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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両の変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 9/18 20060101AFI20231212BHJP
   B62M 9/08 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
F16H9/18 Z
B62M9/08 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022047401
(22)【出願日】2022-03-23
(65)【公開番号】P2023141200
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 惇
(72)【発明者】
【氏名】掛水 賢一郎
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-83665(JP,A)
【文献】特開2008-133935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 9/18
B62M 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機ケース(32)に支持され、前記変速機ケース(32)から車幅方向外側に延びる回転軸(37)と、前記回転軸(37)上に回転自在に設けられる従動プーリー(39)と、前記回転軸(37)上において前記従動プーリー(39)に対し車幅方向内側に配置される遠心式のクラッチ(41)とを備え、前記従動プーリー(39)が、固定シーブ(50)と、前記固定シーブ(50)に対し車幅方向外側に配置される可動シーブ(51)とを備え、前記従動プーリー(39)の回転が前記クラッチ(41)を介して前記回転軸(37)に伝達される車両の変速機において、
前記可動シーブ(51)を前記回転軸(37)の軸方向に受ける受け部材(60)が設けられ、前記受け部材(60)は、前記可動シーブ(51)に対し車幅方向外側で前記従動プーリー(39)と一体に回転可能に設けられ、
前記受け部材(60)はバランス調整部(82)を備え、前記バランス調整部(82)に形成される孔(85)によって前記回転軸(37)の回転のバランスが調整されることを特徴とする車両の変速機。
【請求項2】
前記可動シーブ(51)を前記固定シーブ(50)に向けて付勢する付勢部材(61)が設けられ、
前記受け部材(60)は、前記付勢部材(61)を介して前記可動シーブ(51)を受け、
前記受け部材(60)は、前記付勢部材(61)の車幅方向外側の端部(61a)を受けることを特徴とする請求項1記載の車両の変速機。
【請求項3】
前記受け部材(60)は、前記付勢部材(61)の前記端部(61a)を軸方向に受ける基部(81)を備え、
前記バランス調整部(82)は、前記基部(81)から径方向外側且つ車幅方向内側に向かって斜めに延出することを特徴とする請求項2記載の車両の変速機。
【請求項4】
前記バランス調整部(82)は、前記基部(81)の周縁部から前記回転軸(37)の軸方向に車幅方向内側へ延びる第1延出部(82a)と、前記第1延出部(82a)から径方向外側且つ車幅方向内側に向かって斜めに延出する第2延出部(82b)とを備え、
前記第1延出部(82a)は、前記付勢部材(61)の前記端部(61a)の外周を受け、
前記孔(85)は、前記第2延出部(82b)に形成されることを特徴とする請求項3記載の車両の変速機。
【請求項5】
前記可動シーブ(51)は、前記固定シーブ(50)の外周に嵌合する可動シーブ軸部(56)と、前記可動シーブ軸部(56)から径方向外側に延出する円板状の可動シーブ本体部(57)とを備え、
前記基部(81)から斜めに延出する前記バランス調整部(82)は、最も車幅方向外側に移動した状態の前記可動シーブ本体部(57)の車幅方向外側の端部よりも車幅方向外側に位置することを特徴とする請求項3または4記載の車両の変速機。
【請求項6】
前記変速機ケース(32)を車幅方向外側から覆うケースカバー(36)が設けられ、
前記ケースカバー(36)は、前記可動シーブ(51)側に向けて車幅方向内側に延出するリブ(36d)を備え、
