(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】高振幅圧力波を発生させるためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
F23J 3/00 20060101AFI20231212BHJP
F22B 37/48 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
F23J3/00 Z
F22B37/48 C
(21)【出願番号】P 2021501089
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2019057752
(87)【国際公開番号】W WO2019185736
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520374818
【氏名又は名称】エクスプロ エンジニアリング アーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】520375697
【氏名又は名称】マーティン ゲーエムベーハー フュア ウンベルト-ウント エネギーテクニーク
(73)【特許権者】
【識別番号】520374829
【氏名又は名称】リュエッグ,ハンス
(73)【特許権者】
【識別番号】520374830
【氏名又は名称】ヒタチ ゾウセン イノヴァ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツ,ハラルト
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-502242(JP,A)
【文献】特開昭51-005201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 3/00
F22B 37/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高振幅の圧力波を発生させるための、ボイラ洗浄のためのデバイスであって、
燃焼チャンバ(121、122;125)が内設され、前記燃焼チャンバ(121、122)内に延在する少なくとも1つの点火デバイス(50、59)と、前記燃焼チャンバ(121,122、125)内に流動性の燃焼性物質を供給する少なくとも1つの供給ライン(151、152)とを備える耐圧容器(21、22、25、30、40)を含み、
前記耐圧容器(21、22、25、30、40)が、前記燃焼チャンバ(121、122)内での前記燃焼性物質の点火によって発生されるガス圧を方向付けて排出するための排出開口部(61、62、63)と、前記排出開口部(61、62、63)を閉鎖するとともに、方向付けられた排出のために前記排出開口部(61、62、63)を開放するように設計され、スプリング・デバイス(40、140、240)により開始位置まで変位可能な
ピストン(70)とを有し、
前記
ピストン(70)が、前記スプリング・デバイス(40、140、240)の方向に配向された後方セクションと、前記排出開口部(61)の方向に配向された前方セクション(72)とを有し、その長手方向に変位可能であるピストンであり、
前記排出開口部(61)を閉じる位置に前記ピストン(70)があるときに、前記前方セクション(72)が、前記燃焼チャンバ(121、122、125)の領域に配置され、
前記ピストン(70)の長手方向(90)を基準として、前記ピストン(70)の座部が、前記排出開口部(61)に対して斜めに傾斜するピストン面(302)を有し、前記排出開口部(61)に対して斜めに傾斜するハウジング面(303)が、前記ピストン面(302)に対向して配置され、
前記ハウジング面(303)が、前記ピストン(70)の長手方向(90)に対して垂直な閉鎖ライン(65)から前記排出開口部(61)に向かって、前記ピストン面(302)に対して所定の角度(304)で開口している、デバイス。
【請求項2】
前記角度(304)が0.5度から5度の間である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記角度(304)が1度から3度の間である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記角度(304)が2度である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ピストン(70)の前記長手方向(90)に対して垂直な前記閉鎖ライン(65)が、前記前方セクション(72)のピストン壁内に配置され、その結果、
丸みを帯びた静圧開口部面(312)が、前記前方セクション(72)の前記ピストン壁
上に、
前記閉鎖ライン(65)を含む形で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記燃焼チャンバ(121、122、125)に接続されるか又は前記燃焼チャンバ(121、122、125)に属する、ピストン軸に対して垂直であるフランジ面(191)が、前記ピストン面(302)のエリア・サイズによって与えられるエリア・サイズの50パーセントから200パーセントの間のエリア・サイズを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記後方セクション(71)と前記前方セクション(72)との間に移行領域(
75)が設けられ、前記ピストン(70)が前記排出開口部(61、62、63)を閉じる位置にあるとき、前記前方セクション(72)が前記燃焼チャンバ(121、122)の領域内に配置され、前記ピストン(70)の長手方向(90)において、前記前方セクション(72)が前記後方セクション(71)に対してテーパ状になるように設計されており、その結果、前記移行領域(75)が、前記ピストン(70)の前記長手方向(90)に対して横切る向きに配置された有効面(91)を形成することになり、前記燃焼性物質の点火時に、前記有効面に対して、前記ピストン(70)を後方に駆動する圧力が作用し、その結果、前記ピストン(70)の前記前方セクション(72)が前記排出開口部(61、62、63)を開ける、請求項1~6のいずれか一項に記載の、デバイス。
【請求項8】
前記移行領域(75)が、ガススプリング(40、140、240)の前記ピストン(70)の前記長手方向においてより大きいピストンの直径(171)からより小さいピストンの直径(172)へと継続的にテーパ状になっている領域であり、前記燃焼チャンバ(121、122、125)の領域内に配置される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記移行領
域が、前記ピストン(70)のフランジ
面(191)によって形成される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
中空の中央ガイド・ストランド(96)が耐圧容器(30)内に設けられるか、又は環状ガイド延長部分が、前記燃焼チャンバ(121、122、125)に繋がっている前記耐圧容器(30)の上に設けられ、前記中空の中央ガイド・ストランド(96)が、内部で、前記ピストン(70)を前記前方
セクション(72)において案内し、少なくとも1つの接続用の隙間(126)が、前記燃焼チャンバ(121、122、125)と、前記ピストン(70)の前記フランジ
面(191)の領域内の補助圧力チャンバ(95)と、の間に設けられる、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記燃焼チャンバ(125)が、その長手方向
軸を中心として前記ピストン(70)の周りに環状に又は円筒形状に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記燃焼チャンバ(125)の環状壁(25)が、密閉的に接続される積み重ねられるリング・セグメントであり、前記リング・セグメントが、有利には、頂部及び底部にあるカバープレート及び底部プレートによって閉鎖される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
少なくとも2つの燃焼チャンバ(121、122)が、一つの平面内に、互いに所定の角距離で中心軸に対して放射状に配置され、ガススプリング(40、140、240)の長手方向軸が前記中心軸に一致するか、又は前記ガススプリング(40、140、240)の前記長手方向軸が前記少なくとも2つの燃焼チャンバ(121、122)の前記平面内にある、請求項7~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記排出開口部(61、62、63)が、長手方向を有するチューブを有し、前記排出開口部(61、62、63)の前記チューブの前記長手方向が前記中心軸と一致するか、又は前記ガススプリング(40、140、240)の前記長手方向軸が前記少なくとも2つの燃焼チャンバ(121、122)の前記平面内にある、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
