(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】回転翼とその設計方法
(51)【国際特許分類】
B64C 27/467 20060101AFI20231212BHJP
B64C 27/26 20060101ALI20231212BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B64C27/467
B64C27/26
B64D27/24
(21)【出願番号】P 2021532029
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019065293
(87)【国際公開番号】W WO2020118310
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520339482
【氏名又は名称】ジョビー エアロ インク
【氏名又は名称原語表記】JOBY AERO, INC.
【住所又は居所原語表記】340 Woodpecker Ridge Santa Cruz,CA,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100207251
【氏名又は名称】矢島 弘文
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール ベブル ミキッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーベン ビバート
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ベイン
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ストール
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-226397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0024552(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0257261(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0263855(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0217576(US,A1)
【文献】米国特許第05381985(US,A)
【文献】川崎重工業(株),新しい動的現象を加味したヘリコプター翼型の解析・設計技術の研究,航空機工業の競争力強化に関する調査研究 成果報告書,日本,社団法人 日本航空宇宙工業会 革新航空機技術開発センター,2005年03月31日,No.1606,p.1-70
【文献】ROBERT M PINKERTON,THE VARIATION WITH REYNOLDS NUMBER OF ORESSURE DISTRIBUTION OVER AN AIRFOIL SECTION,NACA-TR,米国,1938年01月01日,No.613,p.65-84
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/467
B64C 27/26
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼型羽根であって、前記翼型羽根は第1の翼型部断面を備え、
前記第1の翼型部断面は、
翼弦長Lを画定する翼弦線と、
0.002Lから0.05Lの間の前縁半径を備える前縁と、
0から0.03Lの間の後縁翼厚を備える後縁と、
前記翼弦線に沿って0.2Lから0.6Lの間に位置する、0.07Lから0.2Lの間の最大翼厚と、
前記翼弦線に沿って0.2Lから0.7Lの間に位置する、0から0.2Lの間の最大キャンバーと、
上面の凸部と前記凸部の後に続く上面の凹部とを有し、前記凹部の近位に流れ分離点を画定する、回転翼の上面の隆起した特徴、
を画定することを特徴とする翼型羽根。
【請求項2】
前記前縁半径が約0.006L、前記後縁翼厚が約0.005L、前記翼弦線に沿った約0.4Lの位置での前記最大翼厚が約0.12L、前記翼弦線に沿った約0.44Lの位置での前記最大キャンバーが約0.024L、であることを特徴とする請求項1に記載の翼型羽根。
【請求項3】
表1に記載された前記第1の翼型部断面を備えることを特徴とする、請求項2に記載の翼型羽根。
【表1】
【請求項4】
表2に記載された前記第1の翼型部断面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の翼型羽根。
【表2】
【請求項5】
前記翼型羽根が1mから4mの間の羽根長を画定することを特徴とする、請求項1に記載の翼型羽根。
【請求項6】
前記羽根が羽根長に沿って先細になっていることを特徴とする、請求項5に記載の翼型羽根。
【請求項7】
前記翼型羽根が羽根長に沿ったねじれ角を画定し、前記ねじれ角は20度から50度の間である、ことを特徴とする請求項1に記載の翼型羽根。
【請求項8】
下反角付き羽根先端をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の翼型羽根。
【請求項9】
翼弦長Lが0.02mから1mの間であることを特徴とする、請求項1に記載の翼型羽根。
【請求項10】
ロータが前記翼型羽根を備え、50kから1,000kのレイノルズ数範囲で動作する場合に100メートルの測定距離において前記ロータが80dBA未満を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の翼型羽根。
【請求項11】
ティルトロータ航空機用のロータであって、
前記ロータはディスク平面を画定し、前記ロータは多翼型羽根とロータ傾斜機構とを備え、
前記多翼型羽根の各々は、50kから10,000kの間のレイノルズ数の範囲で揚力係数曲線を画定し、
前記多翼型羽根の各々は、
第1の迎え角(AoA)範囲と、
第二のAoA範囲と、
前記第二のAoA範囲の下限と前記第1のAoA範囲の上限との間の準臨界AoAと、
前記第二のAoA範囲の上限よりも大きい臨界AoAにおける最大揚力係数(CL)と、
前記翼型羽根の上面の突起と、
を含み、
前記第二のAoAの範囲の下限は前記第1のAoAの範囲の上限よりも大きく、前記第二のAoA範囲は迎え角5度より大きい幅に及び、
各々の翼型部の境界層分離点は、それぞれの前記突起の後部に位置し、
前記ロータ傾斜機構は、前記ロータを、
前記多翼型羽根の各々が前記第1のAoA範囲で作動し、前記ディスク平面がティルトロータ航空機のピッチ・ヨー平面に平行である前進構成と、
前記多翼型羽根の各々が前記第二のAoA範囲で作動し、ディスク平面がピッチ・ヨー平面と交差するホバリング構成と、
の間で変形するように構成されている、
ことを特徴とする、ティルトロータ航空機用のロータ。
【請求項12】
羽根ピッチ回転機構をさらに備え、
前進構成では、前記羽根ピッチ回転機構は、前記多翼型羽根の各々を第1のAoA範囲内の前進AoAに向け、
ホバリング構成では、羽根ピッチ回転機構は、前記多翼型羽根の各々を第二のAoA範囲内のホバリングAoAに向ける、
ことを特徴とする請求項11に記載のロータ。
【請求項13】
前記第1のAoA範囲におけるCL対AoA曲線が第1の勾配(M)を画定し、第二のAoA範囲におけるCL対AoA曲線が第二の勾配を画定し、前記第二の勾配が0から0.95Mの間である、ことを特徴とする請求項11に記載のロータ。
【請求項14】
前記第二の勾配の変化率の絶対値が1度あたり0.05M未満である、ことを特徴とする請求項
13に記載のロータ。
【請求項15】
CL対AoA曲線が前記第1のAoA範囲と前記第二のAoA範囲との間の第三のAoA範囲を含み、揚力係数曲線が前記第三のAoA範囲内の第三の勾配を画定し、前記第三のAoA勾配が前記第二の勾配の半分未満である、ことを特徴とする請求項
13に記載のロータ。
【請求項16】
揚力係数曲線が、前記第1のAoA範囲において1度あたり0.1から1度あたり0.13の間の前記第1の勾配を画定し、寿命係数曲線が、前記第二のAoA範囲において1度あたり0.1未満の前記第二の勾配を画定する、ことを特徴とする請求項11に記載のロータ。
【請求項17】
前記ホバリング構成が、100メートル位置から測定して80dBA未満で作動する、ことを特徴とする請求項11に記載のロータ。
【請求項18】
ハブをさらに備え、前記多翼型羽根のそれぞれがディスク平面内のハブから放射状に広がり、電気モータがハブに組み込まれている、ことを特徴とする請求項11に記載のロータ。
【請求項19】
前記航空機は前記ロータに隣接する第二のロータを備え、前記第二のロータは前記ディスク平面からオフセットされる、ことを特徴とする請求項11に記載のロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月7日に出願された米国仮出願番号62/776,853に基づく利益を主張し、本明細書にその全体が組み込まれる。本出願は、2019年5月10日に出願された米国出願番号16/409,653、および2019年6月3日に出願された米国出願番号16/430,163に関したものであり、これらのそれぞれは、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0002】
本発明は、航空分野、より具体的には、航空分野における新しく有用な回転翼およびその設計方法に関する。
【背景技術】
【0003】