前記リブ(36d)は、前記バランス調整部(82)を外周側から囲むことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の車両の変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変速機ケースから車幅方向外側に延びる回転軸と、回転軸上に回転自在に設けられる従動プーリーと、回転軸上において従動プーリーに対し車幅方向外側に配置される遠心式のクラッチとを備え、従動プーリーの回転がクラッチを介して回転軸に伝達される車両の変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、変速機ケースから車幅方向外側に延びる回転軸と、回転軸上に回転自在に設けられる従動プーリーと、回転軸上において従動プーリーに対し車幅方向内側に配置される遠心式のクラッチとを備え、従動プーリーの回転がクラッチを介して回転軸に伝達される車両の変速機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1、2では、駆動プーリーの回転がベルトを介し従動プーリーに伝達され、従動プーリー及びクラッチは高速回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-185087号公報
【文献】特開2007-64393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従動プーリーやクラッチの重量に偏りがある場合、従動プーリー及びクラッチの回転中心となる回転軸に負荷がかかる。このため、特許文献1のようにクラッチが従動プーリーに対し車幅方向外側に配置される構造では、回転軸と一体に回転するクラッチのドライブプレートを用いて回転のバランスが調整される。
しかし、特許文献2のように、クラッチが従動プーリーに対し車幅方向内側に配置される構造では、従動プーリー等が邪魔になってドライブプレートにアクセスすることが難しくなる。また、変速機の小型化のために、変速機ケースとクラッチとの間の空間を小さくすると、ドライブプレートにアクセスすることが難しくなる。このため、特許文献2の構造では、ドライブプレートを用いて回転のバランスを調整することが難しい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、クラッチが従動プーリーに対し車幅方向内側に配置される車両の変速機において、回転軸の回転のバランスを容易に調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
車両の変速機は、変速機ケースに支持され、前記変速機ケースから車幅方向外側に延びる回転軸と、前記回転軸上に回転自在に設けられる従動プーリーと、前記回転軸上において前記従動プーリーに対し車幅方向内側に配置される遠心式のクラッチとを備え、前記従動プーリーが、固定シーブと、前記固定シーブに対し車幅方向外側に配置される可動シーブとを備え、前記従動プーリーの回転が前記クラッチを介して前記回転軸に伝達される車両の変速機において、前記可動シーブを前記回転軸の軸方向に受ける受け部材が設けられ、前記受け部材は、前記可動シーブに対し車幅方向外側で前記従動プーリーと一体に回転可能に設けられ、前記受け部材はバランス調整部を備え、前記バランス調整部に形成される孔によって前記回転軸の回転のバランスが調整されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
クラッチが従動プーリーに対し車幅方向内側に配置される車両の変速機において、回転軸の回転のバランスを容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】パワーユニットの断面図である。
図3】変速機において回転軸側の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
鞍乗り型車両10(車両)は、シート17の前下方に床状のステップ28を備えるスクーター型の自動二輪車である。
パワーユニット12は、上記内燃機関とスイングアーム16とが一体に設けられたユニットスイングパワーユニットである。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11等の車体を覆う車体カバー30を備える。
【0016】
図2は、パワーユニット12の断面図である。ここで図2は、後述するクランク軸31、回転軸37、中間歯車42c、及び車軸15aを通る断面である。
クランクケース23には、車幅方向(左右方向)に延びるクランク軸31が収納される。クランク軸31は、クランクケース23の左右一対の側壁23a,23bに支持される。
パワーユニット12は、クランクケース23における左右の一方の側部から後方に延出する変速機ケース部32(変速機ケース)を備える。
