異なる条件に適合させる、ガス供給および加湿システムを制御するシステムおよび方法を提供する。これは、ユーザエラーまたは患者への想定外の害を防止するように動作する。
【0010】
例えば、ガス供給および加湿システムが開放型外科的処置に使用されるとき、比較的高い流量のガスが必要とされ、ガスを十分に加湿するための所望の含水量を維持するために、対応する比較的多い量の液体が消費される。
【0011】
閉鎖型外科的処置に使用されるとき、より低い流量のガスおよび/またはより断続的なガスの供給、および対応するより少量の液体が必要とされる。
【0012】
ガス供給および加湿システムが、各タイプの処置または使用法に適切なようにガス流量および湿度を制御できるようにするために、外部センシングプローブ、一般に温度プローブおよび流れプローブが使用され得る。これらのプローブの出力は、医療処置または使用法のタイプに適合させるようにガス流量および湿度を制御するために、ガス供給システムによって使用され得る。しかしながら、そのようなプローブを提供することは高価であり、ならびに医療従事者がプローブを適切な動作のために正しく接続することは困難とし得る。外部プローブはまた、システムの全体的な使いやすさを低下させ、かつ、さらに別の外部部品を追加し、これらの外部部品は、紛失したりまたは壊れたりすることがあり、かつ使用する度に滅菌する必要がある。
【0013】
さらに、ガス供給および加湿システムの動作に著しい影響を与え得る他の条件が生じ得る。例えば、ガスの流れが制限または停止される場合、これは、システムの残りの部分に対していくつもの問題を生じ得る。例えば、これらの問題は、ガスが尽きるガス容器またはガスボンベなどの個別のガス源から供給を受けるシステムにおいて発生し得る。また、システムは、システムに関連する加湿器が液体を使い果たす場合、例えば、加湿液が全て蒸発した場合、著しく影響を受け得る。
【0014】
本開示は、これらの欠点の1つ以上を克服するかまたは少なくとも改善する、患者へガスを送給するための制御方法およびシステムを提供する。
【0015】
一実施形態では、システムは、医療処置の最中に、患者へガスを送給することに関して説明される。システムは、加湿チャンバに入れられたガスおよび加湿液の少なくとも一方を加熱するように構成された加熱器を含むか、またはそれを備えるように配置される。システムは、医療処置が、システムが第1の流量のガスを送給する第1の医療処置である第1のモードに従って、動作可能であり、および医療処置が、システムが第2の異なる流量のガスを送給する第2の医療処置である第2のモードに従って、動作可能である。システムは、加熱器の電気的特性を監視し、かつそれに続いて、監視される電気的特性に応答して、第1のモードまたは第2のモードを選択するように、構成されている。
【0016】
第1の医療処置は、開放型医療処置としてもよく、その最中、第1のモードでは、システムは、比較的高い流量のガスを送給する。
【0017】
第2の医療処置は、閉鎖型医療処置としてもよく、その最中、第2のモードでは、システムは、比較的低い流量のガスおよび/または断続的な流れのガスを送給する。
【0018】
一方のモードまたは各モードでのガスの流量は、一定の流れのガスとしても、可変の流れのガスとしても、または断続的な流れのガスとしてもよい。所望の流量のガスは、送風機またはポンプを制御することによって、および/または制御弁および/または調整器を制御することによって、達成され得る。
【0019】
監視される電気的特性は、加熱器によって引き込まれた電力とし得る。例えば、監視される電気的特性は、加熱器の電力デューティサイクル(power duty cycle)とし得る。電力デューティサイクルは、例えば、加熱器が電力を引き込む時間の割合として計算され得る。一実施形態では、監視された特性は、加熱器によって引き込まれた電流とし得る。
【0020】
加熱器の電気的特性は、予め決められた期間、およびその期間で計算された加熱器の電気的特性の平均値に関し、監視され得る。一実施形態では、システムは、加熱器の電気的特性の計算された平均値を、予め決められた閾値と比較することによって、動作モードを決定し得る。
【0021】
一実施形態では、初期のステップにおいて、加熱器は、スイッチが入れられて、ウォームアップ期間の最中、ウォームアップが可能にされる。例えば、加熱器は、スイッチが入れられて、加熱器の電気的特性が監視される前に、ウォームアップが可能にされてもよい。
【0022】
一実施形態では、ガス供給および加湿システムの構成要素を制御する方法が説明される。方法は、加熱器の電力デューティサイクルを監視するステップ、およびそれに続いて、加熱器の監視された電力デューティサイクルを分析することによって、加湿チャンバ内の加湿液の不足を決定するステップを含む。
【0023】
加熱器の電力デューティサイクルおよび/または電流引き込みは、予め決められた期間、および予め決められた期間にわたって計算された1つ以上の平均値に関し、監視され得る。1つまたは複数の平均値を使用して、加湿チャンバ内の加湿液の不足を決定する。
【0024】
加熱器の短期平均電力デューティサイクルおよび/または電流引き込みは、第1の予め決められた期間にわたって計算され、および加熱器の長期平均電力デューティサイクルおよび/または電流引き込みは、より長い予め決められた期間にわたって、計算され得る。例えば、一実施形態では、長期平均値は、短期平均値の時間窓よりも2~10倍長い窓にわたって計算される。当然ながら、窓のサイズの他の相対的差異が使用され得る。長期平均値と短期平均値の差を使用して、加湿チャンバ内の加湿液の不足を決定し得る。一実施形態では、長期平均値が、少なくとも第1の正の閾値量だけ、短期平均値を上回る場合、加湿チャンバ内の加湿液のレベルは低いと決定される。
【0025】
その代わりにまたはそれに加えて、加熱器の電力デューティサイクルおよび/または電流引き込みの長期平均値と短期平均値の差を使用して、加湿液が加湿チャンバに加えられたかどうかを決定し得る。一実施形態では、短期平均値が、少なくとも第2の正の閾値量だけ、長期平均値を上回る場合、加湿液が加湿チャンバに追加されたと決定される。
【0026】
加湿液が加湿チャンバに追加されたと決定される場合、加熱器の電力デューティサイクルおよび/または電流のさらなる監視は、安定化期間が経過するまで、遅延され得る。これにより、システムを安定化させる。
【0027】
システムは、加湿液が加湿チャンバ内で低いと決定される場合、インジケータを起動できる。
【0028】
