(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】頭部運動に基づく瞳孔間距離補償を伴う視認システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G06F3/01 510
(21)【出願番号】P 2021505669
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 US2019044953
(87)【国際公開番号】W WO2020028834
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, サミュエル エー.
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-333094(JP,A)
【文献】特開2014-192550(JP,A)
【文献】特開2012-015774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視認システムであって、
ユーザの瞳孔間距離(IPD)を検出し、複数のIPD値を含むIPDデータを発生させるように位置付け可能であるIPD検出器と、
ユーザの頭部の移動を検出し、前記ユーザの前記頭部の移動に基づいて複数の頭部位置を含む頭部移動データを発生させるように位置付けられる頭部移動検出器デバイス
であって、前記頭部移動検出器デバイスは、前記ユーザの前記頭部のピッチ角を検出するピッチ角検出器を含む、頭部移動検出器デバイスと、
前記IPD検出器および頭部移動検出デバイスに接続され、異なる頭部位置が異なる関連付けられた個別のIPD補償係数を有するように、前記IPDデータと前記頭部移動データとの間の相関を発生させる相関器と、
プロセッサによって実行可能であるソフトウェア構成要素である記憶システムであって、前記記憶システムは、前記相関器に接続され、前記相関を記憶する、記憶システムと、
前記ユーザのIPDに少なくとも部分的に基づいてユーザへの視覚表現を発生させる光プロジェクタを有する拡張現実システムと、
前記頭部移動検出器に接続されたIPD補償係数計算機であって、前記IPD補償係数計算機は、異なる頭部位置が異なる関連付けられた個別のIPD補償係数を有するように、前記頭部移動データに基づいて選択IPD補償係数を計算するように動作可能であ
り、前記選択IPD補償係数は、前記ピッチ角検出器によって検出された前記ピッチ角に依存する、IPD補償係数計算機と、
前記選択IPD補償係数に基づいて前記視覚表現を調節するIPD補償器と
を備える、視認システム。
【請求項2】
前記ユーザの頭部に固着可能な装置フレームをさらに備え、前記IPD検出器および頭部移動検出器デバイスは、前記装置フレームに固着されている、請求項1に記載の視認
システム。
【請求項3】
前記IPD検出器は、前記ユーザの眼に向かって配向される捕捉野を伴うカメラである、請求項2に記載の視認
システム。
【請求項4】
前記頭部移動検出器デバイスは、1つ以上の加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)、またはカメラを
さらに含む、請求項2に記載の視認
システム。
【請求項5】
前記頭部移動検出器デバイスは、前記ユーザの前記頭部の回転および位置のうちの少なくとも1つを判定する、請求項2に記載の視認
システム。
【請求項6】
前記ユーザが咬合し、前記装置フレームを前記ユーザの前記頭部に固定して取り付けるための口咬インターフェースをさらに備える、請求項2に記載の視認
システム。
【請求項7】
前記口咬インターフェースは、前記ユーザ
が前記IPDデータが収集される間
にその頭部を加速させること
を許容する、請求項6に記載の視認
システム。
【請求項8】
前記相関に基づいてIPD補償係数を計算するIPD補償係数計算機をさらに備える、請求項1に記載の視認
システム。
【請求項9】
視認システムであって、
ユーザのIPDに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザへの視覚表現を発生させる拡張現実システムと、
ユーザの頭部の移動を検出し、前記ユーザの前記頭部の移動に基づいて頭部移動データを発生させるように位置付けられる頭部移動検出器デバイス
であって、前記頭部移動検出器デバイスは、前記ユーザの前記頭部のピッチ角を検出するピッチ角検出器を含む、頭部移動検出器デバイスと、
ユーザのIPDを検出し、IPDデータを発生させるように位置付け可能であるIPD検出器と、
