(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両用内装部材
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20231212BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20231212BHJP
E05F 15/655 20150101ALI20231212BHJP
E05F 15/73 20150101ALI20231212BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60J1/17 A
E05F15/655
E05F15/73
B60J5/00 501B
(21)【出願番号】P 2022134475
(22)【出願日】2022-08-25
(62)【分割の表示】P 2019137782の分割
【原出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】牧野 成志
(72)【発明者】
【氏名】塩田 洸太朗
(72)【発明者】
【氏名】村上 敬俊
(72)【発明者】
【氏名】馬籠 一矢
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】菊地 博文
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋之
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0306030(US,A1)
【文献】特表2012-515104(JP,A)
【文献】国際公開第2018/109003(WO,A1)
【文献】特開2004-276677(JP,A)
【文献】特開2004-291856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B60J 1/17
E05F 15/655
E05F 15/73
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用内装部材にセンサが配置された車両用ドアの室内側に取り付けられる車両用内装部材であって、
前記車両用内装部材は、下部内装部材と、上部内装部材とを備え、
前記上部内装部材は、
前記センサの下端部より上方において、前記センサを覆い、前記下部内装部材の上側において前記下部内装部材と分割可能に取り付けられ
、
前記センサは前記車両用ドアに金属製の板状部材により固定されており、
前記上部内装部材は、上方又は室内側から荷重がかかったとき、前記センサを固定する前記板状部材に当接して支持される支持部を有することを特徴とする車両用内装部材。
【請求項2】
車両用内装部材にセンサが配置された車両用ドアの室内側に取り付けられる車両用内装部材であって、
前記車両用内装部材は、下部内装部材と、上部内装部材とを備え、
前記上部内装部材は、
前記センサの下端部より上方において、前記センサを覆い、前記下部内装部材の上側において前記下部内装部材と分割可能に取り付けられ、
前記上部内装部材は、
前記下部内装部材に連結するアッパーベース部材と、
前記アッパーベース部材を覆うアッパーガーニッシュ部材と、
前記車両用ドアの窓ガラスと前記上部内装部材の上端部との間の隙間を塞ぐ第一シール部材と、を有し、
前記第一シール部材は、本体と、該本体から窓側に延びるシールリップ部と、前記本体から室内側に突出する突出片を有し、
前記第一シール部材は、前記アッパーベース部材の上端部と前記アッパーガーニッシュ部材の上端部とに前記突出片が挟み込まれることにより固定されることを特徴とする車両用内装部材。
【請求項3】
前記上部内装部材の前記アッパーベース部材は、前記突出片の下側を支持する下方支持部と、前記突出片の上側を支持する上方支持部と、を有し、
前記アッパーベース部材は、前記下方支持部と前記上方支持部とにより前記第一シール部材の前記突出片を挟持することを特徴とする
請求項2に記載の車両用内装部材。
【請求項4】
前記アッパーベース部材は締結部材により前記アッパーガーニッシュ部材に固定される係止部を有し、
前記アッパーガーニッシュ部材は、前記第一シール部材の前記突出片を上方から押圧して固定する上方固定部を有し、
該上方固定部は、前記係止部と前後方向で重ならないよう配置されていることを特徴とする
請求項2又は3に記載の車両用内装部材。
【請求項5】
