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特許7401543半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/308 20060101AFI20231212BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20231212BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20231212BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01R31/308
G01R31/28 L
G01R31/26 G
H01L21/66 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021530511
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2020019811
(87)【国際公開番号】W WO2021005892
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2019128344
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】寺田 浩敏
(72)【発明者】
【氏名】岩城 吉剛
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-62281(JP,A)
【文献】特開2013-83537(JP,A)
【文献】国際公開第2004/053780(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/144970(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/187200(WO,A1)
【文献】特開平5-152408(JP,A)
【文献】特開平10-150086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0024057(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
G01R 31/26
G01N 21/956
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスにおける複数の位置からの光を検出し、該複数の位置それぞれに応じた波形を取得するステップと、
前記複数の位置それぞれに応じた波形から特定のタイミングに応じた波形を抽出し、抽出した波形に基づいて前記特定のタイミングに応じた画像を生成するステップと、
前記特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値に基づいて特徴点を抽出し、該特徴点に基づき、前記半導体デバイスにおける駆動素子の位置を特定するステップと、を備え
前記位置を特定するステップでは、前記輝度分布相関値の重心を検出し、該重心に基づいて前記特徴点を抽出する、半導体デバイス検査方法。
【請求項2】
半導体デバイスにおける複数の位置からの光を検出し、該複数の位置それぞれに応じた波形を取得するステップと、
前記複数の位置それぞれに応じた波形から特定のタイミングに応じた波形を抽出し、抽出した波形に基づいて前記特定のタイミングに応じた画像を生成するステップと、
前記特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値に基づいて特徴点を抽出し、該特徴点に基づき、前記半導体デバイスにおける駆動素子の位置を特定するステップと、を備え
前記位置を特定するステップでは、前記輝度分布相関値に対してフィッティングを行い、該フィッティングの結果に基づいて前記特徴点を抽出する、半導体デバイス検査方法。
【請求項3】
半導体デバイスにおける複数の位置からの光を検出し、該複数の位置それぞれに応じた波形を取得するステップと、
前記複数の位置それぞれに応じた波形から特定のタイミングに応じた波形を抽出し、抽出した波形に基づいて前記特定のタイミングに応じた画像を生成するステップと、
前記特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値に基づいて特徴点を抽出し、該特徴点に基づき、前記半導体デバイスにおける駆動素子の位置を特定するステップと、
前記半導体デバイスのパターンを示すパターン画像に、前記特定するステップにおいて特定した前記駆動素子の位置を重畳して表示するステップと、を備える半導体デバイス検査方法。
【請求項4】
前記画像を生成するステップでは、前記駆動素子の動作に係る特定のタイミングに応じた波形を抽出する、請求項1~3のいずれか一項記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項5】
前記画像を生成するステップでは、前記半導体デバイスの設計情報に基づく特定のタイミングに応じた波形を抽出する、請求項記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項6】
