(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20231212BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01N35/00 C
G01N35/02 B
(21)【出願番号】P 2022193129
(22)【出願日】2022-12-01
(62)【分割の表示】P 2019049688の分割
【原出願日】2019-03-18
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 健司
(72)【発明者】
【氏名】村松 友美
(72)【発明者】
【氏名】村田 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲史
(72)【発明者】
【氏名】横倉 泰郎
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-131324(JP,A)
【文献】特開2010-060431(JP,A)
【文献】特開2015-087305(JP,A)
【文献】特開2009-204360(JP,A)
【文献】特開2007-085967(JP,A)
【文献】特開2015-114222(JP,A)
【文献】特開2013-120161(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074472(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0328475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 -37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試薬ボトルを格納する試薬庫と、
保管時にキャップを必要とするかを示すキャップ情報を、前記複数の試薬ボトルのそれぞれについて記憶する記憶部と
、
前記複数の試薬ボトルのうちの、保管時にキャップを必要とすることを示す前記キャップ情報が対応付けられた特定の試薬ボトルを取り出す取り出し指示を操作者から受け付ける入力部と、
前記取り出し指示に応じて、前記特定の試薬ボトルを前記試薬庫から取り出す試薬自動ローディング機構と
を具備する、自動分析装置。
【請求項2】
前記キャップ情報をディスプレイに表示させる表示制御部
をさらに具備する、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記試薬庫における位置の情報と、当該位置に設置された試薬ボトルに係る試薬名と、当該位置に設置された試薬ボトルに係るキャップ情報とを対応付けて表示させる、
請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記キャップ情報に基づいて、前記複数の試薬ボトルのうちの少なくとも一つ以上の特定の試薬ボトルを選択する選択部
を更に具備し、
前記表示制御部は、前記特定の試薬ボトルの項目を選択して前記ディスプレイに表示させる、
請求項2または請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記選択部は、操作者からの指示を受け付けることによって、前記特定の試薬ボトルを選択する、
請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記選択部は、終業時洗浄の洗浄開始の指示を受け付けることによって、前記特定の試薬ボトルを選択する、
請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記試薬庫に格納された前記特定の試薬ボトルにキャップが付されているか否かを検知するセンサと、
前記センサによって検知された結果に基づいて、キャップが付されていない試薬ボトルの有無を確認するキャップ確認部と
を更に具備する、請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記試薬庫に移送される前記特定の試薬ボトルにキャップが付されているか否かを検知するセンサと、
前記センサによって検知された結果に基づいて、キャップが付されていない試薬ボトルの有無を確認するキャップ確認部と
を更に具備する、請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記センサは、接触センサまたは非接触センサによって構成される、
請求項7または請求項8に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記キャップ確認部は、操作者からの指示を受け付けることによって、試薬ボトルにキャップが付されているか否かを確認する、
請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記キャップ確認部は、終業時洗浄の終了通知を受け付けることによって、試薬ボトルにキャップが付されているか否かを確認する、
請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項12】
前記記憶部は、電源オフ期間における、前記試薬庫に格納された前記複数の試薬ボトルの情報と前記特定の試薬ボトルにおけるキャップの有無を示す情報とを含む試薬庫情報を記憶し、
電源オン時において、前記試薬庫情報に基づいて、前記特定の試薬ボトルのうちのキャップの無い試薬ボトルの有無を確認するキャップ忘れ確認部、
を更に具備する、請求項7から請求項11までのいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項13】
保管時にキャップが付されていなかった試薬ボトルに収容された試薬に関する検量線を無効にする制御部
を更に具備する、請求項12に記載の自動分析装置。
【請求項14】
保管時にキャップが付されていなかった試薬ボトルに収容された試薬の検量線を作成するキャリブレーション測定のオーダをする制御部
を更に具備する、請求項13に記載の自動分析装置。
【請求項15】
前記表示制御部は、キャップが付されていなかった試薬ボトルの情報を前記ディスプレイに表示する、
請求項2と、請求項2を直接的、或いは間接的に引用する請求項3から請求項14までとのうちのいずれか一項に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試薬容器(試薬ボトル)が試薬投入部に投入されることにより、自動で試薬ボトルを試薬庫まで移送する機構(試薬自動ローディング機構)を有する自動分析装置が知られている。試薬自動ローディング機構では、試薬ボトルを取り出す際も、自動で試薬ボトルが試薬庫から試薬投入部まで移送される。
【0003】
また、自動分析装置で使用される試薬ボトルは、例えば、試薬の劣化を防ぐため、試薬ボトルの試薬取り出し口に蓋(キャップ)を取り付けられるようになっている。例えば、特定の試薬が収容された試薬ボトル(特定の試薬ボトル)については、保管時(装置の電源がオフになっている期間)において、キャップを付けることを推奨しているものがある。
【0004】
試薬自動ローディング機構を備えた自動分析装置では、例えば、特定の試薬ボトルを取り出したい場合、試薬庫内の試薬ボトルの情報(試薬庫情報)が表示された画面において、操作者が個別に試薬ボトルを選択する必要がある。そのため、複数の試薬ボトルを取り出したい場合に、操作者は、それら複数の試薬ボトルを全て選択する必要があるため手間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、試薬自動ローディング機構を備えた自動分析装置において、特定の試薬ボトルを容易に取り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る自動分析装置は、試薬庫と、記憶部と、選択部と、試薬自動ローディング機構とを備える。試薬庫は、複数の試薬ボトルを格納する。記憶部は、複数の試薬ボトルのうちの少なくとも一つ以上の特定の試薬ボトルについて保管時にキャップを必要とするかを示すキャップ情報を記憶する。選択部は、キャップ情報に基づいて、特定の試薬ボトルを選択する。