回転翼航空機およびプロペラ航空機などの外見上回転体によって推進される航空機は、回転する、そしてしばしば囲まれていない羽根(例えば、回転翼)を利用して推力を生成する。ただし、回転羽根は、高いノイズレベルが問題を起こしかねないような都市および郊外の環境を含むいくつかの状況において、航空機の使用としては望ましくない音響ノイズの重要な発生源である。騒音に基づく飛行経路の制限は、都市および郊外の航空交通システムを展開する能力を大幅に低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、航空分野では、新しく有用な回転翼およびその設計方法を作成する必要がある。本発明は、そのような新しく有用なシステムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
回転翼100は、断面および翼長を規定し、ここで、断面は、翼長に沿った点(例えば、翼長方向の点)の関数であり、各翼長方向の点で上面および下面を画定する。 回転翼100はまた、断面において、翼型部が空気中を回転する迎え角の関数である揚力係数(CL)を画定する。本システムは、オプション的に以下を含み得る。すなわち、回転翼を取り付けるためのロータハブ、回転翼を前進構成とホバリング構成との間で旋回させる傾斜機構、および回転翼100の迎え角を変更するためのピッチング機構、である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】回転翼の設計方法のフローチャート図である。
【
図3】回転翼に関連するさまざまな流入条件に起因する荷重変動の概略図を示す。
【
図4】迎え角による揚力係数の変化の曲線の例と、回転翼の例と従来の翼型部の例との比較を示す。
【
図6】迎え角がゼロに等しい
図5に示されている回転翼の例に基づいて、シミュレートされた境界層形成、およびそれから生じる効果的な翼型部の厚み化の例を示す。
【
図7】(A)は第1の迎え角で、前縁の近位に隆起した特徴を備える回転翼の例示的な実施形態、および隆起した特徴を省略した従来の翼型部の境界層分離点の図を示す。(B)は前縁の近位に隆起した特徴を備える回転翼の例示的な実施形態、および隆起した特徴を省略した従来の翼型部における、第1の迎え角よりも大きい第二の迎え角における境界層分離点の図を示す。
【
図8】迎え角による揚力係数の変化の曲線の例と、回転翼の例と従来の翼型部の例との比較を示す。
【
図9】迎え角による揚力係数の変化の曲線の例と、回転翼の例と従来の翼型部の例との比較を示す。
【
図10】(A)は回転翼の例の斜視図を示す。(B)は回転翼の例の側面図を示す。(C)は回転翼の例の上面図を示す。
【
図12】(A)は公称レイノルズ数106での回転翼の揚力係数曲線の例を示す。 (B)はレイノルズ数の範囲にわたる回転翼の揚力係数曲線の例を示す。実線の曲線はレイノルズ数10
6に対応し、点線の曲線はレイノルズ数5×10
6に対応し、破線の曲線はレイノルズ数2×10
6に対応する。
【
図13】(A)はさまざまな迎え角での回転翼の抗力係数曲線の例を示す。(B)は回転翼の抗力係数対揚力係数曲線の例を示す。
【
図14】回転翼の前進構成およびホバリング構成の例を示す。
【
図15】(A)は航空機のピッチ軸とロール軸の例を示す。(B)は航空機のロール軸とヨー軸の例を示す。
【
図18】(A)は前進構成における傾斜機構の例を示す。(B)は前進構成とホバリング構成との間で移行する傾斜機構の例を示す。(C)はホバリング構成における傾斜機構の例を示す。
【
図19】(A)は上面図からの回転翼の概略図を示す。(B)は回転翼のねじれ角の概略図を示す。(C)は上面図からの回転翼の概略図を示す。(D)は側面図からの回転翼の概略図を示す。
【
図20】一組の回転翼を備えたティルトロータシステムの例の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、本発明をこれらの好ましい実施形態に限定することを意図するのではなく、むしろ当業者が本発明を作成および使用することを可能にすることを意図する。
[1.本実施例の概要]
【0038】
図1に示されるように、回転翼100は、断面および翼長を画定する。ここで、断面は、翼長に沿った点(例えば、翼長方向の点)の関数であり、上面および下面を各翼長方向のポイントにおいて画定する。回転翼100はまた、断面において、回転翼が空中を回転する迎え角103(AoA)の関数である揚力係数(C
L)を画定する。ここで、回転翼100は、追加的または代替的に、他の適切な構成要素または特徴を備えるか、または画定させ得る。
【0039】
本システムは、任意選択で、回転翼を取り付けるためのロータハブ550、前進構成とホバリング構成との間で回転翼を旋回させるための傾斜機構、および回転翼100の迎え角を変更するためのピッチ回転機構を備え得る(例を
図20に示す)。ここで、本システムは、追加的または代替的に、他の適切な構成要素または特徴を備えるか、または画定させ得る。
【0040】
回転翼100は、流体(例えば、空気)を通って回転するときに動的空気力を生成するように機能する。これは、車両(例えば、航空機)を推進かつ/または持ち上げるために使用することができる。回転翼100はまた、断面において、2つ以上の回転翼100を利用するプロペラのロータディスク全体の荷重変動を低減かつ/または最小化する迎え角の範囲内の各迎え角での揚力係数を画定するように機能し得る。回転翼100はまた、
図7の(A)および(B)の例に示すように、ある範囲の迎え角で翼弦方向に沿って境界層分離点を局所化する特徴(例えば、突起)または幾何学的形状を備える断面を画定するように機能し得る。ここで、回転翼100は、追加的または代替的に、他の任意の適切な機能を有し得る。
【0041】
図2に示すように、設計方法200は、以下を含み得る。すなわち、S100:翼型部の幾何学的形状をパラメータ化する、S150:パラメータ化に基づいて翼型部形状を生成する、S200:翼型部形状の性能パラメータを決定する、S300:性能閾値を得るために翼型部の幾何学的形状のパラメータを最適化する、である。
【0042】
設計方法200は、翼型部形状(例えば、断面形状、翼長に沿った断面の変化の形状など)を計算するように機能する。設計方法200はまた、翼型部形状の反復計算最適化を可能にする特定の方法で、翼型部形状をパラメータ化するように機能し得る。設計方法200はまた、翼型部の性能の計算的予測を可能にするように機能し得る(例えば、計算流体力学/CFDを介して)。ここで、設計方法200は、追加的または代替的に、任意の他の適切な機能を有し得る。
【0043】
回転翼100は、好ましくは、航空機推進システム(例えば、プロペラ、ロータなど)と共に実装され、次に、航空機推進システムは、好ましくは、航空機と共に実装される。特に、航空機は好ましくは回転翼航空機であるが、追加的または代替的に任意の適切な航空機を備え得る。回転翼航空機は、好ましくは、複数の航空機推進システム(例えば、ロータ組立体、ロータ・システムなど)を備えたティルトロータ航空機であり、前進構成510とホバリング構成520との間で動作可能である(
図14の例に示される)。ここで、回転翼航空機は、代替的に、1以上のロータ組立体または推進システムを備えた固定翼航空機や、1以上のロータ組立体を備えたヘリコプタ(例えば、少なくとも1つのロータ組立体または航空機推進システムが、水平推力を提供するために実質的に軸方向に向けられる)、空気より軽い航空機、かつ/またはロータによって推進される他の適切な回転翼航空機または車両、であっても良い。回転翼航空機は、好ましくは、1以上のロータ組立体を駆動するための全電動の電気動力伝達系(例えば、電池式電気モータ)を備える。しかし、追加的または代替的に、ハイブリッド動力伝達系(例えば、内燃発電機を備える電気ガソリン・ハイブリッド)、内燃動力伝達系(例えば、ガスタービン・エンジン、ターボプロップ・エンジンなどを備える)、および他の適切な動力伝達系、を備え得る。
【0044】
ティルトロータ航空機は、様々な幾何学的特徴を画定する。ティルトロータ航空機は、
図15の(A)~(B)に示されるように、垂直軸(例えば、ヨー軸506)、縦軸(例えば、ロール軸502)、および横軸(例えば、ピッチ軸504))を備える主要な幾何学的軸を画定する。垂直軸、縦軸、および横軸は、航空機の重心(CoG)で交差するように画定され得、前述の軸のいずれか1つの周りの純粋モーメントにより、航空機100は、それぞれ、垂直軸、長手方向軸、および横軸の周りを回転する。ここで、3つの主軸は、CoGを参照してまたは参照せずに、追加的または代替的に、幾何学的に(例えば、1以上の次元における航空機の対称線に基づいて、航空機を通る任意の線に基づいて、など)画定され得る。例えば、これらの軸は航空機の幾何学的中心で交差し得る。ティルトロータ航空機のプロペラはそれぞれ、プロペラの回転軸を中心とするディスク領域を画定し、このディスク領域は、回転軸から離れて延びる無限のディスク面によって包含される。このような航空機のバリエーションとして、多回転翼のそれぞれのディスク面は、多推進組立体の残りの適当な一部と同一の広がりを有し得る。第1例として、各ディスク平面は、第1のバリエーションのホバリング構成において、互いに同一の広がりを有し得る。第2例として、各ディスク面は、航空機の縦軸を横切って対称的に他の1つの推進組立体のディスク面と同一の広がりを有し得、互いの推進組立体リのディスク面から移され(例えば、オフセットを持たされ)得る。ここで、多推進組立体のディスク面は、そうでなければ、互いに対して適切に配置され得る。
【0045】
本制御システム又はそれ以外に関して本明細書で利用する用語「ロータ」は、ロータ、プロペラ及び/又はあらゆる他の適切な回転空気力学式アクチュエータを指し得る。ロータは、関節ハブ又は半剛ハブを使用する回転空気力学式アクチュエータを指し得(例えば、羽根とハブとの接続は、関節接続、可撓接続、剛接続及び/又はそれ以外の方法の接続とし得る)、プロペラは、剛ハブを使用する回転空気力学式アクチュエータを指し得る(例えば、羽根とハブとの接続は、関節接続、可撓接続、剛接続及び/又はそれ以外の方法の接続とすし得る)。一方で、本明細書で使用する際、そのような区別は明示的でも暗示的でもなく、「ロータ」の使用は、両方の構成、及び関節羽根若しくは剛羽根のあらゆる他の適切な構成、及び/又は羽根と中心部材若しくはハブとの接続のあらゆる他の適切な構成を指し得る。同様に、「プロペラ」の使用は、両方の構成、及び関節羽根若しくは剛羽根のあらゆる他の適切な構成、及び/又は羽根と中心部材若しくはハブとの接続のあらゆる他の適切な構成を指し得る。したがって、ティルトロータ航空機は、ティルトプロペラ航空機、ティルトプロップ航空機と呼ばれ得、及び/又は適切に別様に呼ばれ若しくは説明され得る。