前記IPD検出器および頭部移動検出器デバイスに接続され、異なる頭部位置が異なる関連付けられた個別のIPD補償係数を有するように、前記IPDデータと前記頭部移動データとの間の相関を発生させる相関器と、
プロセッサによって実行可能であるソフトウェア構成要素である記憶システムであって、前記記憶システムは、前記相関器に接続され、前記相関を記憶する、記憶システムと、
前記頭部移動検出器デバイスに接続されたIPD補償係数計算機であって、前記IPD補償係数計算機は、異なる頭部位置が異なる関連付けられた個別のIPD補償係数を有するように、前記頭部移動データと前記相関とに基づいて選択IPD補償係数を計算するように動作可能であ
り、前記選択IPD補償係数は、前記ピッチ角検出器によって検出された前記ピッチ角に依存する、IPD補償係数計算機と、
前記選択IPD補償係数に基づいて前記視覚表現を調節するIPD補償器と
を備える、視認システム。
【請求項10】
プロセッサによって実行可能であるソフトウェア構成要素を少なくとも含む視認較正システムをさらに備え、前記視認較正システムは、1つ以上のIPD補償係数を判定するように、一連の視認演習を通して
前記ユーザの前記頭部を位置付けるおよび/または加速させるように前記ユーザを誘導する、請求項9に記載の視認システム。
【請求項11】
前記ユーザの頭部に固着可能な装置フレームをさらに備え、前記IPD検出器および頭部移動検出器デバイスは、前記装置フレームに固着されている、請求項9に記載の視認システム。
【請求項12】
前記IPD検出器は、前記ユーザの眼に向かって配向される捕捉野を伴うカメラである、請求項
11に記載の視認システム。
【請求項13】
前記頭部移動検出器デバイスは、1つ以上の加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)、またはカメラを
さらに含む、請求項
11に記載の視認システム。
【請求項14】
前記頭部移動検出器デバイスは、前記ユーザの前記頭部の少なくとも1つの回転および位置を判定する、請求項
11に記載の視認システム。
【請求項15】
前記ユーザが咬合し、前記装置フレームを前記ユーザの前記頭部に固定して取り付けるための口咬インターフェースをさらに備える、請求項
11に記載の視認システム。
【請求項16】
前記口咬インターフェースは、前記ユーザ
が前記IPDデータが収集される間
にその頭部を加速させること
を許容する、請求項
15に記載の視認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、その全てが参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2018年8月2日に出願された、米国仮特許出願第62/714,056号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、接続されたモバイルコンピューティングシステム、方法、および構成に関し、より具体的には、仮想および/または拡張現実動作のために利用され得る少なくとも1つのウェアラブルコンポーネントを特徴とする、モバイルコンピューティングシステム、方法、および構成に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
複合現実または拡張現実接眼ディスプレイが、軽量、低コストであり、小形状因子を有し、広仮想画像視野を有し、可能な限り透過性であることが望ましい。加えて、両眼離反運動と遠近調節との不整合に関する容認可能な許容差を超過することなく、多種多様な使用事例のために実践的であるために、複数(例えば、2つ以上)の焦点面内に仮想画像情報を提示する構成を有することが、望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要約)
本発明は、視認システムであって、ユーザの瞳孔間距離(IPD)を検出し、IPDデータを発生させるように位置付け可能である、IPD検出器と、ユーザの頭部の移動に基づいて頭部移動データを発生させる、頭部移動検出器デバイスと、IPD検出器および頭部移動検出デバイスに接続され、IPDデータと頭部移動データとの間の相関を発生させる、相関器と、相関器に接続され、相関を記憶する、記憶システムとを含む、視認システムを提供する。
【0005】
視認デバイスはさらに、ユーザの頭部に固着可能な装置フレームを含み得、IPD検出器および頭部移動デバイスは、装置フレームに固着される。
【0006】
視認デバイスはさらに、IPD検出器が、ユーザの眼に向かって配向される捕捉野を伴う、カメラであることを含み得る。
【0007】