ガススプリング(40、140、240)が、前記ピストン(70)に対向する前方ガススプリング・チャンバ(41)と、パーティション(43)によって前記前方ガススプリング・チャンバ(41)から分離される後方ガススプリング・チャンバ(42)とを有し、前記前方ガススプリング・チャンバ(41)と前記後方ガススプリング・チャンバ(42)との間に、逆流接続部(45)としての第1の接続部と、逆止弁(44)を備える第2の接続部とが存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1及び第2の接続部が前記パーティション(43)内に設けられる、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第2の接続部が少なくとも2つの部分的な接続部(243)を有し、前記部分的な接続部(243)が、一方側で、前記前方ガススプリング・チャンバ(
41)内で前記ガススプリング(240)の
壁に上下に、ピストン運動の長手方向
の側方から開口しており、もう一方側で、前記後方ガススプリング・チャンバ(42)のところで終端しており、その結果、前記ピストン(70)が、前記前方ガススプリング・チャンバ(41)内まで突入する場合
に開口部(246)が順々に覆われることになり、前記部分的な接続部(243)の各々が逆止弁(44)を有する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第2の接続部が、直列に接続される制御弁(144)
と逆止弁(44)
とを備えた制御可能な逆止
弁を備え、前記制御可能な逆止
弁が制御ユニットに接続され、前記制御ユニットを用いて点
火が誘発され得、前記制御ユニットが、流動性の燃焼性物質の点火後の第1の所定の時間間隔で前記制御可能な逆止
弁を開けるように設計されている、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の接続部が、直列に接続される制御弁(145)と戻りガイド(45)とを備えた制御可能なチェック弁を備え、前記制御可能なチェック
弁が前記制御ユニットに接続され、前記制御ユニットを用いて点火が誘発され得、前記制御ユニットが、前記制御可能なチェック弁を開けた後の第2の所与の時間間隔で前記制御可能なチェック弁を開けるように構成されている、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記前方ガススプリング・チャンバ(41)及び前記後方ガススプリング・チャンバ(42)に対して2つのガススプリング・ガスポートが設けられ、前記制御ユニットがガス充填制御ユニットを有し、前記ガス充填制御ユニットを用いて、前記前方ガススプリング・チャンバ(41
)内のガス充填圧力が点火前
に所定の値となるように調整可能であり、
前記後方ガススプリング・チャンバ(42)内のガス充填圧力が点火前に所定の値となるように調整可能であり、前方ガススプリング・チャンバ(41)内のガス充填圧力が、前記後方ガススプリング・チャンバ(42)内のガス充填圧力より大きくなるように設定され得る、請求項18又は
19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記前方ガススプリング・チャンバ(41)内のガス充填圧力が、前記後方ガススプリング・チャンバ(42)内のガス充填圧力の少なくとも2倍となるように設定され得る、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記前方ガススプリング・チャンバ(41)内のガス充填圧力が、前記後方ガススプリング・チャンバ(42)内のガス充填圧力の少なくとも3倍以上又は5倍以上となるように設定され得る、請求項21に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高振幅圧力波を発生させるための、特にはボイラを洗浄するための、デバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高振幅圧力波を発生させるためのこのようなデバイスは特許文献1から知られている。このデバイスは、スピーカーによって発生され得る振動より大幅に強い音響振動を発生させる。この音響振動は、その圧力波により付着粒子が分離することを理由として、特にボイラ洗浄のために使用され得る。特許文献1の事例では、2つの異なるパルス状の燃焼が考察されており、つまり爆轟及び爆燃が考察されている。爆轟の燃焼は2,000から4,000m/sの非常に高い火炎速度を有し、対して爆燃の燃焼は200m/s未満といったような大幅に低い火炎速度を有し、圧力波が非常に小さい振幅を有する。
【0003】
特許文献2が、爆発を発生させるための、特には高強度の圧力パルスを発生させるための、方法及びデバイスに関連する。これは、圧力パルスのための出口及び出口を閉じるピストンを備える、上述の米国特許のような、主爆発チャンバを備える耐圧容器から構成される。ピストンが、補助の爆発チャンバ内での補助の爆発によりその定位置内で変位させられ、ここではピストンが出口開口部を開放するようになる。この手順は、主爆発と先行する補助の爆発の誘発との間での正確なタイミング調整を必要とする。したがって、このデバイスは押し戻されたピストンの速度を低下させるガススプリング・チャンバをさらに有し、主爆発チャンバからガスが噴出した後で、ガススプリング・チャンバが上記ピストンを押してその初期位置に戻す。
【0004】
特許文献3が、爆発を引き起こすための別の方法及びデバイスを示している。ガススプリング機構が、スプリング機構として明示されるリリーフ機構を有する。
【0005】
さらに、非特許文献1による論文が、音響ホーンを用いる洗浄のための爆発を発生させるための方法及びデバイスを明示している。
【0006】
さらに、特許文献4が、洗浄のために圧力下でガス又は空気の爆発を周期的に発生させるために開位置と閉位置との間で移動させられ得るピストンを備える爆発シリンダ(explosion cylinder)を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5,864,517号
【文献】EP2319036
【文献】EP1922568
【文献】FR2,938,623
【非特許文献】
【0008】
【文献】Tibor Horst Fuleの、「Cleaning technologies with sonic horns and gas explosions at the waste-fired power plant in Offenbach (Germany), cleaning with sonic horns and gas explosions at the waste-fired power plant Offenbach」、VGB Powertech、Vol.93、No.8、2013年8月1日、67~72頁、ISSN;1435-3199
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この従来技術に基づき、本発明は、とりわけ、より容易にかつより安全に点火を行う改善されたデバイス及び方法を明示するという目的を有する。
【0010】
加えて、本発明の目的のうちの1つの目的は、現況技術では爆発による耐圧容器の可動部品の摩耗が著しく、したがって設備のメンテナンスが必要となる前に限定された回数の洗浄点火(cleaning ignition)しか可能とならないことを理由として、より長いメンテナンス間隔を有するデバイスを提供することである。パワープラントの工学、第一次産業、及び工業化学では、通常、これらのプロセスが複雑な化学プラント内で実行され、通常、種々の容器を洗浄するために高振幅圧力波を発生させるための複数のこのようなデバイスが提供され、したがって、このようなデバイスはそれに応じてメンテナンスを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
デバイスが、好適には、スラグ又は蓄積物などを除去するために、廃棄物焼却プラント、石炭火力発電所、サイロなどの、大型の技術的プラント内のボイラを洗浄するのに使用される。主要な利点は、個別の洗浄サイクルが非常に迅速に複数回にわたって繰り返され得るということである。また、一連の圧力波及び付随の圧力パルスを発生させるための洗浄物質としてガスを使用することは比較的安価であり、高い圧力が発生され得る。圧力波が誘発されることになる直前のタイミングで、それ自体では燃焼又は爆発しない2つの化学物質流体を加えることにより、安全性も向上する。また、反応物質が長時間にわたって高温環境に対して露出されることを理由として、プラントが依然として温かい状態であるときにまた可能性として依然として動作状態であるときに洗浄を行うことが可能となる。