一実施形態では、システムは、処置の開始時、加熱器の電力デューティサイクルを監視する前に、加湿チャンバ内の加湿液のレベルが低いかまたは空であるかどうかを決定できる。これは、加湿システムの少なくとも1つの特性を、予め決められた十分な量の加湿液が加湿チャンバ内に存在する加湿システムの少なくとも1つの予め決められた特性と比較することによって、行われ得る。比較される特性は、例えば、加熱器に関連付けられた温度センサーの出力とし得る。別の実施形態では、比較される特性は、加熱器の電力デューティサイクルである。
【0029】
一実施形態では、通常動作モードに入る前、システムは、ガスがシステムを通って流れているかどうかを検出する。
【0030】
一実施形態では、患者に加湿ガスを提供する加湿器が説明される。加湿器は、加湿チャンバと、加湿チャンバ内の加湿液を加熱して蒸気を生成し、患者に送給されるガスを加湿する加熱器とを含み得る。加湿器はコントローラを含み、このコントローラは、加熱器の電力デューティサイクル、すなわち、加熱器が電力を引き込む時間の割合を監視するように配置され、かつそれに続いて、加熱器の監視された電力デューティサイクルに応答して、加湿チャンバ内の加湿液がなくなっているかまたは不足していることを決定するように配置されている。
【0031】
一実施形態では、加熱器の電気的特性が監視される。決定は、監視される電気的特性に基づいて、ガスがシステムを通って流れているかどうかに関して行われる。一実施形態では、電気的特性は、加熱器によって引き込まれた電流とし得る。一実施形態では、電気的特性は、加熱器の電力デューティサイクルである。電気的特性は、予め決められた期間、および予め決められた期間にわたって計算された電気的特性の平均値に関して、監視され得る。電気的特性の平均値を使用して、ガスがシステムを通って流れているかどうかを決定し得る。
【0032】
一実施形態では、電気的特性の短期平均値は、第1の予め決められた期間にわたって計算され、および電気的特性の長期平均値は、第2のより長い予め決められた期間にわたって計算される。電気的特性の長期平均値と短期平均値の差を使用して、ガスが流れているかどうかを決定し得る。
【0033】
電気的特性の長期平均値が、少なくとも第1の正の閾値量だけ、短期平均値を上回る場合、ガス流量が通常動作範囲よりも落ち込んだと決定される。システムは、ガス流量が落ち込んだと決定される場合、インジケータを起動できる。
【0034】
短期平均値が、少なくとも第2の正の閾値量だけ、長期平均値を上回る場合、ガスの流量が増加したと決定される。
【0035】
一実施形態では、加熱器の電気的特性が監視される場合、較正を実施でき、および電気的特性の較正平均値は、予め決められた期間にわたって計算される。電気的特性の較正平均値を基準値として使用して、加熱器の電気抵抗を変化させることを可能にする。
【0036】
一実施形態では、加熱器は、スイッチが入れられて、加熱器の電気的特性が監視される前に、ウォームアップが可能にされる。ウォームアッププロセスは、計算された速度で予め決められた期間にわたって生じて、システム内での結露の蓄積を回避するようにし得る。
【0037】
一実施形態では、加熱器の電気的特性の監視前、システムは、ガスの供給がもたらされたかどうかを決定する。ガスの供給が検出されない場合、システムは、インジケータを起動できる。
【0038】
開示の方法、システム、および装置のさらなる目的は、以下の説明から明らかとなる。
【0039】
ここで、開示の方法、システム、および装置のいくつもの実施形態を、以下の図面を参照して、例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】医療用ガス送給システムの例示的な実施形態の概略図である。
図2】医療用ガス送給システムの例示的な実施形態の概略図である。
図3】医療用ガス送給システムの例示的な実施形態の概略図である。
図4】医療用ガス送給システムを制御する方法の例示的な実施形態のフロー図である。
図5図4のフロー図のさらなる詳細を示す。
図6図4のフロー図のさらなる詳細を示す。
図7図4のフロー図のさらなる詳細を示す。
図8図4のフロー図のさらなる詳細を示す。
図9図4のフロー図のさらなる詳細を示す。
図10図4のフロー図のさらなる詳細を示す。
図11】医療用ガス送給システムが開放型医療処置または閉鎖型医療処置のどちらに使用されているかを決定する方法の、例示的な実施形態のフロー図である。
図12-1】開放モードにおいて医療用ガス送給システムを制御する方法の、例示的な実施形態のフロー図である。
図12-2】開放モードにおいて医療用ガス送給システムを制御する方法の、例示的な実施形態のフロー図である。
図13】開放モードにおいて医療用ガス送給システムを制御する方法の、例示的な実施形態のフロー図である。
図14】ウォームアップ期間の実施形態の最中の、加熱板の設定点温度、測定された加熱板の温度、および加熱板のデューティサイクルの例示的な値を示す表である。
図15】ウォームアップ期間の異なる実施形態の最中の、潜在的な結露の比較を示す表である。
図16】ウォームアップ期間の異なる実施形態の最中の、潜在的な結露の比較を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1および図2は、加湿およびガス送給装置1の例示的な実施形態の概略図である。装置1は、ベースユニット3と、ベースユニット3に取り外し可能に装着された加湿チャンバ5とを含む。加湿チャンバ5は、流入口導管10を介してガス源9に接続されるように配置されたガス流入口7を含み、ガス、例えば二酸化炭素を、チャンバ5へ送給する。チャンバ5は、さらに、加湿ガスを患者に送給するためにガス送給導管13に接続されるように配置されたガス流出口11を含む。ガス源9とチャンバ5との間にはフィルター12(図2に示す)が設けられて、流入ガスを濾過し得る。
【0042】
図1の実施形態では、ガス送給導管13の端部は、内視鏡検査および腹腔鏡検査などの閉鎖型医療処置で使用するための、患者に接続されるように配置されたトロカール15を含む。図2の実施形態では、ガス送給導管13の端部は、観血的手術などの開放型医療処置の最中に、患者の創傷へと加湿ガスを拡散するように配置された拡散器17を含む。
【0043】
装置1は、例えば、加熱器を含む。加熱器は、例えば、ベースユニット3上に加熱板を含み得る。加熱器は、チャンバ5内の加湿液を加熱して蒸気を生成するように構成されている。加湿液は、一般に、必ずではないが、水である。ガス源9からのガスが、チャンバ5に流入し、および加熱された加湿液上を通過するため、蒸気を吸収しかつ湿度レベルを上昇させた後、ガス送給導管13を経由して患者に送給される。その代わりにまたはそれに加えて、チャンバ5は、一体型加熱器、またはチャンバ5内に配置された加熱器を含んでもよい。
【0044】