前記画像を生成するステップでは、前記特定のタイミングとの相関に基づいて波形を抽出する、請求項4又は5記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項7】
前記複数の位置それぞれに応じた波形を積算することによって測定画像を生成するステップをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項8】
前記波形を取得するステップでは、前記半導体デバイスにおける複数の位置からの光として、前記駆動素子において生じた発光を検出する、請求項1~のいずれか一項記載の半導体デバイス検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テスト信号を印加しながら半導体デバイスを検査する装置が用いられている。例えば、下記特許文献1には、ガルバノミラーと、2つの光ファイバと、それらと光学的に結合可能なマルチファイバターレットとを備えた装置が知られており、一方の光ファイバはレーザスキャニングモジュールに光学的に結合され、他方の光ファイバは単一光子検出器に光学的に接続されている。このような装置では、LSMによる半導体デバイスの検査と、単一光子検出器による発光計測とを切り替えて実行することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許2009/0295414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、半導体デバイスが小型化することにより、検出信号において混信(半導体デバイスにおける複数の駆動素子からの光の混在)が生じる場合がある。混信状態の検出信号からは、駆動素子の位置を適切に特定することができず、半導体デバイスの故障解析等の検査を高精度に行うことができないおそれがある。
【0005】
本発明の一側面は上記実情に鑑みてなされたものであり、半導体デバイス検査の高精度化を図ることができる半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る半導体デバイス検査方法は、半導体デバイスにおける複数の位置からの光を検出し、該複数の位置それぞれに応じた波形を取得するステップと、複数の位置それぞれに応じた波形から特定のタイミングに応じた波形を抽出し、抽出した波形に基づいて特定のタイミングに応じた画像を生成するステップと、特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値に基づいて特徴点を抽出し、該特徴点に基づき、半導体デバイスにおける駆動素子の位置を特定するステップと、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る半導体デバイス検査方法では、半導体デバイスの複数の位置からの光に基づき複数の位置それぞれに応じた波形が取得され、各波形から抽出される特定のタイミングに応じた波形から特定のタイミングに応じた画像が生成される。例えば、特定のタイミングが駆動素子の動作に係るタイミングとされることにより、駆動素子の動作に関連付けられた画像が生成されることとなる。そして、特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値が考慮されて特徴点が抽出されることにより、特定のタイミングとの関連度が高い、すなわち駆動素子の動作との関連度が高い位置が特徴点として抽出されて、該特徴点に基づき、駆動素子の位置を高精度に特定することができる。駆動素子の位置が高精度に特定されることによって、半導体デバイスにおける故障解析等の検査を高精度に行うことができる。
【0008】
画像を生成するステップでは、駆動素子の動作に係る特定のタイミングに応じた波形を抽出してもよい。これにより、駆動素子の動作との関連度が高い位置を特徴点として適切に抽出し、駆動素子の位置を高精度に特定することができる。
【0009】
画像を生成するステップでは、半導体デバイスの設計情報に基づく特定のタイミングに応じた波形を抽出してもよい。駆動素子の動作タイミングは、半導体デバイスの設計情報によって特定される。このため、半導体デバイスの設計情報に基づく特定のタイミングに応じた波形を抽出することによって、駆動素子の動作タイミングに応じた波形を適切に取得することができる。
【0010】
画像を生成するステップでは、特定のタイミングとの相関に基づいて波形を抽出してもよい。特定のタイミングとの相関が考慮されることにより、例えば駆動素子の動作タイミングに近い波形を適切に抽出することができる。
【0011】
位置を特定するステップでは、輝度分布相関値の重心を検出し、該重心に基づいて特徴点を抽出してもよい。輝度分布相関値の重心に基づき特徴点が抽出されることによって、駆動素子の位置を高精度に特定することができる。
【0012】
位置を特定するステップでは、輝度分布相関値に対してフィッティングを行い、該フィッティングの結果に基づいて特徴点を抽出してもよい。例えば輝度分布相関値に対してガウシアンフィッチング等が適用されることによって、上述した重心を高精度に検出して駆動素子の位置を高精度に特定することができる。
【0013】
