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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】通信システムおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/242 20110101AFI20231212BHJP
   H04N 21/43 20110101ALI20231212BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20231212BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H04N21/242
H04N21/43
H04N5/77
H04N7/18 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021566385
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2019050267
(87)【国際公開番号】W WO2021130801
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】川崎 真也
(72)【発明者】
【氏名】豊田 潔
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/235258(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/168552(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/156057(WO,A1)
【文献】特開2013-022054(JP,A)
【文献】特開2013-000452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04N 5/77
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信端末および受信端末を有し、
前記送信端末は、
撮像周期を規定する第1の同期信号を生成する第1の信号発生器と、
前記第1の同期信号に従って被写体の撮像を実施する撮像装置によって生成された画像を送信する第1の通信機と、
を有し、
前記受信端末は、
前記第1の通信機によって送信された前記画像を受信する第2の通信機と、
表示周期を規定する第2の同期信号を生成する第2の信号発生器と、
を有し、
前記第2の通信機によって受信された前記画像は、前記第2の同期信号に従って前記画像を表示する表示装置に出力され、
前記送信端末および前記受信端末の一方は、記録媒体と、前記第1の信号発生器および前記第2の信号発生器の一方を調整するプロセッサを有し、
前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに接続した後、前記プロセッサは、前記撮像周期と前記表示周期との差分を示す調整値を算出し、
前記送信端末が前記プロセッサを有する第1の場合において、前記プロセッサは、前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整することにより前記撮像周期と前記表示周期とを一致させ、
前記受信端末が前記プロセッサを有する第2の場合において、前記プロセッサは、前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整することにより前記撮像周期と前記表示周期とを一致させ、
調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴が前記記録媒体に記録され、前記調整情報は、前記調整値を直接的または間接的に示し、前記識別情報は、前記第1の通信機および前記第2の通信機の一方を識別し、
前記第1の場合において前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記第2の通信機に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整し、
前記第2の場合において前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記第1の通信機に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整する
通信システム。
【請求項2】
前記送信端末は、第1の温度センサをさらに有し、
前記受信端末は、第2の温度センサをさらに有し、
前記接続履歴において、前記第1の温度センサおよび前記第2の温度センサの各々によって測定された温度が前記調整情報および前記識別情報と関連付けられ、
前記第1の通信機および前記第2の通信機が再度接続するとき、前記第1の通信機および前記第2の通信機の一方に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記第1の温度センサおよび前記第2の温度センサの各々によって測定された温度と、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記温度とに基づいて、前記調整値を補正するか否かを判断し、
前記調整値を補正すると前記プロセッサが判断した場合、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値を前記第1の同期信号および前記第2の同期信号の各々の源振クロックの温度特性に基づいて補正し、
前記第1の場合において前記プロセッサは、補正された前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整し、
前記第2の場合において前記プロセッサは、補正された前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記送信端末は、前記プロセッサを有し、
前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに接続するたびに、前記プロセッサは、前記第2の通信機を識別する識別情報を取得し、
前記プロセッサが前記調整値を算出したとき、前記プロセッサは、前記調整情報および前記識別情報が互いに関連付けられた前記接続履歴を前記記録媒体に記録し、
前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記プロセッサは、新たに取得された前記識別情報が前記記録媒体に記録された前記識別情報と同じであるか否かを判断し、
新たに取得された前記識別情報が前記記録媒体に記録された前記識別情報と同じであると前記プロセッサが判断した場合、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記撮像装置は、1つ以上の第1の無線モジュールを有し、
前記第1の通信機は前記第1の無線モジュールであり、
前記受信端末は、2つ以上の第2の無線モジュールを有し、
前記第2の通信機は前記第2の無線モジュールであり、
前記第1の通信機および前記第2の通信機は、無線通信を実施し、
前記識別情報は、前記第2の無線モジュールのMAC(Media Access Control)アドレスであり、
前記接続履歴において前記2つ以上の第2の無線モジュールの各々の前記識別情報が前記調整情報と関連付けられている
請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記受信端末は、前記プロセッサを有し、
前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに接続するたびに、前記プロセッサは、前記第1の通信機を識別する識別情報を取得し、
前記プロセッサが前記調整値を算出したとき、前記プロセッサは、前記調整情報および前記識別情報が互いに関連付けられた前記接続履歴を前記記録媒体に記録し、
前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記プロセッサは、新たに取得された前記識別情報が前記記録媒体に記録された前記識別情報と同じであるか否かを判断し、
新たに取得された前記識別情報が前記記録媒体に記録された前記識別情報と同じであると前記プロセッサが判断した場合、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
2台以上の前記受信端末を有する
請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
送信端末および受信端末の一方が有するプロセッサによって実行される算出ステップと、
記録媒体と、前記プロセッサによって実行される第1の調整ステップと、
前記記録媒体と、前記プロセッサによって実行される第2の調整ステップと、
を有し、
前記送信端末は、
撮像周期を規定する第1の同期信号を生成する第1の信号発生器と、
前記第1の同期信号に従って被写体の撮像を実施する撮像装置によって生成された画像を送信する第1の通信機と、
を有し、
前記受信端末は、
前記第1の通信機によって送信された前記画像を受信する第2の通信機と、
表示周期を規定する第2の同期信号を生成する第2の信号発生器と、
を有し、
前記第2の通信機によって受信された前記画像は、前記第2の同期信号に従って前記画像を表示する表示装置に出力され、
前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに接続した後、前記プロセッサは、前記算出ステップにおいて、前記撮像周期と前記表示周期との差分を示す調整値を算出し、
前記送信端末が前記プロセッサを有する第1の場合において、前記プロセッサは、前記第1の調整ステップにおいて前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整することにより前記撮像周期と前記表示周期とを一致させ、
前記受信端末が前記プロセッサを有する第2の場合において、前記プロセッサは、前記第1の調整ステップにおいて前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整することにより前記撮像周期と前記表示周期とを一致させ、
調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴が前記記録媒体に記録され、前記調整情報は、前記調整値を直接的または間接的に示し、前記識別情報は、前記第1の通信機および前記第2の通信機の一方を識別し、
前記第1の場合において前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記第2の通信機に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記第2の調整ステップにおいて、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整し、
前記第2の場合において前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記第1の通信機に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記第2の調整ステップにおいて、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整する
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送信端末(撮像端末)および受信端末(表示端末)を有し、映像データをリアルタイムに伝送する無線システムがある。送信端末における撮像タイミングと、受信端末における表示タイミングとを同期させる必要がある。例えば、各端末におけるタイミングは垂直同期信号に同期している。以下では、垂直同期信号はVsyncと記載される。送信端末における撮像タイミングは撮像Vsyncに同期し、かつ受信端末における表示タイミングは表示Vsyncに同期している。
【0003】
各Vsyncは、各端末に実装された発振器から出力される源振クロックに基づいて生成される。各端末の源振クロックの発振周期が同一となるように各端末が設計されている場合であっても、各端末の源振クロックの発振周期は、各端末に固有の周期の偏差を有する。そのため、各Vsyncの周期は、各端末に固有である。
【0004】
撮像Vsyncと表示Vsyncとを同期させるために同期用の無線パケットが使用される。以下では、その無線パケットは同期パケットと記載される。無線環境の変化による通信品質の劣化あるいは他システムとの通信における混信等が発生し、同期パケットが受信されない期間が続く場合がある。その場合、各端末に固有のVsyncの周期の影響により、端末間のVsyncのタイミングが徐々に乖離していく。同期パケットが受信されない期間がさらに続くと、撮像Vsyncのタイミングと表示Vsyncのタイミングとが大きくずれ、映像データが欠落する。映像データが欠落した場合、受信端末が、欠落した映像データに対応する映像を表示できない。そのため、映像の滑らかさが失われる、あるいはブラックアウトが発生する可能性がある。
【0005】
これを回避するために、Vsyncのタイミング(位相)だけでなく、Vsyncの周期も端末間で同期させる技術がある。例えば、特許文献1には、ワイヤレス内視鏡システムにおいて、プロセッサに接続されたモニタの垂直同期信号(表示Vsync)に基づいてスコープ側(撮像端末側)の垂直同期信号(撮像Vsync)を同期させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2018/235258号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
端末の電源が投入されるたびにVsyncの周期が調整される。Vsyncの周期の調整が完了するまで長い時間が必要である。Vsyncの周期の調整が完了するまで、Vsyncの位相のみが調整される。位相の調整が実施されたタイミングでは端末間のVsyncのタイミングは同期している。しかしながら、次に位相の調整が実施されるまでに端末間のVsyncのタイミングがずれ、映像データが欠落する可能性がある。
【0008】
本発明は、送信端末および受信端末の同期信号の周期を短時間で一致させることができる通信システムおよび通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、通信システムは、送信端末および受信端末を有する。前記送信端末は、第1の信号発生器および第1の通信機を有する。前記第1の信号発生器は、撮像周期を規定する第1の同期信号を生成する。前記第1の通信機は、前記第1の同期信号に従って被写体の撮像を実施する撮像装置によって生成された画像を送信する。前記受信端末は、第2の通信機および第2の信号発生器を有する。前記第2の通信機は、前記第1の通信機によって送信された前記画像を受信する。前記第2の信号発生器は、表示周期を規定する第2の同期信号を生成する。前記第2の通信機によって受信された前記画像は、前記第2の同期信号に従って前記画像を表示する表示装置に出力される。前記送信端末および前記受信端末の一方は、記録媒体と、前記第1の信号発生器および前記第2の信号発生器の一方を調整するプロセッサを有する。前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに接続した後、前記プロセッサは、前記撮像周期と前記表示周期との差分を示す調整値を算出する。前記送信端末が前記プロセッサを有する第1の場合において、前記プロセッサは、前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整することにより前記撮像周期と前記表示周期とを一致させる。前記受信端末が前記プロセッサを有する第2の場合において、前記プロセッサは、前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整することにより前記撮像周期と前記表示周期とを一致させる。調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴が前記記録媒体に記録される。前記調整情報は、前記調整値を直接的または間接的に示す。前記識別情報は、前記第1の通信機および前記第2の通信機の一方を識別する。前記第1の場合において前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記第2の通信機に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整する。前記第2の場合において前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記第1の通信機に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整する。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様において、前記送信端末は、第1の温度センサをさらに有してもよい。前記受信端末は、第2の温度センサをさらに有してもよい。前記接続履歴において、前記第1の温度センサおよび前記第2の温度センサの各々によって測定された温度が前記調整情報および前記識別情報と関連付けられてもよい。前記第1の通信機および前記第2の通信機が再度接続するとき、前記第1の通信機および前記第2の通信機の一方に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記第1の温度センサおよび前記第2の温度センサの各々によって測定された温度と、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記温度とに基づいて、前記調整値を補正するか否かを判断してもよい。前記調整値を補正すると前記プロセッサが判断した場合、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値を前記第1の同期信号および前記第2の同期信号の各々の源振クロックの温度特性に基づいて補正してもよい。前記第1の場合において前記プロセッサは、補正された前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整してもよい。前記第2の場合において前記プロセッサは、補正された前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整してもよい。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様において、前記送信端末は、前記プロセッサを有してもよい。前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに接続するたびに、前記プロセッサは、前記第2の通信機を識別する識別情報を取得してもよい。前記プロセッサが前記調整値を算出したとき、前記プロセッサは、前記調整情報および前記識別情報が互いに関連付けられた前記接続履歴を前記記録媒体に記録してもよい。前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記プロセッサは、新たに取得された前記識別情報が前記記録媒体に記録された前記識別情報と同じであるか否かを判断してもよい。新たに取得された前記識別情報が前記記録媒体に記録された前記識別情報と同じであると前記プロセッサが判断した場合、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整してもよい。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、第3の態様において、前記撮像装置は、1つ以上の第1の無線モジュールを有してもよい。前記第1の通信機は前記第1の無線モジュールであってもよい。前記受信端末は、2つ以上の第2の無線モジュールを有してもよい。前記第2の通信機は前記第2の無線モジュールであってもよい。前記第1の通信機および前記第2の通信機は、無線通信を実施してもよい。前記識別情報は、前記第2の無線モジュールのMAC(Media Access Control)アドレスであってもよい。前記接続履歴において前記2つ以上の第2の無線モジュールの各々の前記識別情報が前記調整情報と関連付けられてもよい。
