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特許7401596シーブベッド迂回路を有するO2濃縮器およびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】シーブベッド迂回路を有するO2濃縮器およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20231212BHJP
   C01B 13/02 20060101ALI20231212BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61M16/10 B
C01B13/02 A
B01D53/04
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022084992
(22)【出願日】2022-05-25
(62)【分割の表示】P 2020086518の分割
【原出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2022126656
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】62/851,204
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/874,472
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520172384
【氏名又は名称】ブレス テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トム ウエストフォール
(72)【発明者】
【氏名】エンリコ ブランビラ
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0099570(US,A1)
【文献】特表2012-519542(JP,A)
【文献】国際公開第2019/070136(WO,A1)
【文献】特表2011-502547(JP,A)
【文献】特表2014-521366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/10
C01B 13/02
B01D 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンチレータによって患者に送られる高酸素濃度のガスと患者用換気インタフェースにより取り込まれる環境大気の総流量に基づいて、前記ベンチレータに接続された酸素濃縮器を制御する方法であって、
流量センサが、前記ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースの1つまたは複数のノズルによって吐出される前記高酸素濃度のガスの流量を測定し、前記患者用換気インタフェースは、前記1つまたは複数のノズルに加えて、前記患者に送るための追加の環境大気を取り込むための1つまたは複数の開口を含み、
圧力センサが、前記患者用換気インタフェース内の圧力を測定し、
コントローラが、前記測定された流量と前記測定された圧力とに基づいて、前記総流量を決定することを含み、前記総流量は、前記1つまたは複数のノズルによって吐出される高酸素濃度のガスの流量と、前記1つまたは複数の開口から取り込まれる環境大気の取込流量とを含む、方法。
【請求項2】
複数のノズル形状のそれぞれに関連した1つまたは複数の定数を格納することをさらに含み、
前記1つまたは複数のノズルは、前記複数のノズル形状の1つに対応したノズル形状を有し、
前記総流量の決定は、前記測定された流量、前記測定された圧力および前記1つまたは複数のノズルの前記ノズル形状に関連して格納された前記1つまたは複数の定数に基づいて、前記総流量を計算することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のノズル形状のそれぞれについて、前記関連する1つまたは複数の定数が、そのノズル形状を有するノズルのある患者用換気インタフェースに配置されたメモリに格納し、
前記総流量の決定は、前記ベンチレータに接続された前記患者用換気インタフェースに格納されている前記1つまたは複数の定数を読み取ることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コントローラが、前記決定された総流量に基づいて、前記ベンチレータに接続された酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記コントローラが、前記決定された総流量を時間で積分することにより、総一回吸気量を計算することをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記コントローラが、前記計算で求められた総一回吸気量に基づいて、前記ベンチレータに接続された酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コントローラが、
前記測定された流量を時間積分することで、前記1つまたは複数のノズルによって吐出される前記高酸素濃度のガスの一回吸気量を計算し、
前記決定された総流量と前記測定された流量との差である取込流量を時間積分することで、取込空気の一回吸気量を計算し、
前記1つまたは複数のノズルから吐出される前記高酸素濃度のガスの前記一回吸気量と前記取込空気の一回吸気量とに基づいて、前記患者の吸入酸素分画%FiOを計算することをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記コントローラが、前記計算で求められた%FiOに基づいて、前記ベンチレータに接続された酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含む、請求項7項に記載の方法。
【請求項9】
ベンチレータによって患者に送られる高酸素濃度のガスと環境大気の総流量に基づいて、前記ベンチレータに接続された酸素濃縮器を制御するための動作を行うためにプロセッサまたはプログラム可能な回路によって実行可能な命令が格納された非一時的なプログラム記憶媒体であって、
前記動作は、
前記ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースの1つまたは複数のノズルによって吐出される前記高酸素濃度のガスの流量を測定し、前記患者用換気インタフェースは、前記1つまたは複数のノズルに加えて、前記患者に送るための追加の環境大気を取り込むための1つまたは複数の開口を含み、
前記患者用換気インタフェース内の圧力を測定し、
前記測定された流量と前記測定された圧力とに基づいて、前記総流量を決定することを含み、前記総流量は、前記1つまたは複数のノズルによって吐出される高酸素濃度のガスの流量と、前記1つまたは複数の開口から取り込まれる環境大気の取込流量とを含む、プログラム記憶媒体。
【請求項10】
請求項9に記載の前記非一時的なプログラム記憶媒体と、
前記命令を実行するためのプロセッサまたはプログラム可能な回路と、
流量センサと、
圧力センサとを含み、
前記流量の測定は、前記流量センサと通信することを含み、
前記圧力の測定は、前記圧力センサと通信することを含む、ベンチレータ。
【請求項11】
請求項10に記載の前記ベンチレータと、
前記ベンチレータに接続された酸素濃縮器とを含み、
前記動作は、
前記決定された総流量に基づいて、前記ベンチレータから前記酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含む、換気システム。
【請求項12】
前記酸素濃縮器は、前記ベンチレータから送信される前記信号に応答して制御信号を発生させるように動作可能なコントローラを含み、前記コントローラによって発生する前記制御信号は、前記酸素濃縮器のプロダクトタンクへの、加圧された環境大気の流入を選択的に可能にする、請求項11に記載の換気システム。
【請求項13】
前記コントローラによって発生する前記制御信号は、前記酸素濃縮器のバルブユニットを動作させ、前記ベンチレータから送信される前記信号に従って前記プロダクトタンク内のあらかじめ設定された酸素濃度を維持する、請求項12に記載の換気システム。
【請求項14】
前記コントローラによって発生する前記制御信号は、前記バルブユニットを動作させ、前記加圧された環境大気の流れが前記酸素濃縮器の1つまたは複数のシーブベッドを迂回できるようにする、請求項13に記載の換気システム。
【請求項15】
前記コントローラによって発生する前記制御信号は、前記酸素濃縮器のコンプレッサを動作させ、前記ベンチレータから送信される前記信号に従って前記プロダクトタンク内のあらかじめ設定された酸素濃度を維持する、請求項12に記載の換気システム。
【請求項16】
前記コントローラによって発生する前記制御信号は、前記酸素濃縮器の外部にあるコンプレッサを動作させ、前記ベンチレータから送信される前記信号に従って前記プロダクトタンク内のあらかじめ設定された酸素濃度を維持する、請求項12に記載の換気システム。
【請求項17】
前記動作は、
前記ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースの1つまたは複数のノズルによって吐出される高酸素濃度のガスの流量の複数の測定値のそれぞれについて、前記患者用換気インタフェース内の圧力の複数の測定値に対応する総流量の複数の測定値を格納することをさらに含み、
前記総流量の決定は、前記測定された圧力と、実測流量について格納された前記総流量の複数の測定値との比較結果に基づいて、前記総流量を推定することを含む、請求項11~16のいずれか1項に記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
==関連出願へのクロスリファレンス==
本出願は、発明の名称を「O2 CONCENTRATOR WITH SIEVE BED BYPASS AND CONTROL METHOD THEREOF(シーブベッド迂回路を有するO2濃縮器およびその制御方法)」として2019年5月22日に出願された米国特許仮出願第62/851,204号に関し、当該仮出願の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を明示的に本明細書に援用する。