上述した半導体デバイス検査方法は、複数の位置それぞれに応じた波形を積算することによって測定画像を生成するステップをさらに備えていてもよい。このような測定画像が生成されることによって、ユーザは検出された光の大まかな範囲を確認することができると共に、駆動素子の位置特定(分離)処理まで行う必要があるか否かを確認することができる。
【0014】
上述した半導体デバイス検査方法は、半導体デバイスのパターンを示すパターン画像に、特定するステップにおいて特定した駆動素子の位置を重畳して表示するステップをさらに備えていてもよい。これにより、パターン画像(レイアウト)上のどの駆動素子に異常があるかを特定することができる。
【0015】
波形を取得するステップでは、半導体デバイスにおける複数の位置からの光として、駆動素子において生じた発光を検出してもよい。これにより、駆動素子の発光に関する検査を適切に行うことができる。
【0016】
本発明の一態様に係る半導体デバイス検査装置は、半導体デバイスにおける複数の位置からの光を検出し、検出信号を出力する光検出器と、複数の位置からの光を光検出器に導光する光走査部と、検出信号に基づき複数の位置それぞれに応じた波形を取得することと、複数の位置それぞれに応じた波形から特定のタイミングに応じた波形を抽出し、抽出した波形に基づいて特定のタイミングに応じた画像を生成することと、特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値に基づいて特徴点を抽出し、該特徴点に基づき、半導体デバイスにおける駆動素子の位置を特定することと、を実行するように構成された解析部と、を備える。
【0017】
解析部は、駆動素子の動作に係る特定のタイミングに応じた波形を抽出してもよい。
【0018】
解析部は、半導体デバイスの設計情報に基づく特定のタイミングに応じた波形を抽出してもよい。
【0019】
解析部は、特定のタイミングとの相関に基づいて波形を抽出してもよい。
【0020】
解析部は、輝度分布相関値の重心を検出し、該重心に基づいて特徴点を抽出してもよい。
【0021】
解析部は、輝度分布相関値に対してフィッティングを行い、該フィッティングの結果に基づいて特徴点を抽出してもよい。
【0022】
解析部は、複数の位置それぞれに応じた波形を積算することによって測定画像を生成することをさらに実行するように構成されていてもよい。
【0023】
上述した半導体デバイス検査装置は、半導体デバイスのパターンを示すパターン画像に、解析部が特定した駆動素子の位置を重畳して表示する表示部をさらに備えていてもよい。
【0024】
光検出器は、半導体デバイスにおける複数の位置からの光として、駆動素子において生じた発光を検出してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一側面によれば、半導体デバイス検査の高精度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る半導体デバイス検査装置の構成図である。
図2図1の光学装置において、第1の検査系に切り替えた状態での構成及び第1の光路を示す図である。
図3図1の光学装置において、第2の検査系に切り替えた状態での構成及び第2の光路を示す図である。
図4】3次元信号データを説明する図である。
図5】駆動素子の信号時間波形を説明する図である。
図6】信号解析処理を説明する図である。
図7】信号解析処理を説明する図である。
図8】半導体デバイス検査装置が行う半導体デバイス検査方法に係る処理を示すフローチャートである。
図9】信号解析処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る半導体検査装置の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0028】
図1に示されるように、半導体デバイス検査装置1は、被検査デバイス(DUT:Device Under Test)である半導体デバイスDにおいて故障箇所を特定する等、半導体デバイスDを検査するための半導体検査装置である。また、半導体デバイス検査装置1は、故障個所を特定する処理のほか、当該故障個所の周囲に当該故障個所を示すマーキングを行う処理等を行ってもよい。当該マーキングによって、故障解析の後工程において、半導体デバイス検査装置1が特定した故障個所を容易に把握することができる。
【0029】
半導体デバイスDとしては、例えば、個別半導体素子(ディスクリート)、オプトエレクトロニクス素子、センサ/アクチュエータ、ロジックLSI(Large Scale Integration)、メモリ素子、若しくはリニアIC(Integrated Circuit)等、又はそれらの混成デバイス等である。個別半導体素子は、ダイオード、パワートランジスタ等を含む。ロジックLSIは、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)構造のトランジスタ、バイポーラ構造のトランジスタ等で構成される。また、半導体デバイスDは、半導体デバイスを含むパッケージ、複合基板等であってもよい。半導体デバイスDは、基板上にメタル層が形成されて構成されている。半導体デバイスDの基板としては、例えばシリコン基板が用いられる。半導体デバイスDは、サンプルステージ40に載置されている。
【0030】
