(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】金属板、蒸着用マスクおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20231212BHJP
C25D 5/14 20060101ALI20231212BHJP
C25D 5/50 20060101ALI20231212BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231212BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C23C14/04 A
C25D5/14
C25D5/50
H05B33/14 A
H05B33/10
(21)【出願番号】P 2022153859
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2021067317の分割
【原出願日】2018-03-08
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】10-2017-0031938
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】ペク,チフム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユンテ
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-34681(JP,A)
【文献】国際公開第2016/171337(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
C25D 5/14
C25D 5/50
H10K 50/10
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と反対となる第2面を含む金属板、
前記金属板は、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)の合金を含み、
前記金属板は、前記第1面から深さ方向に配置された第1外郭部と、前記第2面から深さ方向に配置された第2外郭部と、前記第1外郭部と前記第2外郭部の間に配置される中央部を含み、
前記第1外郭部及び前記第2外郭部の最大値ニッケルの含量は、前記中央部の最大値ニッケルの含量より大きく、
前記第1外郭部のニッケルの含量は、前記第1面から前記中央部を向かいながら小さくなる領域を含む、蒸着用マスク。
【請求項2】
前記第2外郭部のニッケルの含量は、前記第2面から前記中央部を向かいながら小さくなる領域を含む、請求項1に記載の蒸着用マスク。
【請求項3】
前記第1外郭部の最大値鉄の含量は、前記中央部の鉄の含量より小さい、請求項1または2に記載の蒸着用マスク。
【請求項4】
前記第2外郭部の最大値鉄の含量は、前記中央部の鉄の含量より小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の蒸着用マスク。
【請求項5】
前記第1外郭部の鉄の含量は、前記第1面から前記中央部を向かいながら大きくなる領域を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の蒸着用マスク。
【請求項6】
前記第2外郭部の鉄の含量は、前記第2面から前記中央部を向かいながら大きくなる領域を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の蒸着用マスク。
【請求項7】
前記第1外郭部は、前記第1面から前記金属板の全体厚さの5%以上乃至10%以下の領域を占め、
前記第2外郭部は、前記第2面から前記金属板の全体厚さの5%以上乃至10%以下の領域を占める、請求項1から6のいずれか一項に記載の蒸着用マスク。
【請求項8】
前記第1、第2外郭部のニッケルの含量は、36重量%乃至100重量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の蒸着用マスク。
【請求項9】
前記第1、第2外郭部のニッケルの含量は、50重量%乃至100重量%である、請求項8に記載の蒸着用マスク。
【請求項10】
前記第1、第2外郭部は、それぞれ第1、第2外郭表面部及び第1、第2外郭内面部を含み、
前記第1、第2外郭表面部は、前記第1、第2外郭内面部よりニッケルの含量が大きい、請求項1から9のいずれか一項に記載の蒸着用マスク。
【請求項11】
前記第1、第2外郭表面部は、前記第1、第2外郭部の全体厚さの20%以下の領域であり、
前記第1、第2外郭表面部の鉄の含量は、前記第1、第2外郭表面部のニッケルの含量より小さい、請求項10に記載の蒸着用マスク。
【請求項12】
前記第1、第2外郭内面部は、前記第1、第2外郭内面部及び前記第1、第2外郭表面部の境界面から前記第1、第2外郭内面部及び前記中央部の境界面に行くほどニッケルの含量が漸減する、請求項10に記載の蒸着用マスク。
【請求項13】
前記第1外郭内面部及び前記第2外郭内面部は、前記中央部と近い位置であるほどニッケルの含量が小さくなる、請求項10に記載の蒸着用マスク。
【請求項14】
前記第1、第2外郭表面部は、鉄の含量がニッケルの含量より小さい、請求項10に記載の蒸着用マスク。
【請求項15】
前記第1及び第2外郭内面部のニッケル含量は、前記第1及び第2外郭表面部のニッケル含量と前記中央部のニッケル含量の間である、請求項10に記載の蒸着用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、金属板に関する。詳細には、実施例は、蒸着用マスクに用いられる金属板に関
する。より詳細には、実施例による蒸着用マスクを用いてOLEDパネルを製作すること
ができる。
【背景技術】
【0002】
高解像度および低消費電力を有する表示装置が要求されることにより、液晶表示装置や電
界発光表示装置のような多様な表示装置が開発されている。
【0003】
電界発光表示装置は、液晶表示装置に比べ、低発光、低消費電力、高解像度などの優れた
特性により、次世代表示装置として脚光を浴びている。
【0004】
電界表示装置は、有機発光表示装置と無機発光表示装置がある。すなわち、発光層の物質
によって有機発光表示装置と無機発光表示装置とに区別され得る。
【0005】
その中でも、有機発光表示装置は、広い視野角を有し、速い応答速度を有するという点、
低消費電力が要求されるという点で注目されている。
【0006】
このような発光層を構成する有機物質は、ファインメタルマスク(fine meTAl
mask)方式によって基板上に画素を形成するためのパターンが形成され得る。
【0007】
このとき、ファインメタルマスク、すなわち蒸着用マスクは、基板上に形成されるパター
ンと対応する貫通孔を有することができ、基板上にファインメタルマスクをアライメント
した後、有機物質を蒸着することにより、画素を形成する赤色(Red)、緑色(Gre
en)、青色(Blue)のパターンを形成することができる。
【0008】
高解像度ないし超高解像度の画素を有する蒸着パターンを形成するためには、薄い厚さの
金属板が要求される。
【0009】
金属板を薄くするためには、圧延やメッキの方法が試みられ得る。
【0010】
圧延された金属板は、薄い厚さに製造されにくいという問題点を有する。圧延された金属
板を20μm以下に製造する場合には、製品品質が低下するに従って、均一なサイズの貫
通孔を形成しにくいという問題点を有する。
【0011】
一方、メッキで形成された金属板は、薄い厚さを有し得るが、金属板が合金からなる場合
には組成を制御しにくいという問題点を有する。一定の合金の割合を有する初期のメッキ
層上にサブマイクロ単位の厚さに形成される金属板は、初期のメッキ層と同じ合金の割合
を有し得るが、マイクロ単位の厚さの金属板は、初期のメッキ層と同じ合金の割合を有し
にくいという問題点を有する。これによって、厚さが1μm以上のメッキ金属板は、熱膨
脹係数の増加によって製品品質が低下するという問題点を有する。
【0012】
