(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】消化管治療のためのステント、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/82 20130101AFI20231212BHJP
A61F 2/848 20130101ALI20231212BHJP
A61F 2/04 20130101ALI20231212BHJP
【FI】
A61F2/82
A61F2/848
A61F2/04
(21)【出願番号】P 2021571527
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2020042290
(87)【国際公開番号】W WO2021011750
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-11-30
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】503305932
【氏名又は名称】ユニベルスィテ リーブル ドゥ ブリュッセル
(73)【特許権者】
【識別番号】521523224
【氏名又は名称】ブリュッセル メディカル デバイス センター
【氏名又は名称原語表記】BRUSSELS MEDICAL DEVICE CENTER
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】デビエール、ジャック
(72)【発明者】
【氏名】コーシュ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】キーティング、トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】バーク、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】タック、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラトル、セシリア
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0325983(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0250118(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0095724(US,A1)
【文献】特表2005-500890(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0280167(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0360589(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0183666(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0348129(US,A1)
【文献】特表2017-513582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82
A61F 2/848
A61F 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムにおいて、
管状足場を含んでなるステントであって、前記管状足場は第2の端部の反対側に第1の端部を有する長手方向の範囲を有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間に内腔が延び、前記管状足場が、
アンカー領域を有するフレア部と、
前記フレア部から延びている中間部であって、前記フレア部の直径が前記中間部の直径を超える中間部と、
前記管状足場の表面に少なくとも部分的に沿って延びているライナーであって、前記ライナーが前記フレア部の前記アンカー領域に沿って長手方向に延びるとともに、前記フレア部の前記アンカー領域から径方向内側に離間することによって前記フレア部の前記アンカー領域で組織の内方増殖を促進し、前記中間部に
沿った位置にあるライナーが標的部位に隣接して配置されることによっ
て前記標的部位における漏れを最小限にする
、前記ライナーと、を備える、前記ステントと、
前記管状足場の前記第2の端部から延びているシースであって、遠位端の反対側に近位端を有し、前記近位端と前記遠位端との間に内腔が延びているシースと、を備える、システム。
【請求項2】
前記シースの前記遠位端に連結された第2のステントをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のステントは、
第2の管状足場と、
前記第2の管状足場の表面に部分的に沿って延びている第2のライナーと、を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の管状足場は、
第2のアンカー領域を有する第2のフレア部と、
前記第2のフレア部から延びている第2の中間部であって、前記第2のフレア部の第1の直径が、前記第2の中間部の第2の直径を超える
、前記第2の中間部と、を備え、
前記第2のライナーが前記第2のフレア部の前記第2のアンカー領域から離間して前記第2のフレア部の前記第2のアンカー領域で組織の内方増殖を促進する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ライナーは前記中間部の中間アンカー領域から離れて配置されて前記中間部の前記中間アンカー領域で組織の内方増殖を促進する、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記アンカー領域は前記フレア部の傾斜部分に沿って設けられ、前記傾斜部分は前記内腔を通して延びている長手方向中心軸から離れて径方向に延びている、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記中間部は、前記中間部の第2の直径を超える第3の直径を有する拡張部分を含んでなる、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ライナーが前記拡張部分から離間して前記拡張部分で組織の内方増殖を促進する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記シースが構造支持要素を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記構造支持要素が、前記シースに沿って延びている螺旋状リブである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記シースが、一連のリッジおよび溝を含む可撓性部を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ライナーが、前記ライナーに沿って周方向に離して配置される1つ以上の凹部を含んでなる、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記中間部が、第2の構成要素に連結された第1の構成要素を含んでなる、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記管状足場の前記フレア部は前記中間部から径方向に延びているフランジである、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記中間部は、前記中間部の全長に沿って実質的に一定の直径を有する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み型医療機器に関し、より詳細には、消化管治療のためのステント、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
拡張型ステントなどの埋め込み型医療機器は、医療処置後にそれを通して流れる消化物、血液または他の流体の通路を設けるように設計されてもよい。さらに、埋め込み型医療機器には、瘻孔治療、バイパス術および/または吻合治療に役立つ形状を組み込んでいるものもある。これらの埋め込み型医療機器は、内視鏡を介して経腔的に埋め込まれてもよい径方向拡張型または自己拡張型ステントを含んでもよい。さらに、ステントには、食道、消化管(たとえば腸、胃および結腸)、気管気管支、尿路、胆道、血管系などの様々な体腔に埋め込まれてもよいものもある。
【0003】
