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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】嵌込式人工弁および送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022030783
(22)【出願日】2022-03-01
(62)【分割の表示】P 2020520450の分割
【原出願日】2018-09-12
(65)【公開番号】P2022066307
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】62/572,281
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/579,762
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/129,779
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア シー.ハーラー
(72)【発明者】
【氏名】コーディー エル.ハートマン
(72)【発明者】
【氏名】ロイ メニーゴーツ,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ライアン エス.ティトン
(72)【発明者】
【氏名】エリック エム.ティッテルボー
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0218619(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0235525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部と遠位端部を含む弁尖フレームサブコンポーネントと、
近位端部と遠位端部を有するアンカーフレームサブコンポーネントと、
前記弁尖フレームサブコンポーネントおよび前記アンカーフレームサブコンポーネントに結合された中間段と、
を含む、送達構成とインサイチュでの展開構成の間で遷移可能な人工弁であって、
前記中間段は前記中間段の内側表面を画定する内側フィルム層および前記中間段の外側表面を画定する外側フィルム層を含み、前記内側フィルム層は前記アンカーフレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの内側アパーチャを画定し、前記外側フィルム層は前記弁尖フレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの外側アパーチャを画定し、
前記内側フィルム層と前記外側フィルム層は、前記弁尖フレームサブコンポーネントが前記アンカーフレームサブコンポーネント内に入れ子にされていない場合には内部を通る血液の流れを可能にするように動作可能でかつ前記弁尖フレームサブコンポーネントが前記アンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされている場合には流れを制限するように動作可能であるそれらの間の流れ空間を画定するように、少なくとも前記内側アパーチャのうちの1つと前記外側アパーチャのうちの1つとの間で結合されていない、人工弁。
【請求項2】
前記内側フィルム層および前記外側フィルム層は、少なくとも前記弁尖フレームサブコンポーネントの前記近位端部および前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部において共に結合されている、請求項1に記載の人工弁。
【請求項3】
前記送達構成に位置する場合、前記弁尖フレームサブコンポーネントおよび前記アンカーフレームサブコンポーネントは長手方向に互いにオフセットされて前記弁尖フレームサブコンポーネントの前記近位端部は前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部の遠位に位置するようになっている、請求項1または2記載の人工弁。
【請求項4】
前記インサイチュでの展開構成まで遷移した場合に、前記弁尖フレームサブコンポーネントは前記アンカーフレームサブコンポーネントによって画定された内部領域の内部で入れ子にされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の人工弁。
【請求項5】
前記インサイチュでの展開構成まで遷移した場合に、前記弁尖フレームサブコンポーネントの前記近位端部は前記アンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の近位に位置する、請求項1~4のいずれか1項に記載の人工弁。
【請求項6】
前記アンカーフレームサブコンポーネントは、組織と係合するために動作可能な複数の組織固着用要素をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の人工弁。
【請求項7】
中を通る順方向の流れを許容するように開放しかつ逆行性の流れを阻止するように前記弁尖フレームサブコンポーネントを閉鎖するために動作可能な前記弁尖フレームサブコンポーネントに結合された複数の弁尖をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の人工弁。
【請求項8】
前記弁尖フレームサブコンポーネントおよび前記アンカーフレームサブコンポーネントは長手方向に互いにオフセットされて、前記弁尖フレームサブコンポーネントの前記近位端部は前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部の遠位に位置することになるように、前記人工弁は送達構成においてカテーテルに沿って位置している、請求項1~6のいずれか1項に記載の人工弁を含む、医療装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のために全てが参照により全体が本明細書に組込まれている、2017年10月13日出願の米国仮特許出願第62/572,281号および2017年10月31日出願の米国仮特許出願第62/579,762号の利益を主張する2018年9月12日出願の米国特許出願第16/129,779号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、概して人工弁に関し、より具体的には、可撓性弁尖タイプの人工弁装置、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生来の弁の機能および性能を模倣することを試みる生体弁が開発されてきた。生体弁は、合成材料、天然の組織、例えば生物組織または合成材料と天然組織の組合せから形成され得る。
【0004】
従来の多くの設計は、開心外科技術を介した患者の生体構造内部の標的領域への送達を必要としているものの、経カテーテル技術などの代替的アプローチが多くの利点を提供する。他の例の中でも、カテーテルを介して血管内で送達される経カテーテル人工弁は、開心外科処置と比べて患者の外傷を最小限に抑えるのを補助することができる。開心術には、付随する病的状態および長期の回復と共に、患者に対する広範な外傷が関与する。一方、カテーテルを介して被移植部位に送達される弁は、開心術の外傷を回避し、開心術を乗り切るにはあまりに重篤であるかまたは脆弱である患者に対して実施することができる。
【0005】
しかしながら、生体構造内の治療領域へのアクセス、展開のためのバイオプロテーゼの適正な位置付けに関して課題は存在し、修復または増強される特定の生体構造に応じて、バイオプロテーゼの存在の結果として周囲の生体構造に変異が発生する可能性がある。いくつかの事例において、周囲の生体構造に対するこのような結果としての変異は、患者の健康に負の影響をもたらし得る。
【発明の概要】
【0006】
一実施例によると(「実施例1」)、患者の生体構造の生来の弁に置換するための人工弁は、アンカーフレームサブコンポーネント、アンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子可能な弁フレームサブコンポーネント、生来の弁に結び付けられる組織と係合し弁フレームサブコンポーネントとアンカーフレームサブコンポーネントの間に生来の弁の弁尖をしっかり固定するように構成された組織保持フィーチャを含む。
【0007】
実施例1に加えて、別の実施例によると(「実施例2」)、アンカーフレームサブコンポーネントおよび弁フレームサブコンポーネントの1つ以上の部分は互いに重なり合って、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントと入れ子にされた場合に弁フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントの重複部分の間に環状空間が画定されるようになっている。
【0008】
実施例2に加えて、別の実施例によると(「実施例3」)、組織保持フィーチャは、生来の弁と結び付けられた組織を環状空間内部にしっかり固定するように構成されている。
【0009】
実施例3に加えて、別の実施例によると(「実施例4」)、生来の弁と結び付けられた組織には、生来の弁の弁尖が含まれる。
【0010】
実施例2~4に加えて、別の実施例によると(「実施例5」)、組織保持フィーチャの一部分は、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントと入れ子にされた場合に弁フレームサブコンポーネントとアンカーフレームサブコンポーネントの間に画定される環状空間内へと、弁フレームサブコンポーネントから半径方向外向きに延在する。
【0011】
実施例1~5に加えて、別の実施例によると(「実施例6」)、組織保持フィーチャは、弁フレームサブコンポーネントと一体になっている。
【0012】
実施例1~6に加えて、別の実施例によると(「実施例7」)、組織保持フィーチャは、弁フレームサブコンポーネントとは明確に異なり、これに結合されている。
【0013】
実施例1~7に加えて、別の実施例によると(「実施例8」)、人工弁は、弁フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントの1つ以上の部分の周りに配置されたフィルムをさらに含み、こうして少なくとも部分的にフィルムの隣接部分によって弁フレームサブコンポーネントに対しアンカーフレームサブコンポーネントが結合されるようになっている。
【0014】
実施例8に加えて、別の実施例によると(「実施例9」)、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされた場合、フィルムの隣接部分の一部分は、弁フレームサブコンポーネントとアンカーフレームサブコンポーネントの間に格納される。
【0015】
実施例9に加えて、別の実施例によると(「実施例10」)、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントと入れ子にされた場合、組織保持フィーチャは弁フレームサブコンポーネントとフィルムの間に位置付けされる。
【0016】
実施例1~10に加えて、別の実施例によると(「実施例11」)、人工弁は、アンカーフレームサブコンポーネント内部の弁フレームサブコンポーネントの入れ子位置を維持するように構成されたインターロックをさらに含む。
【0017】
実施例11に加えて、別の実施例によると(「実施例12」)、インターロックは、弁フレームサブコンポーネントに結合され、アンカーフレームサブコンポーネントを係合するように構成されている。
【0018】
実施例11~12に加えて、別の実施例によると(「実施例13」)、インターロックは、アンカーフレームサブコンポーネントおよび弁フレームサブコンポーネントが共に入れ子にされるにつれて偏向位置と伸展位置の間で遷移可能である弾性部材である。
【0019】
実施例1~13に加えて、別の実施例によると(「実施例14」)、人工弁はさらに、患者の生体構造の組織に対して人工弁を固着させるために構成された1つ以上のアンカーを含む。
【0020】
実施例14に加えて、別の実施例によると(「実施例15」)、アンカーはアンカーフレームサブコンポーネントと一体になっている。
【0021】
実施例14に加えて、別の実施例によると(「実施例16」)、アンカーは、アンカーフレームサブコンポーネントに結合されている。
【0022】
実施例1~16に加えて、別の実施例によると(「実施例17」)、人工弁は、経カテーテル送達のための圧縮構成と、人工弁が患者の生体構造の生来の弁に置換するように動作可能である拡張構成との間で遷移可能である。
【0023】
別の実施例によると(「実施例18」)、送達構成とインサイチュでの展開構成との間で遷移可能な人工弁は、近位端部と遠位端部を含む弁フレームサブコンポーネント、弁フレームサブコンポーネントに結合され、近位端部と遠位端部を含むアンカーフレームサブコンポーネント、および患者の生体構造の生来の弁と結び付けられた組織と係合し弁フレームサブコンポーネントとアンカーフレームサブコンポーネントの間で生来の弁の組織をしっかり固定するように構成された組織保持フィーチャを含む。送達構成に位置する場合、弁フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントは長手方向に互いにオフセットされて弁フレームサブコンポーネントの近位端部がアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置するようになっている。インサイチュでの展開構成まで遷移した場合、弁フレームサブコンポーネントはアンカーフレームサブコンポーネントによって画定された内部領域の内部で入れ子にされる。
【0024】
実施例18に加えて、別の実施例によると(「実施例19」)、生来の弁と結び付けられた組織は、生来の弁の弁尖を含む。
【0025】
実施例18~19に加えて、別の実施例によると(「実施例20」)、弁フレームサブコンポーネントの近位端部は、プロテーゼがインサイチュでの展開構成まで遷移させられた場合にアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の近位に位置する。
【0026】
別の実施例によると(「実施例21」)、医療装置システムは、カテーテル、および人工弁を含む。人工弁は、近位端部と遠位端部を含む弁フレームサブコンポーネント、弁フレームサブコンポーネントに結合され、近位端部と遠位端部を含むアンカーフレームサブコンポーネント、および患者の生体構造の生来の弁と結び付けられた組織と係合し弁フレームサブコンポーネントとアンカーフレームサブコンポーネントの間で組織をしっかり固定するように構成された組織保持フィーチャを含む。人工弁は、弁フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントが長手方向に互いにオフセットされて、弁フレームサブコンポーネントの近位端部がアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置することになるように、送達構成においてカテーテルに沿って位置している。人工弁は、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントによって画定された内部領域の内部で入れ子にされて、組織保持フィーチャが生来の弁の弁尖を弁フレームサブコンポーネントとアンカーフレームサブコンポーネントの間にしっかり固定することになるように、インサイチュでの展開構成まで遷移可能である。
【0027】
実施例21に加えて、別の実施例によると(「実施例22」)、生来の弁と結び付けられた組織は、生来の弁の弁尖を含む。
【0028】
別の実施例によると(「実施例23」)、患者の生体構造の生来の弁を増強する方法は、アンカーフレームサブコンポーネントと、アンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子可能な弁フレームサブコンポーネントと、生来の弁と結び付けられた組織と係合し、弁フレームサブコンポーネントとアンカーフレームサブコンポーネントの間に組織をしっかり固定するように構成された組織保持フィーチャとを含む人工弁を提供することを含む。前記方法はさらに、患者の生体構造の内部の治療部位まで送達構成にある人工弁を前進させることであって、送達構成にある場合弁フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントが長手方向に互いにオフセットされて、弁フレームサブコンポーネントの近位端部が、アンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置するようになっていることを含む。前記方法はさらに、弁フレームサブコンポーネントとアンカーフレームサブコンポーネントの間の相対的位置を変更することによってアンカーフレームサブコンポーネントの内部で弁フレームサブコンポーネントを入れ子にして、組織保持フィーチャが生来の弁に結び付けられた組織と係合し、弁フレームサブコンポーネントとアンカーフレームサブコンポーネントの間に組織をしっかり固定するようにすることを含む。
【0029】
実施例23に加えて、別の実施例によると(「実施例24」)、生来の弁と結び付けられた組織は、生来の弁の弁尖を含む。
【0030】
実施例23~24に加えて、別の実施例によると(「実施例25」)、弁フレームサブコンポーネントは、弁フレームサブコンポーネントの近位端部がアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の近位に位置するように、外側フェームと入れ子にされる。
【0031】
実施例23~25に加えて、別の実施例によると(「実施例26」)、前記方法は、治療部位で人工弁を展開することをさらに含む。
【0032】
実施例23~26に加えて、別の実施例によると(「実施例27」)、弁フレームサブコンポーネントは、人工弁が治療部位で展開された後に、アンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされる。
【0033】
実施例23~27に加えて、別の実施例によると(「実施例28」)、人工弁はカテーテルを介して治療部位まで前進させられる。
【0034】
実施例23~28に加えて、別の実施例によると(「実施例29」)、アンカーフレームサブコンポーネントの内部で弁フレームサブコンポーネントを入れ子にすることには、アンカーフレームサブコンポーネントに対して近位に弁フレームサブコンポーネントを引込むことが含まれる。
【0035】
実施例23~29に加えて、別の実施例によると(「実施例30」)、前記方法は、流体の流れが可能になっている開放位置と、流体の流れが閉塞されている閉鎖位置との間で遷移するように人工弁が動作可能になるようなに、人工弁を生来の弁の弁開口部にしっかり固定することをさらに含む。
【0036】
一実施例によると(「実施例1a」)、人工弁用の送達システムは、第1のフレームと第2のフレームが互いから長手方向にオフセットされるように直列で位置する第1のフレームおよび第2のフレームを支持するように構成された支持体部分を含む。送達システムはさらに、第1の係止要素と第2の係止要素を含めた複数の係止要素を含む。送達システムは、第1のフレームの周りに配置され第1のフレームを送達構成に維持するように動作可能な第1の拘束要素をさらに含み、ここで第1の拘束要素は第1の係止要素と解放可能な形で係合されている。送達システムはさらに、第2のフレームの周りに配置され第2のフレームを送達構成に維持するように動作可能な第2の拘束要素を含み、ここで第2の拘束要素は、第2の係止要素と解放可能な形で係合されており、第1および第2の係止要素は第1および第2の拘束要素を独立して解放するように動作可能である。
【0037】
実施例1aに加えて、別の実施例によると(「実施例2a」)、送達システムはさらに、第1のガイド要素および第2のガイド要素を含めた複数のガイド要素を含み、ここで第1の拘束は第1のガイド要素の一部を通って延在し、第2の拘束は第2のガイド要素を通って延在する。
【0038】
実施例2aに加えて、別の実施例によると(「実施例3a」)、第1の係止要素は、第1のガイド要素を通って延在する。
【0039】
実施例2aおよび3aのいずれかに加えて、別の実施例によると(「実施例4a」)、アンカーフレームサブコンポーネントは、少なくとも部分的に第1のガイド要素によって支持され、ここで弁フレームサブコンポーネントは少なくとも部分的に第2のガイド要素によって支持されている。
【0040】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(「実施例5a」)、第1および第2のフレームは、弁フレームサブコンポーネントの近位端部がアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置するように互いから長手方向にオフセットされている。
【0041】
別の実施例によると(「実施例6a」)、人工弁を送達する方法には、アンカーフレームサブコンポーネントおよびこのアンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子可能な弁フレームサブコンポーネントを含む人工弁を提供することが含まれる。前記方法はさらに、第1の拘束および第2の拘束、ならびに第1の拘束にしっかり固定された第1の係止要素および第2の拘束にしっかり固定された第2の係止要素を含む送達システムを提供することを含み、ここで人工弁は、弁フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントが互いに長手方向にオフセットされるように送達システム上に装着される。前記方法はさらに、アンカーフレームサブコンポーネントが送達構成から展開構成まで拡張するように第1の係止要素から第1の拘束を解放すること、およびアンカーフレームサブコンポーネントが拡張した後、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントに対して前進させられるように送達システムをアンカーフレームサブコンポーネントに対して前進させることを含む。前記方法はさらに、アンカーフレームサブコンポーネントの内部に弁フレームサブコンポーネントを入れ子にすることおよびその後、弁フレームサブコンポーネントが送達構成から展開構成まで拡張するように第1の係止要素から第1の拘束を解放することを含む。
【0042】
実施例6に加えて、別の実施例によると(「実施例7a」)、弁フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントは、弁フレームサブコンポーネントの近位端部がアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置するように互いに長手方向にオフセットされている。
【0043】
実施例6aおよび7aのいずれかに加えて、別の実施例によると(「実施例8a」)、第1の拘束は、第1の係止要素を近位で引抜くことによって、第1の係止要素から解放される。
【0044】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(「実施例99」)、以上の実施例のうちのいずれか1つの人工弁は、弁フレームサブコンポーネントの近位端部をアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部に結合する管を画定する中間段をさらに含み、ここで中間段は、弁フレームサブコンポーネントが入れ子でない位置から入れ子位置まで遷移させられた場合に反転させられる。
【0045】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(「実施例99」)、以上の実施例のうちのいずれか1つの人工弁は、弁フレームサブコンポーネントの近位端部をアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部に結合する管を画定する中間段をさらに含み、ここで中間段は、この中間段の内側表面を画定する内側フィルム層および中間段の外側表面を画定する外側フィルム層を含み、内側フィルム層および外側フィルム層は、少なくとも弁フレームサブコンポーネントの近位端部およびアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部において共に結合されており、内側フレームフィルムは、アンカーフレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの内側アパーチャを画定し、外側フィルム層は弁フレームサブコンポーネントに隣接してそこ貫通して少なくとも1つの外側アパーチャを画定し、内側フィルム層と外側フィルム層は、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネント内に入れ子にされていない場合には内部を通る血液の流れを可能にするように動作可能でかつ弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされている場合には流れを制限するように動作可能であるそれらの間の流れ空間を画定するように、少なくとも内側アパーチャのうちの1つと外側アパーチャのうちの1つとの間で結合されていない。
【0046】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例99)、以上の実施例のいずれか1つの人工弁において、アンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントの入れ子構成を維持するために動作可能な、弁フレームサブコンポーネントの近位端部をアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部に結合する相互連結支柱をさらに含む。
【0047】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例99)、以上の実施例のいずれか1つの人工弁において、アンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントの入れ子構成を維持するために動作可能な、弁フレームサブコンポーネントの近位端部およびアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の間の中間段に結合されるもののこれらの端部には結合されない連続波状要素をさらに含む。
【0048】
別の実施例によると(実施例99)、送達構成とインサイチュでの展開構成との間で遷移可能な人工弁は、近位端部と遠位端部を含む弁フレームサブコンポーネントと、近位端部と遠位端部を含むアンカーフレームサブコンポーネントと、弁フレームサブコンポーネントの近位端部をアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部に結合する管を画定する中間段とを含み、ここで送達構成に位置する場合、弁フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントは長手方向に互いにオフセットされて弁フレームサブコンポーネントの近位端部がアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置するようになっており、インサイチュでの展開構成まで遷移した場合に、中間段は反転され、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントによって画定された内部領域の内部で入れ子にされる。
【0049】
前述の実施例に加えて、別の実施例によると(実施例99)、中間段は、この中間段の内側表面を画定する内側フィルム層および中間段の外側表面を画定する外側フィルム層を含み、内側フィルム層および外側フィルム層は、少なくとも弁フレームサブコンポーネントの近位端部およびアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部において共に結合されており、内側フレームフィルムは、アンカーフレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの内側アパーチャを画定し、外側フィルム層は弁フレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの外側アパーチャを画定し、内側フィルム層と外側フィルム層は、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネント内に入れ子にされていない場合には内部を通る血液の流れを可能にするように動作可能でかつ弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされている場合には流れを制限するように動作可能であるそれらの間の流れ空間を画定するように、少なくとも内側アパーチャのうちの1つと外側アパーチャのうちの1つとの間で結合されていない。
【0050】