【0012】
発生した圧力波が、より長い距離にわたってボイラの中に入り込むチューブを介して、洗浄されるべき場所まで誘導され得る。チューブは洗浄されるべきプラントに固定され得るが、例えばテレスコピック方式でプラント又はボイラの中へ摺動することにより、外側から挿入されてもよい。燃焼中に発生する圧力パルスが、蓄積物及び汚れをボイラ内の内側チューブ及びその壁から吹き飛ばし、同時にチューブ又は壁を振動させる。両方の作用が、洗浄されるべき設備の効率的な洗浄を実現する。
【0013】
高強度の、及び/又は(高速の)繰り返し性を有する、大きい高速の、力パルス、圧力パルス、又は圧力波を必要とするような、種々の他の使用も考えられる。例として、シート金属の形成のための圧力発生器、又は小火器のための駆動装置などがあり、ここでは、圧力パルスが、発射体を加速するのに使用される。また、制御する形での雪崩発生の分野でこのようなシステムを使用することも可能である。
【0014】
高振幅圧力波を発生させるための、特にはボイラを洗浄するための、デバイスが、耐圧容器を有する。これはいくつかの部品で構成することができる。これが、その内部に配置される少なくとも1つの燃焼チャンバを有する。複数の燃焼チャンバが互いに接続され得る。燃焼チャンバ内まで到達する少なくとも1つの点火装置が提供される。例えば、天然ガス及び空気、又はメタン及び酸素といったような、好適には別個である燃料及び酸化剤などの、流動性の燃焼性物質を燃焼器に供給するための少なくとも1つの供給ラインが存在するものとする。種々の他の液体燃料又は気体燃料が使用されてもよい。この場合、耐圧容器が、燃焼チャンバ内での燃焼性物質の点火によって発生されるガス圧力を、方向付けて排出するための排出開口部を有するものとする。点火前に、及び点火中に、排出開口部を閉じるための閉鎖手段が設けられており、この閉鎖手段が、方向付けられた排出のために排出開口部を開放するように設計されており、全焼後にスプリング・デバイスにより初期位置まで移動させられ得る。閉鎖手段は、その長手方向に変位可能であるピストンであり、ピストンは、スプリング・デバイスの方向に配置される後方セクションと、排出開口部の方向に配置される前方セクションとを有する。
【0015】
ピストンの座部が、その長手方向を基準として、排出開口部に対して斜めとなるように傾斜するピストン面を有し、このピストン面が、排出開口部に対してやはり斜めとなるように傾斜するハウジング面に対向するように配置され、ここでは、ハウジング面は、ピストン方向に対して垂直となるように方向付けられる閉鎖ラインから排出開口部に向かって、ピストン面に対して所定の角度で開口している。
【0016】
この角度は0.5度から5度の間であってよく、好適には1度から3度の間であってよく、特には2度である。
【0017】
ピストン方向に対して垂直な閉鎖ラインは、下側セクションのピストン壁内に位置していてよく、その結果、閉鎖ラインとピストン壁との間に、丸みを帯びた静圧開口部エリア(rounded static pressure opening area)が存在する。
【0018】
燃焼チャンバに接続されるか又は燃焼チャンバに属する、ピストン軸に対して垂直であるフランジ面が、ピストン面のエリア・サイズによって与えられるエリア・サイズの50パーセントから200パーセントの間のエリア・サイズを有することができる。
【0019】
これらの2つのセクションの間に移行エリアが設けられ得る。ピストンが排出開口部を閉じているとき、前方セクションが燃焼チャンバの領域内に位置する。ピストンの長手方向において、前方セクションが後方セクションに対してテーパ状になっており、その結果、移行領域が、ピストンの長手方向に対して横切る向きに配置された有効面を形成することになり、燃焼性物質の点火時に、この有効面に対して、ピストンを後方に駆動する圧力が作用し、その結果、ピストンの前方セクションが排出開口部を開ける。これにより洗浄が容易になる。その理由は、この圧力の増大も、焼散によって達成され得るものであり、それ自体が排出ファンネルまで経路を開けることを担っているからである。
【0020】
移行領域は、ガススプリングのピストンの長手方向においてより大きいピストンの直径からより小さいピストンの直径へと継続的にテーパ状になっている領域であってよく、燃焼チャンバの領域内に位置する。逆に、移行領域がピストンのフランジ状のテーパ部分によって形成されてもよい。
【0021】
特に、中空の中央ガイド・ストリングが耐圧容器内に設けられてよく、中空の中央ガイド・ストリングが、内部で、ピストンを前方領域において案内する。これには、さらに細かく分かれるピストンの複数のセクションにわたっての案内を可能にすることを理由として、摩耗及び裂けに関しての利点がある。この事例では、燃焼チャンバとピストンのフランジ状のテーパ部分の領域内の補助圧力チャンバとの間に少なくとも1つの接続用の隙間が設けられる。
【0022】
燃焼チャンバが、その長手方向軸を中心としてピストンの周りに環状に配置され得る。特に、この場合、燃焼チャンバの環状壁が、密閉的に接続される積み重ねられるリング・セグメントであってよく、この積み重ねられるリング・セグメントが、有利には、それぞれ頂部及び底部にある頂部プレート及び底部プレートによって閉鎖される。したがって、異なるサイズの特別なチャンバを設ける必要がないことを理由として、円筒形の燃焼チャンバの高さ及びボリュームが容易に拡大縮小可能となる。このような拡大縮小される燃焼チャンバの一部分のみが、密閉ユニットとしての、対応する形で長さを調整されるピストンとなる。
【0023】
少なくとも2つの燃焼チャンバが、一つの平面内に、互いに所定の角距離で中心軸に対して放射状に配置され得る。特に、2つの燃焼チャンバは、互いに径方向反対側に配置され得る。この場合、ガススプリングの長手方向軸が中心軸に一致する。3つの燃焼チャンバは共通の平面内で120度の角距離を有してもよい。或は、ガススプリングの長手方向軸が少なくとも2つの燃焼チャンバと同じ平面内にあってよく、その結果、3つの燃焼チャンバの場合に、個別の要素の間の角距離を90度にすることが可能となる。
【0024】
排気ポートが、通常、チューブを有し、これがチューブの長手方向を有する。この例では、チューブの長手方向が中心軸と一致していてよく、つまり、排出開口部がピストンの延長部分であるか、或はガススプリングの長手方向軸が、少なくとも2つの燃焼チャンバと同じ平面内にある。この場合、例えば2つの燃焼チャンバの場合に、2つの燃焼チャンバが出口開口部とより整列するように、2つの燃焼チャンバの間に120度未満の角距離を成すことも可能である。
【0025】
ガススプリングが、ピストンに対向する前方ガススプリング・チャンバと、パーティションによって前方ガススプリング・チャンバから分離される後方ガススプリング・チャンバとを有することができ、ここでは、前方ガススプリング・チャンバと後方ガススプリング・チャンバとの間に、逆流接続部としての第1の接続部と、逆止弁を備える第2の接続部とが存在し、ここでは、逆止弁が、前方ガススプリング・チャンバから後方ガススプリング・チャンバの中まで媒体を妨害せずに流すのを可能にするが後方ガススプリング・チャンバから出る反対方向の流れを実質的に阻止するように、配置される。
【0026】
第1及び第2の接続部はパーティション内に設けられ得る。逆に、第2の接続部が少なくとも2つの部分的な接続部を有してもよく、部分的な接続部は、一方側で、前方ガススプリング・チャンバ内でガススプリングの壁内において上下に、ピストン運動の長手方向において横方向に開いており、もう一方側で、後方ガススプリング・チャンバのところで終端しており、その結果、ピストンが前方ガススプリング・チャンバに入る場合に開口部が時間的に順々に覆われることになり、ここでは上記の部分的な接続部の各々がそれぞれの逆止弁を有する。結果として、個別の逆止弁が順にオフに切り換えられ、その結果、前方ガススプリング・チャンバから後方ガススプリング・チャンバまでの媒体の流れの速度が低下し、つまり、前方ガススプリング・チャンバ内で増大するガス圧力により制動効果が低減される。
【0027】
第2の接続部が、直列に接続される制御弁と、逆止弁と、を任意選択で含むことができる制御可能な逆止弁を有することができ、この制御可能な逆止弁が制御ユニットに接続され、この制御ユニットを用いて点火が誘発され得、この制御ユニットは、流動性の燃焼性物質の点火後の第1の所定の時間間隔で制御可能な逆止弁を開けるように設計されている。これにより、ピストンがさらに後方に移動することが可能となる前の段階で燃焼チャンバ内の焼散が完了することが保証される。
【0028】