視認デバイスはさらに、頭部移動検出器が、1つ以上の加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)、またはカメラを含むことを含み得る。
【0008】
視認デバイスはさらに、頭部移動検出器が、ユーザの頭部の少なくとも1つの回転および位置を判定することを含み得る。
【0009】
視認デバイスはさらに、ユーザが咬合し、装置フレームをユーザの頭部に固定して取り付けるための口咬インターフェースを含み得る。
【0010】
視認デバイスはさらに、ユーザが、IPDデータが収集される間、その頭部を加速させ得ることを含み得る。
【0011】
視認デバイスはさらに、相関に基づいてIPD補償係数を計算する、IPD補償係数計算機を含み得る。
【0012】
視認デバイスはさらに、少なくとも部分的にユーザのIPDに基づいてユーザに視覚表現を発生させる、拡張現実システムと、IPT補償係数に基づいて視覚表現を調節する、IPD補償器とを含み得る。
【0013】
本発明はまた、視認システムであって、少なくとも部分的にユーザのIPDに基づいてユーザに視覚表現を発生させる、拡張現実システムと、IPD補償係数に基づいて視覚表現を調節する、IPD補償器とを含む、視認システムを提供する。
【0014】
視認システムはさらに、ユーザの頭部のピッチ角を検出する、ピッチ角検出器を含み得、IPD補償係数は、ピッチ角検出器によるピッチ角に依存する。
【0015】
視認システムはさらに、1つ以上のIPD補償係数を判定するように、一連の視認演習を通してユーザを誘導する、視認較正システムを含み得る。
【0016】
視認システムはさらに、ユーザのIPDを検出し、IPDデータを発生させように位置付け可能である、IPD検出器と、ユーザの頭部の移動に基づいて頭部移動データを発生させる、頭部移動検出器デバイスと、IPD検出器および頭部移動検出デバイスに接続され、IPDデータと頭部移動データとの間の相関を発生させる、相関器と、相関器に接続され、相関を記憶する、記憶システムとを含み得る。
【0017】
視認システムはさらに、ユーザの頭部に固着可能な装置フレームを含み得、IPD検出器および頭部移動デバイスは、装置フレームに固着される。
【0018】
視認システムはさらに、IPD検出器が、ユーザの眼に向かって配向される捕捉野を伴う、カメラであることを含み得る。
【0019】
視認システムはさらに、頭部移動検出器が、1つ以上の加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)、またはカメラを含むことを含み得る。
【0020】
視認システムはさらに、頭部移動検出器が、ユーザの頭部の少なくとも1つの回転および位置を判定することを含み得る。
【0021】
視認システムはさらに、ユーザが咬合し、装置フレームをユーザの頭部に固定して取り付けるための口咬インターフェースを含み得る。
【0022】
視認システムはさらに、ユーザが、IPDデータが収集される間、その頭部を加速させ得ることを含み得る。
【0023】
本発明はさらに、付随の図面を参照して実施例として説明される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
視認システムであって、
ユーザの瞳孔間距離(IPD)を検出し、IPDデータを発生させるように位置付け可能である、IPD検出器と、
前記ユーザの頭部の移動に基づいて頭部移動データを発生させる、頭部移動検出器デバイスと、
前記IPD検出器および頭部移動検出デバイスに接続され、前記IPDデータと前記頭部移動データとの間の相関を発生させる、相関器と、
前記相関器に接続され、前記相関を記憶する、記憶システムと
を備える、視認システム。
(項目2)
前記ユーザの頭部に固着可能な装置フレームをさらに備え、前記IPD検出器および頭部移動デバイスは、前記装置フレームに固着されている、項目1に記載の視認デバイス。
(項目3)
前記IPD検出器は、前記ユーザの眼に向かって配向される捕捉野を伴う、カメラである、項目2に記載の視認デバイス。
(項目4)
前記頭部移動検出器は、1つ以上の加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)、またはカメラを含む、項目2に記載の視認デバイス。
(項目5)
前記頭部移動検出器は、前記ユーザの頭部の回転および位置のうちの少なくとも1つを判定する、項目2に記載の視認デバイス。
(項目6)
前記ユーザが咬合し、前記装置フレームを前記ユーザの頭部に固定して取り付けるための口咬インターフェースをさらに備える、項目2に記載の視認デバイス。
(項目7)
前記ユーザは、前記IPDデータが収集される間、その頭部を加速させることができる、項目6に記載の視認デバイス。