【0017】
シリンダー部24内を往復運動するピストン33は、コンロッド(不図示)を介し、クランク軸31に接続される。
クランク軸31の軸方向の一端部は、一方の側壁23aを貫通して変速機ケース部32内に延びるプーリー支持軸部31aである。
【0018】
パワーユニット12は、クランク軸31の回転を変速して後輪15に伝達する変速機35を備える。
変速機35は、変速機ケース部32と、変速機ケース部32を車幅方向外側から覆うケースカバー36と、変速機ケース部32の後部に設けられる回転軸37と、プーリー支持軸部31aに支持される駆動プーリー38と、回転軸37に支持される従動プーリー39とを備える。
また、変速機35は、駆動プーリー38と従動プーリー39とを接続するVベルト40と、回転軸37に設けられる遠心式のクラッチ41と、回転軸37の回転を減速して車軸15aに伝達する減速機構42と、減速機構42を車幅方向内側から覆う減速機カバー43とを備える。
【0019】
変速機ケース部32は、車両前後方向に長く延びる中空のケース状である。変速機ケース部32は、鞍乗り型車両10の車幅の中央に配置される後輪15に対し左右の一方側(左側)の車幅方向外側に配置される。
詳細には、変速機ケース部32は、後輪15の外側面に沿って車両前後方向に延びる壁部32aと、車両側面視における壁部32aの周縁部から車幅方向外側に延出する周壁部32bとを備える。壁部32aの前部は、クランクケース23の側面部によって構成される。
【0020】
ケースカバー36が周壁部32bの車幅方向の外側面に取り付けられることで、変速機ケース部32内には、変速機室44が形成される。駆動プーリー38、回転軸37、従動プーリー39、及びVベルト40は、変速機室44に収納される。
変速機ケース部32及びケースカバー36は、スイングアーム16を構成する。
【0021】
プーリー支持軸部31aは、変速機ケース部32内の前部に位置する。
回転軸37は、プーリー支持軸部31aの後方において、クランク軸31と平行に配置される。すなわち、回転軸37は、車幅方向に延びる。
回転軸37は、変速機ケース部32の壁部32aに設けられるベアリング45aを介し、壁部32aによって回転自在に支持される。回転軸37は、壁部32aから車幅方向外側及び車幅方向内側に延出する。回転軸37の車幅方向外側の端部は、ケースカバー36に設けられるベアリング45bによって支持される。回転軸37の車幅方向内側の端部は、減速機カバー43に設けられるベアリング45cによって支持される。
【0022】
減速機カバー43は、壁部32aの後部に車幅方向内側から取り付けられる。減速機カバー43と壁部32aとの間の空間は、減速機構42を収納する減速機室47である。
減速機構42は、回転軸37の端部に設けられる第1歯車部42aと、車軸15aの端部に設けられる第2歯車部42bと、第1歯車部42aに噛み合う歯車部と第2歯車部42bに噛み合う歯車部とを一体に備える中間歯車42cとを備える。
【0023】
車軸15aは、回転軸37の後方に配置され、車幅方向に延びる。車軸15aは、壁部32a及び減速機カバー43に設けられるベアリングを介し、回転自在に支持される。
車軸15aは、減速機カバー43から車幅方向内側に延出する後輪固定部15bを備える。後輪15は、後輪固定部15bに固定される。
【0024】
駆動プーリー38は、クランク軸31上に設けられており、クランク軸31と一体に回転する。
駆動プーリー38は、プーリー支持軸部31aの軸端部に固定される円板状の駆動側固定シーブ38aと、プーリー支持軸部31a上で軸方向に移動可能な駆動側可動シーブ38bとを備える。駆動側可動シーブ38bは、駆動側固定シーブ38aに対し車幅方向内側に位置する。
駆動側可動シーブ38bは、クランク軸31の回転による遠心力によって移動するローラーウェイト38cに押されることで、クランク軸31の軸方向に移動する。これにより、駆動側固定シーブ38aと駆動側可動シーブ38bとの間隔が、クランク軸31の回転に応じて変化する。Vベルト40は、駆動側固定シーブ38aと駆動側可動シーブ38bとの間に挟持される。
【0025】
図3は、変速機35において回転軸37側の構造を示す断面図である。
従動プーリー39は、固定シーブ50と、回転軸37の軸方向に移動可能な可動シーブ51とを備える。
詳細には、固定シーブ50は、回転軸37の外周に嵌合する円筒状の固定シーブ軸部52と、固定シーブ軸部52から径方向外側に延出する円板状の固定シーブ本体部53とを備える。固定シーブ軸部52は、固定シーブ本体部53から車幅方向外側に延出する。
なお、固定シーブ軸部52は、固定シーブ軸部52の内側に配置されるベアリング54a及び筒状のカラー54bを介して回転軸37の外周に嵌合する。