この半導体デバイス検査装置1は、信号印加部11と、制御部21(解析部)と、表示部22と、入力部23と、光学装置31Aとを備えている。
【0031】
信号印加部11は、ケーブルを介して半導体デバイスDに電気的に接続され、半導体デバイスDに信号を印加する。信号印加部11は例えばテスタユニットであり、電源(図示せず)によって動作させられ、半導体デバイスDに所定のテストパターンなどの信号を繰り返し印加する。信号印加部11は、ケーブルを介して制御部21に電気的に接続されており、制御部21から指定されたテストパターンなどの信号を、半導体デバイスDに印加する。なお、信号印加部11は、必ずしも制御部21に電気的に接続されていなくてもよい。信号印加部11は、制御部21に電気的に接続されていない場合には、単体でテストパターンなどの信号を決定し、該テストパターンなどの信号を半導体デバイスDに印加する。信号印加部11は、所定の信号を生成して半導体デバイスDに印加するパルスジェネレータであってもよい。
【0032】
制御部21は、ケーブルを介して光学装置31Aに電気的に接続されている。制御部21は、例えばプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)、並びに記憶媒体であるRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)等を含むコンピュータである。制御部21は、記憶媒体に記憶されたデータに対し、プロセッサによる処理を実行する。また、制御部21はマイコンやFPGA(Field-Programmable Gate Array)、クラウドサーバ等で構成されていてもよい。制御部21は、光学装置31Aから入力された検出信号を基にパターン画像あるいは解析画像(例えば発光画像等)を作成する。制御部21の詳細については後述する。
【0033】
また、制御部21は、作成した解析画像を表示部22に出力する。表示部22は、ユーザに解析画像等を示すためのディスプレイ等の表示装置である。表示部22は、入力された解析画像を表示する。表示部22は、半導体デバイスDの光学反射パターンを示すパターン画像に、解析画像(駆動素子の発光位置などを示す画像)を重畳して表示する。入力部23は、ユーザからの入力を受け付けるキーボード及びマウス等の入力装置である。入力部23は、パターン画像、解析画像をもとに、故障候補となる部位を詳細に観察するための観察範囲と観察点数を入力するのに使用される。なお、制御部21、表示部22、及び入力部23は、スマートデバイス端末であってもよい。
【0034】
次に、図2及び図3を参照して、光学装置31Aの構成について説明する。図2は、光学装置31Aにおいて、第1の検査系に切り替えた状態での構成及び第1の光路を示す図、図3は、光学装置31Aにおいて、第2の検査系に切り替えた状態での構成及び第2の光路を示す図である。
【0035】
図2及び図3に示すように、光学装置31Aは、筐体32と、光源(第1の光源)33と、光検出器34と、光検出器35と、筐体32の内部に配置された内部光学系36と、筐体32の外部に配置された外部光学系37とを備えている。
【0036】
光源33は、電源(図示せず)によって動作させられ、半導体デバイスDの反射像(パターン像)を生成するための半導体デバイスDを照明する光を発生する。光源33は、LED(Light Emitting Diode)、SLD(Super Luminescent Diode)光源等のインコヒーレント光源等である。光源33はレーザ光源等のコヒーレント光源等でもよい。光源33から出力された光は内部光学系36及び外部光学系37を経由して半導体デバイスDに照射される。
【0037】
光検出器34は、半導体デバイスDからの反射光を検出し、半導体デバイスDの反射光の検出信号を制御部21に出力する。例えば、光検出器34は、光電子増倍管、PD(Photodiode)、APD(Avalanche Photodiode)等の受光素子である。半導体デバイスDからの反射光は、外部光学系37及び内部光学系36を経由して光検出器34に入射される。
【0038】
光検出器35は、半導体デバイスDにテストパターン等の信号が印加された際に、半導体デバイスDにおける複数の位置からの光(駆動素子において生じた発光)を検出し、半導体デバイスDの発光の検出信号を制御部21に出力する。光検出器35は、例えば、超電導単一光子検出器であるSSPD(Superconducting Single Photon Detector)、光電子増倍管、APD、あるいはSiPM(Silicon Photomultipliers)等である。この光検出器35には、外部光学系37及び内部光学系36を経由して半導体デバイスDからの光が入射される。
【0039】
内部光学系36は、光ファイバ38a,38b,38c、コリメータレンズ39a,39b,39c、ミラー40a、導光素子(ミラー)40b、偏光ビームスプリッタ(以下、「PBS」という)41、1/4波長板42、可変瞳43、一対のガルバノミラー44a,44b、瞳リレーレンズ45を含んで構成されている。
【0040】