第1の接続部が、直列に接続される制御弁と、逆流ガイドと、を任意選択で含むことができる制御可能な逆流防止弁を有することができ、この制御可能な逆流防止弁が制御ユニットに接続され、この制御ユニットを用いて点火が誘発され、この制御ユニットは、制御可能な逆流防止弁を開けた後の第2の所与の時間間隔で制御可能な逆流防止弁を開けるように構成されている。これにより、制御可能な逆止弁を開けた後で遅延する形で逆流を始動させることが可能となり、ひいては前方ガススプリング圧力チャンバと後方ガススプリング圧力チャンバとの間の圧力均一化を始動させることが可能となり、つまりピストンの閉鎖運動を遅らせて誘発することが可能となり、その結果、依然として圧力下にある燃焼ガスが燃焼チャンバから完全に離れる。
【0029】
前方ガススプリング・チャンバ及び後方ガススプリング・チャンバに対して2つのガススプリング・ガス接続部が別個に設けられてもよく、ここでは、制御ユニットがガス充填制御ユニットを有し、このガス充填制御ユニットを用いて、前方ガススプリング・チャンバ及び後方ガススプリング・チャンバ内のガス充填圧力が点火前に各々の所定の値となるように設定され得、ここでは、前方ガススプリング・チャンバ内のガス充填圧力が、後方ガススプリング・チャンバ内のガス充填圧力より大きくなるように設定され得る。特に、前方ガススプリング・チャンバ内のガス充填圧力が、後方ガススプリング・チャンバ内のガス充填圧力の少なくとも2倍となるように、また好適には少なくとも3倍以上又は5倍以上となるように、設定され得、その結果、一方で、前方ガススプリング圧力チャンバが点火時に後退することがなくなるか又はわずかにしか後退しないようになる。その理由は、点火時に前方ガススプリング圧力チャンバに行き渡っている圧力が燃焼チャンバ内の増大する圧力に抵抗し、逆止弁が開けられるときのみ完全な後退が迅速に行われるからである。これは、ガスの圧力差がすでに設定されていることによる。特に後方チャンバでは大気圧が行き渡っていてよく、前方ガススプリング圧力チャンバのみが不活性ガスを用いて加圧されていてよい。
【0030】
より容易にかつより安全に点火を行う改善されたデバイス及び方法を明示するという課題を解決することを目的として、高振幅圧力波を発生させるための、特にはボイラを洗浄するためのデバイスであって、燃焼チャンバが内設され、燃焼チャンバ内まで延在する少なくとも1つの点火デバイスと、燃焼チャンバ内に流動性の燃焼性物質を供給する少なくとも1つの供給ラインとを備える耐圧容器を含み、耐圧容器が、燃焼チャンバ内での燃焼性物質の点火によって発生されるガス圧力を方向付けて排出するための排出開口部と、排出開口部を閉鎖するとともに、方向付けられた排出のために排出開口部を開放するように設計され、スプリング・デバイスにより初期位置まで変位可能な閉鎖手段とを有し、閉鎖手段が、スプリング・デバイスの方向に配置された後方セクションと、排出開口部の方向に配置された前方セクションとを有し、その長手方向に変位可能であるピストンであり、排出開口部を閉じる位置にピストンがあるときに、前方セクションが、燃焼チャンバの領域に配置され、ピストンの長手方向を基準として、ピストンの座部が、排出開口部に対して斜めに傾斜するピストン面を有し、同様に排出開口部に対して斜めに傾斜するハウジング面が、ピストン面に対向して配置され、ハウジング面が、ピストン方向に対して垂直な閉鎖ラインから排出開口部に向かうピストン面に対して所定の角度で開口していることを特徴とするデバイス。この角度は0.5度から3度の間であり、特には1度である。ピストン方向に対して垂直な閉鎖ラインは、有利には下側セクションのピストン壁内に位置しており、その結果、閉鎖ラインとピストン壁との間に、丸みを帯びた静圧開口部面が存在する、デバイス。このデバイスが、ピストンの長手方向において、前方セクションが後方セクションの方にテーパ状になっている、という特徴をさらに有する。このテーパが内側ピストンの座部壁に影響し、ここでは好適には、小さい角度で出口の方に向かって内側に開いている、反対側の外側ハウジング弁座壁を有する。
【0031】
別の実施形態が従属の要件において与えられる。
【0032】
以下で、説明のみを目的としており、限定的であると解釈されるべきではない図面に基づいて、本発明の好適な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態による、高振幅圧力波を発生させるためのデバイスを示す概略斜視図である。
【
図3】その構成要素が本発明に不可欠である、圧力波を発生させるためのデバイスを示す正確な縮尺ではない横方向断面図である。
【
図4】A~Cは、3つの重ねられる断面図による、
図3によるデバイスを通る3つの水平方向断面図である。
【
図5】線IVbとIVcとの間で
図3のピストンを示す概略詳細図である。
【
図6】本発明の実施形態による、高振幅圧力波を発生させるための別のデバイスを示す概略斜視図である。
【
図7】
図6によるデバイスの垂直方向の断面軸を含む概略断面図である。
【
図8】
図6によるデバイスの水平方向の断面軸を含む概略断面図である。
【
図9】本発明の実施形態による、高振幅圧力波を発生させるための別のデバイスを示す概略斜視図である。
【
図10】
図9によるデバイスの垂直方向の断面軸を含む概略断面図である。
【
図11】
図6による及び
図9によるデバイスによる特徴を部分的に有するデバイスの垂直方向の断面軸を含む概略断面図である。
【
図12】
図1、
図6、
図10又は
図11によるデバイスで使用され得るガススプリングの実施形態の垂直方向の断面軸を含む概略断面図である。
【
図13】
図1、
図6、
図10又は
図11によるデバイスで使用されるガススプリングの別の実施形態の垂直方向の断面軸を含む概略断面図である。
【
図16】高振幅圧力波を発生させるためのデバイスのための弁座の実施形態の場合の経過的な力経過を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の実施形態による、高振幅圧力波を発生させるためのデバイスの斜視図を示す。第1の耐圧容器21及び第2の耐圧容器22が、中央ボディ30の左側及び右側に配置される。この実施形態では、これらの容器21及び22が、切断片で示されたボイラ壁5に本質的に平行に延びている。加えて、下流に排出チューブ62を備える排出ファンネル61が、中央ボディ30に対してフランジを形成しており、排出チューブ62は、ボイラ壁5を貫通し、ボイラ15の内部の排出開口部63で終端している。別の実施形態では、排出開口部63がボイラ壁上に直接に位置していてもよく、排出チューブ62が排出ファンネル61より短く設計され得るか又は完全に省略し得る。排出ファンネル61の反対側で、ガススプリング圧力ボディ40が中央ボディ30に対してフランジを形成している。下側中央ボディ30の下側部分では、左側に第1のガス貯蔵容器51が存在し、反対の右側に第2のガス貯蔵容器52が存在する。他の実施形態では、容器21及び22の構成がより長くてもよく、つまり内部ボリューム121及び122のアスペクト比が5:1から20:1の間であってもよい。
【0035】
次いで、
図2を用いて、
図1に示されるデバイスの概略図に関連させて、圧力波を発生させるためのデバイスの機能を説明する。
図2は、
図1のいくつかの不可欠な要素を概略図で示している。2つの、左側の耐圧容器21及び右側の耐圧容器22が中央ボディ30の上に配置され、耐圧容器21及び耐圧容器22がそれぞれ第1の燃焼チャンバ121及び第2の燃焼チャンバ122を有する。この実施形態では、耐圧容器21及び耐圧容器22が、後方エリアにおいて、大径の内部スペースを有する円筒形であり、つまり中央ボディ30の方を向くテーパ状の通路が存在する。
【0036】
中央ボディ30内に、後の図でより詳細に示されるピストン70が存在し、ピストン70は、閉じられたときにチャンバ122及び122を互いの前で分離し、排出ファンネル61の方を向くピストン70の前方端部72により出口を閉じる。ピストン70が、
図3により詳細に示されるように、その上側部分71のところで、ガススプリング圧力ボディ40内に突出している。弁座自体が参照符号300を付される。弁座は、特には
図14及び
図15A、
図15B、
図15Cの詳細図に従って設計され得、それにより
図16に示されるような効果を生じさせる。
【0037】
高振幅圧力波を発生させるためのデバイスの目的は、流体燃料又は爆発性物質を焼散させることにより、第1の圧力チャンバ121及び第2の圧力チャンバ122の中で高振幅圧力波を発生させることである。この燃料は、好適には、第1のガス貯蔵容器51及び第2のガス貯蔵容器52内に保管される、それ自体では可燃性又は爆発性ではない成分を混合することによって形成される。これらのガス貯蔵容器51及び52は、外部ガス供給弁55及び56によって制御される対応するガス接続部57及び58からの外部ガス供給ライン53及び54を介して供給を受ける。第1のガス貯蔵容器51が、第1のガス充填ライン151及び中間の第1のガス充填弁153を介して、燃焼チャンバ121及び122に接続される。第1の燃焼チャンバ121と第2の燃焼チャンバ122との間に対応する補償ラインが設けられる場合、一方の燃焼チャンバ121のみに対しての接続部を有する