ステントによっては、ステントの配置に役立つ圧縮性および可撓性が、ステントの移動を引き起こす可能性もある。たとえば、食道または消化管に配置するように設計されたステントは、食道、腸および結腸の筋肉の不随意の収縮および弛緩である蠕動運動によって移動する傾向を示す可能性がある。さらに、食道、腸、結腸などの、一般的に湿潤しており本質的に潤滑性のある環境は、配備後にステントが移動する傾向にさらに寄与する。ステントの移動を減らすアプローチの1つは、むき出しの金属部分を体腔組織に暴露することを含む。ステント足場によって、組織の内方増殖を促進して過形成反応を促進する構造を提供してもよい。
【0004】
さらに、ステントには、配備後、体腔から除去されるか、または体腔内に再配置されてもよいものもある。ステントを取り出すために必要な力を減らすアプローチの1つは、組織の内方増殖を減らすために、ステントの一部に被覆を施し、それによって体腔とステントの外表面との間に物理的バリアを作ることを含む。しかしながら、上記のように被覆されたステントは、むき出しのステントよりも移動しやすい可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、その様々な実施形態において、一般に胃腸治療のためのステント、システムおよび方法に関する。1つまたは複数の実施形態において、ステントは、第2端部の反対側に第1端部を有する管状足場であって、第1端部と第2端部との間に内腔が延びている管状足場を含んでもよい。管状足場は、フレア部と、フレア部から延びている中間部であって、フレア部の直径が中間部の直径を超える中間部と、管状足場の表面に部分的に沿って延びているライナーであって、フレア部で組織の内方増殖を促進するためにフレア部のアンカー領域から離間しているライナーと、を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ライナーは、中間部で組織の内方増殖を促進するために中間部の中間アンカー領域から離して配置されている。いくつかの実施形態において、中間アンカー領域は中間部の拡張部分に設けられ、拡張部分は、中間部の直径を超える第3直径を有する。いくつかの実施形態において、拡張部分で組織の内方増殖を促進するために、ライナーは拡張部分から離間している。いくつかの実施形態において、アンカー領域は、フレア部の傾斜部分に沿って位置し、傾斜部分は、内腔を通して延びている長手方向中心軸から離れて延びている。いくつかの実施形態において、中間部は実質的に均一な直径を有する。いくつかの実施形態において、フレア部は第1足場構成を有し、中間部は第2足場構成を有し、第1足場構成と第2足場構成とは異なる。
【0006】
1つまたは複数の実施形態において、システムは、第2端部の反対側に第1端部を有する管状足場であって、第1端部と第2端部との間に内腔が延びている管状足場を含むステントを含んでもよい。管状足場は、フレア部と、フレア部から延びている中間部であって、フレア部の第1直径が中間部の第2直径を超える中間部と、を含んでもよい。ステントは、管状足場の表面に部分的に沿って延びているライナーであって、フレア部で組織の内方増殖を促進するためにフレア部のアンカー領域から離間しているライナーをさらに含んでもよい。システムは、管状足場の第2端部から延びているシースであって、遠位端の反対側に近位端を有し、近位端と遠位端との間に内腔が延びているシースをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、システムは、シースの遠位端に連結された第2ステントを含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2ステントは、第2管状足場と、第2管状足場の表面に部分的に沿って延びている第2ライナーと、を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2管状足場は、第2フレア部と、第2フレア部から延びている第2中間部であって、第2フレア部の第1直径が第2中間部の第2直径を超え、第2ライナーが、第2フレア部で組織の内方増殖を促進するために、第2フレア部の第2アンカー領域から離間している第2中間部と、を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ライナーは、中間部で組織の内方増殖を促進するために、中間部の中間アンカー領域から離して配置されている。いくつかの実施形態において、アンカー領域は、フレア部の傾斜部分に沿って位置し、傾斜部分は、内腔を通して延びている長手方向中心軸から離れて延びている。いくつかの実施形態において、中間部は、中間部の直径を超える第3直径を有する拡張部分を含む。いくつかの実施形態において、拡張部分で組織の内方増殖を促進するために、ライナーは拡張部分から離間している。いくつかの実施形態において、シースは構造支持要素を含む。
【0007】
1つまたは複数の実施形態において、方法は、患者の胃腸(GI:gastrointestinal)管内に、第2端部の反対側に第1端部を有する管状足場であって、第1端部と第2端部との間に内腔が延びている管状足場を有するステントを含むシステムを配備することを含んでもよい。管状足場は、フレア部と、フレア部から延びている中間部であって、フレア部の直径が中間部の直径を超える中間部と、を含んでもよい。ステントは、管状足場の表面に部分的に沿って延びているライナーであって、ライナーがフレア部のアンカー領域から離間しており、アンカー領域とGI管との間の組織の内方増殖を促進するために、アンカー領域がGI管に暴露されているライナーをさらに含んでもよい。方法は、GI管の標的部位の片面に沿ってフレア部を配置し、GI管の標的部位に直接隣接する中間部を配置することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、方法は、GI管の漏れに該当するGI管の標的部位の位置を決定することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、方法は、管状足場の第2端部から延びているシースであって、遠位端の反対側に近位端を有し、近位端と遠位端との間に内腔が延びているシースを用いてGI管の一部にバイパスを形成することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、方法は、GI管内に、シースの遠位端に連結された第2ステントを固定することを含んでもよい。
【0008】
上に要約した様々な1つまたは複数の形状は、上に要約した医療システムおよび方法に関する使用に関して、かつ、より詳細に下記に記載されている実施形態と、本発明の範囲内の別の実施形態とに関して、上に要約した他の形状と置き換え、交換し、組み合わせ、または取り換えてもよい。
【0009】
縮尺どおりに描かれているものではない添付の図面を参照することにより、本発明の非限定的な実施形態を例として説明する。図で、それぞれの同一のまたはほぼ同一の図示された構成要素は、通常、単一の数字で表されている。明確にするために、すべての構成要素がすべての図でラベル付けされているわけでもなく、また当業者が開示を理解できるようにするために図解が必要でない場合、各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。さらに、図面の一部は、明確に表現するために、「本当の」断面図であれば表示される特定の背景線または形状を省略した「スライス」または「近視的」断面図の形式の断面図を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の実施形態によるステントの側面図。
【
図1B】本発明の実施形態によるステントの側面図。
【
図1C】本発明の実施形態によるステントの側面図。
【
図2】本発明の実施形態による患者のGI管内のステントを示す図。
【
図4A】本発明の実施形態による様々な拡張部分を有するステントの側面図。
【
図4B】本発明の実施形態による様々な拡張部分を有するステントの側面図。
【
図4C】本発明の実施形態による様々な拡張部分を有するステントの側面図。
【
図4D】本発明の実施形態による様々な拡張部分を有するステントの側面図。
【
図4E】本発明の実施形態による様々な拡張部分を有するステントの側面図。
【
図5A】本発明の実施形態による凹部を有するライナーを含むステントの側面図。
【
図5B】本発明の実施形態による
図5Aのステントおよびライナーの断面図。
【
図6A】本発明の実施形態による凹部を有するライナーを含むステントの側面図。
【
図6B】本発明の実施形態による
図6Aのものと類似したステントおよびライナーの断面図。
【
図6C】本発明の実施形態による凹部を有するライナーを含むステントの側面図。
【
図8A】本発明の実施形態による制限的肥満治療(restrictive bariatric treatment)時にGI管内に設けられる
図7のシステムを示す断面図。
【