固定シーブ50は、回転軸37上で回転自在であるとともに、回転軸37の軸方向に移動不能に設けられる。
【0026】
可動シーブ51は、固定シーブ軸部52の外周に嵌合する円筒状の可動シーブ軸部56と、可動シーブ軸部56から径方向外側に延出する円板状の可動シーブ本体部57とを備える。可動シーブ軸部56は、可動シーブ本体部57から車幅方向外側に延出する。
可動シーブ51は、固定シーブ軸部52上で回転可能であるとともに、固定シーブ軸部52上で回転軸37の軸方向に移動可能である。可動シーブ本体部57は、固定シーブ本体部53に車幅方向外側から対向する。
【0027】
固定シーブ軸部52の車幅方向外側の端部には、固定シーブ軸部52から径方向外側に延出する受け部材60が固定される。受け部材60は、可動シーブ51に対し車幅方向外側に位置する。
【0028】
変速機35は、可動シーブ51を固定シーブ50側に向けて付勢する付勢部材61を備える。付勢部材61は、従動プーリー39の軸方向に延びるコイルばねであり、このコイルばねの内側に固定シーブ軸部52及び可動シーブ軸部56は通される。従動プーリー39の軸方向は、回転軸37の軸方向に一致する。
【0029】
付勢部材61の一端部61a(車幅方向外側の端部)は受け部材60を押圧し、付勢部材61の他端部61bは可動シーブ本体部57の基端部を押圧する。付勢部材61は、受け部材60と可動シーブ本体部57との間で圧縮されており、圧縮の反力によって可動シーブ本体部57を固定シーブ本体部53に向けて付勢する。
【0030】
従動プーリー39側では、Vベルト40は、付勢部材61の付勢力によって、可動シーブ本体部57と固定シーブ本体部53との間に挟持される。
従動プーリー39の軸方向において、可動シーブ本体部57と固定シーブ本体部53との間の間隔は、可動シーブ本体部57の径方向外側に向かうに従って大きくなる。
変速機35は、駆動側可動シーブ38b及び可動シーブ51が軸方向に変位することで、Vベルト40に対し、駆動プーリー38のプーリー径及び従動プーリー39のプーリー径が変化し、変速比が無段階で変更される。
【0031】
従動プーリー39は、固定シーブ50に対する可動シーブ51の回転を可動シーブ51の軸方向の推力Fに変換するカム機構65を備える。推力Fは、可動シーブ51を従動プーリー39の軸方向に移動させる力である。
【0032】
カム機構65は、固定シーブ軸部52から径方向外側に延出する円柱状のカム部65aと、可動シーブ軸部56に設けられるカム受け部65bとを備える。カム部65aは、カム受け部65bに嵌まる。
【0033】
カム受け部65bは、可動シーブ軸部56上を直線状に延びる長孔である。カム受け部65bは、従動プーリー39の軸方向に移動するに従って可動シーブ軸部56の周方向にずれるように斜めに傾斜している。
【0034】
可動シーブ51は、カム受け部65bがカム部65aによってガイドされることで、固定シーブ50に対し相対移動可能である。
固定シーブ50に対する可動シーブ51の相対移動は、カム機構65によって所定範囲に規制される。詳細には、可動シーブ51は、カム部65aに対するカム受け部65bの可動範囲において、周方向に回転可能であり、且つ、従動プーリー39の軸方向に移動可能である。
【0035】
Vベルト40から従動プーリー39に入力される回転のトルクが変動すると、可動シーブ51は、Vベルト40によって、固定シーブ50に対し相対回転させられる。すると、可動シーブ51の相対回転は、カム機構65によって推力Fに変換され、可動シーブ51は、軸方向に移動する。これにより、可動シーブ51がVベルト40を挟持する力は変更され、トルク変動に応じて変速比を変化させることができる。
【0036】
クラッチ41は、Vベルト40によって回転させられる従動プーリー39の回転が所定の回転数を越えると、遠心力によって接続状態となり、従動プーリー39の回転を回転軸37に伝達する。
【0037】
クラッチ41は、回転軸37上において、変速機ケース部32の壁部32aと従動プーリー39との間に配置される。すなわち、クラッチ41は、回転軸37上において、従動プーリー39に対し車幅方向内側に配置される。壁部32aは、変速機ケース部32の車幅方向内側の壁部である。
【0038】
詳細には、クラッチ41は、従動プーリー39に固定される第1クラッチ部材71と、回転軸37に固定される第2クラッチ部材72とを備える。
第1クラッチ部材71は、固定シーブ軸部52の車幅方向内側の端部に固定され、固定シーブ本体部53に対し車幅方向内側に位置する。