【0046】
本実施例において、回転翼100は、複数の傾斜可能なロータ組立体(例えば、6つの傾斜可能なロータ組立体)を備える電動ティルトロータ航空機に統合され、傾斜可能なロータ組立体のそれぞれは、本明細書に記載の羽根設計に従って構成された多翼型羽根を備えるロータを備える。電動ティルトロータ航空機は、固定翼航空機や回転翼航空機として、および固定翼状態と回転翼状態との間の任意の限界構成で動作し得る(例えば、複数の傾斜可能なロータセンブリのうちの1以上が部分的回転状態で配向される)。この例の電動ティルトロータ航空機の制御システムは、固定翼構成と回転翼構成の範囲内で、かつ/または固定翼構成と回転翼構成との間で、複数の傾斜可能なロータセンブリを命令および制御するように機能し得る。
【0047】
本実施例において、回転翼100は、2019年5月10日に出願された米国出願番号16/409,653に記載されているティルトロータ航空機に統合することができ、この文献によりその全体が組み込まれる。
[2.本実施例による効果]
【0048】
本技術のバリエーションは、従来の回転翼かつ/またはその設計方法と比較していくつかの利益かつ/または利点をもたらし得る。
【0049】
第一に、本発明者らは、力学的効率を高めるための翼型部形状の従来の最適化が、多回転翼(例えば、プロペラ羽根)を利用する翼型部かつ/またはプロペラの音響性能に悪影響および直感に反する影響を及ぼし得ることを発見した。これは、ロータディスク全体で変化する流入条件(たとえば、
図3に示す)によって引き起こされ得る。これにより、各羽根で異なる流入条件(たとえば、有効迎え角)が発生し、異なる動的空気力が発生する。したがって、回転面荷重は非対称/不均一である。荷重の非対称性/不均一性の大きさは、望ましくない音響出力の大きさに比例する可能性があり、より効率的な翼型部(たとえば、より急な揚力係数曲線の画定)は、荷重の非対称性/不均一性を悪化させる可能性がある(たとえば、
図4に示す)。したがって、本技術のバリエーションは、回転するプロペラによって画定されるロータディスク全体の流入条件の変化の影響を低減し、望ましくない音響出力を低減するという対応する利点を伴う、型にはまらない、直感に反する翼型部形状を生成し、かつ利用し得る。
【0050】
第二に、本技術のバリエーションは、効率的な前進飛行を提供し、VTOL(Vertical Take-Off and Landingの略)仕様のホバリング時の回転翼の音響特性を低減し得る。このようなバリエーションでは、回転翼は、ホバリングモードと前進飛行モードで揚力係数曲線のさまざまな領域で動作する。このような変形形では、回転翼は、ホバリングモードの音響範囲内で動作するように構成することができ、その最小dBレベルは、30未満、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110またはその他の適切なdBレベル;最大dBレベルは40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、120超、またはその他の適切なdBレベル、である。このようなバリエーションでは、回転翼(かつ/または翼型部を備えるロータまたは航空機)は、前進モードの適切な音響範囲内で動作するように構成することができ、その最小dBレベルは、30未満、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、またはその他の適切なdBレベルの最小dBレベルで、最大dBレベルは40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、120超、それらの間の範囲、かつ/またはその他の適切なdBレベル、である。音響範囲は、この音響範囲をEPNL(EffectivePerceivedNoiseLevel(実効感覚騒音レベル))スケール(EPNdB)、A加重(dBA)、C加重(dBC)、Z加重、CNEL、NDL、SEL、SENEL、Leq、Lmax、かつ/またはノイズレベルの他の表現に変換することによって同様に決定できる。これらは0m、10m、25m、50m、100m、150m、200m、300m、500m、1000m、および又はその他の適切な近接の距離で測定されたものである。またあるいは、音響範囲について上記で説明した数値を、前述のノイズレベル表現に適用され得る。
【0051】
従来、ホバリングモードでの航空機の動作は、負荷の非対称性/不均一性に起因する騒音特性の増加に対応する、地面の影響(「汚れた空気」)に起因するより大きな流入変動を示す。
ホバリングモードは、規制要件を満たしユーザー・エクスペリエンスを向上させるために騒音特性を低減することが最も重要な、人口密集地域近辺で使用され得るので、この設計のバリエーションによって与えられる音響特性は、利用している人間又は民間のホバリングモード操作に特に望ましくなり得る。このようなバリエーションでは、揚力係数曲線が、前方迎え角における揚力係数曲線よりも浅い傾斜を有するホバリング中(例えば、ホバー迎え角範囲での動作中)の音響性能を改善するために、回転翼は効率的ペナルティ(例えば、~3%)を被る。これにより、抗力の増加はあるが、流入の変動に起因する荷重の非対称性/不均一性を最小限に抑えることができる。この効果は、回転翼の音響性能を改善する従来の手段と組み合わせると、複合的なプラスの効果をもたらし得る。たとえば、羽根を翼長に沿って先細にする、羽根をねじって長さ方向に沿ってピッチ角を変更する、羽根の先端を傾ける(例えば下反角や二面角)、羽根ののさまざまな部分のさまざまなレイノルズ数範囲(たとえば、内側部分の低いReと外側部分の高いRe)に合わせて翼型部断面を最適化する、かつ/またはロータに対するノイズ削減のためのその他の従来手法、などである。ここで、このようなバリエーションでは、回転翼は、航空機の運航の大部分を占めている前進飛行で大きな効率的ペナルティを被ることはない。前進飛行中に前方迎え角範囲で動作することにより、高い推進効率が、航空機に供給される燃料かつ/または電気のコストを最小化し得、再給油/再充電の停止の回数を最小化し得、エネルギー貯蔵システムの車両重量を減らし得、かつ/または航空機の航続距離を改善する。回転翼の効率曲線300の例を
図11に示す。
【0052】
第三に、本技術のバリエーションは、流れの分離点が、迎え角の関数として変わらない(例えば、ホバリング範囲内で)、または、迎え角のすべての操作範囲にわたって所定の距離未満(例えば、翼弦線の10%未満、5%、3%など)で変わる、翼型部の幾何学的形状を画定する。これにより、流れの分離による抗力の影響を減らすことができ、翼型部の空力失速かつ/または最大揚力条件210がより高い迎え角(たとえば、半臨界迎え角の後、5度超え)で発生し、その結果、
図8の例に示すように、穏やかな失速動作202が発生する。
【0053】
第四に、本技術のバリエーションは、回転翼羽根の振動を最小化して、様々な流入条件での羽根の音響性能を改善する。さまざまな流入は、次の原因で発生し得る。すなわち、風、圧力などの周囲の気象要因、地面の影響、その他の周囲の影響など。および、任意の平面に配置され得、ディスク平面と同一平面上にあり得、ディスク平面に平行であり得、ディスク平面と交差し得、ディスク平面に直交し得、および/またはディスクに対して任意の方向であり得る、航空機の他のロータなど。およびその他の変動する流入源、である。このようなバリエーションでは、羽根特性は、次の結果として、振動特性の改善、荷重分散の改善、および曲げとねじれの剛性の向上を提供する。すなわち、羽根を翼長に沿って先細にする、羽根をねじって長さ方向に沿ってピッチ角を変更する、羽根の先端を傾ける(例えば下反角や二面角)、羽根ののさまざまな部分のさまざまなレイノルズ数範囲(たとえば、内側部分の低いReと外側部分の高いRe)に合わせて翼型部断面を最適化する、かつ/またはロータに対するノイズ削減のためのその他の従来手法、である。
【0054】
第五に、本技術のバリエーションは、小さなピッチングモーメントを画定する翼型部を提供し得る。このようなバリエーションでは、可変羽根ピッチの範囲内で指定された羽根ピッチを維持するために必要なトルクは、より大きなピッチングモーメントを画定する翼型部と比較して減少する。したがって、可変ピッチプロペラシステムは、そのような本技術のバリエーションを使用して、より小さなかつ/またはより低いトルクの可変ピッチアクチュエータと共に、その結果、コストおよび重量を低減して、実施され得る。
【0055】
第六に、本技術のバリエーションは、滑らかに変化する穏やかな失速動作を画定する翼型部を提供し得る(例えば、
図4に示されるように、失速角を超える迎え角を伴う揚力係数の浅いロールオフ)。例えば、翼型部は、上面に沿って(例えば、翼弦中点の前方、翼弦中点の後方などに)隆起した特徴125(例えば、突起)、それに続いて下向きのテーパー、を含み得る。それは、迎え角が失速角を超えて増加するにつれて、隆起した特徴の近位にある境界層分離ポイントを局所化する。ここで、本技術のバリエーションは、別様には、揚力係数の、スムーズにそしてゆっくりと変化する失速後の減少を、適切に提供し得る。
【0056】
ここで、本技術のバリエーションは、追加的または代替的に、任意の他の適切な利益かつ/または利点を提供し得る。
[3.システム]
【0057】
図1に示されるように、回転翼100は、断面および翼長を画定し、ここで、断面110は、翼長に沿った点(例えば、翼長方向の点)の関数であり、各翼長方向の点で上面120および下面130を画定する。回転翼100はまた、断面において、翼型部が空気中を回転する迎え角の関数である揚力係数(C
