(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】塗布装置および塗布方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20231212BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20231212BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20231212BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
B05D1/26 Z
B05D7/00 H
(21)【出願番号】P 2021557851
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2020034013
(87)【国際公開番号】W WO2022054146
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 久樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 保幸
(72)【発明者】
【氏名】吉村 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】安藤 善之
(72)【発明者】
【氏名】西岡 安夫
(72)【発明者】
【氏名】深谷 滋樹
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-087198(JP,A)
【文献】特開2005-262167(JP,A)
【文献】特開平9-187709(JP,A)
【文献】特開2008-66403(JP,A)
【文献】特開2006-56116(JP,A)
【文献】特開平9-239297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
B05B 1/00-17/08
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装された電子部品に塗布液を噴射する液ノズル部と、
前記液ノズル部に対して同心円状に配置され、前記基板に向かってエアを噴射するエアノズル部と、
前記液ノズル部による前記塗布液の噴射タイミングよりも前のタイミングで前記エアノズル部から前記エアの噴射を開始する噴射制御部と
、
を備え
、
前記エアノズル部は、
前記液ノズル部に向かって突出する複数の突出部を有すること
を特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記噴射制御部は、
前記噴射タイミングを含む所定期間に亘って前記エアを噴射すること
を特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記複数の突出部は、
前記液ノズル部の周囲に沿って等間隔で配置されること
を特徴とする請求項
1または2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記エアノズル部へ前記エアを供給するエアポンプと、
前記エアノズル部から吸気する負圧ポンプと、
前記エアノズル部の連通先である前記エアポンプおよび前記負圧ポンプを切り替える切替バルブと、をさらに備え、
前記噴射制御部は、
前記液ノズル部から前記塗布液を塗布する場合には、前記切替バルブを切り替えて、前記エアノズル部および前記エアポンプを連通させ、
前記液ノズル部を硬化防止剤に浸漬させる場合には、前記切替バルブを切り替えて、前記エアノズル部および前記負圧ポンプを連通させること
を特徴とする請求項1~
3のいずれか1つに記載の塗布装置。
【請求項5】
前記噴射制御部は、
前記液ノズル部からの前記塗布液の噴射量に応じた噴射量の前記エアを噴射すること
を特徴とする請求項1~
4のいずれか1つに記載の塗布装置。
【請求項6】
基板に実装された電子部品に塗布液を噴射する液ノズル部と、
前記液ノズル部に対して同心円状に配置され、前記基板に向かってエアを噴射するエアノズル部と、を備える塗布装置が実行する塗布方法であって、
前記液ノズル部による前記塗布液の噴射タイミングよりも前のタイミングで前記エアノズル部から前記エアの噴射を開始する噴射制御工程
、
を含
み、
前記エアノズル部は、
前記液ノズル部に向かって突出する複数の突出部を有すること