実施例99および99のいずれか1つに加えて、別の実施例によると(実施例99)、アンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントの入れ子構成を維持するために動作可能な、弁フレームサブコンポーネントの近位端部をアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部に結合する相互連結支柱をさらに含む。
【0051】
実施例99および99のいずれか1つに加えて、別の実施例によると(実施例99)、アンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントの入れ子構成を維持するために動作可能な、弁フレームサブコンポーネントの近位端部およびアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の間の中間段に結合されるもののこれらの端部には結合されない連続波状要素をさらに含む。
【0052】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例99)、以上の実施例のいずれか1つの人工弁は、中を通る順方向の流れを許容するように開放しかつ逆行性の流れを阻止するように弁フレームサブコンポーネントを閉鎖するために動作可能な弁フレームサブコンポーネントに結合された複数の弁尖をさらに含み、ここで弁尖は、細孔を画定する多孔質合成フルオロポリマー膜および細孔を充填するエラストマーまたはエラストマー材料を含む複合材料;ならびに複合材料の少なくとも一部分の上の、約27~約32重量パーセントのパーフルオロメチルビニルエーテルおよびそれぞれ約73~約68重量パーセントのテトラフルオロエチレンを含むTFE-PMVEコポリマーを含む。
【0053】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例100)、この中間段の内側表面を画定する内側フィルム層および中間段の外側表面を画定する外側フィルム層を含み、内側フィルム層および外側フィルム層は、少なくとも弁フレームサブコンポーネントの近位端部およびアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部において共に結合されており、内側フレームフィルムは、アンカーフレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの内側アパーチャを画定し、外側フィルム層は弁フレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの外側アパーチャを画定し、内側フィルム層と外側フィルム層は、弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネント内に入れ子にされていない場合には内部を通る血液の流れを可能にするように動作可能でかつ弁フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされている場合には流れを制限するように動作可能であるそれらの間の流れ空間を画定するように、少なくとも内側アパーチャのうちの1つと外側アパーチャのうちの1つとの間で結合されていない。
【0054】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例101)、中間段は、アンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントの入れ子構成を維持するために動作可能な入れ子保持要素をさらに含む。
【0055】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例102)、中間段は、アンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントの入れ子構成を維持するために動作可能な、弁フレームの近位端部をアンカーフレームの遠位端部に結合する相互連結支柱の形をした入れ子保持要素をさらに含む。
【0056】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例103)、中間段は、アンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントの入れ子構成を維持するために動作可能な、弁フレームの近位端部およびアンカーフレームの遠位端部の間の中間段に結合されるものの前記近位端部または前記遠位端部には結合されない連続波状要素の形をした入れ子保持要素をさらに含む。
【0057】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例104)、中間段は、アンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントの入れ子構成を維持するために動作可能な、弁フレームの近位端部およびアンカーフレームの遠位端部の間の中間段に結合されるものの前記近位端部または前記遠位端部には結合されない複数の細長い要素の形をした入れ子保持要素をさらに含む。
【0058】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例105)、中間段は、アンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントの入れ子構成を維持するために動作可能な細長い補剛フィーチャを含むフィルムまたは織物をさらに含む。
【0059】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例106)、アンカーフレームは、組織と係合するために動作可能な複数の組織固着用要素をさらに含む。
【0060】
以上の実施例のいずれかに加えて、別の実施例によると(実施例107)、中を通る順方向の流れを許容するように開放しかつ逆行性の流れを阻止するように弁フレームサブコンポーネントを閉鎖するために動作可能な弁フレームに結合された複数の弁尖をさらに含み、ここで弁尖は、細孔を画定する多孔質合成フルオロポリマー膜および細孔を充填するエラストマーまたはエラストマー材料を含む複合材料、ならびに複合材料の少なくとも一部分の上の約27~約32重量パーセントのパーフルオロメチルビニルエーテルおよびそれぞれ約73~約68重量パーセントのテトラフルオロエチレンを含むTFE-PMVEコポリマーを含む。
【0061】
別の実施例によると(実施例108)、送達構成とインサイチュでの展開構成の間で遷移可能な人工弁は、近位端部と遠位端部を含む弁尖フレームサブコンポーネントと、近位端部と遠位端部を有するアンカーフレームサブコンポーネントと、弁尖フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントに結合された中間段であって、アンカーフレームサブコンポーネントが近位端部と遠位端部を含んでいる中間段とを含み、ここで送達構成に位置する場合、弁尖フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントは長手方向に互いにオフセットされて、弁尖フレームサブコンポーネントの近位端部がアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置するようになっており、インサイチュでの展開構成まで遷移した場合に、弁尖フレームサブコンポーネントがアンカーフレームサブコンポーネントによって画定された内部領域の内部で入れ子にされ、インサイチュでの展開構成まで遷移した場合に、弁尖フレームサブコンポーネントの近位端部はアンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の近位に位置する。
【0062】
多数の実施形態が開示されているものの、例示的実施例を示し説明する以下の詳細な説明から、当業者には他の実施形態がなおも明白になるものである。したがって、図面および詳細な説明は、限定的なものとしてではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。
【0063】
添付図面は、開示をさらに理解できるようにするために内含されており、本明細書の中に組込まれ本明細書の一部を構成し、実施形態を例示し、記述部と共に本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1A図1Aは、いくつかの実施態様による、人工弁の側面図である。
【0065】
図1B図1Bは、いくつかの実施態様による、人工弁の側面図である。
【0066】
図1C図1Cは、いくつかの実施態様による、図1Aの人工弁の斜視図である。
【0067】
図1D図1Dは、いくつかの実施態様による、図1Aの人工弁の軸方向図である。
【0068】
図2A図2Aは、いくつかの実施態様による、医療装置の弁フレームサブコンポーネントの側面図である。
【0069】
図2B図2Bは、いくつかの実施態様による、図2Aの医療装置の弁フレームサブコンポーネントの軸方向図である。
【0070】
図3A図3Aは、いくつかの実施態様による、医療装置のアンカーフレームサブコンポーネントの側面図である。
【0071】
図3B図3Bは、いくつかの実施態様による、図3Aの医療装置のアンカーフレームサブコンポーネントの軸方向図である。
【0072】
図4図4は、いくつかの実施態様による、医療システムの図である。
【0073】
図5A図5Aは、いくつかの実施態様による例示的医療装置送達手順を示す心臓の断面図である。
図5B図5Bは、いくつかの実施態様による例示的医療装置送達手順を示す心臓の断面図である。
図5C図5Cは、いくつかの実施態様による例示的医療装置送達手順を示す心臓の断面図である。
図5D図5Dは、いくつかの実施態様による例示的医療装置送達手順を示す心臓の断面図である。
図5E図5Eは、いくつかの実施態様による例示的医療装置送達手順を示す心臓の断面図である。
【0074】
図5F図5Fは、一実施態様による、送達カテーテル上に拘束され人工弁開口部の内部に設置された人工弁の断面図である。
【0075】
図5G図5Gは、一実施態様による、図5Fの弁開口部の内部で図7Eの送達カテーテルから部分的に展開された人工弁の断面図である。
【0076】
図5H図5Hは、一実施態様による、図5Fの人工弁開口部の内部で部分的に展開された人工弁の断面図である。
【0077】
図5I図5Iは、図5Fの人工弁開口部の内部で展開された人工弁の断面図である。
【0078】
図6図6は、いくつかの実施態様による、生体構造内に展開された医療装置の断面図である。
【0079】
図7A図7Aは、いくつかの実施態様による、開放構成における流れ許容フィーチャを伴う人工弁の正面図である。
【0080】
図7B図7Bは、いくつかの実施態様による、閉鎖構成における流れ許容フィーチャを伴う図7Aの人工弁の正面図である。
【0081】
図7C図7Cは、いくつかの実施態様による、流れ許容フィーチャを伴う人工弁の正面図である。
【0082】
図8A図8Aは、いくつかの実施態様による、送達構成における人工弁の側面図である。
【0083】
図8B図8Bは、いくつかの実施態様による、展開構成における図8Aの人工弁の斜視図である。
【0084】
図8C図8Cは、いくつかの実施態様による、送達構成における人工弁の側面図である。
【0085】
図8D図8Dは、いくつかの実施態様による、展開構成における図8Cの人工弁の斜視図である。
【0086】
図8E図8Eは、いくつかの実施態様による、送達構成における人工弁の側面図である。
【0087】
図8F図8Fは、いくつかの実施態様による、送達構成における人工弁の側面図である。
【0088】
図9図9は、いくつかの実施態様による、送達システムの側面図である。
【0089】
図10図10は、いくつかの実施態様による、図10中のライン10-10に沿って切取った断面図である。
【0090】
図11図11は、いくつかの実施態様による、図10中のライン11-11に沿って切取った断面図である。
【0091】
図12図12は、いくつかの実施態様による、図10中のライン12-12に沿って切取った断面図である。
【0092】
図13図13は、いくつかの実施態様による、図10中のライン13-13に沿って切取った断面図である。
【0093】
図14図14は、いくつかの実施態様による、図10中のライン14-14に沿って切取った断面図である。
【0094】
図15図15は、いくつかの実施態様による、送達システムの側面図である。
【0095】
図16図16は、いくつかの実施態様による、送達システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本開示は、心臓弁の置換または生来の弁または他の弁開口部に結び付けられた他の用途のために使用される人工弁、および関連するシステム、方法および器具に関する。さまざまな実施例において、人工弁は、弁開口部を画定する一方向人工弁として動作可能であり、この弁開口部の中へと弁尖が開放して流れを可能にし、これが閉鎖して弁開口部を遮断または閉塞させ流体の差圧に応答して流れを部分的にまたは完全に防ぐようになっている。本明細書中に提示されている実施例は、弁フレームサブコンポーネント、アンカーフレームサブコンポーネントおよびそれらの間の中間段を含む人工弁を提供する。弁フレームサブコンポーネントはさらに、一方向弁として動作する弁尖を含む。アンカーフレームサブコンポーネントは、インプラント部位に結合するように動作可能である。中間段は、展開中のアンカーフレームサブコンポーネント内への弁フレームサブコンポーネントの並進運動を可能にするように動作可能である。さらに、いくつかの実施形態によると、中間段は、展開中に灌流を可能にするように動作可能である。
【0097】
本開示において、実施例は、主として外科用または経カテーテル心臓弁の用途と結び付けて説明されているが、本開示の範囲内に入る実施形態が類似の構造および/または機能のあらゆる人工弁または機構に対しても応用可能であるということは容易に認識されるはずである。例えば、図1の人工弁1000は、気道または消化管の用途などの心臓以外の用途で利用することができる。本明細書中で使用される用語「人工弁開口部」は、中に人工弁を設置し得る場所をいう。人工弁開口部は、中に人工弁を設置できる解剖学的構造を含む組織開口部を含む。このような解剖学的構造には、心臓弁が外科的に除去されているかまたはされていない可能性のある場所が含まれるが、これらに限定されない。人工弁を収容できる他の解剖学的構造としては、静脈、動脈、管およびシャントが含まれるが、これらに限定されない。人工弁開口部は同様に、人工弁を収容し得る合成のまたは生物学的導管内の場所も意味し得る。
【0098】
人工弁に関連して使用される用語「弁尖」は、概して、圧力差の影響下で開放および閉鎖位置の間で移動するように動作可能である可撓性コンポーネントである。例えば、動作中、弁尖は、流入流体圧力が流出流体圧力を超える場合に開放し、流出流体圧力が流入流体圧力を超える場合に閉鎖する。閉鎖位置では、弁尖は、単独でまたは1つ以上の他の弁尖と組合せた形で、人工弁を通る逆行性の流れを実質的に制限または妨害する(または代替的には完全に妨害する)。したがって、いくつかの事例においては、隣接する弁尖の接合が人工弁を通した流体(例えば血液)の流れを完全に遮断するように動作し得、一方、他の事例では、隣接する弁尖の接合が人工弁を通した流体(例えば血液)の流れを全てよりは低い程度に遮断するように動作し得る、ということが認識される。いくつかの実施形態において、弁尖は自由縁部を含み、隣接して位置する弁尖の自由縁部は、流出流体圧力の影響下で接合し、それによって弁を閉鎖して、人工弁を通って逆行しないよう流体を制限または妨害する。
【0099】
さらに以下で説明するように、さまざまな実施例において、人工弁は、本質的に中間段によって支持されたアンカーフレームサブコンポーネントの内部で浮動し、人工弁開口部と直接結合しない弁フレームサブコンポーネントを提供する。アンカーフレームサブコンポーネントは、人工弁開口部の形状に適合してよく、一方、弁フレームサブコンポーネントは必ずしも人工弁開口部の形状と適合しない。弁フレームサブコンポーネントは円筒形にとどまるかまたは、接合および開放の動力学を含めた適正な弁尖の機能を確かにする幾何学的に安定したプラットフォームを弁尖に付与するように選好された幾何学的構成にとどまることができる。
【0100】
さまざまな実施形態において、人工弁は、人工弁により置換されている生来の弁の生来の弁尖のうちの1つ以上を収納または捕捉するように構成されている。このような構成は、本明細書中でより詳細に論述されている通り、人工弁に対して遠位の下流側または順向性の生体構造に対する移植された人工弁の結果としての閉塞効果を最小限に抑えるシステムを提供する。
【0101】
人工弁の実施例は外科的なまたは経カテーテルのいずれかの用途のために好適であり得るものの、本明細書中で提供されている実施例は、外科的実施例も同様に提示された場合の反復を避けるため、経カテーテルの用途に関して提示されている。したがって、発明力ある概念は、外科的なまたは経カテーテルの両方の用途のために適用可能であり、経カテーテルの用途のみに限定されるわけではない。
【0102】
本明細書中に例示され説明されているさまざまな実施形態は、インサイチュで入れ子にされ得る弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100を含む人工弁に向けられている。図1Aは、弁フレームサブコンポーネント1200、アンカーフレームサブコンポーネント1100およびそれらの間の中間段1302を同軸直列整列で示す展開前構成における人工弁1000の側面図である。図1Bは、入れ子された整列状態で間に中間段1302を伴う、アンカーフレームサブコンポーネント1100内に並進運動させられた弁フレームサブコンポーネント1200を示す、展開構成における人工弁1000の側面図である。
弁フレームサブコンポーネント
【0103】
弁フレームサブコンポーネント1200は、人工弁1000に一方向弁の機能性を具備する。一方向弁は当該技術分野において周知であり、本明細書中で使用可能であるものと理解され認識される。弁フレームサブコンポーネント1200の一方向弁としては、機械弁、生体弁および生体弁尖弁および合成弁尖弁を使用できるということが認識される。同様に、経カテーテルの用途については、弁フレームサブコンポーネント1200には、より小さい直径の圧縮構成とより大きい直径の拡張構成を有することが求められ、一方向弁のコンポーネントはこの機能性に対応できなければならないということも認識される。
【0104】
弁フレームサブコンポーネント1200は、以下でより詳しく説明されるように、アンカーフレームサブコンポーネント1100の少なくとも一部分の内部に収容されるように構成されている。弁フレームサブコンポーネント1200の非限定的例には、患者の生体構造に応じて二十(20)ミリメートル~三十(30)ミリメートルの範囲内の直径(例えば弁フレームサブコンポーネント1200の内部または外部表面の直径)が具備され得る、ということが認識される。
【0105】
図2Aは、明確さのために示された弁尖1210無しの弁フレーム1201の側面図である。図2Bは、内部の弁尖1210を示す弁フレーム1201の軸方向図である。弁フレーム1201の側面は、例えば流体が弁フレーム1201を通過するのを制限するようにといった特定の目的に好適である、明確さのために図示していないフィルムまたは織物などを用いて、少なくとも部分的にカバーされ得る。例示を目的として、以下の実施例は、特に経カテーテルの用途に好適であるが、外科的用途のためにも同様に好適である。弁フレームサブコンポーネント1200は弁フレーム1201および弁尖1210を含む。
【0106】
弁フレーム1201は、アパーチャを画定するフレームワークを有する円筒形または管状のメッシュを画定する。例えば、図示されている通り、弁フレーム1201は、相互連結され1つ以上のパターンで配設された複数のフレーム部材1212を含む。さまざまな実施例において、フレーム部材1112はさまざまな接合部1214において互いに連結されている。いくつかの実施例において、これらの接合部1214は、例えば経カテーテル送達に必要とされるようなより小さい送達直径まで圧縮された場合に屈曲するように、弁フレームサブコンポーネント1200のための優先的な屈曲場所を提供するような屈曲点として動作する。いくつかの実施例において、屈曲点または接合部1214は、高度の曲げを受ける弁フレーム1201上の部位を含む。いくつかの実施例において、屈曲点または接合部1214は、なかでも、より大きい直径とより小さい直径の間で圧縮または拡張された場合に接合部1214で曲がるように弁フレーム1201を偏らせる(バイアスをかけるまたは、付勢する)幾何形状、構造的変異または材料変異を含み得る。
【0107】
いくつかの実施例において、1つ以上の閉セルアパーチャまたはボイド1216が、弁フレームサブコンポーネント1200の接合部1214と相互連結されたフレーム部材1212との間に画定されている。いくつかの実施例において、これらのアパーチャまたはボイド1216は、弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面1208から内部表面1206まで延在する。図2Aおよび2Bの実施形態中で例示されているように、アパーチャまたはボイド1216の1つ以上は、弁フレームサブコンポーネント1200が展開構成にある場合、ダイヤモンド形状を画定する。より小さい直径(例えば送達直径)まで圧縮した時点で、接合部1214およびフレーム部材1212の1つ以上は、アパーチャまたはボイド1216が概して細長いダイヤモンド形状(例えば図4に全体的に示されているようなもの)を画定するように変形する。治療部位における展開中により大きい直径まで弁フレームサブコンポーネント1200を再度拡張させた時点で、アパーチャまたはボイド1216は再拡張して、概してより幅の広いダイヤモンド形状を画定する。
【0108】
本明細書中に例示され説明されているフレーム部材1212は相互連結され、概してダイヤモンド形状を有するアパーチャまたはボイド1216を画定しているものの、相互連結されたフレーム部材1212は、開示の精神または範囲から逸脱することなく多くの代替的パターンで配設されてもよい、ということを認識すべきである。すなわち、フレーム部材1212の配設が、経カテーテル送達のためにより小さい直径まで圧縮されその後人工弁1000の展開中に治療部位においてより大きな直径まで拡張され得る(または拡張可能にされる)弁フレームサブコンポーネント1200を提供するような様式で構成されている、多くの代替的パターンが想定される。したがって、本開示は、ダイヤモンド形状のアパーチャまたはボイド1216を画定するフレーム部材1212の配設に限定されるべきではない。例えば、弁フレームサブコンポーネント1200のフレームワークは、幾何学的形状および/または線形または蛇行する一連の正弦曲線などの、繰返し可能なまたは他の任意の数のフィーチャを画定することができる。幾何学的形状は、円周方向の圧縮性および拡張性を促進する任意の形状を含み得る。
【0109】
さまざまな実施形態において、弁フレームサブコンポーネント1200は、カットチューブまたは本明細書中に説明されている弁フレームサブコンポーネント1200の特定の目的に好適である他の任意の要素を含むか、または他の形でこれらから形成されてよい。いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は、材料の管またはシートへと、エッチング、切断、レーザカッティングまたはスタンピングされてよく、このシートは次に実質的に円筒形の構造へと形成される。代替的には、細長い材料、例えばワイヤ、曲げ加工可能なストリップまたは一連のこれらの材料を、曲げ加工または編組し、本明細書中に例示され説明されているように、概して均等にかつ円周方向により小さい直径へと圧縮可能でありより大きい直径へと拡張可能である開放したフレームワークをシリンダの壁が含んでいる実質的に円筒形の構造へと形成することができる。
【0110】
弁フレームサブコンポーネント1200は、例えば実施形態にしたがって任意の弾性変形可能な金属またはポリマー生体適合性材料を含んでいてよいが、これらに限定されるわけではない。弁フレームサブコンポーネント1200は、ニチノール、ニッケル-チタン合金などの形状記憶材料を含んでいてよい。弁フレームサブコンポーネント1200に好適な他の材料としては、他のチタン合金、ステンレス鋼、コバルト-ニッケル合金、ポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチルコポリマー、他の合金またはポリマー、または、本明細書中に説明されている弁フレームサブコンポーネント1200として機能するために十分な物理的および機械的特性を有する他の任意の生体適合性材料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0111】
さまざまな実施例において、当業者であれば認識するように、弁フレームサブコンポーネント1200は、バネ負荷の下で自己拡張するように弾性的に変形可能である。いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は、当業者であれば認識するように、バルーンなどを用いて機械的に拡張されるように塑性的に変形可能である。さらにいくつかの他の実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は、弾性的に変形可能であると同時に塑性的に変形可能である。すなわち、いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は、1つ以上の弾性変形可能なコンポーネントまたはフィーチャ、および1つ以上の塑性変形可能なコンポーネントまたはフィーチャを含む。したがって、本明細書中で提示された弁フレームサブコンポーネント1200の実施例は、特定の設計または拡張様式に限定されてはならないということを認識すべきである。
【0112】
いくつかの実施形態によると、弁フレームサブコンポーネント1200は、負荷の下で屈曲し、負荷が除去された場合にその元の形状を保持しこうして弁フレームサブコンポーネント1200が圧縮形状から既定の形状に自己拡張できるようにするように動作可能な形状記憶材料を含む。弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100は、同じまたは異なる材料を含み得る。一実施形態によると、弁フレームサブコンポーネント1200は、バルーンによって拡張されるように、塑性的に変形可能である。別の実施形態において、弁フレームサブコンポーネント1200は、自己拡張するように、弾性的に変形可能である。
【0113】
アンカーフレームサブコンポーネント
図3Aはアンカーフレーム1101の側面図である。図3Bは、アンカーフレーム1100の軸方向図である。アンカーフレームサブコンポーネント1100はアンカーフレーム1101を含む。アンカーフレーム1101の側面は、例えば流体がアンカーフレーム1101を通過するのを制限するためまたはインプラント部位における組織の内方成長を促すためといった特定の目的に好適である、明確さのために図示していないフィルムまたは織物などを用いて、少なくとも部分的にカバーされ得る。例示を目的として、以下の実施例は、特に経カテーテルの用途に好適であるが、外科的用途のためにも同様に好適である。
【0114】
いくつかの実施形態によると、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、負荷下で屈曲し、負荷が除去された場合にそのもとの形状を保持しこうしてアンカーフレームサブコンポーネント1100が圧縮形状から既定のより大きい形状に自己拡張できるようにするように動作可能な形状記憶材料を含む。アンカーフレームサブコンポーネント1100は、弁フレームサブコンポーネント1200と同じまたは異なる材料を含み得る。一実施形態によると、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、バルーンによって拡張されるように、塑性的に変形可能である。別の実施形態において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、自己拡張するように、弾性的に変形可能である。
【0115】
中間段
図1Aを参照すると、中間段1300は、中間段の近位端部1314においてアンカーフレーム1100のアンカーフレーム遠位端部1104に結合し、中間段の遠位端部1316において弁尖フレームの近位端部1202に結合する導管1302を含む。導管1302は、当該技術分野において公知の任意の好適な材料を含み得る。一例として、導管1302は、なかでもフィルム、織物であり得る。用語「フィルム」は、本開示全体にわたり使用されているが、この用語はフィルム、織物および他の好適な材料を含むものと理解される。
【0116】