車両用内装部材にセンサが配置された車両用ドアの室内側に取り付けられる車両用内装部材であって、
前記車両用内装部材は、下部内装部材と、上部内装部材とを備え、
前記上部内装部材は、
前記センサの下端部より上方において、前記センサを覆い、前記下部内装部材の上側において前記下部内装部材と分割可能に取り付けられ、
前記下部内装部材は、
前記センサの下端部より下方において、前記下部内装部材と前記車両用ドアの窓ガラスとの間の隙間を塞ぐ第二シール部材と、
前記センサの下端部の下方に設けられ、前記第二シール部材を支持するアウターガーニッシュ部材と、を有することを特徴とする車両用内装部材。
【請求項6】
前記上部内装部材は、該上部内装部材を前記下部内装部材に組み付ける際、上下方向に対し室内側に傾斜する方向から、前記下部内装部材の上側に組付けられることを特徴とする
請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用内装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装部材に係り、特に、センサを有する車両用ドアに取り付けられる車両用内装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の運転席側のドア内張り内部に窓の開閉(UP/DOWN)を検知するセンサを設け、センサからの出力信号によって音声出力をミュート動作させるように構成したカーオーディオの連動ミュートユニットが開示されている。このような連動ミュートユニットにより、例えば高速道路の料金所等で聴いていた音響ソースをその間だけ消音又は音を減量させたい場合に窓を開けるのみでその機能を果たすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるセンサを有する車両用ドアでは、センサを保護する内装部材がセンサの組付けについて考慮されておらず、また、メンテナンス作業をするとき内装部材全体を取り外す必要があり、作業性が低いという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、センサの組付ける際の作業性を向上させ、センサのメンテナンス時にも容易に取り外しが可能な車両用内装部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明に係る車両用内装部材によれば、車両用内装部材にセンサが配置された車両用ドアの室内側に取り付けられる車両用内装部材であって、前記車両用内装部材は、下部内装部材と、上部内装部材とを備え、前記上部内装部材は、前記センサの下端部より上方において、前記センサを覆い、前記下部内装部材の上側において前記下部内装部材と分割可能に取り付けられ、前記センサは前記車両用ドアに金属製の板状部材により固定されており、前記上部内装部材は、上方又は室内側から荷重がかかったとき、前記センサを固定する前記板状部材に当接して支持される支持部を有することにより解決される。
また、前記課題は、本発明に係る車両用内装部材によれば、車両用内装部材にセンサが配置された車両用ドアの室内側に取り付けられる車両用内装部材であって、前記車両用内装部材は、下部内装部材と、上部内装部材とを備え、前記上部内装部材は、前記センサの下端部より上方において、前記センサを覆い、前記下部内装部材の上側において前記下部内装部材と分割可能に取り付けられ、前記上部内装部材は、前記下部内装部材に連結するアッパーベース部材と、前記アッパーベース部材を覆うアッパーガーニッシュ部材と、前記車両用ドアの窓ガラスと前記上部内装部材の上端部との間の隙間を塞ぐ第一シール部材と、を有し、前記第一シール部材は、本体と、該本体から窓側に延びるシールリップ部と、前記本体から室内側に突出する突出片を有し、前記第一シール部材は、前記アッパーベース部材の上端部と前記アッパーガーニッシュ部材の上端部とに前記突出片が挟み込まれることにより固定されることにより解決される。
また、前記課題は、本発明に係る車両用内装部材によれば、車両用内装部材にセンサが配置された車両用ドアの室内側に取り付けられる車両用内装部材であって、前記車両用内装部材は、下部内装部材と、上部内装部材とを備え、前記上部内装部材は、前記センサの下端部より上方において、前記センサを覆い、前記下部内装部材の上側において前記下部内装部材と分割可能に取り付けられ、前記下部内装部材は、前記センサの下端部より下方において、前記下部内装部材と前記車両用ドアの窓ガラスとの間の隙間を塞ぐ第二シール部材と、前記センサの下端部の下方に設けられ、前記第二シール部材を支持するアウターガーニッシュ部材と、を有することにより解決される。