第1クラッチ部材71は、固定シーブ軸部52の端部から径方向外側に延出する円板状の支持プレート73と、摩擦によって第2クラッチ部材72に接続される接続部材74とを備える。接続部材74は支持プレート73に支持される。
【0039】
接続部材74は、支持プレート73の径方向において、支持プレート73の外周側に寄せて配置される。接続部材74は、支持プレート73の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
接続部材74は、支持プレート73から壁部32a側に向けて回転軸37の軸方向に延出する支持軸74aと、支持軸74aに支持されるクラッチウェイト74bと、クラッチウェイト74bを付勢するクラッチスプリング74cとを備える。
【0040】
クラッチウェイト74bは、クラッチウェイト74bに設けられた孔が支持軸74aに嵌合することで、支持軸74aによって揺動自在に支持される。クラッチウェイト74bは、支持軸74aの軸中心74dを中心に揺動する。
クラッチスプリング74cは、クラッチウェイト74bがクラッチ41の径方向内側に揺動するようにクラッチウェイト74bを付勢する。
【0041】
第2クラッチ部材72は、第1クラッチ部材71に対し車幅方向内側に配置される。
第2クラッチ部材72は、回転軸37の外周に固定される筒状の中央部76と、中央部76から径方向外側に延出する円板状のベース部77と、ベース部77の周縁部から車幅方向外側に延出する筒状部78とを備える。
【0042】
第2クラッチ部材72は、中央部76が回転軸37の外周にスプライン嵌合することで回転軸37に固定される。第2クラッチ部材72は、回転軸37に対し相対回転不能であり、回転軸37と一体に回転する。
ベース部77は、接続部材74を車幅方向内側から覆う。
筒状部78は、回転軸37と同軸に配置される円筒状である。接続部材74は、筒状部78の内側に配置される。筒状部78は、クラッチウェイト74bを径方向外側から囲む。
【0043】
Vベルト40を介して従動プーリー39に回転が伝達されると、従動プーリー39は、回転軸37上で回転する。
第1クラッチ部材71は、従動プーリー39と一体に回転する。これにより、第1クラッチ部材71のクラッチウェイト74bは、回転の遠心力によってクラッチスプリング74cに抗して径方向外側に揺動し、第2クラッチ部材72の筒状部78の内周に接触する。この接触の摩擦によって、第1クラッチ部材71が第2クラッチ部材72に接続され、従動プーリー39の回転はクラッチ41を介し回転軸37に伝達される。回転軸37の回転は、減速機構42を介して後輪15に伝達される。
【0044】
変速機ケース部32は、変速機室44内で壁部32aから車幅方向外側に突出する内部壁32c(図2)を備える。
内部壁32cは、従動プーリー39及びクラッチ41に対し前方に配置される。
ケースカバー36の前後の中間部は、ケースカバー36に車幅方向外側から挿通されるカバー締結具36aによって内部壁32cに締結される。
Vベルト40は、内部壁32cの上方及び下方を通って駆動プーリー38と従動プーリー39とを接続する。
【0045】
図3を参照し、受け部材60と可動シーブ本体部57との間には、付勢部材61を保持する第1リテーナー66及び第2リテーナー67が設けられる。
第1リテーナー66は、受け部材60に取り付けられる。第1リテーナー66は、付勢部材61の一端部61a側を保持する。
第1リテーナー66は、車幅方向外側から付勢部材61の内周部に挿通される筒状部66aと、筒状部66aの端部から径方向外側に延出するフランジ部66bとを備える。
フランジ部66bは、一端部61aの車幅方向外側の端面に当接し、一端部61aを受ける。
【0046】
第2リテーナー67は、可動シーブ51に取り付けられる。第2リテーナー67は、付勢部材61の他端部61b側を保持する。
第2リテーナー67は、車幅方向内側から付勢部材61の内周部に挿通される筒状部67aと、筒状部67aの端部から径方向外側に延出するフランジ部67bとを備える。
筒状部67aは、可動シーブ軸部56の外周に嵌合し、フランジ部67bは、可動シーブ本体部57の外側面に突き当てられる。
フランジ部67bは、他端部61bの車幅方向内側の端面に当接し、他端部61bを受ける。
【0047】
受け部材60は、付勢部材61の一端部61aを回転軸37の軸方向に受ける基部81と、従動プーリー39の回転バランスの調整に使用されるバランス調整部82とを一体に備える。
回転軸37の軸方向は、付勢部材61の軸方向及び固定シーブ軸部52の軸方向に一致する。
基部81は、回転軸37の軸方向に対し直交する円板状である。基部81の中心には、嵌合孔81aが形成される。
【0048】
