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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】原子炉の流体の熱監視アレイ
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/02 20060101AFI20231212BHJP
   G21C 17/032 20060101ALI20231212BHJP
   G21C 17/035 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G21C17/02 100
G21C17/032
G21C17/035
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022183723
(22)【出願日】2022-11-16
(62)【分割の表示】P 2021038590の分割
【原出願日】2017-06-09
(65)【公開番号】P2023018001
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】15/178,020
(32)【優先日】2016-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ローウェン,エリック・ポール
(72)【発明者】
【氏名】リウ,エリック・ポール
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-341879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0293608(US,A1)
【文献】特表2014-530364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/02
G21C 17/032
G21C 17/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内の冷却液の第1の流れの温度と、加熱要素から第1の温度センサへの熱伝達との両方の温度に基づいて、前記第1の温度センサで第1の温度データを生成するステップであって、前記加熱要素は、前記熱伝達がインターフェースを通るように前記インターフェースで前記第1の温度センサに直接結合され、前記第1の温度データは、前記第1の温度センサによって測定された第1の温度を示す、ステップと、
前記流路内の前記冷却液の第2の流れの温度に基づいて、前記加熱要素によって生成された熱とは実質的に独立して、第2の温度センサで第2の温度データを生成するステップであって、前記第1の流れと前記第2の流れとは、前記流路内で互いに平行に流れており、前記第2の温度センサは、前記加熱要素から離間しており、前記加熱要素から少なくとも部分的に絶縁され、前記第2の温度データは、前記第2の温度センサによって測定された第2の温度を示す、ステップと、
前記流路内の前記冷却液の第1の流量を決定するために、前記第1の温度データおよび前記第2の温度データを遠隔に位置するコンピュータ処理装置に通信するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて、前記流路を流れる前記冷却液の前記第1の流量を決定するステップであって、
前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度差を決定するステップと、
前記温度差、前記インターフェースの表面領域、および前記インターフェースを通る前記熱伝達の速度に基づいて、前記冷却液の前記第1の流量を決定するステップと、
を含む、決定するステップと、
前記流路を通る前記冷却液の前記第1の流量に基づいて、前記流路の1つ以上の部分を通る前記冷却液の流量を調整することによって、原子炉炉心による熱遮断を制御するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて前記流路内の流体二相界面の位置を決定するステップであって、
前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度差を決定するステップと、
前記温度差に基づいて前記第1の流れおよび前記第2の流れのうちの少なくとも1つにおける前記冷却液の相を決定するステップと、
を含む、決定するステップと、
前記流路内の前記流体二相界面の前記位置に基づいて、前記流路の1つまたは複数の部分を通る前記冷却液の流量を制御するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて、前記流路の1つまたは複数の部分を通る冷却液の温度分布を決定するステップと、
前記流路の前記1つまたは複数の部分を通る前記冷却液の温度分布に基づいて、前記流路の1つまたは複数の部分を通る前記冷却液の流量を制御するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される例示的な実施形態は、一般に原子炉に関し、特に、原子炉の炉心を通る流体循環を監視することに関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉は、炉心を通って循環する1つまたは複数の冷却液への熱伝達によって冷却されるように構成し得る。そのような熱移動は、本明細書では、原子炉炉心による熱遮断と呼ばれ得る。原子炉炉心から熱を除去するために、様々な冷却液を利用し得る。冷却液は、水、液体金属、溶融塩、気体物質、それらのいくつかの組み合わせなどを含む1つまたは複数の様々な物質を含む流体であり得る。
【0003】
いくつかの原子力発電所では、原子炉は、原子炉炉心の周りに環状流路を画定するアセンブリを含む。原子炉炉心は、炉心シュラウドアセンブリによって環状流路から分離することができる。環状流路は、降下管流路と呼ぶことができる。冷却液は、冷却液ループから降下管流路に供給されてもよい。供給された「低温」冷却液は、降下管流路を通って原子炉の下部に下方に循環し得る。低温の冷却液は、炉心シュラウドアセンブリの下部の下を循環して、原子炉炉心と流れ連通状態にある炉心流路を通って上方に循環し得る。
【0004】
いくつかの原子力発電所では、自然循環によって原子炉に冷却水を循環させることができる。例えば、冷却液は、降下管流路を通って下方に循環し、自然循環駆動流を介して炉心流路を上方に循環し得る。
【0005】
場合によっては、原子炉の動作は、炉心流路を通る1つまたは複数の冷却液の流量を制御することによって制御し得る。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載された様々な実施形態は、原子炉内の降下管流路を通る冷却液の少なくとも2つの流れの温度を測定することに基づいて、冷却液に関連する温度データを生成するように構成された熱監視アレイに関する。温度データは、降下管流路を通る冷却液の流量、降下管流路内の1つまたは複数の位置における冷却液の温度、降下管流路内の1つまたは複数の位置における冷却液の相、および降下管流路内の流体二相界面の位置、を決定するために使用し得る。原子炉運転は、降下管流路を通る流体の決定された流量、降下管流路を通る冷却液の温度分布、および降水管流路内の流体二相界面の位置のうちの少なくとも1つに基づいて制御し得る。
【0007】
いくつかの例示的な実施形態によれば、原子炉は、炉心、降下管アセンブリ、熱監視アレイ、および制御システムを含み得る。降下管アセンブリは、環状の降下管流路を少なくとも部分的に画定し得る。降下管アセンブリは、環状の降下管流路を介して冷却液を原子炉炉心に導くように構成され得る。熱監視アレイは、少なくとも1つの流量計アセンブリを含み得る。少なくとも1つの流量計アセンブリは、少なくとも1つの流量計アセンブリが降下管流路の少なくとも一部に露出するように、降下管アセンブリの少なくとも1つの表面に結合され得る。流量計アセンブリは、降下管流路の一部における冷却液の第1の流れの温度を測定することに基づいて、第1の温度データを生成するように構成された第1の温度センサと、加熱要素が第1の温度センサに熱を加えるように動作可能になるように、第1の温度センサに結合された加熱要素と、降下管流路の一部における冷却液の第2の流れの温度を測定することに基づいて、第2の温度データを生成するように構成された第2の温度センサであって、第2の温度センサは、加熱要素から少なくとも部分的に絶縁されている、第2の温度センサと、を含み得る。制御システムは、少なくとも第1の温度データおよび第2の温度データに基づいて、降下管流路を通る冷却液の流量を決定するように構成され得る。
【0008】
いくつかの例示的な実施形態では、第1および第2の流れは、第1および第2の温度センサのうちの少なくとも1つの温度センサが第1および第2の温度センサのうちの別の温度センサの上流にあるように、共通の流れであってもよい。
【0009】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システムは、第1および第2の温度データに基づいて温度差を決定し、温度差、加熱要素に供給される電力の大きさ、および加熱要素と第1の温度センサとの間のインターフェースの表面領域に基づいて流量を決定するように構成し得る。
【0010】
いくつかの例示的な実施形態では、流量計アセンブリは、少なくとも1つの第3の温度センサを含むことができ、少なくとも1つの第3の温度センサは、降下管流路内の冷却液の少なくとも1つの流れの温度を測定することに基づいて第3の温度データを生成するように構成され、少なくとも1つの第3の温度センサは、加熱要素から少なくとも部分的に絶縁される。
【0011】
いくつかの例示的な実施形態では、熱監視アレイは、複数の流量計アセンブリを含み、複数の流量計アセンブリのうちの少なくとも2つの流量計アセンブリは、降下管流路の別々の部分に露出される。
【0012】
いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも2つの流量計アセンブリは、降下管流路の長手方向軸に対して、降下管流路の軸方向に分離された部分と、降下管流路の長手方向軸に対して、降下管流路の方位角方向に分離された部分と、のうちの少なくとも1つに露出し得る。
【0013】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システムは、第1の温度データおよび第2の温度データに基づいて、降下管流路の少なくとも一部を流れる流体の温度を決定するように構成されてもよい。
【0014】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システムは、第1の温度データおよび第2の温度データに基づいて、降下管流路の少なくとも一部を流れる流体の相を決定するように構成されてもよい。
【0015】
いくつかの例示的な実施形態において、原子炉は、加圧水型原子炉および沸騰水型原子炉のうちの少なくとも1つであり得る。
【0016】
いくつかの例示的な実施形態では、熱監視アレイは、少なくとも第1の流体流れおよび第2の流体流れを、少なくとも1つの流量計アセンブリと流れ連通状態にし、降下管流路の残りの部分から隔離するように導くように構成された流路カバーを含み得る。
【0017】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置は、流量計アセンブリを含み得る。流量計アセンブリは、少なくとも1つの流量計アセンブリが流路の少なくとも一部に露出するように少なくとも1つの表面に結合されるように構成され得る。流量計アセンブリは、流路の一部における冷却液の第1の流れの温度を測定することに基づいて、第1の温度データを生成するように構成された第1の温度センサと、加熱要素が第1の温度センサに熱を加えるように動作可能になるように、第1の温度センサに結合された加熱要素と、流路の一部における冷却液の第2の流れの温度を測定することに基づいて、第2の温度データを生成するように構成された第2の温度センサであって、第2の温度センサは、加熱要素から少なくとも部分的に絶縁されている、第2の温度センサと、を含み得る。
【0018】
いくつかの例示的な実施形態において、第1および第2の流れは、共通の流れに露出するように構成されてもよい。第1および第2の温度センサのうちの少なくとも1つの温度センサは、流路の一部において第1および第2の温度センサのうちの別の温度センサの上流にあってもよい。
【0019】
いくつかの例示的な実施形態において、流量計アセンブリは、第2の温度センサを加熱要素から少なくとも部分的に絶縁するように構成された絶縁材料を含むことができ、絶縁材料は、加熱要素および第1の温度センサの少なくとも一部の周囲に充填される。
【0020】
いくつかの例示的な実施形態において、流量計アセンブリは、少なくとも1つの第3の温度センサを含むことができ、少なくとも1つの第3の温度センサは、流路内の冷却液の少なくとも1つの流れの温度を測定することに基づいて第3の温度データを生成するように構成され、少なくとも1つの第3の温度センサは、加熱要素から少なくとも部分的に絶縁される。
【0021】
いくつかの例示的な実施形態において、少なくとも1つの第3の温度センサおよび第2の温度センサは、流路の長手方向軸に対して、流路の軸方向に分離された部分と、流路の長手方向軸に対して、流路の方位角方向に分離された部分と、のうちの少なくとも1つに露出する。
【0022】
いくつかの例示的な実施形態において、装置は、第1の流体流れおよび第2の流体流れを少なくとも部分的に画定するように構成された流路カバーを含むことができ、第1および第2の温度センサを流路の残りの部分から隔離し得る。
【0023】
いくつかの例示的な実施形態によれば、方法は、第1の温度センサで第1の温度データを生成するステップと、第2の温度センサで第2の温度データを生成するステップと、第1の温度データおよび第2の温度データを遠隔に位置するコンピュータ処理装置に通信するステップと、を含み得る。第1の温度データは、冷却液の第1の流れの温度と、加熱要素から第1の温度センサへの熱伝達との両方の温度に基づいて生成し得る。加熱要素は、熱伝達がインターフェースを通るようにインターフェースで第1の温度センサに直接結合し得る。第1の温度データは、第1の温度センサによって測定された第1の温度を示し得る。第2の温度データは、流路内の冷却液の第2の流れの温度に基づいて、加熱要素によって生成された熱とは実質的に独立して、生成し得る。第2の温度センサは、加熱要素から少なくとも部分的に絶縁され得る。第2の温度データは、第2の温度センサによって測定された第2の温度を示し得る。
【0024】