図2の例でも可能である。同様に、第2のガス接続部58については、第2のガス貯蔵容器52が、第2のガス充填ライン152及び第2のガス充填弁154を介して、燃焼チャンバ121及び122に直接に又は間接的に接続される。示されるデザインは、2つの計量タンクを介して燃焼チャンバ121及び122を充填することに対応しており、その後でデバイスへの流入が行われる。他に、オリフィスを介して直接にデバイスに充填を行うことも可能である。
【0038】
さらに、ガススプリング・ガス接続部47が設けられ、ここでは、ガススプリング40のためのガスが、ガススプリング供給弁48及びガススプリング供給ライン49を介して、
図3に示されるように、ガススプリング内部空間41又は42に供給される。
【0039】
この実施形態では、第1及び第2のガスについて説明する。第1のガスは、例えば、メタン又は天然ガスであってよく、これに対して第2のガスは、酸素又は空気、或は酸素を含有する空気の混合物であってよい。他の実施形態では、流動性の燃焼性物質が爆発性の混合物であってもよく、これが、気体、液体、粉末、或はこのような材料の混合物であってもよい。
【0040】
加えて、燃焼チャンバ121及び122が点火デバイスに接続され、点火デバイスが、燃焼チャンバ121及び122の中での燃焼性物質の点火を同時に誘発する。
図6のデザインのように環状の隙間が設けられる場合、つまり2つの燃焼チャンバ121及び122の容積接続部が設けられる場合、1つの点火デバイスのみが必要である。グロー・プラグ又はスパーク・プラグが点火デバイスとして使用され得る。グロー・プラグより大きい点火エネルギーを有するスパーク・プラグによる強力な点火により、反応速度を向上させることができる。したがって、燃焼チャンバ121及び122においてより迅速に圧力の増大が起こる。
【0041】
点火が誘発されるとき、燃焼性の又は爆発性の混合成分の制御される形での燃焼又は制御される形での爆発が燃焼チャンバ121及び122内で起こり、これが、
図3に関連して説明するように、ピストン70に対して圧力を作用させ、特には中間エリア75に対して圧力を作用させる。これにより、ガススプリング40の圧力に逆らう形でその長手方向においてピストン70が移動することになり、同時に燃焼チャンバ122及び122と排気ファンネル61との間の接続部が迅速に開けられることとなる。
【0042】
これの前の段階では、耐圧容器の出口開口部が、閉鎖手段としてのピストン70によって閉じた状態で維持される。ガススプリングが、燃焼チャンバ121及び122内の燃焼性の要素の充填圧力に逆らってクロージャを閉じた状態で維持するのを可能にする。流動性の混合物の点火中に圧力が増大する場合のみ、中間エリア75にかかる圧力が増大し、ここではピストン70がそれに応じて押し戻される。次いで、
図3に関連して説明されるように、ガススプリング要素がさらに焼散後にピストン70を閉鎖手段として押し戻し、チャンバ121及び122の再充填を行うことによりこのプロセスを直ちに繰り返すのを可能にする。同時に、ボイラ内の物質のデバイスの中への逆流が高い信頼性で防止される。
【0043】
ピストン70が、燃焼チャンバ121及び122内の加圧された混合物を逃がすときに完全には焼散させないように、迅速に開けられ、その結果、排出ファンネル内のガス混合物が継続して焼散することになり、それにより高い圧力ピークを有する圧力パルスを発生させる。
【0044】
CH4又は天然ガスの他に、2つの媒体のうちの一方の媒体として空気が使用される場合、燃焼チャンバ121及び122内で化学反応が起こり、すべてのエネルギーがデバイス内で変換される。次いで、初期圧力の増大後に後続する形での、つまり遅延する形でのピストン70の迅速な開放により、ガスが大気中へ放出される。
【0045】
図3が、その構成要素が本発明に不可欠である、圧力波を発生させるためのデバイスの横方向断面図を概略図で示す。
【0046】
第1の耐圧容器21及び第2の耐圧容器22が、それらの中に挿入された排出ファンネル61に隣接し、排出ファンネル61が、その内側端部に丸みを帯びた弁座接触部65を有する。ピストンの長手方向軸90に対して、垂直かつ同心に延びる水平方向の本質的に円形の接触線として設計された、この弁座接触部65に対してピストン70の前方端部72が隣接し、この前方端部72の後方にテーパ状のピストン・エリア73が続く。このテーパ状のピストン・エリア73には、ピストン移行エリア75が隣接しており、ここでピストンの直径が増大しており、ピストンの後方端部71で、より大きい直径を有する。したがって、後方のピストンの直径171が前方のピストンの直径172より大きい。特に、ピストン70が、その長手方向において、点火時に、ガススプリング40の方向にピストンを移動させるのに十分なサイズを有するエリア91(
図4に示される)を有する。ガススプリング40の空洞の直径及び高さは、燃焼チャンバ121及び122を基準として、より大きくなるよう選択され得る。ピストン70が、その長手方向において、一連のシール81及び82により、左側の耐圧容器21及び右側の耐圧容器22の壁の間で密閉される。3つのシール81は青銅のシールであってよく、これに対して、それらの間に挿置されるシール82はOリングであってよい。これらのシール81及び82は、ピストン70内の溝の中に埋設される。これらは対向する壁の中に設けられてもよい。
【0047】
したがって、このように耐圧容器21及び22を備える中央ボディ30を通過するピストン70は、ガススプリング圧力ボディ40内の前方ガススプリング・チャンバ41に対して、密閉される形で突出するようになる。前方ガススプリング・チャンバ41が、ガススプリング・パーティション43により、後方ガススプリング・チャンバ42から分離される。逆止弁44及びガス戻り開口部45がガススプリング・パーティションに設けられる。
【0048】
ガススプリングの機能は下記のとおりである。燃焼性のガス混合物の2つの成分がガス充填ライン151及び152を通してチャンバ121及び122内に供給される。これらのガスが、
図3の図面には示されない点火デバイスによって点火される。これが移行エリア75に圧力を作用させ、この圧力が、この圧力に抵抗するガススプリング圧力に打ち勝ち、ピストン70を前方ガススプリング・チャンバ41のエリアの中まで移動させる。この移動を十分な速さにするのを保証するために、逆止弁44がパーティション43内に設けられ、逆止弁44が迅速に開いて、前方ガススプリング・チャンバ41と後方ガススプリング・チャンバ42との間でガス圧力を迅速に均一化し、その結果、ピストン70が初期に強く移動した後で、ガススプリング・チャンバ41及び42の組み合わせからの抵抗力が増大することで、ピストン70の速度が低下させられる。ピストン70をパーティション43の方向に押し戻した後、燃焼済みであるか又は依然として燃焼している燃焼性のガスが、排出ファンネル61から逃げて、燃焼チャンバ121及び122内の圧力を低下させる。ガススプリング・パーティション43内の弁が逆止弁44であることを理由として、ガススプリング・チャンバ41、42は、大幅に小さい直径を有するガス戻り開口部45のみによって接続されている。これによりガススプリングのガスが後方ガススプリング・チャンバ42から前方ガススプリング・チャンバ41の中まで戻され、ピストン70が、
図3に示されるその初期位置まで押される。ガスのいかなる損失も、ガススプリング供給ライン49によって補償される。ガススプリング40内のガスは、空気、又はN
2などの不活性ガスであってよい。
【0049】
図4は、上下に重ねられる3つの断面図で、交差線IVa、IVb、及びIVcにそれぞれ沿う、
図3に示されるデバイスを通る3つの断面図である
図4a、
図4b、及び
図4cを示す。ピストン70が有利には円形断面を有する。
【0050】
図4aが、耐圧容器の上側壁21、22を通る、線IVaに沿う、断面図を示す。ピストン70の後方セクション71を囲む青銅のシール81が示される。
【0051】
図4bが、燃焼チャンバ121及び122のスペースの上側部分での、線IVbに沿うセクションの、燃焼チャンバ121及び122内の及び燃焼チャンバ121、122を通る平行な断面平面を示しており、ここでは、ピストン70が後方セクション71の直径を有する。
【0052】
図4cは、空洞の下側部分の、
図4bの断面に平行な、線IVcに沿う別の断面を示しており、ここでは、中央チャンバ・エリア30内のピストン70の幅が耐圧容器21、22の壁に当接されてしたがってピストンの長さにわたって一定の幅を有するが、内側チャンバ121、122の長手方向のアライメント方向における深さが小さくなっていることが直接に分かる。したがって、ここでは、前方ピストンの直径172と後方ピストンの直径171との間に差が存在するということが直接に分かるであろう。ここでは、ピストンの直径という用語は、対向する燃焼チャンバ121、122の長手方向のおける幅に対応している。