【0013】
本発明の第5の態様によれば、第1の態様において、前記受信端末は、前記プロセッサを有してもよい。前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに接続するたびに、前記プロセッサは、前記第1の通信機を識別する識別情報を取得してもよい。前記プロセッサが前記調整値を算出したとき、前記プロセッサは、前記調整情報および前記識別情報が互いに関連付けられた前記接続履歴を前記記録媒体に記録してもよい。前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記プロセッサは、新たに取得された前記識別情報が前記記録媒体に記録された前記識別情報と同じであるか否かを判断してもよい。新たに取得された前記識別情報が前記記録媒体に記録された前記識別情報と同じであると前記プロセッサが判断した場合、前記プロセッサは、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整してもよい。
【0014】
本発明の第6の態様によれば、第5の態様において、前記通信システムは、2台以上の前記受信端末を有してもよい。
【0015】
本発明の第7の態様によれば、通信方法は、送信端末および受信端末の一方が有するプロセッサによって実行される算出ステップと、記録媒体と、前記プロセッサによって実行される第1の調整ステップと、前記記録媒体と、前記プロセッサによって実行される第2の調整ステップとを有する。前記送信端末は、第1の信号発生器および第1の通信機を有する。前記第1の信号発生器は、撮像周期を規定する第1の同期信号を生成する。前記第1の通信機は、前記第1の同期信号に従って被写体の撮像を実施する撮像装置によって生成された画像を送信する。前記受信端末は、第2の通信機および第2の信号発生器を有する。前記第2の通信機は、前記第1の通信機によって送信された前記画像を受信する。前記第2の信号発生器は、表示周期を規定する第2の同期信号を生成する。前記第2の通信機によって受信された前記画像は、前記第2の同期信号に従って前記画像を表示する表示装置に出力される。前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに接続した後、前記プロセッサは、前記算出ステップにおいて、前記撮像周期と前記表示周期との差分を示す調整値を算出する。前記送信端末が前記プロセッサを有する第1の場合において、前記プロセッサは、前記第1の調整ステップにおいて前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整することにより前記撮像周期と前記表示周期とを一致させる。前記受信端末が前記プロセッサを有する第2の場合において、前記プロセッサは、前記第1の調整ステップにおいて前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整することにより前記撮像周期と前記表示周期とを一致させる。調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴が前記記録媒体に記録される。前記調整情報は、前記調整値を直接的または間接的に示す。前記識別情報は、前記第1の通信機および前記第2の通信機の一方を識別する。前記第1の場合において前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記第2の通信機に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記第2の調整ステップにおいて、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第1の信号発生器を調整する。前記第2の場合において前記第1の通信機および前記第2の通信機が互いに再度接続するとき、前記第1の通信機に対応する前記識別情報が前記記録媒体に記録されていれば、前記プロセッサは、前記第2の調整ステップにおいて、前記接続履歴において前記識別情報と関連付けられた前記調整情報が示す前記調整値に基づいて前記第2の信号発生器を調整する。
【発明の効果】
【0016】
上記の各態様によれば、通信システムおよび通信方法は、送信端末および受信端末の同期信号の周期を短時間で一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態の通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態の送信端末の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態の受信端末の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態の送信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態における接続履歴を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態の受信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施形態の送信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図8】本発明の第1の実施形態の送信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図9】本発明の第1の実施形態の送信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図10】本発明の第1の実施形態の受信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図11】本発明の第1の実施形態の変形例の送信端末の構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第1の実施形態の変形例の受信端末の構成を示すブロック図である。
図13】本発明の第1の実施形態の変形例の送信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図14】本発明の第1の実施形態の変形例の受信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図15】本発明の第2の実施形態の送信端末の構成を示すブロック図である。
図16】本発明の第2の実施形態の受信端末の構成を示すブロック図である。
図17】本発明の第2の実施形態における温度と源振クロックの発振周期との関係を示すグラフである。
図18】本発明の第2の実施形態における接続履歴を示す図である。
図19】本発明の第2の実施形態の送信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図20】本発明の第2の実施形態の受信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図21】本発明の第3の実施形態の送信端末の構成を示すブロック図である。
図22】本発明の第3の実施形態の受信端末の構成を示すブロック図である。
図23】本発明の第3の実施形態の送信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図24】本発明の第3の実施形態の送信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図25】本発明の第3の実施形態における接続履歴を示す図である。
図26】本発明の第3の実施形態の受信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図27】本発明の第3の実施形態の受信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図28】本発明の第4の実施形態の通信システムの構成を示すブロック図である。
図29】本発明の第4の実施形態の送信端末の構成を示すブロック図である。
図30】本発明の第4の実施形態の受信端末の構成を示すブロック図である。
図31】本発明の第4の実施形態の送信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図32】本発明の第4の実施形態の受信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図33】本発明の第4の実施形態の受信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
図34】本発明の第4の実施形態の受信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の通信システム10の構成を示す。図1に示す通信システム10は、送信端末100および受信端末200を有する。送信端末100および受信端末200は、画像(映像)を伝送するための通信を実施する。
【0020】
図2は、送信端末100の構成を示す。図2に示す送信端末100は、撮像装置110、発振器120、制御部130、通信機140(第1の通信機)、および記録媒体150を有する。制御部130は、信号発生器131(第1の信号発生器)およびプロセッサ132を有する。
【0021】
図3は、受信端末200の構成を示す。図3に示す受信端末200は、通信機210(第2の通信機)、発振器220、制御部230、および表示装置240を有する。制御部230は、信号発生器231(第2の信号発生器)を有する。
【0022】
送信端末100および受信端末200の概略構成について説明する。信号発生器131は、撮像周期を規定する第1の同期信号を生成する。撮像装置110は、第1の同期信号に従って被写体の撮像を実施する。通信機140は、撮像装置110によって生成された画像を送信する。通信機210は、通信機140によって送信された画像を受信する。信号発生器231は、表示周期を規定する第2の同期信号を生成する。通信機210によって受信された画像は、表示装置240に出力される。表示装置240は、第2の同期信号に従って画像を表示する。通信機140および通信機210が互いに接続した後、プロセッサ132は、撮像周期と表示周期との差分を示す調整値を算出する。プロセッサ132は、調整値に基づいて信号発生器131を調整することにより撮像周期と表示周期とを一致させる。調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴が記録媒体150に記録される。調整情報は、調整値を直接的または間接的に示す。識別情報は、通信機140および通信機210の一方を識別する。通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、通信機140および通信機210の一方に対応する識別情報が記録媒体150に記録されていれば、プロセッサ132は、接続履歴においてその識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器131を調整する。
【0023】
通信機140および通信機210が互いに接続するたびに、プロセッサ132は、通信機210を識別する識別情報を取得する。第1の実施形態において通信機210は、識別情報を通信機140に送信する。プロセッサ132は、通信機140を使用することにより識別情報を通信機210から受信する。プロセッサ132が調整値を算出したとき、プロセッサ132は、調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴を記録媒体150に記録する。通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、プロセッサ132は、新たに取得された識別情報が記録媒体150に記録された識別情報と同じであるか否かを判断する。新たに取得された識別情報が記録媒体150に記録された識別情報と同じであるとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器131を調整する。
【0024】
送信端末100の詳細な構成について説明する。撮像装置110は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサのようなイメージセンサである。撮像装置110は、信号発生器131によって生成された垂直同期信号(撮像Vsync)が示すタイミングで画像を生成する。撮像Vsyncは、繰り返し発生するパルスを含む。撮像Vsyncの周期は、パルスが発生する時間間隔である。撮像Vsyncの周期は撮像周期を示す。例えば、撮像装置110が60fpsで駆動される場合、撮像周期は16.6msである。撮像装置110が駆動される速度(フレームレート)は、60fpsに限らない。撮像周期毎に1枚の画像(1フレーム)が生成される。撮像装置110は、複数枚の画像を連続的に生成することにより、映像を生成する。撮像装置110は、画像を制御部130に出力する。
【0025】
例えば、発振器120は水晶発振器である。発振器120は、源振クロックを生成し、かつ源振クロックを信号発生器131に出力する。
【0026】
信号発生器131は、シンクジェネレータである。信号発生器131は、発振器120から出力された源振クロックに基づいて第1の同期信号を生成する。第1の同期信号は、垂直同期信号(撮像Vsync)および水平同期信号を含む。水平同期信号は、繰り返し発生するパルスを含む。水平同期信号の周期は、パルスが発生する時間間隔である。水平同期信号の周期は、撮像装置110の画素配列における各行の走査のタイミングを示す。以下では、撮像Vsyncの周期が同期信号の周期の調整に使用される例を説明する。信号発生器131は、第1の同期信号を撮像装置110に出力する。信号発生器131は、撮像Vsyncの周期を規定する周期カウンタを有する。信号発生器131の周期カウンタが計測する値を調整することにより、撮像Vsyncの周期が調整される。
【0027】
例えば、プロセッサ132は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、およびGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも1つである。プロセッサ132は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)のような論理回路で構成されてもよい。送信端末100は、複数のプロセッサを有してもよい。
【0028】
プロセッサ132は、撮像装置110から出力された画像を通信機140に出力する。プロセッサ132は、周期計測部133、周期調整部134、および調整値検出部135としての機能を有する。
【0029】
周期計測部133は、撮像周期と表示周期との差分を計測し、かつその差分を示す調整値を算出する。周期調整部134は、調整値に基づいて信号発生器131を調整する。信号発生器131によって生成される撮像Vsyncの周期(撮像周期)が表示周期と一致するように信号発生器131が調整される。
【0030】
通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、調整値検出部135は、通信機210から受信された識別情報が、記録媒体150に記録された接続履歴に含まれているか否かを判断する。通信機210から受信された識別情報が接続履歴に含まれている場合、調整値検出部135は、撮像周期の調整に使用できる調整値を検出する。通信機210から受信された識別情報が接続履歴に含まれていると調整値検出部135が判断した場合、周期調整部134は、接続履歴においてその識別情報と関連付けられた調整値に基づいて信号発生器131を調整する。
【0031】
発振器120が発生する源振クロックの発振周期は、発振器120に固有の周期の偏差を有する。この偏差は、設計上の理想的な周期と実際の周期との差分である。同様に、発振器220が発生する源振クロックの発振周期は、発振器220に固有の周期の偏差を有する。送信端末100および受信端末200が配置された環境が変化しない場合、源振クロックの発振周期の偏差は変化しないと仮定される。そのため、通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、過去の接続において使用された調整値を撮像周期の調整に使用することができる。
【0032】
