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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】端子台、電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/18 20060101AFI20231212BHJP
   H01R 9/00 20060101ALI20231212BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231212BHJP
【FI】
H01R9/18
H01R9/00 A
H02M7/48 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022028702
(22)【出願日】2022-02-25
(65)【公開番号】P2023124730
(43)【公開日】2023-09-06
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡山 秀治
(72)【発明者】
【氏名】堀 昂平
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3148101(JP,U)
【文献】実開平7-19957(JP,U)
【文献】実開昭54-45990(JP,U)
【文献】特開2008-21536(JP,A)
【文献】実開昭51-61284(JP,U)
【文献】実開昭54-113088(JP,U)
【文献】実開昭59-76074(JP,U)
【文献】特開2003-36903(JP,A)
【文献】実公平8-4697(JP,Y2)
【文献】中国特許出願公開第113285253(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0337470(US,A1)
【文献】特開2011-165649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/18
H01R 9/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料により構成された本体部と、
前記本体部に固定され、電線の端部に装着された端子が接続される複数の第1の導電部と、
前記本体部から片持ち梁状に突出し、前記複数の第1の導電部の各々に導通され、電気機器に搭載された、棒型の導体が抜き差しされる端子口を備えた差込式の端子台の前記端子口に差し込まれて接続される棒型の複数の第2の導電部と、
を有し、
前記複数の第1の導電部の各々は、前記端子を固定するねじが締結されるねじ部を備
前記複数の第1の導電部は、
1つの前記第1の導電部と、前記1つの前記第1の導電部の両側に位置し、前記1つの前記第1の導電部よりも前記ねじの軸方向において低く配置された2つの前記第1の導電部と、を含み、
前記本体部は、
前記1つの前記第1の導電部と前記2つの前記第1の導電部との間を仕切り、前記第1の導電部が隣接する方向に対向して立設された一対の壁部を有し、
前記一対の壁部は、
壁部間の間隔が前記本体部と反対側よりも前記本体部側で狭くなるように立設方向の中間位置で屈曲している、
端子台。
【請求項2】
前記本体部は、
前記電気機器の筐体に引っ掛かるフック部を有する、
請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
絶縁材料により構成された本体部と、
前記本体部に固定され、電線の端部に装着された端子が接続される複数の第1の導電部と、
前記本体部から片持ち梁状に突出し、前記第1の導電部に導通され、電気機器に搭載された差込式の端子台に差し込まれて接続される複数の第2の導電部と、
を有し、
前記複数の第1の導電部は、前記端子を固定するねじが締結されるねじ部をそれぞれ備えており、
前記複数の第2の導電部は、
当該第2の導電部のピッチが前記第1の導電部のピッチよりも小さくなるように配置されており
前記複数の第1の導電部は、
1つの前記第1の導電部と、前記1つの前記第1の導電部の両側に位置し、前記1つの前記第1の導電部よりも前記ねじの軸方向において低く配置された2つの前記第1の導電部と、を含み、
前記本体部は、
前記1つの前記第1の導電部と前記2つの前記第1の導電部との間を仕切り、前記第1の導電部が隣接する方向に対向して立設された一対の壁部を有し、
前記一対の壁部は、
壁部間の間隔が前記本体部と反対側よりも前記本体部側で狭くなるように立設方向の中間位置で屈曲している、
端子台。
【請求項4】
前記複数の第2の導電部の少なくとも1つは、
先細り形状となるように形成されたテーパ部を有する、
請求項に記載の端子台。
【請求項5】
前記壁部は、
記第2の導電部の突出方向に前記本体部から所定距離だけ突出している