【0053】
ここでは、3つの
図4a、4b、及び4cのすべてに、図面の平面の下方にある排出開口部61が示される。従来技術の文献WO2010/025574の
図3に示されるように、単に、排出ファンネル61が、中央ボディ30のもう一方側の延長部分の長手方向において燃焼チャンバ121に接続され、ピストン70としての閉鎖要素がそれに対して垂直である、ことも可能であり、その場合、ピストン70が押し戻される場合、ガス混合物がデバイス全体の長手方向に真っすぐに直接に逃げることができる。
【0054】
図7の断面平面92に対応する、
図1、
図2、又は
図6の燃焼チャンバ121及び122の平面内に配置される2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の燃焼チャンバを有することも可能である。その理由は、すべての事例において、ピストン70が燃焼チャンバ及び排出ファンネル61のこの平面に対して垂直であるからである。WO2010/025574による構成では、排出ファンネル61がすべての燃焼チャンバと同じ平面にあって、例えばそれらのすべてに対して等しい角距離を有することができる。3つの燃焼チャンバの場合、ファンネルが互いに90度のところにある。排出ファンネル61に対向する燃焼チャンバはより接近するように配置されもよく、その場合、空気排出の方向が大幅に変更される必要がない。
【0055】
図5は、ピストン70の移行エリア75の拡大断面図を示す。
【0056】
後方ピストンの直径171より小さい、ピストンの長手方向軸90からの第1の直径121が存在することが分かる。したがって、移行エリア75が、長手方向軸90の1つの投影セクションに、2つの長方形ストリップ91を形成し、2つの長方形ストリップ91が圧力伝達ストリップとして機能する。燃焼チャンバ121及び122に充填を行うとき、これらのストリップ91に作用する圧力が、ガススプリングの圧力に逆らってピストン70を押し戻すのに十分な大きさではない。ガス混合物の点火後にこれが急激に変化する。その理由は、充填圧力の最大20倍から30倍の圧力差が生じる得るからであり、これは適切に調整されたガススプリングの張力においてピストン70を押し戻すのに十分な大きさである。例示の実施形態では、燃焼を行うことができるチャンバが、1リットルから2リットルの間のボリュームを有し、対してガス充填圧力が10バールから30バールの間であってよく、例えば15バールから25バールの間である。ピストンによって閉じられる環状開口部の直径は40mmから15mmの間であり、特には60mmから100mmの間であり、さらに特には80mmである。
【0057】
点火は、従来技術の文献WO2010/025574と同様の形で設計され得、したがって、例えば電気点火又は光点火であってよい。
【0058】
図6は、本発明の実施形態による、高振幅圧力波を発生させるための別のデバイスの概略斜視図を示す。本説明を通して、等しい特徴には等しい参照符号が付される。中央ボディ30の上に、やはり2つの耐圧容器21及び22が配置され、これらの2つの耐圧容器21及び22に対して垂直にガススプリング圧力ボディ40が設けられる。ガス充填ライン151及び152が中央ボディ30の中まで繋がっており、点火デバイス50の供給ラインが中央ボディ30の中央に示されている。
【0059】
さらに、
図7は、
図6によるデバイスの垂直方向の断面軸を含む概略断面図を示す。ガススプリング圧力ボディ40の長手方向軸に一致するピストンの長手方向軸90が、圧力ボディ21及び22の水平方向の中心断面平面92を横断する。簡略化のために、中央ボディ30の要素が、
図7の図面からは省略されている。下側エリアで、耐圧容器21及び22が、排出ファンネル61のところに到達しており、その内側端部が、ピストン70に対する弁座接触部65を形成する。シーリングラインが弁座300上の円形リングである。ピストン70がテーパ状の下側エリア73を有し、その後方に直径拡大移行エリア75が続き、この直径拡大移行エリア75が後方ピストン・エリア71に繋がっている。ここでは、ピストン70が中空である。ピストン70は2つの部品であってよく、ここでは、下側端部が弁座65に接触するために中空のピストン70の中に挿入され得る。弁座300もやはり
図14に示されるように設計されていてよい。
【0060】
ピストン70の後方エリアが、移行エリア75から、下側ガススプリング・チャンバ41を画定するその上側平坦端部面まで、十分な高さを有し、その結果、ピストンがこの前方ガススプリング・チャンバ41の中まで押し戻されるときでも、ピストン70が、下記の密閉要素により、依然としてガススプリング40の内側壁に実質的に密閉接触することになる。
図7の実施形態によると、ピストン70を周回する2つの青銅のガイド81と、それらの間に配置される密閉Oリング82とが存在する。互いから離れて配置される青銅のガイド81も密閉機能を有し、Oリング82と同様に、ピストン70内の対応する円周方向溝の中に設置される。ピストンの長手方向軸90に対して本質的に垂直であるガススプリング・パーティション43内に、逆止弁44及びガス戻り開口部45が設けられる。ガス戻り開口部45はオリフィス・プレートとも呼ばれる。ガススプリング供給ライン47がガススプリング・チャンバ42の後方端部に接続され、このガススプリング供給ライン47を用いて、窒素、CO
2、又はアルゴン、などの不活性ガスが、ガススプリング・ガス接続部49を介して外部から充填され得る。スプリング・チャンバ41及び42が十分に密閉されている場合、ガスは空気であってもよい。
【0061】
図8は、
図6の実施形態を断面平面92に示しており、ここでは、ピストン70がこの中央エリア内で中央ボディ30の内側壁から一定の距離のところに配置されていること、及び、2つの燃焼チャンバ121及び122の間の圧力の平衡状態を維持するように設計される、ピストンの長手方向軸の方向90の延びる環状の隙間123が存在すること、が分かる。したがって、この実施形態では、互いの隣に配置されるガス供給ライン151及び152が、燃焼のために混合されることになる2つのガス又は流体のために十分なものとなる。燃焼チャンバ121及び122の間の環状の隙間123の中央に、また好適には中央ボディの中間の高さのところに、グロー・プラグ又はスパーク・プラグ59が環状の隙間123の中に到達する形で配置され、グロー・プラグ又はスパーク・プラグ59が点火デバイスのライン50に接続されている。ここでは、オリフィス又は絞り弁153及び154が設けられ、その結果、燃焼チャンバ121及び122の直接的な充填が実行される。
【0062】
この環状の隙間123はまた、一方側に誘導されてもよく、つまりスパーク・プラグ59の側のみに誘導されてもよく、また、2つ以上の他の燃焼チャンバを備える他の実施形態でも使用され得る。
【0063】
図9は、本発明の実施例による、高振幅圧力波を発生させるための別のデバイスの概略斜視図を示す。ここでは、ピストンの長手方向軸90を基準として対称である構成が設けられている。特には、リング形状の耐圧容器25が設けられ、ガス供給ライン151及び152がこのリング形状の耐圧容器25の中まで繋がっている。この耐圧容器25は、ガススプリング圧力ボディ40の延長部分において、ガススプリング圧力ボディ40の下方に配置され、点火デバイス供給ライン50が、ガススプリングボディを越えて突出する耐圧容器25のセクションを通ってデバイスの内部に繋がっている。耐圧容器25が、すべて密閉的に配置されるものである、頂部プレートと、基部プレートと、この場合ではリングと、から構成される。複数のリングが上下に配置されてもよい。
【0064】
図10は、
図9によるデバイスの垂直方向の断面軸を含む概略断面図を示す。
【0065】
ガススプリング40が他の実施形態と同様の形で形成される。これらの他の実施形態と比較する場合に2つの主要な構造的な違いが存在する。ここでは、これらの他の実施形態が共に利用される。しかし、図に示されない他の実施形態では、下記の実施例で説明される2つの違いのうちの一方のみを他の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0066】
他の実施形態との第1の違いは、ピストン70を完全に囲む環状の燃焼チャンバ125が存在する、ことである。したがって、耐圧容器25のリング形状の要素が存在し、この事例では、3つのリングが存在する。3つのリングは、滑らかな面一の外側面を有するため、
図9では1つのリングとして描かれている。上側壁プレートを通して、点火デバイス50のスパーク・プラグ59がリング形状の燃焼チャンバ125の中に密閉的に挿入されている。別の箇所では、