さまざまな実施例において、中間段1300はさらに、アンカーフレームサブコンポーネント1100内に入れ子にされている弁フレームサブコンポーネント1200を保持するように動作可能である、以下で説明する、例えば図7C~7Eに示されているもののような入れ子保持要素1330を含む。入れ子保持要素1330の実施例が以下に提供される。いくつかの実施例によると、入れ子保持要素1330は、中間段1300を入れ子位置に偏らせる細長い要素であってよい。一実施形態によると、入れ子保持要素1330は、アンカーフレームサブコンポーネント1100内に弁フレームサブコンポーネント1200を並進運動させる展開プロセス中に反転される。入れ子保持要素1330には、通常の生体力下では不可能であるものの展開中の反転を可能にするのに充分な既定の剛性または他の特性が具備される。別の実施形態によると、入れ子保持要素1330は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が拡張させられ弁フレームサブコンポーネントが圧縮された場合に入れ子保持要素1330が、前方に面する配向から後方に面する配向へと縦方向に回転できるように、サイズ決定される。弁フレームサブコンポーネント1200が拡張されると、入れ子保持要素1330は、入れ子保持要素1330が回転し前向きの配向に逆転して戻るのを防止するプロファイル(形状)または長さを有する。換言すると、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間の間隙は、入れ子保持要素1330の転倒回転を許容できない程度に狭い。入れ子保持要素1330には、通常の生体力の下でアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間の間隙の内部での入れ子保持要素1330の反転を防止するのに充分な既定の剛性または他の特性が具備されている。
【0117】
図1Cは、明確さのため弁尖は示されていないが、展開位置とも呼ばれる入れ子構成における人工弁1000の弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100を示す斜視図である。図1Bは、図1Cの人工弁1000の弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100の正面図である。図1Bおよび1Cの両方において、以下で論述するように、弁尖および任意のフィルムは、明確さのために示されていない。図1Dは、弁尖1210を示す、図1Aの人工弁1000の弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100の軸方向図である。図1Dの軸方向図において、3つの弁尖1210は弁フレームサブコンポーネント1200に結合された状態で示されている。人工弁として機能するために人工弁1000が人工弁開口部内にとどまっているのは、この展開位置においてである。アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200は、長手方向にオフセットされ、概して互いに同軸である。
【0118】
図1A~1Dをひき続き参照すると、人工弁1000には、アンカーフレーム1102および弁フレーム1202が含まれる。展開構成において、弁尖1020が上に結合される弁フレームサブコンポーネント1200は、少なくとも部分的にアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部に位置付けされる。人工弁1000は、近位端部または近位部分1002および遠位端部または遠位部分1004を有する。さまざまな実施例において、体内で展開されたとき、人工弁1000の近位部分1002は、人工弁1000の遠位部分1004に対して上流側に位置付けされているか、または逆行性であり、人工弁の1000の遠位部分1004は、近位部分1002に対して下流側に位置付けされているか、または順行性である。
【0119】
さまざまな実施形態において、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200は、共に結合されている。カテーテル上の展開前構成にある人工弁の側面図を示す図4を参照すると、いくつかの実施例において、中間段1300がアンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200の内部および/またはこれらの周りに配置されている。いくつかの実施例において、中間段1300は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間で少なくとも延在しこれらを互いに結合するように動作する隣接するフィルムである。いくつかの実施例において、中間段1300は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間のみならずこれらのいずれかまたは両方の上または内部にも延在する。アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に延在しこれらと結合する中間段1300の部分は、本明細書では、中間段部分1302と呼ばれる。いくつかの実施例において、中間段1300は、全体的に管状の材料から形成され、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上を少なくとも部分的にカバーする。いくつかの実施例において、中間段1300は、円筒形マンドレルの上および周りにフィルムを巻き付けることによって形成され、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200のいずれかまたは両方が、フレームの内側表面上を摺動させられて、その上でそれらに対して接着される。いくつかの実施例において、中間段1300は、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200のいずれかまたは両方の上または周りにフィルムを巻き付けることによって形成され、フレームの外側表面上でそれらに対して接着される。
【0120】
アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200が金属で構成されている実施例において、金属-ポリマー-金属の相互連結が存在し、ここで2つのフレーム間には、金属対金属の接触は全く存在しない。このような構成により、さまざま組成の金属が互いに反応するかまたは腐食する潜在的可能性は最小限に抑えられる。
【0121】
中間段1300は概して、生体適合性がありアンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200に結合するように構成されている任意のシート様の材料である。さまざまな実施例において、生体適合性材料は、生体起源のものではなく、特定の目的のために充分な可撓性および強度を有する、例えば生体適合性ポリマーなどのフィルムである。一実施形態において、フィルムは、生体適合性ポリマー(例えばePTFE)を含む。いくつかの実施例において、フィルムは2つ以上の材料の複合材料である。フィルムは、膜、複合材料または積層品のうちの1つ以上を含み得る。さまざまな実施例において、フィルムの構造およびフィルムに使用される材料は、中間段1300が細胞の内方成長、接着および/または付着を促進するようなものである。すなわち、さまざまな実施例において、中間段1300は、フィルムの1つ以上の部分内への細胞の内方成長を促進するような様式で構築されている。細胞の内方成長が人工弁開口部と弁の封止をさらに増大させ、傍弁漏出すなわち人工弁とそれが結合される組織との間の漏出を最小限する一助となることが好ましい。
【0122】
さまざまな実施形態において、弁フレームサブコンポーネント1200はさらに、弁構造を支持するかまたは他の形で含んでいる。いくつかの実施例において、弁構造は、図1Dに示されている通り1つ以上の弁尖1210を含む。医療技術分野においては、さまざまな機械弁、生体弁尖および合成弁尖の設計が公知であり、そのうちのいずれでも本開示の弁フレームサブコンポーネント1200内に組込むことができる。好適な弁尖構造および弁フレームサブコンポーネントへの付着方法の例は、米国特許出願第13/833,650号、第14/973,589号および第14/622,599号の中で例示され説明されており、これらの特許出願の各々の内容は、参照により本明細書に組込まれている。好適な弁尖材料のさらなる例を以下で提示する。
【0123】
いくつかの実施例において、弁または弁尖1020は、弁フレームサブコンポーネント1200の内部表面1206に結合されている。他の実施例においては、弁尖を含むフィルムが、弁フレームサブコンポーネント1200とアンカーフレームサブコンポーネント1100の間に格納され、弁フレームサブコンポーネント1200により画定された弁尖窓を通って延在する。このような構成は、弁尖が弁フレームサブコンポーネント1200の内部表面1206に結合されている構成に比べて、弁尖が剥落するまたは剥離する可能性を最小限に抑える。いくつかの実施例において、弁尖の1つ以上の部分は、弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上の部分の周りに巻き付けられる。いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は1つ以上の突出部を含み、弁尖1020は、1つ以上の突出部の周りに配置されるように構成された1つ以上のアパーチャを含む。
【0124】
さまざまな実施形態において、弁フレームサブコンポーネント1200は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部で入れ子可能である。詳細には、図示されているように、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部に少なくとも部分的に同軸的に配置または収容され得るような様式で、サイズ決定されおよび形をしている。こうして、さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、弁フレームサブコンポーネント1200の一部分(または代替的にはその全部)がアンカーフレームサブコンポーネント1100によって画定された空間によって収容され得るかまたはこの空間の内部に位置付けされ得るように構成されている。いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は、弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面の直径がアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部表面の直径よりも小さくなるようにサイズ決定されている。いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面の直径は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部表面の直径の七十五パーセント(75%)から九十パーセント(90%)の間の範囲内にある。いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面の直径は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部表面の直径の七十五パーセント(75%)以下である。さまざまな実施例において、このような構成によって同様に、弁フレームサブコンポーネント1200をアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部に収容することができるようになっている。さまざまな実施例において、このような構成によって、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、弁フレームサブコンポーネント1200の変形をひき起こすことなく人工弁開口部にならうかまたは他の形でこの人工弁開口部に適合するように、例えば非限定的に丸形以外または概して楕円形状を有するように変形できるようになっている。人工弁1000は、本質的にアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部で浮動し人工弁開口部と直接結合しない弁フレームサブコンポーネント1200を提供する。アンカーフレームサブコンポーネント1100は人工弁開口部の形状に適合でき、一方弁フレームサブコンポーネント1200は人工弁開口部の形状に適合しない。弁フレームサブコンポーネント1200は円筒形または好ましい幾何学的構成にとどまって、接合および開放動力学を含めた適正な弁尖機能を確かにする幾何学的に安定したプラットフォームを伴う弁尖1210を提示する。人工弁開口部に適合することを必要としない弁フレームサブコンポーネント1200に付随するこれらのメリットは、人工弁1000の経カテーテルまたは外科的設置のいずれにおいても実現され得る、ということが認識される。
【0125】
さまざまな実施形態において、以下で詳述する通り、人工弁1000は、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200が患者の生体構造内の治療部位において展開された後、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200をインサイチュで入れ子にすることができるように構成されている。すなわち、さまざまな実施形態において、人工弁1000は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が互いに長手方向にオフセットされた状態で、患者の生体構造の内部の治療領域まで送達され、その後治療部位において互いに入れ子にされ得る。さまざまな実施形態において、人工弁1000は、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200が互いに長手方向にオフセットされた状態で送達カテーテル上に装着され、これにより人工弁1000を入れ子構成で送達カテーテル上に装着すべき場合に比べて低いプロファイルまたは直径が提示される。経カテーテル送達された人工弁の送達プロファイルがより低いことには、血管を通してより容易に前進できることを含めた、充分に認知された利点がある。
【0126】
移植中に弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100内に入れ子にされていないことに付随するこれらのメリットは、同様に、人工弁1000の外科的設置においても実現され得るということが認識される。非限定的な一例として、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部になく、縫合手順に極めて接近すること無く、弁尖に対する針による損傷の機会が減少することから、人工弁開口部内により容易に縫合可能である。
【0127】
いくつかの実施形態において、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200は、インサイチュでアンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200を互いに嵌込むことによって、互いに入れ子になるように動作可能である。したがって、さまざまな実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部領域1110内部に収容され得るように、サイズ決定される。
【0128】
さまざまな実施形態において、互いとの関係における嵌込みに対し付加的にまたは代替的に、アンカーフレームサブコンポーネント1100、弁フレームサブコンポーネント1200およびフィルム1300は各々、以下でより詳細に論述するように、送達プロファイルまで圧縮または圧壊させられ、次にインサイチュで再拡張されて人工弁1000の経カテーテル送達を提供するように構成されている。
【0129】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、一実施態様によるアンカーフレームサブコンポーネント1100の側面図および軸方向図である。アンカーフレームサブコンポーネント1100は、近位端部1102、遠位端部1104、内部表面1106および外部表面1108を有する、概して管状の部材である。さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、内部領域1110を画定する。例えば、内部領域1110は、近位端部および遠位端部1102および1104と、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部表面1106との間に画定された概して円筒形のボイドである。しかしながら、インサイチュで、内部領域1110は、人工弁開口部の幾何形状に応じて不規則な断面を採り得る。さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、生来の弁開口部に結合するように構成される。したがって、さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100の直径(例えばアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部または外部表面の直径)は、患者の生体構造に応じてサイズ決定される。患者の生体構造に応じて二十五(25)ミリメートルから五十(50)ミリメートルの間の範囲内の直径(例えばアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部または外部表面の直径)をもつアンカーフレームサブコンポーネント1100の非限定的例を提供することができる、ということが認識される。しかしながら、患者の生体構造に応じて五十(50)ミリメートルを超える直径(例えばアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部または外部表面の直径)を有するアンカーフレームサブコンポーネント1100も企図することができ、本開示の範囲内に入る。
【0130】
いくつかの実施形態において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、アパーチャを画定するフレームワークを有する円筒形または管状のメッシュを画定する。例えば、図示されているように、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、1つ以上のパターンで相互連結され配設された複数のフレーム部材1112を含む。いくつかの実施例において、これらのパターンは1回以上反復する。いくつかのこのような実施例において、フレーム部材1112は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が複数のパターン化された横列を含むように配設され相互連結される。さまざまな実施例において、フレーム部材1112は、さまざまな接合部1114において、互いに連結される。いくつかの実施例において、これらの接合部1114は、アンカーフレームサブコンポーネント1100がより小さい送達直径まで圧縮されるとき、および人工弁1000の送達および展開の後の通常の動作中に周囲の生体構造からの力がアンカーフレームサブコンポーネント1100を圧縮するように作用するときに、アンカーフレームサブコンポーネント1100が屈曲するように優先的屈曲場所を提供するための屈曲点として動作する。いくつかの実施例において、屈曲点または接合点1114は、高度の曲げを受けるアンカーフレームサブコンポーネント1100上の部位を含む。いくつかの実施例において、接合部1114は、なかでも、圧縮時に屈曲点または接合部1114において曲がるようにアンカーフレームサブコンポーネント1100を偏らせる幾何形状、構造的変異または材料変異を含み得る。
【0131】
いくつかの実施形態においては、接合部1114とアンカーフレームサブコンポーネント1100の相互連結されたフレーム部材1112との間に、1つ以上の閉セルアパーチャまたはボイド1116が画定される。いくつかの実施例において、これらのアパーチャまたはボイド1116は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の外部表面1108から内部表面1106まで延在する。図2Aおよび2Bの実施形態に例示されているように、アパーチャまたはボイド1116の1つ以上は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が展開構成にあるとき、ダイヤモンド形状を画定する。より小さい直径(例えば送達直径)まで圧縮した時点で、接合部1114およびフレーム部材1112の1つ以上は、アパーチャまたはボイド1116が概して細長いダイヤモンド形状(例えば図4Aに全体的に示されている通り)を画定するように変形する。治療部位における展開中により大きな直径までアンカーフレームサブコンポーネント1100を再拡張した時点で、アパーチャまたはボイド1116は再拡張して、概してより広いダイヤモンド形状を画定する。
【0132】
いくつかの実施形態において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、展開構成にある場合に半径方向外向きに広がるかまたはテーパがかかるフランジまたはフレア部分をその近位端部1102に画定する。例えば、少なくとも図1B、2A、および5B~5Eに示されているように、近位端部1102は、展開構成にある場合、半径方向外向きに広がるかまたはテーパがかかっている。すなわち、図示されているように、アンカーフレームサブコンポーネント1100の近位端部1102は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104よりも大きい展開直径を有する。さまざまな実施例において、以下でより詳細に論述されるように、このような構成は、移動のリスクを最小限に抑えるように動作し、治療部位において生来の組織とアンカーフレームサブコンポーネント1100の当接を容易にする一助となる。
【0133】
本明細書中に例示され説明されているフレーム部材1112は相互連結され、概してダイヤモンド形状を有するアパーチャまたはボイド1116を画定しているものの、相互連結されたフレーム部材1112は多くの代替的パターンで配設可能である、ということを認識すべきである。例えば、アンカーフレームサブコンポーネント1100のフレームワークは、幾何学的形状および/または線形のまたは蛇行する一連の正弦曲線などの、繰返し可能なまたは他の形での任意の数のフィーチャを画定することができる。幾何学的形状には、アンカーフレームサブコンポーネント1100の円周方向の圧縮性および拡張性を容易にする任意の形状を含み得る。すなわち、フレーム部材1112の配設が、経カテーテル送達のためのより小さな直径まで圧縮されその後人工弁1000の展開中に治療部位においてより大きな直径まで拡張され(または拡張できるようにされ)得るアンカーフレームサブコンポーネント1100を提供するような様式で構成されている、多くの代替的なパターンが想定される。したがって、本開示は、ダイヤモンド形のアパーチャまたはボイド1116を画定するフレーム部材1112の配設に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0134】
さまざまな実施形態において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、カットチューブ、または本明細書中で説明されているアンカーフレームサブコンポーネント1100という特別な用途に好適である他の任意の要素を含むか、または他の形でこれらから形成されていてよい。いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、管または材料シートの形へとエッチング、切断、レーザカットまたはスタンピングされ、シートは次に実質的に円筒形の構造へと形成される。代替的には、ワイヤ、曲げ加工可能なストリップまたはそれらのひと続きなどの細長い材料を、曲げ加工または編組し、本明細書中で例示され説明されているように、概して均一かつ円周方向でより小さい直径へと圧縮可能でしかもより大きな直径へと拡張可能である開放フレームワークがシリンダの壁に含まれている実質的に円筒形の構造へと形成することができる。
【0135】
アンカーフレームサブコンポーネント1100は、任意の金属またはポリマー生体適合性材料を含むことができる。例えば、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、非限定的にニチノール、コバルトニッケル合金、ステンレス鋼、またはポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチルコポリマー、ePTFE、他の合金またはポリマーなどの材料、または本明細書中に記載の通りに、機能するための適切な物理的および機械的特性を有する他の任意の生体適合性材料を含むことができる。
【0136】
さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、当業者であれば認識するように、ばね負荷下で自己拡張するように弾性変形可能である。いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、当業者であれば認識する通り、バルーンなどを用いて機械的に拡張されるように塑性変形可能である。さらにいくつかの他の実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、塑性変形ならびに弾性変形可能である。すなわち、いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、1つ以上の弾性変形可能なコンポーネントまたはフィーチャおよび1つ以上の塑性変形可能なコンポーネントまたはフィーチャを含む。したがって、本明細書中で提示されているアンカーフレームサブコンポーネント1100の実施例は、特定の拡張設計および様式に限定されるものではないということを認識すべきである。
【0137】
さまざまな実施形態において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、人工弁1000を部位にしっかりと固着させるためインプラント部位との確動的係合を提供するように構成されている。例えば、さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、人工弁1000を取り囲む人工弁開口部において組織の1つ以上の領域と係合するように構成されている1つ以上の組織係合フィーチャ1118を含む。さまざまな実施例において、組織係合フィーチャ1118は1つ以上の逆棘または組織アンカーを含む。
【0138】
さまざまな実施例において、1つ以上の組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部および/または外部表面1106および1108から離れるように、アンカーフレームサブコンポーネント1100の長手方向軸から半径方向外向きに、そして人工弁1000を取り囲む組織に向かって突出する。概して、組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が展開された場合(例えば拘束部材が引抜かれるかまたは他の形で除去された場合)にアンカーフレームサブコンポーネント1100から離れるように突出するように動作可能である。いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100が展開構成にある状態で、組織係合フィーチャ1118は、以下でより詳細に論述するように、組織係合フィーチャ1118がアンカーフレームサブコンポーネント1100を周囲の組織にしっかり固定するようにアンカーフレームサブコンポーネント1100の近傍の組織と係合するように動作可能である。
【0139】
いくつかの実施例において、展開構成において、組織係合フィーチャは、三十(30)度から六十(60)度の間の範囲内でアンカーフレームサブコンポーネントの外部表面から離れるように突出する。いくつかのこのような実施例において、組織係合フィーチャは、おおよそ四十五(45)度の角度でアンカーフレームサブコンポーネントの外部表面から離れるように突出するが、他の構成も企図され、本出願の範囲内に入る。概して、組織係合フィーチャがアンカーフレームサブコンポーネントを取り囲む組織と係合しアンカーフレームサブコンポーネントを周囲の組織にしっかりと固定するというその意図された目的のために動作することを条件として、あらゆる突出角度が好適である。組織係合フィーチャは(それらがアンカーフレームサブコンポーネントから突出する角度に応じて)さまざまな異なる長さを含み得るものの、組織係合フィーチャは、組織と係合しアンカーフレームサブコンポーネントを周囲の組織にしっかりと固定するのに好適でありながら人工弁開口部に対する有害な損傷の危険を冒すほどには長くない長さを有するということが認識される。1つの非限定的な例示的構成には、三十(30)度から六十(60)度の間の範囲内でアンカーフレームサブコンポーネントから突出し、五十(50)ミクロンから二百(200)ミクロンの間の長さを有する組織係合フィーチャが含まれる。
【0140】