いくつかの例示的な実施形態において、方法は、第1の温度データおよび第2の温度データに基づいて、流路を流れる冷却液の流量を決定するステップと、流路を通る冷却液の決定された流量に基づいて、原子炉炉心による熱遮断を制御するステップと、を含み得る。冷却液の流量を決定するステップは、第1の温度と第2の温度との間の温度差を決定するステップと、温度差、インターフェースの表面領域、およびインターフェースを通る熱伝達の速度に基づいて、冷却液の流量を決定するステップと、を含み得る。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態において、方法は、第1の温度データおよび第2の温度データに基づいて流路内の流体二相界面の位置を決定するステップと、流路内の流体二相界面の決定された位置に基づいて、流路の1つまたは複数の部分を通る冷却液の流量を制御するステップと、を含み得る。流体二相界面の位置を決定するステップは、第1の温度と第2の温度との間の温度差を決定するステップと、温度差に基づいて第1の流れおよび第2の流れのうちの少なくとも1つにおける冷却液の相を決定するステップと、を含み得る。
【0026】
いくつかの例示的な実施形態において、方法は、第1の温度データおよび第2の温度データに基づいて、流路の1つまたは複数の部分を通る冷却液の温度分布を決定するステップと、流路の1つまたは複数の部分を通る決定された流体の温度分布に基づいて、流路の1つまたは複数の部分を通る冷却液の流量を制御するステップと、を含み得る。
【0027】
本明細書における非限定的な実施形態の様々な特徴および利点は、添付の図面と併せて詳細な説明を精査することでより明らかになるであろう。添付の図面は単に例示を目的として提供されており、特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきではない。添付の図面は、明示的な記載がない限り、一定の縮尺で描かれていると見なされるべきではない。明確にするために、図面の様々な寸法は誇張される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】いくつかの例示的な実施形態による、熱監視アレイを含む原子力プラントの概略図である。
図2】いくつかの例示的な実施形態による、熱監視アレイを含む原子炉の斜視図である。
図3】いくつかの例示的な実施形態による、熱監視アレイを含む原子炉の斜視図である。
図4】いくつかの例示的な実施形態による、流量計アセンブリの斜視図である。
図5】いくつかの例示的な実施形態による、流量計アセンブリの斜視図である。
図6】いくつかの例示的な実施形態による、図2のラインVIB-VIB’に沿った降下管流路の概略図である。
図7】いくつかの例示的な実施形態による、熱監視アレイを通る原子炉の降下管流路内の冷却液の流れの監視を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ある要素または層が他の要素または層に対して「上にある」、「接続されている」、「結合している」、または「覆っている」と言及されている場合、それは他の要素または層に対して直接、上にある、接続されている、結合している、または覆っていてもよいし、または介在する要素または層が存在してもよいことを理解すべきである。これに対して、ある要素が他の要素または層に対して「直接上にある」、「直接接続されている」、または「直接結合している」と言及されている場合、介在する要素または層は存在しない。同様の番号は、明細書全体を通して同様の要素を指す。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の任意のおよびすべての組み合わせを含む。
【0030】
第1の、第2の、第3のなどの用語は、本明細書では様々な要素、構成要素、領域、層および/またはセクションを説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解すべきである。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、またはセクションを他の領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下に説明する第1の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層またはセクションと呼ぶことができる。
【0031】
図面に描かれた1つの要素または特徴の他の要素または特徴との関係の説明を容易にするために、空間的に相対的な用語(例えば、「下」、「下方」、「下」、「上方」、「上」など)が本明細書において使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含することが意図されていることを理解されたい。例えば、図中の装置がひっくり返されている場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」に記載された要素は、他の要素または特徴の「上方」に向けられる。したがって、「下方」という用語は、上方および下方の両方向を包含し得る。装置は、他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な説明はそれに応じて解釈される。
【0032】
本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明することのみを目的としており、例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、用語「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(comprises)」、および/または「含む(comprising)」は、示された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。
【0033】
例示的な実施形態は、例示的な実施形態の理想的な実施形態(および中間構造体)の概略図である断面図を参照して本明細書に記載される。このように、例えば製造技術および/または公差の結果として図の形状からの変形が予期される。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に記載された領域の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造から生じる形状の偏差を含む。例えば、長方形として図示されている注入領域は、典型的には、丸いまたは湾曲した特徴を有し、および/または注入領域から非注入領域への2値変化ではなくそのエッジに注入濃度の勾配を有する。同様に、注入によって形成される埋め込み領域は、埋め込み領域と注入が行われる表面との間の領域にある程度の注入をもたらすことがある。したがって、図面に示された領域は本質的に概略的であり、その形状は、装置の領域の実際の形状を示すことを意図するものではなく、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。
【0034】
例示的な実施形態は、以下により詳細に説明されるユニットおよび/または装置と併せて実装され得る行為および動作の記号表現を参照して、(例えば、フローチャート、フローダイアグラム、データフローダイアグラム、構造図、ブロック図などの形で)説明され得る。特定の方法で説明するが、特定のブロックで指定されている機能または動作は、フローチャート、フローダイアグラムなどで指定されたフローとは異なる方法で実行することができる。例えば、連続する2つのブロックで連続して実行されるように示された機能または動作は、同時に実行されてもよく、場合によっては逆の順序で実行されてもよい。
【0035】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語を含む用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書に明確に定義されない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されないことをさらに理解すべきである。
【0036】
1つまたは複数の例示的な実施形態によるユニット、システム、および/または装置は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせの1つまたは複数のインスタンスを使用して実装することができる。例えば、ハードウェア装置は、これらに限定されないが、プロセッサ、中央処理装置(CPU)、コントローラ、演算論理装置(ALU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、または定義された方法で命令に応答し実行することができる任意の他の装置などの処理回路を使用して実装し得る。
【0037】
ソフトウェアは、ハードウェア装置を独立してまたは集合的に命令しまたは構成して所望のように動作させるために、コンピュータプログラム、プログラムコード、命令、またはそれらのいくつかの組み合わせを含み得る。コンピュータプログラムおよび/またはプログラムコードは、上記の1つまた複数のハードウェア装置のような1つまたは複数のハードウェア装置によって実装することができるプログラムまたはコンピュータ読み取り可能な命令、ソフトウェア構成要素、ソフトウェアモジュール、データファイル、データ構造などを含み得る。プログラムコードの例には、コンパイラによって生成された機械コードと、インタプリタを使用して実行されるより高いレベルのプログラムコードの両方が含まれる。
【0038】
例えば、ハードウェア装置がコンピュータ処理装置(例えば、プロセッサ、中央処理装置(CPU)、コントローラ、演算論理装置(ALU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなど)である場合、コンピュータ処理装置は、プログラムコードにしたがって、算術演算、論理演算、および入出力演算を実行することによって、プログラムコードを実行するように構成することができる。プログラムコードがコンピュータ処理装置にロードされると、コンピュータ処理装置はプログラムコードを実行するようにプログラムされ、それによってコンピュータ処理装置を専用コンピュータ処理装置に変換する。より具体的な例では、プログラムコードがプロセッサにロードされると、プロセッサは、プログラムコードおよびそれに対応する動作を実行するようにプログラムされ、それによってプロセッサを専用プロセッサに変換する。
【0039】
ソフトウェアおよび/またはデータは、ハードウェア装置に命令またはデータを提供することができる、またはハードウェア装置によって解釈されることができる任意のタイプの機械、構成要素、物理または仮想機器、またはコンピュータ記憶媒体または装置に永久的にまたは一時的に保存されてもよい。ソフトウェアはまた、ソフトウェアが分散して記憶され、実行されるように、ネットワークに結合されたコンピュータシステムを介して分散されてもよい。特に、例えば、ソフトウェアおよびデータは、本明細書で説明される有形または非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む、1つまたは複数のコンピュータ可読記録媒体に格納されてもよい。
【0040】
1つまたは複数の例示的な実施形態によれば、コンピュータ処理装置は、説明の明確性を高めるために様々な動作および/または機能を実行する様々な機能ユニットを含むものとして説明する場合がある。しかしながら、コンピュータ処理装置は、これらの機能ユニットに限定されることを意図していない。例えば、1つまたは複数の例示的な実施形態では、機能ユニットの様々な動作および/または機能は、機能ユニットの他のものによって実行されてもよい。さらに、コンピュータ処理装置は、コンピュータ処理装置の動作および/または機能をこれらの様々な機能ユニットに細分することなく、様々な機能ユニットの動作および/または機能を実行することができる。
【0041】
1つまたは複数の例示的な実施形態によるユニットおよび/または装置はまた、1つまたは複数の記憶装置を含み得る。1つまたは複数の記憶装置は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、永久大容量記憶装置(ディスクドライブなど)、ソリッドステート(例えば、NANDフラッシュ)装置、および/またはデータを記憶および記録することができる任意の他の同様のデータ記憶メカニズムなどの、有形または非一時的コンピュータ可読記憶媒体であり得る。1つまたは複数の記憶装置は、1つまたは複数のオペレーティングシステムのために、および/または本明細書に記載の例示的な実施形態を実装するために、コンピュータプログラム、プログラムコード、命令、またはそれらのいくつかの組み合わせを格納するように構成されてもよい。コンピュータプログラム、プログラムコード、命令、またはそれらのいくつかの組み合わせは、別々のコンピュータ可読記憶媒体から、1つまたは複数の記憶装置および/または1つまたは複数のコンピュータ処理装置に、駆動機構を使用してロードすることもできる。そのような別々のコンピュータ可読記憶媒体は、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ、メモリスティック、ブルーレイ/DVD/CD-ROMドライブ、メモリカード、および/または他の同様のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。コンピュータプログラム、プログラムコード、命令、またはそれらのいくつかの組み合わせは、ローカルのコンピュータ可読記憶媒体を介してではなく、ネットワークインターフェースを介して遠隔データ記憶装置から1つまたは複数の記憶装置および/または1つまたは複数のコンピュータ処理装置にロードすることができる。さらに、コンピュータプログラム、プログラムコード、命令、またはそれらのいくつかの組み合わせは、ネットワーク上でコンピュータプログラム、プログラムコード、命令、またはそれらのいくつかの組み合わせを転送および/または分散するように構成された遠隔コンピューティングシステムから、1つまたは複数の記憶装置および/または1つまたは複数のプロセッサにロードすることができる。遠隔コンピューティングシステムは、有線インターフェース、エアインターフェース、および/または任意の他の同様の媒体を介して、コンピュータプログラム、プログラムコード、命令、またはそれらのいくつかの組み合わせを転送および/または分散し得る。
【0042】
1つまたは複数のハードウェア装置、1つまたは複数の記憶装置、および/またはコンピュータプログラム、プログラムコード、命令、またはそれらのいくつかの組み合わせは、例示的な実施形態の目的のために特別に設計および構成されてもよく、または、それらは、例示的な実施形態の目的のために変更および/または修正された公知の装置であり得る。