したがって、新しい構造の蒸着マスク用金属板、蒸着マスク及びその製造方法が要求され
る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
実施例は、薄い厚さを有しながら、合金組成の均一性を確保できる金属板を提供するため
のものである。また、実施例は、均一な貫通孔を形成することができる金属板を提供する
ためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施例による蒸着用マスクの製作に使用される金属板において、多層金属板は、厚さが3
0μm以下であり、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)の合金を含み、前記金属板の一表面
から全体厚さの20%以下の領域を占める第1外郭部、前記一表面と反対となる他表面か
ら全体厚さの20%以下の領域を占める第2外郭部と、前記第1外郭部及び前記第2外郭
部以外の中央部を含み、前記第1外郭部及び前記第2外郭部のニッケルの含有量は、前記
中央部のニッケルの含有量より大きいものを含む。
【0015】
実施例による蒸着用マスクの製作に使用される金属板において、ニッケル(Ni)及び鉄
(Fe)の合金を含む多層金属板は、ニッケルメッキ層形成ステップ;前記ニッケルメッ
キ層上の鉄メッキ層形成ステップ;前記ニッケルメッキ層と前記鉄メッキ層が交互に繰り
返して配置される多層メッキ板形成ステップ;及び前記多層メッキ板を300℃以上の温
度で処理する熱処理ステップ;を含む。
【発明の効果】
【0016】
実施例による多層金属板は、厚さが30μm以下であり、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe
)の合金を含み、全体厚さの20%以下の領域の外郭部及び前記外郭部以外の中央部を含
み、前記外郭部のニッケルの含有量は、前記中央部のニッケルの含有量より大きいものを
含むことができる。これによって、実施例による多層金属板は、前記外郭部が位置した表
面でのエッチング速度を遅らせることができ、これによりエッチングファクターが向上す
ることができる。
【0017】
実施例によるニッケル(Ni)及び鉄(Fe)の合金を含む多層金属板は、メッキによっ
て形成され得る。これによって、実施例による多層金属板は、30μm以下の薄い厚さに
形成され得る。
【0018】
したがって、実施例による蒸着用マスクで製作したOLEDパネルは、パターンの蒸着効
率に優れ、蒸着均一性が向上し得る。
【0019】
実施例による多層金属板の製造方法は、ニッケルメッキ層形成ステップ;前記ニッケルメ
ッキ層上の鉄メッキ層形成ステップ;前記ニッケルメッキ層と前記鉄メッキ層が交互に繰
り返して配置される多層メッキ板形成ステップ;及び前記多層メッキ板を300℃以上の
温度で処理する熱処理ステップ;を含むことができる。
【0020】
すなわち、実施例による金属板は、ニッケルメッキ層と鉄メッキ層が交番して配置される
ように形成された後、熱処理されることによって、多層の金属板が形成され得る。また、
300℃以上の温度で熱処理されることによって、鉄メッキ層の鉄とニッケルメッキ層の
ニッケルは、それぞれ拡散することができ、一定の厚さ範囲で均一な含有量を有し得る。
これによって、実施例による他の金属板は、低い熱膨脹係数を有することができ、これを
用いた蒸着用マスクは、均一な貫通孔を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】基板上に有機物質を蒸着する工程を説明するための概念図である。
【
図2】基板上に有機物質を蒸着する工程を説明するための概念図である。
【
図3】実施例の多層金属板の正面図を示した図である。
【
図4】実施例の多層金属板の正面図を示した図である。
【
図5】
図3のA-A’の断面図を示した実施例の図である。
【
図6】実施例による多層金属板の製造工程を示した図である。
【
図7】実施例による多層金属板の製造工程を示した図である。
【
図8】実施例による多層金属板の製造工程を示した図である。
【
図9】実施例による多層金属板の製造工程を示した図である。
【
図10】実施例による多層金属板の製造工程を示した図である。
【
図11】比較例によるメッキによって形成された金属板の厚さによる異種合金の組成比分布を示す図である。
【
図12】実施例による多段メッキ後、熱処理された金属板の厚さによる異種合金の組成比分布を示す図である。
【
図13】実施例による蒸着用マスクの貫通孔の製造工程を示した図である。
【
図14】実施例による蒸着用マスクの貫通孔の製造工程を示した図である。
【
図15】実施例による蒸着用マスクの貫通孔の製造工程を示した図である。
【
図16】実施例による蒸着用マスクの貫通孔の製造工程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して実施例を具体的に説明する。
【0023】
添付図面を参照して説明することにおいて、同じ構成要素は同じ図面符号付与し、これに
対する重複説明は省略する。
【0024】
第1、第2などの用語は、構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素は、
前記用語に限定されず、一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的にだけ使用される
。
【0025】
また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対になる記載がない
限り、他の構成要素を除くことなく他の構成要素をさらに備えることができるということ
を意味する。
【0026】
図面において、各層(膜)、領域、パターンまたは、構造物の厚さやサイズは説明の明確
性および便宜のために変形されることがあるため、実際のサイズを全面的に反映するもの
ではない。実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターンまたは構造物が基板、各
層(膜)、領域、パッドまたは、パターンの「うえ(over)」、「上(on)」に、
または「下/した(under)」に形成されるものと記載される場合において、「うえ
(over)」、「上(on)」と「下/した(under)」は「直接(direct
ly)」または「他の層を介在して(indirectly)」形成されるものをすべて
含む。各実施例は独立的に実施されたり共に実施され、発明の目的に符合するように一部
の構成要素は除外され得る。以下、添付された図面を参照して実施例を説明する。
【0027】
図1および
図2を参照して基板上に有機物質を蒸着する工程を説明する。
【0028】
図1は、実施例による金属板100が蒸着用マスクとして含まれた有機物蒸着装置を示し
た図である。
【0029】
有機物蒸着装置は、蒸着用マスクとして使用された金属板100、マスクフレーム200
、基板300、有機物蒸着容器400、および真空チャンバ500を含むことができる。
【0030】
前記蒸着用マスクは、実施例による金属板100であり得る。前記金属板100は、複数
の貫通孔を含むことができる。このとき、前記貫通孔は、基板上に形成されるパターンと
対応するように形成され得る。
【0031】
前記マスクフレーム200は、開口部を含むことができる。前記金属板100の複数の貫
通孔は、前記開口部と対応する領域上に配置され得る。これにより、前記有機物蒸着容器
400に供給される有機物質が前記基板300上に蒸着できる。
【0032】
前記蒸着用マスクは、前記マスクフレーム200上に配置されて固定
され得る。例えば、前記蒸着用マスクは引っ張られ、前記マスクフレーム200上に溶接
によって固定され得る。
【0033】
前記基板300は、表示装置の製造に使用される基板であり得る。前記基板300上には
光の3原色の画素を形成するために、赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Bl
ue)のパターンが形成され得る。
【0034】
前記有機物蒸着容器400は、るつぼであり得る。前記るつぼの内部には有機物質が配置