概して、組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100がインサイチュで拡張された場合にアンカーフレームサブコンポーネント1100の近傍の組織と係合するように動作可能であるようにアンカーフレームサブコンポーネントに沿って位置されている。組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の長手方向軸に沿って1つ以上の横列の形で配設されてよい。すなわち、さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネントは、第1のアンカーセット(または横列)およびこの第1のアンカーセットに対して長手方向にオフセットされた第2のアンカーセット(または横列)を含み得る。1つのこのような実施例において、第1のアンカーセットは、第2のアンカーセットに比べて、アンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104のより近傍にある。
【0141】
さまざまな実施形態において、1つ以上の組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の周りに円周方向に配設されている。いくつかの実施例において、1つ以上の組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネントの円周の周りに均等に分散させられている。例えば、組織係合フィーチャ1118はフレームの周りに分散させられ、アンカーの数に応じて九十(90)度互いにオフセットされている。代替的には、組織係合フィーチャ1118はフレームの周りに分散させられ、アンカーの数に応じて六十(60)度互いからオフセットされている。概して、アンカー間の角度的オフセットは、当業者であれば認識するように、アンカーフレームサブコンポーネント1100の周りに分散させられたアンカーの数の関数である。いくつかの実施例において、アンカー間の角度的オフセットは、付加的に、または代替的に、フレーム部材1112の配設またはパターンに基づいている。
【0142】
さまざまな実施例において、組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が展開構成にある場合アンカーフレームサブコンポーネント1100から離れるように突出するものの、組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が送達構成で圧縮されている場合、収納されるかまたは他の形でアンカーフレームサブコンポーネント1100から離れるように突出しない。したがって、さまざまな実施例において、組織係合フィーチャ1118は、送達中に収納可能で、組織係合フィーチャがアンカーフレームサブコンポーネント1100から離れるように突出する展開構成まで遷移するように構成されている。いくつかの実施例において、送達中アンカーフレームサブコンポーネント1100の周りに配置される拘束部材が、組織係合フィーチャ1118の収納を容易にする。いくつかの実施例において、組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100に付随するアパーチャまたはボイド1116の中に収納される。
【0143】
さまざまな実施形態において、組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と一体になっている。例えば、組織係合フィーチャ1118の1つ以上は、フレーム部材1112と同じ材料を併用してかつこの材料から形成される。他の実施例において、組織係合フィーチャ1118の1つ以上は、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して付加的にまたは代替的に結合されたまたは付着された別個のコンポーネントである。例えば、いくつかの非限定的実施例は、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対する1つ以上の組織係合フィーチャの圧着および/または溶接を含む。
【0144】
同様にして、アンカーフレームサブコンポーネント1100の近位端部1102は、一部の実施例では展開構成において半径方向外向きにテーパがかかっているかまたは広がっているものの、アンカーフレームサブコンポーネント1100の広がったまたはテーパがかかった部分は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が送達構成にある場合に偏向するように構成されている。例えば、図4Aで示されているように、アンカーフレームサブコンポーネント1100の広がったまたはテーパのかかった近位端部1102は、アンカーフレームサブコンポーネント1100がその長手方向軸に沿って実質的に均一な送達プロファイルを有するように偏向している。さまざまな実施例において、1つ以上の拘束部材(図示せず)は、送達構成においてアンカーフレームサブコンポーネント1100の周りに配置されている。例えば、図9~16を参照するときにより詳細に説明するように、第1の拘束部材は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の近位端部1102の周りに配置されており、第2の拘束部材はアンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104の周りに配置されている。各々の拘束部材は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の外部表面1108の周りに延在してよく、または拘束部材の1つ以上をアンカーフレームサブコンポーネント1100の周りに配置されたフィルムの1つ以上の部分を通して織成することもできる。すなわち、いくつかの実施例において、外部表面1108の周りに延在する拘束部材の1つ以上は、フィルムの一部分を通って延在し、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部表面1106の一部分に沿って延在し、その後フィルムを通って外部表面1108まで戻るように延在し、その周りに延在し得る。いくつかの実施例において、1つ以上の拘束部材は、アンカーフレームサブコンポーネント1100を送達構成に拘束するように個別にまたは集合的に動作する。さまざまな実施例において、これには、1つ以上の拘束部材が、アンカーフレームサブコンポーネント1100のフランジまたは広がった部分を個別にまたは集合的に送達構成に拘束することが含まれる。付加的または代替的に、いくつかの実施例においては、取外し可能な拘束用シースが、送達構成においてアンカーフレームサブコンポーネント1100のフランジまたは広がった部分を中心にして配置される。いくつかの実施例において、送達システムは、1つ以上のフランジストッパー(例えば図16中のフランジストッパー1562を参照のこと)を含み得る。いくつかの実施例において、フランジストッパーは、拘束用シース(例えば図16中の拘束用シース1564を参照)がアンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上から引抜かれるにつれて近位に並進運動しないようアンカーフレームサブコンポーネント1100を拘束するように動作する。いくつかの実施例において、1つ以上の拘束部材は、組織係合フィーチャを個別にまたは集合的に送達(非展開)構成に拘束する。付加的にまたは代替的には、いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100の組織係合フィーチャの周りに取外し可能な拘束用シースが配置される。いくつかの実施例において、1つ以上の拘束部材は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の展開中にアンカーフレームサブコンポーネント1100から取外される。いくつかの実施例において、拘束部材は、繊維を含む。いくつかの実施例において、拘束部材はワイヤを含む。いくつかの実施例においては、アンカーフレームサブコンポーネント1100またはその近位において1つ以上のロックワイヤが1つ以上の拘束部材の第1の端部と係合し、こうして1つ以上の拘束部材の対抗する第2の端部に対して張力を加えることができる。さまざまな実施例において、1つ以上の拘束部材に張力を加えることは、アンカーフレームサブコンポーネント1100を送達構成に維持するように動作する。
【0145】
さまざまな実施例において、図9~16を参照するときにより詳細に説明するように1つ以上の拘束部材は、送達構成において弁フレームサブコンポーネント1200の周りに配置される。例えば、第3の拘束部材が弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部1202の周りに配置され、第4の拘束部材が、弁フレームサブコンポーネント1200の遠位端部1204の周りに配置されている。各々の拘束部材は、弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面1208の周りに延在し得る。いくつかのこのような実施例において、拘束部材の1つ以上を弁フレームサブコンポーネント1200の周りに配置されたフィルムの1つ以上の部分を通して織成することもできる。すなわち、いくつかの実施例において、外部表面1208を中心として延在する拘束部材の1つ以上は、フィルムの一部分を通って延在し、弁フレームサブコンポーネント1200の内部表面1206の一部分に沿って延在し、その後フィルムを通って外部表面1206まで戻るように延在し、その周りに延在し得る。いくつかの実施例において、1つ以上の拘束部材は、弁フレームサブコンポーネント1200を送達構成に拘束するように個別にまたは集合的に動作する。さまざまな実施例において、1つ以上の拘束部材は、組織保持フィーチャを個別にまたは集合的に送達(非展開)構成に拘束する。付加的または代替的に、いくつかの実施例においては、取外し可能な拘束用シースが、弁フレームサブコンポーネント1200の組織係合フィーチャの周りに配置される。取外し可能な拘束用シースを弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100の両方の周りに配置してもよいということが認識される(以上の論述を参照)。いくつかの実施例において、1つ以上の拘束部材は、弁フレームサブコンポーネント1200の展開中に弁フレームサブコンポーネント1200から取外される。いくつかの実施例において、拘束部材は、繊維を含む。いくつかの実施例において、拘束部材はワイヤを含む。いくつかの実施例においては、弁フレームサブコンポーネント1200またはその近位において1つ以上のロックワイヤが1つ以上の拘束部材の第1の端部と係合し、こうして1つ以上の拘束部材の対抗する第2の端部に対して張力を加えることができる。さまざまな実施例において、1つ以上の拘束部材に張力を加えることは、弁フレームサブコンポーネント1200を送達構成に維持するように動作する。
【0146】
さまざまな実施形態において、人工弁1000を周囲の組織に定着させるためにインプラント部位との確動的係合を容易にすることに加えて、アンカーフレームサブコンポーネント1100は付加的にまたは代替的に、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200を入れ子にした時点で弁フレームサブコンポーネント1200との確動的係合を容易にする1つ以上のメカニズムを含む。具体的には、さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部領域1110内に突出する1つ以上のインターロックフィーチャ1120を含む。これらのインターロックフィーチャ1120は、入れ子になった弁フレームサブコンポーネント1200と係合し、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200との間の相対的な軸方向位置を維持する(または少なくとも相対的な軸方向運動を最小限に抑える)ように構成されている。
【0147】
さまざまな実施例において、インターロックフィーチャ1120は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部および外部表面1106および1108から離れるようにおよびアンカーフレームサブコンポーネント1100によって画定された内部領域1110に向かって突出するかまたは他の形で延在する構造である。いくつかの実施例において、1つ以上のインターロックフィーチャ1120は、1つ以上のタブの形をしている。
【0148】
いくつかの実施例において、1つ以上のインターロックフィーチャ1120は、自由端部1122および基部1124を有する。いくつかの実施例において、自由端部1122は、他の形でアンカーフレームサブコンポーネント1100に結合またはアンカーフレームサブコンポーネント1100と噛合していない端部である。基部1124は概して、アンカーフレームサブコンポーネント1100に結合またはアンカーフレームサブコンポーネント1100と他の形で一体になっているインターロックフィーチャの部分である。概して、基部1124がアンカーフレームサブコンポーネント1100に結合されている一方で、自由端部1122はアンカーフレームサブコンポーネント1100に対して移動するように動作可能である。
【0149】
さまざまな幾何形状が想定されるものの、図2Aおよび2Bに例示されている非限定的な例示的インターロックフィーチャ1120は各々、細長い要素である。さらに、自由端部1122は、概して平滑なまたは丸い端部として例示されているが、自由端部1122またはインターロックフィーチャ1120は、概して、代替的にはとがっているかまたは湾曲した形状(例えばS字形状)などの他の好適な幾何形状を有していてよい。換言すると、本明細書中で例示され説明されている形でアンカーフレームサブコンポーネント1100と入れ子にされた場合の弁フレームサブコンポーネント1200と係合するのに好適である他の幾何形状が想定されており、本開示の精神または範囲から逸脱することなく使用可能である。いくつかの実施例において、インターロックフィーチャ1120の自由端部1122は、弁フレームサブコンポーネント1200の外部に沿って滑動するべく動作可能であるような形をしている。上述の通り、いくつかの実施例において、フィルム(例えばフィルム1300)が、弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上の部分をカバーする。したがっていくつかの実施例において、インターロックフィーチャ1120の自由端部1122は、インターロックフィーチャ1120が束縛なく弁フレームサブコンポーネント1200の外部に沿って滑動できるようにする様式で成形されサイズ決定される。1つの非限定的実施例において、インターロックフィーチャ1120は長さがおおよそ六百ミクロンであり、アンカーフレームサブコンポーネントの内部に対しておおよそ四十五(45)度の角度が付いている。しかしながら、多くの角度および長さ構成が企図されており、本出願の範囲内に入るということが認識されるものである。
【0150】
組織係合フィーチャ1118と同様に、インターロックフィーチャ1120は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の長手方向軸に沿って1つ以上の横列に配設され得る。すなわち、さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、第1のインターロックフィーチャセット(例えば横列)およびこの第1のインターロックフィーチャセットに対して長手方向にオフセットされた第2のインターロックフィーチャセット(例えば横列)を含み得る。このような1つの実施例において、第1のインターロックフィーチャセットは、第2のインターロックフィーチャセットに比べてアンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104のより近傍にある。さまざまな実施例において、インターロックフィーチャ1120は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が展開構成にある場合アンカーフレームサブコンポーネント1100から離れるように突出するように構成されているものの、インターロックフィーチャ1120は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が送達構成で圧縮されている場合、収納されるかまたは他の形でアンカーフレームサブコンポーネント1100から離れるように突出しない。したがって、さまざまな実施例において、インターロックフィーチャ1120は、収納または送達構成と突出または展開構成との間で遷移するように構成されている。こうして、さまざまな実施例において、インターロックフィーチャ1120は、一定の条件下で偏向するように構成された弾性部材である。
【0151】
さまざまな実施例において、上述のように、インターロックフィーチャ1120は、インサイチュでアンカーフレームサブコンポーネント1100と入れ子にされるにつれて弁フレームサブコンポーネント1200と係合するように構成されている。いくつかの実施例において、以下でさらに論述するように、インターロックフィーチャ1120は一時的に係合位置から偏向して弁フレームサブコンポーネント1200とアンカーフレームサブコンポーネント1100の入れ子を可能にし、その後、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100と入れ子になった後に係合位置に戻る。さまざまな実施例において、インターロックフィーチャ1120は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100に対して好適な量だけ近位で前進させられた時点で係合位置に戻る。別の解釈によると、いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100のインターロックフィーチャ1120は、それらが弁フレームサブコンポーネント1200と係合する係合位置をとり、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して指定された量だけ弁フレームサブコンポーネント1200を近位で前進させた時点で弁フレームサブコンポーネント1200とアンカーフレームサブコンポーネント1100との間の相対的軸方向並進運動を最小限に抑えるように動作可能である。
【0152】
いくつかの実施例において、送達中にアンカーフレームサブコンポーネント1100が上に装着される送達カテーテルが、インターロックフィーチャ1120の収納をひき起こす。
【0153】
さまざまな実施例において、インターロックフィーチャ1120は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と一体である。例えば、インターロックフィーチャ1120の1つ以上は、フレーム部材1112と同じ材料を併用してかつこの材料から形成される。他の実施例において、インターロックフィーチャ1120の1つ以上は、付加的にまたは代替的にアンカーフレームサブコンポーネント1100に対し結合される。すなわち、いくつかの実施例においては、1つ以上のインターロックフィーチャ1120が、付加的にまたは代替的にアンカーフレームサブコンポーネント1100に付着される。さまざまな実施例において、1つ以上のインターロックフィーチャ1120は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の周りで円周方向に配設されている。いくつかの実施例において、1つ以上のインターロックフィーチャ1120は、アンカーフレームサブコンポーネントの周囲に均等に分散される。組織係合フィーチャ1118に関して以上で論述したものと同様に、アンカー間の角度的オフセットは概して、当業者であれば認識するように、フレーム部材1112の配設およびアンカーフレームサブコンポーネント1100の周りに分散したアンカーの数のうちの1つ以上のものの関数である。
【0154】
本明細書ではインターロックフィーチャはアンカーフレームサブコンポーネント1100から延在するものとして例示され説明されているものの、さまざまな実施例において、1つ以上のインターロックフィーチャは付加的にまたは代替的に弁フレームサブコンポーネント1200から延在する。例えば、いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネントは、弁フレームサブコンポーネント1200の内部表面1206から離れて外部表面1208から延在しかつアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が入れ子になった時点でアンカーフレームサブコンポーネント1100と係合するように動作可能である1つ以上のインターロックフィーチャ(図示せず)を含む。さまざまな実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200のインターロックフィーチャは、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が入れ子になった時点でアンカーフレームサブコンポーネント1100と係合するように弁フレームサブコンポーネントのインターロックフィーチャが動作可能であることを条件として、近位端部1202、遠位端部1204または近位端部1202と遠位端部1204の間のいずれかの位置に位置付け可能である。さまざまな実施例において、弁フレームサブコンポーネントのインターロックフィーチャは、前述の通りのアンカーフレームサブコンポーネント1100のインターロックフィーチャ1120と類似の形で偏向可能かつ収納可能である。
【0155】
図3Aおよび3Bは、一実施態様による弁フレームサブコンポーネント1200のそれぞれ側面図および軸方向図である。弁フレームサブコンポーネント1200は概して、近位端部1202、遠位端部1204、内部表面1206および外部表面1208を有する円筒形または管状部材である。さまざまな実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は、内部領域9999を画定する。例えば、内部領域は、弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部1202および遠位端部1204と内部表面1206との間に画定された概して円筒形のボイドである。概して、弁フレームサブコンポーネント1200は、上述の通り、アンカーフレームサブコンポーネント1100の少なくとも一部分の内部に収容されるように構成されている。患者の生体構造に応じて二十(20)ミリメートルから三十(30)ミリメートルの間の範囲内の直径(例えば弁フレームサブコンポーネント1200の内部または外部表面の直径)を有する弁フレームサブコンポーネント1200の非限定的実施例を提供することができるということが認識される。
【0156】
組織保持フィーチャ
さまざまな実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は、生来の弁組織(例えば生来の弁尖組織)または、置換される生来の弁を取り囲む組織を把持するまたは他の形でこれとインタフェースするように動作する1つ以上のフィーチャを含む。具体的には、さまざまな実施例において、図3Aおよび3Bをひき続き参照すると、弁フレームサブコンポーネント1200は、1つ以上の組織保持フィーチャ1218(本明細書中では組織捕捉器具とも呼ばれる)を含む。1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、生来の弁と結び付けられる患者の生来の組織とインタフェースするように構成されている弁フレームサブコンポーネント1200の突出部である。いくつかの実施例において、以下でより詳細に説明するように、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、生来の組織と係合し、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネントがインサイチュで共に入れ子にされるにつれてアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間にこの生来の組織をしっかりと固定させるように構成されている。このような構成によると、生来の組織は、人工弁1000が展開された後、人工弁1000の下流側のまたはこの人工弁に順行性の流体(例えば血液)の流れと干渉せず、またはこの流れを妨害しないことになる。例えば僧帽弁の修復/増強手順においては、天然の僧帽弁の少なくとも生来の前尖の捕捉および固定は、生来の前尖が左心室の中に偏向し左心室の流出路の妨害を創出する可能性を最小限に抑えた。したがって、さまざまな実施形態において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、生来の弁と結び付けられた生来の弁尖の1つ以上とインタフェースするように構成される。本明細書においては僧帽弁修復/増強手順が論述されているが、本開示の範囲は、房室(AV)弁および半月(SL)弁の修復/増強手順にもあてはまるということが認識される。したがって、本開示は、僧帽弁修復/増強に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0157】
さまざまな実施例において、組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200の内部表面1206および外部表面1208から離れるようにおよび人工弁1000(例えば生来の弁開口部)を取り囲む組織に向かって突出または他の形で延在する構造である。いくつかの実施例において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、1つ以上のタブの形をしている。いくつかの実施例において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、1つの頂点と2つの端部を有しループ状のフィーチャであり、ここで、2つの端部は弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上の部分に結合されるか、これらの部分と一体になっているか、これらの部分から延在するかまたは他の形でこれらの部分の中へと終結する。いくつかのこのような実施例において、頂点は、以下で言及するように、弁フレームサブコンポーネント1200から離れるように偏向し突出するように動作可能である自由端部である。
【0158】
いくつかの実施例において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、自由端部1220および基部1222を有する。いくつかの実施例において、自由端部1220は、弁フレームサブコンポーネント1200に対して他の形で結合されないまたは弁フレームサブコンポーネントと噛合しない端部である。基部1222は、弁フレームサブコンポーネント1200に対し結合するかまたは他の形で弁フレームサブコンポーネント1200と一体になっている組織保持フィーチャ1218の1つ以上の部分を含む。概して、基部1222が弁フレームサブコンポーネント1200に結合されている一方で、自由端部1220は、弁フレームサブコンポーネント1200に対して移動するように動作可能である。
【0159】
さまざまな幾何形状が想定されているが、図3Aおよび3Bに例示されている非限定的な例示的組織保持フィーチャ1218は、各々概して三角形に成形され、自由端部1220および基部1222を含む。基部1222は、各々弁フレームサブコンポーネント1200に結合されるか、この弁フレームサブコンポーネントと一体になっているか、この弁フレームサブコンポーネントから延在しているか、またはこの弁フレームサブコンポーネント内へと他の形で終結する複数の端部1224および1226を含む。図示されているように、複数の端部1224および1226は、収束して自由端部1220を形成する。さらに、自由端部1220は、概して平滑な端部または丸い端部であるものとして例示されているものの、自由端部1220は代替的には、とがっているかまたは他の好適な幾何形状を有していてよい。換言すると、本明細書中で例示され説明されている形で周囲の組織と係合するのに好適な他の幾何形状が想定され、本開示の精神または範囲から逸脱することなく使用可能である。例えば、別の非限定的な例示的組織保持フィーチャには、弁フレームサブコンポーネント1200に結合されたまたは他の形で弁フレームサブコンポーネントと一体になっている1つの端部、および弁フレームサブコンポーネント1200に結合された端部から延在する複数の自由端部が含まれる。別の非限定的な例示的組織保持フィーチャには、弁フレームサブコンポーネント1200に結合されたまたは他の形でこの弁フレームサブコンポーネントと一体になっている相対する単一の端部を有する逆棘または類似のフィーチャが含まれる。以下でより詳細に論述するように、組織保持フィーチャ1218の自由端部1220のプロファイルは、周囲の生体構造の組織に貫入するかまたはこれらの組織の間に貫入するために概して充分に適合したものである。
【0160】