光ファイバ38a,38b,38cの一端は、筐体32の外部において、それぞれ、光源33、光検出器34、及び光検出器35に光学的に接続され、光ファイバ38a,38b,38cの他端は、筐体32の内部において、それぞれ、コリメータレンズ39a,39b,39cに光学的に接続されている。コリメータレンズ39aは、光源33から照射された光を平行光に変換し、コリメータレンズ39b,39cは、それぞれ、光検出器34及び光検出器35に入射する光を平行光に変換する。このように、光ファイバごとに独立したコリメートレンズによって後述する光走査部からの光を受光することで、半導体デバイスDからの光の波長又は焦点に応じて最適な調整が可能とされる。
【0041】
ミラー40aは、筐体32の内部においてコリメータレンズ39aの光出力側に配置され、PBS41は、コリメータレンズ39bの光入力側に配置され、ミラー40a、PBS41、1/4波長板42、可変瞳43、ミラー40bがこの順で一直線上に並んで配置されている。ミラー40aは、光源33から出力された光をPBS41に向けて反射させる。PBS41は、光源33から出力された光のうちの直線偏光をミラー40bに向けて透過させ、1/4波長板42は、その直線偏光を円偏光に変換してミラー40bに向けて出力する。また、1/4波長板42は、ミラー40b側から入射した半導体デバイスDからの反射光を、光源33から出力された光の直線偏光と直交する方向の直線偏光に変換し、PBS41は、その反射光の直線偏光を光検出器34に向けて反射させる。可変瞳43は、ミラー40aとミラー40bとの間の光路上に出し入れ可能に設けられ、瞳の大きさを変更するためのものである。
【0042】
ミラー40bは、上述したように、光源33および光検出器34と光学的に接続されている。詳細には、ミラー40bは、光源33から出力された光を反射して光走査部である一対のガルバノミラー44a,44bに向けて導光する。それとともに、ミラー40bは、半導体デバイスDからの反射光を一対のガルバノミラー44a,44bを経由して受けて、その反射光を、可変瞳43、1/4波長板42、PBS41、コリメータレンズ39b、光ファイバ38bを経由して光検出器34に入射させる。なお、本実施形態では導光素子 としてミラーを用いているが、光源33及び/又は光検出器34と一対のガルバノミラー44a,44bとの間で導光可能な光学素子であれば光ファイバ等を用いてもよい。
【0043】
一対のガルバノミラー44a,44bは、ミラー40bを介して、光源33および光検出器34と光学的に接続可能に構成されるとともに、瞳リレーレンズ45を介して外部光学系37と光学的に接続されている。すなわち、一対のガルバノミラー44a,44bは、ミラー40bの光源33からの光の反射方向に配置され、その光を2次元的に走査させながら反射させることができる光走査部であり、例えば、所定軸を中心として振れ角を変更可能なガルバノミラーを2つ組み合わせた構成を有する。この一対のガルバノミラー44a,44bは、半導体デバイスDに照射される光を半導体デバイス上で2次元的に走査することができる。加えて、一対のガルバノミラー44a,44bは、半導体デバイスDの所定点における反射光あるいは発光を、2次元的に位置選択しながらミラー40bまたはコリメータレンズ39cの所定位置に向けて導光させることもできる。すなわち、一対のガルバノミラー44a,44bは、半導体デバイスDの複数の位置からの光を光検出器34に向けて、又は、光検出器35に向けて導光する光走査部である。ここで、一対のガルバノミラー44a,44bを停止させた状態で、別に用意した光源を一方のミラーで反射させることにより、半導体デバイスDを2次元的に照明するように構成されてもよい。一対のガルバノミラー44a,44bの振れ角は、制御部21によって制御可能に構成されていてもよい。
【0044】
コリメータレンズ39cは、一対のガルバノミラー44a,44bと光学的に接続可能な筐体32上の位置に設けられた取付部46によって、筐体32の内部に保持されている。この取付部46は、筒状部材をなし、コリメータレンズ等の光学素子を筐体32の内部に取り付けるための部位である。そして、光ファイバ38cの他端は、取付部46の内部において、コリメータレンズ39cに光学的に接続される。
【0045】
外部光学系37は、ミラー47a,47b,47c、瞳リレーレンズ48、対物レンズユニット49とを含んでいる。この外部光学系37は、光源33からの光を導光して半導体デバイスDに入射させるとともに、半導体デバイスDにおいて生じた反射光および発光を導光して内部光学系36に入射させる。すなわち、内部光学系36から入射した光源33からの光は、ミラー47aで反射された後に瞳リレーレンズ48を透過し、ミラー47b,47cで順次反射された後に対物レンズユニット49を通って半導体デバイスDに照射される。一方、半導体デバイスDにおける反射光あるいは発光は、対物レンズユニット49を通った後にミラー47c,47bによって順次反射され、瞳リレーレンズ48を透過してからミラー47aによって反射されることにより、内部光学系36に入射する。ここで、対物レンズユニット49は、異なる倍率の複数の対物レンズを有し、ターレットによって切り替えられるように構成されてもよい。
【0046】