プロセッサ132が、プログラムを読み込み、かつ読み込まれたプログラムを実行してもよい。そのプログラムは、プロセッサ132の動作を規定する命令を含む。つまり、プロセッサ132の機能はソフトウェアにより実現されてもよい。そのプログラムは、例えばフラッシュメモリのような「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」により提供されてもよい。そのプログラムは、そのプログラムを保持するコンピュータから、伝送媒体を経由して、あるいは伝送媒体中の伝送波により送信端末100に伝送されてもよい。プログラムを伝送する「伝送媒体」は、情報を伝送する機能を有する媒体である。情報を伝送する機能を有する媒体は、インターネット等のネットワーク(通信網)および電話回線等の通信回線(通信線)を含む。上述したプログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上述したプログラムは、差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。コンピュータに既に記録されているプログラムと差分プログラムとの組合せが、前述した機能を実現してもよい。
【0033】
通信機140は、通信機210と通信を実施する。例えば、通信機140は、アンテナおよび無線回路を有する無線モジュールである。通信機140は、通信機210へ電波を放射する、あるいは通信機210から放射された電波を受信することにより無線通信を実施する。通信機140は、ケーブルに接続され、かつ有線通信を実施してもよい。
【0034】
プロセッサ132は、通信機140を使用することにより、画像または情報を受信端末200に送信する。具体的には、プロセッサ132は、画像または情報が受信端末200に送信されるように通信機140を制御する。つまり、プロセッサ132は、受信端末200に対する画像または情報を通信機140に送信させる。これによって、通信機140は、画像または情報を受信端末200に送信する。プロセッサ132は、通信機140を使用することにより、情報を受信端末200から受信する。具体的には、プロセッサ132は、情報が受信端末200から受信されるように通信機140を制御する。つまり、プロセッサ132は、受信端末200からの情報を通信機140に受信させる。これによって、通信機140は、情報を受信端末200から受信する。
【0035】
記録媒体150は、揮発性または不揮発性の記録媒体である。例えば、記録媒体150は、RAM(Random Access Memory)、DRAM(DynamicRandom Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、FRAM(登録商標)(Ferroelectric Random Access Memory)、フラッシュメモリ、およびハードディスクドライブの少なくとも1つである。
【0036】
記録媒体150は、接続履歴を記憶する。接続履歴において、周期計測部133によって算出された調整値と、通信機210を識別する識別情報とが互いに関連付けられている。接続履歴は、調整値および識別情報の複数の組み合わせを含んでもよい。
【0037】
例えば、識別情報は通信機210のMAC(Media Access Control)アドレスである。受信端末200を識別する情報が通信機210の識別情報として使用されてもよい。例えば、識別情報は、受信端末200を一意に特定できるシリアル番号であってもよい。
【0038】
図2に示す例では、撮像装置110は送信端末100に含まれる。撮像装置110は送信端末100に必須ではない。撮像装置110は送信端末100の外部に配置され、かつ送信端末100に有線または無線で接続されてもよい。図2に示す例では、記録媒体150は送信端末100に含まれる。記録媒体150は送信端末100に必須ではない。記録媒体150は送信端末100の外部に配置され、かつ送信端末100に有線または無線で接続されてもよい。
【0039】
受信端末200の詳細な構成について説明する。通信機210は、通信機140と通信を実施する。例えば、通信機210は、アンテナおよび無線回路を有する無線モジュールである。通信機210は、通信機140へ電波を放射する、あるいは通信機140から放射された電波を受信することにより無線通信を実施する。通信機210は、ケーブルに接続され、かつ有線通信を実施してもよい。通信機210は、送信端末100から送信された画像または情報を受信する。また、通信機210は、情報を送信端末100に送信する。
【0040】
例えば、発振器220は水晶発振器である。発振器220は、源振クロックを生成し、かつ源振クロックを信号発生器231に出力する。
【0041】
制御部230は、通信機210から出力された画像を表示装置240に出力する。信号発生器231は、シンクジェネレータである。信号発生器231は、発振器220から出力された源振クロックに基づいて第2の同期信号を生成する。第2の同期信号は、垂直同期信号(表示Vsync)および水平同期信号を含む。水平同期信号の周期は、表示装置240の画面における各行の走査のタイミングを示す。以下では、表示Vsyncの周期が同期信号の周期の調整に使用される例を説明する。信号発生器231は、第2の同期信号を表示装置240に出力する。制御部230は、プロセッサを有してもよい。
【0042】
表示装置240は、モニタである。例えば、表示装置240は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。表示装置240は、信号発生器231によって生成された垂直同期信号(表示Vsync)が示すタイミングで画像を表示する。表示Vsyncは、繰り返し発生するパルスを含む。表示Vsyncの周期は、パルスが発生する時間間隔である。表示Vsyncの周期は表示周期を示す。例えば、表示装置240が60fpsで画像を更新する場合、表示周期は16.6msである。表示装置240が画像を更新する速度(フレームレート)は、60fpsに限らない。表示周期毎に1枚の画像(1フレーム)が表示される。表示装置240は、複数枚の画像を連続的に表示することにより、映像を表示する。
【0043】
図3に示す例では、表示装置240は受信端末200に含まれる。表示装置240は受信端末200に必須ではない。表示装置240は受信端末200の外部に配置され、かつ受信端末200に有線または無線で接続されてもよい。
【0044】
送信端末100の動作を説明する。図4は、送信端末100の動作の手順を示す。
【0045】
プロセッサ132は、接続処理を実行する(ステップS100)。プロセッサ132は、接続処理において、通信機140を使用することにより、受信端末200の通信機210と接続する。接続処理が実行されたとき、送信端末100と受信端末200との間の通信リンクが確立され、かつデータ通信が可能になる。ステップS100の詳細については後述する。
【0046】
接続処理において、通信機140は、通信機210の識別情報を通信機210から受信することにより、通信機210の識別情報を取得する。ステップS100の後、プロセッサ132は、通信機210から受信された識別情報が、記録媒体150に記録された接続履歴に含まれているか否かを判断する。これにより、プロセッサ132は、調整値が接続履歴に含まれているか否かを判断する(ステップS105)。
【0047】
通信機140および通信機210が初めて互いに接続した場合、調整値および通信機210の識別情報は接続履歴に含まれていない。識別情報が接続履歴に含まれていない場合、プロセッサ132は、調整値が接続履歴に含まれていないと判断する。通信機140および通信機210が過去に互いに接続したことがあり、かつ通信機140および通信機210が互いに再度接続した場合、調整値および通信機210の識別情報は接続履歴に含まれている。識別情報が接続履歴に含まれている場合、プロセッサ132は、調整値が接続履歴に含まれていると判断する。
【0048】
ステップS105において、調整値が接続履歴に含まれているとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、接続履歴において通信機210から受信された識別情報と関連付けられた調整値を記録媒体150から読み出す。プロセッサ132は、その調整値を信号発生器131に適用することにより、撮像Vsyncの周期を調整する(ステップS110)。これにより、撮像Vsyncの周期と表示Vsyncの周期とが一致する。ステップS110において撮像Vsyncの周期を調整する方法は、後述するステップS1625(図9)において撮像Vsyncの周期を調整する方法と同様である。
【0049】
通信機140および通信機210が互いに接続した後、通信機210は、表示Vsyncの周期毎に同期パケットを通信機140に送信する。例えば、表示周期が16.6msである場合、通信機210は16.6msの間隔で同期パケットを周期的に通信機140に送信する。同期パケットは、撮像Vsyncの位相および周期の調整に使用される情報を含む。送信端末100において同期調整処理が実行されるため、同期パケットは、表示Vsyncのパルスが出力されるタイミングの所定時間前に送信される。
【0050】
ステップS110の後、通信機140は同期パケットの受信のために待機する。通信機210から同期パケットが送信された場合、通信機140は、同期パケットを受信する。プロセッサ132は、通信機140から同期パケットを取得する(ステップS115)。
【0051】
ステップS115の後、プロセッサ132は、位相調整を実施する(ステップS120)。プロセッサ132は、ステップS120において、撮像Vsyncのタイミングを表示Vsyncのタイミングと一致させることにより、撮像Vsyncの位相を表示Vsyncの位相と一致させる。ステップS120の詳細については後述する。
【0052】
ステップS120の後、プロセッサ132は、撮像装置110に撮像を実施させる。撮像装置110は、撮像を実施し、かつ画像を生成する(ステップS125)。ステップS125の後、プロセッサ132は、通信機140を使用することにより、画像を通信機210に送信する(ステップS130)。圧縮等の画像処理が施された画像が送信されてもよい。
【0053】
ステップS130の後、プロセッサ132は、撮像の終了が指示されたか否かを判断する(ステップS135)。例えば、送信端末100は、ユーザによって操作される操作部を有する。プロセッサ132は、ステップS135において、操作部の操作結果に基づいて、撮像の終了が指示されたか否かを判断する。例えば、送信端末100の電源のオフが指示された場合、プロセッサ132は、撮像の終了が指示されたと判断する。送信端末100の電源のオフが指示されていない場合、プロセッサ132は、撮像の終了が指示されていないと判断する。
【0054】
ステップS135において、撮像の終了が指示されたとプロセッサ132が判断した場合、図4に示す処理が終了する。この場合、プロセッサ132は、通信機140および通信機210の間の接続を切断する。ステップS135において、撮像の終了が指示されていないとプロセッサ132が判断した場合、ステップS115が実行される。
【0055】
ステップS105において、調整値が接続履歴に含まれていないとプロセッサ132が判断した場合、通信機140は同期パケットの受信のために待機する。通信機210から同期パケットが送信された場合、通信機140は、同期パケットを受信する。プロセッサ132は、通信機140から同期パケットを取得する(ステップS140)。
【0056】
ステップS140の後、プロセッサ132は、位相調整を実施する(ステップS145)。ステップS145は、ステップS120と同様である。
【0057】
ステップS145の後、プロセッサ132は、撮像装置110に撮像を実施させる。撮像装置110は、撮像Vsyncに従って撮像を実施し、かつ画像を生成する(ステップS150)。ステップS150の後、プロセッサ132は、通信機140を使用することにより、画像を通信機210に送信する(ステップS155)。
【0058】
ステップS155の後、プロセッサ132は、周期調整を実施する(ステップS160)。プロセッサ132は、ステップS160において、撮像Vsyncの周期を表示Vsyncの周期と一致させる。ステップS160の詳細については後述する。
【0059】
ステップS160の後、プロセッサ132は、ステップS160において算出された調整値と、通信機210の識別情報とを互いに関連付ける。プロセッサ132は、調整値および識別情報を含む接続履歴を記録媒体150に記録する(ステップS165)。ステップS165の後、ステップS135が実行される。
【0060】
図5は、記録媒体150に記録された接続履歴の例を示す。同じ行における識別情報および調整値は互いに関連付けられている。例えば、識別情報A0000xxxxおよび調整値0x01ffは互いに関連付けられている。
【0061】
プロセッサ132は、ステップS165において、調整値が算出された時刻または調整値に基づいて周期が調整された時刻を識別情報および調整値と一緒に記録媒体150に記録してもよい。記録媒体150に記録された時刻から所定時間が経過した場合、プロセッサ132は、その時刻と関連付けられている調整値を削除してもよい。あるいは、記録媒体150に記録された時刻から所定時間が経過した場合、プロセッサ132は、その時刻と関連付けられている調整値をステップS110において使用しなくてもよい。
【0062】
ステップS160における周期調整は2回以上実施されてもよい。例えば、通信機140および通信機210の間の接続が継続している間、周期調整が定期的に実施されてもよい。
【0063】
通信機140および通信機210が初めて互いに接続したとき、通信機210の識別情報は接続履歴に含まれていない。そのため、ステップS160において周期調整が実施され、かつステップS165において調整値が記録媒体150に記録される。
【0064】
次に通信機140および通信機210が互いに接続したとき、通信機210の識別情報は接続履歴に含まれている。そのため、ステップS110において、その識別情報と関連付けられた調整値が記録媒体150から読み出され、かつその調整値を使用することにより、撮像Vsyncの周期が調整される。
【0065】
受信端末200の動作を説明する。図6は、受信端末200の動作の手順を示す。
【0066】
制御部230は、接続処理を実行する(ステップS200)。制御部230は、接続処理において、通信機210を使用することにより、送信端末100の通信機140と接続する。ステップS200の詳細については後述する。
【0067】
ステップS200の後、通信機210は同期パケットを通信機140に送信する(ステップS205)。ステップS205の後、通信機210は画像を通信機140から受信する(ステップS210)。受信された画像は制御部230を経由し、表示装置240に出力される。ステップS210の後、表示装置240は、表示Vsyncに従って画像を表示する(ステップS215)。
【0068】
ステップS215の後、制御部230は、表示の終了が指示されたか否かを判断する(ステップS220)。例えば、図4に示すステップS130において、撮像の終了が指示されたとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、通信機140を使用することにより、終了指示を通信機210に送信する。通信機140から終了指示が送信された場合、通信機210は終了指示を受信する。通信機210が終了指示を受信した場合、制御部230は、表示の終了が指示されたと判断する。通信機210が終了指示を受信していない場合、制御部230は、表示の終了が指示されていないと判断する。
【0069】
受信端末200は、ユーザによって操作される操作部を有してもよい。制御部230は、ステップS220において、操作部の操作結果に基づいて、表示の終了が指示されたか否かを判断してもよい。例えば、受信端末200の電源のオフが指示された場合、制御部230は、表示の終了が指示されたと判断してもよい。受信端末200の電源のオフが指示されていない場合、制御部230は、表示の終了が指示されていないと判断してもよい。
【0070】
ステップS220において、表示の終了が指示されたと制御部230が判断した場合、図6に示す処理が終了する。この場合、制御部230は、通信機210および通信機140の間の接続を切断する。ステップS220において、表示の終了が指示されていないと制御部230が判断した場合、ステップS205が実行される。
【0071】
送信端末100において実行される接続処理(ステップS100)の詳細を説明する。図7は、接続処理における送信端末100の動作の手順を示す。
【0072】
通信機140は、受信端末200の通信機210を識別する識別情報の受信のために待機する。通信機210から識別情報が送信された場合、通信機140は、識別情報を受信する。プロセッサ132は、通信機140から識別情報を取得する(ステップS1000)。
【0073】
ステップS1000の後、プロセッサ132は、通信機140を使用することにより、接続要求を通信機210に送信する(ステップS1005)。通信機210は、接続要求を受信し、かつ接続確認を通信機140に送信する。
【0074】
通信機210から接続確認が送信された場合、通信機140は、接続確認を受信する。プロセッサ132は、接続確認が受信されたか否かを判断する(ステップS1010)。例えば、プロセッサ132は、ステップS1010において、接続要求が送信されたタイミングから所定時間以内に接続確認が受信されたか否かを判断する。
【0075】
ステップS1010において、接続確認が受信されたとプロセッサ132が判断した場合、図7に示す処理が終了し、図4に示すステップS105が実行される。この場合、通信機140および通信機210の間の接続が確立する。通信機140および通信機210は、画像の通信を実施することができる。
【0076】
ステップS1010において、接続確認が受信されていないとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、タイムアウトが発生したか否かを判断する(ステップS1015)。例えば、プロセッサ132は、最初に接続要求が送信されたタイミングから経過した時間が所定時間を超えたか否かを判断する。その時間が所定時間を超えた場合、プロセッサ132は、タイムアウトが発生したと判断する。その時間が所定時間を超えていない場合、プロセッサ132は、タイムアウトが発生していないと判断する。
【0077】