図8B】本発明の実施形態による漏れの治療のためにGI管内に設けられる
図7のシステムを示す断面図。
【
図9A】本発明の実施形態による制限的肥満治療時にGI管内に設けられるシステムを示す断面図。
【
図9B】本発明の実施形態による漏れの治療のためにGI管内に設けられるシステムを示す断面図。
【
図10】本発明の実施形態による漏れの治療のためにGI管内に設けられるシステムを示す断面図。
【
図11】本発明の実施形態によるシースの側面斜視図。
【
図12】本発明の実施形態によるシースの側面斜視図。
【
図13】本発明の実施形態によるシステムの側面斜視図。
【
図14A】本発明の実施形態によるステントの側面斜視図。
【
図15A】本発明の実施形態によるシステムの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。ここで用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲の範囲を超えて限定するものではない。別途定義しない限り、ここで用いられる専門用語は、本発明の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0012】
前述のように、血管腔閉塞(たとえば、腫瘍性増殖、外科的病因などによる狭窄)およびGIバイパス合併症(たとえば、肥満手術後の漏れの治療)を含むがこれらに限定されない多数の疾患状態の治療に自己拡張型金属ステント(SEMS:self‐expanding metal stents)が、胃腸(GI)管全体にわたって低侵襲な方法で幅広く用いられている。SEMSは、治療中の病状に応じて取り外し可能でも永久的でもよいが、取り外し可能性は、通常は、耐久性コーティングの有無によって規定される。永久的SEMSは、GI管内に設けられる場合、血管の誘発過形成による血管組織の内方増殖を可能にするコーティングを有さなくてもよい。最終的には、SEMSは、組織の内方増殖の結果として適所に埋め込まれる。
【0013】
本明細書でさらに詳細に説明されるように、本発明の実施形態は、多数の基礎疾患を治療するための、耐移動性のための、一貫した反復可能なアプローチのための、GI管疾患の治療のためのステント、システムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態において、ステントは、第2端部の反対側に第1端部を有する管状足場であって、第1端部と第2端部との間に内腔が延びている管状足場を含んでもよい。管状足場は、フレア部と、フレア部から延びている中間部であって、フレア部の直径が中間部の直径を超える中間部と、を含んでもよい。ステントは、管状足場の表面に部分的に沿って延びているライナーであって、フレア部で組織の内方増殖を促進するためにライナーがフレア部のアンカー領域から離間しているライナーをさらに含んでもよい。
【0014】
次に、
図1Aに移って、本発明の実施形態によるステント100をより詳細に説明する。示されているように、ステント100は、第2端部106の反対側に第1端部104を有する管状足場(以下、「足場」)102を含んでもよい。足場102は、第1端部104と第2端部106との間に、たとえば長手方向中心軸108に沿って延びている内腔105を画定してもよい。体腔内、たとえば患者のGI管内に配置されるとき、第1端部104(この場合、近位端)は患者の口の最も近くに配置されてもよい。
【0015】
さらに、ステント100は、管状足場102を形成する1つまたは複数のストラット部材109を含んでもよい。ストラット部材109は、ステント100に沿って螺旋状に、長手方向に、周方向に、または別様に延びていてもよい。
図1Aは、ストラット部材109がステント100の全長に沿って大略的に延びていることを示しているが、他の実施形態において、ストラット部材109は、ステント100の一部に沿ってのみ延びていてもよい。
【0016】
さらに示されているように、足場102は、中間部112に接続されるかまたは中間部112と一体に形成されるフランジ部またはフレア部110を含んでもよい。いくつかの実施形態において、フレア部110の第1直径「D1」は、中間部112の第2直径「D2」を超えてもよい。示されているように、中間部112はその全長に沿って大略的に均一な直径を有していてもよい。フレア部110は、長手方向中心軸108から離れて延びている傾斜部分114を含んでもよい。いくつかの実施形態において、傾斜部分114は、フレア部110と中間部112との間の交差部である。
【0017】
いくつかの実施形態において、ステント100はバルーンまたは自己拡張型であってもよい。自己拡張型ステントの例は、組み合わせて剛性および半剛性ステント構造または剛性もしくは半剛性ステント構造を形成する1つまたは複数のストラット部材109を有するステントを含んでもよい。たとえば、ストラット部材109は、足場102を形成するために、編組、巻き付け、絡み合い、織り合わせ、織り、編み、ループ(たとえばボビネット様式)などが施された1本または複数本のワイヤーまたはフィラメントであってもよい。あるいは、ステント100は、単一の円筒形管状レーザーカットNitinol管状部材などの円筒形管状部材で形成されて管状部材の残りの部分がストラット部材109を形成するモノリシック構造であってもよい。ステント100の壁を通した開口部または隙間が、隣接するストラット部材109間に画定されてもよい。
【0018】
ステント100は、様々な非限定的な材料で構成されてもよい。たとえば、バルーンまたは自己拡張型の場合、ステント100は、金属(たとえば、Nitinol、Elgiloy、ステンレス鋼、コバルトクロム、抵抗率の正温度係数など)で構成されてもよい。他の例において、ステント100は、ポリマー材料(たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(メチルメタクリレート))で構成されてもよい。さらに他の例において、ステント100は、金属材料とポリマー材料との組み合わせで構成されてもよい。さらにまた他の例において、ステント100は、生体吸収性および生分解性材料または生体吸収性もしくは生分解性材料(たとえば、ポリ(乳酸‐co‐グリコール酸)ポリマー)を含んでもよい。
【0019】
図1Bに示すように、ステント100は、第1端部104と第2端部106との間に延びているライナー120を含んでもよい。ライナー120は、特定の領域で足場102に沿った組織の内方増殖を防止するとともに、ステント100を通して通路を維持するために設けられてもよい。示された非限定的な実施形態において、ライナー120は、足場102の外面122に形成されてもよい。しかしながら、ライナー120は、本明細書でより詳細に説明されるように、足場102の外側に部分的に沿ってのみ形成されてもよい。さらに他の実施形態において、ライナー120は、足場102の内面124に沿って形成されてもよい。他の実施形態において、ライナー120は、足場の外面と内面124との両方に沿って形成されてもよい。
【0020】
様々な実施形態において、ライナー120は、シリコーン、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF:polyvinylidene difluoride)、Chronoflex(登録商標)または同様の生体適合性ポリマー配合物などのポリマー材料であってもよい。さらに他の実施形態において、ライナー120は、その内面に沿って繊毛コーティング(図示せず)を含んでもよい。示されているように、ライナー120は、ストラット部材109間に延びていてもよく、それによって、隣接する足場102のストラット部材109間の任意の空間を埋めてもよい。ライナーとは、コーティングの一部がステントの少なくとも一部に連結され、コーティングの一部がステントに対して浮いていてもよいコーティングであると理解してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、ライナー120は、GI管と、フレア部110のアンカー領域125との間の組織の内方増殖を促進するためにフレア部110のアンカー領域125から離間している。たとえば、アンカー領域125におけるライナー120は、ライナー120が、足場102の内面124に大略的に接触しないように、長手方向中心軸108に向けて径方向内側に延びていてもよい。その結果、アンカー領域125は、フレア部110をGI管内の適所に固定するために、組織の内方増殖を促進するかまたは可能にしてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、ライナー120は、たとえば、アンカー領域125の足場102の隙間を通して組織が増殖するにつれて径方向内側に延伸するように構成されている弾性材料構成要素を含んでもよい。ライナー120は、ライナー120に作用する内側への力(たとえば組織の内方増殖)に応じて径方向内側に撓んだり伸びたり等してもよい。