【0002】
1.発明の属する技術分野
【0003】
本開示は、広義には酸素濃縮器に関し、特に、ベンチレータによって患者に送られる高酸素濃度ガスを作り出すように構成された酸素濃縮器に関する。
【背景技術】
【0004】
2.関連出願の説明
【0005】
広範囲にわたる臨床状態で、何らかの形態の換気療法が必要とされる場合があり、そのような換気療法では、ベンチレータから患者の気道に送られる加圧ガスの流れによって、患者の呼吸動作を助けている。これらの状態として、低酸素血症、様々な形態の呼吸不全、気道障害などがあげられる。うっ血性心不全や神経筋疾患など、換気療法を必要とする非呼吸器疾患および非気道疾患もある。
【0006】
長期にわたる換気療法を必要とする多くの患者の生活の質を改善するために、小型で携帯可能な換気システムが開発されてきた。これらのシステムのうちのいくつか、例えばBreathe Technologies,Inc.のLife2000(登録商標)システムなどは、非常に軽量かつコンパクトであるため、拡張範囲またはスタンドアロンの構成であれば、患者が装着することができる。これらのシステムの動作には、加圧された換気ガスの供給源が用いられる。固定式または拡張範囲の構成では、加圧ガスの供給源は、患者の自宅に保管できる固定式のコンプレッサユニットであってもよい。通常は患者が家の外にいるときに使用できるスタンドアロンの構成では、携帯式でウェアラブルなベンチレータは、一般に、加圧ガスボンベまたは携帯式のコンプレッサからその換気ガスを受け取る。
【0007】
上記の臨床状態および他の臨床状態の多くは、酸素補充療法を必要とするか、酸素補充療法から利益を得ることができる。そのような方法では、追加の酸素が存在することで、患者の気道に導入されるガスが増え、患者は、大気濃度を超える酸素レベルのガスを吸入する(湿度0%で20.9%)。酸素補充療法では、一般に圧縮酸素ボンベもしくは極低温酸素ボンベまたは酸素ガス発生器である酸素ガス供給源から、患者が補充酸素ガスを受け取る必要がある。長年にわたり、移動することを望む患者は酸素ボンベに依存していた。しかしながら、近年、バッテリー技術の小型化と改良により、携帯型酸素濃縮器が開発されている。
【0008】
携帯型酸素濃縮器は、一般に、圧力スイング吸着(PSA)によって動作する。この方法では、環境大気をコンプレッサによって加圧し、吸着剤シーブベッドに通す。シーブベッドは一般にゼオライトで形成され、酸素が通過する際に、高圧であれば窒素を優先的に吸着する。シーブベッドが窒素吸着限界に達したら、圧力を下げればよい。この圧力低下によって、吸着された窒素が離脱してパージできるようになり、窒素を再吸着できる再生済みのシーブベッドが残る。この操作を繰り返すことで、酸素濃度の高いガスを発生させることができる。一般に、携帯型酸素濃縮器は、シーブベッドが少なくとも2つあるため、一方の動作時に他方は窒素がパージされて排出される。昨今の一般的な携帯型酸素濃縮器では、純度約87~96%の酸素が豊富な酸素ガスを出力する。(特に呼吸器疾患を患っている個人によって)携帯型とみなすことのできる昨今の既存の酸素濃縮器には、一般に2つのタイプがある。大きくて重い最初のタイプは、通常、連続流の供給が可能である。このタイプのモデルの重量は一般に5~10kgであり、最大流量は約5~6リットル/分以下で、通常はホイールとハンドルのある構成で、スーツケースのような見た目のことも多い。2番目のタイプは、サッチェル、ハンドバッグまたはバックパックでの持ち運びや着用に適した軽量ユニットである。このタイプのモデルの重量は一般に2.5kg未満であり、通常、最大流量が約2リットル/分以下のパルス供給モードに制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
加圧酸素ボンベには継続的な補充または交換が必要であるため、加圧酸素ボンベと比較して、携帯型酸素濃縮器にはコストと利便性の点でかなりの利点がある。また、携帯型酸素濃縮器は、加圧酸素ボンベよりもはるかに安全であると考えられている。こうした安全面は患者の生活の質に大きな影響を与える可能性がある。なぜなら、携帯型酸素濃縮器の多くは、民間航空機での旅行者による使用がFAAで承認されているのに対し、酸素ボンベは一般に、民間のフライトでは禁止されているためである。その結果、加圧酸素ボンベを装着した患者は、航空会社で事前に費用と時間のかかる準備をするか、航路による旅行を完全に控えなければならない。
【0010】
呼吸動作を助ける必要のない状態の患者であれば、換気療法なしの酸素補充療法だけで十分な場合もある。しかしながら、多くの患者にとって、換気療法と酸素補充療法を併用するほうが最適な治療になり得る。健康な患者では、呼吸動作を行うのに十分な換気には、通常、静止状態で5~8L/分の分時換気量が必要であり、軽い運動を伴う場合は2倍になる場合があり、激しい運動になると40L/分を超える場合がある。呼吸器疾患を患っている患者では、必要な値がかなり大きくなる場合があり、瞬間値もかなり大きくなる場合がある。このような患者には軽い運動も必要な場合が多いため、患者が家の外にいて携帯性を必要とする際には特に当てはまる。
【0011】
このように、多くの場合、既存の携帯型酸素濃縮器は、追加の圧縮ガス供給源なしでウェアラブルの携帯型ベンチレータと併用できるだけの高い圧力および/または体積でガスを出力しない事実により、併用モードでの治療を好む患者は、実質的に制約を受けることがわかる。したがって、最大限の携帯性が望まれる場合、これらの患者は、携帯型酸素濃縮器の実質的な利点を放棄して(換気療法に必要な高圧と流量で酸素ガスを出力できる酸素ボンベ)に戻るか、携帯型酸素濃縮器、携帯型のコンプレッサおよびウェアラブルベンチレータが一緒になった、携帯型コンプレッサを持つようにしなければならない。
【0012】
複合型の酸素補充/換気システムを提供しようとする既存のシステムおよび方法には、実質的に欠点がある。例えば、米国特許出願公開第2017/0340851号および同第2018/0001048号には、機械的なベンチレータにプロダクトガスのより一定した流れを提供するという明細書に記載された目的のために、酸素濃縮器のプロダクトタンクの下流にアキュムレータタンクを追加することが説明されている。米国特許出願公開第2017/0113013号には、酸素濃縮器がベンチレータ(間欠的な自発群発波における酸素濃縮器の酸素を豊富に含むガスの利用を特徴とする場合がある)に流体接続されているか否かを決定するために、プロダクトタンク圧力と出力流量測定を用いることが説明されている。そうである場合、酸素濃縮器の弁またはポンプは、ベンチレータの供給ガス要件を満たすように、プロダクトタンクの圧力またはガス流量を増減するように制御される。このようなシステムは通常、プロダクトタンクの圧力が何らかの閾値を下回らないようにするなど、ベンチレータのコース要求を満たすことのみを目的としていると理解することができる。いずれも、換気療法を受けている患者の特定の需要を満たすことはできない。米国特許出願公開第2017/0113013号では、患者の状態のインジケータを決定することが考えられているが、この決定は、単に濃縮器内での測定結果に基づいているにすぎず、大まかな概算にすぎない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示では、関連技術に付随する上述した欠点を克服するための様々なシステム、方法および装置が考えられる。本開示の実施形態の一態様は、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドであって、空気から窒素を除去し、それぞれの出口で濃縮酸素ガスを作り出すように動作可能な1つまたは複数の吸着剤シーブベッドと、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドのそれぞれの出口と流体接続されたプロダクトタンクと、環境大気を加圧するように動作可能なコンプレッサと、コンプレッサから、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドのそれぞれの入口までの1本または複数本のシーブベッド流路と、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドを迂回する、コンプレッサからプロダクトタンクまでのバイパス流路と、制御信号に応答して、コンプレッサからの加圧された環境大気の流れを、選択的に、1本または複数本のシーブベッド流路に沿って送るか、バイパス流路に沿って送ることができるように動作可能なバルブユニットと、を含む酸素濃縮器である。
【0014】
バルブユニットは、1つ以上のON/OFF弁を含んでもよく、当該バルブユニットは、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドの動作サイクルに対して、1つまたは複数のON/OFF弁の状態のタイミングを選択的に調節することにより、コンプレッサからの加圧された環境大気の、1本または複数本のシーブベッド流路に沿った流れと、バイパス流路に沿った流れを選択的に可能にしてもよい。
【0015】
バルブユニットは、1つまたは複数の比例弁を含んでもよく、当該バルブユニットは、1つまたは複数の比例弁に対する入力の大きさを選択的に調節することにより、コンプレッサからの加圧された環境大気の、1本または複数本のシーブベッド流路に沿った流れと、バイパス流路に沿った流れを選択的に可能にしてもよい。さらに、バルブユニットは、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドの動作サイクルに対して、1つまたは複数の比例弁の状態のタイミングを選択的に調節することにより、コンプレッサからの加圧された環境大気の、1本または複数本のシーブベッド流路に沿った流れと、バイパス流路に沿った流れを選択的に可能にしてもよい。
【0016】
酸素濃縮器は、制御信号を発生させるように動作可能なコントローラをさらに含んでもよい。コントローラによって発生する制御信号は、プロダクトタンク内のあらかじめ設定された酸素濃度を維持するようにバルブユニットを動作させてもよい。コントローラは、プロダクトタンクの出口に流体接続されたベンチレータによって発行されるコマンドに応答して、制御信号を発生させてもよい。
【0017】