【0043】
コンピュータ処理装置などのハードウェア装置は、オペレーティングシステム(OS)およびそのOS上で動作する1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行することができる。コンピュータ処理装置はまた、ソフトウェアの実行に応答してデータにアクセスし、記憶し、操作し、処理し、および作成することができる。単純化のために、1つまたは複数の例示的な実施形態を1つのコンピュータ処理装置として例示することができる。しかしながら、当業者は、ハードウェア装置が複数の処理要素および複数のタイプの処理要素を含み得ることを理解するであろう。例えば、ハードウェア装置は、複数のプロセッサ、またはプロセッサおよびコントローラを含み得る。さらに、並列プロセッサなどの他の処理構成も可能である。
【0044】
特定の例および図面を参照して説明するが、例示的な実施形態の修正、追加および置換は、当業者によって説明にしたがって様々に行うことができる。例えば、記載された技術は、記載された方法の順序と異なる順序で実行されてもよく、および/または記載されたシステム、アーキテクチャ、装置、回路などのような構成要素は、上述した方法と異なるように接続または組み合わせてもよく、または他の構成要素または均等物によって結果を適切に達成してもよい。
【0045】
本開示は、原子炉の炉心を通る冷却液流速、原子炉の降下管流路の1つまたは複数の部分内の冷却液の温度、および降下管流路内の流体二相界面の位置のうちの少なくとも1つを監視するように構成された独自の熱監視アレイに関する。降下管流路は、環状の降下管流路であってもよい。熱監視アレイは、降下管流路を画定する1つまたは複数の表面に結合された1つまたは複数の流量計アセンブリのセットを含み、各流量計アセンブリは、降下管流路の別々の部分に露出され、降下管流路の別々の部分における流体の流れに関連する温度データを生成するように構成される。
【0046】
制御システムは、アレイに含まれる別々の流量計アセンブリから温度データを受信し得る。制御システムは、降下管流路の別々の部分にそれぞれ露出した別々のそれぞれの流量計アセンブリによって生成された温度データに基づいて、降下管流路の1つまたは複数の部分を通る1つまたは複数の流体流速、降下管流路の1つまたは複数の部分における冷却液の温度、および降下管流路内の流体二相界面の位置、を決定することができる。
【0047】
流量計アセンブリは、降下管流路の一部を通る冷却液の第1および第2の流れのそれぞれの測定温度に基づいて温度データを生成するように構成された少なくとも第1および第2の温度センサを含み得る。加熱要素は、流量計アセンブリ内の第1の温度センサに結合され、流量計アセンブリ内の第2の温度センサは、加熱要素から少なくとも部分的に絶縁される。
【0048】
制御システムは、アレイの流量計アセンブリのセンサによって生成された温度データに基づいて、原子炉の降下管流路の別々の部分のそれぞれを通る冷却液の流量(例えば、質量流量、容積流量など)を計算し得る。流量を決定することに基づいて、制御システムは、冷却液の流量を調整して、原子炉を通る冷却液の流れによる原子炉の熱遮断を最適化し得る。その結果、原子炉の性能と効率が向上し得る。さらに、制御システムは、流路内の流体二相界面の位置および降下管流路の様々な部分における冷却液の温度の少なくとも1つを監視することに基づいて、原子炉を通る冷却液循環を管理して、液体流体のレベルが閾値以下に低下する蓋然性を緩和し、原子炉を通る非対称冷却剤流を緩和し、原子炉炉心による非対称熱遮断を緩和し、それらのいくつかの組み合わせなどを行う。その結果、原子炉の動作は、改善され得る。
【0049】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システムは、原子炉炉心を通る冷却液の流量を決定することに基づいて、冷却液循環を管理することができる。
【0050】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システムは、原子炉の降下管流路を通る冷却液の温度分布の少なくとも1つを決定することに基づいて、冷却液循環を管理し得る。このような決定に基づいて、制御システムは、冷却液循環を管理して、流路の複数の部分を通る冷却液温度の均一性を改善し得る。そのような改善された均一性は、均一な炉心熱遮断をもたらし得る。したがって、冷却液の温度の均一性を改善するための冷却液循環の管理は、原子炉の性能および安全性を改善し得る。
【0051】
図1は、いくつかの例示的な実施形態による、熱監視アレイを含む原子力プラントの概略図である。
【0052】
原子力発電プラント100は、原子炉102、冷却液循環ループ120、および制御システム140を含む。いくつかの例示的な実施形態では、原子炉は、原子炉の少なくとも一部分を通る流路を画定するアセンブリを含む。冷却液は、流路を通して循環させることができる。図1に示す例示的な実施形態では、例えば、原子炉100は、原子炉炉心104と、原子炉炉心104の周りに環状降下管流路112を画定する降下管アセンブリ110と、原子炉炉心104が含まれる炉心流路114とを含む。降下管アセンブリ110は、降下管流路112の外側境界を画定する原子炉圧力容器の壁106を含む。降下管アセンブリ110は、降下管流路112の内側境界を画定する炉心シュラウド108を含む。炉心シュラウド108は、原子炉炉心104を降下管流路112から隔離する。
【0053】
いくつかの例示的な実施形態では、原子炉102は、加圧水型原子炉(PWR)および沸騰水型原子炉(BWR)のうちの少なくとも1つとすることができる。いくつかの例示的な実施形態では、原子炉102は、経済的に単純化された沸騰水型原子炉(ESBWR)である。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態では、原子炉は、冷却液ループから原子炉を通して冷却液を循環させることよって原子炉炉心から熱を排除するように構成される。図1に示す例示的な実施形態では、例えば、原子炉102は、冷却液循環ループ120から原子炉102を通して冷却液122、124を循環させることによって炉心104から熱を排除するように構成される。図1に示すように、「低温」冷却液122は、冷却液循環ループ120から1つまたは複数のノズル116を介して降下管流路112に導入され、導入された冷却液122は、降下管流路112を通って原子炉102の下部へと下方に流れ得る。
【0055】
ノズル116は、冷却液122が、壁106の複数の方位角方向に離れた位置で降下管流路112の方位角方向に分離した部分に導入されるように、壁106の周りの別々の方位角方向位置で離間し得る。降下管流路112の周囲の複数の位置に冷却液122を導入することにより、原子炉102を通って循環する冷却液122の均一性を向上させることができる。いくつかの例示的な実施形態では、原子炉102は、降下管流路112の周りに等距離に間隔をあけて配置された少なくとも6つのノズル116を含む。図1に記載された例示的な実施形態では、ノズル116は、冷却剤流体122が、降下管流路112の上部に導入され、降下管流路112を通って原子炉102の下部へと下方に流れるように、降下管アセンブリ110の上部に近接して配置し得る。
【0056】
原子炉102の下部は、原子炉102の下部の冷却液122が炉心流路114と流れ連通するように、炉心シュラウド108の下部の下方に配置し得る。図1に示すように、降下管流路112から原子炉102の下部に到着すると、冷却液122は、冷却液122が原子炉炉心104によって発生した熱を吸収し、「高温」冷却液124になるように、炉心流路114を通って上方に流れ得る。高温冷却液124は、炉心シュラウド108によって少なくとも部分的に画定された炉心流路114の上部に流れ得る。高温冷却液124は、炉心流路114の上部から原子炉102を出て、冷却液循環ループ120に戻り得る。冷却液124は、冷却液循環ループ120において低温冷却液122になるように再生され得る。
【0057】
いくつかの例示的な実施形態では、原子炉102は、自然循環によって、流路112、114を介して冷却液122、124を循環させるように構成される。自然循環は、対流が流路112、114を通って冷却液122、124を流すように、対流に少なくとも部分的に基づいて冷却液122、124が流路112、114を循環することを含み得る。例えば、比較的低温の冷却液122は、降下管流路112を通って原子炉102の下部に流れ得る。低温冷却液122は、炉心流路114内の高温冷却液124を原子炉102の上部に移動させ得る。その結果、冷却液124は、原子炉102の原子炉炉心104から排除された熱を除去する。
【0058】
いくつかの例示的な実施形態では、原子炉102は、原子炉102の炉心流路114を通る冷却液122、124の流量、降下管流路112内の冷却液122の温度分布、および降下管流路112内の流体二相界面(すなわち、冷却液122の液面)の位置のうちの少なくとも1つを監視するために処理され得る温度データを生成するように構成された熱監視アレイ130を含む。原子炉102の炉心流路114を通る冷却液122、124の流量は、本明細書では炉心流、炉心流量などと呼ばれることがある。いくつかの例示的な実施形態では、冷却液の流量は、質量流量および容積流量のうちの少なくとも一方を含む。いくつかの例示的な実施形態では、炉心流は、降下管流路112を通る冷却液122の総流量と同等である。
【0059】
熱監視アレイ130は、降下管アセンブリ110の1つまたは複数の表面に結合された1つまたは複数の流量計アセンブリ132-1~132-Nのセットを含み、1つまたは複数の流量計アセンブリ132-1~132-Nは、降下管流路112の1つまたは複数の部分に露出し得る。本明細書で使用される場合、「N」は、少なくとも1の値を有する正の整数である。
【0060】
降下管流路112の別々の部分に露出された流量計アセンブリ132-1~132-Nは、降下管流路112の別々の部分に関連する温度データを生成し得る。例えば、図1に示すように、熱監視アレイ130は、炉心シュラウド108の外面の別々の部分に結合された複数の流量計アセンブリ132-1~132-Nを含み、各流量計アセンブリ132-1~132-Nは、降下管流路112の別々の部分に露出する。したがって、各流量計アセンブリ132-1~132-Nは、降下管流路112の別々の部分に関連する温度データを生成するように構成される。
【0061】
図4および図5を参照して以下でさらに説明するように、各流量計アセンブリ132-1~132-Nは、降下管流路112の少なくとも一部に露出する。したがって、流量計アセンブリ132-1~132-Nのうちの所与の流量計アセンブリは、降下管流路112の少なくとも一部分を通る冷却液122の1つまたは複数の流れに露出し得る。したがって、流量計アセンブリ132-1~132-Nのうちの所与の流量計アセンブリは、降下管流路112の少なくとも一部を通って流れる冷却液122の1つまたは複数の流れを監視することに基づいて温度データを生成するように構成し得る。
【0062】
流量計アセンブリ132-1~132-Nのうちの少なくとも1つによって生成された温度データを処理して、降下管流路112の少なくとも一部を通る冷却液122の流量、降下管流路112の少なくとも一部の1つまたは複数の位置における冷却液122の温度、降下管流路112の1つまたは複数の部分に含まれる流体の位相、および降下管流路112内の流体二相界面(すなわち、冷却液122の液面)の位置、のうちの少なくとも1つを決定し得る。
【0063】
図1をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、熱監視アレイ130の別々の流量計アセンブリ132-1~132-Nは、1つまたは複数のライン134を介して制御システム140に通信可能に結合される。1つまたは複数のライン134は、圧力容器壁106を通って延びる1つまたは複数の貫通ノズル118を介して1つまたは複数の流量計アセンブリ132-1~132-Nと制御システム140との間を延びる。1つまたは複数のライン134は、流量計アセンブリ132-1~132-Nの1つまたは複数の要素に電力を供給するように構成された1つまたは複数の電力伝送ラインを含み得る。1つまたは複数のライン134は、制御システム140と少なくとも1つの流量計アセンブリ132-1~132-Nとの間で通信データ信号を送信するように構成された1つまたは複数の通信ラインを含み得る。制御システム140は、1つまたは複数のライン134を介して流量計アセンブリ132の1つまたは複数の要素に電力142を供給し得る。熱監視アレイ130内の各流量計アセンブリ132-1~132-Nによって生成された温度データ144は、1つまたは複数のライン134を介して制御システム140に通信し得る。
【0064】
制御システム140は、流量計アセンブリ132-1~132-Nによって生成された温度データ144を処理し得る。この処理に基づいて、制御システム140は、降下管流路112の少なくとも一部を通る冷却液122の流量、降下管流路112の少なくとも一部における冷却液122の温度、降下管流路112内の1つまたは複数の部分における冷却液122の位相、および降下管流路112内の流体二相界面(すなわち、冷却液122の液面)の位置、のうちの少なくとも1つを決定し得る。
【0065】
制御システム140は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせの1つまたは複数のインスタンスを使用して実装し得る。制御システム140は、コンピュータ処理装置を含み得る。制御システム140は、コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、これらには限定されないが、プロセッサ、中央処理装置(CPU)、コントローラ、演算論理装置(ALU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ASICチップ、プログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、または定義された方法で命令に応答し実行することができる任意の他の装置、などの処理回路を使用して実装し得る。
【0066】
降下管流路112を通る冷却液122の流量、降下管流路112の1つまたは複数の部分における冷却液122の温度、および降下管流路112内の流体二相界面の位置、のうちの少なくとも1つを決定することに少なくとも部分的に基づいて、制御システム140は、原子炉102の1つまたは複数の部分を通る冷却液122、124の循環(すなわち、流量)を制御し得る146。