【0007】
センサを覆う上部内装部材が、下部内装部材と分離可能に取り付けられることにより、上部内装部材を取り付ける前に、センサの組付けが行えるため作業性が向上する。また、上部内装部材を取り外すことでセンサが外出するため、センサのメンテナンス、例えば動作確認を行う際の作業性が向上する。
また、乗員のひじ置き等により上部内装部材に荷重がかかったときでも、支持部が板状部材に当接して荷重がセンサを固定する板状部材に伝わるため、センサに直接荷重がかかることがなくセンサが保護されるようになる。
また、第一シール部材をセンサの上部に設けることで、センサ上方からゴミや水滴等の侵入を抑制し保護することができる。また、第一シール部材から突出する突出片をアッパーベース部材の上端部とアッパーガーニッシュ部材の上端部とにより挟み込むことでより強固に固定することができる。
また、アウターガーニッシュ部材を設けることで、センサ下方の隙間を塞ぐ第二シール部材を固定することができる。
【0008】
上記の構成において、前記上部内装部材は、該上部内装部材を前記下部内装部材に組み付ける際、上下方向に対し室内側に傾斜する方向から、前記下部内装部材の上側に組付けられると好適である。
室内側に傾斜する方向から、上部内装部材が組み付けられることで、下部内装部材に対し室外側へ押し付けるように組付けられるため、部材間の隙間の発生を抑制できる。
【0011】
上記の構成において、前記上部内装部材の前記アッパーベース部材は、前記突出片の下側を支持する下方支持部と、前記突出片の上側を支持する上方支持部と、を有し、前記アッパーベース部材は、前記下方支持部と前記上方支持部とにより前記第一シール部材の前記突出片を挟持すると好適である。
アッパーベース部材が、第一シール部材の突出片を、上方支持部と下方支持部とにより挟持することにより、アッパーベース部材にアッパーガーニッシュ部材を取り付ける前に、第一シール部材を一旦仮固定することができ、作業性が向上する。
【0012】
上記の構成において、前記アッパーベース部材は締結部材により前記アッパーガーニッシュ部材に固定される係止部を有し、前記アッパーガーニッシュ部材は、前記第一シール部材の前記突出片を上方から押圧して固定する上方固定部を有し、該上方固定部は、前記係止部と前後方向で重ならないよう配置されていると好適である。
上方固定部を有することにより、大型化を抑制しつつ固定を強固にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、センサを覆う上部内装部材が、下部内装部材と分離可能に取り付けられることにより、上部内装部材を取り付ける前に、センサの組付けと動作確認を行うことができ作業性が向上する。
また、室内側に傾斜する方向から、上部内装部材が組み付けられることで、下部内装部材に対し室外側へ押し付けるように組付けられるため、部材間の隙間の発生を抑制できる。
また、上部内装部材の支持部がセンサを固定する板状部材に接触することで、乗員のひじ置き等により上部内装部材に荷重がかかったときでも、荷重がセンサを固定する板状部材に伝わるため、センサに直接荷重がかかることがなくセンサは保護されるようになる。
また、第一シール部材をセンサの上部に設けることで、センサ上方からゴミや水滴等の侵入を抑制しセンサを保護することができる。また、第一シール部材から突出する突出片をアッパーベース部材の上端部とアッパーガーニッシュ部材の上端部とにより挟み込むことでより強固に固定することができる。
また、アッパーベース部材が、第一シール部材の突出片を、上方支持部と下方支持部とにより挟持することにより、アッパーベース部材にアッパーガーニッシュ部材を取り付ける前に、第一シール部材を一旦仮固定することができ、作業性が向上する。
また、アッパーガーニッシュ部材が、係止部と前後方向で重ならない上方固定部を有することにより、大型化を抑制しつつ、第一シール部材の固定を強固にすることができる。
また、センサの下方にアウターガーニッシュ部材を設けることで、センサ下方と窓ガラスとの間の隙間を塞ぐ第二シール部材を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る車両用内装部材が取り付けられた車両用ドアを室内側から見た斜視図である。
【
図2】車両用ドアを室内側から見た分解斜視図である。
【
図5】上部内装部材の一部(部分D)を拡大して示す拡大図である。
【