(項目8)
前記相関に基づいてIPD補償係数を計算する、IPD補償係数計算機をさらに備える、項目1に記載の視認デバイス。
(項目9)
少なくとも部分的に前記ユーザのIPDに基づいてユーザに視覚表現を発生させる、拡張現実システムと、
IPT補償係数に基づいて前記視覚表現を調節する、IPD補償器と
をさらに備える、項目1に記載の視認デバイス。
(項目10)
視認システムであって、
少なくとも部分的にユーザのIPDに基づいて前記ユーザに視覚表現を発生させる、拡張現実システムと、
IPD補償係数に基づいて前記視覚表現を調節する、IPD補償器と
を備える、視認システム。
(項目11)
前記ユーザの頭部のピッチ角を検出する、ピッチ角検出器をさらに備え、前記IPD補償係数は、前記ピッチ角検出器による前記ピッチ角に依存する、項目10に記載の視認システム。
(項目12)
1つ以上のIPD補償係数を判定するように、一連の視認演習を通して前記ユーザを誘導する、視認較正システムをさらに備える、項目10に記載の視認システム。
(項目13)
ユーザのIPDを検出し、IPDデータを発生させように位置付け可能である、IPD検出器と、
前記ユーザの頭部の移動に基づいて頭部移動データを発生させる、頭部移動検出器デバイスと、
前記IPD検出器および頭部移動検出デバイスに接続され、前記IPDデータと前記頭部移動データとの間の相関を発生させる、相関器と、
前記相関器に接続され、前記相関を記憶する、記憶システムと
をさらに備える、項目12に記載の視認システム。
(項目14)
前記ユーザの頭部に固着可能な装置フレームをさらに備え、前記IPD検出器および頭部移動デバイスは、前記装置フレームに固着されている、項目13に記載の視認システム。
(項目15)
前記IPD検出器は、前記ユーザの眼に向かって配向される捕捉野を伴う、カメラである、項目14に記載の視認システム。
(項目16)
前記頭部移動検出器は、1つ以上の加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)、またはカメラを含む、項目14に記載の視認システム。
(項目17)
前記頭部移動検出器は、前記ユーザの頭部の少なくとも1つの回転および位置を判定する、項目14に記載の視認システム。
(項目18)
前記ユーザが咬合し、前記装置フレームを前記ユーザの頭部に固定して取り付けるための口咬インターフェースをさらに備える、項目14に記載の視認システム。
(項目19)
前記ユーザは、前記IPDデータが収集される間、その頭部を加速させることができる、項目18に記載の視認システム。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、拡張現実視認システムを図示する、概略図である。
【0025】
【
図2】
図2は、ユーザによる種々の頭部移動およびユーザの瞳孔間距離(IPD)の変化を図示する、ユーザの概略図である。
【0026】
【
図3】
図3は、その頭部を上向きの方向に傾斜させているユーザを伴う、
図2に類似する図である。
【0027】
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、頭部の運動に基づいてIPD補償を検出するために使用される実験装置を伴う、ユーザを図示する斜視図である。
【
図4B】
図4Aおよび4Bは、頭部の運動に基づいてIPD補償を検出するために使用される実験装置を伴う、ユーザを図示する斜視図である。
【0028】
【
図5】
図5は、頭部ピッチに対するIPD補償係数を図示する、グラフである。
【0029】
【
図6A】
図6Aは、IPD頭部回転補償を図示する、フローチャートである。
【0030】
【
図6B】
図6Bは、IPD頭部回転補償を図示する、フローチャートである。
【0031】
【
図6C】
図6Cは、IPD頭部回転補償を図示する、フローチャートである。
【0032】
【
図7】
図7は、拡張現実システムの部分的上面図および部分的ブロック図である。
【0033】
【
図8】
図8は、その特徴を補償するIPDを図示する、拡張現実システムの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(詳細な説明)