さまざまな実施例において、組織保持フィーチャ1218は、第1の側1228と第2の側1230を有する。図3Aおよび3Bに示されているように、第1の側1228は、弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面1208に面しており、第2の側1230は、弁フレームサブコンポーネントの外部表面1208から離れるように面している。いくつかの実施例においては、ボイドまたは開放空間領域が、弁フレームサブコンポーネント1200の第1の側1228と外部表面1208の間に画定されている。さまざまな実施例において、以下で論述するように、弁フレームサブコンポーネント1200の第1の側1228と外部表面1208の間のこの開放空間領域は、人工弁1000を取り囲む生体構造由来の生来の組織の一部分(例えば弁尖)を収容するように構成されている。
【0161】
概して、弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200に沿ってその遠位端部1204の近傍に位置する。いくつかの実施例において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218の基部1222は、弁フレームサブコンポーネント1200の遠位端部の一部を形成する。他の実施例において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218の基部1222は、弁フレームサブコンポーネント1200の遠位端部1204の近位に位置する。こうして、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は概して、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が入れ子になった時点でアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に生来の組織が捕捉されるようにこの組織保持フィーチャ1218が適切にサイズ決定され成形されていることを条件として、弁フレームサブコンポーネント1200の長手方向軸に沿って任意の位置に位置設定され得る。
【0162】
さまざまな実施例において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200の周りで円周方向に配設されている。いくつかの実施例において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、アンカーフレームサブコンポーネントの周囲に均等に分散されている。例えば、組織保持フィーチャ1218はフレームの周りで分散させられ、組織保持フィーチャの数に応じて、九十(90)度互いにオフセットされている。代替的には、組織保持フィーチャ1218は、フレームの周りで分散させられ、組織保持フィーチャの数に応じて互いから六十(60)度または他の何らかの角度的オフセットだけオフセットされ得る。概して、アンカー間の角度的オフセットは当業者であれば認識するように、弁フレームサブコンポーネント1200の周りで分散させられた組織保持フィーチャの数の関数である。いくつかの実施例において、組織保持フィーチャ間の角度的オフセットは、付加的にまたは代替的に、フレーム部材1212の配設またはパターンに基づくものである。このような構成によって、人工弁1000の長手方向軸を中心とした事実上任意の角度的配向で展開可能である人工弁が提供される。すなわち、このような構成によって医師が、人工弁1000の長手方向軸を中心として周囲の生来の組織に対して人工弁1000を配向する必要性は最小限になる。
【0163】
いくつかの実施例において、組織保持フィーチャは、人工弁で置換される天然の弁を取り囲む生来の組織の生体構造に基づいて、弁フレームサブコンポーネントの周りで分散させられる。例えば、僧帽弁は2つの生来の弁尖で構成されている。損傷を受けたまたは欠陥のある僧帽弁を修復または増強するための移植向けに構成された人工弁を含む例示的実施形態において、弁フレームサブコンポーネントの組織保持フィーチャは、生来の弁尖を捕捉するため生来の弁尖の近傍の組織保持フィーチャの数を増大するために、或る角度的領域の内部でより多く分布させられてよい。
【0164】
さまざまな実施例において、上述のように、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200が展開構成にある場合に周囲の組織に向かって弁フレームサブコンポーネント1200から離れるように突出する。いくつかの実施例において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、組織保持フィーチャ1218の自由端部1220が組織保持フィーチャ1218の基部1222に比べて弁フレームサブコンポーネント1200の軸から半径方向により大きくオフセットする(例えば半径方向外向きにより大きく延在する)ように、弁フレームサブコンポーネント1200から離れるように突出する。換言すると、さまざまな実施例において、組織保持フィーチャ1218の1つ以上は、弁フレームサブコンポーネント1200が展開構成にある場合、弁フレームサブコンポーネント1200の長手方向軸および/または弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面1208に対して角度付けされる。このような構成によると、弁フレームサブコンポーネント1200の第1の側1228と外部表面1208の間に画定された開放空間領域にテーパが掛かることになる。いくつかの実施例において、開放空間領域はくさび形をしている。
【0165】
さまざまな実施例において、組織保持フィーチャ1218の長さおよび角度構成は、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200の相対的サイズに基づく。例えば、組織保持フィーチャ1218の長さおよび角度構成は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100と嵌込まれるか他の形で入れ子になることを組織保持フィーチャ1218が防止するまたは他の形で妨害することがないようなものである。しかしながら付加的には、組織保持フィーチャ1218の長さおよび角度構成は、本明細書中で論述されているように、患者の生体構造の生来の弁尖の1つ以上と係合する組織係合フィーチャを提供するものである。いくつかの非限定的実施例においては、組織保持フィーチャ1218は、六百(600)~一千(1000)ミクロンの間の長さを有し、三十(30)~六十(60)度の間の範囲内の角度で、弁フレームサブコンポーネント1200から離れるように突出する。したがって、さまざまな他の構成が企図されているものの、1つの非限定的な例示的構成には、おおよそ八百(800)ミクロンの長さを有し、展開構成でおおよそ四十五(45)度の角度で弁フレームサブコンポーネント1200から離れるように突出する組織係合フィーチャが含まれる。
【0166】
さまざまな実施例において、組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200の長手方向軸に対して十五(15)度から四十五(45)度の間の角度が付いている。例えば、いくつかの実施例において、展開されているとき、弁フレームサブコンポーネント1200の組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200の長手方向軸に対しておおよそ三十(30)度で角度付けされる。概して、組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200の長手方向軸に対して十五(15)度未満または代替的には四十五(45)度超角度付けされてよいが、角度がゼロ(0)度および九十(90)度に近づくにつれて、組織と係合しこれを捕捉する組織保持フィーチャ1218の能力は減少する。
【0167】
さまざまな実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200の組織保持フィーチャ1218は概して、自由端部1220が組織保持フィーチャ1218の基部1222の近位に位置するように配向される。以下でより詳細に論述されるように、このような構成によると、弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100がインサイチュで入れ子にされるにつれて、生来の組織と係合しこれを捕捉し、入れ子になったフレームの間に生来の組織を捕捉させるように動作可能である組織保持フィーチャが提供される。
【0168】
さまざまな実施例において、組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200が展開構成にある場合弁フレームサブコンポーネント1200から離れるように突出するように構成されているものの、組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200が送達構成で圧縮または圧壊されている場合、収納されるかまたは他の形で弁フレームサブコンポーネント1200から離れるように突出しない。いくつかの実施例において、送達中弁フレームサブコンポーネント1200の周りに配置されている拘束部材が、組織保持フィーチャ1218の収納をひき起こす。いくつかの実施例において、組織保持フィーチャ1218は、結び付けられたボイドまたはアパーチャあるいは弁フレームサブコンポーネント1200のボイド1216の中に収納される。したがって、さまざまな実施例において、組織保持フィーチャ1218は、収納または送達構成と突出または展開構成の間で遷移するように構成されている。
【0169】
いくつかの実施例において、組織保持フィーチャ1218は、弾性構造である。いくつかの実施例において、組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200から離れて突出するように偏らされる。換言すると、さまざまな実施例において、組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネント1200が展開構成に拡張した(または拘束部材が他の形で取外された)時点で、弁フレームサブコンポーネント1200から離れるように自然に突出する。
【0170】
さまざまな実施例において、組織保持フィーチャ1218は弁フレームサブコンポーネント1200と一体である。例えば、組織保持フィーチャ1218の1つ以上が、フレーム部材1212と同じ部材を併用してかつこの同じ材料から形成される。他の実施例において、組織保持フィーチャ1218の1つ以上は付加的にまたは代替的に弁フレームサブコンポーネント1200に結合される。すなわち、いくつかの実施例において、1つ以上の組織保持フィーチャ1218は付加的にまたは代替的に弁フレームサブコンポーネント1200に付着される。
【0171】
図4Aおよび4Bは、中間段1302が間にある状態での、展開前構成および部分展開構成における(例えばアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200を入れ子にする前の)人工弁1000の側面図である。図4Aは、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が互いから長手方向にオフセットされていて(直列で送達されているものとしても言及される)それらの間の中間段1302と共に結合されている状態の、展開前構成における送達装置または送達装置1500(例えばカテーテル)上に装着された人工弁1000を例示する。図4Bは、中間段1302が間で反転された状態の、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200を入れ子にする前の部分展開構成における人工弁1000を例示する。図示されているように、展開前構成および部分展開構成の両方において、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200は、互いに対して長手方向にオフセットされている。いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200を入れ子にするに先立ち、弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部1202は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104に対して遠位に位置付けされ、そこの近位端部に結合されこれらのサブコンポーネントの間に位置付けされた中間段1302が、これらのサブコンポーネントを共に結合している。
【0172】
図4Aの非限定的な例示された実施例をひき続き参照すると、展開前構成において、人工弁1000は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が互いから長手方向にオフセットされるように送達装置1500上に装着される。具体的には、図示されているように、弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部1202は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104に対して遠位に位置付けされる。概して、当業者であれば認識するように、人工弁1000が展開前構成にある場合、拘束用シースまたは拘束用管などの取外し可能な拘束部材(図示せず)が人工弁1000の周りに配置される。拘束部材は、この例示された実施例においては、そうでなければ拘束部材によりマスキングまたは隠されるであろう人工弁1000の内在するコンポーネントが見えるように取外されている。
【0173】
さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200の長手方向の分離またはオフセットは、患者の脈管構造を容易に通すことができる低プロファイルの送達構成を提供する。例えば、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200を長手方向にオフセットすることによって、送達システムのプロファイルを最小化することができるが、これは従来の設計と異なり、アンカーフレームサブコンポーネント1100、弁フレームサブコンポーネント1200および中間段1302が、送達中に互いに重なり合わないからである。いくつかの実施例において、人工弁1000および拘束部材(図示せず)を含む送達装置1500の最大プロファイルは、二十四フレンチ(24F)以下であり得る。
【0174】
付加的に、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に位置付けされ中間段1302に隣接する送達装置1500の領域1502は、湾曲して、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が一時的に互いに正しく整列しないように動作可能である。いくつかの実施例において、このような構成は、曲線路を通過する鉄道車両と類似している。このような構成は、心臓の左心房の内部で九十(90)度以上送達装置を湾曲させることを必要とし得る、人工弁1000が経中隔で治療領域に送達される手順において有益である。
【0175】
さまざまな実施例において、拘束部材(図示せず)をインサイチュで取外した時点で、人工弁1000は、部分展開構成をとるように動作可能である。いくつかの実施例において、部分展開構成にある場合、展開前送達プロファイルに対して拡張しているにもかかわらず、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200は、互いに対して長手方向にオフセット状態にとどまる。例えば図4Bに示されているように、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200は、間に中間段1302がある状態で弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部1202がアンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104に対し遠位に位置付けされるように、互いから長手方向にオフセットされる。
【0176】
さまざまな実施例において、人工弁1000を展開前構成まで展開させた後、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200は、中間段1302がインサイチュで間において反転させられている状態で、互いに入れ子にされ得る。すなわち、さまざまな実施例において、人工弁1000はアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が互いに対して長手方向にオフセットされている(例えば弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部がアンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部に対して遠位に位置付けされている)状態で、患者の生体構造の治療領域まで経皮的に送達され、その後インサイチュで互いに入れ子にされ得る(例えば弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部がアンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部に近位の位置に再度位置付けされる)。
【0177】
図5A~5Eは、例示目的で心臓の一部分の断面を伴う、僧帽弁(「MV」)置換手順中のインサイチュにおける人工弁1000の非限定的な展開シーケンスと入れ子構成を例示する。図5Aにおいては送達装置1500が左心房(「LA」)に経中隔でアクセスしている。さまざまな実施例において、送達装置1500は経皮的に送達され、体外の制御システム1600に結合されている。左心房への経中隔アクセスは、当業者にとっては公知である技術にしたがって行なうことができる。経中隔で左心房にアクセスした時点で、送達装置1500は人工弁1000の展開のために位置付けされる。例えば、図5Bに示されているように、送達装置1500は、僧帽弁を通って、左心室(「LV」)内へと前進させられる。いくつかの実施例において、僧帽弁を通した送達装置1500の前進によって、僧帽弁の前尖(「AL」)および後尖(「PL」)は、左心室内へ偏向させられる。
【0178】
さまざまな実施例において、送達装置1500は、人工弁1000が僧帽弁に対して適正に配向されるように位置付けされる。図5Bに示されているように、送達装置1500は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が生来の僧帽弁開口部および生来の前尖および後尖に隣接するように位置付けされる。さまざまな実施例において、ひとたび適正に位置付けされたならば、送達装置1500の拘束用シース1504は人工弁1000に対して引込められ、これにより人工弁1000を露出させる。さまざまな実施例において、人工弁は、以下でより詳細に論述するように、送達装置1500のコア部材1506の周りに配置される。
【0179】
さまざまな実施例において、人工弁1000が露出された状態で、人工弁1000は、拡張するかまたは、1つ以上のインフレータブルバルーンを非限定的に含む1つ以上の拡張補助器具を使用して他の形で拡張させられる。いくつかの実施例において、人工弁1000の拡張には、僧帽弁の生来の組織に対するアンカーフレームサブコンポーネント1100の拡張が含まれる。いくつかの実施例において、このような拡張は、僧帽弁の前尖および/または後尖を左心室内にさらに偏向させ、左心室流出路(「LVOT」)をさらに妨害する。さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100が拡張するかまたは拡張させられるにつれて、アンカーフレームサブコンポーネント1100の1つ以上の組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100を取囲む生来の組織(例えば生来の僧帽弁開口部)と係合し、当業者であれば認識するはずであるように、周囲の組織から脱出しないようにアンカーフレームサブコンポーネント1100をしっかりと固定する。
【0180】
さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100が拡張され、脱出しないようにしっかりと固定された後、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200は共に入れ子にされる。さまざまな実施例において、インサイチュでアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200を入れ子にすることは、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対する弁フレームサブコンポーネント1200の近位での前進を含む。図5Dは、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して近位で前進させられるにつれての弁フレームサブコンポーネント1200を例示している。
【0181】
さまざまな実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して、送達装置1500を近位で引抜くことによって近位で前進させられる。例えば、いくつかの実施例において、送達装置1500は、上述の拘束部材の1つ以上を含む。さまざまな実施例において、拘束部材は、この拘束部材の1つ以上が、送達装置1500の近位並進運動を弁フレームサブコンポーネント1200の近位並進運動へと移送するように動作可能になるように、弁フレームサブコンポーネント1200に対して送達装置1500を解除可能な形で結合する。いくつかの実施例において、これらの拘束部材は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200のインサイチュでの入れ子を容易にするため展開後も送達装置1500と弁フレームサブコンポーネント1200の間の機能的係合を維持するように構成されている。いくつかのこのような実施例において、これらの拘束部材は、以上で論述されたように、弁フレームサブコンポーネント1200の周りに配置されたフィルムを通って延在することによって弁フレームサブコンポーネント1200の内部表面1206と外部表面1208の間を通る1つ以上の部分を含む。これらの実施例においては、送達装置1500を近位で引抜くことによって、弁フレームサブコンポーネント1200は、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して近位で並進運動させられる。
【0182】
いくつかの実施例において、送達装置1500は、互いに対して長手方向に前進させ引込めることのできる独立して可動な複数のコンポーネント(例えば複数のカテーテル)を含む。例えば、いくつかの実施例において、第1の可動コンポーネント(例えば第1のカテーテル)は、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して第2の可動コンポーネント(例えば第2のカテーテル)の位置を維持しながら、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して近位で引抜くことができる。いくつかのこのような実施例において、第1の可動コンポーネント(例えば第1のカテーテル)は、第1の可動コンポーネントをアンカーフレームサブコンポーネント1100および第2の可動コンポーネント(例えば第2のカテーテル)に対して近位で引抜くことによって弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100内へと引抜かれ、こうして弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100と入れ子にされ得るように、1つ以上の拘束部材(本明細書中で論述されているような)を用いて、弁フレームサブコンポーネント1200に結合されてよい。いくつかの実施例において、第2の可動コンポーネント(例えば第2のカテーテル)は、1つ以上の拘束部材(本明細書中で論述されているような)を用いてアンカーフレームサブコンポーネント1100に結合され得、こうして第1の可動コンポーネント(例えば第1のカテーテル)が第2の可動コンポーネントに対して近位で引抜かれるにつれてアンカーフレームサブコンポーネント1100に対する第2の可動コンポーネントの位置を維持しながら、第2の可動コンポーネントは、アンカーフレームサブコンポーネント1100の位置を維持するように作用して、弁フレームサブコンポーネント1200をこのアンカーフレームサブコンポーネント1100と入れ子にすることができる。
【0183】
いくつかの実施例においては、1つ以上のテザーが弁フレームサブコンポーネント1200と送達装置1500の間に延在する。いくつかの実施例においては、1つ以上のテザーが弁フレームサブコンポーネント1200に結合されており、こうして送達装置1500が引抜かれるにつれて弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100に対して近位で前進させられる。いくつかの実施例において、1つ以上のテザーは、弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上の部分を通って織成されるか、または他の形で弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上の部分の周りに配置される。例えば、いくつかの実施例においては、引結びまたは類似のフィーチャが形成され、弁フレームサブコンポーネント1200の一部分の周りに配置される。いくつかの実施例においては、1つ以上のロックワイヤが1つ以上のテザーを弁フレームサブコンポーネント1200に解除可能な形でしっかり固定する。
【0184】
いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200を近位で引抜くかまたは前進させることに加えて、アンカーフレームサブコンポーネント1100は、入れ子手順中に長手方向の並進運動に対して、しっかりと固定される。いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100の長手方向の運動は、人工弁1000を取り囲む生来の組織と係合するアンカーフレームサブコンポーネント1100の組織係合フィーチャ1118によって停止させられる。付加的にまたは代替的に、いくつかの実施例において、送達装置1500は、入れ子手順中にアンカーフレームサブコンポーネント1100の長手方向運動を最小限に抑えるように動作する1つ以上の停止用メカニズムを含む。いくつかの実施例において、送達装置1500は、弁フレームサブコンポーネントが近位で前進させられている間アンカーフレームサブコンポーネント1100の1つ以上の部分と当接する押し子を含む。
【0185】
さまざまな実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100に対して近位に前進させられるにつれて、弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上の組織保持フィーチャ1218は、生来の僧帽弁の生来の前尖および後尖に向かって前進させられ、生来の僧帽弁の生来の前尖および/または後尖と係合しそれを捕捉するように構成されている。以上で論述したように、弁フレームサブコンポーネント1200の組織保持フィーチャ1218は、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200が入れ子構成にある場合、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に生来の僧帽弁の生来の前尖および後尖を係合し捕捉するように構成されている。
【0186】
さまざまな実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部で入れ子にされた状態となるまで、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して近位で前進させられる。さまざまな実施例において、展開前構成および部分展開構成とは異なり、入れ子構成では、弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部1202はアンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104の近位に位置付けされる。図5Eは、弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部1202がアンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104の近位に位置付けされるように、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部で入れ子にされた弁フレームサブコンポーネント1200を例示する。