を特徴とする塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置および塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結露等の水分や異物等といった外乱作用から保護する目的で、プリント基板に実装された電子部品に対して局所的に防湿材をコーティング(塗布)する技術がある。この種の技術では、電子部品の周囲にエアカーテンを形成することで、防湿材等の塗布液の周囲への飛散を防ぐ技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術において、エアカーテンを継続して形成し続けた場合、塗布液が乾燥して噴射ノズルの先端で固まることでノズル詰まりが発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、塗布液の飛散を抑えつつ、ノズル詰まりを抑制することができる塗布装置および塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る塗布装置は、液ノズル部と、エアノズル部と、噴射制御部とを備える。前記液ノズル部は、基板に実装された電子部品に塗布液を噴射する。前記エアノズル部は、前記液ノズル部に対して同心円状に配置され、前記基板に向かってエアを噴射する。前記噴射制御部は、前記液ノズル部による前記塗布液の噴射タイミングに同期したタイミングで前記エアノズル部から前記エアを噴射する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塗布液の飛散を抑えつつ、ノズル詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る塗布方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る塗布装置の断面を斜めから見た図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る塗布装置の断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る塗布装置の機能構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、噴射制御部によるエアの噴射制御を示す図である。
【
図7】
図7は、基板切替時の噴射制御部による制御処理を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る塗布装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する塗布装置および塗布方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1を用いて、実施形態に係る塗布方法の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る塗布方法の概要を示す図である。実施形態に係る塗布方法は、塗布装置1によって実行される。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る塗布装置1は、液ノズル部2と、エアノズル部3とを備える。なお、塗布装置1の詳細な構成については、
図2および
図3で後述する。
【0012】
液ノズル部2は、筒状の部材であり、図示しない塗布液タンクから供給される塗布液200を基板100に実装された電子部品110へ噴射する。具体的には、液ノズル部2は、粒状の塗布液200を電子部品110に対して滴下することで塗布する。
【0013】
なお、塗布液200は、例えば、絶縁性の防湿材であり、電子部品110にコーティングすることで、電子部品110を結露等の水分や塵埃等の異物から保護するための部材である。
【0014】
エアノズル部3は、液ノズル部2に対して同心円状に配置される筒状の部材である。エアノズル部3は、塗布液200の滴下経路の周囲にエアを噴射してエアカーテンを形成することで、塗布液200が滴下時に周囲に飛散することを防止する。
【0015】
ここで、例えば、エアノズル部からエアを常時噴射してエアカーテンを形成し続けた場合、液ノズル部の先端において塗布液が乾燥して固まるおそれがあり、これにより、液ノズル部においてノズル詰まりが発生するおそれがあった。
【0016】
そこで、実施形態に係る塗布方法では、塗布液200の噴射タイミングと同期したタイミングでエアノズル部3からエアを噴射することとした。つまり、実施形態に係る塗布方法では、塗布液200の滴下タイミングに合わせて間欠的にエアを噴射してエアカーテンを形成する。
【0017】
この結果、エアノズル部3から噴射されるエアにより、液ノズル部2の先端において塗布液200が乾燥して固まることを回避できる。また、塗布液200の噴射タイミングと同期したタイミングでエアを噴射してエアカーテンを形成することで、塗布液200の周囲への飛散も抑えられる。
【0018】
すなわち、実施形態に係る塗布方法によれば、塗布液200の飛散を抑えつつ、ノズル詰まりを抑制することができる。
【0019】
なお、実施形態に係る塗布方法では、塗布液200の噴射タイミングを含む前後所定期間に亘ってエアを噴射することができるが、かかる点の詳細については後述する。
【0020】
また、実施形態に係る塗布方法では、塗布液200の硬化防止剤にエアノズル部3を浸漬する時には、エアノズル部3の接続先を後述するエアポンプ11から負圧ポンプ12へ切り替えることで、エアノズル部3から負圧ポンプ12により硬化防止剤を吸引可能であるが、かかる点の詳細についても後述する。