【0067】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、1つまたは複数の流体循環ポンプを制御することに基づいて、冷却液122、124の循環を制御し得る。
【0068】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、炉心流と循環ポンプ電力との間の関係に基づいて、冷却液122の循環を制御し得る。そのような関係はルックアップテーブル(「LUT」)に格納されてもよい。LUTは、循環ポンプ電力値のアレイおよび関連する炉心流量値のアレイを含み得る。例えば、LUTは、炉心流量値のセットを含むことができ、アレイは、別々の炉心流量値のそれぞれを別々の循環ポンプ電力値に関連付け得る。
【0069】
アレイ内の炉心流量の別々の値のそれぞれに対応する別々の循環ポンプ電力値は、実験的に決定されてもよい。例えば、冷却液122、124の炉心流量は、測定される循環ポンプに供給される電力の量と同時に測定されてもよい。同時に測定された炉心流量値および循環ポンプ電力値は、関連する値としてLUTのアレイに入力されてもよい。
【0070】
制御システム140は、LUTにアクセスして、決定された炉心流量に関連する循環ポンプの電力値を決定し得る。制御システム140は、電力量が決定された循環ポンプの電力値に実質的に対応するように、循環ポンプへの電力の供給を制御し得る。
【0071】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、降下管流路112の1つまたは複数の部分における循環ポンプ電力と冷却液122の温度との間の関係に基づいて、冷却液122の循環を制御し得る。このような関係はルックアップテーブル(「LUT」)に格納されてもよい。このようなLUTは、循環ポンプの電力値と炉心流量との間の関係を格納するLUTと同じであってもよい。
【0072】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、循環ポンプ電力と降下管流路112内の流体二相界面の位置との間の関係に基づいて、冷却液122の循環を制御し得る。このような関係は、ルックアップテーブル(「LUT」)に格納することができる。このようなLUTは、循環ポンプの電力値と炉心流量との間の関係を格納するLUTと同じであってもよい。
【0073】
図1をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、原子炉102の1つまたは複数の部分を制御し得る148。その結果、制御システム140は、熱監視アレイ130を使用して原子炉102を通る冷却液122、124の循環を監視することに基づいて、原子炉102の性能を制御し得る。制御システム140は、原子炉炉心104の熱遮断(すなわち、熱出力、電力レベルなど)および冷却液122、124の流量のうちの少なくとも1つを調整して、原子炉102の性能を改善し得る。
【0074】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、別々のノズル116を通る冷却液122の流量を制御して、1つまたは複数の降下管流路112部分を通る冷却液122の流量、1つまたは複数の降下管流路112部分の冷却液122の温度などのうちの少なくとも1つを制御するように構成される。このような制御は、降下管流路112の1つまたは複数の部分における冷却液122の温度に基づき得る。このような制御は、降下管流路112を通る冷却液の温度分布の均一性を改善するために実施され得る。結果として、原子力発電所100での原子炉102の動作は、冷却液122の温度の均一性の改善に起因する原子炉102の性能の改善された均一性のために改善され得る。
【0075】
図2は、いくつかの例示的な実施形態による、熱監視アレイを含む原子炉の斜視図である。図3は、いくつかの例示的な実施形態による、熱監視アレイを含む原子炉の斜視図である。図2および図3に示す原子炉102は、図1に示す原子炉102を含む、本明細書に含まれる原子炉の任意の実施形態に含まれ得る。
【0076】
図2および図3を参照すると、降下管流路112は、別々の流路部分202-1~202-Nを含み得る。別々の流路部分202-1~202-Nは、軸方向に分離され、および方位角方向に分離された少なくとも1つであってもよい。図2および図3に示すように、例えば、降下管流路112は、等しい軸方向サイズの流路部分202-1~202-Nのセットを含むことができ、各流路部分202-1~202-Nは、降下管流路112の方位角方向に分離した部分を包含する。
【0077】
いくつかの例示的な実施形態では、部分202-1~202-Nのそれぞれ別々の1つは、図1に示すように、原子炉102に含まれる降下管アセンブリ110の一部によって少なくとも部分的に画定されてもよい。図2および図3に示すように、例えば、各降下管流路部分202-1~202-Nは、炉心シュラウド108および圧力容器壁106の方位角方向に分離した部分によって少なくとも部分的に画定される。図2および図3では、個々の降下管流路部分202-1を画定する降下管アセンブリ110の部分が強調表示されている。
【0078】
いくつかの例示的な実施形態では、熱監視アレイ130は、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nに露出された流量計アセンブリ132-1~132-Nのセットを含む。熱監視アレイ130の流量計アセンブリ132-1~132-Nの限定された別々の選択は、降下管流路112の所与の個々の流路部分202-1~202-Nに露出されてもよい。図2に示すように、例えば、3つの流量計アセンブリ132-1、132-2、132-3の限定された選択は、流量計アセンブリ132-1、132-2、132-3の限定された選択が、特定の流路部分202-1に露出され、熱監視アレイ130に含まれる流量計アセンブリ132-1~132-Nの残りの部分が、降下管流路112の流路部分202-1~202-Nの残りの部分に露出されるように、特定の流路部分202-1を画定する炉心シュラウド108の部分に結合される。いくつかの例示的な実施形態では、熱監視アレイ130の各流量計アセンブリ132-1~132-Nは、各流量計アセンブリ132-1~132-Nが降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nに露出するように、降下管アセンブリ110の別々の部分に結合される。
【0079】
図2および図3をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、所与の流路部分202-1~202-Nに露出される流量計アセンブリ132-1~132-Nのセットは、降下管流路部分202-1~202-Nを画定する表面の別々の位置に配置されてもよく、別々の位置は、軸方向に離れた位置および方位角方向に離れた位置のうちの少なくとも1つである。例えば、図2に示す流路部分202-1に露出する流量計アセンブリ132-1、132-2、132-3は、炉心シュラウド108の外面に、方位角方向に共通して軸方向に離れた位置に結合される。その結果、各流量計アセンブリ132-1、132-2、132-3は、降下管流路112の部分202-1の軸方向に分離した部分を通る1つまたは複数の冷却液の流れを監視することに基づいて温度データを生成するように構成される。
【0080】
いくつかの例示的な実施形態では、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nに露出された流量計アセンブリ132-1~132-Nの各セットは、それぞれの流路部分202を通る冷却液122の別々の流量216-1~216-Nを決定するために処理され得る温度データを生成するように構成される。熱監視アレイ130の流量計アセンブリ132-1~132-Nの別々のセットによって生成された温度データを処理して、降下管流路112の別々の流路部分202のそれぞれを通る冷却液122の別々の流量216-1~216-Nを決定し得る。降下管流路112を通る冷却液122の総流量は、別々の流路部分202-1~202-Nを通る冷却液122の個々の流量216-1~216-Nの合計に基づいて決定し得る。総流量は、図1に示す原子炉102の炉心流路114を通る冷却液122の炉心流と等しくてもよい。
【0081】
いくつかの例示的な実施形態では、流量計アセンブリ132-1~132-Nの少なくとも1つは、降下管アセンブリ110の1つまたは複数の表面に結合されてもよい。図2に示す実施形態では、例えば、流量計アセンブリ132-1~132-Nは、炉心シュラウド108の外面の別々の部分に結合される。図3に示す実施形態では、例えば、流量計アセンブリ132-1~132-Nは、圧力容器壁106の内面の別々の部分に結合される。
【0082】
図4は、いくつかの例示的な実施形態による、流量計アセンブリの斜視図である。図4に示す流量計アセンブリ132は、本明細書に含まれる流量計アセンブリ132-1~132-Nのいずれかの実施形態に含まれてもよい。
【0083】
流量計アセンブリ132は、少なくとも1つの第1のセンサアセンブリ410および少なくとも1つの第2のセンサアセンブリ420を含む。第1および第2のセンサアセンブリ410および420は、バックプレーン402に結合される。いくつかの例示的な実施形態において、バックプレーン402は、第1および第2のセンサアセンブリ410および420が降下管アセンブリ110の一部分の表面に直接結合されるように、降下管アセンブリ110の一部分の表面である。
【0084】
第1のセンサアセンブリ410は、第1の温度センサ412と、第1の温度センサ412のインターフェース414に結合された加熱要素416とを含む。インターフェース414は、表面領域「A」を有する。第1の温度センサ412は、冷却液の第1の流れ451に露出するように構成される。したがって、第1の温度センサ412は、冷却液の第1の流れ451の温度を測定し、冷却液の第1の流れ451の温度に基づいて第1の温度データを生成するように構成される。
【0085】
加熱要素416は、加熱要素416と第1の温度センサ412との間のインターフェース414の表面領域「A」を介して、第1の温度センサ412に熱を伝達するように構成される。示されるように、加熱要素416および第1の温度センサ412は、ライン134のセットを介して制御システムに電気的に結合されるように構成される。
【0086】
第2のセンサアセンブリ420は、第2の温度センサ422を含む。第2の温度センサ422は、冷却液の第2の流れ452に露出されように構成される。したがって、第2の温度センサ422は、冷却液の第2の流れ452の温度を測定し、冷却液の第2の流れ452の温度に基づいて第2の温度データを生成するように構成される。
【0087】
いくつかの例示的な実施形態では、第2のセンサアセンブリ420は、ダミー加熱要素424を含む。ダミー加熱要素424は、加熱要素416を含む第1のセンサアセンブリ410と同様の質量および熱環境を有するように第2のセンサアセンブリ420を構成し得る。加えて、ダミー加熱要素424の存在は、流れ451および452がそれぞれの第1および第2のセンサアセンブリ410および420に対して同様の流路を流れることを可能にし得る。その結果、ダミー加熱要素424は、第1および第2の温度センサ412、422が、同様の流れおよび熱条件下で、それぞれの第1および第2の流れ451、452の温度を測定することに基づいて温度データを生成し得るので、より正確に温度データを生成するように流量計アセンブリ132を構成し得る。
【0088】
いくつかの例示的な実施形態では、ダミー加熱要素424は、流量計アセンブリ132には存在しない。ダミー加熱要素424が存在しない場合、流量計アセンブリ132およびその製造を単純化することができる。いくつかの例示的な実施形態では、ダミー加熱要素424が存在しないことの影響は、流量計アセンブリ132の較正を通じて補償することができる。示すように、第2の温度センサ422は、ライン134のセットを介して制御システムに電気的に結合されるように構成される。
【0089】
いくつかの例示的な実施形態では、第2の温度センサ422は、加熱要素416から少なくとも部分的に絶縁されている。例えば、流量計アセンブリ132は、本明細書では「絶縁体」とも呼ばれる絶縁材料430を含むことができ、絶縁材料430は、第2の温度センサ422を加熱要素416から少なくとも部分的に絶縁するように構成される。いくつかの例示的な実施形態では、絶縁材料430は、バックプレーン402に含まれる。いくつかの実施形態例では、絶縁材料430は存在せず、第2の温度センサ422は、第1のセンサアセンブリ410と第2のセンサアセンブリ420との間を流れる冷却液が、第2の温度センサ422を加熱要素416から少なくとも部分的に絶縁するように、加熱要素416から第2の温度センサ422まで間隔をあけることに基づいて、加熱要素416から少なくとも部分的に絶縁される。いくつかの例示的な実施形態では、絶縁材料430は、パックされた絶縁材料を含む。いくつかの例示的な実施形態では、絶縁材料430は、セラミック粉末を含む。絶縁材料430は、加熱要素416および第1の温度センサ412の少なくとも一部の周りにパックされてもよい。いくつかの例示的な実施形態例では、1つまたは複数のライン400は、放射線硬化されたワイヤまたはケーブルを含み得る。例えば、1つまたは複数のライン134は、HABIA(登録商標)ケーブルを含み得る。
【0090】
いくつかの例示的な実施形態では、第1および第2の温度センサ412および422のうちの1つまたは複数は、抵抗温度検出器(RTD)および熱電対(TC)温度センサのうちの少なくとも1つである。加熱要素416は、電気加熱要素であってもよい。
【0091】
図4をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、第1の温度センサ412は、第1の流れ451の温度を測定することに基づいて、さらに、インターフェース414の表面領域Aを介して加熱要素416によって加熱されることに基づいて、第1の温度Tを測定するように構成される。第2の温度センサ422は、第2の流れ452の温度を測定することに基づいて、第2の温度Tを測定するように構成することができる。第2の温度センサ422が加熱要素416から絶縁されている場合、測定温度Tは、加熱要素416によって発生したいかなる熱とも無関係であり得る。第1および第2の温度センサ412および422は、それぞれ第1および第2の温度データを生成することができ、第1の温度データは、測定された第1の温度Tを示すデータを含み、第2の温度データは、測定された第2の温度Tを示すデータを含む。
【0092】