【0023】
他の実施形態において、ライナー120の内側への撓みの量を制限することが望ましい場合がある。たとえば、ライナー120は、ライナー120の中に延びている内腔であって、食物および他の消化性材料または食物もしくは他の消化性材料がそれを通して流れることを許容するように設計される内腔を画定してもよい。したがって、場合によっては、内腔105によって画定される通路を維持するようにライナー120を設計することが望ましい場合がある。言い換えれば、場合によっては、ライナー120の径方向閉鎖量を防止または最小限にすることが望ましい場合がある。場合によっては、ライナー120は、ライナー120のさらなる延伸を防止するために、ライナー120の材料の閾値量への延伸後にピンと張られてもよい、ライナー120の材料内に埋め込まれた補強フィラメント(たとえば繊維)を含んでもよい。場合によっては、補強フィラメントは、長手方向に、周方向に、螺旋状に、ランダムに、または別様に配置されてもよい。
【0024】
ライナーおよびステント/ライナー構成の例は、限定するものではないが、「Esophageal Stent Including an Inner Liner」と題され、2018年3月1日に出願された米国特許出願公開第2018/0250118号および、「Retrievable Stent System」と題され、2018年3月27日に出願された米国特許出願公開第2018/0280167号(そのどちらの出願も、あらゆる目的のために参照によって本願に組み込まれる)で図示され述べられた例を含んでもよい。
【0025】
図1Cで示されているように、足場102は、結合された複数の部分を含んでもよい。たとえば、中間部112は、第2構成要素130に連結された第1構成要素128を含んでもよい。第1構成要素128と第2構成要素130とは、任意の種類の取り付け手段を用いて結合されてもよい。示された非限定的な実施形態において、第1構成要素128のストラット部材109は、編みなどの第1構成で配置されてもよく、第2構成要素130のストラット部材109は、編組などの第2構成で配置されてもよい。いくつかの実施形態において、第1構成要素128と第2構成要素130は、同一または異なる織りパターンを有していてもよい。本明細書の実施形態は、この文脈に限定されない。
【0026】
図2は、本発明の実施形態による、患者のGI管132内でのステント100の使用を示す。この非限定的な例において、GI管132は、たとえば、スリーブ状胃切除術の結果としてステープルライン131を含んでもよい。示されているように、ステント100は、GI管の標的部位134に配備されてもよく、それによって、ステープルライン131に沿った漏れ、穿孔または裂傷に対応してもよい。示されているように、フレア部110は、GI管132の近位部内(この場合、患者の食道)に配置されてもよく、中間部112は、GI管132内のさらに下部(この場合、残存胃)にさらに延びていてもよい。フレア部110のアンカー領域125は、GI管132とフレア部110との間の組織の内方増殖を促進するために、GI管132に隣接して設けられてもよい。一方で、中間部112に沿ったライナー120は、漏れを防止するかまたは最小限にするために、GI管の標的部位134に直接隣接して配置されてもよい。
【0027】
図3は、本発明の実施形態によるステント300を示す。ステント300は、前述のステント100に対して多くの態様で同一または同様であってもよい。したがって、以下、簡潔さのために、ステント300の特定の態様のみを説明する。
【0028】
示されているように、ステント300は、第2端部306の反対側に第1端部304を有する足場302を含んでもよい。足場302は、たとえば、長手方向中心軸308に沿って、第1端部304と第2端部306との間に延びている内腔305を画定してもよい。足場302は、中間部312に接続されるかまたは中間部312と一体に形成されるフレア部310を含んでもよい。フレア部310は、長手方向中心軸308から離れて延びている傾斜部分314を含んでもよい。いくつかの実施形態において、傾斜部分314はフレア部310を中間部312に結合する。
【0029】
示されているように、中間部312は、中間部312とGI管との間の組織の内方増殖を促進するための足場302のむき出しの部分である、中間アンカー領域335を含んでもよい。示されているように、足場302に沿って延びているライナー320は、組織の内方増殖を促進するために中間アンカー領域335から離間していてもよい。いくつかの実施形態において、中間アンカー領域335におけるライナー320は、長手方向中心軸308に向けて径方向内側に延びていてもよい。ライナー320は、GI管とフレア部310との間の組織の内方増殖を促進するために、フレア部310のアンカー領域325から離間していてもよい。いくつかの実施形態において、アンカー領域325は、傾斜部分314に沿って位置する。患者に挿入されると、フレア部310のアンカー領域325は、GI管の標的部位(図示せず)の片面(たとえば上部)に沿って配置されてもよく、その一方で、中間部312の中間アンカー領域335は、GI管の標的部位における漏れを隔離するために、GI管の標的部位に隣接して下部に、または該部位に隣接するかもしくは該部位の下部に、配置されてもよい。
【0030】
図4Aは、本発明の実施形態によるステント400を示す。ステント400は、多くの態様で、前述のステント100および200の両方または一方と同一または同様であってもよい。したがって、簡潔さのために、以下、ステント400の特定の態様のみを説明する。
【0031】
示されているように、ステント400は、第2端部406の反対側に第1端部404を有する足場402を含んでもよい。足場402は、たとえば、長手方向中心軸408に沿って、第1端部404と第2端部406との間に延びている内腔405を画定してもよい。ライナー420は、足場402に沿って設けられてもよい。足場402は、中間部412に接続されるかまたは中間部412と一体に形成されるフレア部410を含んでもよい。いくつかの実施形態において、フレア部410の第1直径「D1」は、中間部412の第2直径「D2」を超えてもよい。フレア部410は、長手方向中心軸408から離れて延びている傾斜部分414を含んでもよい。いくつかの実施形態において、傾斜部分414は、フレア部410を中間部412に結合する。
【0032】
示されているように、中間部412は、中間部412とGI管との間の組織の内方増殖を促進するための、足場402に沿ったむき出しの箇所/領域であってもよい、中間アンカー領域435を含んでもよい。いくつかの実施形態において、中間アンカー領域435は、中間部412の拡張部分440に設けられてもよい。示されているように、拡張部分440は、中間部412のD2を超える第3直径「D3」を有していてもよい。拡張部分440は、第3直径D3が湾曲の最大径であるように、たとえば中間部412から径方向外側に膨らんだ、湾曲を有していてもよい。いくつかの実施形態において、D3は、フレア部410のD1も超えてもよい。他の実施形態において、D3はD1以下である。本明細書の実施形態はこの文脈に限定されない。
【0033】
さらに示されているように、足場402に沿って延びているライナー420は、中間アンカー領域435などの中間部412の特定の部分に沿って組織の内方増殖を促進するために、拡張部分440から離間していてもよい。いくつかの実施形態において、拡張部分440から径方向内側に位置するライナー420は、長手方向中心軸408に向けて湾曲するかまたは延びていてもよい。他の実施形態において、示されているように、ライナー420は拡張部分440において大略的に直線状であってもよい。患者に挿入されると、フレア部410のアンカー領域425は、GI管の標的部位(図示せず)の片面(たとえば上部)に沿って配置されてもよく、その一方で、中間部412の拡張部分440は、GI管の標的部位か、またはその下部に配置されてもよい。アンカー領域425は、GI管内にフレア部410を固定してもよく、その一方で、拡張部分440は、GI管の組織からの過形成反応を促進するために、GI管の標的部位と相互作用してもよい。いくつかの実施形態において、中間部412の遠位部442は、GI管の標的部位にバイパスを形成するための導管として機能するために拡張部分440から延びていてもよい。
【0034】
拡張部分440が様々な異なる構成を有してもよいことは明らかであろう。たとえば、
図4Aの拡張部分440は、大略的に球形の断面を有していてもよく、
図4Bの拡張部分440Bは、大略的に台形の断面を有していてもよく、
図4Cの拡張部分440Cは、大略的に五角形の断面を有していてもよく、