本開示の実施形態の別の態様は、上述した酸素濃縮器および上述したベンチレータを含むシステムである。ベンチレータは、ユーザーが入力する酸素濃度に基づいて、あらかじめ設定された酸素濃度を計算してもよい。ベンチレータは、さらにベンチレータの測定された換気ガス出力に基づいて、あらかじめ設定された酸素濃度を計算してもよい。ベンチレータは、さらにベンチレータの患者用換気インタフェースにおける測定された圧力に基づいて、あらかじめ設定された酸素濃度を計算してもよい。
【0018】
ベンチレータは、ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースの1つまたは複数のノズルによって吐出されるガスの流量を測定するための流量センサと、患者用換気インタフェースにおける圧力を測定するための圧力センサと、測定された流量および測定された圧力に基づいて、コマンドを発行するように構成されたマスターコントローラと、を含んでもよい。マスターコントローラは、測定された流量および測定された圧力の関数としてのベンチレータによって送られる取込空気とガスの総流量の計算結果に基づいて、コマンドを発行するように構成されていてもよい。マスターコントローラは、測定された流量について患者用換気インタフェースにおける圧力の複数の測定値に対応して格納された、ベンチレータによって送られる取込空気とガスの総流量の複数の測定値と、測定された圧力との比較結果に基づいて、コマンドを発行するように構成されていてもよい。マスターコントローラは、測定された圧力と、測定された流量について患者用換気インタフェースにおける圧力の複数の測定値に対応して格納された、吸入酸素分画%FiOの複数の測定値との比較結果に基づいて、コマンドを発行するように構成されていてもよい。
【0019】
コントローラによって発生する制御信号は、プロダクトタンク内のあらかじめ設定された酸素濃度を維持するようにコンプレッサを動作させてもよい。
【0020】
本開示の実施形態の別の態様は、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドであって、空気から窒素を除去し、それぞれの出口で濃縮酸素ガスを作り出すように動作可能な1つまたは複数の吸着剤シーブベッドと、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドのそれぞれの出口と流体接続されたプロダクトタンクと、環境大気を加圧するように動作可能なコンプレッサと、コンプレッサから、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドのそれぞれの入口までの1本または複数本のシーブベッド流路と、上記のコンプレッサとは異なる、環境大気を加圧するように動作可能なバイパスコンプレッサと、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドを迂回する、バイパスコンプレッサからプロダクトタンクまでのバイパス流路と、バイパスコンプレッサを制御するための制御信号を発生させ、バイパスコンプレッサからの加圧された環境大気の、バイパス流路に沿った流れを選択的に可能にするように動作可能なコントローラと、を含む、酸素濃縮器である。
【0021】
本開示の実施形態の別の態様は、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドであって、空気から窒素を除去し、それぞれの出口で濃縮酸素ガスを作り出すように動作可能な1つまたは複数の吸着剤シーブベッドと、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドのそれぞれの出口と流体接続されたプロダクトタンクと、環境大気を加圧するように動作可能なコンプレッサと、コンプレッサから、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドのそれぞれの入口までの1本または複数本のシーブベッド流路と、1つまたは複数の吸着剤シーブベッドを迂回する、外部のコンプレッサ流体ポートからプロダクトタンクまでのバイパス流路と、外部のコンプレッサ流体ポートと流体接続した外部のコンプレッサを、外部のコンプレッサ信号ポート経由で制御するための制御信号を発生させるコントローラと、を含み、制御信号は、外部のコンプレッサからの加圧された環境大気の、バイパス流路に沿った流れを選択的に可能にする、酸素濃縮器である。
【0022】
本開示の実施形態の別の態様は、上記の酸素濃縮器と、酸素濃縮器を収容する酸素濃縮器モジュールと、外部のコンプレッサを収容するコンプレッサモジュールとを含む、モジュール式システムである。酸素濃縮器モジュールおよびコンプレッサモジュールは、単一ユニットから取り外し可能に取り付けることができる。
【0023】
本開示の実施形態の別の態様は、患者の複数の活動レベルで患者の換気および酸素補充の需要を満たすように酸素濃縮器を制御するための方法である。この方法は、環境大気がないに等しいかそれを上回る環境大気の第1の部分が、酸素濃縮器の1つまたは複数のシーブベッドによる濃縮酸素ガス出力と混ざり、第1の酸素濃度である第1の流量で濃縮器出力を発生させる第1の構成に、酸素濃縮器を移行することを含んでもよい。この方法はさらに、第1の部分よりも大きい環境大気の第2の部分が、1つまたは複数のシーブベッドによる濃縮酸素ガス出力と混ざり、第2の酸素濃度である第2の流量で濃縮器出力を発生させる第2の構成に酸素濃縮器を移行させることを含んでもよい。第2の流量は第1の流量より大きく、第2の酸素濃度は第1の酸素濃度よりも低い。
【0024】
本開示の実施形態の別の態様は、患者の複数の活動レベルで患者の換気および酸素補充の需要を満たすように酸素濃縮器を制御するための方法である。この方法は、濃縮酸素ガスがないに等しいかそれを上回る、酸素濃縮器の1つまたは複数のシーブベッドによる濃縮酸素ガス出力の第1の部分が環境大気と混ざり、第1の酸素濃度である第1の流量で濃縮器出力を発生させる第1の構成に、酸素濃縮器を移行することを含んでもよい。この方法はさらに、第1の部分よりも大きい、1つまたは複数のシーブベッドによる濃縮酸素ガス出力の第2の部分が環境大気と混ざり、第2の酸素濃度である第2の流量で濃縮器出力を発生させる第2の構成に酸素濃縮器を移行させることを含んでもよい。第2の流量は第1の流量より小さく、第2の酸素濃度は第1の酸素濃度よりも高い。
【0025】
本開示の実施形態の別の態様は、ベンチレータによって患者に送られるガスと取込空気の総流量を計算するための方法である。この方法は、複数のノズル形状のそれぞれに関連した1つまたは複数の定数を格納し、ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースの1つまたは複数のノズルであって、複数のノズル形状の1つに対応したノズル形状を有する1つまたは複数のノズルによって吐出されるガスの流量を測定し、患者用換気インタフェースの圧力を測定し、測定された流量、測定された圧力および1つまたは複数のノズルのノズル形状に関連して格納された1つまたは複数の定数に基づいて、総流量を計算することを含んでもよい。
【0026】
この方法は、計算で求められた総流量に基づいて、酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含んでもよい。
【0027】
この方法は、計算で求められた総流量を時間で積分することにより、総一回吸気量を計算することをさらに含んでもよい。この方法は、計算で求められた総一回吸気量に基づいて、酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含んでもよい。
【0028】
この方法は、実測流量を時間積分することで、1つまたは複数のノズルによって吐出されるガスの一回吸気量を計算すること、計算で求められた総流量と実測流量との差である取込流量を時間積分することで、取込空気の一回吸気量を計算すること、1つまたは複数のノズルから吐出されるガスの一回吸気量と取込空気の一回吸気量とに基づいて、患者の吸入酸素分画%FiOを計算することをさらに含んでもよい。この方法は、計算で求められた%FiOに基づいて、酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含んでもよい。
【0029】
複数のノズル形状のそれぞれについて、関連する1つまたは複数の定数が、そのノズル形状を有するノズルのある患者用換気インタフェースに配置されたメモリに格納される。総流量の計算には、ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースに格納されている1つまたは複数の定数を読み取ることを含んでもよい。
【0030】
本開示の実施形態の別の態様は、ベンチレータによって患者に送られるガスと取込空気の総流量に基づいて酸素濃縮器を制御する方法である。この方法は、ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースの1つまたは複数のノズルによって吐出されるガスの流量を測定し、患者用換気インタフェース内の圧力を測定し、測定された流量と測定された圧力とに基づいて総流量を計算し、計算で求められた総流量に基づいて、酸素濃縮器に信号を送信することを含んでもよい。
【0031】
この方法は、計算で求められた総流量を時間で積分することにより、総一回吸気量を計算することをさらに含んでもよい。信号の送信は、計算で求められた総一回吸気量に基づくものであってもよい。
【0032】
この方法は、実測流量を時間積分することで、1つまたは複数のノズルによって吐出されるガスの一回吸気量を計算すること、計算で求められた総流量と実測流量との差である取込流量を時間積分することで、取込空気の一回吸気量を計算すること、1つまたは複数のノズルから吐出されるガスの一回吸気量と取込空気の一回吸気量とに基づいて、患者の吸入酸素分画%FiOを計算することをさらに含んでもよい。信号の送信は、計算で求められた%FiOに基づくものであってもよい。
【0033】