ステップS1015において、タイムアウトが発生したとプロセッサ132が判断した場合、図7および図4に示す処理が終了する。ステップS1015において、タイムアウトが発生していないとプロセッサ132が判断した場合、ステップS1005が実行される。
【0078】
上記の例では、通信機140は、識別情報を通信機210から受信する。識別情報の通信方法はこれに限らない。例えば、送信端末100は、通信機140を含む2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200は、通信機210を含む2つ以上の通信機を有してもよい。通信機140以外の送信端末100の通信機は、通信機210の識別情報を通信機210以外の受信端末200の通信機から受信してもよい。つまり、送信端末100は、画像の送信に使用する通信機140以外の通信機を使用することにより識別情報を受信端末200から受信してもよい。
【0079】
送信端末100において実施される位相調整(ステップS120およびステップS145)の詳細を説明する。図8は、位相調整における送信端末100の動作の手順を示す。
【0080】
ステップS115またはステップS140において受信された同期パケットは、表示Vsyncの次のパルスのタイミングを示す値を含む。プロセッサ132は、その値を同期パケットから抽出する(ステップS1200)。
【0081】
ステップS1200の後、プロセッサ132は、同期パケットから抽出された値に基づいて、撮像Vsyncの次のパルスのタイミングを算出する。プロセッサ132は、算出されたタイミングを信号発生器131に設定する(ステップS1205)。ステップS1205が実行されたとき、図8に示す処理が終了し、図4に示すステップS125またはステップS150が実行される。
【0082】
例えば、同期パケットは、表示Vsyncの次のパルスの時刻を示す情報を含む。プロセッサ132は、ステップS1205において、表示Vsyncの次のパルスの時刻から、同期パケットが受信された時刻を減算する。これにより、プロセッサ132は、撮像Vsyncの次のパルスのタイミングまでに必要な時間を算出する。プロセッサ132は、算出された時間が経過したときに撮像Vsyncのパルスを発生させるために信号発生器131を調整する。
【0083】
ステップS115またはステップS140において同期パケットが受信されなかった場合、位相調整は実施されずに撮像が実施され、かつ画像が送信される。
【0084】
送信端末100において実施される周期調整(ステップS160)の詳細を説明する。図9は、周期調整における送信端末100の動作の手順を示す。国際公開第2018/235258号に記載された方法と同様の方法を本発明の実施形態における周期調整に適用することができる。
【0085】
プロセッサ132は、撮像Vsyncの周期におけるカウンタ値CNT_Aを信号発生器131から取得する(ステップS1600)。信号発生器131は、時間を計測するカウンタを有する。そのカウンタの値(カウンタ値CNT_A)は、基準タイミングにおける初期値から増加する。プロセッサ132は、ステップS1600において、撮像Vsyncの周期と同期したパルスが発生したタイミングでカウンタ値CNT_Aを取得する。カウンタ値CNT_Aは、撮像Vsyncの所定の数の周期の長さに対応する。
【0086】
ステップS1600の後、プロセッサ132は、ステップS140において受信された同期パケットからフレームカウンタ値を抽出する。フレームカウンタ値は、基準タイミングを起点とする期間に含まれるフレーム期間の数を示す。例えば、撮像周期および表示周期が16.6msである場合、1フレーム期間の長さは16.6msである。フレームカウンタ値は、フレーム番号に対応する。プロセッサ132は、フレームカウンタ値に基づいて、表示Vsyncの周期におけるカウンタ値CNT_Bを算出する(ステップS1605)。
【0087】
受信端末200の信号発生器231は、時間を計測するカウンタを有する。そのカウンタの値(カウンタ値CNT_B)は、基準タイミングにおける初期値から増加する。1フレーム期間においてカウンタ値CNT_Bは固定値だけ増加する。例えば、その固定値は1000000である。その固定値は1000000に限らない。プロセッサ132は、フレームカウンタ値をその固定値に乗算することにより、カウンタ値CNT_Bを算出する。
【0088】
その固定値は、記録媒体150に記録されてもよい。通信機140および通信機210が互いに接続したとき、プロセッサ132は、通信機140を使用することにより、その固定値を通信機210から受信してもよい。その固定値は、同期パケットに格納されてもよい。
【0089】
ステップS1605の後、プロセッサ132は、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS1610)。例えば、所定時間は60秒である。所定時間は60秒以外の時間であってもよい。例えば、プロセッサ132は、通信機140および通信機210が互いに接続したタイミングから経過した時間を判断する。その時間が所定時間よりも短い場合、プロセッサ132は、所定時間が経過していないと判断する。その時間が所定時間以上である場合、プロセッサ132は、所定時間が経過したと判断する。
【0090】
ステップS1610において、所定時間が経過していないとプロセッサ132が判断した場合、ステップS140が実行される。所定時間が経過するまで、同期パケットが繰り返し受信され、かつカウンタ値CNT_Aおよびカウンタ値CNT_Bが繰り返し取得される。ステップS1610において、所定時間が経過したとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、撮像Vsyncの周期と表示Vsyncの周期との差分を計測し、かつその差分を示す調整値を算出する(ステップS1615)。
【0091】
プロセッサ132がステップS1615において実行する処理の詳細を説明する。所定時間において複数のカウンタ値CNT_Aおよび複数のカウンタ値CNT_Bが取得される。プロセッサ132は、所定時間に含まれる2つの時間の各々におけるカウンタ値CNT_Aおよびカウンタ値CNT_Bを選択する。2つの時間がt0およびt1である場合、プロセッサ132は、時間t0におけるカウンタ値CNT_A(t0)およびカウンタ値CNT_B(t0)を選択し、かつ時間t1におけるカウンタ値CNT_A(t1)およびカウンタ値CNT_B(t1)を選択する。
【0092】
プロセッサ132は、以下の式(1)に従って撮像Vsyncの周期Tiを算出し、かつ以下の式(2)に従って表示Vsyncの周期Tdを算出する。
Ti={CNT_A(t1)-CNT_A(t0)}/(t1-t0) ・・・(1)
Td={CNT_B(t1)-CNT_B(t0)}/(t1-t0) ・・・(2)
【0093】
さらに、プロセッサ132は、以下の式(3)に従って調整値Vaを算出する。つまり、プロセッサ132は、撮像Vsyncの周期Tiと表示Vsyncの周期Tdとの差分を算出することにより調整値Vaを算出する。
Va=Ti-Td ・・・(3)
【0094】
ステップS1615の後、プロセッサ132は、周期調整が必要であるか否かを判断する(ステップS1620)。プロセッサ132は、ステップS1620において、信号発生器131の周期カウンタの最大値および信号発生器231の周期カウンタの最大値の差分を算出する。各周期カウンタの最大値については、後述する。プロセッサ132は、ステップS1620において、調整値がその差分よりも小さいか否かを判断する。調整値がその差分よりも小さい場合、プロセッサ132は、周期調整が必要であると判断する。調整値がその差分よりも大きい場合、プロセッサ132は、周期調整が必要でないと判断する。例えば、その差分が50ppmに相当する値であり、かつ調整値が10ppmに相当する値である場合、プロセッサ132は、周期調整が必要であると判断する。
【0095】
信号発生器131は、撮像Vsyncの周期を計測する周期カウンタを有する。その周期カウンタの値は、撮像Vsyncの周期が開始されるタイミングにおける初期値から増加する。その周期カウンタの値が予め設定された最大値になったとき、その周期カウンタの値は初期値にリセットされる。信号発生器131は、その周期カウンタの値に基づいて撮像Vsyncのパルスを生成する。例えば、信号発生器131は、その周期カウンタの値がリセットされたタイミングで撮像Vsyncのパルスを生成する。
【0096】
信号発生器231は、表示Vsyncの周期を計測する周期カウンタを有する。その周期カウンタの値は、表示Vsyncの周期が開始されるタイミングにおける初期値から増加する。その周期カウンタの値が予め設定された最大値になったとき、その周期カウンタの値は初期値にリセットされる。信号発生器231は、その周期カウンタの値に基づいて表示Vsyncのパルスを生成する。例えば、信号発生器231は、その周期カウンタの値がリセットされたタイミングで表示Vsyncのパルスを生成する。
【0097】
信号発生器131および信号発生器231の各々の周期カウンタの最大値は、記録媒体150に記録されてもよい。通信機140および通信機210が互いに接続したとき、プロセッサ132は、通信機140を使用することにより、信号発生器231の周期カウンタの最大値を通信機210から受信してもよい。信号発生器231の周期カウンタの最大値は、同期パケットに格納されてもよい。
【0098】
ステップS1620において、周期調整が必要であるとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、算出された調整値に基づいて信号発生器131の周期カウンタの値を更新する(ステップS1625)。プロセッサ132はステップS1625を実行することにより、撮像Vsyncの周期と表示Vsyncの周期とを一致させる。
【0099】
調整値が正である場合、撮像Vsyncの周期は表示Vsyncの周期よりも長い。この場合、プロセッサ132は、撮像Vsyncの周期を短くするために、ステップS1625において、信号発生器131の周期カウンタの最大値から調整値を減算することにより新しい最大値を算出する。プロセッサ132は、ステップS1625において、信号発生器131の周期カウンタの最大値を新しい最大値に更新する。
【0100】
調整値が負である場合、撮像Vsyncの周期は表示Vsyncの周期よりも短い。この場合、プロセッサ132は、撮像Vsyncの周期を長くするために、ステップS1625において、信号発生器131の周期カウンタの最大値に調整値を加算することにより新しい最大値を算出する。プロセッサ132は、ステップS1625において、信号発生器131の周期カウンタの最大値を新しい最大値に更新する。
【0101】
ステップS1625が実行されたとき、図9に示す処理が終了し、図4に示すステップS165が実行される。ステップS1620において、周期調整が必要でないとプロセッサ132が判断した場合、図9に示す処理が終了し、図4に示すステップS165が実行される。
【0102】
ステップS1625において算出された調整値は、図4に示すステップS165において記録媒体150に記録される。ステップS1620において、周期調整が必要でないとプロセッサ132が判断した場合、図4に示すステップS165において、周期調整が必要でないことを示す情報が記録媒体150に記録されてもよい。その情報は、通信機210の識別情報と関連付けられる。
【0103】
図4に示すステップS105において、通信機210から受信された識別情報が接続履歴に含まれているとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、以下の処理を実行してもよい。接続履歴において調整値がその識別情報に関連付けられている場合、プロセッサ132は、前述したステップS110を実行する。接続履歴において、周期調整が必要でないことを示す情報がその識別情報に関連付けられている場合、プロセッサ132は、ステップS110を実行せずにステップS115を実行してもよい。
【0104】
上記の例では、撮像Vsyncの周期を調整するための調整値は、撮像Vsyncの周期と表示Vsyncの周期との差分である。送信端末100の発振器120が生成する源振クロックの仕様と、受信端末200の発振器220が生成する源振クロックの仕様とが同じである場合、周期の偏差の差分が調整値として使用されてもよい。具体的には、設計上の理想的な撮像Vsyncの周期と実際の撮像Vsyncの周期との差分(第1の値)が算出される。第1の値は、撮像Vsyncの周期の偏差を示す。また、設計上の理想的な表示Vsyncの周期と実際の表示Vsyncの周期との差分(第2の値)が算出される。第2の値は、表示Vsyncの周期の偏差を示す。第1の値と第2の値との差分が周期の偏差の差分である。
【0105】
上記の例では、調整情報は、調整値を直接的に示す情報である。調整情報は、調整値を間接的に示す情報であってもよい。調整値の算出に必要な情報が、調整値を間接的に示す調整情報として記録媒体150に記録されてもよい。例えば、調整値の算出に使用された撮像周期および表示周期が調整情報として記録媒体150に記録される。つまり、式(1)に示す撮像Vsyncの周期Tiおよび式(2)に示す表示Vsyncの周期Tdが記録媒体150に記録される。プロセッサ132は、ステップS110において、式(3)に従って調整値Vaを算出し、かつ調整値Vaを信号発生器131に適用する。
【0106】
調整値の算出に必要な情報は、撮像周期および表示周期に限らない。例えば、式(1)および式(2)に示すカウンタ値CNT_Aおよびカウンタ値CNT_Bが調整情報として記録媒体150に記録されてもよい。プロセッサ132は、ステップS110において、式(1)および式(2)に従って撮像Vsyncの周期Tiおよび表示Vsyncの周期Tdを算出してもよい。さらに、プロセッサ132は、ステップS110において、式(3)に従って調整値Vaを算出し、かつ調整値Vaを信号発生器131に適用してもよい。
【0107】
受信端末200において実行される接続処理(ステップS200)の詳細を説明する。図10は、接続処理における受信端末200の動作の手順を示す。
【0108】
制御部230は、通信機210を使用することにより、通信機210を識別する識別情報を送信端末100の通信機140に送信する(ステップS2000)。
【0109】
ステップS2000の後、通信機210は接続要求の受信のために待機する。通信機140から接続要求が送信された場合、通信機210は、接続要求を受信する。制御部230は、接続要求が受信されたか否かを判断する(ステップS2005)。例えば、制御部230は、ステップS2005において、識別情報が送信されたタイミングから所定時間以内に接続要求が受信されたか否かを判断する。
【0110】
ステップS2005において、接続要求が受信されたと制御部230が判断した場合、制御部230は、通信機210を使用することにより、接続確認を通信機140に送信する(ステップS2010)。ステップS2010が実行されたとき、図10に示す処理が終了し、図6に示すステップS205が実行される。この場合、通信機140および通信機210の間の接続が確立する。通信機140および通信機210は、画像の通信を実施することができる。
【0111】
ステップS2005において、接続要求が受信されていないと制御部230が判断した場合、制御部230は、タイムアウトが発生したか否かを判断する(ステップS2015)。例えば、制御部230は、ステップS2000において識別情報が送信されたタイミングから経過した時間が所定時間を超えたか否かを判断する。その時間が所定時間を超えた場合、制御部230は、タイムアウトが発生したと判断する。その時間が所定時間を超えていない場合、制御部230は、タイムアウトが発生していないと判断する。
【0112】
ステップS2015において、タイムアウトが発生したと制御部230が判断した場合、図10および図6に示す処理が終了する。ステップS2015において、タイムアウトが発生していないと制御部230が判断した場合、ステップS2005が実行される。
【0113】
上記の例では、通信機210は、通信機210の識別情報を通信機140に送信する。送信端末100が2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200が2つ以上の通信機を有する場合、通信機210以外の受信端末200の通信機は、通信機210の識別情報を通信機140以外の送信端末100の通信機に送信してもよい。つまり、受信端末200は、画像の受信に使用する通信機210以外の通信機を使用することにより識別情報を送信端末100に送信してもよい。
【0114】
上記の例では、垂直同期信号(撮像Vsync)の周期が調整される。上記の方法と同様の方法を使用することにより、水平同期信号の周期が調整されてもよい。
【0115】
本発明の各態様の通信方法は、算出ステップ、第1の調整ステップ、および第2の調整ステップを有する。通信機140および通信機210が互いに接続した後、プロセッサ132は、算出ステップ(ステップS1615)において、撮像周期と表示周期との差分を示す調整値を算出する。プロセッサ132は、第1の調整ステップ(ステップS1625)において調整値に基づいて信号発生器131を調整することにより撮像周期と表示周期とを一致させる。調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴が記録媒体150に記録される。調整情報は、調整値を直接的または間接的に示す。識別情報は、通信機140および通信機210の一方を識別する。通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、通信機140および通信機210の一方に対応する識別情報が記録媒体150に記録されていれば、プロセッサ132は、第2の調整ステップ(ステップS110)において、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器131を調整する。
【0116】
本発明の各態様の通信方法は、算出ステップ、第1の調整ステップ、および第2の調整ステップ以外のステップを有する必要はない。
【0117】