図4Dの拡張部分440Dは、大略的に弦の断面を有していてもよい。本明細書の実施形態はこの文脈に限定されない。
【0035】
さらに、様々な拡張部分440A~440Eの長さが、中間アンカー領域435とGI管との間の相互作用の量に影響を与えるように変更されてもよいことは明らかであろう。たとえば、
図4Eに示すように、拡張部分440Eの長さ「L1」は、中間部412の全長「L2」に対して増加されてもよい。明らかなように、GI管の組織の内方増殖は、長さL1が増加するにつれて一般的に増加する。
【0036】
次に、
図5A~
図5Bに移って、本発明の実施形態によるステント500のライナー520をより詳細に説明する。示されているように、ライナー520は、ステント500の足場502とGI管との間の組織の内方増殖を促進するために、非円形断面を有していてもよい。この実施形態において、ライナー520は、足場502の内面524から離間している凹部550を含んでもよい。凹部550は、足場502の中間アンカー領域535を提供してもよい。いくつかの実施形態において、中間アンカー領域535は、中間部512の拡張部分540に設けられてもよい。他の実施形態において、中間部512は、その全長に沿って実質的に一定の直径を有していてもよい。
【0037】
図6A~
図6Bにおいて、ステント600のライナー620は、ステント600の足場602の内面624から離間している複数の凹部650を含んでもよい。ライナー620に沿って周方向に離して配置されてもよい凹部650(非限定的な例として
図6Aおよび
図6Bに異なる構成が示されている)は、足場602と中間部612との間の組織の内方増殖を促進するために、足場602に沿って複数の中間アンカー領域635を提供してもよい。いくつかの実施形態において、中間アンカー領域635は、中間部612の拡張部分640に設けられてもよい。他の実施形態において、中間部612は、その全長に沿って実質的に一定の直径を有していてもよい。
【0038】
さらに他の実施形態において、
図6Cに示すように、中間部612の拡張部分640はライナー620を含まなくてもよい。代わりに、拡張部分640は、体腔(図示せず)と、足場602の露出された部分との間の過形成組織増殖627を促進するために暴露されたままである。過形成組織増殖627は、足場602の内部を通して連続チャネルを形成するためのシールとして機能してもよい。
【0039】
次に、
図7に移って、本発明の実施形態によるシステム701をより詳細に説明する。示されているように、システム701は、管状足場(以下、「足場」)702を有するステント700を含んでもよい。ステント700は、多くの態様で、前述のステント100、300、400、500および600と同一または同様であってもよい。したがって、簡潔さのために、以下、ステント700の特定の態様のみを説明する。
【0040】
示されているように、ステント700は、第1端部704に第1フレア部710を含み、第2端部706に第2フレア部711を含んでもよい。第1フレア部710と第2フレア部711との間に中間部712が位置する。示されているように、中間部712は、第1フレア部710と第2フレア部711の直径と比較して小さい直径を有していてもよい。さらに示されているように、ステント700は、足場702の表面に沿って配置されるライナー720を含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態において、シース760は、ステント700の第2端部706に連結されてもよい。シース760は、近位端762と遠位端764とを有する可撓管であって、近位端762と遠位端764との間に延びている内腔をシース760が画定する可撓管であってもよい。限定するものではないが、シース760はシリコーン、UE、PTFE、ePTFE、Chronoflex、PMMA、PVDFなどであってもよい。
【0042】
さらに示されているように、システム701は、シース760の遠位端764に連結された第2ステント765を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2ステント765は、任意の種類の構成に配置された複数のステント部材769によって画定される第2管状足場(以下、「第2足場」)768を含んでもよい。ステント765の第2足場768は、一定の直径または変化する直径を有していてもよい。たとえば、後者の場合、第2足場768は、第2中間部772に接続されるかまたは第2中間部772と一体に形成される第1フレア部770を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2管状足場768は、第2中間部772の反対側から延びている第2フレア部773を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2足場768の第1フレア部770と第2フレア部773の直径は、第2中間部772の直径を超える。本明細書の実施形態はこの文脈に限定されない。
【0043】
図示しないが、第2ライナーが、第2足場768の表面(たとえば内表面および外表面の両方または一方)に沿って延びていてもよい。いくつかの実施形態において、第2ライナーは、患者の第2足場768とGI管との間の組織の内方増殖を促進するために、1つまたは複数の第2アンカー領域において第2足場768から離間していてもよい。他の実施形態において、第2足場768に沿ってライナーは存在しない。
【0044】
図8A~
図8Bは、本発明の実施形態による、患者のGI管732内でのシステム701の使用例を示す。限定するものではないが、
図8Aは、制限的肥満治療のためにGI管732内に設けられるシステム701を示す。示されているように、シース760は、GI管732の一部にバイパスを形成してもよい。
図8Bは、胃皮膚瘻の治療のために用いられるシステム701を示す。示されているように、ステント700が、GI管732の近位部内に配置され、その一方で、シース760が、GI管732内のさらに下部に延びていてもよい。フレア部710のアンカー領域725は、GI管732とフレア部710との間の組織の内方増殖を促進するために、GI管732の内部に直接隣接して設けられてもよい。
【0045】
シース760に連結されている第2ステント765は、GI管732内のたとえばその幽門部780の下部に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、第2ステント765は、GI管732と第2足場768との間の組織増殖を促進するために、1つまたは複数の第2アンカー領域(図示せず)を含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、システム701は、シース760に接続される第2ステントを含まなくてもよい。たとえば、
図9A~
図9Bに示すように、ステント700は、GI管732の近位部内に配置されてもよく、その一方で、シース760は、GI管732内のさらに下部に延びていてもよい。いくつかの実施形態において、シース760は、GI管732の幽門部780を超えて延びていてもよい。限定するものではないが、
図9Aは、制限的肥満治療のためにGI管732内に設けられるシステム701を示し、その一方で、
図9Bは、漏れ、たとえば腸瘻、腸管外瘻、胃皮膚瘻、複合瘻などの治療に用いられるシステム701を示す。
図9Aに示すように、シース760は、GI管732に沿って、たとえば十二指腸782内にまでさらに延びていてもよい(胃空腸バイパス術(GJバイパス術)としても知られる)。
【0047】
次に、
図10に移って、本発明の他の実施形態による、患者内に使用されるシステム701を説明する。限定するものではないが、システム701は、たとえば、胃空腸吻合術を用いる制限的肥満治療に際して特に有効である可能性がある。示されているように、ステント700は、GI管732の近位部内に配置されてもよく、その一方で、シース760は、患者の胃781を通して延びていてもよい。シース760に連結されている第2ステント765は、GI管732内に、たとえば胃781と、胃781から延びている十二指腸782との両方の間に配置されてもよい。示されているように、第2ステント765の第2足場768は、第1フレア部770が胃781内に配置され、その一方で第2フレア部773が十二指腸782内に配置されるように配置されてもよい。第2中間部772は、第1フレア部770と第2フレア部773との間に延びて、胃781と十二指腸782との間のバイパスを形成してもよい。
図10には示されていないが、第2ライナー775が、第2中間部772を通して延びていてもよい。さらに、胃781と十二指腸782との間の適所に第2ステント765を固定するために、1つまたは複数のアンカー領域が、第1フレア部770、第2フレア部773、および/または第2中間部772に沿って位置してもよい。