本開示の実施形態の別の態様は、ベンチレータによって患者に送られるガスと取込空気の総流量に基づいて、酸素濃縮器を制御するための動作を行うためにプロセッサまたはプログラム可能な回路によって実行可能な命令が格納された非一時的なプログラム記憶媒体である。これらの動作には、ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースの1つまたは複数のノズルによって吐出されるガスの流量を測定し、患者用換気インタフェース内の圧力を測定し、測定された流量と測定された圧力とに基づいて、総流量を計算することを含んでもよい。
【0034】
本開示の実施形態の別の態様は、上記の非一時的なプログラム記憶媒体、命令を実行するためのプロセッサまたはプログラム可能な回路、流量センサおよび圧力センサを含むベンチレータである。流量の測定は、流量センサと通信することを含んでもよく、圧力の測定は、圧力センサと通信することを含んでもよい。
【0035】
本開示の実施形態の別の態様は、上記のベンチレータと、ベンチレータに接続された酸素濃縮器とを含む換気システムである。動作には、計算で求めた総流量に基づいて、ベンチレータから酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含んでもよい。
【0036】
酸素濃縮器は、ベンチレータから送信される信号に応答して制御信号を発生させるように動作可能なコントローラを含んでもよく、コントローラによって発生する制御信号は、酸素濃縮器のプロダクトタンクへの、加圧された環境大気の流入を選択的に可能にする。コントローラによって発生する制御信号は、酸素濃縮器のバルブユニットを動作させ、換気装置から送信される信号に従ってプロダクトタンク内のあらかじめ設定された酸素濃度を維持することができる。コントローラによって発生する制御信号は、バルブユニットを動作させ、加圧された環境大気の流れが酸素濃縮器の1つまたは複数のシーブベッドを迂回できるようにすることができる。コントローラによって発生する制御信号は、酸素濃縮器のコンプレッサを動作させ、ベンチレータから送信される信号に従ってプロダクトタンク内のあらかじめ設定された酸素濃度を維持することができる。コントローラによって発生する制御信号は、酸素濃縮器の外部にあるコンプレッサを動作させ、ベンチレータから送信される信号に従ってプロダクトタンク内のあらかじめ設定された酸素濃度を維持することができる。
【0037】
本開示の実施形態の別の態様は、患者の複数の活動レベルで患者の換気および酸素補充の需要を満たすように酸素濃縮器を制御するための方法である。この方法は、環境大気の第1の部分が、酸素濃縮器の1つまたは複数のシーブベッドによる濃縮酸素ガス出力と混ざり、第1の酸素濃度である第1の流量で濃縮器出力を発生させる第1の構成に、酸素濃縮器を移行することを含んでもよい。この方法はさらに、環境大気の第2の部分が、1つまたは複数のシーブベッドによる濃縮酸素ガス出力と混ざり、第2の酸素濃度である第2の流量で濃縮器出力を発生させる第2の構成に酸素濃縮器を移行させることを含んでもよい。第2の流量は第1の流量より大きく、第2の酸素濃度は第1の酸素濃度よりも低い。
【0038】
本開示の実施形態の別の態様は、ベンチレータによって患者に送られるガスと取込空気の総流量を推定するための方法である。この方法は、ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースの1つまたは複数のノズルによって吐出されるガスの流量の複数の測定値のそれぞれについて、患者用換気インタフェース内の圧力の複数の測定値に対応する総流量の複数の測定値を格納し、1つまたは複数のノズルから吐出されるガスの流量を測定し、患者用換気インタフェース内の圧力を測定し、測定された圧力と、実測流量について格納された総流量の複数の測定値との比較結果に基づいて、総流量を推定することを含んでもよい。
【0039】
この方法は、推定された総流量に基づいて、酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含んでもよい。
【0040】
この方法は、1つまたは複数のノズルによって吐出されるガスに含まれる酸素のパーセンテージと、推定された総流量とに基づいて、患者の吸入酸素分画%FiOを計算することをさらに含んでもよい。この方法は、計算で求められた%FiOに基づいて、酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含んでもよい。
【0041】
本開示の実施形態の別の態様は、ベンチレータから換気補助を受けている患者の吸入酸素分画%FiOを推定するための方法である。この方法は、ベンチレータに接続された患者用換気インタフェースの1つまたは複数のノズルによって吐出されるガスの流量の複数の測定値のそれぞれについて、患者用換気インタフェース内の圧力の複数の測定値に対応する%FiOの複数の測定値を格納し、1つまたは複数のノズルから吐出されるガスの流量を測定し、患者用換気インタフェース内の圧力を測定し、測定された圧力と、実測流量について格納された%FiOの複数の測定値との比較結果に基づいて、患者の%FiOを推定することを含んでもよい。
【0042】
この方法は、推定された%FiOに基づいて、酸素濃縮器に信号を送信することをさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本明細書に開示される様々な実施形態の上述した特徴や利点、他の特徴や利点は、以下の説明および図面に関してよりよく理解される。図中、同様の番号は全体を通して同様の部分を示す。
図1図1は、本開示の一実施形態による例示的な酸素濃縮器を示す。
図2図2は、ON/OFF弁を含むバイパス流路の場合における酸素濃縮器のバルブユニットを制御するための例示的な制御信号を示す。
図3図3は、比例弁を含むバイパス流路の場合における酸素濃縮器のバルブユニットを制御するための例示的な制御信号を示す。
図4図4は、別個の追加部品である専用のバイパスコンプレッサと併用するための酸素濃縮器の例を示す。
図5図5は、酸素濃縮器モジュールとコンプレッサモジュールを含む例示的なモジュール式システムを示す。
図6図6は、酸素濃縮器モジュールを含む別の例示的なモジュール式システムを示す。
図7図7は、本開示の一実施形態による例示的な換気システムを示す。
図8図8は、全体または一部をベンチレータで実行できる例示的な動作フローを示す。
図9図9は、異なる流量で計算され、測定された、ノズルのよどみ点圧力の例を示す。
図10図10は、異なる流量について計算され、測定された、ノズルの特性Paw-Q曲線の例を示す。
図11図11は、全体または一部をベンチレータで実行できる別の例示的な動作フローを示す。
図12図12は、全体または一部をベンチレータで実行できる別の例示的な動作フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、酸素濃縮器、ベンチレータならびにそれらの制御システムおよび方法の様々な実施形態を包含する。添付の図面に関連して以下に述べる詳細な説明は、現在考えられているいくつかの実施形態の説明として意図されており、開示された発明を展開または利用できる唯一の形態を表すことを意図したものではない。この説明では、例示された実施形態に関連した機能および特徴について述べる。しかしながら、同じく本開示の範囲に包含されることを意図した異なる実施形態によって、同一または等価の機能を達成できることは、理解できよう。さらに、第1、第2などの相対的な用語は、ある実体を他の実体と区別するために用いられているにすぎず、そのような実体間に必ずしも実際にそのような関係があったりそのような順序になっていたりすることを求めるものではなく、これを含意するものでもない旨も、理解される。
【0045】
図1は、本開示の一実施形態による例示的な酸素濃縮器100を示す。図示のように、ベンチレータ200が、酸素濃縮器100によって作られた高酸素濃度のガスを、患者用換気インタフェース12経由で患者13に送るように構成されている。例えば、患者13に対する処方、患者の活動レベル、ユーザーが調節可能な設定、ある瞬間における患者の呼吸の状態を含む様々な要因に応じて、ベンチレータ200は、特定の酸素濃度のガスを特定の流量(例えば、体積流量)で作り出すように酸素濃縮器100に命令することができる。その上で、ベンチレータ200は、患者13が所望の度合いで呼吸動作に対する助けを得られ、目標%FiOのガスを得られるように、環境大気がさらに患者用換気インタフェース12に取り込まれることを考慮しつつ、上述したような高酸素濃度のガスを、患者用換気インタフェース12経由で患者13に提供する。
【0046】
一般に、環境大気から高酸素濃度のガスを作り出すには、加圧空気から窒素を除去する1つまたは複数の吸着剤シーブベッド120を通して、環境大気を酸素濃縮器100のコンプレッサ110で圧送する。得られた高酸素濃度(例えば、>90%)のガスは、ベンチレータ200への送り込み用にプロダクトタンク130に流入する。より詳細には、環境大気を周期的に加圧してシーブベッド120に送り、シーブベッドで抽出された窒素廃棄物を排出するために、酸素濃縮器100のコントローラ140でバルブユニット150を制御することができる。図1に示すように、例えば、動作サイクルが逆になる2つのシーブベッド120(例えば、シーブベッドAおよびシーブベッドB)を提供し、シーブベッドBが窒素を大気に排出すると同時にシーブベッドAがプロダクトタンク130に高酸素濃度のガスを充填し、その逆になったりするようにしてもよい。
【0047】
本開示では、酸素濃縮器100を微調整して特定の酸素濃度で所望のガス流を作り出すために、こうしたプロセスを改変および/または補う様々な方法が考えられている。そのような酸素濃縮器100をベンチレータ200と併用し、患者13の変化している需要をリアルタイムで満たすことができる。
【0048】