され得る。
【0035】
前記真空チャンバ500内で前記るつぼに熱源および/または電流が供給されることによ
り、前記有機物質は前記基板100上に蒸着できる。
【0036】
図2は、前記金属板100の一つの貫通孔を拡大した図である。
【0037】
前記金属板100は、第1面101および前記第1面と対向する第2面102を含むこと
ができる。
【0038】
前記金属板100の前記第1面101は、第1面孔V1を含み、前記金属板100の前記
第2面102は、第2面孔V2を含むことができる。
【0039】
前記貫通孔は、前記第1面孔V1および前記第2面孔V2が連通する連結部CAによって
形成され得る。
【0040】
前記第2面孔V2の幅は、前記第1面孔V1の幅より大きいことがある。このとき、前記
第1面孔V1の幅は前記第1面101で測定され、前記第2面孔V2の幅は、前記第2面
102で測定され得る。
【0041】
前記第1面孔V1は、前記基板300に向かって配置され得る。これにより、前記第1面
孔V1は、蒸着物D、すなわち、パターンと対応する形状を有し得る。
【0042】
前記第2面孔V2は、前記有機物蒸着容器400に向かって配置され得る。これにより、
前記第2面孔V2は、前記有機物蒸着容器400から供給される有機物質を広い幅で収容
でき、前記第2面孔V2より幅が小さい前記第1面孔V1を通じて前記基板300上に微
細なパターンを速く形成することができる。
【0043】
図3および
図4は、金属板100の正面図を示した図である。
【0044】
前記金属板100は、複数の貫通孔を含むことができる。
図3に示された複数の貫通孔は
、前記第2面孔V2を示したものであり得る。任意のいずれか一つの貫通孔である基準孔
の水平方向の直径Cxと垂直方向の直径Cyを測定する場合、前記基準孔に隣接する孔(
示された図では合計6個)の間における、それぞれの水平方向の直径Cx間の偏差と、垂
直方向の直径Cy間の偏差とは2%ないし10%で実現され得る。すなわち、一つの基準
孔の隣接孔の間のサイズ偏差が2%ないし10%で実現される場合には蒸着の均一度を確
保することができる。
【0045】
例えば、前記基準孔と前記隣接孔間のサイズ偏差は、4%ないし9%であり得る。例えば
、前記基準孔と前記隣接孔間のサイズ偏差は、5%ないし7%であり得る。
【0046】
前記基準孔と前記隣接孔間のサイズ偏差が2%未満の場合には、蒸着後にOLEDパネル
でモアレの発生率が高くなり得る。前記基準孔と前記隣接孔間のサイズ偏差が10%超過
の場合には、蒸着後のOLEDパネルで色むらの発生率が高くなり得る。
【0047】
実施例は、前記基準孔と前記隣接孔間のサイズ偏差を±3μm以内に実現することができ
る。これにより、蒸着効率が向上し得る。
【0048】
例えば、
図3を参照すると、前記貫通孔は、縦軸で一列に配置され、横軸で一列に配置さ
れ得る。
【0049】
例えば、
図4を参照すると、前記貫通孔は、縦軸で一列に配置され、横軸で互いに交差し
て配置され得る。
【0050】
前記貫通孔は、縦方向で測定された第1直径と、横方向で測定された第2直径とが互いに
対応したり互いに異なることがある。前記貫通孔は、A-A’の断面方向と対応する第1
対角線方向で測定された第3直径と、前記第1対角線方向と交差する第2対角線方向で測
定された第4直径とが互いに対応したり互いに異なることがある。前記貫通孔は、ラウン
ドされることがある。
【0051】
図5は、実施例による蒸着用マスクにおいて、複数の貫通孔の断面を拡大した図である。
【0052】
図5を参照すると、蒸着用マスクの製作に使用される前記金属板100は、中央部101
及び外郭部102、103を含むことができる。
【0053】
前記外郭部102、103は、全体厚さの20%以下の領域に位置することができる。前
記外郭部102、103は、前記金属板100の表面の一面または両面に形成され得る。
例えば、前記金属板100の一面には第1外郭部102を含むことができ、前記金属板1
00の一面と反対となる他面には第2外郭部103を含むことができる。
【0054】
前記中央部101は、前記外郭部以外の金属板部分を意味することができる。例えば、前
記中央部101は、前記第1外郭部102及び前記第2外郭部103以外の金属板の領域
であり得る。詳しくは、前記中央部101は、前記第1外郭部102及び前記第2外郭部
103の間の中央部分に位置することができる。
【0055】
前記金属板100の全体厚さTAは、30μm以下であり得る。例えば、前記金属板10
0の全体厚さTAは、25μm以下であり得る。例えば、前記金属板100の全体厚さT
Aは、1μmないし20μm以下であり得る。
【0056】
前記金属板100は、圧延以外の工程に形成されることができ、20μm以下の厚さを有
する場合にも、製造収率に優れ得る。
【0057】
実施例による多層金属板は、複数のメッキ層を含むことができる。これによって、前記金
属板100は、1μm以上の厚さにメッキによって形成される場合にも、ニッケルと鉄が
均一な含有量を有し得る。
【0058】
前記第1外郭部102及び前記第2外郭部103の少なくとも一つの外郭部の全体厚さは
、5μm以下であり得る。詳しくは、前記第1外郭部102は、前記金属板の一表面から
5μm以下の厚さ範囲と定義され得、前記第2外郭部103は、前記金属板の他表面から
5μm以下の厚さ範囲と定義され得る。例えば、前記第1外郭部102及び前記第2外郭
部103の少なくとも一つの外郭部の全体厚さは、0μmないし3μm以下であり得る。
【0059】
前記第1外郭部102及び前記第2外郭部103の厚さは、互いに対応し得る。ここで、
対応するということは、同じであるか、または公差による誤差を含むことができる。
【0060】
前記中央部101の厚さは、前記外郭部102、103の厚さより大きいことがある。前
記中央部101の厚さは、前記第1外郭部102及び前記第2外郭部103のいずれか一
つの外郭部の厚さより大きいことがある。前記中央部101の厚さは、前記第1外郭部1
02及び前記第2外郭部103の厚さより大きいことがある。
【0061】
前記金属板100は、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)の合金を含むことができる。前記
中央部101及び前記外郭部102、103は、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)の合金
を含むことができる。
【0062】
前記外郭部102、103のニッケルの含有量は、前記中央部101のニッケルの含有量
と互いに異なることがある。前記外郭部102、103のニッケルの含有量は、前記中央
部101のニッケルの含有量より大きいことがある。これによって、前記外郭部が位置し
た金属板表面は、貫通孔を形成するためのエッチング速度が前記中央部より遅いことがあ
る。これによって、実施例の多層金属板は、エッチングファクターが向上することができ
、微細なサイズの貫通孔を均一に形成することができる。
【0063】
一方、前記外郭部102、103の鉄の含有量は、前記中央部101の鉄の含有量と互い
に異なることがある。前記外郭部102、103の鉄の含有量は、前記中央部101の鉄
の含有量より小さいことがある。
【0064】
前記外郭部102、103のニッケルの含有量は、36重量%ないし100重量%であり
得る。例えば、前記外郭部102、103のニッケルの含有量は、40重量%ないし10
0重量%であり得る。例えば、前記外郭部102、103のニッケルの含有量は、50重
量%ないし100重量%であり得る。
【0065】
前記中央部101は、一定の含有量を有する二元係合金であり得る。前記中央部101は
、ニッケル約36重量%及び鉄約64重量%のインバー(invar)であり得る。ここ
で、“36重量%”と“64重量%”は、それぞれ±0.1%の誤差範囲、または±0.
01%の誤差範囲を含むことができる。インバー(invar)材金属板は、熱膨脹係数
が低い特性を有し得る。このようなインバーの特性は、蒸着用マスクの製造効率及び製造
収率を向上させることができる。
【0066】