図7】
図5のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図5のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図10】第一シール部材及びアウターガーニッシュ部材を取り外した状態の車両用内装部材の側面図である。
【
図11】
図9のXI-XI線に沿った断面図である。
【
図12】
図9のXII-XII線に沿った断面図である。
【
図13】
図9のXIII-XIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る車両用内装部材10について、
図1~
図13を参照しながら説明する。
本実施形態は、窓ガラス5と車両用内装部材10との間にセンサモジュール3(センサ)が配置された車両用ドア1の室内側に取り付けられる車両用内装部材10の発明に関するものである。車両用内装部材10は、センサモジュール3の下端部3aより下方に配置される下部内装部材30と、センサモジュール3の下端部3aより上方において、センサモジュール3の上端部3c及び内側側部3bを覆い、下部内装部材30の上端部30aにおいて下部内装部材30と分割可能に取り付けられる上部内装部材20と、を備える。
【0017】
なお、
図1及び
図2に示す矢印のように車両用ドア1が設けられた車両(図示しない)の走行方向が前方側となり、その反対側を後方側とする。すなわち、以下の説明中「前後方向」とは、乗員が着座したときの前後方向を意味する。車両用ドア1の幅方向とは、車両用ドア1の横幅方向を意味し、内側から外側の方向を意味する。また、「上下方向」とは車両用ドア1の高さ方向を意味し、車両用ドア1を側面から見たときの上下方向と一致する。
【0018】
車両用ドア1は車両に設けられるドアであり、ドアフレーム2に、窓ガラス5によって開閉される窓4と、窓4の下方に車両用内装部材10とが取り付けられている。車両用内装部材10は、上述したように上部に配置される上部内装部材20と、下部に配置される下部内装部材30と、を備える。下部内装部材30は、車両用内装部材10の中央付近に配置されるセンター部31とセンター部31の下方に配置されるロア部32とから構成される。センター部31には、乗員が車両用ドア1をスライドさせるために用いるドアハンドル60が設けられ、ロア部32には、ドリンクホルダ33と、窓ガラス5を上下させるパワーウインドウスイッチ34とが設けられている。
【0019】
車両用ドア1は、非接触静電センサ8を内包するセンサモジュール3を備えるG-PSD(Gesture Control Power Slide Door)であり、センサモジュール3は車両用内装部材10と、窓ガラス5の間に設けられる(
図10~
図12参照)。センサモジュール3は、樹脂製の細長に形成されたケース9の内部に非接触静電センサ8及びハーネス(図示しない)が設けられている。センサモジュール3のケース9には、非接触静電センサ8の位置に合わせて開口部9aが形成されている。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、センサモジュール3は細長に形成され、下部内装部材30の上端部30aに沿って設けられる。
【0020】
乗員が車両に乗車する際、車外側からセンサモジュール3に手をかざし動かすことで、車両用ドア1の開閉又は停止等をすることができる。例えば、
図3に示すように乗員はセンサモジュール3に手6をかざして前から後ろ方向(矢印C方向)に移動させることにより、センサモジュール3の非接触静電センサ8がその動きを感知し、非接触静電センサ8が図示しないECU(Electronic Control Unit)に信号を送信することにより、車両用ドア1を開閉させる駆動装置により車両用ドア1を後方にスライドさせる。
【0021】
また、センサモジュール3は、
図3に示すように、窓ガラス5が最下段位置にある場合でも、外側から直接センサモジュール3に触れないようすることが望ましい。そのため、窓ガラス5の最下段位置の窓下端からの高さは、センサモジュール3の高さL(約45mm)以上になるよう設定されている。また、センサモジュール3は、金属製の板状に形成されたセンサ取付部材7が、センサモジュール3の内側側部3bに取り付けられていて、センサ取付部材7の下端に設けられた断面がL字状の取付部を介してボルト等の締結部材により車両用ドア1の下部内装部材30の上端部30aに取り付けられる。すなわち、下部内装部材30は、センサモジュール3の下端部3aより下方に配置されるよう構成される。