【0021】
次に、
図2および
図3を用いて、実施形態に係る塗布装置1の構造について具体的に説明する。
図2は、実施形態に係る塗布装置1の断面を斜めから見た図である。
図3は、実施形態に係る塗布装置1の断面図である。
【0022】
図2および
図3に示すように、実施形態に係る塗布装置1は、液ノズル部2と、エアノズル部3と、エアニップル4と、筐体5と、塗布液タンク6とを備える。
【0023】
エアニップル4は、後述するエアポンプ11および負圧ポンプ12が接続される配管14を連結する部材である。また、エアニップル4は、エアノズル部3に繋がる筐体5内部の配管に接続される。これにより、エアポンプ11および負圧ポンプ12に対してエアノズル部3が連通する。
【0024】
筐体5は、液ノズル部2、エアノズル部3およびエアニップル4が接続される部材である。塗布液タンク6は、筐体5に設けられ、塗布液200を貯留する。また、塗布液タンク6は、液ノズル部2と連通することで、塗布液200を液ノズル部2へ供給する。
【0025】
なお、液ノズル部2およびエアノズル部3は、筐体5に対して着脱可能に設けられる。これにより、液ノズル部2およびエアノズル部3の破損時の交換を容易化できる。
【0026】
また、
図2および
図3に示すように、エアノズル部3には、液ノズル部2を所定の位置に固定する突出部32が設けられている。つまり、突出部32は、液ノズル部2を所定の位置に固定するガイド部として機能する。
【0027】
ここで、
図3を用いて、エアの流れについて説明する。
図3に示すように、エアは、後述するエアポンプ11で生成され、エアニップル4、筐体5およびエアノズル部3を介して、エアノズル部3の先端から噴射される。
【0028】
具体的には、エアは、エアノズル部3の延伸方向に対して略直角の方向からエアニップル4を介して筐体5の配管に侵入する。そして、筐体5の配管に侵入したエアは、液ノズル部2の位置において、エアノズル部3の端部31の方向と、エアノズル部3の先端の方向とに枝分かれする。
【0029】
ここで、エアノズル部3の端部31は、筐体5により密閉されている。このため、エアノズル部3の端部31の方向にエアが向かうことで、端部31の方向に延在する配管にエアが充満する。その結果、エアノズル部3の端部31の方向にエアは、エアノズル部3の先端の方向に向かう。
【0030】
すなわち、エアノズル部3の端部31が密閉されていることで、液ノズル部2の全周を囲むように、エアノズル部3の先端からエアが噴射される。この結果、液ノズル部2から噴射される塗布液200の全周を囲むようにしてエアカーテンが形成されるため、塗布液200の周囲への飛散を高精度に抑制することができる。
【0031】
このように、エアノズル部3の端部31が密閉されることで、エアが一方から侵入する構造であっても、エアノズル部3の先端の孔部全体から均一にエアを噴射することができる。
【0032】
なお、
図2および
図3では、エアが一か所(エアニップル4が1つ)である場合を示したが、端部31の箇所や他の箇所を含む複数の箇所からエアが侵入する構成としてもよい。
【0033】
次に、
図4を用いて、エアノズル部3を備える突出部32に詳細に説明する。
図4は、エアノズル部3の断面図である。
図4では、
図3に示すA-A線で切断した場合の断面を示している。
【0034】
図4に示すように、エアノズル部3は、液ノズル部2に対して同心円状に配置されている。そして、突出部32は、エアノズル部3から液ノズル部2に向かって突出するとともに、先端が液ノズル部2に接している。
【0035】
また、突出部32は、液ノズル部2の周囲に沿って等間隔で複数配置されている。
図4に示す例では、突出部32は、液ノズル部2の周囲に120度間隔で3つ配置される。これにより、液ノズル部2をエアノズル部3の中心に配置、すなわち、同心円状に高精度に配置することができる。
【0036】
また、突出部32は、3箇所で液ノズル部2を支持して固定することで、液ノズル部2に外力が加わった場合であっても、液ノズル部2が曲がって破損することを抑制することができる。
【0037】
また、
図4に示すように、等間隔に配置された複数の突出部32の間はエアの通路33となっている。換言すれば、複数の通路33が等間隔で配置される。これにより、エアノズル部3の先端からエアを均一に噴射することができる。
【0038】
なお、
図4では、突出部32が3つである場合を示したが、複数の突出部32が等間隔で配置されれば、突出部32の数は、2つであっても4つ以上であってもよい。
【0039】
また、
図2および
図3に示すように、突出部32は、エアノズル部3の先端側に寄せて配置されることが好ましい。これにより、液ノズル部2の先端部分に外力が加わった場合であっても、液ノズル部2が曲がって破損することを抑制することができる。
【0040】
次に、
図5を用いて、実施形態に係る塗布装置1の機能構成について説明する。