【0187】
さまざまな実施例において、生来の僧帽弁の生来の前尖および後尖のうちの1つ以上が弁フレームサブコンポーネント1200の組織保持フィーチャ1218により係合および/または捕捉された状態で、弁尖の捕捉された部分は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100に対して近位で前進させられるにつれて、左心室(そして特に左心室流出路)から離れるように、そして左心房に向かって近位で前進させられる。さまざまな実施例において、生来の僧帽弁の生来の前尖および後尖の捕捉された部分を近位で前進させるこのアクションは、少なくとも僧帽弁の生来の前尖を、左心室流出路を妨害したりまたは他の形でこの流出路と干渉したりしないように引抜くように作用する。例えば、図5Cおよび5Dに例示されているように、人工弁1000が展開されるとき、生来の僧帽弁の生来の前尖は、左心室流出路に向かって偏向される。さまざまな実施例において、本明細書中で例示され説明されているように捕捉および保持されていない場合、生来の僧帽弁の偏向された生来の前尖は左心室内へと延在し、左心室流出路の狭窄、制限および/または妨害をひき起こす。左心室流出路のこの狭窄、制限および/または妨害は、当業者であれば認識するように、多くの健康リスクおよび合併症を導き得る。左心室流出路を妨害するかまたは他の形でこれと干渉しないように少なくとも僧帽弁の生来の前尖を引抜くように動作する人工弁およびその移植方法を提供することによって、本出願人工弁の1000は、左心室流出路の狭窄、制限および/または閉塞と結び付けられるリスクを最小限に抑えるかまたは無くするように動作する。
【0188】
図5Eは、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200が入れ子にされ、少なくとも生来の僧帽弁の生来の前尖がアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に捕捉され保持されている完全に展開された構成における人工弁1000の例示である。いくつかの実施例において、人工弁1000は、インターロックフィーチャ1120がアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200を共に結合した時点で、完全に展開され作動可能となる。以上で論述した通り、インターロックフィーチャ1120は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100に対して指定された量だけ近位で前進させられた時点で、インターロックフィーチャが弁フレームサブコンポーネント1200と係合し、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間の相対的軸方向並進運動を最小限に抑える係合構成をとるように動作可能である。図6は、図5Eの断面図であり、完全に展開され作動可能な構成における人工弁1000のさまざまなコンポーネントの配設および配向を例示する。
【0189】
例示されていないものの、当業者であれば、生来の弁の生来の後尖および前尖は腱索を介して左心室内部の乳頭筋に結合されていることを認識するものである。概して、腱索は、一方の端部で左心室内の乳頭筋にそして他方の端部で後尖および前尖の弁尖に付着された非弾性腱である。上述の通り、組織保持フィーチャ1218は概して、基部1222および弁フレームサブコンポーネント1200から離れるように突出する自由端部1220を含む。この自由端部は、腱索の間に貫入して組織保持フィーチャ1218と弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面1208との間に前尖および後尖を捕捉するように構成されている。
【0190】
図6に示されているように、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200は共に入れ子にされており、弁フレームサブコンポーネント1200はアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部領域1110(図2B)の内部に同軸的に収容されるようになっている。図示されているように、生来の僧帽弁の生来の前尖および後尖は、弁フレームサブコンポーネント1200とアンカーフレームサブコンポーネント1100の間に捕捉されしっかりと固定される。詳細には、生来の僧帽弁の生来の前尖および後尖は、弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面1208とアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部表面1106の間に画定された環状空間の中に捕捉されしっかりと固定される。いくつかの実施例において、環状空間は、弁フレームサブコンポーネント1200の外部表面1208とアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部表面1106の重複部分の間に画定される。図6に示されているように、中間段1302は、入れ子構成においてアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に延在し、これらを結合する。ここで、中間段1302は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の内部表面1106と生来の僧帽弁の生来の前尖および後尖との間に位置する。いくつかの実施例において、弁フレームサブコンポーネント1200の組織保持フィーチャ1218は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に生来の前尖および後尖を維持ししっかり固定するように動作する。
【0191】
上述のように、さまざまな実施例において、中間段1302は入れ子構成においてアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に延在する(例えば図6で示されている通り)。さまざまな実施例において、中間段1302は、アンカーフレームサブコンポーネント1100を弁フレームサブコンポーネント1200と結合することに加えて、人工弁1000を通した望ましくない逆行性の流れを妨害するように動作する。詳細には、入れ子構成でアンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に延在するフィルムは、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に画定された環状領域を通した逆行性の流れを阻止するように動作する。したがって、人工弁1000の弁尖が、人工弁1000(そして特に弁フレームサブコンポーネントの内部領域)を閉鎖しこれを通る逆行性の流れを阻止するように構成されている一方で、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に延在する中間段1302も同様に、人工弁1000を通る意図されない逆行性の流れを最小限に抑えるかまたは防止するように動作する。
【0192】
さらに、図6に示されているように、アンカーフレームサブコンポーネント1100のインターロックフィーチャ1120は、弁フレームサブコンポーネント1200と係合し、弁フレームサブコンポーネント1200とアンカーフレームサブコンポーネント1100の相対的位置を維持するように動作する。さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100のインターロックフィーチャ1120は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部のその入れ子位置から遠位で脱出する可能性を最小限に抑えるように動作する。さまざまな実施例において、インターロックフィーチャ1120は、アンカーフレームサブコンポーネント1100から、弁フレームサブコンポーネント1200の遠位端部1204および弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部1202の1つ以上に対し遠位の位置まで延在する。すなわち、いくつかの実施例において、インターロックフィーチャ1120は、サブコンポーネント1200の近位端部1202と遠位端部1204の間の弁フレームサブコンポーネントの一部分まで延在しこの部分と係合する。他の実施例においては、入れ子構成で、インターロックフィーチャ1120は弁フレームサブコンポーネント1200の遠位端部1204に対し遠位の位置まで延在する。
【0193】
さらに、図6に示されているように、アンカーフレームサブコンポーネント1100の組織係合フィーチャ1118は、アンカーフレームサブコンポーネント1100から離れるように延在し、人工弁1000を取り囲む生来の弁開口部の組織と係合する。いくつかの実施例において、組織係合フィーチャ1118は、組織に貫入し組織の内部に他の形で埋込まれるように構成されている。さまざまな実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100の組織係合フィーチャ1118と人工弁1000を取り囲む生来の組織とのこの相互作用は、生来の組織(例えば生来の弁開口部)に対しアンカーフレームサブコンポーネント1100(ひいては弁フレームサブコンポーネント1200)をしっかり固定するように動作する。
【0194】
図6に例示されているアンカーフレームサブコンポーネント1100の近位端部1102は、図示されている通り、半径方向外向きに広がっており、生来の弁開口部に隣接しこの生来の弁開口部と当接して位置する。いくつかの実施例において、このような構成によって、アンカーフレームサブコンポーネント1100の近位端部1102は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が生来の弁を通って延在するように動作可能である範囲を妨害するかまたは他の形で限定することになる。例えば、僧帽弁の置換の場合、このような広がった近位端部1102は、天然の僧帽弁開口部を通って左心室内までアンカーフレームサブコンポーネント1100を前進させることのできる範囲を限定する。いくつかの実施例において、このような広がった近位端部1202はさらに、アンカーフレームサブコンポーネント1100が遠位で移動する可能性を最小限に抑えるように動作する。
【0195】
以上で例示し説明した実施形態および実施例は、経中隔送達に関するものであるが、本出願の精神または範囲から逸脱することなく、さまざまな追加の周知の送達手順を利用することができるということを認識すべきである。追加の非限定的送達手順には、経心尖、左心房切開および経大動脈手順が含まれる。概して、特定の送達手順の如何に関わらず、当業者であれば、人工弁1000の展開後、弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100は、アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して弁フレームサブコンポーネント1200を近位で前進させることによって入れ子にされるということを認識するはずである。
【0196】
さまざまな実施例において、人工弁およびそれに結び付けられた送達システムは、展開手順中に弁の機能性を継続して可能にするように構成されている。さまざまな実施例において、損傷を受けた生来の弁を置換するための人工弁展開手順中、生来の弁および生来の弁開口部は、一時的に人工弁および送達装置によって妨害されている。いくつかの事例において、このような妨害は、人工弁が展開され作動可能になる前に(例えばアンカーフレームサブコンポーネントと弁フレームサブコンポーネントを入れ子にする前に)発生する。したがって、さまざまな実施例において、本開示の人工弁は、さらに、人工弁が完全に作動可能状態になる前に(例えばアンカーフレームサブコンポーネントおよび弁フレームサブコンポーネントが入れ子になる前に)、移植手順中に人工弁を通ってまたは人工弁の周りを流体が流れることができるようにするように構成された1つ以上のフィーチャを含み得る。例えば図7Aおよび7Bを参照すると、人工弁2000は、アンカーフレームサブコンポーネント2100と弁フレームサブコンポーネント2200の間に延在する中間段1302の中に形成された1つ以上の流れ許容フィーチャ2350を含む。図7Aは、順行性の流れ(矢印「A」により表示)を可能にする開放構成における流れ許容フィーチャ2350を伴う人工弁2000の側面図である。図7Bは、逆向性(矢印「R」により表示)の流れが妨害されている閉鎖構成における流れ許容フィーチャ2350を伴う人工弁2000の側面図である。いくつかの実施例において、1つ以上の流れ許容フィーチャ2350は、1つ以上の穿孔またはアパーチャを含む。
【0197】
いくつかの実施例において、1つ以上の流れ許容フィーチャ2350は、付加的にまたは代替的に、一方向の流れを容易にする1つ以上のメカニズムを含む。例えば、いくつかの実施例において、流れ許容フィーチャは一方向弁として構成される。いくつかの実施例において、一方向弁はアパーチャまたは穿孔および、このアパーチャまたは穿孔を覆いわずかにこれより大きいフラップまたは材料要素を含む。いくつかの実施例において、一方向弁は、人工弁を通る順行性の流れを可能にするように配向される一方で、人工弁を通る逆行性の流れを最小限に抑えるかまたは防止する。
【0198】
図7Aおよび7B中に示されているように、流れ許容フィーチャ2350は、アンカーフレームサブコンポーネント2100および弁フレームサブコンポーネント2200が共に入れ子にされる前に(すなわち本明細書中で例示され説明されているように、アンカーフレームサブコンポーネント2100および弁フレームサブコンポーネント2200が長手方向にオフセットされている間)人工弁2000を通る順行性の流れを可能にするように動作するアパーチャ2352およびフラップ2354を含む。フラップ1354は、順行性の流れを可能にしながら、流れ許容フィーチャ2350を通る逆行性の流れを制限するかまたは最小限に抑えるため、アパーチャ2352に比べて大き目にサイズ決定される。
【0199】
図7Cは、弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100に結合された状態で示された中間段1302の別の実施形態である。この実施形態によると、中間段1302は、部分展開位置で見た、中間段1302の内側表面を画定する内側フィルム層1304と中間段1300の外側表面を画定する外側フィルム層1306という2重フィルム層1300である。内側フィルム層1304および外側フィルム層1306は、少なくとも弁フレームサブコンポーネント1200の近位端部1202およびアンカーフレームサブコンポーネント1100の遠位端部1104で、共に結合される。内側フィルム層1304は、アンカーフレームサブコンポーネント1100に隣接してそこを貫通する少なくとも1つの内側アパーチャ1312を画定し、外側フィルム層1306は、弁フレームサブコンポーネント1200に隣接してそこを貫通する少なくとも1つの外側アパーチャ1310を画定する。内側フィルム層1304および外側フィルム層1306は、少なくとも内側アパーチャ1312の1つと外側アパーチャ1310の1つの間は結合されず、その間に流れ空間1320を画定する。図5Fは、アンカーフレームサブコンポーネント1100が人工弁開口部1342の内部に位置付けされた状態で、送達カテーテル1508上で拘束状態にある人工弁を示す。図5Fに示されているように、人工弁1000が送達カテーテル1508上に拘束されている場合、血流は、装置と組織1340の間を通過できる。図5Gに示されているように、アンカーフレームサブコンポーネント1100が人工弁開口部1342に接して展開させられた場合、血液は、内側フィルム層1304と外側フィルム層1306の間を順方向の流れ方向で、内側アパーチャ1312、流れ空間1320および外側アパーチャ1310を通って流れることができるようにされているものの、逆行性方向に戻って流れないよう防止されている。弁フレームサブコンポーネント1200が拘束されず展開された直径まで拡張する場合、血液は以前のように、内側アパーチャ1312、流れ空間1320および外側アパーチャ1310を通って流れ続けることができる。図5Hに示されているように、弁フレームサブコンポーネント1200はアンカーフレームサブコンポーネント1100内へと並進運動させられ、図5Iに示されているように、弁フレームサブコンポーネント1200がその最終展開構成へと拡張されて、それにより中間段1302を反転させるかまたは折畳む/回転させている状態で、内側フィルム層1304および外側フィルム層1306は、流体圧力下で一体にさせられて、流れ空間1320を狭窄し、1つ以上の内側アパーチャ1312を外側フィルム層1306に対して閉鎖し、1つ以上の外側アパーチャ1310を内側フィルム層1304に対して閉鎖して、そこを通る流れを阻止する。この実施例においては、実質的に展開プロセス全体にわたり、大量の血液を維持することができる。
【0200】
上述の通り、さまざまな実施例において、人工弁1000は、弁フレームサブコンポーネント1200とアンカーフレームサブコンポーネント1100の間の結合を維持するように動作する1つ以上の入れ子インターロックフィーチャ1120を含む。いくつかの実施例において、人工弁1000は付加的にまたは代替的に、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に延在する1つ以上のフィーチャを含む。例えば、図8Aおよび8Bに示されているように、人工弁1000は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に延在する複数の相互連結支柱1700を含む。図8Aは、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200を嵌込むまたは入れ子にする前の人工弁1000を示す。図8Bは、入れ子構成におけるアンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200を伴う人工弁1000を示す。図8Aおよび8Bに示されているように、相互連結支柱1700は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100と嵌込まれるかまたは入れ子にされるにつれて、中間段1302と共に反転するように構成されている。さまざまな実施例において、相互連結支柱1700は、湾曲したまたはS字形状の細長い要素である。このような構成によって、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が入れ子にされるにつれて、相互連結支柱1700を一時的に折曲げまたは折畳むことができるようになっているということが認識される。相互連結支柱1700は、特に入れ子位置からの弁フレームサブコンポーネント1200の運動から充分な抵抗を提供しない中間段1302を考慮して、弁フレームサブコンポーネント1200をアンカーフレームサブコンポーネント1100内に入れ子にするために既定量の力をとり、入れ子位置からの弁フレームサブコンポーネント1200の運動に抵抗するために対応する既定量の力をとるように、剛化バイアスを提供する。相互連結支柱1700は同様に、特に取扱いおよび展間の動力学を促進するために充分な剛性を提供しない中間段1302を考慮して、取扱いおよび展開の動力学を促進するための既定量の側方および半径方向の剛性を提供する。さまざまな実施例において、中間段1302は非常に薄く、したがって弁フレームサブコンポーネント1200の入れ子位置からの運動に抵抗しかつ/または取扱いおよび展間の動力学を促進するための半径方向また側方の剛性をほとんどないしは全く提供しない。さまざまな実施例によると、相互連結支柱1700は、内側表面上、外側表面上のいずれかで中間段1302上に結合され得るか、または2重フィルム層1300である中間段1302を有する実施例においては、内側フィルム層1304と外側フィルム層1306の間に格納され得る。
【0201】
さまざまな実施例において、反転した相互連結支柱1700は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の入れ子構成を維持するように動作する。いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が入れ子構成にあり相互連結支柱1700が反転されている状態で、相互連結支柱1700の柱強度は、そうでなければ弁フレームサブコンポーネント1200をアンカーフレームサブコンポーネント1100から外へそしてこのアンカーフレームサブコンポーネントから離れるように入れ子解除または嵌込み解除させるであろう圧縮荷重に抵抗するように動作する。
【0202】
他の実施例によると、図8Cおよび8Dに示されているように、人工弁1000は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間に延在するもののそれらと直接結合しない連続した波状要素1702の形をした入れ子保持要素9999を含む。波状要素1702は、中間段1302に対して剛化バイアスを提供する。図8Cは、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200の嵌込みまたは入れ子前の人工弁1000を示す。図8Dは、入れ子構成におけるアンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200を伴う人工弁1000を示す。図8Cおよび8Dに示されているように、波状要素1702は、弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100と嵌込みまたは入れ子されるにつれて中間段1302と共に反転するように構成されている。さまざまな実施例において、波状要素1702は、湾曲したまたはS字形状の細長い要素である。このような構成によって、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が入れ子にされるにつれて、波状要素1702を一時的に折曲げまたは折畳むことができるようになっているということが認識される。波状要素1702は、特に入れ子位置からの弁フレームサブコンポーネント1200の運動から充分な抵抗を提供しない中間段1302を考慮して、弁フレームサブコンポーネント1200をアンカーフレームサブコンポーネント1100内に入れ子にするために既定量の力をとり、入れ子位置からの弁フレームサブコンポーネント1200の運動に抵抗するために対応する既定量の力をとるように、剛化バイアスを提供する。波状要素1702は同様に、特に取扱いおよび展間の動力学を促進するために充分な剛性を提供しない中間段1302を考慮して、取扱いおよび展開の動力学を促進するための既定量の側方および半径方向の剛性を提供する。さまざまな実施例において、中間段1302は非常に薄く、したがって弁フレームサブコンポーネント1200の入れ子位置からの運動に抵抗しかつ/または取扱いおよび展間の動力学を促進するための半径方向また側方の剛性をほとんどないしは全く提供しない。さまざまな実施例によると、波状要素1702は、内側表面上、外側表面上のいずれかで中間段1302上に結合され得るか、または2重フィルム層1300である中間段1302を有する実施例においては、内側フィルム層1304と外側フィルム層1306の間に格納され得る。
【0203】
さまざまな実施例において、反転された波状要素1702は、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の入れ子構成を維持するように動作する。いくつかの実施例において、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200が入れ子構成にある状態で、波状要素1702の柱強度は、そうでなければ弁フレームサブコンポーネント1200をアンカーフレームサブコンポーネント1100から外へそしてこのアンカーフレームサブコンポーネントから離れるように入れ子解除または嵌込み解除させるであろう圧縮荷重に抵抗するように動作する。
【0204】
中間段1300は、アンカーフレームサブコンポーネント1100内に入れ子された状態で弁フレームサブコンポーネント1200を保持するように動作可能である、図7C~7Eで示されているもののような、以下で説明される入れ子保持要素1330をさらに含む。入れ子保持要素1330の実施例が以下で提供される。いくつかの実施例によると、入れ子保持要素1330は、入れ子位置において中間段1300を偏らせる細長い要素であり得る。一実施形態によると、入れ子保持要素1330は、弁フレームサブコンポーネント1200をアンカーフレームサブコンポーネント1100内に並進運動させる展開プロセス中に反転させられる。入れ子保持要素1330には、展開中の反転を可能にするものの通常の生体力の下では反転を可能にしないために充分な既定の剛性または他の特性が備わっている。別の実施形態によると、入れ子保持要素1330は、アンカーフレームサブコンポーネント1100が拡張され弁フレームサブコンポーネントが圧縮された場合に、入れ子保持要素1330が前方に面する配向から後方に面する配向へと長さ方向に回転できるようにサイズ決定される。弁フレームサブコンポーネント1200が拡張された場合、入れ子保持要素1330は入れ子保持要素1330が前方に面する配向へと回転または逆転して戻るのを防止するプロファイルまたは長さを有する。換言すると、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間の間隙は、入れ子保持要素1330の転倒回転を可能にするのには狭過ぎる。入れ子保持要素1330には、通常の生体力の下で、アンカーフレームサブコンポーネント1100と弁フレームサブコンポーネント1200の間の間隙の内部での入れ子保持要素1330の反転を防止するのに充分な既定の剛性または他の特性が備わっている。
【0205】
弁尖材料
さまざまな実施例において、弁尖1020は、生体適合性の合成材料(例えばePTFEおよびePTFE複合材料、または所望される通りの他の材料を含む)で形成される。他の実施例において、弁尖1020は、ウシの組織、ブタの組織などを含めた、再利用組織などの天然材料で形成される。
【0206】
好適な弁尖材料のいくつかの例は、Bruchmanらの米国特許第8,961,599号(「インプラントに好適な耐久性ある高強度ポリマー複合材料およびそれから製造された物品」);Bruchmanらの米国特許第8,945,212号(「インプラントに好適な耐久性ある多層高強度ポリマー複合材料およびそれから製造された物品」);Bruchmanらの米国特許第9,554,900号(「インプラントに好適な耐久性ある高強度ポリマー複合材料およびそれから製造された物品」);およびBruchmanらの米国特許出願公開第2015/0224231号(「人工弁用のコヒーレント単層高強度合成ポリマー複合材料」)中に見出すことができる。
【0207】
本明細書中で使用されている用語「エラストマー」は、その当初の長さの少なくとも1.3倍まで伸びることができ、解放された時におおよそその当初の長さまで急速に縮む能力を有するポリマーまたはポリマー混合物をいう。用語「エラストマー材料」は、必ずしも同じ程度の伸長および回復ではないものの、エラストマーに類似する伸長および回復特性を示すポリマーまたはポリマー混合物をいう。用語「非エラストマー材料」は、エラストマーまたはエラストマー材料のいずれにも類似しない伸長および回復特性を示す、すなわちエラストマーともエラストマー材料とも考えられないポリマーまたはポリマー混合物をいう。
【0208】
本明細書中の実施形態によると、弁尖1020は、複数の細孔および/または空間を有する少なくとも1つの多孔質合成ポリマー膜層を有する複合材料、および少なくとも1つの合成ポリマー膜層の細孔および/または空間を充填するエラストマー材料および/またはエラストマー状材料および/または非エラストマー材料を含む。他の実施例によると、弁尖1020はさらに、エラストマーおよび/またはエラストマー材料および/または非エラストマー材料の層を複合材料上に含む。実施例によると、複合材料は、重量で約10%~90%の多孔質合成ポリマー膜を含む。
【0209】
多孔質合成ポリマー膜の例には、細孔および/または空間を画定するノードおよびフィブリル構造を有する延伸フルオロポリマー膜が含まれる。いくつかの実施例において、延伸フルオロポリマー膜は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜である。多孔質合成ポリマー膜の別の例には、微多孔質性ポリエチレン膜が含まれる。
【0210】