【0048】
図11に、本発明の実施形態によるシース1160が示されている。シース1160は、シース1160の全長に沿って、たとえば、近位端1162と遠位端1164との間に延びている構造支持要素1183を含んでもよい。いくつかの実施形態において、構造支持要素1183は、シース1160に沿って延びている螺旋または螺旋状リブであってもよい。構造支持要素1183は、シース1160の内表面および外表面の両方または一方に沿って配置されてもよく、または、シース1160内に、たとえばその1つまたは複数の層間に埋め込まれてもよい。構造支持要素1183は、シース1160に剛性を提供してもよい。非限定的な実施形態において、構造支持要素1183は、天然ポリマーまたは高密度ポリマーの強化された肥厚性または管状中空の管状固体ストリップで製造されてもよい。これに加えてあるいはこれに代えて、構造支持要素は、たとえばNitinol、ステンレス鋼などの、より硬質の材料の部分を含んでもよい。
【0049】
図12において、本発明の実施形態によるシース1260が示されている。シース1260は、近位端1262と遠位端1264との間に配置される可撓性部1284を含んでもよい。いくつかの実施形態において、可撓性部1284は、一連のリッジ1285および溝1286として配置されているコルゲート材の全長を含む。可撓性部1284は、シース1260に可撓性を提供してもよい。いくつかの実施形態において、可撓性部1284は1つまたは複数の構造支持部材を含んでもよい。非限定的な実施形態において、コルゲート材の一連のリッジ1285および溝1286は、シース1260内に形成される複数のリップルに対応してもよい。一連のリッジ1285および溝1286は、交互の密度または交互の厚さのストリップを隣り合わせで配置することによって形成されてもよい。この代わりに、またはこれに加えて、一連のリッジ1285および溝1286は、異なる弾性ストリップを有する代替ポリマー層のストリップを互いに隣接して配置することによって形成されてもよい。この代わりに、またはこれに加えて、一連のリッジ1285および溝1286は、Nitinol、ステンレス鋼などの材料で製造された埋め込みリブによって形成されてもよい。
【0050】
次に、
図13に移って、本発明の実施形態によるシステム1301を説明する。システム1301は、多くの態様で、前述のシステム701と同一または同様であってもよい。したがって、簡潔さのために、以下、システム1301の特定の態様のみを説明する。
【0051】
示されているように、システム1301は、第1シース1360によって連結された第1ステント1300と第2ステント1365とを含んでもよい。たとえば、第1シース1360の第1端部1362は、第1ステント1300に連結されてもよく、一方で、第1シース1360の第2端部1364は、第2ステント1365に連結されてもよい。いくつかの実施形態において、第1シース1360は、内腔を画定する可撓性導管であってもよい。限定するものではないが、第1シース1360は、1つ以上の構造支持要素および可撓性部または1つ以上の構造支持要素もしくは可撓性部を含んでもよい。
【0052】
システム1301は、第2ステント1365から延びている第2シース1388をさらに含んでもよい。第2シース1388は、第2ステント1365に連結された近位端1389と、患者のGI管内にさらに延びている遠位端1390と、を含んでもよい。第2シース1388は、第1シース1360と同一または同様であってもよい。他の実施形態において、第2シース1388は、たとえば、患者のGI管内の使用位置に応じて、第1シース1360とは異なっていてもよい。図示しないが、第2シース1388に、たとえばその遠位端1390に、さらなるステントが接続されてもよいことは明らかであろう。
【0053】
示されているように、第1ステント1300は、第1端部1304に第1フレア部1310を含んでもよく、第2端部1306に第2フレア部1311を含んでもよい。第1フレア部1310と第2フレア部1311との間には中間部1312が位置する。示されているように、中間部1312は、第1フレア部1310と第2フレア部1311の直径と比較して小さい直径を有していてもよい。第1シース1360は、第1ステント1300の第2端部1306から延びていてもよく、また、第1ステント1300の第2端部1306と接続していてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、第1ステント1300は、足場1302の表面に沿って配置されるライナー1320を含んでもよい。ライナー1320は、GI管での組織の内方増殖を促進するために、足場1302に沿ったアンカー領域1325から離間していてもよい。限定するものではないが、アンカー領域1325は、第1フレア部1310、第2フレア部1311、および/または中間部1322に沿って配置されてもよい。
【0055】
さらに示されているように、いくつかの実施形態において、第2ステント1365は、第1ステント1300と同一または同様であってもよい。たとえば、第2ステント1365の第2足場1368は、第2中間部1372によって連結される第1フレア部1370と第2フレア部1373とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2ライナー1375は、第2足場1368の表面(たとえば内表面および外表面の両方または一方)に沿って延びていてもよい。第2ライナー1375は、第2足場1368とGI管との間の組織の内方増殖を促進するために、1つまたは複数の第2アンカー領域1379において第2足場1368から離間していてもよい。限定するものではないが、第2アンカー領域1379は、第1フレア部1370、第2フレア部1373、および/または第2中間部1372に沿って配置されてもよい。
【0056】
次に、
図14A~
図14Cに移って、本発明の実施形態によるステント1400をより詳細に説明する。示されているように、ステント1400の足場1402は、第2端部1406の反対側に第1端部1404を有し、足場1402は、たとえば長手方向中心軸1408に沿って第1端部1404と第2端部1406との間に延びている内腔を画定してもよい。
【0057】
ステント1400は、管状足場1402を形成する1つまたは複数のストラット部材1409(
図14A)を含んでもよい。ストラット部材1409は、ステントに沿って、螺旋状に、長手方向に、周方向に、または別様に延びていてもよい。さらに示されているように、足場1402は、中間部1412に接続されるかまたは中間部1412と一体に形成される第1フレア部/フランジ部1410と第2フレア部/フランジ部1411とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1フレア部1410および第2フレア部1411の両方または一方の直径は、中間部1412の直径を超えてもよい。示されているように、中間部1412は、大略的にその全長に沿って均一な直径を有してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、ステント1400は、バルーンまたは自己拡張型であってもよい。自己拡張型ステントの例は、組み合わせて剛性および半剛性ステント構造または剛性もしくは半剛性ステント構造を形成する1つまたは複数のストラット部材1409を有するステントを含んでもよい。たとえばストラット部材1409は、ステント構造を形成するために、編組、巻き付け、絡み合い、織り合わせ、織り、編み、ループ(たとえばボビネット様式)などが施されたワイヤーまたはフィラメントであってもよい。あるいは、ステント1400は、単一の円筒形管状レーザーカットNitinol管状部材などの円筒形管状部材で形成されて管状部材の残りの部分がストラット部材1409を形成するモノリシック構造であってもよい。ステント1400の壁を通した開口部または隙間が、隣接するストラット部材1409間に画定されてもよい。
【0059】
本明細書で開示されている例におけるステント1400は、様々な材料で構成されてもよい。たとえば、バルーンまたは自己拡張型の場合、ステント1400は、金属(たとえば、Nitinol、Elgiloyなど)で構成されてもよい。他の例において、ステント1400は、ポリマー材料(たとえばPET)で構成されてもよい。さらに他の例において、ステント1400は、金属材料とポリマー材料との組み合わせで構成されてもよい。さらにまた他の例において、ステント1400は、生体吸収性および生分解性材料または生体吸収性もしくは生分解性材料を含んでもよい。
【0060】