図5は、実施形態に係る塗布装置1の機能構成例を示す図である。
図5に示すように、実施形態に係る塗布装置1は、噴射制御部10と、エアポンプ11と、負圧ポンプ12と、切替バルブ13と、配管14とを備える。
【0041】
エアポンプ11は、エアノズル部3へ圧縮した空気であるエアを供給する。負圧ポンプ12は、エアノズル部3からエアを吸気する。切替バルブ13は、エアノズル部3の連通先であるエアポンプ11および負圧ポンプ12を切り替える。配管14は、切替バルブ13およびエアニップル4の間を連結する。
【0042】
ここで、塗布装置1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0043】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、噴射制御部10として機能する。
【0044】
また、噴射制御部10が実行する機能の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0045】
また、RAMやフラッシュメモリは、記憶部であり、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、塗布装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0046】
噴射制御部10は、エアノズル部3におけるエアの噴射および吸入の制御や、液ノズル部2における塗布液200の噴射を制御する。具体的には、噴射制御部10は、エアノズル部3からエアを噴射する場合、切替バルブ13を切り替えることで、エアポンプ11およびエアノズル部3を連通させる。
【0047】
また、噴射制御部10は、エアノズル部3からエアを吸入する場合、切替バルブ13を切り替えることで、負圧ポンプ12およびエアノズル部3を連通させる。
【0048】
また、噴射制御部10は、エアノズル部3からエアを噴射する場合、液ノズル部2による塗布液200の噴射タイミングに同期したタイミングでエアノズル部3からエアを噴射する。かかる点について、
図6を用いて詳細に説明する。
【0049】
図6は、噴射制御部10によるエアの噴射制御を示す図である。
図6では、時刻t2が塗布液200の噴射タイミングであることとする。
図6に示すように、噴射制御部10は、塗布液200の噴射タイミングである時刻t2を含む所定期間D1に亘ってエアを噴射する。
【0050】
具体的には、噴射制御部10は、時刻t2から所定期間D2遡った時刻t1においてエアの噴射を開始し、時刻t2から所定期間D3経過後の時刻t3においてエアの噴射を終了する。
【0051】
これにより、時刻t2よりも前の所定期間D2において形成されるエアカーテンにより、塗布液200の噴射時の飛散(液ノズル部2の壁部に付着した残渣が先立って飛散する場合)を抑制でき、時刻t2よりも後の所定期間D3において形成されるエアカーテンにより、塗布液200の塗布後の電子部品110からの跳ね返りによる飛散を抑制することができる。
【0052】
なお、噴射制御部10は、1噴射あたりの塗布液200の噴射量を固定し、電子部品110が大きい場合には、電子部品110の大きさに応じた回数だけ固定量の塗布液200を繰り返し噴射する。この場合、噴射制御部10は、塗布液200の噴射回数と同じ噴射回数だけエアを噴射する。
【0053】
つまり、1動作あたりのエア噴射量および塗布液噴射量を固定し、電子部品110への塗布面積(電子部品110の大きさ)に応じた回数だけ動作を行う。これにより、塗布液200やエアの1動作あたりの噴射量を調整する必要がないため、処理負荷を軽減できる。
【0054】
なお、噴射制御部10は、電子部品110の大きさに応じた噴射量の塗布液200を一度に噴射することとしてもよい。かかる場合、噴射制御部10は、塗布液200の噴射量に応じて、エアを噴射する所定期間D1(あるいは、所定期間D2および所定期間D3のいずれか)の長さや、時間あたりのエア噴射量を可変させる。
【0055】
すなわち、噴射制御部10は、液ノズル部2からの塗布液200の噴射量に応じた噴射量のエアを噴射する。これにより、電子部品110が異なる大きさであっても塗布液200の飛散を高精度に抑制することができる。
【0056】
また、噴射制御部10は、基板100の切替時において、液ノズル部2の先端を硬化防止剤に浸漬する際に、負圧ポンプ12に連通させてエアノズル部3から吸気を行う。かかる点について、
図7を用いて説明する。
【0057】
図7は、基板切替時の噴射制御部10による制御処理を示す図である。
図7の上段に示すように、噴射制御部10は、電子部品110への塗布液200の塗布時には、エアポンプ11とエアノズル部3とを連通させることで、エアポンプ11からエアノズル部3を介してエアを噴射する。
【0058】
そして、1つの基板100に実装された塗布対象となる電子部品110すべてに塗布液200の塗布が完了した場合、次の基板100に切替が行われるとともに、塗布液200の硬化を防止する目的で、液ノズル部2の先端を硬化防止剤310が入ったカップ300に浸漬する。