L)を画定する。ここで、回転翼100は、他の適切な構成要素または特徴を、追加的または代替的に、含むかまたは画定し得る。
【0058】
回転翼100は、車両(例えば、航空機)を推進するために使用され得る流体(例えば、空気)を通って回転するときに、動的空気力を生成するように機能する。回転翼は、単一の翼型部断面特性または複数の翼型部断面特性を画定し得る。
【0059】
回転翼は、好ましくは、推進システムにおいて使用され、推進システムは以下を含み得る。すなわち、回転翼のセット、回転翼のセット(例えば、3、4、5、6、またはその他の適切な数の回転翼)を取り付けるロータハブ、回転翼のセットを前方構成とホバリング構成との間で旋回させる傾斜機構、および回転翼100のピッチ角535(したがって迎え角)を変更するピッチング機構530(たとえば、
図16の例に示されているような)、である。ここで、推進システムは、追加的または代替的に、他の適切な構成要素または特徴を含むか、または画定し得る。推進システムは、米国出願番号16/430,163に開示され、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるもの、または他の適切な推進システムであり得る。
【0060】
推進システムは、好ましくは、ティルトロータ航空機などの航空機で使用されるが、追加的または代替的に、他の適切な方法で使用され得る。バリエーションにおいて、航空機は、航空機本体の周りに分散された(例えば、航空機の重心の周りに均等に分散された、または、不均一に分散された、など)複数(例えば、4、6、8、10など)の推進システム、または、単一の推進システム、を含み得る。航空機に複数の推進システムが含まれている場合、各推進システムによって画定されるディスク平面は、同じ航空機上の1以上の他の推進システムと並べるまたはオフセットを持たせ得る。航空機は、手動制御、自動制御、選択的自動制御、またはその他の方法で制御され得る。航空機は、米国出願番号16/409,653に開示され、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるもの、または、他の適切な航空機であり得る。
【0061】
回転翼100の断面は、好ましくは、
図17に示すように、前縁150、後縁160、および前縁と後縁との間に延びる翼弦線170を画定する。翼弦線は、好ましくは、断面の参照寸法として使用され得る翼弦長171(L)を画定する。翼弦長Lは次であり得る。すなわち、<1cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、7cm、10cm、15cm、20cm、25cm、30cm、35cm、50cm、<1cm、0.02m~1m、1~5cm、5~10cm、10~15cm、15~25cm、25~50cm、>50cm、かつ/またはその他の適切な長さ、である。回転翼は、回転翼の翼長に沿って単一の翼弦長または複数の翼弦長を画定し得る。前縁は弓形であることが好ましいが、任意の適切な幾何学的形状を有し得る。前縁半径155は、特定の寸法、翼弦長に対する特定の寸法、または回転翼の翼長に沿った翼弦長に対して可変であり得る。前縁は前縁半径を画定し得、前縁半径は翼弦長を基準にして画定され得、または別様の寸法(メートル単位など)にもされ得る。前縁半径は次であり得る。すなわち、0.01L、0.02L、0.03L、0.05L、0.07L、0.1L、0.15L,0.2L、<0.01L、0.01L~0.03L、0.03L~0.05L、0.01L~0.05L、0.05L~0.07L、0.07L~0.10L、0.05L~0.10L、0.1L~0.2L、>0.2L、かつ/または任意の適切な半径、である。、後縁は、弧状、鋭い/尖った、かつ/またはまっすぐにカットしたものであり得る。第1の変形形態では、後縁は弧状であり、後縁半径を画定する。後縁半径は、特定の寸法、翼弦長に対する特定の寸法、または回転翼の翼長に沿った翼弦長に対して可変であり得る。後縁の半径は、翼弦長を基準にして画定され得、別様の寸法(メートル単位など)にもされ得る。後縁半径は、次であり得る。すなわち、0、0.001L、0.002L、0.003L、0.005L、0.007L、0.01L、0.015L、0.02L、0.03L、0.05L、0.07L、0.1L、<0.005L、0.005~0.01L、0.01~0.03L、0.03~0.05L、0.01~0.05L、0.05~0.1L、>0.1L、かつ/または任意の適切な半径、である。第2の変形形態では、後縁は後縁翼厚を画定する。第2の変形形態の第1の例では、後縁翼厚は、後縁の半径の2倍であり得る。第2の変形形態の第2の例では、後縁は真っ直ぐに切断されている(またはほぼ真っ直ぐに切断されている)。後縁翼厚は、特定の寸法、翼弦長に対する特定の寸法、または回転翼の翼長に沿った翼弦長に対して可変であり得る。後縁翼厚は、翼弦長を基準にして画定され得、別様の寸法(メートル単位など)にもされ得る。後縁翼厚は、次であり得る。すなわち、0、0.001L、0.002L、0.003L、0.005L、0.007L、0.01L、0.015L、00.02L、0.03L、0.05L、0.07L、0.1L、<0.005L、0.005~0.01L、0.01~0.03L、0.03~0.05L、0.01~0.05L、0.05~0.1L、>0.1L、かつ/または任意の適切な翼厚、である。
【0062】
回転翼の断面は、上面と下面との間の翼厚を画定する。第1の変形形態では、
図1および5に示すように、上面および下面は、それぞれ翼弦線の上および下にある。第2の変形形態では、上面および下面は両方とも翼弦線の上にある。第3の変形形態では、上面は翼弦線の上にあり、下面の一部(後縁に近い)は翼弦線の上にある。上面と下面は非対称であり得る(たとえば、翼弦線に対して非対称である回転翼を画定する)が、代替的にに対称でもあり得る(たとえば、対称な翼型部を画定する)。断面は、回転翼の翼長に沿って任意の適切な方法で変化し得る。たとえば、断面は、翼長に沿った各ポイントの迎え角が異なるように、同じ縮尺形状を維持しながら(たとえば、各翼弦方向部分の翼厚と翼弦線の比率は、翼弦線が翼長に沿って長さを変更しても静的なままであり、キャンバーラインは、キャンバーラインの長さが変化しても翼長に沿って同じ形状を維持する、など)、翼長に沿ってねじることができる。別の例では、断面形状は翼長に沿って変化し得る(例えば、上面が、翼長の第1の部分でより顕著な隆起した特徴を画定し、隆起した特徴は、翼長の第2の部分ではあまり目立たないなど)。ここで、断面は、他の適切な翼長方向の変動(たとえば、変動なしを含む)を画定し得る。
【0063】
上面は、流入空気101の流れ場を操作して、流れ場の平均速度が下面の近位の流れ場の速度よりも高く、平均静圧が低くなるように、機能する。下面(例えば、圧力面)は、流入空気の流れ場を操作して、流れ場の平均速度が上面に近い流れ場の平均速度よりも低く、平均静圧が高くなるように、機能する(たとえば、ホバリング構成で)。
【0064】
回転翼は、任意の適切な翼厚を有し得る。回転翼の断面の翼厚は、翼弦方向の位置での上面と下面の間の距離として定義される。回転翼は、任意の適切な最大翼厚を有し得る。回転翼の最大翼厚は、特定の寸法、翼弦長に対する特定の寸法、または回転翼の翼長に沿った翼弦長に対して可変であり得る。最大翼厚175は、翼弦長に対して画定され得、別様の寸法(例えば、メートル単位)にもされ得る。最大翼厚は、以下であり得る。すなわち、050L、0.075L、0.100L、0.110L、0.115L、0.120L、0.125L、0.130L、0.135L、0.140L、0.150L、0.200L、0.25L、<0.075L、0.05~0.10L、0.100~0.150L、0.120~0.130L、0.05~0.25L、>0.25L、かつ/または任意の適切な翼厚、である。最大翼厚は、任意の適切な弦方向位置176で生じ得る。好ましくは、最大翼厚は、以下の弦方向位置で生じ得る。すなわち、0.20L、0.25L、0.30L、0.33L、0.35L、0.36L、0.363L、0.365L、0.37L、0.40L、0.45L、0.50L、0.55L、0.60L、<0.20L、0.20~0.30L、0.30~0.40L、0.35~0.38L、0.40~0.50L、0.50~0.60L、>0.50L、かつ/または任意の適切な弦方向の位置、である。
【0065】
翼型部の翼厚は、好ましくは、前縁と後縁との間に延びるキャンバーライン172を画定する。キャンバーラインは、翼弦線の上にあることが好ましいが、任意の適切な幾何学的形状を有し得る。キャンバーラインは、任意の適切な最大キャンバーを画定し得る。回転翼の最大キャンバー173は、特定の寸法、翼弦長に対する特定の寸法、または回転翼の翼長に沿った翼弦長に対して可変であり得る。最大キャンバーは、弦の長さを基準にして画定され得、、別様の寸法(例えば、メートル単位)にもされ得る。最大キャンバーは、以下であり得る。すなわち0.01L、0.02L、0.03L、0.05L、0.07L、0.10L、0.15L0.20L、<0.01L、0.01~0.03、0.03~0.05、0.01~0.05L、0.05~0.07L、0.07~0.10L、0.05~0.10L、0.10~0.20L、>0.20L、かつ/または任意の適切なキャンバー、である。最大キャンバーは、任意の適切な翼弦方向位置174で生じ得る。好ましくは、最大キャンバーは、前縁と最大翼厚の翼弦方向位置との間で生じるが、最大翼厚と同じの翼弦方向位置で、または任意の適切な翼弦方向位置で、後縁と最大翼厚の翼弦方向位置との間で交互に生じ得る。最大キャンバーは、以下の翼弦方向位置コード方向の位置で生じ得る。すなわち、0.20L、0.25L、0.26L、0.27L、0.28L、0.29L、0.30L、0.31L、0.32L、0.33L、0.34L、0.35L、0.36L、0.363L、0.365L、0.37L、0.40L、0.45L、0.50L、<0.20L、0.20~0.30L、0.30~0.40L、0.35~0.38L、0.40~0.50L、>0.50L、かつ/または任意の適切な翼弦方向位置、である。キャンバーラインは、任意の適切な前縁キャンバー角156を画定し得る。回転翼の断面の前縁キャンバー角は、特定の寸法または回転翼の翼長に沿って可変であり得る。前縁のキャンバー角度は、以下であり得る。すなわち、<1度、0度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、12度、15度、17度、20度、30度、45度、>45度、1~5度、5~10度、10~15度、15~20度、20~30度、30~45度、かつ/または任意の適切な角度、である。キャンバーラインは、適切な後縁キャンバー角を画定し得る。回転翼の断面の前縁キャンバー角は、特定の寸法または回転翼の翼長に沿って可変であり得る。後縁キャンバー角度は以下であり得る。すなわち、<1度、0度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、12度、15度、17度、20度、30度、45度、>45度、1~5度、5~10度、10~15度、15~20度、20~30度、30~45度、かつ/または任意の適切な角度、である。