第1の実施形態において、通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、プロセッサ132は、通信機210の識別情報が記録媒体150に記録されているか否かを判断する。通信機210の識別情報が記録媒体150に記録されている場合、プロセッサ132は、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器131を調整する。この場合、プロセッサ132は、図4に示すステップS160を実行する必要がない。そのため、通信システム10は、送信端末100および受信端末200の同期信号の周期を短時間で一致させることができる。
【0118】
ステップS110が実行される場合、撮像Vsyncの周期および表示Vsyncの周期は短時間で一致する。図4に示すステップS120が実行された後、撮像Vsyncおよび表示Vsyncが互いに同期している状態が維持されやすい。そのため、通信システム10は、映像データの欠落を回避することができる。
【0119】
(第1の実施形態の変形例)
本発明の第1の実施形態の第1の変形例を説明する。図2に示す送信端末100は、図11に示す送信端末100aに変更される。図11は、送信端末100aの構成を示す。図2に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0120】
送信端末100aにおいて、図2に示す制御部130は制御部130aに変更される。制御部130aにおいて、図2に示すプロセッサ132はプロセッサ132aに変更される。プロセッサ132aは、周期計測部133および周期調整部134としての機能を有する。プロセッサ132aは、図2に示す調整値検出部135としての機能を有していない。送信端末100aは、図2に示す記録媒体150を有していない。
【0121】
通信機140および通信機210が互いに接続するとき、通信機140は、通信機140を識別する識別情報を通信機210に送信する。例えば、識別情報は通信機140のMACアドレスである。送信端末100aを識別する情報が通信機140の識別情報として使用されてもよい。例えば、識別情報は、送信端末100aを一意に特定できるシリアル番号であってもよい。
【0122】
図3に示す受信端末200は、図12に示す受信端末200aに変更される。図12は、受信端末200aの構成を示す。図3に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0123】
受信端末200aは、記録媒体250を有する。記録媒体250は、揮発性または不揮発性の記録媒体である。例えば、記録媒体250は、RAM、DRAM、SRAM、EEPROM、FRAM(登録商標)、フラッシュメモリ、およびハードディスクドライブの少なくとも1つである。
【0124】
記録媒体250は、接続履歴を記憶する。接続履歴において、周期計測部133によって算出された調整値と、通信機140を識別する識別情報とが互いに関連付けられている。
【0125】
受信端末200aにおいて、図3に示す制御部230は制御部230aに変更される。制御部230aは、信号発生器231およびプロセッサ232を有する。
【0126】
プロセッサ232は、調整値検出部235としての機能を有する。通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、調整値検出部235は、通信機140から受信された識別情報が、記録媒体250に記録された接続履歴に含まれているか否かを判断する。通信機140から受信された識別情報が接続履歴に含まれている場合、調整値検出部235は、撮像周期の調整に使用できる調整値を検出する。
【0127】
プロセッサ232が、プログラムを読み込み、かつ読み込まれたプログラムを実行してもよい。そのプログラムは、プロセッサ232の動作を規定する命令を含む。つまり、プロセッサ232の機能はソフトウェアにより実現されてもよい。そのプログラムは、プロセッサ132の機能を実現するプログラムと同様に実現される。
【0128】
プロセッサ232は、通信機210を使用することにより、情報を送信端末100aに送信する。具体的には、プロセッサ232は、情報が送信端末100aに送信されるように通信機210を制御する。つまり、プロセッサ232は、送信端末100aに対する情報を通信機210に送信させる。これによって、通信機210は、情報を送信端末100aに送信する。プロセッサ232は、通信機210を使用することにより、画像または情報を送信端末100aから受信する。具体的には、プロセッサ232は、画像または情報が送信端末100aから受信されるように通信機210を制御する。つまり、プロセッサ232は、送信端末100aからの画像または情報を通信機140に受信させる。これによって、通信機210は、画像または情報を送信端末100aから受信する。
【0129】
通信機140および通信機210が互いに接続するたびに、プロセッサ232は、通信機140を識別する識別情報を取得する。第1の実施形態の変形例において通信機140は、識別情報を通信機210に送信する。プロセッサ232は、通信機210を使用することにより識別情報を通信機140から受信する。プロセッサ132が調整値を算出したとき、プロセッサ132は、通信機140を使用することにより、調整値を示す調整情報を通信機210に送信する。プロセッサ232は、通信機210を使用することにより調整情報を通信機140から受信する。プロセッサ232は、調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴を記録媒体250に記録する。
【0130】
通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、プロセッサ232は、新たに取得された識別情報が記録媒体250に記録された識別情報と同じであるか否かを判断する。新たに取得された識別情報が記録媒体250に記録された識別情報と同じであるとプロセッサ232が判断した場合、プロセッサ232は、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報を、通信機210を使用することにより通信機140に送信する。プロセッサ132は、通信機140を使用することにより調整情報を通信機210から受信する。プロセッサ132は、通信機210から受信された調整情報に基づいて信号発生器131を調整する。
【0131】
送信端末100aの動作を説明する。図13は、送信端末100aの動作の手順を示す。図4に示す処理と同じ処理の説明を省略する。
【0132】
プロセッサ132aは、接続処理を実行する(ステップS100a)。接続処理は、図7に示すステップS1000を除いて、図7に示す接続処理と同じである。プロセッサ132aは、ステップS1000において、通信機140を使用することにより、通信機140の識別情報を受信端末200aの通信機210に送信する。
【0133】
接続処理が実行された後、受信端末200aの通信機210は調整値を通信機140に送信する。通信機210から調整値が送信された場合、通信機140は、調整値を受信する。ステップS100aの後、プロセッサ132aは、調整値が受信されたか否かを判断する(ステップS105a)。例えば、プロセッサ132aは、ステップS105aにおいて、接続処理が実行されたタイミングから所定時間以内に調整値が受信されたか否かを判断する。ステップS105aにおいて、調整値が受信されたとプロセッサ132aが判断した場合、ステップS110が実行される。
【0134】
プロセッサ132aは、ステップS110において、通信機210から受信された調整値を信号発生器131に適用することにより、撮像Vsyncの周期を調整する。ステップS105aにおいて、調整値が受信されていないとプロセッサ132aが判断した場合、ステップS140が実行される。
【0135】
ステップS160の後、プロセッサ132aは、通信機140を使用することにより、ステップS160において算出された調整値を通信機210に送信する(ステップS165a)。ステップS165aの後、ステップS135が実行される。
【0136】
上記の例では、通信機140は、識別情報を通信機210に送信する。識別情報の通信方法はこれに限らない。例えば、送信端末100aは、通信機140を含む2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200aは、通信機210を含む2つ以上の通信機を有してもよい。通信機140以外の送信端末100aの通信機は、通信機210の識別情報を通信機210以外の受信端末200aの通信機に送信してもよい。つまり、送信端末100aは、画像の送信に使用する通信機140以外の通信機を使用することにより識別情報を受信端末200aに送信してもよい。
【0137】
上記の例では、通信機140は、ステップS105aにおいて調整値を通信機210から受信する。調整値の通信方法はこれに限らない。送信端末100aが2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200aが2つ以上の通信機を有する場合、通信機140以外の送信端末100aの通信機は、ステップS105aにおいて調整値を通信機210以外の受信端末200aの通信機から受信してもよい。つまり、送信端末100aは、画像の送信に使用する通信機140以外の通信機を使用することにより調整値を受信端末200aから受信してもよい。
【0138】
上記の例では、通信機140は、ステップS165aにおいて調整値を通信機210に送信する。調整値の通信方法はこれに限らない。送信端末100aが2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200aが2つ以上の通信機を有する場合、通信機140以外の送信端末100aの通信機は、ステップS165aにおいて調整値を通信機210以外の受信端末200aの通信機に送信してもよい。つまり、送信端末100aは、画像の送信に使用する通信機140以外の通信機を使用することにより調整値を受信端末200aに送信してもよい。
【0139】
受信端末200aの動作を説明する。図14は、受信端末200aの動作の手順を示す。図6に示す処理と同じ処理の説明を省略する。
【0140】
プロセッサ232は、接続処理を実行する(ステップS200a)。接続処理は、図10に示すステップS2000を除いて、図10に示す接続処理と同じである。プロセッサ232は、ステップS2000において、通信機210を使用することにより、送信端末100aの通信機140の識別情報を通信機140から受信する。
【0141】
ステップS200aの後、プロセッサ232は、通信機140から受信された識別情報が、記録媒体250に記録された接続履歴に含まれているか否かを判断する。これにより、プロセッサ232は、調整値が接続履歴に含まれているか否かを判断する(ステップS230)。通信機140および通信機210が初めて互いに接続した場合、調整値および通信機140の識別情報は接続履歴に含まれていない。識別情報が接続履歴に含まれていない場合、プロセッサ132は、調整値が接続履歴に含まれていないと判断する。通信機140および通信機210が過去に互いに接続したことがあり、かつ通信機140および通信機210が互いに再度接続した場合、調整値および通信機140の識別情報は接続履歴に含まれている。識別情報が接続履歴に含まれている場合、プロセッサ132は、調整値が接続履歴に含まれていると判断する。
【0142】
ステップS230において、調整値が接続履歴に含まれているとプロセッサ232が判断した場合、プロセッサ232は、接続履歴において通信機140から受信された識別情報と関連付けられた調整値を記録媒体250から読み出す。プロセッサ232は、通信機210を使用することにより、調整値を通信機140に送信する(ステップS231)。ステップS231の後、ステップS205が実行される。ステップS230において、調整値が接続履歴に含まれていないとプロセッサ232が判断した場合、ステップS205が実行される。
【0143】
通信機140から調整値が送信された場合、通信機210は、調整値を受信する。ステップS215の後、プロセッサ232は、調整値が受信されたか否かを判断する(ステップS232)。ステップS232において、調整値が受信されていないとプロセッサ232が判断した場合、ステップS220が実行される。
【0144】
ステップS232において、調整値が受信されたとプロセッサ232が判断した場合、プロセッサ232は、通信機140から受信された調整値と、通信機140の識別情報とを互いに関連付ける。プロセッサ232は、調整値および識別情報を含む接続履歴を記録媒体250に記録する(ステップS233)。ステップS233の後、ステップS220が実行される。
【0145】
上記の例では、通信機210は、通信機140の識別情報を通信機140から受信する。送信端末100aが2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200aが2つ以上の通信機を有する場合、通信機210以外の受信端末200aの通信機は、通信機140の識別情報を通信機140以外の送信端末100aの通信機から受信してもよい。つまり、受信端末200aは、画像の受信に使用する通信機210以外の通信機を使用することにより識別情報を送信端末100aから受信してもよい。
【0146】
上記の例では、通信機210は、ステップS231において調整値を通信機140に送信する。送信端末100aが2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200aが2つ以上の通信機を有する場合、通信機210以外の受信端末200aの通信機は、ステップS231において調整値を通信機140以外の送信端末100aの通信機に送信してもよい。つまり、受信端末200aは、画像の受信に使用する通信機210以外の通信機を使用することにより調整値を送信端末100aに送信してもよい。
【0147】
上記の例では、通信機210は、ステップS232において調整値を通信機140から受信する。送信端末100aが2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200aが2つ以上の通信機を有する場合、通信機210以外の受信端末200aの通信機は、ステップS232において調整値を通信機140以外の送信端末100aの通信機から受信してもよい。つまり、受信端末200aは、画像の受信に使用する通信機210以外の通信機を使用することにより調整値を送信端末100aから受信してもよい。
【0148】
ステップS165aにおける調整値の送信と、ステップS232における調整値の受信との各々のタイミングは、図13および図14の各々に示すタイミングに限らない。例えば、調整値の通信は定期的に実施されてもよい。送信端末100aの撮像Vsyncの周期が調整されたタイミングから所定時間が経過した後、調整値の通信が実施されてもよい。撮像の終了が指示された後、調整値の通信が実施されてもよい。通信機140および通信機210の間の接続が切断される前に調整値の通信が実施されてもよい。
【0149】
第1の実施形態の変形例において、通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、受信端末200aのプロセッサ232は、通信機140の識別情報が記録媒体250に記録されているか否かを判断する。通信機140の識別情報が記録媒体250に記録されている場合、プロセッサ232は、通信機210を使用することにより、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報を通信機140に送信する。送信端末100aのプロセッサ132aは、通信機210から受信された調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器131を調整する。この場合、プロセッサ132aは、図4に示すステップS160を実行する必要がない。そのため、通信システム10は、送信端末100aおよび受信端末200aの同期信号の周期を短時間で一致させることができる。温度および経年変化により、送信端末100aの源振クロックおよび受信端末200aの源振クロックが変化する可能性がある。そのため、所定期間毎に送信端末100aと受信端末200aとの間で周期調整が実施され、記録媒体250に記録された調整値を書き換えることにより、調整値が更新されてもよい。送信端末100aまたは受信端末200aの源振クロックが変化した場合でも、第1の実施形態で説明した周期調整動作が可能になる。
【0150】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態において、撮像Vsyncの周期を調整するための調整値は、温度に応じて補正される。図2に示す送信端末100は、図15に示す送信端末100bに変更される。図15は、送信端末100bの構成を示す。図2に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0151】
送信端末100bは、図2に示す構成に加えて、温度センサ160(第1の温度センサ)を有する。例えば、温度センサ160はサーミスタを有する。温度センサ160は発振器120の近傍に配置されている。温度センサ160は、発振器120と接触してもよい。温度センサ160は、発振器120の温度を測定し、かつその温度を示す信号をプロセッサ132に出力する。
【0152】
図3に示す受信端末200は、図16に示す受信端末200bに変更される。図16は、受信端末200bの構成を示す。図3に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0153】
受信端末200bは、図3に示す構成に加えて、温度センサ260(第2の温度センサ)を有する。例えば、温度センサ260はサーミスタを有する。温度センサ260は発振器220の近傍に配置されている。温度センサ260は、発振器220と接触してもよい。温度センサ260は、発振器220の温度を測定し、かつその温度を示す信号を制御部230に出力する。
【0154】
通信機140および通信機210が互いに接続するたびに、送信端末100bのプロセッサ132は、受信端末200bの温度センサ260によって測定された温度を示す温度情報を取得する。第2の実施形態において通信機210は温度情報を通信機140に送信する。プロセッサ132は、通信機140を使用することにより温度情報を通信機210から受信する。プロセッサ132が調整値を算出したとき、プロセッサ132は、接続履歴を記録媒体150に記録する。その接続履歴において、温度センサ160によって測定された温度と、温度センサ260によって測定された温度と、調整値を示す調整情報と、通信機210を識別する識別情報とが互いに関連付けられている。