図10に示されたここでは下方から、2つのガス供給ライン151及び152が直接に入り込んでいる。言い換えると、計量要素としてのガス貯蔵容器51及び52が存在しない。ガス供給ラインは、充填中にオリフィス153及び154によって制御される。
【0067】
他のデザインと、
図9及び
図10の実施形態との間の第2の違いは、ピストン70のデザインである。他の実施形態の圧力面91の突出部は、ここではピストン70の下側面191によって形成され、この下側面及び内側のピストンが、補助の圧力スペース95の範囲を定める。このスペースの下側は、その下側面のところで、下方に向かってテーパ状になっている偏向プロフィールのストランド96によって境界を画定され、ストランド96が一様な内径を有し、テーパ状のピストン・エリア173を有する下側セクションが、ストランド96の中まで延在しており、テーパ状のピストン・エリア173が、ストランド96に対向する2つの青銅のシール81の上を案内される。ライン151及び152から供給される燃焼性のガス混合物が、スパーク・プラグ59によって点火されると、上記の実施例のように、環状の燃焼チャンバ125内の圧力が増大し、ここでは、圧力が、接続用の隙間126を介して補助圧力チャンバ95まで広がることができる。このような隙間126は複数設けられてもよく、好適には互いに一定の角度間隔で設けられ、その結果、接続用の隙間126によるこれらの中断部分を除いて、偏向プロフィール96がプレート又はガススプリング圧力ボディに固定される。
【0068】
したがって、点火の後すぐに、環状の燃焼チャンバ125の内部圧力が、表面が補助圧力チャンバ95においてコア191から突出しているピストン70の後方端部71の下側面に作用する。したがって、他の実施形態による圧力面91の突出部にかかる圧力に対応する、この面191に作用する圧力が、補助圧力チャンバ95を拡大することを介して、そのストランド96の中でピストン70を前方ガススプリング・チャンバ41の中へと後方に移動させる。ここでも、青銅のシール81及びOリング82がピストンの後方端部71とガススプリング40の内側壁との間に設けられる。
【0069】
ピストン70が後方に移動すると、環状の燃焼チャンバ125と排気ファンネル61との間のここでは図示しない接続部が開く。この接続部はストランド96及び弁座65の下方の距離として特徴付けられ得る。また、この場合、環状の燃焼チャンバ125の中に存在する媒体の燃焼又は爆轟の圧力が後退するピストン70に作用する。
【0070】
図11は、
図6によるデバイス並びに
図9及び
図10によるデバイスに部分的に対応する特徴を有するデバイスの垂直方向の断面軸90を含む概略断面図を示す。
【0071】
図1及び
図6の実施形態によるピストン70が、
図9及び
図10の実施形態に示されるように、環状の燃焼チャンバ125によって囲まれている。したがって、環状の隙間123が環状の燃焼チャンバ125のところまで広げられ、2つの対向する燃焼チャンバ121及び122の代わりに、中心部分としてピストン70を備える1つの円筒形の燃焼チャンバのみが存在する。これ以外の点では、ピストン70を押し戻す機能は、移行エリア75に作用する燃焼するガス混合物の圧力により、まったく同じ手法で、解決される。
図11では、ガススプリング圧力ボディが、リング形状のカバー(挿入されたピストン70が中央要素とみなされる場合)又は円筒形の燃焼室125を備える一体型の要素として示されている。もちろん、これは、一体にフランジを形成する複数の要素であってもよい。ここでの説明に不可欠なこととして、ピストン70の後方セクションを囲む壁が、燃焼チャンバ125の内部の方に突出する延長部分196を有する。ここではリング形状であるこれらの延長部分196は
図10のストランド96に対応しており、ピストン70をさらに案内する働きをする。また、延長部分196は、ピストン70の中に埋設される青銅のリング81に対向していてよい。言い換えると、より長い距離にわたってピストン70を案内することが有利であり、これが、中間位置に誘導されるストランドにより、或はリング形状の又はリング・セグメント形状の延長部分96により、達成され得る。
【0072】
ピストン70自体は、重量を低減するために、長手方向90において前方が開いている、中空であってよいし、特には鋼などの、中実の材料で作られもよいし、或は特にはねじ込みの形で前方から挿入されるプラグを有する中空であってもよい。これによりさらに、弁座65に対しての密閉面を形成することができる。
【0073】
図12は、ガススプリング140の別の実施形態の垂直方向の断面軸90を含む概略断面図を示しており、ここでは、ピストン70及びスパーク・プラグ59を備えるデバイスのより広いエリア、並びにここでは示されない燃焼チャンバ及び排気ファンネルが、同様の手法で又は同じ手法で、設計され得る。ガススプリング40の主な違いは、圧力ボディの外側に、逆止弁44のバイパスが存在すること、さらには圧力ボディの外側に、ガス戻り開口部45の外部バイパスが存在すること、である。したがって、これらのいずれも、2つ燃焼チャンバ41及び42の間のガススプリング・パーティション43の内部に誘導されず、外部の弁144及び145を有する。これらのオリフィス及び制御弁144及び145が、150を付される制御ラインに接続され、制御ライン150がさらに点火デバイスに接続される。ここでは、ライン150が直接の電気ライン又は他の形の直接の電気的制御ラインを示しておらず、図面に示されない制御ユニットからスパーク・プラグ59までさらには弁144及び145まで制御信号が伝送されることを概略的に象徴化するものであり、その結果、これらのスイッチは相応の遅延を有する。点火後、逆止弁44が、最初に、連続的に、任意選択でわずかな遅延を伴って、弁144によって切り換えられ、それにより前方ガススプリング・チャンバ41内で迅速に増大する初期の圧力によるピストンの移動の速度を低下させ、開放後に後方ガススプリング・チャンバ42との圧力の均一化を迅速に達成する。逆流開口部45のための弁145が閉じられる。弁45は、少量のガスのみを反対方向に通過させるのを可能にすることを理由として、予め開いていてもよい。その後、すべてのガスが燃焼し尽くしてしたがってチャンバ41及び42からの圧力がピストンを後方に駆動するとき、オリフィス145が開いて弁144を閉じる。このように制御される弁を用いることにより、要素44及び45をチェック弁又はオリフィス・プレートとして設計する必要もなくなり、要素44及び45は単純なラインであってよい。
【0074】
最後に、
図13は、例えば
図1、
図6、
図10、又は
図11に示されるようなデバイスにも使用され得るガススプリング240の別の実施形態の垂直方向の断面軸90を含む別の概略断面図を示している。ここでは、逆止弁244が4つ存在し、対してガス戻り開口部45が他の実施形態と同様にガススプリング中間壁43内に位置する。対応する個別のライン243を介して後方ガススプリング・チャンバ42に接続される4つの逆止弁244の構成により、後退するピストン70と併せて追加の機能が得られる。4つの逆止弁244の個別のオリフィス246の構成が、ピストンの長手方向軸90に沿って間隔を置いて互いの上に置かれる形で設けられ(必ずしも互いの上に直接に置かれるわけでなく、可能性として互いにいくらかの角距離で横方向にオフセットされる場合もある)、その結果、下方から漸進的に移動する後退するピストン70がオリフィス246を順々に遮断し、ひいては前方ガススプリング・チャンバ41と後方ガススプリング・チャンバ42との間の接続部から逆止弁244までの接続部を遮断する。したがって、ピストンの移動量が増大すると、つまりピストン70が後方に移動してガススプリング240の中に入ると、ガス圧力がチェック弁244を介する前方スプリング・チャンバ41と後方スプリング・チャンバ42との間のガス圧力の平衡状態が継続的に低減され、それにより、より複雑な弁制御を必要とすることなく前方ガススプリング・チャンバ41内でピストン70の速度をより緩やかに低下させるようになる。チェック弁244を閉じることは完全に機械的であってよい。
【0075】
図1から13に関連して上に示されるすべての実施形態は、追加的に、又は排他的に、
図14に関連して説明される弁座300を有するように設計され得る。弁座300の機能は、
図15Aから15Cの弁座300を通る詳細な断面図で説明される。ピストン70に作用する力曲線に対しての経時的に測定される効果が
図16に示される。
【0076】
図14は、別の特徴を有する弁座300の実施形態のピストン70の外側壁172の断面図を示す。
図14の外側壁はガススプリング圧力ボディ40の対向する壁に接触しているか、又は案内ライン96に接触していてもよい。この場合、弁座300が、排気ガスファンネル61の合わせ面により底部のところで支持される。排気ガスファンネル61とガススプリング圧力ボディ40との間に開口部が存在し、この開口部が第1の燃焼チャンバ121の中に繋がっている。排気ガスファンネル61の上側セクションの代わりに、例えば、耐圧容器21、22に割り当てられる明確な合わせ面が存在してもよい。