請求項1乃至のいずれか1項に記載の端子台。
【請求項6】
電気回路と、
電線を前記電気回路に接続するための、棒型の導体が抜き差しされる端子口を備えた差込式の端子台と、
前記電線と前記差込式の端子台との接続を中継する端子台と、を有し、
前記端子台は、
絶縁材料により構成された本体部と、
前記本体部に固定され、前記電線の端部に装着された端子が接続される複数の第1の導電部と、
前記本体部から片持ち梁状に突出し、前記複数の第1の導電部の各々に導通され、前記差込式の端子台の前記端子口に差し込まれて接続される棒型の複数の第2の導電部と、
を有し、
前記複数の第1の導電部の各々は、前記端子を固定するねじが締結されるねじ部を備
前記複数の第1の導電部は、
1つの前記第1の導電部と、前記1つの前記第1の導電部の両側に位置し、前記1つの前記第1の導電部よりも前記ねじの軸方向において低く配置された2つの前記第1の導電部と、を含み、
前記本体部は、
前記1つの前記第1の導電部と前記2つの前記第1の導電部との間を仕切り、前記第1の導電部が隣接する方向に対向して立設された一対の壁部を有し、
前記一対の壁部は、
壁部間の間隔が前記本体部と反対側よりも前記本体部側で狭くなるように立設方向の中間位置で屈曲している、
電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、端子台、及び、当該端子台を備えた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主回路の端子台としてヨーロッパ式端子台を備えた電力変換装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-195686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヨーロッパ式端子台等の差込式の端子台を備えた電気機器において、例えば重要性が高い配線系統や安全性を重視する配線系統に対しては、丸型の圧着端子等のねじ固定式の端子を使用したいというニーズがあった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、差込式の端子台を備えた電気機器にねじ固定式の端子を接続することができる端子台及び当該端子台を備えた電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、絶縁材料により構成された本体部と、前記本体部に固定され、電線の端部に装着された端子が接続される第1の導電部と、前記本体部から片持ち梁状に突出し、前記第1の導電部に導通され、電気機器に搭載された差込式の端子台に差し込まれて接続される第2の導電部と、を有し、前記第1の導電部は、前記端子を固定するねじが締結されるねじ部を備える、端子台が適用される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、電気回路と、電線を前記電気回路に接続するための差込式の端子台と、前記電線と前記差込式の端子台との接続を中継する端子台と、を有し、前記端子台は、絶縁材料により構成された本体部と、前記本体部に固定され、前記電線の端部に装着された端子が接続される第1の導電部と、前記本体部から片持ち梁状に突出し、前記第1の導電部に導通され、前記差込式の端子台に差し込まれて接続される第2の導電部と、を有し、前記第1の導電部は、前記端子を固定するねじが締結されるねじ部を備える、電気機器が適用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、差込式の端子台を備えた電気機器にねじ固定式の端子を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るモータ制御システムの全体構成の一例を表す図である。
図2】インバータ装置に搭載された差込式端子台の構成の一例を表す図である。
図3】端子台の構成の一例を表す前方からの斜視図である。
図4】端子台の構成の一例を表す後方からの斜視図である。
図5】端子台の構成の一例を表す前面図である。
図6】端子台の構成の一例を表す右側の側面図である。
図7】端子台の構成の一例を表す平面図である。
図8】端子台の構成の一例を表す底面図である。
図9図5におけるIX-IX断面に相当する断面構成の一例を表す断面図である。
図10】端子台の使用状態におけるIX-IX断面に相当する断面構成の一例を表す断面図である。
図11】カバーを取り付けた状態の端子台の構成の一例を表す前方からの斜視図である。
図12】カバーを取り付けた状態の端子台の構成の一例を表す後方からの斜視図である。
図13】端子台をインバータ装置へ取り付ける取り付け作業の手順の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<1.モータ制御システムの全体構成>