図1を参照すると、頭部装着型の視認コンポーネント(2)、ハンドヘルド式のコントローラコンポーネント(4)、およびユーザ上にベルトパックまたは同等物として装着されるように構成され得る、相互接続された補助コンピューティングまたはコントローラコンポーネント(6)を特徴とする、拡張現実システムが、図示されている。これらのコンポーネントはそれぞれ、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)(RTM)、および他の接続規格および構成によって規定されるもの等、有線または無線通信構成を介して、相互に、かつクラウドコンピューティングまたはクラウドストレージリソース等の他の接続されるリソース(8)に動作可能に結合され得る(10、12、14、16、17、18)。例えば、米国特許出願第14/555,585号、第14/690,401号、第14/331,218号、第15/481,255号、および第62/518,539号(そのそれぞれは、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)において説明されるように、拡張現実体験のために関連付けられるシステムコンポーネントによって生成され得る視覚コンポーネントに加えて、それを通してユーザに彼らの周囲の世界が見え得る、2つの描写される光学要素(20)の種々の実施形態等、そのようなコンポーネントの種々の側面が、説明される。参考特許出願によって組み込まれる前述のものにおいて説明される多くのもの等の種々の実施形態では、コンポーネントのうちの1つ以上が、相互結合されるユーザの身体部分の位置および/または配向(装備された頭部装着型視認コンポーネント(2)に結合されたときのユーザの頭部の位置または配向等)を判定または推定するために使用され、かつ線形に、および/または角度のある状態で、その速度および/または加速度を判定することを補助し得る、加速度計、ジャイロスコープ、電位差計、統合型慣性測定ユニット(「IMU」)、およびカメラ等のデバイスまたはサブコンポーネントを特徴とし得る。参考特許出願によって組み込まれる前述のものにおいて説明される多くのもの等の種々の実施形態では、本システムが、拡張または仮想現実体験に関する視覚情報をそのようなユーザに提示することにおいて個々のユーザの瞳孔間距離(「IPD」)を少なくとも1つの入力として利用することは、価値があり得る。種々の実施形態では、関連のあるシステムの使用の前にユーザのIPDを単に測定し、本情報をユーザ入力として本システムに提供することが、便宜的であり得、他の実施形態では、本システムが、種々のアプリケーションまたは提示される情報の実行時間の前および/または間にユーザのIPD情報を自動的に判定するために、カメラ等の内向きに(すなわち、ユーザの眼に向かって)指向されるデバイスを利用するように構成されることも、便宜的であり得る。下記にさらに詳細に議論されるように、拡張現実システムおよび関連付けられる試験装置の種々の実施形態を利用する間、種々のユーザが、そのようなユーザがその頭部をその身体の残部およびその周囲の環境に対して種々の方法で回転または再配向するように提示される拡張現実情報の位置付けの補償または調節から恩恵を受け得ることを判定している。例えば、一実施形態では、提示される拡張現実情報のz軸位置(すなわち、ユーザの顔の平面から外に一直線)をユーザの頭部のピッチ位置に伴ってわずかに変動させる、補償係数を有することが、価値があり得る。これは、これらのユーザの少なくとも一部が、その頭部のピッチを変化させる、その頭部を側方にヨー運動させる、またはさらにその頭部をロール運動させる(すなわち、その鼻から垂直に延在するz軸等を中心として)につれて、IPDの実際的または機能的変化を被る彼らに関連し得る。一実施形態では、頭部の配向と相関され得る、関連のある計算に入力されるIPD情報の変形例(IPD調節係数または補償を頭部の配向と相関させる方程式またはルックアップテーブル等の形態にある)が、そのような構成でユーザに提示される拡張現実情報を発生させるための補償変数として利用され得る。
【0035】
図2を参照すると、取り付けられた頭部(32)を伴うユーザの身体(30)の表現が、示され、ユーザは、例えば、X、Y、Z直交座標(それぞれ、40、42、44)を特徴とするそのような部屋のための全体座標系とともに関連付けられ得る、固定された壁(22、24)と、床(28)と、天井(26)とを備える、部屋内に位置付けられる。別の座標系が、