いくつかの例示的な実施形態では、(図1を参照して示され説明された)制御システム140は、第1および第2温度センサ412および422によって生成された温度データを処理して、第1および第2の流れ451および452の合計流量を決定する。いくつかの例示的な実施形態では、第1および第2の流れ451および452は、それぞれの第1および第2のセンサアセンブリ410および420の上流の共通の温度を有すると仮定することができる。第2の温度センサ422が加熱要素416から少なくとも部分的に絶縁されている場合、測定されたTとTとの間の差は、インターフェース414の表面領域Aを介して第1の温度センサ412に伝達された加熱要素416によって発生された熱に基づく温度差として決定し得る。図4をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、インターフェース414を介した加熱要素416から第1の温度センサ412への熱伝達率の大きさは、加熱要素416に供給される電力「P」の大きさに基づいて決定し得る。熱伝達率の大きさは、本明細書では「Q」と呼ばれ、加熱要素が生成する熱流束の大きさは「Q/A」とすることができ、ここで「A」は、インターフェース414の表面積である。いくつかの例示的な実施形態では、Qは、比例関係にしたがって電力Pの大きさに比例する。したがって、いくつかの例示的な実施形態では、Qは、「P」の決定に基づいて決定し得る。
【0093】
いくつかの例示的な実施形態では、降下管流路内の冷却液の温度は「Tenv」であり、冷却液から生じる局所表面熱流束は「Q」であり、等価熱伝達係数は「Ueq」であり、第2の温度センサ422における局所表面熱流束は、以下の式(1)に示すように表すことができる。
=Ueq(T-Tenv) (1)
インターフェース414の表面領域Aが決定され、加熱要素416に供給される電力Pの大きさに基づいて熱伝達率Qが決定される場合、第1の温度センサ412における局所表面熱流束は、冷却液の第1の流れ451から生じる局所表面熱流束と、加熱要素416から生じる局所表面熱流束との合計であり得る。第1の温度センサ412におけるこのような局所表面熱流束は、以下の式(2)に示すように表すことができる。
+(Q/A)=Ueq(T-Tenv
(2) Qを除去し、流量または等価熱伝達係数Ueqを第1および第2の温度センサ412および422の間の温度差に相関させるために、式(1)を式(2)から引いて、以下に示す式(3)を得ることができる。
(Q/A)=Ueq(T-T) (3)
式(3)に示すように、等価熱伝達係数Ueqは、第1の温度センサ412と第2の温度センサ422との間の温度差(T-T)に反比例し得る。例えば、電力「P」の大きさは実質的に一定に保たれ、熱流束「(Q/A)」は一定のままであり得る。
【0094】
図4をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、等価熱伝達係数Ueqは、関係にしたがって、結合された第1および第2の流れ451および452の流量450に関連する。例えば、等価熱伝達係数Ueqは、冷却液の結合された第1および第2の流れ451および452の流量450に比例し得る。
【0095】
したがって、いくつかの例示的な実施形態では、等価熱伝達係数Ueqは、表面領域Aが決定されたときの測定温度TおよびTを示す温度データに基づいて決定することができ、熱伝達率Qは、加熱要素416に供給される電力Pの決定された大きさに基づいて決定される。いくつかの例示的な実施形態では、結合された第1および第2の流れ451および452の流量450は、等価熱伝達係数Ueqと流量450との間の関係に基づいて決定し得る。
【0096】
いくつかの例示的な実施形態では、流量(「M」)450と、TとTとの間の温度差ΔT(ΔTはT-Tである)との間の関係は、以下の式(4)に示すように表すことができ、A、A、A、Aは定数である。
M=A+A(ΔT)+A(ΔT)+A(ΔT) (4)
、A、A、およびAの値は実験的に決定することができる。例えば、流量計アセンブリ132内の第1および第2の温度センサ412および422によって測定されたTとTとの間の温度差ΔTは、測定される流量計アセンブリ132と流れ連通して循環する冷却液の流量Mと同時に測定し得る。流量は、流量計装置によって測定することができる。温度差ΔTは、流量値Mおよび対応するΔT値のセットが決定されるように、流量値の範囲にわたって変化する流量値Mと同時に測定し得る。流量値Mおよび対応するΔT値は、定数A、A、A、およびAの値を解くために式(4)に適合させることができる。
【0097】
いくつかの例示的な実施形態では、実験的に同時に測定された流量値Mおよび対応するΔT値は、関連する値としてルックアップテーブル(「LUT」)のアレイに記憶し得る。アレイ内の各ΔT値は、流量450の別々の対応する値と関連付けられてもよい。ΔT(T-T)の決定値に基づいて流量M450を決定するために、制御システム140は、LUTにアクセスし、アレイ内の決定されたΔTの値に関連する流量M450の値を特定することができる。
【0098】
図4をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、第1および第2の流れ451および452の合計流量450は、流量計アセンブリ132が露出している降下管流路112の部分202-1~202-Nのうちの少なくとも1つを通る冷却液122の流量216-1~216-Nのうちの少なくとも1つであり得る。したがって、結合された流れ451および452の流量450は、図2および図3を参照して上に示し説明したように、流量計アセンブリ132が露出された降下管流路112の少なくとも1つの部分202-1~202-Nを通る冷却液の流量216-1~216-Nのうちの少なくとも1つであり得る。
【0099】
上記の決定は、図1を参照して上で示し説明したように、ライン400を介して加熱要素416および第1および第2の温度センサ412および422に電気的に結合された制御システム140によって実施し得る。制御システム140は、表面領域A、電力Pと熱伝達率Qとの間の1つまたは複数の関係、および等価熱伝達係数Ueqと流量450との間の1つまたは複数の関係を示す情報を格納し得る。
【0100】
図1に示す制御システム140は、1つまたは複数のライン134を介して加熱要素416に供給される電力Pの大きさを決定し得る。制御システム140は、電力Pと熱伝達率Qとの間の1つまたは複数の関係に基づいてQを決定し得る。制御システム140は、流量計アセンブリ132の第1および第2温度センサ412および422からそれぞれの第1および第2温度データを受信し得る。制御システム140は、式(3)に基づいて等価熱伝達係数Ueqを決定し得る。制御システム140は、等価熱伝達係数Ueqと流量450との間の1つまたは複数の関係に基づいて流量450を決定し得る。
【0101】
制御システム140が、熱監視アレイ130内の流量計アセンブリ132-1~132-Nの別々のセットに関連する温度データおよび電力データを受信する場合、制御システム140は、別々の流量計アセンブリ132-1~132-Nが露出する冷却液の別々の流量450を決定し得る。別々の流量450は、図2および図3を参照して図示され説明された別々の流量216-1~216-Nであってもよい。したがって、別々の流量216-1~216-Nは、降下管流路112のそれぞれ別々の部分202-1~202-Nに露出するセットの流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれから受信した温度データに少なくとも部分的に基づいて決定し得る。
【0102】
制御システム140は、流量216-1~216-Nの合計として別々の流量450の少なくともいくつかの合計に基づいて、降下管流路112を通る冷却液122の総流量を決定し得る。降下管流路112を通る冷却液122の総流量が、図1を参照して図示し説明した炉心流路114を通る冷却液122、124の炉心流量に等しい場合、制御システム140は、決定された総流量に基づいて、図1に示す原子炉102を通る炉心流量を決定し得る。
【0103】
図1図2および図3を再び参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、降下管流路112の異常な流れ状態を監視するために降下管流路112の各部分について決定された別々の質量流量216-1~216-Nを比較し得る。例えば、制御システム140は、降下管流路112の別々の方位角方向に離れた部分202-1~202-Nについて決定された流量216-1~216-Nを比較し得る。制御システム140は、そのような監視に基づいて、降下管流路112の方位角方向に離れた部分202-1~202-Nを通る非対称な冷却液122の流れを決定し得る。いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、このような監視に基づいて、降下管流路112の1つまたは複数の部分202-1~202-Nを通る冷却液122の流れを制御し得る。例えば、制御システム140は、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nを通る均一および/または実質的に均一な冷却液122の流れを維持するために、冷却液循環ループ120などに含まれる1つまたは複数の循環ポンプを制御して、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nを通る冷却液122の流量216-1~216-Nを制御し得る。制御システム140は、上述のように、循環ポンプ電力値を流量値と関連付けるルックアップテーブルにしたがって1つまたは複数の循環ポンプを制御し得る。
【0104】
いくつかの例示的な実施形態では、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nを通る非対称な冷却液122の流れは、原子炉炉心104の異なる部分による非対称な熱遮断をもたらし得る。降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nを通る冷却液122の別々の流量216-1~216-Nを監視することに基づいて、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nを通る冷却液122を制御することによって、このような非対称性を低減し、それによって原子炉運転を改善し得る。
【0105】
図4をさらに参照すると、第1および第2の温度センサ412、422は、第2の温度センサ422が第1の流れ451の温度測定を制限され、第1の温度センサ412が第2の流れ452の温度測定を制限されるように、別々の並列の流れ451および452の温度を測定するように構成される。
【0106】
いくつかの例示的な実施形態では、第1および第2の温度センサ412、422は、第1および第2の流れ451および452が共通の流れであるように、共通の流れの温度を測定するように構成される。第2のセンサアセンブリ420は、第2の温度センサ422が第1の温度センサ412の上流の共通の流れの温度を測定するように構成されるように、第1のセンサアセンブリ410に対して降下管アセンブリ110内の上方位置に配置し得る。その結果、第2の温度センサ422は、加熱要素416による共通の流れの任意の加熱から少なくとも部分的に絶縁され得る。
【0107】
図5は、いくつかの例示的な実施形態による、流量計アセンブリの斜視図である。図5に示す流量計アセンブリ500は、本明細書に含まれる流量計アセンブリ132-1~132-Nのいずれかの実施形態に含まれ得る。
【0108】
いくつかの例示的な実施形態では、流量計アセンブリは、加熱要素が結合される少なくとも1つの第1の温度センサと、加熱要素から少なくとも部分的に絶縁された複数の温度センサとを含む。例えば、図5に示すように、流量計アセンブリ500は、第1の温度センサ412、加熱要素416、および第2の温度センサ422に加えて、少なくとも1つの第3の温度センサ522-1~522-N(Nは正の整数)を含む。いくつかの例示的な実施形態では、Nは、第3の温度センサ522-Nが流量計アセンブリ500に存在しないように1の値を有し得る。第3の温度センサ522-1~522-Nのそれぞれは、加熱要素416から少なくとも部分的に絶縁されていてもよい。第3の温度センサ522-1~522-Nのうちの1つまたは複数は、ダミー加熱要素(図5には図示せず)に結合されてもよい。
【0109】
いくつかの例示的な実施形態では、第2および第3の温度センサ422および522-1~522-Nのそれぞれは、それぞれの第2および第3の温度センサ422および522-1~522-Nによって測定されたそれぞれの第2の温度Tを示す温度データの別々のインスタンスを生成し得る。第3の温度センサ522-1~522-Nは、第2の温度センサ422と同様に、それぞれ少なくとも部分的に加熱要素416から絶縁されているので、第3の温度センサ522-1~522-Nのそれぞれは、別々の第2の温度Tを測定し得ることが理解されるであろう。その結果、第2の温度センサ422および第3の温度センサ522-1~522-Nの両方は、加熱要素416によって加熱されるのとは独立して、冷却液の流れの温度を測定し得る。
【0110】
第3の温度センサ522-1~522-Nのそれぞれは、1つまたは複数のライン134を介して制御システムに電気的に結合され得る。第1の温度センサ412、第2の温度センサ422、および第3の温度センサ522-1~522-Nによって生成された温度データは、ライン134を介して制御システム140に通信されてもよく、制御システム140は、図1を参照して上に図示され説明されている。制御システム140は、第2の温度センサ422および第3の温度センサ522-1~522-Nから受信した第2の温度データのインスタンスを処理し得る。そのような処理は、第2の温度センサ422および第3の温度センサ522-1~522-Nによって測定された温度に基づいて第2の温度Tを決定することを含み得る。例えば、制御システム140は、第2の温度センサ422および第3の温度センサ522-1~522-Nによって測定された温度の平均である第2の温度Tを決定し得る。
【0111】
図5をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、第2の温度センサ422および第3の温度センサ522-1~522-Nは、第2の温度センサ422および第3の温度センサ522-1~522-Nがそれぞれ降下管流路の別々の部分に露出されるように、降下管アセンブリの別々の相対部分に結合されてもよい。例えば、第2の温度センサ422は、第3の温度センサ522-1~522-Nに対して別々の軸方向位置に配置される。別の例では、第2の温度センサ422および第3の温度センサ522-1は、温度センサ522-Nに対して別々の方位角方向位置に配置される。その結果、第2の温度センサ422および第3の温度センサ522-1~522-Nによって生成された温度データを処理して、温度センサ422および522-1~522-Nのうちの個々の第2の温度センサによる個々の温度測定値Tよりも局所表面熱流束Qをより正確に反映する温度Tを決定し得る。