バルブユニット150の導管と弁の配置をより詳細に参照すると、図1の例示的な酸素濃縮器100には、バルブユニット150の弁V経由でコンプレッサ110からシーブベッドAの入口に至る第1のシーブベッド流路160aと、バルブユニット150の弁V経由でコンプレッサ110からシーブベッドBの入口に至る第2のシーブベッド流路160bとが設けられていることが分かる。これらのシーブベッド流路160a、160bに加えて、酸素濃縮器100には、1つまたは複数のシーブベッド120をバイパスするバルブユニット150の弁V経由でコンプレッサ110からプロダクトタンク130に至るバイパス流路170も含まれている。弁Vを制御することにより、コントローラ140は、コンプレッサ110からの加圧された環境大気を先にシーブベッド120に通すことなく直接プロダクトタンクに流入させることができるようになる。そのような環境大気は、シーブベッド120に関連する圧力降下をなくすものであるが、これをプロダクトタンク130でシーブベッド120からの高酸素濃度のガス出力と混合することができる。環境大気とシーブベッドの出力とが混ざると、バイパス流路170を流れる環境大気の容積分が加わることで、シーブベッド120だけでプロダクトタンク130を満たすよりも短時間で混合物がプロダクトタンク130に蓄積されるが、同時に、酸素濃度も低くなる。バルブユニット150を適切に制御することにより、コントローラ140は、ベンチレータ200での需要を満たすべく、プロダクトタンク130への流量と得られるプロダクトガスの酸素濃度とを選択的に制御することができる。
【0049】
例えば、93%の酸素濃度を達成するために、バイパス流路170のない従来の酸素濃縮器のコンプレッサでは、酸素濃縮器の出力で必要とされる量の約10倍の流れを発生させなければならない場合がある。すなわち、2L/分の酸素を作り出すのに、2L/分の酸素濃縮器で20L/分の圧縮ガスを発生させなければならない場合がある。バイパス流路170を使用することにより、本開示の酸素濃縮器100では、送られる酸素の濃度と、酸素濃縮器100が送ることのできる連続流(例えば、分時換気)とを互いにトレードオフの関係にすることができる。例えば、2L/分の流れを供給する代わりに、(シーブベッド120経由で)1.8L/分の酸素と(バイパス弁170経由で)2L/分の環境大気で3.8L/分の流れを供給するように、酸素濃縮器100を設定してもよい。供給されるガスの酸素濃度は約60%まで低下するが、総流量は3.8L/分に増加する。このように、酸素濃縮器100は、取り込んだ空気を用いて3.8L/分の流れを約3:1の比で増幅する下流側のベンチレータ200を使用して、分時換気量11.4L/分(3×3.8)のガスをFiO約32%で供給することができる。比較として、酸素93%のガスを2L/分で供給する場合、ベンチレータ200で増幅して酸素濃縮器100から送られるガスは6L/分(3×2)にすぎないが、患者13に供給されるガスのFiOは50%になる。酸素濃縮器100は、最大20L/分の空気(シーブベッド120を完全に迂回する)を作り出すことができ、その後、これをベンチレータ200によってFiO約21%(環境大気の酸素濃度)で60L/分(20×3)に増幅することができる。その結果、小さな酸素濃縮器100で非常に活動的な患者13の分時レベルの要求を満たせるようになり得る。患者の活動レベルが上がるにつれて、酸素の供給量を増すよりも、換気量を増やして酸素の供給量を減らすほうがよい場合もある。バイパス流路170を使用することにより、酸素濃縮器100によって総ガス出力を例えば2L/分から20L/分の間で変化させ、それに応じて酸素濃度も約93%から約21%まで変えることができる。このように、酸素濃縮器100がコンプレッサと酸素濃縮器の機能を兼ね備えることができ、後述するように、ベンチレータ200によって至適量設定レベルを制御可能である。
【0050】
コントローラ140は、バルブユニット150の個々の弁(例えば、V~V)を制御するための制御信号を発生させることで、バルブユニット150を制御することができる。例えば、ベンチレータ200によって発行されるコマンドに応答して、制御信号を発生させるようにしてもよい。この場合、ベンチレータ200がマスターとして機能し、コントローラ140または酸素濃縮器100がスレーブとして機能するマスター/スレーブ構成で、バルブユニット150を制御してもよい。ベンチレータ200は、(例えば、患者13の処方、患者の活動レベル、ユーザーが調節可能な設定、ベンチレータ200によって測定される患者の呼吸の状態などの入力に基づいて)流量および/または酸素濃度の設定点を導き出すことができ、コントローラ140は、制御信号を適切に発生させてその設定点を達成することができる。制御信号を発生させる際に、コントローラ140ではさらに、プロダクトタンク130の出口に流体接続された圧力センサ180および/または酸素濃度センサ190の測定結果を考慮に入れることができる。このような測定結果をコントローラ140にフィードバックし、ベンチレータ200からの設定点とともに追加の入力として使用してもよい。コントローラ140は、例えば、比例積分微分(PID)コントローラとして機能するか、他の既知の制御ループフィードバック機構を実装することができる。
【0051】
図2は、バイパス流路170にON/OFF弁Vが含まれる場合にバルブユニット150を制御するための例示的な制御信号を示す。図2の例では、バルブユニット150は、コンプレッサ110からの圧縮空気が、第1段階でシーブベッドAを通過し、第2段階でシーブベッドBを通過し、第3段階でON/OFF弁V経由でバイパス流路170を通って直接プロダクトタンク130に送られる、3段サイクルを実施するように制御される。
【0052】
図3は、バイパス流路170に比例弁Vが含まれる場合にバルブユニット150を制御するための例示的な制御信号を示す。図3の例では、バルブユニット150は、コンプレッサ110からの圧縮空気が、第1段階でシーブベッドAを通過し、第2段階でシーブベッドBを通過する、2段サイクルを実施するように制御され、その間ずっと、比例弁Vは、圧縮空気の一部をバイパス流路170経由で選択的に直接プロダクトタンク130まで送ることができるように制御される。
【0053】
図1図3に関連して説明した例では、バイパス流路170によって、プロダクトタンク130とコンプレッサ110とが直接接続される。すなわち、複数のシーブベッド120と流体接続された1つのコンプレッサ110にプロダクトタンク130が直接接続される。しかしながら、本明細書で開示する主題は、そのような限定を意図したものではない。例えば、上記のようにするのではなく、バイパス流路170が、コンプレッサ110とは異なる別の専用のバイパスコンプレッサから延びていてもよい。専用のバイパスコンプレッサからプロダクトタンク130への流れを選択的に許可し、バルブユニット150の弁Vと同じ効果を達成するために、コントローラ140によって発生する制御信号に従って、そのような専用のバイパスコンプレッサをオンとオフとで切り替えてもよいし、専用のコンプレッサの出力(例えば、rpm)を調整してもよい。専用のバイパスコンプレッサをこのように制御する場合、弁Vを省略してもよい。専用のバイパスコンプレッサは、酸素濃縮器100の筐体に含まれてもよいし、出力が専用のコネクタを介して酸素濃縮器100のバイパス流路170に接続される別個の追加部品であってもよい。
【0054】
図4は、上述したような別個の追加部品である専用のバイパスコンプレッサと併用するための酸素濃縮器400の例を示す。酸素濃縮器400は、図1に関連して説明した酸素濃縮器100と同一であってもよく、コンプレッサ110、シーブベッド120、プロダクトタンク130、コントローラ140、バルブユニット150、シーブベッド流路160a、160b、バイパス流路170、圧力センサ180および酸素濃度センサ190と、以下の差異がある、同様のコンプレッサ410、シーブベッド420、プロダクトタンク430、コントローラ440、バルブユニット450、シーブベッド流路460a、460b、バイパス流路470、圧力センサ480および酸素濃度センサ490を含み得る。図1のバイパス流路170は、コンプレッサ110からプロダクトタンク130まで延びるが、図4のバイパス流路470は、コンプレッサ410からプロダクトタンク430まで延びるのではなく、外部のコンプレッサ流体ポート472からプロダクトタンク430まで延びている。さらに、バルブユニット450では、バルブユニット150の弁Vが省略され、コントローラ440によって発生する制御信号が、外部のコンプレッサ信号ポート474を介して外部のバイパスコンプレッサを制御するのに使用される。上述したように、弁Vと同じ効果を達成するために、制御信号に従って、このような外部のバイパスコンプレッサをオンとオフとで切り替えてもよいし、外部のコンプレッサの出力を調整してもよい。
【0055】
図5は、酸素濃縮器モジュール510およびコンプレッサモジュール520を含む例示的なモジュール式システム500を示す。酸素濃縮器モジュール510は、図4の酸素濃縮器400(例えば、0~2リットル/分のOまたは0~20リットル/分の空気を20~30PSIで提供し、100Whで1~2時間の範囲のバッテリーを有する)を収容することができ、コンプレッサモジュール520は、外部のコンプレッサ(例えば、0~10リットル/分の空気を20~30PSIで提供し、100Whで2~3時間の範囲のバッテリーを有する)を収容する。モジュール式システム500の上と下の大きな矢印で示すように、酸素濃縮器モジュール510とコンプレッサモジュール520は、取り外し可能に取り付けられて、単一のユニットを形成するものとすることができる。例えば、ユーザーは、2つのモジュール510、520を矢印の方向に一緒にスライドさせ、酸素濃縮器モジュール510の外部のコンプレッサ流体ポート472がコンプレッサモジュール520の圧縮ガス出力に流体接続され、酸素濃縮器モジュール510の外部のコンプレッサ信号ポート474がコンプレッサモジュール520の信号入力ポートに電気的に接続された状態で、2つのモジュール510、520を、1つのユニットとして一緒にロックすることができる。2つのモジュール510、520を反対方向にスライドさせると、モジュール510、520のロックを解除して分離し、これらのモジュールを別々に使用可能なようにすることができる。このようにして、酸素療法しか必要としない患者は酸素濃縮器モジュール510を使用することができ、機械的換気しか必要としない患者はコンプレッサモジュール520を使用することができ、酸素と機械的換気の両方を必要とする人々は2つのユニットを組み合わせて使用することができる。また、酸素濃縮器モジュール510の上部もしくはコンプレッサモジュール520の上部(または酸素濃縮器モジュール510およびコンプレッサモジュール520の両方の上部によって形成される合成面)を、ベンチレータ200のドッキング用のクレードルとして機能させられることも考えられる。同様に、酸素濃縮器モジュール510の底部もしくはコンプレッサモジュール520の底部(または酸素濃縮器モジュール510およびコンプレッサモジュール520の両方の底部によって形成される合成面)を、補助バッテリーパック用のアタッチメントとして機能させることができる。