ガス送給導管13はまた、加熱器を含み得るかまたはそれを備え得る。ガス送給導管13用の加熱器は、ガス温度が導管13に沿って所望のレベルに維持されること、ならびに結露の形成を最小限にするまたはなくすことを保証し得る。ガス送給導管13用の加熱器は、導管13に設けられるかまたは取り付けられる抵抗線、または導管13内に設けられたワイヤーまたは他の加熱要素を有し得る。ガス送給導管13用の加熱器は、例えば電気ケーブル19によってベースユニット3またはチャンバ5に電気的に接続されて、加熱器に給電し得る。それに加えてまたはその代わりに、導管13は、熱的に絶縁され得る。
【0045】
装置1はコントローラ21を含み、このコントローラは、装置1を制御するように、特に患者に送給されるガスの流量、温度、および湿度を、装置が使用されている医療処置のタイプに適切になるように制御するように、配置されている。それゆえ、コントローラ21は、特に、加湿チャンバ5用の加熱器、および/または設けられている場合には、ガス送給導管13用の加熱器を制御する。コントローラ21はまた、装置1を通るガスの流量を調整する調整器を制御し得る。調整器は、電動ファンなどの流れ誘導部(flow inducer)および/または抑制部を含み得る。それに加えてまたはその代わりに、弁および/または通気口を使用して流量を制御してもよい。コントローラ21は、例えば、マイクロプロセッサーベースとし得る電子コントローラを含み得る。システムは、メモリ、および当業者に理解されるような計算を実行できる任意の電子部品を含み得る。
【0046】
図3は、装置1の実施形態の概略図である。装置1は、例えば、ユーザインタフェース301、コントローラ21、導管加熱器313、チャンバ加熱器315、およびガスフローレギュレータ317を含み得る。ユーザインタフェース301を使用して、コントローラ21を動作させ得る。コントローラ21は、電気的制御信号を、導管加熱器313、チャンバ加熱器315、および、いくつかの実施形態では、ガスフローレギュレータ317に提供して、本明細書の他の箇所で説明されているように、それらの機器の動作を制御し得る。コントローラ21はまた、ガス源309および/または注入器319を制御し得る。いくつかの実施形態では、注入器は流れを制御し、および装置1はその流れに反応する。いくつかの実施形態では、ガス容器は、ガスフローレギュレータまたはバルブシステムによって制御され得る流れを提供し得る。
【0047】
装置1は、少なくとも2つのモードで動作可能であるように制御される。
【0048】
例えば、観血的手術などの開放型医療処置において使用するための第1のモードでは、コントローラ21は、装置1を通るガス流量が比較的高くなるように制御するように構成される。従って、コントローラ21は、比較的大量の蒸気を生成するように装置1を制御して、比較的高い体積流量のガスが、確実に十分に加湿されるようにする。
【0049】
例えば、内視鏡的または腹腔鏡的処置などの閉鎖型医療処置において使用するため第2のモードでは、コントローラ21は、装置1を通るガス流量が比較的低くなるように制御するように配置される。従って、コントローラ21は、比較的少量の蒸気を生成するように装置1を制御して、比較的低い体積流量のガスが、確実に過度に加湿されないようにする。
【0050】
コントローラ21は、少なくとも(1)使用中の1つ以上の加熱器の1つ以上の電気的特性を監視し、(2)装置1の動作モードを制御するために使用される出力を生成し、(3)装置1を通るガスの流れを検出し、および/または(4)加湿チャンバ5における水流出(water-out)条件を検出するように、構成される。水流出条件は、加湿チャンバ5内の加湿液がなくなっているかまたは不足しているときに生じる。
【0051】
一実施形態では、コントローラ21は、引き込まれた電力、引き込まれた電流、または電力デューティサイクルなどの1つ以上の加熱器の電気的特性を監視するように配置され、装置1が使用されている医療処置のタイプを決定し、およびそれに続いて、第1または第2のモードに従って、装置1を制御する。
【0052】
一実施形態では、コントローラ21は、引き込まれた電力、引き込まれた電流、抵抗、または電力デューティサイクルなどの、1つ以上の加熱器の電気的特性を監視するように構成されている。これらの電気的特性の1つ以上を使用して、装置1を通るガスの流れが存在することまたは流れがなくなっていることを決定し、およびそれに続いて、ガス流量が低いまたはゼロであることのインジケータを起動させる。
【0053】
一実施形態では、コントローラ21は、引き込まれた電力、引き込まれた電流、または電力デューティサイクルなどの、1つ以上の加熱器の電気的特性を監視するように構成され、チャンバ5内の加湿液がなくなっていることまたは不足していることを決定する。加湿液が少ないかまたはなくなっているかが検出される場合、コントローラ21は、加湿液が低レベルまたはなくなっているレベルであることのインジケータを起動させる。一実施形態では、そのような条件下では、コントローラ21は、装置1の少なくとも一部分を作動停止させ得る。例えば、コントローラ21は、チャンバ加熱器315、導管加熱器313、および/または流れ誘導部または調整器317を作動停止させ得る。
【0054】
上述のように、装置1は、観血的手術などの開放型医療処置に好適な第1のモードにおいて使用され得る。第1のモードでは、患者に供給されるガスの流量は、比較的高く、および一例では、約10L/分の、実質的に一定の流量とし得る。流量は、自動的にまたは手動でのいずれかで調整可能である。一定の流量は、自動的にまたは手動で決定され得る。一定の流量は、特定の患者の条件に従って設定され得る。流量は、より低い初期レベルから上昇した後、所望の一定レベルに達するように制御され得る。
【0055】
装置1はまた、内視鏡検査や腹腔鏡検査などの閉鎖型医療処置に好適な第2のモードにおいて使用され得る。第2のモードでは、より低い流量のガスが、通常、患者に供給され、および一例では、一定の低流量ではなく、比較的低い、パルス状流量として供給され得る。さらに、供給される流れが非常に低いか、または流れが供給されない期間があるかもしれない。
【0056】
各モードでは、供給されるガスの湿度は制御され、および最小閾値に達するように制御され得る。一例では、この最小閾値は、ガス1リットル当たり約30mgの加湿液である。
【0057】
いずれかのモードに入る前、コントローラは、ウォームアップ処置に従って装置1を制御し、これは、所与の期間、装置1の1つ以上の加熱器を予熱するように配置され得る。
【0058】
以下の説明のために参照する加熱器は、チャンバ加熱器315(図3に示すような)を指している。しかしながら、その代わりにまたはそれに加えて、加熱器は、設けられている場合には、導管加熱器313を指し得ることを留意されたい。
【0059】