【0155】
通信機140および通信機210が再度接続するとき、通信機140および通信機210の一方に対応する識別情報が記録媒体150に記録されていれば、プロセッサ132は、温度センサ160および温度センサ260の各々によって測定された温度と、接続履歴において識別情報と関連付けられた温度とに基づいて、調整値を補正するか否かを判断する。以下の例では、通信機210の識別情報が記録媒体150に記録されていれば、プロセッサ132は、調整値を補正するか否かを判断する。
【0156】
調整値を補正するとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値を第1の同期信号(撮像Vsync)および第2の同期信号(表示Vsync)の各々の源振クロックの温度特性に基づいて補正する。プロセッサ132は、補正された調整値に基づいて信号発生器131を調整する。
【0157】
図17は、温度と源振クロックの発振周期との関係を示すグラフである。図17における横軸は温度[℃]を示し、かつ図17における縦軸は源振クロックの発振周期[ppm]を示す。図17におけるグラフは、源振クロックの温度特性を示す。例えば、温度が25℃から50℃に変化したとき、25℃における発振周期に対して-2.0ppmの偏差が生じる。発振器120および発振器220の間で源振クロックの発振周期の温度特性が異なっていてもよい。発振器120および発振器220の各々における温度と源振クロックの発振周期との関係を示すテーブルが記録媒体150に記録される。
【0158】
図18は、記録媒体150に記録された接続履歴の例を示す。接続履歴において、識別情報、調整値、送信端末100bの温度、および受信端末200bの温度が互いに関連付けられている。送信端末100bの温度は、温度センサ160によって測定された温度である。受信端末200bの温度は、温度センサ260によって測定された温度である。
【0159】
送信端末100bの動作を説明する。図19は、送信端末100bの動作の手順を示す。図4に示す処理と同じ処理の説明を省略する。
【0160】
ステップS105において、調整値が接続履歴に含まれているとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、温度センサ160から温度を取得する(ステップS170)。ステップS170の後、ステップS115が実行される。
【0161】
プロセッサ132は、ステップS115において、通信機140を使用することにより、同期パケットを通信機210から受信する。同期パケットは、受信端末200bの温度センサ260によって測定された温度を示す温度情報を含む。ステップS115の後、プロセッサ132は、温度センサ160および温度センサ260の各々によって測定された温度と、接続履歴において通信機210から受信された識別情報と関連付けられた温度とに基づいて、調整値の補正が必要であるか否かを判断する(ステップS171)。
【0162】
プロセッサ132がステップS171において実行する処理の詳細を説明する。プロセッサ132は、過去の接続における温度と、現在の接続における温度との差分に基づいて生じる発振周期の差分を端末毎に算出する。具体的には、プロセッサ132は、接続履歴における送信端末100bの温度と、ステップS170において取得された温度と、発振器120における源振クロックの発振周期の温度特性とを使用する。例えば、発振器120における源振クロックの発振周期の温度特性は、図17に示すグラフと同様である。プロセッサ132は、発振器120における源振クロックの発振周期の差分ΔCNT_A_Tを算出する。
【0163】
接続履歴における送信端末100bの温度が25℃であり、ステップS170において取得された温度が30℃である例を説明する。図17に示すグラフにおいて、温度25℃における発振周期は0ppmであり、かつ温度30℃における発振周期は-1.0ppmである。差分ΔCNT_A_Tは、-1.0ppmである。
【0164】
プロセッサ132は、受信端末200bの情報を使用することにより、上記の処理と同様の処理を実行する。具体的には、プロセッサ132は、接続履歴における受信端末200bの温度と、同期パケットに含まれる温度情報が示す温度と、発振器220における源振クロックの発振周期の温度特性とを使用する。プロセッサ132は、発振器220における源振クロックの発振周期の差分ΔCNT_B_Tを算出する。
【0165】
プロセッサ132は、差分ΔCNT_A_Tおよび差分ΔCNT_B_Tの差分ΔCNT(ΔCNT_A_T-ΔCNT_B_T)を算出する。プロセッサ132は、差分ΔCNTの絶対値が所定値よりも大きいか否かを判断する。差分ΔCNTの絶対値が所定値よりも大きい場合、プロセッサ132は、調整値の補正が必要であると判断する。差分ΔCNTの絶対値が所定値以下である場合、プロセッサ132は、調整値の補正が必要ではないと判断する。
【0166】
ステップS171において、調整値の補正が必要ではないとプロセッサ132が判断した場合、ステップS110が実行される。ステップS171において、調整値の補正が必要であるとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整値を記録媒体150から読み出し、かつその調整値を補正する。プロセッサ132は、補正された調整値を信号発生器131に適用することにより、撮像Vsyncの周期を調整する(ステップS172)。ステップS172の後、ステップS120が実行される。
【0167】
プロセッサ132がステップS172において実行する処理の詳細を説明する。プロセッサ132は、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整値を記録媒体150から読み出す。プロセッサ132は、差分ΔCNTに基づいて調整値を補正する。例えば、差分ΔCNTが+10ppmである場合、発振器120における源振クロックの発振周期は、発振器220における源振クロックの発振周期よりも長い。この場合、プロセッサ132は、撮像Vsyncの周期を短くするために、+10ppmに相当する値だけ調整値(正の調整値または負の調整値)を小さくする。差分ΔCNTが-10ppmである場合、発振器120における源振クロックの発振周期は、発振器220における源振クロックの発振周期よりも短い。この場合、プロセッサ132は、撮像Vsyncの周期を長くするために、-10ppmに相当する値だけ調整値(正の調整値または負の調整値)を大きくする。
【0168】
調整値が補正された後、プロセッサ132は、補正された調整値に基づいて撮像Vsyncの周期を調整する。撮像Vsyncの周期を調整する方法は、ステップS110において撮像Vsyncの周期を調整する方法と同様である。
【0169】
ステップS160の後、プロセッサ132は、温度センサ160から温度を取得する(ステップS173)。ステップS173の後、プロセッサ132は、通信機210の識別情報と、ステップS160において算出された調整値と、ステップS173において取得された温度と、受信端末200bの温度とを互いに関連付ける。受信端末200bの温度は、ステップS140において受信された同期パケットに含まれる温度情報によって示される。プロセッサ132は、識別情報、調整値、および各端末の温度を含む接続履歴を記録媒体150に記録する(ステップS165b)。ステップS165bの後、ステップS135が実行される。
【0170】
上記の例では、通信機140は、温度情報を通信機210から受信する。温度情報の通信方法はこれに限らない。例えば、送信端末100bは、通信機140を含む2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200bは、通信機210を含む2つ以上の通信機を有してもよい。通信機140以外の送信端末100bの通信機は、温度情報を通信機210以外の受信端末200bの通信機から受信してもよい。つまり、送信端末100bは、画像の送信に使用する通信機140以外の通信機を使用することにより温度情報を受信端末200bから受信してもよい。
【0171】
受信端末200bの動作を説明する。図20は、受信端末200bの動作の手順を示す。図6に示す処理と同じ処理の説明を省略する。
【0172】
ステップS200の後、制御部230は、温度センサ260から温度を取得する(ステップS240)。ステップS240の後、ステップS205が実行される。通信機210は、ステップS205において同期パケットを送信端末100bの通信機140に送信する。同期パケットは、ステップS240において取得された温度を示す温度情報を含む。
【0173】
上記の例では、通信機210は、温度情報を通信機140に送信する。送信端末100bが2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200bが2つ以上の通信機を有する場合、通信機210以外の受信端末200bの通信機は、温度情報を通信機140以外の送信端末100bの通信機に送信してもよい。つまり、受信端末200bは、画像の受信に使用する通信機210以外の通信機を使用することにより温度情報を送信端末100bに送信してもよい。
【0174】
温度センサ160および温度センサ260は定期的に温度を測定する。上記の例では、温度センサ160および温度センサ260は、1フレーム期間毎に温度を測定する。温度センサ160および温度センサ260は、1フレーム期間よりも短い間隔あるいは1フレーム期間よりも長い間隔で温度を測定してもよい。
【0175】
第2の実施形態において、プロセッサ132は、調整値を源振クロックの温度特性に基づいて補正し、かつ補正された調整値に基づいて信号発生器131を調整する。そのため、温度に応じて源振クロックの発振周期が変化する場合であっても、通信システム10は、送信端末100bおよび受信端末200bの同期信号の周期を短時間で一致させることができる。
【0176】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態において、送信端末および受信端末は無線通信を実施する。図2に示す送信端末100は、図21に示す送信端末100cに変更される。図21は、送信端末100cの構成を示す。図2に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0177】
送信端末100cにおいて、図2に示す通信機140は無線部140cに変更される。無線部140cは1つ以上の無線モジュール(第1の無線モジュール)を有する。図21に示す例では、無線部140cは無線モジュール141および無線モジュール142を有する。各無線モジュールは、各無線モジュールに固有なMACアドレスを有する。
【0178】
図3に示す受信端末200は、図22に示す受信端末200cに変更される。図22は、受信端末200cの構成を示す。図3に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0179】
受信端末200cにおいて、図3に示す通信機210は無線部210cに変更される。無線部210cは2つ以上の無線モジュール(第2の無線モジュール)を有する。図22に示す例では、無線部210cは無線モジュール211、無線モジュール212、および無線モジュール213を有する。各無線モジュールは、各無線モジュールに固有なMACアドレスを有する。
【0180】
無線部140cの各無線モジュールおよび無線部210cの各無線モジュールは無線通信を実施する。第3の実施形態における識別情報は、無線部210cが有する無線モジュールのMACアドレスである。記録媒体150に記録された接続履歴において、無線モジュール211、無線モジュール212、および無線モジュール213の各々の識別情報が、調整値を示す調整情報と関連付けられている。
【0181】
各無線モジュールの通信規格は、802.11a/b/g/n/ac等で代表される無線LANである。無線部210cの各無線モジュールは、アクセスポイント(AP)として機能し、かつ互いに独立したチャネルを使用して接続を開始する。例えば、W52、W53、およびW56のいずれか1つに属するチャネルが使用される。無線部140cの各無線モジュールは、ステーション(STA)として機能する。無線モジュール141および無線モジュール142の一方がメインチャネルを使用して画像を送信し、無線モジュール141および無線モジュール142の他方はサブチャネルを使用してリンク接続のみを確立する。
【0182】
無線部140cが有する無線モジュールの数は2つに限らず、かつ無線部210cが有する無線モジュールの数は3つに限らない。無線部140cが3つ以上の無線モジュールを有してもよい。無線部210cが2つの無線モジュールを有してもよく、あるいは4つ以上の無線モジュールを有してもよい。無線部140cが1つの無線モジュールを有し、かつ無線部210cが1つの無線モジュールを有する場合、第1の実施形態と同様の処理が実行される。
【0183】
送信端末100cの動作を説明する。図23は、送信端末100cの動作の手順を示す。図4に示す処理と同じ処理の説明を省略する。
【0184】
プロセッサ132は、接続処理を実行する(ステップS100c)。第3の実施形態における接続処理は、第1の実施形態における接続処理と異なる。送信端末100cにおいて実行される接続処理(ステップS100c)の詳細を説明する。図24は、接続処理における送信端末100cの動作の手順を示す。
【0185】
無線部140cは、受信端末200cの無線部210cの1つの無線モジュールから送信されるBeaconの受信のために待機する。無線部210cからBeaconが送信された場合、無線部140cの1つの無線モジュールは、Beaconを受信する(ステップS1000c)。
【0186】
ステップS1000の後、プロセッサ132は、無線部140cの1つの無線モジュールを使用することにより、接続要求(Probe Request)を無線部210cの1つの無線モジュールに送信する(ステップS1005c)。無線部210cの1つの無線モジュールは、接続要求を受信し、かつ接続確認(Probe Response)を無線部140cの1つの無線モジュールに送信する。
【0187】
無線部210cから接続確認が送信された場合、無線部140cの1つの無線モジュールは、接続確認を受信する。プロセッサ132は、接続確認が受信されたか否かを判断する(ステップS1010c)。例えば、プロセッサ132は、ステップS1010cにおいて、接続要求が送信されたタイミングから所定時間以内に接続確認が受信されたか否かを判断する。
【0188】
ステップS1010cにおいて、接続確認が受信されたとプロセッサ132が判断した場合、図24に示す処理が終了し、図23に示すステップS180が実行される。この場合、無線部140cの1つの無線モジュールおよび無線部210cの1つの無線モジュールの間の接続が確立する。無線部140cおよび無線部210cは、画像の通信を実施することができる。
【0189】
無線部140cの無線モジュール141および無線モジュール142は互いに独立して接続処理を実行してもよい。無線部140cおよび無線部210cの接続関係は任意である。無線モジュール141は無線部210cの3つの無線モジュールのいずれか1つに接続され、かつ無線モジュール142は無線部210cの3つの無線モジュールのいずれか1つに接続される。無線モジュール141および無線モジュール142は同じ無線モジュールに同時には接続しない。
【0190】
ステップS1010cにおいて、接続確認が受信されていないとプロセッサ132が判断した場合、プロセッサ132は、タイムアウトが発生したか否かを判断する(ステップS1015)。ステップS1015は、図7に示すステップS1015と同じである。
【0191】
ステップS1015において、タイムアウトが発生したとプロセッサ132が判断した場合、図24および図23に示す処理が終了する。ステップS1015において、タイムアウトが発生していないとプロセッサ132が判断した場合、ステップS1005cが実行される。
【0192】
図23に示す送信端末100cの動作を再び説明する。図24に示すステップS1010cにおいて、接続確認が受信されたとプロセッサ132が判断した場合、無線部140cの1つの無線モジュールは、調整値の通信に使用される無線部210cの1つの無線モジュールのMACアドレスを無線部210cの1つの無線モジュールから受信する。プロセッサ132は、受信されたMACアドレスを無線部140cから取得する(ステップS180)。ステップS155において画像の通信に使用される無線モジュールと、ステップS180においてMACアドレスの通信に使用される無線モジュールとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ステップS180の後、ステップS105が実行される。プロセッサ132は、ステップS105においてMACアドレスを識別情報として使用する。
【0193】
ステップS160の後、プロセッサ132は、無線部140cの1つの無線モジュールを使用することにより、MACアドレス要求を無線部210cの1つの無線モジュールに送信する(ステップS181)。MACアドレス要求は、無線部210cの3つの無線モジュールの全てのMACアドレスの要求を示す。ステップS155において画像の通信に使用される無線モジュールと、ステップS181においてMACアドレス要求の通信に使用される無線モジュールとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0194】
ステップS181の後、無線部140cの1つの無線モジュールは、無線部210cの3つの無線モジュールの全てのMACアドレスを無線部210cの1つの無線モジュールから受信する。プロセッサ132は、受信されたMACアドレスを無線部140cから取得する(ステップS182)。ステップS181において使用される無線モジュールと、ステップS182において使用される無線モジュールとは、同じである。
【0195】
ステップS182の後、プロセッサ132は、ステップS160において算出された調整値と、無線部210cの3つの無線モジュールの全てのMACアドレスとを互いに関連付ける。プロセッサ132は、調整値およびMACアドレスを含む接続履歴を記録媒体150に記録する(ステップS165c)。ステップS165cの後、ステップS135が実行される。
【0196】