【0056】
図6には、酸素濃縮器モジュール610を含む別の例示的なモジュール式システム600を示す。酸素濃縮器モジュール610には、図1の酸素濃縮器100または図4の酸素濃縮器モジュール400を収容することができる。図示のように、モジュール式システム600では、活線挿抜可能な補助バッテリーパック620および/または持続的気道陽圧(CPAP)モジュール630(例えば、CPAP用の22mmのISOテーパーコネクター付き)を酸素濃縮器モジュール610に接続するオプションで、モジュール性をさらに高めることができる。例えば、酸素濃縮器610の上部を、CPAPモジュール630を取り付けるためのクレードルとして機能させることができ、ここにラッチ解除および電気接点を含むようにしてもよい。同様に、酸素濃縮器610の底部を、バッテリーパック620を取り付けるためのクレードルとして機能させることができ、ここにラッチ解除および電気接点を含むようにしてもよい。酸素濃縮器モジュール610には、さらに、DISSまたはクイックコネクトならびに、例えばON/OFFボタン、バッテリー電力インジケータおよびベンチレータ200用の無線ベンチレータ接続を含むユーザインタフェースを含んでもよい。そのようなモジュール性は、図5のモジュール式システム500に関連して説明したような外部のコンプレッサモジュール520に対する取り付けに代わるものであってもよいし、これに追加する形であってもよい。
【0057】
上述した酸素濃縮器100、400、510、610の例では、酸素濃縮器100、400、510、610のシーブベッド120、420を迂回するバイパス流路170、470によって、プロダクトタンク130、430への流量と、得られるプロダクトガスの酸素濃度との選択的な制御が実現されている。しかしながら、本開示は、そのような限定を意図したものではない。例えば、別の方法で従来通りに構成された酸素濃縮器の弁のタイミングを、コントローラ140、440によって意図的に「乱す」ことができる。一般に、酸素濃縮器の弁のタイミングは、シーブベッドで酸素を最も効率的に抽出するように至適量が設定される。コンプレッサ110、410および/またはバルブユニット150、450を制御してシーブベッドのサイクルのタイミングを変更することで、コントローラ140、440では、酸素および窒素がシーブベッド120、420で完全に分離されるだけの時間が生じるのを意図的に防ぐことができる。結果として、酸素濃度が低下したプロダクトガスをプロダクトタンク130、430に充填することができ、潜在的に、下流のベンチレータ200に送られるプロダクトガスの流量を増すことが可能になり得る。コントローラ140、440は、例えば、シーブベッド120、420で酸素と窒素の分離が最も効率的になるわけではない、準最適なコンプレッサ出力と弁制御タイミングのルックアップテーブルを参照する。このようなルックアップテーブルを使用して、コントローラ140、440は、ベンチレータ200によって発行されたコマンドに応答する制御信号を発生させ、患者13の変化している需要をリアルタイムで満たすことができる。この場合、バイパス流路170、470と弁Vを省略してもよい。
【0058】
図7は、本開示の実施形態による例示的な換気システム700を示す。図示のように、換気システム700には、図1および図4に示すように患者13との間で流体が流れる状態で配置された患者用換気インタフェース12およびベンチレータ200を、それぞれ図1図4図5図6との関連で説明した酸素濃縮器100、400、510、610のいずれかと一緒に含むことができる。ベンチレータ200は、酸素濃縮器100、400、510、610によって作られた高酸素濃度ガスを、患者用換気インタフェース12経由で患者13に送るように構成されてもよい。患者用換気インタフェース12には、患者13の上気道すなわち、鼻腔および/または口腔との間でガスが直接流れるように配置可能なフルフェイスマスクまたは鼻マスクなどのデバイスを含んでもよい。患者用換気インタフェース12は、高酸素濃度ガスを患者13に送るための1つまたは複数のノズル15に加えて、患者13に送るための追加の環境大気を取り込むための1つまたは複数の開口を特徴とすることができる。本明細書で開示する主題で使用可能なノズル15と取込用開口を有する患者用換気インタフェース12の例は、例えば、発明の名称を「PATIENT INTERFACE WITH INTEGRATED JET PUMP(一体型のジェットポンプを有する患者用インタフェース)」として出願された米国特許出願公開第2019/0099570号に見出すことができ、当該出願の開示内容全体を本明細書に援用する。これらの例には、例えば、Breathe Technologies, Inc.のLife2000(登録商標)換気システムのEngage, Inspire, and Universal Circuit(商標)Connector(UCC)患者用インタフェースを含むことができる。どの瞬間においても、ベンチレータ200によって患者13に送られるガスと取込空気の総流量(例えば、体積流量)Qを、患者用換気インタフェース12の1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスのノズル流量Qと1つまたは複数のノズル15によって取り込まれる環境大気の取込流量Qの合計として定義することができる。すなわち、総流量Qを、Q=Q+Qとして定義することができる。Life2000(登録商標)換気システムの場合、流量Qを5~40L/分とすることができ、これを例えば最大3.0秒の持続時間で維持することができる。
【0059】
例えば、患者13に対する処方、患者の活動レベル、ユーザーが調節可能な設定、ある瞬間における患者の呼吸の状態を含む様々な要因に応じて、1つまたは複数のノズル15から吐出される高酸素濃度ガスに比例して多かれ少なかれ環境大気が送られる際に、取込流Q(結果的に、総流量Q)が変動し、それによって患者の吸入酸素分画%FiOに変動が生じる場合がある。1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスの流量Qと患者用換気インタフェース12内の圧力とを測定することによって、ベンチレータ200は、総流量Qを計算または推定することができる。ベンチレータ200は、推定または計算された総流量Qに従って、特定の酸素濃度で特定のガス流を作り出すように、酸素濃縮器100、400、510、610に命令することができる。その上で、ベンチレータ200は、患者13が所望の度合いで呼吸動作に対する助けを得られ、目標%FiOのガスを得られるように、環境大気がさらに患者用換気インタフェース12に取り込まれることを考慮しつつ、そのような高酸素濃度のガスを、患者用換気インタフェース12経由で患者13に提供する。
【0060】
ベンチレータ200には、酸素濃縮器100、400、510、610によってベンチレータ200に供給される高酸素濃度ガスが通る第1の入口ポート16を含むことができる。この第1の入口ポート16を、最終的に患者に送られる呼吸ガスから粒子や他の汚染物質を除去する入口フィルタ24と通じた状態にすることができる。酸素濃縮器100、400、510、610からの高酸素濃度ガスの圧力については、弁26によって調整することができる。弁26は、ベンチレータ200の入口フィルタ24と通じてガスが流れる弁入口ポート26aと、出口ポート28と通じてガスが流れる弁出口ポート26bとを有する。弁26の状態を選択的に調整し、酸素濃縮器100、400、510、610から患者13に所望の体積/圧力のガスが流れるようにすることができる。弁26の作動については、以下でさらに詳細に説明するように、本開示によって考えられる様々な方法を実装するコントローラ30によって統制することができる。
【0061】
弁26を経由した呼吸ガスの流れを、上述した患者用換気インタフェース12に接続されるガス輸送管32まで、出口ポート28を通して送ることができる。ガス輸送管32は、例えば、22mm以下などの所定の内径を有するプラスチック管であってもよい。患者13の呼吸の状態に応じて、患者用換気インタフェース12と弁26の出力すなわち弁出口26bとの間に、圧力差が発生する場合がある。
【0062】
そのような圧力差を確認するために、換気システム700に、弁圧力センサ34および患者用インタフェース圧力センサ36を含むデュアル圧力センサを含むことができる。弁圧力センサ34については、ベンチレータ200の中に配置することができ、このセンサで弁の出口ポート26bの圧力を監視することができる。患者用インタフェース圧力センサ36も、物理的にはベンチレータ200の中に配置することができるが、ベンチレータ200のセンサ入口ポート40に接続される圧力センサライン38を介して患者用換気インタフェース12との間でガスの流れが直接行き来できる状態になっている。ベンチレータ200が作動しているとき、圧力センサライン38ならびにガス導管32内のガス圧を接続し、圧力センサライン38を綺麗にするためのパージ流を送り出すことができる。これは、両方に接続されたパージソレノイド42を介して行うことができる。パージは、患者の呼吸フェーズまたは弁の圧力と患者用インタフェースの圧力との間の圧力差に応じて、連続的であってもよいし、断続的であっても構わない。
【0063】
患者用換気インタフェース12と弁出力26bの圧力差の測定に加えて、実際に弁26から出力される呼吸ガスの流量測定値を利用することができる。この目的のために、ベンチレータ200に、弁26および出口ポート28とインラインの流量センサ43を含んでもよい。
【0064】