固定シーブ軸部52の車幅方向外側の端部には、受け部材60が固定される固定部83が設けられる。固定部83は、嵌合孔81aが嵌合する固定軸部83aと、基部81が回転軸37の軸方向に突き当てられる段部83bとを備える。
基部81は、嵌合孔81aを介し固定軸部83aに車幅方向外側から嵌合し、段部83bに突き当てられる。基部81は、固定シーブ軸部52から径方向外側に延出する。
固定軸部83aには、ナット84が締結される。受け部材60は、ナット84と段部83bとの間に挟持される。受け部材60は、固定シーブ50に対し相対回転不能であり、固定シーブ50と一体に回転する。
【0049】
バランス調整部82は、基部81の周縁部から車幅方向内側に延出する円筒状である。
バランス調整部82は、基部81の周縁部から回転軸37の径方向外側且つ車幅方向内側に向かって斜めに延出する。このため、円筒状のバランス調整部82の内径及び外径は、車幅方向内側に向かうに従って大径になる。
【0050】
詳細には、バランス調整部82は、基部81の周縁部から回転軸37の軸方向に車幅方向内側へ延びる第1延出部82aと、第1延出部82aから径方向外側且つ車幅方向内側に向かって斜めに延出する第2延出部82bとを備える。
【0051】
第1リテーナー66は、フランジ部66bが第1延出部82aの内周部に嵌合するとともに、フランジ部66bが基部81に当接することで、受け部材60に組み付けられる。
第1リテーナー66及び付勢部材61は、バランス調整部82の内側に配置される。
基部81は、付勢部材61の一端部61aを、フランジ部66bを介して軸方向に受ける。
また、第1延出部82aの内周部は、一端部61aの外周に当接し、一端部61aを径方向に受ける。付勢部材61の一端部61aは、基部81及び第1延出部82aを介し、適正な位置に位置決めされる。
【0052】
変速機35の組み立ての際には、回転軸37上に、クラッチ41、従動プーリー39、及び受け部材60等を組み付けた状態で、回転軸37を回転させ、回転軸37の回転のバランスが計測される。そして、この計測結果に基づいて、回転のバランスが調整される。
回転のバランスの調整は、バランス調整部82に孔85を形成し、バランス調整部82の重量バランスを調整することで行われる。孔85は、第2延出部82bに形成される。
孔85による調整としては、バランス調整部82上において、孔85の位置をバランス調整部82の周方向に変更することができ、また、孔85の位置を回転軸37の軸方向に変更することもできる。また、孔85による調整として、孔85の大きさを変更することもできる。孔85は、1か所、或いは、複数個所に形成されることができる。図3では、孔85は、バランス調整部82を貫通する孔であるが、孔85は、バランス調整部82を貫通しない止まり穴であっても良い。
【0053】
バランス調整部82は、従動プーリー39に対し車幅方向外側に位置するため、車幅方向外側から容易にアクセスされることができる。このため、作業者等は、バランス調整部82に車幅方向外側から容易にアクセスして、バランス調整部82に孔85を形成でき、回転軸37の回転のバランスを容易に調整できる。
第1延出部82aから径方向外側且つ車幅方向内側に向かって斜めに延出する第2延出部82bに孔85が形成されるため、バランス調整部82を径方向にコンパクト化しながらバランス調整部82の面積を大きく確保できる。このため、孔85の配置の自由度が高い。
また、斜めに延出する第2延出部82bに孔85が形成されるため、孔85の位置を径方向及び車幅方向に調整でき、孔85の配置の自由度が高い。
【0054】
図3には、最も車幅方向外側に可動シーブ51が移動した状態が仮想線で図示される。
バランス調整部82の車幅方向内側の端部82cは、最も車幅方向外側に移動した可動シーブ本体部57の車幅方向外側の端部に対し、距離Lだけ車幅方向外側に離間している。
このため、バランス調整部82が可動シーブ本体部57に接触することが抑制される。
ここで、図3の仮想線の可動シーブ51は、カム受け部65bの車幅方向内側の端部がカム部65aに当接することで、車幅方向外側への移動を規制される。
バランス調整部82の端部82cは、カム部65aの中心軸に対し、車幅方向外側に位置する。
【0055】
図2を参照し、ケースカバー36は、変速機ケース部32の壁部32aに対向するカバー側壁部36bと、カバー側壁部36bの周縁部から車幅方向内側に延出するカバー周壁部36cとを備える。カバー周壁部36cの端面は、周壁部32bの外側面に合わさる。
ケースカバー36は、カバー側壁部36bの内面から車幅方向内側に延出するリブ36dを備える。リブ36dは、回転軸37の軸方向視では、環状である。