【0066】
翼型部の翼厚は、キャンバーラインに垂直に測定され得(「アメリカの慣習」)、かつ/または翼弦線に垂直に測定され得る(「イギリスの慣習」)。
【0067】
翼型部の翼厚は、翼型部の上面および翼弦線に対して任意の適切な上部キャンバー178を画定し得る。最大上部キャンバーは、好ましくは、後縁と最大キャンバーの翼弦方向位置との間で生じるが、前縁と最大キャンバーの翼弦方向位置との間、最大キャンバーと同じ翼弦方向位置、または任意の適切な弦方向位置で、交互に生じ得る。
【0068】
翼型部の翼厚は、翼型部の下面および翼弦線に対して任意の適切な下部キャンバー179を画定し得る。好ましくは、最大下部キャンバーは、前縁と最大上部キャンバーの弦方向位置との間で生じるが、後縁と最大上部キャンバーの弦方向位置との間、最大上部キャンバーと同じ弦方向位置、または任意の適切な翼弦方向位置で、交互に生じ得る。
【0069】
翼型部の翼厚は、翼型部の上の流れに停滞ゾーンを作成するように機能し、境界層を厚くし、有効な後縁を翼型部の上面から離れるように上方に押し上げる(例えば、
図6に示すように)、半臨界分離点140を画定し得る。境界層204の厚み化および有効な後縁の上方への変位は、所与の迎え角で揚力係数を減少させるように機能し得る(例えば、C
L(α)曲線を平坦化する)。半臨界分離点は、迎え角が大きくなるにつれて分離点を上流に移動させる代わりに、迎え角の増加に伴って上面に沿って境界層分離点を局所化するように機能し得る(たとえば、
図7の(A)~(B)に示すように)。そして「穏やかな」失速動作につながる(たとえば、
図4の例に示すように、失速点を超えて迎え角が大きくなると共に、揚力係数がゆっくりとロールオフする)。半臨界分離点は、以下の翼弦方向点177に配置され得る。すんわち、0.05L、0.10L、0.15L、0.20L、0.25L、0.30L、0.35L、0.40L、。45L、0.50L、0.55L、0.60L、0.65L、0.70L、0.75L、0.80L、0.85L、0.90L、0.95L、<0.25L、0.25~0.50L、0.50~0.75L、>0.75L、0.20~0.80L、かつ/または上面に沿ったその他の適切な位置、である。
【0070】
準臨界分離点は、
図12の(A)~(B)の例に示すように、迎え角の範囲かつ/またはレイノルズ数の範囲に対して画定され得るレイノルズ数は以下であり得る。すなわち、10k、30k、50k、100k、200k、300k、400k、600k、800k、1000k、1500k、2000k、3000k、5000k、10000k、<50k、50k~100k、50k~1000k、50k~10000k、100k~300k、300k~1000k、1000k~10,000k、>1000k、>10M、かつ/またはその他の適切なレイノルズ数の範囲、である。準臨界攻撃角度は、以下であり得る。すなわち、0度、1度、2度、3度、4度、5度、50.5度、6度、60.5度、7度、8度、9度、10度、11度、12度、13度、14度、15度、>15度、<0度、5~10度、6~8度、8~10度、1~6度、10~15度、かつ/または他の適切な角度、である。
【0071】
半臨界分離点は、翼型部に沿った1以上の翼弦方向または翼長方向の点に沿って配置された1以上の分離特徴によって画定され得る。分離機能は、分離機能の前、上、または後に半臨界分離点を画定し得る。使用できる分離機能の例としては、以下を含む。すなわち、球台、カテノイド、コノイド、ルーン、ウェッジ、コーン、ティアドロップ、かつ/または他の適切な幾何学的形状を有する分離機能、である。
【0072】
第1の変形形態においては、
図5に示されるように、翼型部断面の上面は、好ましくは、半臨界分離点を画定する下向きテーパーが(翼弦方向に)続く分離特徴を画定する。特定例において、断面は、実質的に
図5に示す形状を有する突起およびその後のテーパーを画定する。代替の例では、分離は、溝、チャネル、表面粗さの変化、かつ/または異なる特徴などといった、他の任意の適切な形状(例えば、スケール不変の寸法、無次元形状など)であり得る。
【0073】
いくつかのバリエーションでは、翼型部の下面は、上面に関連して上記のように実質的に突起を画定し得る。突起は、断面の上面の突起に対して同一に形成されおよび配置され得るが、上面の突起に対して非対称に形成されかつ/または配置され得る(例えば、多かれ少なかれ顕著なバンプ、アッパーバンプなどよりも前縁に向かって、または前縁から離れて配置されている、など)。さらなる代替案では、突起を上面から省略し、下面のみに含め得る。
【0074】
第2の変形形態においては、半臨界分離点は、例えば、上部キャンバーの曲率の変化、下部キャンバーの曲率の変化、キャンバーの曲率の変化、キャンバーの極大値、上部キャンバーの極大値、かつ/または下部キャンバーの極大値などの、断面の特定の幾何学的形状に関連している。
【0075】
第1の例では、翼型部断面は表1によって画定される。第2の例では、翼型部断面は表2によって画定される。ここで、翼型部断面は別様にも画定され得る。
【表1】
【表2】
【0076】
第1の例の第1のバリエーションでは、翼型部断面は、表1から選択された少なくとも5点のセットによって画定される。第1の例の第2のバリエーションでは、翼型部断面は、表1から選択された少なくとも10点のセットによって画定される。第1の例の第3のバリエーションでは、翼型部断面は表1のすべてのポイントによって画定される。第1の例の第4のバリエーションでは、各ポイントは表1に示す値の間の値である。間の値とは、以下であり得る。すなわち、<0.0001、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、かつ/または任意の適切な間の値、である。間の値は、弦方向の位置(x/L)と厚みの位置(t/L)で同じでも異なっていて良い。
【0077】
第2の例の第1のバリエーションでは、翼型部断面は、表2から選択された少なくとも5点のセットによって画定される。第2の例の第2のバリエーションでは、翼型部断面は、表2から選択された少なくとも10点のセットによって画定される。第2の例の第3のバリエーションでは、翼型部断面は表2のすべてのポイントによって画定される。第2の例の第4のバリエーションでは、各ポイントは表2に示す値の間の値である。間の値とは、以下であり得る。すなわち、<0.0001、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、かつ/または任意の適切な間の値、である。間の値は、弦方向の位置(x/L)と厚みの位置(t/L)で同じでも異なっていて良い。
【0078】
第3の例では、回転翼は、表1によって画定される第1の翼型部断面、および、表2によって画定される第2の翼型部断面、を画定し得る。第1および第2の翼型部断面は、翼型部の異なる翼長方向部分と関連付けられ、かつ/または他の適切な断面と結合され得る。第1の断面と第2の断面との間で、翼型羽根は、任意の適切な混合、補間、かつ/または他の平滑化を含み得る。
【0079】
回転翼は、任意の適切な長さ(例えば、羽根長)の翼長を画定し得る。翼長は、翼弦長、かつ/または任意の適切な長さに関係なく、断面的な翼弦長に対してサイズを決め得る。翼長は、以下であり得る。すなわち、5L、10L、15L、20L、25L、50L、<5L、5~25L、25~50L、>50L、<5cm、5cm、10cm、25cm、30cm、35cm、40cm、45cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、1m、10.25m、10.5m、10.75m、20.5m、5m、10m、15m、20m、5~25cm、25~50cm、50~100cm、0.1m~15m、1~2m、1~4m、5~10m、10~20m、>20m、かつ/または他の適切な長さ、である。
【0080】
回転翼は、任意の適切なピッチ角を画定し得る。ピッチ角は静的または可変であり得る。ピッチ角は、羽根上の任意の適切な翼長方向の位置でのロータディスク平面に対する翼弦線の角度として画定され得る。特定の例では、ピッチ角は、長さの75%(半径方向外向き)の翼長方向の位置を基準にして画定される。回転翼のピッチ角は、以下でありうる。すなわち、<-15度、-10度、-5度、-5度、-4度、-3度、-2度、-1度、0度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、12度、15度、17度、20度、21度、22度、25度、30度、35度、45度、60度、90度、1~5度、5~10度、10~15度、15~20度、20~25度、25~30度、30~35度、35~45度、>45度、かつ/または任意の適切なピッチ角、である。第1の変形形態では、ピッチ角は、ピッチング機構を介して可変である。第2の変形形態では、有効迎え角はモータRPMによって、さまざまな有効ピッチ角に対応するさまざまな速度で、制御される。