図25は、記録媒体150に記録された接続履歴の例を示す。接続履歴において、3つのMACアドレスおよび調整値が互いに関連付けられている。3つのMACアドレスは、無線部210cの3つの無線モジュールの識別情報である。
【0197】
第1の無線モジュールおよび第2の無線モジュールは、互いに異なっていてもよい。第1の無線モジュールは、無線部140cおよび無線部210cが初めて互いに接続したときに使用された無線部210cの1つの無線モジュールである。第2の無線モジュールは、次に無線部140cおよび無線部210cが互いに接続したときに使用された無線部210cの1つの無線モジュールである。
【0198】
第1の無線モジュールが無線部140cと接続したとき、第1の無線モジュールおよび第2の無線モジュールの各々のMACアドレスが記録媒体150に記録される。第2の無線モジュールが無線部140cと接続したとき、第2の無線モジュールのMACアドレスは記録媒体150に既に記録されている。そのため、プロセッサ132は、そのMACアドレスと関連付けられた調整値を使用することができる。
【0199】
受信端末200cの動作を説明する。図26は、受信端末200cの動作の手順を示す。図6に示す処理と同じ処理の説明を省略する。
【0200】
制御部230は、接続処理を実行する(ステップS200c)。第3の実施形態における接続処理は、第1の実施形態における接続処理と異なる。受信端末200cにおいて実行される接続処理(ステップS200c)の詳細を説明する。図27は、接続処理における受信端末200cの動作の手順を示す。
【0201】
制御部230は、無線部210cの1つの無線モジュールを使用することにより、Beaconを送信端末100cの無線部140cの1つの無線モジュールに送信する(ステップS2000c)。
【0202】
ステップS2000cの後、無線部210cの1つの無線モジュールは接続要求(Probe Request)の受信のために待機する。無線部140cの1つの無線モジュールから接続要求が送信された場合、無線部210cの1つの無線モジュールは、接続要求を受信する。制御部230は、接続要求が受信されたか否かを判断する(ステップS2005c)。例えば、制御部230は、ステップS2005cにおいて、Beaconが送信されたタイミングから所定時間以内に接続要求が受信されたか否かを判断する。
【0203】
ステップS2005cにおいて、接続要求が受信されたと制御部230が判断した場合、制御部230は、無線部210cの1つの無線モジュールを使用することにより、接続確認(Probe Response)を無線部140cの1つの無線モジュールに送信する(ステップS2010c)。ステップS2010cが実行されたとき、図26に示す処理が終了し、図25に示すステップS250が実行される。この場合、無線部140cの1つの無線モジュールおよび無線部210cの1つの無線モジュールの間の接続が確立する。無線部140cおよび無線部210cは、画像の通信を実施することができる。無線部210cの無線モジュール211、無線モジュール212、および無線モジュール213は、互いに独立して接続処理を実行してもよい。
【0204】
ステップS2005cにおいて、接続要求が受信されていないと制御部230が判断した場合、制御部230は、タイムアウトが発生したか否かを判断する(ステップS2015)。ステップS2015は、図10に示すステップS2015と同じである。
【0205】
ステップS2015において、タイムアウトが発生したと制御部230が判断した場合、図26および図25に示す処理が終了する。ステップS2015において、タイムアウトが発生していないと制御部230が判断した場合、ステップS2005cが実行される。
【0206】
図26に示す受信端末200cの動作を再び説明する。ステップS2010cの後、制御部230は、無線部210cの1つの無線モジュールを使用することにより、調整値の通信に使用される無線部210cの1つの無線モジュールのMACアドレスを無線部140cの1つの無線モジュールに送信する(ステップS250)。ステップS210において画像の通信に使用される無線モジュールと、ステップS250においてMACアドレスの通信に使用される無線モジュールとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ステップS250の後、ステップS205が実行される。
【0207】
ステップS215の後、制御部230は、MACアドレス要求が受信されたか否かを判断する(ステップS251)。ステップS251において、MACアドレス要求が受信されていないと制御部230が判断した場合、ステップS220が実行される。ステップS210において画像の通信に使用される無線モジュールと、ステップS251においてMACアドレス要求の通信に使用される無線モジュールとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0208】
ステップS251において、MACアドレス要求が受信されたと制御部230が判断した場合、制御部230は、無線部210cの1つの無線モジュールを使用することにより、無線部210cの3つの無線モジュールの全てのMACアドレスを無線部140cの1つの無線モジュールに送信する(ステップS252)。ステップS251において使用される無線モジュールと、ステップS252において使用される無線モジュールとは、同じである。ステップS252の後、ステップS220が実行される。同期パケットのデータエリアがMACアドレスの送信のために使用されてもよい。
【0209】
通信システム10は、RFID(radio frequency identifier)タグおよびRFIDリーダライタを有してもよい。例えば、受信端末200cがRFIDリーダライタを有し、かつ送信端末100cがRFIDタグを有してもよい。RFIDタグおよびRFIDリーダライタをMACアドレスの通信に使用する例を説明する。
【0210】
送信端末100cのRFIDタグは、プロセッサ132と通信できる。受信端末200cのRFIDリーダライタは、受信端末200cが有する全ての無線モジュールのMACアドレスを送信端末100cのRFIDタグに書き込む。MACアドレスが書き込まれたとき、送信端末100cのRFIDタグは、割り込み信号をプロセッサ132に出力する。割り込み信号が出力されたとき、プロセッサ132は、RFIDタグに書き込まれたMACアドレスを読み出す。
【0211】
このとき、プロセッサ132は、RFIDタグに書き込まれたMACアドレスが、記録媒体150に記録された接続履歴に含まれているか否かを判断することができる。そのため、無線部140cの無線モジュールおよび無線部210cの無線モジュールが互いに接続する前に、プロセッサ132は、MACアドレスと関連付けられた調整値が接続履歴に含まれているか否かを判断することができる。
【0212】
例えば、調整値が接続履歴に含まれていない場合、プロセッサ132は、LED等の表示手段を使用することにより、周期調整の実施が必要であることをユーザに通知してもよい。無線部140cの無線モジュールおよび無線部210cの無線モジュールが互いに接続する前に、ユーザは、映像データが欠落する可能性があることを知ることができる。
【0213】
MACアドレス以外の情報が識別情報として使用されてもよい。例えば、識別情報は、無線接続において使用されるSSIDおよびパスフレーズの組み合わせであってもよい。
【0214】
送信端末100cが図15に示す温度センサ160を有し、かつ受信端末200cが図16に示す温度センサ260を有してもよい。記録媒体150に記録された接続履歴は、温度センサ160および温度センサ260の各々によって測定された温度と、調整値を示す調整情報と、無線部210cの無線モジュールを識別する識別情報とを含んでもよい。プロセッサ132は、第2の実施形態において説明した方法を使用することにより、調整値を補正してもよい。
【0215】
第3の実施形態において、無線部140cおよび無線部210cが互いに再度接続するとき、プロセッサ132は、無線部210cの無線モジュールのMACアドレスが記録媒体150に記録されているか否かを判断する。無線部210cの無線モジュールのMACアドレスが記録媒体150に記録されている場合、プロセッサ132は、接続履歴においてMACアドレスと関連付けられた調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器131を調整する。この場合、プロセッサ132は、図23に示すステップS160を実行する必要がない。そのため、通信システム10は、送信端末100cおよび受信端末200cの同期信号の周期を短時間で一致させることができる。
【0216】
記録媒体150に記録された接続履歴において、無線モジュール211、無線モジュール212、および無線モジュール213の各々のMACアドレスが、1つの調整値を示す調整情報と関連付けられている。無線モジュールのMACアドレスおよび調整情報の組み合わせを無線モジュール毎に記録媒体150に記録する必要はない。そのため、記録媒体150の記憶容量を削減することができ、かつ情報を記録媒体150に記録するための処理時間を短くすることができる。
【0217】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態を説明する。第4の実施形態において、1台の送信端末および2台以上の受信端末を有する通信システムの例を説明する。2台以上の受信端末が存在する場合、送信端末の撮像Vsyncが全ての受信端末の表示Vsyncに同期した状態になることはできない。そのため、各受信端末は、表示Vsyncを送信端末の撮像Vsyncに同期させる。
【0218】
図28は、第4の実施形態の通信システム10dの構成を示す。図28に示す通信システム10dは、1台の送信端末100dおよび2台以上の受信端末200dを有する。
【0219】
図29は、送信端末100dの構成を示す。図2に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0220】
送信端末100dにおいて、図2に示す制御部130は制御部130dに変更される。制御部130dは、図2に示すプロセッサ132を有していない。送信端末100dは、図2に示す記録媒体150を有していない。
【0221】
図30は、受信端末200dの構成を示す。図3に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0222】
受信端末200dは、接続履歴を記憶する記録媒体250を有する。接続履歴において、表示Vsyncの周期を調整するための調整値と、通信機140を識別する識別情報とが互いに関連付けられている。
【0223】
受信端末200dにおいて、図3に示す制御部230は制御部230dに変更される。制御部230dは、信号発生器231およびプロセッサ232dを有する。
【0224】
プロセッサ232dの概略機能を説明する。通信機140および通信機210が互いに接続した後、プロセッサ232dは、撮像周期と表示周期との差分を示す調整値を算出する。プロセッサ232dは、調整値に基づいて信号発生器231を調整することにより撮像周期と表示周期とを一致させる。調整値を示す調整情報と、通信機140を識別する識別情報とが互いに関連付けられた接続履歴が記録媒体250に記録される。通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、通信機140を識別する識別情報が記録媒体250に記録されていれば、プロセッサ232は、接続履歴においてその識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器231を調整する。
【0225】
プロセッサ232dの詳細な機能を説明する。通信機140および通信機210が互いに接続するたびに、プロセッサ232dは、通信機140を識別する識別情報を取得する。第4の実施形態において通信機140は、識別情報を通信機210に送信する。プロセッサ232dは、通信機210を使用することにより、識別情報を通信機140から受信する。プロセッサ232dが調整値を算出したとき、プロセッサ232dは、調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴を記録媒体250に記録する。通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、プロセッサ232dは、新たに取得された識別情報が記録媒体250に記録された識別情報と同じであるか否かを判断する。新たに取得された識別情報が記録媒体250に記録された識別情報と同じであるとプロセッサ232dが判断した場合、プロセッサ232dは、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器231を調整する。
【0226】
プロセッサ232dは、周期計測部233、周期調整部234、および調整値検出部235としての機能を有する。周期計測部233は、撮像周期と表示周期との差分を計測し、かつその差分を示す調整値を算出する。周期調整部234は、調整値に基づいて信号発生器231を調整する。信号発生器231によって生成される表示Vsyncの周期(表示周期)が撮像周期と一致するように信号発生器231が調整される。
【0227】
通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、調整値検出部235は、通信機140から受信された識別情報が、記録媒体250に記録された接続履歴に含まれているか否かを判断する。通信機140から受信された識別情報が接続履歴に含まれている場合、調整値検出部235は、表示周期の調整に使用できる調整値を検出する。通信機140から受信された識別情報が接続履歴に含まれていると調整値検出部235が判断した場合、周期調整部234は、接続履歴においてその識別情報と関連付けられた調整値に基づいて信号発生器231を調整する。
【0228】
信号発生器231は、表示Vsyncの周期を規定する周期カウンタを有する。信号発生器231の周期カウンタが計測する値を調整することにより、表示Vsyncの周期が調整される。
【0229】
送信端末100dの動作を説明する。図31は、送信端末100dの動作の手順を示す。図4に示す処理と同じ処理の説明を省略する。
【0230】
制御部130dは、接続処理を実行する(ステップS100d)。接続処理は、図7に示すステップS1000を除いて、図7に示す接続処理と同じである。通信機140は、ステップS1000において、通信機140の識別情報を受信端末200dの通信機210に送信する。
【0231】
送信端末100dおよび2台以上の受信端末200dがMulti-User-MIMO(MU-MIMO)に対応している場合、送信端末100dおよび各受信端末200dは、1対1の関係で接続してもよい。送信端末100dおよび各受信端末200dは、マルチキャスト接続を使用することにより、互いに接続してもよい。マルチキャスト接続では、送信端末100dは、2台以上の受信端末200dと同時に通信を実施することができる。以下では、マルチキャスト接続を使用する例を説明する。
【0232】
ステップS100dの後、通信機140は同期パケットを通信機210に送信する(ステップS190)。ステップS190の後、ステップS125、ステップS130、およびステップS135が実行される。
【0233】
ステップS130において、1フレームの画像は複数のデータに分割され、かつ各データはパケットに格納される。通信機140は、画像のデータを含むパケットを2台以上の受信端末200dの通信機210にマルチキャストで送信する。MU-MIMOが使用される場合、画像はユニキャストで送信される。ステップS135において、撮像の終了が指示されていないと制御部130dが判断した場合、ステップS190が実行される。
【0234】
上記の例では、通信機140は、識別情報を通信機210に送信する。識別情報の通信方法はこれに限らない。例えば、送信端末100dは、通信機140を含む2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200dは、通信機210を含む2つ以上の通信機を有してもよい。通信機140以外の送信端末100dの通信機は、通信機140の識別情報を通信機210以外の受信端末200dの通信機に送信してもよい。つまり、送信端末100dは、画像の送信に使用する通信機140以外の通信機を使用することにより識別情報を受信端末200dに送信してもよい。
【0235】
受信端末200dの動作を説明する。図32は、受信端末200dの動作の手順を示す。図6に示す処理と同じ処理の説明を省略する。
【0236】
プロセッサ232dは、接続処理を実行する(ステップS200d)。接続処理は、図10に示すステップS2000を除いて、図10に示す接続処理と同じである。プロセッサ232dは、ステップS2000において、通信機210を使用することにより、送信端末100dの通信機140の識別情報を通信機140から受信する。
【0237】
ステップS200dの後、プロセッサ232dは、通信機140から受信された識別情報が、記録媒体250に記録された接続履歴に含まれているか否かを判断する。これにより、プロセッサ232dは、調整値が接続履歴に含まれているか否かを判断する(ステップS260)。通信機140および通信機210が初めて互いに接続した場合、調整値および通信機140の識別情報は接続履歴に含まれていない。識別情報が接続履歴に含まれていない場合、プロセッサ232dは、調整値が接続履歴に含まれていないと判断する。通信機140および通信機210が過去に互いに接続したことがあり、かつ通信機140および通信機210が互いに再度接続した場合、調整値および通信機140の識別情報は接続履歴に含まれている。識別情報が接続履歴に含まれている場合、プロセッサ232dは、調整値が接続履歴に含まれていると判断する。
【0238】
ステップS260において、調整値が接続履歴に含まれているとプロセッサ232dが判断した場合、プロセッサ232dは、接続履歴において通信機140から受信された識別情報と関連付けられた調整値を記録媒体250から読み出す。プロセッサ232dは、その調整値を信号発生器231に適用することにより、表示Vsyncの周期を調整する(ステップS261)。これにより、撮像Vsyncの周期と表示Vsyncの周期とが一致する。ステップS261において表示Vsyncの周期を調整する方法は、後述するステップS2685(図34)において表示Vsyncの周期を調整する方法と同様である。