試薬自動ローディング機構は、選択された特定の試薬ボトルを、試薬庫から試薬ボトルを投入する試薬投入部へ移送する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る試薬庫情報生成処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る試薬ライブラリの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るバーコード情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る試薬庫情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る試薬ボトル取り出し処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る試薬庫ウインドウの表示例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る洗浄ウインドウの表示例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る自動分析装置の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係るキャップ確認処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る試薬庫ウインドウの表示例を示す図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態に係る確認ウインドウの表示例を示す図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係る自動分析装置の一例を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、第3の実施形態に係る戻し忘れ確認処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、第3の実施形態に係る確認ウインドウの表示例を示す図である。
【
図18】
図18は、第4の実施形態に係る自動分析装置の一例を示すブロック図である。
【
図19】
図19は、第4の実施形態に係るキャップ忘れ確認処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、第4の実施形態に係る確認ウインドウの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、自動分析装置の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置の一例を示すブロック図である。例えば、
図1に示すように、第1の実施形態に係る自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、ディスプレイ6、通信インタフェース7、記憶回路8(記憶部)および制御回路9(制御部)を備える。
【0011】
分析機構2は、標準試料または被検試料などの試料と、当該試料に設定される各種検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば、吸光度に関連付けられた標準データおよび被検データを生成する。また、分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば、電極電位に関連付けられた標準データおよび被検データを生成する。
【0012】
解析回路3は、生成された標準データおよび被検データを解析することで、検量データおよび分析データなどを生成するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路8から動作プログラムを読み出し、読み出した動作プログラムに従って検量データおよび分析データなどを生成する。例えば、解析回路3は、標準データに基づき、標準データと、標準試料について予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、被検データと、当該被検データに対応する検査項目の検量データとに基づき、分析データを生成する。分析データには、濃度値と酵素の活性値とを対応づけたデータおよび試料中の所望のイオンの濃度を時系列に記録したデータなどがある。解析回路3は、生成した検量データおよび分析データなどを制御回路9へ出力する。
【0013】
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベアおよびリードスクリューなどにより実現される。例えば、駆動機構4は、後述する反応ディスク104を所定の回動角度で回動させる。所定の回動角度とは、例えば、後述する1サイクルにおいて回動する角度である。また、駆動機構4は、後述する試薬庫102の試薬ラックを回動させる。
【0014】
入力インタフェース5は、例えば、操作者の操作によって、病院内ネットワークNWを介して測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータなどの設定を受け付ける。入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、および、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッドなどにより実現される。入力インタフェース5は、制御回路9に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路9へ出力する。
【0015】
なお、本明細書において、入力インタフェース5は、マウスおよびキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、入力インタフェース5は、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、当該電気信号を制御回路9へ出力する処理回路でもよい。
【0016】
ディスプレイ6は、制御回路9に接続され、制御回路9から受け取った表示対象を表すデータを表示する。当該データには、試薬庫ウインドウ、洗浄ウインドウおよび確認ウインドウなどがある。ディスプレイ6は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイおよびプラズマディスプレイなどに相当する。
【0017】
なお、ディスプレイ6は、タッチパネルを搭載していてもよい。この場合、ディスプレイ6は、入力インタフェース5の機能を有してもよい。
【0018】
通信インタフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システムを介してHISとデータ通信を行ってもよい。
【0019】
記憶回路8は、磁気的記録媒体、光学的記録媒体または半導体メモリなどの、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体などを含む。なお、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶装置により実現されない。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現されてもよい。
【0020】
また、記憶回路8は、操作者から入力された検査オーダ、または、通信インタフェース7によって病院内ネットワークNWを介して受信した検査オーダなどを記憶する。オーダ情報には、試料ID(試薬名)、測定対象となる試料について必要とされる検査項目、および、検査に関する測定順序が含まれる。記憶回路8は、自動分析装置1の各部の一連の動作を1サイクルで実行させるための各種設定値を記憶する。記憶回路8は、制御回路9で読み出される動作プログラムを記憶する。
【0021】
また、記憶回路8は、複数の試薬に関する試薬ライブラリを記憶する。試薬ライブラリは、試薬情報およびボトル情報が対応付けられている。試薬情報には、例えば、試薬名、バーコードID、試薬タイプ、警告残テスト数および使用開始後安定日数などが含まれる。ボトル情報には、有効期限、ロットおよびボトル番号などが含まれる。第1の実施形態における試薬情報には、例えば、「保管時において試薬ボトルにキャップを付けるか否か」(キャップ要否)に関する情報(キャップ情報)が含まれてもよい。尚、特定の試薬ボトルについて保管時にキャップを必要とするかを示すキャップ情報を記憶してもよい。
【0022】
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。例えば、制御回路9は、分析機構2の各部を駆動させるための制御信号を駆動機構4へと出力する。制御回路9は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。尚、制御回路9は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶するメモリを備えても構わない。第1の実施形態に係る制御回路9の機能については後述される。
【0023】
図2および
図3は、
図1の分析機構の構成例を示す図である。
図2および
図3では、第1の側面114、第2の側面116、第3の側面138および第4の側面140は、分析機構2の外側境界を画定する。第1の側面114および第2の側面116は、互いに向かい合っており、第3の側面138および第4の側面140は、互いに向かい合っている。
【0024】
分析機構2は、試薬庫102と、反応ディスク104と、試薬投入部118とを備える。試薬庫102および反応ディスク104は、駆動機構として、互いに異なる回転軸を有する。反応ディスク104は、試薬庫102の上方に離隔して配置される。また、反応ディスク104の設置範囲の少なくとも一部分は、試薬庫102の設置範囲に重複している。尚、試薬庫102および反応ディスク104は、互いに隣り合わせに、例えば、同一平面上に配置されてもよい。