前記中央部101は、測定位置または測定厚さに関係なく均一な組成を有し得る。
【0067】
例えば、前記中央部101は、任意の第1地点で測定された含有量がニッケル36重量%
及び鉄64重量%であり得、前記第1地点と異なる任意の第2地点で測定された含有量が
ニッケル36重量%及び鉄64重量%であり得る。
【0068】
例えば、前記中央部101は、任意の第1厚さで測定された含有量がニッケル36重量%
及び鉄64重量%であり得、前記第1厚さと異なる任意の第2厚さで測定された含有量が
ニッケル36重量%及び鉄64重量%であり得る。
【0069】
実施例による多層金属板の中央部101は、インバーの熱膨脹係数が小さい特性を有し得
る。これによって、実施例による多層金属板は、微細なサイズの均一性を有する複数の貫
通孔を含む蒸着用マスクの製造効率に優れ得る。
【0070】
前記金属板100の成分、含有量、重量%は、前記金属板100の平面上で特定領域a*
bを選択して、前記金属板100の厚さtに該当する詩編a*b*tをサンプリングして
強酸などに溶かして各成分の重量%を調査する方法を用いて確認することができる。しか
し、実施例は、これに制限されず、多様な方法で含有量を確認することができる。
【0071】
前記金属板100は、貫通孔の厚さ方向により、互いに異なる貫通孔の幅を有し得る。例
えば、前記第1面孔V1の幅W1は、前記連結部CAの幅W3より大きいことがある。詳
しくは、前記第1面孔V1は、前記第1面101から前記連結部CAに向かって行くほど
前記貫通孔の幅が減少することがある。さらに詳しくは、前記第1面孔V1は、前記第1
面101から前記連結部CAに向かって行くほど前記貫通孔の幅が徐々に減少することが
ある。
【0072】
例えば、前記第2面孔V2の幅W2は、前記連結部CAの幅W3より大きいことがある。
詳しくは、前記第2面孔V2は、前記第2面102から前記連結部CAに向かって行くほ
ど前記貫通孔の幅が減少することがある。さらに詳しくは、前記第2面孔V2は、前記第
2面102から前記連結部CAに向かって行くほど前記貫通孔の幅が徐々に減少すること
がある。
【0073】
実施例による蒸着用マスクは、複数の貫通孔を含むことができる。このとき、一つの貫通
孔の幅は、40μm以下であり得る。例えば、前記貫通孔の幅は、5μmないし40μm
であり得る。例えば、前記貫通孔の幅は、10μmないし35μmであり得る。例えば、
前記第1面孔の幅W1及び前記第2面孔の幅W2の少なくとも一つは、40μm以下の幅
を有し得る。前記貫通孔の幅が40μm超過の場合には、微細な蒸着パターンを形成しに
くいことがある。
【0074】
前記第2面孔V2の高さH2は、前記第1面孔V1の高さH1より大きいことがある。
【0075】
一方、前記第1面孔V1の高さH1は、前記金属板100の厚さTとの関係比が1:(3
~30)を有し得る。例えば、前記第1面孔V1の高さH1は、前記金属板100の厚さ
Tとの関係比が1:(3.5~12.5)を有し得る。例えば、前記第1面孔V1の高さ
H1は、前記金属板100の厚さTとの関係比が1:(4.5~10.5)を有し得る。
【0076】
前記第1面孔V1の高さH1が前記金属板100の厚さTとの関係において前記比を超過
する場合には、前記第1面孔V1の高さH1が大きくなり、有機物質の厚さ変化が大きく
なることになり、有機物質が蒸着されない領域が発生する可能性がある。これにより、前
記蒸着用マスク
を通じて製造されたOLEDパネルの製造収率が低下し得る。
【0077】
前記第1面孔V1の高さH1は、0.1μmないし7μmであり得る。例えば、前記第1
面孔V1の高さH1は、1μmないし6μmであり得る。例えば、前記第1面孔V1の高
さH1は、2μmないし4.5μmであり得る。前記第1面孔V1の高さH1が0.1μ
m未満の場合には、前記金属板を通した有機物質の蒸着効率が低下し得る。前記第1面孔
V1の高さH1が7μm超過の場合には、微細なサイズのパターンの形成が困難であり、
有機物質が蒸着されない領域が発生する可能性があるため、これを通じて製造されたOL
EDパネルの製造収率が低下し得る。
【0078】
一方、前記第1面孔V1と隣接して、前記第1面101上に形成される第3面孔V3は、
前記第2面孔V1と隣接して、前記第2面102上に形成される第4面孔V4とそれぞれ
前記連結部CAを通じて連通することにより、複数の貫通孔を形成することができる。
【0079】
実施例による蒸着マスク用基板は、任意の第1貫通孔及び前記第1貫通孔と隣接した第2
貫通孔の間にブリッジ領域を含むことができる。例えば、前記第1面孔V1及び前記第3
面孔V3の間の前記第1面101には、第1ブリッジ領域を含むことができ、前記第2面
孔V1及び前記第4面孔V4の間の前記第2面102には、第2ブリッジ領域を含むこと
ができる。
【0080】
前記第1ブリッジ領域は、前記第2ブリッジ領域の平面的より大きいことがある。前記ブ
リッジ領域は、複数の貫通孔が一定の間隔で離隔できるように支持することができる。
【0081】
前記連結部CAの終端の任意の地点A1と前記第2面孔V2の終端の任意の地点B1とを
連結する傾斜角は20度ないし70度の範囲であり得る。例えば、前記連結部CAの終端
の任意の地点A1と前記第2面孔V2の終端の任意の地点B1とを連結する傾斜角は、3
0度ないし60度の範囲であり得る。例えば、前記連結部CAの終端の任意の地点A1と
前記第2面孔V2の終端の任意の地点B1とを連結する傾斜角は、32度ないし38度ま
たは52度ないし58度の範囲であり得る。前記連結部CAの終端の任意の地点A1と前
記第2面孔V2の終端の任意の地点B1とを連結する傾斜角が20度ないし70度の範囲
であるとき、蒸着の均一性が向上し得る。前記傾斜角の範囲を外れる場合には、有機物質
が蒸着されない領域が発生する可能性があるので、蒸着効率および工程効率が低下し得る
。
【0082】
前記第1面孔V1は、前記金属板100の中心部方向に行くほど貫通孔の幅が狭くなるこ
とがある。例えば、前記第1面孔V1の内表面は曲率を有する構造であり得る。また、前
記第2面孔V2は、前記金属板100の中心部方向に行くほど貫通孔の幅が狭くなること
がある。例えば、前記第1面孔V1の内表面は曲率を有する構造であり得る。これにより
、蒸着物質の投入密度が調節され、単純なスロープ構造に比べて蒸着の均一度が向上し得
る。
【0083】
前記第1面孔V1の幅W1と前記連結部CAの幅W3との差W1-W3は、0.2μmな
いし14μmの範囲であり得る。
【0084】
前記第1面孔V1の終端の任意の点C1から前記連結部CAの終端の任意の地点A1まで
の垂直距離は、0.1μmないし7μmの範囲であり得る。前記第1面孔V1の終端の任
意の点C1から前記連結部CAの終端の任意の地点A1までの垂直距離は、1μmないし
6μmの範囲であり得る。前記第1面孔V1の終端の任意の点C1から前記連結部CAの
終端の任意の地点A1までの垂直距離は、2μmないし4.5μmの範囲であり得る。
【0085】
前記垂直距離が0.1μm未満の場合には、前記金属板100を通した有機物質の蒸着効
率が低下し得る。前記垂直距離が7μm超過の場合には、微細なサイズのパターンの形成
が困難であり、有機物質が蒸着されない領域が発生する可能性があるため、これを通じて
製造されたOLEDパネルの製造収率が低下し得る。
【0086】
前記第1面孔V1は、前記第1面101上のオープン領域の角部、すなわちオープン領域
の外郭部が曲率を有し得る。または、前記第2面孔V2は、前記第2面102上のオープ
ン領域の角部、すなわちオープン領域の外郭部が曲率を有し得る。例えば、前記オープン
領域の角部は、一定の範囲の曲率を有するラウンドされた構造であり得る。前記角部のラ
ウンドされた部分の曲率を延長して形成される仮想の円の直径は、5μmないし20μm
の範囲であり得る。例えば、前記角部のラウンドされた部分の曲率を延長して形成される
仮想の円の直径は、7μmないし15μmの範囲であり得る。前記角部のラウンドされた
部分の曲率を延長して形成される仮想の円の直径は、8μmないし12μmの範囲であり
得る。上記範囲で蒸着率が高く、均一な有機物質の蒸着が可能になり得る。