上述したような構成の光学装置31Aは、制御部21によって半導体デバイスDと光学的に接続される光路を切り換えるように制御可能に構成されている。制御部21は、一対のガルバノミラー44a,44bの振れ角を制御することによって、半導体デバイスDと光学的に接続される光路を、外部光学系37と一対のガルバノミラー44a,44b及びミラー40bを経由する内部光学系36とを含む第1の光路L1(図2)と、外部光学系37と一対のガルバノミラー44a,44b及び取付部46内のコリメータレンズ39cを経由する内部光学系36とを含む第2の光路L2(図3)との間で切り替えるように、一対のガルバノミラー44a,44bの振れ角を制御する。具体的には、制御部21は、ユーザから入力部23を介して反射光の検査の実行(パターン画像の取得)が指示された場合には、第1の光路L1に切り替え、ユーザから入力部23を介して発光の検査(信号像の取得及び解析)の実行が指示された場合には、第2の光路L2に切り替える。それと同時に、制御部21は、一対のガルバノミラー44a,44bの振れ角を所定角度範囲内で順次変更することによって、半導体デバイスDに照射される光を半導体デバイスD上で2次元的に走査するように制御するとともに、半導体デバイスDの所定点における反射光あるいは発光を、2次元的に走査させながら位置選択して導光させるように制御する。以下では、信号像の取得及び解析に係る制御部21の処理について、詳細に説明する。
【0047】
制御部21は、光検出器35によって出力された半導体デバイスDの発光の検出信号に基づき半導体デバイスDにおける複数の位置それぞれに応じた波形を取得すること(波形を取得するステップ)と、当該複数の位置それぞれに応じた波形から特定のタイミングに応じた波形を抽出し、抽出した波形に基づいて特定のタイミングに応じた画像を生成すること(画像を生成するステップ)と、特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値に基づいて特徴点を抽出し、該特徴点に基づき、半導体デバイスDにおける駆動素子の位置を特定すること(駆動素子の位置を特定するステップ)と、を実行するように構成されている。以下、各ステップにおける制御部21の処理について説明する。
【0048】
波形を取得するステップでは、制御部21は、信号印加部11に対して、故障個所が異常動作を行うテストパターンを指定する。当該テストパターンは、駆動素子が同じ動作を繰り返すループ状のパターン(テストループ)である。波形を取得するステップでは、半導体デバイスDの所定点(1ピクセル)毎にテストループが複数回ループされ、制御部21によって半導体デバイスDにおける所定点が2次元的に走査されながら、各所定点における発光信号(検出信号)が取得され、各所定点における波形が取得されて、発光像である信号像が取得される。
【0049】
ここで、上述したように、波形を取得するステップにおいては、半導体デバイスDの各所定点に対してテストループが複数回ループされ時間軸方向の発光パターンが取得される。図4は、3次元信号データを説明する図である。図4には、半導体デバイスDにおける発光面であるXY平面と、時間軸とが示されている。XY平面には、発光信号(検出信号)が取得される複数の所定点D1が示されている。そして、図4に示されるように、各所定点D1について、テストループが複数回ループされて時間軸方向に発光パターンが取得される。制御部21は、複数の位置(各所定点D1)それぞれに応じた波形を時間軸方向に積算することによって、図6(a)に示される2次元の発光積算画像AI(測定画像)を生成する。発光積算画像AIでは、各所定点D1に関する発光のトータルカウントが輝度レベルとして表示される。図6(a)に示されるように、発光積算画像AIにおいては発光領域EAが区別して表示されている。
【0050】
画像を生成するステップでは、制御部21は、各所定点D1それぞれに応じた波形から特定のタイミングに応じた波形を抽出する。光学分解能よりも駆動素子のチップが小さい場合には、検出信号において複数の駆動素子の発光の混信が起こりうる。この場合には、発光面における位置の情報(図4に示されるXY平面の2次元の情報)のみから、検出された発光に係る駆動素子を一意に特定することが難しい。この点、制御部21は、各所定点D1における時間波形を考慮して3次元的に信号を処理することにより、後述するように駆動素子を一意に特定する。具体的には、制御部21は、駆動素子の動作に係る特定のタイミングに応じた波形を抽出する。図5は、半導体デバイスDの駆動素子Tr1,Tr2、Tr3の信号時間波形の一例を示している。図5に示されるように、半導体デバイスDの各駆動素子は、スイッチングのタイミング(発光タイミング)が互いに異なっている。すなわち、図5に示される例では、駆動素子Tr1、駆動素子Tr2、駆動素子Tr3の順で動作している。各駆動素子がどのような発光パターンで発光するかは、半導体デバイスDの設計情報及びシミュレーション等に基づき予め把握することができる。制御部21は、例えば、半導体デバイスDの設計情報に基づき駆動素子の動作に係る特定のタイミングを特定し、該特定のタイミングに応じた波形を抽出する。制御部21は、例えば、特定のタイミングとの相関に基づいて波形を抽出する。
【0051】