【0239】
ステップS261の後、通信機210は同期パケットの受信のために待機する。通信機140から同期パケットが送信された場合、通信機210は、同期パケットを受信する。プロセッサ232dは、通信機210から同期パケットを取得する(ステップS262)。
【0240】
ステップS262の後、プロセッサ232dは、位相調整を実施する(ステップS263)。プロセッサ232dは、ステップS263において、表示Vsyncのタイミングを撮像Vsyncのタイミングと一致させることにより、表示Vsyncの位相を撮像Vsyncの位相と一致させる。ステップS263の詳細については後述する。
【0241】
ステップS263の後、ステップS210、ステップS215、およびステップS220が実行される。ステップS220において、表示の終了が指示されていないとプロセッサ232dが判断した場合、ステップS262が実行される。
【0242】
ステップS260において、調整値が接続履歴に含まれていないとプロセッサ232dが判断した場合、通信機210は同期パケットの受信のために待機する。通信機140から同期パケットが送信された場合、通信機210は、同期パケットを受信する。プロセッサ232dは、通信機210から同期パケットを取得する(ステップS264)。
【0243】
ステップS264の後、プロセッサ232dは、位相調整を実施する(ステップS265)。ステップS265は、ステップS263と同様である。
【0244】
ステップS265の後、通信機210は画像を通信機140から受信する(ステップS266)。受信された画像は制御部230を経由し、表示装置240に出力される。ステップS266の後、表示装置240は、表示Vsyncに従って画像を表示する(ステップS267)。
【0245】
ステップS267の後、プロセッサ232dは、周期調整を実施する(ステップS268)。プロセッサ232dは、ステップS268において、表示Vsyncの周期を撮像Vsyncの周期と一致させる。ステップS268の詳細については後述する。
【0246】
ステップS268の後、プロセッサ232dは、ステップS268において算出された調整値と、通信機140の識別情報とを互いに関連付ける。プロセッサ232dは、調整値および識別情報を含む接続履歴を記録媒体250に記録する(ステップS269)。ステップS269の後、ステップS220が実行される。
【0247】
プロセッサ232dは、ステップS269において、調整値が算出された時刻または調整値に基づいて周期が調整された時刻を識別情報および調整値と一緒に記録媒体250に記録してもよい。記録媒体250に記録された時刻から所定時間が経過した場合、プロセッサ232dは、その時刻と関連付けられている調整値を削除してもよい。あるいは、記録媒体250に記録された時刻から所定時間が経過した場合、プロセッサ232dは、その時刻と関連付けられている調整値をステップS261において使用しなくてもよい。
【0248】
ステップS268における周期調整は2回以上実施されてもよい。例えば、通信機140および通信機210の間の接続が継続している間、周期調整が定期的に実施されてもよい。
【0249】
上記の例では、通信機210は、通信機140の識別情報を通信機140から受信する。送信端末100dが2つ以上の通信機を有し、かつ受信端末200dが2つ以上の通信機を有する場合、通信機210以外の受信端末200dの通信機は、通信機140の識別情報を通信機140以外の送信端末100dの通信機から受信してもよい。つまり、受信端末200dは、画像の受信に使用する通信機210以外の通信機を使用することにより識別情報を送信端末100dから受信してもよい。
【0250】
受信端末200dにおいて実施される位相調整(ステップS263およびステップS265)の詳細を説明する。図33は、位相調整における受信端末200dの動作の手順を示す。
【0251】
ステップS262またはステップS264において受信された同期パケットは、撮像Vsyncの次のパルスのタイミングを示す値を含む。プロセッサ232dは、その値を同期パケットから抽出する(ステップS2630)。
【0252】
ステップS2630の後、プロセッサ232dは、同期パケットから抽出された値に基づいて、表示Vsyncの次のパルスのタイミングを算出する。プロセッサ232dは、算出されたタイミングを信号発生器231に設定する(ステップS2631)。ステップS2631が実行されたとき、図33に示す処理が終了し、図32に示すステップS210またはステップS266が実行される。
【0253】
例えば、同期パケットは、撮像Vsyncの次のパルスの時刻を示す情報を含む。プロセッサ232dは、ステップS2631において、撮像Vsyncの次のパルスの時刻から、同期パケットが受信された時刻を減算する。これにより、プロセッサ232dは、表示Vsyncの次のパルスのタイミングまでに必要な時間を算出する。プロセッサ232dは、算出された時間が経過したときに表示Vsyncのパルスを発生させるために信号発生器231を調整する。
【0254】
ステップS262またはステップS264において同期パケットが受信されなかった場合、位相調整は実施されずに撮像が実施され、かつ画像が受信される。
【0255】
受信端末200dにおいて実施される周期調整(ステップS268)の詳細を説明する。図34は、周期調整における受信端末200dの動作の手順を示す。国際公開第2018/235258号に記載された方法と同様の方法を本発明の実施形態における周期調整に適用することができる。
【0256】
プロセッサ232dは、表示Vsyncの周期におけるカウンタ値CNT_Bを信号発生器231から取得する(ステップS2680)。信号発生器231は、時間を計測するカウンタを有する。そのカウンタの値(カウンタ値CNT_B)は、基準タイミングにおける初期値から増加する。プロセッサ232dは、ステップS2680において、表示Vsyncの周期と同期したパルスが発生したタイミングでカウンタ値CNT_Bを取得する。カウンタ値CNT_Bは、表示Vsyncの所定の数の周期の長さに対応する。
【0257】
ステップS2680の後、プロセッサ232dは、ステップS264において受信された同期パケットからフレームカウンタ値を抽出する。フレームカウンタ値は、基準タイミングを起点とする期間に含まれるフレーム期間の数を示す。例えば、撮像周期および表示周期が16.6msである場合、1フレーム期間の長さは16.6msである。フレームカウンタ値は、フレーム番号に対応する。プロセッサ232dは、フレームカウンタ値に基づいて、撮像Vsyncの周期におけるカウンタ値CNT_Aを算出する(ステップS2681)。
【0258】
送信端末100dの信号発生器131は、時間を計測するカウンタを有する。そのカウンタの値(カウンタ値CNT_A)は、基準タイミングにおける初期値から増加する。1フレーム期間においてカウンタ値CNT_Aは固定値だけ増加する。例えば、その固定値は1000000である。その固定値は1000000に限らない。プロセッサ232dは、フレームカウンタ値をその固定値に乗算することにより、カウンタ値CNT_Aを算出する。
【0259】
その固定値は、記録媒体250に記録されてもよい。通信機140および通信機210が互いに接続したとき、プロセッサ232dは、通信機210を使用することにより、その固定値を通信機140から受信してもよい。その固定値は、同期パケットに格納されてもよい。
【0260】
ステップS2681の後、プロセッサ232dは、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS2682)。例えば、所定時間は60秒である。所定時間は60秒以外の時間であってもよい。例えば、プロセッサ232dは、通信機140および通信機210が互いに接続したタイミングから経過した時間を判断する。その時間が所定時間よりも短い場合、プロセッサ232dは、所定時間が経過していないと判断する。その時間が所定時間以上である場合、プロセッサ232dは、所定時間が経過したと判断する。
【0261】
ステップS2682において、所定時間が経過していないとプロセッサ232dが判断した場合、ステップS264が実行される。所定時間が経過するまで、同期パケットが繰り返し受信され、かつカウンタ値CNT_Aおよびカウンタ値CNT_Bが繰り返し取得される。ステップS2682において、所定時間が経過したとプロセッサ232dが判断した場合、プロセッサ232dは、撮像Vsyncの周期と表示Vsyncの周期との差分を計測し、かつその差分を示す調整値を算出する(ステップS2683)。プロセッサ232dは、ステップS2683において、第1の実施形態で説明した式(1)、式(2)、および式(3)を使用することにより、調整値を算出する。
【0262】
ステップS2683の後、プロセッサ232dは、周期調整が必要であるか否かを判断する(ステップS2684)。プロセッサ232dは、ステップS2684において、信号発生器131の周期カウンタの最大値および信号発生器231の周期カウンタの最大値の差分を算出する。プロセッサ232dは、ステップS2684において、調整値がその差分よりも小さいか否かを判断する。調整値がその差分よりも小さい場合、プロセッサ232dは、周期調整が必要であると判断する。調整値がその差分よりも大きい場合、プロセッサ232dは、周期調整が必要でないと判断する。例えば、その差分が50ppmに相当する値であり、かつ調整値が10ppmに相当する値である場合、プロセッサ232dは、周期調整が必要であると判断する。
【0263】
信号発生器131および信号発生器231の各々の周期カウンタの最大値は、記録媒体250に記録されてもよい。通信機140および通信機210が互いに接続したとき、プロセッサ232dは、通信機210を使用することにより、信号発生器131の周期カウンタの最大値を通信機140から受信してもよい。信号発生器131の周期カウンタの最大値は、同期パケットに格納されてもよい。
【0264】
ステップS2684において、周期調整が必要であるとプロセッサ232dが判断した場合、プロセッサ232dは、算出された調整値に基づいて信号発生器231の周期カウンタの値を更新する(ステップS2685)。プロセッサ232dはステップS2685を実行することにより、撮像Vsyncの周期と表示Vsyncの周期とを一致させる。
【0265】
調整値が正である場合、表示Vsyncの周期は撮像Vsyncの周期よりも長い。この場合、プロセッサ232dは、表示Vsyncの周期を短くするために、ステップS2685において、信号発生器231の周期カウンタの最大値から調整値を減算することにより新しい最大値を算出する。プロセッサ232dは、ステップS2685において、信号発生器231の周期カウンタの最大値を新しい最大値に更新する。
【0266】
調整値が負である場合、表示Vsyncの周期は撮像Vsyncの周期よりも短い。この場合、プロセッサ232dは、表示Vsyncの周期を長くするために、ステップS2685において、信号発生器231の周期カウンタの最大値に調整値を加算することにより新しい最大値を算出する。プロセッサ232dは、ステップS2685において、信号発生器231の周期カウンタの最大値を新しい最大値に更新する。
【0267】
ステップS2685が実行されたとき、図34に示す処理が終了し、図32に示すステップS269が実行される。ステップS2684において、周期調整が必要でないとプロセッサ232dが判断した場合、図34に示す処理が終了し、図32に示すステップS269が実行される。
【0268】
ステップS2683において算出された調整値は、図32に示すステップS269において記録媒体250に記録される。ステップS2684において、周期調整が必要でないとプロセッサ232dが判断した場合、図32に示すステップS269において、周期調整が必要でないことを示す情報が記録媒体250に記録されてもよい。その情報は、通信機140の識別情報と関連付けられる。
【0269】
図32に示すステップS260において、通信機140から受信された識別情報が接続履歴に含まれているとプロセッサ232dが判断した場合、プロセッサ232dは、以下の処理を実行してもよい。接続履歴において調整値がその識別情報に関連付けられている場合、プロセッサ232dは、前述したステップS261を実行する。接続履歴において、周期調整が必要でないことを示す情報がその識別情報に関連付けられている場合、プロセッサ232dは、ステップS261を実行せずにステップS262を実行してもよい。
【0270】
上記の例では、撮像Vsyncの周期を調整するための調整値は、撮像Vsyncの周期と表示Vsyncの周期との差分である。送信端末100dの発振器120が生成する源振クロックの仕様と、受信端末200dの発振器220が生成する源振クロックの仕様とが同じである場合、第1の実施形態と同様に周期の偏差の差分が調整値として使用されてもよい。
【0271】
上記の例では、調整情報は、調整値を直接的に示す情報である。第1の実施形態と同様に、調整情報は、調整値を間接的に示す情報であってもよい。
【0272】
上記の例では、垂直同期信号(表示Vsync)の周期が調整される。上記の方法と同様の方法を使用することにより、水平同期信号の周期が調整されてもよい。
【0273】
上記の例では、通信システム10dは2台以上の受信端末200dを有する。1台の送信端末100dおよび1台の受信端末200dを有する通信システムにおいても、上記の方法と同様の方法を使用することにより、表示Vsyncの周期を調整することができる。
【0274】
送信端末100dが図15に示す温度センサ160を有し、かつ受信端末200dが図16に示す温度センサ260を有してもよい。記録媒体250に記録された接続履歴は、温度センサ160および温度センサ260の各々によって測定された温度と、調整値を示す調整情報と、通信機140を識別する識別情報とを含んでもよい。プロセッサ232dは、第2の実施形態において説明した方法を使用することにより、調整値を補正してもよい。
【0275】
具体的には、接続履歴において、温度センサ160および温度センサ260の各々によって測定された温度が調整情報および識別情報と関連付けられている。通信機140および通信機210が再度接続するとき、通信機140の識別情報が記録媒体250に記録されていれば、プロセッサ232dは、温度センサ160および温度センサ260の各々によって測定された温度と、接続履歴において識別情報と関連付けられた温度とに基づいて、調整値を補正するか否かを判断する。調整値を補正するとプロセッサ232dが判断した場合、プロセッサ232dは、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値を撮像Vsyncおよび表示Vsyncの各々の源振クロックの温度特性に基づいて補正する。プロセッサ232dは、補正された調整値に基づいて信号発生器231を調整する。
【0276】
送信端末100dが2つ以上の通信機を有する場合、第3の実施形態と同様に接続履歴において2つ以上の識別情報が1つの調整値と関連付けられてもよい。
【0277】
本発明の各態様の通信方法は、算出ステップ、第1の調整ステップ、および第2の調整ステップを有する。通信機140および通信機210が互いに接続した後、プロセッサ232dは、算出ステップ(ステップS2683)において、撮像周期と表示周期との差分を示す調整値を算出する。プロセッサ232dは、第1の調整ステップ(ステップS2685)において調整値に基づいて信号発生器231を調整することにより撮像周期と表示周期とを一致させる。調整情報および識別情報が互いに関連付けられた接続履歴が記録媒体250に記録される。調整情報は、調整値を直接的または間接的に示す。識別情報は、通信機140および通信機210の一方を識別する。通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、通信機140および通信機210の一方に対応する識別情報が記録媒体250に記録されていれば、プロセッサ232dは、第2の調整ステップ(ステップS261)において、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器231を調整する。
【0278】
本発明の各態様の通信方法は、算出ステップ、第1の調整ステップ、および第2の調整ステップ以外のステップを有する必要はない。
【0279】
第4の実施形態において、通信機140および通信機210が互いに再度接続するとき、プロセッサ232dは、通信機140の識別情報が記録媒体250に記録されているか否かを判断する。通信機140の識別情報が記録媒体250に記録されている場合、プロセッサ232dは、接続履歴において識別情報と関連付けられた調整情報が示す調整値に基づいて信号発生器231を調整する。この場合、プロセッサ232は、図32に示すステップS268を実行する必要がない。そのため、通信システム10dは、送信端末100dおよび受信端末200dの同期信号の周期を短時間で一致させることができる。
【0280】
2台以上の受信端末200dが含まれる通信システム10dにおいて、各受信端末200dは、表示Vsyncの周期を撮像Vsyncの周期と一致させることにより、周期調整を実施することができる。
【0281】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態およびその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0282】
本発明の各実施形態によれば、通信システムおよび通信方法は、送信端末および受信端末の同期信号の周期を短時間で一致させることができる。
【符号の説明】
【0283】
10,10d 通信システム
100,100a,100b,100c,100d 送信端末
110 撮像装置
120,220 発振器
130,130a,130d,230,230a,230d 制御部
131,231 信号発生器
132,132a,232,232d プロセッサ
133,233 周期計測部
134,234 周期調整部
135,235 調整値検出部
140,210 通信機
140c,210c 無線部
141,142,211,212,213 無線モジュール
150,250 記録媒体
160,260 温度センサ
200,200a,200b,200c,200d 受信端末
240 表示装置
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