【0087】
前記角部のラウンドされた部分の曲率を延長して形成される仮想の円の直径が5μm未満
の場合には、曲率処理をしていないものとの蒸着率に差が大きくないこともある。前記角
部のラウンドされた部分の曲率を延長して形成される仮想の円の直径が20μm超過の場
合には蒸着率が低下し得る。
【0088】
前記第4貫通孔V4の幅W5は、前記第3貫通孔V3の幅W4より大きいことがある。例
えば、前記第3貫通孔V3の幅W4は、前記連結部CAの幅W6より大きいことがある。
詳しくは、前記第3面孔V3は、前記第1面101から前記連結部CAに向かって行くほ
ど前記貫通孔の幅が減少することがある。詳しくは、前記第3面孔V3は、前記第1面1
01から前記連結部CAに向かって行くほど前記貫通孔の幅が徐々に減少することがある
。
【0089】
例えば、前記第4面孔V4の幅W5は、前記連結部CAの幅W6より大きいことがある。
詳しくは、前記第4面孔V4は、前記第2面102から前記連結部CAに向かって行くほ
ど前記貫通孔の幅が減少することがある。さらに詳しくは、前記第4面孔V4は、前記第
2面102から前記連結部CAに向かって行くほど前記貫通孔の幅が徐々に減少すること
がある。
【0090】
前記第4面孔V4の高さH4は、前記第3面孔V3の高さH3より大きいことがある。
【0091】
図6ないし
図10は、実施例による多層金属板の製造工程を示した図である。
【0092】
実施例による蒸着用マスクの製作に使用される金属板において、ニッケル(Ni)及び鉄
(Fe)の合金を含む多層金属板は、ニッケルメッキ層形成ステップ;前記ニッケルメッ
キ層上の鉄メッキ層形成ステップ;前記ニッケルメッキ層と前記鉄メッキ層が交互に繰り
返して配置される多層メッキ板形成ステップ;及び前記多層メッキ板を300℃以上の温
度で処理する熱処理ステップ;を含んで製造され得る。ここで、ニッケルメッキ層形成ス
テップと鉄メッキ層形成ステップは、ニッケルメッキ層が先に形成される場合に制限され
ず、鉄メッキ層が先に形成され得ることは勿論である。すなわち、実施例による蒸着用マ
スクの製作に使用される金属板において、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)の合金を含む
多層金属板は、鉄メッキ層形成ステップ;前記鉄メッキ層上のニッケルメッキ層形成ステ
ップ;前記鉄メッキ層と前記ニッケルメッキ層が交互に繰り返して配置される多層メッキ
板形成ステップ;及び前記多層メッキ板を300℃以上の温度で処理する熱処理ステップ
;を含んで製造され得る。
【0093】
先に、
図6を参照して、ニッケルメッキ層形成ステップを説明する。
【0094】
図6を参照すると、ニッケルメッキ層M1は、ニッケル約100重量%を含むことができ
る。ニッケルメッキ層形成ステップは、ニッケルメッキ層M1が一定のニッケル約100
重量%の含有量を含むことができる適正な厚さにメッキするステップである。ここで、“
100重量%”は99.9%ないし100%、または99.99%ないし100%を意味
することであって、外部環境によって0.1%未満の不純物が含まれるか、または公差に
よって0.01%未満の不純物が含まれる場合を意味することができる。
【0095】
前記ニッケルメッキ層M1は、第1厚さT1を有し得る。例えば、前記ニッケルメッキ層
M1の第1厚さT1は、2μm以下であり得る。例えば、前記ニッケルメッキ層M1の第
1厚さT1は、1μm以下であり得る。
【0096】
前記ニッケルメッキ層M1は、ニッケル約100%含有量のメッキ層を形成するためのニ
ッケルメッキ液が満たされたニッケルメッキ浴を通過することによって前記第1厚さT1
まで形成され得る。
【0097】
次に、
図7を参照して、鉄メッキ層形成ステップを説明する。
【0098】
先に形成された前記ニッケルメッキ層M1上には鉄メッキ層M2が形成され得る。前記鉄
メッキ層M2は、鉄約100重量%を含むことができる。鉄メッキ層形成ステップは、鉄
メッキ層M2が一定の鉄約100重量%の含有量を含むことができる適正な厚さにメッキ
するステップである。ここで、“100重量%”は99.9%ないし100%、または9
9.99%ないし100%を意味することであって、外部環境によって0.1%未満の不
純物が含まれるか、または公差によって0.01%未満の不純物が含まれる場合を意味す
ることができる。
【0099】
前記鉄メッキ層M2は、第2厚さT2を有し得る。例えば、前記鉄メッキ層M2の第2厚
さT2は、2μm以下であり得る。例えば、前記鉄メッキ層M2の第2厚さT2は、1μ
m以下であり得る。
【0100】
前記鉄メッキ層M2は、鉄約100%含有量のメッキ層を形成するための鉄メッキ液が満
たされた鉄メッキ浴を通過することによって前記第2厚さT2まで形成され得る。
【0101】
このとき、前記ニッケルメッキ層M1の第1厚さT1は、前記鉄メッキ層M2の第2厚さ
T2と互いに異なることがある。前記ニッケルメッキ層M1はの第1厚さT1は、前記鉄
メッキ層M2の第2厚さT2より小さいことがある。詳しくは、前記ニッケルメッキ層M
1の第1厚さT1と前記鉄メッキ層M2の第2厚さT2の割合は、36:64になること
がある。
【0102】
すなわち、中央部に含まれたニッケル重量%と鉄重量%の割合は、前記ニッケルメッキ層
M1の第1厚さT1及び前記鉄メッキ層M2の第2厚さT2の割合と同じであり得る。
【0103】
例えば、前記ニッケルメッキ層M1の第1厚さT1及び前記鉄メッキ層M2の第2厚さT
2の合が1μmである場合には、前記鉄メッキ層M2の第2厚さT2は、0.64μmで
あり、前記ニッケルメッキ層M1の第1厚さT1は、0.36μmであり得る。実施例の
厚さはここに制限されず、前記ニッケルメッキ層M1の第1厚さT1と前記鉄メッキ層M
2の第2厚さT2が36:64の割合を満足する範囲内で多様な厚さであり得ることは勿
論である。
【0104】
次に、
図8を参照して、前記ニッケルメッキ層と前記鉄メッキ層が交互に繰り返して配置
される多層メッキ板形成ステップを説明する。
【0105】
先に形成された前記鉄メッキ層M2上には、前記ニッケルメッキ層M1が配置され、前記
ニッケルメッキ層M1上には、また前記鉄メッキ層M2が形成され得る。
【0106】
すなわち、前記第1厚さT1を有する前記ニッケルメッキ層M1と前記第2厚さT2を有
する前記鉄メッキ層M2は、交互に繰り返して配置され得る。多層メッキ板内のそれぞれ
のニッケルメッキ層M1は、互いに均一な第1厚さT1を有し得る。また、多層メッキ板
内のそれぞれの鉄メッキ層M2は、互いに均一な第2厚さT2を有し得る。
【0107】
前記ニッケルメッキ層M1は、前記鉄メッキ層M2と互いに異なるメッキ浴を連続的に通
過するロ-ル・ツー・ロ-ル工程によって形成され得る。すなわち、ニッケルメッキ液を
通過してニッケルメッキ層を形成した後には鉄メッキ液を通過して鉄メッキ層を形成する
ことができ、またニッケルメッキ液を通過することによって鉄メッキ層上にニッケルメッ
キ層が形成され得る。
【0108】
すなわち、第1組成のニッケルメッキ液が浸けられたニッケルメッキ浴と、第1組成と異
なる第2組成の鉄メッキ液が浸けられた鉄メッキ浴を交互に連続的に通過することによ
って、多層金属板が形成され得る。
【0109】
このとき、ニッケルメッキ層の形成後に残存したニッケルメッキ液が鉄メッキ液の組成の
変化を起こすか、または鉄メッキ層の形成後に残存した鉄メッキ液がニッケルメッキ液の
組成の変化を起こす問題を防止するために、前記ニッケルメッキ層M1形成ステップと前
記鉄メッキ層M2形成ステップとの間に水洗及び乾燥ステップが要求され得る。
【0110】
例えば、前記多層メッキ板形成ステップは、ニッケルメッキ浴を通過するニッケルメッキ
層形成ステップ、ニッケルメッキ液を洗浄するための水洗ステップ、前記ニッケルメッキ
層上の水分を除去するための液切りステップ、及び鉄メッキ浴を通過する鉄メッキ層形成
ステップの連続工程を含むことができる。
【0111】
前記ニッケルメッキ層形成、以後の水洗ステップは、ニッケルメッキ液を洗浄するための
ことである。ニッケルメッキ液洗浄後の液切りステップは、ニッケルメッキ層上に水分が