さらに示されているように、ステント1400は、足場1402に部分的に沿って延びているライナー1420を含んでもよい。示された非限定的な実施形態において、ライナー1420は、足場1402の内面1424に沿って形成されてもよい。他の実施形態において、ライナー1420は、足場1402の外面1422に沿って形成されてもよい。さらに他の実施形態において、ライナー1420は、足場1402の外面1422および内面1424の両方に沿って形成されてもよい。
【0061】
さらに、ライナー1420は、組織の内方増殖を防止または最小限にするために足場1402に沿ってライナー1420が設けられた1つまたは複数の層を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ライナー1420はエラストマー材料または非エラストマー材料であってもよい。示されているように、ライナー1420は、ストラット部材1409間に延びていてもよく、それによって、足場1402の隣接するストラット部材1409間の任意の空間を埋めてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、ライナー1420は、第1フレア部/フランジ部1410と第2フレア部/フランジ部1411とに沿って足場1402に接続され、GI管と中間部1412の足場1402との間の組織の内方増殖を促進するために、中間部1412のアンカー領域1425から離間している。たとえば、アンカー領域1425のライナー1420は、ライナー1420が、中間部1412に沿った足場1402の内面1424と大略的に接触しないように、長手方向中心軸1408に向けて径方向内側に延びていてもよい。
図14Bに示すように、アンカー領域1425は、中間部1412の全長に沿って大略的に延びていてもよい。
図14Cに示すように、アンカー領域1425は、中間部1412の一部のみに沿って延びていてもよい。アンカー領域1425の寸法は、中間部1412とGI管との間の組織の内方増殖の量を増減させるように選択されてもよいことは明らかであろう。本明細書の実施形態は、この文脈に限定されない。
【0063】
次に、
図15A~
図15Bに移って、本発明の実施形態によるシステム1501を説明する。示されているように、システム1501は、シース1560に連結されたステント1500を含んでもよい。ステント1500は、前述のステント1400と同じかまたは実質的に同じであってもよい。
図15Bに示すように、ステント1500は、シース1560を十二指腸1582内にさらに延ばして、患者の胃1581と十二指腸1582とを接続するために用いてもよい。より具体的には、ステント1500の足場1502は、第1フレア部1510が胃1581内に配置され、その一方で、第2フレア部1511が十二指腸1582内に配置されるように配置されてもよい。中間部1512は、第1フレア部1510と第2フレア部1511との間に延びて、胃1581と十二指腸1582との間のバイパスを形成してもよい。
【0064】
ライナー1520(
図15A)は、中間部1512を通して延びていてもよい。ライナー1520は、中間部1512に沿って1つまたは複数のアンカー領域1525を形成するために、足場1502の内面1522から離間していてもよい。アンカー領域1525は、たとえば、
図15Bに示されているように、幽門弁1587を通じて胃1581と十二指腸1582との間の適所にステント1500を固定するために、組織増殖を促進してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、シース1560は、十二指腸1582を通して延びているコルゲート材の全長であってもよい。コルゲート材は一連のリッジ1585と溝1586とによって画定されてもよく、コルゲート材は、十二指腸1582を横断するためにシース1560に可撓性をもたらしてもよい。いくつかの実施形態において、コルゲート材は、たとえば、糖尿病を治療して体重減少を促進するために、または、糖尿病を治療するかもしくは体重減少を促進するために、栄養摂取を抑制するライナーとして機能してもよい。
【0066】
図16は、本発明の実施形態による方法1600のフロー図である。ブロック1601において、方法1600は、GI管の欠損に該当するGI管の標的部位の位置を判定することを含んでもよい。
【0067】
ブロック1603において、方法1600は、患者のGI管内にシステムを配備する工程を備え、システムは、フレア部と、フレア部から延びている中間部とを含んでなる管状足場を含むステントを含み、管状足場は、管状足場の表面に部分的に沿って延びているライナーをさらに含んでもよく、ライナーはフレア部のアンカー領域から離間しており、アンカー領域は、アンカー領域とGI管との間の組織の内方増殖を促進するためにGI管に暴露されている。
【0068】
ブロック1605において、方法1600は、GI管の標的部位の片面に沿ってフレア部を配置する工程、および、中間部をGI管の標的部位に直接に隣接して配置する工程を備えてもよい。いくつかの実施形態において、GI管内の挿入部位の粘膜剥離は、標的部位からのステントの移動の抑制などのために、アンカー領域およびGI管などのステントの1つまたは複数の領域または部分の間で組織の内方増殖を促進するために用いられる。いくつかの実施形態において、方法1600は、管状足場の第2端部から延びているシースであって、遠位端の反対側に近位端を有し、近位端と遠位端との間に内腔が延びているシースを用いて、GI管の一部にバイパスを形成することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、方法1600は、シースの遠位端に連結された第2ステントをGI管内に固定することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、GI管内の挿入部位の粘膜剥離は、標的部位からの第2ステントの移動の抑制などのために、アンカー領域およびGI管などの、第2ステントの1つまたは複数の領域または部分の間で組織の内方増殖を促進するために用いられる。
【0069】
本明細書に記載のステントは、金属、金属合金、ポリマー(一部の例が下記で開示されている)、金属‐ポリマー複合体、セラミックス、それらの組み合わせなど、または他の適切な材料で製造されてもよい。適切なポリマーの例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE:ethylene tetrafluoroethylene)、フッ化エチレンプロピレン(FEP:fluorinated ethylene propylene)、ポリオキシメチレン(POM、たとえば、デュポン社(DuPont)から入手できるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(たとえば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinylchloride)、ポリエーテル‐エステル(たとえば、DSMエンジニアリング・プラスチックス社(DSM Engineering Plastics)から入手できるARNITEL(登録商標)、エーテル系またはエステル系共重合体(たとえば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよびデュポン社(DuPont)から入手できるHYTREL(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー、の両方または一方)、ポリアミド(たとえばバイエル社(Bayer)から入手できるDURETHAN(登録商標)またはエルフ・アトケム社(Elf Atochem)から入手できるCRISTAMID(登録商標))、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(たとえば商品名PEBAX(登録商標)で入手可能なPEBA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA:ethylene vinyl acetate copolymer)、シリコーン、ポリエチレン(PE:polyethylene)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(たとえばREXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT:polybutylene terephthalate)、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN:polyethylene naphthalate)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyetheretherketone)、ポリイミド(PI:polyimide)、ポリエーテルイミド(PEI:polyetherimide)、ポリフェニレンスルフィド(PPS:polyphenylene