図4は、動作モードを決定するためにコントローラ21によって使用される方法の実施形態のフロー図である。システムは、パワーアップされ、およびウォームアッププロセス401においてウォームアップできるようにされる。ウォームアッププロセス401は、例えば、予め決められた閾値温度に達するまで、加熱器に電力をもたらすことを含む。ウォームアッププロセス401後、システムは、モード検出プロセス403に移る。モード検出プロセス403は、装置1が使用されている医療処置のタイプを決定する。モード検出プロセス403は、それに続く、例えば閉鎖モードプロセス405および開放モードプロセス407を含む、制御プロセスの一部として、またはそれを開始するために、使用され得る。
【0060】
図5に、ウォームアッププロセス401を詳細に示す。システムは、501において電源をオンにされる。503において、加熱器は、ウォームアッププロセスの最中、電力を受ける。その後、505において、システムは、十分なウォームアップ期間が経過したかどうかを決定する。もし経過していない場合、システムは、503でのウォームアッププロセスを継続する。予め決められたウォームアップ期間nが経過した場合、プロセスはモード検出プロセス403に移る。
【0061】
モード検出プロセス403は、装置1が使用されている医療処置のタイプを決定する。観血的手術などの開放型医療処置に対するガスの流れの条件は、比較的高く、それゆえ、加湿チャンバ加熱器の温度および/またはガス送給導管加熱器の温度も、所望の湿度レベルの比較的高いガスの流れを維持するために、高い必要がある。1つ以上の加熱器は、必要な湿度レベルでガスを供給するのに十分な設定点温度に制御され得る。1つ以上の加熱器の温度を測定するために、1つまたは複数の温度センサーが設けられ得る。この測定値は、所望の設定点温度を維持するためにコントローラ21によって使用される。
【0062】
図6により詳細に示すように、モード検出プロセス403は、加熱器によって引き込まれる電力などの、加熱器の電気的特性を監視することによって、観血的手術などの開放型医療処置が実施されているかどうかを決定する。開放型医療処置の最中に使用されるものなどの比較的高いガス流量は、閉鎖型医療処置の最中に使用されるものなどのより低いガス流量よりも、加熱器に対して多くの電力を必要とする。
【0063】
一実施形態では、モード検出プロセス403は、601において、例えば、加熱器の電力デューティサイクル、すなわち、加熱器が電力を引き入れている時間の割合などの、加熱器の1つ以上の電気的特性を監視する。1つ以上の電気的特性は、603における判定に用いられるような、予め決められた期間nの間、監視される。一実施形態では、1つ以上の電気的特性は、その期間で平均される。その後、1つ以上の電気的特性、または期間nで平均された1つ以上の電気的特性は、605において指定の閾値と比較される。1つ以上の電気的特性、または平均された1つ以上の電気的特性が、閾値を超える場合、コントローラ21は、装置1が、観血的手術などの開放型医療処置において使用されていると決定し、および開放モードプロセス407に従って装置1を制御する。
【0064】
1つ以上の電気的特性、または平均された1つ以上の電気的特性が、閾値を下回る場合、モード検出プロセス403は、607において判定に用いられるように、1つ以上の電気的特性を、延長期間nの間、監視し続ける。延長期間n後、1つ以上の電気的特性、または平均された1つ以上の電気的特性は、再び、閾値と比較され、および依然として閾値を下回る場合、コントローラ21は、閉鎖モードプロセス405に従って装置1を制御する。閉鎖モードプロセス405では、ガスの流れは、比較的低い一定の流量または断続的なまたはパルス状の流量に制御され得る。
【0065】
図7は、開放モードプロセス407の実施形態を示す。開放モードプロセス407は、追加的なウォームアッププロセス701を含み得る。図8に示すように、追加的なウォームアッププロセス701は、801において、追加的なウォームアップ期間が期限切れになるまで、予め決められた期間nの間、加熱器に追加的な電力を印加することを含む。
【0066】
ひとたび追加的なウォームアッププロセス701が終了したら、システムは、703において、1つ以上の電気的特性を、予め決められた期間の間、監視し続ける。一実施形態では、予め決められた期間は、40分間である。703において、1つ以上の電気的特性は、例えば、デューティサイクルおよび/または加熱器によって引き込まれた電流を含み得る。その後、システムは、本明細書でさらに詳細に説明するように、流れ検出プロセス705および/または液体レベル検出プロセス707を実施する。
【0067】
加熱器に供給される電圧は、装置1の電源によって一定にされ、それゆえ、加熱器によって引き込まれた電流は、コントローラ21によって決定された設定点温度に加熱器の温度を維持するために加熱器が生成する必要がある熱の量に依存して、変化する。加熱器の温度は、加熱器の温度センサーによって測定される。
【0068】
一実施形態では、流れ検出プロセス705および液体レベル検出プロセス707は、開放モードプロセス407の一部としてのみ実施される。しかしながら、流れ検出プロセス705および/または液体レベル検出プロセス707は、同様にまたはその代わりに、閉鎖モードプロセス405の一部として実施されてもよい。
【0069】
一実施形態では、流れセンサーおよび/または温度センサーは、装置1の任意の構成要素に組み込まれて、追加的なデータを提供し得る。例えば、加湿チャンバ5内の加湿液の温度を決定するために、温度センサーが使用され得る。
【0070】
実施形態では、加熱器によって引き込まれた電力または電流は、周囲条件を決定および/または監視し、かつ装置1を較正するために使用され得る。
【0071】
図9は、流れ検出プロセス705の追加的な詳細を示す。一実施形態では、電力デューティサイクルおよび引き込まれた電流などの、加熱器の電気的特性は、2つの異なる期間にわたって連続的に平均される。これら期間は、短期間および長期間を含む。長期平均値LAVEは、901において決定され、および同じ電気的特性の短期平均値SAVEは、903において決定される。長期平均値および短期平均値は、例えば、加熱器の電力デューティサイクルおよび引き込まれた電流を含む、1つ以上の電気的特性の全てに対して決定され得る。それゆえ、加熱器の各電気的特性に対し、コントローラ21は、短期平均値および長期平均値を計算する。一実施形態では、これらの特性は、ウォームアップ処置701の期間中および/またはウォームアップ処置701の完了後に監視され得る。
【0072】
一実施形態では、流れ検出プロセス705は、ウォームアップ処置701の完了後に(図7に示すように)、すなわち、加熱器の電力デューティサイクルおよび引き込まれた電流が、予め決められた期間で平均された後で、起動される。あるいは、上述のように、加熱器の電力デューティサイクルおよび引き込まれた電流は、流れ検出プロセス705の一部として、ウォームアッププロセスの完了後、予め決められた期間に対して平均され得る。