エラストマーおよび/またはエラストマー材料および/または非エラストマー材料の例としては、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテルのコポリマー(TFE/PMVEコポリマー)、(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、ウレタン、シリコーン(オルガノポリシロキサン)、シリコン-ウレタンコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレン-コ-ポリ(ビニルアセテート)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ素化炭化水素ポリマーおよびコポリマー、または以上のもの各々の混合物が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、TFE/PMVEコポリマーは、それぞれ60~20重量パーセントのテトラフルオロエチレンおよび40~80重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むエラストマーである。いくつかの実施例において、TFE/PMVEコポリマーは、それぞれ67~61重量パーセントのテトラフルオロエチレンおよび33~39重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むエラストマー材料である。いくつかの実施例において、TFE/PMVEコポリマーは、それぞれ73~68重量パーセントのテトラフルオロエチレンおよび27~32重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含む非エラストマー材料である。TFE-PMVEコポリマーのTFEおよびPMVE構成成分は、wt%単位で提示される。参考として、約40、33~39および27~32のPMVEのwt%は、それぞれ約29、23~28および18~22のmol%に相当する。
【0211】
いくつかの実施例において、TFE-PMVEコポリマーは、エラストマー特性、エラストマー状特性および/または非エラストマー状特性を示す。
【0212】
いくつかの実施例において、複合材料はさらに、それぞれ約73~約68重量パーセントのテトラフルオロエチレンおよび約27~約32重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE-PMVEの層またはコーティングを含む。
【0213】
いくつかの実施例において、弁尖1020は、それぞれ約60~約20重量パーセントのテトラフルオロエチレンおよび約40~約80重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE/PMVEコポリマーを吸収させた延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜であり、弁尖1020はさらに、血液と接触する表面上に、それぞれ約73~約68重量パーセントのテトラフルオロエチレンおよび約27~約32重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE-PMVEコポリマーのコーティングを含む。
【0214】
以上で論述した通り、エラストマーおよび/またはエラストマー材料および/または非エラストマー材料は、これらのエラストマーおよび/またはエラストマー材料および/または非エラストマー材料が延伸フルオロポリマー膜の内部のボイド空間または細孔の実質的に全てを占有するように、延伸フルオロポリマー膜と組み合わせ可能である。
【0215】
好適な弁尖材料のいくつかの例を提供してきたが、以上の例は、限定的な意味合いで解釈されるように意図されたものではなく、付加的または代替的な材料が企図される。
【0216】
いくつかの実施例において、フィルム1300および/または中間段1302は、上述の弁尖材料を含むことができる。
送達装置
【0217】
以上で論述されているように、さまざまな実施例において、人工弁1000は、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200が互いから長手方向にオフセットされている(例えば直列に配設されている)状態で、展開前構成で送達装置1500上に装着される。さまざまな実施例において、上述の通り、1つ以上の拘束部材が、解除可能に独立して弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100を送達装置1500に結合する。さまざまな実施例において、以下でより詳細に論述するように、1つ以上の拘束部材は、アンカーフレームサブコンポーネント1100および弁フレームサブコンポーネント1200のインサイチュでの入れ子を容易にするため、弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100から選択的に解除され得る。いくつかの実施例において、拘束部材の1つ以上は、送達装置1500の長手方向の起動を1つ以上の拘束部材を介して弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100の1つ以上に転送できるように、弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100の周りに配置されたフィルムを通って織成することのできる1つ以上の部分を含む。
【0218】
図9は、いくつかの実施態様による送達装置1500の側面図である。図示されているように、送達装置1500は、本体部分1510、支持部分1512、先端部分1514、複数の拘束1516を含む。さまざまな実施例において、送達装置1500はさらに、複数の係止部材1518(例えば図15を参照)を含む。
【0219】
本体部分1510は、中央長手方向軸Xaを画定し、近位区分(図示せず)および遠位区分1520を有する。本体部分1510は、人工弁1000が移植される患者の体外の場所からユーザ(図示せず)が送達装置1500を操作するのに好適な長さを有する。概して、本体部分1510は、患者(図示せず)の脈管構造または他の身体の管腔および導管を横断するために好適であるよう充分な可撓性、長さおよびカラム強度を有する。
【0220】
図10は、いくつかの実施態様による、図9中のライン10-10に沿って切り取った断面図である。図10に示されているように、本体部分1510は、通路またはチャネルとしても説明され得るこの本体部分1510の内部に延在する複数の管腔1511を有する。さまざまな実施例において、複数の管腔1511は、近位および遠位区分を通って本体部分1510の長さだけ延在する。いくつかの実施形態において、複数の管腔1511は、複数の係止部材管腔、例えば第1の係止部材管腔1513および第2の係止部材管腔1515を含む。さらに、いくつかの実施形態において、複数の管腔1511は、第1の拘束管腔1517、第2の拘束管腔1519、第3の拘束管腔1521、および第4の拘束管腔1523を含むが、多くの追加の管腔(例えば、8、10、12本など)が企図される。いくつかの実施形態において、複数の管腔1511は、さらに中央管腔1525を含む。さまざまな実施例において、第1および第2の係止部材管腔1513および1515ならびに第1の拘束管腔1517、第2の拘束管腔1519、第3の拘束管腔1521および第4の拘束管腔1523は各々、本体部分1510の中央長手方向軸Xaを中心にして所望の角度位置に位置設定されている。
【0221】
図示されているように、第1の係止部材管腔1513は、12時または0度に対応する位置にあり、第2の係止部材管腔1515は2時または60度に対応する位置にあり、第1の拘束管腔1517は、4時または120度に対応する位置にあり、第2の拘束管腔1519は6時または180度に対応する位置にあり、第3の拘束管腔1521は、8時または240度に対応する位置にあり、第4の拘束管腔1523は、10時または270度に対応する位置にある。角度位置のいくつかの例が提供されているが、所望される通りに、任意の数の位置を利用することができる。図示されているように、中央管腔1525は、本体部分1510の長手方向軸Xaと同軸的に位置付けされてよいが、ここでもまた所望される通りに、任意の数の位置を利用することができる。
【0222】
本体部分1510の遠位区分1520は、支持部分1512に結合され、任意には、拘束用シース内へ、そこから外へ、および/またはそれを通って遠位区分1520を通過させるのを補助するための1つ以上のフィーチャを含む。例えば、遠位区分は、支持部分1512に隣接して遠位区分1520に増大した直径プロファイルを提供するように、フレア、フランジまたはテーパを含み得る。外側横断方向プロファイルとしても説明されるこの増大した直径プロファイルは、遠位区分1520がこのような拘束用シースを通っておよび患者(図示せず)の脈管構造または他の導管を通って摺動され、このような拘束用シースから延在しかつ/またはその中に引込められる場合に、拘束用シースと遠位区分1520との間のスナッギングまたは機械的摩擦を低減するため、比較的円滑な遷移を有する。
【0223】
支持部分1512は概して、人工弁1000内に収容され、患者(図示せず)の体内の所望される治療場所への送達およびそこでの展開を通して人工弁1000を支持するように構成されている。図示されているように、支持部分1512は、本体部分1510の遠位区分1520から延在し、中央長手方向軸Xbを有する。さまざまな実施例において、支持部分1512の中央長手方向軸Xbは、本体部分1510の中央長手方向軸Xaと平行である。いくつかの実施例において、中央長手方向軸Xbは中央長手方向軸Xaと同軸である。支持部分1512はシャフト1526を含む。いくつかの実施例において、シャフト1526は、複数の拘束1516のうちの1つ以上の拘束を支持する。さまざまな実施形態において、シャフト1526は、可撓性の細長い要素であり、任意には、当業者であれば認識するように、例えばガイドワイヤを収容するために、中央管腔を含み得る。
【0224】
さまざまな実施例において、以下でさらに論述するように、支持部分1512はさらに第1のガイド要素対1522および第2のガイド要素対1524を含む。
【0225】
さまざまな実施形態において、シャフト1526は、例えばニチノール、ステンレス鋼または他の金属またはポリマー材料を用いて、中空管(例えばハイポチューブ)として形成される。さまざまな実施例において、シャフト1526は、送達装置1500を患者の生体構造内部の所望の治療場所まで誘導するため、ガイドワイヤ(図示せず)を収容するように構成されている。しかしながら、所望される場合、シャフト1526は同様に、いかなる内部管腔も伴わない中実部材として形成されてもよい。シャフト1526は任意には、先端部分1514に結合され(例えば先端部分1514内に挿入および圧入または接着される)、支持部分1512の長さだけ延在し、本体部分1510に結合される(例えば中央管腔1525を通り本体部分1510の近位端部から外に延在する)。シャフト1526は任意には、単一の一体部材であるが、別個の連結されたコンポーネントも企図される。
【0226】
さまざまな実施例において、各々のガイド要素対1522および1524は、拘束1516のうちの1つ以上とインタフェースするように適応され配設される。第1のガイド要素対1522は、概して、近位ガイド要素1528および遠位ガイド要素1530を含む。第1のガイド要素対1522は付加的に、近位ガイド要素1528および遠位ガイド要素1530の間に位置する中間ガイド要素を所望される通りに含み得るということが認識されるが、それは例示されていない。いくつかの実施例において、第2のガイド要素対1524は概して、近位ガイド要素1532および遠位ガイド要素1534を含む。第2のガイド要素対は同様に、付加的に、近位ガイド要素1532および遠位ガイド要素1534の間に位置する中間ガイド要素を所望される通りに含み得るということが認識されるが、それは例示されていない。
【0227】
図11および12に示されているように、第1のガイド要素対1522の近位ガイド要素1528および遠位ガイド要素1530は、概して、全体的に円筒形で、横断面が円形である横断方向外側プロファイルにも相当する円筒形の横断方向外側プロファイルを有する。円筒形のプロファイルが企図されているものの、さまざまなテーパ、段付け、面取りおよび他のフィーチャのいずれかも同様に企図されるということが認識される。いくつかの実施例において、近位ガイド要素1528および遠位ガイド要素1530は、弁フレームサブコンポーネント1200を支持するように構成されている。
【0228】
さまざまな実施例において、第1のガイド要素対1522の近位ガイド要素1528および遠位ガイド要素1530の各々は、いくつかの実施例にしたがって、支持部分1512の中央長手方向軸Xaそして遷移理論によってシャフト1526の中央長手方向軸と同軸である中央長手方向軸(別個に標識付けされておらず)を画定する。
【0229】
図11に示されているように、いくつかの実施形態において、近位ガイド要素1528は、シャフト1526を近位ガイド要素1528に結合するために、シャフト1526が収容されるときに通る中央管腔1527を含む。図示されているように、近位ガイド要素1528は同様に、チャネルまたは管腔としても説明されている複数の通路1529を含む。さまざまな実施例において、複数の通路1529は、複数の係止部材通路、例えば第1の係止部材通路1533および第2の係止部材通路1535を含む。さらに、いくつかの実施形態において、複数の通路1529は、第1の拘束通路1537、第2の拘束通路1539、第3の拘束通路1541および第4の拘束通路1543を含むが、多くの追加の通路(例えば8、10、12本など)が企図される。さまざまな実施例において、第1の係止部材通路1533および第2の係止部材通路1535、ならびに第1の拘束通路1537、第2の拘束通路1539、第3の拘束通路1541および第4の拘束通路1543は各々任意には、支持部分1512の中央長手方向軸Xbを中心とした所望の角度位置に位置設定される。
【0230】
図示されているように、係止部材通路および拘束部材通路は、以上で論述した本体部分1510の係止部材管腔および拘束部材管腔と角度およびオフセットが対応している。例えば、第1の係止部材通路1533は、この第1の係止部材通路1533が12時または0度に対応する角度位置にあるという点において、第1の係止部材管腔1513に対応する。
【0231】
図11と12の間で参照すると分かるように、遠位ガイド要素1530は、実質的に近位ガイド要素1528に類似している。いくつかの実施例において、遠位ガイド要素1530は同様に全体的に円筒形で、横断面が円形である横断方向外側プロファイルにも相当する円筒形の横断方向外側プロファイルを有するが、上述したように、さまざまなテーパ、段付け、面取りおよび他のフィーチャのいずれかも企図されている。
【0232】
遠位ガイド要素1530は同様に、いくつかの実施例にしたがって、支持部分1512の中央長手方向軸Xaおよび遷移理論によってシャフト1526の中央長手方向軸(ならびに近位ガイド要素1528)と同軸である中央長手方向軸(別個に標識付けされていない)を画定する。
【0233】
図12に示されているように、いくつかの実施形態において、遠位ガイド要素1530は、シャフト1526を遠位ガイド要素1530に結合するために、シャフト1526が収容されるときに通る中央管腔1545を含む。図示されているように、遠位ガイド要素1530は同様に、チャネルまたは管腔としても説明されている複数の通路1547を含む。さまざまな実施例において、複数の通路1547は、複数の係止部材通路、例えば第1の係止部材通路1553および第2の係止部材通路1555を含む。さらに、いくつかの実施形態において、複数の通路1547は、第1の拘束通路1557、第2の拘束通路1559、第3の拘束通路1561および第4の拘束通路1563を含むが、多くの追加の通路(例えば8、10、12本など)が企図される。さまざまな実施例において、第1の係止部材通路1553および第2の係止部材通路1555、ならびに第1の拘束通路1557、第2の拘束通路1559、第3の拘束通路1561および第4の拘束通路1563は各々任意には、支持部分1512の中央長手方向軸Xbを中心とした所望の角度位置に位置設定される。
【0234】
図示されているように、係止部材通路および拘束部材通路は、以上で論述した近位ガイド要素1528の係止部材管腔および拘束部材通路と角度およびオフセットが対応している。例えば、第1の係止部材通路1553は、この第1の係止部材通路1553が12時または0度に対応する角度位置にあるという点において、第1の係止部材通路1533に対応する。
【0235】
さまざまな実施形態において、近位ガイド要素1528の複数の通路1529の各々は、遠位ガイド要素1530の複数の通路1547の対応する通路と整列されている。換言すると、上述の通り、第1の係止部材通路1533は、第1の係止部材通路1553と、そして第1の拘束通路1537は第1の拘束通路1557と角度をなして整列されている。しかしながら、複数の通路1529および複数の通路1547の1つ以上は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、角度的に不整列であるかまたは互いに整列していなくてもよいということが認識される。その上、以下で論述するように、遠位ガイド要素1530は近位ガイド要素1528と同数の通路を有している必要はないということも直ちに認識されるはずである。
【0236】
図13および14で示されているように、第2のガイド要素対1524の近位ガイド要素1532および遠位ガイド要素1534は概して、全体的に円筒形で、同様に横断面で円形である横断方向外側プロファイルに対応する、円筒形の横断方向外側プロファイルを有する。円筒形のプロファイルが企図されているものの、さまざまなテーパ、段付け、面取りおよび他のフィーチャのいずれかも同様に企図されるということが認識される。いくつかの実施例において、第2のガイド要素対1524の近位ガイド要素1532および遠位ガイド要素1534の直径は、概して、第2のガイド要素対1524の近位ガイド要素1528および遠位ガイド要素1530の直径よりも小さい。いくつかの実施例において、このような構成により、弁フレームサブコンポーネント1200をアンカーフレームサブコンポーネント1100によって画定された内部領域内に近位に引込める(例えば嵌込む)ことが可能になる。すなわち、より小さい直径を有する近位ガイド要素1532および遠位ガイド要素1534を提供することによって、弁フレームサブコンポーネント1200を、アンカーフレームサブコンポーネント1100内部に収容するのに好適なより小さい断面まで縮小することができる。いくつかの実施例において、近位ガイド要素1532および遠位ガイド要素1534は、弁フレームサブコンポーネント1200を支持するように構成されている。
【0237】
さまざまな実施例において、第2のガイド要素対1524の近位ガイド要素1532および遠位ガイド要素1534の各々は、いくつかの実施例にしたがって、支持部分1512の中央長手方向軸Xaそして遷移理論によってシャフト1526の中央長手方向軸と同軸である中央長手方向軸(別個に標識付けされておらず)を画定する。
【0238】
図13に示されているように、いくつかの実施形態において、近位ガイド要素1532は、シャフト1526を近位ガイド要素1532に結合するために、シャフト1526が収容されるときに通る中央管腔1565を含む。図示されているように、近位ガイド要素1532は同様に、チャネルまたは管腔としても説明されている複数の通路1567を含む。さまざまな実施例において、複数の通路1567は、第2の係止部材通路1575、第1の拘束通路1577、および第2の拘束通路1579を含むが、多くの追加の通路(例えば8、10、12本など)が企図される。さまざまな実施例において、第2の係止部材通路1575、ならびに第1の拘束通路1577、および第2の拘束通路1579は各々任意には、支持部分1512の中央長手方向軸Xbを中心とした所望の角度位置に位置設定される。
【0239】
図示されているように、係止部材通路および拘束部材通路は、以上で論述した遠位ガイド要素1530の係止部材通路および拘束部材通路と角度およびオフセットが対応している。例えば、第2の係止部材通路1575は、この第2の係止部材通路1575が2時または60度に対応する角度位置にあるという点において、第2の係止部材通路1555に対応する。
【0240】
図13と14の間で参照すると分かるように、遠位ガイド要素1534は、実質的に近位ガイド要素1532に類似している。いくつかの実施例において、遠位ガイド要素1534は同様に、全体的に円筒形で、横断面が円形である横断方向外側プロファイルに同様に対応する円筒形の横断方向外側プロファイルを有するが、上述したように、さまざまなテーパ、段付け、面取りおよび他のフィーチャのいずれかも企図されている。
【0241】
遠位ガイド要素1534は同様に、いくつかの実施例にしたがって、支持部分1512の中央長手方向軸Xaおよび遷移理論によってシャフト1526の中央長手方向軸(ならびに近位ガイド要素1532)と同軸である中央長手方向軸(別個に標識付けされておらず)を画定する。
【0242】
図14に示されているように、いくつかの実施形態において、遠位ガイド要素1534は、シャフト1526を遠位ガイド要素1534に結合するために、シャフト1526が収容されるときに通る中央管腔1581を含む。図示されているように、遠位ガイド要素1534は同様に、チャネルまたは管腔としても説明されている複数の通路1583を含む。さまざまな実施例において、複数の通路1583は、第2の係止部材通路1585、第1の拘束通路1587、および第2の拘束通路1589を含むが、多くの追加の通路(例えば8、10、12本など)が企図される。さまざまな実施例において、第2の係止部材通路1585、ならびに第1の拘束通路1587および第2の拘束通路1589は各々任意には、支持部分1512の中央長手方向軸Xbの周りで所望の角度位置に位置設定される。
【0243】
図示されているように、係止部材通路および拘束部材通路は、以上で論述した近位ガイド要素1532の係止部材通路および拘束部材通路と角度およびオフセットが対応している。例えば、第2の係止部材通路1585は、この第2の係止部材通路1585が2時または60度に対応する角度位置にあるという点において、第2の係止部材通路1575に対応する。
【0244】
図9に示されているように、複数の拘束1516は、第1の拘束対1536および第2の拘束対1538を含み、ここで第1の拘束対1536は第1のガイド要素対1522と結び付けられ、第2の拘束対1538は第2のガイド要素対1524と結び付けられる。さまざまな実施例において、各々の拘束対は、アンカーフレームサブコンポーネント1100及び弁フレームサブコンポーネントと1200のそれぞれ一方とインタフェースするように適応され配設される。第1の拘束対1536は、概して、近位拘束1540および遠位拘束1542を含む。第1の拘束対1536は付加的に、近位拘束1540および遠位拘束1542の間に位置する中間拘束を所望される通りに含み得るということが認識されるが、それは例示されていない。第2の拘束対1538は概して、近位拘束1544および遠位拘束1546を含む。第2の拘束対1538は同様に、付加的に、近位および遠位拘束1544および1546の間に位置する中間拘束を所望される通りに含み得るということが認識されるが、それは例示されていない。
【0245】
いくつかの実施形態において、複数の拘束1516の各々は、繊維、ストランド、ワイヤ、それらの組合せなどとして形成され、金属またはポリマー材料から編組、巻線、押出し加工またはその他の形で形成され得る。例えば、拘束1516の各々は、UHMWPEまたはePTFEなどの材料の編組ストランドから形成され得る。3つが図示されているものの、任意の数の拘束28(例えば、1、2、4、9本など)が企図される。いくつかの実施形態において、近位拘束1540は、例えば端子、閉ループまたはアイレットの形をしたキャッチ1548を含む。キャッチ1548は任意には、編組方法を用いて(例えば、編組物を内部で撚合することによって、または単一のストランドを2つの別個のストランドに分岐させて次にそれらを単一のストランドに再度編組してアイレットを形成する連続編組方法を通して)形成される。遠位拘束1542は、キャッチ1552を含む近位拘束1544と同様に、キャッチ1550を含む。遠位拘束1546はキャッチ1554を含む。
【0246】
さまざまな実施例において、複数の係止部材1518には、第1の係止部材1556と第2の係止部材1558が含まれる。第1の係止部材1556は概して、第1の拘束対1536および第1のガイド要素対1522をしっかり固定することまたは他の形でこれらと係合することと結び付けられ、一方第2の係止部材1558は概して、第2の拘束対1538および第2のガイド要素対1524をしっかり固定することまたは他の形でこれらと係合することと結び付けられる。例えば、図15に示されているように、第1の係止部材1556は、本体部分1510の第1の係止部材管腔1513を通って、第1のガイド要素対1522の近位ガイド要素1528および遠位ガイド要素1530の第1の係止部材通路1533および1553の中へと延在する。同様にして、図15に示されているように、第2の係止部材1558は、本体部分1510の第2の係止部材管腔1515を通り、第1のガイド要素対1522の近位ガイド要素1528および遠位ガイド要素1530の第2の係止部材通路1535および1555を通り、第2のガイド要素対1524の近位ガイド要素1532および遠位ガイド要素1534の第2の係止部材通路1575および1585内へと延在する。第2の係止要素管腔および通路が、明確さのためおよそ120度回転させた状態で図15に示されているということが認識される。
【0247】
さまざまな実施例において、第1の係止部材1556および第2の係止部材1558は各々、ワイヤ、ストランド、繊維などとして形成されており、金属またはポリマー材料で編組、巻線、押出し加工または他の形で形成され得る。いくつかの実施例において、第1の係止部材1556および第2の係止部材1558は、ステンレス鋼、ニチノールまたは他の材料で形成されたワイヤである。第2の係止部材1558は、先端部分1514内に延在するものとして例示されているものの、第2の係止部材1558は先端部分1514の近位で終結してもよいということを認識すべきである。いくつかのこのような実施例において、第2の係止部材1558は、第2のガイド要素対1524の遠位ガイド要素1534内で終結する。さまざまな実施例において、第1の係止部材1556および第2の係止部材1558の各々は、第1の係止部材1556および第2の係止部材1558がその中へとおよび/またはそれを通って延在するそれぞれのガイド要素からこれらの係止部材を引込めることができるように、以上で論述した係止部材管腔および通路内に摺動可能な形で収容される。
【0248】
さまざまな実施形態において、第1係止部材1556および第2の係止部材1558および複数の拘束1516は、本体部分1510を通り支持部分1512まで延在する。いくつかの実施例において、第1の係止部材1556および第2の係止部材1558および複数の拘束1516は、本体部分1510の近位端部に結合された起動部分(図示せず)から延在する。さまざまな実施例において、起動部分は、第1の係止部材1556および第2の係止部材1558および複数の拘束1516を操作するために動作可能であるハンドル(図示せず)を含む。いくつかの実施例において、ハンドルは、各々それぞれの拘束または係止部材を近位で引込むかまたは遠位で前進させるために回転させることのできる1つ以上のスピンドルまたは他のメカニズムを含む。いくつかの実施例において、スピンドルの1つ以上は、任意には互いに回転結合され得、かつ/または所望される通りに、独立して回転可能である。用語「結合される」は、直接的または間接的取付けを意味し、かつ固定した取付けと並進運動可能な取付けの両方を含むように、広義で解釈されるべきである。さらに、スピンドル間の相対的回転速度、タイミングまたは他の相互作用を制御するためのさまざまな形態のクラッチ、ギヤまたは他の手段が企図される。スピンドルは、さまざまな拘束1516および係止部材(例えば1556および1558)を巻上げるまたは張力付加する、および繰出すまたは張力除去するために使用するように構成され得る。
【0249】
さらに、当業者であれば、起動部分は、第1の係止部材1556および第2の係止部材1558を互いに独立して起動させる(例えば近位で引込めるおよび/または遠位で前進させる)ために動作可能であるということを認識するはずである。同様にして、起動部分は、複数の拘束の他の拘束の各々とは独立して、複数の拘束1516のうちの1つ以上の拘束を起動させるために動作可能であるということも認識されるべきである。すなわち、いくつかの実施例において、各々の拘束を独立して起動することが可能である。代替的には、いくつかの実施例において、当業者であれば認識するように、複数の拘束1516のうちの2つ以上の拘束を互いに併せて動作させることができる。
【0250】
いくつかの実施例において、複数の拘束1516および第1の係止部材1556および第2の係止部材1558は、本体部分を通って延在する。いくつかの実施例において、複数の拘束1516および第1の係止部材1556および第2の係止部材1558はその後、第1のガイド要素対1522および/または第2のガイド要素対1524のガイド要素の1つ以上を通って延在する。例えば、複数の拘束1516および第1の係止部材1556および第2の係止部材1558は、それぞれに、以上で論述した近位ガイド要素1528のそれぞれの拘束通路および係止部材通路を通って延在する。