リブ36dは、バランス調整部82を、バランス調整部82の外周側から囲む。
リブ36dは、バランス調整部82を囲むことで、バランス調整部82の回転によって発生する音が変速機35の外側に漏れることを抑制する。また、リブ36dは、ケースカバー36を補強する。
【0056】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、鞍乗り型車両10の変速機35は、変速機ケース部32に支持され、変速機ケース部32から車幅方向外側に延びる回転軸37と、回転軸37上に回転自在に設けられる従動プーリー39と、回転軸37上において従動プーリー39に対し車幅方向内側に配置される遠心式のクラッチ41とを備え、従動プーリー39が、固定シーブ50と、固定シーブ50に対し車幅方向外側に配置される可動シーブ51とを備え、従動プーリー39の回転がクラッチ41を介して回転軸37に伝達される。可動シーブ51を回転軸37の軸方向に受ける受け部材60が設けられ、受け部材は、可動シーブ51に対し車幅方向外側で従動プーリー39と一体に回転可能に設けられ、受け部材60はバランス調整部82を備え、バランス調整部82に形成される孔85によって回転軸37の回転のバランスが調整される。
この構成によれば、従動プーリー39の可動シーブ51に対し車幅方向外側に配置される受け部材60のバランス調整部82には、車幅方向外側から容易にアクセスできる。このため、従動プーリー39に対し車幅方向内側にクラッチ41が配置された場合であっても、アクセスし易いバランス調整部82に孔85を形成し、回転軸37の回転のバランスを容易に調整できる。
【0057】
また、可動シーブ51を固定シーブ50に向けて付勢する付勢部材61が設けられ、受け部材60は、付勢部材61を介して可動シーブ51を受け、受け部材60は、付勢部材61の車幅方向外側の端部である一端部61aを受ける。
この構成によれば、付勢部材61を受ける受け部材60を利用してバランス調整部82を設けることができ、構造を簡略化できる。
【0058】
また、受け部材60は、付勢部材61の一端部61aを軸方向に受ける基部81を備え、バランス調整部82は、基部81から径方向外側且つ車幅方向内側に向かって斜めに延出する。
この構成によれば、バランス調整部82が径方向外側及び車幅方向内側に斜めに延びるため、バランス調整部82に形成される孔85の配置の自由度を高くできる。このため、回転軸37の回転のバランスを良好に調整できる。
【0059】
さらに、バランス調整部82は、基部81の周縁部から回転軸37の軸方向に車幅方向内側へ延びる第1延出部82aと、第1延出部82aから径方向外側且つ車幅方向内側に向かって斜めに延出する第2延出部82bとを備え、第1延出部82aは、付勢部材61の一端部61aの外周を受け、孔85は、第2延出部82bに形成される。
この構成によれば、第1延出部82aが付勢部材61の一端部61aの外周を受けるため、受け部材60によって付勢部材61を良好に受けることができる。また、第2延出部82bにバランス調整用の孔85が設けられるため、孔85が受け部材60による付勢部材61の支持に影響することを抑制できる。
【0060】
また、可動シーブ51は、固定シーブ50の外周に嵌合する可動シーブ軸部56と、可動シーブ軸部56から径方向外側に延出する円板状の可動シーブ本体部57とを備え、基部81から斜めに延出するバランス調整部82は、最も車幅方向外側に移動した状態の可動シーブ本体部57の車幅方向外側の端部よりも車幅方向外側に位置する。
この構成によれば、バランス調整部82が可動シーブ本体部57に接触しない範囲で、バランス調整部82を車幅方向に長く設けることができ、バランス調整部82に形成される孔85の配置の自由度を高くできる。
【0061】
また、変速機ケース部32を車幅方向外側から覆うケースカバー36が設けられ、ケースカバー36は、可動シーブ51側に向けて車幅方向内側に延出するリブ36dを備え、リブ36dは、バランス調整部82を外周側から囲む。
この構成によれば、バランス調整部82を外周側から囲むリブ36dによって、バランス調整部82の回転による音を低減できる。また、バランス調整部82が径方向外側及び車幅方向内側に斜めに延びるため、リブ36dによってバランス調整部82が外周側から囲まれる構造であっても、バランス調整部82の長さを大きく確保できる。
【0062】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、自動二輪車に搭載される変速機35を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備える3輪の車両の変速機、及び4輪以上を備える車両の変速機に適用可能である。