ベンチレータ200は、患者用換気インタフェース12内の圧力と、患者用換気インタフェース12の1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスの流量を測定することができる。例えば、コントローラ30は、圧力を測定するために弁圧力センサ34および患者用インタフェース圧力センサ36のうちの一方または両方と通信することができ、流量を測定するために流量センサ43と通信することができる。詳細については後述するように、コントローラ30は、実測圧力と流量に基づいて、総流量Qおよび/または他の様々なパラメータを推定または計算することができる。この目的のために、ベンチレータ200に、複数のノズル形状のそれぞれに関連して1つまたは複数の定数を格納することができるノズルデータ格納部31をさらに含むことができる。使用時、コントローラ30は、実測流量、実測圧力ならびに、1つまたは複数のノズル15のノズル形状に関連して格納された1つまたは複数の定数に基づいて、総流量Qを計算することができる。計算で求められた総流量Qに基づいて、コントローラ30はさらに、患者の%FiOを計算することができる。コントローラ30は、ベンチレータ200のユーザーが調節可能な設定が(例えば、タッチスクリーンまたはボタンなどの入力69およびディスプレイなどの出力62を使用して)変更されると、ユーザーの活動レベルおよび呼吸の変化として、総流量Qおよび/または患者13の%FiOをリアルタイムで連続的に計算することができる。
【0065】
計算で求められた総流量Qおよび/または患者の%FiOに基づいて、コントローラ30は、例えばベンチレータ200から酸素濃縮器100、400、510、610に信号(例えば、無線周波数無線信号)を送信させることによって、酸素濃縮器100、400、510、610に対して命令をすることができる。ベンチレータ200からの信号を受信すると、酸素濃縮器100、400、510、610は、患者の変化している需要をリアルタイムで満たすために発生させる高酸素濃度ガスの圧力、流量および/または酸素濃度を調整することができる。こうした調整は、図1および図4に関連して上述したように、酸素濃縮器100、400、510、610内で行うことができる。このようにして、ベンチレータ200がマスターとして機能し、酸素濃縮器100、400、510、610がスレーブとして機能するマスター/スレーブ構成で、ベンチレータ200によって酸素濃縮器100、400、510、610を制御することができる。
【0066】
図8は、本明細書で開示する主題の一実施形態による、全体または一部をベンチレータ200で実行できる例示的な動作フローを示す。図8の動作フローを使用して、1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスの実測流量Q(ノズル流量)および患者用換気インタフェース12の実測圧力Paw(気道内圧)から、総流量Qを計算することができる。同様に、1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスの流量Qがわかれば、図8の動作フローを使用して、ノズル15を通る流量Qによって生じる取込流量Q=Q-Qならびに、そこから導き出せる他の様々な値を計算することができる。
【0067】
一般に、取り込みは、ノズルの下流の圧力に影響される。Life2000(登録商標)システムのノズルなどの患者用換気インタフェース12のノズル15の場合、この圧力を実測圧力Pawとみなすことができる。圧力Pawがよどみ点圧Pに達すると、患者の気道と肺の背圧により、ノズル15を通る流量Qが0になる。このよどみ点圧Pを使用し、以下の式に従って、QおよびPawの関数として総流量Qを計算することができる。
【数1】
ここで、よどみ点圧力Pは、吐出されるガスの流量Qの関数であり、次の二次式として計算することができる。
【数2】
a、b、cは、具体的なノズル形状に依存する定数である。定数a、b、cについては、所定の流量になるよどみ点圧力を見つけることにより、ノズルの形状ごとに事前に決定することができる。Life2000(登録商標)システムのUCC患者用インタフェースの場合、a=0.0191およびb=0.3828により、よどみ点圧力にある圧力Pawとノズル流量Qとの間に、図9に示す関係が計算で求められる。具体的には、ノズル流量Qの関数としてのよどみ点圧力P、すなわちP(Q)が求められる。UCC患者用インタフェースの場合、c=8であり、複数のノズル流量Q(5、10、20、30、40L/分)それぞれについて、総流量Qと圧力Pawとの間に、図10に示す関係が計算で求められる。
【0068】
図8の動作フローについては、複数のノズル形状のそれぞれに関連して1つまたは複数の定数を格納する工程802で開始することができる。例えば、上記の定数a、b、cを、Life2000(登録商標)システムのEngage、InspireおよびUCC患者用インタフェースなどに合わせて、複数のノズル形状のそれぞれについて格納することができる。例えば、これらの定数を、図7に示すノズルデータ格納部31に格納してもよい。あるいは、患者用換気インタフェース12のハーネスに配置されたメモリ(例えば、EEPROM)内など、患者用換気インタフェース12自体に定数を格納してもよい。その場合、患者用換気インタフェース12に、各々の特定のノズル形状に関連する定数a、b、cを格納することができる。これにより、個々のノズルをベンチレータ200とは別に較正して、ノズル間の製造差を明らかにすることができる。
【0069】
換気システム700を使用した患者13の治療時、図8の動作フローを、患者用換気インタフェース12の1つまたは複数のノズル15から吐出されるガスの流量Qを測定する工程804ならびに、患者用換気インタフェース12内の圧力Pawを測定する工程806で続けることができる。圧力Pawの測定には、コントローラ30と、弁圧力センサ34および患者用インタフェース圧力センサ36の両方との間の通信を含むことができる。例えば、実測圧力Pawを、患者用インタフェース圧力センサ36によって測定される患者用換気インタフェース12の圧力と、弁圧力センサ34によって測定される弁出口ポート26bの圧力との間の差として定義することができる。実測流量Qと実測圧力Pawが取得されたら、ベンチレータ200によって患者13に送られるガスと取込空気の総流量Qを計算する工程808で、動作フローを続けることができる。例えば、コントローラ30は、実測流量Qおよび実測圧力Pawならびに、格納されている定数a、bおよびcに基づいて、上記の式を用いて、例えば、よどみ点圧力Pの計算には定数aおよびbと実測流量Qを使用し、その後、総流量Qの計算には実測流量Q、実測圧力Paw、よどみ点圧力Pおよび定数cを使用して、総流量Qを計算することができる。総流量Qを計算する際に、コントローラ30は、ノズルデータ格納部31から定数a、b、cを読み取ることができ、定数が患者用換気インタフェース12のメモリに格納されている場合、コントローラ30は、(例えば、ベンチレータ200に定数をダウンロードするスマートコネクタを介して)患者用換気インタフェース12をベンチレータ200に接続したときに外部のメモリから定数a、b、cを読み取ることができる。
【0070】
工程810では、1以上の一回吸気量など、総流量Qから導き出すことが可能な様々な値を計算することができる。例えば、総流量Qの時間積分として、総一回吸気量TotVを計算することができ、実測流量Qの時間積分として、1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスの一回吸気量NozVを計算することができるおよび/または取込流量Q=Q-Qの時間積分として、取込空気の一回吸気量EntVを計算することができる。工程812では、コントローラ30は、1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスの一回吸気量および取込空気の一回吸気量に基づいて、%FiOを計算することができる。例えば、1つまたは複数のノズル15から吐出されるガスが100%酸素であるとすると、%FiOを、%FiO=100(NozV+0.21 EntV)/TotVとして計算することができる。ここで、21%は環境大気に含まれる酸素のおおよその割合である。より一般的には、(例えば、酸素濃縮器100、400、510、610が、上述したように酸素濃度の低いガスを供給するように制御される場合)1つまたは複数のノズル15によって吐出される任意のガスについて、%FiOを、%FiO=100(NozV+0.21 EntV)/TotVとして計算することができる。ここで、100Xは、1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスに含まれる酸素のパーセンテージである。1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスの酸素濃度を定義する値Xは、例えば、コントローラ30によって発行された現在/以前の設定点および/または酸素濃度センサ190の測定結果に基づいて、酸素濃縮器100、400、510、610から供給されるガスの既知の酸素濃度から決定することができる。
【0071】
最後に、工程814において、ベンチレータ200のコントローラ30は、例えば、上述したようにベンチレータ200から酸素濃縮器100、400、510、610に信号を送信させることによって、計算によって求められた総流量Qまたは%FiOに基づいて、酸素濃縮器100、400、510、610に命令をすることができる。ベンチレータ200からの信号を受信すると、酸素濃縮器100、400、510、610は、発生させる高酸素濃度ガスの圧力、流量および/または酸素濃度を調整し、所望の総流量Qおよび/または%FiOにすることができる。
【0072】
上記の例では、定数a、b、cが、各ノズル形状について格納されている。しかしながら、可能な流量範囲Qについてさらによどみ点圧力Pを格納し、各ノズル形状に対しては定数cだけを格納してもよいと考えられる。ベンチレータ200が1つのノズル形状だけで用いられるように設計されている場合、どの定数も格納する必要がなく、工程802を省略することが可能である。異なるノズル形状に対して上記の式を変更せずに、実測流量Qと実測圧力Pawの関数として簡単に総流量Qを計算することができる。
【0073】
図9は、異なる流量で計算したノズルのよどみ点圧力と、異なる流量で測定したノズルのよどみ点圧力の例を示す。上述したように、図9に示す計算で求められる関係は、定数a=0.191およびb=0.3828と、よどみ点圧力Pに対する上記の式を用いて得られたものである。図9に示す他の関係(「実測cmH2O」)は、UCC患者用インタフェースのよどみ点圧力Pを測定した実験結果である。図9から明らかなように、測定された関係は計算で求められた関係とほぼ一致しており、よどみ点圧力Pとノズル流量Qとの間に二次式の関係があることを示している。
【0074】