【0112】
いくつかの例示的な実施形態では、熱監視アレイ130は、複数の流量計アセンブリを含み、第1の温度センサ412および結合された加熱要素416は、熱監視アレイ130に含まれる少なくとも1つの流量計アセンブリ500には存在しない。例えば、図5において、熱監視アレイ130が流量計アセンブリ132-1~132-Nを含む場合、第1の温度センサ412および第2の温度センサ422は、熱監視アレイ130の第1の流量計アセンブリ132-1に含まれてもよく、第2の温度センサ522-1~522-Nは、熱監視アレイ130の別々の流量計アセンブリ132-2に含まれてもよい。示されるように、別々の流量計アセンブリ132-1~132-2は、異なる方位角方向位置および異なる軸方向位置を含む降下管アセンブリ110の別々の位置に配置し得る。第2の流量計アセンブリ132-2は、第1の温度センサ412および結合された加熱要素416を除外し得る。
【0113】
いくつかの例示的な実施形態では、降下管流路112を流れる冷却液122の温度は、降下管流路112の所与の軸方向部分にわたって異なる方位角方向位置で比較的均一であり得る。その結果、第1および第2の流量計アセンブリ132-1および132-2が降下管流路112の実質的に同様の軸方向部分に露出する場合に、第1の温度センサ412および結合した加熱要素416は、第2の流量計アセンブリ132-2になくてもよい。第1の流量計アセンブリ132-2内の第1の温度センサ412によって生成された温度データを、第2の流量計アセンブリ132-2内の第2の温度センサ522-1~522-2によって生成された温度データと共に使用して、第2の流量計アセンブリ132-2における冷却液の流量450を決定し得る。
【0114】
いくつかの例示的な実施形態では、流量計アセンブリ132は、複数の第1の温度センサ412を含む。流量計アセンブリ500は、複数の加熱要素416を含み、各別々の加熱要素416は、別々の第1の温度センサ412に直接的に結合し得る。複数の第1の温度センサ412は、別々の相対位置に配置することができる。
【0115】
図5をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、第1の温度センサ412のそれぞれは、それぞれの第1の温度センサ412によって測定されたそれぞれの第1の温度Tを示す別々の温度データを生成し得る。第1の温度センサ412のそれぞれは、1つまたは複数のライン134を介して制御システム140に電気的に結合し得る。複数の第1の温度センサ412によって生成された温度データは、ライン134を介して制御システムに通信されてもよい。制御システム140は、第1の温度センサ412から受信した第1の温度データを処理し得る。このような処理は、第1の温度センサ412によって測定された第1の温度Tに基づいて第1の温度Tを決定することを含み得る。例えば、制御システムは、第1の温度センサ412によって測定された第1の温度Tの平均である第1の温度Tを決定し得る。
【0116】
図5をさらに参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、流量計アセンブリ500は、バックプレーン402上に延びるチャネルカバー504を含む。チャネルカバー504は、流量計アセンブリ500の温度センサ412、422、522-1~522-Nが露出する流路502を少なくとも部分的に画定し得る。チャネルカバー504は、温度センサ412、422、522-1~522-Nによって生成された温度データが、原子炉102の他の要素、降下管流路112の1つまたは複数の部分202-1~202-Nを流れる冷却液122、他の流量計アセンブリ132-1~132-Nに含まれる加熱要素416によって発生する熱など、からの干渉から少なくとも部分的に独立するように、流量計アセンブリ500の温度センサ412、422、522-1~522-Nを降下管流路112の残りの部分から絶縁し得る。
【0117】
図6は、いくつかの例示的な実施形態による、ラインVIB-VIB’に沿った図2の降下管流路112の概略図を示す。
【0118】
図6に示す降下管流路112部分は、炉心シュラウド108および容器壁106の一部を含み、流量計アセンブリ132-1~132-Nが炉心シュラウド108の表面に結合されている。いくつかの例示的な実施形態では、1つまたは複数の流量計アセンブリ132-1~132-Nは、容器壁106に結合し得ることを理解するであろう。
【0119】
図6に示す流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれは、流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれが降下管流路112の軸方向に分離された部分202-1~202-Nに露出されるように、異なる軸方向位置(すなわち異なるレベル)で炉心シュラウド108に結合される。いくつかの例示的な実施形態では、流量計アセンブリ132-1~132-Nのうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の流量計アセンブリ132-1~132-Nが、降下管流路112の方位角方向に分離された部分202-1~202-Nに露出されるように、異なる方位角方向の位置で炉心シュラウド108および容器壁106のうちの1つまたは複数に結合されてもよい。
【0120】
いくつかの例示的な実施形態では、降下管流路112は、流体の少なくとも2つの相604、606を含む。例えば、1つまたは複数の液体は降下管流路112の一部を満たし、1つまたは複数の気体は降下管流路112の残りの部分を満たし得る。1つまたは複数の液体は、冷却液122の液相、1つまたは複数の他の液体などを含み得る。1つまたは複数の気体は、冷却液122の気相、1つまたは複数の他の気体などを含み得る。
【0121】
いくつかの例示的な実施形態では、気体流体と液体流体との間の流体二相界面が、降下管流路112内に位置するように、降下管流路112の1つまたは複数の下部は、1つまたは複数の液体流体によって満たされ、降下管流路の1つまたは複数の上部は、1つまたは複数の気体流体によって満たされる。例えば、図6に示す例示的な実施形態では、降下管流路112は、少なくとも1つの気体流体604および少なくとも1つの液体流体606で満たされ得る。流体二相界面610は、少なくとも1つの気体流体604と少なくとも1つの液体流体606との間で降下管流路112内に位置し得る。上述したように、少なくとも1つの液体流体606は、図1を参照して上述した液相中の冷却液122を含み得る。さらに、少なくとも1つの気体流体604は、冷却液122の気相および気相中の1つまたは複数の追加の流体のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0122】
いくつかの例示的な実施形態では、流量計アセンブリ132-1~132-Nによって生成された温度データを受信する制御システム140は、温度データを処理して、各流量計アセンブリ132-1~132-Nが露出する流体の相を決定し得る。制御システム140は、所与の流量計アセンブリが露出する流体の別々の相に関連する温度閾値、範囲などを記憶する記憶装置を含み得る。制御システム140は、各流量計アセンブリ132-1~132-Nから受信した温度データに基づいて、流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれの少なくとも1つの温度センサによって測定された温度を1つまたは複数の閾値、範囲などと比較して、流量計アセンブリ132-1~132-Nがそれぞれ露出する別々のそれぞれの部分202-1~202-Nの流体の位相を決定し得る。
【0123】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、隣接する流量計アセンブリ132-1~132-Nが流体の異なる相に露出しているという決定に基づいて、降下管流路112内の流体二相界面610の位置(例えば、冷却液の液面)を決定し得る。例えば、図6に示す例示的な実施形態では、流量計アセンブリ132-1は気体流体604に露出しており、流量計アセンブリ132-2~132-Nは液相流体606に露出している。
【0124】
制御システム140は、流量計アセンブリ132-1~132-Nによって生成された処理温度データに基づいて、流量計アセンブリ132-2~132-Nのそれぞれが、液相流体606で満たされた降下管流路112のそれぞれの部分202-2~202-Nに露出していると決定し得る。制御システム140は、流量計アセンブリ132-1が、気体流体604で満たされた降下管流路112の一部202-1に露出しているとさらに決定し得る。制御システム140は、それぞれの流量計アセンブリ132-1~132-Nを原子炉102内の別々の特定の位置に関連付けるデータベースを維持し得る。制御システム140は、データベースへのアクセスに基づいて、流量計アセンブリ132-1および132-Nが原子炉内で軸方向に隣接して配置されていると決定し得る。制御システム140は、軸方向に隣接する流量計アセンブリ132-1および132-2が、流体の異なる相で満たされている降下管流路112の隣接する部分202-1および202-2に露出していると決定し得る。この決定に基づいて、制御システム140は、流体二相界面610が流量計アセンブリ132-1と132-2との間に位置していると決定し得る。制御システム140は、原子炉102内の流量計アセンブリ132-1および132-2の位置を示すデータベースにアクセスし得るので、制御システム140は、流体二相界面610が流量計アセンブリ132-1と132-2との間に位置するという決定に基づいて、降下管流路112内の流体二相界面610の位置(すなわち、冷却液122の液面)を決定し得る。
【0125】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、少なくとも2つの隣接する軸方向に分離された流量計アセンブリ132-1~132-Nによって生成された温度データを比較することに基づいて、流体二相界面610が少なくとも2つの隣接する軸方向に分離された流量計アセンブリ132-1~132-Nの間に位置すると決定し得る。例えば、制御システム140は、隣接する流量計アセンブリ132-2および132-3によって生成された温度データを比較し得る。制御システム140は、隣接する流量計アセンブリのそれぞれの第1および第2の温度センサによって測定されたそれぞれの第1および第2の温度の間の差が少なくとも閾値を満たすかどうかを決定することに基づいて、流体二相界面610が、流量計アセンブリ132-2および132-3が露出するそれぞれの部分202-2および202-3の間に配置されているかどうかを決定し得る。いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、各流量計アセンブリのそれぞれの第1および第2の温度センサによって測定された第1および第2の温度の平均温度値を決定する。制御システム140は、熱監視アレイ130内の隣接する流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれの平均温度間の温度差を決定し得る。
【0126】
いくつかの例示的な実施形態では、所与の流量計アセンブリ132-1~132-N内の第1および第2の温度センサ412および422によって測定された温度間の温度差の大きさは、流量計アセンブリと流れ連通して循環する冷却液の相に基づいて変化し得る。このような温度差の大きさの変化は、異なる相の冷却液の異なる熱伝達係数に基づき得る。
【0127】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、所与の流量計アセンブリ132-1によって生成された温度データから決定された温度差ΔTが気相流体604に露出することに関連する閾値を超えると決定することに基づいて、所与の流量計アセンブリ132-1が気相冷却液604に露出すると決定し得る。閾値は、記憶された値、実験的に決定された値、それらのいくつかの組み合わせなどであってもよい。
【0128】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、それぞれの流量計アセンブリによって生成された温度データから決定されたそれぞれの温度差ΔT値の大きさの間の差が、界面610が隣接する流量計アセンブリ間に配置されていることに関連する閾値を超えるという決定に基づいて、流体二相界面610が、隣接する流量計アセンブリ132-1~132-Nの間に配置されていることを決定し得る。閾値は、記憶された値、実験的に決定された値、それらのいくつかの組み合わせなどであってもよい。
【0129】
例えば、制御システム140は、隣接する流量計アセンブリ132-2および132-3によって測定された温度間の温度差が閾値未満であるという決定に基づいて、流体二相界面610が流量計アセンブリ132-2と132-3との間に配置されていないと決定し得る。別の例では、制御システム140は、隣接する流量計アセンブリ132-1および132-2によって測定された温度間の温度差が少なくとも閾値を満たすという決定に基づいて、流体二相界面610が流量計アセンブリ132-1および132-2の間に位置することを決定し得る。
【0130】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、降下管流路112内の流体二相界面610の位置(すなわち、レベル)を経時的に監視する。制御システム140は、流体二相界面610の決定された位置に基づいて冷却液122の流量を制御し得る。例えば、制御システム140は、降下管流路112を通る冷却液122の流量を制御して、流体二相界面610の位置を降下管流路112内の特定の範囲の位置(すなわち特定の範囲のレベル)内に維持し得る。流体二相界面610の位置が閾値レベル未満であることに応答して、制御システム140は、異常状態が存在すると判断することができ、警報を作動させること、オペレータに送信される警告信号を生成することなどを含む、対応措置をとることができる。その結果、原子炉102を通って流れる冷却液122の温度の改善された監視に基づいて原子炉の動作を改善し得る。