【0025】
試薬庫102は、標準試料に含まれる所定の成分または被検試料に含まれる所定の成分に反応する試薬を収容する複数の試薬ボトル224a~nを保冷する。試薬庫102は、上方に反応ディスク104が配置されているため、装置の動作中、或いは停止中によらず、操作者により直接アクセス困難な構造である。直接アクセス困難な構造とは、操作者自身が試薬ボトルを手にして試薬庫102から容易に出し入れすることができない構造を意味する。試薬庫102内には、試薬ラックが回転自在に設けられている。試薬ラックは、複数の試薬ボトル224a~nを円環状に配列して保持する。試薬ラックは、駆動機構4により回動される。
【0026】
複数の試薬ボトル224a~nのそれぞれは、少なくとも一種類の試薬を有する。二種類の試薬を有する試薬ボトルの場合、一方のコンテナ(後述される外側環状配列コンテナ208a-n)には第1試薬が入っており、他方のコンテナ(後述される内側環状配列コンテナ210a-n)には第1試薬と対をなす第2試薬が入っているものとする。以降では、二種類の試薬を有する試薬ボトルの場合について説明される。また、複数の試薬ボトル224a~nのそれぞれには、例えば、試薬名およびボトルタイプなどの情報に対応付けた数字列のバーコードが貼付されている。第1の実施形態における試薬ボトルに貼付されるバーコードには、例えば、キャップ情報が含まれてもよい。
【0027】
具体的には、試薬庫102は、第1の環状経路209に沿って移動する外側環状配列コンテナ208a-nと、第2の環状経路211に沿って移動する内側環状配列コンテナ210a-nとを有する。第1の環状経路209および第2の環状経路211のそれぞれは同心円である。
【0028】
反応ディスク104は、複数の反応管108a~nを、環状に配列させて保持する。反応ディスク104は、駆動機構4により、既定の時間間隔(以下、1サイクルと称する)、例えば4.5秒で回動と停止とが交互に繰り返される。複数の反応管108a~nは、例えば、ガラスにより形成されている。以降では、反応管108a~nが移動する経路を反応管環状経路と呼ぶ。
【0029】
試薬投入部118は、分析機構2の第1の側面114に設けられる。試薬投入部118は、複数の試料容器を運搬する複数の運搬具124a~n、および複数の試薬ボトル224a~nを受け入れるための複数のスロット122a~nを有する搭載ラック120を有する。
図2の例では、搭載ラック120内のいずれかのスロットにおいて、運搬具124a,b,nおよび試薬ボトル224b,nが挿入されている。
図3の例では、搭載ラック120内のいずれかのスロットにおいて、運搬具124b,nおよび試薬ボトルb,nが挿入されている。尚、複数の運搬具124a~nのそれぞれは、6つの試料容器を保持しているが、試料容器の数はこれに限らない。尚、複数の試料容器のそれぞれには、例えば、患者IDなどの情報に対応付けられた数字列のバーコードが貼付されている。
【0030】
試薬投入部118は、さらに、複数の運搬具124a~nおよび複数の試薬ボトル224a~nを運搬するためのポジショナ126を有する。ポジショナ126は、上記駆動機構4の一部に相当する。ポジショナ126は、複数の運搬具124a~nおよび複数の試薬ボトル224a~nと係合するアーム130を有する。ポジショナ126およびアーム130は、スロット122a~nに挿入された複数の運搬具124a~nおよび複数の試薬ボトル224a~nを取り出し、第1の側面114に設けられたポジショナトラック部128に沿った様々な場所に複数の運搬具124a~nおよび複数の試薬ボトル224a~nを搬送するように動作する。
【0031】
ポジショナ126は、複数の運搬具124a~nのそれぞれが保持する複数の試料容器および複数の試薬ボトル224a~nのそれぞれに貼付されたバーコードを読み取るためのバーコードリーダを有する。例えば、ポジショナ126が運搬具124aを移送させる場合、バーコードリーダは、運搬具124aに保持された複数の試料容器のそれぞれに貼付されたバーコードを読み取る。また例えば、ポジショナ126が試薬ボトル224bを移送させる場合、バーコードリーダは、試薬ボトル224に貼付されたバーコードを読み取る。これら読み取られたバーコードの情報(バーコード情報)は、制御回路9へと出力される。尚、以降では、特に断りがない限り、試薬ボトルに貼付されたバーコードについてのみ説明される。
【0032】
なお、試薬容器および試薬ボトルに貼付されるのはバーコードに限らない。例えばRFID(Radio Frequency IDentification)を用いたICタグが貼付されてもよく、これらのICタグに対応したリーダをポジショナ126などが有してもよい。
【0033】
分析機構2は、第2の側面116の近傍において、第1の運搬具シャトル134および第2の運搬具シャトル136とを有する。
図2に示されるように、ポジショナ126の有するアーム130は、運搬具124aと係合する。
図3に示されるように、運搬具124aは、アーム130が回転およびポジショナ126が移動することにより、第1の運搬具シャトル134に移送される。
【0034】
第1の運搬具シャトル134は、第1の側面114から第2の側面116へと延びる第1のトラック部142を有する。第1のトラック部142は、例えば、ベルトおよびチェーンなどで構成されるトラックデバイスを有する。第1の運搬具シャトル134は第2の側面116側に、第1のトラック部142を駆動するための第1のモータ146を有する。第1の運搬具シャトル134は、第1の側面114側に、第1のセンサ150を有する。
【0035】
第2の運搬具シャトル136は、第1の運搬具シャトル134に隣接して配置される。第2の運搬具シャトル136は、第1の側面114から第2の側面116へと延びる第2のトラック部144を有する。第2のトラック部144は、例えば、トラックデバイスを有する。第2の運搬具シャトル136は、第2の側面116側に、第2のトラック部144を駆動するための第2のモータ148を有する。第2の運搬具シャトル136は、第1の側面114側に、第2のセンサ152を有する。
【0036】
例えば、
図3に示されるように、第1の運搬具シャトル134は、第1のトラック部142上に配置された運搬具124aを、任意の位置に運搬することができる。第2の運搬具シャトル136は、第2のトラック部144上に配置された運搬具124cを、任意の位置に運搬することができる。
【0037】
(試薬ボトルの移送)
分析機構2は、試薬庫102に設けられた開口部から試薬ボトルを出し入れするための試薬ボトル運搬機構222を有する。試薬ボトル運搬機構222は、図示しないアームを有する。
図2に示されるように、試薬ボトル運搬機構222の有するアームは、試薬ボトル224aと係合する。試薬ボトル224aは、試薬ボトル運搬機構222の動作により、試薬庫102に格納される。または、試薬ボトル224aは、試薬ボトル運搬機構222の動作により、試薬庫102から取り出される。尚、ポジショナ126および試薬ボトル運搬機構222などを総称して、試薬自動ローディング機構と称する。
【0038】
分析機構2は、更に、第1のピペッティング機構と、第2のピペッティング機構と、第3のピペッティング機構とを有する(何れも図示せず)。第1のピペッティング機構は、例えば、試薬庫102の内周、且つ反応ディスク104の外周に設けられている。第2のピペッティング機構は、例えば、反応ディスク104の内周に設けられている。第3のピペッティング機構は、例えば、試薬庫102の外周に設けられている。尚、第1のピペッティング機構、第2のピペッティング機構および第3のピペッティング機構のそれぞれが設けられる位置は、上記の位置に限定されない。
【0039】
第1のピペッティング機構は、第1試薬分注アームを有する。第1試薬分注アームは、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アームは、一端に第1試薬分注プローブを保持する。
【0040】
第1試薬分注プローブは、第1試薬分注アームの回動に伴い、円弧状の第1の回動軌道に沿って回動する。第1の回動軌道上には、第1試薬分注プローブが試薬ボトル(外側環状配列コンテナ)から第1試薬を吸引する第1試薬吸引位置が設けられている。第1試薬吸引位置は、例えば、第1の回動軌道と第1の環状経路209との交点に相当する。また、第1の回動軌道上には、第1試薬分注プローブが吸引した第1試薬を反応容器へ吐出する第1試薬吐出位置が設けられている。第1試薬吐出位置は、例えば、第1の回動軌道と反応管環状経路との交点に相当する。
【0041】
なお、第1の回動軌道上の第1試薬吸引位置および第1試薬吐出位置とは異なった位置には、第1試薬分注プローブが洗浄される洗浄位置が設けられてもよい。また、洗浄位置には、第1試薬分注プローブを洗浄する洗浄槽が設けられてもよい。
【0042】