【0073】
流れ検出プロセス705は、引き込まれた加熱器の電流の長期平均値と短期平均値との差を、閾値と比較することによって、ガスが流れているかどうかを決定する。説明の実施形態は、1つの特定のタイプの差の比較、すなわち、長期平均値から短期平均値を引いて、閾値の結果と比較することを含むが、他のタイプの差の比較も使用できる;例えば、長期平均値が短期平均値から引かれて、負の閾値と比較され得る。同様のデータを比較するために、異なるタイプの測定値を使用するとき、当業者は、説明された実施形態における決定ステップが、それに応じて変更されることを理解する。それゆえ、本実施形態、および本明細書で説明する全ての実施形態は、例として提供され、および限定を意図するものではない。
【0074】
905において、差が閾値τ未満である場合、流れ検出プロセス705は、液体レベル検出プロセス707に移る。905において、差が閾値τ以上である場合、流れ検出プロセス705は、907においてガスの流れが少ないまたはないと決定し、かつ低ガスの流れインジケータを起動させ得る。これは、ガスの流れが低すぎることまたは停止することが、実施されている医療処置に悪影響を及ぼしかつ過度の湿度を生じる原因となり得るために、望ましくないためである。過度の湿度は、医師に対して、体腔における視覚的明瞭さを損ない得る。
【0075】
905において計算された長期平均値と短期平均値との差が、ゼロに近い場合、これは、ガスの流れが一定であることを示す。しかしながら、差がゼロに近くない場合、これは、差が正であるかまたは負であるかに依存して、ガスの流れが、減少したおよび/または停止されたこと、または増加したこと示し得る。流れ検出プロセス705は、例えば、装置1が初めにガス源に接続されるとき、または新しいまたは交換用ガス源に接続されるとき、ガスの流れが増加しているかどうかを決定するように、さらに動作可能である。決定は、再度、909において、引き込まれた加熱器の電流の計算された長期平均値と短期平均値の差を決定する。差(長期平均値から短期平均値を引くことによって計算される)が負である、すなわち、ゼロ未満である場合、流れ検出プロセス705は、ガスの流れが追加されたと決定し、かつそれに従って装置1の設定を調整する。その後、システムは、装置1の設定が効力を生じるための予め決められた期間待機してから、905での長期平均値および短期平均値の監視に戻る。差が負ではない場合、プロセスは、907での流れ流出(flow out)の監視に戻る。
【0076】
一実施形態では、加熱器によって引き込まれた電力は、引き込まれた加熱器の電流の代わりに加熱器の電力デューティサイクルを使用して、ガスの流れを検出するために使用され得る。
【0077】
一実施形態では、引き込まれた加熱器の電流の単一の平均値のみを必要とする、ガスの流れを検出する代替的なプロセスが使用され得る。この代替的な方法は、最初に装置1を較正して、閾値を上回るとガス流が提供されない閾値を決定するステップ、加熱器の抵抗を測定するステップ、およびそれに続いて、ルックアップテーブルを使用して、ヒーター線の測定された抵抗値に対応する電圧を決定するステップを使用する。
【0078】
一実施形態では、装置1は、例えば、加熱器を較正することによって開始するように、ガスの流れがないかまたは少ないかを検出するために使用され得る。それゆえ、ひとたび装置1がウォームアップされると、閾値またはカットオフ値を使用して、流れがないかどうかを検出できる。
【0079】
液体レベル検出プロセス707は、乾性ガスが確実に患者に送給されないようにするのを助ける。プロセス707の動作の実施形態を、図10に示す。
【0080】
液体レベル検出プロセス707は、ひとたび共通の初期ウォームアップ処置701が完了したら、または流れ検出プロセス705が、ガスの流れがあると決定した後、またはいずれの条件とも無関係に、起動され得る。
【0081】
液体レベル検出プロセス707は、加熱器の電力デューティサイクルなどの、加熱器の電気的特性の長期平均値LAVEと短期平均値SAVEとの差を比較することによって、加湿器チャンバに加湿液が存在するかどうかを決定する。ステップ1010において、長期平均値と短期平均値との差が、閾値τ以上である場合、液体レベル検出プロセス707は、チャンバ5内には加湿液がなくなっているか、または低レベルの加湿液のみがあると決定し、かつステップ1012において水流出インジケータを起動させ得る。複数のタイプの差の比較を使用することに関する上述の記載も、ここで適用される。
【0082】
液体レベル検出プロセス707はまた、ステップ1014において、ここでも加熱器の電流の長期平均値から短期平均値を引いて計算された差が、予め決められた閾値τ未満であるかどうかを決定するように、構成され得る。差が閾値を下回る場合、加湿液がチャンバ5に存在することを示す。加湿液が加湿チャンバに存在すると決定される場合、加熱器の電力デューティサイクルおよび/または引き込まれた電流のさらなる監視が、ステップ1016において、安定化期間が経過するまで、遅延され得る。これにより、システムは安定化できる。それゆえ、液体レベル検出プロセス707はまた、この方法を使用して、加湿液が追加されたかどうかを検出できる。上述の通り、他のタイプの計算は、同様のデータを使用して実施でき、およびここで説明した実施形態は、限定を意図するものではない。
【0083】
加熱器の電力デューティサイクルおよび/または引き込まれた加熱器の電流の長期平均値および短期平均値を使用することは、異なる環境条件下で生じ得るいずれの変動も最小限にするのを助ける。これは、例えば、異なるタイプの加湿チャンバまたは加熱板の使用、電力変動、および/または気温の変化を含み得る。長期平均値および短期平均値を使用することはまた、システムの較正を可能にする。
【0084】
コントローラ21は、チャンバ5内の加湿液のレベルに対してシステムの電気的特性の予め決められたプロファイルを有することによって、医療処置の開始時にチャンバ5が空であるかどうかを検出するように、構成され得る。プロファイルは、例えば、実験によって、または予め記憶されたデータを使用することによって、決定され得る。それゆえ、コントローラ21は、使用中のシステムの電気的特性を監視する初期の監視ステップを実施し得る。コントローラ21は、例えば、使用中の引き込まれた加熱器の電流の監視と、チャンバ5内の加湿液のレベルに対する引き込まれた加熱器の電流の予め決められたプロファイルとを比較して、チャンバ5が空であるかどうかを決定し得る。チャンバ5が空である場合、加熱器の温度は、オーバーシュートし得るかまたは不安定とし得る。