図6(b)に示される例では、各所定点D1それぞれに応じた波形から、第1の駆動素子の発光タイミングtm1と相関が高い波形、第2の駆動素子の発光タイミングtm2と相関が高い波形、第3の駆動素子の発光タイミングtm3と相関が高い波形が抽出されている。そして、制御部21は、抽出した波形に基づいて特定のタイミングに応じた画像を生成する。図6(b)に示される例では、第1の駆動素子の発光タイミングtm1と相関が高い波形に基づく発光タイミングtm1に応じた画像TI1、第2の駆動素子の発光タイミングtm2と相関が高い波形に基づく発光タイミングtm2に応じた画像TI2、第3の駆動素子の発光タイミングtm3と相関が高い波形に基づく発光タイミングtm3に応じた画像TI3が生成されている。画像TI1には第1の駆動素子の発光タイミングtm1に応じた発光点EP1が示されており、画像TI2には第2の駆動素子の発光タイミングtm2に応じた発光点EP2が示されており、画像TI3には第3の駆動素子の発光タイミングtm3に応じた発光点EP3が示されている。なお、説明の便宜上、図6(b)に示される画像TI1~TI3に重複(重畳)するようにして各発光タイミングtm1~tm3の信号波形が示されているが、実際には画像TI1~TI3にはこれらの情報は表示されていない。
【0052】
駆動素子の位置を特定するステップでは、制御部21は、特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値に基づいて特徴点を抽出する。すなわち、制御部21は、例えば図6(b)に示される画像TI1の各発光点EP1について、輝度分布相関値に基づき特徴点を抽出する。図7(a)にはある発光点についての輝度分布相関値が示されている。図7(a)においてXY平面は発光面を示している。また、XY平面に直交するカウント軸の値(カウント値)は、発光タイミングが特定のタイミングと相関(タイミングの相関)が強い点ほど高くなる。すなわち、図7(a)に示される輝度分布相関値における輝度の値(カウント値)は、発光タイミングが特定のタイミングに近い点ほど高くなっている。制御部21は、例えば輝度分布相関値の重心を検出し、該重心を特徴点として抽出する。制御部21は、輝度分布相関値に対してフィッティングを行い、該フィッティングの結果に基づいて特徴点を抽出する。制御部21は、例えば図7(b)に示されるように、輝度分布相関値に対してガウシアンフィッチングを適用することによって、輝度分布相関値の重心を抽出し、該重心を特徴点としてもよい。図6(b),(c)に示される例では、画像TI1の各発光点EP1における輝度分布相関値に基づいて、各発光点EP1に対応した特徴点FP1を抽出し、画像TI2の各発光点EP2における輝度分布相関値に基づいて、各発光点EP2に対応した特徴点FP2を抽出し、画像TI3の各発光点EP3における輝度分布相関値に基づいて、各発光点EP3に対応した特徴点FP3を抽出する。制御部21は、抽出した各特徴点を各駆動素子の位置として特定する。
【0053】
制御部21は、各駆動素子の分離(位置の特定)が完了すると、各駆動素子の位置を特定した解析画像(図6(c)に示す画像)を表示部22に出力する。表示部22は、上述したように、半導体デバイスDのパターンを示すパターン画像(設計レイアウト)に、駆動素子の位置を示す解析画像を重畳して表示する。解析画像がパターン画像に重畳されることによって、発光をしていない駆動素子、発光時間が長い駆動素子、又はスイッチング発光を起こしていない駆動素子が、設計レイアウト上におけるどの駆動素子であるのかを特定することができ、故障個所を突き止めることができる。なお、表示部22は、半導体デバイスDに光が走査されることにより取得された反射像(パターン画像)に、解析画像を重畳してもよい。
【0054】
次に、半導体デバイス検査装置1が行う半導体デバイス検査方法に係る処理について、図8及び図9を参照して説明する。
【0055】
図8に示されるように、最初に、半導体デバイスDの裏面の反射像が取得される(ステップS1)。制御部21は、ユーザから入力部23を介して反射像の取得が指示された場合に、図2に示される第1の光路に切り替えて反射像を取得する。制御部21は、例えば診断ソフト等から故障が疑われる領域に関する情報を取得し、当該領域について反射像を取得する。この場合、光学分解能よりもピクセル分解能が高くなるように細かいサンプリングで反射像が取得される。反射像が取得されることによって、故障解析を行いたい所望の位置へのフォーカス合わせを適切に行うことができる。
【0056】
つづいて、信号像が取得される(ステップS2)。制御部21は、信号印加部11に対して、故障個所が異常動作を行うように指定する。制御部21は、半導体デバイスDの所定点(1ピクセル)毎にテストループが複数回ループされるように半導体デバイスDにおける所定点を2次元的に走査しながら、各所定点における発光信号(検出信号)を取得し、各所定点における波形を取得することにより、2次元の発光像である信号像を取得する。
【0057】
つづいて、信号の解析が行われて駆動素子の位置が特定される(ステップS3)。ステップS3の詳細については後述する。そして、表示部22によって半導体デバイスDのパターンを示すパターン画像(設計レイアウト)に駆動素子の位置を示す解析画像が重畳表示されて(ステップS4)、異常発光駆動素子が抽出される(ステップS5)。
【0058】
ステップS3(信号の解析)について図9を参照して詳細に説明する。図9に示されるように、信号の解析処理においては、最初に、特定のタイミングに応じた波形が抽出される(ステップS11)。制御部21は、半導体デバイスDの設計情報に基づき駆動素子の動作に係る特定のタイミングを特定し、該特定のタイミングに応じた波形を抽出する。
【0059】