【0022】
本実施形態の上部内装部材20は、センサモジュール3の下端部3aより上方に取り付けられていて、少なくともセンサモジュール3の上端部3c及び内側側部3bを覆うよう、下部内装部材30の上端部30aに取り付けられている。下部内装部材30と上部内装部材20とは分割可能に構成されていて、上部内装部材20は、後述する上部内装部材20の内側に設けられたクリップ24及びガイド部25により、下部内装部材30に着脱可能に固定される。そのため、センサモジュール3を、上部内装部材20を下部内装部材30に組み付ける前に、下部内装部材30の上端部30aに取り付けることができ、組み付ける際の作業性が向上する。また、G-PSDである車両用ドア1をメンテナンスする際においても、上部内装部材20を下部内装部材30から取り外すだけで、センサモジュール3の非接触静電センサ8の動作確認又はセンサモジュール3の交換等を実施できるため、メンテナンス時の作業性が向上する。
【0023】
センサモジュール3を車両用ドア1に組み付ける場合は、
図2に示すように、上部内装部材20を組み付ける前に、上側から下側の方向(
図2の矢印A方向)に取り付ける。本実施形態では、センサモジュール3を締結部材により固定した後、上部内装部材20を、上下方向に対し室内側に傾斜する方向(
図2及び
図11の矢印B方向)に組み付けるよう構成されている。
【0024】
室内側に傾斜するよう方向から、上部内装部材20が下部内装部材30に組付けられることで、下部内装部材30に対して、室外側へ押し付けるように固定される。そのため、上下方向に組み付ける場合と比較して、上部内装部材20と下部内装部材30と間に隙間が発生することを抑制することができる。
【0025】
上部内装部材20について、
図4から
図8を用いて説明する。
図4は、上部内装部材20の車両用ドアの外側からみた側面図、
図5は
図4の部分Dを拡大して示す上部内装部材20の拡大図である。
図6は
図5のVI-VI線に沿った断面図であり、
図7は
図5のVII-VII線に沿った断面図、
図8は
図5のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【0026】
上部内装部材20は、
図4に示すように、窓4の下端部に沿うよう細長に形成された部材であり、上述のように、センサモジュール3の上端部3cと内側側部3bとを覆うよう、全体として断面が逆L字状に形成された部材である。上部内装部材20は、下部内装部材30の上端部30aと連結するアッパーベース部材21と、アッパーベース部材21を覆うアッパーガーニッシュ部材22と、第一シール部材40と、を有する。
【0027】
第一シール部材40は、窓ガラス5と、窓ガラス5と上部内装部材20の上端部20aとの間の隙間を塞ぐ部材である。上部内装部材20の上端部20aの長手方向(前後方向)に沿うよう形成された本体41と、本体41の外側側部から室外側に向けて延びるシールリップ部42と、本体41の内側側部から室内側に向けて突出する突出片43と、を備える。また、本体41の下端部から延びる補助リップ44を備える。シールリップ部42が窓ガラス5に当接する(
図11参照)ことにより、上部内装部材20と窓ガラス5との間の隙間が塞がれる。また、補助リップ44は、
図11~
図13に示すようにセンサモジュール3と当接する。
第一シール部材40は、突出片43がアッパーベース部材21の上端部21a(下方支持部)とアッパーガーニッシュ部材22の上端部22a(上方支持部)とに挟み込まれることにより固定される。
【0028】
突出片43は、その先端43aが鍵状に形成されている。また、
図6に示すように、アッパーベース部材21の上端部21aの一部に、その断面がL字状に形成され、長手方向(前後方向)に延びる溝部21bが形成されている。アッパーベース部材21の溝部21bに、突出片43の鍵状に形成された先端43aが挿入されることで、アッパーベース部材21の上端部21aが第一シール部材40の突出片43を下方から支持する。
【0029】
また、
図8に示すように、アッパーベース部材21の上端部21aには、突出片43を上方から押える、爪部21cが、長手方向(前後方向)に間隔をあけて複数形成されている。そのため、上部内装部材20を組み立てる際、一旦アッパーベース部材21の上端部21aに、第一シール部材40の突出片43の先端43aを溝部21bに挿入すると共に、突出片43を爪部21cにより押える。それにより、第一シール部材40をアッパーベース部材21の上端部21aに仮止めすることができる。仮止めにより、組み立てる際、作業者はアッパーベース部材21とのアッパーガーニッシュ部材22との接合に集中することができ、上部内装部材20の組み立てが容易になる。