図1を参照しつつ、実施形態に係るモータ制御システム1の全体構成の一例について説明する。
【0012】
図1に示すように、モータ制御システム1は、インバータ装置3と、端子台5と、モータ7とを有する。
【0013】
インバータ装置3(電気機器の一例)は、モータ7を制御するモータ制御装置である。インバータ装置3は、交流電源9から供給される3相交流電力を、所定の電圧及び周波数の3相交流電力に変換し、負荷であるモータ7に供給する電力変換装置である。インバータ装置3は、筐体11を有する。筐体11には、表示部13、インバータの運転および停止を行うための運転/停止ボタン15、各種の操作を行うための操作ボタン17等が設けられている。インバータ装置3は、筐体11の内部に電気回路19を有する。電気回路19は、交流電力を直流電力に変換するコンバータ回路、コンバータ回路により変換された直流電力を平滑化する平滑回路、例えばPWM制御により直流電力を交流電力に変換するインバータ回路、及び制御回路等を含む。
【0014】
インバータ装置3は、外部配線である電線を電気回路19に接続するための差込式端子台21を有する。差込式端子台21(差込式の端子台の一例)は、被覆を除去した電線自体(単線またはバラ線(撚り線)を含む)又は電線の端部に装着された端子(例えばフェルール端子等の棒型の圧着端子)が差し込まれて接続される端子台であり、プッシュイン式又はねじレス式端子台ともいう。差込式端子台21としては、例えばヨーロッパ式端子台等が使用される。インバータ装置3は、交流電源9からの3相交流電力(R相、S相、T相)を入力するための電源入力用の端子台21、インバータ回路より出力される3相交流電力(U相、V相、W相)をモータ7に出力するための電源出力用の端子台21、その他外部配線と制御回路とを接続するための端子台21(図示省略)等を含む、複数の差込式端子台21を有する。
【0015】
端子台5は、外部配線である電線と差込式端子台21との接続を中継する端子台である。詳細は後述するが、端子台5は3つの導電板22,23,24を有する。各導電板22,23,24の突起部22a,23a,24aは、差込式端子台21にそれぞれ接続される。各導電板22,23,24のねじ締結部22b,23b,24bには、電線に装着されたねじ固定式の端子25がそれぞれ接続される。ねじ固定式の端子25としては、例えば丸型の圧着端子等が使用される。突起部22a,23a,24aは、インバータ装置3の筐体11に形成された複数の開口部11aを介して差込式端子台21にそれぞれ差し込まれる。図1には、例えば2個の端子台5を、電源入力用の差込式端子台21及び電源出力用の差込式端子台21にそれぞれ接続する場合を図示している。各端子台5には、電源入力用の電線27の端子25及び負荷出力用の電線29の端子25がそれぞれ接続される。
【0016】
なお、以上説明したシステム構成は一例であり、上述の内容に限定されるものではない。例えば、電気機器はインバータ装置(モータ制御装置、電力変換装置)に限定されるものではなく、外部配線を接続するための差込式端子台を有する電気機器であればよい。本実施形態は、そのような多種多様な電気機器を備えたシステムに適用可能である。また、差込式端子台を使用する配線系統は電源系統に限定されるものではなく、それ以外の配線系統(制御配線等)に使用してもよい。また、使用する差込式端子台の数は2個に限定されるものではなく、例えば1個でもよいし3個以上としてもよい。また、電線の端部に装着されるねじ固定式の端子25は、丸型の圧着端子に限定されるものではなく、例えばY字型の圧着端子等でもよい。
【0017】
<2.差込式端子台の構成>
図2を参照しつつ、インバータ装置3に搭載された差込式端子台21の構成の一例について説明する。図2に示すように、差込式端子台21は一体的に接続された複数(例えば3つ)の端子台21A~21Cを有する。各端子台21A~21Cは、前側に設けられた端子口21aと、上側に設けられた工具挿入口21bとを有する。端子口21aには、端子台5の導電板22,23,24の突起部22a,23a,24aがそれぞれ挿入される。工具挿入口21bには、例えばマイナスドライバ、プラスドライバ、又は六角レンチ等の工具31が挿入され、内部に設けられた締付ねじ(図示省略)が回転操作される。差込式端子台21の内部には、工具31の回転操作により上下方向に移動する可動式の導電部材が設けられている。
【0018】
上記工具により締付ねじが緩める方向に回転されると、導電部材が移動して端子口21aが開放される。これにより、導電板22,23,24の突起部22a,23a,24aを端子口21aに抜き差しすることが可能となる。上記工具により締付ねじが締め付け方向に回転されると、導電部材が移動して突起部22a,23a,24aに押し付けられる。これにより、導電板22,23,24の突起部22a,23a,24aが導電部材に接続された状態で固定される。
【0019】