つづいて、各タイミングに係る発光点の画像が生成される(ステップS12)。制御部21は、例えば、各駆動素子の発光タイミングと相関が高い発光点を示す画像を生成する。
【0060】
つづいて、発光点の輝度分布相関値に基づき特徴点が抽出される(ステップS13)。制御部21は、特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値に基づいて特徴点を抽出する。制御部21は、輝度分布相関値に対してフィッティングを行い、該フィッティングの結果に基づいて特徴点を抽出する。制御部21は、例えば図7(b)に示されるように、輝度分布相関値に対してガウシアンフィッチングを適用することによって、輝度分布相関値の重心を抽出し、該重心を特徴点としてもよい。
【0061】
最後に、抽出された特徴点に基づき駆動素子の位置が特定される。制御部21は、例えば抽出した輝度分布相関値の重心を特徴点とし、該特徴点の位置を駆動素子の位置として特定してもよい。
【0062】
次に、実施形態に係る半導体デバイス検査装置1及び半導体デバイス検査方法の作用効果について説明する。
【0063】
本実施形態に係る半導体デバイス検査方法は、半導体デバイスDにおける複数の位置からの光を検出し、該複数の位置それぞれに応じた波形を取得するステップと、複数の位置それぞれに応じた波形から特定のタイミングに応じた波形を抽出し、抽出した波形に基づいて特定のタイミングに応じた画像を生成するステップと、特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値に基づいて特徴点を抽出し、該特徴点に基づき、半導体デバイスにおける駆動素子の位置を特定するステップと、を備える。
【0064】
本実施形態に係る半導体デバイス検査方法では、半導体デバイスDの複数の位置からの光に基づき複数の位置それぞれに応じた波形が取得され、各波形から抽出される特定のタイミングに応じた波形から特定のタイミングに応じた画像が生成される。例えば、特定のタイミングが駆動素子の動作に係るタイミングとされることにより、駆動素子の動作に関連付けられた画像が生成されることとなる。そして、特定のタイミングに応じた画像における輝度分布相関値が考慮されて特徴点が抽出されることにより、特定のタイミングとの関連度が高い、すなわち駆動素子の動作との関連度が高い位置が特徴点として抽出されて、該特徴点に基づき、駆動素子の位置を高精度に特定することができる。駆動素子の位置が高精度に特定されることによって、半導体デバイスDにおける故障解析等の検査を高精度に行うことができる。
【0065】
画像を生成するステップでは、駆動素子の動作に係る特定のタイミングに応じた波形を抽出する。これにより、駆動素子の動作との関連度が高い位置を特徴点として適切に抽出し、駆動素子の位置を高精度に特定することができる。
【0066】
画像を生成するステップでは、半導体デバイスDの設計情報に基づく特定のタイミングに応じた波形を抽出する。駆動素子の動作タイミングは、半導体デバイスDの設計情報によって特定される。このため、半導体デバイスDの設計情報に基づく特定のタイミングに応じた波形を抽出することによって、駆動素子の動作タイミングに応じた波形を適切に取得することができる。
【0067】
画像を生成するステップでは、特定のタイミングとの相関に基づいて波形を抽出する。特定のタイミングとの相関が考慮されることにより、例えば駆動素子の動作タイミングに近い波形を適切に抽出することができる。
【0068】
位置を特定するステップでは、輝度分布相関値の重心を検出し、該重心に基づいて特徴点を抽出する。輝度分布相関値の重心に基づき特徴点が抽出されることによって、駆動素子の位置を高精度に特定することができる。
【0069】
位置を特定するステップでは、輝度分布相関値に対してフィッティングを行い、該フィッティングの結果に基づいて特徴点を抽出する。例えば輝度分布相関値に対してガウシアンフィッチング等が適用されることによって、上述した重心を高精度に検出して駆動素子の位置を高精度に特定することができる。
【0070】
上述した半導体デバイス検査方法は、複数の位置それぞれに応じた波形を積算することによって発光積算画像AI(図6(a)参照)を生成するステップをさらに備えている。このような発光積算画像AIが生成されることによって、検出された光の範囲を確認することができる。
【0071】
上述した半導体デバイス検査方法は、半導体デバイスDのパターンを示すパターン画像に、特定するステップにおいて特定した駆動素子の位置を重畳して表示するステップをさらに備えている。これにより、パターン画像(レイアウト)上のどの駆動素子に異常があるかを特定することができる。
【0072】
波形を取得するステップでは、半導体デバイスDにおける複数の位置からの光として、駆動素子において生じた発光を検出する。これにより、駆動素子の発光に関する検査を適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0073】
1…半導体デバイス検査装置、21…制御部(解析部)、22…表示部、35…光検出器、44a,44b…ガルバノミラー(光走査部)、AI…発光積算画像(測定画像)、D…半導体デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9