第1試薬分注プローブは、制御回路9の制御に従い、第1試薬吸引位置の直下に位置する外側環状配列コンテナから第1試薬を吸引する。そして、第1試薬分注プローブは、制御回路9の制御に従い、吸引した第1試薬を第1試薬吐出位置の直下に位置する反応管へ吐出する。第1試薬分注プローブは、この吸引および吐出の一連の動作(分注動作)を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
【0043】
第2のピペッティング機構は、第2試薬分注アームを有する。第2試薬分注アームは、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アームは、一端に第2試薬分注プローブを保持する。
【0044】
第2試薬分注プローブは、第2試薬分注アームの回動に伴い、円弧状の第2回動軌道に沿って回動する。第2の回動軌道上には、第2試薬分注プローブが試薬ボトル(内側環状配列コンテナ)から第2試薬を吸引する第2試薬吸引位置が設けられている。第2試薬吸引位置は、例えば、第2回動軌道と第2の環状経路211との交点に相当する。また、第2の回動軌道上には、第2試薬分注プローブが吸引した第2試薬を反応容器へ吐出する第2試薬吐出位置が設けられている。第2試薬吐出位置は、例えば、第2の回動軌道と反応管環状経路との交点に相当する。
【0045】
なお、第2の回動軌道上の第2試薬吸引位置および第2試薬吐出位置とは異なった位置には、第2試薬分注プローブが洗浄される洗浄位置が設けられてもよい。また、洗浄位置には、第2試薬分注プローブを洗浄する洗浄槽が設けられてもよい。
【0046】
第2試薬分注プローブは、制御回路9の制御に従い、第2試薬吸引位置の直下に位置する外側環状配列コンテナから第2試薬を吸引する。そして、第2試薬分注プローブは、制御回路9の制御に従い、吸引した第2試薬を第2試薬吐出位置の直下に位置する反応管へ吐出する。第2試薬分注プローブは、この分注動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
【0047】
第3のピペッティング機構は、試料分注アームを有する。試料分注アームは、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。試料分注アームは、一端に試料分注プローブを保持する。
【0048】
試料分注プローブは、試料分注アームの回動に伴い、円弧状の第3の回動軌道に沿って回動する。第3の回動軌道上には、試料分注プローブが試料容器から試料を吸引する第1の試料吸引位置および第2の試料吸引位置が設けられている。第1の試料吸引位置は、例えば、第3の回動軌道と第1のトラック部142との交点に相当する。第2の試料吸引位置は、例えば、第3の回動軌道と第2のトラック部144との交点に相当する。また、第3の回動軌道上には、試料分注プローブが吸引した試料を反応容器へ吐出する試料吐出位置が設けられている。試料吐出位置は、例えば、第3の回動軌道と反応管環状経路との交点に相当する。
【0049】
なお、第3の回動軌道上の第1の試料吸引位置、第2の試料吸引位置および試料吐出位置とは異なった位置には、試料分注プローブが洗浄される洗浄位置が設けられてもよい。また、洗浄位置には、試料分注プローブを洗浄する洗浄槽が設けられてもよい。
【0050】
試料分注プローブは、制御回路9の制御に従い、第1の試料吸引位置の直下に位置する試料容器から、または第2の試料吸引位置の直下に位置する試料容器から試料を吸引する。そして、試料分注プローブは、制御回路9の制御に従い、吸引した試料を試料吐出位置の直下に位置する反応管へ吐出する。試料分注プローブは、この分注動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
【0051】
図2および
図3では図示していないが、分析機構2は、更に、電極ユニット、測光ユニット、洗浄ユニットおよび撹拌ユニットを備える。電極ユニットは、反応管内に吐出された試料と試薬との混合液の電解質濃度を測定する。測光ユニットは、混合液における所定の成分を光学的に測定する。洗浄ユニットは、電極ユニットまたは測光ユニットにおいて、混合液の測定が終了した反応管の内部を洗浄する。撹拌ユニットは、撹拌子を有し、撹拌子により、反応ディスク104上の撹拌位置の直下に位置する反応管内に収容されている試料、試薬、および混合液などを撹拌する。
【0052】
次に、第1の実施形態に係る制御回路9の各機能について述べる。
図1に示される制御回路9は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9は、動作プログラムを実行することで、システム制御機能91、取得機能92(取得部)、生成機能93(生成部)、取り出し機能94(選択部)および表示制御機能95(表示制御部)を有する。
【0053】
なお、第1の実施形態では、単一のプロセッサによって、システム制御機能91、取得機能92、生成機能93、取り出し機能94および表示制御機能95が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能91、取得機能92、生成機能93、取り出し機能94および表示制御機能95を実現しても構わない。このことは、以降の他の実施形態でも同様である。
【0054】
システム制御機能91により、制御回路9は、例えば、入力インタフェース5から入力される入力情報などに基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する。具体的には、制御回路9は、試薬庫102の試薬ラックおよび反応ディスク104の回動動作、試料分注プローブの回動動作および分注動作、第1試薬分注プローブの回動動作および分注動作、並びに、第2試薬分注プローブの回動動作および分注動作などを制御する。また、制御回路9は、ポジショナ126、第1の運搬具シャトル134、第2の運搬具シャトル136および試薬ボトル運搬機構222の運搬動作を制御する。
【0055】
また、制御回路9は、読み出した動作プログラムに従って、試薬庫情報生成処理および特定の試薬ボトルを取り出す処理(試薬ボトル取り出し処理)に係る各機能を実行する。上記各機能には、例えば、取得機能92、生成機能93、取り出し機能94および表示制御機能95などがある。尚、上記各機能には、システム制御機能91の一部の機能が含まれてもよい。
【0056】
本明細書において、「特定の試薬ボトル」とは、保管時においてキャップを付ける必要がある試薬ボトルを意味する。「保管時」とは、試薬庫102に格納されていない状態、または試薬庫102に格納され且つ自動分析装置の電源がオフになっている期間(電源オフ期間)の状態を示す。
【0057】
取得機能92は、試薬ボトルに関する情報を取得する機能である。具体的には、制御回路9は、取得機能92により、試薬ボトルに貼付されたバーコードのバーコード情報を取得する。さらに、制御回路9は、取得されたバーコード情報と、記憶回路8に記憶されている試薬ライブラリとの少なくとも一方に基づいて、キャップ要否に関する情報(キャップ情報)を取得する。
【0058】
生成機能93は、試薬庫に配置される試薬ボトルに関する情報を示す試薬庫情報を生成する機能である。具体的には、制御回路9は、生成機能93により、少なくとも試薬ボトルの設置位置と、当該試薬ボトルに収容された試薬の試薬名と、当該試薬のキャップ情報とを対応付けた試薬庫情報を生成する。生成された試薬庫情報は、記憶回路8へと記憶される。尚、試薬庫情報には、試薬の残テスト数、試薬の有効期限および試薬の安定期限などが含まれてもよい。また、試薬庫情報には、試薬ボトルが試薬庫へ格納された順番(格納順)が含まれてもよい。
【0059】
取り出し機能94は、特定の試薬ボトルを自動で取り出す機能である。具体的には、制御回路9は、キャップ情報に基づく特定の試薬ボトルに関する取り出し指示を受け付けた後、取り出し機能94により、試薬庫に配置される複数の試薬ボトルのうちの、特定の試薬ボトルを取り出す指示を駆動機構4などへ出力する。
【0060】
表示制御機能95は、後述する試薬庫ウインドウおよび洗浄ウインドウなどを表示する機能である。具体的には、制御回路9は、表示制御機能95により、試薬庫ウインドウをディスプレイ6に表示させる。または、制御回路9は、表示制御機能95により、洗浄ウインドウをディスプレイ6に表示させる。
【0061】
次に、以上のように構成された第1の実施形態に係る自動分析装置1の動作について制御回路9の処理手順に従って説明する。
【0062】
図4は、第1の実施形態に係る試薬庫情報生成処理の動作例を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、例えば、操作者が自動分析装置1の試薬投入部118に試薬ボトルなどを投入し終えたタイミングで、制御回路9が試薬庫情報生成処理のプログラムを実行することにより開始される。
【0063】
(ステップS101)
試薬庫情報生成処理を開始すると、制御回路9は、取得機能92を実行する。取得機能92を実行すると、制御回路9は、試薬投入部118に投入された試薬ボトルに貼付されたバーコードのバーコード情報を取得する。そして、制御回路9は、バーコード情報に含まれる試薬名と、記憶回路8に記憶されている試薬ライブラリに含まれる試薬名とを照合する。