図2に示されるように、Z軸(38)が、顔から外に向かって略一直線であり、X(34)およびY(36)軸が、Z軸(38)に対して直交するように、ユーザの頭部(32)と関連付けられ得る。ユーザの頭部(32)は、Z軸(38)が部屋の全体座標系(44)のZ軸と略平行であり、ユーザの眼からの視線ベクトル(52、54)が、水平な視線(52、54)を、本実施例に関して上記に記載されるように、床と略同じ高さである、または部屋の座標系のZ軸(44)と略平行である、ユーザの頭部のZ軸(38)に略平行にさせる位置において、仮想的または実際的であり得る、左の壁(22)の位置における標的(46)上に集束されるように配向される。そのような位置から、ユーザは、その頭部を床に向かって下に、または天井に向かって上にピッチ運動し得る。本描写される位置は、例えば、典型的な人によって可能であるような、最大-90度の床に向かった下への、かつ約+90度の天井に向かった上へのピッチを伴う、ゼロ回転位置と見なされ得る。ゼロ回転位置において、IPD(50)は、拡張現実システムウェアラブルコンポーネント(2)の側面を使用して、手動で、および/または自動的に、測定され得る。
【0036】
図3を参照すると、同一のユーザ(30、32)が、ユーザの頭部が床の平面(28、または部屋の座標系44のZ軸)に対して約+50度のピッチまで上に回転された状態(56)で、かつ拡張現実システムウェアラブルコンポーネント(2)ユーザの視線(52、54)が、第2の標的(48)に向かって指向された状態で図示されている。そのような回転された構成において、IPDは、拡張現実システムウェアラブルコンポーネント(2)の側面を使用して手動で、および/または自動的に、測定され得る。種々の対象ユーザ上でそのような構成を使用する実験室実験では、頭部のピッチ角が変動されるにつれてのIPD(50)の変動を見出している。
【0037】
図4Aおよび4Bに描写されるもの等の実験装置を使用して、線形および/または回転位置(すなわち、部屋または周囲環境に対する)、線形および/または回転速度(すなわち、部屋または周囲環境に対する)、および線形および/または回転加速度(すなわち、部屋または周囲環境に対する)に関して、種々のユーザの頭部の再位置付けからデータが採集された。描写される装置は、ユーザのIPDが、相互結合された(64)コンピューティングシステムによって捕捉されるビデオ情報から測定され得るようにユーザの眼(70)に向かって配向される捕捉野を伴う、高分解能カメラ(62)を備え、また、装置フレーム(68)に動作可能に結合され、周囲から捕捉される画像に基づいて回転/位置を判定する(すなわち、コンピュータビジョン技法に基づいた「頭部姿勢」の判定等)ために利用されるように構成され得る、1つ以上の加速度計、ジャイロスコープ、IMU、またはカメラ等の1つ以上の角または線形運動測定デバイスを備え得る。カメラデバイス(62)が固定して結合される装置フレーム(68)は、ユーザの眼およびIPDに関するデータが入手される間にユーザがその頭部を比較的に容易に回すように移動させ、加速させ得るようにユーザが咬合する、口咬インターフェース(66)を使用して、ユーザの頭部に除去可能に結合される。
図5を参照すると、視度誤差対頭部のピッチ角のプロット(76)を特徴とする、ユーザ対象の群からのサンプルデータのチャート(72)が、図示されており、また、示されているものは、IPD補償係数(ゼロピッチは、
図2に示されるようなものであり、度単位のピッチは、-90が、ユーザが床を略一直線に下に見ている角度であり、+90が、ユーザが天井を略一直線に上に見ている角度である)として利用され得る、本サンプルデータ(74)を通して数学的に適合する、多項方程式である。
図5に描写されるサンプル実験データにおいて、ユーザの頭部が、-90から、徐々に0に向かって、次いで、+90に向かって上にピッチ運動されるにつれて、視度誤差の一般的な若干の増加が存在することが分かり得る。本サンプル実験データのために展開された、関連付けられるIPD補償係数(74)は、例えば、焦点が、本サンプルからのユーザの頭部のピッチ回転の間に維持されるように、拡張現実システムへの入力として利用され得る。
【0038】
図4Aおよび4Bに描写されるもの等の装置、または
図1および2に図示されるもの等、適切な構成要素を伴う仮想または拡張現実システムが、測定されたIPDと頭部ピッチ角位置との関係間の情報だけではなく、周囲に対するピッチの線形および/または角速度、および周囲に対するピッチの線形および/または角加速度も得るために利用され得る。さらに、そのような関係は、直交するヨー軸または直交するロール軸等の他の軸に関しても判定され得る。これらの軸のそれぞれを中心とした位置、速度、および加速度変化と関連付けられる、眼の位置付けの変動が、実験的に認められた。
【0039】
図6Aを参照すると、IPD頭部回転補償を伴わない構成が、図示され、ユーザは、例えば、較正された(すなわち、IPDの最初の入力または判定を伴う)拡張現実システムを装着している(80)。ユーザが、空間内の第1の標的を注視するにつれて(82)、本システムは、少なくとも部分的にユーザのIPDに基づいて、第1の標的におけるそのユーザの視線に関する視覚表現またはその一部を発生させるように構成される(84)。ユーザは、第2の標的に視線を変更し得(86)、本システムは、同様に、少なくとも部分的に再びそのユーザのIPDに基づいて、第2の標的におけるユーザの視線に関する視覚表現またはその一部を発生させるように構成され得る(88)(すなわち、これは、頭部の位置または回転関連の変動に関して補償されていない)。