【0085】
コントローラ21は、さらに、上述の通り、システム内の過度の湿度が、医師に対する光学的透明度を損ない得るため、装置に入るガスの流れを検出するように構成され得る。それゆえ、コントローラは、検出されるガスの流れに依存して、初めに、加湿蒸気の生成を制御するように配置され得る。
【0086】
その代わりにまたはそれに加えて、液体レベル検出は、光学的センシング、静電容量、または他の方法を使用して、実施され得る。
【0087】
代替的な実施形態は、必要に応じて任意の追加的な構成要素を含み得る。
【0088】
上述のプロセスは、観血的手術または閉鎖型手術の最中、または内視鏡検査や腹腔鏡検査などの閉鎖型医療処置の最中などの、医療処置または外科的処置において使用するための医療用ガス送給装置に関して説明した。しかしながら、説明した流れ検出プロセス705および液体レベル検出プロセス707は、加熱および/または加湿ガスを患者に送給するように設計された任意の他のタイプのガス送給装置において等しく使用され得ることが認識される。例えば、システムは、代わりに、呼吸を補助するために呼吸ガスを患者に送給するように配置された呼吸補助装置を含み得る。
【0089】
図11は、ガス供給装置によって、開放型処置(高流量)または閉鎖型処置(低流量)のどちらが実施されているかを決定するためのプロセスの別の実施形態を示す。プロセス1100は1101で開始し、そこでは、時間ゼロ(0)において加熱板(HP)の電源が入れられる。1103において、加熱板は、ウォームアッププロセスが始まってからの経過時間に基づいて、可変温度設定点nにウォームアップされる。これは、加熱板を、予め決められた昇温率で温める効果を与えるため、システムは、あまりに速く加熱されることはない。図14~16を参照して下記で説明するように、速すぎるシステムの加熱は、システム内の結露を増加させる。それゆえ、結露を減少させる一方で、過度の遅延なく、所望の温度設定点を達成するウォームアッププロセスを提供することが好都合である。一実施形態では、ウォームアッププロセスは、1105において確認されるように、予め決められた期間T続く。一実施形態では、期間Tは、15分間である。ウォームアップ期間はまた、初期温度および気温および/またはシステムにおいて決定された湿度レベルを通過させられ得る。
【0090】
ひとたび初期のウォームアップ期間が完了したら、プロセスは1107および1109に移り、そこでは、プロセスは、加熱板の温度が、予め決められた期間Tの間、予め決められた腹腔鏡の設定点温度に等しいかどうかを確認する。一実施形態では、予め決められた期間Tは21分間である。その後、プロセスは、1111および1113に移り、そこでは、プロセスは、加熱板のデューティサイクルの平均値を監視する。加熱板の平均値は、第3の期間Tにわたって決定される。一実施形態では、Tは25分間である。その後、プロセスは、先に決定された平均値の加熱板のデューティサイクルが、115において、予め決められたデューティサイクルnを上回るかどうかを確認する。一実施形態では、nは、5に等しい。平均値デューティサイクルが、nを上回らない場合、システムは、1119において、期間T、デューティサイクルを既に監視したかどうかを確認する。監視していない場合、プロセスは、平均値デューティサイクルを監視し続ける。一実施形態では、Tは、37分間である。1119において、時間がTを上回る場合、プロセスは1121に移り、そこでは、プロセスは、呼吸補助システムが腹腔鏡モードにあると決定する。1115において、平均値デューティサイクルがnを上回る場合、プロセスは1117に移り、そこでは、プロセスは、呼吸補助システムが開放(または高流量)モードにあると決定する。この点で、システムは、図12において説明する開放モードプロセスに移る。
【0091】
図12は、開放(または高流量の)プロセスの実施形態を示す。このプロセスは、システムのいくつかの電気的性質の履歴が、プロセスおよび呼吸補助装置の電流状態を決定するのに重要な要素であることを認識する。それゆえ、図12の開放モードプロセスは、いくつかの条件下で保たれる、時間にわたるいくつかの電気的性質の実行時総和(running summation)である「Integrals」を使用することを含む。
【0092】
例えば、図9(およびその関連の図)では、ステップ905において、システムの電気的特性、例えば引き込まれた加熱器の電流の長期平均値と短期平均値の差を使用して、流れおよび/または水の流出(flow and/or water out)条件または流れおよび/または水の流入(flow and/or water in)条件を決定する。
【0093】
図12の開放モードプロセスは、差の積分または実行時総和を使用する、長期平均値と短期平均値との間の時間にわたる差の、代替的なより正しい(robust)比較を含む。
Integral=Integral+(LAVE-SAVE) 式1
【0094】
このより正しい(robust)比較は、システムにおいて生じ得る不規則変動を減少させるのを助け得る。これは、水流出検出および流れ流出検出の双方に使用され得る。式1は、例えば、図12Cに示すステップ1231において使用される。(LAVE-SAVE)が、指定した範囲内に入る場合、Integralはゼロに設定される。ひとたびIntegralが指定範囲外になると、流れおよび/または水の流出条件または流れおよび/または水の流入条件に関する情報が与えられ得る。システムはまた、チャンバにおいて水が検出されない場合、熱い乾性ガスが送給されないようにするために、ヒーター線の電源をオフにすることができる。
【0095】
差の比較の別の代替的な式は、上限および下限の双方を利用する。
条件:((LAVE-SAVE)<a)&((LAVE-SAVE)>b)
成立した場合:Integral=0
成立しなかった場合:Integral=Integral+(LAVE-SAVE) 式2
【0096】
変数aおよびbの値は、実験によって決定される。ひとたびIntegral値がその設定した上限または下限に達したら、流れまたは水の流出/流入検出が決定された。
【0097】