【0064】
(ステップS102)
バーコード情報を取得した後、制御回路9は、取得機能92により、バーコード情報と試薬ライブラリとの少なくとも一方に基づいて、キャップ情報を取得する。第1の実施形態では、バーコード情報と試薬ライブラリとの少なくとも一方にキャップ情報が含まれている。以下に、第1の実施形態に係るキャップ情報が含まれる試薬ライブラリおよびバーコード情報を例示する。
【0065】
図5は、第1の実施形態に係る試薬ライブラリの一例を示す図である。例えば、
図5に示すように、第1の実施形態に係る試薬ライブラリ302は、試薬名「R1_Lib1」に関して試薬情報およびボトル情報が対応付けられている。試薬情報には、試薬名、バーコードID、試薬タイプ、警告残テスト数および使用後安定日数などが含まれている。さらに、試薬情報には、キャップ要否を選択可能なキャップ情報304が含まれている。
図5では、キャップ要否が「要」に選択されているため、試薬「R1_Lib1」の収容された試薬ボトルは、保管時においてキャップを必要とすることがわかる。
【0066】
図6は、第1の実施形態に係るバーコード情報の一例を示す図である。例えば、
図6に示すように、第1の実施形態に係るバーコード情報306は、8桁の数字によって表される。バーコードの数字が左から始まる場合、開始位置が1番目で4桁の数字には、試薬名が割り当てられている。同様に、開始位置が5番目で1桁の数字には、ボトルタイプが割り当てられ、開始位置が6番目で1桁の数字には、試薬タイプが割り当てられ、最後(開始位置が8番目)の1桁の数字には、チェックサムが割り当てられている。さらに、バーコード情報306には、キャップ情報307として、開始位置が7番目で1桁の数字に、キャップ要否が割り当てられている。例えば、読み込まれたバーコード情報における、キャップ要否の項目が(2:要)である場合、読み込んだバーコード情報のバーコードが貼付された試薬ボトルは、保管時においてキャップを必要とすることがわかる。
【0067】
(ステップS103)
キャップ情報を取得した後、制御回路9は、生成機能93を実行する。生成機能93を実行すると、制御回路9は、少なくとも試薬ボトルの設置位置と、当該試薬ボトルに収容された試薬の試薬名と、当該試薬のキャップ情報とを対応付けた試薬庫情報を生成する。以下に、第1の実施形態に係る試薬庫情報を例示する。
【0068】
図7は、第1の実施形態に係る試薬庫情報の一例を示す図である。
図7に示すように、試薬庫情報308は、試薬ボトルの設置位置(項目「位置」)と、試薬名と、残テスト数と、試薬の有効期限(項目「有効期限」)と、試薬の安定期限(項目「安定期限」)と、キャップ情報(項目「キャップ要否」)とが対応付けられている。
図7では、位置「1」の試薬名「試薬A」および位置「4」の試薬名「試薬D」は、どちらもキャップ要否「要」であるため、「試薬A」および「試薬D」の収容された試薬ボトルは、それぞれ保管時においてキャップを必要とすることがわかる。尚、試薬庫情報には、試薬投入部118に投入された複数の試薬ボトルと、搭載ラック120内の複数のスロット122a~nの位置とが対応付けられてもよい。
【0069】
なお、試薬庫情報を作成する際、試薬ライブラリおよびバーコード情報にそれぞれ含まれるキャップ情報が異なる場合(例えば、試薬ライブラリではキャップ要否「否」で、バーコード情報ではキャップ要否「2:要」である場合)、制御回路9は、表示制御機能95により、キャップ情報が異なる旨の確認ウインドウをディスプレイ6に表示してもよい。
【0070】
試薬庫情報を生成した後、制御回路9は、試薬庫情報生成処理を終了する。尚、制御回路9は、試薬庫情報を生成した後、表示制御機能95により、試薬庫情報に基づく試薬庫ウインドウ(後述される)をディスプレイ6に表示してもよい。そして、制御回路9は、試薬庫ウインドウを表示した後、試薬庫情報生成処理を終了してもよい。
【0071】
図8は、第1の実施形態に係る試薬ボトル取り出し処理の動作例を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、例えば、試薬庫情報生成処理および自動分析装置1における検査が終了し、操作者が入力インタフェース5から所定の指示を入力したタイミングで、制御回路9が試薬ボトル取り出し処理のプログラムを実行することにより開始される。操作者が入力インタフェース5から所定の指示を入力する方法としては、例えば、試薬庫ウインドウの「取り出し(キャップ要)」ボタンが押された場合と、洗浄ウインドウの「洗浄開始」ボタンが押された場合とがある。以下に、第1の実施形態に係る試薬庫ウインドウおよび洗浄ウインドウを例示して説明する。
【0072】
図9は、第1の実施形態に係る試薬庫ウインドウの表示例を示す図である。例えば、
図9に示す試薬庫ウインドウ312は、ディスプレイ6に表示されたベースウインドウ310上に表示される。ベースウインドウ310には、自動分析装置1の状態を示す文字表示部(
図9では「待機中」)と、試薬庫情報を含む試薬庫ウインドウ312などが表示される。例えば、操作者が、試薬庫ウインドウ312における「取り出し(キャップ要)」ボタン314を押すと、制御回路9は、試薬ボトル取り出し処理を開始する。尚、試薬庫ウインドウでは、試薬庫情報に含まれる全ての情報を表示しなくてもよい。例えば、
図9の試薬庫情報では、有効期限の表示を省略している。
【0073】
図10は、第1の実施形態に係る洗浄ウインドウの表示例を示す図である。例えば、
図9に示す洗浄ウインドウ322は、ディスプレイ6に表示されたベースウインドウ320上に表示される。ベースウインドウ320には、前述の文字表示部と、自動分析装置の洗浄(装置洗浄)に関する洗浄ウインドウ322などが表示される。装置洗浄とは、前述の各分注プローブの洗浄および反応ディスク104に保持されている複数の反応管108a~nの洗浄などである。例えば、操作者が、洗浄ウインドウ322における「洗浄開始」ボタン324を押すと、制御回路9は、装置洗浄を実行すると共に、試薬ボトル取り出し処理を開始する。尚、「装置洗浄」は、自動分析装置の終業時に行うことが多いため、「終業時洗浄」とも呼ばれる。
【0074】
(ステップS111)
試薬ボトル取り出し処理を開始すると、制御回路9は、特定の試薬ボトルに関する取り出し指示を受け付ける。具体的には、例えば、試薬庫ウインドウ312における「取り出し(キャップ要)」ボタン314が押された後(即ち、試薬ボトル取り出し処理が開始した後)、試薬庫情報におけるキャップ要否「要」の項目316および項目318が自動で選択され、制御回路9は、これらの項目に対応付けられた試薬ボトル(特定の試薬ボトル)に関する取り出し指示を受け付ける。尚、洗浄ウインドウ322における「洗浄開始」ボタン324が押された場合も、試薬庫ウインドウ312における「取り出し(キャップ要)」ボタン314が押された場合と同様の動作となる。
【0075】
(ステップS112)
特定の試薬ボトルに関する取り出し指示を受け付けた後、制御回路9は、取り出し機能94を実行する。取り出し機能94を実行すると、制御回路9は、取り出し指示に基づいて、特定の試薬ボトルを試薬庫から試薬投入部118へ移送する。
【0076】
例えば、
図9の項目316の「試薬A」が取り出される場合、「試薬A」が収容される試薬ボトルを
図2の試薬ボトル224aと仮定すると、駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、試薬庫102の試薬ラックを回動させ、試薬庫102に設けられた開口部の直下へ試薬ボトル224aを移動させる。開口部に移動された試薬ボトル224aは、試薬ボトル運搬機構222の動作により、試薬庫102から取り出される。開口部から取り出された試薬ボトル224aは、アーム130に係合され、ポジショナ126により、複数のスロット122a~nのいずれかへ移送される。
【0077】
特定の試薬ボトルが全て試薬投入部118へ移送されると、制御回路9は、試薬ボトル取り出し処理を終了する。尚、試薬庫情報に格納順が含まれている場合、制御回路9は、複数のスロット122a~nの隣接する一連のスロットへ、格納順に従って試薬ボトルを移送してもよい。
【0078】
以上説明したように、第1の実施形態に係る自動分析装置は、複数の試薬ボトルを格納する試薬庫と、複数の試薬ボトルのうちの少なくとも一つ以上の特定の試薬ボトルについて保管時にキャップを必要とするかを示すキャップ情報を記憶する記憶部と、は、キャップ情報に基づいて、特定の試薬ボトルを選択する選択部と、選択された特定の試薬ボトルを、試薬庫から試薬ボトルを投入する試薬投入部へ移送する試薬自動ローディング機構とを備える。
【0079】
さらに、第1の実施形態に係る自動分析装置において、上記選択部は、操作者からの指示を受け付けることによって、特定の試薬ボトルを選択する。または、上記選択部は、終業時洗浄の洗浄開始の指示を受け付けることによって、特定の試薬ボトルを選択する。