【0131】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、冷却液循環ポンプ電力と流体二相界面610の決定された位置との間の関係に基づいて、冷却液122の流量を制御し得る。関係は、ルックアップテーブルに格納されてもよく、ルックアップテーブル内の関連する値は、実験的に決定されてもよい。制御システム140は、流体二相界面610の決定された位置およびルックアップテーブルに基づいて循環ポンプ電力値を決定し得る。制御システム140は、循環ポンプに供給される電力量が決定された循環ポンプ電力値に実質的に対応するように、決定された循環ポンプ電力値にしたがって循環ポンプへの電力供給を制御し得る。循環ポンプに供給される電力量は、冷却液122の流量と実験的に相関させることができる。
【0132】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、流量計アセンブリ132-1~132-Nによって生成された温度データに基づいて、降下管流路112内の冷却液122の温度分布を監視し得る。
【0133】
制御システム140は、軸方向に分離し、方位角方向に分離する流量計アセンブリ132-1~132-Nによって生成される温度データを処理することに基づいて、降下管流路112の異なる軸方向および方位角方向の部分202-1~202-Nにおける冷却液122の温度を決定し得る。
【0134】
制御システム140はまた、各流量計アセンブリ132-1~132-Nが露出する部分202-1~202-Nを決定することに基づいて、降下管流路112の異なる軸方向および方位角方向の部分202-1~202-Nにおける冷却液122の温度を決定し得る。
【0135】
制御システム140は、降下管流路112全体にわたって冷却液122の温度分布を決定することができ、分布は、降下管流路112の様々な方位角方向に分離し軸方向に分離した部分202-1~202-Nを通る軸方向および方位角方向の温度分布のうちの少なくとも1つである。
【0136】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、降下管流路112を通る冷却液122の温度分布を監視して、降下管流路112の異常状態を監視し得る。例えば、制御システム140は、降下管流路112の特定の軸方向、方位角方向部分202-1~202-Nにおける冷却液122の温度が、降下管流路112の同じ軸方向部分202-1~202-Nの異なる方位角方向位置における温度とは異なる閾値の大きさを少なくとも満たす場合に、原子炉102内に異常状態が存在すると決定し得る。その結果、原子炉102を流れる冷却液122の温度の改善された監視に基づいて原子炉運転を改善することができる。
【0137】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、降下管流路112の部分202-1~202-Nを通る冷却液122の温度の軸方向分布および方位角方向分布の一方に制限される温度分布を決定し得る。例えば、降下管流路112を流れる冷却液122の温度は、降下管流路112の実質的に同様の軸方向部分202-1~202-Nの異なる方位角方向部分において、均一および/または実質的に均一であり得る。その結果、冷却液122の温度は、概して、降下管流路112の軸方向部分202-1~202-N(すなわち、レベル)によって変化し得る。制御システム140は、降下管アセンブリ内の共通する軸方向位置に配置された流量計アセンブリ132-1~132-Nによって測定された温度を平均化することに基づいて、降下管流路112内の冷却液122の温度分布を決定し得る。したがって、制御システム140は、降下管流路112の軸方向に分離された部分202-1~202-Nを通る冷却液122の軸方向温度分布を決定し得る。
【0138】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、降下管流路112内の異なる軸方向位置、方位角方向位置などにおける温度データの比較に基づいて、冷却液122の過冷却の変化を監視し、異常状態(例えば、降下管流路112からの冷却液122の漏れ、降下管流路112内の温度異常など)を特定し、およびそれらの組み合わせを行い得る。いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、降下管流路112内の軸方向位置、方位角方向位置のそれぞれについて決定された温度を、降下管流路112内の軸方向位置、方位角方向位置のうちの1つまたは複数の履歴温度データと比較することに基づいて、降下管流路112内の冷却液122の流れを監視し得る。
【0139】
いくつかの例示的な実施形態では、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nを通る方位角方向に非対称の冷却液122は、原子炉炉心104の異なる部分による非対称的な熱遮断をもたらし得る。降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nを通って流れる冷却液122の温度分布を監視することに基づいて、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nを通る冷却液122の流量を制御することにより、そのような非対称性を減少させ、それによって原子炉の運転を改善することができる。
【0140】
図7は、いくつかの例示的な実施形態による、熱監視アレイを通る原子炉の降下管流路内の冷却液の流れを監視することを示す図である。監視は、本明細書の任意の実施形態に含まれる制御システムおよび本明細書の熱監視アレイの任意の実施形態に含まれる流量計アセンブリによって実施し得る。監視は、本明細書に含まれる熱監視アレイ130の任意の実施形態に関して実施し得る。
【0141】
図7を参照すると、702において、少なくとも1つの制御システム140は、各流量計アセンブリ132-1~132-Nに含まれる加熱要素416に大きさ「P」の電力を供給する。各流量計アセンブリ132-1~132-Nに含まれるそれぞれの加熱要素416に供給される電力は、P~Pで表すことができる。制御システム140は、加熱要素416に供給される電力P~Pの大きさを経時的に監視し得る。
【0142】
704-1~704-Nにおいて、熱監視アレイ内の流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれは、少なくとも第1および第2の温度データを生成する。ステップ704-1~704-Nのそれぞれは、ステップ706~710を含む。ステップ704-1~704-Nのそれぞれは、熱監視アレイ130の流量計アセンブリ132-1~132-Nに関して並列に実施し得る。
【0143】
706において、流量計アセンブリ132-1~132-Nの所与の流量計アセンブリに含まれる加熱要素416は、供給された電力P~Pに基づいて熱Qを生成する。熱Qは、インターフェース414を介して所与の流量計アセンブリの直接結合された第1の温度センサ412に伝達される。インターフェース414は、表面領域「A」を有する。
【0144】
708Aにおいて、所与の流量計アセンブリの第1の温度センサ412は、1)第1の温度センサ412が露出する第1の流れの中を流れる冷却液の温度Tenv、および2)伝達された熱Qの両方に基づいて、第1の温度Tを測定する。
【0145】
708Bにおいて、所与の流量計アセンブリの第2の温度センサ422は、第2の温度センサ422が露出する第2の流れの中を流れる冷却液の温度Tenvに基づいて第2の温度Tを測定する。所与の流量計アセンブリの第1および第2の温度センサ412および422は、測定された第1および第2の温度TおよびTのそれぞれに基づいて、それぞれ第1および第2の温度データを生成し得る。
【0146】
710において、所与の流量計アセンブリに含まれる第1および第2の温度センサ412および422は、第1および第2の温度データを制御システム140に通信する。
【0147】
図示のように、少なくとも第1および第2の温度データは、流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれから少なくとも1つの制御システム140に通信される。
【0148】
712において、制御システム140は、熱監視アレイ130の各流量計アセンブリ132-1~132-Nから受信した第1および第2の温度データを処理する。
【0149】
714において、制御システム140は、流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれについて温度差(T-T)を決定する。各温度差は、流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれの流量計アセンブリから受信した第1および第2の温度データによって示される少なくとも1つの第1の温度および少なくとも1つの第2の温度に基づいて決定される。
【0150】
716において、制御システム140は、別々の流量計アセンブリ132-1~132-Nが露出する降下管流路112の部分202-1~202-Nの流量216-1~216-Nを決定する。流量216-1~216-Nのそれぞれは、別々の流量計アセンブリ132-1~132-Nについて決定された1つまたは複数の流量450の別々のセットであってもよい。制御システム140は、部分202-1~202-Nのそれぞれに露出した1つまたは複数の流量計アセンブリ132-1~132-Nについて決定された1つまたは複数の温度差に基づいて、部分202-1~202-Nのそれぞれを通る流量450を決定し得る。上述のように、いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、決定された温度差、および、関連する温度差値および流量値のアレイを格納するルックアップテーブル(「LUT」)に基づいて流量216-1~216-Nを決定し得る。
【0151】
いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、方位角方向に分離した部分202-1~202-Nのそれぞれ内の降下管内流路112の異なる軸方向部分に露出する複数の流量計アセンブリ132-1~132-Nについて決定された流量450に基づいて、降下管流路112の方位角方向に分離した部分202-1~202-Nのそれぞれについて流量216-1~216-Nを決定する。例えば、制御システム140は、所与の方位角方向部分202-1内の降下管流路112の異なる軸方向部分について決定された流量450の平均に基づいて、降下管流路112の所与の方位角方向部分202-1についての流量216-1を決定し得る。
【0152】
718において、制御システム140は、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nのそれぞれを通る冷却液122の流量216-1~216-Nに基づいて、降下管流路112を通る冷却液122の総流量を決定する。総流量は、決定された流量216-1~216-Nの合計であってもよい。
【0153】
720において、制御システム140は、温度データに基づいて、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nを流れる冷却液の温度分布を決定する。制御システム140は、降下管流路112の異なる部分202-1~202-Nに露出する流量計アセンブリ132-1~132-Nによって生成された温度データを比較して、降下管流路112の異なる部分にわたる温度傾向を決定し得る。例えば、制御システム140は、降下管流路112の別々の部分202-1~202-Nに露出する別々の流量計アセンブリ132-1~132-Nから受信した温度データに基づいて、降下管流路112の異なる軸方向および方位角方向に分離した部分202-1~202-Nにわたる温度分布を決定し得る。
【0154】
722において、制御システム140は、降下管流路112内の流体二相界面610の位置を決定する。流体二相界面610の位置は、降下管流路112内の液体冷却液122のレベルであり得る。制御システム140は、異なる流量計アセンブリ132-1~132-Nによって生成された温度データを処理して、流量計アセンブリ132-1~132-Nのそれぞれが露出する別々の部分202-1~202-Nに含まれる流体の相を決定し得る。
【0155】
724において、制御システム140は、温度データに基づいて1つまたは複数の原子炉運転を制御する。そのような制御は、決定された冷却液122の流量、決定された温度分布、および決定された流体二相界面610の位置のうちの少なくとも1つに基づいて、1つまたは複数の原子炉運転を制御することを含み得る。1つまたは複数の原子炉運転を制御することは、原子炉炉心104による熱遮断を制御することを含み得る。制御システム140は、原子炉102を通る冷却液122の流量を制御して、原子炉炉心104による熱遮断を制御し得る。
【0156】
例えば、冷却液122の決定された炉心流量に基づいて、制御システム140は、冷却液122の流れを調整して、原子炉の性能を向上させることができる。1つまたは複数の冷却液ポンプ、バルブ、ノズルなどを制御することに基づいて冷却液122の流れを制御し得る。
【0157】
上述したように、いくつかの例示的な実施形態では、制御システム140は、決定された冷却液122の流量、決定された温度分布、および決定された流体二相界面610の位置、および、決定された冷却液122の流量、決定された温度分布、および決定された流体二相界面610の位置のうちのそれぞれの少なくとも1つを対応する循環ポンプ電力値と関連付けるルックアップテーブル(「LUT」)の少なくとも1つにしたがって、冷却液122の流量を制御し得る。制御システム140は、循環ポンプに供給される電力量が、決定された対応する循環ポンプの電力値に実質的に対応するように、循環ポンプへの電力供給を制御し得る。
【0158】
いくつかの例示的な実施形態では、1つまたは複数の原子炉運転を制御することは、原子炉102の異常状態を特定することに基づいて応答動作を実行することを含む。制御システム140は、冷却液122の流量、冷却液122の温度分布、降下管流路112内の流体二相界面610の位置などのうちの1つまたは複数に基づいて異常状態を特定し得る。応答動作は、警報を作動させること、オペレータにメッセージを生成すること、および他の制御システムに警告することのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0159】
以下は、原子炉内に画定された降下管流路を通る冷却液循環の監視を可能にするように構成された原子炉の様々な特徴および利点の要約であるが、以下は網羅的なリストではないことを理解されたい。
【0160】