【0040】
図6Bを参照すると、補償される構成が、図示されており、最初の較正(80)および第1の標的における注視(82)の後、本システムは、少なくとも部分的に頭部の配向(第1の標的を視認するときの頭部のピッチ角、本システムによって判定されているピッチ角等)に関して補償されるIPDに基づいて、第1の標的におけるユーザの視線に関する視覚表現またはその一部を発生させるように構成される。次いで、ユーザが、視線を第2の標的に変化させる場合(86)、本システムは、少なくとも部分的に頭部の配向(第2の標的を視認するときの頭部のピッチ角、本システムによって判定されているピッチ角等)のために補償されるIPDに基づいて、第2の標的におけるユーザの視線に関する視覚表現またはその一部を発生させるように構成される。
【0041】
図6Cを参照すると、本システム自体が、特定のユーザに関する1つ以上の補償関係を展開するために利用され得る。
図6Cに示されるように、ユーザは、(例えば、略水平な水平線にわたる無限遠への視線に関連付けられるもの等、水平な頭部ピッチ角においてシステムによって判定されるIPDを伴う)較正された拡張現実システムを装着し得る(100)。種々の位置、角または線形速度、もしくは角または線形加速度を伴う、実際的または機能的IPDにおけるユーザの視覚システムのいかなる変動も判定するために、視認較正システムが、一連の視認演習を通してユーザを誘導し得る(すなわち、ユーザは、その頭部を位置付け、加速させ、本システムは、実際的および/または機能的IPDに関するデータを捕捉するように構成される)(102)。本システムは、種々の位置、角または線形速度、もしくは角または線形加速度で可変である、ユーザに関するIPD補償構成(ルックアップテーブルまたは1つ以上の数学的関係等)を判定するように構成され(104)、ユーザのIPD補償構成を完了し(106)得る。次いで、ユーザが、空間内の第1の標的を注視する(82)と、本システムは、少なくとも部分的に、第1の標的における視線に関するユーザの頭部の位置、速度、および/または加速度(角度および/または直交)に関するユーザのIPD補償構成に基づいて、第1の標的におけるユーザの視線に関する視覚表現またはその一部を発生させるように構成され得る(108)。次いで、ユーザが、第2の標的を注視する(86)と、本システムは、少なくとも部分的に、第2の標的における視線に関するユーザの頭部の位置、速度、および/または加速度(角度および/または直交)に関するユーザのIPD補償構成に基づいて、第2の標的におけるユーザの視線に関する視覚表現またはその一部を発生させるように構成され得る(110)。
【0042】
図7は、拡張現実システム142をより詳細に図示する。システム142は、レンダリングエンジン130に接続され、視覚データおよびアルゴリズムの一部を形成する、立体視分析器144を含む。
【0043】
システム142はさらに、左および右プロジェクタ166Aおよび166Bと、左および右導波管170Aおよび170Bとを含む。左および右プロジェクタ166Aおよび166Bは、電力供給源に接続される。各プロジェクタ166Aおよび166Bは、個別のプロジェクタ166Aまたは166Bに提供されるべき、画像データのための個別の入力を有する。個別のプロジェクタ166Aまたは166Bは、給電されると、2次元パターンで光を発生させ、そこから光を発出させる。左および右導波管170Aおよび170Bは、それぞれ、左および右プロジェクタ166Aおよび166Bから光を受光するように位置付けられる。左および右導波管170Aおよび170Bは、透過性の導波管である。
【0044】
使用時、ユーザは、その頭部に頭部搭載可能フレーム140を搭載する。頭部搭載可能フレーム140の構成要素は、例えば、ユーザの頭部の裏側の周りに巻着する、ストラップ(図示せず)を含み得る。左および右導波管170Aおよび170Bは、次いで、ユーザの左眼および右眼220Aおよび220Bの正面に位置する。
【0045】
レンダリングエンジン130は、受信する画像データを立体視的分析器144の中に取り込む。画像データは、複数の仮想平面上に投影される。立体視的分析器144は、各深度平面上への投影のために、画像データに基づいて、左および右画像データセットを判定するために画像データを分析する。左および右画像データセットは、3次元で投影される2次元画像を表し、ユーザに奥行の知覚を与える、データセットである。