残存することによって、以後、通過する鉄メッキ液の濃度が変化することを防止するため
に水分を乾燥するためのステップである。これによって、前記液切りステップ以後に形成
される鉄メッキ層は、鉄(Fe)100重量%の含有量を有し得る。
【0112】
次に、鉄メッキ層形成ステップ以後の水洗ステップは、鉄メッキ液を洗浄するためのもの
である。鉄メッキ液洗浄後の液切りステップは、鉄メッキ層上に水分が残存することによ
って、以後に通過するニッケルメッキ液の濃度が変化することを防止するために水分を乾
燥するためのステップである。これによって、前記液切りステップ以後に形成されるニッ
ケルメッキ層は、ニッケル(Ni)100重量%の含有量を有し得る。
【0113】
多層メッキ板は、互いに交互に配置された多層の前記ニッケルメッキ層M1及び多層の前
記鉄メッキ層M2を含むことができる。このとき、多層メッキ板の総厚さTAは、多層の
前記ニッケルメッキ層M1の総厚さ及び多層の前記鉄メッキ層M2の総厚さの合計であり
得る。
【0114】
多層メッキ板の総厚さTAは、30μm以下であり得る。例えば、多層メッキ板の総厚さ
TAは、25μm以下であり得る。例えば、多層メッキ板の総厚さTAは、20μm以下
であり得る。
【0115】
多層メッキ板は、2個以上のニッケル(Ni)及び鉄(Fe)の合金層を含み、一つの合
金層の厚さは、2μm以下であり得る。例えば、前記多層メッキ板に含まれた前記ニッケ
ルメッキ層M1及び前記鉄メッキ層M2のいずれか一つの合金層の厚さは、2μm以下で
あり得る。例えば、前記多層メッキ板に含まれた前記ニッケルメッキ層M1及び前記鉄メ
ッキ層M2のいずれか一つの合金層の厚さは、1μm以下であり得る。例えば、前記多層
メッキ板に含まれた前記ニッケルメッキ層M1及び前記鉄メッキ層M2のいずれか一つの
合金層の厚さは、0.7μm以下であり得る。例えば、前記多層メッキ板に含まれた前記
ニッケルメッキ層M1及び前記鉄メッキ層M2のいずれか一つの合金層の厚さは、0.4
μm以下であり得る。
【0116】
前記多層メッキ板に含まれた前記鉄メッキ層M2の個数n及び前記ニッケルメッキ層M1
の個数の関係式は、n:nないしn:(n+1)であり得る。
【0117】
例えば、前記多層メッキ板に含まれた前記鉄メッキ層M2の個数は、前記ニッケルメッキ
層M1の個数と同じであり得る。このとき、ニッケルが外郭に位置した金属板の一表面で
面孔ないし貫通孔が形成され得る。
【0118】
例えば、前記多層メッキ板に含まれた前記ニッケルメッキ層M1の個数は、前記鉄メッキ
層M2の個数より一つ多いことがある。多層金属板の一面及び他面にニッケルが位置する
ことができ、金属板の両面で面孔ないし貫通孔が微細かつ均一なサイズに形成され得る。
【0119】
前記中央部101の前記鉄メッキ層M2の個数n及び前記ニッケルメッキ層M1の個数の
関係式は、n:nないしn:(n+1)であり得る。
【0120】
次に、
図9を参照して、多層メッキ板の熱処理ステップを説明する。
【0121】
先に説明した、第1厚さを有するニッケル100重量%のニッケルメッキ層M1と第2厚
さを有する鉄100重量%の鉄メッキ層M2が交互にメッキによって配置された多層メッ
キ板は、300℃以上の温度で熱処理され得る。例えば、前記多層メッキ板は、400℃
ないし1425℃の温度で熱処理され得る。例えば、前記多層メッキ板は、600℃ない
し1425℃の温度で熱処理され得る。熱処理の具体的な温度は、前記範囲内で工程効率
及び製造収率を考慮して適切に選択され得る。熱処理温度が300℃未満の場合には、ニ
ッケルと鉄の拡散が低下され得る。これによって、ニッケルと鉄合金の含有量比は、一定
ではなく、インバーの熱膨脹係数が小さい特性を有することができないという問題点を有
し得る。
【0122】
前記中央部101は、多層の第1厚さを有するニッケル100重量%のニッケルメッキ層
M1と第2厚さを有する鉄100重量%の鉄メッキ層M2を含むことができる。
【0123】
前記中央部101は、300℃以上の温度で熱処理されることによって、ニッケル及び鉄
の合金は、ガンマ(γ)上の面心立方構造(FCC、face centered cu
bic)を有し得る。このとき、前記熱処理ステップによってニッケルと鉄は拡散するこ
とができ、熱処理時間は、ニッケルと鉄の拡散平衡に到逹した時間まで進行され得る。詳
しくは、熱処理温度が高いほど熱処理時間は短いことがある。例えば、熱処理時間は数分
ないし数百時間であり得る。例えば、熱処理時間は1時間ないし80時間であり得る。
【0124】
前記中央部101は、300℃以上の温度で熱処理されることによって、ニッケルメッキ
層M1のニッケルは、鉄メッキ層M2に拡散することができ、鉄メッキ層M2の鉄は、ニ
ッケルメッキ層M1に拡散することができる。
【0125】
ニッケル100重量%のニッケルメッキ層と鉄100重量%の鉄メッキ層M2が36:6
4の厚さ比に配置された多層金属板の中央部は、前記熱処理ステップ以後にニッケル36
重量%及び鉄64重量%のインバー(invar)に変化し得る。
【0126】
すなわち、多層金属板は、前記熱処理による鉄とニッケルの拡散平衡にしたがって、前記
中央部がニッケル36重量%及び鉄64重量%のインバーを含むように形成され得る。
【0127】
前記金属板は、前記中央部以外の領域に第1外郭部102及び第2外郭部103を含むこ
とができる。
【0128】
前記金属板の一表面には第1外郭部102が配置され、前記金属板の前記一表面と反対と
なる他表面には第2外郭部103が配置され得る。前記第1及び第2外郭部102、10
3は、1層以上の第1厚さを有するニッケル100重量%のニッケルメッキ層M1と1層
以上の第2厚さを有する鉄100重量%の鉄メッキ層M2とを含むことができる。詳しく
は、前記第1外郭部102及び前記第2外郭部103の前記鉄メッキ層M2の個数n及び
前記ニッケルメッキ層M1個数の関係式は、それぞれn:nないしn:(n+1)であり
得る。
【0129】
図10を参照して、熱処理後に形成された実施例の多層金属板を説明する。
【0130】
前記熱処理後の前記中央部101は、ニッケル36重量%及び鉄64重量%の一定の含有
量を有するインバーを含むことができる。前記中央部101のインバーが一定の含有量を
有することは、熱機械分析(TMA、ThermomechaNical analys
is)による熱膨脹係数の測定で確認することができる。
【0131】
前記第1及び第2外郭部102、103は、金属板表面から厚さによってニッケルの含有
量が異なることがある。前記第1及び第2外郭部102、103は、多層金属板表面から
前記中央部101に向かうほどニッケルの含有量が変化する界面を含むことができる。
【0132】
このとき、前記第1外郭部102は、ニッケル含有量が変化する界面を基準に、第1外郭
表面部102a及び第1外郭内面部102bに区別され得る。
【0133】
前記第2外郭部103は、ニッケル含有量が変化する界面を基準に、第2外郭表面部10
3a及び第2外郭内面部103bに区別され得る。
【0134】
前記第1、第2外郭部102、103は、第1、第2外郭表面部102a、103a及び
第1、第2外郭内面部102b、103bを含むことができる。前記第1外郭部102は
、第1外郭表面部102a及び第1外郭内面部102bを含むことができる。前記第2外
郭部103は、第2外郭表面部103a及び第2外郭内面部103bを含むことができる
。
【0135】
前記第1、第2外郭表面部102a、103aは、多層金属板の表面に位置することがで
き、前記第1、第2外郭内面部102b、103bは、前記第1、第2外郭表面部102
a、103a及び前記中央部101の間に位置することができる。
【0136】
前記第1、第2外郭表面部102a、103aの鉄の含有量は、前記第1、第2外郭表面
部102a、103aのニッケルの含有量より小さいことがある。例えば、前記第1、第
2外郭表面部102a、103aは、ニッケル100%含有量を含むことができる。これ
によって、多層金属板の一面または両面には、ニッケル100%層が配置されることがで