【0080】
従って、本自動分析装置によれば、試薬自動ローディング機構を備えた自動分析装置において、特定の試薬ボトルを容易に取り出すことができる。よって、本自動分析装置によれば、簡易な方法でキャップが必要な試薬ボトルのみを選択的に取り出すことができ、操作者の負担が軽減される。
【0081】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、特定の試薬ボトルを自動で取り出す処理について説明した。第2の実施形態では、試薬ボトルのキャップを確認する処理について説明する。
【0082】
図11は、第2の実施形態に係る自動分析装置の一例を示すブロック図である。例えば、
図11に示すように、第2の実施形態に係る自動分析装置1Aは、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、ディスプレイ6、通信インタフェース7、記憶回路8および制御回路9Aを備える。
【0083】
次に、第2の実施形態に係る制御回路9Aの各機能について述べる。
図11に示される制御回路9Aは、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9Aは、動作プログラムを実行することで、システム制御機能91、取得機能92(取得部)、生成機能93(生成部)、取り出し機能94(選択部)、表示制御機能95A(表示制御部)および確認機能96(キャップ確認部)を有する。
【0084】
制御回路9Aは、読み出した制御プログラムに従って、キャップ確認処理に係る各機能を実行する。上記各機能には、例えば、表示制御機能95Aおよび確認機能96などがある。尚、上記各機能には、制御回路9Aの他の機能の一部が含まれてもよい。
【0085】
表示制御機能95Aは、前述の表示制御機能95の機能に加え、後述する確認ウインドウを表示する機能である。具体的には、制御回路9は、表示制御機能95Aにより、試薬庫ウインドウの前面に確認ウインドウを表示させる。
【0086】
確認機能96は、特定の試薬ボトルのキャップを確認する機能である。具体的には、制御回路9Aは、キャップ情報に基づく特定の試薬ボトルに関するキャップ確認指示を受け付けた後、確認機能96により、試薬庫に配置される複数の試薬ボトルのうちの、特定の試薬ボトルのキャップを確認する指示を駆動機構4などへ出力する。そして、制御回路9Aは、キャップの無い特定の試薬ボトルを特定する。
【0087】
次に、以上のように構成された第2の実施形態に係る自動分析装置1Aの動作について制御回路9Aの処理手順に従って説明する。
【0088】
図12は、第2の実施形態に係るキャップ確認処理の動作例を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、例えば、試薬庫情報生成処理および自動分析装置1Aにおける検査が終了し、操作者が入力インタフェース5から所定の指示を入力したタイミングで、制御回路9Aがキャップ確認処理のプログラムを実行することにより開始される。操作者が入力インタフェース5から所定の指示を入力する方法としては、例えば、試薬庫ウインドウの「キャップ確認」ボタンが押された場合と、ベースウインドウの「終了」ボタンが押された場合とがある。「終了」ボタンとは、自動分析装置1Aの電源をオフにするボタンである。以下に、第2の実施形態に係る試薬庫ウインドウ(ベースウインドウ)を例示して説明する。
【0089】
図13は、第2の実施形態に係る試薬庫ウインドウの表示例を示す図である。例えば、
図13に示す試薬庫ウインドウ328は、ディスプレイ6に表示されたベースウインドウ326上に表示される。ベースウインドウ326には、自動分析装置1Aの状態を示す文字表示と、試薬庫情報を含む試薬庫ウインドウ328などが表示される。例えば、操作者が、試薬庫ウインドウ328における「キャップ確認」ボタン330を押すと、制御回路9Aは、キャップ確認処理を開始する。また例えば、操作者が、ベースウインドウ326における「終了」ボタン336を押すと、制御回路9Aは、キャップ確認処理を開始する。
【0090】
(ステップS201)
キャップ確認処理を開始すると、制御回路9Aは、特定の試薬ボトルに関するキャップ確認指示を受け付ける。具体的には、例えば、試薬庫ウインドウ328における「キャップ確認」ボタン330が押された後(即ち、キャップ確認処理が開始した後)、試薬庫情報におけるキャップ要否「要」の項目332および項目334が自動で選択され、制御回路9Aは、これらの項目に対応付けられた試薬ボトル(特定の試薬ボトル)に関するキャップ確認指示を受け付ける。尚、ベースウインドウ326における「終了」ボタン336が押された場合も、試薬庫ウインドウ328における「キャップ確認」ボタン330が押された場合と同様の動作となる。
【0091】
(ステップS202)
特定の試薬ボトルに関するキャップ確認指示を受け付けた後、制御回路9Aは、確認機能96を実行する。確認機能96を実行すると、制御回路9Aは、キャップ確認指示に基づいて、特定の試薬ボトルについてキャップの有無を確認する。キャップの有無の確認方法としては、例えば、障害物センサ(接触センサ)を用いる場合と、超音波センサおよび光センサなどの非接触センサを用いる場合とがある。尚、接触センサおよび非接触センサは、特許請求の範囲における「センサ」に相当する。
【0092】
例えば、
図2の試薬庫102に格納されている、保管時にキャップを付ける必要のある試薬ボトル(特定の試薬ボトル)のキャップの有無を確認する場合、確認したい試薬ボトルを試薬ボトル224aと仮定すると、駆動機構4は、制御回路9Aの制御に従い、試薬庫102の試薬ラックを回動させ、第1試薬吸引位置の直下に試薬ボトル224aを位置させる。そして、駆動機構4は、第1試薬分注プローブを試薬ボトル224a上に下降させる。この時、第1試薬分注プローブの有する接触センサに反応があった場合、即ち、障害物を検知した場合、制御回路9Aは、試薬ボトル224a(ここでは、外側環状配列コンテナ)にキャップがあると判別する。他方、第1試薬分注プローブの有する接触センサに反応が無かった場合、即ち、障害物を検知しなかった場合、制御回路9Aは、試薬ボトル224aにキャップが無いと判別する。尚、試薬ボトル224aの内側環状コンテナのキャップの有無を確認する場合も、第2試薬吸引位置の直下に試薬ボトル224aを位置させる、および第2試薬分注プローブを用いる以外は上記と同様である。
【0093】
非接触センサを用いる場合、非接触センサは、例えば、第1試薬吸引位置の付近および第2試薬吸引位置の付近の少なくとも一方に設置されてもよい。試薬吸引位置に試薬ボトルが位置した際に、非接触センサは、試薬ボトルにキャップが付されているか否かを検知する。尚、非接触センサは、第1の環状経路209および第2の環状経路211の直上の任意の位置に設置されてもよい。
【0094】
(ステップS203)
特定の試薬ボトルについてキャップの有無を確認した後、制御回路9Aは、キャップの無い特定の試薬ボトルがあるか否かを判定する。キャップの無い特定の試薬ボトルがある場合(ステップS203:YES)、即ち、特定の試薬ボトルにキャップが付いていない試薬ボトルある場合、処理はステップS204へ進む。キャップの無い特定の試薬ボトルが無い場合(ステップS203:NO)、即ち、特定の試薬ボトルのキャップが全て付されていると判定された場合、キャップ確認処理を終了する。
【0095】
(ステップS204)
キャップの無い特定の試薬ボトルが特定された後、制御回路9Aは、表示制御機能95Aを実行する。表示制御機能95Aを実行すると、制御回路9Aは、キャップの無い特定の試薬ボトルの情報をディスプレイ6に表示する。具体的には、制御回路9Aは、表示制御機能95Aにより、キャップの無い特定の試薬ボトルの情報を含む確認ウインドウをディスプレイ6に表示する。以下に、第2の実施形態に係る確認ウインドウを例示する。
【0096】
図14は、第2の実施形態に係る確認ウインドウの表示例を示す図である。例えば、
図14に示す確認ウインドウ338は、ディスプレイ6に表示されたベースウインドウ326よりも上位のレイヤーに表示される。確認ウインドウ338には、例えば、「キャップの取り付けられていない試薬ボトルが見つかりました。キャップを取り付けますか? 試薬名:試薬A」の文章と共に、「はい」ボタン340および「いいえ」ボタン342が表示される。
【0097】
操作者が「はい」ボタン340を押した場合、制御回路9Aは、駆動機構4を駆動させ、表示された試薬(
図14では、「試薬A」)を収容した試薬ボトルを、試薬庫102から試薬投入部118へ移送させる。操作者が「いいえ」ボタン342を押した場合、制御回路9Aは、表示された試薬を収容した試薬ボトルを、例えば、キャップが取り付けられていない情報として試薬庫情報に記憶してもよい。
【0098】
なお、制御回路9Aにおいて、キャップ確認処理が実行されるタイミングは上記に限らない。例えば、洗浄ウインドウにおける「洗浄開始」ボタンが押下されたことにより第1の実施形態における試薬ボトル取り出し処理が開始された場合、洗浄動作終了後にキャップ確認処理が実行されてもよい。