【0251】
さまざまな実施形態において、複数の拘束1516は、複数の通路のうちのそれぞれ1つの通路から遠位に、そして次に半径方向に支持部分1512の中央長手方向軸から離れるように延在するように動作可能である。さまざまな実施形態において、各々の拘束(例えば1540、1542、1544、1546)は、その後、人工弁100のそれぞれの部分(例えば弁フレームサブコンポーネント1200またはアンカーフレームサブコンポーネント1100)の周りに引回しされる。さまざまな実施例において、拘束は、第1の係止部材1556および第2の係止部材1558の1つにしっかりと固定される。詳細には、本明細書中で論述されている通り、第1の拘束対1536の近位拘束1540および遠位拘束1542は、第1の係止部材1556によってしっかりと固定され、一方第2の拘束対1538の近位拘束1544および遠位拘束1546は、第2の係止部材1558によってしっかりと固定されている。いくつかの実施例において、拘束は、拘束がそれぞれの係止部材に対ししっかり固定される前にループを形成し自らの上に交差して戻るように引回しされる(例えば図16を参照のこと)。さまざまな実施例において、図16に示されているように、拘束は、拘束のキャッチを通してそれぞれの係止部材を収容することによって、第1の係止部材1556および第2の係止部材1558のそれぞれに対ししっかりと固定される。図16に示されているように、近位拘束1544および遠位拘束1546の各々は、弁フレームサブコンポーネント1200の周りでループになり、第2の係止要素1558に対ししっかりと固定され、ここで第2の係止要素1558は、近位の拘束1544および遠位の拘束1546のキャッチ1552および1554によりそれぞれ収容されている。
【0252】
上述のように、いくつかの実施例において、拘束は人工弁1000の周り(例えば弁フレームサブコンポーネント1200またはアンカーフレームサブコンポーネント1100のそれぞれの周り)でループを形成している。さまざまな実施例において、拘束1516のうちの1つ以上は、弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100のいずれか一方の中に形成された1つ以上のアパーチャを通して織成されるように動作可能である。例えば、上述のように近位拘束1544および遠位拘束1546は、弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上のアパーチャを通って織られるように動作可能であり、一方、近位拘束1540および遠位拘束1542はアンカーフレームサブコンポーネント1100の1つ以上のアパーチャを通して織成されるように動作可能である。いくつかの実施例において、アパーチャは、弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネント1100をカバーするフィルム、膜または他の構成物中に形成される。いくつかの実施例において、拘束は、弁フレームサブコンポーネント1200のフレーム部材1212の外部そしてアンカーフレームサブコンポーネント1100のフレーム部材1112の外部を通る。拘束がそれぞれのフレーム(例えば弁フレームサブコンポーネント1200またはアンカーフレームサブコンポーネント1100)のアパーチャを通して織成されている状態で、拘束は、弁フレームサブコンポーネント1200およびアンカーフレームサブコンポーネントを圧縮された送達プロファイルに保持するように動作することができる。さらに、拘束がそれぞれのフレーム(例えば弁フレームサブコンポーネント1200またはアンカーフレームサブコンポーネント1100)のアパーチャを通して織成された状態で、拘束は、送達装置1500の並進運動を弁フレームサブコンポーネント1200および/またはアンカーフレームサブコンポーネント1100に伝達するように動作することができる。このような構成により、上述のように送達装置1500および弁フレームサブコンポーネント1200は、(アンカーフレームサブコンポーネント1100が送達システムから展開された後に)アンカーフレームサブコンポーネント1100に対して近位で引込めることができる。
【0253】
その上、このような構成によると、拘束1516に近位で張力付加することで、拘束が収縮させられ、これにより拘束のループ部分の直径を削減する(または少なくとも直径を維持する)ように動作し、その結果として、拘束のループ部分は、例えば圧壊または拘束力を人工弁に送達するように動作可能になる、ということが認識される。逆に、張力の解除は反対の効果(例えば拘束1516のループ部分の直径を拡張させる)を有する。
【0254】
以上で説明したものに類似する好適な取付け方法および拘束方法の例は、本出願の出願人が同日に出願した「経カテーテル展開システムおよびそれに付随する方法」という名称の代理人整理番号第450385,001661 1566US01号中に見い出すことができる。
【0255】
ここで図16に目を向けると、以上で論述した実施例および実施態様による非限定的な送達動作が、例示され描写されている。図示されているように、第1の拘束対1536(例えば近位拘束1540および遠位拘束および1542)は、例えばアンカーフレームサブコンポーネント1100が、僧帽弁の弁輪を拡張させこれと係合するように動作可能であるように、第1の係止部材1556から解放されている。しかしながら、図示されているように、近位拘束1544および遠位拘束1546は、第2の係止部材1558および弁フレームサブコンポーネント1200と結合された状態にとどまっている。
【0256】
図16にはそのように例示されてはいないものの、実際には、近位拘束1544および遠位拘束1546の各々は、以上で論述した通り、弁フレームサブコンポーネント1200の1つ以上の部分を通して織成されるということが理解される。同様に、弁フレームサブコンポーネント1200は、第2の拘束対1538の間の相互作用を視覚化できるように、組織保持フィーチャ1218を図示すること無く例示されているということも認識すべきである。こうして、そのように例示されてはいないものの、いくつかの実施例において遠位拘束1546は、以上で論述した収納または送達構成に組織保持フィーチャ1218を維持するように動作する。
【0257】
したがって、アンカーフレームサブコンポーネント1100が拘束されず、弁フレームサブコンポーネント1200が近位拘束1544および遠位拘束1546のうちの1つ以上によって少なくとも部分的に拘束されている状態で、送達装置1500を、弁輪およびアンカーフレームサブコンポーネント1100に対して矢印1560の方向で近位に引抜く(例えば近位で並進運動させる)ことができ、こうして本明細書中で論述されているように、弁フレームサブコンポーネント1200はアンカーフレームサブコンポーネント1100により画定された内部領域内に近位で引出されることになる。さまざまな実施例において、送達装置1500は、本明細書中で論述されているように弁フレームサブコンポーネント1200がアンカーフレームサブコンポーネント1100の内部で入れ子された状態となるまで、近位で引抜かれる。
【0258】
いくつかの実施例において、第1の係止部材1556およびアンカーフレームサブコンポーネント1100から第1の拘束対1536を解放した後に、そして送達装置1500および弁フレームサブコンポーネント1200を近位で引抜く前に、近位拘束1544および遠位拘束1546の1つ以上の中の張力を削減させて、これにより弁フレームサブコンポーネント1200および組織保持フィーチャ1218のうちの1つ以上が部分的に展開できるようにすることができる。したがって、このような実施例において、送達装置1500は、送達装置1500および弁フレームサブコンポーネント1200を近位で引抜く前に、弁フレームサブコンポーネント1200を部分的に展開するように動作可能である。このような構成により、以上で論述したように、組織保持フィーチャ1218は、弁フレームサブコンポーネントの外部表面1208から離れるように、組織保持フィーチャ1218が生体構造の生来の弁尖の1つ以上と係合するために動作可能である位置まで拡張することができるようになる。
【0259】
以上で論述した実施例および実施形態には、複数の係止部材を含む送達システムが含まれているものの、送達システムは単一の係止部材だけでも動作可能であり得るということを認識すべきである。例えば、いくつかの実施例において、係止部材は、アンカーフレームサブコンポーネント1100の周りに延在する第1の拘束および弁フレームサブコンポーネント1200の周りに延在する第2の拘束の各々と係合し、これを保持することができる。このような実施例において、係止部材は概して、1つ以上のガイド要素を通して引回すことによって、係止部材の近位端部を近位で引抜いた結果として係止要素の遠位端部が少なくとも当初は送達システムの支持部分に沿って遠位で前進しこうしてアンカーフレームサブコンポーネント1100の周りに延在する拘束を弁フレームサブコンポーネント1200の周りに延在する拘束の解放に先立って解放できることになる。
【0260】
本開示が扱かっている概念の範囲について、以上で一般的にと同時に特定の実施例に関しても説明してきた。当業者にとっては、本開示の範囲から逸脱することなく実施例の中でさまざまな修正および変更を加えることができる、ということは明白である。同様にして、本明細書中で論述した実施例の中で論述されたさまざまなコンポーネントを組み合わせることも可能である。したがって、実施例は範囲の修正および変更を網羅することが意図されている。
(態様)
(態様1)
送達構成とインサイチュでの展開構成との間で遷移可能な人工弁において、
近位端部と遠位端部を有する弁フレームを含む弁フレームサブコンポーネントと、
近位端部と遠位端部を有するアンカーフレームを含むアンカーフレームサブコンポーネントと、
前記弁フレームの前記近位端部を前記アンカーフレームの前記遠位端部に結合する管を画定する中間段と、
を含み、
前記送達構成に位置する場合、前記弁フレームサブコンポーネントおよびアンカーフレームサブコンポーネントは長手方向に互いにオフセットされて前記弁フレームサブコンポーネントの前記近位端部は前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部の遠位に位置するようになっており、
前記インサイチュでの展開構成まで遷移した場合に、前記中間段は反転され、前記弁フレームサブコンポーネントは前記アンカーフレームサブコンポーネントによって画定された内部領域の内部で少なくとも部分的に入れ子にされる、人工弁。
(態様2)
前記中間段が、この中間段の内側表面を画定する内側フィルム層および前記中間段の外側表面を画定する外側フィルム層を含み、前記内側フィルム層および前記外側フィルム層が、少なくとも前記弁フレームサブコンポーネントの前記近位端部および前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部において共に結合されており、前記内側フレームフィルムが、前記アンカーフレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの内側アパーチャを画定し、前記外側フィルム層が前記弁フレームサブコンポーネントに隣接して貫通して少なくとも1つの外側アパーチャを画定し、前記内側フィルム層と前記外側フィルム層は、前記弁フレームサブコンポーネントが前記アンカーフレームサブコンポーネント内で入れ子にされていない場合には内部を通る血液の流れを可能にするように動作可能でかつ前記弁フレームサブコンポーネントが前記アンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされている場合には流れを制限するように動作可能であるそれらの間の流れ空間を画定するように、少なくとも前記内側アパーチャのうちの1つと前記外側アパーチャのうちの1つとの間で結合されていない、態様24に記載の人工弁。
(態様3)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な入れ子保持要素をさらに含む、態様1および2のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様4)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な、前記弁フレームの前記近位端部を前記アンカーフレームの前記遠位端部に結合する相互連結支柱の形をした入れ子保持要素をさらに含む、態様1および2のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様5)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な、前記弁フレームの前記近位端部および前記アンカーフレームの前記遠位端部の間の前記中間段に結合されるものの前記近位端部または前記遠位端部には結合されない連続波状要素の形をした入れ子保持要素をさらに含む、態様1および2のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様6)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な、前記弁フレームの前記近位端部および前記アンカーフレームの前記遠位端部の間の前記中間段に結合されるものの前記近位端部または前記遠位端部には結合されない複数の細長い要素の形をした入れ子保持要素をさらに含む、態様1および2のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様7)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な細長い補剛フィーチャを含むフィルムまたは織物をさらに含む、態様1~6のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様8)
前記アンカーフレームが、組織と係合するために動作可能な複数の組織固着用要素をさらに含む、態様1~7のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様9)
中を通る順方向の流れを許容するように開放しかつ逆行性の流れを阻止するように前記弁フレームサブコンポーネントを閉鎖するために動作可能な前記弁フレームに結合された複数の弁尖をさらに含み、前記弁尖が、細孔を画定する多孔質合成フルオロポリマー膜および前記細孔を充填するエラストマーまたはエラストマー材料を含む複合材料、ならびに前記複合材料の少なくとも一部分の上の、約27~約32重量パーセントのパーフルオロメチルビニルエーテルおよび約73~約68重量パーセントのテトラフルオロエチレンをそれぞれ含むTFE-PMVEコポリマーを含む、態様1~8のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様10)
近位端部と遠位端部を含む弁尖フレームサブコンポーネントと、
近位端部と遠位端部を有するアンカーフレームサブコンポーネントと、
前記弁尖フレームサブコンポーネントおよび前記アンカーフレームサブコンポーネントに結合された中間段と、
を含む、送達構成とインサイチュでの展開構成の間で遷移可能な人工弁であって、
前記アンカーフレームサブコンポーネントは近位端部と遠位端部を含んでおり、
前記送達構成に位置する場合、前記弁尖フレームサブコンポーネントおよび前記アンカーフレームサブコンポーネントは長手方向に互いにオフセットされて、前記弁尖フレームサブコンポーネントの前記近位端部は前記アンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置するようになっており、
前記インサイチュでの展開構成まで遷移した場合に、前記弁尖フレームサブコンポーネントは前記アンカーフレームサブコンポーネントによって画定された内部領域の内部で入れ子にされる、人工弁。
(態様11)
前記インサイチュでの展開構成まで遷移した場合に、前記弁尖フレームサブコンポーネントの近位端部が前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部の近位に位置する、態様10に記載の人工弁。
(態様12)
前記中間段が、この中間段の内側表面を画定する内側フィルム層および前記中間段の外側表面を画定する外側フィルム層を含み、前記内側フィルム層および前記外側フィルム層が、少なくとも前記弁フレームサブコンポーネントの前記近位端部および前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部において共に結合されており、前記内側フレームフィルムが、前記アンカーフレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの内側アパーチャを画定し、前記外側フィルム層が前記弁フレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの外側アパーチャを画定し、前記内側フィルム層と前記外側フィルム層は、前記弁フレームサブコンポーネントが前記アンカーフレームサブコンポーネント内に入れ子にされていない場合には内部を通る血液の流れを可能にするように動作可能でかつ前記弁フレームサブコンポーネントが前記アンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされている場合には流れを制限するように動作可能であるそれらの間の流れ空間を画定するように、少なくとも前記内側アパーチャのうちの1つと前記外側アパーチャのうちの1つとの間で結合されていない、態様10~1
1のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様13)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な入れ子保持要素をさらに含む、態様10~12のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様14)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な、前記弁フレームの前記近位端部を前記アンカーフレームの前記遠位端部に結合する相互連結支柱の形をした入れ子保持要素をさらに含む、態様10~12のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様15)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な、前記弁フレームの前記近位端部および前記アンカーフレームの前記遠位端部の間の前記中間段に結合されるものの前記近位端部または前記遠位端部には結合されない連続波状要素の形をした入れ子保持要素をさらに含む、態様10~12のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様16)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な、前記弁フレームの前記近位端部および前記アンカーフレームの前記遠位端部の間の前記中間段に結合されるものの前記近位端部または前記遠位端部には結合されない複数の細長い要素の形をした入れ子保持要素をさらに含む、態様10~12のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様17)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な細長い補剛フィーチャを含むフィルムまたは織物をさらに含む、態様10~12のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様18)
前記アンカーフレームが、組織と係合するために動作可能な複数の組織固着用要素をさらに含む、態様10~17のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様19)
中を通る順方向の流れを許容するように開放しかつ逆行性の流れを阻止するように前記弁フレームサブコンポーネントを閉鎖するために動作可能な前記弁フレームサブコンポーネントに結合された複数の弁尖をさらに含み、前記弁尖が、細孔を画定する多孔質合成フルオロポリマー膜および前記細孔を充填するエラストマーまたはエラストマー材料を含む複合材料、ならびに前記複合材料の少なくとも一部分の上の、約27~約32重量パーセントのパーフルオロメチルビニルエーテルおよび約73~約68重量パーセントのテトラフルオロエチレンをそれぞれ含むTFE-PMVEコポリマーをさらに含む、態様10~18のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様20)
カテーテルと、
人工弁と、
を含む、医療装置システムであって、
前記人工弁は、
近位端部と遠位端部を含む弁尖フレームサブコンポーネントと、
アンカーフレームサブコンポーネントと、
前記弁尖フレームサブコンポーネントおよび前記アンカーフレームサブコンポーネントに結合された中間段と、
を含み、
前記アンカーフレームサブコンポーネントは近位端部と遠位端部を含んでおり、
前記人工弁は、前記弁尖フレームサブコンポーネントおよび前記アンカーフレームサブ
コンポーネントは長手方向に互いにオフセットされて、前記弁尖フレームサブコンポーネントの前記近位端部は前記アンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置することになるように、送達構成において前記カテーテルに沿って位置しており、
前記人工弁は、前記弁尖フレームサブコンポーネントは前記アンカーフレームサブコンポーネントによって画定された内部領域の内部で入れ子にされるように、インサイチュでの展開構成まで遷移可能である、医療装置システム。
(態様21)
前記インサイチュでの展開構成まで遷移した場合に、前記弁尖フレームサブコンポーネントの近位端部が前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部の近位に位置する、態様20に記載の人工弁。
(態様22)
前記中間段が、この中間段の内側表面を画定する内側フィルム層および前記中間段の外側表面を画定する外側フィルム層を含み、前記内側フィルム層および前記外側フィルム層が、少なくとも前記弁フレームサブコンポーネントの前記近位端部および前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部において共に結合されており、前記内側フレームフィルムが、前記アンカーフレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの内側アパーチャを画定し、前記外側フィルム層が前記弁フレームサブコンポーネントに隣接してそこを貫通する少なくとも1つの外側アパーチャを画定し、前記内側フィルム層と前記外側フィルム層は、前記弁フレームサブコンポーネントが前記アンカーフレームサブコンポーネント内に入れ子にされていない場合には内部を通る血液の流れを可能にするように動作可能でかつ前記弁フレームサブコンポーネントが前記アンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされている場合には流れを制限するように動作可能であるそれらの間の流れ空間を画定するように、少なくとも前記内側アパーチャのうちの1つと前記外側アパーチャのうちの1つとの間で結合されていない、態様20~22のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様23)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な入れ子保持要素をさらに含む、態様20~22のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様24)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な、前記弁フレームの前記近位端部を前記アンカーフレームの前記遠位端部に結合する相互連結支柱の形をした入れ子保持要素をさらに含む、態様20~22のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様25)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な、前記弁フレームの前記近位端部および前記アンカーフレームの前記遠位端部の間の前記中間段に結合されるものの前記近位端部または前記遠位端部には結合されない連続波状要素の形をした入れ子保持要素をさらに含む、態様20~22のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様26)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な、前記弁フレームの前記近位端部および前記アンカーフレームの前記遠位端部の間の前記中間段に結合されるものの前記近位端部または前記遠位端部には結合されない複数の細長い要素の形をした入れ子保持要素をさらに含む、態様20~22のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様27)
前記中間段が、前記アンカーフレームサブコンポーネントと前記弁フレームサブコンポーネントの前記入れ子構成を維持するために動作可能な細長い補剛フィーチャを含むフィルムまたは織物をさらに含む、態様20~26のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様28)
前記アンカーフレームが、組織と係合するために動作可能な複数の組織固着用要素をさらに含む、態様20~27のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様29)
中を通る順方向の流れを許容するように開放しかつ逆行性の流れを阻止するように前記弁フレームサブコンポーネントを閉鎖するために動作可能な前記弁フレームサブコンポーネントに結合された複数の弁尖をさらに含み、前記弁尖が、細孔を画定する多孔質合成フルオロポリマー膜および前記細孔を充填するエラストマーまたはエラストマー材料を含む複合材料、ならびに前記複合材料の少なくとも一部分の上の、約27~約32重量パーセントのパーフルオロメチルビニルエーテルおよび約73~約68重量パーセントのテトラフルオロエチレンをそれぞれ含むTFE-PMVEコポリマーを含む、態様20~28のいずれか1項に記載の人工弁。
(態様30)
患者の生体構造の生来の弁を増強する方法であって、
アンカーフレームサブコンポーネントと、
アンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子可能な弁尖フレームサブコンポーネントと、
前記弁尖フレームサブコンポーネントおよび前記アンカーフレームサブコンポーネントに結合された中間段であって、前記アンカーフレームサブコンポーネントは、近位端部と、遠位端部を含む中間段と、を含む人工弁を提供することと、
患者の生体構造の内部の治療部位まで送達構成にある前記人工弁を前進させることであって、前記送達構成において前記弁尖フレームサブコンポーネントおよび前記アンカーフレームサブコンポーネントは長手方向に互いにオフセットされて、前記弁尖フレームサブコンポーネントの前記近位端部は前記アンカーフレームサブコンポーネントの遠位端部の遠位に位置するようになっていることと、
前記弁尖フレームサブコンポーネントと前記アンカーフレームサブコンポーネントの間の相対的位置を変更することによって前記アンカーフレームサブコンポーネントの内部で前記弁尖フレームサブコンポーネントを入れ子にすることと、を含む方法。
(態様31)
前記弁尖フレームサブコンポーネントは、前記弁尖フレームサブコンポーネントの前記近位端部が前記アンカーフレームサブコンポーネントの前記遠位端部の近位に位置するように、前記外側フェームと入れ子にされる、態様30に記載の方法。
(態様32)
前記治療部位で前記人工弁を展開することをさらに含む、態様30~31のいずれか1項に記載の方法。
(態様33)
前記弁尖フレームサブコンポーネントは、前記人工弁が前記治療部位で展開された後に、前記アンカーフレームサブコンポーネントの内部で入れ子にされる、態様30~32のいずれか1項に記載の方法。
(態様34)
前記人工弁がカテーテルを介して前記治療部位まで前進させられる、態様30~33のいずれか1項に記載の方法。
(態様35)
前記アンカーフレームサブコンポーネントの内部に前記弁尖フレームサブコンポーネントを入れ子にすることには、前記アンカーフレームサブコンポーネントに対して近位に前記弁尖フレームサブコンポーネントを引込むことが含まれる、態様30~34のいずれか1項に記載の方法。
(態様36)
流体の流れが可能になっている開放位置と流体の流れが閉塞されている閉鎖位置との間で遷移するように前記人工弁が動作可能になるように、前記人工弁を前記生来の弁の弁開
口部にしっかり固定することをさらに含む、態様30~36のいずれか1項に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16