sulfide)、ポリフェニレンオキシド(PPO:polyphenylene oxide)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(たとえばKEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン‐12(たとえばEMSアメリカン・グリロン社(EMS American Grilon)から入手できるGRILAMID(登録商標))、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA:perfluoro(propyl vinyl ether))、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC:polyvinylidene chloride)、ポリ(スチレン‐b‐イソブチレン‐b‐スチレン)(たとえば、SIBSおよびSIBS 50Aの両方または一方)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、共重合体、ポリマー/金属複合材料などを含んでもよい。いくつかの実施形態において、シースは液晶ポリマー(LCP:liquid crystal polymer)と混合することができる。たとえば、その混合物はLCPを約6パーセントまで含むことができる。
【0070】
適切な金属および金属合金の例として、304V、304Lおよび316LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および超弾性Nitinolまたは線形弾性もしくは超弾性Nitinolなどのニッケル‐チタン合金;ニッケル‐クロム‐モリブデン合金などの他のニッケル合金(たとえば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C‐22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル‐銅合金(たとえばMONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル‐コバルト‐クロム‐モリブデン合金(たとえば、MP35‐N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニッケル‐モリブデン合金(たとえばHASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル‐クロム合金、他のニッケル‐モリブデン合金、他のニッケル‐コバルト合金、他のニッケル‐鉄合金、他のニッケル‐銅合金、他のニッケル‐タングステンまたはタングステン合金など;コバルト‐クロム合金;コバルト‐クロム‐モリブデン合金(たとえばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003);白金富化ステンレス鋼;チタン;それらの組み合わせなど;または任意の他の適切な材料を含む。
【0071】
少なくともいくつかの実施形態において、本明細書に記載のステントの一部または全部およびステントの他の構成要素は、放射線不透過性材料でドープされてもよく、または放射線不透過性材料で製造されてもよく、または別様に放射線不透過性材料を含んでもよい。放射線不透過性材料は、医療処置時に、X線透視スクリーンまたは他のイメージング法で、比較的明るい画像を生成することが可能な材料であると考えられている。この比較的明るい画像は、使用者がステントの位置を決定するのに役立つ。放射線不透過性材料の例として、限定するものではないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤を添加したポリマー材料などを含むことができる。さらに、同じ結果を得るために、ステントの設計に、他の放射線不透過性マーカーバンドおよびコイルまたは他の放射線不透過性マーカーバンドもしくはコイルを組み込むこともできる。
【0072】
いくつかの実施形態において、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)適合性が、本明細書に記載のステントに付与される。たとえば、ステントおよびステント他の構成要素またはそれらの部分は、画像を実質的に歪ませず、実質的なアーチファクト(たとえば画像内のギャップ)を生成しない材料で製造されてもよい。ステントは、MRI機が画像化できる材料で製造されてもよい。これらの特徴を示す材料として、たとえば、タングステン、コバルト‐クロム‐モリブデン合金(たとえば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003)、ニッケル‐コバルト‐クロム‐モリブデン合金(たとえば、MP35‐N(登録商標)などのUNS:R30035)、Nitinol等々を含む。
【0073】
実施形態によっては、「連結された」および「接続された」という表現をそれらの派生語とともに用いて説明されてもよいものもある。これらの用語は、互いに同義語であることを意図したものではない。たとえば、実施形態によっては、2つ以上の要素が互いに直接に物理的または電気的に接触していることを示すために、用語「接続された」および「連結された」の両方または一方を用いて説明されてもよい。しかしながら、用語「連結された」は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、なお互いに協同または相互作用することを意味してもよい。
【0074】
本明細書で用いる場合、単数形「ある(a)」、「ある(an)」および「その(the)」は、文脈によって明確に否定されない限り、それらの複数形も含むものとする。本明細書で用いられる用語「含む(comprise)」および/または「含んでいる(comrising)」または「含む(includes)」および/または「含んでいる(including)」は、記載された特徴、領域、ステップ、要素および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数のそれらの他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、構成要素および/またはグループの存在または追加を排除しないことはさらに理解されるであろう。
【0075】
さらに、用語「実質的」または「実質的な」および用語「およその」または「おおよそ」は、いくつかの実施形態において同義で使用することができ、当業者によって許容される任意の相対的な尺度を用いて説明することができる。たとえば、これらの用語は、意図された機能をなお提供する偏差を示すために、参照パラメータに対する比較として役立たせることができる。限定するものではないが、参照パラメータからの偏差は、たとえば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満などの量が可能である。
【0076】
本明細書において、特定の実施形態を図示し説明してきたが、当然のことながら、同じ目的を達成するために計算された任意の構成を、示された特定の実施形態に置き換えてもよい。本発明は、様々な実施形態のありとあらゆる適応または変更を含むものとする。上記の説明は例示にすぎず限定ではないことを理解されたい。上記の実施形態と、本明細書で具体的に説明されていない他の実施形態との組み合わせは、上記の説明を精査すれば当業者に明らかとなるであろう。したがって、様々な実施形態の範囲は、上記の組成物、構造および方法が用いられる任意の他の用途を含む。
【0077】
さらに、一連の行為または事象として例示的方法1600を説明したが、具体的に述べられる場合を除き、本発明はこのような行為または事象の例示的順序に限定されない。たとえば、行為によっては、本発明による本明細書で例示および説明または例示もしくは説明されたものとは別個に、異なる順序で他の行為または事象と同時に、または、異なる順序でもしくは他の行為または事象と同時に行われてもよい。さらに、例示された行為または事象は、本開示による方法論を実装するためにすべてが必要とは限らない。
【0078】
構造的特徴および方法論的行為の両方または一方に特有の表現で本主題を説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される本主題は、必ずしも前述の特定の特徴または行為に限定されるものではないことが理解されるべきである。むしろ、前述の特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施するための例示形態として開示されている。