【0030】
アッパーベース部材21の下端部21dには、アッパーガーニッシュ部材22に固定されるための係止部23が設けられている。係止部23には、締結部材26を挿入する貫通孔が形成され、アッパーガーニッシュ部材22には係止部23に対応する位置にねじ穴28が形成されている。第一シール部材40が仮止めされたアッパーベース部材21をアッパーガーニッシュ部材22に締結部材26で固定することで、上部内装部材20が完成する。
【0031】
アッパーガーニッシュ部材22は車内側に表出する部材であり、上端部22aには、間隔をあけて複数のリブ22b(上方固定部)が設けられている。
図6及び
図7に示すようにリブ22bが、第一シール部材40の突出片43を上方から押圧することで、第一シール部材40が上部内装部材20に固定されるようになる。
【0032】
次に、上部内装部材20を、下部内装部材30に取り付けるためのクリップ24及びガイド部25について説明する。上部内装部材20は、アッパーベース部材21の内側に、複数のクリップ24とガイド部25が交互に間隔をあけて配置されている。クリップ24は、
図6に示すように、その先端がアッパーベース部材21の内側側部に設けられ、室外側に向くよう上下方向に対して傾斜して延びている。クリップ24は先端からその根元に向けて延びる付勢部24aを有し、後述するクリップ挿入部36に形成された挿入孔36aにクリップ24を挿入することにより固定されるようになる。クリップ24の幅E1は、挿入孔36aの幅E2よりも大きく形成されている(
図11参照)。
【0033】
ガイド部25は、上部内装部材20のクリップ24が下部内装部材30のクリップ挿入部36の挿入孔36aに容易に挿入できるよう、上部内装部材20を取り付ける方向を図の矢印Bに案内するためのものである。ガイド部25は、クリップ24よりも下方に位置するようアッパーベース部材21の下端部に設けられていて、ガイド部25の先端が室外側に向くよう上下方向に対して傾斜して延びるよう形成されている。
【0034】
なお、下部内装部材30は、その上端部30a(より正確に述べるとセンターベース部材39)にガイド部25が挿入されるガイド挿入部37が設けられていて、上部内装部材20を取り付ける際、ガイド部25をガイド挿入部37の挿入孔37aに挿入することにより、上部内装部材20が案内される。それにより、クリップ24がクリップ挿入部36に容易に挿入され組み付けが容易になっている。上部内装部材20は、下部内装部材30に組み付けるとき、ガイド部25により上下方向に対して傾斜した方向(矢印B方向)から取り付けることで、上部内装部材20が、下部内装部材30に対して室外側に押し付けるよう組み付けられるため、上部内装部材20と下部内装部材30との間に隙間が発生するのを抑制できる。
【0035】
下部内装部材30について、
図9から
図13を用いて説明する。
図9は車両用内装部材10を車両の外側からみた側面図であり、
図10は、アウターガーニッシュと第一リップ部及び第二リップ部を取り外した状態を示す車両用内装部材10の側面図である。
図9及び
図10では、センサモジュール3は表示していない。
図11は、
図9のXI-XI線に沿った断面図であり、クリップ24とクリップ挿入部36との関係を示す図である。
図12は、
図9のXII-XII線に沿った断面図であり、ガイド部25とガイド挿入部37との関係を示す図である。
図13は
図9のXIII-XIII線に沿った断面図である。
【0036】
アウターガーニッシュ部材35は、
図9、
図11~
図13に示すように、センサモジュール3の下方に設けられる部材である。
図9に示すように、上部内装部材20の前方部分では、点線で示すセンサモジュール3が配置されるため、上部内装部材20の外側側面の前方部分は目隠しされる。しかしながら、後方部分はセンサモジュール3が配置されないため、そのままでは、
図10に示すように、上部内装部材20の後方部分が外側に露出する。そのため、アウターガーニッシュ部材35に目隠しとなる板状部材35aを設け、上部内装部材20の後方部分を塞ぐよう構成されている。
【0037】