き、表面のエッチング速度を遅らせることができるので、エッチングファクターを向上さ
せることができる。
【0137】
前記第1、第2外郭表面部102a、103aは、前記第1、第2外郭内面部102b、
103bとニッケルの含有量が互いに異なることがある。前記第1、第2外郭表面部10
2a、103aは、前記第1、第2外郭内面部102b、103bよりニッケルの含有量
が大きいことがある。
【0138】
前記第1、第2外郭内面部102b、103bは、ニッケル36重量%ないし100重量
%及び鉄0重量%ないし64重量%であり得る。例えば、前記第1、第2外郭内面部10
2b、103bは、ニッケル40重量%ないし100重量%及び鉄0重量%ないし60重
量%であり得る。例えば、前記第1、第2外郭内面部102b、103bは、ニッケル5
0重量%ないし100重量%及び鉄0重量%ないし50重量%であり得る。詳しくは、前
記第1、第2外郭内面部102b、103bは、前記重量範囲内で一定のニッケルと鉄の
含有量を含むことができる。
【0139】
前記第1、第2外郭内面部102b、103bのニッケルの含有量は、前記第1、第2外
郭表面部102a、103aのニッケルの含有量より小さく、前記中央部101のニッケ
ルの含有量より大きいことがある。
【0140】
前記第1、第2外郭内面部102b、103bは、厚さによってニッケルの含有量が変化
することができる。例えば、前記第1、第2外郭内面部102b、103bは、前記第1
、第2外郭内面部102b、103b及び前記第1、第2外郭表面部102a、103a
の境界面でのニッケルの含有量と前記第1、第2外郭内面部102b、103b及び前記
中央部101の境界面でのニッケルの含有量が互いに異なることがある。例えば、前記第
1、第2外郭内面部102b、103bは、前記第1、第2外郭内面部102b、103
b及び前記第1、第2外郭表面部102a、103aの境界面から前記第1、第2外郭内
面部102b、103b及び前記中央部101の境界面に向かうほどニッケルの含有量が
漸進的に減少され得る。詳しくは、前記第1外郭内面部102bは、前記中央部101と
近い位置であればあるほどニッケルの含有量が小さいことがある。前記第2外郭内面部1
03bは、前記中央部101と近い位置であればあるほどニッケルの含有量が小さいこと
がある。
【0141】
すなわち、実施例による多層金属板は、金属板表面から金属板の中央に向かうほどニッケ
ルの含有量が減少され得る。ここで、減少されるということは、漸進的減少だけではなく
、急変的な減少であり得ることは勿論である。
【0142】
詳しくは、第1及び第2外郭表面部102a、103aは、ニッケル約100重量%の部
分を含むことができ、前記第1及び第2外郭内面部102b、103bは、第1及び第2
外郭表面部
102a、103aと前記中央部101との間のニッケル含有量を含むことができ、前記
中央部101は、ニッケル36重量%を含むことができる。これによって、全体厚さの6
0%超過領域である中央部は、インバーの熱膨脹係数が低い特性によって蒸着用マスクの
製造効率に優れ得る。また、多層金属板の表面に位置した前記外郭部は、ニッケル層及び
ニッケル含有量がインバーより高い層で構成され得るので、微細な貫通孔を均一に形成す
ることができる。
【0143】
実施例の多層金属板は、断面で多層の層状構造を含むことができる。
【0144】
前記中央部101は、多層構造を含むことができる。詳しくは、前記中央部101は、多
段メッキ層を含むことができる。
【0145】
前記外郭部102、103は、多層構造を含むことができる。詳しくは、前記第1外郭部
102及び前記第2外郭部103は、多層構造を含むことができる。さらに詳しくは、前
記第1外郭表面部102aは、少なくとも1層のメッキ層であり、前記第1外郭内面部1
02bは、少なくとも1層のメッキ層であり得る。また、前記第2外郭表面部103aは
、少なくとも1層のメッキ層であり、前記第2外郭内面部103bは、少なくとも1層の
メッキ層であり得る。
【0146】
前記中央部101の厚さTIは、前記第1外郭部102の厚さTO1及び前記第2外郭部
102の厚さTO2の厚さより大きいことがある。
【0147】
前記中央部101は、多層金属板全体厚さの60%超過の領域を占めることができる。例
えば、前記中央部101は、多層金属板全体厚さの70%超過の領域を占めることができ
る。例えば、前記中央部101は、多層金属板全体厚さの80%超過ないし90%超過の
領域を占めることができる。
【0148】
前記第1外郭部102は、前記金属板100の一表面から全体厚さの20%以下の領域を
占めることができる。例えば、前記第1外郭部102は、前記金属板100の一表面から
全体厚さの15%以下の領域を占めることができる。例えば、前記第1外郭部102は、
前記金属板100の一表面から全体厚さの5%ないし10%以下の領域を占めることがで
きる。
【0149】
前記第2外郭部103は、前記金属板100の前記一表面と反対となる他表面から全体厚
さの20%以下の領域を占めることができる。例えば、前記第2外郭部103は、前記金
属板100の前記一表面と反対となる他表面から全体厚さの15%以下の領域を占めるこ
とができる。例えば、前記第2外郭部103は、前記金属板100の前記一表面と反対と
なる他表面から全体厚さの5%ないし10%以下の領域を占めることができる。
【0150】
前記第1、第2外郭表面部102a、103aは、前記外郭部全体厚さの20%以下の領
域であり得る。例えば、前記第1外郭表面部102aは、前記第1外郭部102全体厚さ
の20%以下の領域であり得る。例えば、前記第2外郭表面部103aは、前記第2外郭
部103全体厚さの20%以下の領域であり得る。
【0151】
前記第1、第2外郭表面部102a、103aは、金属板全体厚さTAの2%以下の領域
であり得る。
【0152】
図11及び
図12を参照して、比較例及び実施例による金属板EDS測定断層データを説
明する。
【0153】
図11は、比較例による一般的なメッキによって形成された金属板の厚さによる異種合金
の組成比分布を示す図である。
【0154】
Ni含有量を36%に調整するためには、析出領域台が互いに異なるFeとNiの金属イ
オン濃度を含めた多様な要因の調整が要求され得る。このように、鉄64%、ニッケル3
6%の組成比を有する初期のメッキ層は、0.1μm以下に形成することができる。しか
し、蒸着用マスク形成に要求される厚さ範囲を有する金属板を形成する場合には、Feと
Niの組成比が厚さ及び/または位置によって均一でない問題が発生することがある。
【0155】
例えば、1μmないし30μm厚さに異種合金を形成する場合には、液槽の温度電極の表
面抵抗など多くの要因が合金の割合に直接的な影響を与えることがある。これによって、
メッキによって形成された25μm厚さを有するインバー合金は、断層で測定されたFe
の含有量が60%ないし64%であり、Niの含有量が36%ないし40%であり得る。
詳しくは、Feの含有量、Niの含有量は、厚さ及び/または位置によって互いに異なる
含有量を有し得る。これによって、メッキによって形成されたインバー合金は、組成比の
不均一性にしたがって、インバーが有する最小熱膨脹係数の特性が低下される問題を有し
得る。
【0156】
図12は、実施例による多段メッキ後熱処理された金属板の厚さによる異種合金の組成比
分布を示す図である。
【0157】
実施例による25μm厚さの多段メッキ後熱処理されたインバー合金は、断層で測定され
たFeの含有量が64%であり、Niの含有量が36%であり、厚さ及び/または位置に
関係なく均一な含有量を有し得る。
【0158】
実施例によって形成されたインバー合金は、組成比の均一性にしたがって、インバーの長
所である最小熱膨脹係数の特性を有し得る。
【0159】
実施例による多層金属板は、電気メッキで発生し得る鉄とニッケルの異常析出を制御する
ために、連続メッキ工程によって互いに異なる元素が交互に配置される多段メッキ層を形
成した後熱処理して形成され得る。
【0160】
実施例は、一定の割合のインバー合金を形成するためのインバーメッキ液を通じてインバ