【0063】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0064】
(構成1)変速機ケースに支持され、前記変速機ケースから車幅方向外側に延びる回転軸と、前記回転軸上に回転自在に設けられる従動プーリーと、前記回転軸上において前記従動プーリーに対し車幅方向内側に配置される遠心式のクラッチとを備え、前記従動プーリーが、固定シーブと、前記固定シーブに対し車幅方向外側に配置される可動シーブとを備え、前記従動プーリーの回転が前記クラッチを介して前記回転軸に伝達される車両の変速機において、前記可動シーブを前記回転軸の軸方向に受ける受け部材が設けられ、前記受け部材は、前記可動シーブに対し車幅方向外側で前記従動プーリーと一体に回転可能に設けられ、前記受け部材はバランス調整部を備え、前記バランス調整部に形成される孔によって前記回転軸の回転のバランスが調整されることを特徴とする車両の変速機。
この構成によれば、従動プーリーの可動シーブに対し車幅方向外側に配置される受け部材のバランス調整部には、車幅方向外側から容易にアクセスできる。このため、従動プーリーに対し車幅方向内側にクラッチが配置された場合であっても、アクセスし易いバランス調整部に孔を形成し、回転軸の回転のバランスを容易に調整できる。
【0065】
(構成2)前記可動シーブを前記固定シーブに向けて付勢する付勢部材が設けられ、前記受け部材は、前記付勢部材を介して前記可動シーブを受け、前記受け部材は、前記付勢部材の車幅方向外側の端部を受けることを特徴とする構成1記載の車両の変速機。
この構成によれば、付勢部材を受ける受け部材を利用してバランス調整部を設けることができ、構造を簡略化できる。
【0066】
(構成3)前記受け部材は、前記付勢部材の前記端部を軸方向に受ける基部を備え、前記バランス調整部は、前記基部から径方向外側且つ車幅方向内側に向かって斜めに延出することを特徴とする構成2記載の車両の変速機。
この構成によれば、バランス調整部が径方向外側及び車幅方向内側に斜めに延びるため、バランス調整部に形成される孔の配置の自由度を高くできる。このため、回転軸の回転のバランスを良好に調整できる。
【0067】
(構成4)前記バランス調整部は、前記基部の周縁部から前記回転軸の軸方向に車幅方向内側へ延びる第1延出部と、前記第1延出部から径方向外側且つ車幅方向内側に向かって斜めに延出する第2延出部とを備え、前記第1延出部は、前記付勢部材の前記端部の外周を受け、前記孔は、前記第2延出部に形成されることを特徴とする構成3記載の車両の変速機。
この構成によれば、第1延出部が付勢部材の端部の外周を受けるため、受け部材によって付勢部材を良好に受けることができる。また、第2延出部にバランス調整用の孔が設けられるため、バランス調整用の孔が受け部材による付勢部材の支持に影響することを抑制できる。
【0068】
(構成5)前記可動シーブは、前記固定シーブの外周に嵌合する可動シーブ軸部と、前記可動シーブ軸部から径方向外側に延出する円板状の可動シーブ本体部とを備え、前記基部から斜めに延出する前記バランス調整部は、最も車幅方向外側に移動した状態の前記可動シーブ本体部の車幅方向外側の端部よりも車幅方向外側に位置することを特徴とする構成3または4記載の車両の変速機。
この構成によれば、バランス調整部が可動シーブ本体部に接触しない範囲で、バランス調整部を車幅方向に長く設けることができ、バランス調整部に形成される孔の配置の自由度を高くできる。
【0069】
(構成6)前記変速機ケースを車幅方向外側から覆うケースカバーが設けられ、前記ケースカバーは、前記可動シーブ側に向けて車幅方向内側に延出するリブを備え、前記リブは、前記バランス調整部を外周側から囲むことを特徴とする構成3から5のいずれかに記載の車両の変速機。
この構成によれば、バランス調整部を外周側から囲むリブによって、バランス調整部の回転による音を低減できる。また、バランス調整部が径方向外側及び車幅方向内側に斜めに延びるため、リブによってバランス調整部が外周側から囲まれる構造であっても、バランス調整部の長さを大きく確保できる。
【符号の説明】
【0070】
10 鞍乗り型車両(車両)
32 変速機ケース部(変速機ケース)
35 変速機
36 ケースカバー
36d リブ
37 回転軸
39 従動プーリー
41 クラッチ
50 固定シーブ
51 可動シーブ
56 可動シーブ軸部
57 可動シーブ本体部
60 受け部材
61 付勢部材
61a 一端部(車幅方向外側の端部)
81 基部
82 バランス調整部
82a 第1延出部
82b 第2延出部
85 孔
図1
図2
図3