【0046】
立体視的分析器144は、左および右画像データセットを左および右プロジェクタ166Aおよび166Bの中に取り込む。左および右プロジェクタ166Aおよび166Bは、次いで、左および右光パターンを生成する。システム142のコンポーネントは、平面図に示されているが、左および右パターンが、正面立面図に示されると、2次元パターンであることを理解されたい。各光パターンは、複数のピクセルを含む。例証の目的のために、ピクセルのうちの2つのものからの光線224Aおよび226Aが、左プロジェクタ166Aから出射し、左導波管170Aに入射するように示されている。光線224Aおよび226Aは、左導波管170Aの側面から反射する。光線224Aおよび226Aが、左導波管170A内での左から右への内部反射を通して伝搬することが示されているが、光線224Aおよび226Aがまた、屈折および反射システムを使用してペーパーの中への方向にも伝搬することを理解されたい。
【0047】
光線224Aおよび226Aは、瞳228Aを通して左光導波管170Aから出射し、次いで、左眼220Aの瞳230Aを通して左眼220Aに入射する。光線224Aおよび226Aは次いで、左眼220Aの網膜232A上に到達する。このように、左の光パターンは、左眼220Aの網膜232A上に到達する。ユーザは、網膜232A上に形成されるピクセルが、左眼220Aに対向する左導波管170Aの側面においてある距離にあることをユーザが知覚する、ピクセル234Aおよび236Aであることの知覚を与えられる。奥行知覚が、光の焦点距離を操作することによって生成される。
【0048】
類似の様式において、立体視的分析器144は、右画像データセットを右プロジェクタ166Bの中に取り込む。右プロジェクタ166Bは、右の光パターンを透過し、これは、光線224Bおよび226Bの形態にあるピクセルによって表わされている。光線224Bおよび226Bは、右導波管170B内で反射し、瞳228Bを通して出射する。光線224Bおよび226Bは、次いで、右眼220Bの瞳230Bを通して入射し、右眼220Bの網膜232B上に到達する。光線224Bおよび226Bのピクセルは、右導波管170Bの背後のピクセル134Bおよび236Bとして知覚される。
【0049】
網膜232Aおよび232B上に生成されるパターンは、左および右画像として個々に知覚される。左および右画像は、立体視的分析器144の機能に起因して相互とわずかに異なる。左および右画像は、3次元レンダリングとしてユーザの頭の中で知覚される。
【0050】
述べられるように、左および右導波管170Aおよび170Bは、透過性である。眼220Aおよび220Bに対向する左および右導波管170Aおよび170Bの側におけるテーブル116等の現実の物体からの光が、左および右導波管170Aおよび170Bを通して投影し、網膜232Aおよび232B上に到達することができる。
【0051】
図8は、前述に説明されるようなIPD補償に関連するため、デバイス142のさらなる詳細を示している。本デバイスはさらに、IPD検出器としての役割を果たす、IPDカメラ302と、頭部の運動を検出する、実世界カメラ304およびIMU306と、相関器308と、記憶システム310と、IPD補償係数計算機312と、IPD補償器314と、視認較正システム316とを含む。相関器308は、IPDカメラ302、実世界カメラ304、およびIMU306に接続される。相関器308は、実世界カメラ304およびIMU306からの頭部移動データをIPDカメラ302からのIPDデータと相関させる。記憶システム310は、相関器308に接続され、相関器308によって発生される相関を記憶する。IPD補償係数計算機312は、IPD補償係数を計算する。IPD補償器314は、IPD補償係数計算機312に接続され、レンダリングエンジン130は、IPD補償器314に接続される。IPD補償器314は、IPD補償係数計算機312に基づいて、レンダリングエンジン130によって生成された可視化を修正する。
【0052】
視認較正システム316は、IPD補償係数計算機312等の1つ以上のIPD補償係数を発生させるように、一連の視覚試験を通してユーザにプロンプトする。
【0053】
ある例示的実施形態が、説明され、付随の図面に示されているが、そのような実施形態が、例証的に過ぎず、本発明を制限するものではないこと、および本発明が、修正が当業者に想起され得るため、示され、説明される、具体的な構成および配列に制限されるものではないことを理解されたい。