なお、以上説明した差込式端子台の構成は一例であり、上述の内容に限定されるものではない。例えば、締付ねじ等によるロック操作が不要で、突起部22a,23a,24aの差し込みを行うだけでバネ力によってロックされ、取り外す際にロック解除操作を行う構成等の差込式端子台でもよい。
【0020】
<3.端子台の構成>
図3図12を参照しつつ、端子台5の構成の一例について説明する。なお、図3図12において、端子台5の構成の説明の便宜上、上下左右前後の方向を適宜使用するが、端子台5の各構成の向きや位置を限定するものではない。上下方向はねじの軸方向、前後方向は導電板の突起部の延設方向、左右方向はねじ及び導電板が隣接する方向を指すものである。なお、図9図5におけるIX-IX断面に相当する断面構成の一例を表す断面図であり、図10は端子台5の使用状態におけるIX-IX断面に相当する断面構成の一例を表す断面図である。
【0021】
図3及び図4に示すように、端子台5は、本体部33と、前述した3つの導電板22,23,24と、3つのねじ37とを有する。導電板22,23,24の各々と、ねじ37と、ナット49とで1つの端子を構成しており、端子台5は3つの端子を有する。
【0022】
本体部33は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の絶縁性の高い樹脂材料により構成されている。図3図5に示すように、本体部33は、隣接する導電板22,23,24のねじ締結部22b,23b,24bが上下方向において異なる高さに配置されるように構成されている。具体的には、本体部33は、中央に位置するねじ締結部23bが左右両側に位置するねじ締結部22b,24bよりも上下方向において高く配置されるように、略凸型の形状に形成されている。これにより、3つのねじ37及びねじ締結部22b,23b,24bは、上下方向に2段の異なる高さで配置されている。
【0023】
図5図6図8図10に示すように、本体部33は、前側の下方における左右方向略中心位置に、前方に向けて突出したフック部39を有する。フック部39は、先端部に下方に向けて屈曲した鉤部39aを有する。図10に示すように、フック部39がインバータ装置3の筐体11の係止部11b(図1も参照)に引っ掛かることで、端子台5が筐体11に保持される。また鉤部39aは、導電板22,23,24の突起部22a,23a,24aの差込式端子台21からの抜けを防止する。
【0024】
図3図5図7図8に示すように、本体部33は、隣接するねじ締結部22b,23b,24bの間(隣接するねじ37の間)を仕切る一対の壁部41,41を有する。図7に示すように、壁部41は本体部33の前面から前方(突起部22a,23a,24aの突出方向の一例)に所定距離L1だけ突出すると共に、本体部33の後面から後方に所定距離L2だけ突出する。これにより、隣接するねじ37間、及び、隣接する導電板22,23,24間の沿面距離をそれぞれ確保することができる。すなわち、壁部41は絶縁障壁として機能する。なお、隣接する突起部22a,23a,24a間の沿面距離を確保するために、距離L1は距離L2よりも大きく設定されている。
【0025】
図7に示すように、壁部41の前方に突出した部分は、インバータ装置3の筐体11の開口部11aに連通する凹部に挿入されて、ラビリンス構造を形成する。これにより、隣接するねじ37間、及び、隣接するねじ締結部22b,23b,24b間の空間距離を増大することが可能となり、端子台5の絶縁性を向上できる。図3図5に示すように、一対の壁部41は左右方向に対向して立設しており、壁部41間の間隔が上側よりも下側で狭くなるように、上下方向中間位置で屈曲している。これにより、左右両側に段違いで配置されたねじ37及びねじ締結部22b,24bを中央側に寄せることが可能となり、端子台5の左右方向の寸法をできるだけ小さくしつつ、端子間の沿面距離を確保できる構成となっている。
【0026】
図8図10に示すように、本体部33は上方及び下方が開口した中空の略四角筒形状に形成されている。また、図3図4及び図6に示すように、左右方向両端において上方に突出した側壁43には、カバー取付用の穴部45がそれぞれ形成されている。図11及び図12に示すように、端子台5の使用時には、ねじ締結部22b,23b,24b及び3つのねじ37を覆うようにカバー47が取り付けられる。カバー47は、例えばポリカーボネートまたは透明アクリル等の透過性を備えた絶縁性の高い樹脂材料により構成されており、前後方向から見た形状が略凸型に屈曲した板状部材である。カバー47の両端の内側には突起部45a(図示省略)がそれぞれ設けられており、当該2つの突起部45aが本体部33の穴部45にそれぞれ嵌合することで、カバー47が端子台5の上部に取り付けられる。なお、図11及び図12では端子台5に接続された電線及び端子25の図示を省略している。
【0027】