ーホイルを形成しないこともある。したがって、インバーメッキ液の供給条件ないしメッ
キ液の供給システム、インバーメッキ液内の電流範囲、インバーメッキ浴の温度などの多
様な変化要因によるインバー合金の組成変化が問題にならないこともある。
【0161】
すなわち、実施例による多層金属板は、鉄とニッケルの異常析出によるニッケルと鉄の含
有量変化を防止することができる。また、実施例による多層金属板は、電流密度によるメ
ッキ層内のニッケルと鉄の含有量変化、メッキ液の組成変化によるメッキ層の含有量変化
、メッキ浴の温度、電極の表面抵抗などの多様な変化要因による合金割合の変化を防止す
ることができる。
【0162】
実施例はニッケル100%の含有量が維持される薄い厚さのニッケルメッキ層と鉄100
%含有量が維持される薄い厚さの鉄メッキ層の繰り返し配置後、熱拡散によるインバーホ
イルの形成であるので、メッキ工程によりながらも1μmないし30μm厚さの一定のニ
ッケル-鉄含有量を有するインバー合金を高い収率に製造することができ、インバー製造
費用を低減させることができる。また、メッキによって形成されながらもインバーの低い
熱膨脹係数の特性を有し得る長所を有する。
【0163】
これによって、実施例による多層金属板は、30μm以下の厚さを有し得ると共に、60
%超過領域の中央部が一定の含有量を有するニッケル-鉄合金であるインバーであり得る
。例えば、実施例による多層金属板は、80%超過領域の中央部が一定の含有量を有する
ニッケル-鉄合金であるインバーであり得る。例えば、実施例による多層金属板は、90
%超過領域の中央部が一定の含有量を有するニッケル-鉄合金であるインバーであり得る
。実施例による多層金属板は、インバーを部分的に含むことに制限されず、インバーを全
体的に含むことができることは勿論である。
【0164】
すなわち、実施例は、メッキによって形成されることができ、圧延されたインバーが有す
るエッチングファクター低下ないしエッチング均一性が低下される問題点を解消すること
ができる。
【0165】
また、実施例はメッキによって形成されながらも、ガンマ上で拡散したニッケル及び鉄の
合金が一定の含有量%を有し得るので、1μm以上厚さを有しながらもインバーの熱膨脹
係数が低い特性を保有することができる。したがって、実施例の多層金属板に複数の貫通
孔が形成された蒸着用マスクは、蒸着パターンが均一なOLEDパネルを製造することが
できる。
【0166】
また、実施例による多層金属板の外郭部は、ニッケルの含有量が高いことがあるので、表
面のエッチング速度を遅らせることができる。したがって、蒸着マスク製造時、エッチン
グファクターを向上させることができる。
【0167】
図13ないし
図16は、実施例による蒸着用マスクの貫通孔の製造工程を示した図である
。
【0168】
実施例による蒸着用マスクの製造方法は、多層金属板の準備ステップ;前記多層金属板の
第1面上に第1フォトレジスト層を配置し、第2面上に第2フォトレジスト層を配置する
フォトレジスト層形成ステップ;及び前記第1面の第1面孔と前記第2面の第2面孔が連
通する貫通孔を形成するエッチングステップを含むことができる。
【0169】
次に、フォトレジスト層を除去することによって、複数の貫通孔を含む蒸着用マスクを製
造することができる。
【0170】
先に、多層金属板の準備ステップを説明する。前記多層金属板は、ニッケル及び鉄の合金
を準備することができる。前記多層金属板は、先に説明した
図6ないし
図10の製造過程
を通じて製造することができる。
【0171】
図13を参照すると、前記多層金属板は、ニッケル36重量%及び鉄64重量%のインバ
ー(invar)である中央部101、ニッケル36重量%ないし100重量%及び鉄0
重量%ないし64重量%の第1外郭部102及びニッケル36重量%ないし100重量%
及び鉄0重量%ないし64重量%の第2外郭部103を含むことができる。
【0172】
前記多層金属板は、複数の合金層であり得、一つの合金層の厚さは2μm以下であり得、
全体多層金属板の厚さは、30μm以下であり得る。ここで、合金層は、メッキ後熱処理
によって元素の拡散が起きる層を含むことができる。実施例は、圧延工程を含まないこと
があるので、25μm以下厚さの金属板を製造する場合にも製造品質に優れ得る。詳しく
は、実施例による多層金属板は、20μm以下の薄い厚さに製造される場合にも、熱膨脹
係数が低い特性を有し得るので、蒸着用マスクの加工特性に有利であり得る。
【0173】
次に、
図14を参照して、フォトレジスト層形成ステップを説明する。多層金属板の第1
面101上に第1フォトレジスト層P1を配置し、第2面102上に第2フォトレジスト
層P2を形成することができる。
【0174】
詳しくは、前記多層金属板の第1面101及び前記第2面102上にそれぞれフォトレジ
スト物質を塗布し、露光及び現象工程によって前記第1フォトレジスト層P1、及び前記
第2フォトレジスト層P2をそれぞれ配置することができる。
【0175】
前記第1フォトレジスト層P1及び前記第2フォトレジスト層P2をオープン領域の幅が
異なるように配置されることにより、前記第1面101上に形成される前記第1面孔V1
と前記第2面102上に形成される前記第2面孔V2の幅が異なることがある。
【0176】
次に、
図15を参照して、エッチングステップを説明する。エッチング工程において、前
記第1面101の第1面孔V1と前記第2面102の第2面孔V2が形成され、前記連結
部CAによって前記第1面孔V1及び前記第2面孔V2が連通することによって貫通孔が
形成され得る。
【0177】
例えば、前記エッチング工程は、湿式エッチング工程によって進行され得る。これによっ
て、前記第1面101及び前記第2面102が同時にエッチングできる。一例として、前
記湿式エッチング工程は、塩化鉄を含むエッチング液を用いて、約45℃で行われ得る。
このとき、前記エッチング液は、FeCl3を35ないし45重量%含むことができる。
詳しくは、前記エッチング液は、FeCl3を36重量%含むことができる。例えば、F
eCl3を43重量%含んだ前記エッチング液の比重は、20℃で1.47であり得る。
FeCl3を41重量%含んだ前記エッチング液の比重は、20℃で1.44であり得る
。FeCl3を38重量%含んだ前記エッチング液の比重は、20℃で1.39であり得
る。
【0178】
次に、
図16を参照すると、前記第1フォトレジスト層P1、及び前記第2
フォトレジスト層P2を除去することにより、複数の貫通孔を有する金属板を形成するこ
とができる。
【0179】
実施例による蒸着用マスクの製作に使用される金属板は、外郭部102、103のエッチ
ング速度が中央部101のエッチング速度より遅いことがあって、貫通孔のエッチング特
性に優れ得る。また、実施例による蒸着用マスクで製作したOLEDパネルは、パターン
の蒸着効率に優れ、蒸着均一性が向上することができる。
【0180】
上述した実施例に説明された特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例
に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例にお
いて例示された特徴、構造、効果などは、実施例が属する分野における通常の知識を有す
る者によって他の実施例に対しても組合せまたは変形されて実施可能である。したがって
、このような組合せと変形に関係した内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈される
べきである。
【0181】
また、以上で実施例を中心に説明したが、これは単なる例示にすぎず、本発明を限定する
ものではなく、本発明が属する分野の通常の知識を有した者であれば、本実施例の本質的
な特性を逸脱しない範囲で、以上で例示されていない様々な変形と応用が可能であること
が分かるだろう。例えば、実施例に具体的に示された各構成要素は、変形して実施するこ
とができるものである。そして、このような変形と応用に関係した差異点は、添付した特
許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。