図12図12-1および図12-2に分かれている)で説明するプロセスを参照すると、プロセスは、ひとたび呼吸補助システムが開放モードにあると決定されると、1201において開始する。1203において、プロセスは、別個の開放モードのウォームアッププロセスを始める。ウォームアッププロセスは、1205において、予め決められたウォームアップ期間Tが経過したと決定されるまで、継続される。一実施形態では、Tは5分間である。その後、プロセスは1207に移り、ここでは、様々な電気的特性が監視される。これらの特性は、図7~9に関して上述した特性を含むことができ、かつまた、ヒーター線抵抗値を含むことができる。図12の実施形態では、ヒーター線抵抗値の短期平均値および長期平均値が、加熱板のデューティサイクルの短期平均値および長期平均値に加えて、計算される。これらの特性は、1209において、期間Tの間、監視される。いくつかの実施形態では、Tは10分間である。その後、プロセスは1211に移り、そこでは、長期および短期のヒーター線抵抗値の差が分析されて、その差が、例えば、-.085~0.35などの指定した範囲内に入るかどうかを決定する。代替的な実施形態では、指定した範囲は、-.05~2.0とし得る。長期および短期のヒーター線抵抗値の平均値の差が、この範囲内に入る場合、プロセスは1227に移り、そこでは、ヒーター線のIntegralがゼロに送信される。長期および短期のヒーター線抵抗値の平均値の差が上述の範囲外になる場合、プロセスは1213に移り、そこでは、ヒーター線のIntegralは、先の(または初期の)ヒーター線のIntegralに長期および短期のヒーター線抵抗値の平均値の差を加えた値となるように、更新される。このプロセスは、ある期間にわたってシステムの監視を可能にするため、監視したデータにおけるわずかな一時的な変化(blips)または不整合が、警報事象を不必要にトリガーすることはない。1213の後、プロセスは1215に移り、そこでは、更新されたヒーター線のIntegralが分析されて、そのIntegralが、例えば、-500~200などの一定の予め定められた範囲に入るかどうかを決定する。更新されたヒーター線のIntegralがこの範囲内に入る場合、プロセスは、下記で説明する1229に移る。ヒーター線のIntegralがこの範囲内に入らない場合、1217においてヒーター線のIntegralが、閾値、例えば、-500未満であると、1219において流れ流出警報が起動され、およびプロセスは1211に戻る。1221において、ヒーター線のIntegralが、閾値、例えば、200を上回る場合、プロセスは、1223において、流れが流入して戻る(back in)警報をオフにし、および予め決められた時間Tの間、例えば、30分間待機し、その後、1211に戻る。
【0098】
ステップ1227の説明に戻ると、ひとたびヒーター線のIntegralがゼロにされたら、プロセスはステップ1229に移り、そこでは、加熱板のデューティサイクルの長期平均値と短期平均値の差が分析されて、平均値が、予め決められた範囲内に入るかどうかを決定する。この範囲は、例えば、-3.5~2.5である。加熱板のデューティサイクルの短期平均値と長期平均値の差がこの範囲に入る場合、加熱板のIntegralは、1230においてゼロに等しく設定され、およびプロセスはステップ1211に戻る。加熱板のデューティサイクルの短期平均値と長期平均値の差が上記の範囲に入らない場合、プロセスは1231に移り、そこでは、加熱板のIntegralは、現在の加熱板のIntegral値に短期および長期の加熱板のデューティサイクルの平均値の差を加えた値に等しくなるように、更新される。その後、プロセスは1233に移り、そこでは、更新された加熱板のIntegralが分析されて、第2の範囲、例えば、-200~1000に入るかどうか決定する。加熱板のIntegralがこの範囲内に入る場合、プロセスはステップ1211に戻る。加熱板のIntegralが、1233においてこの範囲に入らない場合、プロセスはステップ1235に移り、そこでは、加熱板のIntegralが、予め決められた閾値、例えば、1000を上回ると、プロセスは、水が流出すると決定し、および1237において警報を表示する。その後、プロセスはステップ1211に戻る。加熱板のIntegralが、1237において、閾値、例えば、-200を下回ると、プロセスは、1241において、水が流入して戻っていると決定し、および水流出警報を切る。その後、システムは、予め決められた期間Tの間、例えば、30分間待機し、その後、ステップ1211に戻る。
【0099】
図13は、水のより速い戻りの決定を含む開放モードプロセスの別の実施形態を示す。プロセスは、ひとたび呼吸補助システムが開放モードにあると決定されたら、1301で開始する。1303では、プロセスは、別個の開放モードのウォームアッププロセスを始める。ウォームアッププロセスは、1305において、予め決められたウォームアップ期間Tが経過したと決定されるまで、継続される。一実施形態では、Tは5分間である。その後、プロセスは1307に移り、そこでは、様々な電気的特性が監視される。これらの特性は、例えば、加熱板のデューティサイクルの短期および長期の平均値を含み得る。その代わりにまたはそれに加えて、図7~9に関して特性のいずれかを上記で説明した。これらの特性は、1309において、期間Tの間、監視される。いくつかの実施形態では、Tは10分間である。その後、プロセスは、1311に移り、そこでは、長期および短期の加熱板のデューティサイクルの差が分析されて、その差が指定した範囲内に入るか、または閾値を上回るかを決定する。図13に示すように、加熱板のデューティサイクルの長期平均値から短期平均値が差し引かれた値が、指定の閾値、X未満である場合、プロセスはステップ1313に移り、そこでは、加熱板のIntegralは、1313においてゼロに等しくなるように設定され、およびプロセスはステップ1311に戻る。閾値Xは、ヒステリシスを回避するために選択された名目上の正の値とし得る。ステップ1311および1313は、電力使用量が比較的一定である通常動作であるとみなされ得る。1311において、差が、指定の閾値X以上である場合、プロセスはステップ1315に移り、そこでは、加熱板のIntegralは、図13に示すように、現在の加熱板のIntegral値に長期および短期の加熱板のデューティサイクルの平均値の差を加えた値と等しくなるように、更新される。Integralは、電力使用量の総量を表し、かつ、ステップ1317において、電力使用量が、ある総量に入ったかどうかを決定するために分析される。1317において、更新された加熱板のIntegralは、第2の範囲に入るかどうかを決定するために分析される。例えば、1317において、Integralが、閾値X以下である場合、プロセスは、1311での通常動作に戻る。1317において、IntegralがX以上である場合、プロセスはステップ1311に戻る。ステップ1319において、プロセスは、直前に計算された短期平均値の加熱板のデューティサイクルが最新の加熱板のデューティサイクルの短期平均値にほぼ等しいかどうかを決定する。もしほぼ等しい場合、システムは、水および/または流れの流出ステータスインジケータを起動する。これは、トグルで切り替えられるまたは点灯されるLEDとし得る。その後、プロセスは、1321において期間T待機する一方で、1323においてインジケータを起動させる。ひとたび時間Tが経過したら、プロセスは1325に移り、そこでは、プロセスは、水および/または流れがシステムに戻ったとプロセスが決定するまで、水および/または流れの流出インジケータを起動し続ける。1325において、プロセスは、最新の短期平均値の加熱板のデューティサイクルを決定し、および直前の短期平均値のデューティサイクルを差し引く。結果が、閾値X以上である場合、プロセスは、水および/または流れが戻っていないと決定して、1327においてインジケータを起動し続ける。1325において、結果が閾値X以上である場合、プロセスは1329に移り、システムは、インジケータを切る。なぜなら、水および/または流れが流入して戻って追加されたと決定したためである。その後、システムは、1331において、期間Tの間待機して、1311における通常動作モードに戻る前にシステムが安定化できるようにする。