導電板22,23,24は、例えば銅、黄銅、リン青銅、鉄、ステンレス鋼等の、導電性の高い金属材料で構成されている。図3及び図4に示すように、導電板22は、突起部22a及びねじ締結部22bを有する。導電板23は、突起部23a及びねじ締結部23bを有する。導電板24は、突起部24a及びねじ締結部24bを有する。ねじ締結部22b,23b,24b(第1の導電部の一例)は、例えば四角板状に形成されており、本体部33の上部に固定され、電線の端部に装着された端子25が接続される。突起部22a,23a,24a(第2の導電部の一例)は、本体部33から片持ち梁状に前方に突出し、インバータ装置3に搭載された差込式端子台21に差し込まれて接続される。突起部22aとねじ締結部22b、突起部23aとねじ締結部23b、突起部24aとねじ締結部24bは、それぞれ一体成型されることで互いに導通されている。なお、突起部とねじ締結部とを別々の部品で構成し、互いに導通するように接続してもよい。
【0028】
前述のように、本体部33の形状により、中央に位置するねじ締結部23bは左右両側に位置するねじ締結部22b,24bよりも上下方向において高く配置される。突起部22aは、上下方向においてねじ締結部22bと同じ高さで前方に向けて突出する。同様に、突起部24aは、上下方向においてねじ締結部24bと同じ高さで前方に向けて突出する。突起部23aは、ねじ締結部23bの前面から突出すると共に下方に向けて屈曲し、下方に向かって所定距離だけ延設され、突起部22a,24aと同じ高さとなる位置で前方に向けて屈曲し、前方に向けて所定距離だけ突出する。上記構成により、突起部22a,23a,24aは、上下方向において同じ高さで本体部33から前方に向けてそれぞれ突出する。
【0029】
図7に示すように、導電板22,23,24は、突起部22a,23a,24aのピッチP1がねじ締結部22b,23b,24bのピッチP2よりも小さくなるように構成されている。ピッチP1は、インバータ装置3の差込式端子台21の端子間ピッチと等しくなるように設定されている。なお、突起部22a,23a,24aは、本体部33の前面から所定距離L3だけ前方の差し込み位置IPまで差込式端子台21に挿入されるように構成されており、ピッチP1は各突起部22a,23a,24aの差し込み位置IPにおける左右方向中心位置同士の間隔である。ピッチP2は、ねじ37のピッチでもあり、ねじ締結部22b,23b,24bに接続される電線の端子25のピッチでもある。
【0030】
図7及び図8に示すように、導電板22,23,24のうち左右両側の導電板22,24の突起部22a,24aは、先細り形状となるように形成されている。具体的には、突起部22aは、左右方向の幅が先端に向けて小さくなるように左側の端面を傾斜させたテーパ部TP1を有する。突起部24aは、左右方向の幅が先端に向けて小さくなるように右側の端面を傾斜させたテーパ部TP2を有する。なお、中心の導電板23の突起部23aにも先細り形状となるようにテーパ部を形成してもよい。また、突起部22a,23a,24aのいずれか1つにのみテーパ部を形成してもよいし、いずれにもテーパ部を形成しなくてもよい。
【0031】
図9及び図10に示すように、導電板23のねじ締結部23bは、下部に複数(例えば前後方向に2つ又は四隅に4つ)の突片部23cを有している。複数の突片部23cがそれぞれ本体部33の上端に例えばカシメ等により接合されることにより、ねじ締結部23bが本体部33に固定されている。なお、本体部33の成型の際にねじ締結部23bを例えばインサート成型してもよいし、接着剤等により接合してもよい。図示は省略するが、導電板22,24のねじ締結部22b,24bについても上記と同様に構成されている。
【0032】
図9及び図10に示すように、導電板23のねじ締結部23bは、端子25を固定するねじ37が締結されるナット49(ねじ部の一例)を備える。ナット49は、例えばインサート成型によりねじ締結部23bに一体的に接合されている。なお、ねじ締結部23bとナット49は、例えばカシメや接着剤等により接合されてもよい。ナット49は、ねじ締結部23bの下面より下方に突出し、本体部33内に収容されている。導電板22,24のねじ締結部22b,24bについても上記と同様に構成されている。図8に示すように、ねじ締結部22b,23b,24bに接合された3つのナット49のそれぞれの間は、本体部33の内側において壁部41により仕切られている。図10に示すように、ワッシャ51と導電板23のねじ締結部23bとの間に電線の端子25を挟んだ状態で、ねじ37がナット49に締結されることにより、端子25がねじ締結部23bに固定されて接続される。導電板22,24のねじ締結部22b,24bについても上記と同様に構成されている。ねじ37、ナット49及びワッシャ51は、導電性の高い金属材料で構成されている。
【0033】