図10は、ノズルについて、異なる流量で計算したPaw-Q曲線と、異なる流量で測定したPaw-Q曲線の例を示す。上述したように、図10に示す計算で求められる関係は、定数c=8と、異なるノズル流量Qについて気道内圧Pawの関数としての総流量Qに対する上記の式を用いて得られたものである。他の関係(「Act-5」、「Act-10」など)は、5、10、20、40L/分のノズル流量Qについて総流量Qと気道内圧Pawの関係を測定した実際の実験結果である。図10から明らかなように、測定された関係は計算で求められた関係とほぼ一致しており、気道内圧Pawと総流量Qとの間に線形関係があることを示している。
【0075】
図11は、本明細書で開示する主題の一実施形態による、全体または一部をベンチレータ200で実行できる、別の例示的な動作フローを示す。図11の例では、上述したように総流量Qとよどみ点圧力Pとの関係および定数a、b、cを用いて総流量Qを計算するのではなく、あるノズル(または複数のノズル)についての特性Paw-Q曲線を事前に格納し、実測圧力Pawおよびノズル流量Qについての総流量Qの推定に用いることができる。この動作フローを、例えば、ベンチレータ200のノズルデータ格納部31に総流量データを格納する工程1102で開始することができる。一例として、総流量データには、1つまたは複数のノズルについての図10の特性曲線(例えば、その基礎となるデータであり、これは、表形式またはパラメータ化された式として格納することができる)を含み得る。定数a、b、cを格納する場合のように、事前に格納される特性曲線は、特定の患者用インタフェース12を特徴付ける各患者用インタフェース12のメモリに格納されてもよい。ある患者用インタフェース12に関して、ノズルデータ格納部31または外部のメモリに、患者用換気インタフェース12の1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスの流量Qの複数の測定値それぞれ(例えば、図10に示すように、Q=5、10、20、30、40)について、患者用換気インタフェース12内の圧力Pawの複数の測定値に対応する、総流量Qの複数の測定値を格納することができる。
【0076】
換気システム700を使用した患者13の治療時、上述したように、図11の動作フローを、患者用換気インタフェース12の1つまたは複数のノズル15から吐出されるガスの流量Qを測定する工程1104ならびに、患者用換気インタフェース12内の圧力Pawを測定する工程1106で続けることができる。実測流量Qと実測圧力Pawが取得されたら、実測圧力Pawと、実測流量Qについて格納された総流量Qの複数の測定値との比較結果に基づいて総流量Qを推定する工程1108で、動作フローを続けることができる。例えば、コントローラ30は、ノズルデータ格納部31を参照して図10に示す特性Paw-Q曲線を調べ、実測流量Qに対応する特性Paw-Q曲線を見つけ、その曲線に沿って実測圧力Pawに対応する総流量Qの値を読み取ることができる。
【0077】
上述したように総流量Qが推定されたら、図11の動作フローを、1つまたは複数の一回吸気量あるいは、総流量Qから導き出すことが可能な他の様々な値のいずれかを計算する工程1110、患者13の%FiOを計算する工程1112、酸素濃縮器100に信号を送信する工程1114で続けることができる。これらの工程はいずれも、図8の動作フローの工程810、812および814と同じ方法で実行することができる。唯一の違いは、図10の場合、総流量Qが、実測圧力Paw、実測流量Q、患者用インタフェース12を特徴付ける1つ以上の定数を使用して計算されるのではなく、あらかじめ格納された特性曲線を用いて推定されたことである。ベンチレータ200からの信号を受信すると、酸素濃縮器100、400、510、610は、発生させる高酸素濃度ガスの圧力、流量および/または酸素濃度を調整して、所望の総流量Qおよび/または%FiOにすることができる。
【0078】
図12は、本明細書で開示する主題の一実施形態による、全体または一部をベンチレータ200で実行できる、別の例示的な動作フローを示す。図12の例では、患者の%FiOを計算するに先だって総流量Qを推定するのではなく、各ノズルの%FiOデータを事前に格納し、実測圧力Pawおよびノズル流量Qについての%FiOを推定するのに使用することができる。この動作フローを、例えば、ベンチレータ200のノズルデータ格納部31に%FiOデータを格納する工程1202で開始することができる。%FiOデータには、1つまたは複数のノズルについての図10の特性曲線(例えば、その基礎となるデータであり、これは、表形式またはパラメータ化された式として格納することができる)を含み得る。定数a、b、cを格納する場合のように、事前に格納される特性曲線は、特定の患者用インタフェース12を特徴付ける各患者用インタフェース12のメモリに格納されてもよい。ある患者用インタフェース12に関して、ノズルデータ格納部31または外部のメモリに、患者用換気インタフェース12の1つまたは複数のノズル15によって吐出されるガスの流量Qの複数の測定値それぞれ(例えば、図10に示すように、Q=5、10、20、30、40)について、患者用換気インタフェース12内の圧力Pawの複数の測定値に対応する、%FiOの複数の測定値を格納することができる。このような特性Paw-%FiO曲線を、様々な圧力Pawおよびノズル流量Qで、実験室にて%FiOを測定することによって実験的に取得してもよいし、図11の動作フローに関して上述した総流量データから導き出してもよい。
【0079】
換気システム700を使用した患者13の治療時、上述したように、図12の動作フローを、患者用換気インタフェース12の1つまたは複数のノズル15から吐出されるガスの流量Qを測定する工程1204と、患者用換気インタフェース12内の圧力Pawを測定する工程1206で続けることができる。実測流量Qと実測圧力Pawが取得されたら、実測圧力Pawと、実測流量Qについて格納されたFiOの複数の測定値との比較結果に基づいて患者のFiOを推定する工程1208で、動作フローを続けることができる。例えば、コントローラ30は、ノズルデータ格納部31を参照して特定の1つまたは複数のノズル15についての%FiOデータを調べ、実測流量Qに対応する特性Paw-%FiO曲線を見つけ、その曲線に沿って実測圧力Pawに対応する%FiOの値を読み取ることができる。上述したように患者の%FiOが推定されたら、酸素濃縮器100に信号を送信する工程1210で、図12の動作フローを続けることができる。この工程は、図8の工程814または図11の工程1114と同様にして行うことが可能である。唯一の違いは、図12の場合、%FiOが、総流量Qから計算で求められるのではなく、事前に格納された特性曲線を用いて直接推定されたことである。ベンチレータ200からの信号を受信すると、酸素濃縮器100、400、510、610は、発生させる高酸素濃度ガスの圧力、流量および/または酸素濃度を調整して、所望の取込比および/または%FiOにすることができる。
【0080】
図8図11および図12の上記の例示的な動作フローでは、総流量Qおよび/または患者の%FiOが計算または推定され、酸素濃縮器100を制御する目的で、ある瞬間における患者13の需要を特徴付けるために使用される。しかしながら、本明細書で開示する主題は、これらの特定のパラメータに限定されることを意図していない。例えば、取込流Q、取込比η=(Q-Q)/Qまたは一回吸気量TotV、NozVまたはEntVなど、導き出せる様々なパラメータや他の関連するパラメータを代わりに使用してもよい。本明細書で開示する主題を使用して、そのような値はいずれも、患者の実測気道内圧Pawおよびノズル流量Qに基づいて計算および/または推定することができる。
【0081】
酸素濃縮器100、400のコントローラ140、440および/またはベンチレータ200のコントローラ30ならびにその各々の機能は、マイクロコントローラまたは制御プロセッサなどのプログラム可能な集積回路デバイスで実装されてもよい。大まかに説明すると、このデバイスは入力を受け取ることができ、それらの入力に基づいて、出力を発生させることができる。入力で実行される特定の操作は、制御プロセッサによって実行される命令としてプログラムされてもよい。これに関して、デバイスに、算術/論理演算ユニット(ALU)、様々なレジスタおよび入力/出力ポートを含むことができる。EEPROM(電気的消去可能/プログラム可能な読み取り専用メモリ)などの外部のメモリをデバイスに接続し、プログラムの命令を永続的に格納および取得するようにしてもよく、内部のランダムアクセスメモリ(RAM)があってもよい。コントローラ140、440および/またはコントローラ30の開示された機能のいずれかを実装するためのコンピュータプログラムは、そのような非一時的なプログラム記憶媒体ならびに、例えば、既存のデバイスにアップデートを提供する場合であれば半導体メモリ(例えばICカード)などの取り外し可能な非一時的なプログラム記憶媒体に常駐させてもよい。プログラム記憶媒体またはコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されたプログラム命令の例として、プロセッサによって実行可能なコードに加えて、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはプログラマブルロジックデバイス(PLD)など、プログラム可能な回路による実行用の状態情報があげられる。
【0082】
上記の説明は、限定ではなく例として示したものである。上記の開示内容を前提として、当業者は、本明細書に開示される本発明の意図および範囲内にある変形例を考案することができる。さらに、本明細書に開示される実施形態の様々な特徴は、単独使用も可能であるし、様々な形で組み合わせて使用することも可能であって、本明細書に記載した特定の組み合わせに限定されることを意図していない。したがって、特許請求の範囲は、例示された実施形態によって限定されるべきではない。
図1
図2
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図5
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図7
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図10
図11
図12