【0099】
(第2の実施形態の応用例)
第2の実施形態では、試薬庫に格納された特定の試薬ボトルのキャップを確認する処理について説明した。第2の実施形態の応用例では、ポジショナを用いた試薬ボトルの移送の際にキャップを確認する処理について説明する。
【0100】
第2の実施形態の応用例に係るポジショナ126は、バーコードリーダの設置位置付近に、更に非接触センサを有する。この非接触センサは、例えば、ポジショナ126が試薬ボトルを移送させる際に、バーコードリーダの読み取りと同時にまたは前後に試薬ボトルのキャップの有無を確認する。例えば、本応用例では、制御回路9Aは、試薬ボトル取り出し処理が終了した後にキャップ確認処理を実行し、特定の試薬ボトルが再度、試薬投入部118から試薬庫102へ戻される際に、特定の試薬ボトルのキャップの有無を検知する。尚、キャップの有無を検知した後の処理は、第2の実施形態で説明したことと略同様である。
【0101】
以上説明したように、第2の実施形態に係る自動分析装置は、第1の実施形態に係る自動分析装置と同様に、複数の試薬ボトルを格納する試薬庫と、複数の試薬ボトルのうちの少なくとも一つ以上の特定の試薬ボトルについて保管時にキャップを必要とするかを示すキャップ情報を記憶する記憶部と、は、キャップ情報に基づいて、特定の試薬ボトルを選択する選択部と、選択された特定の試薬ボトルを、試薬庫から試薬ボトルを投入する試薬投入部へ移送する試薬自動ローディング機構とを備える。
【0102】
さらに、第2の実施形態に係る自動分析装置は、試薬庫に格納された特定の試薬ボトルにキャップが付されているか否かを検知するセンサと、センサによって検知された結果に基づいて、キャップが付されていない試薬ボトルの有無を確認するキャップ確認部とを備える。また、上記センサは、接触センサまたは非接触センサによって構成される。
【0103】
また、第2の実施形態に係る自動分析装置において、上記キャップ確認部は、操作者からの指示を受け付けることによって、試薬ボトルにキャップが付されているか否かを確認する。または、上記キャップ確認部は、終業時洗浄の洗浄終了の指示(終了通知)を受け付けることによって、試薬ボトルにキャップが付されているか否かを確認する。
【0104】
従って、本自動分析装置によれば、試薬庫へ特定の試薬ボトルを戻す際に、キャップの閉め忘れを検知することができる。
【0105】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、特定の試薬ボトルのキャップを確認する処理について説明した。第3の実施形態では、特定の試薬ボトルの戻し忘れを確認する処理について説明する。
【0106】
図15は、第3の実施形態に係る自動分析装置の一例を示すブロック図である。例えば、
図15に示すように、第3の実施形態に係る自動分析装置1Bは、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、ディスプレイ6、通信インタフェース7、記憶回路8および制御回路9Bを備える。
【0107】
次に、第3の実施形態に係る制御回路9Bの各機能について述べる。
図15に示される制御回路9Bは、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9Bは、動作プログラムを実行することで、システム制御機能91、取得機能92(取得部)、生成機能93(生成部)、取り出し機能94(選択部)、表示制御機能95A(表示制御部)および確認機能96A(ボトル確認部)を有する。
【0108】
制御回路9Bは、読み出した制御プログラムに従って、戻し忘れ確認処理に係る各機能を実行する。上記各機能には、例えば、表示制御機能95Aおよび確認機能96Aなどがある。尚、上記各機能には、制御回路9Bの他の機能の一部が含まれてもよい。
【0109】
確認機能96Aは、一度取り出された特定の試薬ボトルが再度、試薬庫に戻されたかどうかを確認する(即ち、戻し忘れを確認する)機能である。具体的には、制御回路9Bは、キャップ情報に基づく特定の試薬ボトルに関する戻し忘れ確認指示を受け付けた後、確認機能96Aにより、一度取り出された特定の試薬ボトルのうち、試薬庫に戻されていない特定の試薬ボトルを特定する。
【0110】
次に、以上のように構成された第3の実施形態に係る自動分析装置1Bの動作について制御回路9Bの処理手順に従って説明する。尚、以下に説明する戻し忘れ確認処理は、第1の実施形態の試薬ボトル取り出し処理が行われた後に実行されるものとする。ここで、試薬ボトル取り出し処理が実行されると同時に、または実行後に、制御回路9Bは、特定の試薬ボトルが試薬庫102から取り出される直前の試薬庫情報(第1の試薬庫情報)をメモリ(例えば、記憶回路8)などへ記憶しているものとする。
【0111】
図16は、第3の実施形態に係る戻し忘れ確認処理の動作例を示すフローチャートである。
図16のフローチャートは、例えば、第1の実施形態における試薬ボトル取り出し処理が終了し、操作者が取り出した試薬ボトルを再度、試薬庫へ格納し終えた後に、操作者が入力インタフェース5から所定の指示を入力したタイミングで、制御回路9Bが戻し忘れ確認処理のプログラムを実行することにより開始される。操作者が入力インタフェース5から所定の指示を入力する方法としては、例えば、試薬庫ウインドウの「キャップ確認」ボタンが押された場合と、ベースウインドウの「終了」ボタンが押された場合とがある。以下に、
図13の試薬庫ウインドウ(ベースウインドウ)を例示して説明する。
【0112】
例えば、操作者が、試薬庫ウインドウ328における「キャップ確認」ボタン330を押すと、制御回路9Bは、戻し忘れ確認処理を開始する。また例えば、操作者が、ベースウインドウ326における「終了」ボタン336を押すと、制御回路9Bは、戻し忘れ確認処理を開始する。
【0113】
(ステップS301)
戻し忘れ確認処理を開始すると、制御回路9Bは、特定の試薬ボトルに関する確認指示(ボトル確認指示)を受け付ける。具体的には、例えば、試薬庫ウインドウ328における「キャップ確認」ボタン330が押された後(即ち、戻し忘れ確認処理が開始した後)、試薬庫情報におけるキャップ要否「要」の項目332および項目334が自動で選択され、制御回路9Aは、これらの項目に対応付けられた試薬ボトル(特定の試薬ボトル)に関するボトル確認指示を受け付ける。尚、ベースウインドウ326における「終了」ボタン336が押された場合も、試薬庫ウインドウ328における「キャップ確認」ボタン330が押された場合と同様の動作となる。
【0114】
(ステップS302)
ボトル確認指示を受け付けた後、制御回路9Bは、確認機能96Aを実行する。確認機能96Aを実行すると、制御回路9Bは、ボトル確認指示に基づいて、特定の試薬ボトルの有無を確認する。具体的には、制御回路9Bは、記憶されている第1の試薬庫情報と、現在の第2の試薬庫情報とを比較することによって、第1の試薬庫情報にはあるが第2の試薬庫情報にはない試薬ボトル、即ち、試薬庫に戻されていない特定の試薬ボトルを特定する。
【0115】
(ステップS303)
試薬庫に戻されていない特定の試薬ボトルがある場合(ステップS303:YES)、即ち、試薬ボトル取り出し処理の後に操作者が試薬庫へ戻し忘れた試薬ボトルがある場合、処理はステップS304へ進む。試薬庫に戻されていない特定の試薬ボトルがない場合(ステップS303:NO)、即ち、試薬ボトル取り出し処理の後に操作者が取り出された全てのボトルを試薬庫へ戻していた場合、戻し忘れ確認処理を終了する。
【0116】
(ステップS304)
試薬庫に戻されていない特定の試薬ボトルが特定された後、制御回路9Bは、表示制御機能95Aを実行する。表示制御機能95Aを実行すると、制御回路9Bは、試薬庫に戻されていない特定の試薬ボトルの情報を含む確認ウインドウをディスプレイ6に表示する。以下に、第3の実施形態に係る確認ウインドウを例示する。
【0117】
図17は、第3の実施形態に係る確認ウインドウの表示例を示す図である。例えば、
図17に示す確認ウインドウ344は、ディスプレイ6に表示されたベースウインドウ326よりも上位のレイヤーに表示される。確認ウインドウ344には、例えば、「試薬庫に戻されていない試薬ボトルが見つかりました。試薬庫に戻しますか? 試薬名:試薬A」の文章と共に、「はい」ボタン346および「いいえ」ボタン348が表示される。
【0118】
操作者が「はい」ボタン346を押した場合、制御回路9Bは、表示された試薬(
図17では、「試薬A」)を収容した試薬ボトルが試薬庫102に格納されるまで待機する。操作者が「いいえ」ボタン348を押した場合、制御回路9Bは、第1の試薬庫情報を破棄する。
【0119】
なお、制御回路9Bにおいて、戻し忘れ確認処理が実行されるタイミングは上記に限らない。例えば、洗浄ウインドウにおける「洗浄開始」ボタンが押下されたことにより第1の実施形態における試薬ボトル取り出し処理が開始された場合、洗浄動作終了後に戻し忘れ確認処理が実行されてもよい。このとき、第2の実施形態におけるキャップ確認処理も同時に、或いは戻し忘れ確認処理の前後に行われてもよい。