なお、以上説明した端子台5の構成は一例であり、上述の内容に限定されるものではない。例えば、端子台5における端子の数は3つに限定されるものではなく、1つでもよいし、3以外の複数(2つ又は4つ以上)でもよい。また、ピッチP1とピッチP2が等しい構成としてもよい。この場合でも、端子台5が備える複数の端子を上下方向に多段構成とすることにより、端子台5の左右方向の寸法を抑制できる。また、端子台5は本体部33と3つの導電板22,23,24を有し、ねじ37を備えない構成としてもよい。この場合、ねじ37についてはユーザが用意してもよい。
【0034】
<4.端子台の取り付け作業の手順>
図13を参照しつつ、端子台5をインバータ装置3へ取り付ける取り付け作業の手順の一例について説明する。取り付け作業は、ユーザによって手作業で行われてもよいし、例えばロボット等の自動機によって行われてもよい。
【0035】
ステップS10では、端子台5の導電板22,23,24の突起部22a,23a,24aがインバータ装置3の差込式端子台21の端子口21aにそれぞれ差し込まれると共に、端子台5のフック部39がインバータ装置3の筐体11に係止されて、端子台5がインバータ装置3の筐体11に取り付けられる。この状態が、端子台5の仮固定である。なお、本ステップS10では、予め差込式端子台21の締付ねじが緩める方向に回転されて導電部材が開放されているものとする。
【0036】
ステップS20では、差込式端子台21の締付ねじが締め付け方向に回転されて、差込式端子台21の導電部材がバネ力によって突起部22a,23a,24aにそれぞれ押し付けられる。これにより、導電板22,23,24の突起部22a,23a,24aが差込式端子台21に接続された状態で固定される。この状態が、端子台5の本固定である。
【0037】
ステップS30では、端子台5のねじ37が緩められ、3本の電線27,29の端子25が端子台5の導電板22,23,24のねじ締結部22b,23b,24bに取り付けられて、ねじ37がナット49に締結される。これにより、電線27,29の端子25がそれぞれ端子台5に固定される。
【0038】
ステップS40では、カバー47が端子台5に取り付けられる。以上により、取り付け作業が終了する。
【0039】
以上説明した作業手順は一例であって、上記手順の少なくとも一部を削除又は変更してもよいし、上記以外の手順を追加してもよい。また、上記手順の少なくとも一部の順番を変更してもよいし、複数の手順が単一の手順にまとめられてもよい。
【0040】
<5.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の端子台5は、絶縁材料により構成された本体部33と、本体部33に固定され、電線の端部に装着された端子25が接続されるねじ締結部22b,23b,24bと、本体部33から片持ち梁状に突出し、ねじ締結部22b,23b,24bに導通され、インバータ装置3に搭載された差込式端子台21に差し込まれて接続される突起部22a,23a,24aと、を有し、ねじ締結部22b,23b,24bは、端子25を固定するねじ37が締結されるナット49を備える。
【0041】
また本実施形態のインバータ装置3は、電気回路19と、電線27,29を電気回路19に接続するための差込式端子台21と、電線27,29と差込式端子台21との接続を中継する端子台5と、を有する。
【0042】
本実施形態の端子台5では、本体部33に固定されたねじ締結部22b,23b,24bに、電線27,29の端子25がねじ37により固定されると共に、本体部33から突出した突起部22a,23a,24aが、インバータ装置3に搭載された差込式端子台21に差し込まれて接続される。このようにして、端子台5が電線27,29の端子25と差込式端子台21との接続を中継することにより、ねじ固定式の端子25(例えば丸型の圧着端子等)を差込式端子台21に接続することができる。これにより、例えばヨーロッパ式端子台を備えた電気機器において、例えば重要性が高い配線系統や安全性を重視する配線系統等の特定の配線については、脱落防止の確実性を向上するために丸型の圧着端子を使用したいといったニーズに応えることが可能となり、電気機器の商品価値を向上できる。
【0043】
また本実施形態において、本体部33は、インバータ装置3の筐体11に引っ掛かるフック部39を有してもよい。
【0044】
この場合、突起部22a,23a,24aを差込式端子台21に接続する際に、端子台5をインバータ装置3の筐体11に保持させて仮止めすることができ、作業性を向上できる。また、接続完了後には、フック部39の引っ掛かりにより、突起部22a,23a,24aが差込式端子台21から抜けたり、端子台5がインバータ装置3の筐体11から脱落することを防止できる。
【0045】
また本実施形態において、本体部33は、隣接するねじ締結部22b,23b,24bがねじ37の軸方向(上下方向)において異なる高さに配置されるように構成されてもよい。
【0046】