【0081】
回転翼は、翼長に沿ったねじれ角を画定し得る。ねじれ角は、回転翼の翼長方向の部分にわたる(例えば、翼型部の全長にわたる)翼弦線の角度の変化(例えば、羽根の幾何学的形状に対する、ロータディスク平面に対する、など)であり得え、かつ、/または別様に画定され得る。ねじれ角(の絶対値)は、以下であり得る。すなわち、0度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、12度、15度、17度、20度、25度、30度、35度、40度、45度、50度、10~60度、20~50度、1~5度、5~10度、10~15度、15~20度、20~25度、25~30度、30~35度、25~35度、35~40度、40~50度、>50度、かつ/または任意の適切なねじれ角、である。
【0082】
回転翼は、任意の適切な翼長方向の幾何学的形状を画定し得る。好ましくは、回転翼の上面は、一般に、ヴェシカパイシス幾何学的形状(すなわち先のとがった端部を持つ楕円形)であるが、追加的または代替的に、先端に向かって先細になり、一定の断面積を有し、可変の断面積を有し、かつ/または他の任意の適切な幾何学的形状を有し得る。テーパー角度は、翼型部の前縁、後縁、回転翼の内側部分、かつ/または先端において、同じであっても異なっていてもよい。
図19の(C)の例では、角度193、194、195、および196は、同じであっても異なっていてもよい。これらの角度は、任意の適切な角度であり得る。193および195は、以下であり得る。すなわち、<-10度、-10度、-5度、-4度、-3度、-2度、-1度、0度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、12度、15度、17度、20度、30度、45度、1~5度、5~10度、10~15度、15~20度、30~30度度、30~45度、>20度、かつ/または任意の適切な角度、である。194および196は、以下であり得る。すなわち、0度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、12度、15度、17度、20度、30度、45度、60度、90度、1~5度、5~10度、10~15度、15~20度、30~30度、30~45度、45~60度、60~90度、>20度、かつ/または任意の適切な角度、である。
【0083】
回転翼の先端は、任意の適切な幾何学的形状を有し得る。先端は、平ら、丸みを帯びた、または尖ったものであり得、点、エッジ、面、かつ/または他の適切な幾何学的形状であり得る。
図19の(D)に示されるように、回転翼は、任意の適切な先端角度198を有し得る。刃先は、下反角、上反角、角度なし、かつ/または任意の適切な角度、であり得る。先端角度は、以下であり得る。すなわち、0度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、12度、15度、17度、20度、25度、30度、37度、45度、52度、60度、1~5度、5~10度、10~15度、15~20度、30~30度、30~45度、>60度、かつ/または任意の適切な角度、である。
【0084】
図19の(A)および(B)に示されるように、回転翼は、任意の適切なねじれ角192を有し得る。ねじれ角は、好ましくは、回転翼の翼長191に沿った有効迎え角を変更する。羽根ねじれ角は、好ましくは、最も内側と外側の(先端)断面との間で画定されるが、任意の2つの断面の間、羽根の一部分、かつ/または任意の適切な角度で画定され得る。ねじれ角は、以下であり得る。すなわち、0度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、12度、15度、17度、20度、25度、30度、35度、40度、45度、1~5度、5~10度、10~15度、15~20度、20~25度、25~30度、30~35度、25~35度、35~40度、>40度、かつ/または任意の適切なねじれ角、である。
【0085】
図19の(D)に示されるように、回転翼は、任意の適切な回転翼の取り付け角度197を有し得る。好ましくは、角度197は0度であるが、正または負であり得る。回転翼の取り付け角度は、以下であり得る。すなわち、-10度、-5度、-4度、-3度、-2度、-1度、0度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、12度、15度、17度、20度、<0度、1~5度、5~10度、10~20度、>20度、である。
【0086】
回転翼は、任意の適切な製造技術を使用して、任意の適切な材料で構築され得る。回転翼は、複合材料(例えば、炭素繊維、ガラス繊維など)、金属、金属合金、プラスチック、かつ/またはそれらの組み合わせ(例えば、異なる材料/製造の内部支持部材)であり得るが、追加的または代替的に適切な材料を含み得る。回転翼は、中実、中空(単一または複数の空洞を有する)であり得、かつ/または他の方法で構築され得る。回転翼は、任意の適切な質量を有し得る。回転翼は、以下であり得る。すなわち、<1kg、1~3kg、3~5kg、5~10kg、10~50kg、50~100kg、100~250kg、>250kg、かつ/またはその他の適切な質量、である。
【0087】
ロータハブは、回転翼羽根を回転可能に取り付ける。ロータハブは、任意の適切な数の回転翼羽根を取り付け得る。好ましくは5つの回転翼羽根が存在するが、2、3、4、6、>6個、かつ/または任意の適切な数の羽根が存在し得る。羽根は、回転軸に関して任意の適切な相対関係を持ち得る。第1の変形形態では、羽根は対称的に取り付けられる。第2の変形形態では、羽根は、2019年6月3日に出願された米国出願番号16/430,163に記載されている配置で取り付けられ、この参照によりその全体が組み込まれる。回転翼羽根は、好ましくは、機械的結合、留め具、かつ/または他の取り付け技術を介して、回転軸の周りに半径方向に取り付けられる。回転羽根は直接かつ/または間接的に取り付けられ得る。回転翼羽根は、羽根ピッチング機構かつ/または他の構成要素によって、部分的かつ/または完全に支持することができる。回転翼羽根は、ロータハブ(例えば、1つの構成要素)に統合されるか、ロータハブから分離されるか、かつ/または他の方法で構成され得る。第1の例では、エンジン、モーターのロータ、または他の電源などのような、ロータハブに接続された別個の電源がある。第2の例では、ハブは電気モータの固定子に統合されている。
【0088】
オプションのピッチング機構は、ロータ上の1以上の回転翼羽根の迎え角を変更し得る。単一のピッチングメカニズムまたは複数のピッチングメカニズム(例えば、ロータごとに1つ、ロータごとに複数、羽根ごとに1つなど)があり得る。ピッチングメカニズムは、羽根を独立して作動させることも、複数を同時に作動させることもでき得る。ピッチング機構は、ロータハブに統合されるか、ロータハブに接続/取り付けられるか、かつ/またはロータハブから分離され得る。好ましくは、ピッチング機構は、電気機械的に作動させ得るが、追加的または代替的に、油圧、空気圧、および/または地面で調整可能(人間の操作者または他の入力による)であり得る。ピッチングメカニズムは、有限数または無限数の位置の間で可変であり得る。ピッチング機構は、制御可能なピッチプロペラ(CPP)、スウォシュプレート、地上調整可能なロータ、かつ/または他のピッチング機構であり得る。
【0089】
オプションの傾斜機構540は、
図18の(A)~(C)の例に示されるように、各ロータの向きをホバリング構成と前方構成との間で遷移させるように機能する。傾斜機構はまた、ホバリングおよび前方構成における機体110(例えば、ディスク面)へのプロペラディスクの半径方向の投影がパイロットが配置されている航空機のどの部分とも交差しないように、ロータディスク104の可能な動きを制限するために、機能し得る。前進構成においてディスク面がパイロット領域の前方にある構成では、ディスク面は、好ましくは、移行の終点(例えば、ホバリング構成およびフォワード構成)を含むホバリング構成と前方構成との間の移行中の各点で、パイロット領域と交差しない。方向の移行には、以下が含み得る。すなわち、航空機のピッチ軸に平行な軸を中心にプロペラディスクをピッチングすること、ロータ組立体の一部を移行する(例えば、航空機の取り付け点に対して)こと、航空機のヨー軸に平行な軸を中心にロータディスクを回転させること、および、その他の適切な移行または回転かつ/または前述の移行様式の組み合わせ、である。
【0090】
各ロータに関連する傾斜機構は、好ましくは、ホバリング構成と前進構成との間で各ロータを調整する(例えば、ホバリングモードと前進モードとの間の航空機100の移行と併せて)。ここで、追加的または代替的なバリエーションにおいて、調整は、すべてのプロペラに関連する単一の傾斜機構(例えば、各ロータ取り付け点にしっかりと固定された傾斜翼)によって、多プロペラ(例えば、6つのプロペラのセットが対に細分され、各対がホバリング構成と前進構成との間の単一の傾斜機構によって移行される)のプロペラの数とは異なるいくつかの傾斜機構によって、実行され得、かつ/または別様に適切に実行され得る。第1のバリエーションでは、航空機100は、6つのプロペラおよび6つの傾斜機構を含み、6つの傾斜機構のうちの1つの傾斜機構は、6つのロータのうちの1つのロータに関連付けられる(例えば、ロータおよび傾斜機構は、1対1の対応を有する)。別のバリエーションでは、多ロータのうちの2以上のロータが単一の傾斜メカニズムに結合される。この単一の傾斜メカニズムとは、この単一の傾斜メカニズムの作動により、2以上のロータがホバリング構成と前進構成との間で移行する(例えば、ここで、2つ以上のロータがしっかりと翼に結合され、ホバリング構成と前進構成の間で航空機を操作するために傾斜機構がピッチ軸を中心に翼を回転させて)といったものである。