図14の例では、前方のピストンの直径172の側壁に対して垂直であるピストン面170によりピストンの上側端部のところで終端しており、ピストン面170の上方に(前方)ガススプリング・チャンバ41が設けられる。このデザインは、
図2、
図3、
図7、
図10、
図11の実施形態で使用され得る。この示される実施例は
図10の実施例と同様のものであり、ここでは、補助圧力チャンバ95が設けられ、ここでは、フランジ面191が、ピストン70を移動させるための圧力範囲である。
【0077】
ライン301が弁座300上に描かれており、ピストンの直径172の側壁からの距離を示している。これは湾曲部R2に付随する距離であり、側壁172から内側ピストンの座部壁302までの距離であり、これは
図15Aから
図15Cの詳細図でより良好に見ることができる。この内側ピストンの座部壁302は、外側のつまりハウジング側の弁座壁303に対向するように配置される。ここでは、不可欠なこととして、ピストン移動軸305を基準として、約45度の角度(示されない他の実施形態では、30度から60度の間の角度)を実質的に有する2つの壁203及び303が互いに平行ではなく、角度304を有している。
図14の実施形態では、この角度304が、1度として与えられているが、角度304は、0.5度から5度の間で形成されてもよく、特には1度から3度の間で形成されてもよい。
【0078】
開放角度304の頂点が、ピストン70のカーブの端部を示すライン301と、対向する外側ケーシングの側壁303との交点に位置し、その位置で、第1の燃焼チャンバ121(ここでは図示されない)から、もちろん反対側の第2の燃焼室122からも、外側排気ファンネル・チャンバ306を円環状に閉じている。
【0079】
弁座300のこのデザインは、
図15A(開始0.5mm)、
図15B(1mm開口)、
図15C(明確な通路2mm)に、ピストン移動の爆発的な開口の時系列で示されており、これによって、
図16に示される力の比が参照される。矢印311、312、313、314、及び315が、
図14及び
図15Cに示される(スペースの都合により、
図14及び
図15Cにのみ示される)。これらの矢印は、それらが置かれたエリア全体を表している。これらの矢印は、利用できる場合に、任意選択のプレチャンバ面311、静的補助面312、動的補助面313、内側ピストン面314、及びガススプリング面315であり、これらはすべてが直径方向において両側にある。
【0080】
任意選択のプレチャンバ面311は、補助チャンバの圧力チャンバ95のフランジ延長部分である。静的補助面312は、
図14のピストン前方端部において、距離301と対応する半径R2とからもたらされる湾曲面であり、数学的な意味において、当該湾曲面は、内側ピストンの座部壁302に、滑らかに連なっている。動的補助面313は、当該角度304により、2つの壁302及び303が排出ファンネル・チャンバ306の方向に分かれていき、その結果、当該面が動的になるため、そのように称される。ここで、矢印313は、内側縁部から矢印312の近傍まで、連続的に描かれるべきである。最後に、内側面314が、中空ピストンの中空部内に描かれているが、ピストン下側端部にあってもよい。この内側面314に対して反対側に、ガススプリング面315が設けられる。
【0081】
図16は、X軸の時間に対するピストン70に作用する力をY軸に示している。補助圧力チャンバ95及びその面311の基本的な作用は、ライン411によって示される。したがって、0ラインとライン411との間のエリア511が、プレチャンバ作用エリアにとって重要になる。付加的な力の効果をライン412が示しており、かかる効果は、矢印312の丸みを帯びた面に起因し、ライン411とライン412との間の面512によって示される。
【0082】
この力は、ピストン70が上昇して、時間520で、弁座から離れるまで増大する。次いで、動的面313が作用し始めて、ブーストを生じさせ、これがライン413によって示される。そして、この効果は、ライン412とライン413との間に位置する面513によって、力の増大として示されている。少し遅れて、わずかな遅延を伴って、ガススプリング40の反作用が作用し始め、この力の効果がライン415によって示される。
【0083】
図15Aから
図15Cに示す分かれた隙間が、
図15Cに示す通路となるまで広がるときに、ブーストとして知られる力の増大は、時間521にわずかに遅れるポイントでブースト曲線413が反転する時間におけるポイントにおいて終了する。これは、スロットが2mmの幅であることを意味するものではなく、弁座の深さによるものであり、つまり、湾曲部分R2(ライン/矢印301によって示される)から排出ファンネル・スペース306の開始位置までの距離によるものである。この時間521におけるポイントで、ライン414が、下降エリアにおいて、ライン413から離れていく。
【0084】
ライン414及びエリア415内の対応する力の効果により、ピストン・チャンバのエンプティングが下降エリアに追加され、それによって、特徴的なライン419が累積ラインを形成し、ガススプリング・ラインとは反対側に振れる。要するに、弁座の形状が、ピストンを開放する挙動に良い影響を与える。
【0085】
開放中、最も狭い断面が、外側から内側へと径方向に移行し、その結果、閉鎖状態において投影面積が小さくなるという利点が得られ、それにより意図しない開放を防ぐことができる。示される実施形態では、プレチャンバ95が、初期段階において所望の時間に開放するのを保証する。しかし、主チャンバ121内に面191を配置することにより、この補助チャンバと置き換えることも可能であり(つまり、
図10の実施形態と同様に、別個の点火を必要としない)、その結果、面511が主チャンバの初期の点火に対応している。
【0086】
最も狭い断面が外側から内側に移行することにより、初期段階の開放の直後のアクティブなエリアが拡大することで、ピストン移動のブースト効果が得られ、これが初期段階の開放動作の
図15Aから
図15Cに示される。
【符号の説明】
【0087】
5 ボイラ壁
10 デバイス
15 ボイラ内部
21 右側の耐圧容器
22 左側の耐圧容器
25 環状の耐圧容器
30 中央ボディ
40 ガススプリング圧力ボディ
41 前方ガススプリング・チャンバ
42 後方ガススプリング・チャンバ
43 ガススプリング・パーティション
44 逆止弁
45 ガス戻り開口部
47 ガススプリング・ガス接続部
48 ガススプリング供給弁
49 ガススプリング供給ライン
50 点火デバイス
51 第1のガス貯蔵容器
52 第2のガス貯蔵容器
53 第1の外部ガス供給ライン
54 第2の外部ガス供給ライン
55 第1のガス供給弁
56 第2のガス供給弁
57 第1のガス接続部
58 第2のガス接続部
59 スパーク・プラグ
61 排出ファンネル
62 排出パイプ
63 排出開口部
65 弁座接触部
70 ピストン
71 ピストンの後方端部
72 ピストンの前方端部
73 テーパ状のピストン・エリア
75 ピストン移行領域
81 青銅のシール
82 Oリング
90 ピストンの長手方向軸
91 圧力面の突出部
92 水平方向の平面
95 補助圧力チャンバ
96 ガイド・ストランド
121 第1の燃焼チャンバ
122 第2の燃焼チャンバ
123 燃焼チャンバの環状の隙間
125 環状の燃焼チャンバ
126 再生用のロープ
140 ガススプリング
144 逆止制御弁
145 逆流制御弁
151 第1のガス充填ライン
152 第2のガス充填ライン
153 第1のガス充填弁
154 第2のガス充填弁
170 ピストン面
171 後方のピストンの直径
172 前方のピストンの直径
173 テーパ状のピストン・エリア
191 フランジ面
196 リング形状のガイド延長部分
240 ガススプリング
243 接続ケーブル
246 ライン口
300 弁座
301 湾曲部の端部を示すライン
302 内側ピストンの座部壁
303 外側ハウジングの側の弁座壁
304 302と303との間の角度
305 ピストン移動軸(開放)
306 排出ファンネル・チャンバ
311 アンテチャンバ・エリア
312 静的補助面
313 動的補助面
314 ピストンの内側面
315 ガススプリング・エリア
411 作用のアンテチャンバ・ライン
412 静的エリア作用ライン
413 ブースト作用ライン
414 ピストン・エンプティング・ライン
415 ガススプリング作用ライン
419 全体のライン
511 アンテチャンバ・エリア
512 静的有効なエリア
513 ブーストの有効エリア
514 ピストン・エンプティングの有効エリア
520 ピストン開放時間
521 ピストン・弁座のところの開いている通路