この場合、差込式端子台21の比較的小さな端子間ピッチに合わせるように、端子台5の端子間ピッチをできるだけ小さくしつつ、隣接する端子の高さをずらすことで端子間の沿面距離を確保することができる。また、端子台5の左右方向の長さ寸法を小さくすることができるので、インバータ装置3において隣接する端子への干渉を抑制できると共に、端子台5がインバータ装置3の筐体11の端部から突出することを抑制できる。
【0047】
また本実施形態において、突起部22a,23a,24aは、当該突起部22a,23a,24aのピッチP1がねじ締結部22b,23b,24bのピッチP2よりも小さくなるように配置されてもよい。
【0048】
一般に差込式の端子台は、ねじ固定式の端子台に比べて端子間のピッチが小さい。本実施形態では、差込式端子台21に差し込まれる突起部22a,23a,24aのピッチP1が、電線の端子25がねじ固定されるねじ締結部22b,23b,24bのピッチP2よりも小さくなるように配置される。これにより、端子台5において端子間のピッチを広いピッチP2から狭いピッチP1に変換することができる。したがって、比較的大きなピッチが必要となるねじ固定式の端子25(例えば丸型の圧着端子)を、ピッチが小さい差込式端子台21(例えばヨーロッパ式端子台)に接続することができる。
【0049】
また本実施形態において、突起部22a,23a,24aのうち2つの突起部22a,24aは、先細り形状となるように形成されたテーパ部TP1,TP2を有してもよい。
【0050】
この場合、端子間のピッチが小さい差込式端子台21に対して、複数の突起部22a,23a,24aを差し込みやすくすることが可能となり、接続作業をスムーズに行うことができる。
【0051】
また本実施形態において、本体部33は、隣接するねじ締結部22b,23b,24bの間を仕切ると共に、突起部22a,23a,24aの突出方向に本体部33から所定距離L1だけ突出した壁部41を有してもよい。
【0052】
この場合、壁部41を絶縁障壁として機能させることができ、隣接するねじ締結部22b,23b,24b間の沿面距離を確保することができる。また、壁部41を本体部33から所定距離L1だけ突出させることにより、壁部41をインバータ装置3の筐体11側に設けられた凹部に挿入させて、ラビリンス構造を形成できる。これにより、隣接するねじ締結部22b,23b,24b間の空間距離を増大することが可能となり、絶縁性を向上できる。
【0053】
また本実施形態において、端子台5は3つの端子(導電板22,23,24と3つのねじ37と3つのナット49)を有し、本体部33は、中央に位置するねじ締結部23bが左右両側に位置するねじ締結部22b,24bよりもねじ37の軸方向(上下方向)において高く配置されるように構成されてもよい。
【0054】
インバータ装置3が、例えば産業機械等で使用されるモータ制御装置(電力変換装置)等として使用される場合には、一般に3相交流電源を入力して3相交流電力を出力する。したがって、インバータ装置3において重要性が高く且つ安全性を重視する必要がある電源系統の電線27,29は、3本の電線で構成される。本実施形態では、端子台5が3つの端子を備えることにより、上記のような電源系統の入出力の端子への適用が容易となる。
【0055】
以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0056】
以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0057】
以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【0058】
以上説明した実施形態や変形例等が解決しようとする課題や効果は、上述した内容に限定されるものではない。実施形態や変形例等によって、上述されていない課題を解決したり、上述されていない効果を奏することもでき、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【符号の説明】
【0059】
1 モータ制御システム
3 インバータ装置(電気機器)
5 端子台
11 筐体
19 電気回路
21 差込式端子台(差込式の端子台)
22 導電板
22a 突起部(第2の導電部)
22b ねじ締結部(第1の導電部)
23 導電板
23a 突起部(第2の導電部)
23b ねじ締結部(第1の導電部)
24 導電板
24a 突起部(第2の導電部)
24b ねじ締結部(第1の導電部)
25 端子
27 電線
29 電線
33 本体部
37 ねじ
39 フック部
41 壁部
49 ナット(ねじ部)
L1 所定距離
L2 所定距離
L3 所定距離
P1 ピッチ
P2 ピッチ
TP1 テーパ部
TP2 テーパ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13