【0091】
バリエーションにおいて、傾斜機構は、推進組立体120の残りの部分に対して、電気モータおよびロータの全体を機体(例えば、翼、パイロンなど)から離して変位させ得る。変位は、好ましくは、リンク機構(例えば、
図18の(A)~(C)に示されるような)を含む傾斜機構によって実行される。そのようなバリエーションでは、少なくとも1つのロータの傾斜機構は、ホバリング構成において(例えば、翼またはパイロンから前方または後方に)電気モータおよびロータをロール軸に平行に変位させる、リンク機構を含む。
【0092】
追加的または代替的なバリエーションにおいて、傾斜機構は、ロータ自体を回転させて、前進構成とホバリング構成との間で移行させ得る。このようなバリエーションの航空機の一例において、左機外ロータ組立体、右機外ロータ組立体、左後部ロータ組立体、および右後部ロータ組立体の傾斜機構はそれぞれ、前進構成とホバリング構成の間で各推進組立体を回転させる旋回軸を含む。
【0093】
特定例において、傾斜機構は、2019年5月10日に出願された米国出願番号16/409,653に記載されている傾斜機構であり、この参照によりその全体が組み込まれる。ここで、他の適切な傾斜メカニズムが使用され得る。
【0094】
ここで、航空機は、追加的または代替的に、任意の適切な方法で、任意の適切な数の傾斜機構に関連する任意の適切な数のロータを含み得る。
【0095】
回転翼の断面の揚力係数は、周囲の流体(例えば、空気)の流体密度、流体速度、および参照面積(例えば、翼型部の表面積、翼型部の断面積、翼弦長や翼長などのような際立った長さスケールの二乗)に関して、攻撃角度の範囲での回転翼の揚力(たとえば垂直力)性能を無次元で画定する(たとえば、揚力係数はC
L(α)として定義される)。バリエーションにおいて、C
L(α)は、流入の変動による有効迎え角の変動が翼型部によって生成される揚力の最小の変動をもたらすような(たとえば、
図4に示すように)所望の動作角度範囲(例えば、8度≦α≦10度)内において浅い(例えば、最小の傾斜を有する)ことが好ましい。一例において、回転翼は、所望の迎え角の範囲(例えば、動作の角度範囲)内で迎え角に対してほぼ一定である(例えば、ほぼゼロの勾配を有する)揚力係数を画定する。
ここで、揚力係数は、任意の所望の迎え角の範囲で任意の他の適切な傾斜を有し得る(例えば、揚力係数は、任意の他の適切な形状を画定し得る)。
【0096】
揚力係数曲線201の所望の角度領域における揚力係数の浅い傾斜は、そのような揚力係数曲線によって定義される2つ以上の回転翼を利用するプロペラの動作の間、心理音響的利益を提供するように、機能し得る。たとえば、浅い傾斜は、羽根を希望の範囲内の有効迎え角で動作させるこのようなプロペラの音響出力の高調波を減衰させ得る。これにより、心理音響上の利点が得られ(たとえば、全体的な音響パワー出力を低下させることなく)。かつ/または空力効率の低下のための電位交換で全体的な音響パワー出力を低下させ得る(たとえば、これにより、迎え角の増加に伴って揚力係数の変化が急になるかもしれない)。音響効果は、より高い周波数(ここでは出力が心理音響的に敏感であり)でより顕著になり得る。
【0097】
回転翼の迎え角による揚力係数の変化はまた、望ましくは、
図4の例に示されるように、異なる翼型部形状と比較して、失速点の後の浅いロールオフを示す。これは、1以上の羽根の全部または一部が局所的な失速状態にある場合の羽根間の大きな負荷の不一致を防ぐように機能し得る。これは、1以上の回転翼の全部または一部が局所的な失速状態にあるときに推進力(または揚力)が急速に失われるのを防ぐためにも機能し得る。
【0098】
揚力係数曲線は、好ましくは、臨界迎え角245での最大CL点210(最大揚力に対応する)を画定する。臨界迎え角より下では、揚力係数曲線は、好ましくは、翼型部の上面の半臨界流れ分離点220での流れ分離の開始まで対応する、半臨界迎え角を画定する。
【0099】
揚力係数曲線は、1以上の勾配を画定し得る。揚力係数曲線の勾配は、以下のように決定され得る。すなわち、特定の迎え角での揚力係数曲線の導関数(たとえば、曲線を近似する関数の)、勾配式(迎え角の変化に対する揚力係数の変化)により、または別様に計算されて、である。勾配式は、適切なステップサイズに適用され得る。ステップは迎え角に対して以下であり得る。すなわち、迎え角の1度の変化、迎え角にわたる範囲(たとえば、第1迎え角範囲、第2迎え角範囲)、迎え角にわたる一部範囲(たとえば、第2迎え角の1/4)、揚力係数の固定ステップサイズ(たとえば、揚力係数の0.1の変化分)、かつ/または別様に計算されて、である。揚力係数の勾配は、勾配計算と同じ、類似、または異なる手法を使用して、勾配の変化率をさらに画定し得る。揚力係数曲線の勾配の変化率は、領域の一部にわたる勾配曲線の2つのステップ(重複または非重複であり得る)間の変化として、揚力係数曲線の領域の全体にわたり、または他の方法で計算されて、2次導関数として決定され得る。揚力係数曲線の勾配の変化率は、揚力係数曲線の曲率(最小曲率、最大曲率、かつ/または平均曲率)を見積って、線または曲線からの統計的偏差として決定され得、かつ/または別様に決定され得る。
【0100】
準臨界迎え角より下では、翼型形部は第1の迎え角範囲250(例えば、前進範囲)で作動する。揚力係数曲線は、翼型部の上面に付着した流れに対応する、第1の迎え角範囲内の線形(またはほぼ線形)領域を画定する。第1の迎え角範囲は、ロータディスク領域への可変流入が重大な圧力抵抗または非効率をもたらさないような十分な幅を持っている(
図13の(A)~(B)の例に示されているように)。第1の迎え角範囲の幅は、以下の通りである。すなわち、<1度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、1~4度、4~6度、6~10度、>10度、かつ/またはその他の適切な幅、である。第1の迎え角範囲は、以下の揚力係数曲線勾配255を有し得る。すなわち、<0.100度
-1、0.100度
-1、0.105度
-1、0.110度
-1、0.115度
-1、0.120度
-1、0.125度
-1、0.130度
-1、0.135度
-1、0.140度
-1、>0.140度
-1、0.100~0.110度
-1、0.110~0.120度
-1、0.115~0.125度
-1、0.120~0.130度
-1、0.110~0.130度
-1、>0.130度
-1、かつ/またはその他の適切な勾配、である。好ましくは、揚力係数曲線は、第1の迎え角範囲にわたってほぼ線形であるが、追加的または代替的に、上に凹状(傾斜の変化率を増加させる)、下に凹状(傾斜の負の変化率)、であり得、かつ/または適切な特性を有し得る。第1の迎え角範囲は、最小迎え角と最大迎え角によって画定され得る。第1の迎え角範囲の最小迎え角は、以下であり得る。すなわち、-10度、-7度、-5度、-3度、-1度、0度、1度、2度、3度、4度、5度、6度、7度、8度、9度、10度、<1度、<0度、かつ/またはその他の適切な最小迎え角、である。第1の迎え角範囲の最大迎え角は、以下であり得る。すなわち、1度、2度、3度、4度、5度、6度、7度、8度、9度、10度、11度、12度、13度、15度、かつかつ/またはその他の適切な最大迎え角、である。
【0101】
臨界迎え角より上、かつ、臨界迎え角より下では、翼型部は、第2の迎え角260(例えば、ホバリング範囲)で作動する。第2の迎え角範囲は、好ましくは、第1の迎え角範囲よりも揚力係数曲線の傾斜が浅く、半臨界分離点と後縁との間の翼型部の上面上の分離流に対応するが、代替的に、急勾配または第1の迎え角範囲と同じ勾配を有し得る。第2の迎え角範囲は、第1の迎え角範囲よりも小さい、大きい、または同じ幅を有し得る。第2の迎え角範囲は、好ましくは、第1の迎え角範囲とは独立し区別されるものであるが、追加的または代替的に、第1の迎え角範囲と重なり得る。第2の迎え角範囲は、第1の迎え角範囲に隣接(例えば、近隣)し得、または第3の迎え角範囲によって分離され得る。ここで、第2の迎え角範囲は、別様に、第1の迎え角範囲に関連し得る。
【0102】
第2の迎え角範囲は、揚力係数曲線上で任意の適切な特性を有し得る。好ましいのは、第2のAoA範囲は、流入変動がこの領域に該当する有効迎え角を有するような十分な幅であることである。この曲線の勾配が浅いため、これらの流入変動に起因する音響的影響が軽減される。2番目の迎え角範囲は、以下の幅を有し得る。すなわち、<1度、1度、2度、3度、4度、5度、7度、10度、1~4度、4~6度、6~10度、>10度、かつ/またはその他の適切な幅、である。第2の迎え角範囲は、第1の迎え角範囲(m
1)にわたる揚力係数曲線の勾配に対して画定された、またはm
1とは独立して画定された、揚力係数曲線勾配265を有し得る。2番目の迎え角は、以下の勾配を有し得る。すなわち、0.99m
1、0.99m
1、0.98m
1、0.95m
1、0.90m
1、0.85m
1、0.80m
1、0.75m
1、0.50m
1、0.25m
1、0.15m
1、0.10m
1、0.95m
1~0.99m
1、0.90m
1~0.99m
1、0.80m
1~0.99m
1、0.80m
1~0.90m
1、0.50m
1~0.99m
1、25m
1~0.99m
1、0.25m
1~0.75m
1、0.25m
1~0.50m
1、0.10m
1~0.90m
1>0度
-1、0.020度
-1、0.040度
-1、0.060度
-1、0.080度
-1、0.100度
-1、0.120度
-1、0.130度
-1、0.100~0.110度
-1、0.110~0.120度
-1、0.120~0.130度
-1、0.110~0.130度
-1、>0.130度
-1、かつ/またはその他の適切な勾配、である。好ましくは、揚力係数曲線は、第2の迎え角範囲にわたってほぼ線形であるが(
図9の例に示されるように)、追加的または代替的に、上に凹状(傾斜の変化率を増加させる)、下向きに凹状(傾斜の負の変化率)であり得、かつ/または適切な特性を有し得る。2番目の迎え角範囲の揚力係数曲線の勾配の変化率は<0度