原子炉は、1つまたは複数の流量計アセンブリを含む熱監視アレイを含み得る。流量計アセンブリは、流量計アセンブリが降下管流路の異なる部分に露出するように、原子炉内の降下管アセンブリの1つまたは複数の表面に結合されてもよい。流量計アセンブリはそれぞれ、流量計アセンブリが露出しているそれぞれの流路部分を通る1つまたは複数の流れの温度を測定することに基づいて温度データを生成し得る。
【0161】
温度データは、制御システムで受信され処理されて、それによって降下管流路を通る冷却液の質量流量を決定することができる。降下管流路を通る流量を決定することに基づいて、制御システムは、原子炉内の冷却液の炉心流を監視し得る。炉心の流れを監視することに基づいて、制御システムは、冷却液の流れを調整して、原子炉の性能を向上し得る。その結果、熱監視アレイは、原子炉の動作を改善することができる。
【0162】
流量計アセンブリは、可動部品を省略することができる温度センサおよび加熱要素を含むので、熱監視アレイは、冷却液の炉心の流れを決定することができる可動構成要素(すなわちポンプ)を含む原子炉と比較して、原子炉の耐久性を向上させることができる。
【0163】
熱監視アレイの別々の流量計アセンブリによって生成された温度データを監視することに基づいて、制御システムは、降下管流路の軸方向に分離した、および方位角方向に分離した部分を通る冷却液の温度分布を決定し監視し得る。その結果、制御システムは、降下管流路内の温度異常を特定し、訂正応答動作を行い得る。その結果、熱監視アレイは、原子炉における異常な熱状態を特定することができる。さらに、熱監視アレイは、原子炉内の熱異常の軸方向位置および方位角方向位置を改良された精度で特定することができる。その結果、原子炉の運転が改善され得る。
【0164】
熱監視アレイの別々の流量計アセンブリによって生成された温度データを監視することに基づいて、制御システムは、降下管流路内の流体二相界面の位置を決定し監視し得る。降下管流路内の液体冷却液の表面レベルを含むこのような二相界面は、軸方向に分離した流量計アセンブリによって生成された温度データ間の差異に基づいて特定し得る。制御システムは、二相界面の位置を監視することに基づいて、原子炉内の液体冷却液レベルに関連する異常状態を特定し、応答動作を行い得る。その結果、原子炉の動作は、原子炉内の流体二相界面の位置を経時的に特定し監視することができる熱監視アレイに基づいて、改善され得る。
【0165】
本明細書では多くの例示的な実施形態が開示されているが、他の変形が可能であり得ることを理解されたい。そのような変形は、本開示の精神および範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、当業者に明らかであるようなそのような変形のすべては、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。さらに、プロセスが本明細書に開示されているが、プロセスの記載された要素は、要素の異なる選択、それらのいくつかの組み合わせなどを使用して、異なる順序で実施されてもよいことを理解されたい。例えば、開示されたプロセスのいくつかの例示的な実施形態は、図示され説明されたプロセスの要素よりも少ない要素を使用して実施されてもよく、開示されたプロセスのいくつかの例示的な実施形態は、図示され説明されたプロセスの要素よりも多くの要素を使用して実施されてもよい。
【0166】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
原子炉(102)であって、
炉心と、
環状の降下管流路(112)を少なくとも部分的に画定する降下管アセンブリであって、前記降下管アセンブリは、前記環状の降下管流路(112)を介して冷却液を前記原子炉炉心(104)に導くように構成されている、降下管アセンブリと、
少なくとも1つの流量計アセンブリ(132)を含む熱監視アレイであって、前記少なくとも1つの流量計アセンブリ(132)は、前記少なくとも1つの流量計アセンブリ(132)が前記降下管流路(112)の少なくとも一部に露出するように、前記降下管アセンブリの少なくとも1つの表面に結合される、熱監視アレイと、
を含み、
前記流量計アセンブリ(132)は、
前記降下管流路(112)の前記一部における前記冷却液の第1の流れ(451)の温度を測定することに基づいて、第1の温度データを生成するように構成された第1の温度センサ(412)と、
加熱要素(416)が前記第1の温度センサ(412)に熱を加えるように動作可能になるように、前記第1の温度センサ(412)に結合された加熱要素(416)と、
前記降下管流路(112)の前記一部における前記冷却液の第2の流れ(452)の温度を測定することに基づいて、第2の温度データを生成するように構成された第2の温度センサ(422)であって、前記第2の温度センサ(422)は、前記加熱要素(416)から少なくとも部分的に絶縁されている、第2の温度センサ(422)と、
少なくとも前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて、前記降下管流路(112)を通る前記冷却液の流量(450)を決定するように構成された制御システムと、
を含む、原子炉(102)。
[実施態様2]
前記第1の温度センサ(412)および前記第2の温度センサ(422)は、共通の流れ(451、452)に露出するように構成される、実施態様1記載の原子炉(102)。
[実施態様3]
前記制御システムは、前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて温度差を決定し、前記温度差、前記加熱要素(416)に供給される電力の大きさ、および前記加熱要素(416)と前記第1の温度センサ(412)との間のインターフェース(414)の表面領域に基づいて前記流量(450)を決定するように構成される、実施態様1記載の原子炉(102)。
[実施態様4]
前記流量計アセンブリ(132)は、
少なくとも1つの第3の温度センサ(522-1)であって、前記少なくとも1つの第3の温度センサ(522-1)は、前記降下管流路(112)内の前記冷却液の少なくとも1つの流れの温度を測定することに基づいて第3の温度データを生成するように構成され、前記少なくとも1つの第3の温度センサ(522-1)は、前記加熱要素(416)から少なくとも部分的に絶縁される、少なくとも1つの第3の温度センサ(522-1)を含む、実施態様1記載の原子炉(102)。
[実施態様5]
前記熱監視アレイは、複数の流量計アセンブリ(132)を含み、前記複数の流量計アセンブリ(132)のうちの少なくとも2つの流量計アセンブリ(132)は、前記降下管流路(112)の別々の部分に露出される、実施態様1記載の原子炉(102)。
[実施態様6]
前記少なくとも2つの流量計アセンブリ(132)は、
前記降下管流路(112)の長手方向軸に対して、前記降下管流路(112)の軸方向に分離された部分と、
前記降下管流路(112)の前記長手方向軸に対して、前記降下管流路(112)の方位角方向に分離された部分と、
のうちの少なくとも1つに露出する、実施態様5記載の原子炉(102)。
[実施態様7]
前記制御システムは、前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて、前記降下管流路(112)の前記少なくとも一部を流れる流体の温度を決定するように構成される、実施態様1記載の原子炉(102)。
[実施態様8]
前記制御システムは、前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて、前記降下管流路(112)の前記少なくとも一部を流れる流体の相を決定するように構成される、実施態様1記載の原子炉(102)。
[実施態様9]
前記原子炉は、加圧水型原子炉および沸騰水型原子炉のうちの少なくとも1つである、実施態様1記載の原子炉(102)。
[実施態様10]
前記熱監視アレイは、少なくとも第1の流体流れ(451)および第2の流体流れ(452)を、前記少なくとも1つの流量計アセンブリ(132)と流れ連通状態にし、前記降下管流路(112)の残りの部分から隔離するように導くように構成された流路カバー(504)を含む、実施態様1記載の原子炉(102)。
[実施態様11]
流量計アセンブリ(132)が流路(112)の少なくとも一部に露出するように少なくとも1つの表面に結合されるように構成された流量計アセンブリ(132)を含む装置であって、
前記流量計アセンブリ(132)は、
前記流路(112)の前記一部における冷却液の第1の流れ(451)の温度を測定することに基づいて、第1の温度データを生成するように構成された第1の温度センサ(412)と、
加熱要素(416)が前記第1の温度センサ(412)に熱を加えるように動作可能になるように、前記第1の温度センサ(412)に結合された加熱要素(416)と、
前記流路(112)の前記一部における前記冷却液の第2の流れ(452)の温度を測定することに基づいて、第2の温度データを生成するように構成された第2の温度センサ(422)であって、前記第2の温度センサ(422)は、前記加熱要素(416)から少なくとも部分的に絶縁されている、第2の温度センサ(422)と、
を含む、装置。
[実施態様12]
前記第1の温度センサ(412)および前記第2の温度センサ(422)は、共通の流れ(451、452)に露出するように構成される、実施態様11記載の装置。
[実施態様13]
前記流量計アセンブリ(132)は、前記第2の温度センサ(422)を前記加熱要素(416)から少なくとも部分的に絶縁するように構成された絶縁材料(430)を含み、前記絶縁材料(430)は、前記加熱要素(416)および前記第1の温度センサ(412)の少なくとも一部の周囲に充填される、実施態様11記載の装置。
[実施態様14]
前記流量計アセンブリ(132)は、
少なくとも1つの第3の温度センサ(522-1)であって、前記少なくとも1つの第3の温度センサ(522-1)は、前記流路(112)内の前記冷却液の少なくとも1つの流れの温度を測定することに基づいて第3の温度データを生成するように構成され、前記少なくとも1つの第3の温度センサ(522-1)は、前記加熱要素(416)から少なくとも部分的に絶縁される、少なくとも1つの第3の温度センサ(522-1)を含む、実施態様11記載の装置。
[実施態様15]
前記少なくとも1つの第3の温度センサ(522-1)および前記第2の温度センサ(422)は、
前記流路(112)の長手方向軸に対して、前記流路(112)の軸方向に分離された部分(202-1~202-N)と、
前記流路(112)の前記長手方向軸に対して、前記流路(112)の方位角方向に分離された部分(202-1~202-N)と、
のうちの少なくとも1つに露出するように構成された、実施態様14記載の装置。
[実施態様16]
前記第1の流体流れ(451)および前記第2の流体流れ(452)を少なくとも部分的に画定するように構成された流路カバー(504)をさらに含む、実施態様11記載の装置。
[実施態様17]
冷却液の第1の流れ(451)の温度と、加熱要素(416)から第1の温度センサ(412)への熱伝達との両方の温度に基づいて第1の温度センサ(412)で第1の温度データを生成するステップであって、前記加熱要素(416)は、前記熱伝達がインターフェース(414)を通るように前記インターフェース(414)で前記第1の温度センサ(412)に直接結合され、前記第1の温度データは、前記第1の温度センサ(412)によって測定された第1の温度を示す、ステップと、
前記流路(112)内の前記冷却液の第2の流れ(452)の温度に基づいて、前記加熱要素(416)によって生成された熱とは実質的に独立して、第2の温度センサ(422)で第2の温度データを生成するステップであって、前記第2の温度センサ(422)は、前記加熱要素(416)から少なくとも部分的に絶縁され、前記第2の温度データは、前記第2の温度センサ(422)によって測定された第2の温度を示す、ステップと、
前記第1の温度データおよび前記第2の温度データを遠隔に位置するコンピュータ処理装置(140)に通信するステップと、
を含む方法。
[実施態様18]
前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて、前記流路(112)を流れる前記冷却液の流量(450)を決定するステップであって、
前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度差を決定するステップと、
前記温度差、前記インターフェース(414)の表面領域、および前記インターフェース(414)を通る前記熱伝達の速度に基づいて、前記冷却液の流量(450)を決定するステップと、
を含む、決定するステップと、
前記流路(112)を通る前記冷却液の前記決定された流量(450)に基づいて、原子炉炉心(104)による熱遮断を制御するステップと、
をさらに含む、実施態様17記載の方法。
[実施態様19]
前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて前記流路(112)内の流体二相界面(610)の位置を決定するステップであって、
前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度差を決定するステップと、
前記温度差に基づいて前記第1の流れ(451)および前記第2の流れ(452)のうちの少なくとも1つにおける前記冷却液の相を決定するステップと、
を含む、決定するステップと、
前記流路(112)内の前記流体二相界面(610)の前記決定された位置に基づいて、前記流路(112)の1つまたは複数の部分を通る前記冷却液の流量(450)を制御するステップと、
をさらに含む、実施態様17記載の方法。
[実施態様20]
前記第1の温度データおよび前記第2の温度データに基づいて、前記流路(112)の1つまたは複数の部分(202-1~202-N)を通る冷却液の温度分布を決定するステップと、
前記流路(112)の前記1つまたは複数の部分(202-1~202-N)を通る前記決定された流体の温度分布に基づいて、前記流路(112)の1つまたは複数の部分(202-1~202-N)を通る前記冷却液の流量(450)を制御するステップと、
をさらに含む、実施態様17記載の方法。
【符号の説明】
【0167】
102 原子炉
104 原子炉炉心
106 圧力容器壁
108 炉心シュラウド
110 降下管アセンブリ
112 降下管流路
120 冷却液循環ループ
122 低温冷却液
124 高温冷却液
130 熱監視アレイ
132 流量計アセンブリ
140 制御システム
412 第1の温度センサ
414 インターフェース
416 加熱要素
422 第2の温度センサ
430 絶縁材料
450 流量
451 第1の流れ
452 第2の流れ
500 流量計アセンブリ
504 流路カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7