【0120】
以上説明したように、第3の実施形態に係る自動分析装置は、第1の実施形態および第2の実施形態に係る自動分析装置と同様に、複数の試薬ボトルを格納する試薬庫と、複数の試薬ボトルのうちの少なくとも一つ以上の特定の試薬ボトルについて保管時にキャップを必要とするかを示すキャップ情報を記憶する記憶部と、は、キャップ情報に基づいて、特定の試薬ボトルを選択する選択部と、選択された特定の試薬ボトルを、試薬庫から試薬ボトルを投入する試薬投入部へ移送する試薬自動ローディング機構とを備える。
【0121】
さらに、第3の実施形態に係る自動分析装置において、上記記憶部は、試薬庫に格納された複数の試薬ボトルの情報を含む第1の試薬庫情報と、試薬自動ローディング機構によって移送された特定の試薬ボトルの少なくとも一つが試薬庫に戻された第2の試薬庫情報を記憶し、上記自動分析装置は、第1の試薬庫情報と第2の試薬庫情報とを比較することによって、試薬庫に不足している試薬ボトルの情報を確認するボトル確認部を備える。
【0122】
さらに、第3の実施形態に係る自動分析装置において、上記ボトル確認部は、操作者からの指示を受け付けることによって、第1の試薬庫情報と、指示を受け付けた時点の第2の試薬庫情報とを比較することによって、不足している試薬ボトルの情報を確認する。または、上記ボトル確認部は、終業時洗浄の終了通知を受け付けることによって、第1の試薬庫情報と、当該終了通知を受け付けた時点の第2の試薬庫情報とを比較することによって、不足している試薬ボトルの情報を確認する。
【0123】
従って、本自動分析装置によれば、試薬庫へ特定の試薬ボトルを戻す際に、戻し忘れを確認することができる。
【0124】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、特定の試薬ボトルの戻し忘れを確認する処理について説明した。第4の実施形態では、保管時におけるキャップの付け忘れを確認する処理について説明する。
【0125】
図18は、第4の実施形態に係る自動分析装置の一例を示すブロック図である。例えば、
図18に示すように、第4の実施形態に係る自動分析装置1Cは、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、ディスプレイ6、通信インタフェース7、記憶回路8および制御回路9Cを備える。
【0126】
次に、第4の実施形態に係る制御回路9Cの各機能について述べる。
図18に示される制御回路9Cは、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9Cは、動作プログラムを実行することで、システム制御機能91、取得機能92(取得部)、生成機能93(生成部)、取り出し機能94(選択部)、表示制御機能95A(表示制御部)および確認機能96B(キャップ忘れ確認部)を有する。
【0127】
制御回路9Cは、読み出した制御プログラムに従って、キャップ忘れ確認処理に係る各機能を実行する。上記各機能には、例えば、表示制御機能95Aおよび確認機能96Bなどがある。尚、上記各機能には、制御回路9Cの他の機能の一部が含まれてもよい。
【0128】
確認機能96Bは、前回終了時に試薬庫に格納されたままの特定の試薬ボトルについて、次回起動時にキャップが付されているかどうかを確認する機能である。具体的には、制御回路9Cは、確認機能96Bにより、前回終了時に試薬庫に格納されたままの特定の試薬ボトルについて、次回起動時にキャップが付されているかどうかを確認する。そして、制御回路9Cは、キャップの無い特定の試薬ボトルを特定する。
【0129】
次に、以上のように構成された第4の実施形態に係る自動分析装置1Cの動作について制御回路9Cの処理手順に従って説明する。尚、以下に説明するキャップ忘れ確認処理は、自動分析装置1Cの起動時(電源がオンになった後)において、自動分析装置1Cの前回の電源オフ期間における試薬庫情報(第3の試薬庫情報)が記憶回路8に記憶されている場合に実行される。
【0130】
図19は、第4の実施形態に係るキャップ忘れ確認処理の動作例を示すフローチャートである。
図19のフローチャートは、例えば、自動分析装置1Cの電源がオンになった後に、スタートアップが行われるタイミングで、制御回路9Cがキャップ忘れ確認処理のプログラムを実行することにより開始される。
【0131】
(ステップS401)
キャップ忘れ確認処理を開始すると、制御回路9Cは、記憶回路8に記憶されている第3の試薬庫情報を読み込む。
【0132】
(ステップS402)
第3の試薬庫情報を読み込んだ後、制御回路9Cは、確認機能96Bを実行する。確認機能96Bを実行すると、制御回路9Cは、前回の電源オフ期間から継続してキャップの無い特定の試薬ボトルがあるか否かを判定する。具体的には、制御回路9Cは、第3の試薬庫情報にキャップが取り付けられていない情報が含まれているか否かを確認する。
【0133】
前回の電源オフ期間から継続してキャップの無い特定の試薬ボトルがある場合(ステップS402:YES)、即ち、第3の試薬庫情報にキャップが取り付けられていない情報が含まれている場合、処理はステップS403へ進む。前回の電源オフ期間から継続してキャップの無い特定の試薬ボトルがない場合(ステップS402:NO)、即ち、第3の試薬庫情報にキャップが取り付けられていない情報が含まれていない場合、キャップ忘れ確認処理を終了する。
【0134】
(ステップS403)
前回の電源オフ期間から継続してキャップの無い特定の試薬ボトルが判明した後、制御回路9Cは、表示制御機能95Bを実行する。表示制御機能95Bを実行すると、制御回路9Cは、キャップの無い特定の試薬ボトルの情報を含む確認ウインドウをディスプレイ6に表示する。以下に、第4の実施形態にかかる確認ウインドウを例示する。
【0135】
図20は、第4の実施形態に係る確認ウインドウの表示例を示す図である。例えば、
図20に示す確認ウインドウ352は、ディスプレイ6に表示されたベースウインドウ350よりも上位のレイヤーに表示される。確認ウインドウ352には、例えば、「キャップの取り付けられていない試薬ボトルが見つかりました。この試薬の使用を許可しますか? 試薬名:試薬A」の文章と共に、「はい」ボタン354および「いいえ」ボタン356が表示される。
【0136】
操作者が「はい」ボタン354を押した場合、制御回路9Cは、表示された試薬(
図20では、「試薬A」)に関する検量線を無効にする、表示された試薬のキャリブレーション測定を自動でオーダする、或いはその両方を実行する。キャリブレーション測定とは、検量線を新たに作成するための測定である。操作者が「いいえ」ボタン348を押した場合、駆動機構4を駆動させ、表示された試薬を収容した試薬ボトルを、試薬庫102から試薬投入部118へ移送させる。
【0137】
以上説明したように、第4の実施形態に係る自動分析装置は、第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態に係る自動分析装置と同様に、複数の試薬ボトルを格納する試薬庫と、複数の試薬ボトルのうちの少なくとも一つ以上の特定の試薬ボトルについて保管時にキャップを必要とするかを示すキャップ情報を記憶する記憶部と、は、キャップ情報に基づいて、特定の試薬ボトルを選択する選択部と、選択された特定の試薬ボトルを、試薬庫から試薬ボトルを投入する試薬投入部へ移送する試薬自動ローディング機構とを備える。
【0138】
さらに、第4の実施形態に係る自動分析装置において、上記記憶部は、電源オフ期間における、試薬庫に格納された複数の試薬ボトルの情報と特定の試薬ボトルにおけるキャップの有無を示す情報とを含む第3の試薬庫情報を記憶し、上記自動分析装置は、電源オン時において、第3の試薬庫情報に基づいて、特定の試薬ボトルのうちのキャップの無い試薬ボトルの有無を確認するキャップ忘れ確認部を備える。
【0139】
さらに、第4の実施形態に係る自動分析装置は、保管時にキャップが付されていなかった試薬ボトルに収容された試薬に関する検量線を無効にする制御部を備える。または、上記自動分析装置は、保管時にキャップが付されていなかった試薬ボトルに収容された試薬の検量線を作成するコントロール測定のオーダをする制御部を備える。
【0140】
従って、本自動分析装置によれば、翌日の電源オン時に、キャップを閉め忘れていた試薬ボトルの情報を確認することができる。
【0141】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、試薬自動ローディング機構を備えた自動分析装置において、特定の試薬ボトルを容易に取り出すことができる。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0143】
1 自動分析装置
2 分析機構
3 解析回路
4 駆動機構
5 入力インタフェース
6 ディスプレイ
7 通信インタフェース
8 記憶回路
9 制御回路
91 システム制御機能
92 取得機能
93,93A 生成機能
94 取り出し機能
95,95A 表示制御機能
96,96A,96B 確認機能