-1であり得、かつ以下であり得る。すなわち、>-0.0001度
-2、>-0.0003度
-2、>-0.0005度
-2、>-0.0007度
-2、>-0.001度
-2、>-0.0015度
-2、>-0.002度
-2、>-0.003度
-2、>-0.004度
-2、>-0.005度
-2、>-0.007度
-2、>-0.01度
-2、かつ/またはリフト係数曲線の適切な変化率、である。
【0103】
第1の迎え角範囲と第2の迎え角範囲との間に、準臨界迎え角を含む第3の迎え角範囲(例えば、流れ移行領域)があり得る。好ましくは、第3の迎え角範囲は、抗力係数対揚力係数曲線410(たとえば、
図13の(B)に示される)の急激な増加に対応するが、抗力係数対揚力係数曲線の任意の適切な形状に対応し得る。迎え角の3番目の範囲は、任意の適切な幅を有し得る。その幅は、以下であり得る。すなわち、<1度、0.5度、1度、10.5度、2度、20.5度、3度、1~3度、>3度、かつ/またはその他の適切な幅、である。第3の迎え角範囲は、適切な揚力係数曲線の勾配を有し得る。その勾配は、この領域にわたり正かつ/または負にすることができ、第1の迎え角範囲(M=m
1)にわたる揚力係数曲線の勾配に対して画定され得、第2の迎え角範囲(M=m
2)にわたる揚力係数曲線の勾配に対して画定され得、かつ/またはm
1かつ/またはm
2とは独立して画定され得る。それは、以下を有し得る。すなわち、M、0.95M、0.9M、0.7M、0.5M、0.3M、0.2M、0.1M、0.05M、0、-0.05M、-0.1M、-0.3M、-0.5M、-0.7M、-0.9M、-M、-0.5M~0.5M、0~0.5M、0~0.9M、0度
-1、0.020度
-1、0.040度
-1、0.060度
-1、0.080度
-1、0.100度
-1、>0.100度
-1、0~0.100度
-1、<0度
-1、かつ/またはその他の適切な勾配、である。好ましくは、揚力係数曲線は、第3の迎え角範囲にわたってほぼ線形であるが、追加的または代替的に、上に凹状(傾斜の変化率を増加させる)、下向きに凹状(傾斜の負の変化率)で有り得、揚力係数曲線の変曲点を有し得、かつ/または適切な特性を有し得る。第3の迎え角範囲の揚力係数曲線の勾配の変化率は、任意の適切な値であり得る。
【0104】
第1の例において、翼型部は、第1の翼型部断面を含み、第1の翼型部断面は、以下を画定する。すなわち、翼弦長Lを画定する弦線、0.002L~0.05Lの前縁半径を含む前縁、後縁翼厚がゼロから0.03Lの間である後縁、0.07Lから0.2Lの間でかつ弦線に沿って0.2Lから0.6Lの間に位置する最大翼厚、0~0.2Lでかつ弦線に沿って0.2L~0.7Lの間に位置する最大キャンバー、である。
【0105】
第1の例の特定の変形形態において、前縁半径は約0.006Lであり、後縁翼厚は約0.005L、最大翼厚は弦線に沿った約0.4Lの位置で約0.12L、最大キャンバーは弦線に沿った約0.44Lの位置で約0.024Lである。
【0106】
翼型部断面は、抗力係数対AoA曲線400をさらに画定でき、その例が
図13の(A)に示されている。
【0107】
ここで、本システムは、他の任意の追加的構成要素を含み得る。
[4.方法]
【0108】
図2に示されるように、設計方法200は、以下を含み得る。すなわち、S100:翼型部の幾何学的形状をパラメータ化しそのパラメータ化に基づいて翼型部形状を生成する、S200:翼型部形状の性能パラメータを決定する、S300:性能閾値を得るために翼型部の幾何学的形状のパラメータを最適化する、である。
【0109】
ブロックS100は、翼型部の幾何学的形状をパラメータ化すること、およびそのパラメータ化に基づいて翼型部形状を生成することを含む。ブロックS100は、翼型部の幾何学的形状の形状(例えば、翼型部断面の形状)の機能的記述を集合的に画定する数値パラメータを決定し、数値パラメータを使用してそのような形状を生成するように機能する。ブロックS100はまた、幾何学的形状の反復最適化のための開始条件として、方法200の後続のブロック(例えば、ブロックS200)への入力を提供するように機能し得る。
【0110】
ここで、代替的なバリエーションにおいて、ブロックS100は、別様に、適切に翼型部の幾何学的形状をパラメータ化することを含み得る。
【0111】
ブロックS200は、翼型部形状の性能パラメータを決定することを含む。ブロックS200は、パラメトリックに画定された翼形の空力性能を分析するように機能する(例えば、ブロックS100の1以上のバリエーションに従って)。ブロックS200は、揚力係数、抗力係数、かつ/または回転翼のモーメント係数、を決定することを含み得る。ブロックS200は、追加的または代替的に、他の適切な性能パラメータ(例えば、空力性能パラメータ、構造性能パラメータなど)を決定することを含み得る。ブロックS200の出力は、好ましくは、ある範囲の流入条件(例えば、迎え角、流入速度、流体密度および温度など)における性能パラメータ値を含む。ここで、ブロックS200は、追加的または代替的に、他の適切な出力を生成し得る。その値が決定される範囲は、好ましくは、回転翼を実装する推進システムの通常および極端な動作に要求される流入条件の範囲を含む。ここで、ブロックS200は、追加的または代替的に、任意の適切な範囲の流入条件にわたって性能パラメータの値を決定し得る。
【0112】
バリエーションにおいて、ブロックS200は数値的に実行され得る。たとえば、ブロックS200は、ブロックS100のパラメータ化出力を使用して翼型部の幾何学的形状を数値的に画定すること、計算流体力学(CFD)翼型部解析プログラム(Xfoilなど)を使用してさまざまな流れ条件に対する翼型部の幾何学的形状の応答をシミュレートすること、を含み得る。このようなバリエーションでは、ブロックS200の出力には、性能パラメータ(揚力係数、抗力係数など)の数値的に導出された推定値が含まれる。
【0113】
さらなるバリエーションにおいて、ブロックS200は、物理モデルを使用して実行され得る。たとえば、ブロックS200には、決定された翼型部形状を具体化する3次元羽根の製造、および物理的な翼型部評価施設(風洞など)でのさまざまな流入条件での3次元羽根のテストが含まれる。そのようなバリエーションでは、ブロックS200の出力には、直接測定された性能パラメータが含まれる。そのようなバリエーションでは、三次元羽根は、任意の適切な材料(例えば、空力モデリングに適した非構造材料、構造材料など)から、様々な手段(例えば、積層造形、3Dプリンティング、従来の工作機械操作、発泡体切断など)を使用して製造され得る。
【0114】
ブロックS200は、追加的または代替的に、数値分析および物理的モデリングの組み合わせを使用して実行され得る。ここで、ブロックS200は、別様に適切に実行され得る。
【0115】
ブロックS300は、性能閾値を得るために翼形部の幾何学的形状のパラメータを最適化することを含む。ブロックS300は、所望の性能パラメータ値を得るために翼形部の幾何学的形状を反復するように機能する。
【0116】
ブロックS300は、性能パラメータに関しての重み関数の規定を含み得り、これは、性能パラメータを取得するためのその分析を手段として、次には翼形部の幾何学的形状に関連する(例えば、ブロックS200において)。たとえば、重み関数は関数f(CL)として画定され得る。重み関数は、追加的または代替的に、迎え角を伴う揚力係数の勾配を含むように画定され得、別様に適切に画定され得る。ここで、ブロックS300は、追加的または代替的に、他の適切な重み関数の画定を含み得る。
【0117】
ブロックS300は、最適なパラメータを決定するために、規定された重み関数を最小化させることを含む得る。そのような最小化は、好ましくは、∫CD・f(CL)dCLで表現された式を最小化することを含む。ブロックS300には、バリエーションにおいて、迎え角による揚力係数の勾配の最小化の計算のために、∫((dCL/dα)・f(CL))dCLの積分式を最小化することを含み得る。ここで、重み関数は、別様に適切に最小化され得る。最小化は、任意の適切な最小化または最適化アルゴリズムを使用して実行され得る。
【0118】
ブロックS300は、バリエーションにおいて、反復重み関数規定かつ/または最小化を実行することを含み得、さらに翼型部のパラメータ化(例えば、ブロックS100)の出力として決定された幾何学的パラメータの値を変化させることを含み得る。このようなバリエーションにおいて、翼型部形状のパラメータは最適化の独立変数として機能し得、出力変数(たとえば従属変数など)は性能パラメータである。
【0119】
ロックS300は、出力性能パラメータが性能閾値未満の値に収束するまで、反復的に実行されることが好ましい。バリエーションにおいて、性能閾値は、CL(α)曲線の勾配を含み、特に、迎え角の動作範囲(例えば、7度から11度の間)における曲線の勾配を含む。そのようなバリエーションにおいて、閾値勾配は、任意の適切な値(例えば、ゼロ勾配、最小勾配、平板翼型部によって生成される勾配よりも小さい勾配など)を有し得る。追加または代替のバリエーションにおいて、性能閾値には、失速角度よりも大きい角度でのCL(α)曲線のロールオフ勾配が含まれる。ここで、ブロックS300は、追加的または代替的に、単一の反復にわたって、かつ/または性能閾値以下に収束することなく、ブロックS300を実行することを含み得る。
【0120】
簡潔にするために省略されているが、好ましい実施形態は、様々なシステム構成要素のすべての組み合わせおよび順列を含み、これらは、任意の適切な順列または組み合わせで組み合わせられ得、および/または好ましい実施形態の変形から全体的または部分的に省略され得る。
【0121】
当業者は、従来の詳細な説明および図および特許請求の範囲を認識し、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対して修正および変更を行うことができる。