また、アウターガーニッシュ部材35の外側側部35bには、下部内装部材30と窓ガラス5との間に隙間を塞ぐ第二シール部材50が取り付けられている。第二シール部材50は、アウターガーニッシュ部材35に接着剤等により固定される本体51と本体51の外側側部に設けられた二つのシールリップ部52が設けられている。
【0038】
また、上述したように、第一シール部材40の下端に設けられた補助リップ44は、センサモジュール3の外側側面に当接することで、上部内装部材20とセンサモジュール3との間にゴミ等が侵入することを抑制している。
【0039】
また、センサモジュール3を取り付けるセンサ取付部材7は、
図12及び
図13に示すように、ケース9の室内側側部を支持している。センサ取付部材7の上端は、ケース9の上端まで伸びていて、
図13に示すように、アッパーベース部材21の内側から下方に延びるリブ27(支持部)に当接可能に構成されている。そのため、例えば乗員のひじが、上部内装部材20に置かれ、荷重がかかった場合でも、その荷重は、アッパーベース部材21のリブ27を介して、金属製のセンサ取付部材7(板状部材)に伝わるため、センサモジュール3に直接荷重がかかることがなく、センサモジュール3を保護することができる。
【0040】
クリップ挿入部36は、
図11に示すように、センターベース部材39の上端に設けられていて、クリップ挿入部36の頂部にはクリップ24を挿入するための挿入孔36aが形成されている。また、上述したように、挿入孔36aの幅E2はクリップ24の幅E1より小さくなるよう形成されており、クリップ24が挿入された時、挿入孔36aの周囲にクリップ24の付勢部24aが引っ掛かるため、一端挿入されると外れ難くなっている。
【0041】
また、
図12に示すように、センターベース部材39の上端部、すなわち、下部内装部材30の上端部30aには、ガイド部25を挿入するためのガイド挿入部37が設けられており、ガイド挿入部にはガイド部25を挿入する挿入孔37aが形成されている。上部内装部材20を下部内装部材30に組み付ける際、ガイド挿入部37の挿入孔37aに、ガイド部25を挿入することで、
図11の矢印B方向に、上部内装部材20を案内することができる。
【0042】
また、アッパーガーニッシュ部材22に設けられる複数のリブ22bは、
図10に示すように、アッパーベース部材をアッパーガーニッシュ部材22に固定する係止部23と、前後方向で重ならないよう配置されている。これにより、アッパーガーニッシュ部材22の大型化が抑制されつつ、第一シール部材40の固定を強固にすることができる。
【0043】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる車両用内装部材について説明したが、特に限定されることなく、電車、バス等の内装部材のほか、飛行機、船等の内装部材としても利用することができる。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。特に、アッパーベース部材及びアッパーガーニッシュ部材について、上記の実施形態にて説明したものは、あくまで一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。また、車両用内装部材は、車両のスライドドアにとりつけられるものを例として説明したが、前方の座席に乗降するためのドア又は荷室の扉に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 車両用ドア
2 ドアフレーム
3 センサモジュール(センサ)
3a 下端部
3b 内側側部
3c 上端部
4 窓
5 窓ガラス
6 手
7 センサ取付部材(板状部材)
8 非接触静電センサ
9 ケース
9a 開口部
10 車両用内装部材
20 上部内装部材
21 アッパーベース部材
21a 上端部(下方支持部)
21b 溝部
21c 爪部
22 アッパーガーニッシュ部材
22a 上端部(上方支持部)
22b リブ(上方固定部)
23 係止部
24 クリップ
24a 付勢部
25 ガイド部
26 締結部材
27 リブ(支持部)
28 ねじ穴
30 下部内装部材
30a 上端部
31 センター部
32 ロア部
33 ドリンクホルダ
34 パワーウインドウスイッチ
35 アウターガーニッシュ部材
35a 板状部材
35b 外側側部
36 クリップ挿入部
36a 挿入孔
37 ガイド挿入部
37a 挿入孔
39 センターベース部材
40 第一シール部材
41 本体
42 シールリップ部
43 突出片
43a 先端
44 補助リップ
50 第二シール部材
51 本体
52 シールリップ部
60 ドアハンドル