【0100】
当業者に理解されるように、上記の説明の実施形態の期間および閾値は、様々な利点および欠点を示すシステムを提供するために、様々な基準に従って選択され得る。例えば、待機期間が短く、および閾値が狭いことは、様々なプロセスおよびシステムを高速にし得るが、信頼性を犠牲にし得る。従って、上述の例は、限定ではなく、説明として提供される。
【0101】
図14は、制御式湿気送給をもたらす手段として、第1の動作期間中の加熱板の温度制御の実施形態を示すグラフである。このプロセスは、本開示で説明するウォームアッププロセスのいずれかおよび/または全てに対して実装され得る。図14は、加熱板設定点1403、加熱板の温度1405、および加熱板のデューティサイクル1407を示す。この制御式湿気送給プロセスは、外科医の光学的透明度を向上させるために使用され得る。送給される湿度のレベルを制御することによって、より冷たい外科用設備は、ガスと同じ温度まで暖められる機会を得て、設備での結露の形成を減少させる。いくつかの実施形態では、一次方程式を使用して、初期の設定点温度に基づいて、加熱板の設定点温度を調節できる。式は:
設定点温度=勾配*時間+初期の設定点温度 式3
である。
【0102】
図14に示す実施形態では、初期の設定点温度は21℃であり、および勾配は1/60であり、秒で測定された時間の値に関して、設定点温度は、毎分1℃の割合で上昇する。
【0103】
開始時の加熱板の温度、すなわち、システムが最初にスイッチを入れられるときの加熱板の温度が、初期の設定点温度を下回る場合、システムは、加熱板に連続的に電力を供給して、可能な限り迅速に初期の設定点温度に達し、その後、式3によって定義されるように続く。開始時の加熱板の温度が初期の設定点温度を上回る場合、システムは、設定点温度が加熱板の温度に等しくなるまで、加熱板に電力を供給しない。このプロセスは、一定の時間、例えば15分間、続く。例えば、開始時の加熱板の温度が30℃である場合、加熱板は、時間=9分まで液体を加熱し始めないが、その後、式3に従って続く。開始時の加熱板の温度に依存して、システムは、式3によって決められた時間および勾配においてのみ、加熱板への電力の供給を開始し、加熱板の温度が、ウォームアップ期間の最後に所望の温度に達するようにする。
【0104】
指定のウォームアップ期間の後、加熱板の温度は、実施されている処置のタイプに最適な湿度の出力を保証する温度に到達する。一実施形態では、所望の温度は、腹腔鏡では43℃であり、または観血的手術では53℃である。
【0105】
図15および図16は、本開示で説明されるプロセスを使用する結露の減少の比較例を示す。図15は、システムでの結露の影響を示し、ここでは、ウォームアッププロセスは制御されず、むしろ、従来技術の加湿システムに典型的であるように、加熱板は、可能な限り迅速にウォームアップされる。図15に示すように、加熱板の温和さ1505は、約43℃のその動作温度に迅速にもたらされる。水チャンバ温度1507は、加熱板の温度によって迅速に上昇するが、内部カニューレ温度1511は、加熱板およびチャンバより著しく後れを取る。それゆえ、チャンバ温度とカニューレ温度との間の温度差領域1503として示す結露の可能性は、大きい。他方では、図16は、本開示において説明するウォームアップ処置を使用する潜在的な結露の減少を示す。図16はまた、加熱板の温度1605を示すが、この例では、ウォームアッププロセス中の加熱板の温度上昇は、約43℃のその動作温度に達する前は、よりゆっくりとした速度で上昇するように明確に制御される。これは、制御式であるものの同様に上昇するチャンバ温度を生じ得る。この制御式のウォームアッププロセスの結果、内部カニューレ温度1611とチャンバ温度1607との間の温度差は、ウォームアップ期間中、遥かに小さい。これは、結露1603の可能性を低くする。
【0106】
上記から、少なくともある程度、装置の動作モードを制御するか、またはゼロまたは低減されたガスの流れのインジケータおよび/またはゼロまたは低レベルの加湿液のインジケータを起動させることができる医療用ガス送給装置および方法が提供されることが分かる。これは、外部温度または流れセンサープローブの使用を必要とせずに、加湿器加熱器および/または送給ガス導管加熱器の電気的特性を分析することによって、行われる。すなわち、加熱器の1つ以上によって示される応答、または応答の変化は、特定の事象の発生を決定するおよび/またはそれに従って装置を制御するために使用される。
【0107】
文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、説明を通して、語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、排他的または徹底的であるのとは対照的に、包括的に、すなわち、「限定されるものではないが、~を含む」と解釈される。
【0108】
開示の装置および方法を、例としておよび考えられるその実施形態を参照して説明したが、本開示の範囲から逸脱せずに、それに対して修正または改善がなされ得ることを理解されたい。開示の装置および方法はまた、本出願の明細書で言及されるまたはそこで示される部分、要素および特徴の2つ以上のいずれかまたは全てにおいて、個別にまたはまとめて、前記部分、要素および特徴にあると広く言われ得る。さらに、等価であると公知の開示の装置および方法の特定の構成要素または完全体に言及する場合、そのような等価物は、個別に説明されているかのように、本明細書に組み込まれる。
【0109】
本明細書を通して、従来技術のいずれの説明も、そのような従来技術が広範に知られているか、または当分野の共通の一般知識の一部を形成すると承認するものであると、なんらみなされるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15
図16