【0059】
この基板切替時において、
図7の中段に示すように、噴射制御部10は、切替バルブ13を切り替えて、負圧ポンプ12とエアノズル部3とを連通させる。そして、噴射制御部10は、負圧ポンプ12を作動させることで、エアノズル部3から吸気を行い、硬化防止剤310をエアノズル部3の内部に吸引する。
【0060】
これにより、エアノズル部3の内部に異物が混入することを抑制できるとともに、エアノズル部3の内部に塗布液200が付着していた場合であっても、硬化防止剤310により硬化を防止しつつ洗い流すことができる。つまり、エアノズル部3の内部や配管14の内部を洗浄することができる。
【0061】
そして、エアノズル部3が次の基板100の位置まで移動が完了した場合、
図7の下段に示すように、噴射制御部10は、切替バルブ13を切り替えて、エアポンプ11とエアノズル部3とを連通させる。
【0062】
そして、噴射制御部10は、液ノズル部2が空カップ400に挿入された状態で、所定回数だけエアを噴射するとともに、液ノズル部2から塗布液200を噴射する。すなわち、噴射制御部10は、硬化防止剤310が混入した塗布液200を空カップ400へ捨て打ちする捨て打ち処理を行う。これにより、硬化防止剤310を空カップ400に排出できるため、次の基板100における塗布液200の塗布時に硬化防止剤310が混入することを防止できる。
【0063】
次に、
図8を用いて、実施形態に係る塗布装置1が実行する処理の処理手順について説明する。
図8は、実施形態に係る塗布装置1が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0064】
図8に示すように、噴射制御部10は、まず、塗布液200の噴射タイミング(塗布タイミング)が到来するか否かを判定する(ステップS101)。
【0065】
噴射制御部10は、塗布タイミングが到来する場合(ステップS101:Yes)、塗布タイミングよりも所定期間前にエア噴射を開始する(ステップS102)。なお、噴射制御部10は、塗布タイミングが到来していない場合(ステップS101:No)、ステップS101を繰り返し実行する。
【0066】
つづいて、噴射制御部10は、塗布タイミングにおいて塗布液200を噴射する(ステップS103)。つづいて、噴射制御部10は、塗布タイミングから所定期間後にエア噴射を終了する(ステップS104)。
【0067】
つづいて、噴射制御部10は、次の基板100への切替タイミングであるか否かを判定する(ステップS104)。噴射制御部10は、次の基板100への切替タイミングである場合(ステップS105:Yes)、液ノズル部2を硬化防止剤310に浸漬する(ステップS106)。
【0068】
つづいて、噴射制御部10は、切替バルブ13を切り替えて負圧ポンプ12とエアノズル部3とを連通させる(ステップS107)。つづいて、噴射制御部10は、負圧ポンプ12を作動させる(ステップS108)。
【0069】
つづいて、噴射制御部10は、基板100の切替が完了したか否かを判定する(ステップS109)。噴射制御部10は、基板100の切替が完了した場合(ステップS109:Yes)、切替バルブ13を切り替えて、エアポンプ11とエアノズル部3とを連通させる(ステップS110)。
【0070】
つづいて、噴射制御部10は、上述した捨て打ち処理を実行し(ステップS111)、処理を終了する。すなわち、次に、基板100に実装された電子部品110への塗布液200の塗布を開始する。
【0071】
一方、ステップS105において、噴射制御部10は、基板100の切替タイミングではない場合(ステップS105:No)、つまり、同一基板100に実装された他の電子部品110に塗布液200を塗布する場合、ステップS101を実行する。また、ステップS109において、噴射制御部10は、基板100の切替が完了していない場合(ステップS109:No)、ステップS108を実行する。
【0072】
上述してきたように、実施形態に係る塗布装置1は、液ノズル部2と、エアノズル部3と、噴射制御部10とを備える。液ノズル部2は、基板100に実装された電子部品110に塗布液200を噴射する。エアノズル部3は、液ノズル部2に対して同心円状に配置され、基板100に向かってエアを噴射する。噴射制御部10は、液ノズル部2による塗布液200の噴射タイミングに同期したタイミングでエアノズル部3からエアを噴射する。これにより、塗布液200の飛散を抑えつつ、液ノズル部2のノズル詰まりを抑制することができる。
【0073】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 塗布装置
2 液ノズル部
3 エアノズル部
4 エアニップル
5 筐体
6 塗布液タンク
10 噴射制御部
11 エアポンプ
12 負圧ポンプ
13 切替バルブ
14 配管
31 端部
32 突出部
33 通路
100 基板
110 電子部品
200 塗布液
300 カップ
310 硬化防止剤
400 空カップ